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生涯学習分科会(第8回)における意見の概要 | ||
○:委員 | ||
○ | 今年の夏に全国から300名ほど高校生が参加して2泊3日の高校生の教育改革フォーラムが行われた。 フォーラムでは、高校生実行委員会が身近なテーマをいくつか提案し、参加者がテーマを選択して議論を行うという方式をとった。その中で、学校教育におけるボランティア活動の義務化というテーマについても議論を行った。 議論の流れのベースとしては、ボランティアは自ら行うのがいい、というものだったが、一律反対というものではなかった。あるグループでは、強制には反対というものが多数であったが、一度ボランティアを体験してみないと良さもわからないのではないかという意見もあった。また、ボランティア自体を義務化するのではなく、ボランティア講習会の受講を法律で義務づけ、ボランティア講習会においては、ビデオ上映、ボランティア活動参加者による講演などを行い、様々な事例にふれることにより、ボランティア活動を行うきっかけとなる情報提供を行うことはどうか、という具体案を出してくれた。 従来、制度やしくみを作る過程において、当事者の声は反映されないことが多いが、この分科会ではこのような声に耳を傾けてみてはどうか。 |
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○ | 18歳以上の青年が長期にわたってボランティア活動を行っていく仕組みをどのように作るべきか。 1年間義務化するというと、かつての徴兵制のように、若者を集めてどこかの施設で共同訓練、というようなイメージがある。このように、ある特定の場所に集め、あるテーマに沿って活動させるというのも、一つの手法である。外国では徴兵制は事実として実施されており、兵役を忌避する者については、そのかわりに奉仕活動を行うという制度がドイツ、フランスで行われている。 また、自宅から通い3ヶ月、半年など長期間ボランティア活動に従事する仕組みを作るという手法もある。 または、期間を定めずに各自が自由に課題を見つけ、都合のいい期間行うという緩い仕組みを提案するという手法もある。しかし、これについては、現在の在り方とかわらないのではないか、という疑問もでてくる。 企業では、大手120社ほどがボランティア休職制度を有している。4年制の大学では、ボランティア活動のための長期の休学を認めているが、短大には認めないところが多い。また、このような場合、休学期間中は、授業料減免等の措置をとることなどを議論してほしい。 長期の期間を設けて画一的に拘束して行うようにするのがいいのか、それとも緩い方向でいくのか、議論をしたい。 |
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○ | 画一的に枠を作りその中でしっかりと根付かせていくということも意味があるとは思うが、根本は、どれだけ人を思いやって、愛のある社会を作っていくか、ということである。日本は諸外国に比べ、ボランティア精神が低いといわれているが、資料2をみると、韓国やフランスよりも、意識は高い。英米はキリスト教精神が根付いている国であるから、それらの国とは自ずから差がある。日本が宗教を通さずに、宗教を通じてボランティア活動が根付いている国と同様のレベルを目指すというのは大変ではないか。 18歳以上の人を強制的に教育するよりも、自発的にボランティア活動に参加する人になるように、早期にボランティアに触れさせることが重要である。幼稚園くらいに教育を始めれば、18歳になったときには、強制的にやらせなくても、自発的に行う人間になる。すぐに結果を求めず、早期から「情育」を行っていく方向を作るべき。 ただ、そのような教育を受けてこなかった大人が多く残っているので、大人の意識を改善するためにどのようにしていくかは課題。 |
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○ | 18歳以下については、小学校、中学校、高等学校とあり、学校教育、学校外教育という手法がある。18歳以上というのは、学生、社会人、リタイヤした中高年など、様々な人がいる。効果についても、学生には教育的な効果を求め、リタイヤした人には、結果的に社会を支えてもらうことを求める。色々な対象があるので、焦点を絞るべき。教育改革国民会議では、青年をターゲットにしていたので、青年に絞るべきではないか。青年を学生と社会人に分けて、議論をしていくべき。 | |
○ | 18歳の時点で「公」に対する意識の身に付いた人に成長させるという長い目で見た対応と、現在18歳以上の人に対処療法として緊急に行う対応の2つがある。今の18歳以上の青年についての議論については、恒久的なものとしてではなく、緊急的な対策として位置付けるべきではないか。 また、学生と社会人とで異なる手当をすべき。学生については、イギリスでは、高校卒業後、大学の入学資格を得た後1年間、ボランティア活動などの社会貢献活動を行って、その経験を入学後の学習に結びつけるという試みが行われている。現在の日本の学生は入試が全てで、社会で何が行われているのか、全く知らない子どもが多い。そのような子どもたちに、社会体験をしてもらい、課題発見の場にしてもらうのはどうか。 また、社会人については、一ヶ所に集めて、というのは困難。また、ボランティア活動を異常な体験として印象づけるのは好ましくない。文部省が平成6年に「社会を支えるアメリカのボランティア活動」という映画を推薦したが、その中で、マイクロソフト社の社員が、勤務時間中に一週間に数時間、学校の子どもにパソコンを教えているという事例をが紹介されていた。会社の勤務に影響を与えない範囲でのボランティア活動を企業も認めるような柔らかなシステムづくりが重要ではないか。 |
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○ | 学生を学校での総合的学習の時間、部活動、生徒の心の相談など、教育支援ボランティアとして活用していく必要がある。 | |
○ | 東京外大には、いわゆるフリーターになる学生がいる。 タイ語を履修したある女子学生は、就職の段階で自ら志願してバンコクに行き、国際交流基金に現地採用され、2,3年タイにいた。次に海外青年協力隊でルソン島に行き、老人達のケアを行っている。彼女はいわゆる終身雇用されているわけではないが、大変有意義な社会貢献活動を行っている。 また、他のある女子学生は、2年間アメリカの大学に留学して修士号をとり、その後海外青年協力隊でパナマに行き、2年間農村で活動した。パナマではスペイン語が使用されているので、スペイン語も習得したという。その後さらにUNDPに入り、活動を行っている。彼女達は、いわゆる学力低下論の世代であるが、我々の世代と全く違う、新しい世界に生きている。 ボランティア活動の中に国際貢献の視点を強調すべき。そのためには、外国語能力が非常に重要だが、日本の学生には、この能力が欠けている者が多い。 |
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○ | 18歳と中高年とは一緒に考えることはできない。若年者に的を絞るときには、若年者の考え方を知らなければならない。 今の若者は、奉仕活動をする、しないの判断に始まり、すべてレールを敷いておかないと乗ってこないという傾向がある。 奉仕活動には様々な種類がある。それを若い人に知らせる仕組みも必要。 |
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○ | ボランティア活動をしようというときに反発する、あるいは関心をもたない一部の若者を、どのように動機付けるか、結果的に自発的なものにするか、最初の段階のインセンティブが大事。例えば大学生には単位認定、社会人にはボランティア休暇、などの仕組みを作らないと、難しいのではないか。 | |
○ | ボランティア365に参加する人たちの例として、教育大学を卒業して、教師として働き始めるまでの間、ボランティアとして子どもの世話をしたい、採用試験を受けたが落ちたので、来年の試験までの間、ボランティア活動をしたい、企業に5,6年務めたが、自分には合わないと感じるので、1年間程度他の場所で働いて、自分さがしをしたい、などがある。 また、受入側の例で極端なものとして、過疎地で若者が全くいなくなってしまったので、何もしてくれなくてよいから、とにかく若者に来てほしい、というものまである。 こういう両者のつなぎ合わせを、何か考えられそうな気がする。職業訓練も兼ねておもしろいプログラムを作って提示し、やる気のない若者に、多少好きではないがやってみるかという気にさせるような一工夫が必要。 |
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○ | PTAは、小・中学校での活動が多く、地域とのつながりが多い。国際貢献の一種として、地域・学校で連携して学校建設活動を行い、実際に子どもを現地に連れていくなどして効果をあげている。 奉仕活動・ボランティア活動に小さい頃から関わりを持つことが重要。ボランティア休暇制度を仕組みとしてきちんと作り、地域の人が活動に関わりやすいようにしてもらいたい。 他国ではモラトリアム期間として、大学に入るまでボランティア体験を行う、というお話があったが、それは実際どういう仕組み、支援体制になっているのか。今後は、従来の基準による大学選びではなく、その大学にいってどれだけ磨きをかけられるのかが重要なポイントとなるため、そのような制度の有無が重要になる。 |
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○ | 青年奉仕協会では、英国の高校生を6名、1年間受け入れている。14,5年前に、イギリスの団体が、大使館、外務省を通じて300名を日英交流の一環として受け入れて欲しいと打診してきた。その際、旅費は向こう持ち、滞在費は協会持ちでどうかといわれたが、とても300名は受け入れられないということで、2名からスタートした。 高校を卒業し、大学に合格した後、そのまますぐに大学に行かずに1年間、社会貢献活動をし、その後学業に復帰するというもので、受験からそのまま大学に行かずに、頭を切り換え、他の活動をしてから大学教育を受ける方が教育効果が高い、という考え方に基づいている。若者が旅費を得る際には、学校や地域などの地域の人の支援を受けて工面すること、学校の成績がいいこと、特技があること、等の条件を備えれば応募できるという仕掛けになっている。生徒は日本での滞在が終わった段階でレポートをまとめる。日本においてもそのような仕組みを検討してもよいのではないか。 |
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○ | 成績のいい子は医学部に行く、という流れがあるが、医学に進む人は、優しい心をもっていなければならない。また、医療の現場を一度はみておかないと、現場が本当にはわからない。 | |
○ | 現在日本で、高校卒業から大学入学までの間に1年間奉仕活動・ボランティア活動を行うという制度を採用しているところはあるのか。 | |
○ | 本人が自発的に希望すれば休学の手続きをとって実行することも可能である。しかし在籍できる年限があるのでそれに引っかからないように卒業しなければならない。 まったく奉仕活動・ボランティア活動について無関心な若者についてはどのように対応すべきか。 |
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○ | 教育課程の一環として行うことは、強制するということである。これでうまく乗ってこなかった人に強制するのは難しい。 | |
○ | 成人の日のように、18歳ボランティアの日、ボランティアの週を地域単位で設けるなどして、18歳の記念に、若者に自主的に地域の役に立つアイデアを出してもらい、取り組んでもらうのはどうか。 | |
○ | ボランティア活動に熱心な者も、反発している者も、同じ次元にいると考えられる。人のために何かしようという気持ちになれる人は、自分を確立できた人。自分を確立できないまま大人になる子どもに対しては、やはり何かをしていかなければならないのではないか。幼いときから楽しませ、わくわくさせながら取り組ませるような工夫が教育の中に必要になってきている。 | |
○ | 勉強もできない、人間関係もうまくいかない、という人々は今後も増えると思う。イギリスのユースワークでは、無関心な子どもに対して、「出前サービス」をしている。無関心な子どもに近づき、時間をかけてこちらに引き寄せる活動である。優秀な人に対するのと同様に、無関心な子どもへの対策も講じなければならない。 | |
○ | 無関心な子どもを切り捨ているというのではなく、仕組みは作るが、強制、義務化ができない以上、関心をもってもらうまで待つしかないということだ。 | |
○ | いわゆるエリート層よりも、無関心層をどうするかがより重要な問題。この分科会は奉仕活動・ボランティア活動の強制、義務化はできない、という方向なのか。いわゆるおちこぼれの青少年に、奉仕活動を通じて、人生に対して目を開かせなければならない。それは、いい意味での強制である。 | |
○ | 学校教育とは違って社会教育の場では強制、義務化は難しい。どう肩をたたき、声をかけていくかという働きかけの工夫が重要。 | |
○ | 強制という言葉以外で表現できないか。 | |
○ | 無関心な子どもたちに同世代の子どもが働きかけて巻き込んでいくというのはどうか。働きかける側の子どもたちにとってもそれ自体がボランティア活動になる。 | |
○ | 強制はできない。そこで興味をひきおこさせるためには、ただ単に待つだけではなく、粘って説得し、教育する必要がある。 | |
○ | 今まで教育されてこなかった人を急に教えることはできない。しかし、無関心な人も孤独は嫌う。そこで、ボランティア活動の場を、人間関係を築いていけるような場にしていく。ある県では、生涯学習手帳というものを作り、活動を行って一定の点数がたまると、賞がもらえるなど顕彰し、励ますという方法をとっている。このようなアイディアをこの分科会で提案していってはどうか。 | |
○ | 18歳以上については、自分で自分を育てることが必要。自由に奉仕活動を行い、やめたければやめる、など自分で判断できるようにしなければならない。あまりにも手をかけすぎるのもどうか。 ただ、そのように自分で判断ができるようにするための教育をきちんとすることが基本。 |
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○ | 国際貢献、社会貢献等の理念付けと、さらにそのためのメニューにどのようなものがあるのか、全国的な状況を総ざらえしていく必要がある。 |