資料6 |
生涯学習分科会(第4回)における意見の整理
○:委員発言
【学校教育における意義や位置づけについて】
○ 学校教育における取組は、生涯学習という概念の中ではどのように位置づけられているのか。また、総合的な学習の時間とのかねあいで、来年以降、なんらかの変化があると考えているか。 高浜高)福祉の心というのは、一生涯、生徒たちが育て続けなければならない心。この多感な時期に福祉の心の種をまいておけば、一生の中で、いずれ芽を吹くだろうと思って行っている。また、総合的な学習の時間の中で行う学習の二つの大きな柱のうちの一つとして、福祉をたて、福祉コースの生徒のみならず、一般コースの生徒にもやらせたいと思い具体化を検討している。 根郷中)千葉県には車椅子体験会というものがあるが、その活動に自主的に参加した生徒がかなりの数いたと聞いた。 大宮小)小学校段階では、生涯学習の基礎の部分を培っていきたいと考えている。体験学習を行うということは、生涯学習の基礎を築く上で大変重要だと考えている。 |
○ 総合的学習の時間に何でもつっこみすぎているのではないか。そのことについて、どこまでコンセンサスが得られているのか。 根郷中)開校から、継続して福祉活動を行っているので、当然のことになっており、特段コンセンサスをとるための努力はしていない。活動は、現在、総合的な学習の時間の中で行っているが、教育課程に入れるとなると、本校では、総合的な学習の時間に入れ込むしかない。今後、福祉関係の時間について増やしたり、絞ったりすることについて検討する必要はあると思う。取組を開始した時期に、子どもに福祉活動に関する感想をかかせたが、積極的にやってよかったと思っているのは、1割程度にすぎなかった。大半はよいのではないか、程度であり、なぜやるのかという意見も1割あった。教師の間でも積極的にやっていこうという雰囲気ではなかった。コンセンサスを得る努力よりも、まず、今日からやってみようということに力を尽くした。 |
【自発性などを育てる学校の創意工夫や活動に応じた配慮について】
大宮小)子どもたちは、活動に取り組む前に、まずJRC(青少年赤十字)の登録式に臨むことになっているが、これによって、生徒の意識高揚を図っている。また、生徒の間には、登録式をあげることに対するあこがれがあるようだ。 |
○ 生徒にやる気や自発性をもたせるための方策として、どのような工夫をしているのか。生徒をプランの立案に参加させたり、多様なコースを用意して、生徒に選択させたりはしているか。 根郷中)子供の心を揺さぶるものは、子供たちの感想文であったり、子供たちの行動であったりするので、それらの紹介を行っている。また、現在、総合学習の時間を利用して活動を行っており、体験活動のための時間は比較的多くとることができる。今回紹介した福祉体験は全員が行う必修の部分であり、このほか子供たちが選ぶ時間もある。子供はそれぞれ、環境問題、国際理解、福祉についてのより深い学習などの活動を選択し、活動に取り組んでいる。 |
○ 子供たちの「なぜこの活動を行うのか」という疑問にはどう答え、どう導いていっているのか。ボランティアや奉仕活動を行っていると、活動の際に傷つくことも多いと思うが、それをどのようにケアしていくのか。 大宮小)小さい頃からいろいろなことに触れ、やることが当たり前、と思うようにすることが大事だと思う。理屈を考え始める前から、体で覚える、ということが必要。そうするといったん離れてもまた戻ってくるようになる。 根郷中)学校の隣が福祉施設という、特別な立地条件があった。生徒たちに、「お隣さんと仲良くしていこう」と呼びかけることから始めるというごく当たり前の意識からスタートした。講師の講義の感想や、ボランティア活動への感想など、マイナスの意見であっても、全てオープンにし、子供たちの間で考えさせている。 高浜高)募金活動の際、酔っぱらいに絡まれたり、声が大きいと言って苦情を言われたりすることがあるが、教師が対応できる体制をとっていても、基本的に子供が解決することが多い。ボランティア活動を行って、あまりうまくいかなかった場合でも、次回はどうすればいいのかということについて自分で考えるように指導している。 |
高浜高)福祉やボランティア活動を推進していくときに、子供に対する一定の配慮は必要である。福祉とは何か、ということについて、意義づけをすることが必要。本校は、障害のある生徒や教諭もおり、生徒は日常的に障害者との共生感覚を育んでいる。 |
○ 今日の話を聞いてまず体験してみることが大事でそれから心が動いていくのだと感じた。こういう生徒たちが1人でも増えていくことが大事。いいことをすることへの自己満足の心を育むのは悪いことではない。自分は25歳になって初めて奉仕活動に参加したがやはり初めは「汚い」という感想だったのが、体験を重ねる中で自分の中にある優しさを引き出してもらえたと思う。 |
【教員の力量の向上について】
○ 福祉にからむ学習をはじめたとたん、不安定になり、スクールカウンセラーに相談に訪れる子供がいる。その子供たちには身内に障害者がいる等の理由で社会の無神経に対して傷つき、怒りを抱いている。このように、予想と違う反応をする子供たちに、教師はどのように対応するのか。そのための研修等については、どうなっているのか。子供たちが共存、共生の心を育てるための仕組みを作る上での教師の力量をどのように育てるのか。 大宮小)道徳教育において「キタナイ、キレイ」といった葛藤に対してどのように対応するかが問題となったとき、まずはその価値観を否定せずに受け止め、それを葛藤の過程を通して自然に変容させていくことを大切にしている。そのようなことを教師に対する道徳教育の研修でも取り上げている。 高浜高)共存、共生の感覚をつけていくために教師がどうするかについては、福祉コーディネーターにきてもらい、学んでいるが、なかなか踏み込んで話合うには至ってない。しかし、教師同士相談しあう体制は作っている。 |
【活動の予算や行政のサポートについて】
○ 体験活動を行う上で、地域との連携、予算措置等の様々な問題があると思っている。いくらボランティアといっても限界がある。行政サイドで、人材バンク的なものやサポートセンター的なものを作る必要があると思っている。 |
根郷中)充実した活動を行うためには、行政のサポートが必要。 |
根郷中)活動の予算については、PTAの活動の一部と位置づけて、PTAの予算から出しているものもある。 予算は、謝礼、交通費等に回している。ただ、謝礼については、市の社会福祉協議会が間に立って話をしてくれており、ほとんど出していないのが現状だ。 |
【地域社会全体の取組とすることについて】
○ 大宮小の取組について、20年間毎週小学生がゴミ拾いをしているのに、それでもゴミが減らないのはなぜなのか。子供から地域へ、地域から社会へ、という課題設定をしているが、今の状況だと、学校内で自己完結してしまっているのではないか。地域や家庭を啓発するだけにとどまらず、巻き込むことも重要なのではないか。 |
○ 地域において、力をもっているのは企業であり、企業をどのように活動に取りこんでいくかが重要である。 |
○ 大宮小の活動について、毎回同じ場所を清掃しているのか。場所替えをしよう、父母も一緒にやろう、地域の人たちにも参加してもらおう、といった話は出たことはないか。 大宮小)場所については、同じ場所でも、ゴミは毎日たくさんでるので、清掃に飽きた、ということにはなっていない。また、父母や、地域の青年会議所も参加してやっている。行政も年1〜2回だがボランティアでやっている。地域にも、子供たちがやっているんだから、という声はある。 |
【活動を社会人までつなげていく仕組み作りについて】
○ それぞれの学校における取組が継続してなされていることは素晴らしい。この取組を継続して社会人につなげていくことが大事。1年間奉仕活動をやってもらうかどうかは別として、高校を卒業して社会人になる時点でメニューを提示し、それを自主的に選べる仕組みを作るのは大事なことではないか。 |