社会教育主事・社会教育士養成等の改善・充実に関するワーキング・グループ(第2回)議事録

1.日時

令和7年12月18日(木曜日)16時00分から18時00分

2.場所

文部科学省東館16階 16F2会議室 ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育主事・社会教育士の養成の在り方について(全国社会教育職員養成研究連絡協議会発表)
  2. 社会教育主事講習の課題等について(宇都宮大学発表)
  3. 社会教育士に必要な知識技術等について-社会教育士の実践を通じて-(たんば社会教育士コミュニティ発表)
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)青山委員、井口委員、岡委員、坂口委員、志々田委員、長岡委員、水野委員

文部科学省

(事務局)神山社会教育振興総括官,髙田地域学習推進課長,坪田教育改革調整官,林社会教育企画調整官 他

オブザーバー

   牧野社会教育の在り方に関する特別部会副部会長
 

5.議事録

【青山主査】  定刻になりましたので、ただいまから第2回社会教育主事・社会教育士養成等の改善・充実に関するワーキング・グループを開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本会議は、対面とオンラインを併用して開催いたします。なお、本日はYouTubeのライブ配信にて報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から、会議の全体について録画を行いたいという旨申出があり、許可しておりますので御承知おきください。
 それでは初めに、本日はオブザーバーでいらっしゃる牧野先生がオンラインで参加されていますので、最初に一言御発言いただいてから始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
【牧野オブザーバー(社会教育の在り方に関する特別部会副部会長)】  皆さんこんにちは。牧野です。
 事務局とも相談しまして、私のほうから皆さんにお願いしたいことがあります。
 私、今回はオブザーバーですけれども、生涯学習分科会の副分科会長、社会教育の在り方部会の副部会長、それから社会教育人材部会の部会長を担当した経緯もありますので、今回、こちらのワーキング・グループに対して、議論の観点として、こんなことをお願いできないかなと思いましたので、お時間を取らせますが、冒頭発言させていただきたいと思います。
 昨年文科大臣から、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」という諮問が出され、現在、その答申に向けての審議が進んでいるところです。全体の答申のほうは社会教育の在り方に関する特別部会で議論をしています。事務局からもこのワーキング・グループの第1回目に御説明があったかと思いますけれども、この諮問が3つの内容からなっていまして、1点目が人材を中心とした社会教育の推進方策について議論をせよということ。2点目が社会教育活動の推進方策、特に施設の利用ですとか実践の在り方について検討せよということ。そして3点目が、これは自治体、行政における社会教育の推進体制の在り方について議論をせよということで、できれば社会教育法など法制の在り方も検討してほしいということになっています。
 今回、こちらのワーキング・グループに関しましては、1番目の社会教育人材、特に社会教育主事および社会教育士の養成と活躍の在り方について御議論いただくことになっているかと思います。
 社会教育についてですが、これも釈迦に説法ですけれども、社会教育という概念そのものが、これは私たちも教えられてきたものですが、学校教育を前提に置いて、それ以外の社会における青少年や成人に対する組織的な教育活動をいうという形で自己規定をしてきたということがあります。
 近年、2年前の閣議決定を受けて、現在、計画期間中にあります第4期教育振興基本計画を経て、社会研究の概念を組み替えようという動きが強くなってきています。
 基本的には、社会教育というものを、学校教育をまず終えた上で、または学校教育以外のという議論ではなく、むしろ社会の基盤をつくっていくための条件を整えておく営みである、つまり人々のつながりやかかわりをつくり出して、協力し合える関係としての土壌を耕す営みであるという表現で、第4期教育振興基本計画には明示されることとなっています。
 さらにこの社会教育は、いわゆる教育行政の内部だけのものではなくて、地域住民が自分たちで学びつつ地域コミュニティをつくっていくという、より広いコミュニティ形成という意味での社会基盤をつくることでもあるとして、それがいわゆる首長部局の一般行政がやっている防災ですとか福祉、産業振興、文化交流等の広い意味でのまちづくりや地域づくりに関する基盤づくりであり、そしてそれは、社会全体の基盤をつくるものでもあるという表現が、第4期教育振興基本計画には入ってきています。
 社会教育は、これまで学校教育を中心にこの国がつくられてきたわけですけれども、学校教育との対比でしか、自己のアイデンティティを語れなかったわけですが、新たに今、社会教育の在り方を捉え返す中で、新たな社会状況にあって、社会基盤をきちんと形成していくために、無くてはならないものだというような、そういう捉え方に変わってきたと言えるかと思います。その意味で、新しい社会教育の役割を捉えていく上で、いわゆる社会教育人材という、組織者であったり、担い手であったりの必要性が捉えられてきて、従来の職員論や実践論だけではなくて、社会教育主事という専門職ポストがありますし、さらに社会教育主事講習や養成課程を終えた人々に対して社会教育士の称号が付与されることになっていますので、そういう新しい社会教育の担い手をどう育成し、活躍を促すのかという議論が立ち上がってきたということになるかと思います。
 そんなことの中で、社会教育人材部会ができて、その中で様々な議論をしてきました。
 例えば社会教育主事と社会教育士の関わりの在り方ということで、教育委員会の中に社会教育主事がいるわけですけれども、この主事が、社会教育士、これは現場で様々に活躍をされる方々ですが、この方々と連携を取りながら、社会教育の行政をまず展開していくと同時に、さらに教育委員会といわゆる首長部局の関係部局とも連携を取りながら、自治体レベルの地域社会全体の社会教育、特に人々の学びを通した社会基盤づくりといったことを差配していくコーディネーター、またはオーガナイザーとしての役割を担うものだという解釈をしています。さらに社会教育士に関しましては、それぞれの現場や専門を持っていらっしゃる方々が多いかと思いますので、その人々が社会教育的な手法を使いながら、人々の学びや様々な活動を組織していくという形で、現場にいる専門職であるというような位置づけになってきているかと思います。
 さらに議論の中で、今申し上げたように社会教育主事は、地域社会全体の学びのオーガナイザーであり、社会教育士は各分野の専門性を様々に活かしていく学びのオーガナイザーだと規定してきたというところになるかと思います。さらにはそこの方々に求められる能力や知見としては、行政には行政的な専門的知見をきっちりと持った社会教育主事がおり、さらに首長部局や民間企業、NPO等において、必要な専門的な知見を持った社会教育士がいて、そうした人たちがきっちりと現場で活躍できるように、コーディネート能力ですとか、プレゼンテーション能力ですとか、さらにはファシリテーション能力等を育成することが期待されるということになってきているかと思います。
 人材部会の中間まとめ、2年前に出たものでは、今申し上げたような形で社会教育主事と社会教育士の在り方を規定したということになっています。
 さらにこういう社会教育に対して今、いろいろな行政分野からも、期待や担い手の活用の在り方等が広がってきていまして、社会教育こそが地域社会の住民の身近なところで、社会教育主事を中核にしながら社会教育士が活躍できる環境を整えていくという、そうしたことを多くの方々に理解をしていただく必要があること、さらには、一般行政の基盤づくりをしていくためにも、社会教育の分野だけに限らず、様々な行政領域や業界や分野においても活躍できるような人々を育成していく必要があること、そして、できれば、社会教育士を社員や職員のパラレルキャリアとして考えることができる、そんな方策も今後検討する必要があるのではないかという形で議論を進めてきているかと思います。
 さらに人材部会の最終まとめでは、今後、社会教育士をさらに社会にひろげていく必要のあること、社会教育主事の配置を促進していく方途を考える必要のあること、社会教育士の称号を取られた方々の活躍事例の収集等やロールモデルの提示が必要であること、さらには、社会に社会教育士など人材必要性の認知を広げていく必要もあること、社会教育士が交流しながら力量を高めていく上で、ネットワーク化等が必要であること、などを提言したところです。
 そしてそれらを受けて、昨年の6月ですけれども、中教審の総会で報告があり、その場で文科大臣から、先ほど申し上げた「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」の諮問が出たということになります。その基本は何かというと、人を中心とした社会教育へと方向転換を図ろうとしているということになるかと思います。
 先ほど申し上げたように、このワーキング・グループで御議論いただきたいのは、社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策の中の社会教育主事と社会教教育士の役割、さらには養成や活躍の在り方について御議論をお願いしたいということになります。
 そして、少し確認をお願いしたいのですが、社会教育主事を、一般には資格と言ってしまいがちですが、厳密には機関つまり行政上のポストなので、社会教育主事講習又は養成課程を終えられた方々は、社会教育主事に任用される条件が整っているという解釈であって、社会教育主事という資格を持つわけではないということです。この点、御理解いただければと思っています。ですから主事に任用されている期間は社会教育主事ですが、任用を外れてしまえば、ある意味では見えなくなってしまうということです。さらに社会教育士に関しましては、現在の社会教育主事と同じ養成を受けていますので、原理的には任用資格と呼んでいますけども、講習や課程を修了して、社会教育主事としての任用の最低条件を満たしていて人々に対して与えられる称号だということになっていますので、社会教育士も資格ではありません。
 さらに、社会教育主事の任用については部会等の議論でもありますが、現行法上も、講習や養成課程修了というのは、これですぐ主事になれるということではなくて、ある種、エントリー条件であるということ、さらに、これは法的にも規定されていますけども、主事に任用される場合には相当年数の行政的実践的経験があることが必要になってきていますので、その辺りを御理解いただければと思います。その意味では、任用条件として講習や養成課程を終えた後で、経験を積んで、社会教育主事というポストに就く、または、先に経験があって、そして主事に任用されることが予定されている人が講習を受けてポストに就いていくということです。ポストに就かない方もいらっしゃる(その方が多い)ので、そこで「見える化」させようということで、社会教育士という称号が出ることになったのです。これは2017年に決まって、2020年度から、いわゆる新課程と呼んでいますけども、社会教育士という称号が出ることになったということです。
 資格化については、実は社会教育士の称号をつくるときに国家資格化を検討しましたが、先ほど申し上げたようなことと、さらには、資格は基本的には国家資格にしてしまうと、それに対応する職業が形成されている必要があるということにもなってしまいます。今、社会教育主事とか社会教育士という職業はないので、ちょっと厳しいのではないかということ。さらに資格の在り方は法的に規定されているということもあるものですから、法改正を伴うということもあって、困難だろうということで見送られた経緯があります。それで社会教育士というのを公的な称号として、文科省令を変えることによって、皆さんに取っていただけるようにしようということで制度化されてきたということになります。
 これまでの生涯学習分科会や人材部会の議論では、社会教育主事や社会教育士の国家資格化ということは検討されておりません。ワーキング・グループのほうで御意見が出ることは自由ですので、議論をしていただければとも思いますけれども、そしてどうしてもということであれば、部会のほうで引き取ることも可能かもしれませんが、今回はどちらかというと、社会教育主事や社会教教育士の在り方について、さらにはそれをどう養成していくのかといったことについて、まず優先的に御議論いただければと思っています。答申の時間的な関係もあるものですから、少し急ぎたいという気持ちもあります。
繰り返しとなりますが、今回、ワーキング・グループにお願いしたいのは、社会教育主事と社会教育士の養成の在り方、どのようなカリキュラムを組んでいくのかといったことを中心に御議論いただければと思っています。社会教育主事や社会教育士の機能・役割につきましては、先ほど申し上げたように、主事は行政内部にいて、現場と連携を取りながら、特に社会教育士の方々と連携を取りながら、地域の社会教育の実践を組織し、先ほど申し上げた社会基盤を豊かにしていくような行政的な手法を取ることができる専門職、さらに教育行政にあって一般行政と連携を取りながら、地域の学習・学びを組織できる人ということになっています。社会教育士はそれぞれの専門の上で、社会教育の手法を取りながら住民の方々の学習を組織していく人となっています。この考え方をそれをベースにして、どのような人材を育成していくのか、さらにはどのような活躍の在り方があるのかといったことを御議論いただいた上で、養成の在り方について議論していただければと思っています。
 さらに、さきほど申し上げたように、主事は現行法上でも、単に講習を受けて、または課程を終えれば任用されるというものではなくて、相当年数の経験を踏んだ上で任用されていきますので、例えば養成の在り方についても、新しく社会教育士を入れた際に、養成課程に実習を入れましたけれども、それだけで十分なのかどうか。その意味では社会経験をどのように評価していくのかといったことも含めて御議論いただければと思っています。また、この称号の在り方について、今後どうあるべきかといったことも含めて示唆を得られればと思っていますので、ぜひとも、基本的には社会教育主事と社会教育士の養成の在り方について議論をお願いしたいと思っています。
 オブザーバーとしては言い過ぎかもしれませんが、これまで社会教育士の創設や社会教育人材の在り方についての議論に関わってきている者として、またワーキング・グループを持つ部会の副部会長として、御議論をお願いしたいことを申し上げました。長くなりまして、申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
【青山主査】  ありがとうございました。
 それでは議事のほうに、今の話も踏まえつつ入ってまいりたいと思います。今日、お手元の次第には、議題がまず、その他を除くと3つありますが、それぞれ御発題をいただいて、質疑応答や事実関係を確認した後、最後に意見交換に入ってまいりたいと思っております。今の牧野さんの話も踏まえて、前回いろいろな観点から、ニーズの話とか、いろいろお話しいただきました。これから養成課程、あるいは主事講習の在り方そのものの話に入っていく前段として、今回、この多様なニーズを踏まえた養成の在り方を考えていく上で、養成課程の在り方、あるいは主事講習の在り方、それから社会教育士に必要なスキルやニーズ、こういった観点から報告をいただいて、それを踏まえて議論していくという流れになってまいります。3人の発表後に、それぞれ事実関係の確認に関する質疑応答を行った後、委員の皆様に意見交換をいただきたいと思います。 
 それではまず、社養協、全国社会教育職員養成研究連絡協議会の井上さんから発表お願いいたします。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  全国社会教育職員養成研究連絡協議会、長いので、これ以降、社養協と略称を使わせていただきます。こちらで代表理事を務めています井上大樹と申します。どうぞよろしくお願いいたします。なお、本務校の札幌学院大学では社会教育主事課程及び小学校教職課程を担当しております。よろしくお願いいたします。
 本日は、社会教育主事、社会教育士の養成に関わるこのような重要な会議の場で意見発表の機会をいただきありがとうございます。
 まず、社養協について簡単に御紹介いたします。私どもの会は社会教育関係職員と養成課程を置く大学・短大の教員で構成されています。社会教育施設や自治体とも連携しながら、社会教育職員の養成や研修にも関わるカリキュラムの在り方について、調査や事例研究を積み重ねてきました。本日の意見は、これまでの研究蓄積に加え、ウェブアンケートによって会員から広く意見を聴取させていただきましたので、それを踏まえて整理したものを発表させていただきます。
 まず、社養協の団体の概要を説明させていただきますが、私どもの会は社会教育教職員養成に関する情報交換、連絡協議、並びに研究活動を推進し、社会教育及び社会教育職員の発展に寄与することを目的に、1993年に発足しました。現在、機関会員15大学・短大、合わせて60名、個人会員は95名です。ちなみに私は機関大学の会員としてこちらに参加をしております。
 主な事業として、職員行政に関わる調査や研究会の開催、『紀要 社会教育職員研究』の発行、社養協通信の発行などを行っております。
 近年、特に私たちが力を入れている活動としましては社会教育実習を重視した職員養成のカリキュラム研究と政策提言に取り組んでまいりました。2009年度からは養成課程を置く全国の大学・短大を対象に実態調査を開始し、各地の養成・研修の取組をつなぐ事例研究に力を入れてまいりました。併せて養成課程で学ぶ学生や卒業生、実習を受け入れる現場、養成課程担当者を結ぶ交流の機会も提供してまいりました。そして2018年、社会教育主事講習等規定の一部改正に当たっては、本会として、このような蓄積を踏まえ、実習を重視した職員養成の重要性について意見を提出いただいています。
 そして2018年の規定改正以降は、養成課程における社会教育実習の必修化、新設された生涯学習支援論、社会教育経営論を含め、実習を核とした職員養成のカリキュラム研究を継続しています。加えて、社会教育士称号の取得支援につながる研究や交流、養成におけるハラスメント防止や倫理確立に係る取組も進めてきたところです。昨年度からは日本社会教育学会の調査に協力し、全国の養成大学を対象にしたアンケート調査を実施し、分析をともに進めております。
 以上を踏まえ、今回の意見の立脚点について申し上げます。
 中教審や生涯学習分科会で議論されてきたとおり、変動が大きい社会状況におきまして、市民のウエルビーイングを実現する社会をつくっていくこと。そして市民が民主主義社会の構成主体として力を発揮していくことが改めて問われていると私たちは考えており、そのためにも質の高い学習が求められると考えています。その際に不可欠なのが、対人援助職として、市民の学習を支える職員の存在であり、その支援には高度な専門性が求められているというのが本会の基本的な認識です。これを立脚点としながら、本会は高度な専門性の内実に迫ることを意識しつつ、一貫して実習と省察のサイクルを基盤にしたカリキュラム研究に取り組んできました。この研究は養成課程で学ぶ学生はもとより、それを支える養成課程担当教員や現場職員も一緒に力をつけていく活動を含めたものであります。
 これら、非常に私たちは自負を持っているわけですが、これに立って、第1回会議で示された3つの論点に関わる意見を述べさせていただきます。
 まず論点1についてです。これまでの社会教育人材の養成及び活躍組織の在り方に関する議論では、令和6年6月に社会教育人材部会が最終まとめを公表しています。そこでは、養成課程、主事講習の修了は、社会教育人材のエントリー条件であり、その後に実務経験を積んでいくに当たっての基本的な能力や知見等を身につけることを重視するという考え方が示されてきたと私たちは解釈しています。さらに社会教育主事は、養成課程講習修了後の段階的な人材養成を経て任用するのが望ましいという方向性も整備されています。本会としても養成課程、主事講習が共通してエントリー段階であること、その後の実務を見据えて基本的な能力・知見を身につけるという方向性が示されたものと理解をしています。一方で、その後の社会教育の在り方に関する特別部会では、論点が2階建てカリキュラムの在り方に移っております。現時点では、今回検討される2階建ての具体像が十分共有されておらず、それを前提に議論することは難しいという意見が会員から次々と寄せられております。ただし、高度な専門職として、社会教育の力量形成を考え、それを段階的、継続的に支援、支えていくことは非常に重要なことであり、この点を求める声は、今多く出てきています。
 例えば(1)に記されたとおり、教員養成課程を置く大学からは、専門性の内容が質保障の観点から考えても、教員養成と同様に、大学での学習というのは必須であり、要請講習実施機関として、大学を想定する現行制度の維持を求めるという意見が強く出されています。また、現場職員を含めた声が2のところにまとめたのですが、段階的、継続的な力量形成を支える方法論と条件整備を求める意見も出てきています。仮に2階建てを構想するのであれば、より高い専門性を身につけるために大学院段階、修士課程での実践研究を通じた現職教育というニーズも、これに伴って出てきています。
 さらに、養成課程の見直しに入る前提として、称号資格の活用や、評価をめぐる意見も多数出されています。まず(1)ですが、現職の社会教育職員の専門性確立と待遇改善を図りつつ、社会教育の裾野を広げる方策を検討する必要があるという意見ですが、社会教育称号の取りやすさを先行するという意味ではありません。これが先行し過ぎてしまいますと、称号の権威や社会的評価を下げてしまいかねないという懸念です。社会教育主事と同様の学習をもって称号資格が認められていた経緯を踏まえますと、制度設計の変更が結果として称号を一段下げる形にならないかという指摘であります。
 次、(2)ですが、現状でも社会教育士の称号を生かした就職のイメージが十分に確立されていない中で、仮に社会的評価が下がる方向に作用すれば、出口がさらに不透明になるのではないかという懸念も出されております。
 次に論点2についてであります。まず養成課程、講習の在り方を議論する前提として、2018年の規定改正による社会教育実習の必修化や科目新設以降、カリキュラムがそれぞれどのように運用され、どのように質的な検証がなされ、総括されていくかを明確にすべきだという意見が出ています。この点は地域ごとの状況に応じて、各大学でカリキュラムの運用が模索・展開されてきたところでありますので、その検証を踏まえ、養成段階の内容が検討されるべきだという意見だと私たちは考えています。
 また、社会教育士も社会教育主事も、立場や活動の内容に違いがあるとしても、市民の人格形成と民主主義社会の構築を目指して学習を支える対人援助職である点で、求められる専門性の本質は重なっていると考えます。したがって、資格・称号の違いに基づいて2階建てカリキュラムを構想する前に、まずは市民の学習ともに支える専門職、専門人材として、共通に習得すべき力に関する議論をもっと深めていくべきではないかという声も寄せられております。
 また、養成段階の学習内容については、社会教育の基本的な理解を身につけるとともに、多様な領域での活躍を見据えた学習が望ましいという意見もあります。大学の養成課程で学ぶ学生は必ずしも教育学を専門に学んでいたり、社会教育現場に就職したりするわけでありませんが、その一方で、サークルやボランティア活動を通じて、地域づくり、居場所づくり、子供・若者支援等に関わる学生も多くいます。このような実態を踏まえ、これらを生かした学習が必要だという趣旨であります。本会としては、各地の養成課程の研究と交流を重ねる中で、実践と省察、リフレクションのサイクルに基づく力量形成というアプローチの意義と有効性をこれまで確かめてきました。規定改正以降も、実習を核としたカリキュラムについて研究・交流を重ね、その意義と課題を探っているところであります。社会教育実習は大学で学ぶ学生にとってはもちろんのこと、現場経験がない社会教育主事講習の受講者にとっても、より確かな実践力を獲得するために有効であると考えています。
 最後に論点3についてです。繰り返しになりますが、現時点では論点に設定されている2階建てカリキュラムの具体的内容が、養成課程や主事講習の関係者に十分に共有されておらず、本会としても議論できるところに至っていないというのが正直なところであります。ただしカリキュラムの考え方については、これまでの研究蓄積を踏まえて申し上げてきたところであります。まず社会教育を支える専門職の力量は、知識を加算的に習得するだけでは獲得できるものではないと考えています。複雑で予測困難な社会状況に向き合い、人々の学びを組織し、支援していくためには実践、養成課程における実習を核として、養成・研修の全体像を描くことが引き続き求められると私たちは考えています。とりわけ社会教育実習は、養成大学と現場を結びつけ、養成課程カリキュラム全体の学びの連続性を確かなものにする核となると私たちは考えていまして、実習は学生にとって重要な学習の場であるとともに、その受入先の現場にとっても、自分たちの実践を見つめ直す学習の機会になっていることが明らかになっています。その際、実践を評価する方法や視点をつかむために、省察、リフレアクションを重視することが決定的に重要になるということであります。
 こうした養成・研修を中長期的に進めていくためには、やはり大学が果たす役割、大学に求められている力量も大きいと考えています。その際、現職研修の制度化、実践と省察を通じた力量形成とその相互評価を支える仕組みの検討が課題となってくる。これが私どもの認識であります。
 以上の点から、2階建てカリキュラムの議論に入る前提として、現行カリキュラム全体の検証と見直し、実態把握と改善を進めるべきだと考えています。例えば前回の規定改正で必修化された実習の狙いは各地でどのように実現されているのでしょうか。実習を中心に据えた場合、他の科目をどう配置し、学びの連続性をどのように担保しているのか。こうした点を踏まえずに、論点3以降の議論を進めるということになれば、今後のカリキュラムの充実・実質化は難しくなるのでないかという意見が出されています。また、ここで触れられている単位数についても、これ以上減らすことは妥当ではないという具体的な意見も寄せられています。実際に講習受講者も養成課程履修者もこの5年間で増えています。今以上に単位数を減らすことが受講負担の軽減につながるのか、またそれを受講者が求めているか、検証が必要だと考えます。
 以上を踏まえて、ちょっと雑多になってしまいましたので、改めて私たちの意見としてお伝えしたい点を最後に述べて終わりとしたいと思います。3点あります。
 第1に、社養協としては、2018年の規定改正で実習が必修化されたことは大変意義深いと考えております。しかし、まず2018年以降の各養成機関での取組について、質的な検証をこれらの議論の前に行われるべきであるというのが第1の趣旨です。
 第2に、今回、議論の前提とされている2階建てカリキュラムについては、その具体像が社会教育職員養成に係る現場職員や大学教員には十分共有されていません。その中で養成の見直しについて議論することは難しいということです。
 最後、3点目ですが、対人援助職として市民の学習を支える職員には高度な専門性が求められていると考えています。その力量形成を中長期的に支えていく上で、養成機関として大学が果たすべき役割も大きい。このことをぜひお伝えしたいと考えています。
 以上になります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
【青山主査】  どうもありがとうございました。それでは、中身に関する意見交換は後で行うとしまして、まずは事実関係等の確認等について御質問ありましたら挙手をお願いいたします。オンラインの方は挙手ボタンを押していただけますか。
【志々田委員】  ではいいですか。
【青山主査】  お願いします。
【志々田委員】  御発表ありがとうございます。実習の質的な議論を重ねるべきだと。確かにそうだと私も思っています。実習をすることによって専門性が高まっていくのは、それは当然だろうなとも。社会教育人材として社会教育実習に来てくださる学生さんたちがすごく活躍をしていることは、現場を見ているとよく分かるので、そういう意味でも実習の効果はあるだろうと思います。教えていただきたい点として、社養協さんとして、社会教育の実習が、社会教育主事の専門性を高めていく上で効果的であるという調査研究をされているのではないかと思います。その成果の概要というか、実習を入れたことによって、以前よりも増して専門性の高い方たちを養成できているというエビデンスが出ているのかどうか教えていただきたいなと思います。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  一般的なまとめという点では道半ばというところでありますが、特に私たち、実習はただやるというだけではなくて、大事にしているのはいわゆるリフレクション、省察です。学生に当たっては、実習のみの省察だけじゃなくて、学びの段階からの省察ということになりますし、職員に関しては、受け入れることによって自らの仕事の仕方を振り返ると。そういう段階になってくるわけですで。その辺り、そのエビデンスということですが、その後それぞれがどう変わっていきたかを確認する意味でも、私たちは研究会、交流会などで、大学の枠を超えた、養成機関の枠を超えた、他流試合といいますか、そういうことをいろいろ重ねていく中で、当事者の意識変化ですとか、そういうところにいろいろ声を集めてきているところであります。その辺りについて今、どういう効果があるのかをまだ詰めているところであり、あと、先ほども申し上げたとおり、残念ながら、社養協の会員はまだ割合が少ないものですから、社会教育学会の調査に協力して、もっと汎用性の高い調査に協力をすることによって、その辺りを学術機関と協力してということで進めているところというのが正直なところであります。
 大村さんから何かありますか。
【大村全国社会教育職員養成研究連絡協議会副代表理事】  発言よろしいでしょうか。大村です。よろしくお願いいたします。社会教育実習についての効果の研究ということですが、社養協としては、定量的な研究はまだ十分ではなくて、質的な、各ケース、それぞれの実習がどう取り組まれているのかという報告を今、重ねているところです。その中で見られるのは、やはり専門職としてのマインドです。学生がその仕事に魅力を感じていく、それを自分にとって価値あるものとして取り組もうと思う。そうしたことが生まれてくるのは実習ならではないかという、そういう見通しはつけています。
【志々田委員】  ありがとうございました。恐らく実習が養成課程に入ったことはとても大事ですし、そこに成果は上がってきているだろうなとは漠然と思っていたので、そうした実践や研究を今重ねられているということを聞けて、とても勉強になりました。ありがとうございます。
【青山主査】  ほかいかがですか。何かありますか。
 私から1点確認ですが、今日作成いただいた資料の、最後、まとめで3点、改めて社養協としての意見をまとめていただきましたが、それまでの各論点に関して、箇条書にしてくださっているところは、今回これに向けて、会員からの意見聴取をいただいた自由記述を整理して抜粋いただいたものという理解でよろしいですか。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  そういうのもありますし、先ほど申し上げたとおり、これまでの社養協の活動の成果を組織的にまとめたものです。組織的に理事会の議論を経たものです。
【青山主査】  承知しました。ありがとうございます。箇条書の位置づけを確認させていただければと思っていました。ありがとうございます。ほかよろしいですか。
【岡委員】  ちょっと言葉の確認よろしいですか。
【青山主査】  お願いします。
【岡委員】  ありがとうございました。一つ確認したいのは、例えば学びの対人支援職といった言葉が出てきていますが、どうしてこういうワーディングが出てきたのかという、何かプロセスがもしございましたら教えていただきたいなと思います。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  こちら、そうですね、用語そのものは、実は会員によっても対人援助職とか発達援助とか……。
【岡委員】  教育に閉ざさないようなワードで表現していらっしゃるなと思いましたので。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  それはそうですね、別なところでも意見が出されていて、私自身、養成課程に望む考え方にもつながっているのですが、必ずしも今、社会教育士や任用資格を取って活躍する場面というのは教育関係の職場ではないと。あるいはそれを逆手に取って、主事養成課程を活性化するようなことも、私なんかは特にいろいろ、経済学部ですとか、そういうようなところに売り込みをさせていただいているのですが、そういうこともやはり活性化のためには必要であるという会員がそれなりにいるということです。これは社養協の組織的な議論になっているというわけではないですが、そういうことも踏まえつつということです。
【岡委員】  よく分かりました。
【青山主査】  対人支援職というとき、例えば看護師さんとか臨床心理士さんとか、医療関係とか福祉関係よりもっと広い意味で対人支援とおっしゃっているという理解でいいでしょうか。例えば社会教育主事がこれまでやられてきた役割で言えば、計画を立案したり、いわゆる対面で何かをするわけではない教育職としての中間あるいは後方的な役割も強調されてきたし、むしろ直接指導者じゃないということが強調されていた時代も長かったと思います。対人援助職という言い方は、もっとミクロにフォーカスすべきだという意味なのか、もしくはもっとそれ自体が広い意味なのかというのを教えていただけますか。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  そうですね。特に人と接する場面において、これは政策的なところと共通すると思いますが、福祉ですとか、あるいはもともと社会教育士の活躍場面が想定されている中でも出てきていますが、一般民間企業で働いたとしても、地域の人々と接するような仕事とか、そういうところとの観点で社会教育士が使える場面がという話があると思うんですけど、そういうところも全て含めてというところです。これはちょっと、会員によって、もしかしたらスタンスが違うかもしれません。
【青山主査】  なるほど、承知しました。ありがとうございます。すみません、もう議論が始まっちゃいそうなので、ちょっと我慢しますね。失礼しました。
 そうしたら、一旦ここで区切らせていただきまして、続きましてお二人目、宇都宮大学から若園さん、お願いいたします。
【若園宇都宮大学准教授】  ではよろしくお願いします。宇都宮大学の若園と申します。どうぞよろしくお願いします。私、地域デザイン科学部という学部におりまして、そこで社会教育主事課程と、あと全学でやっている社会教育主事講習に関わっております。多分そこのところからお声がけいただいたのかなと思っております。
 お手元にもパワポのスライドがありますが、資料2の中で実は写真を載せてありますが、すみません、YouTubeで御覧になっている方もいるということでしたけども、写真は本人に了解取ってないので、ここだけということにさせていただきたいなと思います。写真のお取扱いだけ御注意いただければと思っております。
 本日、大学に寄ってから来たのですが、久しぶりにネクタイを締めてきたら、大学を出てくるときに、学生から、何かやらかしたんですかと言われまして、いや違いますと。ちゃんと発表に行くんですみたいなやりとりをして出てきたんです。めったにしないからどうしたんだと思われたらしくて。
 では、今日は講習の話ということでさせていただきたいと思います。
 今回、社会教育主事講習の受託実績があって、かつ今後、委託講習を実施しない方針である大学から、委託講習を継続して実施してするために課題や改善点、どういったものが考えられるか意見をくださいということで伺っております。ちょうどこの状況に合致するのが宇都宮大学ということでございますので、それに沿ってお話を。幾つかポイントを事前にお示しもいただけたので、その辺りに沿いながら話を進めたいと思っております。 
 1番目が、宇都宮大学における社会教育主事講習の経緯について。これは国の委託費による主事講習が終了するに至った理由について、何かあるでしょうかということでした。
 2番目のところ、国からの委託費によらない講習へ転換することにより見込まれる効果、地域への影響等についてどうでしょうかということでありました。ここちょっと※印が入っていますけれども、加えて宇都宮大学におきまして、社会教育士を目指す人を主な対象とする、委託によらない講習の実施に当たって、講習の内容にどのような工夫をしているか、どういった違いがあるのか、こういったことについて伺いたいということを伺いました。
 3番目、今後、講習を持続可能なものにすることのために、制度上、または運営上で改善が必要と考えるとは何か。
 4番目です。大学等において社会教育士向けの講習を実施していただく上で留意すべき点について何か。
 この辺りが今回触れてほしいということでございましたので、お話をさせていただきます。
 まず簡単に、概要だけお伝えしておきます。細かい点に関しましてはやると長くなってしまいますので、本当に概要だけでございます。宇都宮大学において社会教育主事講習、もともと教育学部でやっておりまして、ちょっと記録が私のほうで、そこまで遡れなかったのですが、昭和五十何年とかという記録がありましたが、そういう形で始まっております。その後、全学の生涯学習教育研究センター、地域連携教育研究センター、そして、途中、地域デザイン科学部、学部と、地域デザインセンター、これは学部附属のセンターです。最後、今、現状が地域創生推進機構宇大アカデミーというところで今やっております。このように担当が変わってきております。
 資料が遡れたところで、平成10年から令和6までの受講数といたしましては、表を作ってございますが、コロナ禍になるまでは、宇都宮大学では120を定員として大体やってきていまして、もちろん年により増減はありますが、おおむね100は超えてきているかなと思います。コロナ以降は、会場にぎちぎちに入れるのはさすがにまずいということで少し減らして、定員80でやっていますが、結局受入れとしては80を超えてきてしまっているという状況です。令和7年度につきましては89名が受講しております。
 教員の比率としては、大体8割から9割が教員でございまして、小・中・高・特支の先生方が主に受講してきております。令和7年度の場合は、今申し上げたとおり89名で、内訳としては教員が80名、行政が8名、今回一般が1名となっています。
 運営を担当する部局につきましては変遷がありますが、これは学内部局の改組ということもございました。生涯学習教育研究センターが、そのまま名前が変わって地域連携教育研究センターになったとか、実はこういったこともありつつ、あとは茨城大学と、御承知のとおり2年交代で運営が入れ替わっておりました。そのために、これは負担というところで言えば確かに2年ごとだったということはありますが、事務的なところで申し上げると、やっぱり年度計画に入ってくれない年が2年間発生してしまうということが、実はあまりよくなかったかなと思っております。結果的に、2年ごとに、担当部局を今度はどこが担当するのかといったことが起きていたという事情もございました。つまりこの間に、どうしても人事異動等が発生しますので、そうなると事務職員が変わってしまう。そうするとノウハウの蓄積がちょっとしづらかったというところは残念ながらあるかなと思っております。
 また、この表のところにあるとおりでございますが、この茨城大と宇都宮大で、2年ごとに交代でやってきたわけですけれども、茨城大学におきましては、担当教員が退職し、また部局が再編するということで、令和3年度をもって社会教育主事講習の運営を終了することになってしまい、ちょっとこれどうしようかということになりました。
 令和6、7年度に関しましては、ローテーションであれば茨城大学が担当になるはずでしたが、栃木県、茨城県の教育委員会から引き続き大学において養成してほしいという要望もありましたので、宇都宮大による運営を継続することになりました。そこからはずっと宇都宮大でというように考えてはいたわけです。しかしながら、大学経営のかなり厳しい状況が、現状、先生方、皆様方も御承知かと思いますが、非常に厳しくなってきている中で、宇都宮大学におきましても選択と集中が強く求められてしまったということがございます。財政上の負担が問題視された部分もありまして、社会教育主事講習につきましては、残念ながら次年度以降の申請を断念せざるを得ないという状況になってしまいました。
 そうなると、栃木、茨城はどうするのかということになり、次年度以降に関しましては、県の教育委員会が講習を実施することになります。そこに我々は講師として関わる、または運営委員会に関わるという形になっていくのかなと思っております。一応、打診としては講師をお願いします。この時期にお願いしたいですというところまでは伺っているところですので、引き続き関わりは持っていく予定ではございますが、運営というところでは各県の教育委員会に一任するという形になってくると思います。
 この委託費によらない講習を委嘱講習としていいかどうか、もし間違っていたら御指摘いただきたいですが、一応、委嘱講習のことだと思ってお話しをさせてもらおうと思っておりました。国からの委託費によらない講習として委嘱講習。令和7年度、今年の委嘱講習に関しましては、科目ごとに受講者が異なるので一概には言えませんが、受講者は一般、行政及び公的機関、そして教員というのが、大体、それぞれ1対1対1ぐらいの割合でおりました。一般というのは、一般社団法人や民間会社の方であったり、もう引退したけれども社会教育士に関心があるというような方々でした。行政及び公的機関というところも、必ずしも教育委員会ではなく、ほかの部局の方もおられたと思います。教員はいつもどおりです。
 今年に関しては、茨城県から、利便性を考えて、ぜひ1回、茨城で委嘱講習をやってほしい。これはいわゆる一部指定科目、旧課程の方が受けるということもありますが、それも含めてやってほしいということで、支援論と経営論、この2つを水戸生涯学習センターで実施いたしました。次年度以降についてはまだ検討中で、やるかどうかというところでは検討しているところですが、今年度は参加者が60名おりまして、一般13名、行政22名、教員25名でございました。1対1対1というか、一般が少し少ないですけれども、概ね良いバランスではないかと思います。
 このように、一般からの参加者や、行政の中でも教育委員会以外からの受講希望があるというのが委嘱講習の特徴なのかなと思います。また他方、夏に3週間で実施している委託講習は、基本的には教員と行政職員が中心となっておりまして、特に栃木の場合は、社会教育主事の発令もありますが、地域連携教員という制度がありまして、こちらも社会教育主事の任用資格、有資格の方が第1選択で指名されるということがありますので、こういった活動を目指している方の受講というのも特徴だったと思います。この辺りも委託との違いとしてあったかなと考えます。
 このことから、専門職ではない社会教育士としての活動を目指しての受講であるとか、団体活動とか職業上の資質向上を高めているということが、委託講習よりも増えているような印象があり、この辺り、行政ではなかなか手が届かないような、地域におけるきめ細かい対応、つまりNPOだとか、いろんな団体さん、または地域団体の活動、そういったところが可能になっているのかなと思います。また、我々として見逃せないと思うのは、受講生同士の職務を超えたようなつながり、例えば行政職員の方と一般の方であったり、または先生方、教員の方々がつながっていく、意見交換も多く見られる、こういったところが講習における効果ではないかなと考えています。発表会であるとか、個々のつながりを通じて、お互いがやってきたことの、私たちは答え合わせとよく言うのですが、これがいいんだよね、これがやっぱり面白いね、ここはもうちょっとこうなるよねというような答え合わせがお互いできているというのは、かなりこれは重要なことじゃないかなと考えています。
 写真もこんな感じで、やっぱり学校の先生方はこういうのを作るのがとってもうまいので、そうなると、ほかの一般の方々も、先生方はやっぱりまとめがうまいですねとか、そういったことでかなり距離が近づいていくというのも、見ていてとても面白いなと思ったところでございます。
 また、委託と委嘱での内容の違いについてということですが、上述のとおり、それぞれ受講者の特性、属性がちょっと異なるということもあります。委託講習、こちらはさっき申し上げた教員と行政の方がほとんどのようなところですと、学校運営協議会、コミスクであるとか、地域学校協働活動とか、そういったところに、つまり学校と地域の関係性に重点を置いた事例を取り上げ、演習等のテーマとしておりました。例えば学校運営協議会でこういった活動プログラムつくったらどうかといったこともやっております。
 今回、令和7年度、委託講習でございますけども、例を挙げるとするならば、地域を把握するために、まず自治会の聞き取り調査をしてみようとか、これは自治会長さんお呼びしてやりました。あとは学校行政の中にある社会教育と地域づくり、これは本当に学校というと、どうしても学校教育という枠になりがちなところを、いや、実は社会教育とか地域づくりというのを見直してみると、いろんなところに埋め込まれていますよねといった再発見してもらうような演習であります。そして地域学校協働活動、こういったところでどういった活動、学習プログラムがあり得るだろうかというのをみんなで企画・立案をしていく。こういった演習を行っていきました。
 一方委嘱講習では、既にもう地域で十分活動なさっている方が非常に多いことを踏まえまして、やはり自身の活動とか経験を共有していくようなことを多くやらせてもらいました。ここは特に今回の水戸での講習でも、かなり力を入れたところでございました。社会教育を捉え直す、つまりスライドの2点目のところですが、社会教育とは何かということを、改めてしっかり振り返ってもらおう。どうやるのか、どうしてもTipsみたいな形で、技術論みたいなところを聞きたいという方もおられるわけですが、それももちろんありますが、むしろそれよりも、なぜやるんだろうか、なぜ今、社会教育というのが地域に求められているのか、何でこれがいいことがあるのかということをじっくり考えられるような時間として今回の講習ではかなりの時間を使いました。かなりこれも、受講者の中での非常に大きな学びはあったのではないかと思います。自分たちがやってきた活動を、社会教育ということでもう一度見直してもらうということになっていくわけです。
 今後は受講生が、恐らくどんどん多様化していく。委嘱のほうは一般の方も増えていますので、その中で社会教育についての基礎的な知識というのがやっぱりまだ十分ではない。これも皆さん講習をおやりになっているとお分かりで、確かに昔、生涯学習概論という、大学のときに受けたけど、もう20年たちまして、もうすっかり忘れていますといった方も当然、多々来られるわけでして、やっぱり基礎的なところをもう一度捉え直してもらいたいというような方が来る中で、在り方については、どういうカリキュラムをしっかりやっていくか。ここはやっぱりもうちょっと、どんどん検討をしていく必要があろうかと思っておりました。
 講習を持続可能なものにするためにということで伺いましたが、やはりここは事務負担の軽減があるといいなというのがございます。管理、処理する書類の様式、種類がちょっと多いところもありまして、また、本学の場合、100名くらいが来ているので、なかなか作業が大変だったりする。ですので、数に合わせて委託料があるといいなというのがございます。
 2番目のところ、ここがやはり、我々の講習が次年度以降難しくなったところにも実は関わってきてしまうのですが、事務処理を担当する職員の人件費等をどう算出するかが結構大きな課題になってしまっております。これも宇都宮大だけじゃなく全国的な話で、運営交付金がなかなか少なくなっていく中で、どうしても事務職員の方が少なくなってしまう、または専任の方ではなく、会計年度任用職員の方が増えてしまっているということが現状起きてしまっております。その経費をどうしていこうか、かなりこれは大きな課題となっているかなと思います。
 そして3番目のところですが、大学において、継続的に社会教育の専任教員を置くといいよねというのも当然ございまして、出口として、社会教育主事としての発令を着実に行ってもらうようなポスト、先ほどからいろいろ、牧野先生や井上さんからも話がございましたが、出口をどうしようかというのは常にある問題かと思います。こういったことから、社会教育を推進していくことが、教育機関、また教育行政として責務ではないかという意識が着実に涵養されるということがかなり重要なのかなと思います。
 先ほどから申し上げているとおり、まず水戸で実施した講習で、これは水戸の講習の光景ですが、なぜやるのかを重点的に問うたわけですが、これはなかなか難しい言い方になってしまいますが、ともすると行政内とか教育委員会内におきまして、社会教育について、意義は分かるけれども我々がやる必要はないよねとか、我々やる余裕ないよということを仰ってしまう方がいて、今回の講習でもそういった声が受講者からも出ておりました。これはどうやって私たちは対抗を考えていったらいいのか、対抗していったらいいのかということが幾つも出ておりました。
 さらに言うならば、とある市では、公民館もやめてしまってコミセン化してしまうであるとか、あとはもう社会教育の専任なんかいなくていいんじゃないか。社会教育的にはすごい昔の議論でもありましたが、もう現代社会で社会教育要らないでしょうということを今でも言われてしまうことがやっぱりありまして、それに対して、なぜやるのかというのを講習で皆さんが学んでいないと、恐らく、そうですよねと言って終わってしまうということがございます。しばしばこれ通ってしまうところがありまして、ここへ有効な反論というか、いや、そんなことないです。やっぱりこれは行政としてやることが責務であると同時に地域のためにもなる。やっぱり社会のためとして非常に大きなもの。もちろん個人の学びというところは大きなものがあるし、さらに市や行政としても、やることで、実は全体的なところへの負担軽減もありそうですよということがうまく言えるといいんじゃないか。この辺り、有効な反論はぜひみんなで考えていきたいところではございますけれども、この辺りが鍵になるのかなと感じております。
 こういった課題について議論したり、学んだり、悩んだりすることができるのは、アカデミックな場である大学がやっぱりやるしかないのではと考えております。もちろん教育委員会では、現場のことに即した研修的なことは当然得意かなと思いますので、それはそれでいいと思いますし、ただ、一方で、今申し上げた、なぜやるのかということをしっかり話せるというのは、やっぱり大学が担当していく意義はものすごく大きいと思っております。もちろんシラバス上では、すみません、これは追加の意見ですが、学習項目について時間ごとに区切って提示はしているのですが、通知で示されている主事講習の各科目のエッセンスを盛り込みながら、議論と理論というのが往還していくことが非常に効果的なので、運用が裁量に任せられるとうれしいなというところもございます。
 先ほど、冒頭で申し上げた、学生から話しかけられたということともつながりますが、教員に対して気軽に学生が声をかけてくるようなところ、もっと言うなら、やっぱり職員に対して地域の方が気軽に声をかけたり、どうなんだろうねと言えるような社会をつくっていくということであるならば、まず大学において、なぜやるのかをしっかりみんなが学んでないといけないんじゃないかなと感じた次第です。
 すみません、個人的な意見もございましたけども、以上としたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
【青山主査】  若園さん、ありがとうございました。
 それではまた事実確認の質疑を行って次に行きたいと思いますが、何かありますでしょうか。オンラインの方も、もし何かあれば声を上げてください。よろしいですか。
 坂口さんお願いします。
【坂口委員】  ありがとうございました。大変勉強になりました。御発表の中で、今回、委託でも委嘱でも、社会教育とは何かということを改めて考えるような機会をつくられたということで、大変興味深く拝聴していたのですが、一方で、そのような問いを発することが今回のトライだったという話で、そうするとやはり効果も見られるということも少しお話しなさった。でも最後に、もう一回強調なさったのは、社会教育要らないという声も出てきてしまうと。実際どうだったでしょうかという辺りを伺いたいです。社会教育とは何かを問うということをカリキュラムに持ち込むと、参加した方はどれくらい納得して、その議論に参加して、ポジティブに考えようとするのか。それとも、やっぱり行政の中では、なくてもいいよねという声があって、そうだよねと、エコーチェンバーのようになってしまうのか。その辺りを少し教えてください。以上です。
【青山主査】  お願いします。
【若園宇都宮大学准教授】  ありがとうございます。今回委嘱講習でやったのですが、さっき申し上げたとおり、教員の方とか行政だけでなく、一般の方、民間企業の方も入っていた中で、そういった企業の方でも納得できるような答えというのをみんなで、グループで考えということをやってみたわけです。そういうことで言うならば、やっぱり全体的には民間の方なんかも、いや、これは全体的に考えればコストは下がる話なんじゃないか。みんながいろいろお互い気をつけていろいろやっていければ、行政的なサービスも、一言言えばほかの人につながっていくこともある。そしたら全員にやらなくていいよねということがあるならば、これは実はコスト下がるんじゃないというような意見、かなりポジティブな、前向きな意見として社会教育はやっぱり大事だよねということがみんなで話し合われた感じでありました。ですので、全体的にはかなりポジティブな部分があったと思います。もちろん講習の雰囲気というのも当然あるので、なかなかそこで、反対意見は言いづらかったのかも分かりませが、基本的には皆さんポジティブにとらえてくださった。行政の方も、教員の方も、民間の方も、皆さん前向きな感じではございました。
【青山主査】  坂口さん、よろしいですか。
【坂口委員】  ありがとうございました。
【青山主査】  ほか、いかがでしょうか。水野さん、お願いします。
【水野委員】  千葉県の水野です。よろしくお願いします。貴重なお話ありがとうございました。単純な事実確認というか、興味関心で聞きたいことが2点ございまして、宇都宮大学さんと茨城大学さんが一緒にやってきたという歴史について、これは昭和50年のときからずっとそうなのか、どうしてこの2地域が一緒なのか、千葉県も少し近いので気になりました。どうして一緒にやってきたのかをお聞きしたいのが1点目です。
 あと、栃木はやはり地域連携教員がいるところが特色だと思うのですが、水戸会場もやって、栃木会場もあるとしたら、受講生の地域性みたいなのが講習であるのかどうかというのが2点目です、お願いします。
【若園宇都宮大学准教授】  分かりました。前半、私が確認できたのは58年。ただ、もっと前からありまして、すみません、資料の整理が、なかなかこれも、あちこちにこうやって教育学部で担当したら、ほかの部局でやったりしたので、まだ十分整理ができていないところが実はありまして、私が知っている限りこの辺です。どこから始まったかは、こちらでは分かっていないところがございます。なので、ここも申し訳ないですけれども、なぜ茨城大と宇都宮大でやったかというのも、私が知っている限りでは当初からそうなっていたので、私もそれは知っておらないところです。 
 それぞれの会場については、栃木県の場合は、地域連携教育等の発令などもあるので、かなり教員籍の人間が非常に多いというのがひとつ特徴であります。また、そういったこともあり、いろいろな地域や学校からかなり集まってくるということがございます。一方で、茨城の場合は自分たちで手を挙げて、ここへ来たいということを強く言うようなところもあるようですので、その意味では、地域連携教員というのは栃木の制度になっちゃいますから、その意味では少しスタンスの違いというのはあろうかと。職務的にすぐになっていくものと、もっと高めていきたいというのが少し違うかなと思うのですけれども、そんなに、全然違うということはないかなと思います。
【水野委員】  分かりました。ありがとうございました。
【青山主査】  井口さん今、手をお挙げですか。
【井口委員】  宇都宮大学では、令和7年度は委託講習と委嘱講習を両方実施していたわけですが、今後は委託講習をやめて、委嘱講習のみに絞るとのことですね。委託講習をやめる理由としては、財政的な課題がやはり大きいということでしたけど、委嘱講習のほうは、事務的にはやはり同じような労力がかかると思いますが、継続される理由というのを端的に教えていただけますでしょうか。
【若園宇都宮大学准教授】  結局、委嘱のほうは受講料を取れるというのが一番大きいかなと思います。なので、そこから事務の方の手当なんかを全部計算して、妥当な金額を受講料として頂くということは可能ですけれども、委託のほうは、一応使途がかなり決まっているわけですし、受講者負担金は、基本的には全部、受講者に返すようにしなければならないので、そこら辺の縛りがあったというのが委託のほうで、委嘱のほうにつきましては、その辺り、ある程度自由度があるということで、委嘱であれば、採算ラインに乗るところで行けるね、何とかしたいねということができるというのが違いかなと思います。
【井口委員】  ありがとうございます。
【青山主査】  ほか、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、次に行く前に、さっき私紹介し損ねてしまったのですけど、先ほど来、中教審の特別部会の部会長でもありますし、分科会そのものの会長でもありますが、清原部会長がお見えになっていまして、一言声を聞かせていただけないでしょうか。
【清原社会教育に関する特別部会部会長】  皆様、こんにちは。中央教育審議会生涯学習分科会長と社会教育の在り方に関する特別部会の部会長を務めております杏林大学客員教授、前東京都三鷹市長の清原慶子です。私たちが諮問に答えて、充実した内容の答申をまとめていくためには、社会教育主事、社会教育士養成等の改善と充実が不可欠でございます。何よりも人材の問題について、現場と乖離した議論になってはいけないと思っております。そこで今日も、青山主査の下で、現場の皆様がゲストとしてお越しいただいていることを本当に心強く思います。どうぞ、私たちの意見交換に皆様の意見交換も大きな支えとなりますので、何よりも学習者の皆様のために、そして地域で活動している全ての皆様のために、実感を込めた内容をこれからも意見交換していただければと思います。何よりもワーキング・グループの委員をお引受けいただいた皆様、そしてゲストの皆様にリアルタイムで御礼を申し上げたいと思いまして、今日は参上いたしました。貴重なお時間をいただき御挨拶させていただいてありがとうございます。引き続き皆様、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。
【青山主査】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは議事のほう進めさせていただきまして、3人目、蔦木さん、オンラインでお願いできますでしょうか。御準備よろしいですか。
【蔦木たんば社会教育士コミュニティ代表】  そうしましたら資料の共有をさせていただきます。お待たせいたしました。改めまして、本日は自宅から参加していますので、ちょっと音声、もしかして聞き取りにくいところあるかもしれませんが御了承いただければなと思います。私、たんば社会教育士コミュニティの代表を務めております蔦木と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は事前にテーマをいただいていまして、社会教育士に必要な知識技術等について、社会教育の実践を通じてということでしたので、私、社会教育士代表ということではないですが、社会教育士として活動している中で、どのような実践をしてきて、社会教育主事で学んだ内容を含めてどのように生かしているかということなどをお話ししていければと思っています。
 まず私の自己紹介をさせてください。蔦木伸一郎といいます。仕事と仕事以外の部分で、社会教育士として学んできたことを生かしています。仕事については、NPO法人丹波ひとまち支援機構という中間支援組織のスタッフをしています。主に兵庫県丹波市、6万人の中山間地域になりますが、地域づくり、住民自治の支援や市民活動、生涯学習の支援をしている団体です。丹波市が設置している丹波市市民活動支援センター及び丹波市市民プラザの指定管理者でもあります。それ以外の仕事以外の部分で言うと、本日はたんば社会教育士コミュニティの代表という立場で来ているのですが、社会教育士3名でつくるコミュニティの運営をしたり、その中で兵庫県の社会教育士ネットワークをつくっているのですが、そちらのコアメンバーであったり、市民協働の図書館運営を目指す、「みんなのとしょぶ」という活動をしたり、あと、実際私も社会教育主事講習を受講したのですが、島根大学の社会教育主事講習の今年度のサポーターをしています。
 実は私自身、前職で図書館と公民館長を岡山県西粟倉村でしていまして、そういった背景もありまして、2022年3月から社会教育士の称号を得て活動しています。実は私は社会教育主事講習を2度受けていますが、最初は西粟倉村というところで館長をしていたときに、国社研の社会教育実践研究センターで、主事講習Bを2018年度に修了しました。その後、とある大学の通信制で2科目追加履修をしたことによって、社会教育士の称号を得たのですが、転職をしたことやコロナ禍で社会が大きく変化したということもあって、改めて私自身、社会教育について学び直す必要があるなと感じまして、2023年度の島根大学の主事講習を修了しています。
 先ほど、仕事と仕事以外ということでお伝えしましたが、丹波市やお隣の丹波篠山市の各種委員、社会教育委員や図書館協議会の委員、また「丹波市教育振興基本計画」の策定の審議会や「丹波市図書館ビジョン」、「丹波市図書館基本計画」の検討委員もしております。私自身、社会教育士×○○とよく言われるかなと思うのですが、私としては、こういったキーワードを中心に、社会教育士として活動しています。先ほど紹介した中間支援ということと、あと前職でもお仕事をさせていただいた図書館ですね。今は市民の立場でどう図書館と連携していくかということ。また、中間支援の中で取り組んでいる、地域学校協働活動に取り組む皆さんの人材研修とか学びの場づくり、つながりづくり、そんなことをしていますので、こういったキーワードで今取り組んでいます。
 最初に、これまでも議論があったかと思いますが、社会教育士を取り巻く課題ということで私が感じていることをお話ししたいなと思います。大きく6つありますが、ちょっと時間がないので読み上げる形でいきたいと思います。
 まず私自身、2022年に社会教育士になったときに、周りに社会教育士はいませんでした。今はネットワークをつくっているので状況は変わってきてはいるのですが、やはりなった瞬間というのは、主事講習のつながり以外で、社会教育士とつながるのは難しいなと感じました。
 また、行政とか教育委員会も含めて、やはりまだ社会教育士の認知度が低い。当然、市民に対してはかなり低いような状況、今でも変わっていないかなと思います。
 また我が町にも社会教育主事、配置されています。県にも社会教育主事が配置されているのですが、今のところは具体的な連携というのがまだ進んでいないという状況です。
 また社会教育士を対象とした研修というのは、当然、市単位ではしてないですし、県でも年1回程度されてはいますが、直接、研修情報が届くということがなくて、市の教育委員会を通して届くときもあれば届かないときもあるような、そんな状況になっています。
 また社会教育士としての専門性や役割を発揮できる機会が少ないということで、一言で言うと、なかなかお仕事になりにくいという部分があるかなと思います。
 またそれと同様に、どうしても活動がボランティアになってしまいがちなので、なかなか社会教育士としての専門性を生かして持続的に活動していくというのが難しい状況にあると思っています。
 そんな中で、社会教育士として何を実践してきたかということをお話ししたいと思います。まず実践の1つ目として、たんば社会教育士コミュニティの実践を取り上げます。先ほどあったような課題を一つ一つクリアしていくために、このコミュニティを立ち上げたと言っても過言ではありません。2024年1月に、丹波市、丹波篠山市の社会教育士3名によってこのコミュニティをつくりました。名前をあえてコミュニティとしたのは理由がありまして、ネットワークという形だけだと情報共有だけで終わってしまう可能性もあったので、コミュニティということで、実際に3人で一緒に企画をするとか、何か活動を生み出していくということを大事に取り組んできました。3人のうちお2人は行政職員の立場、私は民間の立場で取り組んでいます。
 活動に関しては、社会教育士の認知度が低いということで、啓発・普及に関する活動、学びに関わる方の情報共有ということでつながりづくり。また我々自身がアップデートしていくための人材育成ということで、自主企画に取り組み、研修の実施などもさせていただいています。
 私たちのミッションとして、「子どもも大人も、ともに学び合い、育ち合う、誰もが楽しく参画できる社会をつくる」を掲げています。社会教育というものを通して、地域の中のつながりや学び合い、そして誰もが一緒につくっていくということができるんじゃないかなという思いで取り組んでいます。
 実践に関しては、時間がないので短めにお話しをさせていただきますが、我々最初に取り組んだのが、社会教育主事講習報告会です。我々自身が社会教育主事講習の中でどのようなことを学んできて、社会教育士として今後どうありたいかということを丹波市内に会場を借りまして、市民の皆さんの前で報告をさせていただきました。また同時に、社会教育士を目指す方を増やしていくということで、相談会の開催や、社会教育主事講習の情報発信をFacebook、Instagram、noteを通して発信をすると同時に、noteを使って主に兵庫県内の社会教育士の紹介記事の発信もさせていただいております。
 2つ目としてはつながりづくりです。ひょうご社会教育士ネットワークという、Facebookのグループをつくっています。現在95名が登録しておりまして、昨年度から年に1回の対面の交流会と、今年度からオンラインで3回交流会を開催しまして、先日、12月の頭に芦屋市の高島市長をお呼びしまして、対面での交流会を開催させていただきました。
 最後に実践、人材育成の部分です。これに関しましては、今年度、島根大学が受託を受けた社会教育主事のフォローアップ研修の運営協力ということで、我々が企画し、運営したものを島根大学さんと一緒にオンラインで開催をしました。また、丹波市内の小学校の学校運営協議会から御依頼を受けまして、子供と大人の対話の場をしたいということで、我々社会教育士のメンバーが、その対話の場のファシリテーションを行うということをしています。また自主企画として、主に市内の方ターゲットにし、オンラインの形なので全国からも参加がありますが、対話を楽しむということで「持ち寄り交流会」という場を自分たちで運営をしています。
 これは丹波市内の社会教育士称号取得者の推移ですが、2022年が1人だったのが、今年、今年度末、これは予定数でもあるのですが、9名になり、社会教育士が丹波市内でも増えてきているという状況です。
 2つ目としては、現場の実践を踏まえた政策提言についてお話ししたいと思います。丹波市、実は学校図書館に学校司書がいないということで、これはひとつ課題でもあります。そういった中で、なかなか教職員だけでは学校の本の整理ができないということで、学校の校長先生からも相談を受けたり、保護者の方からも、もっと学校の図書室を子供たちが過ごしやすい空間に変えたいというような御要望があって、私のほうでコーディネートして、3者でお話しする機会をつくりました。そういった中で、じゃあまずは本を整理するプロジェクトを地域住民やPTA、また子供たちの力を借りて実施しようということで「学校図書室の本の整理プロジェクト」という、地域・学校協働活動のようなものを私のほうでコーディネートをさせていただきました。その中で、学校図書館の本が大変古いということが分かったんですね。新聞報道等もしていただきましたが、やはりこのままこの状況を、活動だけで終わらせてはいけないなと思いまして、我々、たんば社会教育士コミュニティとして、学校司書の配置や、学校図書館の充実のための請願というのを丹波市議会に提出をしまして、請願が採択されました。現在、丹波市教育委員会で学校図書館の充実に向けた取組がされていると伺っています。
 また、先ほど各種委員もしているということをお伝えしたのですが、行政計画の策定や評価にも社会教育士として参画をしております。例えば「丹波市教育振興基本計画」とか、「丹波市図書館ビジョン」というものが、昨年度、策定の審議が行われました。また今年度は、「丹波市図書館基本計画」の審議がされていますが、委員として、社会教育士として意見を伝えています。また計画策定のタイミングで、こういう市民の声を聞くということで市民ワークショップを実施されていますが、そちらの設計や運営にも、関わらせていただきました。
 これから図書館を、誰もが気軽に立ち寄れるような場にしたいと丹波市の図書館は考えているのですが、施設の古さもあって、スペースも少なかったりして、なかなか本を借りる人以外は立ち寄りにくい環境があります。少しでも変えていこうということで、ビジョンや計画のほうに落とし込む中で、じゃあ今までにないことをやってみようということで、私から市民ワークショップの内容を提案させていただきました。図書館の中でコンサートをした後に、ワークショップをしたら、人が参加しやすくなるんじゃないかなということで提案をして、実際開催しました。また、この議論の様子をしっかり可視化していくことが大事ということで、グラフィックレコーディングで記録をしていくということをしました。
 このグラフィックレコーディング自体は私がしたわけではなくて、私のつながりのある社会教育士にお手伝いをいただきまして、グラフィックレコーディングで記録を残し、それを図書館の館内で掲示をして、今、図書館がこういうふうに変わろうとしていますよというのを利用者の方に見てもらうということに取り組みました。
 その成果として、「丹波市教育振興基本計画」の中に、社会教育士の活躍機会の拡充という言葉をしっかりと載せていただいたり、先ほどの学校図書館の整備の充実だったり、市民の参画と協働による図書館運営ということが計画内に明記されまして、その計画に基づいて新たな学校図書館の充実のための事業が始まったりもしています。
 続いて図書館を拠点にした市民協働の実践についてです。今年の3月からスタートしましたが、先ほどの「図書館ビジョン」の策定を通して、ビジョンの策定に関わったコアメンバー3名、これは市民の方になりますが、私もその3名のうちに入っています。やはり市民協働の図書館の運営をするのに、ビジョンができたので、じゃああとは図書館でお願いしますということではなかなかうまく進まないなと思いまして、自分たちでも何かできることがあるんじゃないかなということで、市民と図書館職員が協働する部活動をつくろうということで、「みんなのとしょぶ TAMBA TOSHO BU!」という活動をしています。
 具体的には、先ほどの市民ワークショップの中でも意見が出されたのですが、やはり市民ワークショップという特別な機会の時に限って、何か市民に図書館について意見を聞くのではなくて、日頃から図書館について、もっと自由に、気軽に語れるような場があったらいいよねという意見が出されました。それを実現するために、「図書館についてあれやこれやと語る会」という会を、大体月に1回程度のペースで開催しています。対話の場のファシリテーションは私が中心に行っています。事前の申込みの必要はなく、誰もが気軽に参加できるような場を設計しています。また図書館の中に視聴覚室という部屋がありますが、こちらがふだん、あまり利用されていないということで、ここを部室に見立てて、皆さんで対話を楽しんでいます。これまでに9回開催して、延べ人数で107名参加しています。
 この中でいろんな市民からは、図書館でこんなこと、例えば「図書館に泊まりたいよね」とか、「市民が本の展示コーナーをつくりたいよね」とか、いろいろ御意見が出ました。その中の一つとして、この冬、図書館にこたつを置いたら市民の方が気軽に立ち寄ってくれるのではないかということで、実際にこの日曜日、12月21日に、市民がこたつを持ち寄って、こたつを置いてボードゲームをしたり、おしゃべりをしたり、本を読んだりするという、そんな会を実施することになりました。
 続いて社会教育士に必要な知識や技術ということをお話ししたいと思います。私が感じている部分を4点お伝えしたいと思います。我々、たんば社会教育士コミュニティでは、情報発信にかなり力を入れています。社会教育士が生み出した活動の実際の様子、どんな学びが生まれたのか、どんなプロセスで進んでいったのかということをしっかり記録に残し、編集して発信することが大事かなと思っています。やはりこれは社会教育士がどういった活動しているかということを知ってもらうためにも大変重要かなと思っています。
 また、先ほどの「みんなのとしょぶ」の取組などを含めて、やはり人と人をつないで何かを生み出していくということで、協働をデザインする力です。対話の場のファシリテーションやコーディネート、ここは大変重要かなと思います。また私自身、行政計画の検討委員や、請願なんかを通して、やはり現場の課題をうまく行政に伝えていく、こんなことも大事だと思います。現場と制度をつなぐ、翻訳する力ということで、現場の課題をしっかり「見える化」すること、そして市民の声を行政に伝えるということも大事だし、行政が取り組もうとしていることを、上手に市民に伝えていくような、そんなことが社会教育士にできることなのかなと思います。
 また、何事も小さく始めることが大事かなと思います。小さな実践を継続する力ということで、まずに動き出すきっかけを上手につくっていく。つくっていくためにはやっぱり対話の場でしたり、まず関係者が集まって話をしてみるみたいなことが大事だと思います。そういった小さな実践を生み出し、その実践を振り返る、リフレクションして次のアクションにつなげていくというのが社会教育士に必要なスキルだったり知識だったりすると思います。
 そして社会教育主事講習で役立ったことということで、これもあくまでも私が役立ったということでお伝えしたいなと思います。一番大きいのは、社会教育主事講習の中で生まれる修了生同士や講師とのネットワークです。今日出席の委員の中にも、講師として社会教育主事講習の中でつながらせてもらった方もたくさんいらっしゃるのですが、このネットワークは本当に、その後の活動にとっても大変重要になってきています。例えば島根大学では、毎年、1年に1回、「伴走者のための共学共創フォーラムin島根」という取組をしています。これは期を超えて、毎年この日に修了生が集まって、それぞれの実践とか学び続けていることを、ブースを設けてお互い報告をして、また新たにつながっていく、こんな場があります。こういった場はとても社会教育士の活動をするためには大変役立っているなと思います。
 また科目で言うと、社会教育経営論が私はとても役に立ったと思っています。実際、島根大学はちょっと期間が長いんです。7月から1月ということで期間が長いですが、その中で実際、自分が今、現場で取り組んでいることをひとつプロジェクトとして取り上げて、その中長期的なビジョンをしっかりつくって、そしてロジックモデルを構築する。例えばどういったことを取り組んで、どんなアウトプットを目指し、その先にどんな姿、アウトカムを目指すのか。それが受講の半年間の、例えば修了時、1月になったらどうなるのか、その先3年、5年、どうなっていくのかということを徹底的にロジックモデルに落とし込むということをしましたが、このロジックモデルに落とし込むことによって、自分がどのように歩んでいけばいいかということをしっかり見据えて現場のプロジェクトに取り組むことができたなと思っています。
 また、地域のネットワーク形成とコーディネート人材の役割を果たすという意味で言うと、これをどういうふうにつないでいくかというコーディネートの部分、この部分が経営論ではすごく学びになったのと、私は日頃、中間支援団体として行政の方とお話しすることが多いので、やはり行政がどういう計画、例えば法律、条例、規則とか、どういう仕組みで行政が成り立っているのかというところをしっかり理解することは大変重要だなと思いました。
 3番目としては社会教育演習です。島根大学の場合はゼミ形式で行われまして、受講生5名に対して講師が2名つくというような形で、およそ半年間、現場のプロジェクトの実践やリフレクションをするということで、受講生同士が相互に壁打ちをしながら学び合い、また講師も丁寧に伴走してくださるということで、自分たちの実践がこのゼミの中で、今こういうことが課題だよとお伝えすると、しっかりそこに皆さんの意見でしたりアドバイスをいただけるということで、本当に実践にすぐ生かしていけるような、そういった学びの場が、この社会教育演習ではあったと感じています。
 最後に、私自身が思う社会教育士が果たす役割についてお話しします。社会教育士は、先ほどもお伝えしたのですが、アクションのきっかけをつくる、そんな存在かなと思います。人々の思い、こんなことをしたい、こんなことに困っている、そういう思いに寄り添って、学びを通じて人と人だったり、そういう現場の課題と行政の制度だったり、そして制度をうまく組み替えるというか、どう変えていくかということもつないでいく、そんな存在だと思います。まさに思いを形にする実践や仕組みを関係者とともにつくっていくプロセスこそが、社会教育が持つ力かなと思います。そのことによって、地域づくりとか、今後の人々が活動していく、その地域の可能性が広がっていく、そんな営みなんじゃないかなと思います。
 以上、私の発表になりますが、最後にまとめとして、もう一言だけお話ししたいですが、やはり社会教育士というのはまだまだ認知度が低い中で、社会教育士同士がしっかりつながっていくことがすごく大事だなと思います。ただ現状、なかなか、どこに社会教育士がいるかというのが、社会教育士でも把握できていない状況なので、やはり全国的な規模で社会教育士それぞれの実践が発表できるような、先ほどの島根大学の共学共創フォーラム、あれは島根県では行われていますが、もっと全国的に社会教育士がつながるような、いわゆる社会教育士サミットみたいなものが取り組まれていくと、もっともっと社会教育士の認知度が上がり、社会教育士同士がつながる、そんなきっかけになるのではないかなと思いました。
 私のお話が何かの参考になればと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
【青山主査】  ありがとうございました。
 それでは蔦木さんの御発表について、事実確認等ありますか。岡さん、お願いします。
【岡委員】  岡です。御発表ありがとうございました。また個人的ながら、私の指導する九大の主事講習のグループレポートメンバーがヒアリングでお世話になりました。ありがとうございました。
 今日お話を伺いたいのは、27ページのところ、社会教育士に必要な知識・技術として御発表いただいたところですけれども。4点にまとめてお話しいただきましたが、私はもうちょっとこの奥を知りたい感じがします。つまり今、○○力でここは語っていただいているのですけれども、この○○力の背景にある目線のところをもうちょっと伺いたいです。例えば1番の学びのプロセスを発信すると書いてありますね。どういう学びを捉えて発信しようとされているのかだとか、そこに何か社会教育としての目線の固有性みたいなものがあったりするのではないかなと思いまして、そういうところをもう少し伺いたい。
 このご質問の背景にあるのは、社会教育士とまちづくりコーディネーターの違いを知りたいというところがあるのです。社会教育を学ばれたからこそ、あるいはつながっていらっしゃるからこそお持ちの目線、着眼点みたいなところ。もし今、表現できるところがあればぜひお伺いさせてください。
【蔦木たんば社会教育士コミュニティ代表】  ありがとうございます。そうですね、学びのプロセスをどうこう捉えているかというところですが、私自身、仕事の中間支援で取り組む研修でも同様に、私自身はこういう対話の場や研修の場をつくるとき、特に研修で大事にしているのは、しっかりアンケートを取っています。皆さんがどのように研修や学びの場を通して感じていらっしゃったか。またアンケートを取れないにしても、対話の場でどのような意見が出されていたかということをしっかり情報発信の中でも載せるようにしています。それ自体が、学びをうまく捉えられているか分からないですけど、でも実際、どういう声が出たのかということをしっかり情報発信の中に載せることによって、その方がどのように感じたのかということをお伝えしたいと思って取り組んでいます。
 例えば対話の場で、ただ対話をしましただけではなくて、どんな意見がそこで出されたかということを全部見せるようにしています。例えば「みんなのとしょぶ」では、出た意見を全部、図書館職員さんにお渡ししています。その中で何かお役に立つものがあればとか、何か参考になるものがあれば、その後の図書館運営に生かしてもらえればということで、実際それに呼応する形で、図書館さんも企画をいろいろ考えてきてくださり、そういったものも生まれてきているので、ここをしっかり、丁寧に記録に残して伝えていくというのは大事という意味で、書かせていただいております。回答になっていますでしょうか。
【岡委員】  ありがとうございます。記録に残す以前に、しっかり、やっぱり参加者の声に耳を傾ける、そこを聞こうとするという向き合う姿勢というものを、今のお話の中から感じさせていただきました。ありがとうございます。
【青山主査】  じゃあ続いて、オンラインで坂口さん、お願いします。
【坂口委員】  ありがとうございます。蔦木さんのすばらしいプロフィールを拝見し、かつ2回も主事講習を受けられたということを伺って、改めてお伺いしたいのですが、主事講習を通して何ができるようになりましたか。つまり、もともと持っていたいろんな情報や能力、資質というのに加えて、主事講習に出たからできるようになったことについて教えてください。
【蔦木たんば社会教育士コミュニティ代表】  そうですね、主事講習を受講して、修了したから劇的に何かができるようになったというよりかは、やはり大事なのは、最後、スライドで、社会教育士とはどういう役割なのかというスライドを載せさせていただいたのですが、自分が社会教育士としてどうありたいかみたいなところをしっかりマインドセットしていくことにおいて、社会教育主事で学んだ学びを通して自分の中で打ち出したもの、ここはすごく大事だなと思っています。社会教育士自体が、まだまだ、どういうことができる人たちかが認知されていない中で、でも自分自身はどうありたいかとか、何を生み出したいかみたいなことをしっかり言語化できることが、社会教育士として、地域の中で市民や行政とかと一緒にやるときに、すごくそこが大事かなと思っています。どういうメッセージで発信できるのかということで、そこが社会教育主事で学んだ中で、自分の中で言語化できたことが一番学んだ成果かなと思っています。
【坂口委員】  ありがとうございました。
【青山主査】  よろしいでしょうか。皆さん、これから意見交換に入ります。今日の意見発表を踏まえて、意見交換を行いたいと思います。いかがでしょうか。
 長岡さん、お願いします。
【長岡委員】  ありがとうございます。まず資料に沿って感想と考えたことをお伝えします。まず社養協さんの発表を聞いて、私も実は今年、ある町の教育長さんから、社教主事を配置したいという話があり、社教主事講習を受講した人を紹介しますと話をしたら、そうではなく、大学で学んで卒業した若い人を採りたいという話を聞いて、すぐに井上先生を紹介しました。同じ北海道ですので。
 そういう教育長は少ないかもしれませんが、いるということをまずお伝えしたい。確かにこれまで養成課程を出て社会教育主事になった方は少ないかもしれませんが、そこで学んだ学生たちが社会に出て、他のフィールドでも活躍している方は多いと思いますし、北海道の市町村でも、ベテランの社会教育主事さんの良さもあるし、養成課程を出て若くて頑張っている、活きの良い社会教育主事さんも何人もいることを思うと、養成課程の学びはすごく有意義だと思っています。養成課程における社会教育士の称号付与数の資料を見ても、令和2年の二百何人から、令和6年で千何人というようにすごく増えているのに、なぜ養成課程の継続が難しくなっているのかなと疑問に思ったのと、そういう面で、講義数を減らすのはよくないという意見もありますが、先生方の負担に考慮すると、内容を厳選することも必要かなと思いました。
 また、宇都宮大学さんの主事講習のお話は、2019年、20年頃に私が北海道で大学の先生方と話していた内容とすごく重なるなと思いました。社会教育主事講習は北海道生涯学習センターが受けていますが、大学の先生方や大学の力はすごく必要で、社会教育主事講習は運営委員会を置いて運営の方向を決めており、実際の運営は生涯学習センターの職員が担当していますが、北海道の社教主事講習が過去に国立私立・道外の国立の大学から私立に移ったという経緯もあり、私立の先生2人と、4大学の先生方、教育NPO、あと市町村、市教委、そういった方々から運営委員会で御意見をもらって運営しており、大学の先生のお力というのは本当に欠かせないのかなと。もしかしたら今後、同様に地方のセンターなどが主事講習を運営することもあり得ますが、大学と連携し、大学の先生方の力を借りることが非常に重要であると思います。センターであっても、こういった資格付与を目的とする講習を実施する以上は、養成する覚悟と責任があることから、大学との連携は今後も重要になってくるのかなと。
 最後、たんば社会教育士ネットワークのお話を聞いて、まさに社会教育士の活躍というところで、すばらしい取組だと思いました。北海道でも受講した方々が個別のネットワークをつくったり、既に北海道の社会教育士会というのもあったり、いろいろな活躍の場も広がっている反面、いざ社会教育士という称号を取った後で、どうしたらいいだろうというような声も聞くこともあります。北海道としても、社会教育士の方に、北海道の社会教育委員になっていただいたり、CSマイスターの地方版のCSアドバイザーのところに社会教育士の方に入っていただいたり、地方でいけば、北海道の士別市というところで、社会教育士を取った方が団体に入っているところで、国の「図書館・学校図書館と地域の連携協働による読書のまちづくり推進事業」を受託しており、そこでも社会教育士の方が5名くらい入って事業を実施しているというのを聞くと、やっぱり行政として、これからネットワークをつくっていったり、支援したりというのと同時に、行政として社会教育士の方の活躍の場を広げるというのは本当に重要なことだなと改めて感じたところです。
【青山主査】  ありがとうございます。 ほかの方いかがでしょう。
【岡委員】  1点確認したいことがございます。先ほど牧野先生が、私たちWGは何をなすべきかのお話をくださいました。改めて確認ができました。ただそのとき飛ばされたのかなと思いましたのが、役割と機能についてです。いただいた文書によれば、「役割と機能、及び養成の在り方についての検討」ですので、私たちは役割と機能についても、議論するのかと認識していました。役割と機能について牧野先生はほとんど明らかにしていますとおっしゃっていましたが、私は養成を議論するにあたっては特に、役割と機能について解像度をあげたい思いをもっています。解像度をあげながら養成について議論するということでいいのかを確認したい。これが1点です。
 2つに、もし役割と機能について解像度をあげる議論をしていいとしましたら、提案がございます。私たちはよく、先ほどの蔦木さんのお話しにもありましたが「〇〇×社会教育士」という言い方をします。これについてもう少し解像度を上げると、「〇〇×社会教育士」には、「社会教育士×〇〇」と「〇〇×社会教育士」が、一緒に入っている気がします。○○×社会教育士というのは、社会福祉士×社会教育士とか、デザイナー×社会教育士とかいうことで、〇〇に本分があって、だけど社会教育士的な資質を得るという考え方。ところが、蔦木さんももともと図書館長、公民館長であったということは、これは○○×社会教育士ではなくて、社会教育士×○○じゃないかなということ。つまり社会教育を本分に持っている公民館主事さんがいたり、あるいは最近、学校事務職員さんなんかも来たりしていますね。彼らはたいていコミスクを頑張りたいと思って来ているので、領域のイメージを持ちながら、×社会教育士。通称「〇〇×社会教育士」にはこの両方があることを共有することが、今後養成やネットワークのありかたを議論していくうえで、有用なのではないかと思います。社会教育に本分を置く社会教育士も、議論にしっかり位置付けていただけないかと、申し上げたいと思います。
【青山主査】  私からいいですか。牧野さんの最初の説明に沿ってということになりますが、多分この会議の名称からも明らかなとおり、このワーキングに特別部会から課題としていただいているものは、まずは養成に関する部分、特に社会教育士というこの5年間の大きな変化を受けて、社会教育士時代の、というか、社会教育士を前提にした養成の在り方を、主事講習と養成課程のそれぞれについて具体的に考える作業部会というのがこのWGの建て付けだと思います。ただ、いきなりカリキュラムに入っていけるわけではないので、前回のように、その話をするために必要な、どういう人が受けるだろうかとか、受けた人にどうなってほしいだろうかという議論はそれに付随する形で必要かなと思いますが、あくまでも本丸はここだということを見据えて議論しないと、おそらく時間的に危ういかなというのが主査としては思っているところです。
 その上で、現在示されている、人材部会での議論をベースにした機能というのは、社会教育主事と社会教育士がそれぞれオーガナイザーという言葉で説明されていますが、この解像度を上げていかなければならないのはおっしゃるとおりだと思います。その中に、社会教育に軸足があって、それ以外につながる掛け算と、ほかの分野に軸足があって、そこを社会教育的にしていく掛け算の両方を見据えなきゃいけないというのもおっしゃるとおりだと思います。ただ、養成課程と主事講習の今の枠組みそのものをどうしていうかという議論をするときりがないので、人材部会で示された社会教育主事と社会教育士の関係をベースに、これらの話をどう養成のレベルに盛り込めるかというところで議論できるといいのかなと思っておりました。もちろん踏まえておかなければいけない論点だというのはよく分かりますし、前回も公民館の方が取るとかということも想定する必要があるという議論のように、社会教育士×社会教育というような掛け算もあるという状況だと思っていますので、この掛け算の多様性は踏まえつつ、蜘蛛の巣みたいなポンチ絵がよく出てきますけど、あれを前提に、養成課程や主事講習をリニューアルし得るかどうかが中心的な論点であると思います。
そのとき、ポイントになるのは3つくらいあると思っていますが、1つ目は今言ったような多様な活躍の仕方や、多様なニーズを踏まえられるかどうか。2つ目は、その上で、かつ社会教育主事の制度や存在意義を守れるかどうか。そして3つ目は、今日の宇都宮大の話にもありましたが、養成機関がサスティナブルに今の養成の仕組みを回せていけるかどうか。この3つがそろわないといけないだろうと思っています。いきなりカリキュラムから話し始めるわけにはいかないが、離れ過ぎてもいけないという、ちょっと微妙なことを言いましたが、何か今くらいの距離感の中で、今の話をぜひ盛り込んでいただきながら、次回以降にはなってしまいますがお話しができるといいのかなというところです。
【岡委員】  一言だけいいですか。今の2点目の、社会教育主事を守れるかというところは私もすごく大事だと思っています。ところが建て付けとして、社会教育主事と、○○×社会教育士を置くだけでは、守れないと思うのです。だって○○×社会教育士の方々がネットワークの呼びかけに本当に応じてくださるのか。これ難しいですよ。だって保健師さんは保健師さんの領分がある。社会福祉士は社会福祉士の領域がある。ネットワークに応じてくれる方というのは、もう少し社会教育本体に近いところ、公民館職員で社会教育士、あるいは学校事務職員で社会教育士。実際私もネットワークに関わっている者として、こうした層が主力のひとつなのです。ここからさらに外にどう広げられるかというのが実際のネットワークです。ですから社会教育×社会教育士を大事にする論理を立てねば、社会教育主事も、社会教育士も、ネットワークも空洞化しかねないのではないでしょうか。
【青山主査】  よく分かります。だからその要素を、どうすれば養成レベルで盛り込めるかというところがこのWGの肝だと思います。例えば、島根大の事例は、多様な方がサポーターで入っておられる。卒業した方々が帰ってくる。そういった交流会があるということが強みだと思うんですけど、私も島根大の主事講習でも授業を担当していますが、いろいろなニーズの方が入ってくる一方で、それも社会教育士だよねというラッピングが、ある程度、講習の中で成立している。九大もそうだと思いますけど、今おっしゃったようなネットワークが成立する。
 だから今のお話を、ぜひ養成課程の中に、そうした要素も盛り込めるかどうかが今回の肝かなと思っていて、拡散しそうな社会教育士の輪郭と本丸の両方をちゃんと見据えること、これは簡単ではないですが、今の講習や養成課程の枠組みの中でこれをどう実現できるかは、このワーキングの重要なミッションかなと思っていて、次回以降の議論になると思います。
 今日は言い出しっぺの1人として、「2階建て」と言う言葉が独り歩きしてしまったところもあるなということを反省しています。私も「2階建て」ありきで話をしたわけではなくて、幾つかの問題意識を複合した結果、「2階建て」という言葉を使ったという経緯があります。一つは、多様なニーズに応じた養成課程にリニューアルしていかなければならないとなったときに、行政の専門職である社会教育主事の養成課程ですよ、という入口から講習や養成課程を始めるのは難しいのではないかという点で、むしろ学びや地域に関わる共通部分から話を始めたほうがいいのではないかという、カリキュラムの順番だけに限った話ではないですが、建て付けとして、行政の専門職を養成するための課程・講習ですよという建て付けをもっと緩めたところに入口を持っていく必要があるのではないか。これは緩やかに1階と呼んでいたものです。
 ただその上で、やはり社会教育主事を守るという観点から、社会教育主事の専門性を「見える化」していくことも必要だろうという点で、社会教育主事の固有の役割を踏まえた2階部分があった方がいい。社会教育士と社会教育主事のゴール、つまり1階と2階の高さをどこまで変えるか、あるいは変えないか、両方の議論がありますが、社会教育主事の専門性を守るために、社会教育士的な入口から入りつつも、最終的には社会教育主事を養成する講習であるという建て付けを守ることが重要じゃないかなという、そういう問題意識の中で「1階」と「2階」という言い方をしてきたということです。ですから今日の議論の中での、「2階建て」なら大学院のほうがいいという話ももちろん理解はしますが、もともと今の養成課程の枠組みをある程度前提とした上で、多様なニーズに応じていくというための「2階建て」構想だったということ。ですから基礎部分と主事に固有の部分というときに、もちろん1階は民間の話だけで2階は行政の話だけ、という話でもありません。この言葉だけが一人歩きすると、皆さんによって2階の意味が変わってしまうというふうに思っていて、「2階建て」という言葉にはこういう問題意識があったということを一回共有しておけるといいかなと思いました。 
 坂口さん、今、手を挙げていました?
【坂口委員】  ありがとうございます。今まとめていただいたことに直接答えるわけではないのですが、今日はやっぱり相反することを考えていて、前回の議論から、社会教育主事に関しては、高度な専門性を持つ、高度なという言葉が出てきて、高度さとは何なのだろうと思いながらずっと伺っていました。でも実際に、最後の蔦木さんのお話なども伺って、やっぱりアイデンティティを持って、自分はこれだと思って活動していくという、その納得感というのは、恐らく最初、社養協の皆様がアンケートから明らかにしてくださったように、実習の持つ効果という意味でも示唆していただいて、そこは非常に重要だなと思いました。
 同時にそれは講習を受けるチャンスがある人たち、中からの話であって、客観的にはすごく見えにくいなと思いました。なので、もし今後、養成課程なのか、主事講習なのか、どうすればいいか具体的には言えないですけれども、やっぱり記録として「見える化」するだけではなくて、ある程度、指標に乗せていくといいますか、アウトカムを見せていくというようなデータアナリシスだったり、エバリュエーションだったり、そういったことを中からしていかなければならないのではないかなと思っています。特に行政の仕事の中で、社会教育のパフォーマンスというのを、いつも振興計画だったり教育ビジョンだったりのアウトカム、こうこうこれが、何か地域がつながるとか、学校と地域社会が密になるとか、つながりが増えるという、非常に曖昧な言い方しか指標として出てこないのですが、やっぱりその中で、地域の活動を1年に3回以上する人が何%増えるとか、何かそういう言い方しないと、国際的な指標にも全然合ってこない。そんなことを、もしかしたら高度と言われる部分で補えるのかもしれないとは思いました。なので、そのような、今までプレゼンテーション、コーディネート力、それからファシリテーションということを言われてきましたけれども、もう一つ、4番目としてデータアナリシスのようなものがあるといいなと思った次第です。以上です。
【青山主査】  ありがとうございます。ほかの皆さんもいかがでしょうか。井口さん、お願いします。
【井口委員】  すみません、まず一つ目に、宇都宮大のお話で、やっぱり委託講習が終わってしまうこと、これをどう捉えたらいいのだろうかと感じました。委嘱講習のほうが結果的に持続可能性があるという結論ですね。これは大学の事情としてはよく分かるのですが、やっぱり講習を受講する側からすると、果たして行政職員や教員は、来年度、受講料などが生じる委嘱講習を受講できるような環境が整うのだろうかという心配をせざるを得なくて、もちろん一般の方は社会教育士の称号が魅力的であれば、十分、参加者は確保できるのかなと思いますし、これはこれでひとつ成り立つ話だと思うのです。ただ、教員や行政の職員が仮に取得できなくなるとすれば、じゃあ今後は果たして誰が社会教育主事を担っていくのかという意味で、社会教育主事制度の持続可能性が非常に危うい状況にあるということを改めて認識しました。
 大学の生き残りは当然必須ですから、大学の立場からすれば非常に厳しい課題だと思います。でもそれによって委託講習が持続できないとすれば、やっぱり文科省の委託事業の在り方、委託経費の使いにくさも考慮しながらきちんと見直していく必要があるだろうと思ったのが一つです。これはどっちかというと、先ほどの青山さんの整理で言えば、社教主事の制度の維持、存続に関わって欠かせない観点で、必ず今後議論しなければならない課題だと思っています。
 もう一つ、社養協の皆さんのお話で、高度な専門性という言葉も出ましたけど、それが実践と省察のサイクルに基づいて形成され得るという議論はやはり非常に重要な御提起をいただいていると思います。このお話を考えていくと、高度な専門性とは、養成課程や講習という一定期間の中だけで養成され得るものではない、ということも同時に言えると思います。その意味では、今フォローアップ研修なども文科省の事業としても各地で開催されていて、これが今、どんな形で評価できるのかというのは、また今後議論できればと思いますけど、そうした現職研修と、ある程度セットで議論していく必要性というのも今日出された一つの論点なのかなと思います。その議論の範囲が、先ほど青山さんが設定された養成課程、講習論点にかかわってちょっと確認をできればと思います。
 私は、私自身の経験からいっても、養成課程や講習だけで、公民館や社会教育の専門性というのが形成されるとやはり到底思えないのです。そういう意味で言えば、実践と省察のサイクルですとか、あるいは蔦木さんがやっぱり講習後も継続して学びあう実践をされて、やはり言葉にされていることなのだろうなと思いました。
【青山主査】  ありがとうございます。1点目はとても重要なことで、受益者負担という考え方も、大学の収支は理解しつつ、委託講習を守れるかどうかということは大きな論点かなと思っています。2点目については、牧野さんもおっしゃっていましたが、エントリー資格であるということはこの間もずっと強調されてきたことで、前回の改正で主事講習の単位数を削減せざるを得なかった中でも、これはエントリーなのだと。当然この先も必要であるということは、特に特講をなくす議論の中などでも言われ続けてきたことですので、このワーキングでも前提であろうと思います。今後、カリキュラム等の具体的な指針を議論する中では、この内容はトレーナブルで、かつカリキュラムの中にあったほうがいい。この部分はむしろ継続講習の中にきちんと位置づけたほうがいいといったことは、議論として出していただく必要があるのではないかなと思っています。
【若園宇都宮大学准教授】  井口さんの意見を聞いて補足をしなければと思ったのですが、私たちとしても委託講習はやりたいです。やっぱり基本だと思います。第一選択はやっぱり大学がやっていくべきだろうと思っていまして、今回残念ながらできなくなった、本当、残念ながらなんです。今後、いや、もう委嘱でいいのではとなってしまうと、それは我々が先鞭っぽくなってしまうと、それは意図したとこではないというのは一応申し上げておこうかなと思っております。やはり可能であれば、大学がアカデミズムの中でやっていく必要があって、専門性とは何かというときに、やるべきこととやってはいけないことが分かることなのではないかと私は思っていて、やるべきことは当然、教育力を上げていくであるとか、そういったことをやっていく。やってはならないこととは、最低限、例えば営利しかないようなものは駄目だけど、かといって、公民館で何かを売るのは、別にそれはいいんだよという、そういうのが分かっているかどうかが専門性かなと思っていました。その辺りがちゃんと理論と一緒に語れるのは、やはり大学かなと思っておりまして。やっぱり教員として、少なくとも私は負担には思っていないです。社会教育のことをやるに当たっては、幾らでもやりますという状況でありまして、ですから教員側の負担は特に、これは全く問題ないと思っております。
【青山主査】  ありがとうございます。では志々田さん、お願いします。
【志々田委員】  ありがとうございました。いろいろな角度の御発表がたくさんあったので、一つずつコメントしたいところではありますが、まるっと。一つ目に、大学での夏の社会教育主事講習が続けられなくなっている理由として、大学の運営とか、事務手続上のお話に加えてあともう一つよくお聞きするのは、宇都宮大学はまだ複数配置されておられるのですが、社会教育を専門とする研究者の配置の優先順位が、全国の教育学部の中で位置づけが弱くなってきていて、補充されないという問題です。見落としてはいけない現実ですので、ここで押さえておきたいなと思いました。
 私が担当してきた社会教育主事講習を受けに来てくださっている、例えば学校の先生方などとお話しすると、総合的な学習の時間や探求の時間に、社会教育主事の専門性を活かしたいとおっしゃる方が増えているように感じます。あるいは、特別支援教育や社会福祉といった分野で活躍している受講生の中には、共生社会の実現を支える学習づくり、あるいは社会的処方のツールといった意味合いで社会教育の機会を生かしたいとおっしゃられる方もいたりします。教育学部は学校教育学部じゃないので、やっぱり社会教育という固有の教育学の領域を、きちんと大学で教育、研究できる体制、人材配置を整える必要があると思います。加えていうならば、社会教育主事講習の中で行われている生涯学習概論の内容は、一生涯学び、成長し、活躍し続ける次世代育成を目指している学校教員も学んでおくべきもので、教員養成課程の必須科目にあるべきだと思うのです。つまり学校教員と社会教育主事の養成、これら二つの在り方はこの先ワンセットで考えていけたらいいなとも思いました。
今回ワーキングのご発表や議論をお聞きし、社会教育主事は大学で養成すべきだということを、改めてわたしも強く思いました。北海道で実施されている社会教育主事講習を継続していくためには、大学の先生たちの支援が絶対に要るのだと、先ほど長岡委員がおっしゃたこととも通底します。この点を今日のワーキングで確認が取れたことは大きいと思います。
 それから蔦木さんの御発表の中でも、島根大学が果敢に攻めて開発してきた新しい社会教育主事講習の在り方、目指す姿が、蔦木さんをはじめとする社会教育士の社会的活動のきっかけやモデルになっていることも興味深く聞かせていただきました。島根大学の社会教育主事講習が、新しい社会教育士の姿を生み出しているという点は、とても重要なことだと思います。こうした点からも、繰り返しになりますが、社会教育主事講習が大学で養成されるべきことをしっかり確認しなければいけないなと思いました。以上です。
【青山主査】  ありがとうございます。ほかいかがですか。水野さん、お願いします。
【水野委員】  一言だけ感想を。千葉県、水野です。今日、私の心に残ったのは、若園さんの答え合わせという言葉と、蔦木さんのマインドセットという言葉で、皆さん、それぞれ能力のある方々が受けてこういうことを思ったのだと思います。ただ、それとは逆に、主事講習を受けて、私は変わったみたいな感想があれば、例えばネットワークができたとか、交流ができた以外で、私はこう変わることができたみたいな感想を拾えば、そこに何か専門性が眠っているんじゃないかと思い、アンケートを見返したいな、もっと勉強したいなと思いました。以上です。
【青山主査】  ありがとうございます。さあ、皆さんよろしいですか。続きは年明けということにさせていただきたいと思いますが、もしよければ、社養協とか若園さんとか、蔦木さんとか、言い残したことはありますか。
 じゃあ井上さんからお願いします。
【井上全国社会教育職員養成研究連絡協議会代表理事】  社養協の井上です。本当にありがとうございました。本当にかなり突貫工事でまとめさせていただきましたが、今日発言してよかったなというのがまず一つの気持ちです。議論の中で、正直私たちほっとした部分は、やはり社会教育が持つ専門性というのはそれなりに必要で、ニーズが高まっている中だからこそ、やっぱり専門性をしっかり担保しなきゃいけないという点では、個別の意見はともかくとして、この委員というか、ワーキングの中では共有されているということに確信を持てたので、それが本当に私たちにとって励みになったと。多分会員の皆さんも思っていると思います。この後また、今週の日曜日に実は研究会があるのですが、その中でまた今日の結果を報告しながら、より、もう少し具体的な提言も欲しいというのが皆さんからの声かなと思いましたので、そういうことも提言できるように、また鋭意努力をしていきたいと思っています。今日はどうもありがとうございました。
【青山主査】  ありがとうございます。蔦木さん、一言いただけますか。
【蔦木たんば社会教育士コミュニティ代表】  本日ありがとうございました。先ほどのフォローアップ研修、今年度、島根大学さんから。島根大学さんはとてもすばらしくて、修了生に募集をかけて、フォローアップ研修を企画してみませんかということで、募集をかけたところに我々も応募をしまして、選んでいただけたということで、やはり社会教育士として、こういった場で社会教育士として学んだこととか、その後、実践したことをまた社会教育士として実践されているほかの方と一緒に学びの場をつくれるのはとてもありがたいなと思っています。当然フォローアップ研修だけじゃなく、養成とか主事講習自体にも、社会教育士として活躍し始めた方が、関われる機会を検討いただけたらうれしいなと思っています。社会教育士の称号を取って終わってしまうところで立ち止まってしまう方もいると思いますが、そういった場で、自分たちの活動をお伝えできると、活動の振り返りや、今後どうしてやっていくのかということを共有でき、モチベーションも上がっていくかなと思いますので、そういったことも御検討いただけたらなと思って、最後に発言させていただきます。本日はありがとうございました。
【青山主査】  ありがとうございます。若園さん、お話しされますか。
【若園宇都宮大学准教授】  マインドセットという話がありましたが、私は今回、講習で面白かったのが、財政課にいた方がおられて、今は違うところに行って受けに来てくれた、その方が、財政課にいたときは社会教育の予算はカットしようと思っていた。やっぱり。だけどここに来て講習を受けて、あれは間違っていたと思ってくれたというのがあった。これは私も面白いなと思ったんです。それはそういう職務だと思いますが、福祉とか、財政とか、税政とか、いろんなところにこれが広がっていくときっといいのではないかなと思った一つの側面でございました。簡単なエピソードでございますけど、ありがとうございます。
【青山主査】  その人にもう一回、財政課に戻ってもらう必要がありそうですね。ありがとうございます。
 一旦これで、今日の議事は区切りまして、今日いただいたいろいろな示唆を踏まえまして、来年以降、年明け以降もまた議論を続けさせていただければと思います。それでは事務局にお返しします。
【市川地域学習推進課長補佐】  ありがとうございました。今後の予定につきまして、また別途メールにて御案内をいたします。事務局からは以上です。
【青山主査】  皆さん、よいお年をお迎えください。どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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