社会教育の在り方に関する特別部会(第11回) 議事録

1.日時

令和7年10月7日(火曜日)16時00分から18時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議併用

3.議題

  1. 明治安田の地域貢献について(金澤委員発表)
  2. 地域大学振興の取組の推進~地域コミュニティの基盤を支える社会教育に対する期待~(高等教育局発表)
  3. 地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策
  4. その他

4.出席者

委員

(委員)内田委員,清原委員,萩原委員
(臨時委員)青山委員,安齋委員,柏木委員,金澤委員,古賀委員,小見委員,杉野委員,関委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,八木委員,山本委員

文部科学省

(事務局)塩見総合教育政策局長,橋爪大臣官房審議官,神山社会教育振興総括官,吉田政策課長,中安生涯学習推進課課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,降籏日本語教育課長,坪田教育改革調整官,髙田地域学習推進課長,山本地域学習推進課地域学校協働推進室長,石橋高等教育局大学振興課長,林社会教育企画調整官 他

5.議事録

【清原部会長】  皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第11回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。
 本日は、皆様、御多用のところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本会議は対面とオンラインを併用して開催いたします。
 なお、本日はYouTubeのライブ配信にて報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者からは会議の全体について録画を行いたい旨の申出がありまして、許可しておりますので、どうぞ皆様、御承知おきください。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 本日の会議は18時までの開催を予定しています。委員の皆様の貴重なお時間をいただいておりますので、限られた時間ではございますが、御自由に充実した議論ができるように努めてまいります。会議の円滑な進行に御協力を改めてお願い申し上げます。
 本日は、諮問における審議事項の2、「社会教育活動の推進方策」のうちの4つ目の項目、「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」について意見交換をしていただきます。
 皆様の意見交換が自由濶達なものとなりますよう、本日は金澤委員と高等教育局大学振興課の石橋課長よりまず発表をしていただきます。
 お二人の発表について、事実関係の確認に関する質疑応答を行った後、事務局からこの諮問の内容等について説明をしていただきます。その後、委員の皆様に意見交換をしていただきます。このような内容で進めてまいります。
 それでは、まずは、金澤委員から御発表いただきます。資料1、「明治安田の地域貢献について」を使用して皆様に御説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。

【金澤委員】  明治安田、金澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、本日、貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
 今回、一民間企業として、当社の社会教育を含めた地域社会への貢献について御紹介させていただきます。
 それでは、まず1ページ目を御覧ください。まず、簡単に当社のプロフィールを御紹介いたします。当社、創業は明治14年、社名からお分かりになるとおり、その前身は三菱系の明治生命と芙蓉系の安田生命となり、この2社が2004年1月に合併して現在の明治安田となっております。
 営業拠点、全国に約1,000拠点ほどあり、従業員は4万7,000人、このうち3万6,000人が営業の職員で、地元で生まれ、そして育ち、地元に根差して活動する者であります。その点から、地域、いわゆる地元を大切にする、地域に貢献するという考え方を大切にしています。
 2ページ目を御覧ください。当社のパーパスとも言える企業理念、基本理念、明治安田フィロソフィーについてです。
 経営理念は、「確かな安心を、いつまでも」です。生命保険、いつの時代にも変わらない、お客様が健康で安心して暮らせるよう生涯にわたって支え続けるということを私たちの使命にしています。
 この理念の下、「人に一番やさしい生命保険をめざす」という企業理念を掲げ、さらにそれを実現するために、お客様、地域社会、未来世代、働く仲間、この4つの絆を大切にしています。とりわけ、お客様、働く仲間、そして未来世代の確かな居場所として、地域社会、この創生、発展に力を尽くしているという形になります。
 3ページ目を御覧ください。現在の中期経営計画で明治安田としては生命保険の役割を超えるということで、従来の生命保険の役割である保障、経済的な対価に加えて、記載のお客様の健康プロジェクト、いわゆる健康寿命の延伸、そして地元の元気プロジェクト、これは地方創生、この2つのプロジェクトに力を入れています。
 4ページ目を御覧ください。みんなの健活プロジェクト、いわゆる健康寿命の延伸においては、届ける価値として、健康増進型の商品・サービス、また、運動機会の提供などを通じてお客様の健康増進をサポートしております。右側、地元の元気プロジェクト、地方創生です。価値を届ける場を広げるということで、地域と連携した取組、スポーツの応援など、地域の皆様の交流機会をサポートしております。
 本日は、地域貢献として、右側の地元の元気プロジェクトを中心に御説明します。
 5ページ目を御覧ください。地元の元気プロジェクトでは、記載のとおり、自治体や各種公共セクターとの協業取組を展開しております。自治体様との協業が中心となりますが、記載のとおり、公民館、道の駅での講演や健康イベント、またはスポーツでは、Jリーグの各クラブとの協業をしております。
 この協業取組を通じて、地域活性化、地元住民の健康増進に貢献することで社会的価値を創出し、その効果として地域で明治安田の認知度向上、新しいお客様の接点確保となるように考え、そこから経済的価値につなげていくという考え方で取組を展開しております。
 昨今言われるCSV経営、社会的価値の取組を事業機会につなげていくとご理解いただければと思います。
 6ページ目を御覧ください。こちらが会社取組の全体像でございます。左上、自治体様、公民館、道の駅、そのほか、健康マージャンなど様々なものをしております。
 7ページ目を御覧ください。ここからは具体的な内容を御説明させていただきます。記載しておりますのは、中心となる自治体との協業取組でございます。当社、現在、市区町村の取組を中心に1,000を超える自治体様と連携協定を締結させていただいています。これは全国に1,000の営業拠点を持っておりまして、原則、営業拠点の所在地にある自治体様とは連携協定を結んで進めるという考えに基づいています。
 8ページ目を御覧ください。当社では、連携協定を締結した自治体様とは協議取組、その一丁目一番地として、全国統一で、行政サービス案内活動、これを展開しております。行政サービス案内活動は、イギリスで始まった社会的な処方、こちらの考え方に由来しております。
 9ページ目を御覧ください。各自治体では、御承知のとおり、健康、介護、子育て、防災、防犯など様々な情報を住民に発信しているものの、自治体の幹部の皆様からは、実施しているサービスが地域住民までなかなか届かないというお話を聞いております。もしくは利用できているのか、利用した評価はどうなのかということに興味・関心を持たれております。
 10ページ目を御覧ください。それに対して行政サービス案内として当社の営業職員(MYリンクコーディネーター)が自治体様と地域住民の橋渡しとして住民の方々へ自治体の情報をお届けするという活動をしております。これは、営業職員おのおのが持つPCの中に各自治体のサービスが収納されていて、御紹介できるというところでございます。
 昨年度実績としては、記載のとおり、地域の方々に様々な情報を届けさせていただいています。
 11ページ目を御覧ください。この活動の結果、行政サービス案内については、地域課題の把握、そしてそれを活用した新たなサービス提供のきっかけとなるという点が評価され、昨年度、消費者志向経営優良事例認定として消費者庁長官賞を頂いております。
 12ページ目を御覧ください。行政サービス案内以外にも、連携協定を基に自治体との協業取組を実施しております。昨年度については、全国各地で協業イベントを実施し、数多くのイベントを実施させていただいています。
 右側の写真にあるとおり、地域住民の方々向けに、健康チェックイベント、こちらが主になりますが、中には、右下の写真にございますとおり、こちら埼玉で行った事例になりますが、非常に厳しい貧困の世帯が増えているという地域課題に対して、埼玉県と協働でこども食堂支援、いわゆるフードドライブなどの取組を展開しております。
 13ページ目を御覧ください。最近では、全国一律の取組に加えて、自治体や地元の企業と協働で各地域の個別課題解決を図る取組を展開しております。例えば右側一番上に記載している「こどもシゴト博」でございますけれども、こちらは若者の県外流出、高校を卒業した後、大学に行って戻ってこないという人口減少という課題に対して、子供たちの地元愛、もしくは地元で働くことへの憧れ、これを醸成するために、地元の中小企業と協力して、そこの企業の就業体験、ワークショップなどを各地で展開しております。
 また、中ほどに記載しておりますけれども、長くパートナーシップを締結しているJリーグ、Jクラブ様と廃校の改修やグラウンドの整備など、各種の運動環境の改修などを実施して整備した施設で地元住民向けの健康増進イベントなどを開催しています。
 14ページ目を御覧ください。こうした取組を、やりっ放しではなくて、年2回、自治体の皆様に実績報告会としてフィードバックをさせていただいています。実績報告会では、先ほど申し上げたような当社の行政サービス案内で把握してきた地域課題、地元の住民の声などをフィードバックさせていただいています。
 15ページ目を御覧ください。自治体様にも必ず満足度を調査させていただいて、我々の取組がどうなのか、問題はないかということを評価いただいています。
 これらの取組は、当社としては、始めたら必ず長く持続していくことが大切だと考えております。
 16ページ目を御覧ください。続けて、当社として大切にしているパートナーであるJリーグ、各種のJクラブとの取組です。Jリーグとのパートナーシップも今年で11年目になりました。長期に続けることが大切だと考えておりまして、全国の60のJクラブとパートナーシップを締結させていただいて、60のクラブと各地で子供向けのサッカー教室やウォーキングイベントなどを通じて健康増進を提供させていただいております。
 17ページ目を御覧ください。こちらも、やはり日々評価を受けるということが大切でありますので、私たちの活動についての評価を必ずいただくようにして、満足度は高い状況ですが、何か問題がないのかという確認を継続しています。
 18ページ目、19ページ目については、健康経営の取組や、道の駅、各地の祭事、こちらも支援しておりますので、後ほど御確認いただければと思います。
 それでは、地元の元気の公民館プロジェクトについて御説明をさせていただきたいと思います。
 こちらは地元貢献の一つの取組として、社会教育への貢献できないかということで始めさせていただいています。21ページ目を御覧ください。全国1万4,000の公民館において、全国公民館連合会様と地域コミュニティの持続的な発展と、この協働するというプロジェクトを展開させていただいております。記載のとおり、人づくり、つながりづくり、地域づくりに貢献することを目的に取組みを進めております。
 22ページを御覧ください。公民館においては、地域社会の課題解決、地域住民のQOL向上に資する講座を我々の従業員が実施させていただいております。MY定期講座と銘打ち、住民向けに定期講座をさせていただいている状況でございます。
 23ページを御覧ください。昨年度は、1年間で2,000を超える公民館で実施させていただいて、健康、睡眠、子育て、口腔ケア、等のテーマで3,000を上回る講座を開設して対応させていただきました。
 24ページ、25ページについては、我々のほうで提供させていただいている講座を簡単に記載させていただいております。後ほど御確認いただければと思います。
 それでは、続いて26、27ページをご覧ください。当社が子供たちにできることとして、サッカー教室などを開催して健康づくりしておりますが、それに加えて、お金の知識、もしくは保険、金融・保険に関する教育を実施しております。
 28ページ目を御覧下さい。金融・保険教育の授業で使用するテキストといたしまして、オリジナルの教材を作らせていただいています。こちら文部科学省様が推奨する教育DXの実現を目指したデジタル教科書ポータル、「EduHub」、これを初年度から掲載をさせていただいています。
 29ページ目を御覧いただけますでしょうか。その中で、人生100年時代のリスクについてということで、保険の仕組み、お金の仕組みなどに関する授業をさせていただいています。
 30ページ目はその実際の様子の写真になります。
 31ページ目をご覧ください。この取組は2020年から開始をさせていただいておりまして、今年で5年目になります。最初はなかなかうまくいきませんでしたが、2024年においては、2,500校を上回る学校で開催させていただいて、5年間の累計4,800になる教育をさせていただいております。
 32ページ目を御覧ください。単なる学校教育だけではなく、岐阜県の事例になりますが、小学校の校内放送を活用した金融・保険教育なども実施しております。こちらは県の教育委員会や地元の放送局、あとは地元企業との取組で、聞いて学ぶ社会見学をテーマとして毎月校内放送で様々な教育機会を提供させていただいているというような状況でございます。
 33ページ目を御覧ください。こちらは本社での取組ですが、子供たちを呼んで、座学だけではなく、体験、学びをさせていただいているというところです。
 34ページ目を御覧ください。実は金融・保険教育以外にも、SDGsを学べるボードゲームも自社開発して出張授業のコンテンツとして展開しています。こちらは、第19回のキッズデザイン賞を受賞するようなものとなっています。
 35ページから46ページまでは、当社の健康増進に資するスポーツ、健康診断、エンタメの3つの分野のコンテンツを記載しておりますので、後ほど御確認いただければと思います。
 最後、47ページを御覧ください。社会教育、民間企業としての連携においての視点ということを記載させていただきました。一民間企業として地域貢献、社会教育の取組を紹介させていただいておりますが、今、民間企業が置かれている状況というのは、記載のとおり、予測困難な時代、いわゆるVUCAの時代と考えます。その中においても、多くの民間企業は、お客様から選ばれるためには、経済的価値を追い求めるだけではなくて、社会的貢献を通じた社会的価値の創出、この両立を目指すCSVが大変重要だと考えます。
 したがって、民間企業としても社会貢献に取り組む必要性、意欲は持ち合わせていますので、民間企業が社会教育に対してウィン・ウィンを感じるような仕組み、環境の整備が非常に大切だと思います。
 そういう意味で、1点目は、自治体参画、企業の参画、これが目に見える形、それが評価される仕組みをつくっていくことが大切であると思います。
 2つ目に記載しておりますように、例えば、認定制度の創出や、もしくは最後に記載しているような、企業協働の促進に資するようなネットワーク、プラットフォームなどをつくっていくことも大切だと思います。
 あとは、今回文科省のほうから、民間企業の人材が教育に貢献した場合の税の控除制度などを提言いただいていますけれども、それらは非常にすばらしい後押しになると思います。ぜひともそのようなものが実現できるようにしていただければなと思います。
また、今回文科省様から、民間企業の人材が教育に貢献した場合の税の控除制度などを提言いただいておりますが、民間企業が社会教育に乗り出す後押しにつながると思います。冒頭申し上げた、民間企業が社会教育に対してウィン・ウィンを感じるような仕組み、環境の整備がやはり非常に大切だと思います。
 私からは以上です。

【清原部会長】  金澤さんどうもありがとうございます。金澤さんは明治安田生命保険相互会社執行役員で、地域リレーション推進部長のお立場から、企業の地域貢献について御報告をいただきました。企業の基本理念の御紹介、その中で、みんなの健活プロジェクト、地元の元気プロジェクトのうち、地元の元気プロジェクトを中心に本日は御紹介をいただきました。
 自治体を中心とした協働の取組では1,078の自治体との連携、また、Jクラブは60クラブとの連携、そして公民館連合会等との連携によって、この5年間、累計で4,875の講座を実行されているということ、また、金融・保険教育の汎用教材についても御紹介いただきました。そして最後に47ページで、「企業と社会教育の連携に当たっての視点」として3つの点を御提案いただきました。
 それでは、続きまして、文部科学省高等教育局大学振興課の石橋課長から、資料の2、「地域大学振興の取組の推進~地域コミュニティの基盤を支える社会教育に対する期待~」と題する資料を基に御説明をいただきます。
 それでは、地域大学振興の取組について、石橋課長、よろしくお願いいたします。

【石橋高等教育局大学振興課長】  ありがとうございます。このたびはこのような機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。私自身、社会教育の在り方に関する諮問のときに関わらせていただきましたので、このような場で今度は大学のことを御説明させていただけるということで大変うれしく思っております。ありがとうございます。
 では、早速入っていきたいと思うんですけども、めくっていただきまして、「地域コミュニティと大学」というところのページを2ページ目、準備させていただきました。これは実は現在は当課ではなく生涯学習推進課のほうで担当していただいている事業になりますけれども、平成25年度に大学を地域の拠点ということで、COCというのはセンター・オブ・コミュニティーという考え方で、大学が地域の中でどう役割を果たしていけるのかと、地域のための大学という構想で、これは予算事業を始めました。
 ここから、実は、COC+、COC+Rとして令和6年度までこの事業を続けてきたわけですけども、この間、地域の課題と大学をどういうふうにマッチングしていくのか、それから、さらに言えば、地域で求められる人材養成をぜひ就職先までつなげていこうと。こういうようなプログラムに発展しながら進んできたということでございます。
 この前提というか、大学は、今、地域のコミュニティと共にあるというような考え方で大学行政も進んできたということをまずは御紹介したいなと思っております。
 次のページでございますけれども、高等教育に関しましては、2月に中央教育審議会において大きな答申をおまとめいただきました。清原部会長にもこれには御参画いただいているというところでございますけれども、「知の総和」向上の未来像ということでございまして、この数字をいいますとなかなか暗い気持ちにもなってしまうところがあるんですけども、大学進学者数推計が2021年62.7万人から2040年46.0万人というところで、約3割減ってしまうという中で、いかに我が国の「知の総和」を向上していくのかということがポイントになってきております。
 その中で、質、規模、アクセスというふうな整理をいたしまして、これをそれぞれしっかりと取り組んでいこうというのがこの答申の方向性でございます。
 地域との関係はアクセスというところに大きく関わりますので、ちょっと飛ばしていただきまして、5ページ目を御覧いただければと思いますけれども、高等教育へのアクセス確保というところで、特に地理的観点からのアクセス、その地域に学びたい高等教育機関がなくなるということをいかに止めていけるかということでございまして、連携する意味でのプラットフォームであったり、推進機構であったり、また都市から地方への動きを促進する地方創生であったり、このようなことに取り組んでいくべきだという御提言をいただいているところでございます。
 少し飛ばしまして、このような流れも踏まえて、大分飛ばしてしまうんですけども、10ページを御覧いただければと思います。実はこの4月に当課の中に地域大学振興室というものを設置いたしました。これはまさに先ほど御説明しました「知の総和」答申も受けまして、地域ごとのアクセス確保、それから、地域で高等教育機関がしっかりと役割を果たしていけるように、そのときはもちろん高等教育機関だけではなくて、産学官金労言と今言われておりますけれども、一体となって、その地域、地方を支えていくということを目指していきたいと考えております。
 次のページ、11ページを御覧いただければと思いますけれども、11ページは、地域大学振興に関する有識者会議というものを振興室のほうで立ち上げまして、ここは答申を踏まえた、このような先生方に入っていただきつつ、さらにこの特別部会にも東さん、東委員、大学生の方、入っていただいておりますけども、同様に特別委員には大学生も入っていただきまして、まさに地域の中で、大学、それから大学生がどのような力を発揮していけるのかということを議論いただいてきているというところでございます。
 具体的に今回、夏に予算要求の前に、一旦、地域大学振興プランに向けた整理というものをさせていただいておりまして、次のページでございますけれども、これまでの経緯と今後の進め方ということで、これまでは「知の総和」答申ということを踏まえてやっておりますけども、第3回の会議までの意見というところをちょっと御覧いただければと思いますが、やはり地方創生のための地域の産学金等の連携促進が非常に重要であるということ。それから、地域アクセスを確保するために大学と地域の関係者の間の連携が重要。そして一番大事なところは実は④なんですけども、やはり地域のことをよく分かっている学生さんというのは、やっぱり地域に残っていこうという思いを強くするということを、まさに学生委員の方々からそのような御発表が結構相次ぎまして、やはり地域をより豊かにしていくための学生がそこで学ぶこと、そしてまた仕事につながっていくことの重要性ということも確認できたところでございます。
 地域大学振興プラン、次のページ、そのまま続きでございますけれども、ここは予算事業の中で、プラットフォームの構築であったりとか、都市部の大学から地方の大学との行き来というようなことを挙げていただいているというところでございます。
 加えて、文部科学省内でも地方大学の振興ということで、次のページ、14ページになりますけれども、議論をいたしまして、次の15ページが分かりやすいかなと思うんですが、地方大学の振興に向けてということで、やっぱり大学というところですので、教育、研究、社会貢献という3つの大きなミッションを持っておりますけれども、新産業創出であったりとか、エッセンシャルワーカー等の育成を目指して、地方の大学がそこをしっかりと振興していくということ、また、地域をフィールドとする学びによる定着人口・関係人口の増加、それから、留学生に関しましても、高等教育機関をゲートウェイとすることによって外国人材がしっかりと地域に定着をしていくということ、それをしっかりとプラットフォームで支えていこうというような取りまとめもしたところでございます。
 少し予算の話になりますけれども、ちょっと飛ばしていただいて、18ページになりますけれども、18ページのところに、今回、大きく2つ事業を要求しておりまして、1つ目ですけれども、「地域構想推進プラットフォーム」構築推進事業というものでございます。これは先ほどちょっと申し上げました産学官金労言が一緒になって、地域における高等教育をどう支えていくのかという議論をしていただくとともに、それはもちろんそこの人材需要であったりとか、産業構造であったりとか、高校との連携とか、こういうことも非常に重要であろうと思っておりますので、まさに議論をし、具体のアクションにつなげていただけるような場としてちょっと御支援をしたいなと思っております。
 そういう意味では、実は、社会教育主事の方、社会教育士の方、こういう方々が持っているコーディネーション機能というのはこういう場でも大きな意義を持つのかなと思っておりまして、地方公共団体というところの関わり方なのか、地域、いろんな方々の関わりの中なのかはあれですけれども、そういうこれまでまさにコーディネーションやってきてくださった方々がこの中に入ってきていただけるとさらによい取組になるのかなと思っているところでございます。
 次のページでございますけども、これは大学の事業になるんですが、都市部の大学から地方に国内留学というのをやってみてはどうかということで、東京生まれ、東京育ち、そして東京の大学に進学したという学生さんが実はちょっと増えてきているというような今の状況でございます。
 その中で、例えば、夏休みの期間を利用するみたいなやり方もありますし、1学期間行ってみようということで取り組んでくださっている大学、それから牧野委員がいらっしゃる大正大学も実はこういう取組してくださっているんですけれども、こういうところで、国内で都市と地方を移動し、関係人口、それから、場合によっては2拠点居住などのほうにつなげていけることはできないかなあということで、このような御支援も考えたいと思っているところでございます。
 最後のページでございますが、大学は地域の真ん中でしっかりとその役割を果たしていこうということでこれまで取り組んできているところでございますが、やはり先ほど少し申し上げましたように、高校・大学でどういうふうに地域と関わった学びをしたかということが、学生さんの進路・就職先選択に大きな影響を与えているということも、よくそういう声が聞こえてきているところでございますので、社会教育主事や社会教育士の皆さんがそういう学びの場に一緒に入っていただけることによって、さらに学びが充実されるのではないかなと思っておりまして、そのような連携を御一緒にできれば大変ありがたいかなと思っております。
 それから、地域の人材ニーズというところで、これは産業とか、エッセンシャルワーカーとか、地域を支えるというところになっていきますけれども、やはり高校、それから大学、そして、高校の中で例えば学校運営協議会などですけども、地域と一体となった高大連携の取組も大変重要かなと思っておりますので、このような観点をこの特別部会の中での御議論の中でも参考にしていただきつつ、大学とどういう連携をできるかということを共に考えていければなと思っております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【清原部会長】  高等教育局大学振興課の石橋課長から、地域大学振興の取組の推進を踏まえて、地域コミュニティの基盤を支える社会教育に対する期待について御報告をいただきました。
 知の拠点整備事業の御紹介から始まり、「知の総和」答申を踏まえて、地域大学の振興に関する有識者会議が設置されており、それには大学生の委員が加わっているということ、そして、「地域大学振興プラン」をもう既に8月に公表されていらして、それを踏まえて、「地域構想推進プラットフォーム事業」でありますとか、「国内留学事業」でありますとか、それを進めていく上で、社会教育人材の活躍の可能性を御提起いただきました。資料の最後の20ページには、さらに、「地域コミュニティの基盤を支える社会教育に対する期待」として、1、魅力ある地域の学びの場の整備、そして2として、地域の人材ニーズを踏まえた高校等と大学の緊密な連携促進ということを提案していただきました。この中には地域の産業界はじめ、地域関係者との連携ということを御提案いただいています。
 それでは、金澤委員、そして石橋課長のお二人の発表につきまして、事実関係の確認について御質問がございましたら、挙手をお願いいたします。会議室の方は名札を立てていただくと助かります。オンラインの方はどうぞ挙手ボタンを押してください。
 どなたからでもどうぞ。いかがでしょうか。
 それでは、関委員、どうぞ。

【関委員】  関でございます。金澤委員、私どもも明治安田様に様々な事業に御支援いただき活動を進めております。本当に感謝申し上げたいと思います。
 一点お尋ねします。少し気を回し過ぎなのかもしれませんが、どうしてもこれまでの社会教育をやってきた人たちは、社会教育法の23条の1項の定めにある特定の営利活動、特に企業との連携協働に対しては、割と高いハードルを設定している気がします。今日のお話にもあったプラットフォームがあれば、様々な社会貢献の意思を持った企業に対し、公平な開かれた機会提供の中で、特定の企業ではなくて安心するのではとも考えます。今まで、公民館での社会貢献活動のご経験の中で、関係性を構築するにあたって、何か疑問を感じたようなことなど今までございませんでしたでしょうか。

【清原部会長】  金澤委員、いかがでしょうか。よろしいですか。

【関委員】 営利活動への支援みたいに思われてしまうといった感覚を持っている公民館など、ひょっとしたらあったのかもしれないと心配になって、確認させていただきました。

【清原部会長】  よろしくお願いいたします。

【金澤委員】  ありがとうございます。おそらく、二極化していて、公民館を運営している方でも、自分たちだけでは難しい、リソースがない、だから民間を使うという前向きの方もいれば、御懸念いただくように、民間1社、もしくは、なぜ明治安田なのかを気にされる方もよくいるということは、現場レベルの悩みとしてよく聞くところでございます。
 それに対して、我々としては、理念や趣旨、背景をお伝えして御理解いただけるように取り組んでおりますが、国全体、文科省様のほうでも御理解いただけるよう働きかけていただけると大変ありがたいと思います。ありがとうございます。

【関委員】  全く同感です。そういったルールができたらいいなと感じます。

【清原部会長】  ありがとうございます。そのために自治体との連携協定をされていて、営利ではなく、まさに企業の地域貢献として、かくかくしかじかの項目について取り組むという話合いの下での協定書の意味が大きいのではないかなと私は受け止めましたが、いかがでしょうか。

【金澤委員】  おっしゃる通り、多くの自治体さまと連携協定を結ばせていただいて、その一環として取組みを進めております。ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。オンラインでは挙手されている方はいらっしゃらないですかね。
 それでは、御質問がなくても、今の金澤委員の御発言を基に後ほど意見交換に反映していただければと思います。
 石橋課長に御質問のある方いらっしゃいませんか。
 大丈夫ですかね。
 私、もしよろしければ金澤委員に質問させていただきたいことがあって、部会長として遠慮すべきところですが。つまり、私は企業が一方的に地域貢献をしているということだけではなくて、私は、社員の方が地域と関係するときに、顧客としての住民の皆様というだけではなくて、生涯学習、公民館の現場ですと、まさに学ぶ人としての住民の皆様と出会われて、社員の方にも気づきがおありになると思うんですね。
 ですから、企業の使命として地域貢献活動をされているんだけれども、それを通して社員の方が何か気づかれたり、新たな発見をされたりすることによって、社員の皆様の成長というか、あるいは社員としてだけではなくて、人間としての得るものであるとか、そういうものを担当の部長さんとしてお感じになっていらっしゃることはおありですか。いかがでしょうか。

【金澤委員】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、もともとは地域貢献に対する意識はそれほど高くなかった社員が、取組みを通じて、地域の課題を認識したり、地域とのコミュニケーションに対して積極的になったりというケースを見てきております。また、人材育成面では、地域貢献を通じて気づきを得て、人として、社会人として、または地域住民として成長するケースを非常によく見てきておりますので、企業が地域貢献に取り組むことが従業員に対する社会教育にもなると実感しております。

【清原部会長】  どうもありがとうございます。牧野副部会長、どうぞ。

【牧野副部会長】  すいません、失礼します。金澤さんにお聞きします。今の清原部会長の意見とも関わりがあるのですが、ご紹介いただいたような活動をされていく過程で、例えば従業員の方が変わっていかれた。そして、従業員が変わっていかれたことによって、例えば企業の経営の在り方がどう変わっていったのか、などについてお聞きできないかと思います。つまり、営利ということではなくて、むしろ企業そのものが、今、大きく変わろうとされていると思うのですけれども、企業の在り方そのものが、このような活動を行うことで、何か影響を受けて変わったとか、または経営についての考え方をお変えになってきたということが何かありましたら、少し御紹介いただきたいと思ったのですけども、いかがでしょうか。

【清原部会長】  どうぞよろしくお願いします。

【金澤委員】  ありがとうございます。31ページ目をご覧ください。下段のところに、「Kizuna運動」という記載がございますが、弊社は、役職員、従業員のボトムアップ小集団活動を実施しております。相当前から長期間にわたって実施しており、この活動が地域に対する貢献の源流になっています。地元の学校の金融教育等の社会貢献活動をボトムアップで取り組んでいるうちに、社会的価値の向上は企業としても重要であることから、会社政策としての取組みになり、社会貢献活動による信頼関係の構築から、実際に経済的価値にもつながってきているところです。
 申し上げました事例のように、経営として5年前から2つのプロジェクトを推進しており、いまでは、「明治安田生命」から今通称「明治安田」とし、生命保険を超えようということで、新しい領域に経営が進み始めたというところはございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。
 そのほかよろしいでしょうか。
 野津委員、お願いします。

【野津委員】  島根県の野津です。石橋課長さんに、すいません、下世話な話なんですけど、地域構想推進プラットフォームの参加者の要件って、金とか労とか言って、これは必須なんですか。

【清原部会長】  お願いします。地域構想推進プラットフォームの参画者が「産官学金労言」と紹介がありましたが、いかがでしょうか。

【石橋高等教育局大学振興課長】  できるだけ多くの方が入っていただくのはいいと思っているんですけども、要件で全てが入ってなきゃ駄目とまで要は事業の中でするかというのはちょっとこれからの検討かなと思っているんですが、やはり産学官、特に金融機関は本当に地域の中でコーディネーター的な役割なども含めてやっていただいているというところ。それから、労は労働者ということになりますけども、それはいろんな形の方いらっしゃると思いますし、言はマスコミの方なので、やっぱり地域を元気にしていくためのいろんな発信もしていただけるのかなと思っております。
 特にマストにするということではないんですけども、いろんな方の参画を得ていくほうが地域にとってより発展があるのかなと我々としては思っているというところでございます。

【清原部会長】  野津委員、どうぞ。

【野津委員】  うちの県ではCOC+の協議体をそのまま、今、その頃からずっと残して、経済界を7団体入れて、県と大学2つと、教育委員会とやっていますけども、以前も地方創生の一番最初のとき、労、言とか入って、後から金が追加されて、ちょっと迷惑だったなという。当時そっちの担当をやっていたものですから、余りウイングを広げ過ぎると、組織の中に入れる必要はないと思っていて、オブザーバーとか、意見を聞くという形なら、もちろん経済界、経済界イコール金融、地方は金融なので、金融とマスコミなので、十分意見は聞ける形にはなっているので、意見を聞くようにしていれば、構成員の中にはぜひ入れないようにお願いしたいなと。すいません、こんな話で。

【清原部会長】  関連して私に思い出したことがございまして、三鷹市長在任中に、地方創生法に基づく「まち・ひと・しごと創生総合計画推進会議」を設置いたしましたときに、私はあえて国の官僚の方にも委員になっていただいて、そして地元の金融機関の代表、そして労働組合、連合推薦の方、そしてマスメディアの方にも入っていただいた経験があるので、目安として、多様性を反映していただいて、できる限り多角的に臨んでいただくということと、私が注目したのはやっぱり大学生というか、若者、当事者に入っていただくような目安をつくっていただくことは有用かなと思いました。
 それでは、八木委員、お願いいたします。

【八木委員】  熊本市国際交流振興事業団、八木といいます。お二人の方にお聞きしたいと思います。金澤委員ですけれども、御社のCSR推進体制が中央1つでコントロールをしながらやられているのか、地域ごとに推進されるのかをお聞きします。もう一つは、営利企業としてCSRの事業に関して、全利益の中の何%ぐらいを割り当てられているのかを教えていただければと思います。
 石橋課長に対して、資料の15ページで、地方大学振興に向けた取組の方向性、全体像とある中で、3番の中に、国際化と外国人材への定着ということがあるんですけれども、このために留学生に学んでもらいたい科目があるのでしょうか。具体的に言うと、日本語教育に関しては、このレベルまでを留学生に学んでくださいとか、そういった指針があるのかをお尋ねします。地方大学の中には、定着というよりも、グローバル大学を目指し英語を中心に進めている中で、定着と相反する方向性というのがあります。留学生の定着ということでお考えを教えていただければと思います。

【清原部会長】  それでは、まず金澤委員にCSR体制について御質問ありましたので、お願いします。

【金澤委員】  御質問ありがとうございます。まず、1点目の体制につきましては、弊社の場合、地域を13のブロックに区分しております。それぞれにブロックに本部組織を配置しておりまして、本部組織を中心に、活動のコントロールをしております。
 意識しているのは、あまり本社から指示を出しすぎないようにしております。やはり地域ごとに課題は異なるため、連携協定を結んだ地域の自治体様がどういう課題を持っていて、どう解決をしたらいいのかということを一緒に考えて、その解決策を一緒に従業員が取り組むという形を取っています。地域ごとに主体的に取り組むということが重要と考えております。
 2点目の予算につきましては、発表で申し上げましたとおり、通常の活動の中で地域課題の解決、地域貢献に取り組むということを会社政策としておりますため、CSR事業として予算をつけることはしておりません。

【八木委員】  ありがとうございます。そうしますと、前者に関しては13のブロック間でうまくネットワークの構築や情報交換を頻繁にされているということですか。

【金澤委員】  先ほど申し上げました本部組織には、本社と兼務の担当スタッフを配置しておりますので、担当スタッフと連携しながら、取組みを進めております。取組みに対する本社の考え方を伝えたうえで、その考え方に基づいて、各本部組織で地域にあった形で取組みを推進しております。

【八木委員】  ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。それでは、石橋課長、留学生の定着に関する御質問いただきました。よろしくお願いいたします。

【石橋高等教育局大学振興課長】  ありがとうございます。大学は、それぞれの教育課程の中、そしてその後卒業後どういう進路をその学生に歩んでいただくかということで、英語のみで取れる学位を準備する場合と、基本的にN2以上と通常言われております、通常日本語能力試験のN2以上を取れているかというところで学生の受入れをしている場合と、恐らく両方あり得るんだろうなと思っております。
 文科省としては、やはり先を見据えたときに、どちらのほうがいいのかということで大学に教育課程を編成していただき、英語のみで取れるか、日本語をきちんと習得した上で学んでもらうかということでやっていただいているので、地方には両方の大学が存在するというのは今おっしゃってくださったとおりかなと思っております。

【清原部会長】  よろしいですか。

【八木委員】  ありがとうございます。一つ事例として、英語で全て授業を行うという過程で、数年たって、いざ帰るときになると、日本に住みたいと言い出す学生が大変多くいます。そういう意味では、留学生に何らかの生活に必要な日本語教育を義務づけてもいいのかなと思ったところです。ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。
 それでは、お二人の発表に関する質疑はこの辺りとさせていただきまして、本日の審議事項について皆様と共有をさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局の髙田地域学習推進課長に御説明をお願いいたします。皆様、資料の3をお手元に置いてください。お願いします。

【髙田地域学習推進課長】  地域学習推進課長です。資料3の2ページを御覧ください。赤字になっております。今日の審議事項、「社会教育活動の推進方策」の中の「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」ということでございます。
 3ページ、次のこれも赤字になっているところの確認ですけれども、今日、この下のほうですけれども、民間企業等による取組だとか、行政機関や高等教育機関、そういったところの取組に対し、社会教育が連携・貢献し得る観点からの御検討をお願いしたいというものでございます。
 次の4ページから、過去の答申等における企業や大学と社会教育との関わりについて記載があったようなところについて赤字でまとめております。
 最近ですと、平成30年の中教審の答申あたりで、企業のCSR、多様な多彩な地域貢献活動が行われていることについての紹介もございますし、次の5ページについて今日もお話ありましたけれども、行政と企業双方にとってウィン・ウィンの関係づくりというのを目指していくというような、そういったようなことが述べられております。6ページも同様の内容ですので、御確認いただければと思います。
 それで7ページに移りまして、特に本日御議論いただきたい事項ということですけれども、これ、過去にNPOを含めた多様な主体が担うまちづくり等の観点の議論の際に出した資料についてのものなんですけれども、赤字の部分について課題のところで追加しております。企業や大学の関係について新たに追加しております。
 具体的に申し上げますと、これまでも様々な企業のCSR活動が行われてきたといったところであるが、こうした取組の中でも、今後、人口減少や人手不足といった状況がある中、地域貢献活動のさらなる活性化や社会教育との連携を推進するために必要となることは何かということだとか、大学等の高等教育機関について、各地域の知の拠点として地域課題の解決への貢献や地域に根差した人材育成等が期待されているところですけれども、社会教育は高等教育機関とどのように関わっていくことが考えられるのかというようなこと。
 また、各地域の大学において、社会教育主事講習、中核的な実施機関としてやっていただいておりますけれども、大学をめぐる厳しい財政状況等を背景にこれらの規模の縮小を懸念するような指摘もあり、こういった中で、社会教育人材を持続可能な形で養成していくために求められることは何かというようなことについて、また改めて議論いただければと考えております。
 あと、参考に8ページ、9ページ、先ほど金澤委員のほうから少し言及がありました地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除の創設というようなことを文科省として要望しているところでございまして、この中で今考えている内容として、企業に貢献いただいている活動が地域学校協働活動として位置づけられていることだとか、学校運営協議会の承認を得るということだとか、活動日数、貢献にかかる費用等が基準以上になっているような内容のものについて一定の税額控除ができないかというようなことを考えているというものでございます。
 9ページ目に具体的なモデルというようなこともございますけれども、企業の従業員の方が定期的に学校に来て、指導者として様々なことをしていただいている間の部分が、実際に従業員としての活動の一定の割合、ここで10%、20%と書いておりますけども、そういったようなものに当たる場合に、税額控除してはどうかというようなことを今、検討しているというものでございまして、ちょっと参考までに御紹介させていただきました。
 私のほうからは以上でございます。
 あと、最後、資料4として、説明は省略いたしますが、前回までの意見の概要をまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 私からは以上です。

【清原部会長】  髙田地域学習推進課長、御説明ありがとうございます。資料3では「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策について」まとめていただきました。その資料の7ページに本日御議論いただきたい事項を提案させていただいています。そのために、金澤委員、そして石橋課長から御説明いただきましたものを大いに参考にしていただきながら、本日の御議論いただきたい事項に沿ってお話をしていただければと思います。
 なお、まだ決定事項ではないとのことでございますが、「地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除の創出」や、「民間企業の従業員が学校教育活動の指導者として活躍するモデル」についても御紹介をいただいたところです。
 それでは、どなたからでも結構でございます。オンラインの方は挙手ボタンを押してください。会場の方は名札を立てていただくと助かります。
 首長部局の取組、地域の様々な課題について、民間企業や地元の大学とどのように連携していくことが望ましいか、そしてその中で社会教育の在り方がどのように関わってくるかということについてです。
 それでは、小見委員、御発言をお願いいたします。

【小見委員】  みらいずworksの小見まいこです。途中退席のため、すいません、初めに発言させていただきます。
 まず、企業が地域学校協働活動に参加した際の税額控除制度にぜひ期待したいという点です。先日、ある中学校の運営協議会で、企業の税制控除制度について紹介をしましたら、企業が学校に関わってくれるなら、子供たちがもっと多様な大人と出会い、社会の変化や新しい学びに触れられるのではないかという賛同の声が非常にたくさん上がりました。
 また、コミュニティースクールにおいては、保護者の巻き込みが難しいという声を各地で耳にします。仕事と家庭で手いっぱいで地域活動に関わる余力がないという保護者が大半だと思います。企業の理解が広がれば、企業にお勤めの保護者が仕事中でも学校のPTAや地域学校協働活動などに例参加しやすくなります。それは保護者にとって新たなネットワークを築いたり、学び直しの機会にもなるので、企業にとっても人材育成につながるのではないかと考えています。
 2点目は、企業人材と地域の接点づくりについてです。私たちのようなNPOには、今、企業の中堅社員や次期リーダーの養成、もしくはセカンドキャリア探しのために、NPOを介して越境して、地域課題と対峙し、課題解決を越境学習で学ぶという企業の皆さんが数多く集まっております。
 私たちの団体には年間で三、四名ほど、東京などから越境して来てくださるという年もあり、その後、プロボノとして営業支援やファンドレイズなどで力を発揮されている方もいらっしゃいます。
 企業で培った力というのは、地域コミュニティやNPOの課題解決に大きな価値をもたらしてくれると考えています。
 ただし、必要なのは、企業の皆さんの時間と地域との接点をどう生み出すかだと思います。身近な例で恐縮なんですが、うちの夫のことを少し紹介したいと思います。夫は以前、仕事と家庭の往復だけで、転居したばかりということもあり、身近に友達がおらず、寂しそうでした。そこで知人を介して自治会長さんを紹介していただき、防災訓練の企画に関わるようになりました。もともと防災士だったのですが、今では地域の訓練を運営したり、消防団や子供会にも参加するようになりました。高校生と一緒に防災訓練を企画するなど、活動がどんどん広がっていき、現在は本人にとっては、生きがいにもなり、地域のつくり手にもなっています。
 我が家の場合は、私が社会教育の関係者ということもあり、夫を地域コミュニティにつなぐということをしたんですけれども、このように地域で必要とされている人材は、企業ですとか大学の先生、学生にもたくさんいらっしゃいます。社会教育の役割は、そうした人材が地域とつながり、自分の力を発揮できる機会を開いていくことにあると思います。つまり、つながるきっかけをつくるということです。きっかけづくりとして地域側からのアプローチだけでなく、ぜひ企業側からのアプローチも必要だと考えています。
 例えば、企業の人材育成の担当の方や大学の地域連携の担当の方が社会教育士の称号を取得していただければ、社会教育の視点で地域に目を向け、企業や組織の人材を越境して地域に送り込んでいただき、共に学ぶという接点づくりが促されるのではないかと考えています。ぜひ企業や大学の関係者の皆様にも、社会教育士というのを理解していただけるよう、推進していただきたいと考えております。
 以上です。

【清原部会長】  小見委員、ありがとうございます。1点目は、地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除への期待をおっしゃってくださいましたが、2点目には、企業とNPOとの関係による地域の課題解決の事例も増えている中、企業の皆さんが時間を確保して地域との接点を持つことが重要であると。家庭内社会教育士の役割を小見さんは果たされたようでございますけれども、まさに企業や大学などがアプローチをすることによってそうしたきっかけづくりが実るのではないかという御提案いただきました。ありがとうございます。
 それでは、山本委員、御発言をお願いいたします。

【山本委員】  東神楽町長の山本でございます。いろいろとお教えいただいてありがとうございます。私どものまず自治体からのトレンドということでいうと、本当に民間企業とか、あるいは大学という高等教育機関との実は連携というのはこの10年ぐらい物すごく実は進んでいるんですね。それは地方創生という中で様々な企業が関心を持っていただいているというようなこと、あるいは大学なんかも、やっぱりもちろん子供の数が減ってきているからということもあるのかもしれないんですが、地域と連携をするということに対する価値みたいなのを非常に持ってきていただいているというのは私どもにとっても非常にありがたいことだと思っています。
 その中で、私どもも、明治安田さんとかも本当にお世話になって、うちの町だけではなくて、あるいは公民館協会としてもいろいろお世話になっておりますけども、やっぱりそういった部分で、専門的な知識みたいのを持ってきていただいたり、あるいは大学なんかもやっぱり高等教育機関として専門知を地域のほうに置き換えていただくような部分ってかなり多くあるんですが、ただそのときに、じゃあ、地域が求めているものといわゆる専門的な知識とどうコーディネーションしていくのかというのが実はまだ弱いのかもしれないなあと話をもって聞いておりました。
 その意味では、例えば大学にしても、あるいは民間企業にしても、今まで例えばコミスクで培ったような知見みたいなものだったり、あるいは社会教育を少し仲介をしたような、そういった中で置き換えていただくような仕組みというのは必要なんだろうと思っていまして、そういう意味では社会教育士の出番というか、企業とか、あるいは大学の関係者も、いわゆるそういったところの地域のニーズを捉えながら地域の人たちと一緒になってまちづくりをしていくような、そういったところを社会教育の力を使ってやっていくということをもう少しやっていただくというのもいいのかなあと聞いておりました。
 私どもも、大変、大学にしても、民間企業にしても、本当に期待をしているところでございます。特に人口減少が激しくなってきておりますので、ぜひこの部分では御協力をいただきながら進めたいと、進めていただければと思います。
 それと同時に、企業版ふるさと納税みたいな、やっぱり減税というか、節税になるような部分で、税額控除ってかなり効きます。これ私どもも、いろいろと民間企業と話していても、やっぱりこういったインセンティブって大事だと思いますので、文部科学省の皆さんにもそういったことは期待をしていきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。地域社会では、あるいは自治体の視点からは大学や企業との連携がかなり進んでいるけれども、それぞれの地域課題への専門性の応用についてはまだまだ課題がある中、ぜひ社会教育的な役割が進むと望ましいという意味での御提案いただきました。
 それでは、ほぼ同時に手が挙がっていますので、今から申し上げます順番で御発言をお願いします。古賀委員、安齋委員、金澤委員、関委員、野津委員、八木委員、そして柏木委員の順番でお願いします。それでは、古賀委員、お願いいたします。

【古賀委員】  古賀です。私はNPOと公立大学の両方を兼務しており、その2つの観点からこれまでの発表の感想を申し上げた上で、提言的なこともお話をさせていただきます。
 まず、金澤委員からの御発表の中で従業員の社会教育ということが触れられておりました。つい先日、福岡県内のある市で公民館連合会の会合に参加した折に、地域よりも職場で過ごす時間が長いいわゆる中間層、働いている人たちの参加や参画を促したいというのは、公民館として共通の願いだけれども、一時的なりパーツ的な参加でいいのかと。単発的に来ていただいて喜んでいただくみたいな形でいいのかと。むしろ、様々なライフステージがみられる中で、共通して、何がしか地域なり公民館、社会教育に関わる機会を持ち、ウエルビーイングを高めるという、長期的な視点での取組が必要じゃないかというお話を聞いたのを思い出しました。
 行政や経済団体などによる包括連携といった面的な働きかけも必要なんですが、私もいろんな企業とのコラボレーションのコーディネートをしてきた中で、個別具体でそれこそ伴走するような、働きかけ役なりコーディネーター役もやはり必要と感じておりまして、そこは地域のいろんなリソースや地域課題も含めた情報をストックしている社会教育人材への期待を改めて抱きました。
 それから、高等教育局さんからの御発表について、大学では、社会人ゼミもさることながら経済学部の学生のゼミも担当するようになっておりまして、経済学部にありながら、地域課題とか実践活動に興味・関心を払う人たちが非常に多いと感じております。
 一方で、自分自身も含めて、大学が有している地域のネットワークや予算といったリソースが限られているところもありますし、地域連携窓口が置かれている動きはあるものの、研究者の属人的なところにとどまっているケースもあります。
 これからプロジェクトベースドラーニング(PBL)もいろんなところで展開をされ。評価の対象になっていくと思われるんですけれども、大学教員等の属人的な力量によることなく、機会均等的に実践的な活動を広げる上では、ここで社会教育人材への期待を改めて共通して持ったところです。社会教育人材には、もっと個別の研究者なり大学の機関とつながって、いろんなリソースを提案していただきたいなと思ったところです。
 じゃあこれらを推進するためにどうしたらいいかなということも考えながら議論をお聞きしていたんですが、地域福祉の分野では、行政のほうが地域福祉計画を立て、これに基づいてマルチステークホルダー型の会議体で策定される地域福祉活動計画というものがあります。上位の地域福祉計画に対しての実践的なアクションプランという位置付けです。社会教育分野においてもそうしたアクションプラン的なもの、すなわち共通のビジョンや推進スキームを互いに話し合い、なおかつ、先ほど「経済的価値も」という話がありましたが、若い世代も含めて周知したり評価される機会をどう地域でつくっていくかというところも踏み込んで共通理解として広く共有され実践を促すような、何かそういうアクションプランみたいなものがあったらいいなと思ったところです。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。企業で働く会社員の方の学びについては、まさにオフィスの伴走の必要性ということで、社会教育人材が期待されるし、大学の地域連携窓口も属人的になりやすいので、ここでもやはりネットワークを広く持っている社会教育人材の活躍が期待されるし、それらを踏まえて、社会教育の活動計画というようなものが必要ではないかという御提案いただきました。ありがとうございます。
 それでは、安齋委員、金澤委員、関委員、野津委員、八木委員、柏木議員、内田委員の順でお願いします。
 それでは、安齋委員、お願いします。

【安齋委員】  安齋です。よろしくお願いします。私、小学校の校長をしていたときに、実際に企業による学校応援団というのを組織しまして、地元の企業に協力をいただいて、総合的な学習の時間とか、そういったもので活用させていただきました。
 その中で一つ感じたことをちょっとお話しさせていただくんですが、ある企業さんに出前事業とか、実際に工場のほうに子供たちが行ってお世話になったりしたときに、本当にすごい、こんなにも協力してくれるのかというぐらいに逆に驚いたんですね。そして、何でそんなふうに協力していただけるんですかということを担当の方に聞いたときに、返ってきた答えが、実は子供たちにこんなふうな形で関わることが社員のモチベーション向上にすごく大きいんだということをお話をされていました。先ほど金澤委員のお話の中にもあったかと思うんですけども、こうやって子供たちに関わる地域貢献するということがやっぱり社員の方たちにとってもすごく大切なことなんだって。だから、ウィン・ウィンの関係というのを、ちょっと本当にウィン・ウィンの関係になれるんだろうかと思ったんですが、そんなふうにお話をいただいたことがすごく印象に残っております。
 それから、逆に小学校とか中学校とか高等学校が企業の力を借りるときの壁というんですかね、文科省のほうも土曜学習応援団とか、企業との関わりということでホームページ上でもたくさん紹介しているんですが、なかなか実際にそういったものを活用しようという学校が少ない。やっぱり一つの一番の原因は、学校現場が忙し過ぎて、新たなことをやるとかということがなかなか難しいということなんですね。
 ですから、すばらしいリソースがあるのは分かっていながらもなかなかそこに入っていけないということを考えたときに、やっぱり必要なのは、社会教育主事さんとか、地域学校協働活動推進員の方たちの活躍なんだろうなって。私も自分の学校で企業による学校応援団をしたときには、本当に自前で学校としてやっていたんですが、非常にそれはやっぱり時間的には厳しいものがありました。
 ですから、そういう部分で地域学校協働活動推進員の数を、私はCSマイスターとしては各学校3名ぐらいという話はしているんですけども、現実にはなかなかそこまで全然、各学校に1人もいないという実態もあるので、そこと、それから実際に社協主事の皆さんのやっぱりそういう増やして連携をしていくということ。それからあと、企業を活用する上では首長部局の中の商工部とか、そういったところの方たちが、社会教育士的なそういう社会とのつながりをうまく、社会教育との関わりをうまく学んでいただけると、これは本当に首長部局にとっても企業にとってもいいことだろうと思うので、ぜひそういう意味でも、この部会が一番したいところは、社会教育人材を増やしていく、活用していくということなので、やはりそこのところにぜひ積極的に取り組んでいく必要があるのかなと思っております。
 それから、高等教育との関係においては、実際に大学の先生が学校運営協議会の委員さん、もしくは会長さんとかになって、高校において、カリキュラム開発であったり、探求の時間の取組であったり、いい事例、いい取組をされている高校さんがすごく増えてきています。
 ですから、やっぱりこれは今後、そういった大学等との連携というのはますますもっともっと進んでいけばいいなと思いますが、ただ実際、学校に対してそこに関わってくる先生たちの数が限られて少ないというのが、なかなかやっぱり地方になればなるほどそれが厳しい状況ではあります。
 それから、中学校とか高等学校においても、キャリア教育の点からもやっぱり企業とつながっていくということは非常に中学校や高校の先生たちにとってもすごくメリットがあるというところで、やはりぜひ取組、企業の力を生かす、高等学校教育の力を生かすということは、ぜひ学校側からしても進めていただけるとありがたいかなと感じています。
 以上です。

【清原部会長】  安齋委員、ありがとうございます。まさに学校教育現場の御経験から、企業の皆様にとって学校と関わることが大変モチベーションになっているということ。しかし壁があるので、やはりその連携を進めていく上で、社会教育士、社会教育主事の活躍が地域学校協働活動推進、コミュニティースクール推進には必要であるという御発言でした。
 それでは、金澤委員、お願いいたします。

【金澤委員】  私から2点発言させていただきます。
 1点目は、御紹介のありました、法人税の税額控除の創設については、民間企業が社会教育に乗り出す後押しにつながると思います。繰り返しになりますが、企業の従業員が社会教育、学校教育を経験することによって、企業の人材育成につながります。企業は人で成り立っておりますので、人材育成がなされると、特に中堅・中小企業の活性化につながります。企業の活性化は、ひいては地域社会の活性化につながります。
 また、企業の男性従業員は定年後、孤立・孤独になってしまうという課題がありますが、定年前に企業の従業員が、社会教育や学校教育に携わっておくことで、定年後に従業員から社会教育、学校教育にシフトするといったキャリアの幅が広がり、従業員本人のやりがい、ひいては孤立・孤独の課題解決につがるとも考えます。企業側としても、人材の流動化といったメリットもあり、様々な方面でメリットがあると考えられます。
 2点目は、今般の内容に限らず全般に言えることだと思いますが、我々、もしくは文科省の皆さんには、様々な面で情報発信をしていただく必要があると思っております。今日のテーマに限らず、文科省の取組みが前面に出て、もっと社会に情報発信していくべきと強く思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【清原部会長】  金澤委員、ありがとうございます。法人税の税額控除創設への期待とともに、企業の皆様が学校教育や社会教育に関わることはまさに人材育成になっていると。定年前が大事という、大変重要な御提案いただきました。そしてさらには文部科学省の様々な教育、あるいは社会教育に関わる取組についての情報発信をという御提案でございます。
 それでは、関委員、お願いします。

【関委員】  ありがとうございます。関です。
 1点目です。今の法人税の税額控除の関係でございますが、これはやはり学校との関係の中に限定されるものかどうか確認したいと思います。先ほどの金澤委員の御発表の中にありますように、現在、学校教育以外の領域においても様々な企業の社会貢献はあるかと思います。この文面を読むと地域学校協働活動に限定されるのかなとも思うのですが、その辺は確認できたらというのが1点目です。
 あと、両方の話の中でもプラットフォームという言葉が出ていたと思うのですが、やはり公平で開放されたプラットフォームがあることによって、それぞれの自治体、とりわけ公民館レベルであればまさにそうだと思うのですが、多様なアクターにつながっていきやすい気がいたします。私どもも色々な大学との連携の下で、多様な事業をさせていただいてきたのですけれども、それは幸いなことに今までの長年の経験があって関係性があったゆえで、新たに関係性を構築しようとすると、なかなかハードルが高いという話をよく聞きます。1対1の関係性ではなく、調整機能を持つプラットフォームに乗っかることで、そこでいろんなメニューの中から自分たちがやりたいものが選択できるような、そういう仕組みができたらありがたいと考えます。
 また、コロナ禍の折には、対面が遮断された結果、リモートとかを活用して、様々な事業を展開していたのですが、その後の発展は思ったより進展せず、新しい学びの手法なるものを有効活用できてないのかなということも感じます。例えば大学等で講義を行ったものをオンラインで展開していただき、受講者が自分の都合に合わせて受講できるような仕組み、公民館とか生涯学習センターのような施設がその橋渡しができれば良いなと考えます。そこにアクセスすれば、いつでもそれが受講できるような仕掛けができれば受講者の枠は拡大すると考えます。大学の先生もいろんなところに声をかけられると、体は一つでございますから、すべてを引き受けることは難しい部分もあろうかと思います。社会教育主事講習では配信型のスタイルが拡大していますが、同じ情報を共有することで、幅広く全国レベル、都道府県レベルでいろんな自治体に共通感覚が生まれる気もしますし、あるいは最新の学習内容や研究した内容をより多くの皆さんに知ってもらえる、そんな学びが拡大するのではないかなと思います。
 以上でございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。どうしましょうか。1点目の御質問で、まだ決定事項ではない税額控除の対象は、取りあえず地域学校協働活動だけですかという確認の御質問ですが、髙田課長、いかがでしょうか。

【髙田地域学習推進課長】  今のこの提案といいますか、この構想においては、学校教育活動のみというところでございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。そして、プラットフォームづくりには、さらに地域のそれぞれの実情に合わせた柔軟な取組をという御提案です。
 それでは、続きまして、野津委員、八木委員、柏木委員、内田委員、東委員の順でお願いします。
 では、野津委員、お願いします。

【野津委員】  島根県の野津です。国立大学の交付金って石橋課長の担当のところではありませんよね。

【石橋高等教育局大学振興課長】  大丈夫です。

【野津委員】  では、遠慮なく。地元に国立大学ありますけども、大変経営が厳しいということで、今年もベアが上げられないと新聞に出ておりました。直接伺っても、非常に厳しい。先般、県教育委員会と大学の教育学部の連携事業で、今までは県が人を出し、大学がお金を負担していた事業があるんですけども、先般、お金を負担してくれないかという話を振られたので、付き合い長いので、うんとは言っておきましたけども、そういった、そういうことがある。ベアも上がらない。大学って、病院が一番稼ぐ。医者が一番稼ぎますよね。なので、地方の病院に派遣している医者を引き揚げるんじゃないかと、一番稼ぐ人間を引き揚げるんじゃないかと心配していますけども、その次に稼ぐのはやはり学生の授業料ですよね。就職が明らかに高校生から見える教員ですとか、教育学部とか医学部はあんまり心配してないんですけども、そうでないところはやっぱり厳しい。要は、交付金が頭打ちとやると、ベア上げないと、教員自体が外に流れますから、要はスリム化しろということだろうと、お国のお考えは。そうすると、学生を稼げない、入れれない学問は、大学が真っ先に切ろうとする。
 現に、島根大学なんですけど、島根大学の社会教育士養成講座。これは毎年やるかやらないかというのを大学で非常に議論されて、結果的に続けてもらっているんですけど、その講座には、文部科学省さんが出している以上に県からお金、毎回言いますけど、お金出して、それで続けさせていただいている。大学にですね。社会教育で就職できない。要は、社会教育を目指して子供は入ってこないので、また切られるんじゃないかと。こういったところから切っていくんだと思うんですよ。
 なので、やはり国立大学の交付金を絞る国全体としてのお考えあるんでしょうけども、やはり稼げない。どうしても稼げない。企業連携とか、研究費をもらえないとかですね。あれもらっても学部を超えないので、お金がですね。
 やはり全く稼げないようなところをしっかりフォローしていかないと、本当に大学側が首切っちゃう。教員、大学の先生の首を最も切られやすい分野が社会教育だろうと危惧しておりまして、これは本当に考えていかないと、地域人材を育てていくための、要はそこでお金をもらえるわけじゃない。社会教育士で稼げるわけじゃないんだけど、地域として必要な、そういった人間の育成を交付金の中で担っているんだという意識をぜひ持っていただかないと、地方創生って、総理替わったらやられないかもしれませんけど、総裁選で全く議論にならなかった地方創生は、やっぱりうまくいかないんだろうなと思いますので、ぜひそういったところから大きな体制を支えていただきたいなと思います。

【清原部会長】  ありがとうございます。大変重要なポイントで、私たちは、地域コミュニティにおける社会教育の在り方について検討しています。そして、それがいかに重要かということをこれまで意見交換してきたわけでございますので、当然人材を育成する大学の教育課程が持続可能なものでなければいけません。文部科学省も当然頑張っていただきますが、野津委員、島根県におかれましても引き続きよろしくお願いいたします。
 石橋課長、コメントがあればよろしくお願いします。

【石橋高等教育局大学振興課長】  すいません、ありがとうございます。今回やっぱり物価高、人件費上昇に伴いまして、概算要求においては運営費交付金の増額を要求しておりますので、我々としてはむしろそういうところを、国立大学の役割として何を果たしていくかということをよく考えながらしっかりと支援していく必要があると思っておりますので、御心配されているところは、多くの国立大学の中でもやはりそこをどう守っていくのかというところは議論されているかと思います。
 島根大学も苦労しながら、でも、何とか続けようという思いも持ってくれているんだとは思うんですけども、我々としてもそこはしっかりとサポートしていきたいと思っております。ありがとうございます。

【清原部会長】  野津委員、どうぞ。

【野津委員】  今回、増額要求されていますけど、やっぱりこの物価高、数年前に始めた過去の累積分を考慮してあげないと、あまり意味ない。これは医療費とか介護の報酬改定も一緒で、全くついてきてないですよね。この1年だけのことしか考えてないので、上がっているのは数年前から上がって、たまっているんですよね。ここよく御存じだと思いますけど、ここを何とか遡ってでもやってほしいというのが地方の願いであります。

【清原部会長】  ありがとうございます。
 それでは、八木委員、お願いいたします。

【八木委員】  八木です。本日のテーマに対して2つ提案をしたいと思います。1点目は災害・防災教育という視点。もう1点は、外国人との多文化共生の地域づくりという視点です。
 1点目ですけれども、企業・民間セクターと行政セクターの災害支援時の機能の違いです。この2つのセクターそれぞれ、行政セクターに関しては非常に大きな予算で、広域な動きができる。ただ平等性を担保する必要があり、時間がかかるという課題があると思います。
 一方、企業・民間セクターに関しては、非常にスピーディーであると言えます。異なる機能を持った2つのセクターが補完し合うことが必要になる中で、市民セクターの役割が出てくると考えます。異なる機能を持った2つのセクターをつなげる役割を、市民セクターが地域をつなぐ社会教育をとおして災害に強い受援力がある地域社会の構築を推進していけると考えます。企業・民間セクターと行政セクターという異なるものが第3軸の市民セクターの介入によって協働し合えるような仕組みづくりが社会教育をとおして今後目指すことができると良いと考えます。
 あともう1点が、外国人住民を巻き込んだと共生の社会づくりです。この点に関し以前の審議会では、外国人に対する日本語教育というより、地域の住民がいかに外国人を受け入れていくかという視点がより重要であるとお話をしたと思います。
 このような中で、社会教育・学校教育の中で大学生、高校生など若い世代が、社会実践活動、ボランティア活動をとおして、実際に外国人住民と触れ、交流することが重要であると考えます。様々な言語あるいは異なる文化の違いを知り、学び、学校での学習に反映させていくという流れが必要です。
 ボランティア活動が、単に課題への対処的な活動ではなくて、先にある大きな社会課題を見据えて考えながら活動していくことを社会教育の在り方として考えたいと思っています。
 この意味で、ボランティア学習を今後の社会教育に組み込まれていくことを検討すべきと考えてます。

【清原部会長】  八木委員、ありがとうございます。まず1点目、特に災害・防災の取組については、行政と企業だけではなくて、市民セクターが重要な協働のパートナーであるということ。
 2点目に、外国人と文化共生をしていくことで、多様な文化の交流と相互理解が進むということ、その中で、ボランティア学習が重要になってくるという御提案いただきました。
 それでは、柏木委員、お願いします。

【柏木委員】  失礼いたします。私からは2点申し上げたいと思います。
 まず、社会教育は、高等教育機関とどのように関わっていくことが考えられるかという点では、大学の所在地と各研究者の地域貢献の場所が異なるということを前提にする必要があるのではないかと思っています。大学の所在地のあるところとその周辺の地域と連携するというのは想像しやすいんですけれども、各研究者は、大学の所在地とは関係なく、自分の研究テーマに応じて全国的な地域でいろいろな活動をしていたりします。それらの大学の所在地、そして各研究者が全国各地でいろいろ行っている地域貢献の両方を活用できるような社会教育人材によるネットワーク形成というものをお願いできればと思います。
 それぞれの大学の先生というのは社会的にこんなことしているって流布せずに、ちょこっと行って、その地域の人たちと何かをして活動しているというようなことが往々に見られますので、そういう活動を発見して、その展開に寄与するということが重要かと思います。
 次に、2点目に関しましては、大学において社会教育人材を持続可能な形で養成していくために、やはり助成金等のインセンティブを大学に与えていただきたいというのがお願いになります。
 大学での養成に関しては、助成金に加えまして、大学がカリキュラムとして配置しやすいような、そういう科目として設定をできないだろうか、社会教育人材の資格を取るための科目を設定できないだろうかと思います。例えば一般教養科目として開講可能になるようなことを促進したり、また、これはちょっと大学の運営の仕方としていいかどうかは別にしまして、オンデマンド講義を含めて受講しやすくしたりすることで、社会人の方、子育て中の方、あるいは外国ルーツの方もそうした資格を取得することができるように受講しやすくする仕組みの構築をお願いさせていただきたいと思います。
 以上です。

【清原部会長】  柏木委員、大変にありがとうございます。社会教育と大学の関係を考えるときに、大学の所在地だけじゃなくて、教員が、その所在地にとどまらず、幅広く活躍している点、両方の視点からの活用、ネットワークが重要であるという点。2点目は、大学の社会教育主事、社会教育士養成のカリキュラムについて、助成金など、有意義なインセンティブが必要と。このことについては、今後設置を予定しておりますワーキングチームでしっかりと今の御意見も受けて検討していただければと考えております。ありがとうございます。
 それでは、内田委員、お願いいたします。

【内田委員】  京都大学の内田です。私のほうから、本当にほかの委員がおっしゃったことと重なるところが多いのですが、2点申し上げます。
 1つ目は、先ほど柏木委員がおっしゃったように、大学の教員というのはかなり広い範囲で活動しておりますので、研究テーマとなっている地域があり、遠隔参画をすることというのはできるでしょうし、また、実際の現地、フィールド活動することもできると思うので、なるべく広域な形でこの取組が実践できないかと思いました。
 資料を拝見すると、地域連携に関連するところでは、一定程度の近隣コミュニティというのがベースになってつくられていると思ったんですけれども、そこに多様な人たちが参画できる、あるいは海外の大学からも参画ができるということになれば、かなり開かれた社会づくりができるのではないかと思いました。
 2点目はこれにも関連するんですが、留学生であるとか、国際グローバル人材に活躍をいただくというのは、地域にとっても非常に魅力的なプランになるのではないかと思っています。例えば海外の若い研究者と地域の方々とか高校生が交流することを通してこれからのグローバル人材の育成につなげていくきっかけはあるのではないかと思います。もちろんいきなりつなぐというのはとても難しいので、中核となる大学や研究者などがコアのハブ人材として活動することが必要です。これから地域が、多様な価値観に触れていくきっかけにもなるのではないかと思います。留学生についても、その後定着をしていただくとか、地域のために貢献していただくということに対して、地域自体が開かれていくということも必要であり、そのための経験値を重ねていくということが後々効いてくることがあるのではないかと思います。
 以上です。

【清原部会長】  内田委員、ありがとうございます。1点目は、柏木委員と重なるところだと思いますが、大学研究者は広域で活躍している。そのことについて、研究テーマあるいは調査対象地などのネットワークを考えるとともに、オンラインでの協力というのも参加もできるということですから、そういう視点も位置づけるということ。
 また、2点目には、これは八木委員の先ほどの留学生への対応と重なると思いますが、視点をグローバルに広げて、留学生にももちろん短期間であれ地域で活躍していただけるということもありますし、海外の大学との関係も考えると、もう少し視点を広くして、社会教育と大学との関係を考えるという、そういう御提案いただきました。ありがとうございます。
 それでは、東委員、お願いいたします。

【東委員】  喜入マナビバの東です。私からは2点お話しさせていただきます。1点目が、都市と地方の連携を通じた国内留学等の促進について。私はこの夏に企業が行っている地方創生インターンシップというものに参加してきまして、地方創生インターンシップというのが全国から集まった30名の学生が1つの自治体に行きまして、5つのグループに分かれて、それぞれ与えられた地域課題に本気で取り組むというようなプログラムになります。
 このプログラムの中で、自治会や企業、地域の企業さんへのヒアリングを通して、本気で地域課題に取り組んで、解決策を最終的には市長へプレゼンしました。
 その経験から、その地域の課題というのが自分事として捉えられるようになりまして、私のグループは、東京や大阪とか都市で生まれ育った学生が多いグループだったんですけれども、今後も私たちがお世話になった地域に関わり続けたいということで、実際にインターンシップが終わった今も、そこの自治体の職員さんと打合せを重ねて、何か自分たちにできることはないかと行動しているところです。
 この経験から、留学だけで終わらず、自分事として今後もその地域に関わり続けられるような何か工夫というのが必要なのではないかと思っておりまして、工夫の一つとして今回の私の経験というのも参考にしていただきたいなと思います。
 そして2つ目が、鹿児島での事例なんですけれども、鹿児島では2年ぐらい前からか「かごたん」という取組が始まっておりまして、これが中学校の探究活動に企業が参画するというものになります。このプログラムで私がすごくいいなと思っている点が、企業と教員は事前に研修で探求を行っています。企業と教員が1か所に集まって、与えられたテーマに対して探求に取り組む。そしてこの探求を経験した上で中学生の探求に伴走するというようなプロジェクトになっておりまして、このプロジェクトの考え方が、全員が学習者であるというような考え方でプログラムを進めています。
 全員が学習者という考え方がすごくすてきだなと思っておりまして、地域貢献活動というと、なかなか支援する側とされる側になりがちだと思うんですけれども、全員が学習者というような考え方で、今後、何か取組をしていく必要があるのかなと感じております。
 以上です。

【清原部会長】  東委員、ありがとうございます。1点目、まさに企業と地方創生について、大学生が関わりながら参加した御経験から、留学だけでは終わらない持続可能な大学生の参加について御提案いただきました。また、鹿児島の事例で、中学校の探求学習に企業と教員の皆さんが研修を踏まえて参加する中で、伴走しつつも「全員が学習者」というキーワードを提起されたという事例です。ありがとうございます。
 それでは、次に、青山委員、そして牧野委員でお願いします。
 青山委員、どうぞ。

【青山委員】  青山です。すいません。ちょっと電波がすごく悪くてちょっと全部をフォローできてないんですけれども、野津さんに大学は社会教育の教員から切っていくはずだと言われて戦々恐々としております。ひとまず、大学と社会教育の連携を考えたときに2つのことを考えております。
 1つは、さっき柏木委員や内田委員がおっしゃったように、より多様な大学の教員との関わりを考えなければいけない一方で、私の大学はむしろここで、今まで述べられてきたローカルな大学というのに非常に多分イメージに近い大学かもしれません。うちの地域の成人式はうちの大学の大教室やっていますし、市役所にいっぱい卒業生がいて、地域と本当に密着してやっているようなエリアの大学という意味では大学の中にも多様性がありそうだということです。
 その中で、大学と社会教育の関係というものの引き出しとかチャンネルをより広く捉えておく必要があるんじゃないかと考えています。私の大学の場合、学生の地域活動が盛んなので、地域に出張っていって、地域の子供たちのお兄さん、お姉さんに大学生がいっぱいなっていますし、ゼミ単位での関わりも多くあります。先ほどの施設そのものの提供も含めて、地域にリソースがない中で、大学そのものが施設としても、人のレベルでも連携していくことが日常的に行われています。いわゆるユニバーシティエクステンションや大学開放といった文脈では、従来からの大学の知の地域社会への還元とは別に、地域の基盤そのものを支えつつ、学びや地域づくりに貢献しているような大学の関わり方、例えばFMの放送局を持っているような大学もありますけれども、そういったいろんな形で地域と大学の関係というのをもっと生涯学習的に幅広く押さえていく必要もあるのではないか、そんなことも考えました。その先に、もう一方で、先ほどお話あったグローバルのようなつながりも想定していくことが必要だろうと思います。
 もう一つは、主事講習の持続可能性がかなり難しくなっているというようなことは、これ、先ほどの話とつながりますけれども、やはり各国立大学に担い手となる社会教育の教員が減ってきたということも関係していると思います。かつては各国立大学にほぼ生涯学習センターがあったりした時代もあったわけで、現在はそれがほぼ無くなっていると思うんですけれども、国立大にあったような生涯学習センターが失われて、社会教育の教員そのものが国立大学から失われてきた。まさに野津さんがおっしゃったようなことになっているわけですけれども、そういった中で、予算の面だけじゃなくて、人手の面で社会教育にアイデンティティーのある人が国立大学から消えてきたというようなところは、主事講習を支えていく人的な面での問題の原因の大きな一つだろうと思っています。
 これはすぐに解決するような道があるわけではないかもしれませんけれど、短期的には、例えば国社研のオンデマンド教材を他の主事講習の科目でも活用するような仕組みをもうちょっと広げていくとか、そうやって各大学の負担を減らすような仕組みも必要かもしれません。これはこだわりを持ってやっている大学からするとむしろそんなことしてくれるなというところも当然あると思うので、そこは各大学の判断でいいと思うんですけれど、必要に応じたフォローやサポートできる仕組みが必要になると思われます。ゆくゆくは、教職課程の中などに社会教育の教員が配置されるような状況をどうつくっていくかということが重要じゃないかなと思ってお話を聞いていました。
 以上です。

【清原部会長】  青山委員、ありがとうございます。1点目、大学と社会教育の関係については、とにかく多様に柔軟に類型化していくという御提案。2点目に、社会教育主事講習については、担い手の教員不足も多い中、国社研の教材の活用を含めて、大学の負担を減らしながら持続可能なものとしていくという御提案いただきました。ありがとうございます。
 それでは、牧野副部会長、お願いします。

【牧野副部会長】  すいません。よろしくお願いいたします。私からは観点を少し変えるような話になるかもしれませんけれども、今日の議論が、この会議が社会教育の在り方部会ですので、人間観とか、人材観とか、または従業員観とか、何かそうしたものを組み替えるような議論へとつながっていくといいなと思ってお話を伺っていました。
 この部会ですけれども、社会教育の在り方を変えていこうという諮問にあって、地域コミュニティを基盤とした社会教育の在り方について検討せよ。その方向性は「人」を中心とした社会教育に組み替えていくということだという事だったと思います。それは、例えば社会教育の在り方が従来の学校教育中心の社会から、つまり学校教育以外の学習実践や施策と位置づけられてきた社会教育ではなくて、人々の「つながり」や「かかわり」をつくっていくための土壌をきちんと耕しておくというか、人々が「かかわり」や「つながり」をつくり社会の基盤を形成するときに、やはり人々が互いにいい関係をつくって、自分たちで社会の人的な基盤をきちんとつくっていけるように、例えば条件整備をするとか、また学びの機会を設けていくとか、さらには伴走支援するとか、そのような形で人々がつながれるように支援をしていくという役割を社会教育がになうものとなる。そのように位置づけ直されてきているのだと思います。その意味では、社会教育は、人々の日常生活、いわゆる従来の社会教育のネットワーク行政の議論もありましたけれども、いわゆる教育行政だけのものではなくて、むしろ人々の生活全般を支えるような基盤整備をしていくものなのだという形で、社会教育を組み替えていくという大きな動きの中で、今回の諮問が出ているのだと思います。
 そういう意味では、例えば昨今、議論となっています、コミュニティースクールですとか、また地域学校協働活動の問題も、人々がきちんと結びつきながら、次の世代をどう育成していくのかということに関わってくるような議論が求められる。そういうことにつながっていくと思います。その意味では、このような観点から、今日の例えば企業の在り方ですとか、それから大学の在り方といったことも検討できないかと思いました。
 例えば企業の在り方も、今日、金澤委員からお話がありまして、明治安田生命が、いわゆる企業の社会貢献、そしてそれがしかもいわゆる一方的な貢献ということではなくて、また自らのいわゆる営利ということではなくて、企業の在り方を組み替えながら、いかに活力ある企業に変わっていくのかというような取組の中で、地域との関わりを捉えていらっしゃる。私もいろいろ企業と関わってきましたけれども、いわゆる従来の新自由主義的なといいますか、もっと言えば株主資本主義的な経営の在り方によって、企業の従業員が疲弊してしまっている中で、今改めて、例えばステークホルダー資本主義ですとか、例えば従業員資本主義みたいな議論が出てきていて、改めて企業の社会的な役割ですとか、もっと言えば公器と言われた、社会の公器なのだと言われたような企業の在り方を取り戻そうとされてくるような動きが強くなってきているのを強く感じています。
 そんなことの中で、例えば健康経営の議論が出てきたりしているのだと思いますけれども、そういうことを考えていきますと、例えば企業にとっても、社会教育、特に社会基盤をどうするのか、特に日本の場合は、人口構造が大きく変化していく中で、従来のようなつながりが保てなくなってくる方々がたくさん出てきている。しかも格差が広がっていく中で、孤立が深刻化している。そういうことの中で、社会の一番基盤になる人々のつながりが壊れている。それをどうするのかという議論の中で、今回の社会教育の組替えの議論が出てきている。むしろ、そこにどう企業が関わっていけるのかということを議論することによって、企業の新しい在り方が見えてくるといったこともあるのではないかと思うのです。
 その意味では、どう企業と連携するかということとともに、むしろ例えば社会教育という観点から、企業にどうあってほしいのかとか、企業はどうあることが可能なのかみたいな議論もこれからできるといいなと思って話を伺っていました。
 それからもう一つは、これは例えば東さんのお話にもあった、例えば若い人たちが当事者性を持って、社会で活躍していくといったことも関わってくると思うのですが、大学の今日のお話も、実は石橋さんの御提案に関しては言いたいことがたくさんあるのですけど、今日はやめておきまして、実は私もこの4月に大学を替わりました。東大にいるときには、すでにやはり研究者が疲弊してきているなというのは強く感じていたのです。簡単に言えば、自由な研究ができなくなってきている。外部資金を導入すればそれほど実は時間に追われ、決められたテーマに追われていて、自由な研究ができなくなってくる中で、ある意味で自分の研究者としてのアイデンティティーを失っていくようなことが起こってきていました。
 そして今回、大学を替わっていわば中堅クラスの私学にいるわけですけれども、行ってみますと、何が起こっているかというと、人材養成をすると言われるのですが、これは実は育成にはなっていなくて訓練になってしまっているところがあって、学生も疲弊していれば教員も疲弊しているみたいなことが起こってしまっています。これって何となく、すいません、愚痴のようになってしまいますが、今日のお話のような地域構想推進プラットフォームのような政策が出てくればくるほど、学生を育成するのではなくて、実は何か訓練をしていくみたいな議論になっていくような感じを受けてしまうのです。これは私がいる大学だけではなくて、多分ほかの大学もほとんど同じようなことになっているのではないかと思います。
 もうちょっと言えば、今日はお聞きしませんでしたけれども、ご紹介の施策が、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とどういう関係があるのかとか、どう違うのかと問われると、同じようなことが重なってくるようなことが現場では起きていて、またそれが大学を疲れさせてしまうようなことが起こっているのではないか。研究や教育の自由を奪ってはいないでしょうか。
その辺り、やはり当事者性を持てるような形で、学生たちがある種自由に活動していって、そして将来的に開かれたような形で人材が育成されていくというような仕組みづくりも、社会教育的な観点からいえば、これから求められてくるのではないかと思うのです。
 その意味では大学との連携の在り方も、どう連携するかということとともに、やはり大学をどう変えていくのかという議論も含めて、ここできちんと議論しなければいけなくなっているのではないかという印象も持ちました。
 その意味では、私たち自身が今直面している大きな社会の変化といいますか、特に人口構造の変化や、さらに効率化ですとか、そんなことを背景として、新しい社会基盤をどうつくるかといったことや、社会教育をどう組み替えていくかという議論をずっとこのところやってきているはずなので、その上で、例えば企業や大学やさらには学校との連携の在り方、もっと言えば学校をどう組み替えられるのかとか、企業はどう変わり得るのかみたいなことも、これから少し議論ができていくと、もう少し大きな視点で将来を見据えた議論ができるのではないかという印象を持ちました。
 そういう意味で今日のお話はとても参考になりましたし、勉強なりました。どうもありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。間もなく時間ですが、石橋課長、お仕事大丈夫でしょうか。一言、何かあればどうぞ、最後のまとめで一言どうぞ。

【石橋高等教育局大学振興課長】  ありがとうございます。今牧野副部会長がおっしゃっていただいた、やっぱり大学現場が今こういういろんな動きをどう受け止めて、でも本当にやらなきゃいけないことをどうやっていくのかということは非常に大事だということはおっしゃるとおりだと思っておりますので、本当にいろんな機能を大学が持ちつつありますけれども、その中で、特に大事な地域、社会教育との関係性をどう考えていくのかということは我々高等教育のほうでもまた考えていきたいと思います。ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。御公務がありますので、どうぞ御退席ください。
 金澤委員も一言どうぞ。皆様の御意見を伺っていかがでしょうか。

【金澤委員】  ありがとうございます。今日、いろいろなご意見をお聞きさせていただきましたが、改めて、弊社は、相互会社として、地域課題の解決を通じて、地方創生と健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えております。

【清原部会長】  ありがとうございます。私は、三鷹市長時代に「民学産公官金言労士の協働のまちづくり」を進めておりまして、市民の「民」、大学研究機関の「学」、産業界の「産」、そして、公共機関の「公」、国の「官」、金融機関の「金」、言論界の「言」、労働界の「労」、そして「士」は弁護士とか公認会計士とかなんですね。大学は教員だけで構成されているのではなくて、学生がいます。重要な人材です。企業もまた幹部の社員の皆様だけではなくて、一人ひとりの社員の方が活躍されています。当事者として、東さんが言ってくださった、「みんなが学習者」というような取組が本当に対等に行われていく上で、社会教育がまさに地域社会の基盤になるということを再確認させていただきました。ありがとうございます。
 それでは、本日の審議はこれまでといたします。御発言し切れなかった御意見がありましたら事務局までメールでお寄せください。
 次に、「その他」について事務局からよろしくお願いします。

【林社会教育企画調整官】  事務局でございます。その他の今後の予定でございますが、今後の審議予定につきましては、また別途メールにて委員の皆様にお知らせいたします。
 事務局からは以上でございます。

【清原部会長】  幹部の皆様、御発言、特によろしいですか。大丈夫ですか。
 ありがとうございます。本日は局長も審議官も総括官もいていただきました。

【髙田地域学習推進課長】  すみません、一言だけ。

【清原部会長】  どうぞ、髙田課長。

【髙田地域学習推進課長】  社会教育法23条のことがちょっと話題になりましたけれども、公民館が本来の目的を没却して専ら営利のみを追求すること等を禁止した規定ということで、我々としては、基本的には柔軟に解釈しておりまして、どんどん民間企業を活用していただくような解釈でやっております。そのことだけちょっと申し上げておきます。

【清原部会長】  大事な御指摘ありがとうございます。企業の皆様の社会貢献の活動と社会教育はこれからも密接な連携・協働していくことになると思います。ありがとうございます。
 それでは、本日の社会教育の在り方に関する特別部会はこれにて閉会といたします。
 御出席の委員の皆様、長時間の誠心誠意の御審議、本当にありがとうございます。
 それでは、また、次回、元気にお目にかかりましょう。ありがとうございます。

―― 了 ――

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