令和6年8月28日(水曜日)10時00分から12時00分
文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議併用
(委員)清原委員,萩原委員
(臨時委員)青山委員,安齋委員,小田切委員,柏木委員,金澤委員,古賀委員,小見委員,杉野委員,関委員,都竹委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,八木委員,山本委員
(事務局)茂里総合教育政策局長,江﨑大臣官房審議官,平野社会教育振興総括官,神山政策課長,中安生涯学習推進課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,今村日本語教育課長,高木地域学習推進課長,山川地域学習推進課課長補佐 他
【清原部会長】 それでは、開始の準備が整いましたので、これより会議を公開いたします。中央教育審議会生涯学習分科会社会教育の在り方に関する特別部会を公開させていただきます。
初めに事務連絡です。報道関係者から事前に録画、録音の希望をいただいておりまして、運営規則に基づき許可をいたしますので、お知らせいたします。
それでは、ここで「社会教育の在り方に関する特別部会」の部会長に就任しました清原から一言御挨拶をさせていただきます。
皆様、改めまして、このたび、中央教育審議会生涯学習分科会の中に「社会教育の在り方に関する特別部会」が設置されました。このことは、私たちにとりまして大変重要な諮問あり、これから御説明をいただくことになりますけれども、参考資料の1-1にお示ししてありますように、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」の諮問を受けたことから、具体的な審議については、社会教育の在り方に関する特別部会を設置して、審議することになったものでございます。社会教育という分野は、社会の変動とともに、求められる機能も実態も大きな変化のときを迎えています。
特に今期、議論をしていただきました「社会教育人材特別部会」の検討の中でも、改めて、社会教育人材の重要性と、社会教育分野にはとどまらない、学校教育、企業あるいは地域の様々な活動の中での社会教育人材の意義が再確認されたわけでございます。
そうであるならば、改めて社会教育の在り方についても、人材にも焦点を当てながら、施設等含めた環境の整備の充実を図り、現代社会の諸課題に十分に適用する取組として改めて構築し直す、そのような契機を迎えていると認識しています。
そこで、この特別部会の部会長を拝命した私といたしましては、これまでの社会教育あるいは生涯学習に関する研究者としての実績と、東京都三鷹市長を4期16年務めさせていただき、教育委員会と連携をして、コミュニティ・スクールの取組を開始したり、あるいは市民参加の社会教育の取組である市民大学総合コースの継続を市長として責任を持って進めてきたりしましたような経験を大いに生かして、皆様と御一緒に取り組みたいと決意しています。
なお、後ほど委員の皆様には自己紹介と御発言をお願いしますが、委員の中には、19歳の大学生の方も含まれています。そうであるならば、どうぞ委員の皆様、肩の力は大いに抜いてください。そして、10代のときの感覚も呼び覚ましながら、大いに自然体で率直に意見交換をしていただければと思います。私もその進行に全力を尽くします。そして、ハイブリッド型でございますので、会場で御参加の方もオンラインで御参加の方も対等でございます。そして、多くの傍聴者の方の御支援と応援をいただきながら、この会を進めてまいりたいと思います。それでは、皆様、初回から大いに熱く語り合いましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。それでは、茂里局長からぜひ、総合教育政策局を代表して御挨拶をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【茂里総合教育政策局長】 ありがとうございます。部会長、副部会長、そして皆様方、お暑い中、また、御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。心より御礼申し上げたいと思います。また、今部会長からありました熱いメッセージで、私もなぜかその10代ということでうれしくなっているんですけども、そういう中で一言だけ、事務局を代表して御挨拶を申し上げたいと思います。
この特別部会は今ほど部会長からありましたけど、6月の25日、この日に文部科学大臣から諮問がありました。そういったことを踏まえて、中央教育審議会の生涯学習分科会の下に設置されたものでございます。御承知のとおり、社会教育法の制定から75年という長い月日が経過しております。社会情勢が大きく変わり、将来の予測が困難な時代を迎えている、そういった状況にございます。当然、社会教育に求められる役割やニーズというものも変化しているものと考えております。
この社会の変化をしっかりと捉え、社会教育の新たな在り方そのものを見詰め直しまして、社会教育が果たすべき役割、担い手である人材、その活動、その上で、国、地方公共団体における推進方策について検討が必要な状況となってございます。
申し上げるまでもなく、少子高齢化、人生100年時代、グローバル化の加速、AI、DX時代、さらには世の中全体の働き方改革、こういった大きな流れがある中で、人が幸せに、社会が幸せになるためには、社会教育はどういうお手伝いができるのかということをしっかり御議論を皆様方と一緒にさせていただきながら、御支援申し上げたいというふうに思ってございます。皆様方の活発な御議論、今ほど部会長からもありました熱い御議論を何とぞお願いしたいと思ってございます。
簡単ではございますが、事務局を代表しての御挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。それでは、この部会の運営を大いに支えていただきます、副部会長に就任いただきましたお二人からも順に御挨拶をいただきます。
まず、オンラインで御参加の萩原委員から、御挨拶をよろしくお願いします。
【萩原副部会長】 皆様、こんにちは。ただいま御紹介いただきました萩原です。このたび、清原部会長を支える副部会長に拝命をいたしました。しっかりと議論がスムーズに進むようにサポートしていきたいというふうに思っております。
簡単に自己紹介いたします。私は現在、今、ちょうど武蔵嵐山にいるんですけども、社会教育施設である国立女性教育会館の理事長を務めております。今、お話ありましたように地域社会には様々な多様な課題が複合的に存在しております。そうした課題を解決していくためには、一人一人のしっかりとした学び、それから様々な多様な組織が連携していくことの重要性ということをNPOの立場からも考えております。
この部会が、そういった意味で、よりよいものになっていくように努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 萩原副部会長、心強い御挨拶ありがとうございます。
それでは、牧野副部会長からも御挨拶をお願いします。
【牧野副部会長】 皆様、こんにちは、よろしくお願いいたします。牧野です。このたび、副部会長を拝命しました。よろしくお願いいたします。清原部会長を支えて円滑な議事の進行に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、今回、今期の生涯学習分科会の副部会長を担当しております。さらに、社会教育人材部会の部会長を担当させていただき、社会教育人材に関わる議論をさせていただいて、新しい社会教育の在り方についての議論が展開できるような下地を皆さんにつくっていただいたのではないかと考えております。
今回諮問を受けまして、社会教育の在り方を見直すという話が出てきたかと思います。その中で、やはり私たちが考えなければいけないのは、従来社会教育に関しましては、政策、それから行政、施設、実践論等はあったのですが、社会教育の担い手論といったものが十分ではなかったのではないかということだと受け止めています。今回、社会教育人材部会で議論しました社会教育主事と社会教育士の養成と活躍の在り方、こうしたものが基本的には担い手論につながっていくのだろうと思います。今回の諮問もその担い手論から社会教育の在り方を見直していく、そういう方向性も示されておりますので、こちらの部会のほうでぜひとも皆さんから活発な御意見をいただきつつ、新しい社会教育の姿を模索をできればと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 牧野副部会長、ありがとうございます。それでは、早速議事に入らせていただきます。
本日は、「社会教育の在り方に関する特別部会」の第1回として、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について(諮問)」について、事務局からまず御説明をいただきます。それに続きまして、牧野委員、野津委員のお二人から諮問に関する御発表をいただきます。その後、委員の皆様から御意見をいただきます。そのような順番でお話を皆様と重ねていきたいと思います。
それではまず、諮問につきまして事務局の高木課長から御説明をお願いいたします。
【高木地域学習推進課長】 高木でございます。御説明させていただきます。
資料2-1が、先ほど部会長、局長の茂里からもありましたとおり、6月25日に大臣から中央教育審議会に対して諮問された本文でございます。
資料2-2が概要でございますので、そちらで御説明させていただきます。社会教育の情勢の変化ということで、昭和24年に社会教育法が制定されてからに75年が経過したところでございます。それ以降、人口減少、少子化の深刻化でありましたりとか、地域コミュニティの希薄化、DX化、グローバル化の進展など、様々な社会情勢の変化が進んできたところでございます。また、戦後直後に比べまして、高校や大学などの高等教育機関への進学率の高まりや、様々な学習機会の増加などによりまして、学校教育と比べまして社会教育に求められる役割やニーズが変化してきたのかなといったところでございます。
こういった大きな流れを受けまして、昨年6月に第4期教育振興基本計画が閣議決定されたところでございます。その中で大きな総括的な基本方針として2つ掲げられているところでございます。1つ目が「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」、将来の予測困難な時代におけます社会の担い手ではなくて、創り手を育成していこうといったものでございます。
もう一つが、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」といったところでございまして、個人の獲得的な幸福感ではなく、場でありましたりとか協調的な幸福感を一緒につくり上げていきましょうと、そういったことが大きな基本方針として掲げられているといったところでございます。
この大きな基本的、基本方針を受けまして、社会教育に関しましては「学び」を通じて人々の「つながり」や「かかわり」を作り出し、協力し合える関係づくりの土壌を耕していくことで、持続的な地域コミュニティの基盤を形成することが求められるといった形で方向性を示されているところでございます。
それを受けまして、社会教育の拠点として、社会教育施設の機能強化でありましたりとか、社会教育人材の養成及び活躍の促進等を通じた社会教育の充実を図る必要があるというふうに規定されているところでございます。
この教育振興基本計画などを受けまして、第12期中央教育審議会の生涯学習分科会におきましては、社会教育人材部会を立ち上げまして、今年の6月に、社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方についての最終まとめをまとめていただいたところでございます。社会教育人材の養成、社会教育士の活躍機会の拡充に関する専門的な調査審議を行っていただきまして、最終まとめをしていただきました。
また、生涯学習分科会でも同じく6月に議論の整理としまして、「全世代の一人ひとりが主体的に学び続ける生涯学習とそれを支える社会教育の未来への展開;リカレント教育の推進と社会教育人材の養成活躍のあり方」につきまして、議論の整理をまとめていただいたところでございます。
重点的に議論した事項としましては、社会人のリカレント教育、障害者の生涯学習、外国人の日本語学習、それと人材部会で御議論いただきました社会教育人材でございます。障害者や外国人などの社会的包摂の観点も含めました社会教育の提供が十分に確保されることが不可欠といったことでありましたりとか、社会教育の裾野が広がる中で、地域コミュニティの基盤を支えるために社会教育人材は重要な役割を担っており、その質的向上、量的拡大に向けた養成、活躍促進の在り方を提示いただいたところでございます。
こういった議論をさらなる深化を図るべく、社会教育の在り方を見詰め直して、社会教育が果たす役割、担い手である人材、その活動を国・地方公共団体の推進方策の在り方について検討が必要であるという考え方の下、6月25日に、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方の推進方策について」が諮問されたところでございます。
主な審議事項として3つございます。1つ目が、社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策でございます。公民館、図書館、博物館を中心とした社会教育行政も重要であるんですけれども、社会教育士の普及なども踏まえまして、社会教育人材を中核とした目指すべき社会教育の在り方でありましたりとか、社会教育主事、社会教育士の役割・位置づけの明確化、それぞれの養成の在り方などを御審議いただこうと考えているところでございます。
2つ目が、社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策を受けまして、社会教育活動の推進方策につきまして、御審議いただければと思っているところでございます。地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策でありましたりとか、公民館、図書館、博物館などの社会教育活動の推進方策、青少年教育施設などにおける青少年体験活動の推進方策などを御審議いただくことになっておるところでございます。3つ目としましては、この1、2を受けまして、国・地方公共団体における社会教育の推進体制の在り方でございます。
1、2を受けまして、社会教育を総合的に推進するためには、どういった国・地方公共団体の体制がよいのかといったことでありましたりとか、冒頭申し上げました社会情勢の変化を踏まえました社会教育に関する現行法令の在り方などについて御審議いただくところでございます。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 高木課長、ありがとうございます。資料2-2で御説明いただきましたように、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策」につきましては、これまでの「第4期教育振興基本計画」でありますとか、第12期の中央教育審議会生涯学習分科会の問題意識と極めて整合性があり、その検討を尊重として、文部科学大臣から諮問をいただいたものと受け止めております。
そこで、この諮問によって私たちが検討すべき重点的な審議事項も確認をさせていただきましたので、これから本格的に特別部会での議論に入らせていただきます。
本部会では、できる限り委員の皆様それぞれから御意見を、深く、重点的に頂戴する機会をつくっていこうというふうに考えられておりまして、今回は、社会教育の研究者としての立場から牧野委員、そして地方自治体において、社会教育行政を担っていらっしゃるお立場から野津委員に御発表をいただきたいと思います。その後、皆様からの御発言をお願いいたします。
それでは、まず、牧野委員、よろしくお願いいたします。20分程度ということです。よろしくお願いします。
【牧野副部会長】 牧野です。よろしくお願いいします。
資料2-5を御覧いただけますでしょうか。最初に私のほうから何か口火を切れということですので、準備をしてまいりました。今、清原部会長からも20分なんですよねと言われて、20分なんですね、ということです。
事務局からは、社会教育とは一体何であるのか、どんなことであるのかといったことについて話をせよという御指示がありました。
研究者として何かお話しせよということなのですが、実は社会教育とは一体何なのかといったことは、研究者の間でもよく分かっていない、共通の理解がないというのが正直なところです。それで、今日は幾つか事例とか資料をお持ちしたのですが、20分ということもありますので、少し端折ってお話をさせていただきながら、どちらかというと、今回の諮問の背景にあるものを少し御理解いただき、諮問をどう考えたらよいのかといったことを少し私の観点からお話しできればと思っています。
表題は、「社会教育をどうとらえるのか-概念と領域をめぐって」ということになります。最初に、今回の諮問ですけれども、地域コミュニティの基盤を支える社会教育について考えよ、ということになっています。これも先ほど高木課長のほうから御説明がありましたように、今年の6月25日に、中央教育審議会の総会で、生涯学習分科会から「審議の整理」が、そして、私が担当しました社会教育人材部会から「最終まとめ」が報告になり、それを受けて文科大臣より、社会教育の在り方について諮問が出されたことになっております。正式な名称が、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」ということになっております。その中身は、先ほど高木課長から御説明があったとおりになります。
この諮問の背景になりますけども、昨年の6月に閣議決定になりました第4期の教育振興基本計画があります。そこに今後の5年間の教育政策の目標というところがありまして、それの10というのが、実はこの「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進」ということになっております。今回の諮問は、実はこの教育振興基本計画の政策目標の10の文言をそのまま取った形で、表題がつけられていることになります。
それでは、この教育振興基本計画ですけども、どのような議論になっていたかといいますと、基本的には2つのウェルビーイングということを掲げています。それからもう一つが、教育が社会を牽引していく駆動力の中核的な役割を担うというような、そういう表現が入っていまして、教育こそが社会を引っ張っていくのだということを強く意識したものとなっているかと思います。
その上で、日本社会に根差したウェルビーイングという言い方が採用されていまして、この2つの、私は2つのウェルビーイングと理解をしているのですけれども、一つは個人が幸せを感じられるような状態にあることで、個人が自らのウェルビーイングを実現をしていくということがまずあるわけですけれども、二つめとして、さらに個人がウェルビーイングを実現するために、実は環境とか社会とか、その人を取り巻く様々な条件のウェルビーイングといったことがあるだろうと思われます。この2つながらにこれを実現していくのが、日本社会に根差したウェルビーイングであるとされました。
これを敢えて簡単に申し上げますと、個人のウェルビーイングを実現していくのが生涯学習ということです。つまり、個人のニーズに合わせて、いつでもどこでも一生涯にわたって学ぶことができるような条件整備をしていく、ということです。それからもう一つが、その人がそのようにウェルビーイングを追求できるような条件を整えてもらえてあるということで、こちらはある意味では社会教育が担っていく、ということです。この2つを実現していくことによって、社会が好循環を果たしていく、一人ひとりが自己実現をすると同時に、社会そのものもよりよいものに変わっていくということが目指されたのだと受け止めています。
さらにその基盤となりますのが、ここにありますようなCompassionateということなのですけれども、これは共感的なというふうに訳されたりします。ただ、これはcon(com)とpassionという言葉からなっている、合成語でして、passionは、今、私たちは情熱と訳したりしますけれども、もともとは悲しみとか苦しみという語源を持ったものです。conというのは「共」と訳されたりしますけれども、シェアではなくて、分かち持つということを基本に考えられている言葉で、この2つを合わせて、他者の悲しみを分かち持つ、自分事にしていくということが基本になっているものです。
それを私たちはこの社会の基盤として持っているのだといったことが意識された言葉になるかと思います。そして,その悲しみを軽減するためにみんなで一緒になって社会をつくっていく、そんなことが現在の私たちのこの社会の基盤になっている。それが自治につながっていくということになるだろうと思います。
そして、それを実現していくのが実は教育という営みであり、さらにそれを支えていくのが社会教育ということになるだろうということになります。その意味で、教育振興基本計画の基本的な考え方として、「教育こそが、社会を牽引する駆動力の中核を担う営み」でしたということ。さらには、一人ひとりの豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割が大きくなっているという認識を示したということ。さらに基本的な方針として、持続可能な社会の創り手を育成するということ。さらに、「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」ということが明記をされたこと、になるかと思います。
そして、その中で社会教育については、定義といいますか、概念の組替えを行おうとしたと理解しております。一つは、社会教育による「学び」を通じて人々の「つながり」や「かかわり」を作り出し、協力し合える関係としての土壌を耕しておく、ということです。
そして、さらにこのように形成された地域コミュニティにおいて、人々の関係がコミュニティの基盤になり、さらに、そのコミュニティが大きな社会の基盤にもなっていくのだということです。その意味では、人々の関係を、社会教育を耕していくことによってこそ、この社会の基盤がより豊かに形成されていくのだという筋道が示されたということになるかと思います。
さらに社会教育は、いわゆる教育行政領域だけの問題ではなくて、むしろ地域住民が共に学ぶものであるので、地域コミュニティの形成の営みという性格を強く有しているという認識が示されました。そして、そこで防災、福祉、産業振興、文化交流などの広義のまちづくりや地域づくりに関わるものとして、社会教育はとらえ返されています。つまり、社会教育とは、こうしたいわゆる一般行政に関わる施策の基盤をつくっていくものであるという認識が示されたと理解しています。そして、政策目標の10に地域コミュニティの基盤を支える社会教育ということが明記されたのだと思います。
先ほど、社会教育の概念が組替えられているという話をしましたけれども、なぜ組替えと言うのかということになりますが、実は私たちが社会教育を学ぶ過程で教えられてきましたのは、社会教育は常に学校教育との対比において位置づけを与えられてきたということになっていたからなのです。
それは、発達形態論と言うのですけれども、学校教育との関わりで、例えば補足的な形態を取ってきたですとか、「拡張」「代位」「以外」「移行」などという、ある意味では学校教育以外の部分、つまり社会において行われている教育として、展開をしてきたというようなことを教えられてきているのです。
その意味で、社会教育とは一体どこまでなのだという話になるのですけども、それを法的な規定で見ていきますと、旧教育基本法では、第7条に社会教育の規定がありまして、ここで、家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育、と規定されています。簡単に言えば、学校が入っていないという形をとりつつ、家庭教育と職場その他社会において行われる教育という議論になっています。
さらに、現行法の社会教育法では、第2条に社会教育の概念が定義されていまして、簡単に言えば、いわゆる学校教育や就学前教育に関する法律で決められている教育課程以外のところの社会において行われる、主に青少年ですとか成人に対して行われている組織的な教育活動であるということになっていて、より厳密に学校または就学前教育の教育課程以外のところを担うものだということが明記をされています。その意味では、簡単に言えば学校教育以外の、という定義になっています。
そして、さらに現行の教育基本法は、第3条に生涯学習が入ってきていまして、個人が自らの必要に応じて一生涯にわたっていつでもどこでも学べるようにしていく、その条件整備をするのが国の役割であるということが書かれてあるわけですけれども、社会教育は第12条に規定をされていまして、ここで個人の要望とか社会の要請が入ってくるわけですが、ここでも「社会において行われる教育は」ということになっていまして、学校教育以外のという意識がまだ残っているような規定になっています。
これらの意味で、先ほど申し上げたように社会教育というのは基本的には学校教育以外の社会において行われる、特に青少年や成人を対象にした組織的な教育活動である。その中には当然文化活動ですとか、またはいわゆるスポーツ、レクリエーション活動も入ってくるということになるわけですけれども、学校を基準に置かないと自らを定義できないような、そういうようなものとして捉えられてきたという面があるだろうと思います。
それに対しまして、今回の第4期の教育振興基本計画は、どちらかというと学校との関わりという問題ではなくて、むしろ社会教育こそが人々の関係を耕しておくことによって、この社会基盤をつくっていくことになるのだ。そして、その社会基盤をちゃんとつくることによって、実は一般行政が抱えている様々な課題がある意味ではうまく展開していって、社会そのものが自治的に治められていくのだ。そして、個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングが好循環をつくって、新しい社会を形成していくことになる。そういうようなことが示されたのではないかと理解をしています。
その意味で、学びによる住民自治をより深く社会に実装していくことが求められたのだ、そういう時代に入ったのだということが、今回の教育振興基本計画では述べられているのではないかと思います。
さらに少し遡って、ちょっとここからややこしい話になりますので、時間がかかりますからはしょりますけれども、戦前期から社会教育という言葉はあったのですが、どうだったのかということなのです。社会教育という言葉が行政用語になったのは1920年代です。大正9年、10年頃からです。正式に社会教育課という課ができたのが、大正13年に旧文部省の普通学務局第4課が社会教育課になったところからですけれども、それまでは、通俗教育と言っていました。
通俗というのは分かりやすく説くということです。つまり、学校教育制度をつくってきたわけですけども、学校に年齢上、行けなかった人々がたくさんいるので、その人々に対して近代的な知識を教授していって、新しい社会に適応できるようにしていくと同時に、保護者が子どもを学校に上げることを拒んだりする例がたくさんあったので、学校に行くとよいことがあるという形で、それを促す、就学督励と言いますけども、そういう役割を担っていました。
ただ、ここからはざっと流しますけれども、簡単に言いますと社会教育というのは文部省の中の官制上、社会教育という言葉が入ってきて、政策がつくられてくるわけです。当時のいわゆる社会が形成されてくる過程、この場合の社会といいますのは、今、私たちが普通に思い浮かべるような都市型の社会でいいかと思いますけれども、日本のいわゆる資本主義、市場社会が発展する過程で、大正中期ぐらいから都市部に大量のいわゆる労働者が生まれてくるようになる。そしてその人々が一つの階層を形成するようになってくる。その過程で例えば貧困層が生まれたりですとか、様々な社会問題が起こってくるようになるわけです。それ以前にも社会教育という言葉は、民間ではあったのですけれども、当時のロシア革命の影響を受けたりしていまして、そういう意味で、公的に社会という言葉を使うことが危惧されたということが言われています。そういうことが社会的には起こるような時代に入ったということなのです。
特に1924年に官制上、社会教育課ができたというのは、ある意味でその前年に関東大震災が起こっていまして、社会が大きく変動するというか、混乱する時代に入っていく中で、教育的な手法を使いながら人々の生活を安定させていく、もっと言えば国というシステムを安定させていくといったことの必要性と絡んでいるのではないかとも思われたりします。
そういうことの中で、社会教育はどちらかというと、社会全体の安定を図るために、例えば学校教育で競争をして上に上がっていって、自らのウェルビーイングを実現していける人々がたくさんいるわけですけれども、その過程で落ちこぼれていく人々もたくさんいる。それで貧困層にリクルートされていく人々が大量に生まれる。その過程で社会不安が高まっていくのを、社会教育の手法を使いながら人々をすくい上げて、市場社会できっちりと生活ができるように保障していく。その意味では、社会教育とは社会福祉の領域とも関わるような政策として展開してきたという面があるだろうということなのです。
さらに、それが戦前期の様々な、いわゆる全体主義国家でしたから、さらに戦争を起こすということが頻繁にあった時代ですので、いわゆる内務行政的なといいますか、思想統制ですとか、または人々の動員といったことにも関わりながら社会教育が推移するといったことがありまして、文部省の中にあった社会教育であるわけですけれども、内務省と非常に近いところにあって、最終的には教学局という形で内務行政に取り込まれていくということで、終戦を迎えます。
戦前から社会教育とは言うわけですけれども、むしろ学校教育以外のところで人々の生活の安定と、さらにはいわゆる国というシステムの安定のために機能するような形で、ある種、内務行政的なところと非常に深い接点を持ちながら展開してきた。その意味では、固有の行政領域を形成することがなかったのではないかという議論になっています。
そして、それが戦後につながるわけですけれども、戦後もやはりそういう性格は続いていまして、簡単に言えば、思想統制ですとか、または動員ですとか、そうしたものは否定されていくわけですけれども、人々が地域で学びながら自分の生活を立て直し、さらには、地域を経営していくという、そういう方向性は維持されたのだと思われます。
その意味では、社会教育は、戦後も文部行政、教育行政の中に入ってくるわけですけれども、社会教育が独自の行政領域を形成するということがあまりなかったのではないか。そしてさらに簡単に言えば学校教育を中心に、学歴の社会が形成されてくるということもありましたので、社会教育は、学校教育以外のという位置づけで近年まで来てしまったと、そういうことになるのだろうということです。
言い方を変えますと、私たちのこの近代社会、特に工業化をベースにする社会の在り方が学校という制度をつくって、そして、人々をマスとして、つまり集団として扱う。そして大量の労働力と大量の購買力を形成していきながら、経済の規模を大きくしていく、経済を発展させていくという仕組みを明治以降、それから戦争を経ても戦後もそのまま維持をしてきたのです。そして戦後、東洋の奇跡と言われるような経済発展をし、1980年代には、ある種、頂点を極めたことになるわけですけれども、その後どうなっていくのかといったことになるかと思います。
以上を簡単にまとめれば、私たちが教育と聞くと、学校というふうにすぐ思い浮かべるようになっているのは、学校そのものが私たちの人生に関わるような社会的な仕組みになっていて、学校で選抜を受け、より上の階層に入っていく。そして、日本の就労の仕組みでいえば、学校は、新卒一括採用、さらに終身雇用ですとか年功序列ですとかと深くかかわっていて、その意味では、生活を安定させるのには学校に行かなければならないという感覚が強められる中で私たちが生活をしてきた。つまり、学校にはこの社会をつくり、経済を回してきたということがあるということです。
そういうことの中で、私たちは社会教育というのはどちらかというと学校を基本にするこの社会の中において、学校から外れた人々に対して対処しつつ、社会を安定させていく、さらにその方々の生活を向上させるという形で機能するような位置づけを与えてきたのではないかということになります。それが戦後も続いてきたわけです。すみません、端折ります。
今社会が、先ほど茂里局長もおっしゃったように、大きく変動してきています。それが今言われているその予測困難な時代、VUCAの時代と言われるものになったということになります。どんな時代か、あといろいろ資料をつけてありますけれども、それをご覧いただくこととして、ここでは説明は割愛させていただきたいと思います。
簡単に言いますと、私たちの今までの社会は所有欲求の社会である、物を持つことが幸せにつながっていた社会だというふうに言われます。それは言い方を変えれば、目的を達成していく社会です。先に目的を置いて、目的を達成する、例えば規模が大きくなっていく、あるものが手に入る、または自己実現していくというような形での目標がはっきりしていて、しかも社会全体が経済が発展すること、規模が大きくなることがよいことであるという価値観を共有しながら、一つの方向に向かってみんなが競争していく、そういう社会をつくって経済発展してきたということになります。それが日本の場合は1980年代の半ば以降、特に90年代初頭のバブルがはじけた後ぐらいから、そうではなくなりつつあったのではないかということです。
それを受けて、VUCAの時代に入ってきたという言い方をするわけですけれども、VUCAというのは、今日資料は入っていませんけども、もともと軍事用語で、曖昧性ですとか不確実性ですとか複雑性ですとかといったことの頭文字を取った言葉なのです。全体で予測困難になるということを言っているわけです。それを一人の人生の在り方として描きますと、ここに出ていますように、人生100年を生きる時代になった中で、従来のように単線型の人生設計が通用しなくなる社会に入ってきた。言い方を変えれば、ジェンダーの議論でいけば、男性原理を基にしたある種の英雄譚のような、例えば「旅立、苦悩、克服、勝利、帰還」というような形での人生をイメージできなくなる社会に入ってきた、そんなことだろうと思います。
つまり、目標を達成することが目的の社会ではなくて、常にこのプロセスにあって変わり続けていくことを目的とするような社会に入ったと考えてよいのではないか。それこそ実は、所有欲求の社会ではなくて、むしろ存在欲求の社会に入ったということになるのではないかということです。
そういう意味では目的達成をしていく社会ではなくて、持続することそのものが目的になるような社会になってきた。そして私たちの生活も、あるものを達成して実現していくことが目的のような生き方ではなくて、むしろ変わり続けていくことが、プロセスにあることそのものが目的であるかのような生き方をせざるを得ないという社会に入ってきたのではないか。だからこそ、予測困難になったということなのではないかということなのです。
それを示しますのが、8ページ以降からのいろいろある価値観の変容とかって書いてあるところになります。例えば一つの例としまして、医療も、今回、感染症の問題がまだ出ているわけですけども、多くは生活習慣病といいますか、感染症が克服されてきていて、例えばがんであったりとか、または様々な生活習慣病が挙がってきているわけですけども、それを受けて、医療のほうももう既に原因を特定して、治していく、完成させていくという医療ではなくて、むしろ予防や進行管理をしていくという、持続していくような医療に切替えが始まっているのです。
さらに介護も、従来のように何か問題があったときには何かを手当てをして解決をするという介護ではなくて、本人の意思決定を尊重しながら持続できるような、自律できるような形に介護を組み替える。その意味でいわゆる日常生活の福祉に関しても、常にプロセスにあるような状態が持続できる形への組替えが起こっているのです。
その意味では、社会の在り方というものがあらゆるところで、目標達成を目的とする社会からプロセスにある中で変化をし続けることを目的とするような社会に変わってきている。そのときに従来のような学校教育を中心にし、さらに学校教育以外の社会教育ということでよいのかということになったのだろうと思います。
時間が来てしまいましたので、この辺りで終えたいと思いますけども、以上のような社会の変化の中で、何が大事かといったことが改めて問われてくるようになってきているということだと思います。それでそこで私たちが改めて考えなければいけないのは、自分がどういう形であれば、一番幸せを感じるのかというときに、いわゆるプライドですとか当事者性ですとか自己有用感ですとか、そうしたものがきっちりと尊重されつつ、それが行政的にきっちりと支えられていくという形、そういうことがこれから求められてくる。その上で自尊感情を持って、自分たちの生活をプロセスとして維持し続けていくことが求められてきたのではないか思います。
最後になりますけれども、その意味でこの社会は、実は量から質への転換といったことが起こりつつある。量というのは価値を一元化していって、その価値の持つ量を拡大していくということになります。質というのは何かというと、価値が多様化していくということの中で、それぞれの人がそれぞれの価値を追求できるような社会に入っていく。その意味では均質性をベースにするマス(集団)の時代から、個別性を基本とする個の時代に転換が始まっている。そして、それは言い方を変えれば目標達成の社会ではなくて、プロセスであり続けることを重視する社会に変わってきている、ということです。
このような社会の変化を受けて、社会教育の在り方をもう一度組み替えるということになったのではないかと思います。それらを受けたのが今回の第4期の教育振興基本計画における社会教育の定義の変更であろうかと思っています。
その意味では今回、私が、この部会で議論をお願いしたいと思っていますのは、自治をどう高めていくのか、どう自治の基盤を耕していって、人々一人ひとりが主役として活躍できるような社会の基盤整備をどうするのか。そんな観点から社会教育について議論ができればと、考えております。
すみません、端折りました。以上で終えたいと思います。どうもありがとうございました。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。もっともっとお聞きしたいんですが、時間の制約があり、申し訳ありません。
牧野委員からは「社会教育をどう捉えるのか~概念と領域をめぐって~」というテーマで御発表をいただきました。内閣府の調査でも子供たちは、居場所が多かったり、社会的な活動や自然体験をしていたりすると自己肯定感や挑戦意欲が高いという、そういうデータもあります。まさに「関わりが大切な社会へ」、そして、「自治の基盤を耕す社会教育」ということを改めて牧野委員の御報告から確認をさせていただきました。
それでは、続きまして、野津委員から、「地域コミュニティの基盤を支える『島根県の社会教育』」ついて御報告をお願いいたします。それでは、お願いします。
【野津委員】 資料は2-6であります。何で島根県を全国で言うのかという疑問に思われる方がたくさんおられると思いますが、島根県、人口構造的にいうと先進県でありまして、恐らく3大都市圏を除く地方は、20年後には島根県のような人口構造になるだろうという前提、そして3大都市圏でも東京以外は追って訪れるであろうと。皆さん、未来の社会の話だと思って、聞いていただければ現実味があるのかなと思います。
まず、この諮問を見まして、私、去年4月からの社会人材育成部会から参加をさせていただいておりますけれども、社会教育は人間、生身の人間の話をやっとし始めたなというふうに捉えておりまして、まさに今回のこの特別部会の議論というのがその一つの出口になるんだろうと。実際に人間が生きている、暮らすとか生きるとかって、そういった部分に答えが出るような、ゴールが見えるような、そして社会教育の出口があるようなそんな議論ができそうな諮問であるというふうに捉えております。
資料を見ていただきますと次のページお願いします。島根県は、平成の大合併の前が59市町村ありましたけども、次のページ、現在19市町村に集約されていると、平成の大合併の大優等生であると。すなわち何かというと、島根県の中の市部の周辺部はやはり非常に厳しい環境にあると。全県的に厳しい環境にあるので、合併していろいろな効率化をしていかないと行政すらもたないと、こういう状況にあるということであります。
次のページ、人口ですけども、1955年がピークであります。その後、高度経済成長が始まって下がりました。ここで大量な社会移動が起こって、都市部に人口が流出すると。まだ、この頃ずっと最近までは、生まれてくる子供のほうが亡くなる方よりも多かったので、その分は増えていましたけど、それ以上の流出があったということであります。そして現在、その頃から比べると全体で人口3割減でありますけども、出雲地域、これは東部のほう、松江市とか出雲市のあるところですが、これは10%の減に対して、石見部、これは西部のほうになります。石を見ると、これでなおかつ「いわみ」と読ませるという、非常に平地の少ないところでありますけれども、こういったところは半分になっている。それで隠岐圏域というのは離島です。隠岐島です、これも半分になっている。島根県の中でも、実は都市部集中というのが現実にあります。ただ全体で言うと3割を人口が減ってきたということであります。
次をお願いします。その人口の構成を言いますと実線で書いてあるいわゆる本当のピラミッド型、これが先ほどの1955年の生まれてくる子供がたくさんいたという世界でありますけども、色のついているところが現在であります。15歳以下、下にやっぱり少子化であるということと、20歳ぐらいのところがしぼんでいると、これは社会に出ていく、東京に出ていく、就職とか進学で出ていく部分でぐっと減って、そこからいかに取り戻していくかということが課題でありまして、これは人口ピラミッドと言わず、これはもうたいまつ型であるとかソフトクリーム型とか、こういうふうに言われるわけです。その上のほう、65歳のところから、ここにかなりのボリュームがありますけども、ここに上がっていくその下の層というのが今少ないので高齢者も減ってくるということです。今後、高齢者は減るけど、高齢化率は高くなるというのが現実の社会であります。
次をお願いします。今の言った年齢別に表して、15歳から64歳がどんどん下から上がってこない。特に出ていくので上がってこないというのでどんどん減ると。65歳以上が23万人、3人に1人が65歳以上。そのうちで言いますと75歳以上が12万人で、5人に1人は75歳以上ということになります。いずれここが、今ここ増えてもこの後から減少に転じることになります。子供の数は減り続けているという状況であります。
次をお願いします。こういう社会の中でどうやって大きな行政、地域づくり、生活づくりを進めていくかというと、一つは、島根県では小さな拠点づくりという大きな政策をしております。この細かく出ているのが実は公民館単位であります。公民館って島根県300ありまして、小学校が今200をちょっと切っていますけど、200で、小学校は30年、40年ぐらい前はやっぱり300あったんですよね。要は小学校校区に公民館があって、子供がいなくなったので小学校は統廃合が進みましたけども、御高齢の方々は健在ですので、公民館はそのまま残っていると。すなわち小学校1年生が何とか歩いて通える範囲内に公民館があると、こういう状況であります。
この色が緑のところが中山間地域、非常に生活条件の厳しいところ。色の薄いところが中山間地域ではないところですけども、これが松江市と出雲市。右側が松江市、左側が出雲市になりますけども、県内では比較的大きな市、全国の縮図がこういう具合に表れているという状況であります。
次をお願いします。この中山間地域だけを取った人口ですけども、松江も出雲も先ほどの色の薄いところは除いて、松江、出雲の中にも中山間地域はありますので、その中山間地域だけをやりますとこの10年で13%、全体で13%人口が減っていると、減り続ける状況にあると。これはもう東部も減っていると。先ほど、全体として東部は人口減少がなだらかでありましたけども、この直近を捉えると、やはり減ってきているという状況であります。
次をお願いします。これはそれぞれの中山間地域の人口割合です。
これ飛ばして、小さな拠点づくりは何かというと、すみません、先に次のページをいいですか。公民館エリア単位で、それぞれあと大体人口2,000人になるように公民館エリアをつくって、人口が2,000人いればいろいろな機能が何とか維持できると言われております。なのでこのうちのエリアでは商店を残そう、診療所を残そう、ガソリンスタンドを残そう。おたくでは介護拠点を残していると。その間を地域交通、生活交通で自治会輸送とかそういうので結びましょう、大きな機能は町なかまで出ましょうと。これがいわゆる国交省のコンパクトシティとは違って人口を集約させない、機能を集約したところにそこに住むところまで集約しない。
何でかというと田畑があるので、1日5回、畑に水をやりに行くのを町なかに住んで5回通うのか、非現実的であります。そして、周辺部に住んでいる人の土地と田畑、財産はどうなるんだ、誰が買ってくれるんだ、売れるわけないんで、中心部に移動したときに誰が生活の面倒見てくれるんだと、収入はどうするんだということで、現実問題こういうことになるというのが住むところを捨てない、もちろん捨てたら国土は荒廃します。山の中に人が住んでなければ砂防工事とか急傾斜工事、公共工事要らないだろうと言いますが、国土は荒廃します。手を入れないところは山崩れが起こりますよ、いずれそして熊が出ます、イノシシが出ます、人間の生活が脅かされる。自然災害と動物災害で脅かされるというためには手を入れると、どの程度入れなきゃいけないかというとある程度人が住めるぐらいまで手を入れないと、国土は守れないという状況であります。
すみません、前のページに戻っていただいて、こういったものをやるのに取組の方向の下のところを見ていただくと、誰がどこに何の機能を残すかと決定するのかというと、住民なんです、市町村でもない、ましてや県でもない、自分たちで決めていただく。自分たちのことだから、自分たちで責任持って決めていただく。自分たちで話し合って決めていただく、でないと長続きしない。自分で決めたことではないと、という設計思想であります。その決めることに対して、行政はしっかりサポートしていくということであります。
すみません、2つ先にお願いします。それで現在、拠点づくりはどう進んでいるかというのがこれでありまして、ピンクと濃いところはそういった話合いの場ができていると。緑のままのところはまだできていない温度差があります。生活にどれだけ困っているのかということによりますけれども、まだまだ温度差があるけど、基本的に全部進めていく方向であります。
次をお願いします。ここからが社会教育の本題であります。この小さな拠点づくりをただ話合いやってくださいと、行政がやるので来てくださいといったところで、全県にわたってほとんどの県民の方が参加してくるわけはないというのが現実であります。では、どうするのかというと、社会教育的なアプローチで仕掛けづくりまでやる。いかに主人公を地域住民であるところを最初から外さずに当事者意識を持ちながら、その方たちが地域課題に向かって対応していくように伴走支援をしていくと、これが社会教育を利用した地域振興であります。
一つ、これは島根県の安来市というところがありますけども、そこの比田地区というところの例であります。「比べる、田んぼ」と書いて比田ですけども、次のページをお願いします。
まず、役場の市役所のほうから、社会教育、教育委員会、社会教育のほうにどうやったらこういった取組が進むだろうかという、人を動かせるだろうか、人が参加してくれるだろうかという相談がまず取りかかりとしてありました。
そこでまず、先ほど言いました主役を外さない、主役は市役所ではない、行政ではない、ましてや社会教育の仕掛け人でもない。ここを明確に必ず元に戻る。その上で一人でも多く巻き込むのはどうしたらいいのか。そして、そのための手法として世代別にやったほうがより集まるんじゃないかと。何せ未来を語る話なので、世代によって未来の捉え方、未来のどこまで捉えるか違いますから、そういったことがいいんじゃないかということで提案をして、参加募集は地域にこういうことをやりますから集めてください。皆さんがやるんですよということを地域のリーダー、公民館の館長さんとか自治会の方とか、いろんなリーダーの方がおられますから、そういった方に約束をしてワークショップ、世代別のワークショップを社会教育士がファシリテートする。要はファシリテートによって意見を引き出す。こういったことをどう思いますかと、そして人の意見をちゃんとまとめて議論ができるように次に提供していく、そういったコミュニケーション力だったり、ファシリテーション力であったり、そういったものにたけているわけで、そういったことをやってもらうと。
意見を出やすくして意見をとにかく出させる。そして無責任と言っちゃいけませんね、出たアイデアは1,469アイデアを入れる。これを実現可能性のところへもう一個、次のステップとして話し合わせる。ここの段階も全て地域の人でやってもらう。だからそこで1,469のアイデアを出したのは参加者、そこから88の戦略にまとめるのは参画者、ここで地域の方の役割ががらっと変わる、ワンステップ上がるということであります。決してこの先は行政でまとめてあげますとはやらない。自分らで実現可能なことを絞っていただくというところにしっかり伴走支援する、話合いの支援をするということを社会教育主事がやっていた。
その後「えーひだカンパニー」、平仮名で、えーひだカンパニーですけど、比田は地名です。「えー」というのは出雲弁でいいという意味で、グッドという意味です。そういう意味の団体をつくって、そこからもう自転するんですよね。自分らでアイデアを次々出して実現していくと。そこから小さな拠点づくりが始まると。これぐらいの段階を踏んで地域課題で解決、現実に解決する方向へ向かっていくということであります。
次のページをお願いします。実際に出た88、ちょっと見にくいですけど、もしよろしければ比田のホームページを見ていただければ。
次をお願いします。島根県、先ほど言いました公民館300あって、そのうち3分の2は既に教育委員会から手を離れて、まちづくりセンター、コミュニティセンターになっている。これは先ほど言いました合併が大きく影響していまして、周辺部を何とか行政サービス残すためにこういったことになりますけども、ただ、公民館機能を捨てていないので、県の公民館協議会にちゃんと入っている。我々は普通にコミセンもまちセンも公民館と呼んでいる。これはもう容認せざるを得ないし、別に公民館の働きをしてくれればそれはそれでいいと思っています。
次をお願いします。うちの公民館が強いのはこういった自分らで考える。先ほどの比田もそうですけども、自分らで考えるという風土が公民館を中心にあるということであります。県のほうで10年前、15年ぐらい前に自分らで考えて提案してくださいと。そしたら少し活動資金出して、最初のイニシャルコストを出しますからというのをやりました。
次をお願いします。ちょっと飛ばして、すみません、また後で読んでいただければ分かるようにつくっていますので、次、行ってください。モデル公民館の取組など2つほど御紹介をしておりますので、何をしたかというのをまた見ていただければ。
知事部局との連携までお願いします。公民館は教育委員会のものですけども、所管でありますけども、知事部局、いわゆる市長部局、県庁のほうで公民館にこういうことをこういうテーマで何か考えていただけないかということをうちの県はお金を出して、向こうからお金を出してうちに頼みに来た。例えば子育て枠、外国人の居住とか高齢者の問題等々で、次をお願いします。次をお願いします。こういった人を介して、補助金頼みにしない地域づくりというものに行政が着目したということであります。
次をお願いします。こうやって担当者と予算をうちに集める。
次をお願いします。見ていただくと予算のほう、特別枠のほうが件数も予算もぐっと増えてくると。特別枠はもう教育委員会の予算ではありませんので、ほかのところは予算を取って公民館で地域づくりを考えてほしいと、アイデアから出してほしいということで、非常に盛んにやったところであります。
次をお願いします。そのテーマが、一つ一つのテーマはこれですけども、次をお願いします。これはまた後で読んでいただくと、次、色がついているところが特別枠でだんだんいろんなことを防災なら防災といって、高齢者というテーマだけ挙げて、高齢者をテーマに何を地域課題を解決するかというのは公民館が考えるというやり方であります。
次をお願いします。そういう具合に、市町村の施設団体でありますけれども、県のほうがそれを市町村のものだと、行政の出先機関でないということを前提に、地域力、住民の方の発想であるとか決定過程、こういったものを重要視して地域課題を解決していただく。そういったことを社会教育というツール、全体が社会教育であり、働く人間が社会教育人材でありますけど、そういったことをちゃんと表に出すということが大事。
こういった県の広報紙、全戸配布している広報紙などでも、普通に社会教育は載せております。
次、社会教育士も表紙から特集するようなこともしております。
次、これは中身です。
次、これは機関誌、教育委員会の機関誌でありますけど、こういったことで表にするということ、普通にこういったことが地域づくりで必要ですよという見える化をしていくことが大事だと思っています。
次、少し飛ばしてください。もうちょっと、もう2つぐらい飛ばしてください。ここです。ここはまとめに入りますけど、地域振興って何といったら、地域で暮らすために地域課題を解決する、地域で生きていくために世代を紡ぐ、私はこの2つがキーワードだろうと思っています。この地域課題を解決する、世代を紡ぐための施策が地域振興策であろうと思っております。この実現手法に社会教育がある。補助金でやるインフラを整備するというような手法もお金をかける手法もありますけど、それでは長続きはしないのと、継続して中身が発展するかどうかということです。補助金が要らない、あるいは継続性がある、そして大事なのは発展性があると、そして何より人間に焦点を当てた振興策であるということが大事であると思っております。
次、それが社会教育というのは心のエネルギーで動く、満足のエネルギーと言っていますけども、日常生活にふだんない動き、活動を起こせと言っております。人間が何かをすれば、実現すれば達成感がある。ただ、それに満足しない、人間、欲たれですので、もう少しという気持ちが向上心となってさらなる学びをしていくと。この満足のエネルギーが、お金がなくても、多少の経費は要りますけども、活動が動く、人のために動く、地域のために動く、自分のために、自分の子供の未来のために動くということがやっていけるエネルギーだろうと、これが社会教育のいいところだと思っています。
次、すみません、という長話がこの3つの冊子の僕の話として載っていますので、また、よろしければ御覧いただければと。
時間オーバーしてしまいました。すみません。
【清原部会長】 野津委員、大変にありがとうございます。
比田地域の例をはじめとして、牧野委員からお話ししていただいた「自治の基盤を耕し、形成する社会教育の営み」という御提案の具体的な実践事例を御紹介いただきました。
「公民館活動は地域力のバロメーターである」こと、そして「社会教育士のネットワーク」もつくっていただいて、「地域振興とは地域課題を解決し、世代を紡ぐ」ということ、そして、「社会教育者とは、活動の起こし人である」という重要なメッセージいただきました。ありがとうございます。
それでは、委員の皆様によります意見交換に入ります。全員から御発言をいただきたいと思いますので、大変恐縮ではございますが、短い自己紹介を含めてお一人、2分程度を目安に御準備いただければと思います。なお、都竹委員が御公務のため、途中退席されるので、最初に御発言をお願いいたします。続いて、オンラインの委員の皆様に御発言をいただき、その後、会議室での委員の皆様を指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、都竹委員、よろしく御発言をお願いいたします。
【都竹委員】 ありがとうございます。岐阜県飛騨市長の都竹と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
飛騨市は岐阜県の最北端に位置する、人口2万2,000の典型的な過疎自治体でございまして、高齢化も進んだまちなんですが、ウェルビーイング、実りある人生、豊かな人生という中で、生涯にわたる学びは不可欠だということで社会教育あるいは生涯学習の支援ということには力を入れてまいりました。
当市は、教育委員会と市長部局の垣根がほとんどありませんものですから、ほぼ一体として動いているのが特徴なんですが、その中で、市内の保育園から県立高校までを一つの学園とみなして、子供たちの課題発見、課題解決能力を地域の大人たちと一緒に育んでいこうという飛騨市学園という構想を立ち上げまして、これで6年目を迎えております。
その延長線上で現在、様々な市の学習講座を再編し、市民カレッジという仕立てにしまして、テーマを「学びに卒業なんてない!!」というテーマを掲げて、それぞれの思い思いの学びを追求しながら、子供も大人も世代を超えた学び合いができるようにというようなまちづくりを進めておるところでございます。
この背景としては、学校での探求学習が大きく進展しておりまして、地域学校協働活動が非常に活発になっているという中で、地域の課題解決って結局まちづくりそのものだという認識になってきたということ、そして、その活動の上では子供も大人も一緒だという認識がありまして、学校教育から社会教育を一つの流れにおいて、今や同じ地平の上にあるんだという認識を持ってきたというのが背景にございます。
その運営なんですけども、飛騨市学園、それから市民カレッジ両方なんですが、市内の若者が立ち上げた教育支援のベンチャー企業がございまして、そこに委託をしております。ここには社会教育主事も社会教育士もいないんですが、企画力、ファシリテーション能力、コーディネーション能力も大変すばらしくて、十分に役割をこなしてくれております。
今回、大きなテーマが社会教育主事、社会教育士の役割の明確化が掲げられておりますが、市役所自体も実はかなりここは苦慮しておりまして、資格取得者を確保するのが難しいし、また、その配置、人事異動も含めるとかなり制約がある。かといって資格を取ってもらおうとすると岐阜市まで高速で2時間かかるところに、1か月近く通わないといけないということになってこれも厳しい。そういったことを考えると社会教育主事、社会教育士を前提としながらも、同様の力を持つ人材を広く育成していくような方法、こうしたことも検討すべきではないかというようなことを考えておりまして、そうした観点での発言をさせていただければなと思っております。
そんなことでどうかよろしくお願いいたします。ちょっとここで失礼をさせていただきますので、どうかよろしくお願いします。ありがとうございます。
【清原委員】 都竹市長、ありがとうございます。ちなみに都竹市長は、そのような飛騨市の実践も踏まえて、現在、全国市長会の社会文教委員会の委員長をお務めです。どうぞ今後とも御多用中とは思いますが、ぜひ御参加をお願いいたします。
それでは、オンラインで御参加の青山委員、お願いいたします。
【青山委員】 文教大学の青山と申します。社会教育をもともと専門にしておりまして、社会教育の人材部会のほうでも副部会長を務めさせていただいておりました。
これまで、特に子供・若者関係とか体験とか居場所関係が多いんですけれども、社会教育全体にわたって行政やNPOの皆さんとご一緒したり、自分で実践に関わったり、研究と実践と政策のそれぞれで、いろんな関わりをさせていただいているところです。
私自身、社会教育人材部会の議論にもまぜていただく中で、問題意識として持っていることは、全国で社会教育一口に言っても、自治体ごとにかなりばらばらだということです。社会教育にすごく期待をかけられるときには、やはり社会教育が活躍している自治体のことが念頭に置かれますし、社会教育がもう役割を終えたんじゃないかみたいな議論はあまり役割を果たせていない自治体のことがイメージされていることが多くて、学校と違ってという言い方になるかもしれませんけれども、社会教育の枠組みや実態が自治体ごとにかなり違うということを念頭に置いて、今後の方向性を考えていく必要があるんだろうと思っています。
そのときに、言わば「社会教育」かどうかよりも「社会教育的」かどうかが大事になるのだということがこれまでの議論なのかなというふうに捉えておりまして、その意味でも、もちろん社会教育主事や社会教育行政の枠組みをきちんと残したところを応援しつつ、社会教育士のような枠組みは、「社会教育的なもの」を制度ではなく人のレベルでつないでいくモデルなんだろうというふうに理解をしているところです。
その意味で、様々な人材養成や推進のところに、そういった観点からいろんな議論に参加させていただければと思っておりますので、もう2分たっちゃいますね、今後ともよろしくお願いいたします。
【清原委員】 青山委員、ありがとうございます。「自治体や地域現場の多様性」から「社会教育的」という概念も御提案いただきました。ありがとうございます。
それでは、小田切委員、お願いいたします。
【小田切委員】 どうもありがとうございます。明治大学の小田切でございます。
私は過疎地域や農村地域を中心に地域政策論を研究しております。関連する分科会、部会に初めて参加させていただいております。2つのことを簡潔に申し上げてみたいと思います。
第一は、農村に起こっていることですが、これはまさに野津委員が詳細かつ明確に御指摘されたとおり、我々の言葉で言えば、課題と再生のフロンティアの場になっていると思っております。そこでの再生の動きを私たちは地域づくりというふうに呼んでいるのですが、これは言ってみれば人口減少の適応策、つまり人口減少下においても地域でウェルビーイングを追求するという、そういう枠組みだと考えております。
その内実を、島根県をはじめとして全国各地の地域づくりの実践から学ぶと、人材創生、コミュニティ創生、しごと創生、この3者の一体的による内発的発展だというふうにまとめることができると思います。これは実は地方創生のまち・ひと・しごとと重なると思っております。
そして2番目ですが、問題はこの人材創生、コミュニティ創生、しごと創生と社会教育との関係です。当然のことながら、従来から社会教育は人材育成をしているわけなんですが、それだけではなくやはりコミュニティ創生と関わりを持っている。それを実感できるのが、島根は小さな拠点というふうに呼ばれておりますが、一般的に全国的には地域運営組織と言われている組織です。全国で7,700ぐらいあるのですが、これが活発な地域と公民館活動が活発な地域とは相関関係があるという肌感覚を持っております。そういう意味では、人材創生がコミュニティ創生につながっているということだろうと思います。そんなことから実は私はある段階から公民館ファンで、社会教育士の研修にも関わっています。
ただ一方で課題もあろうかと思います。先ほど青山先生おっしゃったように公民館だけなのかという、社会教育だけなのかということもあると思います。それからもう一つは、しごと創生とどのように結びつけるのかという、公民館活動、社会教育が直接関係あるとは思いませんが、しかし、つながりを持つということが大変重要ではないかと思います。
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに「社会教育が人口減少時代の地域づくりのフロンティアである」こと、そして、キーワードとして「人材」と「コミュニティ」と「しごと」という重要な問題提起いただきました。今後、受け止めていきたいと思います。
それでは、続きまして、柏木委員、お願いいたします。
【柏木委員】 皆様、こんにちは。立命館大学で教員をしております柏木智子です。よろしくお願い申し上げます。
私の研究テーマは、子供の貧困、外国ルーツ等の困難を抱えやすい子供に焦点を当てながら社会の分断を防ぎ、公正で民主的な社会の形成に資する学校、地域づくりの提案をすることです。公正とは人々がハードな資源、そしてソフトな資源として、時間とか気遣いとか愛情等を相互に分配し合う概念となります。
そして、公正で民主的な社会というのは、そうしたハード、ソフトの資源を相互に分配し合うことにより、貧困、外国ルーツ等で困難を抱えやすい子供をはじめとして、誰もがありのままの自分を認められ、他者や社会に対して基本的信頼を持ち、困ったときには必ず誰かが助けてくれる。自分たちの違いに意味があり、自分も社会の中で何かができる、希望を持っていいと思える温かでウェルビーイングを保障する社会となります。社会教育はそうした公正で民主的な社会の形成の基盤となる非常に重要なものだと思っております。
そのために社会教育に関連するところとしては、こども食堂や学習支援活動をはじめとする居場所づくり、また、学校との連携というところで、コミュニティ・スクールや探究学習等の調査を行っております。それを踏まえまして、本部会の趣旨に照らし合わせて、今述べられることは、牧野委員が自治、野津委員が地域力という言葉を出されていらっしゃるとおり、社会教育には人々の社会参加が基本的に求められるということです。そこでは、誰が社会参加をしやすく、誰がしにくいのかといったことを把握し、全ての人々の社会参加を促すキーパーソンの存在が重要となってくるということです。
また、現代社会、未来の課題を見据えながら、社会参加の中のどのような声を拾うのかという内容の選択が必要となってまいります。そのためには社会参加をしにくい困難を抱える人々の声を酌み取り、全ての人々をエンパワーメントしながら声を流通させる方、また、一定の専門性を持ち、地域づくりに向けて人々の声をコーディネート、ファシリテートしてくださる方の存在が非常に重要となってまいります。これを踏まえると、本部会の議論と審議は必然として要請されるものであると考えております。
以上となります。
【清原部会長】 柏木委員、ありがとうございます。「社会参加しやすい地域づくりのためのファシリテートの人材が必要」ということです。今回事務局に、こども家庭庁の成育局の成育環境についての担当課長とともに、居場所づくり推進官にも加わっていただいていますので、まさに今、柏木委員が御提案いただいたことを省庁の壁を越えて推進するということも、今後、進めていきたいと思います。
それでは、金澤委員、お願いいたします。
【金澤委員】 皆さん、初めまして、明治安田、金澤でございます。現在、会社では、地域リレーションの責任者をしております。
民間保険会社ではありますけれども、健康増進・QOLそして地域活性化、この2点を進めさせていただいておりまして、全国の地方自治体様と一緒に地域の課題解決に取り組んでおり、1,000を超える自治体様と協定を結ばさせていただいております。
本日のお聞きした話で関連するところでいきますと、全国の公民館で、定期講座などで役立つ情報提供のセミナーを地域で働いている職員が参加、開催させていただいたり、お手伝いをさせていただいているほか、同様の話を地域包括支援センターでも進めているというような活動をさせていただいております。
今回初めて、社会教育関係に携わらせていただいて、まだまだ勉強中でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【清原部会長】 金澤委員、ありがとうございます。私も三鷹市内で地域ケアネットワークのボランティアをさせていただいているんですが、明治安田生命の職員の方に無償で有益な講師として活躍していただいて助かっております。企業の視点も大変重要ですので、御遠慮なく積極的に御参画いただければと思います。
それでは、関委員、お願いします。
【関委員】 愛媛県新居浜市生涯学習センターの関と申します。新居浜生涯学習大学という市民大学の運営や県内の社会教育の多様な人々とつながりながら、いろんな活動に取り組まさせていただいております。先ほどの野津委員と牧野委員のお話に関連して3点ほど述べさせていただきます。
1点目です。新たな事業が展開できないかなということを改めて感じました。島根県が中山間地の支援策で取り組んでおられた地域力醸成プログラム、私も以前このプレゼン大会に参加させていただいたのですけれども、知事が最前列で真剣に聞いておられたことや、応援団が発表を一所懸命盛り上げていたことを思い返します。愛媛県でも昔は、県費の補助事業がありましたし、国庫補助事業の学級講座もありました。その頃は県とのつながりが強かったと思うのですけれども、いつの間にかそれが弱くなってきたことを感じております。また、国の事業で公民館GPという取組がありました。私どもも参加させていただきましたが、その中には、今注目されている地域課題の解決の好事例がいっぱいあったと思います。それらを再検証して、新たな令和の時代の公民館GP、社会教育GPみたいなものができたらいいのかなというのが1点目です。
そして2点目は、社会教育の概念についてです。先ほどの牧野委員のお話にありましたが、私はこれまで戦前戦中の社会教育というものをあまり考えたことがありませんでした。その中に、仮に負のイメージがあるのであれば、それを払拭する新しい社会教育の理念が求められていると思います。概念を提示するだけではなく、その中に理念を組み込んでいくことも必要な時代になっているのではないかとも感じました。
3点目は社会教育の人材の在り方です。野津委員が最後に、社会教育者とは、活動の起こし人という表現をされておりました。私も昭和の頃には自分が若かったこともあって、機関車になって引っ張っていった時代もあったような気もします。でも、今の時代に求められている社会教育の人材は、みんなが活動に入っていくことを促していく、その人がいることによって活動が活性化する触媒のような機能ではないかなと思っています。
そういった意味でも将来に向けたタネ蒔きが大切で、若い頃から、子供の頃から、社会教育の楽しみを知った人がどんどん増えていって、その人が将来は社会教育に関わっていこうという思いになる、そんな道筋をつくっていけたらいいのかなと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 関委員、ありがとうございます。まさに現場から御提案もあり、より一層若い人たちの参画に向けても議論が高まればと思います。
それでは、会議室で御参加の皆様の御意見をいただきます。まず、安齋委員、お願いします。
【安齋委員】 よろしくお願いします。私はCSマイスターとして平成25年から務めさせていただいております。ふくしま学校と地域の未来研究所代表を務めている安齋宏之と申します。よろしくお願いします。
私は平成4年まで、小学校の校長を4校で12年間務めさせていただきました。その中では、このコミュニティ・スクールと地域学校協働活動を生かした学校経営に努めてまいりましたが、平成23年の東日本大震災の折も、またその後のコロナ禍においても保護者、地域の皆様との連携協働において、学校経営を改善しながら子供たちの学びを止めることなく、教育活動を続けることができました。そういった経験から2つのことを感じております。
一つは、昨日も、中教審のほうから、教員確保に向けた総合的な政策が発表されていますけども、まさに学校をよくするためにはやっぱり地域のコミュニティ基盤がしっかりしなくちゃいけない。野津委員や牧野委員の話の中で出てきたように、地域の人たちの当事者意識が高く、そしてまさに自分の地域の未来を担う、つくる子供たちを育んでいかなきゃいけないということで、ぜひ学校教育をよくするためにもこの地域基盤を支える社会教育というのは重要だなって感じております。
もう一つは、逆にコミュニティ・スクール、地域学校協働活動を推進してきた立場で言うと、本当にこのコミュニティ・スクールや地域学校協働活動を進めていくことがまさにその地域のコミュニティ基盤をつくっていく。そういう機能を果たしていくんじゃないかということで、さらに、このCSと地域学校協働活動の一体的推進を図るために、まさに今求められているのが社会教育人材だろう、そんなふうに感じているところです。今回の会議の中で、そういったことを皆様と議論できればと思っております。
ありがとうございます。
【清原部会長】 安齋委員、ありがとうございます。校長経験者としても、社会教育とは学校教育以外の教育というような定義の仕方も流布されている中ですが、むしろ「積極的に学校教育との連携を」という御提案を重く受け止めました。
それでは、古賀委員、お願いいたします。
【古賀委員】 NPO法人、ふくおかNPOセンターの古賀と申します。私は、いわゆる中間支援NPOとして25年ほど活動しておりまして、この春からは北九州市立大学大学院のビジネススクールでも教員を担当しております。
日頃のNPO活動の中で、公民館、児童館、社会福祉協議会、行政関係等いろんなところに関わりながら、協働・コラボレーションのコーディネートもさせていただいている中で、社会教育について、このところ2つ感じているところがありますので、簡潔にお話をいたします。
1点目が、つい先日も九州のほうで社会教育主事講師を担当し、名刺交換でいろんな方とお話をする中でも感じたことですが、改めて随分社会教育に関心を持っている裾野が広がっていることです。「社会教育士を目指して参加しています」という方も随分増えていて、皆さん異口同音におっしゃるのが「社会教育って何だろうといまだによく分からない」ということと、「何か定義が欲しい」みたいなお声もありました。定義を欲しい、定義を何とかやろうという話は割と前から聞かれるところですが、良し悪し両面あるなとも感じています。
やはり定義が「ゆるふわ」なので、弱みというか、良し悪しの「悪し」のほうなんですが、行政内部での社会教育行政の位置づけや、民間同士でもロールモデルを含めた具体像、つまりどこでどんな人たちが活躍されているのか、どんな地域課題を捉えているのかというところが、まだまだ分かりにくいなということを感じています。
それから2点目については、先ほど柏木委員さんが「社会参加しづらい人に少しでも接点を持って、声の代弁を」というお話をされておられましたが、私どものNPOもここ数年来、防災、小さな拠点、農村RMO形成支援などいろんなチャンネルに関わりながら、サイレントマジョリティとかサイレントマイノリティの方々と地域コミュニティの接点をつくるというところを試行錯誤し続けているところです。
政策的には「地域」に関わるチャンネルが随分増えているんですが、先ほども当事者意識とかという話がありましたが、民間としても頑張っていてもなかなか主体形成とまでは非常に難があるなと感じていまして、社会教育に関わる皆さんはぜひファシリテーション云々も含めての「プロモーター」みたいな役割を発揮してほしいなと、このところ願うようになっています。
私も社会教育とか公民館のファンでもありますので、よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 ありがとうございます。社会教育概念の曖昧さがもたらすプラスもあれば、マイナスもあるかもしれません。改めてどうぞNPOの視点からも、今後よろしくお願いします。
それでは、小見委員、お願いいたします。
【小見委員】 NPO法人みらいずworksの小見まいこと申します。よろしくお願いします。
私も、安齋委員と同じく、コミュニティ・スクールのCSマイスターを2018年より拝命しております。私は安齋委員とは違って地域側の、どちらかというと地域、民間ベースで学校、地域、そして家庭をつなぐという取組を13年前からみらいずworksを創業して取り組んでいます。
ちなみに、大学は社会教育を先行しておりまして、先ほど関委員がおっしゃっていましたけれども、幼少期から社会教育の恩恵を受けて育ってきたなということを高校時代に、改めて社会教育という領域を知って実感して、そこから社会教育で自分は生きていくぞというふうに思い、大学で社会教育を専攻し、その学びを今実践という形で生かしております。
CSマイスターとして、各地を訪問させていただく中で感じていることが今たくさんあるんですけれども、まず一つが、コーディネーターが、地域学校協働推進員が地方に行けば行くほどいないというか、なかなかその人材が育っていない、もしくは学校と地域側のミスマッチが起きているというところが課題だなと感じているところです。やはり社会教育の領域で地域学校協働活動を推進できる人材を育成していくということをもっと推進していくことが必要だなというふうに感じています。
また、職域ごとに研修をやらせてもらっているんですけれども、地域側は非常に盛り上がってもっとやりたい地域とか、学校と協働して地域づくりにつなげたいという思いは熱くなりやすいんですけれども、学校の先生方はどちらかというと引いている先生が多いといいますか、また、何かやらなきゃいけないのかという負担感というのを感じる場面が非常にたくさんあります。
昨日も中教審で教員確保の答申が出されましたけれども、先生方が社会教育の視点をもう少し学ぶことなのか、もしくは社会教育士がさらに地域と学校の協働について、活躍できるような位置づけを高めていくことなのか、もう一歩、そこの先生の負担感というところも鑑みながら、どうやって地域と学校をつないでいくのかというところを議論をしていく必要があるなというふうに感じています。
最後に新潟県の社会教育委員も務めさせていただいていたり、各地で社会教育の取り組みを拝見していく中で、冒頭に、青山委員もおっしゃっていたんですけれども、県によってかなり社会教育の在り方が様々だなと、市町村も含めてなんですけれども、様々だなと思っています。社会教育をきちんと位置づけている市町村とそうじゃない市町村との人づくり、そして、自治の基盤という格差が生じているように感じています。そこをどう是正していくかというところも今後議論していけたらと思っています。
以上です。
【清原部会長】 小見委員、ありがとうございます。子供の頃から社会教育に出会って、大学でも社会教育を学び、今も社会教育の活動をされているとのことで、ありがとうございます。そして何よりも地域の実情、相違が「格差」にならないような進め方を御一緒に考えたいと思います。
それでは、杉野委員、お願いいたします。
【杉野委員】 ありがとうございます。名古屋市の副市長の杉野でございます。
私は今、副市長としては4年目なんですけど、所管しておりますのがちょうど子どもに関して、子ども・若者に対する施策、それから高齢者、障害児者の施策、そして地域づくり、名古屋は16区あるんですが、区行政を担当する局、そして、環境局、生物多様性、カーボンニュートラル等を進めている環境局というところを所管しておりますが、どこをどの局を担当していても、やっぱり地域という場面から、地域のまちづくりとか地域のコミュニティづくりといったところが大切になっている部分と、もう一つ、今度テーマ、先ほど若者の居場所づくり、困難な子ども・若者といった課題やテーマからアプローチする事業活動がとても必要、両面からの活動や事業展開が必要だと切に感じております。
そういったときに、一人の子供や一人の若者というところに着目をすると、高齢者もそうなんですけれども、そこを横断的につないでいく担い手が非常に重要だなというふうに痛切に感じておりまして、そこが大都市である名古屋の中でも非常に厳しいところがあります。
名古屋はもう一つ、子ども会という活動も非常に活発な地域ではあるんですけど、この子ども会でさえ数が少なくなっていて、担い手が非常に少なくなっているというところで、例えば子ども会ですと、子ども会活動アシストバンクというところから人を派遣をするということもやっていますし、地域づくり、地域コミュニティといいますと名古屋は区政協力委員制度と言いまして、学区の区政協力委員という人と、それから、区で一人、議長さんという代表がいるんですけど、その区の議長さん、区政協力委員さんたちがこの区政協力委員と区が手を取り合って、区のいろんな課題を解決する地域づくりをするんですが、やはりここも担い手がいないというので、コミュニティサポーターということで地域コミュニティの活性化、地域コミュニティをもっとよくしたいという活動に対して、立ち上げからファシリテーションからアイデア出しから一緒に実践するところまで支援をするということをやっております。
という意味でいうと、あとテーマ型だと地域まちづくりアドバイザーというのも派遣をしたりと、いろんな切り口で地域の担い手の不足を何とかカバーしていかないと、地域自体が自ら立ち上がって環境をよくしていったり、人づくりに対して活動していくところが弱いなというところで、今、この根本を何とかしようというところで様々な仕組みを組んでおります。
そういった中で、この社会教育について今日もいろいろ拝聴いたしましたし、人材という意味での社会教育士という話もお聞きしましたが、これを補強する分野といいますか活動といいますか人ということでも非常に期待が持てるなというふうに今日は拝聴いたしておりました。そういった面からも、何か市長部局と垣根を越えた人づくり、活動づくりというのができるといいなと思いながら、拝見しながらまた私からも御意見を申し上げる機会があれば、意見も言わせていただきたいなというふうに感じております。どうもありがとうございます。
【清原部会長】 杉野委員、ありがとうございます。名古屋市は政令指定都市でございますので、区に対しての関係で、コミュニティサポーター制度であるとか、まさに「首長部局と教育委員会の連携」について、具体的な発想で取り組んでいただいていることについて、今後も御発言いただければと思います。
それでは、皆様、お諮りいたします。間もなく終了予定の正午が近づいておりますが、恐れ入りますが、せっかくですので、委員の皆様全員に御発言いただきたいので、10分程度の延長をお許しいただければと思います。オンラインで御参加の皆様で御予定がどうしても正午までという方は、どうぞ御遠慮なく退出してください。
それでは、東委員、お願いいたします。
【東委員】 喜入マナビバプロジェクトつわぶき代表、そして大学2年生の東琴乃です。私は地元、鹿児島県鹿児島市の喜入地域というところで、主に小中高生の学びの場をつくる中高生中心の任意団体、喜入マナビバプロジェクトつわぶきという団体を高校1年生のときの学校の探究活動をきっかけに設立し、定期テスト前の質問できる無料開放型の自習室や、天体観測会などのイベントを開催してきました。
中高生中心で行うことに意味があるという考えから、私は今は代表という立場ですが、中高生のサポートや団体運営を主に行っております。大学のほうでは現在まちづくり、まちづくり分野や福祉分野を勉強しており、今年の4月からは、社会教育主事の養成課程を受講しております。活動していく中で、未成年だからとか前例がないからという理由でなかなか活動しづらかった経験もございます。
今もう大学で社会教育を勉強していく中で、友達から社会教育って何とか、社会教育主事ってそんなのあるんだとか、認知度の低さというのも実感しております。そういった経験を生かしながら、そして今、社会教育を勉強している立場として、一緒に学びながら、社会教育について今後考えていけたらいいなと思っております。よろしくお願いいたします。
【清原部会長】 ありがとうございます。もう既に地域で実践を高校1年生からされてこられていることを、大変心強く思います。どうぞ今後とも遠慮なく御発言ください。
それでは、美田委員、お願いいたします。
【美田委員】 よろしくお願いします。全国子ども会連合会の会長をしております美田と申します。よろしくお願いします。
実は我々、全国子ども会連合会、過去を振り返りますと、ピーク時には八百数十万人を数えた会員が、現在二百数十万人とまで減少しております。その中で実は分析しましたところ、平成17年頃の市町村合併の年が非常に激減した年と相まって、その前ですが、社会教育主事の減少というのを我々は目の当たりしております。実はいろいろと地域学習推進課長様とお話しさせていただく中で、その復活を他力本願ながら何とかお願いしたいということをずっと言ってまいりました。
しかし、このたびのこの社会教育人材の輩出、社会教育士というこれは非常に私ども賛成でございまして、他力本願であった私たちも実はではなくて我々も学ぶべきだというスタンスになっております。
一方で、子ども会を支える役員の方々というのは、残念ながらジャンケンで負けたとか仕方なくやっているという方が多いんですが、触れることによってその必要性を感じてくださる方も多数いらっしゃって、しかし一方で、近所では「あの人は好きだから子ども会をやっている。自分には関係ない。」とか、非常に心ないお言葉をいただくことも多々あるんですが、そんな中で、ただロジカルにきちっとこの社会教育の必要性等を説明できる人材を我々子ども会としても輩出したいと本当に思っておりました。なので、もう渡りに船でぜひ乗っかって、我々もこれから協力していきたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いします。
先ほどの名古屋市の子ども会の野瀨名誉会長は全子連の副会長でもございますので、ひとつこれからもよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさに子ども会の皆様も活動しながら学び、学びながら活動するというような、「学びと活動の循環」を実践されていることと思います。
それでは、八木委員、お願いいたします。
【八木委員】 熊本市国際交流振興事業団、八木と申します。私どもは、外国人住民に対しての日本語教育、多言語の相談、また、日本人住民への国際理解等の事業を行っております。
本日は、社会教育という中で、外国人住民を巻き込んだ社会活動の推進というテーマで今後お話をさせていただくという視点から御説明を拝聴いたしました。それで考えたことを3つ発表させていただきたいと思います。
1番目は、今回の多様な社会の変化の中で、外国人住民という視点が社会教育の中に入ってきたことは非常に重要なことではあると思います。ただ一方、社会教育の中で、誰にとっても必要な欠けない部分、普遍的な部分があります。例えば、平和、誰にとっても自由という視点が重要です。(変化とともに)こういった普遍的なことを学んでいくことも非常に重要であると考えます。
2番目は直接的な解決に加えて、プロセスが大事だということを今日学びました。外国人の視点の中で、ただなかなか理解できない部分、例えば外国人の方であれば在留資格に縛られている、また、文化、習慣の違いがあるということがあります。こういったあまり理解が及ばない部分にいかに想像力を働かせ、自分事にすることが大切です。社会を誰にとってもいい暮らしができるように、ウェルビーイングを実現できるよう変えていくことが社会教育の目的の一つ、今後考えるべきことと思います。
3番目としては、人材の発掘の部分ですけども、これは社会教育に関する方を育てていくというよりも、実際に多様な社会で活躍されている方、この方たちが逆に社会教育を学びながら社会教育の分野を広げていくこともできると考えます。社会の担い手に加え本日は、創り手という非常にいい言葉が出てまいりました。さらに、外国人住民の場合、彼らの多様性から日本人にない視点があり多文化パワーを持っているところあります。彼らと地域、地域住民をつなぐつなぎ手という視点も大事になるのではないかなと、今日、皆さまのお話を拝聴させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 八木委員、ありがとうございます。いわゆるグローバル化社会の中で、日本から海外に学びや仕事で出ていく、あるいは影響を与えるということもありますが、日本社会、地域社会で外国人と共に住まうという中から、必要な視点を提起していただきました。ありがとうございます。
それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 東神楽町長の山本でございます。私は前回の社会教育人材の専門部会のときからも参加をさせていただいております。
今、私は北海道公民館協会の会長を拝命しておりまして、公民館全体の取組、何か北海道も頑張っているところありますので、そういったことをやっている。あるいは北海道としては、今、その公民館協会の中に公民館振興首長会というのをつくって、いわゆるその公民館が教育委員会という中のだけのものではなく、首長サイドからもコミュニティとかそういったものに対してコミットしていこうというような取組をしております。
また、北海道全体としては、社会教育の部分でいうと社会教育主事講習については、オンラインでの講習を特に距離があるということも含めて、2020年から導入をさせていただいておりまして、そうした中での枠の拡大といいますか、人材の拡大を図っているというところであります。
私どもも今、そのコミュニティと社会教育の関係というのは大変私どもの関心分野でございまして、特に私どもの地域におきましては、今、地域自治推進条例というのをつくっております。それは地域自治の担い手がいわゆる町内会とかそういうところだけではなくて、地区公民館、私ども活発にやっておりますので、そういったところも一つのコミュニティ組織として見ながら、社会教育をベースとしたようなコミュニティづくりみたいのをどう考えていくかというのを少し取り組もうと思っております。
この部分については、牧野先生もアドバイザーになっていただいて進めさせていただいているわけでございますけれども、まさに今回の諮問されていた内容とかについても、私どもも自分たち実践をした上での取組の成果、あるいは課題なんかを共有をさせてもらいながらこの議論の中に参加をさせていただければというふうに思っております。よろしくお願いします。
【清原部会長】 ありがとうございます。山本さんは町長さんとして参加していただいており、先ほど都竹市長さんが市長さんとして参加していただいていることとともに、首長さんに参画をしていただくことがまさに社会教育の地域への広がりを私たちが考えるうえで大いなる力となります。ありがとうございます。
萩原副部会長、御発言いかがでしょうか。
【萩原副部会長】 大丈夫です。もう時間もあれですので。
【清原部会長】 大丈夫ですか。それでは、牧野委員、野津委員はいかがでしょうか、皆様の御意見を伺って、一言あれば、よろしいですか、大丈夫ですか。ありがとうございます。
それでは、本日、自己紹介や、この特別部会に臨む皆様の抱負について大変熱心に意見を表明していただきました。本日は、意見交換までは至りませんでしたけれども、皆様が特別部会の委員として臨んでいただく姿勢であるとか、あるいは会のこれからのテーマとして取り上げるべき御提案とか、たくさんのことを発言していただきました。
これから、正副部会長で、それを受け止めさせていただいて、今後の進行において、事務局とともに反映をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日、時間の制約がありましたので、御発言をし切れなかった御意見があるかもしれません。その場合、御遠慮なく事務局までメール等で御連絡ください。
それでは、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
【山川地域学習推進課課長補佐】 ありがとうございます。資料3に、次回、今後の審議予定についてお示ししております。次回は10月1日、17時から19時ということで予定をしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
事務局からは以上でございます。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。本日、実は台風10号が襲来しておりまして、この会場にお集まりいただいている皆様にも、交通事情等で影響があったかもしれません。また、御地元のことの心配がある中、本来会場で御参加の御予定の方もオンラインで参加されているということもございます。本当に天候不順の中でございますが、皆様、気をつけてください。
それでは、歴史的な、第1回目の「社会教育の在り方に関する特別部会」をこれで閉会いたします。どうぞ天候不順の中でございますが、皆様お健やかに過ごされまして、第2回も元気にお目にかかりたいと思います。長時間の御審議への御参加、どうもありがとうございます。
―― 了 ――
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