社会教育の在り方に関する特別部会(第10回) 議事録

1.日時

令和7年9月5日(金曜日)10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省「第一講堂」(東館3階) ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育×NPO-課題解決と学びを両立するエコシステム構築に向けて (古賀委員発表)
  2. NPOの活動と社会教育の連携(小見委員発表)
  3. 地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興 方策
  4. その他

4.出席者

委員

(委員)清原委員,萩原委員
(臨時委員)安齋委員,青山委員,柏木委員,古賀委員,小見委員,杉野委員,関委員,田名部委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,八木委員,山本委員

文部科学省

(事務局)塩見総合教育政策局長,橋爪大臣官房審議官,神山社会教育振興総括官,吉田政策課長,小林生涯学習推進課課長補佐,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,降籏日本語教育課長,坪田教育改革調整官,髙田地域学習推進課長,林社会教育企画調整官 他

5.議事録

【清原部会長】  皆様、おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまから第10回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。
 本日は、台風や線状降水帯の影響で各地で大雨が予報されておりまして、少しでも被害が少ないことを願いながら会議を進めていきたいと思います。
 本日は、そうした気象状況の中、また大変に御多用のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本会議は、対面とオンラインを併用して開催いたします。
 なお、本日は、YouTubeのライブ配信にて報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から会議の全体について録画を行いたい旨、申出がありまして、許可しておりますので、皆様、御承知おきください。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、事務局から人事異動のお知らせがございます。よろしくお願いします。

【林社会教育企画調整官】  事務局でございます。7月に総合教育政策局長として塩見が着任いたしましたので、御紹介させていただきます。

【塩見総合教育政策局長】  おはようございます。7月15日付で総合教育政策局長を拝命しました塩見でございます。御挨拶が遅くなりまして大変申し訳ございません。
 現在課名が変わっておりますが、社会教育課長ですとか、今、神山さんがそこにいらっしゃいますが、社会教育振興総括官なども経験させていただいておりまして、社会教育の充実ということに関しましては大変重要なことと認識しているところでございます。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

【清原部会長】  塩見局長、どうもありがとうございます。今自己紹介していただきましたように、かねてより社会教育行政にも深く関与されている御経験を生かして、特別部会での審議にも御支援のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。本日の会議は12時までの開催を予定しています。委員の皆様の貴重なお時間をいただいておりますので、限られた時間の中ではございますが、できる限り自由に充実した議論ができますように進行に努めます。会議の円滑な進行に皆様の御協力を改めてお願い申し上げます。
 本日は、諮問における審議事項の2「社会教育活動の推進方策」のうち、4つ目の「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」について意見交換をしていただきます。皆様の意見交換が自由濶達なものとなりますように、本日は古賀委員と小見委員より発表をいただくことになっております。
 お二人の発表について、まずは事実関係の確認に関する質疑を行った後、事務局からも説明をいただきまして、その後、委員の皆様と意見交換をしていきたいと考えております。
 それでは、まずは古賀委員から御発表をお願いいたします。

【古賀委員】  古賀です。お手元の資料1にあります、私がいただいたお題としましては、NPOとの関係団体との社会教育の関わりの在り方というところで、「社会教育×NPO-課題解決と学びを両立するエコシステム構築に向けて」をタイトルとしてNPOとの社会教育関係団体がともに取り組むべき事という観点からお話をさせていただきます。
 2ページ目になりますが、ひとまず私のバックグラウンドをお話しさせていただきます。四半世紀ほど、分野を問わない中間支援組織ということで活動しておりますので、社会教育や生涯学習の専門性はない状態で活動しておるんですが、ここ10年~15年ほど、公民館や児童館、それから防災のプロジェクトを通じて、社会福祉協議会をはじめとする地域福祉の関係者等との関わりがあり、その中で学びや体験のためのプログラムを一緒に構築をするコーディネートをすることを実体験としてやってまいりました。
 その中で、社会教育主事講習などの研修やこうした委員職に就かせていただく中で、中間支援組織として、改めて学びや体験活動を推進するということの意義も感じているところです。
 資料3ページになりますが、この会議でも「農村RMO」という言葉がよく聞かれているところですが、福岡県内で、中山間地、特に人口減少が進んでいるところにおける農村RMOの形成支援や、地域コミュニティの政策に関する提言などに目下力を入れています。
 昨年度からは、北九州市立大学のいわゆるビジネススクールにおきまして、社会人の大学院生を対象とした実践的なリーダーの育成というところにも取り組んでおります。
 資料4ページから2ページ分にわたり、ちょうど1年前、別の部会のほうでお話しした内容となります。社会教育に関する実態と問題意識を本日の発表のプロローグとしてあえてつけさせていただきました。
 まず、資料4ページには社会教育人材がNPOにおいてどんなふうに活躍されているかという現場の状況を記しております。ちょっと割愛しますが、一番下に所感を書いておりますが、官民で社会教育のタッチポイント、すなわち接する機会が増幅をしている中で、NPOにおいても必ずしも「社会教育」と標榜されずとも、実践的に人々に学びや体験活動をユニークな手法で提供するケースが増えています。
 加えまして、私も九州のほうで二十数年来、社会教育主事講習を担当している中で、目に見えて、民間の人たち、特に指定管理者制度も担っているNPO等の関係者も受講されるようになってきていまして、NPOの間でも徐々に社会教育の意義と重要性が、いわゆる「腹落ち」する人たちも増えてきたなという印象があります。
 資料5ページでは、それらの実態も踏まえての問題意識となります。これは1年前の資料なんですが、課題感は今も同じくしております。NPOと社会教育の距離はまだまだあると感じており、なおかつ社会教育主事講習もかいま見る中で、NPOの実践において生かせるポイントが、例えばこの会議の中でも度々話題になってきておりますファシリテーションとか、いろいろな技法も含めて、NPOにおいても学ぶべきポイントがあるので、社会教育の知見の活用をいかにNPOに広げるか。加えて、愛着人口というか、社会教育のファンをつくるかも重要です。
 それから2つ目、これは今日の本題にも関わってまいりますが、縦割りの越境です。NPO関係者いわく、「自分たちのやっていることは全くもって社会教育なのに、公民館等の社会教育関係者になかなか振り向いてもらえない」とか、「公民館って全く疎遠な存在と思っていたけれども、実際に一緒にやってみると同じような志を持っている人もいる」といった声もあり、まだまだ越境が必要と感じます。
 それと関連しまして、やはりマッチング等々のお互いの接点ができるような機会づくりということが必要です。この辺の課題認識は今も変わらないというところをお伝えしたところで、今日の本題に入ってまいります。
 資料6ページです。今日は、「民間公益活動を含む関係団体による取組に対し、社会教育はどのような観点から連携・貢献できると考えられるか」を発表テーマとして頂戴しております。
 現場の実務でいうと、それこそ「マッチングのコーディネーターが必要」とか、「対話の機会づくりが必要」というところに帰着はするんですけども、大分この会議でも出尽くしているところありますので、今日のお話の視点としましては、社会教育もさることながら、今後の社会づくり、ウエルビーイングを推進するに当たって、行政とNPOが共に取組を進められたらいいと考えるポイントを3つお話します。
 これらはNPOから社会教育に対するリクエストでもあり、NPOと社会教育関係者がともに取り組むべきポイントという視点に立ったものであることをお含みおきいただきながら聞いてください。
 資料の7ページ目では、先ほども「越境」という言葉をお出ししましたが、この1年ぐらいさまざまな取組を見るに、越境は随分と進んできていると感じています。例えば公民館における防災の取組でも、いろんな要素が加わってきたりしているところですが、さらなる越境を促進するという点から3つの観点でお話をいたします。
 まず1つ目が、分野、主体の越境です。NPO等の民間団体による防災の取り組みを見てみましても、子供向けの体験活動、外国人との共生、防災キャンプ等のアウトドアの活動も進んできていたり、さらにはアクティビティー的に軽運動を交えて防災を学ぶとか、表現活動から防災を学ぶとか、内容も担い手も多元化をしてきているところです。
 まちづくりについても同様でして、いわゆる歴史遺産を活用するという切り口もあれば、リノベーション等を通じて、収益も見込みながら、そこで人材も定着化させるという切り口もあったり、これまた多元化をしているところです。
 これらはNPO等の現象に限らず、公民館でもいろいろ創意工夫するところが増えてきておりまして、社会教育関係者とNPOがもっとタッグを組むことができれば、人々にいろいろな形で訴求をし得ると感じています。
 それからもう一つ、エリアの越境についてです。例えば公共交通としてコミュニティバスを自主的に運営するという取組も最近よく見られますが、地区とか自治会とかの単位で継続運営するには人手が足りない、資金も足りないという課題があって、校区とか地区を越境するという取組が現場では見られます。
 さらには福祉の分野、支え合いにおいても、特に豪雪地帯では除雪の人員が足りないということで、これまた校区間、地区間で連携をして、お互いにウィン・ウィンでやっていこうという取組も見られるようになりました。
 一方で、学校の統廃合が進む中で、昔の校区名や地区名で言われてもぴんとこない住民が増えてきています。つまり必ずしも校区・地区に対してアイデンティティーや愛着を感じない住民層が増えてきていて、この辺りをさまざまな取り組みの中で、どのように包摂をしていくかということが問われ始めているように感じています。
 また、NPO等の活動を見ていると、校区・地区ということにこだわらず、何か関心事やテーマがあれば越境して活動する団体が活性化をしてきておりまして、社会教育、公民館等においても、校区・地区を越境しながら、広域的な取組として展開をし、その過程で最たる課題ともなっている担い手人材等の獲得にもつなげていくというアプローチが必要になっていると考えます。
 それから3つ目、世代(住民相互)のつながりについては、ここで一旦飛びまして、次の8ページにグラフを今日2つ用意しております。昭和の時代から平成の半ばぐらいまでは、専業主婦世帯、つまり、共働き世帯よりも専業主婦世帯が多かったものの、バブル経済の崩壊以降、共働き世帯が増え、今ではもはや共働きが大半になっているというグラフです。
 それと関連して、9ページでは、フルタイムで勤務する人たちが夫婦ともに増えてきていて、子供会やPTA活動が若干弱体化をしていることしかり、むしろこうした地域活動と疎遠な層の人たちが増大してきていて、よく「サイレントマジョリティー」とか「中間層」と言われる人たちに当たりますが、その点から、スライド7ページ目に記載している世代間なり住民相互のつながりをどうつくるかが改めてリアルな課題になっていると思っています。
 ここをどう越境させるかというのが3点目なんですが、SNSも含めて情報媒体が多様化し、なおかつ世代間の交流機会が減少していたり、さらにはスライドの右の新聞記事からの抜粋のグラフの通り、世代間によって考え方や価値観のギャップも出てきていたりするという中で、いかに緩和というか、つながりを柔らかくつくっていくかというところも、社会教育・NPOともに大きな課題と考えます。
 スライドが飛びまして10ページ。ちょっとこなれない表現ですが、よくビジネスの世界でプレイング・マネジャーという言葉が用いられますが、現場の活動においてプレイング・コーディネーター(実践者兼伴走者)という人たちがいよいよ必要じゃないかと感じています。
 「農村RMO」の形成支援等で小さな町村に出かけるにつけ、よく聞くのが、「人が足りないどころか、いなくなってきた」ということです。一方で、都市部ではなく人口減少は進んでいるもののも、それなりに公共交通機関の便数があり、かつ商業施設もあるようなエリアに行きますと、「人はそこそこいるんだけども、一緒に活動する仲間が足りない」という言葉もよく聞かれます。
 社会教育も私たちNPO関係者もそれぞれに、活動の支援なりいろんな人たちの活躍の場づくりというところを得意にしているんですが、単なる伴走、中には傍観的な伴走のケースもあったりする中で、これからは一緒に飛び込んで現場で汗をかき、一緒に活動しながら、実践知としてさらに横展開する。そういうプレイヤー兼実践者というようなスタンスで共に育ち合える事業づくりが必要になっていると感じています。
 今回、「エコシステム」というタイトルをつけさせていただいておりますのも、中間支援NPOの役回りをしてきた中、課題解決の実践と学び・ウエルビーイングの向上とを両輪に推進できると思っており、1つのプログラムをやって終わりではなく、次にどうしていくのか、次にどういう課題が見受けられるのか、その辺の研究開発も共にしていくということが役割として必要かなと思います。
 それから最後の11ページになりますが、「個々人の学びのモチべーター、鼓舞役」ということについて、まず資料左の「社会学習・自己啓発を行っていない人の割合」という小さなグラフをご覧ください。生涯学習分科会に参加させていただく中で非常に個人的にショッキングだったのが、OECDの統計で、日本は学び直しをする意欲が非常に停滞しているというデータです。改めて最新のデータを検索してみますと、高等教育の在り方に関する特別部会で出されていました。
 一方で、これは事前資料としてお配りしてないんですけども、12ページに集合写真をつけておりますが、こちらは私が昨年から専任として携わっております北九州市立大学の大学院の「地域づくり戦略」という科目の受講生の面々です。多様な職種、世代からなるビジネススクールの学生とも関わる中で漏れ聞こえてくる声としまして、戻って11ページ目になりますが、右上のほうに書いております通り、「職業人として改めてスキルアップも含めて学び直したい。人生設計を引き直したい。課題解決の担い手になりたい。地域や社会にとにかく役立てる実践的なことをやりたい。改めて学術研究を志している。」等々の学びのニーズが非常に多岐にわたり、かつ多世代に広がっていることを肌身をもって感じております。
 左下の図「学びのハードルになっているバイアス」という図を参考に、ここで私が特に感じておりますのは、学び直しに向けては「学校バイアス」というものも強いんじゃないかなということです。学びというものは、そもそも学校内で行うもので、それこそ社会に出て改めてするということが選択肢としてどうも浮かんでいないというのが実情でないかと。自分の人生、ウエルビーイングを豊かにしていく、なおかつ、地域も持続可能なものにするという手段として、学習活動、学びというものがあるということがまだまだ認知をされていないというところを、この図でもって改めて認識を深めたところです。
 右下にメッセージ的なことを書いております。人生における学びの意味や醍醐味を、ハードルの低い形で体験的に実感できる機会を通じてこうしたバイアスを極力薄められるような、そういう機会をできれば社会教育とNPOの協働という形でたくさん設けていくということも、これからの時代には必要と感じています。
 改めて整理をさせていただきますと、越境の促進役、それから実践の現場に一緒に飛び込みながら、そこでの気づきや知見を、またさらなる取組、普及をするプレイング・コーディネーター、それから個々人の学びのたきつけ役、鼓舞役というところが、NPOも社会教育も両者が両輪で一緒に連携・貢献できていくことができればと思うところです。
 雑駁ですが私からのお話は以上です。御清聴ありがとうございました。

【清原部会長】  古賀委員、ありがとうございます。資料1の「社会教育×NPO-課題解決と学びを両立するエコシステム構築に向けて」に沿って御報告いただきました。特に資料の6ページに整理していただいております、「民間公益活動を含む関係団体による取組に対し、社会教育はどのような観点から連携・貢献できると考えられるか」という点については、まず第1として、「越境の促進役」、第2として、「プレイング・コーディネーター・実践者兼伴走者、第3点として、「個々人の学びのモチべーター」ということで、リスキリングやライフデザインのつくり直しなど、前向きな御提案をいただき、感謝いたします。
 それでは、続きまして、小見委員から資料2の「NPOの活動と社会教育の連携」に沿って御報告をいただきます。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【小見委員】  よろしくお願いいたします。NPOの活動と社会教育の連携についてお話しさせていただきます。NPO法人みらいずworksの小見まいこです。
 次お願いします。以前もお話ししたんですが、私はもともと大学時代に社会教育を学んでおりまして、卒業後、民間企業に就職し、若手人材等の育成に関わっていく中で、子供や若者と企業、地域や社会の分断が起きていることに問題意識を持ちまして、このみらいずworksを創業しました。
 新潟県を拠点に活動し、今年で14年目となっています。
 自分から自分らしくみんなとともに社会をつくる、一人一人を育てるということをミッションに取り組む教育支援のNPO法人です。
 次お願いします。事業としては、多岐に及ぶんですけれども、キャリア教育や探求学習などの学校におけるカリキュラムや授業づくり、そして地域の大人とのコーディネートのサポートなどをしたり、あとは、子供から大人まで、対話を通して学び、つながる場づくりをしております。
 次お願いします。ここ数年は学校教育と社会教育の協働の場づくり支援に力を入れております。私が総合政策局のCSマイスターを拝命していることから、コミュニティ・スクールの運営研修ですとか、コーディネーター研修などの運営に携わることが増えています。
 次お願いします。またその流れで、地域の運営協議会の委員の皆さんや地域住民と子供たちが地域の課題や未来について語り合う機会を最近は注力してつくっているところです。
 それでは、これから本題に入っていきますが、まず、地域コミュニティに関わるNPOの共通課題について私の実感とともにお話をしていきます。
 次お願いします。古賀委員のお話からもありましたけれども、まずは人材不足と担い手の偏在が起きています。スタッフやボランティアの高齢化ですとか、新規参入者がいないということにより、担い手が今不足しております。
 また、担える人が限られるため、特定の人に業務が集中し、人材育成ですとか人材投資にリソースが避けられない。そのため、活動の継続性や発展が難しくなっているという実態も起きています。
 また、人件費にかけられる予算が企業に比べると少ないため、専門性を持つ人材の確保が困難な状況にあり、特に地方においては、ファンドレイザーやファシリテーター、ICTに強い人などが不足しがちだと考えています。それは内閣府のデータからも見えてきております。内閣府のデータからも、NPO法人が抱える課題として、人材の確保や教育、後継者の不足、収入源の多様化ということで、収入源の多様化というところではまさに、事業収入だけじゃなく、寄附とか、会費とか、ファンドレイジングというところの必要性もますます増えてきているなあと思っております。
 2つ目です。次お願いします。社会的認知の低さによる収益性の困難さというのも生じていると感じています。SNSやウェブなどを活用したり、発信する余力がなかったりして、活動内容が地域や社会に十分届いていない、認知されていないということも多く見聞きしています。
 また、NPOはボランティア団体という誤解がまだ多く残っておりまして、専門性というのが正当に評価されないという実情も起きています。
 かつ、そもそも受益対象者からお金を得にくい社会課題、地域課題に取り組んでいる場合も多く、収益の上がりにくい事業構造の場合、さらに持続可能な経営が困難になっているという現状も起きています。
 次お願いします。また、地域においては、地域課題の多様化・複雑化が起きており、皆さんもよく御存じのとおりですが、少子高齢化、人口減少、防災、デジタル化など多岐に及ぶ課題の対応が求められる中、古賀委員もおっしゃっていましたけれども、1つのNPOが持っている専門性だけではなくて、ネットワーク型、多元化というところへの対応というところが求められ、ネットワーク、つながりというのが必要になってきますが、古賀委員のような中間支援組織が地域、地方にない場合ですとか、つなぐ機能がないとNPO同士がつながる機会がないという声も多く聞いております。
 次お願いします。こういった前提をもとに、私たちみらいずworksがNPOとして取り組んでいることを2つ事例として紹介させていただきます。
 お願いします。コミュニティ・スクールに関わる継続的な研修の企画、そして運営をまず携わっておりまして、ポンチ図風に書いたので見にくいんですけれども、新潟県魚沼市さんには、コミュニティ・スクール立ち上げの前年度、今から5年前から携わっております。
 魚沼市さんでは、コミュニティ・スクールを円滑に進めていくには、関わる地域住民の当事者意識を高めること、学校と地域の目線を合わせることが重要であり、それは年に1回2回の研修だけで実現し得るものではないと考えておられました。
 そこで、導入前年度から各地域を回って、説明会ですとか、先生方と地域の方が一緒に語り合う機会というのをつくっていきました。
 また、コミュニティ・スクールの立ち上げにおいてキーパーソンになるのが管理職になります。その管理職を対象とした研修を立ち上げ、前から年間2回ずつ実施し、管理職が抱える課題感ですとか、戸惑いですとか、あとはロードマップをつくってどのように進めていくかという見通しを持ったりするなどの研修を実施しました。
 また、運営協議会の委員の皆さんにはスキルやマインドを高めてもらうために、初年度は年4回ほど連続講座で企画をしました。
 昨年度からは自分たちの取組の成果を可視化するCSポートフォリオ、文科省さんが無料でアップロードされていますけれども、CSポートフォリオを導入し、自分たちの成果、子供たちの変容を数値で見える化し、自分たちで建設的な議論をし、さらにどこに手を打っていくと子供たちの成長につながるのかという分析会というのも継続的に実施をしています。
 次お願いします。そういった取組を1年2年と重ねていくうちに徐々に皆さんの当事者性や意欲が高まり、様々な活動が各地で起こり始めています。一例となる魚沼市立広神東小学校さんの事例を紹介します。
 こちらは空き教室を地域住民の活動拠点、CSルームと名づけて活動したことから始まっていきます。
 次お願いします。きっかけとなったのは、魚沼市さんが先ほど実施したCSポートフォリオ研修です。子供たちのどういった力を高めたいのかというのを皆さんで共有した後、その数値が実際に高まっているのか、実際にどうなのかというのを見て、その要因を分析して次なる一手を考えるという研修でした。
 次お願いします。そのときの様子です。分析結果を見ながら、皆さんで議論をしているんですけれども、次お願いします。その結果なんですけれども、広神東小学校さんでは、自己肯定感がなかなか高まっていないということで、自己肯定感を高めるのは学校の取組だけじゃなくて、地域の多様な大人と関わることで子供たちによいところを見つけてあげたり、一緒に様々な体験をすることで、自分は大事にされているんだなとか、自分はやればできるんだなという実感を持ってもらいたいと皆さんで検討をし、そのきっかけとして、大人が多様に関わる機会をCSルームを起点につくっていこうということになりました。
 次お願いします。そこで、CSルームで昼休みわくわく教室というのを実施しました。昼休みの時間を活用して児童が地域の人から伝統文化などを学んでいます。ボランティアさんの得意を生かそうということで、茶道体験や廃れかけていた方言カルタ、踊り手が減ってきていて存続が危ぶまれていた伝統の踊りなどをしました。
 とても好評なので、夏休みには夏休みわくわく教室などを実施し、子供たちが外で遊ばなくなってきたよねということで、川遊びをしたり、英会話教室をしたりして、地域の人の得意が生かされる体験や関わりの場づくりが多数積み重ねられました。
 次お願いします。結果として、CSポートフォリオの数値もどんどん上がっていきまして、この地域が好きであるというポートフォリオの結果が88%から100%に上がりました。
 次お願いします。地域の人とたくさん関わる中で、地域の人と交流することは楽しいという数値も高まり、大人も楽しいので、ボランティアがどんどん増えていって、子供たちと交流したい、何か計画して一緒にやりたいという大人たちがこのCSルームにたくさん集い集うようになってきました。
 次お願いします。コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進することで、NPOが共通して持つ、先ほど説明した課題の解決にも結びつくのではないかと考えています。
 先ほども言いましたが、踊り保存会が踊りの体験を子供たちと一緒に実施したことで、新たに踊り保存会に3名の子供たちが参加をするようになるなど、地域の担い手、つくり手が育つ機会にもなっています。これは全国各地でも起きていることだと思います。
 また、子供たちを核に大人が集い、地域住民や活動団体が緩やかにつながるネットワークというのも構築されつつあります。
 次お願いします。一方で、このようにうまく成果を出せる学校や地域ばかりではありません。学校と地域、家庭はそれぞれ違う価値観や状況を抱えているので、歩み寄って協働することというのは簡単なことではないと感じています。関わる人が何のためにやるのかという納得感、そのためにお互いの文化や当たり前を知る対話やコミュニケーションを重ねる必要があると考えています。
 次お願いします。こういった対話やコミュニケーションを重ね、コミュニティ・スクールと地域・学校協働活動を軌道に乗せていくには、定期的な研修の機会や困ったときに頼ったり相談できる伴走支援の仕組みが必要だと感じています。
 しかし、実際、多くの市町村においては、立ち上げ時に研修を実施し、あとは現場任せというのが多いというのが実態だと捉えています。ぜひ社会教育行政には協働に向けた学びを継続的につくったり、必要に応じた支援をするなど、長期的に、そして継続的なアプローチをしていっていただきたいと考えています。
 マンパワー不足の行政もあると思うので、伴走支援、なかなか手がかけられないという声も伺います。その際は、私たちのようなCSマイスターや専門性のあるNPOとも協働していただけるとより相乗効果が生じるのではないかと考えています。
 また、教職員が、働き方改革もあり、内向き傾向になっているのではないかと感じています。協働の必要性を認識し、そのよさを実感する機会があると協働が進みやすいので、以前の審議のときにもお話ししましたが、教員養成段階で社会教育を学ぶこと、そして、派遣社協の制度がなくなってから教職員の社会教育主事資格者が減少していると思いますが、教員が社会教育を学ぶインセンティブなども明らかにし、より一層啓発することが必要ではないか、それが協働を促進すると考えています。
 次お願いします。2つ目の取組の紹介です。次の取組として、子供たちの意見表明や社会参画の仕組みづくりについてです。
 次お願いします。皆さんも御存じだと思いますが、内閣府や日本財団の調査から、日本の若者が世界の国々に比べ社会参画意識が低いということは調査からも明らかです。私たちは社会参画意識を高め、持続可能な社会のつくり手を育てるということをミッションに据えていますので、それについては力を入れて取り組んでおります。
 次お願いします。これは7月に教育課程企画特別部会で発表した資料になります。再び魚沼市さんの事例になりますが、冒頭でお話ししたCS委員と中学生が地域を語り合うということをきっかけにし、子供たちが自分たちで考えたプロジェクトを地域で次々と実践していきました。
 それらの活動により、子供たちの自己肯定感が上がるとともに、中学生は自分たちが地域をよくすることができるという実感がわいたと聞いています。こういった取組を各地で生み出す機会や受皿づくりというのが必要だと考えています。
 次お願いします。また、新潟市の中央区の補助事業として子供たちの意見表明の機会や意見表明を促すファシリテーターを養成する機会というのもつくっています。
 次お願いします。まず中学生に対し、お互いの意見を引き出し、受け止める作法として、ファシリテーションの基本スキルを学んでもらいました。
 次お願いします。それから、大人に対して自分たちの考えを伝える「子ども若者ミーティング」というのを実施しました。
 次お願いします。具体的にちょうどこの時期にJRの上所駅が新潟市に開駅するタイミングだったため、上所駅ができたら地域にとってどんないいことがあるか、逆にどんな悪いことが起こり得るのかというのをみんなで想像し、いいことを実現するために自分たちでできること、したいことというのを話し合いました。
 次お願いします。「子ども若者ミーティング」の様子です。
 次お願いします。生徒会のメンバーに限らない中学生が参加してくれて、ふだん不登校ぎみの子が、自分たちは社会の構成員、一員であるということをこの会を通して実感した。よりよい社会のために積極的に地域に参加したいと話してくれて、先生たちも驚かれていました。
 また、これをきっかけに中学生は自主的に横断幕をつくり、地域の人たちと一緒に上所駅の開駅をする日にお祝いをするべく駅に立って活動をしたというふうに活動も発展していきました。
 次お願いします。このように子供たちが自分の思いを伝え、地域に対する関心を高め、時には地域や社会にて実践をすることで、地域は子供たちから刺激や活力をもらえますし、子供たちは自分たちが社会のつくり手であるという認識を高め、地域のつくり手として育っていく契機になるのではないかと考えています。
 次お願いします。こういった循環を生み出していくことで、NPOの共通課題である人材不足の解消にも、長期的に、時間はかかりますけれども、つながっていくと考えています。いきなりNPOや地域コミュニティのプレイヤーが育つのではなく、小・中・高校と意見表明や社会参画を積み重ねていくことが重要だと考えています。実際にそういった循環を生み出して成果が出ている地域も全国にはたくさんあります。
 こういった子供たちの意見表明や社会参画の機会は、本来、子供会ですとか社会教育団体が担っていた部分が大きいのではないかと考えています。
 次お願いします。一方で、様々な要因や、ボランティアベースであることから、担い手が不足するなどして、社会教育団体が弱体化しているという現実もあります。私たちのような学校教育や社会教育に携わるNPOも継続していくことが非常に厳しいという実態もあります。
 例えばゆめ基金などの青少年育成や社会教育に関する助成金の多くは人件費は助成対象外になっています。
 また、先ほどの中央区の意見表明も、中央区から3年間の補助金をもらって実施しているんですが、3年たったら自走するように言われています。
 持続可能にするために、ファシリテーター養成講座を有料にすると審査会で説明すると、審査員からお金を取るんですかと聞かれました。それで人は来ますか、見込みありますかと突っ込まれたんですけれども、自走を求められているのにお金を得ることは渋られる、難しいという中で、私たちは人を雇用している中、事業を継続していくには、やはりボランティアでやり続けることはできないと考えています。
 NPOとしては、社会課題を解決するために、必要に応じて事業を展開します。必ずしも収支が伴うわけではなく、ほかの事業とバランスを取りながらぎりぎりでやっているというのが実情です。
 そんな中、よく社会教育や生涯学習関連の行政の部局の方から講師派遣で講師依頼をされることが多くあります。それは大学の先生ですとか、ほかに本業がある人は受けやすいと思うんですが、私たちのようなNPOなど、それが本業の場合、思いとして声がけいただくのは大変ありがたいし、可能な限り受けたいと思うんですけれども、数千円の講師派遣の金額で受け続けるには正直厳しいというのが本音としてあります。
 どこまで言うか悩むところではあるんですけれども、やればやるほど経営は赤字になるという実情が本当に差し迫っております。NPOの持続可能性といった視点でもぜひ専門性を正当に評価していただき、協働で事業を展開していただけるとありがたいと考えています。
 具体的には、事業を運営する予算を正当に積算していただくこと。非営利の団体、活動にも人的投資が必要だという視点で、可能ならば委託事業など、人件費や管理費などが含まれる制度設計というか、事業設計を考えていく必要があるのではないかと思っています。
 すいません、すごく赤裸々な話をしてしまいましたが、次お願いします。ちょうど今日の午後から教育課程企画特別部会があるのですが、以前より学校において意見表明や社会課題というのを促し、民主的で持続可能な社会のつくり手を育むという方向性を今議論している最中です。
 しかし、民主的で持続可能な社会のつくり手を学校で担っていくのは到底無理ではないかと思っています。やはり社会教育が主に担っていくべきではないかと私は考えています。
 子供たちが声を出し、それを実践に移すフィールドは、地域であり社会です。その後押しやサポートをすることを社会教育行政には担ってほしいなと思いますし、その受皿となる私たちNPOや企業、地域団体の力を高めていく必要もあるのではないかと思っています。
 ぜひ民主的で持続可能な社会のつくり手を育む底上げや土台作りを社会教育が担っていくことを期待したいと思っています。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。

【清原部会長】  小見委員、ありがとうございます。「NPOの活動と社会教育の連携」について実践を御紹介いただきながら、提起をしていただきました。
 まず、NPOの共通課題として、1点目に、「人材不足と担い手の偏在」、2点目に、「社会的認知の低さによる収益性の困難さ」、3点目に「地域課題の多様化・複雑化」を挙げていただき、実践としては、「コミュニティ・スクールの研修についての企画運営」、2点目に「子供たちの意見表明、社会参加の仕組みづくり」を御紹介いただきました。
 特に「子供たちの意見表明、社会参加の仕組みづくり」につきましては、『こども基本法』の第3条の基本理念の1つに、全ての子供は、子供に関することについて意見を表明することだけではなくて、規定されているのが、社会活動に参加することを保障するとありまして、意見を表明して反映してもらうだけではなくて、こどもたちが自らも社会活動に参加することも基本理念に入っているわけですから、まさに小見委員の実践はそれを具体化されているのかなと思って受け止めました。
 以上、これまで、古賀委員からは特定非営利活動法人ふくおかNPOセンター代表として、いわゆる中間支援組織の運営を十数年やってこられていることや、北九州市立大学大学院マネジメント研究科教授として、リスキリング、社会参加の人材を育成されてこられている経験から問題提起をいただきましたし、小見委員からは自ら十数年、NPO法人みらいずworksを運営する中での実感を込めた問題提起をいただきました。
 それでは、ここでお二人の発表に関する事実関係の確認についての御質問をお受けしたいと思います。触発されての意見交換は後ほどまた機会を設けておりますので。
 それでは、野津委員にお願いいたします。オンラインの方は挙手ボタンを押してください。
【野津委員】  発表ありがとうございました。古賀委員のほうで、中間支援組織について、何をもって中間と言っておられるのかというのを、要は、どことどこの中間。例えば行政からそういういった中間支援組織としての活動の委託を受けるとか、補助を受けているとか、中間支援組織としての活動の先ほどありました財源のお話でありますとか、もう一つは、活動エリア、中間支援組織としての活動エリアもまたちょっと教えていただければと思います。

【清原部会長】  では、古賀委員、お願いします。

【古賀委員】  私が以前、若い頃に学んだ内容としては、そもそもイギリスの「インターミディアリーオーガニゼーション」という概念で、NPOではよくセクターという言葉を使うんですが、行政、企業、住民、市民等の中で、中間的な立場、すなわち財源も含めて自立的な立場でのコーディネーターとか、社会に対する提言役、代弁役をするみたいなところに力点が置かれていました。近年の日本での中間支援の実際の言葉の使われ方を見ると、例えば、島根県でいうと、ふるさと島根定住財団さんとか、行政立の中間支援的な機能を持っているところも多々ありますので、財源面含む自立性、あるいは運動性云々はさておいて、総じて「コーディネートをする組織」とおおむね定義づけられているところです。
 ただ、私たちふくおかNPOセンターもそうなんですが、自立的な活動に努め、中間的な立場で物を言ったり、コーディネートするというところに力点を置いている組織もあります。

【清原部会長】  エリアについてはいかがでしょうか。

【古賀委員】  エリアも団体によっていろいろで、私たちは結構県域をまたいで活動する機会も多いんですが、特に市町で行政によって設立された経緯があるところは、仕様書の兼ね合いもあって当該市町エリア内で完結するというところが割と今のところ多いかなという印象です。

【清原部会長】  野津委員、どうぞ。

【野津委員】  古賀さんの団体の活動エリアって、福岡県内とか、福岡市内とか、もう一個言うと、県とか市とかから委託とか、補助とか、中間支援組織としてそういったものを受けておられるかどうか、差し障りがない範囲内でお願いします。

【清原部会長】  お願いします。

【古賀委員】  福岡県内でいえば県や県内の市町からも委託を受けたり、それこそ研修等の講師も担当したりしているので、活動頻度としては福岡県内が多いんですが、時に県外に出向いて研修講師等として活動することもあります。その点、「エリアは広めの中間支援」という感じです。

【清原部会長】  よろしいですか。野津委員、どうぞ。

【野津委員】  県から出ていると。県は何を考えて中間支援組織に委託なり補助、どっちか分かりませんけど、業務をお願いしているんでしょうか。

【古賀委員】  これは施策によりけりなんですが、例えば今やっている農村RMOの形成支援を一例としてお話しすると、福岡県農山漁村振興課というところが主管していて、そちらは地域に入って、市町村行政と住民とのコーディネートを円滑に行うことは自分たちだけではできないという認識で、コーディネート的な役割を代行してほしいという狙いがあるようです。
 一方で、中間支援の本来やるべき例えばNPO等の人材育成とか、組織運営のノウハウに関する研修などの取り組みについては、所管課は得意なところに積極的にやっていただこうスタンスがみられます。委託といえば総じて代行的なケースは多いんですが、協働という観点から行政がやれないところは民間にお願いしましょうという委託もあり、私たちの団体は主にそうした趣旨のものを受けてきたところです。

【野津委員】  ありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。それでは、オンラインで八木委員、御発言お願いいたします。

【八木委員】  ありがとうございます。お二人の方、御発表ありがとうございます。今回、小見委員へ質問なんですけれども、私もNPOをやっていて、ご発表を聞いて活動する際に課題が身にしみて理解できました。その中で、既に社会教育的な活動をされている中で、質問は、貴NPOの中に社会教育士としての資格をお持ちの方がいらっしゃるのかどうかを教えていただきたいと存じます。NPOと社会教育との関係の中で、NPO自体に社会教育士がいるという事が社会教育情報を得ながら実際の事業に広げていく時に必要になるのかなと思います。そこで、社会教育士として資格をお持ちの方がいるか、あるいは今後スタッフに資格を取得してもらえるようなことを考えられているかをお聞きしたいとぞんじます。

【清原部会長】  ありがとうございます。小見委員は社会教育を大学で学ばれ、CSマイスターでもあるということは紹介されましたが、社会教育士についてはいかがでしょうか。

【小見委員】  ありがとうございます。理事に1人おりまして、スタッフは、今、ユウキュウメンバー6名おるんですけれども、そのうち今2名が社会教育士の講座を受講中という感じです。取ったらとか言ってないですけど、みんなが取りたいと言ったので、どんどんやってという感じで、今みんな勉強してくれています。
 あとは、うちの場合、キャリア教育というのもあるので、民間の別の資格を持ったりしている人もいます。

【清原部会長】  八木委員、いかがでしょうか。

【八木委員】  ありがとうございます。NPOがこういった社会教育士、あるいはそれ以外のキャリアの資格を取っていくということが今後重要になると思います。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。それでは、青山委員、お願いします。

【青山委員】  ありがとうございました。古賀委員に質問させていただきたいんですけど、6ページの3つの役割について、NPOと社会教育の接点というところお話しいただいたんですけど、この質問自体がこの趣旨とずれていたら申し訳ないんですけど、これを誰が担うべきかという議論のときに、NPO側の社会教育人材のような人たちがこの3つの役割を主に担っていくべきなのか、あるいはこの役割をずっとやってきた社会教育主事などが担うべきなのか。NPOと社会教育の組み合わせは、団体の属性と領域の掛け算だと思うので、ここの接点で、この3つを担う人の具体的なイメージについて、もちろん両方なんだというのは前提とした上で、もう少しイメージを教えていただけるとありがたいなと思いました。

【清原部会長】  古賀委員、「×(掛ける)」というところの御説明かと思います。よろしくお願いします。

【古賀委員】  御質問ありがとうございます。今おっしゃったように、私の理想論に過ぎないかもしれないんですが、NPO単独でも難しい、社会教育の関係者でもなかなかやり切れない部分がこれらと思っていまして、ここを協働で一緒にタッグを組んで進めていけたらというイメージです。
 ただ、やはりそれぞれに餅は餅屋というか、強み、弱みはありますので、恐らくこれを実際にやるとなると、もっと細かな役割分担、それこそ協働の実務的な話になっていくとイメージしています。

【清原部会長】  よろしいですか、青山委員。

【青山委員】  ありがとうございます。NPOのほうが行政のいわゆる縦割りを越境しやすいということもありつつ、社会教育行政自体がネットワーク型行政の扇の要なんだという言い方もされてきて、かなり似ている部分もあるなと思いつつ、ここって地域によって、例えば行政側にキーパーソンがいる場合と、例えばもっと学校単位での個々のコーディネーターさんがキーパーソンの場合と、事業体としてのNPO側にキーパーソンがいる場合と、いろいろあると思うんですけれど、この辺りを誰が担うかの解像度が上がっていくとより面白いなと思って聞きました。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。
 それでは、大体質疑応答はこの程度だと思いますので、今、手挙がっている方もいらっしゃらないと思いますので、ここで本日の審議事項について、事務局の髙田地域学習推進課長に御説明をいただいて、それを踏まえて、もう火がつき始めております今日の意見交換を行いたいと思います。
 それでは、髙田課長、よろしくお願いいたします。

【髙田地域学習推進課長】  それでは、資料3を御覧ください。資料3の2ページ、3ページ、特に3ページのところに移りますけれども、今日の審議事項、「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」ということで、特に今回、NPOですので、民間公益活動を含む関係団体や民間企業等による取組に対し、社会教育が連携・貢献し得る観点からの御検討をお願いしますということで、それが本日の審議事項になっております。
 続いて、次のページから、4ページ、5ページと、今回参考で、いわゆるNPO法人についてそもそもどういうものだったのかということをおさらいの意味で資料をつけております。「Non-Profit Organization」また「Not-for-Profit Organization」ということで、収益を分配することを目的としない団体の総称ということで、これについては、1998年に、30年近く前にそういった特定非営利活動法人制度ができて、様々な分野で活動しているということで、ちなみに社会教育の分野については、保健、医療または福祉の増進を図る活動について多くの団体が設立されているという状況でございます。
 5ページに移りまして、制度設立のきっかけとして、1995年、これも本当に30年前ですけれども、阪神・淡路大震災が起こって、多くのボランティア団体などが被災地で活躍したことがこういった法制度の契機になったということで、その後たくさんの法人が認証されていったというところがございます。
 ピークが2017年ということになっておりますけれども、関連で御説明いたしますと、公益法人制度改革が2018年にありまして、その中で、いわゆる一般社団とか一般財団については、法人格の取得が容易になったというような状況もあったりして、そういったようなこともNPO法人の認証数の推移に少し影響しているのではないかと考えているところでございます。
 6ページ、これも御参考ですけれども、収支だとか税制面とかの話が、今、NPO法人などで話題になっておりますけれども、例えば税制優遇制度ですね、寄附などについて、NPO法人でも十分に活用されてないというようなところもあって、この辺り、少し課題になっているということで御紹介しておきます。
 7ページ、8ページ、9ページと、過去にNPOが中教審の答申などでどう扱われてきたかということをまとめた資料でございますけれども、NPO設立当初は、まさに伝統的な社会教育団体に加えて新しい法人ができてきたということで、NPO法人自身もその新しさを担って、新しい公共だとか、そういったような議論もありましたけれども、先ほど御報告いただいたとおり、最近になって改めて社会教育との関連性が高いんじゃないかといったようなことについて改めて議論が起こっているかなというふうに先ほどの発表でも思いましたし、また、中間支援団体という話もございましたけれども、これまで行政が、いわゆるプラットフォーム的な団体だとか、あるいは行政がなかなか全ての団体を集めて何かやるとかということではなくて、何かそれを代行するような活動もひとつ重要になってきているのかなと思っております。
 最後、10ページですね。本日御議論いただきたい事項のまとめですけれども、これについては、これまで従来の社会教育団体の議論をする際にも出したペーパーですので、繰り返しの内容は割愛いたしますが、特に課題の一番下の追加のところで、民間団体の活動と社会教育行政の連携の必要性について、過去の答申でも繰り返し提言されているが、全国的なコミュニティの希薄化や社会教育士の増加など、社会を取り巻く状況の変化を踏まえて、さらなる連携だとか、新しい関係の構築だとか、そういったようなことについて前向きな議論を今日していただければなということでお願いしたいというものでございます。
 私からは以上です。

【清原部会長】  髙田課長、ありがとうございます。
 ただいま資料3で御説明いただきましたように、私たちは諮問に適切に答えていきたいと思っておりまして、特に私たちが本日議論していくのは、資料3の10ページに整理していただきましたが、「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」ということでございます。
 特に、「環境、福祉、防災、農山漁村振興、まちづくり等の多様な分野において、行政機関、高等教育機関、民間公益活動を含む関係団体、民間企業等による取組に対し、社会教育はどのような観点から連携・貢献できると考えられるか」ということです。
 特に「民間公益活動を含む関係団体と社会教育の連携の必要性」については、過去の答申や、また議論の取りまとめでも繰り返し指摘されています。この間、全国的な地域コミュニティの関係の希薄化の中で、社会教育士の増加という状況も見られますので、社会教育と民間公益活動の連携・協働というのも具体的な事例として可視化されてきているように思います。
 今日お二人の報告を踏まえながらも、今日御出席の皆様それぞれも民間公益活動と御縁のある方も多くいらっしゃいますので、今日のテーマについて、これからぜひ意見交換をしていただき、社会教育との関係において新たな方向性を確認していきたいと思います。
 御発言はどなたからでも結構です。会議室で御参加の方は名札を立てていただくとありがたいです。また、オンラインで御参加の方は挙手ボタンを押してください。どうぞ。
 それでは、まず、美田委員、そして山本委員の順でお願いいたします。

【美田委員】  ありがとうございます。発表を聞いた上でもあるんですが、首長の部局の云々という辺り、ちょうど町長さんも隣なので言いにくいんですけど、かなり全国でいろいろ子ども会の立場としてお話しする中で、温度差があり首長次第みたいなところがあるとは感じています。大きく社会教育って、僕は当然必要だと考えています。必要か不必要かという議論ではないんですが、必要なんですけど、先ほどの発表のとおりで、我々もそうですが、非常にお金がない、動けないという状態です。先ほど税制優遇というお話も出ておりました。また解釈を私もしているので、実際寄附しているんですけど、ふるさと納税に比べたら圧倒的に弱い。優遇レベルではないというか、ふるさと納税のほうがよっぽどありがたいです。私、会社としては、企業版ふるさと納税を、自分の市にできないので、隣町の松江市に1,000万したことありますが、それはすごく税制優遇をされていると感じています。
 なので、何かそのようなところまで踏み込めるのか、公益社団法人ではありますけど、残念ながらそこまでの優遇措置はないと思っています。
 社会教育の在り方といいますか、そもそも民間でできることは民間がすればいいと思うんですね。営利活動の中で勝手に活発にされると思いますけど、社会教育って必要なんだけどなかなかお金がもうからないから、やっぱり役所が、行政が旗振ってやらなければならない分野、つまり、そこに実は一番お金をかけなくちゃならなくて、学校などもそういうものなんでしょうけど、行政の役割って民間じゃできないこととかやらないこと、やろうとしないことのサポートだと思っているので、結論はお金くださいという話になっちゃうんですけど、そこではなくて、ちょっとそこの部分を深く、社会教育のこれからの在り方について考える。それから首長の部局や教育委員会としては結構理解はいただいているのは間違いないと思うんです、全国的には、ただ、首長の場合はとくに、選挙でやっぱり当選した背景が、例えば、新しい楽しいものをつくるよということで当選された場合、なかなか意外と社会教育とか置き去りにされがちというところもあるということを思っています。
 もう1点だけ。本当に社会教育、それから子供たちがこれから云々という、私も社会教育をこれからもし続けるんでしょうけど、思うのが、子供の養護、保護等じゃなくて、私たちやっぱり体験活動ということに重きを置いてきてやってきたつもりです。一方で、子供の意見表明をして、それを全て我々が聞き入れるというものでもなくて、逆に、私、子供のときに感じたのが、このおじさんにはこういう言い方をしたら話が通るなという、これもまた学びだと思っています。説得する力というのもですね。そのようなところも、養護・保護等するのではなくてということです。
 以上でございます。

【清原部会長】  美田委員、ありがとうございます。社会教育の意義を改めて再確認するとともに、教育委員会だけではなくて首長部局における社会教育の意義の認識と、加えて、だからこその財源の充実ということと、また、子供の体験活動の重要性、そしてそれは意見表明の反映だけではないコミュニケーション能力の醸成とか、そういう意味でも意義があることを御指摘いただきました。
 それでは、首長として、山本委員、御発言をお願いいたします。

【山本委員】  東神楽町長の山本でございます。今、美田さんからもお話ありましたとおり、首長サイドとの関係というのはすごく今難しくなってきている部分があるなと思います。そもそも論として、地方自治制度自体が官僚制を行っているので、所管を超えた部分についての縦割りの弊害って常に発生をするというところなんですね。
 それと同時に、地方自治において、いわゆる多元的執行機関という形で首長と教育委員というのを分けてやることによって、結果としてはさらにそれ以上の縦割りをつくっているというのが今の状態なんじゃないかと思います。
 そうした中で、2000年代以降の分権、さらには、社会教育施設とか、それから文化、スポーツなんかの首長部局への移管というのを含めて考えると、首長って何でも持ちたいんだと思うんです、多分。これ僕はちょっと違うかもしれないですけど、やっぱり自分のところで所管をしていきたいという気持ちがあるんだと思います。
 そうすればするほど、教育の分野での文化、スポーツあるいは公民館みたいなのが教育委員会に残ったまま首長がある程度所管をするとなれば、逆に首長サイドに社会教育的な思考がどれだけ必要なのかということだと思っていて、そこはもしかしたら全国の首長さんの中でも、みんなやっぱりそこはもう少し気づかなければいけないんじゃないかというような思いがあります。
 僕のところは逆に教育委員会にいろんなものを委ねている部分ありますが、どちらかというと、教育委員会と首長の中で一緒になってやりましょうというようなことでまちづくりの取組を進めているわけですけれども、やっぱりそういった部分では、首長に対して社会教育の必要性をしっかりアプローチをしていくというのは必要なんだと思っています。
 特に2点目として、コミュニティ政策においてはなおのこと、いわゆる例えば公民館みたいなもの、あるいは地域の児童会とか、あるいは、そういったNPOの方々の分野、両方にまたがる分野が多いんですね。そういったところはなおのことどう連携させるのか。そうすると、縦割りを超えるための様々な手だてというのが必要だと思っていて、そのときには、教育委員会からのアプローチというよりは、首長側からしっかりちゃんと連携しようということをアプローチをしていくことが必要なんだろうと思っています。
 こういった部分は、もう少し、僕らも今、北海道の事例でいいますと、公民館振興首長会というのをつくりながら、公民館、特にコミュニティに関わることの多い公民館とのつながりみたいなのを首長サイドもしっかり認識をしてやっていこうと、そんな意識でもってやっておりますし、また、私どものまちも、地域まちづくり条例、今策定中ですけれども、これについては地区公民館なんかもコミュニティ組織と認識するようなやり方を進めております。牧野先生にも御協力をいただいておりますが。
 そういうような形で、もう少し首長サイドが社会教育的な視点を持ちながら、様々な団体、NPOも含めて包含をするような、そういう目が必要だろうと思います。

【清原部会長】  ありがとうございます。山本委員からは、自治体の中には首長部局と教育委員会というのはいい意味で分けて、縦割りの部分もあるけれども、何よりも連携していくことが必要であり、2点目に、特に地域コミュニティに関わる課題解決には連携が必須であって、より一層、首長部局の理解で首長がそれを発信していくということです。
 ちなみに、このたび7月に全国町村会の会長さんが北海道の白糠町の棚野孝夫町長さんになられたということで、80年ぶりに全国町村会長に北海道の町長から誕生したということです。より一層、町村会の皆様全体にもこのような社会教育の認識が山本町長の発信力も含めて広がればよいと願ったところです。ありがとうございます。
 それでは、関委員、青山委員、安齋委員の順でお願いします。

【関委員】  関でございます。お二人の発表を聞きながら、私は昔から社会教育が持っている歴史とか文化とかいうものに思いを巡らせてしまいました。一般行政とは違って、社会教育は社会教育関係団体との関係性の中で、今までいろいろな活動を展開してきた傾向が強いと思うのです。その際、社会教育関係団体との関係性はもともとサポート・バット・ノーコントロールのスタンスの下で動いてきました。補助金を支出して団体の本来の活動を支配すべきではないというルールがあったゆえに、その考え方の下、無料でお金をかけずにいろんなことをやることが善であるという前提に則っていろんな活動を展開してきたのではないかなと思います。その社会教育の考え方、文化が今もずっと根底には残っているので、NPOの皆さん方のスタンスと若干そこのところでどうしてもかみ合わないところが今もあるのではないかなと感じています。
 また、行政はどうしてもある特定のミッション、志であるとか、価値観といいますか、そういうものに対して、特定の団体とタイトな関係をつくることに対して、何か困難さを抱き、距離感を保つ感覚があったような気もいたします。
 その辺をこれからどうやって変えていくか。とりわけ、先ほど講師謝金のお話もありましたけれども、大学の先生方と例えばNPOの活動者を招聘するに当たって、その辺に差があるとか、事業を委託するにあたっても安価な設定を求められるとか、そういったものに対してこれから先どういうふうな方向性をつくっていくのがいいのかというガイドライン的なものを議論して、きちんと社会教育行政、自治体に発信していくことが必要な時代になっている気がいたしました。
 その際には、単に競争の原則に流れるのではなくて、これまでお話があった社会教育士の存在や、NPOとしてどのような考え方の、何によって、どういうふうに社会を変えていこうとしていくのかということを官民対等な立場で、十分に対話ができるような機会を確保し、共通了解のもとに関係をつくっていけるような、そういうふうな方向性を示していかなければならないと感じました。
 以上でございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。社会教育は行政が行うことで、従来の歴史文化的な関係では無償性ということがまずあるということですし、NPOの皆さんとどう連携できるかというところは、新たに社会教育士という人材がつなぎ役というか、それぞれのいい意味でのもちろん役割分担もあるでしょうが、連携を促す、そういう今タイミングにあるという認識を御紹介いただきました。
 それでは、青山委員、安齋委員、野津委員の順でお願いします。
 青山委員、どうぞ。

【青山委員】  ありがとうございます。今回のこの議論をする上で大事かなと思っていることは、NPOという言葉の多様性についてです。定義の話をすると、もう沼にはまりますが、ちょっと考えておく必要があるかなと思いました。今回、いろんな話題で出てくるNPOという言葉で表されているのは、恐らくNPO法人格を持っているかどうかということではないものが含まれていると思います。もちろん、公益性のある法人全部、社会教育関係団体と言われてきたような地縁的なものも含めて、全部含むような文脈と、あるいはそうやってこれまでの、今、関委員のお話にもあったような、従来の社会教育文化にはなかったような事業体として、ある程度継続性や専門性を持った組織が登場してきた。これが旧来の制度では前提としていなかったようなNPO界隈と言われるような業界が形成されつつあって、広義のNPOをイメージした場合と狭義のNPOをイメージした場合で少し議論の毛色が違うのではないかということです。もちろん、NPO界隈の人たちにとっても、ボランタリズムであるとか、公共性だとか、非営利性ということはとても重要ではあるんですけれども、ただ、かなり毛色が違う人たちを含む言葉としてNPOという言葉が使われていることをどう考えるかについてまず確認しておく必要があるかなと思いました。
 ヨーロッパだとほぼNPOという言葉は使われなくて、NGOという言い方をされることが多いと思いますし、NPOという考え方自体はアメリカから入ってきた部分が多いと思うんですけれど、近年NPOと呼ばれているものの中心的な属性が、非営利性ではないかもしれないということも含めてどう考えていくかということがすごく重要だろうとまず思いました。
 そのときに、先ほどゆめ基金の話もありましたけれども、草の根の活動への支援はあるんですけど、こういう事業体化した、ある程度専門的な団体たちへの支援の枠組みがすごく弱い状況の中で、そこをどう継続的にやっていくかということが課題でありつつ、もう一方で、例えばファンドレイズがすごく上手だとか、指定管理者制度のプロポーザルがすごく強いとか、そういうNPOばっかりが勝っていくみたいなことになってくると、市場から離れてよさが出るはずのNPOがどんどん市場化していったり、新自由主義化したところほど強くなるみたいな、そのアンバランスも同時に出てきているような気がいたします。
 今、関委員がおっしゃったことと一緒かもしれませんが、NPOの本当に強みの部分と継続性の部分のバランスをどう取っていくかということが今回の話ですごく前提として確認しておく必要があるかなと思いました。
 社会教育士などの人材レベルでこうした違いも超えてつながっていくというイメージを私も持っているわけですが、もう一方で主事講習を受けた人たちから、これを取るとどういう仕事に就けますかといった質問をもらうこともあり、これで生活していけますかといったことを聞かれたときに、いつも苦笑いをしてしまうわけですが、ここにも人材レベルでの収益性とボランタリズムのバランスの問題があるように思います。私も研修ただでもやりますよなんていうこと自体がいろんな人の仕事を奪っているという罪悪感もふだんからありますので、そういうことも含めて、こうしたバランスをちょっと頭に置きながら議論できるといいなと思ったんですけど、すいません、具体的な提案とかではないんですけど、確認でした。

【清原部会長】  青山委員、ありがとうございます。これとても重要なところで、NPO法人について今日は焦点を絞って事例報告いただきましたけれども、私たちが扱っていくのは、少し広義の民間公益活動を含む関係団体ということで、今手元に法律がないのであれですけども、内閣府が所管する休眠預金に関する議員立法による法律でも「民間公益活動を促進」という表現をしていたような気もしますので、やはり私たちがこれから答申に向けて考えていくときに、いわゆる特定非営利活動法人(NPO法人)だけではなくて、PTAの皆さんとか、子供会の皆さんとか、従来社会教育団体と広義に言われていた団体の皆様も含んで、今の問題として整理していかなければいけないという確認をしていただきました。
 それから、2点目に社会教育士の収益性ということを問題提起していただいて、これも非常に必要な課題かなと思ってキーワードをいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、安齋委員、野津委員、八木委員の順でお願いします。
 では、安齋委員、お願いします。

【安齋委員】  ありがとうございます。古賀委員さんと小見委員さんの話を聞きながら、NPOの活動のすばらしさというんですかね、有用性、そんなものをすごく感じさせていただきました。特に、同じマイスターとしてコミュニティ・スクールの推進に関わらせていただいているんですけども、小見委員がNPO法人ということのよさ、メリットというのが、私にはできないことを小見委員はされているんだなということで、本当にそういう小見委員のようなNPO法人が身近なところにあったらなということを、実は一番正直感じたのはそこなんですね。
 NPO法人自体が田舎に行くとないということなんですよ。本当にもっとそういう団体があって、行政と一緒に、もっともっと学校と地域のつながりを深めるような活動をしていただけたらばどんなに学校にとってはいいんだろうなと思っていたところなんですけども、先ほど地域活動団体というお話があったと思うんですが、実はNPO以外にも本当に地域にはもっともっといっぱいあるんじゃないのかなと感じています。
 実は私も田舎の神社の宮司をやっていまして、神社そのものとしては活動はしてないんですが、地域を盛り上げる、地域コミュニティを再生するための仲間を募ってそういった活動をさせていただいているんですけども、まさにそういったところを一つ一つしっかりとつないでいくことによって、学校と地域であったり、地域のコミュニティをさらに深めたりとかという活動ができるのかな。
 そうすると結局そういったものをネットワークしていくのは誰なんだとなると、やっぱり各市町村教育委員会の生涯学習課が担当になるだろうし、そこに社会教育主事がいれば、そういった人たちがその中心になっていくんだろう。
 でも現実には、本当に今、福島県の場合は、社会教育主事が発令されている市町村は僅か14市町村しかないという。前の議論に戻ってしまうんですけども、やっぱり首長さんたちの理解を得ながら、もう少し社会教育に対するお金をかけていただく、人材を増やしていただくということ、そういったものがやっぱりこれから必要になってくる。最終的には、多様な主体をもっともっとたくさんネットワーク化していくだけの力がないと社会教育が発展していかないのかなということを感じました。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。先ほど山本委員も言ってくださいました、地域コミュニティを見たときには、やはりその中で活動する多様な団体や人々をネットワーク化していくというところに社会教育士あるいは社会教育の機能が重要であるということを今日の御報告なども含めて再確認していただいたご発言でした。
 それでは、野津委員、続いて八木委員でお願いします。

【野津委員】  島根県の野津です。NPOの財源の話で、うちの県だけではないと思いますけど、うちの県は県に基金をつくって、そこに寄附していただいて、税額控除していただくと。そこからNPOに対して、毎年、テーマを決めたり、あるいはフリーのテーマ、応募していただくということで、補助をする対象を決めているというやり方をしています。
 寄附のほうも、具体的に直接NPOにというのはなかなか企業の中でもしんどいので、取りあえず県に、社会貢献基金といいますけど、やっとけばあとは県がやってくれるのでということで、直接やるよりも集まりやすいだろうということと、もう一つは、県がそういった事業を募集することで、NPOの活動を表に出すという、顕彰も含めてですけども、あるいはもう一つ、そういった公のお金を取りに行くということで、非常に活動がブラッシュアップされる、計画段階でブラッシュアップされることと、実際にその活動が、やはり成果が上がるように担保されていくということの効果があるということでそういうやり方を取っておりますけども、かといってそんなに島根県にたくさん寄附が来るわけでもないので、全体をカバーするわけにはいきませんけども、そういったこと、機会への保障はしてあると。県内のNPOにそういったことは一応保障している状況で切磋琢磨していただくというところを取っていますし、もう一つ、前にも議論が出ていましたけども、社会教育士を表に出す、こちらのほう、活動家のほうを表に出すやり方って、島根県はネットワークをつくってメンバーを公表していると。なので、人材バンクのような形になりますけども、そういった、直接、各民間団体、関係団体ですね、雇用というのが難しい部分に人材バンク的な形で地域の人材を、情報を提供することで、そこにパーツパーツで協力いただいて、そういった社会教育のコミュニケーション力ですとか、ファシリテーション力とか、全体のコーディネート力のある人間をその活動の中に入れていただくということで、そういったことで活動を支援していくと。
 うちの県も、先ほど御紹介いただきましたけど、官製の中間支援組織、大きなものがあります。幾つかありますけども、各分野で、それ以外にも今、民間の中間支援組織そのものの設立そのものの育成ということをやっていまして、これは分野限らないんですけど、これは知事部局のほうで、地域振興部のほうで、地域振興、それぞれ本当ローカルな地域振興でありますけど、ある程度広がりを、面的な広がりを持った、それこそ横を広げたようなところの立ち上げ育成とか、それは財源だけでなくて、人材の育成とか、そういったものを含めてやっていると。
 そういう中で、やっぱり永久にお金を出し続けるわけではないので、やはりそこは人が、本当困っている、困っているというところで、行政の人間なので、人が心の力で頑張っているところに大きく頼っているというのは現実ありまして、それで生活をなしているという部分だけでもない人材の活用も含めて、経済的に豊かではありませんし、やっぱり人の満足する活動のところにかなり頼っているというところが現実にあります。
 そういったところも片一方で使いながら、全体として、あらゆる分野の、書いてありましたように、環境、福祉等々、地域に行けばこれは一つの問題なので、特に縦割りという感覚なしに、まちづくりってみんなこれ含んだ話、産業から防災等を含んだお話でありますので、そこは、行政はちゃんと伴走支援、行政も行政として社会教育的な勉強をしながら伴走支援もしますし、そういった民間の活動の方、公民館も含めてですけども、をやるし、中間支援組織もやるしと。
 やっぱり人間をたくさんつくって、それとちゃんと紹介するということ、表に出すということですね、こういったことをしっかりやっていくことが活動のモチベーションになるし、継続性があるんじゃないかなと思っています。

【清原部会長】  野津委員、ありがとうございます。島根県の事例として、1点目、「社会貢献基金」という基金をつくって、NPOと地域活動団体を支援する。2点目に、「社会教育士のネットワーク化」をしていて、それはある意味では「人材バンク」として機能している。3点目に、「中間支援組織の設立支援」ということで、まさに伴走支援をしていく、自立支援にもなっていくという、具体的な例を御紹介いただきました。
 私も三鷹市長時代にNPO法人を指定管理者として指定させていただいて、一定の業務を、自立しつつ、もちろん行政からも支援しつつ実践していただいたという経験を持っておりますけれども、そのような首長部局、教育委員会、行政とそれから地域で活動する民間公益活動団体を含めた連携の在り方についても具体的な提案が必要であるという中で大変ヒントをいただきました。ありがとうございます。
 それでは、八木委員、続いて柏木議員で御発言をお願いします。

【八木委員】  ありがとうございます。熊本市国際交流振興事業団、八木です。私からは2点お話をしたいと思います。1点目は、NPOに関してです。NPOは様々な活動分野で活動されていまして、社会教育の1つの役割にはそれぞれの活動と地域をつなぎながらその活動から生み出された成果を地域全体へ還元していくということがあると考えます。
 ただ、多文化共生の分野で、外国人を考えたときに、各分野をつなぐ前に、各分野の中で、言葉や文化の違いから外国人を取り出して特別な支援をしてしまうということがよくあります。
 例えば今回のテーマになっている防災教育にしても、外国人の防災というのは一般の防災教育からは切り分けて、言葉、文化の違いがあるので、外国人だけを取り出して、防災教育を行ってしまうということがあります。
 この部会の中で、外国人を社会教育全体に取り組んでいくということが一つの命題であれば、外国人の言葉、文化の違いを配慮しながら各分野をつないでいく、各分野の中で外国人と地域をつないでいく役割が社会教育にあるのではないかと考えます。そこで必要とされる社会教育人材は、例えば、外国人とのコミュニケーションをやさしい日本語であったり、分かりやすい英語を使ってコーディネートできる人であったり、外国人の文化を学び、それを地域の方々へ理解してもらえるような動きができる人であると考えます。
 そのときに、社会教育主事、社会教育士を育成する中で、外国人の学習、多文化共生の学習、グローバルコミュニケーションの学習等が主持講習の必修科目の中に入っていくということが必要であると思います。
 もう1点は、NPOの活動の中で、資金に関してです。その活動資金的を考えたときに、NPOの活動は、なかなか収益性が上がらないけれども、非常に重要な分野であり、行政がきちんと資金面の支援をしていくことが必要です。ただ、現状として、多くの事業支援は、事業に対する助成で、人件費を含めることができないことがあります。少なくとも管理費のオーバーヘッド分に関しては、きちんと行政側が理解して助成金に含めてもらう必要があると思います。あと、事業活動費の助成に加えてNPOがより効果的に活動していくためには、組織運営に関しての伴走的な支援をする仕組みがあると良いのではないかと思っています。そういった運営や組織づくりのための資金補助ができれば、さらに各分野と社会教育というものが発展的に広がっていくのではないかなと思います。
 以上2点です。

【清原部会長】  ありがとうございます。NPOの活動をされている御経験から、何よりも多文化共生、外国人、グローバルコミュニケーションについては、つなぐという役割が重要で、社会教育の内容として、そうしたものの強化を、そして2点目は、資金問題については、事業助成だけではなくて、運営組織の伴走支援が重要であるということです。
 先ほど御紹介した休眠預金の運用の中でも、このたびの法改正に基づいて、いわゆる「資金分配団体」への助成だけではなくて、「活動支援団体」にも休眠預金の支援ができるようになって、それはどういう団体かというと、NPOや多様な地域で活動する人たちの運営や組織に伴走するという役割を果たす団体に休眠預金の資金を提供しようというふうに議員立法で法改正がされたようなことでございます。そこで、今、キーワードとして、「組織運営の伴走支援が必要」といわれたところは、そうした流れとも呼応するのかなと思って受け止めました。
 それでは、柏木委員、よろしくお願いします。

【柏木委員】  ありがとうございます。まず、私が今関わっている範囲内での問題を申し上げたいと思います。例えば子供への学習支援事業であれば、最も厳しい状態にある子供たちへの家庭訪問などのきめ細やかなアウトリーチの支援をしているNPO等の諸団体ではなく、単に個別指導する大手企業が、プレゼンテーション力と安定性というところで軒並み受託していくというような問題が起きています。
 もちろん大手企業が受託していただいてもいいんですけれども、ただ、そこで発生している問題が何かと申し上げますと、最も手を差し伸べるべき子供への支援がそがれていってしまうと、そがれがちであるというような問題、そして、今まで手持ちのところも含めて良心的な支援を行っていたローカルなNPO等の諸団体が淘汰されていく傾向にあるところにございます。
 一方で、地域によってはローカルなNPO等の支援諸団体がなくて、大手企業によるオンライン支援だけでもあってよかったというような声も聞いたりします。
 また、いろいろなローカルな支援諸団体で働いていた方々、NPOスタッフさんがそこに従事することで標準的な生活を維持できないことから、例えば結婚や子供の誕生などを機に転職していく。それゆえに、NPOがどんどん廃れていくというような状況も聞いています。
 さらに、その他の問題として例えば学校とそういう支援団体さんの連携で大きな障害になるのが個人情報保護の問題で、そうしたものをやっぱり一定、行政みたいなところが、何らかの手を打たなければ結局連携できないというようなところも聞き及んでおります。そうしたところを踏まえて、社会教育士を含めて社会教育が連携・貢献し得る観点といたしまして、3点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目は、ローカルなコミュニティで活動するNPO等の支援諸団体を醸成すること。そして、今ある団体の持続可能性を高めるための多角的支援が求められているのではないかと思います。
 そして2つ目は、ローカルな諸団体が行っているようなきめ細やかな支援活動が、人々の生、生というのは生きるという漢字です、つまり、人々の人権や尊厳、生きようとする意欲や生きる意味にとって具体的にどのような意義があるのかについて明らかにして、首長部局や行政担当者の理解を深める媒介者、代弁者の役割を担うことです。これによって、委託や仕様の在り方を変えたり、委託後の取組を充実させることができるのではないかと思います。また、多様な主体が連携するためのシーズやニーズを酌み取り、様々な団体、活動の困り事を丁寧に取り除いていくことが可能になります。
 そして3つ目として、それらを通じて、人々の生、生きることを支える活動、基盤の充実を促す役割が社会教育士、そして社会教育全般に求められているのではないかと思います。
 以上になります。

【清原部会長】  柏木委員ありがとうございます。学習指導に関する支援団体の動向を一つの根拠に、まず1点目、ローカルコミュニティ、NPO等の支援団体の育成、2点目に、きめ細かな、そうした取組の意義を首長部局等に伝えていく媒介者が必要であるということ。3点目、そのためにも、「生」、生きるということを担っていくローカルコミュニティの役割に社会教育あるいは社会教育士の役割があるのではないかということでした。
 青山委員は手挙げていらっしゃる? 大丈夫ですか?
 そうしましたら青山委員に発言していただいて、次に牧野副部会長お願いします。

【青山委員】  ありがとうございます。先にさっき社会教育士の収益性という論点を挙げましたが、すごく重要な論点だと思いつつ、社会教育士を職業として確立させねばならないと思っているわけでもないということもちょっと補足として確認させてください。
 その上で、多様な主体の人たちを巻き込んでいくということを考えていくときに、先週、こども家庭審議会のこどもの居場所部会の中で、社会教育施設の名前がいっぱい出てくる議論がありました。それは世の中の居場所をどう増やしていくかという議論の中で、もちろん単体の居場所づくりと言われるような活動をやっていくこともすごく大事なんだけれども、既存の公共施設や、公共施設以外の様々なものを居場所的にしていくということも重要であるという発想の中で、例えば公民館や図書館などが居場所としての役割も果たしていくことが大事ではないか、といったことが議論されました。私は図書館のみなさんとお話するときには、「本棚の手前」が大事だということをよく言うんですけど、本棚にたどり着く手前の余白があることによって学びも居場所も豊かになるんじゃないかというような言い方をよくします。そういったような形の中で、社会教育施設に他の分野から、より学びや教育の文脈じゃない要素が求められているような状況がある。
 逆に我々からすれば、そういった居場所的なものを我々の中に組み込みつつ、その中に学び的なものを足していく。それはおそらくさまざまな場や領域の間を人材が媒介するというモデルと親和性はあると思うんですけれど、そういったようなときに、様々な社会教育の拠点あるいは施設、団体が、学ぶということが一つの軸足ではありつつも、より開かれた人々の様々な居場所でもあるということがまず1階部分にあって、その先に学びや様々なものにアクセスしていくようなイメージを社会教育のほうも持っておくことによって、多様な人たちが巻き込まれやすかったり、社会教育的にもなりやすかったりするのではないか。前回、居場所づくりの議論も紹介があったと思うんですけれど、今回のいろんな主体と一緒にやっていくというところとは親和性が高い話題だと思いましたので、ここでも情報提供しておきたいと思います。
 以上です。

【清原部会長】  重要な情報提供ありがとうございます。まず、念を押していただいたように、社会教育士の収益性というのは、職業としてのことだけではないということを確認させていただきます。そして、居場所づくりといったときに、社会教育施設も、まずは幅広い人々への居場所となり、そして社会教育としての活動もあるという、広義の居場所としての機能を果たしているということも再確認させていただきました。
 それでは、牧野副部会長、お願いいたします。

【牧野副部会長】  どうもありがとうございます。お二人の発表、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 あと、やはり議論になりました財源の問題ですけれども、さきほど、休眠預金の話が出ましたが、例えば公益信託ですとか、新しい財源の開拓といったものも、これから必要になってくるのではないかと思います。
 それはなぜかといいますと、「公」という言葉の意味を変えなければならないようにも思うからです。そこから話を広げたいと思うのですけれども、今日の議論もそうですし、この部会のこの間の議論もそうなのですが、これまでの社会の在り方が変わってきている、またはそれを変えなければならないと思うのです。簡単に言いますと、私たちは、教育の分野でいえば、人をマスとして扱うといいますか、工業社会そこでも特に規模を大きくしていくことを目的とするような経済の在り方、つまり大量生産、大量消費ということの中で、物質的な豊かさを享受していくためにつくられたシステムがあって、そのときの一つの考え方が、例えば人を標準形として置いて、マスとして扱うことなのです。これは近代国家がやってきた例えば人口管理であったりとか、生活保障の福祉政策であったりとか、様々な施策が標準形の人間観を基盤としてつくられてきているわけですけれども、そうしたものがここ30年間ぐらいで大分壊れてきているのではないかなと思うのです。
 言い方変えますと、一人ひとりを個人として見ていくわけではなくて、ある種個体主義的にといいますけども、人々をその標準形の人間の中に当てはめて、この標準形を捉えておけば大体95%ぐらいの人を扱うことができるというような、そういうようなつくり方になっています。
 そんなことの中で、例えば学校教育という制度も、一面、そういう面を持ってつくられたものだと思うのです。例えば一斉教育であることですとか、またどの国でも例えば7歳で自我が統合されてくることで、同じように教育を行うことができるので、一斉に入学をさせて、学年進行で教育を行いつつ、同じ規準で選抜して、上級学校へ送り、最終的には日本の場合は新卒の一括採用で就職し、さらに同じように同期で競争させていって、定年まで持っていくという仕組みになっています。これは、人をマスとして扱う仕組みの中で、人々の生活や人生が基本的にすべて動くようなつくり方になっているのだといってよいと思います。
 そうしたものが、例えばバブルがはじける頃ぐらいから壊れてきているのではないか。このことが、今日の様々な問題の根底にあるように思えます。
 戦後、例えば日本は教育委員会制度をつくりましたけれども、これは、一つは、新しい国をつくっていくというときに、ある種、国家統一で、ナショナルミニマムといいますか、一律にきちんと教育を保障していくという国民の学習権や教育権を公的に保障するといったことを基本として、国が学校教育を整備をしていくわけですけれども、さらにそこに例えば分権を基本にした教育委員会制度がつくられていて、それが一定程度、一般行政から自立する形で、教育の地域自治を進めて、個別化や特色化を進めていくという、ある意味で二方向を狙ってきたようなことがあるように思います。ちょっと言い方がおかしいかもしれませんけども、一面で、国が一律に教育を保障し、ナショナルミニマムとしての教養や知識を伝達して、国民の基盤をつくり、国民のアイデンティティーをつくること、または国語をきちんと学ぶことも含めて、教育を保障し、それらを通して国民を育成をし、国を統合していく事業を展開しつつ、もう一面で、地方自治体が基本となって学校経営を進めるにあたって、そこに教育委員会という教育の住民自治の仕組みを組み込むことで、多様性を確保しようとしてきたという面もあると思うのです。
 そうしたものが、全体として、過去の工業社会の発展にともなって、標準形の人間観にもとづいて、マスとして人々をとらえ、管理するに当たって合理的であった縦割りや年齢割りの行政ということになっていく中で、その社会であれば合理的であったような仕組みそのものが、今の多様化、個性化の時代ではうまく動かなくなってきているのではないか。そんなことの中で改めて、標準形の人間観にもとづいてつくられた社会のための人材育成の場であった学校教育をどうするのか。こんなことが問われているのではないかと思います。
 例えばいま多分一番苦しんでいらっしゃるのは、学校現場ではないでしょうか。それはまた、教育課程をどうするか、つまりナショナルミニマムをどう保障しつつ、子供たちに一面で同じ教育をきっちり保障して学習権を守り、もう一面で多様化していく子供たちにどう対応しつつ、さらに言えば子供たちが将来どういう社会をつくっていくのかということにも対応できるような形でカリキュラムをどう組むのかといったことで、探究活動などもたくさん入ってくるようなカリキュラム構成になってきているのだろうと思います。これまでの標準形の人間観にもとづいてつくられた仕組みを変えないまま、そこに個別化・個性化のための措置を入れろというのですから、学校現場には強い圧力がかかっているのではないでしょうか。
 そんなことの中で、社会教育とは一体何であるのかというと、それは、もともと住民の活動をベースにしつつ、さらに戦前から見てくれば救貧、いわゆる社会福祉ですとか社会事業と重なっている面があって、生活保障を個別に行って、つまり教育的な仕組みを通して、また教育的な営みを提供することで、人々が市場社会で生活ができるように保障していくという営みであったはずです。その意味で、社会教育とは、極めて個別なものをベースにしながら、これを公的にというか、公教育として実施し、個人の自立を促しつつ、生活保障を実現する役割を担ってきたといってもよいかと思います。
 私たちが今ここで考えなければいけないのは、公共とは一体何か、公教育とは一体何かということなんだろうとも思うのです。一面では、私たちは感覚的には公教育というのは公が行うものであるという、主宰者としての行政というか、また国というものが置かれていて、それに対して、例えば、私教育というのがあって、それが例えば塾であったりまたは予備校であったりというようなことになってくるのだろうと思います。
 私立学校は、いわゆる公教育制度の中に入っています。これは国が決めたカリキュラムを採用して、国民形成の一端を担うということを基本として、法的に設置が規定され、保障されているという形で公教育制度の中に入っていると思います。ただ、少し見方を変えると、例えばイギリスのプライベートスクールやパブリックスクールという言い方は、これは担い手論ではなくて、どれぐらい対象者が開かれているかということにおいて、プライベートなのかパブリックなのかという見方をします。
 例えば私立学校であっても、全ての子供たちに開かれている学校であれば、これはパブリックスクールなわけで、開かれているかどうかが公私の分かれ目になっているということになっているのです。
 その意味では、担い手がどこであるかといったことよりは、むしろどれくらい社会に開かれているかといったことを、公共性の目安にしていくようなことも、これからあり得るのではないかと思います。
 そういうふうに考えていくと、社会が従来のような人をマスで扱うような時代からどんどん個別化していくといったことの中において、今、一面で家庭の中にまで市場が入り込むということがあって、これ市場化していい面としてはまずい面があると思うんですけども、市場が家庭の中に入り込むことで、人々や子どもの孤立が進んでいったりですとか、子どもたちが苦しい状況に置かれていったりすることに対して、それをどう受け止めていくのかが問われてくるのだろうと思います。
 そんなことの中で、改めて、社会や人々が個別化していくことに、教育行政がどう対応するのかというときに、例えば社会教育的な観点を持ちながら、さらには、牽強付会、無理やり結びつけることになるかもしれませんけれども、社会教育士のような方々がきっちりと各領域にいて、そこで社会教育的な観点から個別対応しつつ、人々がきっちりとこの社会で自立して生きていかれるように、伴走支援をしていくというか、巻き込んで、人々のかかわりをつくる条件を整備していくといいますか、そういうような仕組みづくりもこれから必要になってくるのではないかと思います。
 その意味では、新しい公教育の在り方を検討すべきときに来ているのではないか。それは、従来、国が一律に行ってきた教育をベースにしながらも、さらに、地方分権の時代を経て、さらに個別化という社会に入ってくる過程で、そして過去のように規模を大きくしていく経済が成り立たないような人口構造になってきているわけですから、その中で個別化していく人々の価値観や生き方、人生の在り方に対してどう寄り添いつつ、一人ひとりが自分の生を全うできるような社会をつくっていくのかといったことが問われてきているように思います。
 そのときに改めて社会教育的な観点というか、個人の生活をベースにしながら、そこに寄り添って、全体の底上げを進めることができるような施策を取り、そしてそこに多様なアクターが関わっていくことが求められているように思います。このときに、社会教育人材と言われる方々が様々な領域で活躍をしていくような仕組みづくりといいますか、そんなことが今問われてきているのではないかと思いながら、今日お話を伺っていました。
 その意味で、これから、今日の議論いただきたい事項の中にありましたように、例えばどのような視点から、観点からというときには、孤立化していく人々、一面で市場化は大事かもしれませんが、もう一面で孤立や孤独といったことは避けたいわけですし、お互いに助け合っていくという関係が必要でしょうから、その意味で人々をつなげていく、連携をしていく、そして社会基盤を豊かにしつつ、次の世代をきちんと育成して、この社会をつなげていくというようなこと、そういう観点から、社会教育の在り方が検討できないかと思います。さらに、さらなる連携ということになっていくと、先ほどの公共の在り方をどう考えるのかを等必要があります。行政がやることが公なのだという一面ありながらも、もう一面で、どれくらい広く社会に開かれているのかといったことも、やはり問われていかなければいけないのではないかと思います。
 その中で、新しい人材の在り方といいますか、また担い手の在り方を考えていく。そんなことがこれから必要になるのではないかと思いま。
 そんなことの中で、新しい財源が開発されて、NPOの方々が、簡単に言えば、多分従来は、従来の行政システムの補足というか、そういうような役割でつくられてきたところがあると思うのですけれども、これからはむしろきちんとしたステークホルダーとして、対等な関係で社会を担っていくような、そういう位置づけになっていくのではないかと思います。その意味では、財源の在り方はきっちりと議論しなければいけないと思いました。
 ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。オンラインで御参加の萩原副部会長、御発言、可能ですか。

【萩原副部会長】  はい。

【清原部会長】  御発言よろしくお願いします。

【萩原副部会長】 もう時間が非常に限られていると思いますので。まず、NPOに関する法律ができて30年以上過ぎ、NPOってなぜ登場したのか。そういう法律ができた背景であるとか、そういったものがやはりだんだん理解されなくなってきている部分もあって、そこのところをもう一度、しっかりと学び直しというか、それが必要なんじゃないかなというのを今日の議論を聞いていて思いました。
NPOというのはノンプロフィットであるというところから出てきていますし、社会教育関連の団体というのは、いわゆる「老舗のNPO」という位置づけがされています。
NPOはあくまでも組織の概念ですので、そこに関わる個人、ボランティアとして社会教育主事、社会教育士、の方々が多様なNPOの中にボランティアとして入っていく、あるいはNPOのスタッフが社会教育士を取得するなど、社会教育主事、社会教育士が活躍するその受皿としてNPOは非常に重要な役割を担うと思います。「老舗のNPO」とそれぞれの新しい、社会のニーズに応じて登場してくるNPOがどうつながっていくか。連携する、パートナーシップするのは当たり前、どう協働、コラボレーションしていくのか、そしてそこからどういうふうに社会の課題解決を導き出すのか、つまりコプロダクションを出していくのかということがずっと言われていることですけど、それを改めて確認していく必要があるんじゃないかなと思っています。
多くの方たちが参加、参画できる、そういった組織の存在、それが持続可能でなければ社会の課題解決できませんし、先ほどの柏木委員のおっしゃるように、まさに、前にも申し上げましたけども、人々の生と暮らしと命を支えるヒューマンインフラストラクチャーとしての基盤づくりということが今後もっともっと重要になってくるんじゃないかなと思っております。すいません、早口で。以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。時間に御配慮いただきました。でも重要な御指摘いただきました。すなわち、NPOの活動そのものに意義もありますが、それだけではなくて、輩出されてきている多くの社会教育士がNPOと関わる、あるいはNPOの中で活躍することを通して、まさに地域コミュニティの基盤としての命と暮らしを支える活動を、社会教育行政の分野だけではなくて、民間公益活動を通して具体化していく、実現していく、そういうところを私たちも意識して明確化していかなければいけないということを確認させていただきました。
 時間のない中、恐縮なんですけど、これだけ議論を喚起していただいた古賀委員、小見委員に、一言ずつおっしゃっていただければと思います。

【古賀委員】  私はNPOとして活動を支援する側ではありますが、日頃お付き合いしているのはNPO以外の方も多いところです。先ほど安齋委員がおっしゃったように、地域にはいろんな思いを持って、志を持って活動している人たちがいらっしゃって、必ずしも予算ありきで動いている人たちばかりでもないので、予算確保ありきで制度や仕組みが構築されるとなると、かえって社会教育関係者の方にとってハードルが高くなるという逆説的な事になるおそれもあると思うので、ケースごとに柔軟的な対応が必要になるかもしれないと思いました。ありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。それでは、小見委員、お願いします。

【小見委員】  ありがとうございました。私も予算ありきで動いておりませんので、大丈夫。非営利というのは、やっぱりプライドはあるというか、必要なことに割けるだけの基盤をつくっていくという必要があるなと思っています。
 今若い子たちといろいろ対峙していると、すごく社会課題に関心があるとか貢献したいと思っている子ってすごく、肌感覚としてですけど、増えているなあと思っています。そういう若者たちがちゃんと地域の老舗のNPOの人たちとつながって、次の世代の担い手、つくり手になっていってくれたらいいなと思っていて、そのマッチングがこれから社会教育でなされていくと、疲弊している方々もきっとすごく希望を感じるんじゃないかなと思いました。今日はどうもありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。まさに古賀委員、そして小見委員のお二人の御報告を踏まえた皆様の意見交換を通して、今日は民間公益団体と首長部局そして社会教育の三位一体の関係と、それをよしとするならば、それに必要な支援の要素であるとか、つなぎ、そしてつながり、さらにはそれがつながっていく、継続していくためのヒントをいただいたように思います。どうもありがとうございます。
 さて、恐縮でございますが、あと10分ほど延長させていただいて、実は資料4に基づく御報告を受けてのやり取りをさせていただければと思いますので、すいません、オンラインの皆様も10分程度の延長をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、意見交換はこれまでとさせていただき、まだまだ御発言し切れなかった御意見がありましたら、御遠慮なく事務局までメールでお寄せください。
 それでは、その他となっておりますが、事務局から資料4について御説明をお願いします。林調整官、お願いします。

【林社会教育企画調整官】  事務局でございます。資料4を御覧ください。昨年6月の社会教育人材部会の最終まとめ、また、今年3月までに本部会の皆様で御議論いただいた内容を取りまとめした審議事項1に関する意見の整理等を踏まえまして、社会教育主事と社会教育士の役割に応じた社会教育主事養成課程や社会教育主事講習での養成の在り方等につきまして、専門技術的な検討を行うため、本部会の下にワーキング・グループを設置させていただければと考えております。
 来年の夏に取りまとめる答申に向けまして、本ワーキング・グループにおいては、資料4の別紙2枚目にございますとおり、社会教育主事と社会教育士の役割、求められる能力の在り方、そしてそれぞれの養成の在り方等を主な検討事項としつつ、関連する論点も含め、機動的に御議論いただければと考えております。
 本ワーキング・グループの設置につきまして、部会として御了承いただければと存じます。どうぞよろしくお願いします。

【清原部会長】  ただいま事務局から御説明がありましたように、社会教育の在り方に関する特別部会の中に、「社会教育主事・社会教育士養成等の改善・充実に関するワーキング・グループ」を設置したいと思います。
 本件につきましては、部会長の私と萩原副部会長とそして牧野副部会長とも協議いたしまして、ぜひ皆様に御提案させていただこうということで、今日、資料4を事務局におまとめいただきました。
 この部会の中でのワーキング・グループの設置について、特段御意見はおありになりますでしょうか。いかがでしょうか。御賛同いただけますか。オンラインの皆様もよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。うなずいてくださっています。
 本ワーキング・グループの設置について、本部会として了承したいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、本ワーキング・グループの委員について、事務局から御説明をお願いいたします。

【林社会教育企画調整官】  ありがとうございます。ただいま御了承いただきました本ワーキング・グループの委員につきましては、事務局といたしましては、本日の参考資料3、中央教育審議会運営規則第4条第5項、下線を引いてございます、本部会の部会長である清原部会長に御一任いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

【清原部会長】  今御説明がございました本ワーキング・グループの委員については、事務局と相談しながら適切な委員を指名させていただきたいと思います。
 ただ、前期に社会教育人材に関する特別部会を設置しておりまして、そこに関わっていただいていた牧野委員、青山委員はじめ、委員の皆様にも、何らかの形で、つまり、ワーキング・グループのメンバーに御指名させていただかなかったとしても、御支援をいただければありがたいと思いますので、その旨、ちょっと心にとめておいていただいて、もちろん、私は責任を持ちますので、まずは御一任いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、本ワーキング・グループの委員については、事務局と相談の上、速やかに決定し、お知らせできればと考えております。
 なお、本ワーキング・グループの議論の状況については、この特別部会で随時御報告をいただきまして、私たち部会としてしっかりと責任を取っていきたいと思います。
 このワーキング・グループについて、特段のコメント、おありになる方いらっしゃいますか。いかがですか。
 大丈夫ですか。一言。

【牧野副部会長】  すみません、お時間のないところ。ぜひこのワーキング・グループで、活発な議論をしていただいて、より具体的な、社会教育主事、それから社会教育士の養成の在り方について報告をいただければと思っています。
 先ほど御紹介ありましたが、社会教育人材部会のほうで議論させていただいて、大枠は出させていただいたと思っていますけれども、さらに具体的なカリキュラムですとか、様々な養成の仕方といったことについて、今後詰めていかなければいけないことがたくさんあるかと思いますので、ぜひとも新たなワーキンググループで議論をお願いしたいと思っています。
 この間、社会教育主事講習に行っていまして、北海道の研修のフォローアップ研修なのですが、社会教育士の称号を取られて、特にNPOなどで活躍されている方々のお話を伺いました。そこで、なぜこんなに社会教育士が広がったのか、つくった側としてもちょっと不思議に思っているという話をしましたら、こう言われました。
 自分たちがやっていたことが社会教育だったということがわかって、ある種の発見があって、腑に落ちた。納得感がとてもあるのだとおっしゃるのです。そしてさらに、社会教育主事と同じ内容の講習を受けることによって、実は、行政ってこういう言葉遣いをするのだといったことがよく分かって、行政との意思疎通がすごくよくなったとおっしゃるのです。
 その意味で、やはり社会教育主事としての養成を受けて、社会で活躍される方がたくさん出てくるといったことが、これから大事になるのではないかと思いますので、ぜひとも活発なご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。私たちは、生涯、学習し、学びながら、それぞれの命を実現しています。そういう意味で、社会教育士の皆さんが、そうした地域の活動や企業内や職場内で、あるいは学校での活動を通して、私たちの生涯の学びを支えていただけるというのは大変心強いわけです。だからこそ、さらに丁寧に社会教育主事・社会教育士養成等の改善と充実を図るということで、私たちの特別部会の使命をさらに具体化していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、このほか事務局から連絡事項ありますか。

【林社会教育企画調整官】  ワーキングの設置につきまして、御了承いただきまして、ありがとうございました。
 本日予定されておりました議事は全て終了いたしました。
 今後の審議予定につきましては、別途メールにて皆様に御連絡いたします。
 事務局からは以上でございます。

【清原部会長】  それでは、最後に古賀委員と小見委員に皆さん拍手をお願いします。(拍手)
 あわせて、今日、本当に厳しい気象状況の中、御参加いただきました全ての委員の皆様、そして塩見局長をはじめ、事務局の皆様も熱心に本当に息をのみながら私たちの意見を聞いていただいています。塩見局長、何か一言ありますか。もしあれば遠慮なく、一言よろしくお願いします。

【塩見総合教育政策局長】  本当に今日はありがとうございました。皆様のお話を聞いて、また、私も本当に非常に触発されるところがたくさんございまして、改めてやはり社会教育というのはそもそも、特に戦後、何もないところからみんなで学ぶことで社会をつくっていこうじゃないか、新しいいろんな仕組みづくりにみんなで参画していこうじゃないかというところが多分出発点だったと思うんですけれど、先ほど牧野先生のお話にもありましたように、社会が多様化していく中で、行政だけでは担い切れない部分がまた出てきているという意味では、新しく、我々がそれぞれ行政に頼らず担っていかなきゃいけない部分というのが大きくなっているということをまた改めて感じた次第であります。
 社会教育士という基盤もプラットフォームにして、関係者がみんな共通理解の下でこうした課題に取り組んでいけるようにネットワークを組んでいくということの重要性も非常に強く感じたところでありますので、我々としても、皆様の御意見踏まえて、何ができるかやっていきます。またぜひ御指導いただきたいと思っております。ありがとうございました。

【清原部会長】  塩見局長、ありがとうございました。橋爪大臣官房審議官も、そして神山社会教育振興統括官も熱心に聞いていただきましたので、私たちはやっぱり届けたいんですね、国に、そしてオンラインでつながっている自治体の皆さんに。ぜひぜひ答申を待つまでもなく、今から変えられる仕組みや行政は、今からどうぞ皆様、反映していただければと思います。
 それでは、すいません、9分超過しましたが、以上をもちまして本日の第10回社会教育の在り方に関する特別部会を閉会いたします。
 どうぞ皆様、台風の被害が少ないことを願いますが、どうぞ危険な状況のときには命を守る活動をよろしくお願いいたします。
 それでは、また、次回元気にお目にかかります。皆様どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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