社会教育の在り方に関する特別部会(第9回) 議事録

1.日時

令和7年7月18日(金曜日)10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室 ※WEB会議併用

3.議題

  1. 関係省庁からの地域コミュニティに関する施策発表 (総務省、こども家庭庁、厚生労働省、農林水産省発表)
  2. 社会教育活動の推進方策について(美田委員発表)
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)清原委員,萩原委員
(臨時委員)安齋委員,伊東委員,内田委員,小田切委員,柏木委員,金澤委員,古賀委員,小見委員,杉野委員,関委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,村井委員,八木委員,山本委員

文部科学省

(事務局)橋爪大臣官房審議官,神山社会教育振興総括官,吉田政策課長,中安生涯学習推進課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,降籏日本語教育課長,坪田教育改革推進課長,髙田地域学習推進課長,林社会教育企画調整官 山本地域学習推進課地域学校協働推進室長 他

5.議事録

【清原部会長】  皆様、おはようございます。本日もそうですが、大変猛暑の日々が続いております。天候不順で、水の被害も出てしまった地域もあると思います。お見舞い申し上げます。
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。本日は皆様、何かと御多用のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本会議は対面とオンラインを併用して開催いたします。本日はユーチューブのライブ配信で傍聴を受け入れております。報道関係者から、会議の全体について録画を行いたい旨申出があり、許可をしておりますので、皆様、どうぞ御承知おきください。
 議事に入る前に文部科学省で人事異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

【林社会教育企画調整官】  事務局でございます。7月15日付で事務局に人事異動がございましたので、新たに着任しました職員を紹介させていただきます。
 神山弘社会教育振興総括官でございます。

【神山社会教育振興総括官】  神山でございます。よろしくお願いいたします。

【林社会教育企画調整官】  吉田光成政策課長でございます。

【吉田政策課長】  吉田でございます。よろしくお願いします。

【林社会教育企画調整官】  坪田知広教育改革調整官でございます。

【坪田教育改革調整官】  坪田でございます。どうぞよろしくお願いします。

【林社会教育企画調整官】  以上でございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。新たに着任された皆様、どうぞこの部会につきましても、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入ります。本日はこの後の発表をしていただくため、総務省の地域力創造グループ地域振興室長の近藤様。そして、こども家庭庁から成育局成育環境課長の安里様。厚生労働省から、老健局認知症施策・地域介護推進課長の吉田様及び社会・援護局地域福祉課地域共生社会推進室長補佐の武田様。さらに農林水産省から、農村政策部地域振興課中山間地域・日本型直接支払室長の伊藤様にお越しいただいております。
 お忙しい中、部会長から皆様の来訪をお願いしたところ、快くお引き受けいただきましたことに感謝申し上げます。どうぞ、私たちの視点は省庁の壁を越えて、検討をすべきという思いで一致しておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は12時頃までの開催を予定しておりますけれども、皆様の議論の状況によりまして、若干延長させていただく可能性がございます。限られた時間ではございますが、自由に充実した議論ができますよう進行に努めますので、皆様も会議の円滑な進行への御協力をよろしくお願いいたします。
 本日の会議は、2部構成で進行いたします。まず、諮問における審議事項2「社会教育活動の推進方策」のうち、4つ目の「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」について、お集まりいただきました関係省庁の皆様から地域づくりに関係するそれぞれの省庁の取組について御発表をいただきます。それにつきまして、質疑応答と意見交換の時間を設けます。
 次に、美田委員から、全国子ども会連合会の取組を御発表いただきまして、同じく委員の皆様に意見交換をしていただきます。このような順に進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに各省庁の地域づくりの取組について、御報告をいただきます。総務省の近藤室長、よろしくお願いいたします。

【近藤総務省地域力創造グループ地域振興室長】  皆様、おはようございます。ただいま御紹介いただきました、総務省で地域振興室長をしております近藤と申します。今日はこのようなお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私のほうから、「地域運営組織等と社会教育との連携可能性について」というタイトルで御説明させていただきます。
 それでは、資料の2ページをお願いいたします。まず、地域運営組織とは何かというところの御説明から入りたいと思います。定義が上のところで2行ほどで書いてございまして、「地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内の様々な関係主体が参加し、地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織」ということでございます。
 この「地域内の様々な関係主体が参加し」の部分につきまして、イメージ図のところを見ていただければと思うんですけれども、どういった主体が構成しているかということで、左下のあたりにあります例えば自治会、町内会といった地縁組織ですとか、自主防災組織であるとか、地区社協さんでありますとか、そういった団体が入ってございますけれども、右のところで赤丸をつけさせてもらっておりますけれども、学校関係の団体も入っておりまして、例えばPTAにつきましては、約4割の地域運営組織にPTAが加入しているという統計もございます。
 この地域運営組織は、直近の数字ですと全国に8,193組織ということで、年々増えてきてございますけれども、確認をしているところでございます。
 3ページをお願いいたします。「地域運営組織の活動実態」ということでございまして、かいつまんで幾つか御紹介いたしますと、例えば「組織形態」ですが、法人格を持たない任意団体というのが9割という形になってございます。それから、「活動拠点」ですけれども、活動拠点を有する団体が97.1%ということで、このうち64.2%が公共施設を使用ということで、具体的には、地区公民館ですとか図書館等の社会教育施設を拠点としている団体が多いということで分かってございます。
 4ページをお願いいたします。「地域運営組織の活動範囲」、エリアでございますけれども、「小学校区とおおむね一致する」というふうに答えていただいた団体が43.1%ということで最も多くて、そのほか「旧小学校区等とおおむね一致する」とか、「中学校区とおおむね一致する」を合わせますと、大体7割が小中学校区で活動しているということが出てございます。
 5ページをお願いいたします。「地域運営組織の主な活動」ということなんですけれども、右側のほうにありますとおり、祭りとか運動会・音楽会などの運営というのが最も多くなっておりますけれども、今回の教育がテーマということで教育と関係する活動を赤枠で少し囲ませていただいておりますけれども、例えば交通安全、登下校の見守りですとか、あるいは生涯学習、青少年の健全育成、地域の調査・研究・学習、子供の学習支援、放課後児童クラブ、こういった活動が見てとれるところでございます。
 6ページをお願いいたします。それから、「構成団体・協力団体として参加している組織」ということで、先ほどPTAにつきましては御説明しましたけれども、右側のところにありますとおり、一番多いのはやはりこの自治会・町内会というところで、これが78.5%ということが一番多くなっておりますけれども、教育と関係する組織を赤枠で囲ませてもらっておりますと、PTAのほか、例えば子ども会でありますとか、地域の子ども・青少年育成に関わる団体とか、地域の生涯学習・文化・スポーツに関わる団体、こういった団体が一定の割合で入ってございます。
 7ページをお願いいたします。「地域運営組織の設立・運営に関する地方財政措置」という形で、自治体に対する支援という形で国のほうから後押しをしてございます。例えば1ポツの(1)のところで、「地域運営組織の運営支援」ということで、「①運営支援」というところで、具体的に事務局を置いたりする場合の人件費とか、事務所の賃貸料ですとか光熱水費、こういったところを対象経費にしているのと、「②形成支援」ということで、まだ地域運営組織がない地域で、新たに立ち上げるときのワークショップを開催するための経費ですとか、そういったところを経費として認めてございます。
 (2)番のところで、具体的な個別の活動についても支援を行っておりまして、措置対象のところにありますとおり例えば高齢者交流ですとか声かけ・見守りですとか買物支援、子ども食堂、学習支援、こういった活動に要する経費についても対象としております。
 8ページをお願いいたします。8ページ、9ページで、少し具体的な地域運営組織の事例ということで御紹介をさせていただきます。まず事例の1番、川東校区コミュニティ協議会ということで、こちらの香川県の高松市にある地域運営組織ですけれども、具体的な活動内容のところ、赤枠で囲った部分を見ていただきますと、生涯学習ということで活動拠点としている公民館の生涯学習事業を継続的に行ったり、文化活動や体育活動の実施団体等と連携し、文化祭を開催しているということですとか、子ども食堂の開催をしているといったことを書かれてございます。
 9ページをお願いいたします。もう一つ、魚住まちづくり協議会ということで、こちらの兵庫県の明石市の団体でございますけれども、具体的な活動内容としましては、【ふるさと・未来】というところを見ていただきますと、「学校と地域が協働して「子どもを育む」コミュニティ・スクール事業を本格化し、将来の地域を支える人材育成を目指している。具体的にはまちづくり協議会が中心となり、総合学習の時間を活用した授業への参加や出前授業等の実施、子どもが企画する地域イベントへの参加なども行っている」ということとか、右側のほうに【みまもり・安全】活動を行っているといったことが書かれてございます。
 10ページをお願いいたします。ここからこの地域運営組織と今回のお題でございます社会教育との関係性についての資料でございます。きらりよしじまネットワークという山形県の川西町の地域運営組織がありますけれども、そちらの組織図というのを載せておりまして、まず、この組織図の下側の部分の青い部分ですけれども、少し見にくくなっておりますけど、自治部会、環境衛生部会、福祉部会、教育部会というようなことで、このように部会制を取っている地域運営組織というのは一定数ございます。この部会の部分を言わば「実行機能」というふうに呼ぶことがございまして、一方で上の緑側の部分、総会ですとか理事会、評議員会等々書いてある部分、こちらが「協議機能」といったような形で、この「協議機能」と「実行機能」で構成されている地域運営組織というのは一つの典型的な組織図でございます。
 11ページをお願いいたします。こちらは5月23日の本特別部会の資料を抜粋させていただいておりますけれども、このコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の、このイメージとの関係で言いますと、上のほうの青い部分、「コミュニティ・スクール」の部分ですけれども、こちらが地域運営組織で先ほど見たことの関係でいうと「協議機能」に少し近いのかなと。下の「地域学校協働活動」の部分が地域運営組織における「実行機能」と近いのかなという印象を持ちました。
特に、この下の「地域学校協働活動」の部分を見ていただきますと、こちらにいろんな関係者のネットワークの図がございますけれども、今日冒頭御説明させていただいた地域運営組織のイメージ図とも非常に似ているなということとか、あるいは右側のほうに書いてあります具体的な活動を見ていただきますと、こちらも先ほど少し御紹介させていただいた地域運営組織の教育関係の活動と、かなり重複するような部分もあるなという印象でございます。
 12ページをお願いいたします。これを踏まえまして、「地域運営組織」と「社会教育」との連携可能性ということで、少しインプリケーションといいますか、考えるところを書かせていただいておりますけれども、今見たように、地域運営組織の活動と地域学校協働活動とは、目的や内容にかなり類似性があるのではないかと、現場における関係者も共通しているケースも多いというふうに推察をされます。
 2つ目のポツのところにありますとおり、地域によってはこの地域運営組織と学校運営協議会等とがうまく連携して効果を上げているケースもあろうかと思いますけれども、所管部局が異なる等の理由によって、うまく連携が図られていないという地域もあるかもしれず、もしそうであれば、今後ますます地域の担い手不足というのが深刻化する中において、対応が求められるのではないかと考えております。
 例えば既に地域運営組織が存在する地域であれば、教育部会等に、この地域学校協働活動の機能を担っていただくと、一体化してやっていただくとか、あるいは地域学校協働活動推進員の方に、地域運営組織の事務局スタッフや役員を兼ねていただく等の工夫によって、両者の情報共有・連携を図っていくといったことは、相互に利益があるのではないかと考えております。
 こういった形で現場関係者の連携を進めるためにも、まずは自治体内で「教育部署」と「地域づくり部署」との連携が必要ではないかと。そのことは、社会教育の重要性を、首長部局を含めた自治体全体、ひいては地域全体で認識・共有することにも資するのではないかということで書かせていただいております。
 13ページをお願いいたします。最後に、今の地域運営組織とはまた別の施策なんですけれども、総務省でやっております人の流れの創出の施策と社会教育も少し関係性があるんだということで紹介をさせていただきます。
 「子ども農山漁村交流プロジェクト」とか、「地域留学」という施策を推進しているところでございますけれども、「子ども農山漁村交流プロジェクト」というのは、農山漁村での宿泊体験とか自然体験を通じまして、子どもたちの学ぶ意欲や自立心等を育むといったような趣旨でございますし、「地域留学」というのは、1年とか3年とか高校の3年間の間とか、地域の学校に通って、地域との連携・協働にも励んでいただくと、関係人口の創出等にも資するという目的でやってございますけれども、この施策は、もちろん地域に行ったその子どもたち自身の教育的な効果といいますか、意義は非常に大きいと思っているわけですけれども、ここでちょっと触れたいのは受入れ地域の側の人々の変化という観点で、外から来た子どもたちが受入れ地域の生徒だったり、大人たちと関わりを持つことで、受入れ地域の人々が改めてふるさとのよさでありますとか、地域の魅力を再認識することにつながっているということが分かってきております。
 これは郷土教育そのものであり、シビック・プライドの醸成でもあり、持続的な地域コミュニティの基盤形成にも、大きくプラスの影響を与えているのではないかと考えておりまして、ぜひ、社会教育関係団体の方々にも、こういった農山漁村交流とか地域留学をまた、積極的に御活用いただければうれしいなと考えているところでございます。
 以上でございます。

【清原部会長】  近藤室長、大変にありがとうございます。地域運営組織の具体的な事例を御紹介いただきながら、地域運営組織と社会教育との連携可能性、あるいは、地域学校協働活動、コミュニティ・スクールとの連携可能性、さらには、農山漁村交流や地域留学と社会教育の関係性など、示唆に富む御報告をいただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、こども家庭庁の安里課長より、こども家庭庁におけるコミュニティ関係施策について御報告をいただきます。よろしくお願いします。

【安里こども家庭庁成育局成育環境課長】  私からは、こども家庭庁の取組について御紹介させていただきます。
 まず、こども政策の体系を御紹介したいと思います。こども政策については、こども基本法がつくられておりますが、このこども基本法に基づいて5年ごとにこども大綱をつくることとしております。5年ごとに基本的な方針を示すのですが、実はこのこども大綱をつくったときに、2つ同時に閣議決定をしているものがございまして、こちらの2つが地域づくりや社会教育と関連が非常に深いと思っておりますので、今日はそちらを御紹介させていただきます。
 まず、「はじめの100か月の育ちビジョン」というものがございます。こちらですが、100か月といいますと、大体小学校1年生頃まででございますけれども、その頃までの育ちが、生涯にわたるウェルビーイングの向上にとって重要であるということから、この時期に健やかなこどもの育ちをみんなで支えて、応援するための考え方を取りまとめたものでございます。5つのビジョンを打ち出しておりますけれども、こどもの権利と尊厳を守ることはもちろんのこと、例えば2番目では、安心と挑戦の循環が重要だということですとか、4番目では、保護者や養育者の成長を応援すること、これも重要であるということなどを書いております。5番目に社会の厚みを増していくことが重要である、地域をつくっていくことが重要であるということも示してございます。
 この100か月のビジョンは幼児期までの時期、その頃までの成長の保障に関する羅針盤でございますけれども、ただ、この5つの柱は幼児期のみならず全ての年齢のこどもたちの育ちを応援するために、共通で普遍的な事項であるとも思っておりまして、ぜひ社会教育の文脈や地域活性化の文脈でも、こどもと接せられる際には、このビジョンのことを御活用いただければというふうに思っております。
 この100か月の育ちビジョンを地域に浸透させていくために、各地域でこどもの育ちを支援、応援する、活動する人が必要だということで、そこを育成するためのコーディネーターの養成事業というのも実施してございます。事業の詳細はこちらのスライドで示させていただいておりますが、本日、会場の皆様には地域コーディネーターの実際の事例を紹介する冊子ですとか、あとは100か月の育ちビジョンそのものを御紹介するリーフレットも配布させていただいておりますので、お時間ある際にぜひ御参照いただければ幸いでございます。
 続きまして、「こどもの居場所づくりに関する指針」も御紹介をさせていただきたいと思います。本部会の青山先生にもお入りいただいているこどもの居場所部会で議論を重ねまして、決定した指針でございます。こどもの居場所づくり、社会教育の分野でもよくあると思いますが、様々に活動が推進されておりますが、その基本的なスタンスをまとめたものでございます。
 なお、こども基本法ではこどもというのを年齢で区切っておりませんで、心身の発達過程にある人は皆さんこどもですという整理をしておりますので、いわゆる若者の世代もこの指針の対象となってございます。
 この指針の内容ですが、幾つか特徴的な点を御紹介したいと思います。まず1点目、こどもの居場所ですけれども、大人がよくこどもの居場所をつくりましたと言いますが、それで居場所になるわけではなくて、居場所はこども自身が決めるものですとしています。こどもが居たい、行きたい、やってみたいと思って、その場に行って、居場所と感じて初めて居場所になりますというのを示しております。また、物理的な場所だけではなくて人との関係性ですとか、オンライン空間も場所になり得るということを示しております。
 先ほど、こどもが決めるという話をしましたが、ということは居場所をつくる大人とこどもの考え方の間にギャップが生じ得ますということも指針で明確に出しておりまして、居場所をつくる際には参加されるこどもの声もしっかり聴きながら展開していくことが重要だということをまとめてございます。
 この居場所づくりの指針をつくった背景、各地で居場所がつくられていく背景には、コミュニティの変化ですとか、こどもを取り巻く環境が厳しくなっているとか、価値観の多様化などがあると思っておりますが、だからこそ、一つの居場所があればいいだけではなくて、多様なニーズに応えた多様な居場所が必要だというふうに今思っておりまして、それを推進していくための「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」というのも実施しております。自治体が実態把握をしたり、こういう居場所があるよという広報資料をつくったり、また、実際に具体の居場所をNPOなどと連携してつくったりする場合の支援をモデル的に展開しております。
 同時に、地域で居場所をしっかりつくっていくためには、地域の関係者が輪になって、連携しながらつくっていく必要があると思っておりまして、そういう連携機能を果たすようなコーディネーターを置く、自治体に配置するということも事業として実施しております。
 今、居場所に関していろいろ申し上げましたけれども、本当に居場所は様々ございまして、例えばということで資料を出しておりますが、公民館とか図書館、子ども会など、社会教育分野との関わりは非常に深いと思っております。このため、この居場所づくりを推進するための調査研究事業も今年も実施するのですけれども、その中では、例えばコーディネーターとして社会教育主事とか社会教育士が活躍いただけることもあるだろうということも想定しまして、現状把握や調査などを進めていきたいと思っております。ぜひ、社会教育分野の皆さんにも、先ほどの100か月のビジョンもそうですが、この居場所指針、居場所づくりの取組についてもよく知っていただければと思っております。
 この居場所づくりなのですが、取り組んでいる方のお話を聞きますと、こどものための居場所をつくったけれども、一緒に活動した大人のほうが元気になりましたというような話などもよく聞きます。居場所づくりは、結局最後にこどもと一緒に誰もが笑顔でいられる、そういう社会を実現する取組であると思っております。
 まずは、こういう取組で居場所をふやして、それからこどもにつなげて、みがいて、ふりかえりながら進めていきたいと思っているのですが、これに地域の方に参加いただきたいと思っておりまして、参加の程度はできるところからでよいと思っております。例えばつなぐ際に、居場所がどこにあるかを知っていて、誰かと話すときに話題にするだけでもそれがつながるきっかけになるというようなこともあると思っておりますので、関心を多くの方に持っていただければというふうに思っております。
 そう思っておりますので、ホームページもいろいろな啓発資料などを入れておりますが、今日は会場の委員の皆様に、居場所づくりの指針を分かりやすく解説した解説書をつくりましたので、配付をさせていただいております。先ほどの100か月のビジョンのほうも同様にホームページに様々分かりやすい資料などもつくっておりますので、啓発動画などもございますので、ぜひ参照いただければと思います。
 今日は、2つの取組を御紹介しました。こども家庭庁は、ほかにもこども・子育てを地域全体、社会全体で応援していきたいということで、様々な取組を推進しておりますが、そのためには機運の醸成も必要だと思っておりまして、「こどもまんなかアクション」という取組も実施してございます。これは、多分、委員の皆様も既に活動されている方は多いかと思います。こどもや子育てに優しい取組というのは各種にあると思うのですが、そういう取組を見える化することで機運を高めていきたいというものでございまして、活動をされる方々にSNSなどで発信する際に「♯こどもまんなかやってみた」と付けて出していただきたいというものでございます。賛同いただいている自治体の方とは連携して各地でシンポジウムも実施しております。
 公式LINEでも情報発信しておりますので、ぜひ、皆さんも機会ありましたら、ハッシュタグをつけて発信いただければ幸いでございます。
 今日この2つの施策を紹介しましたが、ほかにも社会教育ですとか地域づくりの文脈で御参考になる、連携できるような取組があるかと思っておりまして、こども家庭庁、最近、noteを始めまして、発信強化に努めておりますので、ぜひそちらもフォローいただけるとありがたく思います。
 私の説明からは以上です。ありがとうございました。

【清原部会長】  安里課長、ありがとうございます。「こども基本法」に基づきまして、2023年12月に「こども大綱」とともに閣議決定された「はじめの100か月の育ちビジョン」と「こどもの居場所づくりに関する指針」を事例として、それぞれ「はじめの100か月の育ちビジョン地域コーディネーター」、そして、「こどもの居場所づくりコーディネーター」という、まさに地域で「こどもまんなか」の取組を推進する人材を養成し、お願いしていることと、まさに社会教育が密接な関係があるという問題提起をいただきました。社会全体としての気運醸成についても、御報告いただきありがとうございます。
 それでは、続きまして、厚生労働省の吉田課長、武田補佐、どうぞ御説明よろしくお願いいたします。どちらからの順番でも結構です。

【武田厚生労働省社会・援護局地域福祉課地域共生社会推進室長補佐】  失礼いたします。社会局のほうから御説明させていただきます。資料の3-2をお願いをいたします。
 今日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。我々社会局のほうでは、福祉分野における地域コミュニティづくりということで、総論的な取組の内容になりますけれども、少し御説明をさせていただければと考えております。
 それでは、資料の2ページ目をお願いをいたします。今、我々大きな目標として地域共生社会の実現というものを掲げてございます。背景といたしましては、まさに高齢化ですとか単身世帯が増えていくということ、あと人口減少が進んでいくというところで、支え合いというか、コミュニティの機能がなかなか弱まっていっているという現状を踏まえてございます。
 また、加えて、社会経済の担い手、人口減少に伴いまして、少なくなっているというところで、地域の皆様方と協働していく必要があると。そうした課題認識の下で、大体10年ほど前ぐらいから、政府としても本格的に推進をしてきた考え方でございます。
 その中で、資料の下のほうに上の円と下の円で表してございますけれども、2点大事な考え方だと思っていることがございまして、上の円でございますけれども、まず、誰もが役割と生きがいを持つ社会の醸成ということで、これまで社会保障制度を支える側と支えられる側を分けがちだったというところございますけれども、これからは誰もが支える側に回れるような、そういった社会をつくっていく必要があるだろうというところでございます。
 もう1点は下の円でございますけれども、やはり人々の地域の生活ベースで見ますと、我々どうしても福祉の分野でとじがちだというようなことで考えております。そうではなくて地域ベースで見ますと、いろいろな農業ですとか環境ですとか、もちろん今回教育の分野も法律上連携すべきというところで規定をさせていただいておりますけれども、そういった様々な分野と連携をして進めていく必要があるということ、この2点を大切にして、これまで施策を進めてきているところでございます。
 3ページ目でございます。その上で、この地域共生社会を進めるために、我々社会福祉法の中で106条の3というところで、全ての自治体さんへの努力義務として、包括的な支援体制の整備をしてほしいということをお願いをさせていただいております。その条文のイメージ図を示したものが左側の図になります。
 大きく3点ございまして、1つ目は青い丸のところでございます。まさに地域で支え合う機能ということで、地域コミュニティの形成というものの取組が非常に大切だということと、あとは赤い丸の部分でございます。支援関係機関と書いてございますけれども、専門的な相談支援機関、生活困窮ですとか地域包括支援センターですとか障害の相談支援の分野、そういったところの相談支援機関が連携をして、包括的に困り事とかを受け止められるような体制をつくるというようなところは赤い丸でございます。
 それだけではなくてやはり地域と行政側、赤い丸と青い丸をつなぐような、行き来するような機能も必要だということで、大きくこの3点、自治体さんには整備を進めるようにお願いをしているところでございます。
 その上で4ページ目でございますけれども、我々こうしたことで令和2年に法改正をいたしまして、5年後の見直しということで今有識者の検討会を設置して議論を進めておるところでございます。その中で、今回のテーマでございます地域コミュニティの関係についても検証しておりまして、その中で先ほどの青い丸の部分でございますけれども、右下のところを赤枠で囲ってございますけれども、やはり我々は福祉分野をやっておりますと相談支援という、個別支援という部分を中心に進めてしまう部分がございまして、なかなかその地域住民さんとの連携、支え合いの機能のようなものまで手が回っていないような現状が見えております。
 また、地域づくりで重要と思う課題ということで、上の部分でございますけれども、やはりその連携協働という部分、70%ぐらいのところが課題認識を持っておるというところが分かってまいりました。
 そうした中で5ページ目でございます。先般、5月28日に有識者の検討会の中間取りまとめということで、まとめをさせていただいておりまして、いろいろな5点、大きくあるんですけども、その中で、この地域コミュニティの関係につきましても提言をいただいております。
 1番の地域共生社会のさらなる実現の①の赤枠で囲った部分、まさに他分野との連携が必要だということと、地域住民さんとの連携が必要だということでございます。もう1点は、後ほど少し触れたいと思いますけれども、やはり人口減少が進んでいく過疎地域などにおきまして、これまでの既存の各分野でやっていく制度というのはなかなか難しいんじゃないかというようなことで、機能の集約を図っていくような制度を考えるということも必要ではないかということを御提言をいただいているというような状況でございます。
 続きまして、6ページ目でございます。中間取りまとめの具体的な内容を抜粋をさせていただいてございます。福祉以外分野との連携・協働というところにつきましては、赤線で引かせていただきました。先ほど総務省の近藤室長のほうから御説明いただきました地域運営組織、住民主体の組織さんとの連携・協働ということが大切だというようなことですとか、あるいは2番目の下の下段のところでございますけれども、過疎地域のような小規模な自治体におきましては、既存の相談・地域づくりの機能を一体的に実施しやすくする柔軟な仕組み、そうしたものが必要じゃないかというようなことでございます。
 福祉分野におきましても、分野ごとに様々ないろんなコーディネーターさんなどを配置をさせていただいておりますけれども、やはりそういう過疎地域などになっていきますと、なかなかそういったことを担える人材もいないということと、住民の目線からしても必ずしもその分野だけの地域づくりをやってもしようがないというようなところでございまして、分野横断的な地域づくりというのができないかということを今後考えてまいりたいと思っております。
 その中で7ページ目、最後、今後の道行きというところになりますけれども、まず、今年度、赤枠で囲った部分でございますが、住民主体の組織で活動されている皆様方との連携方策、どんな事例があるのかというのを改めて、総務省さんにもお力をお借りしながら調査研究を進めております。
 その上でモデル事業を実施していくということで、今後、具体的な取組を進めていきたいと考えております。
 社会局からの説明以上になります。

【清原部会長】  では、続けてお願いいたします。

【吉田厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長】  ありがとうございます。厚生労働省老健局の吉田と申します。今日はこのような場にお声がけいただきまして、誠にありがとうございます。そうしましたら資料の3-1を御覧いただければと思います。
 まず、1ページ目でございます。介護の世界でどういった地域づくりをやっているのかということをお話しできればというふうに思っております。
 1ページ目ですけれども、これはよく皆様も言葉をお聞きになられたことあるかと思いますけども、介護の分野では、地域包括ケアシステムということの構築を目指して取組を進めてまいりました。下に絵が書いてありますけれども、高齢者が真ん中におりますが、住み慣れた地域で左上の医療、それから介護、そしていつまでも元気に暮らせるためにということで、下にありますけれども、生活支援・介護予防、住み慣れた地域で医療が必要になれば医療、そして介護になったら介護と、それを支えるための生活支援・介護予防、そういった3本柱で、この地域包括ケアシステムというのをつくっていこうということであります。
 そのときに医療、それから介護については、どちらかというと専門職が担っているエリアでありますけれども、この下の生活支援・介護予防については、少し書いてありますけれども、老人クラブでありますとか自治会・ボランティア・NPOというようなことで、ここの一番下の部分で地域づくりというところが課題になっているということであります。
 2ページでありますけれども、生活支援・介護予防を地域で受け皿をつくっていくための事業として、総合事業というものをやっております。これは介護保険の枠組みでこの介護予防・日常生活支援総合事業というものをやっております。下に書いてありますけれども、大きく3つ特徴がありまして、1つ目がこの生活支援・介護予防サービスということで、地域サロンでありますとか見守りでありますとか外出支援等々、それから、右側ですけれども、高齢者の社会参加という観点からは一般就労、あるいは趣味活動、健康づくり等々、ボランティア活動ということで高齢者の参加も促しながら、その地域の中でこの高齢者が介護予防であったり日常生活の支援を受けられる、そういった体制づくりというものをやっております。
 ここに言葉として出てきておりませんけれども、例えば趣味活動でありますとか地域のサロンでありますとか、その場をつくっていくあるいは高齢者自身の活動を促していくという点で、今日のこの部会のテーマであります例えば地域の拠点で言えば公民館でありますとか、あるいは図書館でありますとか、あるいは生涯学習、そういったところがこの総合事業の中で関係が出てくるということかと考えております。
 それから3ページですけれども、この総合事業についてのコンセプトですけれども、左側に少し書いてありますが、これから85歳以上の人口がどんどん伸びていく、団塊の世代の方が85歳以上になられます。
 他方で、御案内のとおり人口減少ということで、担い手である現役世代はぐっと減っていくということであります。特に専門職の確保というのが大きな課題になる中で、この右側にありますけれども、高齢者も含めて多様な主体に参画いただきながら、この地域づくりというのを進めていく必要があるということであります。
 先ほど社会局からも話ありました、単に福祉の世界だけでやっていくということではございませんで、他分野も含めて、NPO、民間企業も含めて多様な主体に参画していただきながら、地域づくりを進めるということが求められているということであります。
 4ページですけれども、そうした地域づくりを進めるための我々の一つのツールとして、この生活支援体制整備事業というものを実施しております。中ほどに書いてありますけども、生活支援コーディネーターという方々の配置を進めております。下に小さく書いてありますけれども、このコーディネーターは市町村、各第1層、第2層ということで、市町村レベルでまず配置がなされて、第2層ということで日常生活圏域、これは中学校区ということなんですけれども、中学校区単位でこの第2層という単位でこの生活支援コーディネーターの配置ということをやっておりまして、具体的に関係機関とのネットワークづくりを行い、その高齢者の居場所づくりであったり色々な活動をつくり出しているという取組でございます。
 (2)に書いてありますけど、協議体ということで色々な関係機関に入ってもらって、基本的には福祉がやはりどうしてもメインになるんですけれども、民間企業や他分野の方々にも加わっていただきながら、居場所づくりだったり活動づくりだったりということをやっているということであります。
 それから5ページですけれども、今申し上げた生活支援コーディネーターを各市町村に基本的には配置をするということなんですけれども、やはり市町村の取組を国としてもしっかりバックアップする必要があるということで、都道府県レベル、それから国レベルで、関係機関のネットワークづくりをサポートするためのプラットフォームの構築というのを進めております。
 6ページが、その全国版、国レベルのプラットフォームのイメージでありますけれども、左側にございます全国規模の団体、いろんな分野の団体に加わっていただいておりまして、一番下から2つ目に書いてございますけれども、学習・社会教育関係の団体の方々にも参画いただいて、全国版のプラットフォームということで、専用のホームページをつくり、色々な好事例の収集、発信、それからシンポジウムの開催ということで、関係機関の交流を促すという取組に取り組んでいるところであります。
 こうした国レベル、それから都道府県レベルの取組を通じて一番下にございますけれども、各地域レベルでの取組をバックアップしていくという取組を今進めているというところでございます。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【清原部会長】  ありがとうございます。厚生労働省社会・援護局の武田課長補佐からは、「地域共生社会の実現」に向けて、福祉のまちづくりだけではなくて他分野のまちづくりも含めて社会教育との関係、さらには、過疎地を含めた地域格差のない取組への御提案をいただきました。
 また、老健局の吉田課長からは、「地域包括ケアシステムの構築」に際しては、まさに市区町村が最前線だけれども、都道府県、国とともに「生活支援共創プラットフォーム」をつくっていく際、コーディネーターなど、地域の人材との有機的な連携の必要性を示唆していただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、省庁からの御報告、最後になりますけれども、農林水産省、伊藤室長から御報告をお願いいたします。

【伊藤農林水産省農村振興局農村政策部地域振興課中山間地域・日本型直接支払室長】  農林水産省の伊藤と申します。本日はこのような発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私のほうからは、中山間地域の農用地の保全と農村型地域運営組織(農村RMO)の形成についてということで御説明をさせていただきます。
 1ページを御覧ください。ちょっと小さいもので大変恐縮ですが、左上のグラフのほうで4本、線がございまして、私ども農業ですとか農村を見るときに地域を見る観点でいいますと、都市的な地域、あと平地の農業地域、あと山間の農業地域、その間にあります中間の農業地域というような形で地域を分類しまして、その実情ですとか課題を把握し、施策に生かしていくというような形で行わせていただいております。本日の御説明の中心はこの黄色と青の部分、中山間、中間地域と山間地域合わせて中山間地域と私ども呼んでおりますけれども、ここの部分の課題ですとかを踏まえた対応の御紹介をさせていただこうと思っております。
 資料に記載しておらず大変恐縮ですが、この中間地域や山間地域を合わせた中山間というのは、人口で見ますと約1割でございますけれども、耕地面積ですとか総農家数ですとか農業の産出額という観点で見ますと、約4割を占める地域となっておりまして、農業ですとか農村という観点で言いますと食料供給の機能、多面的機能の発揮に関しまして、非常に重要な役割を持っている地域でございます。
 ですが、この左上のグラフ見ていただきますように、これ2015年を起点とした人口推移と将来予測でございますけれども、黄色と青のところは一貫して減少しておりますし、今後も減少が予測されているというような状況でございます。
 ちょっと飛びまして、恐縮ですが、右下のグラフを御覧になっていただければと思うんですけれども、地域で農業生産をしていくというときには、個別の農家さんが頑張るというのは当然なんですけれども、その中では集落などでの共同活動というのがこれを支えております。例えばグラフにありますように上に農業用排水路、水路の泥上げですとか草刈りですとか、こういったところを皆さんに共同でしていただくというのが農業を支えております。この場合に、このグラフを見ていただきますと集落の戸数が10戸というところで線を引いてございますけれども、これを下回って9戸以下になってまいりますと、こういった活動、また併せて行われます地域を支えるお祭りですとかイベントですとか、こういった活動も急激に活動の度合いが低下していくというようなことが現状ございます。
 この観点を踏まえまして、左下を見ていただきますと、こういった9戸以下の農業集落の割合というのを見ますと、中間農業地域や山間農業地域というのは非常に割合がこの20年の中でも高まってきているという状況でございまして、こういった状況を踏まえますとこの中山間地域において、先ほど申し上げました食料供給機能を発揮していくために地域の共同活動を含めた機能をしっかり今後、継続的に発揮できるようにしていく必要があるというのが私どもの課題意識でございます。
 続きまして、2ページを御覧ください。先ほどお話を申し上げましたけれども、農業生産活動だけではなくて、これを支えます地域資源、農地や水路等の保全ということですとか、あとそこにはやはり住まわれている方の生活、買物や子育てといった、そういった機能がそれぞれ相互に関連をしているというふうに考えておりまして、この相互に関連しているものがそれぞれどれかだけをやればいいということではなくて、やはり3つの集落機能を補完して、相互に補完し合いながら集落機能を維持していく、発展させていくということが大事だろうと考えておりまして、この部分を取り組んでいくに当たりまして、先ほど、総務省の近藤室長からも御紹介ありました、このRMOという地域運営組織というものが非常に私どもの課題にもフィットするものと考えて推進をしようと考えているところでございます。
 3ページ目をお開きください。課題意識の背景としてもう一つ付言させていただきたいのが、左上にございますが、市町村の職員数を見ていきますと、一般行政の方々も減少というのはしているところですけれども、その中で農林水産の担当の方はこれを上回る減少という状況になっておりまして、農業分野の地域における活動を自治体のほうで支えていくというのも、やはり職員減少と考えますと自治体さんの役割だけということではなかなか難しいという状況があります。
 先ほど右側にあります図は、先ほど近藤室長のほうからの御発表資料にもあった同じものを載せさせていただいているんですが、実は下のほう、赤で囲っているほうが、農業に関するような活動でございます。地域運営組織で取り組まれているものに関して見ると、生活支援ですとかそういったものは非常に多く取り組まれておられますけれども、先ほど御紹介した水路の草刈りとか泥上げですとかそういったものをはじめとした農業に関する活動というのは、まだ僅かというような状況がございますので、こういったところも一体的に取り組んでいただけると、この農業集落、先ほど3つの機能が連関しているというところをカバーしていけるのではないかという発想でございます。
 4ページをお願いいたします。こういった観点で私どもは総務省さんで提唱されておりますRMOについて、左側の下の小さい字で恐縮ですが、農村型のRMOというものを一つの類型として位置づけさせていただきまして、複数の集落の機能を補完して、農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せて生活支援等地域コミュニティの維持に資する取組を行う組織として、令和4年度から推進を図っているところでございます。本日いらっしゃいます牧野副部会長や小田切委員にも御助言などをいただきながら、この取組を進めてまいっているところでございまして、上の図にございますように、農村側の集落営農、農業法人などの農業をやるような組織と、あと自治会さんや町内会さん、社会福祉協議会さんなど、その他の生活支援の部分ですとか、そういった多様な組織が手を取り合いながらやっていくというような考えで、 この皆様で地域の将来ビジョンをつくっていただいて、実践をしていくというような形で取組を進めているところでございます。
 5ページを御覧ください。このような農村RMO形成のアプローチ、様々な形があると思っております。パターン1ですと、農用地とか保全する組織が、地域のその他の組織にアプローチをしていくというような矢印もございます。また、パターン2にありますように農用地を保全する組織が、その活動内容をさらに広げていくような場合もございます。また、逆にパターン3にありますように地域の社会福祉協議会さんだとか、そういった自治会さんといったところが、農用地の保全する組織がなかなか手が回らないような部分というのにも手を差し伸べていただくというようなアプローチもあるかと思います。いずれにせよ、右下にございますように地域住民の皆様による十分な話合いが必要不可欠と考えておりますけれども、その際に、これも言うほど簡単なことではないと思っておりまして、やはりそういった話合いですとか、その関係者の巻き込みというのを一緒にやっていただけるような、いわゆるコーディネーター的な役割をしていただける方々というのが、地域内ないし外からも含めていていただけると、推進力が非常に高まるのかなと考えております。
 続いて6ページをお願いいたします。私どもこの農村RMOを推進するために、予算事業も取り組んでおりまして、ちょっと小さい字で恐縮ですが、中段に事業の内容というところで、1ですけれども、協議会による地域の話合いを通じて農用地保全ですとか、地域資源活用、生活支援に係る将来ビジョンを策定いただいたり、これに基づく調査、計画作成、また、実際に取り組んでみるという実証事業などをやっていく際に当たりまして、上限3年間で定額の補助をさせていただいて、そのスタートアップを支援するという取組をさせていただいております。
 7ページをお開きください。今御紹介をさせていただきました事業の中で、現在これまで支援、ないし今支援しております組織というのが記載の86組織ということになっております。昨年度までに着手したところということでございまして、今年度も、こちらに手を挙げていただいている組織ございまして、そういったところがしっかり事業が継続していくように取組を支援していくという考えで進めております。
 8ページを御覧ください。このRMOの活動を行っていくに当たりましては、先ほどの各省のお話の中で、分野横断というようなお言葉が非常に多くと出ていたかなと思いますが、やはり私どもも同じ考えでございまして、農水省の政策だけでカバーできるということではなく、各府省さんがお持ちでいらっしゃるいろいろな課題に応じた施策を使っていっていただくということが非常に重要と思っておりますので、この資料の2番にありますように、関係の府省の皆様、今日御出席の皆様の課とも連携させていただいているんですが、情報共有の場をつくらせていただいて、相互に、各府省さんの取組というのはどういうものがあるかというのを我々担当者がまず理解をする、そして、それを地域の方々にも共有していくという観点で取組をさせていただいております。
 次のページ以降、9ページ、10ページ、11ページに関しましては、こういった取組をする中で、各府省さんとどういった連携というのができるのか、しているのかというようなことを具体的にお示しするものでございますが、例えば9ページは文部科学省さんとの連携という観点でいいますと、公民館というところの場としてだけではなくて、しっかりRMOの協議会の構成になっていただくということで、一緒にお取組をさせていただくというようなことが、実際に現場でも行われておりますし、10ページですと、総務省さんの例えば集落支援員さんですとか地域おこし協力隊の方々がコーディネーター的な役割を果たしていただいているというような事例もたくさんございます。
 また、11ページでございますけれども、先ほど厚労省さんのほうから御紹介がありました生活支援コーディネーターさんとの連携というのも、生活支援の面では重要かと思っておりますので、こういったところも相互に連携をしながら取組を進めさせていただくのが非常に重要かなと思っております。
 以上、私からの御説明になりますけれども、社会教育の中で、こういった農業とか農地の保全ですとか農村の維持ですとか、そういった視点も、現場の皆様が目を向けていただけたら非常に幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原部会長】  伊藤室伊藤室長、どうもありがとうございます。農村における集落機能の衰退に対して、それを補完する地域運営組織・RMOの必要性に加えて、それを推進していく際の各府省との連携についても御紹介いただきました。
 特に資料の12ページにまとめていただきました「地域づくりに関係する施策例」は、府省を横断しているだけではなくて、共通として、人材の重要性を示唆していただいている表ですので、ぜひ皆様と共有したいと思います。
 以上、総務省、そしてこども家庭庁、厚生労働省、農林水産省の御担当の皆様から、それぞれの地域づくりの取組と社会教育との関係について御報告いただきました。
 それを踏まえまして、本日1つ目の審議事項について、事務局の髙田地域学習推進課長から御説明を伺い、それを基に意見交換に入ってまいります。
 それでは、髙田課長お願いいたします。

【髙田地域学習推進課長】  それでは、資料5の3ページのを御覧いただければと思います。これから意見交換するに当たっての確認ということでございますけれども、これは、今回の諮問理由を抜粋したものでございますけど、その中の下から2つ目の丸、地域コミュニティに関する施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策について審議いただきたいということですが、特に今発表いただいたような取組に対し、社会教育が連携・貢献し得る観点から検討をお願いしたいというのがこの内容でございます。
 続いて、4ページに移っていただきますと、もう少しこの連携・貢献できるという視点とは何なのかということについてのことについて、もう少し具体的に申し上げたのがこの一番下の課題の部分でございますけれども、例えば今日御発表いただいたような内容について、そういった分野とまた連携した取組を進めるに当たって、社会教育が発揮し得る優位性だとか、社会教育行政のひとつとして果たすべき役割というのはどういうものがあるのかということですとか、社会教育人材がいろいろ活躍できる部分があるかと思いますけれども、そういったことをするに当たっても、汎用的に活用し得る能力というのはどういうものなのかだとか、社会教育人材がどのようにネットワークを強化したりあるいは駆使していったりといったことをしていけるのかというようなことについても、そういった視点を踏まえながら、この後、意見交換していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【清原部会長】  ありがとうございます。ただいま、髙田課長から「地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」について、論点を提起していただきました。
 これと、先ほど御報告いただきました各省庁の皆様の御報告を踏まえて、これから意見交換に入ってまいります。オンラインで御参加の方は挙手ボタンを押してください。そして、会議室で御参加の皆様は名札を立てていただくとありがたいですし、挙手ボタンをしていただいても結構です。
 それではまず、山本委員から御発言をお願いいたします。続いて野津委員。

【山本委員】  東神楽町長の山本でございます。まずいろいろと御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、地方の現状を少しお話をさせていただきたいと思います。今、この国のほうから様々な政策を出しているということは、私ども承知をしているわけでございまして、私どものまず現状からいうと、こういう中央が地方に対して目を向けていただいていることに対して、本当に感謝をしているというところであります。ただ、もともと地方のコミュニティの組織というのは、総合的に何でもやるという組織であるんです。だから、各省庁がそれぞれ出すのというのは当然当たり前ですけど、所管に基づいて個別的に政策や予算を入れるというところになる。そのように個別的な政策の中でやっていると、新しい政策がやっているんだから、総合的にやっているところじゃ駄目で、もう一個、新しい組織をつくってねというのが結構多いんですよ。それはそこそこエネルギーが取られちゃうなと思います。
 例で言うと、例えば農村型RMOみたいなのを公民館でやっていいですかといったら、いや、それはちょっと違うからという話に当然なるんです。やっぱりその意味では、地域はすごい様々なことを総合的に動いてて、それに対する個別的な政策というのをどう考えていくかというときには、私ども地方からすると、自分たちに合うのをピックアップをしながら、形を翻訳をして、形を変えて見せていくというような形になってくるんです。その意味では、中央のほうからいろんな提案をいただくのはありがたいんですが、やっぱりそういった総合的な部分の配慮をもっとお願いをできればというふうに思います。
 それと同時に、やっぱりその既存組織が少し価値を付け加えることによってできないか、例えば今言ったように公民館が農村振興をやったら駄目なのかというとそんなことは決してないわけで、そういったこともできたりすると思うので、その意味では総合的な部分への目配りをお願いをしたいと思っております。
 それと同時に、やっぱり今社会教育の部分で今回議論をさせていただいておりますが、私どもの町は公民館は何でもやるんですよ。町なので、逆に産業振興的なこともやらなくはないというところも含めて、やっぱり新しい社会教育の分野ももっとコミュニティ組織として認めていただけるようなことを進めなければいけないんじゃないかと思っております。
 ちょっと前の話ですけれども、例えば新しい地域のコミュニティセンターを建てるといったときに、総務省の起債をもらおうとしたときに、いやいや、公民館は駄目ですからというようなことが実はあるんです。記載メニューとは別に補助金があるからということなんですけれども、やっぱりそういった部分で、社会教育がもう少しコミュニティに対して、コミットしていると、関わっている、あるいはコミュニティの主体の一つであるというようなことももう少し文部科学省サイドからも言っていただいて、あるいはそういった地域もあるんだということをぜひ認識をしていただければというふうに思います。
 以上です。

【清原部会長】  山本委員、ありがとうございます。基礎自治体の首長の立場から、様々な省庁のしている政策の総合的な現場が基礎自治体であるということと、公民館についても、コミュニティ組織としての位置づけをという御提案です。
 それでは、野津委員、小田切委員、伊東委員と続けて御発言をお願いします。では、野津委員、お願いします。

【野津委員】  島根県の野津です。御説明ありがとうございました。
 今の山本委員の話にちょっとだけ加えると、いろんな組織あって、既にいろんな活動してってそれが一つになって共同して、どこかの省庁のところへ持っていくと、新規性がない、もう既にやっている小さなところをかき集めて組織をつくると、新規性がないので補助対象外ということにならないように、今本当に言われるように、みんなが10個ぐらい仕事しているので、役割を持っているので、そういったところは目を向けていただければと思います。
 私からは、こども家庭庁さんと農林水産省さんにそれぞれちょっとお伺いというか、御注文といいますか、子供の居場所、やっぱり普通一番大きなやっぱり幼児期は保育所であるし、小学校入れば学校以外であれば放課後児童クラブ、うちの県はM字カーブでなくて、子育て世代の女性の有業率は日本で1番か2番でずっと高くて、保育所に預けるか、小学校であれば児童クラブ、小学校1年生から3年生の半分は児童クラブに行っているという数字があります。
 なのでほぼ居場所って、保育所はほぼ私立なんですけども、児童クラブは公立のほうが多いんですけども、そこのやっぱり周りから、地域からいろいろアプローチするんですけど、私立の保育所と児童クラブって結構敷居が高いというか守りが堅くて、自分たちのやっているその保育、いわゆる保育ですよね、ここからなかなか出てくれない、一歩踏み出してくれない。
 特に今、私は今県の教育委員会ですけど、幼少連携という、うちの県は幼児教育施設全部含めて幼と言っているので、幼少連携と言っていますけども、幼少連携をするのに保育所のハードルが高くて、なかなかその小学校に上がったらどうなるのかということを前提に教育してくれない、保育してくれない、もう毎日手いっぱいなので,分かるんですよ、現状見ているので分かるんですけど、もう一つは、放課後児童クラブって、学校から児童クラブに行って、6時半とか7時頃に親が迎えに来て、帰って御飯食べて、お風呂入って、ゲームして寝るという、要は起きている時間って児童クラブで過ごすことが非常に多いんだけど、ここは学習をあんまりやってくれない、宿題はやるんだけど、わーわーわーわー騒ぐ中でやるので身につかないんですよね。
 子供の100か月の間の居場所の中で、子供が成長していく中で、次のステップへ行くって学校、小学校、中学校へ上がっていく前段階である居場所が、学習に目が向いていない、学習環境をつくるのに、学習習慣をつくるのに目が向いていないという現実があって、たくさんアプローチしているんです。もちろん地域の方も入れている。例えばうちも放課後児童クラブで学習を教える人じゃなくて、黙って勉強しなさいと言ってくれる人を雇うのに補助金も出すし、そういった学習環境をつくるのにも県のほうで補助金を出しているんですけども、受け入れてくれないんですよね、やってくれない。
 やっぱりそういったところで、この真ん中の位置づけの中に、この次どうなるのか、どの前段階に今子供たちがいるのかということを意識していただいて、そういったことを啓発していただいて、この子たちは次に小学校行くんだね、中学校行くんだね、自立していくんだねということを業界の方々が、認識していただかないと社会教育だろうが、学校教育だろうが連携して入っていけないです。こちらがアプローチしていてもなかなか受け入れていただけない。
 もちろん報酬が安くて、ぎりぎりでやっておられるという体制も、非常に経済力も悪いのでぎりぎりでやっておられて、みんな大変、一生懸命大変なのは分かりますけども、そういった子供の居場所って、そういう当事者の方、職業としてやっている方、あるいは報酬いただいて、手伝っていただいている方の意識を少し変える方向からいかないと、周りのアプローチがちょっとできないというのが一つございます。
 同じような観点から、今度は7ページのモデル、農村RMOで、島根県で8地区で一番多い、何ででしょうか、僕は、すみません、地元で言って申し訳ない。何でこんなに多くできるんだろうという、今やろうとしていることがお金がないので、すぐ食いつく悪い習性があるんですけど、そうは言っても事業として認められるところで、もちろん、いろいろ御支援いただいているのは分かっていますけど、人的にも御支援いただいているのは分かっていますけども、実際にスタートできるという環境ってどういうところがほかの、逆に島根県しか知らないので、ほかの県とどういうところが違うんでしょうか。ちょっと分かれば御教示いただければと。
 以上2点です。

【清原部会長】  どうしましょうかね、それでは、ここでまず質問にも答えていただきましょう。1点目、こども家庭庁は100か月の先のつながりへの問題意識と、それから農林水産省におかれては、RMOができるときの円滑にいく要因について、では、簡潔にそれぞれお答えください。よろしくお願いします。

【安里こども家庭庁成育局成育環境課長】  御質問ありがとうございます。実はすごくうれしく思っておりまして、どうしてかといいますと、我々のほうから見ると実は初めて聞いた話でございました。福祉側からすると教育委員会側との連携が難しいとか、逆に教育との連携は敷居が高いという話を聞いておりましたので、そういう教育の側から見るとそういうことも見えているのかというので非常に勉強になりましたし、ありがたく思っております。
 福祉の現場はいろいろ忙しいこともある中で、教育との連携まで目線が届きにくいというところも確かにあるかと思うのですが、幼少の連携ですとか、あと放課後児童クラブのときに学校側と連携することは非常に重要だという意識は、国としては持っておりまして、自治体向けにもお話などをしているのですが、うまくいっている自治体、私は放課後児童クラブの担当ですので、聞きますと放課後児童クラブと学校の先生方、校長先生などが定期的に集まる場を持っている地域がございまして、そこは一人の子供をどういうふうに支援していくかという意識合わせがすごくできている事例として把握をしております。
 国としても、おっしゃられたように、子供たちの「育ち」にはその先がありますので、今の目の前だけではなくて、その先の段階も意識をしていこうということで、教育の部門ともよく連携していこうということは引き続き発信させていただきますが、ぜひ現場での交流も定期的な意見交換の場などを、まず例えば声かけをしていただけたら、そこからまた実例が出てきたり、それを好事例として周知させていただく機会もできると思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【清原部会長】  では、伊藤室伊藤室長、お願いします。

【伊藤農林水産省農村振興局農村政策部地域振興課中山間地域・日本型直接支払室長】  御質問いただきありがとうございます。農林水産省、伊藤でございます。
 まず、この私どもの資料7ページの地図の部分について、若干解説をさせていただくと、私どもの事業を御活用いただいたところだけプロットしているという状況でございますので、実際には農業分野、RMOの総数については、先ほど近藤室長からございましたけれども、その中で、農業の部分も一緒にやっていただいている、実質的に農村RMOの活動をされていらっしゃる活動というのは、このほかにもたくさんいらっしゃるということだと認識しています。
 そういう中で今回、この流れの中で当方の事業を使いながらやっていこうというようなことをやっていただいているのがこちらの方々というところですので、そういう意味でいうと、全体を網羅できているかというとちょっと足らない資料ということかと思っています。
 その上で大変恐縮なのは、私も7月に着任したばかりで、まだ島根県さんの特有の多い理由というのを語るにまだちょっと足りない部分があるんですけれども、やはりこの事業活用もそうですし、この立ち上げについても地域の中ないし市だったり県ですとか、地域の組織ですとか、そういったところで推進してこういう事業があるよということをお知らせをいただき、それを活用してやっていこうぜということをコーディネーターというような形で私は説明の中で申し上げましたけれども、そういった働きをどこかの方々が多分していただいている。それが県なのか、市なのかというのはいろいろあると思うんですけども、そういったところが動きが速いとやはりこういう事業というのを活用される部分が多いのかなと思いますので、そういう動きが島根県さんのほうで働いていらっしゃるのかなというふうには思っておりますが、島根県さん特有の事情みたいなものが私のほうでも分かるようでしたら、また、お知らせさせていただきたいと思います。

【清原部会長】  ありがとうございます。

【野津委員】  ありがとうございました。

【清原部会長】  次の審議事項もあるものですから、この意見交換について、ただいまから御指名する方におかれましては、言いにくいんですけど、簡潔によろしくお願いします。小田切委員、伊東委員、関委員、古賀委員、金澤委員、そして牧野委員、柏木委員の順でお願いいたします。
 それでは、小田切委員、お待たせしました。よろしくお願いします。

【小田切委員】  ありがとうございます。私、農村政策研究あるいは地域政策研究の立場から、いつも最後のほうに短くお話をしていたものですから、今日、省庁間連携も含めて専門性もあるということで少しだけ長く、しかし、端的にお話をさせていただければと思います。

【清原部会長】 はい、お願いいたします。

【小田切委員】  5点ありますが、いずれも短くお話しさせていただきますが、一つ、髙田課長から出ましたコミュニティ政策における社会教育の役割ということですが、これはまさに公民館スローガンのつどう、まなぶ、むすぶそのものだろうと思っています。それで現代的に言えば、まなぶという視点が恐らく当事者意識づくりなんだと思います。自分ごと化ということで、自分ごとがなければ、RMOもあるいは様々な事業も進展しないというのは御存じのとおり、最近では自分ごと化をいかに地域ごと化にするのか。つまり英語の主語で言えばTheyをIにして、IをWeにするのか、この点でも公民館活動というのは、大きな役割を持っていると思っております。
 併せて、実はむすぶという点、これは私の言葉で言うとごちゃ混ぜということになりますが、多世代がごちゃ混ぜになる、あるいは多様な職業、農家、非農家も含めてごちゃ混ぜになる。このために社会教育の役割というのは大変大きいと思います。その点で言えば先ほどの野津教育長の質問、なぜ島根県で農村RMOが多いのかということは、やはり島根県における公民館活動がベースになっている。それともう一つは市町村合併です。市町村合併が先行したところで言えば、合併の条件としてRMOをつくるということが早くから進んでおりました。この2つが絡んで島根県では農村RMOが多いというふうに理解しております。
 大きな2番目なんですが、そういうことで、社会教育、公民館活動に対して大きな期待がありますし、私も前々から申し上げておりますように農村研究者でありながら公民館ファンです。
 ただし、実は公民館が地域づくりを言ってみれば、妨げているとは言いませんが、言わば課題になっているところが幾つかあります。いまだに公民館では経済活動が禁止されていると思い込んでいる人々や、あるいは現にそういうふうに運営している市町村が存在しております。このために何が起こるのかというと、公民館のサロンで十分学んで、いざ起業すると居場所がなくなったという女性たちを私たち多く見ております。そういう意味では、起業に至るまで、経済活動が至るまで、公民館、社会教育活動、社会教育政策がいかにウイングを拡げることができるのかということが迫られている。これはかなり大きな課題だと考えております。
 それから3番目は、少し視点を変えてコミュニティ施策について論じてみたいと思いますが、コミュニティは、いかにそれを丁寧にプロセスを重視しながら支援するかということに尽きるんだろうと思います。そうなると、やはりコーディネーターが重要になって、各省庁のお話でも随所にコーディネーターという話が出てきたと思います。我々も十数年前、補助金から補助人へというスローガンを掲げました。補助金も重要だけど、もっと重要なのは補助人だという、これはコーディネーターそのものです。
 ということもあって各省庁、コーディネーターをいろんな事業に導入していただいて、いまやコーディネーター政策バブルという状況が生まれていないかということを改めて問題提起してみたいと思います。つまり、コーディネーターの取り合いになっているという、現場では取り合いになっているという状況があります。
 そうであれば、この人の機能を重ねる多機能化、つまり、一つの人間がいろんな省庁やいろんな施策のコーディネーターを併せ持つことができるような、こういう仕組みをつくることが極めて重要なんだろうと思います。その点で言うと、各省庁の政策の調整機能というのは重要ですし、あるいはそのためにコーディネーターに関わる様々な制約があるとすると、それをどのように取っ払うのか、あるいは低くするのか、この点はぜひ議論していただきたいと思います。
 それから4点目は、コミュニティ施策の中でここ十数年見てみますと、外からの例えば関係人口とかあるいは最近では企業とか、そういったものをいかに呼び込むのかというのが重要になっています。これはヨーロッパでも同じ議論があって、ネオ内発的発展と呼ばれているんですが、国内の農村地域的に解釈すると交流型内発的発展、つまり、交流を内発性のエネルギーとするような、交流することによって内発性を高めていくような内発的発展が必要で、そのためにコミュニティ施策においても、外からの交流の受皿を作ることが重要で、最近では特に、農村振興、地域振興にSDGs絡みで企業が関心を持っています。これをいかに受皿をつくっていくのかということも、社会教育活動の中でも考えていただきたいと思います。
 最後5点目は、自治体サイドの課題です。これは山本町長が先ほどおっしゃったとおりなんですが、とはいうものの実は市町村でも縦割りの傾向が強まっております。例えばRMO活動、多くがこれは町内会活動の延長にあるというふうに理解する方もいらっしゃる。必ずしもそうではないんですが、ということもあって、企画とかあるいは場合によっては財政部門が市町村で担当を持っているところがあるんでですが、その場合、農政はほとんど無縁だという姿をよく見ることがあります。
 そういう意味では、市町村内部で横割り化するという、恐らくそのためには、最近ではいわゆる中間支援組織が重要になって、市町村の外にあるけど、市町村内部の様々な役割を横割り化するような発想が重要になっている。その点でも、地域内組織をもっとハイライトして議論してもよろしいんじゃないかと思います。
 大変長くなりましたが、以上です。

【清原部会長】  とんでもございません。小田切委員におかれましては、大変重要な御指摘をいただきました。1点目、自分ごと化する、ごちゃ混ぜのメリットを生かしつつも我がこととするということ。2点目に、社会教育においては、そうは言っても学習成果発表のところなどにおいてはまだ課題がないわけではないので、とにかくウイングを伸ばしていくこと。3点目に、コミュニティ政策のコーディネーターの重要性があるけれども、それを多機能化して、地域間で取り合うというよりは、調整機能を持っていくということ、ここはまさに社会教育士との関係で重要なポイントだと思います。4点目にコミュニティ政策については、外からの人口、関係人口も非常に重要であり、その方たちの人材の内発化といいましょうか、そういうことの重要性を御指摘いただき、最後に5点目としては、このコミュニティ政策の横割り化というのをキーワードに、地域運営組織の活動があるのではないかという非常に建設的な御提案いただきまして、ありがとうございます。
 それでは次に、伊東委員、関委員、古賀委員、金澤委員、柏木委員、小見委員、牧野委員の中でお願いします。伊東委員、どうぞ、お待たせしました。

【伊東委員】  倉敷の伊東でございます。私のほうからは社会教育の中での地域、また、学校の役割というところについて、今思っていることについてお話をさせていただきたいと思います。
 今、先ほど町長さんや教育長さんもお話をされたんですけれども、地域の中での今非常に課題として喫緊のものというのは、防災対応ということがあると思います。それから地域の中での人とのつながり、子供さんと地域の方、年配の皆さんの活動がいろいろできていくということ、そういうところの中でありますと、やっぱり学校というところの場というところについて非常に今私どもは大切に思っているところでございます。
 今、倉敷市では学校、この地域学校協働活動も全学校でいたしております。また、それから一方で、地域の中でさっき地域包括ケアのお話の中で、ふれあいサロン等の話も出ましたけれども、今市内、倉敷市は人口47万人ぐらいなんですけれども、ふれあいサロンが318か所ございます。そして小学校が60、中学校が26あるわけでございますけれども、この中で、やっぱり真備の大きな豪雨災害もございましたので、地域の住民の大きな注目点というのは防災への対応、それから、やっぱり今の子供さんがもちろん市でも少なくなっておりますし、それから年長の皆さんとの交流ということがとても大事だと思っております。
 そういった中で、防災活動という意味では、地域の人たちが、特に年配の皆さんたちがいざというときに必ず逃げる場所にほぼなるのは学校でございます。そして、逃げるためには日頃からその場所に行っていないことには皆さん逃げられません。そのことが学校のいろんな先生の働き方改革とかということももちろん当然あるわけでございますけれども、地域で学校、倉敷市でも今だんだん学校の建て替えや、リフレッシュをするときにはコミュニティ・スクール、コミュニティのルームということをつくるようにいたしておりまして、地域の方が学校を中心としたいろんな活動をしてもらえるようなということに取組をするようにしてきております。
 また一方で、保育所に子供さんを預けていたお母さんが、小一ギャップとして小学校に子供が入ったときに、今度は8時15分から学校が始まりますので、その間、お母さんが子供を預ける場所がなくて、1時間仕事ができないというようないろんな問題もあります。
 そういうようなことを考えますと、地域の人と子供たちがいろいろ触れ合える場というのをふれあいサロンとか、それから休みの日ということだけでなく、例えば倉敷ではまだいたしておりませんけれども、例えばふれあいサロンの活動を朝、学校がもちろんちゃんとその手続を経たサロンの方たちによって、学校の体育館等を活用して子供が早く来て、地域の人とも一緒に遊んだり、見守りをしていただけたりするということであるとか、いろんな防災の活動や地域の勉強もできるということなども行っていくことができればいいなというふうに今思っているところでございます。
 それから、やっぱり子供と地域の方、もちろん地域のコミュニティ協議会の皆さんたちも一緒になっての活動ということを学校、もちろん公民館もそうなんですけども、数がやはり少ないわけです。学校はどこの学区にもございます。ですので、もっと学校に対しての機会も高まっていると思いますし、また、学校の図書館、もちろんこれは子供のための図書館ですけれども、年配の皆さんたちも何かのことで使えるようなことになればいいなというふうに話も聞きます。そんなことで、社会教育の中での学校施設の活用ということについても非常に期待を持っているところでございます。
 以上です。

【清原部会長】  伊東市長、ありがとうございます。2018年7月のあの豪雨を踏まえて、社会教育と学校との関係の中で防災対応、そして、多世代の人のつながりの重要性というのを地域学校協働活動や、地域のふれあいサロンの取組などから御提案いただきまして、ありがとうございます。
 ここでお諮りいたします。少し早い諮り方で恐縮でございますが、第1番目の審議事項について手が多く挙がっておりまして、ぜひ御意見伺いたいと思っておりますので、恐らく延長必至でございます。かえって先ほどは短めにご発言を、なんて申し上げましたけれども、お一人おひとり、お話しされたいと思いますので、延長して12時を回るということを予定しながら、その上で簡潔にできるだけお話ししていただければと思います。関委員、古賀委員、金澤委員、小見委員、そして柏木委員、内田委員、牧野委員、清原も最後にちょっと。
 それでは、関委員、お願いします。

【関委員】  関です。今日いろんな情報を提供いただいたこと感謝申し上げます。私がイメージしている社会教育の核にあるのは公民館なのですが、公民館という施設はこの七十数年の歴史の中で、草創期の公民館というのは今日いろいろお話があったような多様な事業に全て取り組んでいたような場所であった気がいたしました。
 一定地域の住民のために、そこに暮らす住民がみんなで力を合わせて、自分たちの地域をつくっていく。そういう場所が公民館であったと考えます。ですから、今はまだ所管が教育委員会にあるところが大多数ですが、場合によれば、首長さんの意見もきちんと調整し、ともにその地域にとって何が一番いいスタイルなのかをもう一度確認すべき時期に来ているのではないかと感じます。
 社会教育士の称号付与者が1万人を超えようとしています。そういった社会教育人材が力を合わせて、多くの方々は教育の領域で力を発揮すると思うのですが、社会教育主事講習で学んだことが、地域づくりの活動につながっていくような新しい仕組みを今こそ考えていくべきではないかという印象を持ちました。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。従来、社会教育というのは、学校教育以外の教育という定義の中で進んでまいりましたけれども、今日、各省の省庁の皆様の御発表や、あるいは委員の皆様のそれぞれの御発言の中からは、むしろ学校教育との連携もありますし、市長部局の地域づくり、まちづくりにおける社会教育の意義というのを再確認されたと思います。ありがとうございます。
 それでは、古賀委員どうぞ。

【古賀委員】  古賀です。現場の声も踏まえつつ、社会教育への期待を簡潔にお話をします。
 私の所属先のふくおかNPOセンターは今、福岡県農山漁村振興課と一緒に、3年来農村RMOの形成支援を取り組んでいるところです。その中で、住民サイドでは農村RMOの取組の意義や必要性は十二分に、特に山間部の皆さんは認識されている一方で、「とにかく人がおらん」、「やりたいけど、人がおらん」という声が聞かれます。また、県内市町での市民センター・公民館研修会でも、「いろんな事業のアイデアはあるが、人がいない」という声が聞かれます。これは中山間地や都市部といったまちの規模を問わず聞かれ、とりわけ最近は都市部における不動産価格の高騰の影響で郊外にどんどんマンション等の集合住宅が増えてきて、実は人口増加傾向にある地区も増えているんですが、「人がいない」、「仲間がいない」という声が聞かれます。
 もはや地区内で人材なり事業をやりくりするということが非現実的と思っていまして、先ほどの小田切委員との意見とも重なるんですが、いわゆる「越境人材」として、分野横断もさることながら、エリアを行き来しながら様々な地区に関わり、関係人口となり実践者を増やしていくような策が必要になってきたのではないかと感じているところです。
 総務省では二地域居住の支援をされているようですが、分野横断と合わせてエリア横断という側面を捉えると、社会教育の人材と非常に親和性があると考えます。既存のコーディネーターをさらにコーディネートするような役割の人材がどこも必要で、特に社会教育はいわゆる「むすぶ」という役割に力点を置いていますので、社会教育人材が「コーディネーターのコーディネーター」として、実践者を引き寄せて結び、地域で活動し続けることを後押しする形になればと思ったところです。

【清原部会長】  とんでもないです、古賀委員、ありがとうございます。先ほど小田切委員も、コーディネーターの必要性を指摘されたことと呼応して、やはり人材不足、人手不足と言うけれども、やっぱり発掘して結んでいって、エリアを越える、そして地域のエリアや分野を越える、そういういい意味での「越境型の人材の重要性」を御発言いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、金澤委員、お願いします。

【金澤委員】  
 まずは関係省庁の皆さま、本当に分かりやすいご説明ありがとうございました。民間の立場として申し上げますと、私自身も、企業の社員、そして当然のことながら地域住民でありまして、子育て、教育、そして親の介護、認知症予防、そして防災等に関わっております。よって、申し上げたいのは3点です。
 1点目、企業で働く地域住民をもっと活用すべきであり、その仕組み、仕掛けをつくる必要があるというところが1点目。
 2点目は、企業に対して、国を挙げてこの地域コミュニティ参画が社会的な責任であるということをもっと啓蒙していただきたい。加えて、民間企業に、省庁の皆さまがもっとアプローチされてもよいかと思います。
 3点目です。厚労省の老健局様から話が出ていました全国型のプラットフォームについて、すばらしいと思っております。このようなプラットフォームが、様々なステークホルダーに対して、様々な分野、各省庁横断で展開されるとよりよいかと思います。
 以上です。

【清原部会長】  金澤委員、建設的な御提案ありがとうございます。まず、企業の立場から1点目、企業人が活躍する仕組みをもっともっとと。2点目に、民間企業にもっと各省庁がアプローチしていいんじゃないか。3点目に、老健局が提案された全国型プラットフォームというのは、老健局内に閉じずにもっともっと広くと、各省庁、プラットフォームを有効にという御提案です。ありがとうございます。
 それでは、柏木委員、内田委員、杉野委員の順で。

【柏木委員】  私のほうからは簡潔に5点申し上げます。まず1点目は、先ほど小田切委員と古賀委員がおっしゃっていましたけれども、コーディネーターのコーディネーターという方々を配置できるような、そういう仕組みをこれは社会教育がやるべきなのかどうか分かりませんけれども、つくるべきだと思います。農林水産省のところの資料の8ページ目の上のほうに、関係府省の方々の動きが非常に簡潔に分かりやすく載ってありますけれども、この上に位置づく方を配置できるようなこと、人を首長が指名できたり、そこに権限付与を与えたりすることができるような仕組みをつくるということが1点目です。
 それから2点目は、これは社会教育人材という方々のみならず、先ほどのコーディネーターのコーディネーターの方々にもあてはまることかもしれませんけれども、地域の課題というものが何なのか、その固有の課題、それから優先課題というものを分析できる、そういう汎用的能力がそうした方々には必要なのではないかと、本日の発表を受けて思いました。また、その地域分析に基づいて、情報を様々に収集して活用して解決をするといったような能力というのが求められると思います。
 3つ目は、いろいろな方々が集まる施設というものもやっぱり必要かなと思いまして、社会教育施設、あるいは学校に余裕があれば学校をそういう様々な方々が担う、そして活動するプラットフォームとして位置づけるということが大事なのではないかと思います。
 4点目は、ネットワークが本日の議事事項に出てきておりますけれども、そのネットワークの範域というものを区分して考えることが必要なのではないかと思います。小学校単位、中学校区単位でできることもありますし、高校単位あるいは大学といったような広域単位で考える、あるいはさらにもっと広域でオンライン、あるいは地域の実際はつながっていないけれども、島留学などを通じていろいろな地域を考えてそういうところとつなぐネットワークというものも考えてもいいと思います。そして人々が、あるいは子供が、この地域で育つというよりは、育つ地域コミュニティも選択することができる、あるいは自分の地域は幾つかあるんだと思えるような、そういうようなネットワークをつくっていくということも今後必要ではないかと思っています。
 それから、そういうネットワークづくりのために5点目として、人事交流も広域でできるような形でお願いできたらと思います。例えば社会教育人材が1年間交代できるとか、そういうような仕組みもつくっていくことで、地域コミュニティというものをより活性化させていくことができればと思いました。
 以上になります。

【清原部会長】  ありがとうございます。「コーディネーターのコーディネーター」の必要性や社会教育人材に求められる能力、また、施設は「プラットフォーム」として必要であるということ、そして「ネットワーク」には広さの区分も必要ですし、オンラインでつながる複数地域の魅力もあるということ、そして、最後に「人材の広域化」についてです。
 ごめんなさい、先ほど小見委員が次の順番なんですけど、御指名するのを抜けていました。まず小見委員、そして内田委員、杉野委員の順でお願いします。小見委員、どうぞ。

【小見委員】  ありがとうございます。みらいずworksの小見まいこです。
 総務省の近藤室長の御指摘にもあったんですけれども、コミュニティ・スクールの意義や地域学校協働活動の活動団体として、地域運営組織がうまく共同して機能しているという事例は全国でもたくさんあります。
 例えば、別々でやっていた運動会や防災訓練を一緒にやって、スリム化や相乗効果を生み出すなどの事例もあります。こういった事例がうまくいった理由はたくさんあると思うんですけれども、2つ紹介したいと考えています。
 1つ目が、コーディネーターの兼任です。先ほど小田切委員より、コーディネーターの多機能化という話がありましたが、例えば地域運営組織の会長さんが、地域学校協働活動推進員としてコーディネーターを兼任したことで、コミュニティ・スクールで協議したことというのを地域運営組織の皆さんが、地域学校協働活動として取り組み、お互い効果的な取組ができた事例がございます。
 2つ目がCSのコミュニティ・スクールの研修と、地域運営組織の研修を一緒に行ったことです。冒頭に山本委員からもお話ありましたが、地方では、地域運営組織の皆さんが様々防災や福祉、イベントなど取組をやっているため、高齢化、固定化し、疲弊しているという組織があるのも見聞きしています。コミュニティ・スクールの研修の中で、これ以上、俺たち何をさせるんだと厳しい御意見を言われたこともありました。
 そこで、地域運営組織の部局と教育委員会で協力して研修を行いました。何のために地域活動するのか、どんな子どもたちを地域として育みたいのかという目的を共有した後に、地域運営組織の業務を棚卸しして、将来を見据えて今やるべきこと、やめるべきことというのを取捨選択し、学校や子供たちと一緒にできることというのを検討してもらいました。一緒に研修することで目指していることは同じだし、ともにやれることはたくさんあるという実感を持ってもらうこともできました。目指していることは同じなのに、別々のことをしているということを整理しながら、一緒にやれることはやるなどやりくりしていくということが必要だと考えています。
 今ほど、柏木委員もおっしゃいましたけれども、そういったやりくりをしたり、すり合わせをしたりするというプラットフォームなり場が必要だと思います。そのプラットフォームとしてこのコミュニティ・スクールは有効だと考えています。部局や現場の組織を超えて対話を促していく、そして共同を生み出していくというところで、社会教育がハブとなって担っていけることがたくさんあるのではないかなと思いました。
 以上です。

【清原部会長】  小見委員、ありがとうございます。1点目は小田切委員、古賀委員と同様に「コーディネーターの兼任の重要性、必要性」。2点目は「コミュニティ・スクールの研修と地域運営組織の研修を同時にした」ということのメリットについて御紹介いただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、内田委員、よろしくお願いします。

【内田委員】  ほとんどの委員がおっしゃったことと重なってしまうので短く申し上げますと、やはり地域は本当に今人材が不足していて、同じような方々がもう本当にいろいろなことを一手に引き受けているということが続いているように思います。これを解消する仕組みづくりを先に整えずに、やりたいこと・やってもらいたいことのリスト提示みたいになってしまうと、ちょっと地域の側でも受け止め切れないというか、誰がどうやって進めたらいいのだろうという問題に直面するだろうと思っています。
 先ほど産業界とか企業への働きかけという話もありましたが、大学も一つの活躍できるポイントになるのではないかなと思っています。具体的に言うと大学生であるとか大学の教員もそうなんですけれども、少し離れた場所であっても研究連携や実習などの教育連携先として様々な地域に関わることができるかなと思っています。私も実際、京丹後市とか自分がいる京都市内から離れたところと包括連携を組んで学生を連れていったり、あるいはオンラインで地元の会議に参加したりということは続けてまいりましたので、広い意味での人材活用ができないかと思います。
 一方で、企業や、大学がばらばらに関わってしまうと、また窓口が地域の側で増えてしまい対応に追われると思うので、大学と企業のプラットフォームづくりというのを政府などのどこかが、リーダーシップを取ってやっていければと思います。
 以上です。

【清原部会長】  内田委員、ありがとうございます。今までの一定の総括の御発言だと思います。人材不足の折、企業、大学へ働きかけて、遠隔であっても、人材についての取組を行う必要があり、その「プラットフォーム」をぜひという御提案です。ありがとうございます。
 それでは、杉野委員、お願いします。

【杉野委員】  はい、名古屋市の副市長の杉野でございます。
 名古屋市の現状から申し上げますと、地域コミュニティ自体のベースが弱っているという状況にあります。名古屋市はちょっと特殊でして、町内会、自治会ごとに区政協力委員を非常勤特別職で置き、費用弁償という形でお支払いをしております。その人数は名古屋市230万人の人口に対して、5,400人ぐらいいます。区政協力委員の人たちと、子ども会であったり女性会であったり、いろんな役の人たちが集まって、各学区に学区連絡協議会というものがありまして、これが267学区にあり、ここがベースになって、地域をどうしていくかということを考えるということを昭和40年からずっとやっていますので、社会教育という概念自体があまりないです。
 ただこれでずっとやってきましたので、逆にこれがヒエラルキーになっていて、行政組織の下請のような形で、行政の情報は隅々まで行き渡るんですけれど、地域課題解決といったときに、分野横断的もしくはテーマごとに議論をし、解決に乗り出すということに弱いというのと、町内会組織自体が今66%まで下がってきておりますので、この組織が機能しない場面が多くなってきています。
 こうした中で市長部局では、16区行政区に一人、コミュニティサポーターを配置しています。このコミュニティサポーターがこの町内会の組織、学区連協に出かけていってサポートすることによって、いろんな地域の課題ができるようになってきています。
 本庁に4人、16区に1人ずつ市単費で会計年度任用職員としてコミュニティサポーターを配置していますが、少しずつ効果が出ている学区、地域まちづくりに取り組む学区が出てきているという状況です。
 私はこのコミュニティサポーターが社会教育士だったり、社会教育主事さんであったりして、力が発揮できればいいなと思っています。
 もう一つ、こども家庭庁からも発表もありましたけれど、こどもまんなかにして支援を強化しようという施策が、非常に強化されていると思っていますけれど、私は就学期の子どもは学校だけでは解決しないと思っています。学校外の活動が非常に重要であると思っております。学校以外でNPOや任意団体、地域の人たち、子供たちが学校外でどれだけの人と関わり、どれだけの場があるか、居場所という言い方もありますけれど、ニーズに応じて多様な場所と多様な人に関わる場が必要であって、学校外ということが非常に重要になってくる。したがって子供施策は就学期以降もぜひ強化をしていただきたいと思っております。名古屋の場合で言うと、今日から参加されている坪田さんが教育長として、先日まで教育委員会で頑張って旗振りをしていただいておりましたが、学校という場の中に福祉保健が入っていって、教育、福祉保健の横断的な施策を展開しています。学校内でのチーム会議やケース会議に福祉の専門職も一緒になり、リスクのある家庭は福祉施策で支援します。私どもは単費で児童福祉司を2人、各区2人体制にして1人は学校に入り込んでいます。これは非常に重要なので、この教育の垣根を越える子ども施策をぜひ打ち出していただきたいなと思っています。
 その中で可能性があるなと感じますのが、先ほどのコミュニティ・スクールで、これは名古屋市も教育委員会から、コミュニティ・スクールを広げようとしているという説明を受けています。私は教育は所管じゃないんですが、ただこの特別部会に参加させていただいているのを機会に、教育委員会の課長さんたちから説明を聞く中でコミュニティ・スクールも学校の運営組織の中に地域の人たち、地域組織はどうやって入っていくか、先ほどの地域コミュニティのコーディネーター的な人、地域コミュニティの人材をその中に入れていく場合に、地域コミュニティ自体が弱っているので、限界があると思っています。
 したがって、これがコミュニティ・スクールを横展開していくときに地域を助けるコミュニティサポーターを学校と地域をつなぐコーディネーターとして、兼任もしくは連携して一緒に地域のことや子供に関して議論をし、学校を閉鎖的な社会にしないで、地域の人たちの目が入るようにつなぐ役割をぜひ重ねて担っていただきたい、もしくは連携をしていただきたいと思っています。もちろん人材として、PTAの方も入っていただく。
 そして地元企業も話しかけますと、自治体に地域の中でこんなことなら私たち協力できますよという提案を数多くいただいています。こうした地元企業からの提案を地域につなぐのは、市長部局だと思っていますので、ぜひ市長部局との連携を強めていただきたい。それが結果として市長部局と社会教育との連携になると思っています。今、私は市長部局の中で、子ども施策、高齢者施策、地域コミュニティ施策を持っていて、この特別部会に参加させていただくきっかけで、コミュニティ・スクールをどうやってしていくかという情報もいただいたので、市長部局の各地域コミュニティ、子ども施策の意思決定層、部局長と教育委員会と一緒にワーキンググループをつくってと今頼んであります。地域コミュニティも弱体化しています。子ども政策をいろんな目で盛り立てていかなければいけません。
 子ども会も加入率が拡大に下がっているので、これも何とかしていきたいという課題、一緒なんです。そこで、社会教育から何ができるか、もしくは市長部局で持っている施策が何ができるか、ここを分野横断的にそれぞれ何ができるかのワーキングをつくって検討してほしいと思い、これから話合いを始めてもらおうと思っていますので、ぜひ分野横断的に学校というものは開く、地域も学校というもしくは子供を中心に何ができるかを考える。そして兼任するか連携するかという取組をぜひ進めていきたいと思っておりますし、期待をしたいと思っております。

【清原部会長】  ありがとうございます。名古屋市という政令指定都市の副市長の役割から、地域のコミュニティ脆弱化の中で、コミュニティサポーター制度を導入された事例を含めて、地域課題を解決していくときにコミュニティ・スクールと、そして、学校教育、社会教育、地域社会、市長部局の連携の可能性についてお話しいただき、既に名古屋市ではそういう取組も始まりつつあるということです。ありがとうございます。
 それでは、牧野副部会長、お待たせしました。

【牧野副部会長】  すみません、牧野です。よろしくお願いいたします。もうお昼になってしまいますね。お時間をいただきます。申し訳ありません。
 各関係省庁の方々、どうもありがとうございました。とても勉強になりました。私、今日の課題というか、今日の議題のほうへ議論を少し引き戻したいなと思っていまして、実は私も総務省の地域運営組織ですとか、厚労省の地域共生社会づくり、それから、農水省の農村RMOの形成事業にも関わらせていただいて、特に小田切委員のご紹介等も受けながら、今日の夜も農村プロデューサー養成講座の講義を担当するのでですけれども、私がこうやって各省庁のいろんな事業に少しずつ関わらせていただいているといったことそのものが、実は今日の課題と関わってくるのではないかと受け止めています。
 このことから考えますと、社会教育がいわゆる一般行政、やはり実際に各自治体の首長部局がいろいろやっていらっしゃる様々な施策の基盤形成に関わっているのだろうと思うのです。その意味で、今日のそれぞれのお話はコミュニティをつくっていくことにおいて、どのように住民が自主的に自らの生活を自分のコミュニティで立てていくようにしていくのか。そしてそれが、行政部局が行政サービスを提供するということではなくて、むしろ先ほどの小田切委員のお話であれば「自分ごと化」していく、私たちの言葉で言えば当事者化していくということ、そして、住民自らが地域をつくって治めていくということにつながっていくような、そういう議論と関わっているのだろうと思います。
 そして、今日の各省庁からの御報告の内容は、何度もこの部会でも私が繰り返しますけれども、第4期教育振興基本計画で、社会教育の概念規定を変えようという動きが強くなってきていて、従来の学校教育以外の社会において行われる組織的な教育活動という概念規定ではなくて、むしろ人々のつながりや関わり、つまりある意味で関係性をつくっていく土壌を耕しておくべきものだという表現に変わってきていることと深くかかわっているように思えるのです。
 その意味では、人々が自主的に自分たちの社会をつくっていくときの社会基盤形成をどうするのかといったことが、やはり大きな社会的な課題になってきていて、その中で社会教育がどんな役割を果たすのかといったことが問われてきているのだろう。つまり、社会教育は、一般行政のいろんな施策がありますけれども、それらの基盤となるような人々のつながりや関わりの土壌を耕すということにおいては、むしろあらゆる施策に先行してなされていなければいけない、社会基盤づくりだという位置づけになってきているのだと思うのです。
 このように考えますと、先ほど来、例えばコーディネーターのコーディネーターという形で議論がありましたけれども、それも例えば現在、第4期教育振興計画を受けて、第12期の生涯学習分科会、それから社会教育人材部会、そしてこの特別部会で議論してきましたいわゆる社会教育人材の在り方、つまり社会教育主事と社会教育士という人材をどう位置づけるか、どう活躍してもらうかといったことを議論してきたわけですけれども、例えば社会教育士は、従来の言い方ですと、それぞれの専門性の上に、さらに社会教育的な手法や考え方を身につけていって、地域社会で活躍をされる方々をいうという位置づけがあったわけですけれども、今日の議論を聞いていますと、むしろ先に社会教育士な発想ですとか手法ですとかそういうものを学んでいただいた上で、それぞれの省庁が持っていらっしゃるコーディネーターの役割が担えるような、いわゆる複合的な人材なのだという位置づけも可能ではないかとも思うようになっています。
 それからもう一つは社会教育主事という方々が実は社会教育士と同じ、言い換えれば社会教育主事の養成課程または講習を受けて、社会教育主事任用資格を取った方々が社会教育士という称号を得られることになっていますので、この社会教育士の称号を得られた社会教育の専門人材である人々が、実は社会教育主事になっていかれる人々と同じ基盤を持っていることになってきますので、教育委員会の中で、社会教育主事の方々が、これも位置づけとしては、地域全体のコーディネーターという位置づけ、また学びのオーガナイザーという位置づけになっていますけれども、教育委員会をベースにしながら、ウイングを広げていくというような役割、つまり社会教育士が現場における学びのコーディネータであるとすれば、社会教育主事は、その社会教育士をコーディネートするコーディネータ、こういう役割を果たすことができるのではないか、このようにも思います。
 さらに先ほど少し小田切委員のほうからも御指摘がありましたけれども、この動きが現場に展開していく過程で、やはり首長部局のほうからは、教育委員会が使いにくいのだという議論があったりですとか、それには公民館を活用しようとすると、例えば営利は駄目だとかいろんな規制がかかってきてしまう、と言われたりしています。これは現行法上は全く問題ないわけですけれども、実は運用のところでうまくいっていないということがあって、教育委員会から社会教育や生涯学習をいわゆる一般部局、首長部局のほうに出していくというような動きが強くなったりする中で、社会教育の在り方をどう考えるかという議論にもなってきている面があるんですけれども、実は今日こども家庭庁の方々がいらっしゃることが一つの象徴だと思いますけれども、次の世代をどう育成するのかということと、それから教育振興基本計画でも、持続可能な社会のつくり手をどう育成するかというつくり手の議論にもなってきていまして、その意味ではやはり教育という機能の中に、例えば一般行政が持っていらっしゃるものをどう組み込みながら、教育的なウイングを一般行政にまで広げていくのか、こういうことも問われてきているのではないでしょうか。
 そして、その結果、どういう形で住民自治を広げていくのかといったことが、今この社会の底抜けを防いでいくようなことにつながるのではないかとも思いますので、その意味では、これは語弊がある言い方になるかもしれませんが、一般行政のほうから、教育委員会の中の社会教育機能を強化するような動きというものがつくれるのか、つくれないのか。こんなことも問われているのではないかと思います。
 むしろ教育委員会といういわゆる特別行政委員会の役割があるので、それを担っていきつつ、むしろ教育的なスタンスを取りながら、教育行政が一般行政と手を結んで地域社会の住民の自治の基盤をつくっていく、そこを手厚くしていくというような機能の発揮の仕方があるのか、ないのか。そんなことも少し議論ができればというふうにも思っています。
 そうしたことが、ここの特別部会で問われている社会教育の在り方について議論をするということ、につながってくるのではないかと受け止めています。
 以上です。

【清原部会長】  牧野副部会長、ありがとうございます。まさに社会教育を専門とする牧野副部会長が、今日御報告いただいた各省庁の取組にも参画されていることに、いかに「地域コミュニティの基盤としての社会教育」が国の各省庁においても位置づけられてきているかという、まさに証左だと思います。その上で、コーディネーターである人材の養成、そしてネットワーク化、さらには専門性、あるいは市長部局との関係などについても御示唆いただきました。
 ここで正午になりましたが、部会長の立場でちょっと今日の皆様の御報告を、一定程度まとめる前にちょっと個人的なこともお話ししたいと思っています。ちょっと時間は過ぎておりますが、延長をお認めいただいたので、私の発言もお許しください。
 総務省の自治行政局市町村課を事務局とする「地域コミュニティ研究会」に委員として参加させていただいた経験から、今日皆様がそれぞれおっしゃっていただいた地域コミュニティの機能の弱体化ということは、本当に全国各地、津々浦々、大都市であっても中山間地であっても過疎地であっても共通だと思いますけれども、とても大切なのは我がまちを、我が地域をやはり安全に安心して暮らしていこうという思いは相変わらず強いということも確認されていますし、全国の自治体がそうした状況を踏まえながらも、とりわけ市長部局が、地域コミュニティで皆様が安全に安心して健康に過ごしていただくための各施策を展開しているということも明確な事実です。
 そしてその際、教育委員会がそうした地域の皆様の学びの機会を保障し、そして企業や、あるいは公立学校以外の私立の学校や大学とも連携をすることで、地域の皆様の活力を得るための工夫、それを試行錯誤で進めていらっしゃるということも事実です。しかしながら、そのコミュニティの脆弱化の状況が今日の御報告でもますます深刻化しているというのも事実であり、私は、厚生労働省の社会・援護局が「新しい地域福祉の在り方に関する研究会」というのを設置したとき、現職の市長の一人として参加をいたしました。
 そのときに何もかも全て法律に基づく公の福祉制度、あるいは介護保険等で賄えるものではないのであり、むしろどうしても制度の隙間ができる。それをどうにかしなければいけないというときに、やはり人々が「共助」、共に助け合うという仕組みをつくっていくことも重要ではないかということで、私自身が事例として市長時代、市長就任その年度に始めた「地域ケアネットワーク」という7つのコミュニティ住区に、医師会、歯科医師会、薬剤師会、民生・児童委員、社会福祉協議会、そして、地域の町会・自治会の皆様を中心としたネットワークをつくりまして取組を始めたわけです。市長退任後は、皆様に提案をしてつくっていただいたのに退任して、それでさようならはおかしいということで、私は7つのコミュニティ住区の中の自分のコミュニティ住区でボランティアとして活動を開始いたしました。
 そして市民の視点で分かったこと、それは誰でも参加できるサロンというふうに呼びかければ、高齢者だけではなくて夏休みは小学生もやってくるということが分かりました。また、同じ地域の市民の皆様がボランティアで週1回、「コミュニティカフェ」を取り組んでいますが、これも独り暮らしの高齢者も来ますが、夏休みは小中学生もやってくるだけではなくて、中学生がカフェのサービスを自らボランティアでする。つまりいろいろな取組を公がするだけではなくて、NPOを含め、任意団体がすることによって「多世代交流」が生まれるということも実感いたしました。
 そして、明治安田生命さんが講師派遣をしてくださっているので、地域ケアネットワークの地域向けの講演会では、年に最低1回は明治安田生命さんにお願いをして、講師料無料で優れた講演をしていただいておりますし、学習会でも学んでいます。
 整理をしますと、要するに今日皆様が御提案いただきました地域コミュニティの取組を各省庁が進めていますが、そのとき活動の主体は国民であり、住民であり、そして企業人であり、大学人であり、そして乳児は無理かもしれませんが、子供から年長の方までがそれに参画をしているのです。福祉のサービスの対象者だけではない、担い手として存在し得る。そうした人材をコーディネートしていく、励ましていく、そしてプログラムを円滑に進むように支援していく人材は必ず有益であって、そうした人材は社会教育人材と言えるのではないかということが明確化されたと思います。
 ぜひ今日の省庁の皆様の御報告に共通している地域コミュニティが国民の生活の基盤であって、どんな視点からもそこが大切であって、今日、町長さん、そして市長さん、副市長さんも発言していただきましたように、首長部局と教育委員会の連携が重要であること、そして現職の教育長さんも、そして教育関係者も言ってくださったように、学校が重要な社会教育にとっても地域づくりにとっても場になり得るということが確認されたと思います。今日の意見交換をぜひ私たちの今後の具体的な検討に生かしていきたいと思います。
 それでは、大変お待たせいたしましたが、前半どころか、大半の第1番目の議論はここまでといたしまして、今日はもう一つ大切な議論がございます。これは「地域コミュニティに関する市長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策」に関係しまして、「社会教育活動の推進方策」について、まず、「子ども会の取組」から学びたいと思います。
 なお、12時過ぎております。省庁の皆様、すみません、もう長時間お付き合いいただきまして、どうぞ、御公務もあると思いますので、ご都合に合わせて退席していただいて結構です。どうも御協力ありがとうございます。皆様感謝の拍手でございます。
 引き続き、私たちの部会とのネットワークを持っていただければと思いますので、よろしくお願いします。
(各省庁退出)

【清原部会長】  それでは、まず美田委員から御発表をいただきます。美田委員の資料は、お手元にありますかね。それでは、美田委員、お待たせいたしました。御発表をよろしくお願いいたします。

【美田委員】  公益社団法人全国子ども会連合会の会長をしております美田と申します。

【清原部会長】  すみません、髙田課長からの発表が先のほうがいいですかね、そのほうがいい、そうですか、ごめんなさい、先走りました。
 大変失礼いたしました。まず、社会教育活動の推進方策について、改めて資料5の後半について、髙田地域学習推進課長から御説明をいただいて、子ども会についてある程度認識を深めた上で、美田委員から御発表をお願いします。髙田課長、お願いします。

【髙田地域学習推進課長】  それでは、資料5の3ページをまず確認的に、前々回PTAとかコミュニティ・スクールの議論をいたしましたが、そこと同じ文脈で地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策について、子ども会のことも含めて議論いただければと考えております。
 次に、5ページに子ども会連合会の概要を書いておりますけれども、PTAがいわゆる学校単位で行われている活動といたしますと、子ども会につきましては、まさにいわゆる町内会単位で形成されている組織ということで、PTAと同じような感じで全国にいろんな子ども会が結成されて、取組を進めているというものでございます。
 「日本中の子ども達の真の成長と幸福のための子ども会」ということで、様々な活動をいただいているところでございます。構成団体が46都道府県、13政令指定都市、活動として指導者、育成者の連携事業ですとか、指導及び育成事業などを行っているということで、会員数最大で800万人を超えるところでありましたけれども、少子化の影響で今200万人程度というふうになっているというふうに聞いております。
 今日、特に議論6ページのところですけれども、前回PTAとかコミュニティ・スクールで議論いただきたい内容と重複している部分もございますが、追加という形で一番最後のところに子ども会の話も追記しております。地域の子どもの学びや健全育成、子ども会連合会などがしておりますけれども、そういった今後の活動の継続性などについてどう考えるかということでございますとか、課題、一番下のところでございますけれども、こういったPTAや子ども会などの団体が、学校や他の社会教育団体等と連携することによりどのような効果が得られるか、連携のさらなる強化のためにどういったことを考えられるのかということについて、現状を改めて検討していただければというものでございます。
 以上です。

【清原部会長】  髙田課長、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、美田委員から資料7、子ども会の可能性について御発表お願いします。よろしくお願いします。

【美田委員】  改めまして、全国子ども会連合会の会長をしております美田と言います。資料について、ページ番号振っていませんので、謝罪申し上げます。1枚めくっていただきまして、子ども会の始まりというところを1ページとして、あと2、3、4と振っていただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
 「子ども会の可能性」と題しまして、1ページ、2ページを開いていただきますと、子ども会の始まりから、子ども会連合会の誕生まで歴史を書いてあります。この辺りはご覧いただいて2ページのところ、全国子ども会連合会の誕生という1964年のところだけ御説明申し上げます。
 目的、理念として、日本中の子どもたちの成長と幸せの、ための子ども会という理念の下、この組織が結成されております。様々な議論をした結果、今の我々の組織の形ですが、ここに実は「子ども会員の」といったことは書いていなくて、やはり日本中の子どもたちの、つまり会員、非会員は問わないんだということで解釈して、現在も活動しております。
 また、1枚めくっていただきまして、3ページですが、子ども会の組織というところで、ちょっと逆ピラミッドになっておりますが、我々こういった解釈をしております。先ほどからいろいろな省庁様の話にも出てきましたが、単位子ども会というものは、地域単位での組織です。簡単に子ども会というのは現状どんなことをしているか、少しここで挟ませていただきますと、地域によって、様々です。お祭りが主体である子ども会ですと青森のほうに行きますと、ねぶたがあるからということで子ども会を組織している地域も多々あります。沖縄のほうに行けば、例えば夕方の5時の放送を自治体が流しているその5時のサイレンがなったその後に、「子ども会の皆さん、5時になりました、日が落ちるまでに帰りましょうね」といったアナウンスがある地域もあります。
 このように単位子ども会というのは、地元の自治会レベルの組織だと御理解いただければと思います。
 また、その下、学校区、校区子ども会などということもあります。それから、市区町村で○○市子ども会連合会、○○区子ども会連合会といって結成しているケースはあります。さらに都道府県子ども会連合会、そして全国子ども会連合会ということでございます。
 全国子ども会連合会事務局は、常務理事と事務局次長、それから事業の担当3名、共済の担当5名という人数構成で全国は組織しております。私はここに入っておりませんで、いわゆる本業を持ちながら会長を務めさせていただいているというのが現状です。
 また後に出てきますので、この数字のところはとばして、次のページ、「子ども会」の特色・強みということで、1番目に、子ども会を子どもの会だと我々も常日頃から言っておりますが、実は構成員というのが会員の兄弟、会員でなくても弟や、妹とか、今やゼロ歳から加入しているという状態の地区もあり、地域の役員を含めて考えるとゼロ歳から100歳までの異年齢集団と私たちは呼んでおります。
 またジュニア・リーダー、中高生相当、約3万人が全国にいます。それから、ユース・リーダーという高校卒業相当から30歳程度まで。これは私たち全子連が定義しているリーダーの区分ですが、実は私は51歳になりますが、私の同級生がいまだにユース・リーダーだと言っている人もいますので、これは地域によって違いがあるということは御理解ください。
 2番目に「子どもの手による子ども会活動」、これを基本としております。歴史的にも非常に古くからありますが、今の現状の子ども会が集まってクリスマス会しようか、キャンプをしようか、祭りに参加しましょうかということばかりでなくて、そもそもが日々放課後に、お父さん、お母さん帰ってくるまでどうやって時間を潰そうか、暇を潰そうかというのがテーマだったのが、我々子ども会の単位子ども会だったかと思っております。私も田舎で育ちましたので、風呂を洗って、まきをたきつけ風呂を沸かすまでが私の仕事で、そこから遊びに行ってもいいということで、本当にその頃にいかに早くそれをやって、遊びに行くかということを研究したことを思い出します。
 3番目ですが、子ども会は、その会員である、子どもたちと、育成者と我々が言っておりますものに分けられます。育成者というのは子どもを持つ親に限定されておりません。「子どもを取り巻く全ての大人」と我々の中では定義しております。つまり毎朝すれ違う車に運転しているおじさんもそうですし、犬の散歩をしているおばさんもおじさんも、いわゆる育成者だというふうに定義しています。決してこの会に携わっているから育成者というわけではないと定義されております。
 4番目、「生まれてはじめて属する地域コミュニティ」、「自治組織」などとも私たちは表現しております。保育園、幼稚園に預かる、預けられるとか様々なケースは、社会に触れる機会というのはゼロ歳から発生すると思うのですが、自ら属するということでの生まれてはじめてなんていう表現を使わせていただいております。
 5番目に書いてますが、子ども会活動は、子どもたちにとって体験活動の場でありますし、実は居場所にもなっており、そして気づきの場です。また、同時に我々育成者にとっても、体験活動の場であって居場所になり気づきの場にもなっているというのが実情です。
 次のページの「子ども会」の弱みということで書かせていただいております。先ほどの強みの裏返しであったり、全く似たようなことではあるんですが、1つ目に地域に住む異年齢集団であるがために、子ども会活動や社会教育に対する理解がまばらです。強みの1番目にも対応した話かと思います。2番目として現実には行事に特化した活動が育成者や指導者によって実行されています。「子どもの手による子ども会」ではなくて、大人が行事を主催して、子どもたちがたくさん来た、だからよかったねというような評価に陥りがちというのが、我々の弱みといいますか、懸念しているところです。
 育成者や指導者の生涯学習の場となっている。つまり、大人の楽しみの場になって、実は子どもを主体としていないケースも全国では多々見受けられます。
 3つ目として、今日の話に近い話になるかと思いますが、行政や学校、関係団体との関わり方が非常に未熟だと思っております。
 そういったところも踏まえて、次のページの全国子ども会連合会の課題です。実は公益社団法人になったときに、文部科学省様からの指導も含めて、会員数が300万人を割り込んだら解散も含めて視野に入れて検討するべきだという御指導が当時ありました。実は300万人を割り込むなということが現実味を覚えたときに未来委員会が設置され当時私もその委員になりました。この未来委員会はコロナ前に設置され、当時の会員が三百二、三十万人いたかと思うんですが、もういよいよと必死に1年間議論しました。
 本当にくだらない、コマーシャルを打てば人が増えるんじゃないかとか、そんな議論から、いや、そうじゃないだろうと様々な議論の結果、最終的に2つ目の理念のところに至りまして、「日本中の子ども達の真の成長と幸せのための子ども会」と、少し変わったのが「真の成長のための子ども会」とついております。これがただ成長すればいい、ただ大きくなればいいというわけではなくて、「真の」、それから幸せというのが何なのか、物質的なものが増えればいいのか、そうじゃなくて本当の幸せというのは何なのか、そこを追求すべきではないのかということで、この「真の」という言葉がついております。
 目標としての「子どもの手による子ども会活動」の実現によって、「真の成長と真の幸せ」は達成できると考えております。そのために、我々としましては、単位子ども会を支援する都道府県子連や市区町村子連の連合組織の支援が必要かと思っております。実は全子連は万が一のときの共済を取り扱っておりますので、その関係で恐らく事業をしなければ運営はできるのだろうと思っております。
 また、この単位子ども会は市町村子連というものがない地域でも、例えば私の住んでおります鳥取県米子市の隣の境港市というところも、境港市の子ども会連合会というものはありませんが、みなと祭だ、大漁祭だ、そういったことに参加するために子ども会活動が非常に活発です。つまり、市区町村であるとか都道府県とか、そういったものの連合組織の価値というものが非常に問われているのが現状かなと思っております。
 7ページ、8ページの資料は、加入者数対比のグラフなんですが、生徒数、児童数に対して約3分の1が大体入会しているという歴史もございます。今この会員の減少について、各都道府県会長等と話をするとどうしても、少子化だからという言い訳が多いですが、それ以上の数字で会員離れをしているのも現状です。
 次のページ、子ども会の役員からよく聞く声ということで、4つほどあげていますが、子ども会の必要性が分からない。役員になると負担が大きい。連合組織に入っても仕事が増えるだけ。行政は何もしてくれない、こういった内容が非常に多いです。
 それに対して、我々が行わなければならないこととして次のページになりますが、「つながりづくり・地域づくり・ひとづくり」。私たち今まで、中高生のジュニア・リーダーとか高校卒業相当年齢以上のユース・リーダーに対して、子ども会のリーダーの育成としてやってきましたが、今後は発展させて、地域のリーダーをつくるべきなのではないかという考え方に現在至っております。
 繰り返しますが、子ども会のことのみの子ども会のリーダーではなく、地域全体を考えて行動できる地域のリーダーをつくりたいと思っております。
 次のページです。よく聞く声の4番目というのが非常に大きくて、実は行政が結構旗を振って、子ども会という組織が成り立っていたという過去の歴史もありまして、今の関わり方で支援していただけないとはしごを外された感といいますか、そういう感じを持っている地域が大変多いです。ここでいろいろ分析しましたところ、過去には社会教育主事が事務局を担ってくださっていて、非常に支えてくれていたというのを感じました。私達も関わっていましたがその役割をほぼ担ってくれていたんです。
 実はこの後の負担?負担感?という話になってまいりますが、私が住む鳥取県米子市での子ども会の事例ですが、いわゆる役員様、単位子ども会の育成者やお父さん、お母さん方の役員というのは、じゃんけんで負けたりくじ引きで負けたりしている人がほとんどというのが実情です。この方々が何もしていない状態の春にもう既にやめたい、しんどい、負担だ、解散するといったことの意見をお持ちで事務局に連絡が来ます。
 その際に市の担当者のほうは、とにかく電話番号を渡して、そんなこと言わないでくださいと、負担は全部やりますから、ぜひ相談してください、何でも電話してくださいということでお話しすると、電話がしょっちゅうかかってくるらしいです。かかってきて何か資料作ってくれとか、役員に案内してくれとかそういう話をされるのかなと思ったら結局そういったことは一切なくて、気がついたら1年過ぎて、「あら、やってみたら意外と楽しかったね」という話で終わるらしいです。
 さらに全子連、の東京事務所に数名の職員がいるのですが、単位子ども会の方から、市が、県が何も相手をしてくれない、だから全国にかけてきたという方がいらっしゃいます。この方と小一時間電話で話をすると最終的に「そうか分かった、頑張るわ」という話で終わるんです。これは、つまり専門性を持って正しく説明ができれば、理解してくださる方がほとんどだと私たちは体感しております。つまり、子ども会のことを正しく伝達する人材が我々の組織になかったんだなという反省点から、1番目として現在取り組んでいることでございますが、我々地域推進コーディネーター研修と呼んでおりますが、昨年度より開催し、本年度からは大臣認定をいただきまして社会教育主事講習の一部、生涯学習支援論の2単位に対応するものとして講習しており、専門性を持った人材の輩出に努めています。
 2番目の行政への要望で、今日、首長の話も出ておりますが、非常に私も感じております。先週までで現在は90か所の全国の市町村もしくは県も含めて回っておりますが、首長様によっては社会教育は熱心でなくていいだろうと、人が増えているし、今は発展しているからだからそんなこと言わないでくれという市も実際あります。そういったところですごく温度差を感じながらも、1,700市町村には届いておりませんが、これからも地元の市子連、県子連等と協調を取りながら、その地元の首長様に訪問して、何とかこの社会教育もしくは子ども会に対する理解をしていただくということで動いてまいります。
 それから中央省庁、先ほどもいらっしゃいましたが、出席をお願いして勉強会を開いているというのも実情でございます。
 子ども会で、宮城県の例ですが、東日本震災後に子ども会の数が増えた。自治会の数もちょっと増えたらしいです。これは、すごい特筆すべき話だなと思ったのは、電気も通じなくて通信手段もなくて、トイレも流れないし、市役所がどうなるのかというなかで、そんな状態にあったときに、やむを得ないと思うんですが、連携せざるを得なくなるんでしょうね。そうしたときにこのつながりの必要性というのは本当に生きるために感じることだと思います。
 つまり、この組織離れというのは一方で、裏腹ではありますが多様な社会であるがために離れていっているのかなとも思います。そういうことも含めて、我々実は子どもたちに対してただのキャンプじゃなくて防災であるとか、体育館の中で段ボールで寝てみようとか、いろんなキャンプの形も実施しているのが現状です。
 次のページに昨年の8月に、NHKのニュース9の中で「子ども会はいま」と特集していただきまして、大分県での子ども会の実例でしたが、報道されましたいくつかのエピソードがあったのですが一つ、取り上げらると、解散した子ども会がそれじゃまずいんじゃないかということで復活しているというエピソードがありました。実はやめてもいいんじゃないかという声は出ていたそうですが、いや、やっていてよかったというお母さんでしたけど、インタビューにこたえて出ていらっしゃって、その中で、僕がちょっと考え過ぎかもしれませんが、この方、モザイクをかけて出ておられたんです。非常によかったと、私は嫁に来て、この地域のことを何も知らなかったけど、子ども会のおかげで、あの人が自治会長だよ、この人が何とか委員さんだよとかいう話があって地域とつながれて話ができてよかったんだ、ありがたかったんだという話でしたが、実はモザイクがかかっていたんです。つまり、こういった子ども会活動とか地域活動を是とする意見というのは、私はそのお母さんの顔を出してほしくないとお考えなるような
社会の空気感の問題になってくるのではないかということを、私は個人的に感じています。
 駆け足で恐縮ですが、最終的にまとめとなります。実は私、一番最初の牧野先生からお話があったと思うんですが、学校教育と社会教育という話じゃなくて社会教育の中の学校教育というのが何でこんなにしっくりきたのかなとずっと振り返っておりましたら、実は私、子どものときに、学校いわゆる国語、算数、理科、社会はそんなに得意ではなかったんですが、地域活動には比較的重宝された人間でして、学校の先生に、美田、おまえは勉強は駄目だけど、地域活動はすごいなというお褒めの言葉をいただいたんです。
 このような言葉は今は、ないなと思ったんです。地域活動のことを、学校の先生は多分知らないんだろうなと。僕らの幼少期の頃はあありまして、それって、実は社会教育の中の学校教育とか、逆だったとしても、学校教育の先生方が社会教育にも携わっていらっしゃった時期だったのかもしれません。そんな状態が来ると本当にいいのかなというふうに子ども会としては思っております。
 最後になりますが、我々子ども会としては、失われつつある体験を補うことができる可能性がある団体と勝手に自称しております。しかしながら、ちょっと一歩間違えると、そうではない団体になってしまいますので、その辺も肝に銘じながら、現在活動を、さらに変化を続けているところです。
 
【清原部会長】  美田委員、ありがとうございます。子ども会の可能性ということで、子ども会連合会の取組を踏まえつつ、子ども会の課題と、それから今後についてお話ししていただきました。皆様、今の御発表をお聞きになって御質問あるいは御意見ありますか、どなたからでもどうぞ。関委員、お願いします。

【関委員】  関でございます。美田委員、ありがとうございました。
 子ども会の組織的な活動は、私どもの市では残念ながら私が知っている40年間にはあまりありませんでした。自分の自治会で子供に対していろんな体験活動を提供するような場はあったのですが、全国とつながる組織としての活動はなかなかできていませんでした。
 一点質問ですが、平成十年代半ばからの地域子ども教室の活動、その後の放課後子ども教室のような活動が起こり、さらにその後の学校支援地域本部活動、あるいは今の地域学校協働活動のようなものが広がっていく中で、今まで子ども会の組織の中で対応していたものが、そちらに置き換わっていくことによって、結果的に子ども会活動に関与する人が減少するようなことはございませんでしょうか。それであれば、子ども達と関わる活動の総体は決して減っていなくて、子ども達に対しての体験活動の機会自体は維持されているのかなと思うのですが、その辺についてご所見教えてもらえたらありがたいです。

【清原部会長】  ありがとうございます。子ども会活動と放課後の地域子どもクラブ等との関係についての御質問です。いかがでしょうか。

【美田委員】  それによって減ったという感じはしておりませんが、実際、放課後児童クラブを子ども会、市子連組織が使っている地域もあります。今コミュニティ・スクールも実は我々の活動に非常に類似しているので、ぜひやろうということで旗を振って、アナウンスしてもらってというのが実情です。

【清原部会長】  よろしいですか。ありがとうございます。それでは、柏木委員、御発言お願いします。

【柏木委員】  ありがとうございました。本日の議論事項に関連して申し上げます。
 まず、PTAや子ども会などの団体が連携することによって、どのような効果が得られるのかというところですけれども、子供を軸にして考えると先ほどの御報告にもありましたように、多様な人たちから褒められるということがまず起きやすくなりますので、子供がいろいろな角度から承認を得られるというような状況が多く起きます。そのため、子供の自己肯定感が上がったり、様々な意欲が高まるということが実証されていると思います。そして、子供が様々な体験をすることができるとともに、それをいろいろな人とのつながりの中から行うことができまして、社会には何か信頼できるところがあるなとか、希望を見いだせるなとか、そういうような効果があるように思います。
 このさらなる連携強化のためのどのような方策がというところなんですけれども、PTAや子ども会に加入することの何が大きな問題かと申し上げますと、やはり子育てをしながらそういうところに参加して、しかも活動する時間を割くというところで非常に保護者の方がしんどいというところがあると思います。
 例えば放課後あるいはそういう土日にその活動を自分がしようと思うと、もう2週間ぐらい前から子供に、この日は活動するからちゃんとしてねというようなしつけをして、それから1週間ぐらい前から買い出しに行って、その日の夕食とかそういうものがスムーズにできるように、もう献立も考えてというような一連の計画をしなくちゃいけないんです。本当にしんどいんです。
 ですので、やっぱり子ども会とかPTAというのもその保護者が何かしなければいけない場ではなくて、子供を真ん中につながる会というような形で考え方を変えまして、保護者以外の方々がその中でそういう業務を担っていく。そして、さらには、過疎地域なんかではもう生まれた子供が4人とか3人とかいうようなところもありますので、その地域の子供でなくても、他地域の子供が参加できるような子ども会の在り方みたいなものも考えていっていいかなと思います。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。メリットとして子供たちの自己肯定感が高まる可能性、しかしながら、運営に対するとりわけ保護者の負担感などを軽減していく必要性など問題提起いただきました。
 それでは、杉野委員、お願いします。

【杉野委員】  美田委員、ありがとうございます。名古屋市、子ども会にすごく熱心にずっと取り組んできました。名古屋は単位子ども会と学校、単区、学区連、区子連、市子連という組織でずっと歴史的に守ってきたんです。私も実は子供に関する部局の局長もやっていましたので、子ども会を何とか奮い立たせようと、いろんな予算を打っていろんな施策をしてきました。昭和54年には加入率が76%以上ありましたが今、令和6年度の数字ですけれども、加入率が18%まで落ちています。子ども会の中で保護者の方は嫌々でも役を引き受けた結果、自分も成長できてすごくよかったとおっしゃいます。
 子ども会に参加した子供たちもとても楽しかったと言いますし、子供たちの体験活動、異年齢との交流、学校では分からない、いろんな関係性を大人で結びつける。意義もすごく分かっています。
 保護者の負担を減らそうと言ってアシストバンクもつくりました。子ども会を助けてくれる人たちを登録をして、保護者の負担をなくすよう徹底的にサポートして、親が楽になり、子ども会はそこに参加すると楽しめるという会ができないだとか、私は単子さえあればいいから、学区子連と区子連を潰してしまえばいいんじゃないかとか、いろんなことを検討をしましたし、予算を打っていろいろやっても急降下で加入率が下がっています。これが社会教育との関連性の中で盛り上がると私はちょっと思えないところもありまして、子ども会という組織の意義を社会教育の中で継承できるなら期待したい。私は子ども会に愛がありますので、行政として、何とかして奮い立たせたいと思っていますけれど、予算を打ってこれだけやって、なおかつ加入率がここまで下がると、起死回生のチャンスのように加入率を上げていく策は難しいのではないかと懸念しています。ぜひ何かいいヒントがあれば教えていただきたいと思います。

【清原部会長】  ありがとうございます。なかなか厳しい状況であるということをお話しいただきました。
 それでは、オンラインで御参加の東委員、そして、会議室から村井委員、山本委員までで、本日の発言はお願いしたいと思います。
 まず、東委員、オンラインから御参加の方、それから、既に12時半を回っておりますので、お仕事等おありになる方はどうぞ退席をしていただいて結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは東委員、お願いします。

【東委員】  喜入マナビバの東です。私、本当に小学生の頃、子ども会活動大好きで、すごく楽しく参加させていただいていて、私が参加していた子ども会は小学生まであったんですけど、何でこんなに楽しかったかなとちょっと思い返してみると、私が言った子ども会は、小学6年生が子ども会活動の企画を行っていて、同じ集落の友達と一緒にあれしたい、これしたいと話し合いながら自分たちで企画していたので、自分たちが企画したことが実際にできるということがすごく楽しかったんだなというふうに、今回お話を聞きながら思っていました。
 また、私、大学進学を機にこっちの新しい地域に上京したんですけど、上京したばかりの頃は本当に家に帰っても一人で、この地域つながりもなくて、何もその地域について知らない状態で、すごく何か独りぼっちみたいな気持ちになることが多くて、本当に前半のお話ともちょっとつながるんですけど、その地域に居場所がないように感じていたということもあって、何か今回の子ども会の活動とかに大学生とか、ほかの地域から来たような人たちも関われるような機会があれば、すごくうれしいなというふうに聞きながら思っていました。何かお手伝いとかでもすごくうれしいので、そういった機会をつくることもいいのかなと思いました。
 以上です。

【清原部会長】  ありがとうございます。御自身の経験から子ども会の企画リーダーを務めた意義や、あるいは大学生が自分と異なる地域でも参加できるような運営についての御提案いただきました。
 それでは、村井委員、お願いします。

【村井委員】  社会教育応援大使の村井美樹です。実はちょっとこうやって発言させていただくのは初めてなんですけど、今年の4月から娘が小学生になりまして、私もここにずっと参加させていただいて、自分も何かそういうのに関われたらと思って、学校を見てみたらまずコミュニティスクールがないんですね、子ども会もないんです。地域学校協働本部はあるということで、ちょっと何かお手伝いできないかと聞いてみたら、もう、人いっぱいなので、足りていますって言われて断られてしまったんです。何か子ども会も必要だと思うし、コミュニティスクールだって必要だと思うんですけど、じゃあ私は何をすればいいんだろうという何か方法がよく分からなくて、PTAもあるんですけど、コロナ禍でどんどんどんどん人を、やっぱり保護者の方の負担を減らそうということで、5人ぐらいで回していて、ほとんどもうほかの保護者は関わっていない状況で、必要なときだけ、運動会とかで人手が必要なときだけ手助けを募るぐらいな感じで、そこにちょっといきなり飛び込むのは無謀過ぎるというか、その5人の中の1人に入っちゃったら、今もう自分の仕事をやりながら、子育てしながらで手いっぱいのところに抱えきれる自信がなくて、でも何かしたいという思いもあるんですけれども、どうすればまずいいかというのを皆さんにアドバイスいただけたらなと思いました。すみません、完全に個人的なことなんですけれども。

【清原部会長】  村井委員、ありがとうございます。私たちが常に念頭に置かなければいけないのは、普通の一般の国民、住民の率直な思いだと思います。今、小学校に入学されたお子さんを踏まえて村井委員が体験されたこと、そこをやはり活動したい、地域で何かしたいというときの本当に入り口をどう私たちが用意していくかと、これこそ社会教育の一丁目一番地の問題提起をいただいたものだと思います。
 会議終わりましたらアドバイスがいっぱい届くと思いますので、それをお待ちくださいませ。それでは、山本委員、お願いいたします。

【山本委員】  東神楽町長の山本でございます。
 私の町は、社会教育は頑張っているほうかなと思っているんですけれども、子ども会についてはほぼ厳しい状態になっています。やっぱり子供がいるところでやるというふうになると、いなくなるとやめちゃうということになるので、いかにその子供や、保護者から子ども会を放すのかというのが実は大事なような気がします。そういう意味で社会教育的な要素がもっと強くないとと思っています。
 宮崎県綾町に行ったときに、あそこで自治公民館制度があって、僕はあそこの自治公民館制度って非常にすごいなと思ったのは、子ども会とか子ども会育成会が、自治公民館組織の子ども会部、子ども会育成会部というような形で、既に公民館とかにビルトインされているんですね。ああいうのってやっぱりこれを永続するきっかけになるんだろうと思いますし、また、その自治公民館の組織として防犯とかそういったのも入ったりするので、やっぱり該当する人だけしかやらないような組織じゃなくて、もっと包含してやるようこと、これは美田さんがおっしゃっているようなことがまさに正しいことだと思っています。地方でもなかなかでもそうはいってもできないというところでございまして、それをちょっと何とかしたいなと思っています。ありがとうございます。

【清原部会長】  町長のお立場からありがとうございます。
 以上、皆様から美田委員の報告を踏まえて、いろいろな現状や御提案がありましたので、美田委員からも、一言何かありましたらどうぞ。

【美田委員】  柏木委員からもありました三、四人しかいない地区とかの件もあわせて私たちも古い文献等を検証しておりまして、一単位子ども会は10名程度が望ましいという言葉を見つけました。これはまさにその10人という組織の中で、会長、副会長、会計をしてとか、多分子どものうちに役割を体験するという意味だと思うんです。先ほどの過疎地域における、自治会の在り方とかも農林水産省様の今日の話も、10戸を下回ると一気に活動が下がる。これはまさにそうなんだろうというふうに感じておりました。何とか結構やっている地域はやっているんです。名古屋もごく一部の特定の方が頑張っていらっしゃって、名古屋も何とか持っている感じですが、何かただそれがいざなると、たとえばその人がいなくなると一気にガタガタと来るということもあるという実情です。

【清原部会長】  ありがとうございます。本日、こども家庭庁から「こどもの居場所づくり指針」と具体的な取組なども紹介されましたが、まさに子ども会は、この「居場所づくり指針」が出る前から長年にわたって、子供の居場所、活躍の場所として取り組んでこられたわけですから、そのことが今日再確認できてよかったと思います。美田委員、ありがとうございます。
 それでは、皆様の御意見をたくさんいただきました。冒頭ちょっと時間管理の責任から短くとお願いしましたけれども、実はご発言を短くするための御努力の中にも皆様から大変重要なエッセンスをいただきました。本当に大幅な超過時間を皆様、お付き合いいただきまして、ありがとうございます。本日、文部科学省総合教育政策局担当の大臣官房審議官の橋爪様、そして、このたび社会教育振興総括官に就任された神山様も御一緒に会議室にいていただきまして、しっかり傾聴していただいたと思います。これから私たちの特別部会の取組をまとめていく際の重要なキーワードや視点が今日はたくさん出されました。
 事務局におかれましては、どうぞそれを反映した取りまとめに向けた御準備をお願いいたします。
 それでは、皆様、熱心な御意見を本当にありがとうございます。今回は、私自身が議題を副部会長と設定するときに、絶対会議時間が長くなると思ってはいたのですが、すみません、本当に長時間となりまして、お付き合いいただきました皆様の熱意に感謝します。このことがきっとこれからの審議にもプラスになると確信しています。皆様の御意見に感謝して、本日閉会したいと思いますが、まず事務局から事務連絡ございましたらよろしくお願いします。

【林社会教育企画調整官】  事務局でございます。今後の審議予定につきましては、皆様に別途連絡いたします。時間超過の中、1点だけ御紹介させてください。今日対面でお越しの委員の方々にはチラシを配らせていただきました。8月2日に千葉県千葉市で行われます「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」を開催いたしますので、御都合よろしければぜひ御参加ください。
 以上でございます。

【清原部会長】  それでは、先ほど速報が届きまして、関東、北陸、東北等梅雨明けだということでございます。梅雨明けとともに涼しさが来るわけではございませんので、皆様、どうぞくれぐれも御自愛いただきまして、次回またお元気に参加していただければと思います。
 それでは、本日の特別部会を閉会いたします。皆様、ありがとうございます。

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