令和7年6月27日(金曜日)10時00分から12時00分
文部科学省3階 3F2特別会議室 ※WEB会議併用
(委員)清原委員,萩原委員
(臨時委員)青山委員,安齋委員,内田委員,小田切委員,柏木委員,金澤委員,古賀委員,小見委員,杉野委員,関委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,八木委員,山本委員
(事務局)橋爪大臣官房審議官,神山政策課長,中安生涯学習推進課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,降籏日本語教育課長,髙田地域学習推進課長,林社会教育企画調整官 他
【清原部会長】 皆さま、おはようございます。定刻になりましたので、ただ今から第8回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。
本日は、ご多用のところ、また全国的に梅雨明け前から30度、35度を超す猛暑の中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。本会議は、対面とオンラインを併用して開催いたします。なお、本日は、YouTubeのライブ配信に加え、会場でも報道関係者の傍聴を受け入れております。報道関係者から会議の全体について録画を行いたい旨申し出があり、許可しておりますのでご承知おきください。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入ります。
本日の会議は、12時まで開催を予定しています。委員の皆さまの貴重な時間を頂いていますので、限られた時間の中で自由に充実した議論ができますよう進行に努めます。会議の円滑な進行へのご協力のほど、改めてよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日は諮問における審議事項の「2、社会教育活動の推進方策」のうち、2つ目の「共生社会の実現に向けた障害者・外国人等を含めた社会教育の推進方策」について意見交換をしていただきます。皆さまの意見交換がさらに自由闊達(かったつ)なものとなりますように、本日は八木委員と社会教育実践研究センターの佐藤センター長に発表をしていただきます。お二人の発表をしていただきました後、事実確認の質疑応答を行います。そして、さらに事務局から説明をしていただきまして、その後皆さまに意見交換をしていただきます。こういうような手順で本日運ばせていただきますのでよろしくお願いいたします。
それでは、八木委員からご発表をお願いいたします。
【八木委員】 熊本市国際交流進行事業団、八木です。共有されているスライドにそって、外国人住民を巻き込んだ地域での多様な学び」をテーマに20分程度で発表させていただきます。発表の内容は、1~4のとおりです。写真は9カ国の方々と熊本城の城下町のまち歩きをしているところですけれども、地域においてもこのように外国人の方は多様化しているということです。
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本日のテーマを論じる時には、最初に外国人住民の状況というものを俯瞰(ふかん)しておくことが必要です。日本全体の外国人住民数の推移を左側、総人口と日本人人口の推移を右側のグラフに示しました。外国人住民はリーマンショックや新型コロナウイルス感染症の影響で減少した時期がありますけれども、全体として増加をしております。一方、日本人の人口はもう誰も止められない減少期に突入しています。
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外国人住民の増加の背景について4つのポイントでまとめてみました。
まず、1つ目のポイントですけれども、出入国在留管理庁の最新のデータ、昨年2024年末になりますけれども、376万8,977人となり、過去最高を記録しました。注目したい点は、スライドの下ほどにあるここ数年の総人口と外国人住民数の推移です。日本の総人口は毎年、1年間で50万人減少しています。これには30万人の外国人の増加が含まれています。日本人だけの人口は80万人減少しています。政令指定都市である熊本市の人口が73万人ですので、1年間で熊本市が消滅する速度になっているということです。
写真は、熊本県八代市の農家で働くカンボジア人の就労者の作業風景ですけれども、人口減に加えて超高齢社会の中、外国人の力なしには経済が成り立たない状況になっています。
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2つ目のポイントですけれども、増加する外国人住民の多様化、多国籍化です。長いスパンで見た時に、1950年代、ほぼ韓国・朝鮮出身の外国人住民、これが1989年、入管法の改定によって「定住」在留資格ができ、ブラジル国籍、ペルー国籍の方が増え、数年後に技能実習制度が始まっています。このグラフの右側で、棒線の色が華やかになっていますが、国籍が多様化しています。ベトナム、インドネシア、フィリピンなど、東南アジアからの外国人住民が増えているということです。これは、言葉の違いに加え、文化、習慣が多様化し外国人住民の課題も多様化しているということが言えます。
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3つ目、4つ目のポイントをこのスライドでまとめて説明をします。スライドの右側ですけれども、外国人住民のライフスタイル、世代が多様化しています。外国人住民の働く職種が多様化しています。働き手が不足する分野が明らかに増えているということです。また、外国人住民も定住、永住化する中で、家族を持ち、子供から高齢者まで幅広い世代になっています。ただ、日本の超高齢社会の中で外国人住民は比較的に若い世代が多く、災害時に彼らが支援者側になり、地域の担い手になる可能性を示唆しています。インバウンドで増える外国人訪問者へ同じ視点からのきめ細かな対応もできるということです。
4つ目のポイントですけれども、外国人住民の増加は地域に広がり、国籍や活動別のコミュニティが形成されています。真ん中の写真ですけれども、上はベトナム人コミュニティ、下はイスラム教のコミュニティの様子です。そして左側の下ですけれども、1990年代外国人就労者が増え始めた頃、日本人も働き盛りの世代でした。外国人住民の受け入れは、日本の産業のさらなる発展のためにあったといえます。外国人住民は支援の対象でした。ところが今、人口減・少子高齢化が進む中で、外国人が共に地域をつくる存在となっています。外国人を受け入れている国は日本だけではなく、今日本が外国人から選ばれる国にならねばならないこと、そうしないと経済維持ができないことも議論されています。
上の図ですけれども、外国人住民受け入れを4段階に分けてみました。右側が多文化共生と言える段階です。少し前までは外国人住民とのすみ分け、共存であればよかった時代でしたが、今はまさに共生が求められる時代に変化しています。
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そのことを都道府県毎の外国人住民比率グラフにしました。外国人住民数であれば都道府県の人口規模によって差が出てきますけれども、これを人口割にした時には外国人住民が全ての都道府県に広く居住されているということが分かると思います。
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外国人住民の増加を、取り巻く社会環境の変化から見ていきます。2019年に在留資格「特定技法」が施行されました。この時がターニングポイントであると考えています。
4つの変化を示します。1つ目は国の動きで、各省庁横断的に外国人受け入れの対応を進展しているということです。文科省は日本語教育をキーワードにして、さまざまな取り組みをされています。2つ目は、新型コロナ感染症の影響です。規制緩和後も社会の分断が続いています。個人的には、そのような中、誰一人取り残されないというよりも、外国人も含め誰もが活躍できる社会への変化というのが重要であると思っています。3つ目、4つ目はデジタル技術の進展、そして自然災害の頻繁、激甚化ということです。熊本の場合は、これに台湾の半導体大手TSMCの進出という特別な事情もあります。
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外国人住民が日本で生活する上で課題となることを考えていきます。重要な点は、外国人をひとくくりにせず、言葉、文化、習慣、また年齢によって課題が異なってくる点です。ここでは、言葉、文化、心、制度という4つの壁を記載いしました。課題は、災害時など緊急時には増幅をされます。右側に記載をしましたけども、ちょうど9年前、熊本地震の時には外国人被災者が日本人以上に課題を抱えた例です。
1つ目は、日本語に関して、災害時に使われる言葉が普段使われない特別な言葉であった点です。日本語に不自由しない外国人にとっても非常に難しかったということです。「給水」という例を挙げています。ただ、このことは災害時だけではなくて学校教育で使われる学習言語にも言えることであると思います。
次に、文化、習慣の違いですけれども、ここでは「ご自由にお取りください」という事例を出しました。外国人被災者が文字どおりに理解して行動した時、周りの日本人からは変な目で見られた、摩擦が起きたことが報告されています。多言語対応に関しては、多言語表示であることで外国人被災者が避難所に受け入れられる承認効果があったことも追加をしておきます。
次のスライドをお願いいたします。
外国人住民の生活課題の原因については、文化的な背景、経験値から持っている情報が違う、すなわち、ストックされている情報が違うということがあります。災害時のケースですけれども、災害が少ない国の出身者は避難訓練をしたことがなく、「逃げろ」と言われても、どこへどのように逃げていいか分からないわけです。ところが、外国人への情報提供が日本人のスタートラインから始まったら言葉が理解できても、どのように行動していいのかわからない状況が起こります。このストック情報の差は、普段の教育や生活の中で埋めていくということが大事です。
次のスライドをお願いいたします。
ここで、補足を2つしておきます。1点目は、生活課題を抱える外国人住民には多文化パワーがあるということです。熊本地震での例ですけども、3つ例を挙げました。ここでは熊本大学での例のみを紹介します。熊本大学では、留学生が避難所の運営をしていました。子供への英語活動とかゲーム、映画の上映会などを行っておりました。「静かにしておくべき」と思われがちな避難所で楽しく過ごすことで反って不安を解消していくことができることを教えてくれました。日本人側が多くを学んだところです。
次のスライドをお願いします。
2点目の補足は、コミュニケーション言語に関してです。外国人にとって緊急時に一番安心できる言語は母語です。
ところが、地域の人たちと共に活動するという時には、お互いにコミュニケーションができる言語が一番安心できる言葉に変わるということがあります。例えば、アジア系の方が多くなってくる中、コミュニケーション言語が双方の母語ではないやさしい英語になる可能性もあるわけです。
次のスライドをお願いします。
次に、外国人住民を受け入れるホスト側である地域の現状と課題について見ていきます。一般的には、国際交流の推進は、「若い世代の国際理解になる」、「地域活性化になる」ということで賛成だと思います。ただ、ゲストとして受け入れている段階はそうですけれども、同じ住民として受け入れる段階になると否定的なことをよく聞きます。異なることへの畏怖感があるようです。小さい頃からの経験、同一性を求める教育、ある意味曖昧、相手に分かってもらう日本の文化から外国人住民を生活者と受け入れる時に課題が顕著化するわけです。違いを埋めるコミュニケーションが非常に重要で、この1つのキーワードが「やさしい日本語」です。日本人側が異文化を理解し、分かりやすい言葉で話しかけることで、相互のコミュニケーションは大きくアップしていきます。
次のスライドをお願いします。
熊本での外国人住民と地域住民、社会で実際に起こった課題事例を分野ごとに挙げています。多くの事例が、文化・習慣の違いから相互理解が取れなかったことが原因です。
次のスライドをお願いいたします。
外国人住民を巻き込んだ社会教育が地域全体のウェルビーイングにつながっていく可能性について考えていきます。強いて「外国人視点」を検討すべき理由というものを挙げました。外国人住民に日本語や地域を学んでもらうというより、地域住民と外国人住民が共に学ぶこと、日本人側が学ぶことが重要であるという点を挙げています。本日は、特に3点目と4点目を強調し、説明します。
3点目に示した点ですけれども、外国人住民への支援施策が言葉の違いから彼らを取り出して個別に行われていることが多いことが課題の一つです。例えば災害支援、子供のケアなどで、多言語通訳者と外国人支援の専門家が外国人住民を取り出してイベントを行っているということがあります。しかし、子供の健診、親子教室などを外国人家族と日本人家族が一緒に行うこと、地域包括ケアや自治会活動に外国人住民も一緒に入って行っていくことが必要であると考えます。そこで、外国人固有の言葉、文化の課題を地域住民が一緒になって整理していく、特に外国人住民の増加にあっては重要な点であると思います。
4点目に示しましたけれども、外国人住民が増加していく中で、彼らのコミュニティ化が活発になります。メンバー相互の助け合いになります。しかし、一方彼らだけでのコミュニティ活動では、正確で重要な地域情報にアクセスできない可能性が出てきます。地域との分断をつくり出し、災害時の課題に加え地域の治安にも影響が出てくる恐れがあります。右側に示しましたけれども、多文化共生の地域を推進していくということは、外国人住民も当事者となって共につくっていく、多文化共生という大きな枠組みの中、多文化共創社会になっていくことが大事であると思います。
次のスライドをお願いします。
多文化共創社会では、共に学ぶ、実践するということが大事であると思います。3点挙げますけれども、「グローバルコミュニケーション」、「異文化理解」、「ボランティア学習」が重要と考えます。グローバルコミュニケーションに関しては、スライドの左側に図を描いていますけれども、多様性、渦巻き的な思考、時間を大事にする通時性などが日本の典型的な考えです。一方、国外では多元性、直線的な思考、事を大事にする通事性など異なるか考え方があります。こういった違いを埋めていく、自己の考えをきちんと説明する、分かり合えるためのグローバルコミュニケーションが必要です。
異文化理解に関しては、人は誰でも育った環境、経験値から気付かない先入観や偏見、アンコンシャスバイアスを持っています。これがあることを認めるということが大事なことです。
そして、ボランティア学習の有用性です。社会実践を通して社会への責務を知ることや誰でも自由に学べる権利があること、また多様な人たちが一人一人お互いに大切な存在であることを理解することが大事です。スライドの右下にまとめました。「自分の中の偏見を認める」、「自分の考えは誰にとっても正しいのかを常に自問する」、「相手にとって敬意を払う」、このようなことが生活の中で意識されることが大事であると思います。
次のスライドをお願いいたします。
外国人住民と共に学ぶ社会教育の実践で、多文化共生分野からの提案になります。イベント、連携、人材育成という面で考えてみました。イベントに関しては、括弧内に示した視点が大事であると思っています。特に、来年東日本大震災から15年、熊本地震から10年という節目に当たり、今南海トラフ巨大地震、首都圏直下型の地震が想定される中、災害をつなぎ、風化させないことも社会教育の役割であり、特に文化・習慣の違いから情報量が少ない外国人を災害弱者にしないために大事なテーマであると思います。
連携に関しては、外国人住民を地域、自治会にいかに巻き込んでいくかということが大事だと思います。一つは、文科省が進められている日本語教育の推進、地域日本語教育を普及・拡大していくことがあります。
次のスライドをお願いします。
外国人住民と共に学ぶ視点から社会教育での人材育成について考えてみました。大学での一般教養で外国人との共生を学び、専門的学習・研究につなげていくことが大事であると思います。特に学校教育、社会教育分野に進んでいく教育学部の学生が、外国人と交流し、ボランティア学習をとおし学ぶ機会を設定することが大事であると思っています。2年前から熊本大学では、これを社会教育経営論と支援論の中で行いました。調査、企画立案まで終わって、今年度は社会実践活動を行う予定です。
次のスライドをお願いします。発表としては最後のスライドになります。
目標を、外国人住民を含めた多様な人たちと支え合い、誰もが活躍できる共生社会を構築することとしました。地域社会のウェルビーイングの推進ということになります。課題や状況を記載はしておりますが、まとめとして右側の下の部分、黄色い網掛け部分ですけれども、外国人住民も地域を支える担い手として活躍できる地域づくりが目標です。そのためには、外国人住民と地域をつなぐつなぎ手の存在が重要となります。社会教育人材は、つなぎ手からさらに各地域の状況に合わせてウェルビーイングをいかにデザインしていくか、地域のウェルビーイング実現のためのクリエーターとなることが必要になると考えます。
以上で発表を終わります。どうもありがとうございます。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。
八木委員におかれましては、一般財団法人熊本市国際交流振興事業団常務理事として外国人住民の増加についてデータに基づいてご報告いただきますとともに、多様な事例を踏まえながらご提案をいただきました。「多文化共創」ですとか「グローバルシチズンシップ」ですとか、また「地域社会におけるウェルビーイング」といった重要なご提言をいただきました。感謝いたします。
それでは、続きまして、「資料2、共生社会の実現を推進する社会教育とボランティアに関する調査研究」について、佐藤センター長からご発表をお願いいたします。よろしくお願いします。
【佐藤国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長】 ありがとうございます。国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
このような場で当センターの取り組みを報告する機会を頂きまして、まず感謝のほう申し上げたいと思います。
併せまして、日頃より当センターの取り組みに格別のご高配を賜りまして、この場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。
私のほうからは、令和4年度から昨年度までの3カ年で実施しました調査研究、共生社会の実現を推進する社会教育とボランティアに関する調査研究について、その結果の概要を報告させていただきたいと思っております。
初めに、当センターのことについて簡単にお話ししますと、参考資料集の62ページに、昨年度時点のものではございますが、当センターの概要が入っておりますので、ぐだぐだ概要を申し上げるつもりはございませんが、当センターは昭和40年7月に国立社会教育研修所として設立されまして、何度か組織再編を踏まえて平成13年4月に現行のセンターとして運営のほうをしているというところでございます。現在は、研究所の一センターとして運営のほうを行っておりますので、開設当初より行っている社会教育関係者への研修事業とか、あとレファレンスなどの自治体との支援等と併せまして、社会教育に関する調査研究事業にも力を入れて行っているところでございます。
あと、これも余談でございますが、スライドの左下のほうに、ロゴマーク、キャラクターを付けさせていただいております。先ほど申し上げましたとおり、昭和40年から今年、来月で60周年を迎えることから、現在当センターでは記念のロゴマークなど作成して、より関係者に親しみを持っていただけるように活動を行っているところでございます。別に回し者ではないのですが、ちょうど雑誌『社会教育』(日本青年館発行)7月号でも当センターのほう、特集として取り上げていただいておりますので、併せてご覧いただければと思います。
すいません、ちょっと余計な時間頂きました。
それでは、調査研究の概要について報告のほうさせていただきたいと思います。
まず、調査研究の背景についてでございますが、本日お集まりの委員の先生方はご存じかと思いますので、本当に簡単にしたいと思いますが、本調査研究を企画していた頃は、第10期の中央教育審議会生涯学習分科会において「多様な主体の協働とICTの活用で、つながる生涯学習・社会教育 ~命を守り、誰一人として取り残さない社会の実現へ~」ということで議論がされていたかと思います。
また、調査研究開始直後も引き続き中教審の議論に基づいた国の政策や、障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方研究会での議論などがなされてきたところかと思います。
このような背景を踏まえまして、当センターでは調査研究を実施するということに至ったというところでございます。この調査研究の目的につきましては、記載のとおりでございます。共生社会の実現を推進するための取り組みの実際について、その取り組みに関わる地域住民等の学習活動やボランティア活動等の実態と、社会教育行政職員及び施設職員の意識等を把握するとともに、事例分析を通して共生社会の実現を推進する研修事業等の在り方や、その充実方策について考察するという目的で実施したというところでございます。
本調査研究を行うに当たりましては、ご覧のとおりの先生方のご協力を頂いております。神戸大学の津田英二教授をはじめ、本日この場にもいる当研究所の志々田総括研究官などにも委員として参画いただいてご議論いただいたというところでございます。
調査研究の方向性としては、委員の先生方からご議論いただきまして4つの方向性を考えたところでございます。1つ目は、社会教育を基盤とした各地の取り組みを「まなぶ」、「つどう」、「むすぶ」の視点から分析して、先進的事例から具体的な実践内容やその成果を考察するということ。2つ目は、社会教育行政職員や施設職員が共生社会の実現に向けた施策等を推進していくための条件や障壁となる事柄、またボランティア活動の実態等を明らかにするということ。
3つ目は、課題解決のための方策や条件、ボランティア活動に参加する人への支援方法等を明らかにするということ。4つ目は、その結果を社会教育関係者へ普及、啓発するということ。これらの方向性に基づきまして、本調査研究では大きく質問紙調査とその質問紙調査で得られた情報を基にヒアリング調査を行うという2本立てで調査研究を実施したというところでございます。
まず、質問紙調査についてでございます。対象は都道府県、指定都市、市区町村の社会教育行政職員及び都道府県、指定都市、中核市の公民館、図書館、博物館、生涯学習センターの施設職員、各機関1名ずつ回答いただくということで、令和5年7月から8月にかけてアンケート調査を実施したものでございます。
回答数についてはご覧のとおりでございます。行政については1,129自治体、施設については計483施設からの回答を得たところでございます。
ここからは、質問紙調査結果の一部をご紹介したいと思っております。まずは、行政調査についてでございます。初めに、自治体の行政計画の中に共生社会の実現に向けた生涯学習に関する項目があるかないかというところを尋ねてございます。結果は、行政計画の中に共生社会の実現に向けた生涯学習に関する項目を盛り込んでいる自治体は約45%と、また、その内訳を見ますと、自治体の規模が小さくなるにつれてその割合が減少しているというところが分かったところでございます。
次に、障害者の生涯学習に関する事業の有無について尋ねたところでございます。障害者の生涯学習に関する事業を行っている自治体は約14%、また事業に関して課題となっていることを尋ねたところ、「職員数が少ない」、「人材育成や意識、情報が整っていない」などといった人材不足に関することが上位を占めたというところでございます。
続きまして、生活者としての外国人等の生涯学習に関する事業の有無を尋ねてございます。生活者としての外国人等の生涯学習に関する事業を行っている自治体は約1割ということ、また、事業に関して課題となっていることを尋ねたところ、障害者の生涯学習に関する事業と同様に、人材不足に関する理由が上位を占めたというところでございます。
その他の共生社会の実現に向けた生涯学習の事業の実施状況についても併せて尋ねてございます。最も多いのは、高齢者に関する事業で約27%と、あと、その他としまして、例えば貧困状況にある子供に関する事業や、孤独・孤立の状況にある者に関する事業というのはごくわずかだったという結果でございました。
次に、共生社会の実現に向けた生涯学習に関するボランティア活動の有無を尋ねたところでございます。ボランティア活動を実施している自治体は8.8%、1割にも満たないという状況でございました。自治体のほうもボランティア不足を課題に挙げているというところでございます。
15ページは、ボランティア活動をしていると答えた前のスライドの99自治体にボランティアの登録制度の有無を尋ねまして、登録制度がある、ない、それぞれの成果をクロス集計したものでございます。その結果、いずれの項目も登録制度のある自治体のほうが、成果があったと答えているということが分かりました。
以上、行政職員対象に行った調査の結果をまとめると、記載のとおりでございます。基本的には、今説明させていただいたことをまとめてございますが、3つ目の丸につきましては、今日は触れておりませんが、計画の策定や事業の実施についてアンケート調査を少し深堀りしますと、それぞれの課題に対応して事業展開等に地域差が見られたというところでございます。
例えば、生活者としての外国人等の生涯学習について、総務省が行っている国勢調査にある都道府県人口に占める外国人人口の割合と実施があるという自治体とを比較しますと、外国人の人口比率など地域特性が影響しているということが推察されるというところでございます。
次に、社会教育施設調査について回答の一部をご説明させていただきたいと思います。共生社会の実現に向けた生涯学習に関する事業の有無を尋ねたところ、事業を実施していると回答した施設は約6割ということでございます。また、施設の所管が教育委員会か首長部局かというところに分けて実施率を見たところ、教育委員会所管のほうがやや高いという結果でございました。
続いて、施設ごとに見た共生社会の実現に向けた生涯学習に関する事業の実施率を見ますと、図書館、生涯学習センター等、公民館の順になっておりまして、博物館はやや低いという形でございました。
同じく、施設ごとに見た障害者の生涯学習に関する事業の実施率を見ますと、図書館、生涯学習センター等、博物館、公民館の順となっておりまして、図書館が高く、公民館が低いという結果でございました。
今度は、生活者としての外国人等の生涯学習に関する事業の実施率も同様に見させていただいたところ、図書館、生涯学習センター等、公民館、博物館の順となっておりますが、こちらは実施率自体は全体的に低いという状況かなというところでございます。
次に、障害者の生涯学習に関する事業の形式を施設ごとに見ますと、施設の種類によって、例えば図書館では主たる対象を障害者とした事業の割合が半数以上ということでございますが、公民館では障害の有無にかかわらず交流やつながりづくり等を行う事業のほうが割合が高いなど、施設の種類によってその対象とか目的がそれぞれ異なるという結果が見えたというところでございます。
次に、施設ごとに見ました障害者の生涯学習に関わるボランティア登録制度の有無についてでございますが、こちらについては22%と図書館の割合がやや高いというところでございますが、こちらも総じて低いという結果でございました。
以上、社会教育施設職員を対象にした調査の結果をまとめると記載のとおりかと思います。社会教育施設全体で見ると事業の実施は約6割ということになりまして、特に図書館での実施が高いということになります。ボランティア活動については低調であるということと、あと、これは事業の実施数が多い図書館によってしまうため一概に言えるかどうかというのはあるのですけれども、施設全体で見ると主たる対象者を当事者とした事業が多くなってしまうというところです。
第一歩として当事者を対象とした事業を実施することは重要ではございますが、それだけで共生社会の実現が図られるわけではないということかと思います。障害者や生活者としての外国人等、その社会参加への制約の有無にかかわらず、交流やつながりづくり等を行う事業、一般市民を対象にした意識啓発事業、ボランティア育成事業等も重要でありまして、それらも増えないと全体的な共生社会の実現は図られないのではないかということで、調査研究のほうではまとめているところでございます。
調査研究の2つの、2本立ての柱のもう一つの調査であるヒアリング調査について説明のほうをさせていただきます。
ヒアリング調査の調査対象を選定するに当たりましては、質問紙調査の分析を行ってから選定のほうを行ったというところでございます。主管課で実施している障害者、生活者としての外国人等の生涯学習に関する事業の実施率が低いこと、社会教育施設での事業実施に対して障害者、生活者としての外国人等の生涯学習に関する事業に多くの課題があること、多くの自治体でボランティア不足や活動に関する課題があることと、そういった課題が質問紙調査で見えたというところがございましたので、これらの課題を解決して特色ある取り組みを行っている事例を、質問市町村の中から抽出してヒアリング調査を行ったというところでございます。
ヒアリング調査先につきましては、記載のとおりの自治体、あるいは社会教育施設にヒアリングを行ったところでございます。行政は2カ所、社会教育施設は3カ所に訪問して取り組み等を聴取してきたというところでございます。
ヒアリング調査なので、詳細につきましては報告書のほうをご覧いただきたいと思っているところでございますが、今日は時間の関係で北九州市の事例のみ掲載させていただいております。北九州市では、東谷市民センターにおいて、障害者や生活者としての外国人等への理解を深め、地域市民とともに交流体験を行う心のバリアフリー事業を実施しているというところです。地域在住のベトナム人、これは外国人技能実習生の人たちと顔見知りになり、七夕まつりやスポーツ交流会など、あいさつし合える関係づくりを図る文化交流の取り組みを行っていると。複数回実施することによって、地元の祭りやその他の公民館事業にもベトナム人の方々の参加が見られるようになったということでございます。
ヒアリング調査から得られた結果については記載のとおりでございます。今言ったとおり、北九州市の事例しかご紹介させていただいておりませんので、詳細な説明については省略のほうさせていただきたいと思いますけれども、事業が成り立つ背景、蓄積された工夫、事業展開による課題などが浮き彫りになったというところでございます。
以上の調査結果から、考察と提言として調査研究委員会として記載のとおりまとめたというところでございます。まず、質問紙調査からでございますが、共生社会の実現を推進する社会教育に関する事業が量的にも質的にも圧倒的に希少であるということは言えるのかなというところでございます。そのため、社会教育関係者は、社会的に排除される傾向にある人々の存在が社会教育の本質的な課題を提起しているという意識を持つ必要があるのではないかということ、また、学びと実践の循環に関する意識を高める必要があるのではないかということでございます。
2つ目は、ヒアリング調査のほうから共生社会の実現を推進する社会教育事業の成り立ちに決定的な役割を果たすのは、自治体の行政や施設に内在する課題とかエネルギー、そういったものが影響しているというところでございます。先ほど1つだけ紹介しました北九州の事例では、担当者が日頃より気にかけていたベトナムの外国人技能実習生の方々への思いとその思いを形にする契機、この場合はこの担当者がプログラム立案のための研修に参加したというのが契機となったということですが、そういった契機が事業の立ち上げにつながったということです。
ターゲットとなっている層の人たちが実践に参加する機会や、地域住民に社会的に排除される傾向にある人々が抱える問題に出会う機会をつくって、学びと実践の循環を創出するということ、社会資源を動員、活用し、学びの条件を整え、学習者に寄り添い、さまざまな個別の問題に対応し、関係者との対話を繰り返すことなどが重要であるというふうにまとめてございます。
最後に、調査研究の報告としまして、社会教育施設、自治体、国に対して記載のとおり提言をする形で報告のほうまとめているところでございます。こちらもワードだけですので、今日は省略させていただきます。
大変駆け足で雑ぱくな説明で大変恐縮でございましたが、以上で説明のほう終わらせていただきます。今日は概要としてごく一部だけを紹介させていただきました。報告書の全体につきましては、記載のホームページに掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧いただければと思います。
私のほうからは以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
【清原部会長】 ありがとうございます。佐藤センター長よりご報告いただきました。国立教育政策研究所社会教育実践研究センターが創立60周年をお迎えのこと、おめでとうございます。長きにわたり、社会教育の調査研究、研修等にご活躍いただいたことに敬意を表し、感謝いたします。
本日は、令和4年度から6年度にかけて奉仕活動、体験活動の推進、定着のための研究開発ということで、「共生社会の実現を推進する社会教育とボランティアに関する調査研究」の報告書の概要をご説明いただきました。この調査研究のきっかけが、「第10期の中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」であったこと、また、「障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会」の議論も踏まえて調査研究していただいたということで、実情や実態を知らずして私たちが社会教育の在り方を議論するのは望ましくありませんので、まさに本日の社会教育行政職員と社会教育施設を対象とした調査結果のデータと、それから考察というのは、私たちにとって大いに参考にさせていただけるものと感謝いたします。
それでは、ただ今、八木委員と佐藤センター長からご発表いただきました。現時点でお2人の発表に関する事実関係等に関する確認のご質問がございましたら頂きたいと思います。そして、今日のご発表を踏まえた意見交換については、後ほどまたお時間取っておりますが、今のお2人のご発表についてこの点確認したいということがございましたら、オンラインでご参加の方は挙手ボタンを押してください。そして、会場の方も挙手ボタンを押していただくか、あるいは名札を立てていただければ指名させていただきます。どなたからでもどうぞ。
それでは、関委員お願いします。
【関委員】 八木委員、佐藤センター長ありがとうございました。八木委員に質問です。私どもも国際交流のいろんな活動をする中で、実際に私どもの市にも外国の方が結構おられるんですけれども、その人達とつながる時に、雇用している事業所の方といろいろ話をする中で、ハードルが高くなるという経験を結構してきました。外国人の方々が地域の中に入っていくことによって、いろんな情報が流れていってしまって、就労の方に支障が出るのではないかというふうな懸念を持つ事業所の方が結構おられたんですけれども、そういうところを超えていくための何か手法などございましたらご教示いただけたらと思います。
【清原部会長】 ありがとうございます。地域で外国人の方と交流する時に就労との関係で課題があったご経験からの質問です。八木委員いかがでしょうか。
【八木委員】 ありがとうございます。なかなか難しい視点だとは思いますけれども、今全国都道府県市区町村に外国人のワンストップ相談窓口ができていまして、そこで生活から就労、全ての相談を受けています。この中に外国人当事者が相談員として勤めているというケースが増えています。そういった中で、まず新たに来日された外国人の方に対しての生活ガイダンスを開催したり、相談窓口に来てもらい外国人相談員や地域、国際協会、そして自治体とつなげていくような仕組みが今全国で展開されると良いのではないかと思います。
現状では、国際協会と自治体の関係部署が分断されていたり、国際協会や自治体の国際関係部署が外国人に関しては取り出して特別な支援したり、していることが現状だと思います。これを地域包括など、全体的な取組の中に外国人住民という視点を入れていくということが大事であると思っています。
【清原部会長】 ありがとうございます。関委員よろしいでしょうか。
今、ご指摘いただいたように、外国人の皆さまを支援の対象としてだけ捉えるのではなくて、相談員に活躍していただくというような、ピアサポートといいましょうか、外国人の皆さまに外国人支援を担っていただくというような在り方もご報告いただきました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、小見委員お願いします。
【小見委員】 八木委員、佐藤センター長、ご発表ありがとうございました。佐藤センター長にお伺いしたいんですけれども、質問紙調査結果のなかで、障害者の学習に関することであるとか、外国人等の生涯学習に関する事業を実施している施設として図書館が多いという調査結果があると伺ったんですけれども、具体的に図書館ではどういった事業を実施されていて、その実施の企画というのは図書館司書の方が担っていたという理解でいいのかどうか、ちょっとお伺いしたかったです。お願いします。
【清原部会長】 ありがとうございます。佐藤センター長、図書館での実態についてご質問ありました。よろしくお願いします。
【佐藤国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長】 ご質問ありがとうございます。全般的には、恐らく読書バリアフリーとかその辺の関係の事業で、どうしても図書館の関係が多いのではないかなというふうに思うのですけども、もしお許しいただけるのであれば、実際に調査研究委員として関わっていただいた志々田先生に、ちょっと具体的なところをお伺いできればと思うのですが、よろしいですか。
【清原部会長】 もちろん、どうぞ。ご発言お願いします。
【志々田国立教育政策研究所総括研究官】 志々田です。基本的には、先ほど言ったように読書バリアフリー法に基づくものが多い。さらに、昔からなんですけれども、点字翻訳であるとか、それから今でいうとメディア、音声メディアの読み上げのボランティアだとか、こうした地域の方たちの昔からの根強いボランティア活動というのが図書館を中心に行われているというようなところがとても大きいかなと思います。
もう一つは、今度は聴覚の活動というのも、手話であったりというようなものも図書館で関心のある方たちがどんどん横に広がっていって活動をしておられるというような形で、やっぱり本とか情報、特に文学作品だけとかという、いわゆる情報だけじゃなくて、行政のお便りであるとか、それから皆さんの手記、同じ病気や障害を抱えておられる方たちの体験記のような、そういう私的なメッセージが入っているようなものを、ぜひこれを翻訳したいというような、そういう取り組みが全国で広がっていて、これが一番多分社会教育の分野の中では根強い障害者の生涯学習支援の形じゃないかなというふうに思います。
以上です。
【清原部会長】 志々田さんありがとうございます。小見委員よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それではほかに。では、牧野副部会長お願いします。
【牧野副部会長】 よろしくお願いいたします、牧野です。お二人の委員からのご説明、どうもありがとうございました。
国社研の調査についてちょっとお聞きしたいというか、調査の観点はどうなのかな、というふうに思ったところがあります。
ご発表の中で、やはり人材というか、職員が足りないとか、それからボランティアが足りないとか、ちょっとすみません、うがった見方をすると、言い訳をされているなという感じを受けてしまうのですけれども、調査の設計の在り方として、社会教育のということになっていますが、どうしても公的な社会教育施設における、いわゆる社会教育法や図書館法、博物館法に規定された社会教育施設における、いわゆる共生社会の推進やボランティアに関する調査・研究ということをされ、結果的にはこういう結果が出たということで、ある意味でとても示唆的だと思います。
もう一面で、やはり従来から議論になっている社会教育のネットワーク化、つまり教育行政に軸足を置きつつも、広く一般行政や民間の諸団体などとも連携を取って、社会教育が社会基盤の整備を進めるという議論であったりとか、それから、今回の諮問でも議論になっている人を中心とした社会教育といいますか、もっと言えば社会の基盤である人々のつながりやかかわりをつくっていく社会教育ということになってくると、やはり行政的なというか、いわゆる従来の私たちが持っている狭い意味での社会教育ということだけではなくて、むしろいろんな民間団体であったり一般行政であったり、いろんなところと連携を取っていく社会教育の在り方といったことも、検討する必要があると思うのです。
その意味で、そうしたものを調査・研究対象として考えていった時に、職員が足りないからむしろこういうふうにしたほうがいいのではないかとか、単に、例えば公民館や図書館や博物館、または行政職員だけで全部やってしまうわけではなくて、むしろいろんなステイクホルダーとの連携を取りながら共生社会を考えていくとか、またはボランティアの方々を広げていくとか、そういうような発想が出てきていたかどうか、そういうようなことがもし分かれば教えていただきたいと思いました。今後の議論もそこに関わってくるかと思いましたので、もし何かお分かりになることや、お考えになっていること、また感じられたことがあれば少しお教えいただきたいと思いました。お願いいたします。
【清原部会長】 佐藤センター長よろしくお願いします。
【佐藤国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長】 牧野先生ありがとうございます。おっしゃるとおりかなというふうに思っています。おっしゃっていただいたとおり、この調査研究の手法として質問紙調査をする時にどういう調査の仕方をするかといった時に、やはりどうしても行政だとか社会教育施設に、そういうチャンネルしかうちのほうがあまり持ち合わせていないということもあるかもしれないですけど、そういう調査をした結果ということが、まず一つはあるのではないかなというところではございます。
おっしゃっていただいたように、今回の調査研究の結果というのは、あくまで社会教育行政とか社会教育施設というところの部分で行った結果ということだと思いますので、八木委員などのご説明もそうだと思いますけれども、ちまたには種々民間を中心にそういった活動をいっぱいやられているというふうに思いますので、そういったところに必ずしもこの調査研究そのものが届いていたかというと、そうではないのではないかなというふうには思います。
ただ、一方で、社会教育行政とか社会教育施設にいらっしゃる職員の方々にも、今回の調査を見て明らかに分かったのは、そういった方々に対してもこういった事業は、圧倒的に少ないというところがあるので、社会教育関係者は、そういったなかなか社会的に少し難しい状況にある方々というのはその地域の課題に直結しているんだという意識を持って、その事業の企画だとか展開を行う必要があるのではないかということは、この調査研究を通してわれわれとしては言っていかなければいけないのではないかというふうに思っているところでございます。
先生のご指摘はおっしゃるとおりかなというふうに思っております。
以上でございます。
【清原部会長】 ありがとうございます。志々田さんどうぞ。
【志々田国立教育政策研究所総括研究官】 牧野先生おっしゃるとおりです。加えて、補足的なんですけれども、先ほど発表していただいた東谷の、北九州の事例を私ヒアリングさせていただいて、多分古賀委員もよくご存じかと思いますし、恐らくプログラムも作っていく中で、公民館が面と向かって外国人の技能実習生の皆さんに何か事業を提供したいんだといった時に、やっぱり公と企業という関係だとなかなかうまくいかなかった。そこを民間の、ただベトナムの子たちのお世話をしている地域の方とか、それからベトナム人協会の皆さん、外国の協会の皆さんと公民館がつながることによって事業が前向きに進んでいって、いろんな方たちが、例えば保険の問題とか、けがの問題だとか、お休みの問題だとか、そういうことを乗り越えてつながることができたという事例になっています。
なので、行政がやるべきことと、やっぱり民間だからこそできることということをしっかりと結べるということが大事で、それが今の議論、中教審の議論とつながるところかななんてことを思いました。
以上です。
【清原部会長】 志々田さんありがとうございます。
【牧野副部会長】 どうもありがとうございます。一言だけすみません。今のお話について、少し私見も入りますけれども、やはり人材の話といいますか、ここのところ社会教育主事・社会教育士の議論をしてきていますし、社会教育主事・社会教育士の養成の在り方に関しても今日の議論が関わってくると思うのです。
今のお話ですと、やはり、いわゆる行政と、それから民間、または教育行政と一般行政をつないでいく、媒介するような役割を担えるような人材をきちんと育成していく必要があるという議論とも関わってくるかと思います。もしかしたら、今後、社会教育主事の養成課程や講習の中に、きっちりとこういう共生の問題ですとか外国人の問題等を入れていくということも考えなければいけないのではないかと思いましたので、このようなことを申し上げました。ありがとうございました。
【清原部会長】 ありがとうございます。それでは、金澤委員、まずご発言ください。
【金澤委員】 八木委員、そして佐藤センター長、素晴らしいお話ありがとうございます。私からは、特に障害者に関して、佐藤センター長にお聞きできればと思います。就労、そして社会生活において、障害者といっても、身体的障害をお持ちの方、そして今一番課題になっている知的障害をお持ちの方、もしくは今増加している精神的な障害をお持ちで、社会生活に制限が出ている方など、障害種別での分析、実態把握をどのようにされているのかご教授いただければと思います。よろしくお願いします。
【清原部会長】 金澤委員から障害種別を少し分けて実態を把握されているかどうかという質問です。よろしくお願いします。
【佐藤国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長】 ご質問ありがとうございます。この調査研究そのものにおいては、残念ながらそこまで種別ごとでの調査というのは特段行ってはおりませんでした。どうしても質問紙調査というところでよったところがございましたので、若干そのあたりについては限界があったかなというふうには思っております。
【清原部会長】金澤委員、そういうことでございました。
すいません、それではそろそろ次に移らせていただきますが、今の質疑応答の中で、私たちの検討している内容について大変有意義なポイントが指摘されたと思います。佐藤センター長の調査では、「まなぶ」、「つどう」、「むすぶ」を意識してヒアリングもしたというようなご説明がありましたが、特に「むすぶ」というところが重要だということが確認されたと思います。八木委員のご発表では、具体的な実践を通して、関委員のご質問との関連では「国際交流協会等との連携の在り方」が提起されました。
そして、牧野副部会長からのご質問では、「民間の活動団体との関連性」を社会共生についてどのように持つか、また、社会教育の専門性を持つ時に、共生という認識、八木委員が言われた、まさに「共生だけではなくて文化を共創していく」というか、そういうような資質を持った社会教育の専門性が必要ではないかということが提起されました。
併せて、私が感じましたのは、実は北九州市に四半世紀前に国際交流の取り組みを先駆的に進められている自治体として調査をさせていただいた経験があります。その時に、まさに首長部局が国際交流を担っていらしたわけですが、それらの経過を踏まえて、今は生涯学習の行政の中で職員が意識を持って地域の外国人の方との学びの場を創出されているということで、やはり「社会教育行政、生涯学習行政と市長部局、首長部局の関係」というのは、私はとても重要だと思っています。共生という分野は、まさにそういう分野だということも今日の報告で確認をさせていただきました。どうもありがとうございます。
それでは、本日のお二方の説明も踏まえながら、髙田地域学習推進課長から資料3、共生社会の実現に向けた障害者・外国人等を含めた社会教育の推進方策について報告をしていただきまして、それの後、皆さまとさらに意見交換を深めていきたいと思います。
それでは、髙田課長よろしくお願いします。
【髙田地域学習推進課長】 それでは、早速資料の説明をしたいと思います。
次のページをお願いします。
これは、今日の審議がどこに関わるかということを赤字で示したものでございます。
次のページご覧ください。
特に、共生社会の実現に向けた障害者・外国人等を含めた社会教育の推進方策ということが今日のテーマでございますけれども、特に、障害者や外国人等の学習機会の充実、福祉関係者や民間団体等の地域における関係者との連携の在り方の観点からのご検討をお願いしたいというふうに考えております。
それでは、次に5ページに移ります。
まず、障害者の生涯学習、学びの推進についてでございますけれども、これは、背景、経緯の確認でございますけれども、平成26年度に批准した障害者権利条約において、障害者の生涯学習の機会の確保が明示的に盛り込まれたと、そういったようなことがありました。また、公民館等の社会教育施設で障害者が学ぶ機会が十分設けられていないのではないかというような問題意識、そういったようなものもございまして、平成29年4月に生涯学習政策局に、当時の、障害者学習支援推進室というのが設置されまして、その取り組みは本格的に推進していくことになったという経緯がございます。
次のページ、6ページでございます。
そういった流れを受けて、障害者の生涯学習の推進方策について有識者会議で議論をして報告書をまとめております。目指す方向として、誰もが障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現でありますとか、障害者の主体的な学び、そういった方向性を打ち出して、取り組むべき施策として4点挙げております。学校教育から卒業後における学びへの円滑な移行、多様な学びの場づくり、福祉、労働分野の取り組みと学びの連携の強化、障害者の生涯学習を推進するための基盤の整備、こういったことに基づいて今施策を推進しているということでございます。
7ページをご覧ください。
その中で、特に力を入れている取り組みとして、共に学び、生きる共生社会コンファレンスという取り組みがございまして、教育や福祉、あるいは労働部局の関係者とも協議を進めて、障害への理解や人材育成の機会としたり、関係者間の連携を構築したりする機会とした取り組みを進めているところでございます。
次のページ、8ページに、今年度14カ所で開催を決定しているものをここに挙げております。さらに、幾つかの自治体で開催を検討している状況でございます。
9ページ、ご覧ください。
幾つか取り組みの事例についてご紹介いたします。まず、これは宮崎県での取り組みですけれども、こちらは県がコンソーシアムを形成したりして旗振り役を担い、県が主導して市町村と連携しながら各地の公民館や大学等での学びの場づくりを支援しているというような取り組みでございます。
続いて、次のページ、市町村の取り組みでございますけれども、国立市公民館では、共生の拠点として社会教育主事等がコーディネーターとなって障害者や外国人を包摂した社会教育事業を幅広く実施しているというような内容のものでございます。
続いて、11ページです。
こちらも市町村の例ですけれども、これは愛媛県の新居浜市でございます。公民館などで障害者が参加できる講座を開設するとともに、福祉センターと連携して障害者の居場所づくりなどを行っているというような内容でございます。ちょうど関委員などからも補足いただければと思っております。
続いて、次のページ、12ページでございますけれども、こちらはNPO法人の民間の事例でございますけれども、こちらはNPO法人障がい児・者の学びを保障する会、自立訓練事業所を運営しているところでもございますが、こちらでは、例えば放課後の取り組みとしての部活動みたいなものも、そういったようなものを行ったりして、事業所の利用者や地域の誰でも参加できる当事者の主体性を重視した学びのプログラムを、地域の自治体や大学と連携して進めているというような内容のものでございます。
最後、次のページ、13ページです。
大学を活用した事例というものでございます。神戸大学のほうで、知的障害者を対象とした講座を開設したりだとか、そこに学生がメンターとして関わることで障害当事者の学びの機会を保障するとともに、関わった学生や講座を担当した大学教員にも気付きや学びといったものにつながるような取り組みをしておりまして、新たな価値観を生み出すような、そういったような取り組みを行っているという内容のものでございます。
以上、障害者に関するものでございますけれども、続いて外国人の生涯学習、社会教育の推進についてでございます。
まず、初めに数字的な確認でございますけれども、今、在留外国人数が376万8,977人ということで、総人口に占める割合が今3.04%ということで、非常に右肩上がりで上がっているような状況というのは変わらないというようなところでございます。
続いて16ページです。
日本語の学習者数についての資料でございますけれども、当然新型コロナの影響でがくっと下がったところがございますけれども、令和5年、もう既に回復、コロナ前の水準に戻っておりまして、今後増加が見込まれているという状況でございます。
続いて、17ページですけれども、文部科学省のほうでは外国人等の共生社会の実現に向けて大きく2つの観点の政策を進めております。日本語教育の全国展開・学習機会の確保と、そういった観点と、日本語教育の質の向上と、そういった2つの観点から、これはちょうど色分けされておりますけれども、さまざまな予算事業を準備して日本語教育環境の整備に努めているというところでございます。
次のページ、18ページでございますが、こちらのほうで、特に力を入れている施策として外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業ということでございます。生活に必要な日本語を教える地域の日本語教室だとか、そういったものについて補助を行っているものでございますけれども、ここでは日本語のみならず生活、地域の情報だとか文化等を学ぶ場にもなっているということで、多文化共生社会の推進に寄与するなど多角的な意義がある取り組みではないかというふうに思っているところでございます。
続いて、19ページです。
特に、社会教育における日本語教育の事例ということで、関連する事例を4つほど紹介させていただいております。
事例1が公民館を活用した地域日本語教室ということで、これは岐阜県で行われている事業でございます。事例2つ目が、図書館の開催する日本語教室ということで、外国人の図書館利用の推進に向けた多言語サービスの実施などの取り組みを紹介するものでございます。事例3が社会教育主事が関わっている取り組みとして、地域住民の方々に積極的に多文化共生に関わっていただく取り組みの一環として、やさしい日本語や多言語の翻訳アプリなどを取り扱った事例をここで紹介しております。事例4が、埼玉県戸田市の取り組みでございまして、市民自身が企画した社会教育講座としてやさしい日本語の講座を開催したというものを紹介しているものでございます。
最後、20ページ、これは参考でございますけれども、日本語教育関係では、昨年4月に日本語教育機関認定法が施行されまして、一定の基準を満たす日本語教育機関を認定日本語教育機関として文部科学大臣が認定したり、登録日本語教員という国家資格を与える制度などが創設されて、今日本語教育全体についてそういった推進が行われているというものでございます。
以上、今日の参考に資する取り組みでございますけれども、最後、22ページ、まとめとして、改めてでございますけれども、本日ご議論いただきたい事項として、社会教育分野における障害者、外国人等の学習機会をどのように充実させるべきか、また福祉関係者や民間団体等の地域における関係者と社会教育の連携をどのように図るべきか、そういった観点で、現状の課題も少し例示させていただいておりますが、このような観点から今日ご議論いただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 あと、最後、資料4につきましては説明を省略いたしますが、前回までの意見の概要をまとめているものでございますので、適宜ご参照いただければと思います。
私からの説明は以上でございます。
清原部会長:髙田課長、ご説明ありがとうございます。なお、ただ今ご説明いただいた資料20ページに「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律の概要」が紹介されておりますが、昨年度から法律改正に伴いまして、生涯学習分科会がこの法律にのっとった審議をするということになっていることもご報告いたします。
それでは、22ページ、本日ご議論いただきたい事項を整理していただきました。これまでの八木委員、佐藤センター長のご発表も踏まえまして意見交換に入りたいと思いますが、最初に共生社会について専門とされております柏木委員からご発言をしていただき、順次、また皆さまからご意見を頂きたいと思います。
それでは、柏木委員、最初にご発言をよろしくお願いいたします。
【柏木委員】よろしくお願いいたします。私のほうからは、主に第2の議論事項にある社会教育の役割についてお伝えをさせていただきたいと思います。
社会教育の役割は、端的に申し上げますと、障害者、外国人の方々の人権と尊厳の保障を行うことであると考えています。そのためには、まずそうした方々の不利、つまりどのようなことをしたいのにできないでいるのかという、参加の機会を妨げる剥奪のありようを把握し、その剥奪を縮小する対応を行うことが必要であるように思います。
具体的には、まず、公共圏の中に内なる声を出せる親密圏をつくり出し、そこで物質的、文化的、関係的、そして声の剥奪を防ぐことが求められると思います。次に、そうした場でのエンパワーメントを通して困難を抱えやすい人々が声を出せるように後押しすることが重要になります。そこで出された声を社会教育人材や地域の人々が酌み取ってアドボケートすることで広く流通させたり、対話を通じて合意形成し得る公的意思として提示したりすることによって、社会を変えていく社会参加を促すことができます。学びはその過程で生じるものと思われます。
なお、社会参加は2つの基本的な形があると思います。1つは、何らかの活動を一緒に行うということになります。2つ目は、マジョリティーの当たり前を問い直すような声の発信になります。これは、地域や社会の価値をアップデートして、多様な価値を認めるより良い共生社会の在り方が見いだせるような提案を含みます。双方の参加が重要であります。特に2つ目はマジョリティーの生きやすさも促します。例えば、子供に目を向けますと、外国ルーツの子供さんが多く在籍して多様な価値やありようが認められる学校では、全ての子供が通いやすくなって不登校数が減る傾向を聞いております。また、外国ルーツの子供さんが一生懸命学ぶ姿を見て日本の子供がやる気を出す事例もございます。
このように、障害のある方、そして外国ルーツの子供さんが日本文化の硬直性を打破する状況も見て取れます。一方で、それが簡単にできるわけではなくて、外国ルーツの子供さんが日本語や文化の適応に困難を感じるが故に、自己肯定感を低下させる事例も少なからずあります。例えば外国ルーツの子供さんであれば、小学校の低学年から「もう自分はばかだから」と言って、わざと眼鏡を持たずに学校に来るなど学びを諦めたり、授業中に必要なサポートを受けることが恥ずかしいと捉えて拒否する事例も聞いております。
そのため、学校に目を向けますと、社会教育は共生社会の実現に向けて、第1に学校を含めた社会全体の価値を多様化させることで、困難を抱える人々の自己を否定する恥辱や屈辱を軽減させるとともに、第2に実際に必要なサポートを学校外で提供し、どうしても力量の分かりやすい学校等での過ごしやすさを促すとともに、第3に学校と連携してカリキュラム作りを含めて学校自体を多様な場へとつくり変えていく、その上で地域をつくり変えていく役割を担うべきであると思われます。 これらを通じてあらゆる人々が他者を信頼し、日本の社会の中で希望を見いだすことができるようになることが重要であると思われます。それは、八木委員のお話にあった、選ばれる日本になるプロセスであるとも言えます。そして、学校での経験を元に、全ての子供、そして人々が共生社会のつくり手として参加する素地をつくり出すことが本日の1つ目の議題にある意識や担い手不足等に将来的に寄与することと思います。
なお、最後に2点補足させていただきます。
第1に、マイノリティー、マジョリティーというふうに述べましたが、2項で物事を捉えるというよりも多様な人々が多様なニーズを抱えているという前提の下でお互いに関心を持ち、お互いの人権を保障する共生社会を樹立する視点が重要であると思います。
第2に、あらゆる人々の全てのニーズに対応することができるわけではないため、公的な保障、個々人間でなされる柔軟な助け合いを組み合わせて今より少し良い、ベターな社会の形成をいかに継続して生み出していくのかという、緩やかでシームレスな発展としての共生社会の実現を捉える視点が必要なように思います。この場合、そこに関わる当人、特に個々人間でなされる助け合いに関しては、最後の議論事項にございます意識していない状況が生じてきます。
3つ目の議論事項に関しては、実施主体が共生社会の機運と実行を基礎づける資源の投入や価値づくりをした上で、さまざまな方々が意識せずに、当人が意識せずに社会教育をなし得る状況をつくり出すことも、一方で重要であるように思います。それは、障害者や外国の方々が社会教育の担い手になるというような状況にも言い換えられるように思います。
以上になります。よろしくお願い申し上げます。
【清原部会長】 ありがとうございます。柏木委員から、何よりも本日共生社会の実現に向けた障害者、外国人等を含めた社会教育の推進方策を考えていく時には、基本的人権と尊厳を保障していく、すなわち参加機会を保障していくという出発点に立っていろいろなご提案を頂きました。この柏木委員のお話と関連付けながらでも結構でございますし、皆さまから少しでも共生社会の実現に向けて社会教育が果たすべき役割についてご示唆を頂ければと思います。
それでは、美田委員からお願いいたします。
【美田委員】 全国子ども会連合会とちょっと立場が実は離れてしまうのですが、私、本業がありまして、8年前から技能実習生がわが社に来ておりまして、既にもう帰ったり来たり、ちょうど先週も2人帰ったところです。
実は、地域との関わりのところで、最初にごみ出しをする必要があって、自治会のほうにお願いに行ったんです。会社としても自治会費をお支払いしているんですけれども、実はそこに居住することになるんでごみを出させてほしいという話をしましたところ、自治会の会議が開催されまして、基本嫌だということになりました。私呼ばれまして、どういうつもりだということで、いや、どういうつもりもこういうつもりも、普通に住むだけですという話を説明しました。
実は自治会も若い方々と年配の方でかなり意見が割れていまして、年輩の方から「外国籍の方は何だか怖い」みたいな話があったんですね。それに対して若い方々、若いと言っても30代、40代の方々、いや、それが差別なんじゃないのかみたいな話で、かなりもめておられました、内部的に。最終的に認めるという話で、実際に住まわせてもらったのが8年前だったと思います。
その中で、そこから結構気付くことが地元の方々にはあって、実を言うと、若くていい奴らで、子供会でみこしがあるんですけど、これもかつては青年の中高生が手伝ってくれている時代があったんです。それが今もうないと。ところが、ちょうど19、20歳、23歳ぐらいまでの子たちが来ているんで、非常にこの子たちが役に立ったと。さらに、運動会は、年寄りばっかり出ているんでもう勝てなかった運動会が、3名の外国人によって優勝しちゃったっていうのがあったんですね。外国人たちも幸いにしていろんな洗剤とかもらえるもんで本気でやるわけです。これを見てほかの地域が「お前たちずるいじゃないか」とか、「外国人は駄目じゃないのか」とかいろんなこと言われるんですけど。
そうでなくて、実はほかの地域にもあって自治会に入っていない外国人の方がいらっしゃる。これはベトナム、うちはインドネシアなんですけど。そこで、自治会に入ってくれという話になって、今やそこの地域の方も運動会とか地域活動に出ておられます。
今ので、入り口としては非常に残念な形の入り口ではあったんですけど、最終的には結構理解をされて、何ならちょっと広い単位の公民館では今年は韓国から嫁さんで来ているお母さんがいるから韓国料理ね、来月はインドネシア料理ができるねなんていう講習会なんかもしていたりして、これを通じて、また一方でこういったほかの国の若者たちがこんなに一生懸命やっているのに、日本の、われわれのうちの地域の子はどこ行ったんだみたいな話にも広がっていってですね。やっぱり認めることです。
その中で1個問題は、やっぱりうちの会社としてすごく感じているのが言葉です。実はうちの会社でもインセンティブを設けていまして、N4の子とN3の子では月給が若干違うというインセンティブを付けているんですが、積極的に学ぼうとする子はどんどん日本語を覚えて、結局その子が通訳係になっちゃって、この子はどんどん日本語が上手になるけど、そうじゃない子はなかなか伸びないという。伸びたら結構仕事もそうですし地域でのコミュニケーションも結構、話せば普通だよねという話なんです。それが障壁になっていて、3年ぐらいたってやっとコミュニケーション取れる頃に帰っていったり、結構もったいないなということを日頃感じているものです。
問題としては、やっぱり彼らの能力にもなるかもしれませんが、今日の文部科学省さまの資料にもありましたが、ぜひ進めていただければより分かりやすい、理解し合える環境になるかなと思っております。
【清原部会長】 美田委員、大変具体的で、私たちの日常的な地域社会ではあり得るプロセスについてご紹介いただいて、皆さまもうなずきながら聞いていらっしゃいました。ありがとうございます。今の事例から、まさに共に生きるということ、しかしながら言語の障壁があるということについても配慮が必要だということも確認されました。
それでは、関委員お願いします。
【関委員】 関でございます。先ほど髙田課長からもご紹介いただきましたが、私たちも障害者の生涯学習の実証研究事業に取り組ませていただいて、始めて分かったことが沢山あったと改めて感じております。正直なところ、これまでの私どもは障害者に対しての社会教育的な活動というものを公民館等で行うことはほとんどありませんでした。実際に公民館で言えば、社会教育関係団体とのつながりの中でいろいろな学級講座等を展開することが重視され、様々なつながりをつくってきましたけれども、障害者と協働で事業を展開するということは、今まで開設されていませんでした。
今回、この実証研究事業の中で、全国のいろいろ先進的な取組みを学ばせていただく中で、例えば東京の三多摩地域、私どもは国立市公民館に伺ったのですが、そこでは今もずっと障害者の青年学級のようなものが展開されていたり、あるいは公民館の中にコーヒーハウスのような場所があって、そこには障害者と一般の住民の方が、普通の当たり前の関係の中で、共に多様な活動を展開している。そういうふうなものに触れることができました。
あと、この事業を行う中でつくづく感じているのは、やはり社会福祉協議会のような福祉領域の団体とのつながりの大切さです。例えば公民館という施設を活用して、社会福祉協議会や障害者福祉事業所と合同の事業をモデル的に展開するような場があれば、公民館という場が障害を持った人であっても、これは外国の方でも国際交流協会なんかのつながりの中でそれができると思うんですけれども、そういう体験機会が増えていくことでみんなの意識が変わっていく、文化が変わる、風土が変わるような状況をつくっていくことが可能になるはずです。小さな動きではありますが、積み重ねていくことでこれから先の新しい方向性を切り拓いていくのではないかということを感じております。これからも活動を拡充していきたいと思います。
【清原部会長】 ありがとうございます。今、関委員からは、資料3の11ページに「包摂の新しい学び創造委員会、愛媛県新居浜市の実践」をされていたご経験を踏まえてご報告ありました。
その中でご紹介いただいた国立市の取り組みについては、かねて国立市の職員の方が文部科学省の職員をされていて、障害者の生涯学習に関する本当に分かりやすいテキストも作成されています。ぜひ今日傍聴されていらっしゃる社会教育関係者の方で障害者の社会教育の場・機会を考えていらっしゃる方は、ホームページでも読むことができますので活用していただければと思います。
それでは、古賀委員、野津委員、安齋委員の順でご発言お願いします。
【古賀委員】
外国人、障害者について、それぞれ意見をさせていただきます。まず外国人については、先ほど美田委員さんからもお話がありましたが、現場では幸い、外国人と日本人の絆が深まる実践活動が増えている印象です。私が見ている限りで共通しているところとして、外国人に対して「一緒に学習会をやりましょう」、「交流行事をやりましょう」と呼びかけても参加促進がしづらいという状況があります。他方、そのつなぎ手が多元化をしていて、例えば日本語教室団体、それから当事者の、SNSコミュニティを含めての当事者サークル、さらには教会とか寺院等の宗教施設、それから何より雇い入れをされている企業にも関わっていただいて、それらが広報・企画等々を分担しながら一緒に一つのことをやり遂げているところほど、外国人プラス地元住民も参加しやすい事業設計につながっています。料理や音楽といったキラーコンテンツをしっかり盛り込んで、その後もモチベーション高く、例えば自治会・町内会の防災訓練にも参加するという絆づくりにつながっていて、そういうところのつなぎ役として社会教育の人たちが結び付けていただける役割をしていただくとより良いと思います。
国際交流協会とかがハブ役になっているところがありますが、協会も人員不足のところもあり、定点的に関われるのはやはり地元の社会教育人材かなと期待するところです。
それから障害者については今、就労支援の事業所で過ごす時間がとても長くなっていて、かたや就労支援の事業所もさまざまなタスクがあって、なかなか自主的な学習活動や体験活動にまでアンテナが張られていないところも多いです。ただ一方、例えば私が懇意にしている精神障害者の方が通所している就労支援の事業所では、地元町内会から防災研修を依頼され、防災の専門性もない中で依頼された以上、とりあえず地元住民と学び合いながらやろうということで、精神障害の方がグループワークのファシリテーターとなりながら研修会を手探りで進めていったところ、お互いの共通理解も出てきて防災の学びも深まり今も継続して実施されています。
社会教育人材には、就労支援の事業所にも社会教育・生涯学習の意義を感じていただけるようなつながり方を望むところです。社会福祉協議会とか行政も、こうした事業所とは全然つながれていないという話を聞くので、その辺のアンテナも張っていただければと思いました。
以上です。
【清原部会長】 古賀委員ありがとうございます。外国人の学びについては主催の多様化が有意義で、そうすると活動内容も多様化するので、それをコーディネートする社会教育人材の役割への期待が述べられましたし、また障害者については、どうしても就労支援の施設などの利用が多い中、社会福祉協議会だけでなくて社会教育団体との関係で防災であるとか、そういう取り組みへも広がっていけたらということです。
確かに、総務省の地域コミュニティに関する調査では、町会自治会の中で重視されているテーマに、やはり「防災」と「地域福祉」が挙げられているんですね。ですから、地域団体の中で、先ほどの美田委員のご紹介もありましたが、まさに地域コミュニティの中での防災であるとか、あるいは古くからのお祭りのような文化であるとか、そういう担い手としても障害者も外国人の方も活躍していただくための社会教育人材のコーディネーター能力への期待は大きいのかなと思いました。 それでは、野津委員に続いて安齋委員でお願いします。
【野津委員】 島根県の野津です。県の教育委員会ということで、特別支援学校を設置している立場で申し上げますと、資料にありましたように、ほとんどの子が高等部を出ると就職、働くということで、主に地元で働くわけですけれども、社会に出ていく時に働く場と家との往復でない活動、地域の何らかの活動に参加できるような素材、素養を在学中に付けようという取り組みを非常に強化しています。
取り組みの一つが東京パラリンピックで非常にボッチャが盛り上がったというところがありまして、あれを見てすぐやろうと、全員でボッチャやろうと。特別支援学校で道具を買って、かなり高いんですけど道具を買って、まず学校内でやると。そのうち肢体不自由の学校が隣の公民館に呼びかけて、地域の人と対抗戦をやろうと。それが長く盛り上がっていて毎年大会があるんですけど、今地域の大会になっていて、肢体不自由の学校が呼ばれていると、参加者になるというところまで発展をしています。
障害者スポーツってルールが決まっていますけれども、ルールが決まった以上、障害者であるかないかというところでハンディがないんです。障害者だから、車椅子だから10対0からスタートできるということはなく、0対0からスタートして、同じルールで点数を取っていくという形で、まさに真剣勝負をやる場なんです。そういったところで地域の方が障害者スポーツ自体が面白いということが分かる。片一方で、それを一生懸命やっている高校生、高等部の生徒たちがいて、本気でやると地域の方が負けるんです。そうすると、非常にそこに面白みを感じられて、障害者との共生とかいう概念ではなくて、地域として、地域スポーツとしてこれを取り上げてやっていこうというところで一緒になってやっている。
私の狙いは2つあって、そういった地域がコミュニティとして共生社会というものを超えた普通の社会というものになっていくというのが1つと、障害がある子供たちがそれをハンディとせずに社会に溶け込めていく、社会に出ていくきっかけとなる、そこに集うことで、さらにそこからいろいろな活動であるとか、いろいろな講座であるとか、そういったところへ一緒になって進んでいける。要は違う目的、スポーツをする、レクリエーションをする、汗を流すという目的で集まった健常者と障害者が1つの仲間になってやっていくと。役人ではありますけど、僕はあまり共生社会という言葉は嫌いな言葉で、それを超えたところ、普通に一緒にいるという、生活する、遊ぶ、学ぶと、こういったふうに思っています。
そういったところを目指すには、やはり1つには、特別支援学校の在学中にそういった目的を持って実際に活動するということがとても大事だろうと思います。私のチームも車椅子の高等部の生徒にどうしても勝てなくて、ボッチャで、いつも鍛えられておりますけども、それはそれで楽しいし、彼ら、彼女らをリスペクトしています。毎年戦いを挑んでいく、こういう活動にもつながっています。 こういったところで島根県、2030年に全国障害者スポーツ大会、国民スポーツ大会と併せてやることが来月内示を頂くんですけども、それって、当日の大会が大切なのではなくて、そこに至る過程が最も大事、障害者スポーツ、全スポと言いますけども、全スポというのは、開催に至る過程をどう持っていくのかというのが一番大切で、こういった啓発、大きなイベント、パラリンピックの国内版ですね、これをやるのに地域の方、普通の方もやってみる、一緒に遊ぶ。なので、県の社会教育施設には障害者スポーツの車椅子バスケット用の車椅子とか買って置いてあって、普通に健常者の方が使う。健常者の方だけで研修で使うということをやって、スポーツへの理解、そこへ障害者の方も選手として参加できる。
そうすると、やっているとさっきのボッチャの定期大会なんかボランティアという概念というのはないんです。全員が参加者で自分らの大会を自分らでやっているという形まで成熟すると。こういう形があるので、こういったのをさらに進めていきたいなというふうに私は思っております。
【安齋委員】 安齋でございます。学校現場にいた人間の立場でちょっとお話をさせていただきますが、私も実際勤務していた学校で外国籍の子供がいて、やはり日本語がなかなか使えないということで、指導上の本当に困難を抱えた経験がありました。今日の発表にもありましたように、生活者としての外国人が増加するということは、同時に外国籍の子供たちも増えてきて、その子供たちに対応するということが、学校で、先ほど柏木委員からお話ありましたけど、適切な指導やカリキュラムが作られているかというと、なかなか現実はそこまで進んでいない。一つには、やはり学校現場が忙しすぎて人がいないというような、そんな状況にあるということをちょっとまずお話をさせていただきたいと思います。
その上で、実は、先日ある県のコミュニティ・スクールの研修会に行った時に、熟議をやりました。そこでは、子供の安全上の課題は何かなということでみんなで出し合って、その解決策を考えようという熟議だったんですけども、多くのグループは、当然のことながら不審者の問題であったりとか、それから交通事故の問題であったり、自然災害の問題ということを挙げたんですけども、あるグループが、やはり外国人の問題というのを挙げて、それはやっぱり十分な理解が進んでいないために何となく外国人が怖いというふうな、そういう意識から出てきた課題だったんです。
でも、そこでどうしていったらいいかという話になった時に、まさにそこのグループの人たちから出てきたのは、やっぱりちゃんと外国人との交流をするような機会を地域でつくらなきゃいけないとか、学校にもそういう国際理解として多様な異文化を学ぶ機会をつくっていかなきゃいけないというふうなことで、まさにその話し合いが中心となって地域学校協働活動が生まれ、まさに社会教育が進んでいくということが、その熟議からすごく見通せたのはよかったなというふうに思っています。
私の経験上でも、なかなか子供以上に外国籍の親たちが社会とつながれないということが多いと思うんですが、子供を通してPTAだったり子供会であったり、そういうものを通しながら親世代の人たちが地域とつながっていくということは、非常に多く見られることなので、私はそういう意味で学校で今進めているコミュニティ・スクールや地域学校協働活動という取り組みが、障害者や外国人を含めた社会教育の推進の一つのきっかけ、切り口になり得るなということを、今回も八木委員とかなんかのお話を聞きながらもそんなふうに感じたところです。
その意味でもちょっと提案したいのは、やはり先ほど佐藤センター長からもあったように、取り組みが少ないという意味で、だったら逆にもっと好事例を積極的に発信することで、そこでしっかりと学んで共生社会の実現が全ての人たちにとってこれから必要な課題なんだという、そういう当事者意識を高めていく、そういうことが求められているのかな、そういったことも含めて、私は本当に身近にそういった問題に触れながら解決していくきっかけとして、ぜひコミュニティ・スクールや地域学校協働活動をどんどん進めていく必要があるなと、そんなふうに改めて感じたところです。
以上です。
【清原部会長】 安齋委員ありがとうございます。先ほど柏木委員からも学校との連携、そして外国ルーツの子供に対する地域社会の取り組みの意義もご指摘いただいたことと関連して、やはり学校という地域社会の重要な教育の場と社会教育の中で外国人、障害者の問題について、きちんと正しい認識を持っていくということの大切さを確認していただきました。
それでは、山本委員お願いします。
【山本委員】 東神楽町長の山本でございます。私どもの、首長の立場から、特に外国人の方々に対する課題というか、そういったものを少しお話しさせていただければと思います。
特定技能とかを含めて、外国人の方がどんどん増えてきている、まさにその事実のとおりでありまして、逆に言うと、その対応みたいなものを迫られるのは、基礎自治体が全て課題を押し付けられるようなところがあって、大変国としてはどんどん進めるんだけれども、いや課題が多くなるのはうちだからという話はすごくあって、そこら辺は地方自治体に対して大変苦悩しているというところもあります。
ただ、そうは言いながらも、やはり共生社会というのは重要な部分だと思いますので、そういった部分では、社会教育の中でのアプローチを中心としながらお互いの理解を深めていくようなやり方というのは、これはもっと首長サイドに対してもアプローチしていってもいいんじゃないかなというような思いを持って聞いておりました。その意味では、首長サイドも社会教育の方々の力を借りながら共生社会の実現に向けて取り組むということなんだろうと思います。
ただ、北海道の特に課題的に言いますと、人口が少ない中で特定の国から特定の業種に対して入ってくる外国人が多くなるというケースが結構あるんです。例えば、水産加工でありますとか観光でありますとか、あとは例えば浦河町という町、人口1万1,000人ぐらいの町なんですが、インド人がいっぱいいるんです。それは、競走馬の育成のために来ていて、3%ぐらいインド人という。そうすると、外国人に対する共生社会の実現をするために、インドに対する理解ということをまず話をしていくということがあって、どちらかというと対処療法的なものでやらざるを得ないというのが基礎自治体の立場というふうになります。その部分の、特に、例えばインドの方々へのアプローチ、そんなに知見があるわけでは全くないので、その部分は国なんかのサポートも含めてもっと広域的なところで考えていただく必要があるかなというふうに思います。
それから、2点目として、これもやっぱり自治体に対する自治体の中の課題なんですが、やっぱり外国人の方々自分たちの宗教であるとか生活スタイルを持ち込むことによって起きるトラブルみたいなのがあって、特に社会教育の部分でも宗教教育というのはあまり日本全体の中でしていないというところで、逆に相手の宗教を理解しにくいというところがある。例えば、今課題になるのが、ちょっとこれは話がずれちゃうかもしれないですけども、土葬の問題なんですね。これ、実は結構自治体の中で課題になるという話になっていて、ムスリムの方々は土葬をしたい、それは宗教上の問題として。ところが、日本でそれを受け入れるかというとなかなか厳しいと、そういうような話をどう理解をしてどう折り合いをつけていくかというのもあります。
それから、開発規制なんかも、乱開発なんかも実は外国人主導のっていうのがあったりするので、やっぱりそういった日本のルールなんかもお互い理解をしてもらうような取り組みなんていうのも必要だと思いますので、社会教育だけの話ではなくて、そういった部分は基礎自治体の中で取り組んでいく課題としているのは結構いっぱいあるなというふうには思っています。ただ、こういった社会を実現させるために、やはり住民の皆さんを含めた社会教育的なアプローチを取り込みながらこういった共生社会を実現させるというのは必要だと思いますので、ぜひ文科省サイドもそこだけじゃなくて首長サイドに刺さるような施策にしていただければというふうに思っております。
【清原部会長】 山本委員からは、町長として極めて重要な基礎的自治体の行政課題としての外国人との共に住まう課題を指摘していただきました。一方で、在住外国人が特定国に集中している場合の対応の在り方、2点目にとりわけ宗教に対する、今まで社会教育や学校教育ではなかなか触れにくかったところに触れざるを得ない課題の存在、そして3番目には開発とか経済的な側面ですね。ですから、実は社会教育の検討の中から浮かび上がってくる他の国の行政との関係などについても場合によっては付言しなければいけないのかもしれません。
それでは、小見委員、八木委員、そして青山委員の順にまずお願いします。
【小見委員】 ありがとうございます。先ほどから安齋委員や柏木委員も学校をきっかけにというお話あったんですけども、私もまさにそのように思っておりまして、外国にルーツのある子供たちや障害のある子供たちに係る課題も、今多忙を極めている学校だけがやっぱり抱えるのは難しいなと思っておりまして、地域や保護者も巻き込みながら、今子供を取り巻くどういったことが問題になっているのかというのを共有して、共に取り組んでいくということが今求められるというふうに考えています。
例えば、岐阜県のある学校では、学校運営協議会の中に多文化共生部会というのを立ち上げて、外国にルーツを持つ子供たちの学習支援や放課後学習会、そして文化交流会の機会を地域の公民館と連携して継続的に行っているという好事例もあります。それをきっかけに子供たちはもちろんなんですが、保護者や地域住民の皆さんも当事者の皆さんに対する理解が深まったり、先ほど八木委員がおっしゃっていたようなグローバルコミュニケーションですとか、共生する力というのが高まっていくことにつながると思います。その中で、もう一歩自分が、今度はボランティアとして活躍したいとか、受け皿になるような団体を立ち上げたいというような活動にも結び付いていく可能性も秘めています。
こういった取り組みにつながっていくには、地域住民の皆さんの意識を高めていくということもそうなんですけれども、社会教育人材ですとか、あとはコミュニティ・スクールのハブとなっていく地域学校協働活動推進員ですとか、学校側の窓口になる地域担当教職員の先生方も包摂性の視点を持つということが必要になってくるかと思います。その中で異なる価値観や課題に丁寧に向き合っていく、やっぱり共生社会の実現に向けた一歩というのは、知ることと、あとは対話をしていくということだと思うので、その中で人と人のつながりをつくっていくということが、やはり一番大事なことかなというふうに思っています。
以上です。
【清原部会長】 小見委員ありがとうございます。学校運営協議会の中に多文化共生部会をつくっている事例を紹介していただきながら、グローバルコミュニケーションを深めていく時には教職員、そして地域住民、保護者を丸ごとまとめた「知る」ということと、相互に理解し合うということの重要性をご指摘いただきました。
それでは、八木委員お願いします。
【八木委員】 八木です。皆さんのご意見を拝聴しながら、国際交流、多文化共生という専門分野で活動する者としても大変多くの発見や新たな学びをいただきました。
そのような中で、1点整理しておきたい点に、日本語教育があります。日本語というのが外国人が日本で生活する上で非常に重要であるということは見えてきましたけども、この時に、社会教育でできる日本語教育ということと、外国人住民が生活者としてキャリアを高め日本人と同等の生活をしていただくための日本語教育を整理する必要があると思います。専門的な日本語教育も必要だということです。それと、子供たちが今後高校、大学、社会に出ていく中での日本語初期指導も重要です。社会教育の中での日本語教育は、地域住民と日本語のおしゃべりをしながら地域での信頼関係をつくり、生活する上でできることを一つ一つ増やしていくことが目的であると思います。加えて、外国人住民と共に地域のウェルビーイングを発展させていく役目があると思います。
それぞれの日本語教育の目的の違いを理解しながら、それぞれの日本語教育が連携することが必要です。社会教育における日本語教育は、専門的な日本語教育と子供たちへの日本語初期指導をつなぐような役目、それぞれを補完する役目があると思います。そういう意味では、日本語教育を社会教育分野で検討推進していく時に、専門的な日本語教育、子供への日本語教育との連携を図っていくことが大事であると思います。 以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。八木委員から日本語教育について、専門的な教育と子供の初期教育をつなぐような社会教育としての日本語教育の在り方も検討する必要が指摘されました。
それでは、青山委員、小田切委員、萩原副部会長、牧野副部会長の順で、皆さま、ここで5分前になっておりますので、お諮りいたします。
せっかくでございますので、私は皆さまにこの機会に発言していただきたいと思いますので、数分から10分ぐらいの延長をお認めいただけますでしょうか。ありがとうございます。
それでは、青山委員よろしくお願いいたします。
【青山委員】 青山です。よろしくお願いいたします。私もいろんな形で関心を持ってきた分野なので大変興味深く聞かせていただきました。特に、部会長から先ほど文科省が障害者の生涯学習に関するハンドブックを作ったというお話がありましたが、多分、「共生社会のマナビ」というやつじゃなかったかと思いまして、私や志々田さんも書かせていただいたものだと思いますので、タイトルも改めて言わせてください。ありがとうございます。
今日の話の中で、ユニバーサルなアプローチと、ターゲットのアプローチというような言い方がよくされますけれども、つまり、誰にでも開かれた取り組みをちゃんとつくっていくことと、個別のニーズに応じたさまざまな対応、このユニバーサルとターゲットの双方に目配りをするということがとても大事だろうというふうに思いました。
ユニバーサルな観点からは、やはり共生社会を目指す事業だけが共生社会を目指せばいいわけではありませんので、全ての講座が全ての人に開かれているかどうかとか、目的として共生社会が掲げていないものがちゃんとバリアフリーになっているかどうかということも大事でしょうし、あるいは本人が変わるわけではなくて社会が変わっていくというか、障害者の生涯学習とか外国人の生涯学習で本人が変わっていくことも大事ですけれども、社会自体が変わっていくというところにも生涯学習があるということを改めて確認できるといいと思いました。
また、ターゲットという面からは、やはり先ほど金澤委員からもありましたけれども、障害の種別が偏りがちだということは言えるんじゃないかと思います。私はずっと聴覚障害の人たちと関わることが多かったわけですけれども、いろんな施設や事業ごとに、特定のニーズに応えているだけでバリアフリーが実現できることになってしまうことも多いですから、どのニーズに対応できていないかということがターゲットの面からは問われるのではないかというふうに思いました。
その上で、やはりこういった話の中で改めて確認しておかなければいけないのは、本人の声、当事者の声がちゃんと届く環境にあるかということです。例えば、地域の社会教育委員や公運審の中にどれだけ当事者の方がいるかといったことを考えた時に、恐らく人口比率よりもだいぶ少ないんじゃないかというふうに思います。また、さっきの国立市のコーヒーハウスなどは、かつては障害当事者の方が担当職員だったわけですけれども、そのようなことも含めて支援者側、職員側にもそういった当事者の方がいることも重要だという視点からは、主事講習がどれだけバリアフリーになっているかということも問われなきゃいけないだろう、これから社会教育士の中に当事者の方がたくさん入ってくれるような環境があるかということも大事じゃないかというふうに思っております。
その意味で、「共生社会のマナビ」の中にも書かせていただいたんですけれども、共生社会は葛藤を回避する社会ではなくて、むしろ葛藤はいっぱい起こるはずなので、葛藤とちゃんと向き合って解決していける社会であるべきだというふうに思います。そのあたり、共生社会が何も葛藤がない社会ではないという、むしろそれをみんなで乗り越えていける社会なんだということも確認できるといいなと思って聞いていました。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。今青山委員から大変重要なご指摘がありまして、共生社会をテーマにした学びもあるけれども、社会教育の全体がいい意味でのバリアフリーになっているか、全ての人に開かれているかという、手段としての共生ということも大事ですし、何よりも特に障害者を代表して言われましたが、障害者、外国人の社会教育を考える時には、当事者として、つまり対象としてだけではなくて企画や運営をする立場としても、これは柏木委員もおっしゃいましたけれども、そういう出会いがあって初めて私たちが当たり前であることを本当に当たり前なのかということを問い直すきっかけにもなるということで、呼応するご発言を頂きました。
それでは、小田切委員、お待たせしました。よろしくお願いします。
【小田切委員】 ありがとうございます。小田切でございます。地域政策研究の立場から発言させていただきます。 今日の八木委員、佐藤センター長のご報告、大変共感いたしました。特に、センター長の、排除される傾向にある人々の存在が社会教育の本質的な課題を提起しているという意識、これは大変重要だというふうに理解しました。ある意味社会教育から遠い存在が故に言えることかもしれませんが、結果的に周辺的になった方々、あるいは隔絶されている方々、それに対しての意識的な対話が社会教育に試されているといいましょうか、あるいは社会教育の陶冶(とうや)の機会である、そんなふうに認識させていただきました。ただ、それを理想論と言われないためにも、かなり実践的な契機が必要になると思います。
その点で、われわれも地域づくりに関わっており、実践的すぎるかもしれませんが3点申し上げたいと思います。時間の関係で恐らく項目だけになろうかと思いますが、まず1点目は防災活動、これを基盤とするということが重要となるのではないかと思います。これは清原部会長もおっしゃっておりましたが、農村の新しいコミュニティ形成の中で防災活動を基盤として、そこに福祉活動を乗せていく、さらに経済活動も乗せていくという重層的な活動がかなり広範に見ることができます。当然のことながら、防災においては一人でも残してはいけないという立場になりますので、生活者としての外国人も障害者の方々もそこに巻き込むということが重要なんだろうと思います。
それから、2点目は、逆により積極的な活動ですが、われわれ関係人口の重要性を訴えておりますが、それは実は交流の鏡効果、つまり外から来る人間が地域の資源を発掘する、そういう視点からであります。これ、実はできるだけ遠い方々が鏡の反射率が高いということが分かっております。つまり、大人より子供、日本人より外国人、そういうふうに考えると、外国人が地域の資源を、あるいは光を発掘する。ワークショップの中に巻き込んでいくような、そんな実践活動が必要とされているかなというふうに思います。
そして、3点目は、こういったことは対話をする、あるいは丁寧に事を進めていくとを求めており、人材が重要になるというふうに思いますが、しかし、人材がこれだけ不足している中で、人材の数の拡張というのはなかなか難しい。そうなると、牧野委員もおっしゃっておりましたが、人材の機能多角化といいましょうか、この点が重要になるのだろうと思います。専任型の集落支援員は現在2,600人ぐらいいて、実は郵便局が集落支援活動と重層化する、多機能化するという事例が出始めております。そういう意味では、何度も申し上げますが、地域人材制度の棚卸しをして、そこでそれを多機能化する、そしてその時にどういうふうな課題や問題点があるのか、それを整理することが大変重要ではないかというふうに思います。
以上です。
【清原部会長】 小田切委員、大変ありがとうございます。地域づくりの専門家としてご提案いただきました。1つは防災活動を基盤として、そこに福祉や経済がさらに広がっていくということ、そして2点目に関係人口の重要性として鏡効果というのもご提起いただきました。大人より子供、そして外国人、3点目に、丁寧に進める人材として、地域人材の多角化、多様性ということもご提案いただき、これについては、今後この社会教育特別部会でもさらに文部科学省だけに閉じない検討もと考えております。ありがとうございます。
それでは、萩原副部会長お願いします。
【萩原副部会長】 発言の機会を頂きましてありがとうございます。
幾つか大きな点から言うと、柏木委員がおっしゃってくださった人権の問題とかあって、それから社会参加、参画、それは、先ほど青山委員がおっしゃった当事者の声をしっかりと聞いているのかという点からいうと、2006年の障害者権利条約、最近私いろんなところで、ジェンダー関係のところでも言っているんですが、私たち抜きで私たちのことを決めないでって有名な言葉があったと思います。あれをもう一度しっかりと受け止めて一人一人の声を聞く、そして一人一人に寄り添っていく、いわゆるダイバーシティ、インクルージョンの中にイクイティという、公平公正、そして寄り添っていく、これを意識していく必要があるのかなというふうに思いました。 それから、もう一つ、やっぱり社会のやり方、今までのやり方、デフォルトを変えるということがよく言われておりますが、そこのところもしっかりと変える。そのために、八木委員がおっしゃった偏見ですね、ありとあらゆるところにある偏見、これは私たち専門家が言うとジェンダーバイアスということになりますけれども、ありとあらゆる偏見、その思い込みに対してこれを解消していく、払拭していく努力をしていく、これはまさに一人一人の意識改革、それが行動につながっていくのではないかなというふうに思っております。ですので、今までのやり方を変えていく、そして、一人一人の声にしっかりと耳を傾けていくということが大事だろうと思います。
そして、具体的な話になりますと、先ほど自治会、町内会の話がありましたが、自治会、町内会の会員になる人たちが非常に少なくなっていると。これは、私もそういった講演とかいろんな地域づくりをやっているんですが、そこにやはり生活者としてどのように外国の方、障害者の方たちがしっかりと入っていけるか。その時に、やはりその方たちもやはりなかなか自分でできないケースがある。そこにやっぱり寄り添っていく。その時に、SOSケーパビリティという言葉があって、助けてと言えるような、そういった心理的安全性であるとか、そういった開かれた環境が地域社会の中にあるだろうかと、そういうことも見直しつつ共生ということを考えていく必要があるんじゃないかなということを今日改めて感じました。
ありがとうございます。
【清原部会長】 萩原副部会長ありがとうございます。キーワードを頂きました。1つは、「ダイバーシティ」、「インクルージョン」だけじゃなくて「イクイティ」も大事だということ、2点目に、社会の在り方としては既成の枠組み、デフォルトの点検、そして偏見、思い込みを解消していく必要があると、そういう意味では、生活者としての外国人、障害者にいかに寄り添いながら「SOSケーパビリティ」を持っていくか。なかなか日本語にならなくて申し訳ないですが、とにかく助けてと言える社会というのは、実は全ての人に求められています。災害だとか犯罪だとかいろいろ。
最後の時間、牧野副部会長お願いします。
【牧野副部会長】 すみません、お時間のないところ恐縮です。私もちょっといろいろと経験することがあるものですから、一言申し上げたいと思います。今日、主に議論としては、ある種バーバルなというか、言語を通した交流の話ですとか共生という議論につながっていくようなことだと思うのですけど、もう一面、ノンバーバルなというか、非言語的な交流というか共生といったことを基本にものを考えていく必要もあるのではないかと思ったのです。
例えば、昨今、多文化が盛んに日本で言われていますけれども、ちょっと前に、実は多文化主義という形で流行った頃があって、ちょうどその頃に私、当時の文部省の在外研究を1年間もらってカナダに行っていたのです。カナダは当時、多文化主義国であって非常に有名だったのですが、学校現場に降りていくと盛んに、例えばESL、English as a second languageですとか、あとESDというEnglish as a second dialectですけども、方言としての英語ということで、一生懸命教えているのですが、現場の先生方が何とおっしゃっていたかと言いますと、非常に英語に長けた移民の子供たちであっても、最終的には社会にうまく包摂されていかなくなってしまうということでした。
その時に、先生方がおっしゃっていたのが、やはり文化圏または文化の一つの集団ごとに分かれてしまっているという、当時カナダはサラダボウル政策というか、融合しない、統合しない、メルティングポット政策ではない形を取っていたのですけれども、そのような政策の中でノンバーバルな交流がないまま、言語で、つまり理性で、何とか統合しようということが無理ではないかという議論だったのです。
さらに、そういう経験もある中で、今日の皆さんのお話を伺っていて、さきほどの当事者性と当事者ということなんですけれども、当事者でなくても当事者性は持てるのではないかというふうに、私たちもいろんな社会教育の実践の中で感じています。それにはやはり当事者と触れ合っていかないと、当事者性というのは私たちのほうには出てこないという面があるのだろうと思うのです。その意味では、障害を持った方々、また外国人の方々に関しても、まずは、言語で接していくというよりは、ある種、一緒にそこにいてみるとか、感じ合ってみるとか、あるいはいろんな活動を一緒にやってみるとか、いろんなことの中で受け止め合うという、ノンバーバルな、つまり非言語的につながりあうような環境をつくっていくことが必要ではないかなと思うのです。
そういうことは、むしろ社会教育の得意なことではないかと思うのです。例えば、私もすこし関わりがあるヘラルボニーという障害者のアートを世界的に発信している会社があるのですが、本店というか本拠は岩手県にあるのです。この間カンヌでSDGsの大賞を取りましたけれども、世界的に認められてきています。障害を持っている方々のアート作品を発信して、市場経済を通して、きちんと還元する。そこの代表者はある意味当事者であるわけですけれども、そういうような形で世界的に受け止められていくことによって、実は障害者を障害者と言わなくてもいい社会ができてくるのではないかみたいなことがあるわけです。そういう意味では、ある種ノンバーバルな活動をどう組み込みながら相互理解を深めていくのかということがこれから問われてくるのではないかと思います。
それから、もう一つ、なぜそんなことを言うかといいますと、実は日本に来られた外国ルーツの人で第一世代の方々が高齢期に入ってきていて、最近ちょっと私も経験があるんですけども、非常に日本語をうまくしゃべる方々が認知症を患い始めると日本語を忘れていってしまうということが言われています。母語は残っていくのですが、日本語を忘れていってしまうのです。その意味で、やはり言語を介さない交流の在り方を考えておかないと、こういう方々が高齢期になった時の共生といった問題も問われてきてしまうことがあるように思うのです。
そういう意味では、そうしたことをもう一度こちら側として捉え返しつつ、どういう形でそれを人材育成につなげていくのか。ある意味では先ほども少し議論がありましたけれども、社会教育人材、また専門職の育成という時に、いわゆるノンバーバルな交流といったこともカリキュラムの中に組み込んで、新しい当事者性を生み出すような人材育成というふうにもつなげていく必要があるのではないかなとも思っています。
そういう意味で、今日皆さんの議論とても参考になりましたし、これからまたそうしたことも含めて人を中心とした社会教育の在り方について議論を進めていただければと思いました。
すみません、以上になります。
【清原部会長】 ありがとうございます。言語的なコミュニケーション、対応だけではなくて非言語、ノンバーバルの共に生きる在り方についても問題提起を頂きました。
本日は、まず社会教育分野における障害者や外国人等の学習機会をどのように充実させるべきか、そして、2点目に福祉関係者や民間団体等の地域における関係者と社会教育の連携をどのように図るべきかということにつきまして、八木委員、そして佐藤センター長のご報告に加えて、髙田課長から論点整理をしていただき、柏木委員の共生の視点からのご説明を契機に多くの委員の皆さまからご発言を頂きました。どうもありがとうございます。
私たちが全ての人のウエルビーイングを実現する社会教育を地域社会の基盤として考えていくということについて、今日も多様なご意見を頂き、充実したと思います。私たちは、学習機会の充実だけではなくて、例示されている障害者や外国人の皆さまを含む多様な人々と安全で安心して暮らしやすく、また楽しい地域社会を構築していくということについて検討ができたと思います。皆さまのご発言からは、決して障害者、外国人を特別に扱うのではなくて、もうそういうことがほとんど区別なく、もちろん差別なく、共に生きるパートナーとしてどのように学びながら暮らしていけるかという視点でのご意見を頂いたことに感謝したいと思います。
それでは、本日の審議の意見交換はこれでひとまず終わりたいと思いますけれども、事務局から今後の審議スケジュールについてご報告いただければと思います。よろしくお願いします。
【林社会教育企画調整官】 事務局でございます。時間が超過する中で、今回は資料がございます。資料の5番をお手元にご用意いただければと思います。
部会長からございましたように、今後のスケジュール案につきまして、部会長とご相談の上、資料5のとおり用意させていただきました。今後のスケジュールでございますが、まずは年内にかけまして審議事項2について、また年明けから3月、年度内です、にかけて審議事項3についてご議論いただき、年度が変わりまして来年度4月から5月にかけて審議のまとめの案を、そしてパブリックコメントを経まして来年、令和8年の夏頃を目途に答申の取りまとめというスケジュール感で本特別部会の審議を進めていただければと存じます。
スケジュール感については以上でございます。なお、次回以降の詳細な日程につきましては、別途委員の皆さまにご連絡をいたします。
事務局からは以上でございます。
【清原部会長】 ありがとうございます。皆さまからそれぞれに、やはり今後のスケジュールについてどのような目安を持って審議したらいいのかという声も寄せられておりましたので、正副部会長、事務局でご相談いたしまして、資料5のようなスケジュール案の素案をまとめました。これからも月1回、私たちが頂いている諮問の内容は大変重い内容でございますので、丁寧に審議をしていきますが、来年の夏ごろには答申案をまとめたいというスケジュール感を持って皆さまにご参加いただければと思います。
それでは、本日の第8回にもうなりますが、社会教育の在り方に関する特別部会はこれにて閉会をいたします。30度を超す猛暑がこれから予報されております。皆さま、どうぞくれぐれもご自愛いただきまして、またご参加いただければと。今日は皆さまの熱心なご審議によりまして15分超過してしまいました。けれども、今日話し合わなければならないことを今日話し合うということも重要でございます。ほんとに予定のある方ごめんなさいですが、心を一つにして意見交換できましたことに感謝いたします。
それでは、次回また元気にお目にかかりましょう。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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