令和7年5月23日(金曜日)16時00分から18時00分
文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議併用
(委員)清原委員,萩原委員
(臨時委員)青山委員,安齋委員,伊東委員,柏木委員,金澤委員,古賀委員,杉野委員,関委員,田名部委員,野津委員,東委員,牧野委員,美田委員,村井委員,八木委員,山本委員
(事務局)茂里総合教育政策局長,橋爪大臣官房審議官,堀野社会教育振興総括官,神山政策課長,中安生涯学習推進課長,中園男女共同参画共生社会学習・安全課長,鴨志田初等中等教育局視学官,髙田地域学習推進課長,林社会教育企画調整官,片見地域学習推進課家庭教育支援室長,山本地域学習推進課地域学校協働推進室長 他
【清原部会長】 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第7回社会教育の在り方に関する特別部会を開催いたします。
本日は、大変に御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本会議は、対面とオンラインを併用して開催いたします。なお、本日はユーチューブのライブ配信に加え、会場でも報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から、会議の全体について録画を行いたい旨申出があり、許可しておりますので、皆様、どうぞ御承知おきください。
続きまして、事務局に人事異動がございました。新たに着任された職員を私から紹介させていただきます。
私がいいですか。林さんに紹介していただいたほうがいいかな。
【林社会教育企画調整官】 承ります。事務局のほうから人事異動の紹介をさせていただきます。
大臣官房審議官の橋爪でございます。
【橋爪大臣官房審議官】 どうぞよろしくお願いいたします。
【林社会教育企画調整官】 社会教育振興総括官の堀野でございます。
【堀野社会教育振興総括官】 堀野です。よろしくお願いいたします。
【林社会教育企画調整官】 地域学習推進課長の髙田でございます。
【髙田地域学習推進課長】 髙田です。どうぞよろしくお願いします。
【林社会教育企画調整官】 日本語教育課視学官の鴨志田でございます。
【鴨志田日本語教育課視学官】 鴨志田です。よろしくお願いいたします。
【林社会教育企画調整官】 そして、私、地域学習推進課社会教育企画調整官の林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【清原部会長】 御紹介ありがとうございます。新たに着任された皆様、どうぞ特別部会、よろしくお願いいたします。なお、引き続き総合教育政策局長には茂里局長がいらして、今日も会議ににこやかに参加してくださっていますことを御紹介いたします。ありがとうございます。
それでは、本日の会議より新たに就任されました委員お二人を御紹介しますので、一言ずつ御挨拶をお願いします。
まず、伊東香織委員です。
【伊東委員】 失礼いたします。岡山県倉敷市長の伊東香織と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
倉敷市は人口が今47.5万人ぐらいでございまして、瀬戸内の中核市でございます。以前、大学関係のほうの審議会のほうでもお世話になりまして、ありがとうございました。そして、この場所は倉敷市、文化庁様から日本遺産を3つ頂戴いたしておりまして、これは松野大臣から認定状を頂いたのをよく覚えております。倉敷市の現状等につきまして、何か御協力、発表させていただくことができればと思っております。よろしくお願いします。
【清原部会長】 現職の市長さんとして、どうぞ御発言よろしくお願いいたします。
続きまして、田名部智之委員です。どうぞ、御挨拶一言お願いいたします。
【田名部委員】 ただいま御紹介いただきました田名部でございます。全国高等学校PTA連合会の会長を務めさせていただいております。また、単位PTAでも、高校の今PTA会長を現在務めております。
住んでいるところは、青森県の八戸市というところでございます。よろしくお願いいたします。
以上です。
【清原部会長】 田名部委員、ありがとうございます。どうぞ保護者としての視点を含めて、PTAの活動については後ほど御報告いただきますが、よろしくお願いいたします。
それでは、伊東委員、田名部委員、皆様と御一緒に、どうぞこの会議に積極的に御参加をお願いいたします。
それでは、早速議事に入らせていただきます。本日の会議は18時までの開催を予定しています。委員の皆様の貴重なお時間をいただいていますので、限られた時間の中ではございますが、皆様、御自由に、そして充実した議論ができるよう、進行に努めたいと思います。皆様におかれましても、会議の円滑な進行に御協力のほど、改めてお願い申し上げます。
本日は、まず、前回、第6回までに御議論いただいた内容について、審議事項1に関する意見の整理として取りまとめましたので、その内容について、事務局から簡単に御報告をいただき、確認をしたいと思います。それでは、髙田課長、御説明よろしくお願いいたします。
【髙田地域学習推進課長】 それでは、資料1を御覧ください。
資料1、審議事項1に関する意見の整理【概要】というものでございますけれども、一番初めに、この意見の整理の趣旨について記載しております。この意見の整理というものにつきましては、第13期、今期からの議論に引継ぐ議論に資するよう12期の議論をまとめたものでございまして、審議事項1「社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策」について、これまでの議論で出された現状認識や課題、引き続き深めていくべき主な検討の視点を整理したものというものでございます。これにつきましては、実は4月16日付で文部科学省のホームページに公開しているものでもございまして、この場をお借りして、これについて御報告申し上げます。
そして、その後の書いている内容でございますけれども、1、2、3とございますけれども、1につきましては、現状認識的なものですので、ここは省略させていただきますが、特に3の社会教育の推進に向けた今後の方向性、そこの特に赤字部分について御確認いただければと思います。ここで、例えば社会教育人材を中核とした社会教育の推進の基本的な考え方として、社会教育人材の育成や活躍促進についても重要な柱として捉え直していくことが必要であるだとか、その下のほうの社会教育人材をネットワーク化していくと、そういったような議論が特に新しい議論として議論されたというようなところでございます。
めくっていただきまして、その後もマル2、マル3という形でいろいろまとめておりますけれども、特にマル4、社会教育主事・社会教育士の養成の改善というところで、社会教育主事と社会教育士の異なる役割に応じた養成の改善方策を検討することが必要であるですとか、ネットワーク化というところで社会教育主事を中心とした社会教育士も含めたネットワークの構築・活性化ということをどうやっていくのかというようなことが、特に大きく議論されたことだというふうに思っております。
また、一番最後の部分で、社会教育行政を推進する上での重要な視点というところで、共生社会の実現ですとかデジタル社会への対応、また、幅広い世代の参画を促す工夫、こういったような視点についても重要であるというようなことが議論されたというものでございます。
こういった本意見の整理で示されている検討の視点を踏まえて、今後、これからの議論の参考にしていただき検討を深めていただければというものでございます。
資料の説明、以上でございます。
【清原部会長】 どうもありがとうございます。以上、これまで6回の部会で審議事項1に関して意見の整理をいたしましたので、まず、出発点として共有させていただきました。
さて、後ほど詳しく事務局より説明いただく資料4-1の2ページをお開きください。
改めて確認をさせていただきます。地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について、私たちは諮問をいただき、それについて審議を特別部会で行っているわけでございます。この4-1の2ページ目に、諮問の主な審議事項が3つ列挙されておりまして、その1が社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策、それが今、髙田課長より説明していただいた取りまとめとして一定のスタートになっているわけですが、次に、2として、社会教育活動の推進方策、地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策、公民館、図書館、博物館等における社会教育活動の推進方策、青少年教育施設等における青少年体験活動の推進方策、地域コミュニティに関する首長部局の施策や多様な主体が担う活動との連携・振興方策、そして共生社会の実現に向けた障害者・外国人等を含めた社会教育の推進方策等、これらが例示されている2の社会教育活動の推進方策について、本日から本格的な審議を開始するということになります。
そこで、本日、この赤印になっております地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策ということについて、皆様との意見交換を深めるために、本日は、皆様の意見交換がより自由濶達なものとなるよう、安齋委員と田名部委員に御発表をいただくことといたしました。お二人の発表を続けて行っていただき、その後、事実確認などについて質疑応答を行った後、事務局からの説明をいただき、その後、委員の皆様と意見交換を行いたいと思います。
そこで、まずは安齋委員から御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。今、マイクがまいります。
【安齋委員】 安齋です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私のほうからは、地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策ということで、私は教育委員会でコミュニティ・スクールの導入に関わった経験、そしてそれを基に校長として学校経営に関わった経験から、平成25年度から文部科学省のCSマイスターを務めさせていただきました。そういったことから、今日はコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進を通してということで、お話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
では、次のスライドをお願いいたします。
最初に、地域と学校の連携・協働の必要性とはということでお話をさせていただきたいと思います。
次のスライドをお願いします。
まず、学校サイドからの必要性の1つ目として、社会に開かれた教育課程の実現のために、地域と連携・協働が欠かせないということからお話をさせていただきます。御存じのとおり、第4期教育振興基本計画のコンセプトに挙げられている持続可能な社会の創り手の育成に向けて、社会開かれた教育課程を理念とする学習指導要領に基づく教育が、今現在、各学校で展開されています。残念ながら、地域との連携の薄い学校においては、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるというこの目標を学校と社会が共有し連携・協働するという状況にはなってない、そんな状況も見られます。
2つ目としては、今まさに学校が抱える複雑化・多様化する課題解決、これが、学校だけの努力では解決が難しいということです。不登校、いじめ、毎年毎年右肩上がり、不登校に至っては、昨年度は約35万人の子供たちが不登校になっている、そんな状況の中で、また、働き方改革の問題も今国会で審議されていますが、地域との理解、そして協力がなければ解決することは難しい、そんなふうに考えています。
3つ目としては、「チームとしての学校」の実現の視点からの必要性です。御存じのとおり、平成27年12月にチームとしての学校の在り方と今後の改善方策についてという中教審答申が出されて、専門性に基づくチーム体制の構築等学校のマネジメントの強化が図られてきました。今は専門的な力を持った先生であったり、またはスクールカウンセラー、それからスクールソーシャルワーカー、そういった人たちも学校に配置されるようになってきて、かなりそういった点では改善が見られるわけですが、しかし、本来の教育活動に先生方が力を発揮するためには、地域とともに学校を支えていく、そういった体制をつくっていくことが、まさに喫緊の課題になっているのかなというふうに思っています。
いずれにしても、学校だけが頑張るとか、学校だけで頑張るということはもはや不可能な状況であり、その多くの課題が社会に起因しているとすれば、地域との連携・協働は必要じゃなくて必然なのかなというふうに思っています。
次のスライドをお願いいたします。
次に、地域サイドから見た必要性については、まさにこれまでの議論の中でも取り上げてきたとおり、地域コミュニティが抱える様々な課題解決に社会教育が必要だということで議論はされてきました。しかし、一方で、自分には関係ないとか、誰かがやってくれるだろうとか、行政がやってくれるだろう、そういった地域住民が多いのも事実なのかなというふうに思います。
次のスライドをお願いします。
社会教育や社会活動に参加しようとする意識、当事者意識というのは、それほど高まってないのかなと。前のスライドにありましたように、実際に参加している人は32%ぐらいというふうに言われています。しかし、私の経験からお話しさせていただくと、地域の方たちは、身近な子供や学校のことについては意外と積極的に参加してくれる、そういう活動に参加するきっかけになりやすい、そしてその参加をきっかけとして当事者意識を高めることになっていると感じています。まさに最後、私が校長を務めたときはコロナ禍でありました。学校経営が非常に困難なときでありましたが、地域の方たちの理解と協力のおかげで、子供たちの学びをとめずに子供たちを育むことができました。まさにコミュニティ・スクール、地域学校協働活動の仕組みを使って、多くの地域住民が快く参加していただけたな、そんなふうに考えています。コミュニティ・スクール、地域学校協働活動の持つ機能をうまく使っていけば、地域と学校が連携・協働をさらに推進して、社会教育の充実につながる方策となる可能性が非常に大きいんじゃないかというふうに期待しているところです。
では、次のスライドをお願いいたします。
次に、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進とはということで、次のスライドお願いします。
このことについては、本日のほかの資料にもございますし、委員の方々にとっては改めて説明は不要なのかなと思うんですが、しかし、一般的には、残念ながらこのコミュニティ・スクールも地域学校協働活動もまだ認識が非常に薄い。コミュニティ・スクールを「CS」というと「それ何?」という、そんな回答が返ってくるぐらい、まだまだ一般的には認知されてないと。特にコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の本来の役割というのは十分伝わっていないのではないのかなというふうに思っています。コミュニティ・スクールは地域とともにある学校づくりのツールであり、学校の運営やその支援のために協議する場ということで、3つの役割があるわけですけども、究極的にいうと、私はこのコミュニティ・スクールというのはスクールガバナンスを強化する、そういったものだということで理解しているんですが、それが、なかなか次に説明する地域学校協働活動と混同しながら捉えられている。地域と何かをやっていることがコミュニティ・スクールだといった、そんな理解もあって、なかなか十分な理解が進んでいるとはいってない状況にあるのかなと思います。
次のスライドをお願いいたします。
では、地域学校協働活動は何かというと、これは学校を核とした地域づくりです。目的が地域づくりです。幅広い地域住民の参画の下、学校と地域が目標を共有しパートナーとして子供たちの学びや成長を支える活動なんですけども、そこにある社会教育法第5条第2項に、学校と協働して行う以下の活動と規定されていますという、この法律の文章を見ると、なかなか何をやるのが地域学校協働活動なのかが非常に分かりにくいという状況です。そういった面もあるのか、実際地域学校協働活動として行われていることの多くは、学校の支援的なこと、学校支援ボランティアの派遣的なことが多く行われている。もう一つ挙げるとすれば、放課後子供教室でしょうか。なかなかその広がりが見られないというところがあるかと思います。家庭教育支援などの分野も大きいんですけども、そういったことがなかなか広がっていかないというふうに感じています。
次のスライドをお願いします。
この2つの取組は、先ほども言いましたように、学校づくり、地域づくり、目的は違うんですが、やはり一体的に推進することで双方の活動が充実し、目的とする学校づくり、地域づくりにつながっていく、そんなふうに考えています。そこにつなぐ役割として、地域学校協働活動推進員がいるわけですけども、まさに社会教育人材の1人なのかなというふうにも思うわけですけども、この推進員は、コミュニティ・スクールにおいては、法律の改正によって学校運営協議会の委員として入れるべき存在、そして学校運営協議会を事務的にも支える、そんな存在、また、地域学校協働活動においては学校と地域のつなぎ役というふうに言われていますけども、もう一つ大きな役割としては、まさに新たなそういう地域学校協働活動を企画立案する役割があるわけですけども、残念ながらそこまでの資質能力が高まっていないという現状も見られる。まさにこれが、これから地域学校協働活動推進員の方たちに社会教育士の資格取得を推進し、社会教育主事との関係でネットワークを構築していくという上でとても重要な課題になっていくのかなというふうに考えています。
次のスライドをお願いします。
コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の関係性なんですけども、以前は、学校を地域が下から支えるという一方向の関係でいました。しかし、この関係でいくと、最終的に学校と地域が貸し借りの関係のような形になって、地域に不満がたまっていくというか、我々は子供のために一生懸命やっているのに学校は地域のために何もしてくれないみたいな、そんな関係もあり、そういったものを改善するために、今、地域学校協働活動とコミュニティ・スクール関係はパートナーとして双方向の関係になっています。こういったことを進めていくためにも、そこにもあるように、共通の目標を持ってお互いがその目標の下に同じ目線で取り組んでいくということが求められているのかなというふうに思います。
次のスライドをお願いいたします。
昨年の5月1日現在で、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の推進状況です。平成29年の法改正によってコミュニティ・スクールの努力義務化がされたおかげで、それまで毎年500校ぐらいしか増加してなかったんですが、2,000校から3,000校ずつ毎年毎年増えている。そして、令和6年5月1日現在58.7%、全国の公立学校の2万153校に導入が進んでいます。地域学校協働活動も63.9%、2万1,935校の学校をカバーするまでに増えてきている。これは本当にすばらしいことだなというふうに思っています。また、その両方とも導入している、一体的に整備しているというところは、まだ半数に届かない。45.5%、1万5,626校という実態だということを、まずは御覧いただきたいなと思います。
では、次のスライドをお願いいたします。
では、実際に一体的推進による成果、効果というものはどのようなものがあるのかということについて、若干幾つかの例を御紹介しながら御説明させていただきます。
次のスライドをお願いします。
これは、先ほどもちょっとお話ししました、学校にとって非常に大きな課題になっている不登校の問題について、このコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の仕組みを使って、今、改善に取り組んでいるという例です。東京都八王子市の松木中学校の例なんですけども、当初、コミュニティ・スクール、学校運営協議会では、不登校を減らすという視点で話合いが始まったというふうに聞いています。しかし、学校運営協議会の委員の人たちを中心に、まさに熟議という話合いを通しながら、学びを通して、決して学校に子供を戻すだけが本来の目的ではない。その子供たちが社会的な自立ということが大切なんだということを、そこに関わる保護者や地域の人たちが学んだことによって、そういう子供たちが将来的に社会的に自立をするために地域でできることは何かということを、まさに地域学校協働活動として考え、そこに書いてありますように、「放課後カフェなないろ」などの居場所をつくっていったというふうに聞いております。学校がお願いしてつくってもらったのではなくて、まさに地域の人たちが自分たちのミッションとして、役割として、こういった活動を立ち上げていったというところに大きな特徴、大きな成果があるのかなというふうに思います。子供の学校の課題に、地域住民が自分事として取り組む、まさにこういったことの取組が、地域の抱える課題の解決にもいずれつながっていくというふうに考えています。
次のスライドをお願いします。
次は、東日本大震災、原発災害によって全町避難をせざるを得なくなった福島県の楢葉町の例でございます。全町避難によって、避難解除になってもなかなか住民が戻ってこないという中で、楢葉町はまさにこのコミュニティ・スクール、地域学校協働活動というものをまちの再生のために有効に活用して、今はまだまだ100%の期間ではないんですが、コミュニティセンターを中心に、地域住民が新たな地域の地域コミュニティの創生を行っている。また、そこで子供たちが地域の人たちと関わることによってたくましく成長している。実は、この楢葉町の取組は、今回文科大臣表彰を受けまして、先日、代表の子供がこの文科省で堂々と発表している姿を見たときに、本当に地域の人たちが子供の成長を支えることのすばらしさというものを感じたところです。地域の人たちが今まで本当にあまり学校と関わらなかった人たちが、まさにこのコミュニティセンターを中心にしながら、しっかりと地域で支える仕組みがつくり上げられたというところがとてもすばらしいところ。まさに学校運営協議会が、学校だけじゃなくて、学校と地域、子供たちと地域が語り合う場、対話の場になっているすばらしい例かなというふうに思っています。
次のスライドをお願いします。
次は、学校運営協議会が今まさに話題になっている働き方改革について機能した例ということで、埼玉県の戸田市の例でございます。今、国でも、給特法の改正についての審議がされていますけども、この戸田南小学校の例にあるように、実際に学校運営協議会を通しながら、保護者、地域住民の方たちが何をできるかを考えていったように、私も実際に学校で働き方改革の熟議をしたことがあるんですが、地域住民の人たちは、これだけ先生たちが大変だと言っていても、実際にそれを本当に自分事として感じている地域住民の方は非常に少ないということがよく分かりました。熟議をしたときに、何で校長はもっと我々に先生の大変さを教えてくれなかったんだというお叱りを受けたんですが、新聞やテレビで盛んに報道されていても、実は届いてないというのが現実なのか。だから、こういったコミュニティ・スクールという場でしっかりとそういった生の先生方の声を聞いていただき、そして何ができるかを一緒に考えていただく、この過程において、私は、最終的には学校と地域の信頼関係が構築されるんではないかなというふうに期待しています。もちろん、先生方の時間外の勤務時間が減ることも重要なんですが、でも、今、若い先生たちが何に負担を感じているかというと、保護者との関係、地域との関係です。やっぱり信頼関係の上で安心して先生たちが教育に専念できるような、そういった関係をつくっていくことがやはり大切なのかなというふうに考えています。
実際に、次の資料をお願いいたします。
3分類ということで、基本的には学校以外が担う業務ということで、この5つを文科省として挙げているわけですけども、依然としてこういった取組が学校の仕事になっているところが非常に多いです。一番上の登下校に関する対応なども、朝の交通指導に先生たちがいまだに駆り出されている学校というのが見られます。そういったことを、コミュニティ・スクールで、自分たちの役割としてしっかりと取り組むことがすごく大切なのではないかなというふうに思っています。
次の資料をお願いします。スライドをお願いします。
基本的には学校以外が担うべき業務ということで、登下校の対応などは、比較的地域等で対応されていますが、地域人材との連絡調整などは、いまだ学校の地域連携担当が担っている学校が多くみられます。しかし、地域学校協働活動推進員を学校に常駐化させ、学校の地域連携担当教職員と協力して地域との連携を進めているという学校においては、非常に教職員の負担も減っておりますし、実際に、地域のリソースを積極的に上手に活用しているというふうな例が見られます。
次、お願いいたします。次のスライドをお願いします。
先ほども言いましたが、給特法の改正が今、国のほうで行われています、国会のほうで行われていますが、それに合わせて地教行法の改正も考えられているということでございます。今まで承認事項、学校協議会において基本方針の承認という大切な役割があるんですが、新たにそこに書いてあるように、当該対象学校における公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第7条第1項に規定する業務量管理・健康確保措置の実施その他教育委員会ということで、新たにその基本方針の承認事項の中に、この先生方の働き方に関わるもの入ってくるということです。この意味というのは、非常に私は重要なのかなというふうに思っています。まさに、学校と地域が信頼関係を構築するための、学校運営協議会での承認になってくるのかなというふうに思っています。そういったことで、学校運営協議会の役割、コミュニティ・スクールの推進意味というのがこれからますます高まってくるのかなと、そんなふうに感じています。
次、お願いいたします。
最後に、地域と学校の連携・協働のさらなる推進策ということで、私のほうから提案させていただきます。
次のスライドをお願いします。
3つ提案させていただきますが、やはり何といいましても、このコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進こそが、この学校と地域の連携を進める上で、一番の大切な取組。ですから、まだ6割程度の導入率ですが、できるだけ早く導入加速をしながら、全ての学校地域にコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の導入がされるべきである。一方で、取組の形骸化ということも心配されています。ですから、学校経営の改善、ソーシャルキャピタルの向上に資するような活動になるようにするためには、まさにこの一体的推進の主体者である教育委員会の役割が重要なのかなというふうに考えています。
次のスライドをお願いします。
教育委員会の役割として幾つか挙げさせていただいていますけども、残念ながら導入まで一生懸命やる教育委員会が多いんですけど、導入したとたん校長に丸投げになってしまうところが非常に多くて、校長のほうもどう使っていいかということが十分に分からずに、ともすると学校評議員制度と何ら変わらないような使い方をしているところもまだ見られるという。そういったことにおいても、私はやっぱり教育委員会が伴走支援体制をしっかりと構築し、その中で管理主事、指導主事、社会教育主事、こういった方たちがきちっと学校を支えられるような力を身につけていく必要があるのかなと考えています。特に社会教育主事は、教員、学校系の方がなっている場合、学校も地域も両方分かっているので、これから学校にとっては非常に重要な役割を果たすことが期待されるので、もっともっと積極的に社会教育主事の専門性を発揮してもいいのかなというふうに思います。
2つ目として、学校教育部・社会教育部・首長部局との連携ということで、なかなか学校教育部と社会教育部がうまく連携できてないところが多く見られて、それぞれコミュニティ・スクールはコミュニティ・スクール、地域学校協働活動は地域学校協働活動という形でやられているところがあるので、早くこの一体的な取組を教育委員会の中でする必要があるだろう。もっと重要なのは、私は首長部局との連携なんだろうなと。このコミュニティ・スクール、地域学校協働活動が、先ほども言いましたが、地域課題の解決のプラットフォームになるというふうなよさを、もっともっと首長さんたちに知っていただいて、教育委員会とそういう首長部局の連携がなされるべきではないかというふうに考えています。
次、お願いいたします。
地域学校協働活動推進員の配置促進と資質・能力の向上については、まだまだ途上なのかなというふうに思っています。ようやく教育委員会から委嘱されている人たちが増えてきているわけですけども、まだまだ人数的には少ない。そして、その研修も十分に行われていないというふうな状況が見られます。まさに、この地域学校協働活動推進員がキーパーソンでありますので、ここに教育委員会としての積極的な取組というのが期待されます。本部会との関わりでいうと、地域学校協働活動推進員の皆さんに、社会教育士の称号取得を教育委員会としても進めていく、そしてネットワークをつくっていくことが大切なのかなと思っています。
マル4として、この後発表もあるようですが、PTAや子供会等の社会教育団体、民間教育企業等ネットワークの強化というものも必要なのかな。まだまだ各種そういう団体にコミュニティ・スクールや地域学校協働活動の理解が十分進んでいない状況が見られる。そういったことが十分伝わることによって、お互いウィン・ウィンの関係として取り組まれるのではないかなというふうに考えて期待しております。
次、お願いいたします。
2つ目の提案としては、地域学校協働活動学びの循環ということで、これは公民館活動の活性化ということで、ひょっとするとこの後の話題になってくるのかと思うんですが、校長の立場からすると、公民館の講座が非常にもったいないと感じます。もっともっとこの地域学校協働活動との関連が生まれてきたらと感じます。公民館の活動でインプットされたものを地域学校協働活動でアウトプットするという、そういった関係になってくると地域の社会教育がすごく進んでいくのではないだろうか、そんなふうに期待しています。
次、お願いします。
最後ですが、これはまさに私が校長として12年間コミュニティ・スクールに関わってきたことからのお願いに近いものなんですが、なかなか学校と地域がやっぱり目標を共有できない、できていないという現実が見られます。そのためには私は、まずは学校の教育目標を自分たちで保護者や地域も巻き込みながらつくっていくというのが一番の近道ではないのかなというふうに感じてきました。これは私が最後に務めたまゆみ小学校の教育目標のつくるプロセスと、そしてつくられた教育目標「楽しいことを考えよう」です。今までの知徳体を基本とした教育目標からすると、「何だ、この教育目標」とお叱りをいただきそうなんですが、でも、自分たちでつくった目標であるということがすごく大切で、これをお飾りの目標にはしてないところがまゆみ小学校のよさかなというふうに感じています。
次の資料をお願いします。
教育目標達成のプロセスにつながるビジョンも、実はこれも地域の人たち、保護者の人たちと一緒につくったものです。こういったことを行っていくのがまさにコミュニティ・スクールであり、こういった過程こそが大人の学び、社会教育につながっていくのかなというふうに考えています。
次、お願いします。
学校の教育目標をみんなでつくることが、そこに挙げたように、当事者意識が高まったり、まさに地域学校協働活動の目標になったり、そして地域住民の責任感や覚悟を醸成したり、最終的に学校と地域が同じ夢を語る、そんな、ともに生きる目標、生きがいにつながっていくんじゃないのかなと。学校では、子供たちに郷土愛を育むということをしていますが、まさに地域学校協働活動を行うことによって、地域住民のシビックプライドの醸成、そういったものにつながっていくんじゃないかなというふうに期待しています。
次のスライドをお願いします。
私が本当に12年間校長をやってきて一番思ったのは、地域と学校の連携協働というのは信頼関係があってこそ。でも、実はなかなかその連携協働というのは口で言うほど簡単ではないということです。やっぱり対話を繰り返して信頼関係をつくっていかないと、連携協働というのはできないということです。だからこそコミュニティ・スクールでの対話、そして地域学校協働活動を通して一緒に汗をかくということが必要なのではないかなというふうに考えています。いい地域はいい学校を育てる、いい学校はいい地域をつくる、いつもこんな合い言葉の下に、コミュニティ・スクールの推進に取り組んでまいりました。
私の発表は以上でございます。ありがとうございました。
【清原部会長】 安齋委員、ありがとうございます。地域と学校の連携・協働のさらなる推進方策について、3つの御提案をいただきました。
1つ目、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進の加速化と質の向上。2点目、地域学校協働活動の学びの循環、公民館活動の活性化。そして3点目としては、学校と地域の目標の共有ということで、学校づくりと地域づくりの一体的推進について、具体的な事例も含めて御提案いただきました。どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、田名部委員から、地域コミュニティとPTAについて御発表いただきます。田名部委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【田名部委員】 ありがとうございます。それでは、発表させていただきます。
題は、地域コミュニティとPTAについてでございます。
次のページをお願いします。
地域コミュニティとPTAということで、ただいま安齋先生から発表いただいたとおり、非常に地域コミュニティ、小中学校、高等学校、そして公民館や博物館、図書館、美術館などなど、そういうハード、施設とソフト、人材という意味では、この2つがあって地域は成り立ちますし、コミュニティ・スクールというものもこれらで成り立っていくはずでございますが、このコミュニティ・スクール、地域コミュニティにおいて、我々はPTAという組織は切っても切れない不可欠なものだというふうに思っております。
次のページをお願いします。
ところが、その肝腎要な、今日現在、強固な組織としてあるPTAにおいても、昨今問題がございます。その一番問題としているところはPTA不要論というところでございます。
次のページをお願いします。
PTA不要論の背景として、大きくこの3つがあるのかなというふうに思ってございます。1つは、PTAの運営の方法です。そして2つ目、PTAの強制加入という問題です。そして3つ目、PTA活動のマンネリ化ということが、このPTA不要論の背景にあるものではないのかなというふうに思ってございます。
次のページをお願いします。
まず、そのうちの1つ、PTAの運営方法というところでありますが、各校単位PTAに掘り下げてみますと、小学校、中学校、そして高等学校では状況ということが違いますが、高等学校であれば専門事務局、渉外担当の先生がいらっしゃるということがあります。小学校、中学校は教頭先生が主にこちらを担当しておりまして、校長先生と一緒にPTAの会議に出ていただくというようなことがございます。そして、保護者の役員ですけども、小学校、中学校でありますと、小学校であれば長い方だと6年間、そして中学校であれば3年間、そして高等学校も3年間ということで任期はあるんですが、1年しかやらないという委員は、役員さんはほとんどいらっしゃらないというようなことであります。また、兄弟がいると、ここは伸びてくるというようなことであります。高等学校の場合は、小学校と比べてPTAの親の負担というのは少ないです。それは、学校の協力もあるということと、あと、高等学校になりますと生徒の力が、体力的な力が結構大きくなりますので、親が例えばテントを建てるとか、清掃の手伝いに行くというような労力的な奉仕、子供ができないところを親が手伝うというところが少なくなるので、小中学校と比べて、高等学校は親の負担は少なくなっております。活動内容は限定的になってきております。それは、高等学校の場合は、小中学校と比べて、例えば学区がいろいろ遠くなってしまったり、地域を越えてしまうということがあるので、親の参加者は少ない。負担も少ないんですけども、参加者が少ないというようなことになっております。会計におきましては、学校と密接につながっているために不正ということは少ないんですが、そのお金の使い道においては学校が主導的な思いをPTAに押しつけるというかお願いするというようなことが多いというところが、単位PTA、学校単位のPTAの問題ではなくて状況でございます。
次のページをお願いします。
先ほどは単位PTAの状況でしたけども、これは、次は全国だとか都道府県、そして市町村の連合会、単位PTAの集合体においてもPTAというものは各個人からの会員が単位PTAから県、全国というような形で上がってきますので、そこそこでのPTAの活動ということで我々動いてございます。全国組織になりますと、都道府県の組織になりますと、専門事務局さんというのは、大体事務局長さんというような立場の方は、元校長先生だとか元教員の方が多いというような形になります。そして、会長職の方は、ほとんどが保護者の方です。現役の保護者の方、もしくは卒業して一、二年くらいはOBとして、会長の成り手がいない場合にはなっているPTAもあるということであります。そして、任期においてはばらつきがあります。役員の選任方法については、指名制であるとか、前任者がお願いするというようなことがあります。そして、運営は事務局に依存傾向があります。というのは、任期が短い場合は、かなり状況を分かっている事務局がリーダーシップを取る場合が多いので、どちらかというと事務局さん、事務局長さんに、去年はどういう事業をやったんですかということで、去年どおりやりましょうというような形で運営が依存傾向になっていくということがあります。任期にばらつきがあったり、役員の選任方法が非常に決め方が不透明ということで、ここはちょっとブラックボックスに見える、PTAを深く知らない方、一般の会員さんはここを不透明というふうに見えるところが多いのではないのかなというふうに思ってございます。
次のページをお願いします。
一般的ですけども、不透明感だとか、そういうことがあると、それは当然、不満になると。役員をやりたいのにやらせてもらえないとか、もしくはやりたくないのにやらせられるとか、そういうところが不満に、お金の使い方はどうなっているんだとか、そういうようなところが不透明であると、それは不満につながってくるのかなというふうに思っております。これは、人の気持ちですので、そういうふうに取られるのは仕方のないことかなというふうに思ってございますが、一般会員も不満があるんでしょうけども、我々PTAの役員も、別に私もそうですけど、なりたくてなったわけではなく、子供のためにと思って小学校からPTAを手伝ったら、小学校、中学校、高校と、もうリタイアが途中で許されないような非常に人情が厚いといいますか、本当にやめさせてもらえないというのがPTAでございます。ですので、やりたくてやっているわけじゃないんですけども、成り手がないのでここまで来てしまいましたけども、そういうなっている人間からすると、PTAの役員というのは時間だとか労力だとかお金というものを、一般のやっていない方に比べてかなり、犠牲というとよくて楽しくてやっているので犠牲ではないですけども、一般的な方よりもそういうものを学校に、地域に、そして子供たちに割いているということですが、善意でやっていることなのに悪く言われるのは非常に心外であるなというふうに思っております。大抵、PTAは不透明だから入りたくないだとか、PTAは不要だとかというような非難している方というのは、そういう方というのは別に一生懸命やっている方が不満を持つことは少なくて、どちらかというと何もしてない方のほうが非難する方が多いということを、我々は役員サイドではそのように見ているということでございます。
次のページお願いします。
そうは言っても、任意で、皆さん、世の中をよくしたくて集まっている我々の団体であります。特に私が今会長を務めておりますPTA連合会、全国高等学校PTA連合会においても、改革に着手しております。例えば、単位PTAの問題だとか都道府県の問題というものも、全校P連が率先して襟を正して、先ほどの不透明感だと思われるようなことを率先して不透明に見えないようなルールづくりだとか取組をすることによって、都道府県のPTAの改革、そして単位PTAの改革になっていくと、地域の先々まで、役員さんの気持ちまで変えていけるんじゃないのかなと。まずは気がついたところから率先してやっていこうということで、全校P連の総会においてもやり方を変えたり、会長会議であるとか事務局長の会議であるということもやり方をどんどん変えて、透明性、公平性を高める努力をしてございます。
次のページをお願いします。
2つ目のPTAの強制加入問題でありますが、単位PTA、連合PTA共に任意の加入ということになっております。ルールでそういうことになっております。小中学校に比べて高校のPTAは、強制加入というか、できるだけ入ってくださいというふうに言われることに対しての抵抗感は薄いです。手伝いに行けないので、PTAの会費を払って、それで許してもらおうという気持ちが働いてか、ここについてはあまり言ってこないというところがあります。ですが、単位PTAも既存の学校のPTAが我々連合会から離脱をしたいというような最近は流れが起きております。そして、またこの都道府県連合会が我々全国組織から抜けたいというような、我々から見ると全国、都道府県、そして単位PTAという形で流れてきているんですけども、したというと語弊がありますけども、上部組織を抜けたがっているというような形になります。そうすると、当然単位PTAも一般の会員さんは抜けたがるというようなことになります。どんどん、どんどん任意加入であるから抜けよう抜けようという形のほうに流れはいってございます。
次のページをお願いいたします。
PTAは、間違いなく学校とか生徒のために時間と労力とお金をお互いに費やしております。私利私欲で設置されているPTA、単位PTA、都道府県のPTA、全国P連ということは皆無であります。ここは自信を持って言えます。教材費だとか給食費だとか、世の中には経費がかかっているものというのは必ずあって、その経費は払わなければならない経費だというふうに思っています。例えば税金であるとかNHKの受信料も同じです。かかっているものに対してはお金を払わなきゃならなくて、世の中に無料、ただというものはないわけで、我々PTAの活動も任意とは言いながらも、そこに子供たちのために時間と労力とお金を費やしている。費用が発生していたり、労力が発生しているわけですから、ここを無料というのは、もしくは任意というのは、考え方的にはPTAに加入するのは任意でもいいんですけども、かかっているものを任意という名の下に、費用を負担する人としない人で分かれてしまうのは公正公平ではないのではないのかなと思っております。組織であるとか団体の会員というくくりになってしまいますので、入会に任意というような考え方が出てくるのかなと。団体があるから、そこに入る、強制に入れることができないから、それを逃げる意味で任意という言葉があるのかなというふうに思っていますが、そういう脱不要論の前に、任意とか強制ということの前に、このPTAの活動は必要なのか不必要なのかということのほうを議論するべきなのかなというふうに思っております。そこを、国だとか地方自治体だとか、先ほど言われました地域の皆さんだとか町内会だとかが、別にPTAは要りませんということであれば、私は不要論があってもいいのかなというふうに思いますけども、さんざん皆さんPTAを使っているとか当てにするとかいうことなわけなので、そこにおいては、必要なのであれば、不要論だとか任意という言葉はいかがなものなのかなと。先日、全国大会、去年ございましたけども、ここにおいてあべ大臣が御出席いただきました。当時副大臣でございましたけども、頑張っている方には何らかのインセンティブがあってもいいよねというようなことを、全国大会の席ではなくて、私との懇談の中でありがたいお言葉も頂戴いたしました。
次のページをお願いいたします。
3番目、PTAの活動マンネリ化についてです。これは、単位PTAも全国都道府県のPTAも一緒だと思っております。1年生から3年生の保護者の役員が短期でありますし、事務局が安定しているということと、長期で数十年ずっと安定的にやらせていただいてきたことが、このマンネリ化の原因になっております。これは、よろしくないことなんですけども、これを決定的に変えるすべをまだ我々は持っていないです。ここにおいては、先ほど御発表ありましたとおり、地域との連携の中で、新たなPTA活動の仕方がマンネリ化を打破する必要なニーズの変化、多様化に対応できるような形になっていけばいいのかなというように思っております。モンスターペアレントだとか少子高齢化においても、このPTA、我々は学校対モンスターペアレントだとか、町内とモンスターペアレントということではなくて、我々PTAのほうでモンスターと言われる方々の教育だとか、指導なのかみちびきなのか、そういうことで何らかの形で世の中の困ったことにも対応できるのではないのかなというふうに思ってございます。
次のページをお願いします。
地域コミュニティ、我々PTAは公立・私立ということもありますが、これはもう公立も私立も一緒でありまして、私は私立高校のPTA会長で全国P連の会長までさせていただいております。私立も公立も関係なく、PTAの力というのはまだまだ今日現在は絶大なものがあります。我々の今の会員、全国P連ですと190万人の会員がおります。この力はまだあります。今この力がまだある段階で、コミュニティ・スクールだとかGIGAスクールというものにはPTAは不可欠なのではないのかなと思っております。特に、学校のOB会だとか同窓会だとか町内会だとか子供会の役員のほとんど全てには、元PTAの方々が関わっております。なので、現役のPTAだけが、学校だとか地域に貢献するということではなくて、既に、もっと言うと地方政治家のほとんどがPTAに全く関与してない方というのはほとんどいらっしゃらないというふうに思っております。本当に地域と密接に関わっているのが我々PTAが土台になっているのではないのかなというふうに思ってございます。
次のページお願いします。
まとめになりますが、一般社団法人全国高等学校PTAというのは、先ほど言いましたとおり会員数がたくさんいらっしゃいます。小中学校のPTA、日Pと言われる団体も物すごい数の会員がおりますし、先ほど言いました地元の有力者、経営者、様々な方々、そして地域のお祭りだとか、そういうところにも、我々しっかり影響力といいますか、人的な影響力、圧力団体的な影響力ではなくて人的な影響力がしっかりございますので、我々がしっかりPTAの会費だとかその労力を搾取しているというふうに一般の会員が思うのではなくて、我々がしっかり頂いた資金もそうですし、労力を地域に還元していくということになると、おのれの子供だけではなくて、地域だとか学校に対して、このPTAが絶対に必要なんだというような雰囲気に変わっていくのではないのかなというふうに思っております。今まだ力があるうちに仕組みをつくってしまわなければ、今、国が目指すコミュニティ・スクールだとか地域コミュニティというのはPTAの関与が難しくなってきてしまうと思いますので、今日、皆さんと一緒に社会教育特別部会においてこのPTAのこともお考えいただきながら、ぜひ一緒になってやっていけたらいいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【清原部会長】 田名部委員、ありがとうございます。地域コミュニティとPTAについて、PTA不要論を直視して、その要因について、1、運営方法、2、強制加入、3、マンネリ化について分析を報告していただき、地域と学校のつながりの中でPTAの必要論を提起していただきました。ありがとうございます。
それでは、ただいままで安齋委員、そして田名部委員に御発表いただきました。それを踏まえて、後ほど意見交換はしていただきますが、この時点で事実確認の点で、お二人に御質問のある方は挙手ボタンを押していただくか、会議室の方は札を立てていただければと思います。それでは、関委員、御質問をお願いします。
【関委員】 関でございます。安齋委員、ありがとうございました。
1点確認ですが、16ページの3分類、学校教師が担う業務に係る3分類というのは、どのような経緯で決まって、それがどのような形で学校とか学校運営協議会に下ろされているのか、その辺教えてもらえたらありがたいです。
【清原部会長】 ありがとうございます。資料16ページに提起していただいた3分類について、安齋委員、お答えお願いいたします。
【安齋委員】 どのように決められたかという経緯については、文科省さんのほうから説明していただいたほうがいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
【清原部会長】 事務局で、それではお願いします。
【山本地域学校協働推進室長】 地域学校協働推進室長の山本です。
3分類につきましては、下のほうにちょっと書いておりますけれども、平成31年の中教審の答申の中で示されております。この3つの分類をしっかり、なるべく進めていくようにということで、これを示しながら取組の推進を文部科学省のほうから各教育委員会にも通知等で促しているところでございます。また、次の17ページにあるような、この3分類ができていますか、ということを令和6年度に教育委員会に対して調査を行っているところでございます。
【清原部会長】 御説明ありがとうございます。今御説明いただきましたように、中央教育審議会初等中等教育分科会の中に設置されました学校における働き方改革特別部会の最初の答申というか、その中に示された分類ですので、そういう意味では、中央教育審議会の委員の皆様の現場の声を踏まえた提案というふうに受け止めていただければと思います。ありがとうございます。
【安齋委員】 1点、すみません、補足させていただいていいですか。
【清原部会長】 はい、どうぞ、安齋委員。
【安齋委員】 この分類が出たおかげで、学校は非常に今まで何でもかんでも学校という形で抱え込んできたものを棚卸しすることができて本当にありがたかったなと思っています。この指針の下に、学校運営協議会で積極的に話合いをして、これは地域がやることだよね、これは保護者がやることだよねというふうに、積極的にそういう話合いをしているところは、この分類に従って、学校から多くのものが地域に移行していったんじゃないかなというふうに思っています。
【清原部会長】 ありがとうございます。それでは、金澤委員、御質問をお願いします。
【金澤委員】 安齋代表ご発表の11ページにありますコミュニティ・スクール及び地域学校協力協働活動実施の調査について、地域学校協働活動推進委員の方、例えば要員の目標値や計画値があるのか、もしくは委員の方々の属性、例えば市区町村の公務員の方が多いのか、もしくは、教育委員会の方や先生あるいは、一般の方なのか、教えていただければと思います。
【清原部会長】 ありがとうございます。資料11ページに紹介されている地域学校協働活動推進員についてです。山本室長さんでよろしいですか。
【山本地域学校協働推進室長】 地域学校協働活動推進員、学校運営協議会委員の話だと思いますけれども、まず、御質問にあったこの活動の目標値の設定については、そういう具体的なものは特段国のほうでは示しておりません。場合によっては各自治体が、各学校ですとかそういったところに、運営の方法で、例えば年に3回以上とか年に5回以上とか年に10回以上会議をしてくださいといったことを示している場合はございます。
あと、学校運営協議会の委員の属性でございますけれども、一応法律の中では、対象学校が所在する地域の住民と保護者、あとは、先ほどちょっとお話のありました地域学校協働活動推進員、そういった方が法律には明記されております。地域住民、保護者、推進員、あとはその他必要と認める者ということで、教育委員会が認める者を追加することができるようになっております。大体、今の最初の3つの方々は入っていただいているような形でございまして、その都度、地域の実情に応じて様々な方を追加して構成をしていただいているというような状況です。
【清原部会長】 金澤委員、いかがでしょうか。
【金澤委員】 そうすると、どういう方が担ってくれているのか、実態は、現時点では把握できてないという御回答でしょうか。
【山本地域学校協働推進室長】 いや、私どもは、どういった方々が委員となっているかということは把握はしておるんですけれども、人数としてどういう人が多いかというところまでは把握はしておりません。例えば地域代表、地域住民の方でも区長さんとか自治会長さんの方がいらっしゃったり、保護者代表だとPTAの方がいらっしゃったり、あとは調査の中で出てきておりますのが、地域学校協働活動推進員もありますけども、商工会の代表の方ですとか、学識経験者の方を入れているようなケースもございます。
【清原部会長】 安齋委員、補足等がございますか。
【安齋委員】 学校運営協議会の委員については、小中学校と高校で選び方が結構違う部分があるのかなというふうに思いますけども、小中学校の学校運営協議会の委員においては、校長が委員を教育委員会に推薦する過程で、やはり実際に学校に足をしっかりと運んで、校長と一緒に学校経営に参画してくれる人ということで、以前は何々長さんみたいな人たちが非常に多かったんですが、それよりも実際に協力してくれる、学校が何をしたいかによって選んでいる例が多いかなというふうに思っています。高等学校は、まさに今、それぞれの高校の特色に合わせて専門的な力を持った人たちを、あまり地域というものの枠にとらわれずに選ばれている例が多いのかなというふうに思っています。
【金澤委員】 ありがとうございました。
【清原部会長】 それから、ここでやはり混同しやすいのが、学校運営協議会の委員と、それから地域学校協働推進員というのは別でございますよね。ですから、学校運営協議会のメンバーの属性については今お答えいただいたとおりなんですけれども、金澤委員が御質問された地域学校協働活動推進員については、また特徴があると思いますので、よろしくお願いします。
【安齋委員】 肌感覚で、私もデータがあるわけではないんですが、地域学校協働活動推進員にお願いしている例としては、1つは、PTAの、今、先ほど本部役員、PTAの発表がありましたけども、PTA役員の経験者という方たちであったり、公民館活動等に積極的に参加してきた人たちが、学校との関わりの中でコーディネーターを務めるといった方たちが非常に多いのかなというふうに思っています。
【清原部会長】 ありがとうございます。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、そろそろ意見交換に入らせていただきたいと思いますが、その前に、本日の審議事項について、事務局でも、私たちの意見交換の素材となるまとめをしていただいておりますので、事務局の髙田課長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【髙田地域学習推進課長】 それでは、資料4-1を御確認ください。
まず、2ページにつきましては、先ほど清原部会長のほうからもちょっと御紹介いただきましたとおり、今回社会教育活動の推進方策、赤字の部分ですね、これを議論していただくということになります。
そして、次のページ、3ページで、諮問理由の該当箇所のところについて書いているものでございますけれども、地域学校協働活動の充実だとか推進員の配置促進、専門性資質の向上、PTAや子供会を含むいろんな社会教育関係団体との活動と地域学校協働活動との連携の推進、家庭教育支援の促進、そういった観点からの御検討をお願いしたいというものでございます。
続いて、次のページからはコミュニティ・スクールの関係の資料をいろいろ出しておりますけれども、ちょっと重複しているので飛ばしまして、7ページをちょっと御覧いただければと思いますが、地域学校協働活動はどんなことなんだろうということで、ちょっとイメージが沸かないというような話も先ほどございましたけれども、例えばこういった地域学習だとか放課後子供教室、あと家庭教育の支援活動とか、これに対する多様な協力活動ということで、先ほど出ました登下校の見守りだとか、花壇や通学路等の学校周辺環境の整備だとか、読み聞かせ、部活動事業の補助、部活動の支援、そういったこと、そして右側に地域の行事、イベント、お祭り、もろもろのことを対応している、やっているというものでございます。
次のページは少しコミュニティ・スクールのこれまでの状況だとかについてまとめたものでございます。
次のページに移りまして、9ページに、コミュニティ・スクールの有用性で、プラットフォームというキーワードございまして、学校の課題、子供の課題、地域の課題、こういったようなものを地域と学校ではウィン・ウィンの関係で、対等の関係で解決に取り組んでいくというようなことが有用性ということであるかというふうに思っております。
続いて、少し飛ばしまして、コミュニティ・スクールをちょっと飛ばしまして、16ページ、大分飛びますけれども、コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動に係る協力団体等リストということでまとめておりますけれども、現在、ここに書かれている様々な団体が、学校と連携していろんな活動に取り組んでいただいているということで、発表もございました、今日参加いただいているPTA全国協議会、PTAの方々ですとか子供会の方々にも、ここの団体リストのところに入っていただいているところでございます。
あと次のページでPTAのことをまとめております。18ページからPTAのことですけれども、これも参考資料、そもそもの話ですけれども、設立の経緯ということで、戦後、父母と先生の会-教育民主化の手引き-などから勧奨されてどんどんできてきたということと、PTAの性格・役割を四角囲いでまとめておりますけれども、児童生徒の健全な成長を図ることを目的として、親と教師が協力して、学校及び家庭における教育に関し理解を深め云々ということをここに書いております。課題等ということで、先ほども発表でありましたけれども、社会の変化に伴い働き方、暮らし方、家庭事情等が変化している中で、よりよい活動の在り方について、今、様々な改革を行っていただいているというふうに承知しております。
PTAとの関連ということで、家庭教育支援ということで資料をつけておりますけれども、ここも同じように、家庭教育を取り巻く状況ということで、共働き家庭や独り親家庭の増加、地域のつながりの希薄化など家庭を取り巻く環境が変化する中で、家庭教育の支援の在り方についても改めて議論が必要ではないかということで、その関連の資料を21ページ、22ページとまとめております。そういった中で、地域人材の確保だとか要請みたいなところが課題として特に挙げられているようなことがございます。
家庭教育については以上で、最後の26ページ、27ページに移りますが、ここでさらにちょっと本日御議論いただきたい事項として、確認的な内容でございますけれども、コミュニティ・スクールの地域学校協働活動をどのように充実させるべきかということですけれども、少しキーワードとして、現状の中で、地域間、学校間の格差が生じていることにどう考えるかということだとか、あと、地方創生だとか働き方改革だとか学校安全防災の推進、教育と福祉の連携だとか、そういったいろんな多岐にわたる役割というか、あるいはその課題について、何か期待が求められるというようなことがございます。
さらに、先ほども出ましたけれども、形骸化を防ぐだとか、質の向上だとか、一体的に推進することの意義というのを改めて再確認することですとか、そういったようなことについて課題として挙げられているのではないかというふうに考えております。
続いて、地域学校協働活動推進員等の配置促進と専門性・資質の向上については、そもそも資質能力とは何なのかだとか、コーディネート機能の向上のためにどういったことが具体的に考えられるかというようなことについて御意見賜ればというふうに考えております。
次の、PTAだとか家庭教育支援に関することといたしましては、いろいろ、改めてこれについては原点に立ち返って、必要なことは何なのかと。働き方改革というのは、今教員の中で進められている中で、もちろん教員だけではなくて、そもそも保護者、一般に働いている方も働き方改革が進められている中で、最近ではコロナ禍においていろんなオンラインだとかを活用した会議だとかも進められているような状況の中で、どういった効果的なことがあるのかどうだとか、PTA活動と地域学校協働活動との効果的な連携、すみ分けなんかについても御議論をいただければというふうに思っております。
あと、家庭教育支援も、在り方・価値観多様化する、昔に比べて核家族化あるいは少子化だとかも進んでいる中で、そのほか児童虐待の相談件数、共働きが増えていく中での家庭教育支援の在り方について、改めて御議論いただければというふうに考えております。
私からについては以上でございます。
【清原部会長】 御説明ありがとうございます。それでは、ここから意見交換に入ります。安齋委員、田名部委員、そして今の髙田課長の御説明を踏まえまして、御発言をお願いいたします。時間は18時少し前までと思いますが、オンラインで御参加の方は挙手ボタンを押してください。そして、会場で御参加の方は名札を立てていただきますようお願いいたします。どなたからでも、どうぞ御遠慮なく、時間限られておりますので、積極的に御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。では、関委員、どうぞ。
【関委員】 安齋委員、田名部委員、いろいろ貴重なお話をありがとうございました。まさに学校と地域の関係は、その信頼関係をどうつくっていくか、対話と共に汗を流すという御指摘、私もまさに同感いたします。
その上で、今のコミュニティ・スクールの状況を見てみますと、私、平成27年答申の議論にも関わらせていただいたのですけれども、あの時と比べてみたときに、果たして同じようにみんなが熱い思いを持っているのかどうか、少し首を傾げざるを得ない感があります。この答申の議論では、当初は一方的に学校を支援するという流れの中で動いていたものが、途中からは学校と地域が共によくなっていく、よりよい学校、地域を共につくっていこうという双方向の関係性に動いたのが、あのときの理念だったと思うのですが、新型コロナ禍の影響、あるいは学校の多忙感が叫ばれる中で、それらを何とかしなければという思いが先に立ち、以前のような一方的に学校を支えていくこうとするベクトルに戻ってきているような気がいたします。また地域も、つながりが希薄になり、それと同時に活動力も弱くなってきているのが現状だと思うので、今こそお互いがよりよい方向に向かっていくためにも、つながりを重視すべきであると考えます。先ほど来、学校を核とした地域づくりという言葉がありましたけれども、私は学校を核とするというよりも、子供たちを真ん中に置いた、そんな社会を共につくっていくという共通目標をつくったほうがいいかなということを感じております。今だからこそ、27年答申のあとがきに記した思いを再確認すべきではないかと思います。
【清原部会長】 ありがとうございます。コミュニティ・スクールが答申として示されたときと、今、地域コミュニティや学校の状況が変化している、その中で考えていきたいということです。ありがとうございます。
それでは、伊東委員、御発言をお願いいたします。
【伊東委員】 失礼いたします。
倉敷市の状況でございますけれども、この学校運営協議会、コミュニティ・スクールにつきましては、今うちが中学校が26で小学校が60あるんですけども、ほとんどのところで一応できていると。100%ではないんですけれども。それから、この地域協働本部という形というところが100%まではまだ行ってないんですけれども、地域協働の活動、それについては、もともとの放課後子供教室の流れもありますので、かなり多くのところがしていただいています。
それで、学校運営協議会のほうは、やっぱりもともとの趣旨が、学校運営の基本方針を校長先生が地域のほうに説明をしていろいろ意見をもらって、どういうふうにしていきましょうかということだというふうに思うんですけれども、ですので、もちろんコミュニティ協議会の会長さんとか、もちろん役の方ばっかりじゃないんですけれども、PTAの方とか、教員のOBで地元で活躍されている方とか、いろいろ入っていらっしゃると。それで、こちらの地域学校本部のほう、協働本部のほうにつきましては、もちろんPTAさんもそうですけれども、子供会さんとか婦人会さんとかボーイスカウトとかガールスカウトとか、地域によって企業さんとか、いろんな活動団体も一緒になって取り組んでいただいて、子供の本当にいろんな活動を支援しているという形になっていると思います。
それで、このコミュニティ・スクールの学校運営協議会のほうのことが、これまでのお話にもあったと思うんですけれども、今の関先生のお話もあったと思うんですけど、やっぱり学校が何のためにあるかということについて、もっとこの学校の運営方針、もちろん校長先生たち、とてもいい方ばっかりなんですけど、学校で教育を教えるということだけじゃなくて、子供たちがどういう社会性を持った子供に育っていけるかということに、当然今地方創生2.0というところになってきますと、その辺りになってくると、この地域協働本部のほうにかなり近づいてくるというか、一緒になっていくというか、感じじゃないかというふうにも思っておりまして、実際両方ともで活動していただいている地域の方もたくさんいらっしゃるというふうに思っているというのが現状だと思います。
それで、私が今思っているというか、今市の方向性でいろいろしていることなんですけれども、これは各学校の学区というわけじゃないんですけれども、倉敷市は倉敷、児島、玉島、水島、大きく4つの地域に分かれています。人口が20万、10万、7万、7万ぐらいなんですけれども、それぞれのところに図書館とか児童館とか高齢者の方向けの憩いの家とか、それから、昔で言えば働く婦人の家とか、市民活動センターとか、そういうものがあるんですけれども、今地域の方々のいろんな話を聞いて、かつ市がこれから方向性をしていく中で、大きな3市合併が昭和42年にありまして、そのときにつくったいろんな今申し上げた個別の施設というのを、更新というか建て替えしないといけない時期になっています。そのときに、1つずつ元の場所に建て替えるんじゃなくて、今申し上げたようなものを複合化して、入っている皆様、その方たちだけじゃないんですけれども、例えば、今一番大きな倉敷の図書館と、それから、これには子供さんのほうの関係の図書館もあります。そして、年配の方向けの憩いの家、老人福祉施設、それから市民活動センター、それから、働く、このことについてのセンター、文化部門、それらを1つの大きなものの中に、もちろん区域は区切ってあるんですけど、みんなが交流できるようにしております。今度また違う、例えば水島地区で言いますと、図書館と児童館と、それから公民館を大きな1つの複合施設にして、それぞれ交流できるようにしながらということで、つまり、地域がこれから発展していくために、子供たちもいろんな大人の姿を見ながら交流するということは必ず必要ですし、特にやっぱり我々地方都市になってくると、多くの人が例えば学校を機に外部に出ていってそのまま帰ってこないということがあります。今、地方創生2.0では、いかにして地域の子供たちが地域のよさを分かって、あとをつないでいただくかというところがあると思うので、そこについて、地域のよさを本当に学校で学んでもらうように市もしていますし、そしてそのことが、さっきの地域協働本部もそうですけれども、企業や地域の方たちの協力で、子供たちが、うちの地域というのはいいんだと、うちの産業というのはすばらしいんだということを学んで、地域をつないでいただくというところがすごく大事だというふうに思っております。
そういう考え方で今取り組んでいるという、ちょっと発表をさせていただきました。
以上です。
【清原部会長】 伊東委員、ありがとうございます。地方創生2.0が言われる中、交流、それは多世代であったり、いろんな多目的な施設の複合化によって、まさに地域への愛着を子供たちが持ってくれると。これ、先ほど安齋委員がシビックプライドというふうにおっしゃったことと関係すると思うんですが、具体的な市の取組を通して、私たちに伝えていただきました。ありがとうございます。
ほかには。古賀委員、どうぞお先に。
【古賀委員】
私からは2点です。1点目が、先ほど事務局の御説明にありました、学校間や地域間での格差についてです。私は中間支援のNPOとして、学校とも関わりを持ちながら、大人や子供による活動の場づくりもコーディネートしてまいりました。地域学校協働本部がないところにおいては公民館の主事がキーパーソンとなる傾向があり、公民館があるおかげで学校とも関わりやすくなる場面も多々経験をしてきました。その中で、やはり学校長が替わると、それまで熱心だった学校がたちまち協働に前向きにならなくなることも感じております。先ほど安齋委員さんから「都道府県の教育委員会が積極的に伴走支援に関わるべき」というお話があったんですが、教育委員会も人事異動等があります。定点的に関わることができるのはやはり公民館や地域学校推進員であり、さまざまなステークホルダーとしっかりつながりながら現場のことを常々把握しているという立場ですので、伴走に際しては、ぜひ行政とこうした現場の第一線の方々がそれこそ協働しながら、当該学校では協働をやることが文化として継承されるような戦略になっていくといいなと感じました。
それからもう1点、推進員の資質についてです。最近は外部から企画やいろいろな資源を持ち込んでサポートするプレイヤーが増えている印象がある中で、推進員については3つの力が大切と考えます。一つめは地域の周辺のいろんなリソースを見つける力で、二つ目は安齋委員のプレゼンの中で「子供のことや身近なことは割と大人は乗り気になる」というお話があったんですが、そうした身近なことを見つける力、三つ目は多様なステークホルダーと日頃からつながりながら、実際に何か形にしようという場面で自ら率先していろんなところにつなぐ力です。もちろんファシリテーション云々も大事ですが、とりわけ、つなぐ力が肝要と思った次第です。
【清原部会長】 ありがとうございます。先ほど髙田課長が、本日議論いただきたい事項として最初に挙げてくださったコミュニティ・スクールとの一体的な取組のさらなる推進に向けた地域学校協働活動を充実させるために、1つには、公民館主事であるとか地域活動推進員が伴走支援をして、学校と地域をつなげていくと。そうであるならば、地域学校活動推進員の資質としては、リソースを見つける力と地域課題を発見する力というのが必要ではないかというお話です。ありがとうございます。
それでは、野津委員、お願いします。
【野津委員】 島根県の野津です。
事務局にちょっとお伺いしたいんですけど、協働本部の補助金は義務だけでしたっけ。
【清原部会長】 今の御質問、お願いします。地域学校活動協働本部の補助金についてです。
【山本地域学校協働推進室長】 この地域学校協働本部が主体となってやっていただいている活動費につきまして、補助金を出しております。そこの部分は、義務、高校等区別はしていないところでございます。
【清原部会長】 野津委員、どうぞ。
【野津委員】 ありがとうございました。
資料4-1の13ページの本部の整備率、うちの県が約70%ですけども、義務に限ると90を超えているんです。あと30が県立が15と幼稚園が15%ぐらいですけども、そこが欠けていて、県立は別にもう少し企業とかも入れたコンソーシアムを全高校つくっていますので、それも入れると8割を超える感じ。その活動は地方創生交付金を使っていましたけど、今年から、2.0で切られてしまいました。
そういった活動をする中で、私が主に義務の校長に、この活動本部の在り方として説教といいますか、よく指導していたのは、地域の方は応援したい気持ちがたくさんある。特に田舎ですから、あるんだけど、それに甘えちゃ駄目だよと。一方的にお願いする、例えば環境整備をお願いすると。それを子供がいないところで草刈ってください、木を剪定してくださいといったことをやって来てくれるのは1回だけだよと。やはり地域の人が応援してくれるのは、学校を応援してくれるのは子供たちとの関わりが欲しい。学校が統合になってスクールバスで朝ごっそり集落から子供を連れて出てしまう。土日は親がスポ少で中心地に連れていってしまうという、集落から子供がいなくなる状況を寂しく思っておられる高齢者の方を中心に、地域の方おられて、そういった方が学校に来て子供と交わるアクションをしてくださる。そういったところをしっかり理解しないと駄目だよと。
なので、たまには地域に出かけて、安齋委員もおっしゃった、地域に出かけて、集団として学校の活動をするというのも大事だし、もう一つは、学校でいろいろなことをやっていただくときに、子供と交わる、子供が必ずお礼を言う、そこに地域の方が満足を感じると。子供に質問をさせなさいと。これはどうやったらできるのとか、何でこうなっているの。そこを地域の方が教えてくださる。地域の方、そこに学びの必要性を感じられて、学びをされる。次はもうちょっと勉強してこようと、もうちょっと教え方が上手になるようにしようとか、そういったことを考える。それがまさに社会教育であって、地域の方に学びがないところにこの協働本部の発展はないよと。生活ができるほど謝金を払うわけではないわけですから、そこに社会教育のシステムを使ってやっていかない限りは長続きしないよというお話をずっと、15年ぐらい前からしておりました。
まさにそこが長続きの秘訣だろうなというふうに思って、同じことはPTAでも同じこと、PTAの会合にも出ますけども、親御さんに学びがないPTA活動は長続きしないだろうというようなことを言っております。やっぱり社会教育ということを意識してこの2つの活動をやっていくことがとても必要じゃないかというふうに思っています。
【清原部会長】 ありがとうございます。地域学校協働活動というのは、受け身ではなくて子供を真ん中に置いて地域に出ていくこと、そして、何よりも大人の学びが子供の学びと密接に関わっているという具体的なお話、ありがとうございます。
それでは、八木委員、そして山本委員、美田委員の順で御発言をお願いいたします。八木委員からどうぞ。
【八木委員】 熊本市国際交流振興事業団の八木です。
事前レクでいただいた資料で「地域学校協働本部の整備率」が熊本市は、なんと0%と記載されていました。この数字から社会教育が遅れているのかというと決してそうではないと考えます。熊本市の状況として、学校区ごとに社会福祉協議会(校区社協)というものがあって、高齢者と子どもを地域包括ケアの中で、それぞれが活躍できるように巻き込んで、地域内のつながりを構築しています。これが進んでいる点は、校区社協が、域内(80以上)全ての小学校区にあって、さらに校区社協の下に各町内会活動を通して地域のつながりをつくっている点です。例えば、町内会活動として、子供会の役員の方、教員など学校関係者も入って、将棋教室や地域のお祭りなどへ子どもたちと一緒に積極的に参加していく取組を行っています。 このようなこともあり、大都市にはない自治会活動が盛んで各自治会への住民加入率も熊本市は100%に近く、地域学校協働本部の代替機能を果たしていると考えます。このような小さな範囲の交流活動を広げていくことが社会教育を地域で進めていく参考になるもの考えて発表させていただきました。
【清原部会長】 ありがとうございます。貴重な事例を御紹介いただきまして、まさに社会福祉協議会であるとか町会、子供会であるとか、そうした組織が子供真ん中の取組をされているということです。ありがとうございます。
それでは、山本委員、どうぞ。
【山本委員】 東神楽町長の山本でございます。
今いろいろと発表を聞かせていただいて、大変考える部分がありまして、まず1つが、首長がその教育委員会とかそういったところに対してどうガバナンスをしていくのかということで、特に社会教育施設の移管が進む中で、首長がどういうふうにやっていくのか、あるいは総合教育会議の中では首長と教育委員さんが議論をしていくというふうになるんですが、学校教育以外の部分も当然議論をするというふうになる。なおかつ、そうは言いながらも、例えば社会教育施設をかなり今首長に移したいという首長が多くて、そういうふうに実際動いている部分があります。すると、社会教育施設を首長部分に移管しちゃうと、総合教育会議とかを含めて教育委員会で議論する必要があるのかみたいなところもあってそこら辺は非常に難しいなというふうに思っています。その意味では、やはりいろんな多様な意見なんかを聞きながら取り組めるような体制を各市町村の中でバランスをどう組み込んでいくのかというのは1つあるなと思います。
そうした中で、こういったコミスクであるとか、あるいはPTAというか、子供会というのは、地域に根差したものというのは、まさにその社会教育をベースにした部分でございまして、これはどっちが教育委員会で所管をするのか、首長が所管する、どっちでもいいというのはありますけれども、やはり両方で見ていく必要があるんだろうというふうに思います。特にコミスクに関しては、さっき安齋委員さんもおっしゃいましたけども、やっぱり首長も全く無関心な人っていないと思うし、ここはやはりコミットしていきたい。特にそれは地域のことというふうになればなおのこと、転勤を必ず宿命つけられた先生に全てお願いをしていくというのはやっぱり無理があって、地域の社会教育の中で、コミスクなり、それからPTA、子供会といった部分が出てくる必要があるんだろうというふうに思います。
その意味では、首長サイドももう少しこういった社会教育に対する理解を広めながら、この地域と連携をさせていくということをもっと考えていく必要があるのかなというふうに思っております。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。町長さんのお立場から、学校教育と、それから社会教育、それぞれについてやはり首長の認識の拡充の必要性、そしてその連携の在り方について、私たちがさらに考えていく必要性を御発言いただきました。ありがとうございます。
それでは、美田委員、金澤委員、柏木委員の順で御発言をお願いします。
【美田委員】 すみません。考えがまとまっていませんが、今、町長の話を聞きながら、そうだなと思いながら。
すみません、私は全国子供会連合会としてポジショントークになりがちなんですが、恐縮ですが、我々、会員が主として、子供たちです。私たちは育成者という立場でして、子供たちの主体的な活動というのをなるべく支援したいといっています。また、我々が自負しているところとして、生まれて初めて属する自治組織なんて言い方をしていまして、子供たちが主に、特に成功はなかなかないんですけど、失敗を許容できて、当然危ないことはいけないんですけど、それは大人がとめればいい話なんですが、そういったことを経験して、あえて言えば古い歴史からいくと、やっぱり放課後の時間帯に親御さんが帰ってくるまでに、いかに子供たちだけでどんな経験ができるのかというところに価値を持っている会だと思っています。
また、今日、田名部委員の発表の中にもありましたが、私もそうでしたけど、PTAの役員もしました。付き合いでしました。それから自治会もやっておりますし、いろんなことを、私、鳥取県米子市というところですけど、やれ男女共同参画委員だの、非常に県からも都合よく様々な役をさせられ、都合よくといいますか喜んでやらせていただいておりますが、そういった中で、ここの今日議論いただきたい事項という資料4-1の中にもありましたけど、地域学校協働活動推進員等の配置促進、実は我々全国子供会連合会でも、コミスクに関しては非常に協力していこうというふうに決議もして、また、アナウンスもしているところではございますが、この資質というところで、シンプルに言いますと、社会教育主事相当の能力とか見識がある方々が我々にもいて、当然相手方にもいて、そのような、比較的スムーズなコミュニケーションが取れる関係が保てれば、これが非常にいいんじゃないかなというふうに常々思っておりますし、我々もそれを推進しようとしておるところでございます。
実は子供会に大変申し訳ないんですが、私の町に70軒ほど新しく団地ができて、幸いにして今年小学生が誰もいなかったんですが、来年から小学校に上がる地域が、小学生が発生すると。近隣の自治会が受け入れてくれなくて、自分たちで自治会をつくれということでつくられたんです。それに際して、私、鳥取県米子市ですが、米子市の子供本部だったか、ちょっと教育委員会から今離れて子供の政策が別になっていますから、そこに子供会をつくる必要があると思うんだがどうすればいいんだって質問が、問合せが来ているというのが、ちょうど先月ぐらいの実情だったかと思います。要は、来年に向けて自治会をつくるのはいいんだけど、集団登校も、田舎ですからしていますし、そういったところも含めてやる必要があるけど、どうすればいいんだろうというシンプルな質問が来ているのも事実で、意外と義務じゃない、自由ですよ、任意団体ですよとはいえ、意外と子供らのことを本当にシンプルに考えると必要な会なんじゃないかなとか思われているということはありがたいなと思っていますし、先ほども自治組織、自治会とか自治的なとか自主的なとかいう、社会教育団体とか地域活動として、懇々とというか、時間がかかるんですけど、説明していく人材の養成というのが、地域学校協働活動に限らず必要だとすごく感じております。楽しいからやろうよって結構先輩方は言うんですけど、楽しいのはあなた、おじさん、あなたが楽しいでしょうと言われて終わっちゃうので、じゃなくて、社会教育の本当の必要性を説ける人の人材がたくさん要るなとそもそも思っております。
以上でございます。
【清原部会長】 ありがとうございます。子供会は生まれて初めて属する自治組織であると。しかし、そのような子供会の意義なども含めて、関係機関のことなどをきちんと説明し理解を求めるような人材が引き続き必要であろうという御発言、ありがとうございます。
それでは、金澤委員、御発言お願いします。
【金澤委員】 26ページ下、地域学校協働活動推進員の課題について、要員確保の面から、地元企業の参画をもっと促す必要があると思っています。自治体の方々と話をしていると、多くの自治体で人口減少の課題があると認識しています。特に大学進学時に、地元を離れてしまい、そのまま帰ってこないと。そういった自治体の方々は、今、例えば地元企業とキッザニアのようなイベントをやって、小中学校の頃から地元企業に親しんでもらい、卒業後、地元に戻ってきてもらい、就職していただく。人口減少の面もしくは、地元の活性化の面で、要員をもっともっと出していくことが大切だと思います。どうやって人を集わせるか、集めてくるかということを、もっともっと知恵を絞らないといけない。1つ提言として入れてはどうかなと思います。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。企業を代表して力強い御発言いただいて心強く思います。何よりも、特にコミュニティ・スクールを運営する学校運営協働会議の委員に、企業の方に入っていただいている自治体もありますし、子供たちが地元企業を本当に親しく思っていくということはとても重要だと思いますので、地元企業の社会貢献としても、コミュニティ・スクールの関係、そして社会教育との関係を強めていただければと私も思います。ありがとうございます。
それでは、柏木委員、そして牧野委員という順番でお願いします。
【柏木委員】 では、私のほうから先にすみません。
先ほど御議論いただきたい事項として載せていただいている26ページ目のところから、私なりのお答えといいますか、見解を申し上げたいと思います。
まず、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進することの意義の再確認と、一体的に推進することの意義とは何かというところですけれども、今までずっと議論してきたところと重なるところだと思います。こちらは、多様な他者が相互承認をしながら共存し得る共生社会の実現というところにあるのではないかと思います。それは、公正で民主的な社会の実現というようなところとも合致するものだと思います。
ここで1点、私が疑問を投げかけたいのは、このコミュニティ・スクール概念と地域学校協働活動というのを一体的ということは、ちょっと今分けているというところな気がするんですけれども、そもそもコミュニティ・スクール概念というのは、1930年代のオルセンが提唱したそのときから考えると、もっと広いものなので、コミュニティ・スクール概念の中に地域学校協働活動を含んでも恐らくいいようなものなのではないかなと思います。この辺りの概念整理というのを今後進めても、もしかしたらいいのかもしれないというふうに思っています。
それから、その下の多様な地域学校協働活動を継続的かつ効果的に実施するためのコーディネートに当たってというところで、実施主体にはどのような対応が求められるのかというところです。実施主体がどこのレベル、次元かというところによりますが、まず、自地域と他地域、広域につなげるというところだと思います。それから、研修といたしまして、地域課題の研修とか、人権や尊厳に関する社会動向、ジェンダー動向とか、最近は非常に大きく変わってきていますので、そういう社会動向を学ぶ研修とか、また、学校教育施策に関して学ぶ研修も必要だと思っています。それから、研修以外に、多様なリソースの紹介をしていくのがまた求められるのではないかと思っています。多様なリソースとしては、NPOとか財団法人とかフリースクールとか、居場所づくりをしている諸団体とか、そういうところを含めてつなげていくことが重要だと思っています。
それから一方で、リソースを紹介する、あるいはつなげるだけではなくて、リソースを醸成していく働きかけが大事かと思っています。また、助成金の取得やクラウドファンディングなどに対応していけるように、この実施主体が何とかしていく、予算獲得の方法を伝えていくみたいなことが大事かなと思っています。
それから、その下、地域学校協働活動推進員に求められる資質能力とは何かというところなんですけれども、こちらは、先ほど出してくださった御意見に加えて、私のほうからは、特色ある学校、それから社会に開かれた学校のカリキュラムデザインの実践知の提供というようなところです。専門ではなくていいので、何らかの関与をすることができるような資質能力、それから探究学習にも何らかの関与をすることができるような資質能力が求められるのではないかと思います。これは、先ほど安齋委員が、楽しむ学校を考えようというふうにして、子供が実際に主体的に関わるハピネスクリエーターになるみたいなところでお書きになっていたところがすごく重要だなと思っています。子供が受け手になってそういう教育をしてもらうという立場ではなくて、子供が主体的に関わる、地域活動とか、学校のいろんな活動にクリエーターとして関わっていくその主体性を引き出すような資質能力が必要なのではないかと思います。
そして最後に、家庭教育の支援のところですけれども、こちらはやはり相当専門的な力量が必要だと私は思っています。そのため、確かに社会教育士というようなところと絡めてもいいんですけれども、福祉との連携とか、包括支援センターとの連携とか、社会教育士の中でも特にそういう専門性を持つ社会教育士と関係させて、何らかの形で考えていくことが必要かなと思っています。
すみません、先ほど申し上げた地域学校協働活動推進員の資質能力や専門性に関しても社会教育士と絡めて考えていけば整理がつくかなと思っています。
以上です。
【清原部会長】 柏木委員、ありがとうございます。たくさんの論点を示していただき感謝いたします。特に地域学校協働活動推進本部とコミュニティ・スクールの概念の整理については、今日の安齋委員の御報告の中にも込められていたメッセージだと私も受けとめておりまして、ぜひその問題提起は、皆様とも共有したいと思います。何よりも、家庭教育についても問題提起がありまして、社会教育だけではなくて、福祉との関係ということでは、本日もこども家庭庁から安里さんが来てくださっていますけども、こども家庭庁というぐらいなので、こども家庭庁の家庭に関する支援の取組と、それから文部科学省の家庭教育とは密接な関連性がありますので、ぜひそこのところは、国の行政でも連携していると思いますが、基礎自治体、自治体においても、家庭教育と学校教育と社会教育ということについては、教育委員会だけではなくて、市長部局の連携が重要な部分について問題提起をいただいたと思います。
それでは、限られた時間でございますが、お待たせしました。牧野委員、御発言お願いします。
【牧野副部会長】 牧野です。よろしくお願いいたします。
皆さんの御発表をお聞きしていて、実は2015年、平成27年の3つの答申と言っているコミュニティ・スクールに関わる答申づくりに携わった者として少し思うところがありますので、一言申し上げたいと思います。
簡単に申し上げますと、さきほど柏木委員がおっしゃったようなことが、当時、議論されたということなのです。今回の、また、最近のコミュニティ・スクールや地域学校協働活動についての議論を聞いていますと、当時何が一番大事だとされたのかといいますか、何が一番大きな課題であったのかというと、やはり子供たちをどう育てるのかといったことが大きな課題になっていて、ある意味、簡単に言いますと、もう社会が先行きがはっきりしなくなってくる中で、どう次の社会のつくり手を育成するのかといったことが大きな議論になっていたということなのです。そんなことの中で、例えば2015年の8月に、教育課程企画特別部会のほうから、社会に開かれた教育課程という考え方が出されました。これは端的に学校で教育課程を終えることはできないという提起をしたということになるわけです。それを受けて現在の学習指導要領が作られてきていますし、さらに議論をした結果、その年の暮れですけど、12月21日なんですが、3つの答申が一度に出されたのです。これは初中局と当時の生涯局とが一緒になってつくったものです。その後、学校改革などで、いつも議論になるのは、その3つの答申のうちの2つ目の学校の組織にかかわる答申、一般には、「チーム学校答申」と略称していますが、その答申が議論になるのですが、本当は、この3つの答申の核は、子どもを学校でどう育成するのか、という教育の在り方に関する答申、いわゆる「アクティブラーニングの答申」が核になっていて、子供たちが学校で知識を学ぶということではなくて、むしろ探求することを学ぶ探究という形で、先生方が子供に寄り添って探究活動を展開するということへと教え方を変えていくのだということが、このアクティブラーニングの答申に示されていて、そのために、先生方が子供たちとしっかり向き合って、教師としての専門性を十分に発揮できるようにするために、先生方のいわゆる勤務の仕方とか学校組織の在り方を変えていくというので、「チーム学校答申」があり、さらに子供たちが学校で学んだことを地域で展開して、探究活動をするとともに、地域で、次の世代の、次の社会の担い手として、またつくり手である子どもを育てていくことを保障するために、というので「地域学校協働答申」が立てられたという関係になっているのです。
その意味では、社会総がかりで子供たちを育てましょうという議論が当時あった中で、コミュニティ・スクール構想が出てきて、さきほど柏木委員がおっしゃったように、全体としてコミュニティ・スクールなのであったのですが、途中から学校運営協議会をつくった学校がコミュニティ・スクールだと言い始めてしまったので、そこがコミュニティ・スクールになってしまっているのです。そこはさきほど安齋議員がおっしゃったように、スクールガバナンスとしては、この運営協議会をつくっていくということとかかわっています。しかし本来、全体として地域と学校が支え合っていくし、地域が子供たちを引き受けていくという関係の中で、学校が新しい学校に変わっていくのだということにおいて、コミュニティ・スクールだという理解をしてきたはずだったのですけれども、社会が変わっていくですとか、いろんな実践の過程で、今のような議論、つまり学校運営協議会を置いている学校がコミュニティスクールだということになってきてしまっているということなので、そこを改めて、子供たちを中心に置きながら、これは、今日皆さんおっしゃったことだとおもいますが、子供たちを中心に置きつつ、学校と地域の在り方をどうするのかといったことを改めて私たちは捉え返しをしなければなりませんし、それを社会教育としてどう受け止めていくのか、このことを改めて考えなければならなくなっているのだと思います。その上、先ほども皆さんがおっしゃったように、それを担っていく人材の問題があって、例えば社会教育主事や社会教育士という方々が今たくさん出てきているわけですから、その方々がどういう形で力を発揮しながら、次の世代をきっちりと育成していくのか。その結果、地域が持続可能なものになっていく、そして今の地方創生2.0の課題解決にもつながっていくような、そういうようなつくり方をしていくことがこれから求められてくると思いますので、ぜひとも今後の議論、そのような形で、子どもを中心を置きつつ、2015年の3つの答申の思いに立ち返りながら、新しい社会に対応するような形で新しい議論ができればと思います。しかも、今日ご発表のPTAについても、PTAは社会教育団体であるように、本来、学校を支援する保護者の会のようなものではなく、子どもを中心として、地域社会で子どもをどのように育てていくのかを保護者と教師が一緒になって議論し、教育の地域自治を実現するための団体として構想されてきたものであることを、改めて確認し、且つ今日的な議論につなげる必要があるように思います。PTAも持続可能な地域づくりや住民自治と深くかかわっているのです。
以上です。すみません。
【清原部会長】 牧野副部会長、ありがとうございます。私たちが忘れてはいけないのは、平成27年、2015年のコミュニティ・スクールに関わる答申の中で、改めて子供を真ん中に置いて、地域が学校と適切な関係を持ちながら、よりよい教育を、そして子供の主体性を、アクティブラーニングに象徴されるような取組をしていく。そのために、学校教育と社会教育の適切な関係を私たちが提案できればと思います。いつもありがとうございます、原点を忘れないために。
オンラインで御参加の青山委員、御発言お願いします。
【青山委員】 ありがとうございます。皆さんの御意見、本当に、そうだそうだと思いながら聞いていました。野津委員がおっしゃったような、社会教育である以上学びがなければいけないこととか、柏木委員がおっしゃったような、子供・若者の参加や居場所とつなげて考える必要あるということはそのとおりだと思っています。
その上で、すごく大事になると思うのは、今日のこれまでの施策も含めて、地域と学校の関係というのはどうしても小中学校を中心に考えられてきたと思います。これは、部活動のことを考えても重要だと思うんですけれども、他の校種においても同じように広げて考えておく必要があるということを改めて確認できるといいと思っています。幼稚園だけでなく保育園、こども園もそうですし、前回は高校の探究の話が話題になりました。やはり高校になってくると探究活動などを通じての地域との連携、また、大学であれば、学生のボランティアとの関わりであるとか教育課程との関わりもあります。義務教育以降は所管が変わってくるのでつながりが見えづらくなりますが、幼稚園、高校、大学、特別支援学校といった辺りの地域と学校の関係についても、同じようにどう巻き込んでいくか。今日のPTAの話も含めて一緒に考えていけるといいなというふうに思いました。
以上です。
【清原部会長】 青山委員、ありがとうございます。おっしゃるとおりです。どうしてもコミュニティ・スクールというと小学校、中学校を中心に考えますが、安齋委員も高校について御紹介いただきましたし、野津委員も高校を中心にそのような取組をされている事例も御報告いただきました。校種にこだわらずに考えていくという重要性を確認したいと思います。
それでは、最後になりますが、萩原副分科会長、一言お願いします。
【萩原副部会長】 せっかくなので一言。
こども家庭庁の安里さんもいらっしゃっておりますが、今年、こども家庭庁のほうで、こどもまんなかプラットフォーム、準備委員会からしっかりと立ち上がりました。私も2年間関わりました。そこで重要だったのは、子供たちの、若者の意見をしっかり集めて、ニーズを集めて、彼らが主体的に関わってどう社会をつくっていくのかというところが重要だったと思います。先ほども柏木委員もおっしゃっていましたけど、子供が主体的に関わる、そういったところも、それから牧野委員もおっしゃっていたように、そこにもう1回原点へ、もう一度立ち返るということが全体として必要なのかなということを非常に思いました。
以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。まさにこどもまんなかプラットフォームの取組の中では、こどもまんなかに本当に多様な団体、先ほど柏木委員が言われた多様なNPOを含む地域活動団体もプラットフォームを共有したということが大きいと思います。公民館だけではなくて、幅広い企業も含めた関係団体が結ばれていくという方向性が示されたと思います。
本当に今日も熱心な意見交換をしていただきまして、ありがとうございます。本日、改めまして、伊東香織委員、そして田名部智之委員が参加してくださいました。併せて、事務局にも御異動がありまして、橋爪官房審議官、そして堀野社会教育振興総括官、そして髙田地域学習推進課長、鴨志田日本語教育課視学官、そして林地域学習推進課社会教育企画調整官ということで、新しい体制でこの部会も前向きにリスタートできる、熱心な意見交換の第6回となったと思います。
それでは、意見交換はこれまでといたしまして、事務局から連絡事項がありましたら、それでは、林調整官、お願いします。
【林社会教育企画調整官】 事務局でございます。
次回以降の会議日程につきましては、事務局から委員の皆様にお知らせいたしますので、御承知おきいただければと存じます。これから梅雨の時期を迎えます。清原部会長はじめ委員の皆様におかれましても、体調に御留意の上、お元気にお過ごしいただければと存じます。
事務局からは以上です。
【清原部会長】 ありがとうございます。それでは、次回につきましては、恐らく、この間、大体毎月1回ぐらいは開いてきたかなと思いますので、6月ぐらいに予定が入るのではないかなと思います。皆様、大変御多用と思いますが、万障繰り合わせて特別部会に御参加いただければと思います。
今日も、たくさんの視点、論点が出されました。皆様の熱心な御審議に感謝いたしまして、本日の特別部会を閉会といたします。それでは、また次回、元気にお目にかかります。ありがとうございます。
―― 了 ――
電話番号:03-5253-4111(内線2977)
メールアドレス:houki@mext.go.jp