社会教育人材部会(第8回) 議事録

1.日時

令和6年3月19日(火曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省3階2特別会議室 ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(最終まとめ(素案))
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)古賀委員、関委員,野津委員,牧野委員
(専門委員)青山委員,伊藤委員,井上委員,大村委員,倉持委員,塩田委員,原委員,山本委員

文部科学省

(事務局)望月総合教育政策局長,八木社会教育振興総括官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長 他

5.議事録

【牧野部会長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第8回社会教育人材部会を開催いたします。
 本日も,お忙しいところをお集まりくださいまして,どうもありがとうございます。
 本会議は,これまでと同様に,対面とオンラインを併用して開催させていただきます。
 なお,本日もYouTubeのライブ配信を行い,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から,会議の全体について録画を行いたい旨申出があり,許可をしておりますので,その旨御承知おきをください。よろしくお願いいたします。
 では,次に,事務局のほうから,オンライン会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】
 オンライン会議を円滑に行う観点から,4点お願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいように,御発言をはっきりしていただきますようお願いします。
 2点目,御発言の際にはお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
 3点目,御発言時以外にはマイクをミュートにしていただきますようお願いします。
 4点目,発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日,会場にお越しの皆様は,御発言の際には挙手またはネームプレートを立てていただきますようお願い申し上げます。
 続きまして,資料の確認にまいります。本日の資料は,議事次第のとおり資料11,資料12,資料2,参考資料12でございます。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 資料の過不足といいますか,不足はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,早速,議事に入りたいと思います。議事次第を御覧ください。今日の議題は大きく1つになります。社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(最終まとめ(素案))についての御検討をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,事務局のほうから資料1を御説明いただいた後に,委員の皆様のほうから御意見をいただきたいと思います。
 では,総合教育政策局地域学習推進課長の高木さんから御説明をお願いいたします。

【高木地域学習推進課長】
 地域学習推進課長の高木でございます。では,御説明させていただきます。
 まず,最初に資料12のほうから御覧ください。前回の部会で,委員の方から2点御指摘をいただいたところでございます。1つが,派遣社会教育主事に対する地方財政措置についてどうなのかといった点,2点目が,旧課程を履修された方に対する社会教育士の称号付与に関することといったことでございます。
 まず,1枚めくっていただきまして,ページ1でございます。派遣社会教育主事の実施状況ということでございます。下段のほうに書かせていただいているとおり,地方財政措置の以前は派遣社会教育主事というのは補助金で行われていたものでございます。それが平成10年度から一般財源化したところでございます。社会教育調査が3年に一度実施しておりまして,平成10年度からの直近平成11年度におきましては,上段の表にあるとおり,41道府県において派遣社会教育主事制度を実施いただいていたところでございます。一方,6都府県におきましては実施されていなかったといったところでございます。
 令和3年度が社会教育調査を実施した直近の年度でございますけれども,派遣社会教育主事制度を実施しているところが8道府県,実施していないところが39都府県という形になっておりまして,非常に激減と言ってもいいぐらいの減り方をしておるところでございます。
 地方財政措置でございますので,概念上は地方交付税を受けている都道府県,東京都は受けていませんので46道府県に積算上は交付されておるというんですけれども,実際は8道府県ということでございますので,38道府県は,形式上ほかの事業に使われている形になります。ですので,実施されています8道府県におかれましては,要は自腹で措置されている額以上に,ほかの道府県さんに措置されている額も含めて,自らの財布から使って実施していただいているという,形式上そういうふうに見える形になっているところでございます。我々どもとしては,まずはこの派遣社会教育主事制度を実施していただく都道府県を増やすということが最優先の課題かなと考えているところでございます。
 次に,旧課程の方に対する社会教育士の称号付与に関することでございます。2ページでございます。そもそも社会教育法におきまして,社会教育主事講習に関する規程,下段のほうは主事養成課程に関する規程があるところでございます。主事講習に関しましては社会教育法9条の4で書かれておりまして,養成課程のほうは9条の4の第3号のほうで書かれているといったところでございます。
 実際,称号はどういう形で書かれているかといいますと,省令になりますけれども,社会教育主事講習等規程になります。講習のほうも,養成課程のほうも8条の3項及び11条の3項ですけれども,客観的な状況を与えられた者に関しましては,自ら社会教育士(講習)若しくは(養成課程)と称するすることができるといった形になります。講習に関しますと,8単位以上の単位を修得した人が修了証書を与えられると。修了証書を授与された者は自ら社会教育士を称することができると。養成課程に関しましては,別表として掲げられています修得すべき科目の単位を全て修得した人は,自ら社会教育士を称することができるといった形式で,法令上規定されているところでございます。
 旧課程を取られた方に関しましては,今までもこれからもでございますけれども,生涯学習支援論及び社会教育経営論につきまして修得していただきたいといったことになっておりまして,客観的に2科目4単位について,別途国,都道府県,または大学などが客観的にそういったものを履修したと同等だということを判断したら,称号を付与することができないかという形で法制的に詰めたところでございますけど,先ほど申し上げたとおり,客観的な状況を踏まえて本人自らが称することができるといった規程である以上,第三者が別途付与するという方式はできないといったことになったところでございます。
 そのため,自ら称することができるために,客観的な要件を示して,明らかに誰が見てもそれが客観的だと思うものについて指定して,それに対して本人が称号を付与できるかどうかということで,一番客観的だなと我々も判断したものが社会教育主事経験ではないかなという形で考えているところでございます。
 それで3ページのほうを御覧いただきたいんですけれども,社会教育士として称号を取得できる要件,先ほど御説明したとおり養成課程,若しくは講習を取った者なんですけれども,それに加えまして,社会教育主事になる者になりますと,下段のほうになりますけれども,大学の単位62単位,若しくは教員免許にプラスして必要な勤務経験等が必要だということになっていて,そういった下段に書かれている要件を満たした者が社会教育主事になれるというのが社会教育法の体系でございます。ですので,社会教育士の称号付与される者よりも,社会教育主事のほうが概念的には上に当たるところになります。上に当たる要件があってこそ,下に該当する社会教育士の称号を得るというのは,同じ社会教育法体系上,逆転現象を起こしてしまうということで,それは非常に違和感があるということで,その方策は取れないといった形で,こちらも法制的には難しいかなといった判断をしたところでございます。
 客観的な要件はもう必要なく,旧課程の者については,すべからく社会教育士の称号を付与するといったこともできないのかといった形で検討させていただきました。しかしながら,冒頭申し上げたとおり,新たな新課程においては,生涯学習支援論,社会教育経営論を履修していただきたいといったそもそもの問題があると。それを満たさなくてもいいよというのは,令和2年度改正の趣旨から反するのではないかと。また,令和2年度以降,今まで旧課程履修者において2科目4単位を履修するために受講料を支払った方々が相当数いるということ及び社会教育士の称号を付与する,取得ができるといったことによりまして,新たなビジネスチャンスが生じたといったことで,新たに社会教育主事講習を開始した大学等があると。そういった既に受講料を支払った方,若しくは新たに投資をして講習を開始したところ,若しくは既に養成課程で講習を行ったところも新たに投資をして,それを実施できるよう,新たな2項目4単位についてできるようにしたといった投資をしたところがあるといったことを考えますと,非常に大きなリスクを抱えることになるということで,そちらも取れないといったことになりまして,旧課程を履修した者に社会教育士の称号を付与するということはできないのかなといったところでございます。
 ですので,前回と同様の回答になりますけれども,養成課程及び主事講習の受講をしやすくすることによって,旧課程を履修した方々は社会教育士の称号を取得いただきたいなといった形で整理させていただいたところでございます。
 それを踏まえまして,資料11に戻りますけれども,最終まとめについて,前回の御議論を踏まえまして,今回,案として整理させていただいたところでございます。主に中間的なまとめは昨年8月にまとめていただいたものでございますけれども,そことの違いを中心に御説明させていただこうと思います。
 3ページをお開きください。「はじめに」の後,(1)としまして,「社会教育士」創設までの主な議論でございます。中間的なまとめにおきましては,平成259月の社会教育推進の体制の在り方に関するワーキンググループにおける審議の整理から記載させていただいたんですけれども,その前段階で検討されておりました第6期の生涯学習分科会における議論の整理,平成251月にまとめていただいたものでございますが,そちらからの経緯を書かせていただきました。ですので,3行目から9行目までが新たに記載させていただいているところでございます。
 第6期の議論の整理がありまして,259月のワーキンググループの審議の整理,下のほうに行きまして,27行目からは平成298月にまとめていただきました社会教育主事養成の見直しに関する基本的な考え方についてということを,中間的なまとめと同様に記載しておりまして,4ページに行きまして,社会教育士の称号を付与することを検討することが求められるといったところまで行ったところでございます。
 それを踏まえまして,5行目からでございますけれども,302月から講習・養成課程の科目,単位数の変更と社会教育士の称号の付与に関する規定の新設を内容とした省令の改正がなされまして,2年度から実施されているところでございます。
 8行目から「さらに」でございますけれども,骨子の中で新たに追記させていただきました省令改正以降の動きでございますけれども,平成30年答申を引用させていただきます。社会教育主事につきましては,10行目以降でございますけれども,社会教育行政の中核として,地域の社会教育行政の企画・実施及び専門的技術的な助言と指導に当たることを通して,人々の自発的な学習活動を援助する役割を果たしておりまして,「学びのオーガナイザー」としての中心的な役割を担っていくことが求められて,社会教育行政のみならず,地域における多様な主体の地域課題解決の取組においても,コーディネート能力,ファシリテート能力などを発揮して,取組全体を牽引する極めて重要な役割を担うことを期待されるとしておるところでございます。また,社会教育士につきましては,社会教育施設における活動のみならず,環境,福祉,まちづくりなどの社会の多様な分野における学習活動の支援を通じて,人づくりや地域づくりに関する活動に積極的に携わっていくことが期待されるものであって,地域における課題解決活動に取り組む多様な人材が社会教育士を取得して,地域の様々な取組において活躍が期待されるということを引用させていただいているところでございます。
 (2)が,第11期の生涯学習分科会における議論の整理,令和48月の記載でございます。
 (3)が,令和53月にまとめていただきました今後の生涯学習・社会教育の振興方策について記載しております。
 5ページに行きまして,11行目から(4),ここを新たに記載させていただきました。第4期教育振興基本計画に関する記載でございます。令和56月にまとめていただいたものでございますけれども,社会教育が持続的な地域コミュニティの基盤形成に重要な役割を担い,「学び」を通じて人々が協力し合える関係づくりの土壌を耕していくことが求められるとされたと。この役割は,防災,福祉,産業振興,文化交流,広義のまちづくり・地域づくりに関する多様な行政分野の地域課題についても重要でありまして,社会教育の充実による地域の教育力の向上や,地域のコミュニティの基盤強化の必要性が指摘されていると。教育振興基本計画が,教育は社会を牽引する駆動力の中核を営みとする中で,社会教育の役割はこれまで以上に重要視されていることは意義深いと。また,このような社会教育に対するニーズの高まりに伴い,地域において社会教育活動を支える社会教育主事及び社会教育士の役割もその重要性が増しており,都道府県・市町村における社会教育主事の配置促進や社会教育士の活躍機会の拡充に向けた取組を推進することが必要であるとされているということで引用させていただいております。
 (5)が,社会教育人材部会の設置経緯,目的,最終まとめの位置づけということでございまして,33行目までは中間的なまとめまでの動きでございまして,34行目以降を新たに記載しているところでございます。本部会においては令和55月から令和6年にかけて計数回の審議を行い,中間的なまとめ以後は,その内容について審議を深めるとともに,社会教育人材の活躍促進に関して具体的な事例を踏まえた調査審議を行ったと。本最終まとめは,社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割への期待を整理した上で,社会教育人材の養成と活躍促進の在り方について,具体的な改善方策も含め,今後の施策の方向性を示すものであるという形で,最終まとめについて記載しておるところでございます。
 6ページからは,2ポツとしまして,社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割への期待ということで,(1)が社会教育の裾野の拡大でございます。冒頭のほうは中間的なまとめとほぼ同様の文言でございまして,16行目からが新たに記載させていただいているところでございます。
 「また」以下でございますけれども,社会教育の担い手についても,従来から中心的な担い手であった社会教育施設,社会教育関係団体やNPOにとどまらず,首長部局や民間企業に広がるなど,多様化していると。首長部局等では,様々な分野での社会教育活動を通じて地域社会との関係を深めようとする取組が増えており,地公体の長が,社教士は地域コミュニティにとって有益な人材であると考え,職員に社教士の称号を取得するよう奨励している例もあると。また,民間企業そのものの価値も,社会貢献や従業員の働きがいなど,これまでの営利に基づく経済的価値のみならず,社会的価値創造の面からも評価されるようになっており,民間企業や社会教育実践の一翼を担う担い手として現れ始めていると。例えば,主たる事業が教育関連でない民間企業で,公民館等で子供の体験活動などの社会教育を実施するなど,CSRに携わる中で社会教育人材の必要性を認識し,従業員が社会教育士の称号を取得することが有益であるといった声が聞かれているといったことで,民間とか首長部局などの事例を記載しているところでございます。
 あとはしばらくは中間的なまとめとほぼ同様の文言が続きまして,7ページに入りまして,1行目の後段です。社会教育法上,都道府県,市町村の必置と規定されている社会教育主事の配置率は,都道府県約9割,市約4割,町村等約3割となっており,こうした状況を改善する必要があると。中間的なまとめでは,全体として5割程度という表現だったんですけれども,そちらのほうを明確に自治体ごとの状況を記載させていただいているところでございます。
 (2)に行きまして,社会教育主事・社会教育士の役割・期待といったところで,12行目から新たな記載を追記しているところでございます。社会教育主事の職務は,社教法9条の3で,社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与えるとされていると。また,そのほかにも「審議の整理」において,「地域の学習課題やニーズの把握・分析,地域の社会教育計画の立案やそれに基づいた学習プログラムの立案,地域人材の育成,地域人材の把握,学校教育と社会教育の連携の推進,相談など,社会教育主事の側面が非常に広範多岐にわたっている」と整理されており,地域の社会教育に関する計画・事業・研修等の企画・立案・実施など,社会教育行政の中核を担っていると。実態としましても,社研が実施した調査によりますと,教育委員会や社会教育の主管課長が主事に期待する主な役割は,学校教育と社会教育の連携推進,地域の学習課題やニーズの把握,社会教育指導者への指導助言,地域の教育資源や人材の把握などが挙げられていると。
 その上で,平成30年度答申や社会教育の裾野が拡大している現状を踏まえると,社教主事は,社会教育が地域コミュニティを支える社会基盤としての役割を果たせるよう,学校教育を始め首長部局が担う環境,福祉,防災,農産漁村振興,まちづくりなどの地域コミュニティに関する多様な分野と社会教育を地域の実績活動等を含めつなぎ,地域全体を俯瞰した連携・調整を図ることとされており,社会教育行政及び実践の取組全体を牽引する役割を担うことが期待されると。すなわち,社会教育主事は,他分野の専門職と対等に協働しながら多様な分野と社会教育をつなぎ牽引する,言わば「地域全体の学びのオーガナイザー」としての地域の社会教育振興の中核を担うことが求められているということでまとめております。
 その後,社会教育主事講習・養成課程で身につけられる専門性と,現場で社会教育主事が必要な専門性という言葉が重複するんじゃないか,意図が分かりにくいのではないかといった御指摘等ありましたので,講習・養成課程で身につくものとしては,実践的な能力という形にさせていただきまして,各分野で様々な必要な能力が各分野の専門性という形で文言を整理させていただいているところでございます。具体的には31行目の,「その実践的な能力は,公民館,図書館,博物館,青少年教育施設を中心とする従来の社会教育における職務や」という形で使っておったりとか,35行目のところから最後のところでございますけれども,「各分野における専門性と社会教育の知見を活かしながら」といった形で,文言として使わせていただいているところでございます。
 社会教育士につきましては,4行目でございますけれども,「各分野の専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー」という形で整理しておるところでございます。
 20行目から,(3)社会教育人材の確保の必要性といったことで,23行目の「加えて」から,また新たに追加をしているところでございます。社会教育の裾野拡大を踏まえると,いわゆる社会教育分野にとどまらず,首長部局やNPO等の多様な主体が担う,環境,福祉・防災云々(うんぬん)の社会の幅広い領域において,社会教育の素養を備えた人材が活躍できるような養成の在り方が求められると。具体的には,当該分野に従事している者等が,講習・養成課程を受講することで社会教育の実践的な能力を見つけ,これらを生かして社会課題の解決に向けた自律的・持続的な活動を組織・展開できるようすることが重要であると。
 このように,社会教育分野を含む社会教育人材を幅広く確保することは,より多くの人々が社会教育活動に触れて,主体的な参画を可能とするのみならず,相互のつながりを通じた支え合いや,組織的な教育力の発揮に発展し得ると考えられると。社会教育人材の有機的な動きは,個々の活動の活性化だけではなく,社会教育全体の振興にすると。したがって,講習・養成課程は,幅広い多様な人材にとっても受講しやすいものにするなど,社会教育人材の量的な拡大を図ることが極めて重要であるという形でまとめておるところでございます。
 9ページから3ポツで,社会教育人材の養成についてといったところで,(1)社会教育人材に求められる能力・知見でございます。
 14行目から,また追記させていただいているところでございます。各教育機関の多様性を,教育機関等は講習・養成課程等を行っていただいているところでございますけれども,各教育機関の多様性を前提としつつも,社会教育人材として,いずれの講習・養成課程においても必ず身につけるべき基本的な能力・知見は何か,改めて確認しておくと。大前提としまして,298月に示された主事養成の見直しに関する基本的な考え方においては,今後の講習・養成課程について「社教主事がNPO,企業等の多様な主体と連携・協働して社会教育事業の企画・実施による地域住民の学習活動の支援を通じて,人づくりや地域づくりに中核的な役割を担うことができるよう,社教主事の職務を明確に遂行し得る基礎的な資質・能力を養成することを前提」すること,具体的には,「社会教育主事が,多様な主体と連携・協働して学習者の多様な特性に応じて学習支援を行い,学習者の地域社会への参画意欲を喚起して,学習者の学習成果を地域課題解決やまちづくり,地域学校協働活動等につなげていくことができる実践的な能力を身につけることができるよう」カリキュラムの構築が図られることが重要であるとされたという形でしておるところでございます。
 また,28行目からでございますが,こちらのほう,骨子で記載させていただいたところを記載しているところでございます。また,社教主事の職としてはもちろん,社会教育士として活動を行う場合であっても,社会教育行政との連携・協働を積極的に進めていくため,養成段階から,社会教育行政に関する基本的な知識を一定程度学習することが必要であるという形でまとめております。
 (2)社会教育人材の養成の在り方でございます。社会教育人材のエントリー条件といった言葉の意味が分かりづらいといった御指摘等ありましたので,ここのところ,冒頭に4行ほど社教主事の資格要件等の言葉を記載させていただいているところでございます。社会教育主事となる上で最低限必要な学習内容で構成されている講習・養成課程の修了に加えて,原則,社会教育主事補や教育に関する職などの一定の実務経験が求められると。また,社会教育主事として任用された後も,実務経験や研修等によって,必要な知見が適切に補完されることが望ましいということで,講習・養成課程の修了は,主事への任用を見据えた社会教育人材のエントリー条件という言葉に結びつけておるところでございます。
 また,主事の任用に関することで,10行目からでございますけれども,中間的なまとめでは欄外にあったんですが,こちらを本文に持ってきているところでございます。なお,社教主事の具体的な任用に当たっては,社会教育主事講習を受講するまでの実務経験等も考慮する必要があることから,各地公体が地域の実情等に応じて判断するものであるということでございます。
 あと18行目から,こちらも追記させていただいているところでございます。社会教育人材の養成に向けて,社教法に位置づけられた講習実施機関・養成課程開設大学が担う役割は大きく,これまでも各教育機関において教育内容の改善・充実が図られており,こうした取組が引き続き重要であることは言うまでもないと。また,社会教育人材の養成を担う観点から,講習・養成課程を開設する大学等は,地方公共団体と密に連携していく必要があるといった文を加えさせていただきました。
 その後,養成の修了の後の具体例があった上で,31行目からでございますけれども,講習・養成課程の修了後においても,多様な研修機会等の確保や社会教育人材ネットワークの活用を通じて社会教育人材の資質の向上を図り,その活躍を促進することが必要であるという形でまとめております。
 (3)番から,人材養成の具体的な方策を記載しております。11ページに行きまして,アが社会教育主事講習の定員拡大,イからが多様で特色ある受講形態の促進等による受講者の選択肢の拡大ということで,具体的な中身としまして,24行目から受講形態の多様化,12ページに行きまして,多様化,オンライン・オンデマンド化を進めていくといったことを例と挙げてさせていただいた上で,7行目から国の動向等を説明させていただいているところでございます。
 国の動向としましては,デジタル原則に照らした規則の一括見直しプランにおいて,国家資格等の講習をオンラインではなく対面で行うことを求めている規制について,デジタル化を推進することとされており,主事講習についても希望する受講者がオンラインで受講やその手続ができるような必要な対応が求められていると。また,53月にまとまりました生涯学習・社会教育の振興方策においても,デジタル技術の進展を踏まえた社会教育主事講習等の内容の見直しやオンライン化の推進が求めると。これらを踏まえて,国は53月に講習実施機関に対しまして,5年度より受講者のニーズや科目の目的,特性等を踏まえながら,公共実施機関の実態に応じて,受講や受講手続におけるオンラインの活用を検討いただくよう通知していると。
 国においては,社会教育主事講習の質を担保しつつ,科目などの特色を踏まえた各講習実施機関におけるオンライン・オンデマンドの取組を促進する必要があると。
 受講形態については,利便性の高さなど,オンライン・オンデマンドのよさや臨場感の高さなどの対面のよさなど,それぞれのメリットを生かすことに加え,科目の特性や社会教育主事講習の具体的な実施手法も踏まえて適切に選択されることが重要であり,この点を十分に勘案しながら,できる限り受講者のニーズに応じられるよう,多様な受講形態での提供がなされることが望ましい。
 国は,社教主事講習の大学等への委嘱に際して,こうした取組に配慮することや,各機関の取組を共有すること等により,受講者のニーズに応じた多様な主事講習の設置を促す必要があると。さらに,受講希望者がこうした受講多様な受講形態に関する情報に適切にアクセスできるよう,情報の集約と発信の充実が求められるという形でまとめております。
 28行目からは,柔軟な履修方法による選択肢の拡大といったところで,34行目のところを追記しております。受講者が全単位で同一の教育機関において修得するのではなく,自身の関心や都合に応じて複数機関から科目を受講するということで,複数機関からの科目の選択のところをちょっと言葉を足しておるところでございます。
 13ページに行きまして,分割履修に関する受講記録の保存期間の話が冒頭にあった上で,4行目からまた追記しているところでございます。この点,大学における学生の単位修得証明書の保存期間は,学教法施行規則28条云々により5年となっていることから,養成課程開設大学における取扱いとのバランスを踏まえ,国は主事講習の受講記録の保存期間について5年以上としたところであると。各講習実施機関においては,分割履修する受講者に対し,受講記録の保存期間内に着実に単位修得証明書を取得するよう促していく必要があると,こうしたルール設定や意見交換の場を通じて,講習実施機関におけるさらなる取組や円滑な分割履修を促進することが望まれるといったことでございます。
 12行目からは,講習科目の提供方法の弾力化でございまして,21行目から,ここをまた追記しております。この点,国は,中間的なまとめを踏まえ,社教主事講習について,大学等の判断により6年度から1から4科目の開設を可能とした上で,国の委託費を活用しないで実施する社教主事講習については,複数年(最大5年間)での開講をあらかじめ認めるとともに,受講料の徴収を可能としたところであると。国はこうした取組を大学等に周知徹底することにより,引き続き社教主事講習の新規開講を促し,さらなる定員拡大を目指す必要があるということを追記しております。
 ウとしまして,31行目から,社会教育主事養成課程に関する取組でございます。最後の行,34行目,「このため」以降を追記しております。各養成課程開設大学においては,科目の開設状況や受講者のニーズなど各大学における実情を踏まえつつ,例えばということで,ここ,例示があっさり書かれておったので,しっかり書かせていただいているところでございます。学校教育と社会教育の連携の重要性及び社会教育に対する分野横断的な学習ニーズに応えるため,教職課程の履修者を含め,他の分野を専攻する学生が主事講習養成課程を履修しやすくなるよう,養成課程の全学部への開放やオンライン・オンデマンドの取組を進めること。養成課程と主事講習を両方提供する大学においては,社会教育実習や社会教育演習における実践の学びの場を共有するとともに,学生がより多くの機会に参画できるようにすることで,双方の教育内容の充実・改善を図ること。養成課程が社会人のリカレント教育の受皿となるよう,科目等履修生制度や,通信教育を積極的に活用することなど,具体例を記載しているところでございます。
 17行目から,講習・養成課程のさらなる質の向上に向けた各機関の取組の共有でございます。22行目の「また」以降を追記しているところでございます。社会的包摂等の現在の社会情勢や地域課題を踏まえた現代的課題については,養成課程の社会教育特講や現職研修等を通じて学ぶこととされており,引き続き社会教育人材の養成において重要であるといったことと,あと29行目からまた追記しております。
 こちらは中間的まとめ以降の動きとして記載させていただいているところでございます。中間的まとめでは,主事講習のさらなる質の向上を通して受講者により多くの選択肢を提供できるよう,国と各講習実施機関との定期的な意見交換の場を設置することが必要とされたと。そこでは主事講習で取り扱う内容の工夫や受講しやすい環境の整備等の取組の共有を行うことや,今後検討を進める人材ネットワークの活用や継続的な学習機会の提供に関する施策の検討について意見交換することが考えられるとしたところであると。
 これを踏まえて,国では61月に講習実施機関を対象とした意見交換会を開催し,デジタル化の進展を踏まえた主事講習に関する取組や,講習実施機関の取組を共有したと。意見交換会では,取組の共有にとどまらず,講習実施機関の横のつながりの形成につながったとの声もあると。今後もこうした意見交換会を定期的に開催して,時宜にかなったテーマを取り上げることにより,講習実施機関間の連携・協力を進めていくことが重要であると。さらに希望する主事養成課程開設大学にも対象を広げるなど,主事講習を開設する可能性がある機関にも間口を広げる必要があると。
 また,講習実施機関では,大学,関係都道府県の教育委員会,国の関係者で構成される運営委員会において,円滑な主事講習の実施に向けた意見交換を行っており,引き続きこうした場を活用して関係機関が密に連携する必要があるといったところでございます。
 8行目から,オ,社会教育主事講習の受講資格の明確化でございます。基本的には中間的なまとめと同様の文言でございますけれども,PTA,子供会に加えまして地域学校協働活動に関する記載を出させていただいているところでございます。13行目には地域学校協働活動推進員,19行目には地域学校協働活動といった文言を追記しておるところでございます。
 16ページ目に行きまして,カとして社会教育に関する民間資格等の取得者の一部科目代替がありまして,32行目から4ポツとしまして,社会教育人材の活躍促進についてでございます。中間的なまとめでは,今後の検討事項となっていましたので,ここからは新たに追記しているところが多くなってきているところでございます。
 (1)としまして,社会教育人材の活躍場面の拡大ということで,17ページに行きまして,4行目から新たに追記しているところでございます。社会教育人材は,これまで,公民館,図書館,博物館,青少年教育施設等の社会教育施設における活動や,コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的取組の中心的な役割を担ってきたと。これに加えて近年,環境,福祉,防衛,防災,農山漁村振興,まちづくり等の地域コミュニティに関する幅広い分野においても社会教育の知見を組み合わせ活かすような活躍が期待されており,社教士の創設以降,こうした取組が各地に広がりを見せていると。社会教育分野に限らず,様々な業界・分野から業務に社会教育士の視点を取り入れることは,社員・職員それぞれの今後の生き方の1つとしてパラレルキャリアにつながると考えられると。
 「地域全体の学びのオーガナイザー」である社教主事は,社教法で位置づけられた行政の専門職として,地域の社会教育振興の中核を担う存在であると。一方で,「各分野の専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー」である社会教育士は,活躍の場が広がり得るがゆえに具体的な活動イメージが描きにくい。
 社研が実施した調査によると,都道府県教育委員会において社教士を活用した取組は少ない一方で,社教主事が認識する社教士の活躍ニーズは高いと。このため地公体に対して首長部局も含め,社会教育士の活躍に関する理解を深めるため,国は具体的な事例を収集・周知していくことが重要であると。
 また,社教士の称号取得に関心のある者に対しては,ロールモデルの提示等により,具体的な活躍イメージが描けるようにすることで,新たな人材の社会教育への参画を促進することが重要であると。加えて,社教士が地域で活躍しやすくなるよう,地域住民に対しても社教社会の認知度を向上することが重要であり,地域住民の身近なところで社教士が活躍できる環境を整え,社会教育関係者だけでなく,広く住民にもその有用性が実感できるようにする必要があると。
 (2)としまして,社会教育人材のネットワーク化の必要性。地域の社会教育人材はそれぞれの分野と相互のつながりを活かして,学びを通じて課題に取り組むことが期待されていると。したがって,最大限発揮するようにするためには,人材のネットワークの構築が重要であると。主事と社教士等の社会教育人材が各地公体の域内において有機的につながることは,地域における人づくり,つながりづくり,地域づくりに資するものであり,人材ネットワークが構築され,さらに存在感を発揮していく上では,その核となる事務局機能を誰が担うのかという点が論点になる。地域によっては,都道府県が中心になって地域の社教主事や社会教育士の情報を把握・集約し,ネットワークの活性化に努めるなど,既にネットワークの構築に積極的に取り組んでいる事例もあると。このように,地域の社教人材がつながることで,一層社教活動が活発化し,取組の質の向上,新たな展開が進展していくことが期待される。
 社教人材は,その職種や関心事項が幅広いため,地域を超えて情報交換ができる環境があることで,主事と社教士がつながるネットワークにとどまらず,地域の社教士と地域住民,社会教育以外の人材までつながるネットワークにより,各地域における社会教育活動が活発化することが考えられることから,地域・分野を超えた情報交換・交流ができるネットワークの構築も有用であると。
 5年度には,社会教育人材が緩やかにつながることができ,さらに研修情報の周知,イベントや個別相談対応への協力依頼等を組織的に行うことができるようなネットワークの構築・展開に向けて,既存のコミュニケーションツールを活用したオンライン上での試験運用を行ったと。
 その結果,ネットワークに想定される機能に応じて,ネットワークの在り方も複層的に考える必要性が示された。具体的には,全国規模のネットワーク,地域単位,同窓会型,さらには関心分野別といった在り方が考えられると。
 (3)が,継続的な学習機会の確保の必要ということで,講習・養成課程の修了は,あくまで社会教育人材のエントリー条件であって,その後,様々な実務経験,おのおののニーズに応じた研修等により,知見を深めることが重要と。特に元年度以降の旧課程で実施してきた現代的課題に関する社会教育特講の内容を,現職研修やOJT等で見につけることが求められていると。
 社会教育人材は,社会教育を通じた各地域の課題解決が期待されており,社会教育人材が継続的に活躍するためには,社会の変化に応じて随時,社会教育人材が知見をアップデートすることが重要と。
 このため,活躍促進には,国,地公体それぞれの役割分担の下,大学と連携・協働して社会教育事業が広く開かれ,様々なニーズに応じた多様な研修の機会等を確保することが必要不可欠。地公体が行う研修については,その企画・立案・実施は社教主事の職務の1つであり,社教人材が研修の受講者としてではなく担い手と関わることで,それ自体が継続的な学習機会の人材の循環につながり,重要であると考えられるという形になっているところでございます。
 19ページ,(4)社会教育人材の活躍促進に関する具体的な改善方策でございます。
 アとして,社会教育主事の配置促進を冒頭に持ってきました。骨子ではもっと後ろのほうだったんですけど,まずはやはり主事の配置促進ということが冒頭に来るべきだということで最初に持ってきているところでございます。
 社研が実施した調査によると,主事が配置できていない主な理由として,有資格者がいない,未発令であっても事務が可能であるということが挙げられると。一方,島根県のように,県の派遣主事の仕組み等を活用して,全市町村が主事を配置し,地域の課題解決や教育支援に取り組んでいる例もあると。
 「地域全体の学びのオーガナイザー」である主事は,社会教育関係者の専門的技術的な助言指導のほか,地域の社会教育に関する計画・事業・研修等の企画・立案・実施とともに,ネットワークの構築・活性化など,専門性に基づいて社会教育行政の中核を担うことが期待されている専門職であると。主事は,都道府県,市町村の必置の職員であり,国は地公体に対して社会教育主事の配置を促していく必要があると。
 具体的には,国は社会教育主事の専門職としての有用性について地公体の理解を深めるため,地公体の取組の個別支援を行う社会教育マイスターの在り方を検討するとともに,地方公共団体における主事の配置の好事例等について周知し,地公体における職員配置等の優先順位を上げてもらう必要があると。また,主事の有資格者がいないとの課題に対しては,国は地公体において社会教育人材を計画的に育成するよう,社教主事の配置促進に向けた主事講習の受講を呼びかけるとともに,任用予定者の講習の受講枠を優先的に確保する必要があると。また,この前提として,任用予定者が受講しやすい講習の開講促進や,定員増加も進める必要があると。
 なお,都道府県が市町村の求めに応じて主事を派遣する派遣社会教育主事制度に係る経費は,平成10年から地財措置が講じられると。そのため,国は都道府県,市町村に対して派遣主事制度を活用した社会教育主事の配置についても,その状況や有用性について改めて促進を図るとともに,適切な配置の促進に向けて検討を進める必要があると。こうした取組を通じて,地公体が主事を適切に配置し,地域コミュニティの基盤強化を推進することが望まれると。
 イとしまして,社会教育士の活躍事例の収集やロールモデルの提示ということで,社教士は地域学校協働推進員や地域との連携による教職員等の候補となり得る人材であり,コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的取組の中心的な役割を担うことが期待されていると。学校教育,首長部局,NO,民間等で,社会教育の知見と各分野の知見を組み合せながら活動を生かしている事例が各地で見られると。しかしながら,教育委員会事務局に所属し,行政の立場から社会教育に携わることが法定されている社会教育主事とは異なり,社会教育士は,その所属や活躍先が多様であることから,具体的な活用イメージが持ちにくいとの御指摘もあると。
 国ではホームページ等を通じて社会教育士の活躍事例を紹介しており,事例の収集やロールモデルの提示は少なからず行われているものの,裾野の広がりを踏まえれば,より広い分野での様々な活躍事例を紹介することが望まれると。
 また,どういった場で社教士としての知見をどのように生かしたかなどの,細部も含めた事例を収集・分析するとともに,各分野におけるロールモデルや主な活躍先を提示することなどによって,社会教育へ携わるイメージや,社教士の活用イメージを具体化し,広く周知していく必要があると。その収集に当たっては,ネットワークを活用することが有効であると考えられるといったことで,16行目からが,社教士の認知度向上やその有用性の周知,活躍場所の拡大です。
 社教士の活躍促進には,地公体,地域住民等の社教士に対する理解が不可欠と。有用性や活躍促進の具体的な事例を収集・周知する必要があると。
 国は,社教士の活躍場所を拡大するとともに,コミスクと地域学校協働活動の一体的取組の推進や質の向上を図るためにも,社教士の称号取得者等の地域学校活動推進員としての登用や,推進員等による社教士の称号取得について教育委員会の取組を促すことが求めると。
 また,公民館などの社会教育施設への積極的な配置を促進するため,職員の社教士の称号取得ニーズが高いことを踏まえ,主事講習の定員を拡大することが望ましい。さらに,社会教育施設が指定管理者を導入している場合は,公募の際に主事の有資格者がいることを選択的条件の1つとすることなども考えられると。
 社教士については,制度化以降,国民全体に広く周知を図ってきたところであるが,社会教育人材をハブにした人づくり,つながりづくり,地域づくりの実現に向けて,その有用性も含め,認知度のさらなる向上を図る必要があると。社教士の有用性を地域コミュニティにPRする方策としては,例えば,講習・養成課程,研修,実務経験等を通じて自ら培った各分野の専門性を「社会教育士×学校連携」,「社会教育士×まちづくり」といった形で,社会教育士を称する際に付記することも有効であると考えられると。
 34行目から,エ,ネットワークでございます。今回,ネットワークの試行や社会教育人材部会での議論では,離れた地域においても日頃の活動を通じて同じ悩みを抱える者同士で意見交換できるといった声や,オンラインでの取組では利便性が高い一方で,対面の場も必要といった声があり,様々なニーズが伺えた。また,ネットワークの規模や参加者の属性に関しては,大きいもの,小さいもの,さらには社教主事中心のものから他分野の主体まで含まれるものなど,いずれもそれぞれ意義があって有用であるとの意見があったと。
 ネットワークの試行を通じた主事や社教士の意見等を踏まえると,全国規模のネットワーク,都道府県・市町村等の地域単位のネットワークに加え,大学等の担当教員や修了者の発意による自発的な「同窓会型」ネットワーク,さらには関心事項に基づく交流など,機能に応じて複層的に構築することが重要と。ネットワークの構築の目的としては,以下のような機能を果たすことが想定されると。
 研修情報など,社教士等が継続して学べる機会に関する有用な情報が提供されること,行政機関の施策や社教士等が主催する事業の実施に当たり協力を求めることができること。一定の地域内で社教士等が緩やかにつながることができ,地域ごとに関心のある社教士の集まりが,具体的な対応事例の共有など経験交流ができること,イベント開催や個別相談への対応に際して,協力を依頼できること,地域を超えて社会教育士が緩やかにつながることができ,トピックごとに関心のある社会教育士等が集まり,具体の対応事例の共有など経験交流ができること,また,個々の機能に対応して最適なネットワークは異なることから,複層的なネットワーク化の構築望ましいと。
 具体的には,全国規模は国が中心となって,都道府県・指定都市の社教主事との業務上の連携を強化するためには,地域においてネットワーク化の主導的な立場を果たすことが期待される社教主事が集まる場の充実を図るとともに,持続的なネットワークの確立に向けた課題について整理・検討を行うと。
 また,国で行う社会教育人材への研修情報の提供や,各地域における好事例の共有,講義中心の研修だけでなく参加者同士が自発的にネットワークを形成する機会の提供など,社会教育人材の資質の向上に向けた機会を提供すると。さらには,全国的な取組に関する相談や協力依頼,他の全国組織と連携する際の窓口としての連絡調整等を行うことが考えられると。こうした取組を持続可能なものとするために,参加者にとってのメリットや主体性が確保されることが重要であり,関係者の意見を取り入れながらネットワークの構築を進める必要があると。
 都道府県・市町村単位のネットワークは,講習・養成課程,地方公共団体が行う社会教育に関する研修などの機会を活用し,地公体の主事が域内の社会教育士に関する情報を把握し,地域における幅広い社会教育人材に広く参加を呼びかけることにより,日常的なつながりの構築を努め,専門的・技術的な助言と指導による活動支援を進めるために有用な取組として,各地域がそれぞれの実情に応じてネットワークの運営に取り組み,域内での研修や交流を行うことが望ましい。さらには地域における環境云々かんぬんの社会教育行政以外の分野も含めたネットワークや地公体の主事OBなど,セカンドキャリアも意識したネットワークとすることにより,多岐にわたる行政機関の施策や,社教士等が主催する事業への協力,相談依頼等を行うことが考えられると。一方,地公体ごとにネットワーク化の進展に差が生じてしまうことから,必要に応じて,国が必要な情報提供,相談のサポートに乗ることが望ましいと。
 「同窓会型」については,遠隔地からの受講生を受け入れている場合も含め,各教育機関における講習・養成課程の担当教員や修了者の発意による自発的な活動として行われており,今後もイベント開催や個別相談に対して,互いに顔の見える関係性を生かして,機動的に交流することが期待されると。また,他のネットワークの複数に参加できるような情報提供がなされることが望ましい。ただし,自発的にできたネットワークであるがゆえに事務局体制が必ずしも強固でないことから,持続可能なものとなるために,他のネットワークと連携することが求められるほか,国,都道府県,市町村には,同窓会型からの相談体制を整えるなどサポートすることが期待されると。
 また,これら複層的なネットワークの横断的な連携を図る観点から,参加者の関心事項別にオンラインやSNS等でネットワークを構築することが考えられる。例えば,子育て,家庭教育,学校教育との連携などの社会教育が強みを発揮するテーマを中心としたネットワークも重要であり,このようなネットワークが自発的に創出されることが期待されると。
 こうした考えの下,ネットワークについては,実際の構築に向けた検討を行う調査研究を進めていく必要があり,6年度には,国はデジタルバッジを活用した社会教育主事をはじめとするネットワーク構築への貢献の可能性について調査研究を行う予定としており,その結果も踏まえながら,国,地公体が連携して,ネットワーク化をより一層進めていくことが望ましいと。
 オとしまして,旧制度における受講者の社会教育士の称号取得の促進です。2年度から実施している講習・養成課程は,コーディネート能力,ファシリテーション能力,プレゼンテーション能力を重視して科目を再編するとともに,任用資格が分野で活躍されるよう,社教士の称号は付与されるかなと。それ以前の修了者については,引き続き主事への任用が可能であるが,称号の付与はされず,取得に当たっては,一部指定科目の受講が必要となっていると。
 この点,旧制度の修了者は一部指定科目の受講について,受講に伴う費用や時間の負担が生じるものの,受講による社会教育士の称号取得者のアンケート結果によると,これまでの現場で実践を見詰め直す機会になるなど,受講者の資質・能力の向上に寄与しているとの声も聞かれたと。また,社教主事はその経験者であっても,過去に学んでいない領域について改めて学び直すことは一定程度必要であり,リカレント教育プログラムのモデルなり得るとして積極的意義に期待する声があると。一方,社教士の称号を持たない旧制度受講者の主事が,社会教育行政の第一線で活躍している現状を踏まえ,一部の地公体から,主事の実践経験や研修を評価することで,一部指定科目,指定講習を受講しなくても称号を付与してほしいという意見もあると。現行制度の趣旨を踏まえれば,旧制度修了者については,社教士として求められる様々能力の確実な育成を重視し,社教士の称号取得に当たっては一部指定科目の受講を引き続き求めるものの,旧制度の受講者がさらに受講しやすい環境を整備するなど,一部指定科目の受講を促進する方策を進めるべきであると。
 具体的には,国は社教主事講習の質の担保を図りつつ,オンライン・オンデマンドの特色を生かした各講習実施機関における取組を促進し,働きながらでも受講しやすい環境の整備をすることが重要。受講者のニーズや知見に応じた内容の講習の開設を促すこと等により,主事経験者が新たな知見を得ることや現場での実践を見つめ直す機会になるなど,旧制度の修了者の学習意欲をより一層喚起できるよう,魅力的な主事講習の整備を進めていく必要があると。
 以上のように,旧制度における修了者で主事の実務経験を十分に有する者に対する扱いについては,法的な論点の整理を踏まえつつ,社会教育人材の活躍の観点から,称号の取得促進に向けた適切な措置を講じることが求められるとしております。
 カとしまして,修了証書の在り方でございまして,養成課程及び講習について,そういった様式を整えて求めていくということを記載しております。
 キとしまして,継続的な学習機会の確保といったことで,養成課程・講習だけでなくて,継続的に学習意欲を喚起していくような取組を進めていくということを記載しております。
 最後に「おわりに」ということで,この最終まとめをまとめてきたと。25行目からでございますけれども,社会教育は,コミュニティの基盤を形成するために重要な役割を担っていると。これまで以上に重要性が周知され,担い手も多様化するなど社会教育の裾野が拡大する中で,社会教育に求められる役割や担い手,人材の在り方について考え続けることは重要と。社会教育人材に関する各種検討は,今回をもって終わりとするものではなく,社会教育主事,社教士の関係の位置づけや,踏まえた人材の養成や活躍方針について,様々な観点から議論を継続することが期待されるという形でまとめさせていただいているところでございます。

【牧野部会長】
 御丁寧な説明どうもありがとうございました。
 それでは,これからの皆さんに審議していただきますけれども,まず最初に,ここからの進め方なんですけれども,一度最終モデル(素案)の目次を御覧いただけますでしょうか。素案の内容ですが,大きく5つの部分に分かれています。1つが「はじめに」ということで,社会教育士創設の経緯と,その後の社会教育に関する議論の経過,そして本部会の設置経緯,それから,最終まとめの位置づけと書かれています。さらに2つ目として,社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割への期待ということで,今後,社会教育人材がどうなっていくのか,どういうことが期待されているのかということが書かれています。それを受けて3番目に,社会教育人材の養成について,4番目に社会教育人材の活躍促進についてといって,最後に今後,国に対して期待すること,さらには社会教育人材がどういう展開をしていくのか,そんなことが書かれてあるわけですけれども,議論としましては,「はじめに」と,それから,2つ目の社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割の期待というのが1つのまとまりになっておりますので,この部分についてまず皆さんから御意見を伺った上で,あと,3の社会教育人材の養成について,そして4つ目の社会教育人材の活躍促進についてを別々に議論していただき,最後に全体を取りまとめて,御意見いただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 では,そのような形で,審議を進めさせていただきたいと思います。それでは,もう一度,今の御説明をちょっと簡単に頭を整理する意味も込めて,私のほうから少しまとめさせていただきますと,この資料の12,前回のこの部会で御議論いただいたことの中で御指摘があって,特に派遣社会教育主事がどうなっているのかといったことを知りたいというお話がありましたので,資料を作っていただきました。つまり,従来の国庫助成金補助金ですとか交付金制度が,ある意味では廃止になって,一般財源,地方交付税に組み込まれたところから,急速に派遣主事の配置が減ってきていると。これは今回の最終まとめ案の19ページ辺りでの,派遣主事の設置,配置を促す必要があるという指摘につながっています。
 それから,更に旧課程で社会教育主事任用資格を取られた方々に対して,社会教育士という称号を授与できないか,また,何らかの形で,現在は新たに2科目の単位を取らなければいけないのですが,そういうことをしなくて,ある種経験を積んでいらっしゃるし,称号を出せないかという議論があったわけですけれども,法制的なことをいろいろ検討していったり,さらには既に2科目受講をされている方がいらっしゃったり,こうしたことを勘案していきますと,ちょっと難しいのではないかということです。ただ,確かに旧課程で任用資格を取得された方々で社会教育士の称号を求めている人もいらっしゃるので,ある意味では受講しやすくするという措置をまずは取ってみるということで,そのことがこちらのまとめの22ページの辺りに書かれていることになります。
 さらに,こちらのまとめですけれども,「はじめに」のところで,第6期の中教審の生涯学習分科会のところまで遡っていただいて,実は社会教育のネットワーク化という形で,既に社会教育概念の組替えが始まっているということ。その過程で全国市長会のほうから,社会教育主事の必置規程を外してくれという要求が出たことに対して,いや,これから新しい社会をつくっていく,むしろ生涯学習をにらんで,社会教育を従来の教育行政の中に閉じ込めておくという形ではなくて,むしろ様々な行政領域であったりとか,または人々の生活領域に関わったりするような形でネットワークを組んでいくためにも,社会教育の専門職である主事の配置は必要ではないかという議論になって残してきた。ただ,主事の任用が少ないこともあって,さらに主事講習や課程を終えられた方々の見える化ができていないということもあるものですから,社会教育士という称号を授与する。この称号も自ら称するという形で,きっちりと受講しましたという客観的なデータがあれば,称号を自ら称することができるという形で展開をしてきた。
 そしてその後,様々な分科会や,また部会での議論の中で,最終的には昨年6月の教育振興基本計画に示されるように,社会教育というのはある意味では社会のインフラなのだというような,そういうような位置づけになってきた。それが従来の例えば教育基本法におけるような規定であったりですとか,現行の社会教育法における社会教育概念の規定であるような,教育行政の中の学校教育と家庭教育支援と社会教育という,場所によって分けるような議論ではなくて,むしろ人々の日常生活のより深いところに関わってくるような,ある種社会のインフラとして,または社会の地下水脈としての,これは振興基本計画では,人々のつながりや関わりの土壌を耕すという表現になっていますけれども,そういう社会になくてはならないものであるという形で社会教育を規定し直している。そういうことの中で,社会教育人材と言われている,特に社会教育主事や社会教育士という方々がどのような役割を果たすのかといったことが,中間的まとめで規定されてきた。
 そして,皆さん御存じのとおりですけれども,社会教育士は,地域のいわゆる学びのオーガナイザーである。つまり社会教育士は,それぞれの専門領域で社会教育を生かしていく,学びのオーガナイザーであるというような規定になってきている。それをさらに受けまして,今回,その後の議論がなされてきたことが,こちらの特に34に書かれてあるといったことになるかと思います。
 それで今日皆さんの方から,特に34を重点的に,その前にまず「はじめに」と,それから,2の社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割の期待ということに関しまして,御意見,または御提案等ありましたら御発言をお願いできますでしょうか。お願いいたします。
 今までどおり,会場にいらっしゃる方は,名札をお立てください。それから,原さんに関しましては,挙手のボタンを押していただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

【委員からの発言なし】
 いかがですか。こちらに関してもうしっかりまとめてくださっているので,特にありませんか。いかがですか。
 ちょっと時間も押していますので,またもし何か最後に御意見等ありましたらお願いいたしたいと思います。
 それでは,次ですけれども,社会教育人材の養成について,詳しく今回,具体的な事例等も入れて,こういう形で社会教育人材と呼ばれる方々,特に社会教育主事,社会教育士の養成をどう考えるのか,それから,今後どのようにこの制度を展開していくのかといったことが書かれていますけれども,こちらに関しまして御意見,御質問,または御提案等ありますでしょうか。お願いいたします。
 では,古賀さんからお願いいたします。

【古賀委員】
 お取りまとめありがとうございます。9ページの29から30行目で,「社会教育士として活動を行う場合であっても,社会教育行政と連携・協働を進めていくため,養成段階から」というくだりがあるんですけれども,社会教育士については様々な業界・分野で活躍をされているという想定に立ちますと,児童福祉部門であったり,まちづくりだったり,社会教育行政よりもむしろ他の部門の方と連携を進めたほうが有効なケースもたくさんあるかなと思っています。そこで例えば,「社会教育行政の他,各部門との連携・協働を」という含みを入れていただきたいです。「社会教育行政と連携しないといけないのか」というような見方をされるおそれもあるかなと思った次第です。
 それと1点意見ですが,先ほどの「派遣社会教育主事の実施状況」についてという資料について,ショッキングと思いながら拝見しました。というのも,先日,福岡県内のある市の社会教育委員の研修に呼んでいただいた際に,その担当課の方が,社会教育委員自体なかなか成り手がいない。しかも,ブラッシュアップを図りたいけれども研修をどうしたらいいか分からないなどと,不安を結構おっしゃっておられました。市町村はやっぱり潜在的にサポートのニーズがあるように拝察し,恐らく都道府県の社会教育担当課はこの制度があること自体あまり御認識されてない方もいらっしゃるかなと思いますので,周知等ぜひ推進していただければと思いました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。社会教育人材の連携先ですけれども,社会教育行政を基本にするのだが,もっといろんな,ある意味,社会福祉系ですとか,まちづくりですとか,いろいろなところと直接連携を取りながら,地域全体の学びをコーディネートしていくというような位置づけのような書きぶりにならないかということだと思います。御検討いただきたいと思います。
 それから,あと主事の配置状況は極めて厳しいので,もしかしたら自治体の首長たちが知らないということあるかもしれないので,啓発していきながら促進をするということをお願いできないかという話だと思います。ありがとうございました。
 そうしましたら,関さん,お願いできますか。

【関委員】
 ありがとうございます。きちんと取りまとめていただいて,誠にありがとうございます。
 1点,12ページの28行目のところですが,柔軟な履修方法による選択肢の拡大ということが明記されております。現在,いろんな機関で行われている講習はかなりオンデマンドの形で展開されておるものが多いかと思うんですが,そういった場合に,例えば全国のどこの機関が行っているものでも,例えば,この講師の話を聞きたいとか,このテーマについてもっと自分は知りたいのでそれを追加選択するみたいなものも可能になるものと理解してよろしいでしょうか。それはまだ将来のものかもしれませんが,そうなれば一人一人の主体性,自主性というものがかなり反映されるのではないかと思います。大学や実施機関としての考え方とは恐らく食い違うかもしれないので,その辺について,ここで示しているのがどのレベルで可能なものなのか,御意見を伺えたらありがたいです。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。12ページの履修方法も柔軟化していくと同時に選択肢を拡大するといったところで,例えば各大学,また実施機関で行っている講習の,中身を開示しつつ,特色があるもの,また自分が必要とするものを選んで取れるようになっていくのかということなのですが,この辺りいかがですか。事務局で少し何かお答えできることがありましたら,発言をお願いします。

【高木地域学習推進課長】
 今の仕組み上は,やはり科目単位ごと,パッケージとして大学として何を学んでいただきたいのかということをカリキュラムとして整理いただいているところであるので,それをつまみ食いという言い方がいいかはあれですけれども,そういう形ではどうしてもできないのかなと。一部の授業をオンラインで,もしオープンにしている大学さんがあるのであれば,それを御覧いただくというのが研修の一環としてやられるというのはあり得るのかもしれないですけど,やはりしかるべき単位の取得という観点からすると,現状なかなか難しいのかなといったところでございます。

【関委員】
 自由裁量の限界,理解いたしました。

【牧野部会長】
 関さんのおっしゃっていることは,科目ごと,例えば社会教育概論なら概論という形で開放されているものを,講師が何人かいるのを,講師を選べるのかという。いま,つまみ食いとおっしゃいましたけれど,いわゆるコマごとで取れるというような御発言なのか,または科目として,例えば社会教育概論として,ここの講習は特色があるから,私はそこを取りたいといってそこを取る,ある意味分割履修みたいな議論と関わってくると思うんですが,そちらなのかどちらでしょうか。

【関委員】
 イメージ的にはむしろ前者のほうが強かった気がします。今年度の講習もオンデマンドの講義が多様な方法で展開されていましたので,社会教育概論であれば社会教育概論の中で当然学ぶべきテーマは規定されていると思うので,社会教育概論のこの内容は牧野先生のお話を聞きたい,あるいは青山先生のお話を聞きたいというような選択権を受講生が持てるのかどうかを考えていました。でもそれはきっと将来のスタイルかもしれないなと思っています。ここに国社研の皆さんもおられますが,例えば国社研の後期日程で展開しておられるようなオンデマンド講義メニューが拡充され,その中でそれぞれの選択を個人に委ねることが可能になれば良いのではと考えたところでした。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。今のところ先ほど高木さんの御説明にありましたように,単位認定で科目ごとでパッケージになっていますので,ちょっと難しいのかもしれませんが,例えば将来的に,デジタルバッジのような形で履修証明が出る形になっていって,概論なら概論の単位数がそろってとか,受講時間がそろっていれば,講師を選んで聴講できますというようなことが可能になるかもしれませんけれども,今のところちょっとそこまでは難しいということだと思います。

【関委員】
 そこまでではないと理解いたしました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 では,大村さんいかがですか。お願いいたします。

【大村委員】
 愛知教育大学の大村でございます。養成についてということで,何点か御意見を述べたいと思います。
 1つ目は今の御発言にも少し関わることですけれども,講習の分割履修,それから,遠隔教育,オンライン・オンデマンドを進めるというふうに書かれていて,実施主体である大学からすると非常に悩ましいことだということをちょっとお考えいただきたいということなんです。というのは,私たち実施主体からすると,講習のプログラム全体から学び合う関係性を育てたいと。その中でネットワークを形成したり,学習コミュニティを形成したりする準備が育まれるだろうと。つまり,今までの答申等にある学びのコーディネーターの,資質がそこで育てられるんだというふうに考えているんです。ですから,一つ一つの科目を切り離して学んでいくということだと,そうした全体性,その中で育まれるものが得られないのではないかという危惧を持っています。
 ですから,エントリー段階というお話がありましたけれども,エントリー段階ではやはりそうした学びの全体性を大事にしたほうがいいのではないかというふうに考えていて,その後,さらに学習を進めるという中で,そういう個別の選択的な学習の機会を豊富に用意していくというような,そうした考え方はできないかなというふうに考えています。
 ですから,まずエントリー段階では,学びのコーディネーターの資質,そうした関係性であるとか,あるいは社会との関係,そして学びのコーディネーター同士の関係性をつくっていくという,ここを大事にしていただきたいなということが1つでございます。
 それから2つ目に,量的拡大の問題です,社会教育士の。特に今回,委嘱講習を拡大されたということがあって,そこでやはり何点か懸念する事柄があります。1つ目は,大学生など,社会教育主事の任用資格を取得する養成課程と講習との制度的な整合性を損なうのではないかというふうに思っています。つまり,養成課程では24単位で,特に社会教育実習が必修です。講習では8単位で,実習は必修ではない,恐らく行われてないところが多いと思います。そうしますと,学生によって,養成課程で学んだ学生と,講習で学んだ学生の質が同じかというと,そうではないのではないかというふうに思っていまして,特に実習が必修になったという趣旨を考えますと,講習によって大学生等が任用資格を取得できるというのは,それでいいのかどうかという懸念があります。
 それに関わって2つ目として,その場合,両方の選択ができる場合といった場合に,養成課程よりも講習を選択する傾向が生まれはしないか。さらに大学自体,実施主体自体も養成課程を廃止し,委嘱講習を実施するという,そうした傾向になるおそれはないか。学生と実施主体の動向次第では,養成課程自体が制度として成り立たなくなる,あるいは非常に弱まってしまうというおそれがあって,果たしてそれでよいのだろうかというのが2つ目です。
 それから3つ目は,社会教育士,これは学生だけではなくて,社会教育主事じゃなくて社会教育士を目指したいという受講者というのは,私のところでも非常に増えてきていますけれども,そこで講習では実習が受けられないわけです。そうしますと,それまで社会教育実践や社会教育行政に従事した経験がない受講者の場合,やはり実践に関わる力量が担保されないのではないかというおそれがあります。したがって,そこではもう一歩踏み込めば,講習においても実習を受けられる,あるいは社会教育実践や社会教育行政の経験がない方には実習を課すというところまで踏み込めるかどうか分かりませんが,少なくともそうした実習が受けられると,そういった講習を考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。
 さらにもう1点,今回の委嘱講習が社会教育士を目指す人たち中心となり,委託講習が社会教育主事を目指す人が受けるということになると,学ぶ場が分かれてしまうんです。そうすると,社会教育主事と社会教育士のネットワークをつくっていこうとする場合に,やっぱりそれは残念なことではないか。やはり養成段階からネットワーク形成を見通した,そうした学び方ということを準備したほうがいいのではないかというふうに思っています。
 あと,少し別のことですけれども,実習についても少しよろしいでしょうか。これ,養成課程ですけれども,社会教育実習の課題について,3点ほど少しお話ししたいと思います。
 1つは,今,社会教育実習について,養成校の間でいろいろ学び合いをしていますけれども,非常に多様であるということが分かってきています。そのことの強みと弱みがあるというふうに思っていまして,強みとしては,社会教育の多様性,特に社会教育士がさらに多様な現場を持つということを考えると,そうした多様性があるということはアドバンテージだと。また,学習者の多様な主体性,それもそれに応える実習が行えるということになります。
 ただし弱みとしては,やはりその中で修得すべき内容が準備されているかどうか,基準がないので,どこまでそこで達成できるかという,それがそれぞれの実施主体に任されているという問題があります。その上で,ですから,そうした実習の在り方を含めて,養成校の間で学び合うというだけではなくて,そうした実習についての調査を行政が行っていく必要があるのではないかというふうに思っています。その上で,一定の基準であるとか指針であるとか,そういったものをつくっていただくことができないだろうかというのが1つ目です。
 それから,2つ目は,実習におけるハラスメントの問題も上がってきています。これは学生と受入機関の職員の皆さんとの間で,あるいは実践に関わる住民や子供たちとの間の中で,そうしたハラスメント事案が上がってきています。学生にとってはハラスメントの加害,被害の可能性があるので,その予防と発生時への対応というものを明確化していく必要があると思っています。これについても,先ほどの社会教育実習の指針に入れていただけるとありがたいなと思っているんですが,ただこの問題は,実習におけるハラスメントに対応していくということが,社会教育実践の中でハラスメントに敏感な感受性を育てていくと。それはスタッフも学生も,あるいは住民もそこでそういった感受性を育てていくという意味では非常に重要な取組ではないかと思っています。
 以上,実習をより充実することで,養成課程の質の向上が図れるのではないかということで発言させていただきました。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。たくさん御指摘がありましたけれども,まず最初に,分割履修に関してですが,基本的には多分ここがまた皆さんと議論になるところかなと思うのですけれども,大村さんの今のお話は,社会教育をどう受け止め,どういうものだと考えるのかですとか,さらには社会教育士とか社会教育主事という人たちの役割をどのように受け止めるかといったことと深く関わっているのだろうと思います。さらに養成といった形で,社会教育主事や社会教育士が大学において養成をされて,ちょっと言い過ぎになるかもしれませんけれども,ある程度完成形として出てくるというふうにお考えになるのか,さらにはそれはエントリー条件だということをベースにして,基礎的な要件を備えたと考え,あとは様々な実践ですとか経験を積んでいく中で,さらにその役割を果たせるようになっていくというふうに考えるか,その辺りも少し議論があるところかなと思うんです。
 まず1つは,分割履修に関しては,大学として考えているようなワンパッケージといいますか,こういうような力をつけてもらいたいという形で講習が準備をされているのだけれども,分割履修になるとそうはいかなくなってしまう。そこにおけるある種の隠れたカリキュラムといいますか,そうしたものの機能が失われていくのではないかということを危惧するというお話だったと思います。
 もっと言えばエントリー条件というのであれば,まずはつながり方であったりとか,現場に入っていく力ですとか,そのようなものをきっちりと身につけた上で,さらに高度化していくようなカリキュラムの組み方といったことも今後あるのではないか。
 それから2つ目が,大学への委嘱と委託ですね。委託講習は国のお金を使ってやるので,どちらかといえば行政からの派遣の方を優先的に受け入れて,あとは定員に余裕があれば一般からの方も入れていくのですけれども,委嘱のほうは大学がお金を取って講習を実施できるので,多くの方々が,特に社会教育士を取りに来られる方がたくさん入ってくる。その意味では大学で同じように養成をするのだけれども,ネットワークの形成に支障を来すのではないかという危惧があるということです。
 それから,3つ目は何でしたっけ,すみません。

【大村委員】
 大きな3つ目は,社会教育実習の。

【牧野部会長】
 社会教育実習で,講習のほうに実習が入っていないと。一応講習のほうの資格要件というのは,大学に2年以上在学して62単位以上取っているとか,教職員の普通免許を持っているとかいろいろと規定はあるわけですけれども,例えば,大学生で2年以上大学に在学していて,講習で主事任用資格を取る学生たちは実習経験を持たなくなると,持って出てこないことになる。さらに逆に言えば,養成課程にいる学生たちは24単位を取っていて,実習を履修してくる。その意味で,講習で主事任用資格を取った学生と,養成課程で取った学生とでは力が違ってしまうのではないか。講習のほうにも実習といったものを組み込めないかというお話だったと思います。
 さらに実習の在り方については,今いろいろ問題が起こっているので,特にハラスメントですとかそういうことも含めて非常に多様な問題がある。特に今,注意をしなければいけないのはハラスメントであり,そういう教育を通して,ある意味では人権などにも敏感な社会教育人材を育成することにもつながるのではないか,そういうお話だったと思います。
 これに関しましてはいかがでしょうか。少し二,三,御意見があればお聞きしたいと思いますけれども,何か御発言ありますでしょうか。
 原さん,お願いできますでしょうか。

【原委員】
 すみません,別の意見だったんですけれども。

【牧野部会長】
 では,少し待っていただいてよろしいですか。すみません。次に指名しますので,お願いいたします。
 今の大村さんの発言に関して,何か御意見ありますでしょうか。青山さん,お願いします。

【青山副部会長】
 青山です。今,御指摘いただいたこと,私も大学で養成課程やっていますので,危惧されるところがイメージできることも多くあります。特にネットワークができなくなるとか,実習が必修でないことなどはよくわかるんですけれども,もう一方でちょっとポジティブに言い過ぎかもしれないんですが,多くの場合,今後も恐らく4つの科目を,よっぽどこだわりがない人は,1つの機関で受けることがスタンダードになることが予想されるのではないか。また,大学生についても単位に組み込まれた養成課程を履修していくことのほうがスタンダードになるのだろうというふうに思っていて,むしろこの弾力化によって,今まで取れなかった人が取れるというところの強みのほうが大きいのかなというふうに個人的には理解をしています。
 その上で,もちろん別々に取っちゃったからなかなかつながりが得られないというケースも当然出てくる可能性はあるわけですけれども,むしろこれまでいろいろ活動しながらうまく取れなかった人たちや,途中で引っ越してしまった人たちや,そういったケースに対応し得るようになるとか,主事課程を持ってない大学の大学生が,主事講習を在学中に受講することができるであるとか,そういったプラスの部分を取り組めることの方が,エントリー条件と位置づける上では多いのかなというふうに今伺っていて,御懸念の点もよく分かるんですが,むしろスタンダードは今とそんなに変わらない中で,取りにくい人が取れるようになる部分のほうが大きくなるのではないかというふうに理解していたんですが,どうでしょうかという感じです。

【牧野部会長】
 今の同じく養成課程を持っている大学の立場としてということで,少しポジティブに考えたらどうかということだと思います。懸念は懸念としてよく分かるのだけれども,やはり学生たちは実際には卒業単位の中に組み込まれているところで取るというのが普通ではないか。あえてそれをやめて外に出ていくといったことがあるのかどうかということですね。逆に言えば,今まで取れなかった人たちが取れるようになっていくという形で,様々に柔軟な履修形態を認めていくという積極性があるのではないか。そちらのほうを少し重視できないかというお話だと思いますけれども,いかがでしょう,今の議論ですけれども,例えば,山本さんいかがですか。

【山本委員】
 東神楽町の山本でございますが,北海道の中でもこの辺の議論って社教主事の関係の話の中で出てきています。次はオンデマンドだよねという話になっていて,やはり私どもとしては,大学の中での確かに養成課程というのが大事だと思うんですけれども,やはり一般の方々で,こういった社会教育士の講習を受けて,どんどんどんどん広げていくということのほうが社会にとって有益なんじゃないかというような思いと,それから,いわゆる僕らも自治体に関わっている中で,社会教育というのを少しいろんな分野に配置しながらやっていくというのも必要だなと思っています。
 実際,現実的に私どもの町の役場の職員でも,なかなか社会教育だけで一生を終えるということはあり得ないので,社会教育の主事講習を受けて社会教育士,もしくは場合によっては発令されて主事になることもありますけれども,大体社会教育をベースにしながら別な仕事をしているということが多いわけでございまして,そういう意味では,やはりできるだけ裾野を広げていただく意味では,やっぱりオンデマンドだったり,そういったこともどんどん活用していただきたいと思いますし,また,現実的に今の若い人たちにとってみても,普通にスマホでいろんなことができちゃうので,逆にできないことが何だろうということに対する違和感のほうが大きいような気がするなというふうに思っていまして,養成課程も大事だというのは分かりますが,できるだけ裾野を広げるような取組に対しては,私は積極的に賛成していきたいと思います。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。例えば,行政のほうから,野津さん,いかがですか。一言お願いします。

【野津委員】
 うちの県でいうと,職員になってから,教員になってから受講するというのが一般的。近所に養成課程のある大学がないものですから受講が一般的で,その環境に現実,島根県としては満足しておりまして,養成課程の中の実習も含めたトレーニングも充実していますし,現場での活躍の場もあるので,あえて言えば,やはりさっき言われたようにオンデマンドの活用ということで,島大で休日とか平日の夜間やっていますけれども,さらに島根大学は県の端っこにあるものですから,全体としてもうちょっと中山間地域,離島の方にも受講が容易になるという意味では,オンデマンドのような形の促進は期待したいと思います。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 では,志々田さん,お願いいたします。

【国立教育政策研究所(志々田)】
 国研,志々田です。養成課程と講習課程のことですけれども,大村委員がおっしゃったように,よりよいベストな養成課程や,よりよいベストな講習課程というものがどうあるべきかというのは,やっぱりそれぞれの実施機関がきちんと説明をし,狙いをきちんと説明して,うちの大学の,例えば社会教育主事講習は,4科目一遍に受けてほしい,若しくは4科目をうちで受けてほしいんだということを説明し,それはどういう意図があるのか。そうだからこそこの大学の養成課程,講習課程を受けたいというふうに言っていただくような,そういうポジティブに考えていくと,それぞれの社会教育主事講習についても,養成課程についても,独自化というか魅力化というものが図られていくのではないか。若しくは大学側の自助努力が行われていくのかなというふうに思っています。
 もう一つ,養成課程と講習課程で,講習課程のほうが簡単に取れるんだからそれでいいんだという,その選択をする学生が増えるのではないかというふうなことは,多分その資格が物すごく,あんまりちょっとうまく言えないんですけれども決定的に,例えば開業ができるとかというような資格であれば,それは大きな問題になるかなというふうに思いますが,養成課程のほうがいいに決まっているという,長く勉強し,たくさん単位を取り,そして実習に行ったんだから,ここの大学の養成課程を出ている学生さんはよい社会教育士なんだというふうに見てもらえるようになっていくのかななんていうことを,非常に日和見的なことかもしれませんが,思ってお聞きをしていました。
 ただ,ちょっと違いをつくるとするなら,社会教育士(養成課程)とか社会教育士(講習課程)とかというふうにして,私たちでいうと学位の後ろに大学名が書いてあったり,教員免許の後ろに一種とか二種とか書いてあるような形で,本人がそれをきちんと名のられるようにというか,書くような習慣というんですか,規則ではなくて,そういう制度ではなくて,御本人が僕は養成課程で社教主事講習を通ったんだ,社会教育主事課程を取ったんだということを文化にしたらどうかなということをちょっと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。今,志々田さんがおっしゃったように,履修の在り方の柔軟化,弾力化といったことは,こちらで一応提案として出していきながら,やはり現場のほうでどう対応していくのかといったことも含めて,ある種双方向性があるものだと思いますし,基本的には多様化というか,弾力化しながら多様化して,社会教育士という,また社会教育主事,もっと言えば社会教育に関心があるような市民の方々をたくさんつくっていくというか,そして社会に,社会教育が本当に必要なものなのだということを認知をしてもらえるような方向性を取りたいという思いが入っているのだと思うのです。そんなことの中で,養成の在り方をどうするか。養成課程と今,講習があるわけですけれども,当然,講習は経験といったことを評価するという形になっていますので,単位数も少ないわけですし,養成課程は実際には大学の全体のカリキュラムの中に組み込まれていて養成をするということになっていますので,単位数が多くなっているわけですけれども,それぞれがやはり大学の特色を出しつつ,もっと言えば大学そのものが社会に,うちはこういう講習をやっている,またはこういう課程を持っているのだといったことを訴えていけるような形で,認知を広めていただくといったこともこれから必要になるのではないかというふうに思います。そのことを含めてここでは今,大村さんの議論を少し引取りながら,できればもう少し中身を検討するということ,さらに各委員の今の御発言もありますので,弾力化,または柔軟化といったことを積極的に捉え返しながら,もう少し社会的に認知を広めていけるような,そういうような書きぶりへの変更を検討いただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そうしたら,原さん,お願いできますでしょうか。

【原委員】
 東北学院大学の原でございます。私のほうから3つほど,意見といいますか,今回のところに反映していただけるかどうかは別として,意見を述べたいと思います。
 1つは,今回,社会教育士と社会教育主事,それぞれの役割を,同じカリキュラムの中で違う2つのものを議論していくという非常に難しい中で,かなり分けて記述していただいたかなと思っているんですけれども,当初のところからありましたように,1階建て,2階建ての話があったように,講習が今回エントリー条件であるということを考えるとすると,事後講習というか,講習のカリキュラムそのものも,今後そこからどう展開していくのかというようなことも,いずれ検討していかないといけない。つまり,いわゆる一般的なというか,必要最小限のカリキュラムと,それから発展的なカリキュラムというようなことを考えていく必要があるのではないかなというのが1点です。
 それから,2つ目は,先ほど大村委員からありましたけれども,講習機関としての実習の仕方ということで,当初から,この部会の中でも,大村委員から,実習の中で非常に負担が多いというお話がありました。一方で,今回のまとめの中でいくと,講習機関を拡大していく,あるいは定員を拡大していくというような話がありました。その辺り,私もかつて講習を実施する大学にいてやっていたことがありましたので,そのやり方というのは非常に大変なところがありました。その辺りについて,今回あまり触れてはいないんですけれども,実習を新たに考える機関にしても,あるいはこれまでやっていた継続の機関にしても,何かもう少しより前向きにというか,負担をより感じない形でいけるような方向というのを考えていかなといけないと思っています。
 今,幾つかの大学でやっていますけど,持ち回りでやっているところもあれば,毎年やっているところもございます。持ち回りにしても負担するところは同じものですから,その辺りのブロックを,このままなのか,あるいは少しチェンジをしていくのかというようなことなんかもあります。それから,地方の大学でいきますと,講習を担当できる人材が限られている中で,全て自前でやらなきゃいけないというようなところもある。そうすると,先ほどのカリキュラムにも影響がありまして,必ずしも生涯学習や社会教育を専門としない教員が担当せざるを得ないという状況も出てきております。それはオンラインであれば解決するのではないか,あるいは遠隔地の講師をお願いすればということがあるんですが,そういったことも含めて,カリキュラムそのものを,より検討していく必要があんじゃないかなということが2つ目です。
 3つ目は,このまとめの最後にありますネットワーク,全国のネットワーク,地域のネットワーク,それから同窓型ネットワークについて。やはり仲間や関係をつくっていくのは必要なんですけれども,それをどこが担っていくのか,それについても若干記述はあるんですけれども,例えば,エリアとしては県,都道府県の教育委員会としても,なかなかつかみどころがないというか,これもいろんな業務の中で社会教育士としてどんな人がいるのか,地域に誰がいるのか分かる面もあるんですけれども,そこを新たな業務としてやっていくというのはなかなか難しいところもあって,ここで描いているように,都道府県,あるいは現場のところでは,何かもう一歩やりやすい方法,あるいは動かせる方法があると動きやすいのかなというふうに思ったところです。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 3つ大きくお話があったかと思いますけれども,1つ目は,いわゆる主事を養成するのか,又は社会教育士なのかというような捉え方になっているのだけれども,今,同じ講習を受けている,また同じ養成課程にいるので,エントリー条件等考えると,今度は高度化といったことをどう考えるのか,それは今の時点ではちょっと道筋が見えないのではないかという話だと思いますけれども,そこをまず議論する必要はないのかということ。それから2つ目が,特に講習の実施機関の負担が大きいということで,これはよく指摘があるわけですけれども,この負担軽減策ですとか,様々な課題を今後どうするのか。この制度を広げていくというときにもそこを考えておかないと,やめるというところも出てきてしまっているので,負担といったことはどう受け止めていくのか。
 それから,3つ目としましては,一言もう一回お願いいたします。

【原委員】
 ネットワークです。

【牧野部会長】
 ネットワークは,すみません,次のところで議論したいと思っていましたので,次の4つ目の議論の中に入ってしまっていますが,そういう御指摘がありました。
 最初の2つですけれども,いかがでしょうか。これについて何かお考え等ありますでしょうか。いわゆるエントリー条件として,最初講習,または養成課程があるのだけれども,今後,高度化ということも考えられないかということと,それから,特に講習実施機関の負担軽減というようなことで,何か少し書き加える必要はないか。そんな御指摘だと思いますけれども,いかがでしょうか。
 一応今までの議論でどちらかというと,エントリー条件として,いわゆる社会教育士という称号を取っていただいた上で,あとは様々な経験を積んでいかれるはずですし,さらには委託講習に来られる,教育委員会から派遣されてくるような方々はどちらかというと既に経験をお積みになっていて,社会教育主事として任用がほぼ決まっている方々が来る場合もあるので,そういう方々はやはり経験はきちんと積んでいるということ。その意味では,社会教育士または社会教育主事というのは,ここで取っておしまいとか,ここで取って完成ということではなくて,むしろ称号を取った後,様々な活動をしていく過程で,例えば主事になっている方もいらっしゃれば,それぞれの専門領域で社会教育士として活躍をされる方が育っていく。社会で育っていくような存在でもあるというような位置づけでこのまとめが書かれていることになりますけれども,そこをもう少し,例えば体系化する必要はないかということにもつながるんだと思いますが,この辺りいかがでしょうか。お願いいたします。
 それでは,筒井さん,お願いいたします。

【国立教育政策研究所(筒井)】
 失礼します。国社研の筒井でございます。先ほど原先生のおっしゃった2つ目の意見で,主事講習を実施している機関がかなり負担感が生じるということなんですけれども,実は我々の国社研の方も,来年度から主事講習を復活しようという。教員養成,免許状更新講習があった関係で,しばらく主事講習をやっていなかった大学があるんですが,社会教育士のこれだけニーズが深まってきたということもあって,社会教育主事講習を復活する,そういう大学も現にございます。
 あとはやはり原先生おっしゃったとおり,負担感がかなりありますので,それと自前で講習運営が厳しいという大学さんが一部あると聞いております。先ほどの最初の議論になるんですが,オンデマンドという部分に関してなんですが,今,我々国社研のほうでは生涯学習概論,それから社会教育経営論についてはオンデマンドでやっておりますので,いずれこのスキームとかも整理した上で,複数の機関で主事講習が実施できるような,そういったことも必要じゃないかなと思っております。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。いわゆる高度化といいますか,様々な継続研修ですとか,さらには負担感,負担が多いといったことも,いろいろこれから試みを重ね合わせていく形で,なるだけ広く広めていかれるような手だてを考えていけないか,そこにつながってくるような御発言だと思いますけれども,例えば今,国社研でやっていらっしゃるようなオンデマンドの教材やビデオの開発,そしてそうしたことが進んでいくと,複数の機関で共有できるようになっていくのではないか。特に概論ですとかそういったものをある種受講してもらえば,大体知識科目的なところがありますので,使えるのではないかということもあるのだろうと。そのように様々な試みをこれからしていくということにつながるのではないか,そんな御発言だったと思います。どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。3番目のところはこれでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そうしましたら,次,先ほど原さんのほうからもネットワークの議論が出ましたけれども,4番目の社会教育人材の活躍促進についてというところで御議論いただきたいと思います。こちらに関しまして御発言のある方,また御意見のある方はプレートを立てていただくか,挙手をお願いいたします。では,井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。まとめお疲れさまでした。
 2点あるのですけれども,1つは17ページあたりですかね,社会教育士の活用についてなのですが,指定管理者制度とかPFI受託のときの資格要件として社会教育士の設置を仕様書に書くということを例示したほうが,活用の場面としてイメージできるのかなという気がしました。
 2点目は19ページのですけれども,社会教育主事の発令促進ということで,先ほどから派遣社会教育主事の話が出ているんですけれども,私も20年社会教育主事やっているので,この派遣が切り替わるときに在職していましたが,今の都道府県の職員はあまり知らない事項かもしれません。これを一般財源化されるといったときに,やっぱりこれは守れないだろうと多くの都道府県は考えました。そもそも社会教育主事は市町村が置くものなので,なぜ県費,国費を入れて置くものなんだという議論があって,なかなかこれを件単独予算で配置するというのは難しいという考えから,栃木県は派遣社会教育主事を全部教育事務所に引き上げました。それで市町には,文科省の派遣社会教育主事の要綱に沿って,置くときには必ず市町でも社教主事を配置し,もう1人について教員を派遣するという形で,割愛社教主事という形で栃木県,茨城県やこの表にある多くの県で実施しています。その形が定着しており,この表でこれだけ派遣社会教育主事を実施していないというわけではなく,割愛社教主事に移行しているというところが正しいとことだと思います。
 今,これを一般財源の交付税係数措置で予算を確保することは,まず教育委員会で無理ですよね。よほど強力なトップダウンがない限りできないと思ういます。これが一番ベストとしてあっていいのですけれども,2番目の方策としては,市町では3割しか発令されていないというのはレッドラインですので,そういう割愛社教主事の教員を都道府県と連携しながら,教員を社会教育主事として,割愛社教として位置づけるということも,2番目の方策として明記していくことが重要ではないかと思います。
 もう1つの視点としては,せっかく社会教育士の制度ができ,これができる前だったら私,こんなこと絶対言わないんですけれども,社会教育士を取った方が,社会教育主事と同等の経験を積めば,例えば非常勤職員とか会計年度職員で発令できると思ういます。多分法律では妨げないと思います。一昔前だったら非常勤職員を社教主事にするなんてと私は反対したと思いますが,今せっかくこういう制度ができて,社会教育士として資格を取ってそれなりの経験を積んで,例えば地域活動を熱心に長年行って行政を熟知している方や元社会教育主事とか,そういう経験をしている人が社会教育主事で発令することができれば,さらに改善の1つの方法になると思うんです。
 したがって一番難しい派遣社教の復活,割愛社教主事としての派遣,また社会教育士の経験を積んだ方の任用という,こういう3段構えのことをやっていけば,3割という状況は少しでも改善できるんじゃないかと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。特に後半部分,社会教育主事の配置を促進するように国のほうで働きかけをするということが書いてありますけれども,それに関しましても,やはり一般財源化されているものを市町村のほうで取りに行くのはなかなか難しい,特に教育委員会のほうから取りに行くのは難しいのではないか。その意味では,第1はやはり派遣社会教育主事だけれども,第2の手段としては,割愛社会教育主事があると。さらには社会教育士の称号を取られた方々が,いわゆる年度任用職員ですとか,有期雇用の形で社会教育主事として登用されていくといった,そんな方向性も検討されたらどうか。これは各自治体での運用の在り方に関するかと思いますけれども,そうした柔軟な社会教育主事の配置の在り方といったことも,少し検討したらどうかという御発言だったと思います。どうもありがとうございます。
では,倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 全体的になんですけど,特に4番のほうで,社会教育人材の活躍促進のうち,主事講習の取得者の活躍促進に割と焦点が当てられているなというふうに思ったんですけれども。先ほどもちょっと議論があったんですけれども,養成課程を修了した若者たち,養成課程を修了して,それこそ4年間の中で2年,3年,4年とかけて生涯学習,社会教育について学んできた人たちがどういうふうに活躍していくかということの想定も少し入れて文章表現を変えていく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。
 例えば,(4)の社会教育主事の配置促進のところなんかは,主事講習を取れるようにとか,配置を考えてとか,これ全部大体主事講習受講者のことで想定されているんですけれども,養成課程の修了者の若者たち,あるいは広く高校生とか大学生たちが,社会教育士,主事の資格を持ってそれを生かした仕事に就きたいとか,それで地域をよくしていきたいとかというふうに思えるようになっていかないと。短期的には社会教育士が主事講習で増えていろんなとこで活躍してくれると思うんですけど,やっぱり長期の目線で見たら,次世代を担う若者たちが,それこそ主事課程をわざわざ取って大学生活の中で,それを自分のキャリアに生かしたいと思っているわけなので,そういうところの受け入れというところも,簡単ではないかもしれないんですけれども考える必要があると思います。例えば教員採用のときなんかに社会教育主事の資格を持っていると少しポイントになるとかという自治体があると思うんですけれども,同じように公務員,地方公共団体の職員になるときに,社会教育士を持っていることがプラス評価になるというのを想定するとか,具体的に書くかどうかは別として,そういうメリットがあるような在り方というのもあるんじゃないかなというふうに思いました。(4)だけじゃなくて,例えば社会教育士のほうなんかも,地域学校協働活動とかコミュニティ・スクールで,地域の人たちに社会教育士の取得を促すということが書いてあるんですけれども,教員,学校の内側の人たちにも取得を促すということによって,より地域の中の学校,学校を通した地域づくりということの実現というのが図られていく。それもやっぱり若い世代の人たちがそういうふうに思って,自分の学んだことを生かしてやっていきたいというように思ってもらえるといいかなと思いました。
 この間,養成課程の担当教員メンバー何人かと,今度卒業する学生たちをシャッフルして,どういうことを養成課程で学んだとか,これからどのように生かしたいかみたいなのをインタビューし合うというのをやったんですけど,すごく刺激的でした。私がたまたま聞いた卒業生は,やっぱり地域の温かさを知っただとか,実習という経験がすごく生かされていて,教員になる学生だったんですけれども,教員になるに当たって,社会教育に助けられる,社会教育は明るい未来を見せてくれるものだ,希望を見せてくれるものだと言ってくれたりとか,地域住民と一緒に学んでいくんだとか,地域をつくる上で大切な役割を持っているんだとかというふうに,学んだことを自分のこれからのキャリアに生かすということと,一市民として自分も役割を担っていこうという思いを,まさに実践的な学びをして,専門性を生かそうというふうに語ってくれたりとかしていたので,ぜひその部分も少し要素として,後半の4の部分にも入れていただくといいんじゃないかというふうに思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。この4の部分ですけれども,講習のことがたくさん書かれているんだけれども,養成課程,大学の中で4年間かけて養成をしますので,若者たちの今後の在り方にどう関わってくるのかといったようなことも含めて,もう少し記述を加えられないかという御指摘だと思います。今の話,私のところも特に養成課程というふうには言っていないのですが,社会教育士の資格が欲しいというので,例えば文学部や理学部,特に博物館の学芸員ですとかの資格取得希望者が受講してきています。なぜかといえば今,博物館などではアウトリーチが盛んに言われているからです。最近では医学部の学生が取りに来たりしていて,これは地域医療に関わってくるからだというような,自分の人生と関わらせて社会教育士を取得したいという学生も増えてきていますので,そのことも含めて少し何か学生たち,特に若者たちが今後,どういう形で活躍ができるのか,自治体の採用ということも多分考えていらっしゃると思いますけれども,そんなことを含めて少し記述を加えられないかという御指摘だと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,野津さん,お願いできますでしょうか。
 すみません,ちょっと時間が来てしまいましたので,座長の権限で15分延長させていただいてよろしいでしょうか。まだたくさん御発言希望の方がいらっしゃるので。次,野津さん,次に大村さん,そして関さん,山本さん,筒井さんでよろしいでしょうか。では,この順でお願いいたします。15分間延長させていきますので,なるだけ短めに発言をお願いいたします。

【野津委員】
 島根県の野津です。冒頭,資料の122点,細かく検討して,丁寧に説明いただきました。そして,本文にも論点として記載していただきました。ありがとうございました。
 その上で,お願い系統の話ではありますが,交付税の単価といいますか折り込み人数をこれ以上下げないように,全自治体配置に向かっていくのであれば,マイナスのイメージ,後退のイメージがつかないように是非お願いしたいなということと,旧課程,旧制度の方の資格取得の件ですけれども,適切な措置を講じることが求められるということで,このことについてまた多くそういう人材を抱える地方のほうに意見照会とかしていただければ,いろいろ現状の話も聞いていただきながら,そういったことをお考えいただければと思います。
 もう1点,割愛社教主事,これは県からいうと理想なんですよね。うちは交付税措置が1.5人分しかもらってないのに,二十何人派遣しています。全部県の手出しでやっていますけど,一部,半分ぐらいは市町村から負担金をもらっている。なので,割愛にすれば2分の2負担になるんですが,今は2分の1の負担でやっているので,派遣と偉そうに言っていますけど,市町村も,市と町村と負担率分けていますけれども,実際にはもらっています。その上で派遣,教員としての社会教育主事が欲しければ,県のほうから派遣すると。もらった上で派遣すると。そしてその上に,市町村の行政職員を同じ数だけ発令してくれと。かなりお金を負担するかわりに条件をつけている,こういうやり方を取っております。そういうのを本文に書かれちゃうとやめられなくなっちゃうけど,行政の人間,役人として,県の役人は割愛が進めば,これに越したことはないと思っております。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。現場で派遣主事を守っていらっしゃる野津さんのほうから,やめられなくなったという話がありましたけれども,具体的にどのような手法があるのかというお話がありました。どうもありがとうございました。
 では,大村さん,お願いできますでしょうか。

【大村委員】
 それでは,短くということですので。1つ目は,社会教育主事と社会教育士のネットワーク形成を進めていくと,そうした後押しをしていただくような書き込みをしていただけないかというふうに思っています。既にハブとしての社会教育主事という書き方はあるんですけれども,実際の実践事例として,そうした社会教育主事と社会教育士ネットワークがどういう活躍ができるのかと。そういった実践事例を是非集めていただいて,それを上げていただくというような,そういった社会教育主事,社会教育士ネットワークをつくり,活用していくということをもっと打ち出していただけたらというのが1つ目です。
 2つ目は,1つの活用の方法でもあると思うんですが,社会教育計画の立案をやはりもっと打ち出していただきたいというふうに思います。特に市町村で,社会教育主事を置いてないのに社会教育計画を立てていて,中身がコンサル担当会社に丸投げというところが結構あるんです。ですから,市町村,自治体として責任を負える体制を持っていただくには,やはり計画の立案,実行,総括まで,社会教育主事をそこに置くということが進められないか。例えば,社会教育計画の携わった方の社会教育主事,あるいは社会教育士も含めて,それを明記してもらうとか,あるいは社会教育計画の調査をしたときに,それを調査の項目に入れていただくとか,必ず社会教育主事や社会教育士がそこで何をやったのかということを集めていくという中で,市町村にも意識化ができるのではないかというふうに思っています。
 3つ目は,そのこともまた関係するんですが,社会教育士調査を,今,日本社会教育学会でもやろうとしておりますけれども,やはり行政でも社会教育士の調査が必要なのではないかというふうに思っています。社会教育調査の中に項目としていただくか,あるいはもう少し違った形で社会教育士の数と活動についての調査をどこかでやっていただけないだろうかということが3つ目にあります。
 4つ目,最後ですが,社会教育士は社会教育を広げる役割を持っていると思っていまして,そこでいろいろ話を聞きますと,社会教育士ですという紹介をしたときに,社会教育って何ですかという,そういった質問が多いと。ですから,社会教育を広めるためのツール,それを例えば名刺であるとかパンフレットとか,あるいはカードであるとか,社会教育って何だと,社会教育士って何だというような,そうしたツールを行政で開発していただけないかという,それが4つ目です。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。ネットワークの問題で,社会教育主事と社会教育士のネットワーク化といったことを考えられないかということ。それから,社会教育計画を社会教育主事がつくる,また社会教育士の方々も関わってつくっていくといったようなことが基本ではないかという。そういう意味で,市町村にも社会教育主事の必要性を認識してもらうということにつながるのではないか。その辺りの書き込みのようなことができるかできないか。
 さらには,調査を行うということですね。実態がどうなっているのか,そんなことを基本にしながら,今後どう普及をするのか,どう広めていくのかといったことをやっていく必要があるのではないか。もっと言えば,社会教育士というのは社会教育を社会に広めていく役割もあるのだろうから,社会教育とは一体何であるのかといったことを少し行政的に取りまとめができないかということだと思います。どうもありがとうございました。
 一番最後のところは,社会教育学会などがやる仕事になってくるということもあるかもしれませんね。一緒に共同研究でも組織をしていきながら,何か展開できればという気持ちもします。ありがとうございました。
 山本さん,お願いできますでしょうか。

【山本委員】
 私のほうからは,特に20ページの社会教育士の認知度向上とかのお話だったんですけれども,先月,私ども北海道の事業で,道庁は文化とスポーツは知事部局に行っていて,スポーツ局の事業で子供たちにサッカーを教えるというのがあったんですけれども,結局,首長部局が社会教育に対する認識を持っているのかということに対してはどんどんどんどん首長部局にいろんなものが移管をすればするほど,なおのこと薄くなっているような気がするんですよね。結局,社会教育士の認知度向上のために,実は働きかけをしなきゃいけないのは首長部局じゃないか。働きかけをして,そして首長部局のほうから,やっぱりそういう必要だからやろうと。そのことが結果としては,教育委員会における社会教育主事の設置の向上につながるんじゃないかというふうに思っています。そういう意味では首長側のほうに対して,例えば,地域で行う社会教育の重要さとか,そういったものを認識するようなことを少しアプローチしたほうがいいのかなというふうに思っていました。
 20ページの中で,地域学校協働活動推進員とかは教育委員会の話なんで,教育委員会の取組を促すというのもあるんですけれども,首長部局に対する促しもあってもいいのかなというふうには思っています。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。首長のお立場から,どちらかというと教育委員会から首長部局に移管すればするほど,実は社会教育について認識が薄れていってしまう。そういう意味では,むしろ攻めるべきは首長部局ではないかという御発言だと思います。どうもありがとうございました。
 では,関さん,お願いできますでしょうか。

【関委員】
 関でございます。先ほどの倉持委員さんのお話に触発されたのですが,大学に入って養成課程を経て社会教育の仕事に就こうとする,そういう若者がいるということ,本当にすばらしいなと思います。今,我々の県でも,高校生がまちづくりの中核として頑張ってくれています。しかしながら,悲しいかな学校教育的なアプローチの仕方でまちづくりとかいろんな活動に関わっている若者が多い気がしています。これが制度として可能かどうか分かりませんが,例えば高校生,あるいは中学生でもいいかと思うのですが,防災の領域であるジュニア防災士のような,例えば「ジュニア社会教育士」といった仕組みを検討してみても良いのではないかと考えます。若い時期に,社会教育の素晴らしさ,醍醐味を体験することができれば,そういった若者が将来,社会教育の中で頑張ってみようというタネ蒔きができると思うのです。更に言えば,社会教育士のメンバーがそれぞれの領域の学びのオーガナイザーとして,そういった活動を支え,社会教育士が高校生や中学生たちのロールモデルになるような,そんな仕掛けができたらいいなということを感じました。ありがとうございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。更に飛び越えてジュニア社会教育士のようなことが可能かどうか。実は私も最後に少し申し上げようと思ったのですけど,大学2年間終わった後からみたいな議論をずっと,これ,一般的に規定があるからそうなるのですけれども,本当は高校生ぐらいがもっと社会教育について触れて,大学で学びたいと思って,いわゆる養成課程ではなくて社会教育のコースがきちんとあるような大学をいっぱいつくっていくとか,そういうことにしていかないと広がらないのかなという思いもあるのです。そのためには,高校の先生方がまず社会教育について知っている,そういう意味では高校の先生方が社会教育士を取られるですとか,更に高校生が今,いろんな形でまちづくりですとかいろんなところに出てきていますから,高校生たちがそういうものにたくさん触れる中で,社会教育を本当に勉強してみたいなと思うような,そんな流れができてくると,より社会の基盤をつくっていくことにつながっていくのではないかと思いますので,今回は書き込むかどうか分かりませんけれども,検討課題として受け止めたいと思います。ありがとうございました。
 では,筒井さん,お願いできますでしょうか。

【国立教育政策研究所(筒井)】
 時間もない中,申し訳ありません。手短に意見,お願いになるんですけれども。
 20ページのウ,社会教育士の認知度向上や,その有用性の周知,活躍場所の拡大の19行目から25行目にかけてなんですが,ここの記載というのは,実は令和48月にまとめられた11期の生涯学習分科会の議論の整理の内容と同じかと思います。実は国社研のほうで主事講習修了生向けにアンケート調査を実施しました,今年の1月なんですが。実は3分の2程度の方が,称号を生かした活動ができていない,称号を生かした活動かどうか分からない,こういった回答があったところです。ですので,ここの記述については,地域学校協働活動推進員,それから公民館への積極的な配置とあるんですけれども,具体的に国が何をするのか,都道府県が何をするのか,市町村が何をするのか,早急に書き込んでいただいたほうが,主事講習の定員拡充とかいろいろ言われておりますので,活躍場所の拡大についても具体的に記載していただければと思います。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。社会教育士の称号を取得された方々が,社会教育士を取って活躍できているかどうかよく分からないという結論,結果が出てしまっていると。その意味では,行政的にはやはりきっちりとその方々を位置づける活躍の仕方といったようなことを,ここにちょっと書き込めないかというお話だと思いますけれども,これも検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 そろそろ時間になってしまうのですが,ここまでで一応今日準備をしましたこと,議論は終えることになります。改めて全体を見通しまして,何か御意見等ありますでしょうか。引き続き検討はしたいと思いますので,御意見あればお出しいただければと思います。今日のところはよろしいでしょうか。
 そうしましたら,これからまた御意見がある方もいらっしゃると思いますので,また事務局のほうへ御意見をお出しいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,一旦議事を事務局のほうにお返しをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】
 資料2を御覧ください。今後の審議予定案を示しております。次回,52415時から16時半で開催を予定しております。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。次回は524日の15時から1630分が予定されておりますので,是非スケジュールのほうに書き込みをお願いしたいと思います。
 それでは,取り回しが悪くて延長しましたけれども,これで本日の社会教育人材部会を閉会させていただきたいと思います。御出席どうもありがとうございました。 

── 了 ──

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