社会教育人材部会(第7回) 議事録

1.日時

令和6年1月19日(金曜日)13時00分から15時30分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室 ※WEB会議併用

3.議題

  1. 継続的な学習機会の確保について
  2. 社会教育人材のネットワーク化について
  3. 社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(最終まとめ(骨子案))
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)古賀委員、関委員,野津委員,牧野委員
(専門委員)青山委員,伊藤委員,井上委員,大村委員,倉持委員,塩田委員,原委員,山本委員

文部科学省

(事務局)望月総合教育政策局長,淵上大臣官房審議官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長 他

5.議事録

【牧野部会長】
 定刻になりましたので,ただいまより,第7回社会教育人材部会を開催いたしたいと思います。
 開会の前に,今年は辰年で,大変な幕開けになりました。犠牲になられた方々の御冥福と,被災された方,さらには被害に遭われた方々の一刻も早い日常生活の回復をお祈りしたいと思います。
 また,社会教育はこういう災害があったときの,発災は防げませんけれども2次災害,特に避難所の経営にとても力を発揮するということもあります。その意味では社会教育や社会教育人材と呼ばれている方々の在り方が問われているのだと思います。今日も是非とも活発な御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,本日はとてもお忙しいところをお集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
 本会議は,対面とオンラインを併用して開催させていただいております。
 なお,本日もYouTubeライブ配信を行い,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から,会議の全体について録画を行いたい旨申出があり,許可しておりますので,御承知おきをお願いしたいと思います。
 それでは,次に,事務局から,オンラインの会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。
 よろしくお願いします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】
 本日は,対面とオンラインを併用して会議を開催させていただいております。オンライン会議を円滑に行う観点から,4点お願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただきますようお願いします。本日はオンラインの方の音声が若干届きにくくなっているようですので,発言の際にはできるだけ大きな声で発言いただけると大変助かります。
 2点目,御発言の際には名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
 3点目,御発言時以外にはマイクをミュートにしていただきますようお願いします。
 4点目,発言に当たっては,オンラインの方は挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお,本日,会場にお越しの方は,御発言の際には挙手又はネームプレートを立てていただきますようお願い申し上げます。
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第のとおり資料1から資料5,参考資料1と参考資料2でございます。
 また,事務局に人事異動がございましたので,今回初出席となる職員を御紹介いたします。
 審議官の淵上孝でございます。

【淵上大臣官房審議官】
 淵上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,早速ですけれども議事に入りたいと思います。今日は少し盛りだくさんの内容になっておりますので通常よりも30分長めに時間を取らせていただいて,1530分までの時間を頂いておりますので,その旨よろしくお願いいたします。
 それでは,本日ですけれども,社会教育人材の継続的な学習機会の確保に関しまして,北海道それから島根県の2つの取組事例について御発表いただきます。
 その後,文部科学省から,社会教育人材ネットワーク形成についての御報告を頂いた後に,本部会も最終まとめに向けてそろそろまとめ案をつくっていく段階に入っておりますので,社会教育人材部会の最終まとめ(骨子案)の説明を行っていただく予定にしております。
 それでは,まず最初に,学習機会の確保に関しまして,北海道から,社会教育人材の継続的な学習機会の確保に関する取組ということで御発表をお願いしたいと思います。
 オンライン参加の伊藤さんからお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 よろしくお願いいたします。
 改めまして,北海道立生涯学習推進センターの伊藤でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は,当センターが実施しております社会教育人材を対象とした継続的な学習機会の提供について御説明させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。本日の説明の流れについてでございます。本日は,当センターが実施している研修事業につきまして,研修事業のポイント,北海道社会教育主事会協議会と連携した研修事業について,社会教育主事講習受講者の声・感想,社会教育主事講習を軸とした研修事業について御説明し,最後に,今後についてお話しさせていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。初めに,当センターについての御紹介でございます。北海道立生涯学習推進センターは,本道における生涯学習振興の拠点として,市町村や高等教育機関及び産業界との連携を図りながら,社会の進展や地域の要請に応える事業を総合的に行い,道民の様々な学習が促され,それらの活動が豊かに展開されるよう支援することを基本方針とし,主な機能として調査研究,指導者の養成・研修,学習情報の提供・相談,学習機会の提供,教育メディアの利用促進を担っております。本日は,その中の(2)指導者の養成・研修として実施している内容について御説明いたします。
 次のスライドをお願いします。当センターが実施している主な研修事業は,スライドの上段左から①,北海道社会教育セミナー,真ん中の②,ブロック別社会教育主事等研修会,③,地域生涯学習活動実践交流セミナーと,下段の左の方に移りまして④,社会教育ベーシック講習会,⑤,社会教育主事講習,⑥,社会教育スキルアップ研修会がございます。
 初めに,スライドの青い枠でくくった上段3つの事業につきまして,当センターと管内ごとに設置された道内各市町村の社会教育関係職員で構成された任意団体である北海道社会教育主事会協議会が連携・協力して全道研究テーマを設定し,実施している研修会について御説明させていただきます。
 例年6月頃に実施している北海道社会教育セミナーにおいてテーマの説明をし,その後,道北,道央,道東,道南というブロックごとにテーマに沿ったブロック別社会教育主事等研修会を実施し,例年2月頃に実施している地域生涯学習活動実践交流セミナーにおいて,14管内での実践を交流しております。
 次に,緑の枠でくくった下段の3つの事業につきまして,社会教育主事講習を軸とした研修機会であり,プレ研修として社会教育ベーシック講習会,フォローアップ研修としまして社会教育スキルアップ研修会を実施しております。社会教育主事講習の社会教育演習につきましては,北海道の社会教育主事会協議会と連携して実施しております。
 次のスライドをお願いいたします。ただいま御説明させていただいたとおり,当センターが実施している研修事業のポイントは,北海道社会教育主事会協議会との連携と社会教育主事講習を軸とした研修機会の設定です。ここから,そのポイントについて説明させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは,北海道社会教育主事会協議会とともに進めている研究のテーマです。今年度はメインテーマを「持続可能な社会の実現に向け,地域の可能性を引き出す学びをつくる社会教育の在り方」としまして,サブテーマにつきましては,各管内において地域の課題に即したテーマを設定することとしております。
 次のスライドをお願いいたします。北海道社会教育主事会協議会と連携して実施している事業を個別に御説明いたします。北海道社会教育セミナーは,地域づくりや人づくりを推進する生涯学習・社会教育の中核を担う社会教育主事等の専門性を高めるとともに,関係する行政職員や社会教育委員等各種委員,社会教育関係団体関係者が一堂に会しまして,地域の生涯学習・社会教育を推進する上での課題とその解決に向けた方策について理解を図ることを狙いとして実施しております。
 今年度は令和561日から2日までの2日間,札幌市において集合型で実施し,道内179市町村のうち116市町村から187名の参加があったところでございます。例年,経験年数が浅い参加者が多いことから,今年度は社会教育行政の経験が3年未満かつ社会教育主事講習未受講者の方を対象に基礎講座を実施いたしました。なお,社会教育主事講習未受講者の方は全体の46%でございました。
 次のスライドをお願いいたします。次に,地域生涯学習活動実践交流セミナーについてです。地域生涯学習活動実践交流セミナーは,北海道における生涯学習活動の一層の推進を図るため,実践事例の交流等を通して,生涯学習推進上の課題解決の糸口を探ることを狙いとして実施しております。
 昨年度は,令和529日から10日の2日間,札幌市において集合型で実施し,道内179市町村のうち95市町村から221名の参加があったところです。
 事例発表では,住民同士の話合いの場や世代間交流のイベントの企画を通して地域活動やまちづくりに資する人材を育成する取組や,管内各市町村教育委員会が連携して実施した事業など様々な切り口による報告があり,参加者は他管内の取組から新たな刺激や工夫を持ち帰り,さらなる取組の充実につなげているところです。
 なお,今年度につきましては令和6221日から22日の2日間,札幌市において集合型で実施する予定となっております。
 次のスライドをお願いいたします。続いて,社会教育主事講習を軸とした研修機会の設定について御説明いたします。こちらは,今年度,当センターの社会教育主事講習の受講者を管内別で一覧にした表と,各管内振興局所在地と札幌市の位置関係を表した図になっております。北海道は大変広域ですが,現在,遠くは根室管内,オホーツク管内,十勝管内などほぼ全ての管内から受講していただいている状況であり,その要因の一つは,講習の全科目をオンラインで実施するなど,受講しやすい環境づくりを進めているためであると受け止めているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは,今後どのような研修会に参加したいと思うか,令和5年度社会教育主事講習A日程受講者を対象にアンケートを実施し,集まった受講者の声の一部でございます。受講者からは,内容に関することでは,ファシリテーションに関する内容。実践により,学びを深める場があるとよい。社会教育に関わる法律や情報の更新などについて学びたい。学習プログラムの組み立て方の基礎。様々な地域の事例を知りたい。受講者同士の実践を交流する場も欲しいといった意見がありました。
 実施方法に関することでは,対面での講習ではなかったので,対面で交流できる研修があるとうれしい。オンライン開催であれば,自然に活用術も学ぶことができるため,オンライン受講できる研修を望むといった意見があり,社会教育主事講習のプレ研修とフォローアップ研修では,このような受講者の意見を反映した内容を扱うこととし,実施方法につきましてはプレ研修をオンライン,フォローアップ研修を,こちらも受講者の意見を反映し対面で行うこととしたところです。
 次のスライドをお願いいたします。プレ研修である社会教育ベーシック講習会は6月,7月,11月に実施いたしました。各回のテーマは社会教育主事講習受講者の声を参考とし,第1回目は「社会教育法について学ぶ」,第2回目は「地域学校協働活動について学ぶ」,第3回目は「子ども向け事業の企画・運営について学ぶ」と設定しました。3回ともに気軽に参加することができるよう講義と意見交換で約2時間という構成としまして,オンラインで開催しております。
 次のスライドをお願いいたします。フォローアップ研修である社会教育スキルアップ研修会は8月,9月,12月に実施いたしました。集合型で実施する方が効果を高めることができると考えるファシリテーション研修等を行っております。3回ともに演習をメインとしまして,参加者からは「様々な視点を持った参加者と意見交換し,ファシリテーションスキルを磨くことができた」,「大変有意義な研修会であったと思う」といった感想があるなど,学びをアップデートすることにつながっていると考えています。
 スキルアップ研修は対面での交流を望む受講者の声を反映して実施しているものですが,希望者がいたにもかかわらず,スライドで今御覧いただいているとおり実際の受講者は多くはないという状況となっております。この結果につきましては原因を分析し,次回に反映させていきたいと考えているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。また,社会教育スキルアップ研修会参加者の社会教育主事講習受講の有無を調べますと,第1回では1人(10%),第2回では4人(66%),第3回では8人(62%)と決して多くはない状況であり,この結果からもフォローアップ研修として効果を高めるための工夫が必要であると考えているところです。
 次のスライドをお願いいたします。こうしたことから,今後は社会教育主事講習における学びと受講前後の学びに継続性や接続性を持たせたり,これまで実施している研修会に加えて社会教育主事と社会教育士の役割に即した研修の実施,さらにはオンラインと対面に加え,受講者のライフスタイルやニーズに応じた研修の機会を設定することなどにより,社会教育人材を対象とした継続的な学習機会を提供したいと考えております。
 最後になりますが,当センターでは引き続き社会教育人材の質の確保・向上に向けて社会教育主事講習の改善・充実を図るとともに,養成後も様々なニーズに応じた多様な研修の機会をデジタル技術も活用するなどして提供することにより社会教育人材の資質の向上を図り,活躍の促進に尽力していきたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

【牧野部会長】
 伊藤センター長,どうもありがとうございました。北海道では道立の生涯学習推進センターと社会教育主事会協議会が連携・協力を取りながら,2つの大きな継続研修の機会を保障されているとのことでした。1つは主事会協議会との連携による主に実践交流をベースにした通年の様々な学習機会,研修機会,それから,もう一つが社会教育主事講習を軸とした研修が組織されているということになります。最後に,それぞれのニーズに応じた新しい研修の在り方も考えていきたいというお話があったかと思います。
 それでは,今の御発表に関しまして,御質問ですとか御意見等がありましたら,会場の方はネームプレートを立てていただき,オンラインで参加の方は挙手ボタンを押していただきたいと思います。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。
 そうしましたら,古賀さんから先にお願いできますか。

【古賀委員】
 御説明ありがとうございます。
 質問1点です。主事会協議会との連携事業について,参加者数自体は多いと思った一方で,市町村数で見ると半分ぐらいが不参加のようでした。おそらく北海道であるだけに広域という故もあるかとも思うのですが,温度差などもあるのかなと思いました。不参加の市町村へのフォローアップなどの働きかけで,何か工夫されているところがおありでしょうか。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 伊藤さん,いかがでしょうか,お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 今まさにおっしゃっていただいたとおり,温度差があるというのは事実でございます。なかなか全道が1か所に集まってとなりますと,広域なこともあって遠い管内だと来ることができないということもございます。こちらの方につきましては,北海道は14の管内がございまして,管内ごとに社会教育主事会協議会のそれぞれの分科会と支部がございまして,その支部の方でまた研修とかをやっておりますので,そちらの方にうちの職員が講師で出向いたりしてフォローアップしているところでございます。

【古賀委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 古賀さん,よろしいですか。ありがとうございました。
 では,関さん,お願いいたします。

【関委員】
 北海道には本当にいろいろ多面的で,複合的な研修の機会があることを改めて教えていただきました。ありがとうございます。
 これらの研修,社会教育セミナー,生涯学習活動実践交流セミナーといった研修の参加者の経験年数なのですけれども,結構長い経験年数を重ねておられる方がおられます。実際にこのメンバーの構成はどうなっているのか,社会教育主事として発令されて各自治体で活躍されている方,あるいは社会教育士,あるいはそれ以外の社会教育関係団体等の参加者の皆さん,その辺のある程度人数の分布などが分かるようであれば教えていただけたらと思います。

【牧野部会長】
 伊藤さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 まず,社会教育セミナーで申し上げますと,社会教育の担当職員が166名,社会教育関連施設及び青年教育施設等の職員が8名,社会教育関係団体職員や民間団体関係者が8名,北海道庁や振興局,市町村などの部局の職員が2名,社会教育士の方が2名,その他が1名となっております。
 同じく地域生涯学習活動実践交流セミナーの方でございますけれども,こちらは社会教育の担当職員が189名,社会教育関連施設及び青少年教育施設等の職員が19名,社会教育関係団体職員や民間団体関係者が7名,北海道庁や振興局,市町村の部局の職員が2名,社会教育士の方が2名,その他の方が2名となっております。
 以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 関さん,よろしいでしょうか。

【関委員】
 もう少しだけ構いませんか。
 北海道の例えば社会教育施設,公民館等の職員みたいな方々もこの中に含まれているのでしょうか。

【牧野部会長】
 伊藤さん,いかがでしょうか。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 公民館とかの職員も入っております。特にベーシックの講座では公民館のことを題材にしたこともありまして,そちらの方ではかなりの数の市町村とか公民館の職員の方が参加しておりました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,オンラインで原さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【原委員】
 東北学院大学の原でございます。御発表いただきありがとうございました。2点お伺いしたいと思います。
 1つは,各研修ないし講習の修了の何か修了証,社会教育主事講習であれば修了証ということはあるのですけれども,それに前後するスキルアップ研修だとか,その前にある研修等の評価をどうされているのか,修了証とか。
 それから2点目は,社会教育主事講習を軸とした研修ということで,講習も含めて3つがつながってはいるのですけれども,実際の受講者というのは講習を受けていない方もスキルアップ研修の方に来られたり,あるいは逆もあるかと思うのです。講習全体の体系化をしていくというのは社会教育人材育成の中では重要なことで,そういった講習あるいは研修の機会そのものの系統性ということでいくと,実際の受講者とのアンバランスみたいなことも少し感じたのですけれども,その辺りはどのようにお考えでしょうか。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 伊藤さん,いかがでしょうか。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 まず,修了証の方ですけれども,修了証は特に交付しておりません。受講のみということでやっております。
 体系化なのですけれども,まさしく今言われたとおり体系的なものというのが御指摘いただいたとおりなかなか取れていない,先ほど私の説明の中でも少し触れさせていただいたのですが,どちらかというと今現在は受講者の希望に沿っているような形がありまして,講習によって全然参加する人が違っていたりするのが現状でございます。ですので,そこに課題意識を持っておりまして,今後は少し体系的なものにしていった方がいいのか,そうしないと体系的に社会教育人材を育成することにはならないのではないかというところに課題意識を持っております。
 ただ一方で,アンケートで皆さん,対面がいいとかおっしゃるのですが,なかなかそれに来なかったり,主事講習は対面でやりたいというのでその方々の希望の講習をやってはいるのですがどうして来ていただけないのか,その辺もいろいろリサーチをかけながらやっていかなきゃいけないかなと思っております。

【原委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,会場の方で井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 栃木県の井上でございます。御報告ありがとうございました。いろいろな多様な研修の機会を設けていらっしゃって,本当にいろいろ勉強になりました。
 それで1点だけお伺いしたいのですが,以前,この分科会の御発表の中で,北海道の社会教育主事講習は全部オールリモートで実施しているということだったと思うのですけれども,10ページの受講者の感想の中でファシリテーションに関する内容をもっと勉強したいとか,あと学習プログラムの組み立て方の基礎とかがあげられています。これらの内容については社会教育主事講習でも当然取り上げているところだとは思うのですけれども,この内容について主事講習との関連性,具体的には,例えばもっと学びたいというものなのか,それともリモートだったので十分な学びがえ得られなかったのでちゃんと学びたいというものなのか,伊藤さんが受講者の方と接している肌感覚でも結構ですので,そのところを教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。

【牧野部会長】
 伊藤さん,お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 ファシリテーションにつきましては,やはりオンラインというところもあったのだとは思います。どなたが言っているかというのは分からないので当然あくまで推測にはなるのですけれども,オンラインで画面越しではなくて,実際に交流したかったのではないかと受け止めているところでございます。
 もう一点が,何でしたかね。

【井上委員】
 それで結構です。
 学習プログラムの学びについても同様でしょうか。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 学習プログラムの組み立て方についても,これもあくまで推測ですけれども,そういうようなもう少し具体的なものが欲しかったのかなと思ったので,こちらは研修で,スキルアップではなくベーシックの方の学習プログラムで再度取り上げて取り扱ったところではございますが,それに対して応えられたのかどうかというのはなかなか分からないところでございますので,引き続き受講者の声に耳を傾けながら取り組んでいきたいと思っているところでございます。

【井上委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,ほかに御質問,御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では,青山さん,お願いします。

【青山副部会長】
 青山です。ありがとうございました。
 私も今年度,社会教育セミナーに行かせていただいて大変勉強になりました。今,井上委員からもありましたとおり,北海道の物理的な広さもあって,いち早く全面的に社会教育主事講習をオンライン化し,もう一方で6月の総論的なセミナーと年度末の実践事例の交流会を共通のテーマのもとにつなげて実施し,ここは対面をきちんと残してやっていくという組み合わせ方というのは,各地の主事会とも連携して地域性を残しながら全道でオンラインと対面のつながりを両立させていく形としてとても先駆的な取組だと思っています。こういったオンラインでの取組を導入する前と,関係者とか業界の横のつながりがどうなるかがオンライン化したときの皆さんの不安の一つだったと思うのですけれども,オンラインでの取り組みを導入する前と,こうしたハイブリッドな形を導入した後で,特に主事講習を全面的にオンラインにした上でいろいろな形を組み合わせていく中で,横のネットワークというものが以前とどう違うか,お分かりになる範囲でお気づきのことがあれば教えていただきたいと思っているのですが,いかがでしょうか。

【牧野部会長】
 伊藤さん,いかがでしょうか,お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 今お話のあったような形で横の連携というのは,オンラインで地域的には逆に管内をまたいでつながれたところがあるのかなと思います。ただ管内ごとにいくと,どうしても集まらないということによって若干希薄さは生まれているのかなと思っております。そこにつきましては,先ほど申し上げた地域で各主事会の支部でやっている講習のところで対面の場でフォローアップして,なるべく顔と顔をつき合わせるような形の今までどおりのような関係を築くことも大事なのかなと思って,そちらのところに講師で呼ばれた際には積極的に出向くようにしているところでございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 青山さん,よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは,御質問等はここまでとさせていただきたいと思います。
 北海道の伊藤さん,どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,島根県から,同じく社会教育人材の継続的な学習機会の確保に関する取組につきまして,御報告をお願いしたいと思います。
 こちらの会場で,野津さんからお願いいたします。よろしくお願いします。

【野津委員】
 島根県の野津です。よろしくお願いします。
 最初に,島根県の状況を簡単に少しお話しさせていただきたいと思います。
 1ページ目をお願いします。島根県は平成の大合併の優等生でして,59市町村を19市町村まで合併しました。したがいまして,各エリアが非常に大きい市なり町村になりました。このうち真ん中の出雲市,飯南町から右側が出雲部,昔の出雲の国です。左側の大田市,美郷町から左側が石見の部,そして離島である隠岐と3つの地区に分かれていまして,このうち松江市と出雲市の人口が県の56%ぐらいを占めるという,全国の縮図,東京都の一極集中と同じ縮図になっています。
 次のページをお願いします。人口のピークは高度成長期が始まる前で90万人ぐらいいましたけれども,現在は65万人程度で,地域別に見ていただくと出雲圏域,先ほどの松江市,出雲市のところはあまり減っていませんけれど,石見も隠岐もその頃から比べると半分以上減っているということで,離島や中山間地については非常に厳しい環境にあるという状況です。
 次のスライドをお願いします。人口ピラミッドです。太線のところが一番多かった90万人の1955年のピラミッド形で,今の人口は色がついているところでソフトクリームというか,たいまつというか,そういう形の年齢構成になっています。最も少ないのが23歳くらいところ,18歳に大学で島根県を出て,そのとき住民票を移さないで,就職するときに一緒に移してしまうのでそのときにぽんと下がると,それ以降の年齢というのはUターン,Iターンで少しずつ稼いでいくと,こういう人口構造,社会移動の傾向になっています。
 次のスライドをお願いします。年齢別の人口です。生産年齢人口がぐっと下がって高齢者が増えていると,65歳以上が今23万人で,これを隣のグラフで見ると34%は65歳以上,3人に1人は高齢者ということで,そのうち75歳以上は全体の18.4%,5.4人に1人が75歳以上といった状況になっています。
 次をお願いします。こういう中でどういった社会教育の人材養成なり,活動なりをしているかというと,まず,基本的には公民館がちゃんとしているという状況があります。今,300館の公民館がありまして,40年前の小学校の数が300ぐらいです。つまり,小学校1年生が歩いて通える範囲内に大体小学校があると,小学校と同じエリアに公民館があるというようにお考えいただきたいのですけれども,そうすると,今小学校は200校になっています。子供の数が減っているので統合とかを繰り返していますけれども,公民館は300が維持されていると。これは先ほど言いましたように元気な高齢者がたくさんおられるので,ここはあまり統合せずにそのまま残っていると。残っているだけじゃなくて活動しているので,職員が常駐しているのがほとんどです。ただ,合併を機会に市長部局に移管して役所の仕事もやっていると,公民館,社会教育もやりながら役所の仕事もやっているというところもかなりありますので,移管は進んでいるということであります。
 次のスライドをお願いします。1つの例として松江市の玉湯公民館です。これも玉湯町というところが松江市と合併して松江市の中入ったのですけれど,そういったところで非常に若い人が公民館の中で働いている,活動していると。
 次のスライドをお願いします。現役の中学生,高校生,大学生などもこういったメンバーに入って一緒に地域活動に入っていると。そして,そこから学生を卒業して社会に入る,地域に入る,こういった方が,次の次,1つ飛ばしてスライドをお願いします。中学生で始めた子が,社会に出てもう一回新たな気持ちで立場を変えて地域の活動にしっかり入っていくと,こういった動きが出ていると。地域で活動する人間がしっかり育って,年代を超えて次の世代のためにしっかり頑張ろうという動きがあります。
 その一つの支えとなっているのがこのふるさと教育というやつで,平成17年から県内全ての公立の小学校,中学校全学年・全学級で年間35時間以上のふるさと教育が実施されています。これは授業の上乗せではなくて,授業時数の中で各教科の中に取り入れると。地域学習だけではなくて,例えば国語,算数,理科,社会の中にもそういった地域のデータを入れながら学びにしていくと,地域を素材に学んでいくといったことをやっています。もちろん外にも出てしっかり地域を,次のスライドをお願いします。
 上の囲みで書いていますが,子供の成長に合わせて体験する,知る,そこから行動する,そして将来の自分の役割に思いをはせると,ここまで体系的に,私立の小学校はありませんし,私立中学校も今は3校しかないので,ほとんどの子供たちがこういったカリキュラムの中で地域学習をしていると。地域学習したのと,更に高校の課題解決型学習にもつなげて,地域の課題を自分ならどう片付けるのかということを考える,こういった教育を実施しております。
 次のスライドをお願いします。そういった実際の地域活動,先ほどの公民館がかなり協力してくれる,小学校,中学校ですから地域の子供たちのためにいろいろな活動を支えてくれる,そういったものをしっかり体系づけたりコーディネートするために社会教育主事が本県は人口の割にはたくさんいる,派遣社会教育制度をしっかり残しておりまして,19市町村のうち1一つは派遣は要らないと,自分のところの手前でたくさん育てているのでいいと,教育長さんが代々資格をお持ちなので要らないということで,派遣自体は18市町村に教員籍の者を派遣していると,複数派遣もしますので全部で23名,この丸というのは人数ですけれど23名派遣していると。本庁には3課にわたって9人いると,教育事務所が5つあります,そこに派遣の元締となる教頭級,校長級の社会教育主事を置いて派遣のバックアップをしていると。そして,後で説明しますけれども社会教育機関など東部と西部に社会教育研修センターを設けてそれぞれ3人ずつ派遣して,市町村のバックアップであるとか一般の方の研修を行っていると。あと,宿泊研修施設が2つありますのでそこに12人と。あと,国の青少年交流の家に2人ほど派遣していまして,全体で57名が県として発令していると。
 次のページ。あわせて,19の市町村で36人の社会教育主事が発令されております。一つには,県の派遣を受け入れるためには受入れ人数と同じ人数以上の社教主事を発令しないと派遣しないという条件をつけているので,市町村の普通の役場の職員の方に資格を取らせて配置を行っていると。教員籍の派遣社教と事務籍の市町村の社教主事が一緒になって各市町村のいろいろな地域課題の解決,あるいは子供の教育支援といったものを一緒になってやっているという状況にあります。
 一つ言うと,派遣に今は市町村から負担金を頂いています。もともと県に地財措置があるのですけれども,私が10年前に課長やっている頃はうちの県で七,八人分が交付税に入っていたのですけれど,今は1.5人しか入っていないので,是非よろしくお願いします。とてもみきれない,交付税なので色がついていないことはもちろん重々承知しておりますけれど,予算を切るときには理屈として使われてしまうので,今,市町村の負担の増をお願いして歩いているところであります。
 次のスライドをお願いします。私の社会教育に対する基本的な考え方は「活動を起こせ」と,「県民の日常生『活』にふだんない『動』きを起こせ」ということを県の社会教育主事には常々,10年前から言って,これを一つのテーマにしてもらっています。現場を動かせと,君たちの仕事は君たちが活動することではない,現場の県民の方の生活を変えろと,県民の方が行動するようにしなさい,そこまで仕上げてくれというのを一つの目標としています。人間の向上心とか達成感,満足感,あるいは欲,あと少しという気持ち,こういったものをうまく使いながらこういったサイクルが回るように働きかけてくれということを言って,こういった大きな方針の下にみんなで動いていただいているという状況にあります。
 次のスライドをお願いします。社会教育研修センターを2つ設けています。これは西と東,先ほどの石見の真ん中にある浜田市と出雲市に置いております。これは主に地域割りでやっていますけれども,それぞれが基本的には独立しながら協調して,この主に4つの事業をやっていると。
 別にパンフレットで事業計画を配っております。ピンクのやつですけれども,やっていることは市町村の職員も全部やると,分け隔てなく,県民全てを対象に社会教育の研修は全て県の仕事にする,仕事でやっていく,人材育成は県の仕事ということを明確に打ち出して社会教育研修センターという名前でやっております。
 次をお願いします。1つ目の柱が人材養成。人材養成の資質・能力をしっかりこういったことだというふうに明確にした上で,次をお願いします。実際の調査・研究等をやって,親学プログラムという,これもリーフレットをお配りしていますけれども一つ大きなプログラムをやっていると。
 次の次をお願いします。これは親学プログラムと親学プログラム2というのを開発して,次をお願いします。これは主に授業参観日に保護者の方が残って保護者同士で意見交換するというのを大きく想定したやり方で,保護者同士で話合いを行う,親学ですので子供の育て方について意見交換するということで,いろいろそういったプログラムを組んであります。
 次をお願いします。こんな感じで話合いをやってもらう。
 次をお願いします。実際にこういった1つのテーマにそれぞれ進行表とかマニュアルとかワークシートを作って,これをお渡ししてやっていただくと。
 次をお願いします。そのために,進行のためにファシリテーターというのを養成しております。これは人数なのですけれども,先ほど松江・出雲が人口で56%ぐらいと言いましたけれど,このファシリテーターで言うと12381足して全体の24%ぐらい,つまり人口が少ないところほどこの資格を取る,講座を受けて資格を取って,自分のクラスだけではなくて人のところへも行ってファシリテートして一般の保護者の方がそういった話合いに参加する,自分を学んだり自分を磨くと,あるいはいろいろな気づきを得る,そういったことにお手伝いしようと,これが社会教育の一つの実行者として大きな力を発揮していただいていると。
 次をお願いします。実際,上の方がそれを使ってどれぐらい研修が行われたのか,コロナで少し減っていますけれどそれまでは非常に大きく行われて,参加人数も多かったと。またコロナが終われば元に戻るのじゃないかと思います。こういった講習を受けた方を中心に,もう我々が手を出さなくても,受講者がこれだけの人数の方が働いて社会教育として次の地域活動,保護者活動,家庭活動に向かって支援していただいているという状況にあります。
 次をお願いします。親学以外にもいろいろな地域づくりのこういったテーマでこういったことをやったらいいというのをプログラムとして大きく,これは非常に元が厚い冊子なのですけれども冊子としてお配りして,これを見て少し勉強すれば誰でもこういった司会ができ,人の意見を引き出し,まとめていくといったことができるように仕組みをしております。
 次をお願いします。そういったことで集団の力を強めると,PTAであったり,地域であったり,これが最終的には地域力につながるのだろうというふうに思っております。
 次をお願いします。あと,社会教育だよりと,今お配りしているのは多分僕のロングインタビューのやつをお配りしております。こういったペーパーベースでやる,あるいはホームページ等で発信もしながら,先ほど言いました市町村支援,しっかり市町村の事務方の方,あるいは公民館の職員の方,こういった者をバックアップするということをやっております。
 次をお願いします。というのが今の話です。
 もう一つお願いします。次はネットワーク化であります。左の方,うちは社会教育主事講習を大きく3つ受けていると,島根大学が最近始まった休日と平日夜間に開催されるので,これは主に個人の方,行政,県でも行政の事務職員が自分から希望して受けていると,地域振興の人間が受けたり,あるいは民間の方が受けていると,そういったコミュニティができています。広島大学講習は夏休みに集中開催ですので,これは教員を県が派遣して受けてもらっている。国社研のB講習,これは県内2か所でやりますので,平日昼間やるので公民館職員が主に受けていると。仕事で行って日帰りができるので受けていると,こういった受講の仕方でそれぞれの一緒に学んだ固まりというのができるわけですけれども,今般といいますか,社会教育士ということで島大が始まったこともありネットワーク化しようと,集団づくりをしようということで,基本的には市町村が非常に広くなったので市町村のふだんの活動があり,広域活動としては教育事務所の管内,これが一つの広域のエリアですのでここのエリア,そして県全体ということで新たに県全体のネットワークを今つくりつつあるということです。
 次のページをお願いします。こういったことで今呼びかけていると。まだ社会教育士を取った方が全員登録しているわけではなくて,まだ活動が本格化していませんので様子見というところもありますけれどもこれをしっかり動かしていこうと,県が中心となって動かしていこうということにしております。
 次のページをお願いします。センターの研修とは別に社会教育課の方で社会教育研修というのを前からやっていまして,ネットワークづくりにも大きく貢献しているものであります。
 次をお願いします。先ほど出しました大交流会を,今予算の要求中でありますがつくとは思いますので実際にやろうと,いろいろな方を,従来の社会教育主事だけでなくいろいろな方を呼んで大きくやろうというふうに今計画をしております。
 次をお願いします。『フォトしまね』という県の広報誌がありまして,全戸配布しています。それに去年,1年前には社会教育士を特集して載せました。
 次のページをお願いします。この見開き2ページです。実際はこの2倍の大きさ,現物をお配りしているかと思いますけれどもこういった地域の方を御紹介して地域づくり,社会活動に非常に貢献されているということを御紹介しています。
 すみません,1個前に戻っていただいていいですか。数字,我々が今把握している部分だけで3年間で186名,大体今年も60名程度,毎年60名程度が養成できているんではないかと思います。教員籍が26,公民館が79等々な感じで,民間の方等々もおられると,こういった様々な方が今社会教育士の称号を取っておられますので非常に昔と違って層の幅が広くなったということで,こういった方を最初のうちにしっかり押さえてネットワーク化しなきゃいけないというふうに思っていまして,来年しっかりやろうというふうに思っています。
 以上です。

【牧野部会長】
 野津さん,どうもありがとうございました。
 島根県は,特に高齢化とそれから人口減少の地域ですけれども,こちらの地域を担っていく人づくりということで,特に公民館が旧小学校区単位にきっちりあるということ,そしてそこが次の世代とのつながりをつくりつつ地域の後継者育成がなされている,更にそことふるさと教育が結びついていく形で公民館を核にした地域づくりがきちんとできているというお話。更にそれを支えるような形で派遣主事制度がきっちりと機能していて,そしてそういう方々の育成のために社会教育研修センターがつくられていて,そちらで人材育成がきちんとなされているということ。更に親学ファシリテーターといいますか,住民の方々をそこに組織していきながら様々な形で地域の学習を展開している,さらには情報発信もしていらっしゃるというお話だったと思います。特に社会教育士のネットワーク化につきましては次の議題とも関わりますので,またそちらでも議論いただければと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,今の御発表に関しまして御質問ですとか御意見等がありましたら,会場の方はネームプレートを立てていただいて,オンラインの方は挙手ボタンを押していただければと思います。お願いいたします。
 それでは,伊藤さんからお願いできますか。お願いいたします。

【伊藤委員】
 小金井市公民館貫井北分館職員の伊藤でございます。
 生活の中に公民館があるというすてきな発表,ありがとうございました。3つほど質問させてください。まず1つ目なのですけれども,公民館の利用に関して,これは有料かどうかということと,公民館の講座を受講するときにその受講料は無料かどうか,こちらが1つ目です。
 2つ目ですが,公民館の職員は全て公務員なのか,その辺をお聞かせください。
 3つ目ですけれど,学校との連携がすばらしいと思ったのですけれども,今コミュニティ・スクールというのが話題になっていると思うのですが,島根はコミュニティ・スクールとして学校との連携のこちらの事業なのか,この3つ,よろしくお願いいたします。

【野津委員】
 すみません,1番目が少し聞き取れなかったのですけれど。

【伊藤委員】
 公民館は無料で使えますか,公民館の講座を受講するときは無料でしょうか,です。

【野津委員】
 公民館の部屋代,公民館主催のときはもちろん無料ですけれど,講習などは実費を頂くことがあると思います。もちろん任意で借りるときは部屋代ぐらいは取られますけれども。職員は,例えば派遣を受け入れていない邑南町は,役場の職員が必ず公民館を経験するのですよ。若いうちに経験して,そこで資格を取って役場の本庁のところへ行ってまた仕事をするといった例もありますし,市町村で,必ずしも正規とは限らないのですけれども,今で言うと会計年度任用職員のような,嘱託さんのような形で雇っている場合もありますし,松江市なんかは公民館運営協議会が人を雇っていると。市がお金を協議会へ出して指定管理のような形,正確には少し分からないですけれど,そこに運営を一切委託して,人もそこで雇っているというようなばらばらです。いろいろな歴史があるので,職員はいろいろです。
 3つ目は何でしたっけ。

【伊藤委員】
 学校との連携はコミュニティ・スクール関連……。

【野津委員】
 コミュニティ・スクールという形でもやっていますけれども,そういった制度の以前から連携を深めてやっていると,ほぼ小学校の隣にある,あるいは敷地内にあるという形が多いので,ああいったふるさと教育などはもともと公民館にコーディネートをお願いするというようなこともありましたし,コーディネーターをやって学校と公民館の間で取り持ってもらうといったこともあります。私自身はコミュニティ・スクールってあまり使わないので,後から取ってつけたような,すみません,教育長としての発言としてはどうかと思いますけれど,ではなくて,地域と一体になって公民館側からも地域側からも学校にアプローチがあるということです。

【伊藤委員】
 ありがとうございました。一応小金井市は無料で公民館を使って無料で受講できるということで,私は業務委託を受けている公民館の職員なのでその辺の御質問をさせていただきました。
 コミュニティ・スクールは来年度,小金井市の公民館でもミッションとなっていますので,その辺をお聞きしました。ありがとうございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 そうしましたら,オンラインで大村さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【大村委員】
 愛知教育大学の大村です。よろしくお願いいたします。
 島根県の取組,どうもありがとうございました。非常に重層的といいますか,地域に根差した重層的なネットワークがつくられているような印象で,非常に興味深くお聞きいたしました。
 質問としては,先ほどお話しいただいた社会教育主事あるいは社会教育士のネットワークと,それから親学ファシリテーター,それから地域魅力化プログラム,こうした方たちとのネットワークというのはどういう形で重なっているのか,組織的なことが何か考えられているのかというのが一つ。
 それから,今お聞きしたのは社会教育士がそれぞれの学習プログラムの担当者とか主催者の養成と関わっていくというのは,一つ大事な提案だろうと思って受け止めたのですが,島根県ではそういった学習プログラムの担当者や主催者を養成するという取組は親学とか,あるいは地域魅力化以外にも行われているのかどうかというのをお聞きしたいと思いました。よろしくお願いいたします。

【野津委員】
 親学のファシリテーターさんなどのネットワークというのは,全体のネットワークはないのですけれども,各市町村で市町村の教育委員会の派遣だったり,市町村任用の社会教育主事の方がしっかり押さえていますので,市町村の中でのいろいろな交流とかそういったものはやっているところもあると思います。組織的にやっているかどうかというのはなかなか難しいかもしれませんけれども,その頭は市町村の方でしっかり取って,全体を取ってコーディネートして今回はこれをお願いしますという親学の回し自体は,今は市町村がやっていますのでそういった全県のものはないですけれども,独りぼっちにはなっていないということです。必ずバックアップがあるということで,横のつながりも若干あるという状況だと思います。
 2つ目が,何でしたっけ。すみません,すぐ忘れる。

【大村委員】
 親学ファシリテーターとか地域魅力化プログラムというような学習プログラムを担う人材を養成されているのだと思うのです。そういうことがほかの分野でも行われているのかどうかというのをお聞きしたかったのです。

【野津委員】
 ほかの分野というのは,社会教育の中のほかの分野という意味でしょうか。

【大村委員】
 それもありますし,そのほかでもあればと。

【野津委員】
 これだけ体系的に複層的にやっているのは恐らくないだろうと思います。社会教育特有の,うちの県らしい特徴だと思います。全然何もやっていないわけではないと思いますけれども,組織のトップから頑張って引っ張ってやっているのは恐らく社会教育だけだと思います。

【大村委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 大村さん,よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 たくさんの手が挙がっておりますので,次に塩田さん,それから関さん,古賀さん,井上さん,そしてオンラインの原さんの順でお願いできればと思います。
 では,塩田さん,お願いいたします。

【塩田委員】
 実際にたくさんの社会教育主事,社会教育士の方々が活躍されているところに感動を覚えました。
 現在,当社では自前で育成という部分に加えて,既にこういう経験を持っている方を採用したり,また自治体のOBの方々にお手伝いいただくというような形で役割発揮を担っていただけるのじゃないかというような検討もしています。そういった中で,これだけ多くの実際に活躍されている社会教育士の皆さんなどのセカンドキャリアみたいなものを何かお考えになっているところがありましたら教えていただきたいのですが。

【野津委員】
 まず,教員は公民館へ,退職したら公民館の館長になる人がたくさんいます。もう唾つけられて引きずり込まれてしまう。公民館職員の方などはセカンドキャリアというか,定年程度まで働かれた後は遊軍として活動に引き続き参加されると,幾つになっても地域活動の頭にはならないけれど応援団になるといった方が多い。

【塩田委員】
 そこで例えば民間の方にというような発想もなくはない。

【野津委員】
 まだそういった需要が島根県の方では寄せられていないといいますか,先ほど一番最後の自前で社会教育士になろうという方もおられるので,経験者を今雇って何かしようというところまでは,そういう文化はまだない状況です。

【塩田委員】
 分かりました。ありがとうございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 続きまして,関さん,お願いいたします。

【関委員】
 関でございます。野津教育長,私にとって非常に懐かしい話をいっぱいしていただいてありがとうございました。
 3点ほど手短に質問いたします。1点目,今,島根県の公民館307館のうち,従来の公民館ではない公民館になっている館がこんなに増えているということに正直驚きました。コミュニティセンターであったり,交流センターであったり,まちづくりセンターである,そういうようなところと公民館の違いは何かあるのかどうか教えてもらえたらと思います。
 それと2点目ですが,派遣の社会教育主事を送り出すときに,地元にもそれと同数の社会教育主事を置かなければならないという条件があるとのことでした。両者の役割分担みたいなものが何かあるのかどうか,そして人事異動で人は替わっていくと思うので,前任者からスムーズに思いが引き継がれていくような文化がおそらくできていると思うのですが,その辺で何か島根県の情報があれば教えてもらえたらと思います。
 そしてもう一点,親学というものをずっと展開してこられました。その中で家庭教育の様々な課題,学校現場でいえばいじめとか不登校もあるかもしれません。そういったものの改善が何らかのエビデンスとして,野津教育長さんが実感してきたものがあるかどうか,その3点を教えていただいて構いませんでしょうか。

【野津委員】
 公民館とコミセンの違いって,公民館的役割の部分はあまり変わらないのです。コミセンの部分は役場の支所的なものが更に追加されているといった感じだと捉えていただければ。先ほども言いましたように合併が進んでいますので,市役所や役場が真ん中にあってもかなり広いので,手続的なことですね,オンラインが進む前の話,高齢者も多いので役場の手続なんかもありますから,支所として単独でつくるのではなくて,公民館に人がいるということで,そういったところで一緒にやっているというケースが,そういうスタートラインが多いと思います。
 社会教育主事の県の派遣と市の役割分担は,県の方は教員なので学校に強い,学校って地域からするとなかなか敷居が高くて,そのときの間を取り持つのは県というよりも教員籍の者が非常に得意ですし,だけれど教員の派遣は市外から来る者もたくさんいますから地元でない,いわゆる異動で回していますのでそうでない者もいますから,地元にしっかり入るのは役場の方が強い。そういったところをお互いに補い合いながら,これまでのキャリアも違いますので,教員としてやってきた人と話すとか,人の話を引き出すという力と,実務的な役場の職員の方の力と,そういったものを合わせて一緒になってやるということであります。
 派遣の頭をちゃんと教育事務所の管理職が,社会教育の管理職が教育事務所管内のところを押さえていますので,継続性というのはしっかりそこにあって,管内の連携性もありますし,もう一つは派遣して市町村にしっかり入ってもらっているので,市町村教育委員会の考え方を尊重しながら,テクニカルなところを補いながら,そういったことで人が替わっても続けていけるようになっております。
 親学は,なかなかエビデンスはないのですけれど,感覚で言うと重大事態,いじめ重大事態といったもの,あるいは学校が荒れるとかそういったものは非常に少ないのだろうというふうに,田舎ということもあるかもしれません,県民性もあるかもしれませんけれど,そういったところは少ないだろうし,学校へのクレームもないわけではないですけれども,よその県に比べたら少ないのだろうというふうには感じています。

【関委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,古賀さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【古賀委員】
 ありがとうございます。
 この後の議事にも関わることと思いますが,社会教育士リストと社会教育士ネットワークについて2点お尋ねです。社会教育士ネットワークについてはリストに登録しておかないと参加できないという立てつけなのかというのが1点。そして,社会教育士リストを作成され,3分の1ぐらいが登録されているということですが,この登録を促すに当たってのインセンティブを設けられているのか,聞かせてください。

【野津委員】
 ネットワークに登録していなくてもいろいろ我々の活動に参加できますけれども,お知らせする手段が個別になかなかないのだろうと,登録していただいていれば確実にいろいろなイベントであるとかの情報をメールなどでお知らせできますので,その伝え方に差が出ると。登録していないから交流会に参加させないとかそういう気は全くないので,むしろそういう方も参加して,それを機会にネットワークに入るといったことをしていただきたいというふうに思っています。そういった意味でまだ大きな活動をしていませんので,様子見ということで3分の1程度だろうと思います。ですので,来年の大交流会はしっかりアピールして登録していない方にも届くようにして,そこでの交流であったり研修であったり,そういったことを通じて登録すればこういった情報が常に入ってくると,それがインセンティブになるというふうに考えています。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 そうしましたら,続きましては,井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。御発表ありがとうございました。島根県の社会教育推進体制については日頃から敬服しているところですし,いろいろな事例ありがとうございました。
 ところで,親学ファシリテーター養成講座なのですけれども,栃木県でも親学習プログラム指導者養成講座というのをやっているのですが,この方々が社会教育士を取得されるとすごい力を発揮されるのじゃないかなと日頃から思っております。そうすることによって,家庭教育支援だけではなく,ほかのまちづくりであったりとか,青少年であったりとか,いろいろな社会教育の視点で活躍されるのかなと思っております。
 そこで,栃木県でも親学習プログラム養成講座で研修された方で課題となっているのは,修了したのはいいけれども市町村の事業につながらない,なかなか活躍できないというようなところがあります。島根県ではたくさんの方を養成していますけれども,市町村の事業につながるように何か工夫されているのか,投げかけされているのか,そこら辺をお聞きしたいと思っています。というのも,社会教育士を取ったはいいけれど活躍できないということを考える一つのヒントになると思うので,何か取り組まれているようでしたら教えていただければと思います。

【野津委員】
 ファシリテーターというのは社会教育士よりも分野が限られていますし,活動自体も少ないといいますか,1つの目的のために大体1種類の親学の会をやるので非常に入りやすいところ,自分も経験があるという体験済みのことであったりを一緒に考えることで,入りやすい分野だろうと思っています。もちろんそういう方々にも次のステップとして社会教育士の御案内とかやっていますけれども,あまりそこから大々的に行くということはあまりない,活動の中身の重い・軽い,多い・少ないがありますのでないのですけれども,こういったファシリテーターの方ってそう負担にならなければ動いていただける予備軍でありますので,市町村の方でしっかりこのメンバーを押さえていますから,そういったところで遊軍的に臨時的にいろいろお手伝いいただく,その中からそちらの新しい市町村の事業の方への核となっていただく,これも育てていくというのが大事だろうと,ここも社会教育の出番だろうと思っています。そういったことがしっかりこういった方々をこの事業にもう少し頑張ってほしいと思うなら,もうほとんど一本釣りのようにして育てていくと,こういったことでつなげていくというのが現実的だろうというふうに思っていますし,現実的にそういうふうに進んでいると承知しています。

【井上委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 次に,オンラインで原さん,お願いできますでしょうか。

【原委員】
 東北学院大学の原でございます。御発表ありがとうございました。
 社会教育士のネットワークのところで御質問です。先ほどのスライドを拝見すると,社会教育士の称号を得られたという文言があるものですから,現社会教育主事で社会教育士ではない方,つまりこの3年よりも前に取られている方などの入会があるのかどうかということと,それから一方で,今は島根大,広島大,それから国社研の講習を受けられた方ということなので,受講の際に県教委を通されているので恐らく名前も把握されているわけですけれども,今後個人で講習を受けられたり,あるいは別のいろいろな形で個人で社会教育士となっていく方々を把握する手立てというか,何かお考えがあれば教えていただければと思います。
 以上です。

【野津委員】
 元社会教育主事はうちの県の非常に大きな戦力でありまして,地域活動をたくさんしていますし,大体押さえていますので,もちろん連絡を取って入ってもらいたいし,引き続き現役で活動を,社会教育士でなくても実際に活動はできるのでたくさんやってもらっています。そういった方を入れないと,逆に会が若く幼くなってしまう。後でまたあるかもしれませんけれど現職の,旧制度の人たちの活用ってとても大事だと思っていて,社会教育士の制度になって,そこからリセットして進むというのは,我々からすると50年ぐらい前に戻るのか,みたいなイメージぐらいの感覚なのでとても大事な人材ですので,これからも一緒にやっていくということであります。
 個人の方,大学在学中に取っていたり,個人でこの3つ以外でほかの大学のところで社会人になってから取られた方は全く把握できていません。県内でこれをやるときには県の大きな事業なので県政広報が使えますので,しっかりそこを使って広報していきたいと。私,前職はそういった部長をやっていましたのでしっかり頼み込んで,県内有資格者の方に広く呼びかけていこうというふうに考えております。

【原委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 少し時間が押してきてしまって気にはなっているのですけれども,野津さん,どうもありがとうございました。
 続きまして,これからまだ2つ大きな議題がありますので,次に移りたいと思います。一つは社会教育人材のネットワーク化について,文部科学省総合政策局生涯学習推進課の課長の石橋さんから御報告をお願いいたします。
 よろしくお願いします。

【石橋生涯学習推進課長】
 ありがとうございます。資料3を御覧いただければと思います。
 まず,1ページ目でございます。社会教育人材のネットワーク化について,これまでの議論を少し振り返らせていただきたいと思っております。まず,人材部会の中間的なまとめでも取り上げていただいておりますとおり,社会教育士のネットワーク化等により活躍機会の拡大を図るということは第11期の生涯学習分科会の議論の整理でもございまして,今回の中間的まとめの検討事項の中にも,今年度実施する社会教育士及び社会教育主事を主たる対象とした試験的なネットワークの運用を通じて,いろいろな課題を特定する等をやってみてほしいというようなことを書いていただいたところでございます。
 次のページをお願いいたします。これに至るまでにも様々な御意見を頂いてきておりまして,少し御紹介させていただきます。
 まず,教育養成課程それから教育機関と受講者との関係というところで修了者のネットワークというところは,継続学習とか次年度の受講者へのサポート,また交流の場など様々な効果があるという点。
 それから2つ目,社会教育士のネットワークというところでは,社会教育士の皆様は1回取ったら終わりということではなくて,その後に能力を向上させていくということが必要になりますので,これにもネットワークが役立つのではないかということ。
 それから,1人ではできないということもこの社会教育の世界にはたくさんございますので,みんなでやる,そのためのネットワークということも大事だという御指摘を頂いております。
 それから,今も議論が様々ございましたけれども,いろいろな方々が社会教育士として活動されておりますので,その横のつながりをつくっていくことも大事であるということでございます。
 次のページをお願いいたします。次のページは,ネットワークの地域性をどのように考えていくかということでございます。一緒に講習を受講した方々というところ,それから地域の中というところでネットワークに意味があるのではないかということと,継続的な学習機会の確保というのは,これはもういろいろな形で言われているところでございます。
 あと,一例として日本社会福祉士会のeラーニング講座とネットワークの関係,福祉の分野とのネットワークも大事ではないかという御指摘を頂いております。
 それから,ネットワークが社会教育主事や社会教育士同士にとどまらない視点も必要ということで,先ほども自治体との関係が出ていましたけれども自治体との連携の方向性,それから防災という,今回も大きな災害の中で社会教育の出番というのは,先ほど牧野部会長からおっしゃっていただきましたけれども,そういう観点も大事かと思っております。
 次のページをお願いいたします。生涯学習推進課の方で実施案,ネットワークの試行というものを,実は昨年の夏から今年度末ということでやってまいりました。皆さんも御案内かもしれませんがSlackというツールで約100名の方を御招待する形で,その中でやり取りをしていただくというようなことをやってまいりました。実際その中でネットワークの参加者からヒアリングということをやってまいりましたけれども,幾つかのやり取りはあるけれども盛り上げをどうしていくかというのはなかなか難しい,全国的なので難しいというのも感じた部分でございまして,そういうことも踏まえながら,今日,どういうことをこれからしていくかということでお話をさせていただきたいと思っております。
 次のページをお願いいたします。実際Slackに入っていただいた方々からお話をいろいろ聞かせていただいた感じではございますけれども,それぞれの分野に関心のある方たちがいらっしゃるので学び合うことは大事である。それから,先ほどコミュニティ・スクールの話も出ましたけれども,そういう関係,学校と地域の連携のようなところで議論できる,またつながれるということそもそもがすばらしいというお話も頂いております。
 そしてほかの方々の実践を知るということで,自分のところにないことでどういうことをやればいいのかということであったりとか,実際活動されている方々の情報を聞きたいというお声も頂いております。
 次のスライドをお願いいたします。また,社会教育士の方々は恐らくいろいろなバックグラウンドで社会教育士の資格をお取りくださっているわけですから,バックグラウンドが興味深いというお話も,これは当然かと思います,そのようなお話も頂いておりまして,相互の刺激にもなる,そして経験のある方とない方と両方いらっしゃる中でどうつながっていくのか,居心地のいいつながりをどうつくるのかということ,そして誰かが頑張っていると自分のモチベーションになると,これも当然のところかと思いますがそういうお声も頂いておりまして,あとはオンラインと対面では対面も大事ということを頂いております。
 そして,これも御自分の周りにどういう方がいらっしゃるのかなということ,そして緩やかにつながるということが大事というお話を頂いております。
 それから,次のページでございます。その他ということで自治体の単位,いろいろなチャンネルというようなところを頂いているところでございます。
 参考ではオンラインの難しさということで,ネットワーク化がやはり難しかったですということも頂いておりますので,これから対面,ネットワークというのもキーワードになってくるかなと思っております。
 次のページでございます。実際この部会の中,それからほかのところからもネットワークについては御意見を賜っておりまして,例えば日本青年会議所の調査報告書の中でも,社会教育士の方々がどこにいらっしゃるかということを把握していくことが大事であるということ,それから,島根県は今物すごい人から御発表いただきましたけれども,いろいろとこれまでも御意見いただいたことを入れさせていただいております。
 それから,大東文化大学の修了生の活動としてのネットワークというようなところ,それから,愛知県でもお取組をしていただいているところも御紹介させていただいたところでございます。
 次のページをお願いいたします。機能の分類ということで,社会教育人材部会第1回のときのネットワークのつくり方ということで整理したものを御紹介させていただきます。
 まず,想定される機能ということで左側の列を御覧いただければと思います。有用な情報が提供される,ほかの方々に協力を求められる,緩やかにつながれる,経験交流ができる,個別のものに対して協力を依頼できる,そしてまたこれも経験交流ができると,こういうことを考えていきますと,全国規模,地域単位,同窓会型,オンラインというようなところで,いろいろなレベル感によってうまく使えるところ,使えないところというのが出てくるのかなと思っておりまして,研修情報であったり,県をまたぐようなところであれば全国規模でございましょうし,地域ごとのつながりを大事にするということでいえば地域単位のところ,そして同じところで学んだ方々が同窓会型につながるというようなところ,そしてまたオンラインというようなところが考えられるのではないかなと思っております。
 次のページに行っていただきまして,今後の方向性ということでイメージ案を示させていただいております。全国規模のものに関しましては国,また国立教育政策研究所の社会教育実践研究センターを中心として,特に社会教育主事が集まれる場がございますので,こういうところのネットワークというのは今後整理できるのではないか。そしてまたセンターの方では資質向上の機会も提供していくということで,具体的には,講義というよりはそれぞれ参加者同士が自発的にネットワークを形成する機会などの提供もしていけないかということで,1つ目の全国規模のところに書かせていただいております。
 2つ目は地域単位ということで,これは先ほどの島根県さんの例が一番分かりやすいのではないかと思うのですけれども,ああいう形で域内の社会教育士に関する情報が把握できていくといいのかなと。
 そして3つ目は,それぞれの大学や教育機関に受講生が入ってくださいますので,その中で同窓会型のネットワークが進んでいくように,こういう講習を提供していただいている大学・教育機関に働きかけていくことができないかということで,この3点でまとめさせていただきました。先生方の御意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 今日の大きな課題でもありますけれども,社会教育人材の継続的な研修の在り方というところとネットワーク化といったことが大きく関わっておりますので,過去,ほぼ今年度1年間ですけれどもSlackを使って100名限定ということでネットワークを形成し,相互交流の試みをしてきたということで,その御報告に基づいて,今後どのような形でのネットワーク形成が可能なのか,できそうなのか,そんなお話があったかと思います。
 特に自主的に交流していくといいましても,基本的には社会教育士また社会教育主事をコーディネートしていったりファシリテートする方がどうしても必要ではないか,どこが事務局的な機能を担っていくのかといったことも含めて,まだこれから大きな課題があるのではないかという議論にもなっているかと思います。先ほどの島根県の事例もありますので,これから少しの時間ですけれどもネットワーク化について御意見等をいただければと思います。御質問又は御意見,どちらかといえば質問よりは御意見が有り難いと思いますけれども,こうしたらどうかという御提案がありましたら是非お出しいただければと思います。いかがでしょうか。またネームプレートを立てていただくか,挙手ボタンを押していただければと思います。
 それでは,関さん,お願いいたします。

【関委員】
 関でございます。
 私もSlackのメンバーに加わらせていただいています。多様な分野の人が集まっていることを本当に感じました。その中には,昔つながりがあった人が,今は社会教育士になっているみたいな,そういう素朴な発見もあり,関係性の有り難さを感じています。その中で思っているのは,おそらく参加されている方は色々な思いを持っていて,多分悩みも抱えていると思うので,もっと対話があって,それぞれが意見を交換できる機会が増えれば,存在意義が高まると思います。でも,リモートだけでは何か物足りない気がします。隔靴掻痒(かっかそうよう)というか,靴の上から足をかくようなじれったいイメージを持ったような気がします。ここにお集まりの皆さん同じような悩みを抱えていろいろ日頃活動しておられると思うので,そういったものをここに打ち明けたら,みんなでいろいろな話がそこで生まれていくような,そういう場面がたくさんできたらいいなというのが思いです。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では,山本さん,お願いいたします。

【山本委員】
 東神楽の山本ございます。
 うちも今回の社会教育士,社会教育主事講習なんかを受けさせているのですけれども,ある種職員の研修みたいな部分で受けさせているのもあって,必ずしも受けた職員が社会教育主事を受けるわけではないケースがあるなと思っています。そうしたときに,OBの方が結果としてはまちづくりに様々な面で活躍するというのが実は結構多くて,例えば社会教育主事というか,社会教育系の仕事を踏み台にしながら,基礎にしながら別の仕事をするというケースが行政の中では結構あると思っていて,逆に言ったらOBというか,もともと社会教育を担当したりやったのだけれども,それが結果としてこういうことができたのだよというようなことのネットワーク化みたいのがあると,もしかすると例えばコミュニティ活動だったりとか,あるいは地域自治みたいなものに有効なるんではないかなという気もしているので,その狭いところにとらわれるのではなくてOB的な部分,あるいはもう少し広い範囲の行政全般に関わるような部分の何かサジェスチョンのようなものがあったらいいなと思っておりますので,是非そういった部分も少し期待したいなと思っています。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。社会教育士だけのネットワークではなくて,ということですね,ありがとうございます。
 続きまして,古賀さんと倉持さん,それから井上さん,志々田さんの手が挙がっておりますので,まずこの4名の方にお願いしたいと思います。
 先に古賀さん,お願いできますでしょうか。

【古賀委員】
 先ほど石橋さんに御説明いただいた資料の最後のところ,今後の方向性のイメージについての意見です。
 私がずっと気掛かりに思っているのが,市区町村行政における主体性や政策での位置づけです。資料の最後,2の地域単位のネットワークについては恐らくかなり凸凹,進捗がまちまちになるかなと思っています。ひとまず今回,私も文科省の試行Slackに入っている中で,やり取りの難しさはあれども熱量がすごく高い方々ばかりで,恐らく何か外的刺激を与えるとおのずと活発にやり取りされたり,時には対面で集まるといった派生効果が出てくると期待されます。故に,1の全国規模のネットワークをある意味打ち上げ花火的にしっかり立ち上げていただいて,そこで島根県さんや北海道さんといった,各地域単位のネットワークの動きも共有いただけたらと思います。
 加えて,それこそ防災だったり,異分野・異業種のキーパーソンのお話を全国規模のところで全国だから聞けるという話題提供の機会を設けていただきつつ,2のところに好影響や刺激を与えるみたいな流れになっていけばいいなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。このネットワークが社会教育士,また主事の方々の人生に関わるというか,キャリアに関わってくるような展開の仕方になっていくといいなという話だと思います。どうもありがとうございます。
 では,倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 ありがとうございました。
 私からは,一つは,御説明では主事講習の修了者が中心だったと思うのですけれども,養成校で資格,称号を取得した学生たちもこれから多く輩出される中で,養成課程修了した社会教育士がどのようにネットワークに参加・参画していくのかということについて,今の段階では少し見えづらいなと思いました。若い世代が社会教育を学び,そして称号を得て,それを基にいろいろとキャリアを構築していこうというプロセスと,既に活動している方たちが改めて称号を取るということとの間のつなぎ目ということもしっかりつくっていかないと,持続的に社会教育士という称号を魅力あるかつ有効性のあるものにしていくというのは難しくなってくるのではないかと思いますので,その辺りの部分のネットワークということとの関わり合いも少し検討する必要があるかと思いました。
 それから,頂いた資料の10ページのところが図示化,表にされていて分かりやすかったのですけれども,右側のところは全体的に三角が多いですね。いろいろな選択肢があるよという意味でオンラインによる交流が適す・適さないみたいな部分があえて緩やかにつくられているのじゃないかと思うのですけれども,ネットワークを立ち上げるときのエネルギーはすごくあると思うのですが,継続的かつ有効性のある双方向のネットワークにするためには,まちをつくったり,新しいキャリアをつくったり,活動をつくったり,支え合ったり,いろいろな機能を持続的なものにしていくためには,オンラインの強みや弱み,関係性構築との関係など,イメージが見えてくるといいのかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。特に養成校との関わりで,ここにある同窓会型のものと,より広域のものをどうつなげていくのかということですとか,これからオンラインが主流になっていくということもあり得ますけれども,そこでの関わりの在り方をどうするかといったことも課題になるのではないか,そういう御指摘だったと思います。
 そうしたら,井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 よろしくお願いいたします。井上でございます。
 今説明いただいて,特にネットワークの3つの形態,これは本当に私も頭が整理されまして,そういうネットワークが多面的に築かれて,それぞれが機能していくことでネットワークが築けていくのかなと思いました。
 今現状を見てみて,教育主事有資格者のネットワークづくりはどこがやっているかというと,栃木県で見ると教育事務所が中心になっているのです。栃木県には7つの事務所があって,合計で26人の社会教育主事がいるのですが,その社会教育主事が有資格者をつなげて研修の機会や交流の機会をつくっているというようなことになります。そうなると,ネットワークをつくるコーディネーター的な役割は都道府県の行政が担うのが一番効率的なのかなとは思うのですけれども,ただ誰が社会教育主事かという情報が得られないので,それを得られる仕組みさえあれば,そういう教育事務所であったり,県域の中でのつながりづくりができると,この2番の地域単位のネットワークが十分にできると思いますし,先ほどの家庭教育支援者のネットワークではないですけれども,市町村行政にいかにその情報を伝えるかということが一番必要だと思います。それがないと本当に絵に描いた餅になってしまいますので,そのためにも誰が取ったか,誰が称号を持っているのかという情報を都道府県が得られる,若しくは市町村が得られるシステムをつくり上げていく必要があるのかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。社会教育主事,都道府県の社会教育主事の新しい役割としてネットワークのある種コーディネーターといいますか,また事務局的な役割を担うこともこれからあるのではないか,必要ではないか。ただそのときに誰が社会教育士を取られたのか,有資格者なのかといったことの情報がないとうまく組織化できないだろうということ。もともと,この社会教育士という称号は,社会教育主事講習又は養成課程を誰が修了したのかが分からないので,見える化するためにという面もありましたので,是非ともこれの活用の在り方の議論ができればと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,あとオンラインで原さんが入っていらっしゃいますけれど,先に志々田さん,一言お願いできますでしょうか。

【国立教育政策研究所(志々田)】
 失礼します。
 国の規模,それから都道府県,市町村の規模,それから学校の同窓会とか養成機関の規模というように分けてネットワークを考えていくというのは,非常に整理できると思ってお聞きしていました。
 こういうネットワークを考えると,名簿があって,リストがあってというのが本当にネットワークかというとそうではなく,そこでブラッシュアップであったりアップデートであったりという研修の機会があるという,それは国がもしその機会をつくる,私が所属している国立教育政策研究所の社会教育実践研究センターがするとすれば研修という形でやって,どんな研修をすればいいのかということを考えていくだろうし,それから都道府県についても,多分それぞれの社会教育課の方たちが県の中の社会教育をどう進めていくのかということに対して同じ社会教育主事たちに情報提供していく,情報を流していくという,トップダウンとまでは言いませんが,そういう機能も必要だと思って,それも大事に考えていかないといけないと思っています。
 ただもう一方で,ボトムアップというかどうかは分かりませんが,社会教育主事が現場で思っている課題であるとか,それから新しく見えてきている地域の社会教育の状況であるとか,それから国とか都道府県の社会教育行政に対してもっとこういうことが大事なのではないかという提言ができていくような,意見を上げていくようなものもこのネットワークの中には両方入っていて,この2つの機能がきちんとしていないと,言うことを聞かせるための道具になっていたり,結局研修させられているだけでやらされ感ばかりのリスト,○○バンクと変わらないようなネットワークになっていってしまうのはもったいないなと思ったので,一言申し上げさせていただきました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。このネットワークですけれども,基本的にはお互い双方向性といいますか,上から情報を出すだけではなくて,またやらせるというようなことにならないように,むしろボトムアップで皆さんが情報を共有しながらお互いの働き方を考えていく,それで地域社会のいろいろな課題を共有しつつ社会のあるべき姿を考えて議論していけるような,そういう場所になるといいということです。そういう形で組織ができれば,そのときにどうしてもコーディネーター役ですとかファシリテーターが重要になってきますので,社会教育士はそういうことを学んでいらっしゃる方々なのですけれども,事務局的な機能をどうするかといったことも問われるだろうと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,あとオンラインで原さんと大村さんの手が挙がっていらっしゃいますので,ここまでで締め切らせていただいて次へ移りたいと思います。
 先に原さんからお願いできますでしょうか。

【原委員】
 原です。
 今回は社会教育人材のネットワークということで,ネットワークをつくることに目が行きがちなのですけれども,何でネットワークをつくらないといけないのかというところを考えていく必要があると思います。ここに関わる,あるいは関わるであろう方々がどういう狙いというか,どういう意図を思っているのかというと,例えば加わることで新しい発見をしたりだとか,あるいは日頃考えていることが自分だけの問題なのかということについて,そこに関わることで何か共感できるだとか,あるいは共有できるだとか,それから先ほどキャリアアップの話がありましたけれども,いろいろな意味で課題を抱えていることがここに加わることで少しでも明るい兆しが見えてくるとか,解決に向かうとか,何かそういったことでこのネットワークを動かすとか,あるいはその中の機能として持っていないと,つくってメンバーが入りましたというだけでなく,そこで何が行われているのかというようなところをきちんと詰めておかないと,形だけつくってという話になってしまうとまずいなと思っています。
 そういう意味でいうと,例えばきちんと情報を流したり,あるいはアップデートしたり,それから情報を見るだけ,あるいは聞くだけでは解決できないという面は何らかの形で交流というか,オンラインでもあるでしょうし,あるいはリアルな面でもあるかと思いますけれども,情報を流すだとか交流とか,様々なネットワークの機能的なことを一方で考えていかないと,それぞれの狙いがつながっていかないのではないかなというように思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。ネットワークをなぜつくる必要があるのかということを確認しながらやる必要があるのではないかということなのですが,一言,石橋さんの方からいかがですか。Slackの運用などをされて,参加されている方々の参加の目的ですとか,少し分かりましたら簡単に御紹介いただけますでしょうか。

【石橋生涯学習推進課長】
 ありがとうございます。
 今まさに原先生がおっしゃってくださったように意図というのはすごく大事で,何の目的で集まっているのかというところがあると思うのですが,今回Slackに入ってくださった方々は,先ほど古賀委員からもありましたけれど熱量が高い方々の集まりだったので,あまり意図を確認し過ぎなくてもそれぞれのやり取りというのはあったのかなというように思っております。
 ただ,意図としてはいろいろな方々とつながって,具体的に自分が困っていることを相談したかったりとか,あとほかのところではどういうことをやってこれを解決しているのかとか,イベントをやろうと思うのだけれどもどういう協力を得られるのかとか,非常に実践というか,御自分が目の前に抱えていらっしゃることをよりよくするための思いというのはおありだったかなと思うので,恐らくこういうネットワークは,まずはすぐ実践につながるようなところで誰かの協力を得られるとか,いい知見を得られるとか,そういうところを大事にすると動き出していくのかなと思いまして,それが逆に全国規模だったのが少しやりづらい部分というように,私が冒頭申し上げたことにつながったのかなと思っております。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。また続けて御議論いただければと思います。
 では,最後に大村さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【大村委員】
 大村です。
 ネットワークがどういう形でつくられるのか,何を目的とするのかというところが大事かなと僕も思いました。基本的には,私たち愛知県では,愛知教育大学と愛知県の生涯学習推進センターが協働して取り組んでいこうということでこの2年ほど取り組んできているのですけれども,そこでは実践交流ということが柱になるべきだと思っていて,お互いの実践から学び合うということが中心に据わるべきだと思っているということが一つです。
 それから,ネットワークの全国,地域,同窓会という分け方は分かりやすいのですけれども,大学,養成校の立場でいくと同窓会型というのは非常につくりやすいというか,自然発生的にできるのですけれども,数年で下火になるのです。したがって,それが持続可能なというか継続的な取組にするには,2番目の地域単位のネットワークとリンクしないと駄目だと思っています。そういうこともあって,今県との連携を強めようとしているのですけれども,養成校としてもただ研修すればいいというわけではなくて,そのことが自治体の,あるいは都道府県の社会教育に責任を持つ大学としての役割ということがもっと自覚されるべきだと思いますし,研修や講習だけではなくて,日常的に地域と関わっていく大学の在り方ということを考えていくためにもこの23を連携していく,リンクしていくということの視点が必要だと思いました。
 それから,3点目です。先ほどの島根の取組で親学ということが出てきましたけれども,私たちのところでも親学というか,PTAの改革の問題が講習の中でかなり議論されたところがあるのです。ほかにも子供の権利,子供の参加の問題であるとかコミュニティ・スクールづくりとか,今,社会教育主事や社会教育士の方が中心的に関わっているテーマというものが幾つかあるかと思っていて,そうした部会のようなものが地域単位のネットワークの中でつくられてくる中で,そうすると社会教育士,社会教育主事を超えてその関係の人たちと結びつくといった広がりも出てくるし,また先ほど御発言がありましたが提言といいますか,もっと社会に対して発信していく機能も持てるのじゃないかと思っていまして,そうしたネットワークの中のテーマに即した組織体制というものも検討していくといいのかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。ネットワークの在り方,特に同窓会型のものはつくりやすいのだけれども下火になりやすいと,その意味で都道府県又は地方単位の,地域単位のものと連携を取っていく,そこで社会教育主事が例えばコーディネーター役で担っていくとか,そんなこともあるだろうと。
 また大学の在り方にかかわって,さらにはそこから様々な社会的な課題と結びつけていきながら発信力を高めていく,そして社会全体に対して責任を負える大学,又は責任を負える社会教育の実践という方に展開できるのではないか,という積極的な御発言だったと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,こちらのネットワークの問題に関しましてはここまでとさせていただきまして,次に,最後になりますけれども,そろそろこちらの部会の方も最後の最終まとめに取りかかる時期に入ってまいりました。そこで,今日骨子案が出てまいりましたので,地域学習推進課の課長の高木さんから御説明いただいて,この中にも先ほどから御議論いただいているネットワークの問題ですとか,社会教育士,社会教育主事の養成の問題が入ってきますので,またそちらで少し御議論いただければと思います。
 それでは,高木さん,お願いいたします。

【高木地域学習推進課長】
 失礼いたします。資料4でございます。地域学習推進課長,高木でございます。
 今回,部会長,副部会長に御相談の上で,この骨子案を事務局の方で整理させていただきました。次回以降も議論いただくお時間はあると思いますので,全体の最終まとめの構成と,8月にまとめていただきました中間的まとめとの相違点を中心に御説明できればなと思っているところでございます。
 まず,1ポツとして「はじめに」という形で書かせていただいているところでございます。中間的まとめのときは「第11期の生涯学習分科会での議論等との関係」としていたところについて,ほぼ同じような内容ですけれども,1ポツの「はじめに」という形で整理させていただいているところでございます。
 (1)としまして「「社会教育士」創設までの主な議論」ということで,中間的まとめでは平成302月の社会教育主事講習等規程の改正のところまで記載させていただきました。その後,実際の施行は令和2年度からだったんですけれども,平成3012月に中教審から答申いただいておりまして,その中で社会教育主事は「学びのオーガナイザー」といった言葉が入ってきておりますので,その辺まで中間的まとめに加えまして追記させていただいているところでございます。
 そのあと,(2)が第11期の生涯学習分科会における議論の整理,令和48月のこと,(3)が今後の生涯学習・社会教育の振興方策というこことで令和53月にまとめたものでございまして,ここについては中間的まとめとほぼ同じ内容なのかなと思っているところでございます。
 こういった流れを受けまして,(4)としまして「社会教育人材部会の設置経緯,目的,最終まとめの位置づけ」ということを書かせていただいております。
 2ページへ行きまして上から2つ目の丸,この最終まとめの構成を書かせていただいているところでございます。この2行でございますけれども,まず,「社会教育人材を取り巻く状況と果たすべき役割への期待」といったもので,これは2ページのそのあとの2ポツのところでそういったことをまず整理すると。その上で,「社会教育人材の養成について」として3ポツとして2ページの後段の方から書かせていただきまして,「社会教育人材の活躍促進について」,こちらは4ページ以降なのですけれどもそういったことの在り方を整理すると。それぞれ2ポツ,3ポツの中で今後の施策の方向性を示していただいた上で,具体的な改善方策を記述するといった形の構成をしているところでございます。
 2ポツ目が「社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割への期待」といったところでございます。中間的まとめで,まとめいただいたことを書かせていただいているところでございます。社会教育の裾野が拡大している中で,社会教育の専門性を有する社会教育人材の果たす役割が大きいのかなと。しかしながら,一方で社会教育主事の配置率は5割に満たないといった現状を踏まえまして,社会教育人材をハブにした人づくり,つながりづくり,地域づくりを実現するためには,社会教育人材の質的な向上・量的な拡大を極めて重要であるといった形でございます。
 そういった社会教育人材につきまして,(2)で社会教育主事・社会教育士のそれぞれの役割・期待を書かせていただいた上で,(3)はそういった社会教育人材の確保が必要ですよねといった必要性をまとめるといった形で,「社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材の果たす役割への期待」ということで2ポツをまとめさせていただいています。
 大きなこういう方向性,現状を踏まえた施策としてやっていかなければいけないことを書かせていただいた上で,具体的にまず「社会教育人材の養成について」で3ポツでございます。その施策の方向性としまして,まず「(1)社会教育人材に求められる能力・知見」ということで,そういったものは社会の様々な分野で活用し得る汎用性の高いものであると。2ポツの(1)で示させていただいたような社会教育の裾野の広がりに応じてニーズが非常に広がっているといったことを踏まえまして,受講者自身のニーズに応じて学習内容等を選択し得るような環境の整備・拡充が重要であるといったことで,3ページの方に行きまして,各教育機関等の多様性を前提としつつも,必要となるようなコーディネート能力,ファシリテーション能力,プレゼンテーション能力など,様々な活動において汎用的に活用し得る能力の取得が求められるのではないかと。それに加えまして,そういったことだけではなくて,社会教育行政に関する基本的な知識を一定程度学習することも必要ではないかといったこと。
 更にそういった状況を踏まえまして,「(2)社会教育人材の養成の在り方」ということでございます。あくまで主事講習・養成課程というのは社会教育人材のエントリー条件だということで,様々な実務経験を積むに当たっての基本的な能力・知見等を身につけること,まずはそういったことが基本となると。ただそれだけではなくて,社会教育主事への任用に当たっては,段階的な人材育成を経て任用していくということが望ましい方向の一つではないかと。講習修了後においても資質の向上を図り,活躍を促進していくということも必要であるという形にしております。
 (3)からは具体的な方策でございます。こちらも中間的まとめとほぼ同じような内容を続けさせていただいているのですけれども,アとしまして「社会教育主事の定員拡大」。 イとして「多様で特色のある受講形態の促進等による受講者の選択肢の拡大」ということで3つ,「受講形態の多様化」,「柔軟な履修方法による選択肢の拡大」,「講習科目の提供方法の弾力化」ということを書いておりまして,「受講形態の多様化」になりますと講義のオンライン化とかオンデマンド化と,リアルとのベストミックス,夜間や休日の活用などニーズに応じた受講形態のさらなる確保が望まれるといったことであります。
 3つ目のポツの方が中間的まとめから一歩踏み出して追記させていただいているのですけれども,「オンラインやオンデマンドでの取組を促進しつつ,社会教育主事講習の質の担保を図るため,4科目それぞれにおいてオンライン・オンデマンドの特色を生かした講習ができるよう,科目の取扱いの整理を進める」といったことで,ヒアリング等を受けましてそういった文言を追記させていただいているところでございます。
 「柔軟な履修方法による選択肢の拡大」につきましては,1つ目のポツでございますけれども,「分割履修を推進するため,講習の受講記録の保存期間について,講習実施機関の実情も踏まえ,5年以上とする予定」ということで,中間的まとめよりもしっかり年数ということを書く必要があるのかなということで「5年以上とする予定」といった文言を足しております。
 また,その下のポツでございますけれども,「分割履修に当たっては,受講者に単位取得証明書の取得を促していくことも必要」ということも追記させていただいているところでございます。
 「講習科目の提供方法の弾力化」につきましては,大学等の判断によりまして1から4科目の開設も可能とする予定といったところでありますとか,次のポツでございますけれども,国の委託費を活用しないで実施する講習については,最大5年間の開講をあらかじめ認めるとともに,受講料の徴収を認める予定といったことで,中間的まとめとほぼ同じような文言ですけれども書かせていただいているところでございます。
 4ページに行きまして,ウ,「社会教育主事養成課程における取組」です。養成課程におきましても取りやすくしていきましょうといった話が書かれているところでございます。
 エが「講習等の質の更なる向上に向けた各機関の取組の共有」ということで,2つ目のポツの方が中間的まとめよりも書かせていただいておりまして,「意見交換の場については,講習実施機関を対象に令和61月に実施」ということで,講習実施機関との意見交換を昨日我々も実施させていただきまして,「デジタル化の進展を踏まえた社会教育主事講習に関する取組を共有」したところでございます。「今後も定期的に開催することが重要であり,希望する社会教育主事養成課程を有する大学にも対象を広げることも検討することが必要」ということで,新たにここを追記させていただいているところでございます。
 オが「社会教育主事講習の受講資格の明確化」ということで,社会教育団体における活動経験とか海外大学の履修などについて書かせていただいているところでございます。
 カが「社会教育に関する民間資格等取得者の一部科目代替」で,こちらも民間でやられている研修内容等を拝見させていただいて,受講すべき科目の一部免除についての基準の整備を進めることが必要ということまで書かせていただいているところでございます。
 4ポツが「社会教育人材の活躍促進について」ということで,こらちは,中間的なまとめでは今後の検討事項に書かせていただいているところでございます。ですので,根っこは書かせていただいているのですけれど,大分追記させていただいているところかなと思っています。ただ,柱としては大きく変えているところはないのかなと思っているところでございます。
 施策の方向性としては(1)から(3)まで3つ提示しているところでございます。社会教育人材の活躍場面を拡大する必要があるということが(1),(2)が社会教育人材のネットワーク化が必要ではないか,(3)が継続的な学修機会の確保が必要ではないかといったことを整理させていただいた上で,(4)具体的な改善方策ということで,アからキまで書かせていただいているところでございます。
 アが「社会教育士の活躍機会の収集やロールモデルの提示」といったことで,そういったことを収集して周知していきましょうといったことを書かせていただいていまして,3つ目のポツでございますけれども,収集した社会教育士の活躍事例の分析等によりまして,「主な活躍の場がイメージできるように社会教育士の活躍する具体的な姿を広く周知するとともに,特に活躍が期待される場を明示していくことが望まれる」といったことを書かせていただいています。
 イが「社会教育士の認知度向上やその有用性の周知,活躍場所の確保」ということで,社研の方でアンケート調査をしていただいたところによりますと,県教委,市教委の中でも社会教育士についての認識というのは若干想定よりも弱かったのかなと思っているところでございます。ですので,そういった周知をしっかり,2ポツでございますけれども,「教育委員会における社会教育士の活用に関する理解を深めるため,社会教育士の活用に関する具体的な事例を収集・周知するとともに,個別のアドバイスを含め,社会教育士の有用性を周知し,活用を促進することが必要」ではないかと。
 3つ目のポツでございます。「公民館などの社会教育施設への社会教育士の積極的な配置促進」でありますとか,「指定管理者における社会教育士の称号を持つ職員の配置促進」なども考えられると。県教委,市教委だけ,教育委員会に対してだけではなくて,「国民全体にも,その有用性を含め,認知度の更なる向上を図る必要」があるということでございます。
 ウが「社会教育人材のネットワーク化」ということで,今御議論いただいたところでございますので,こちらは割愛させていただきます。
 6ページに行きまして,「旧制度における受講者の社会教育士の称号取得の促進」といったところでございます。令和2年度から実施している新課程というのは,「コーディネート能力,ファシリテーション能力,プレゼンテーション能力を重視する」ということでございますので,こちらの3つの能力に関しましては,旧制度の方はそういったことを履修されてきておりませんので,そちらについても確実に育成していく必要があるのかなと考えているところでございます。令和2年度の改正の大きな柱なのかなと思っているところでございます。
 一部指定科目の受講については,受講に伴う費用や時間の負担が新たに生じると,それは重々認識しているところでございますけれども,こういった科目を新たに履修していただくということは「これまでの現場での実践を見つめ直す機会になるなど,受講者の資質・能力の向上に寄与」するのではないかなと考えております。
 そういった方々が履修しやすいように,「現行の一部指定科目の受講を引き続き求めるものの,オンラインとかオンデマンドの特色を生かした講習ができるよう科目の整理を進めるなど,旧制度の受講者が更に受講しやすい環境を整備すること等により,一部指定科目の受講を促進する方策」についても進めていくことが必要という形でまとめているところでございます。
 オが「修了証書の在り方」ということで,称号が付与された旨を明確にする必要があると。養成課程におきましても,開設機関に対し,修了証書の発行に協力を求めることが必要であると。
 修了証書をデジタルで発行することについては,さらなる具体的な調査検討を進める必要があるという形でまとめさせていただいているところでございます。
 カが「社会教育主事の配置促進」ということで,首長部局の御理解が必要なのかなと思っているところでございますので,社会教育主事の役割を明確化するとともに,自治体への訪問などプッシュ型の取組を含め,重要性について周知徹底を図っていく必要があるということでありますとか,計画的な人材育成を図るため,発令予定者の主事講習の受講枠の確保を図るということが必要ではないかと,発令予定者が受講しやすいような講習の開講促進や定員増加が必要ではないかといったところでございます。
 キが「継続的な学習機会の確保等」ということで,あくまでエントリー資格でございますので引き続き資質向上を図っていただく必要があるのではないかということで,文部科学省が実施する都道府県の社教主事を対象とした研修については,ものによっては市町村の社教主事にも有用なものもありますので,市町村の社教主事も参加することが可能にするなど,適切な役割分担の下で実施していくことが必要ということです。また,社教主事以外にも有用なものもありますので,オンデマンドで発信することによって広く公開することを原則とすべきではないかといったことと,あと,今出ておりましたけれども社会教育人材ネットワークの活用によって,地方公共団体が行う研修についても,地方公共団体の理解や協力が大前提になるのですけれども,広くオンデマンド配信等が望まれるといったことでありましたり,学習の成果を容易に示すことができることにつながるのではないかというデジタルバッジについても,具体的な調査検討を進めるべきといったところでございます。
 最後に5ポツとして「おわりに」ということで,最終まとめを受けて今後の施策の在り方について記載するのかなと思っているところでございます。
 以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 これから,今日だけではなくてあと数回ですけれども,最終まとめに向けて皆さんで御議論いただきたいと思います。
 まず,今日は骨子案ということで,1ポツの「はじめに」と,それから2ポツの取り巻く状況と果たすべき役割への期待ということは,基本的には前回,8月に皆さんに御議論いただいた中間的まとめに書かれてあることを,もう一度ここに載せて確認するということになっているかと思います。
 さらに,新しく今回の最終まとめの方ですけれども,3の社会教育人材の養成についてということで,前回,中間的まとめの方も養成については議論していただいたのですけれども,少しいろいろと踏み込んだ記述も出てきておりますので,そちらについて御検討いただきたいということと,更に中間的まとめの方では今後残された課題になっていたところで,4ポツには活躍促進について様々なプランが出ておりますので,アイデアといいますか,それについてまた皆さんで御議論いただきたい。今日,北海道とそれから島根県の方から御報告いただきましたものも,この34に関わるところになるかと思います。特に4の社会教育主事の任用資格を取られたり,また社会教育士の称号を取られたりした方々が継続的にどういう研修や学修の機会を持って力量形成していくのかといったことと,社会的にどう活躍するのかといったことが問われているだろうということになりますので,このようなところをまた今後重点的にお話しいただければと思っています。
 さらに,今後の社会教育に関する議論とも関わってくると思いますけれども,昨年6月に閣議決定されています第4期の教育振興基本計画において,教育と社会教育の位置づけが随分積極的なものに変わってきたのではないか。従来,社会教育というのは,例えば教育基本法では働く場所又は家庭を含めた社会でということになっていたのですが,社会教育法ではどちらかというと学校教育以外のというような規定になっていました。それが新しい教育基本法に生涯学習の規定が入り,そして生涯学習が個人の要望と社会の要請に応えてということになっていて,社会教育は13条になったのだと思いますけれども,そちらで広く社会のあらゆる場所において,あらゆる機会を捉えてというようなことになってきていました。今回の振興基本計画の方では,教育が社会をけん引する駆動力の中核的役割を担うということになっていて,教育こそが実は社会を引っ張っていく役割を担うのだという表現になった。更に社会教育に関しましては,学びを通して人々のつながりですとか関係を耕すという表現が入っていて,それらを耕して社会基盤をきっちりつくっていくものであると述べられています。そしてそういう小さなコミュニティがたくさんできることで,より大きな,例えば国ですとか,又は都道府県ですとか,より大きな地域社会が安定するのだということが書かれてあるのです。
 さらに,今,文部科学省以外の様々な府省庁がコミュニティ政策に力を入れてきていて,そこで盛んに社会教育や公民館が取り上げられるようになってきたということも意識しながら,実は社会教育というのは,また公民館の実践というのは教育行政だけのものではなくて,むしろ教育行政をベースにしながら人々の様々な生活に関わる行政領域を結びつけていく,そして人々の,ここからは私の言葉になりますけれども,人々の自治を耕していくような役割を担うのだというような表現になってきているのです。その意味では社会教育の役割がとても重要視されてくるような基本計画の書き方にもなっていますので,そうしたことも含めて,中間的まとめでは社会教育士の創設までの経緯が書かれてありますが,この部会はそれをどうもう少し前に推し進めるのかという役割を持ってつくられたのですけれども,教育振興基本計画に書かれてあるようなことも意識しながら,今後新しい社会教育の人材とは一体どういう人々であり,どういう役割を担うのかといったことを御議論いただいた上で,養成の在り方と,それから活躍の在り方について御議論いただきたいということになっていたということなのです。
 少し長くなりましたけれども,そこを押さえていただいた上で,特に今日のこの骨子案について御意見等がありましたらお出しいただければ,また御質問等もありましたら是非お出しいただければと思います。少し時間が気にはなっていますけれども,いかがでしょうか。どうぞ,ネームプレートをお立てになる,又は挙手ボタンを押していただければと思います。
 それでは,山本さんからお願いいたします。

【山本委員】
 ありがとうございます。
 私も今回,牧野先生がおっしゃるように教育が地方の中のコミュニティの基礎の部分であるというような思いというのは,実際自分が首長として地域自治,地方自治に携わってみると,そういう部分というのはすごく大きいなというのを改めて感じております。特にコミュニティの中で活性化しようとかなんとかしようというときには,単純に福祉とか,あるいはネットワークづくりだけというよりは,教育をベースにした方が楽しく様々なことが次の世代につながっていくという要素がすごく大きくなるというのを実感しているところであります。
 その意味では,今回の骨子案は非常によくできているなと思いながらも,コミュニティ視点とか,あるいは地域自治視点といったところをもう少しいただけないかなというような思いがありまして,逆にその部分があれば社会教育士がそういったところでも活躍できるんではないか,あるいは今回地震の災害がありましたけれども,例えば災害があったときの避難所の運営に対する地域の人たちのネットワーク化といったことなども,こういったノウハウがあることで結果としては地域にとっていいことにつながるのじゃないかと思っています。
 その意味では,本当に教育委員会を主体というよりは,首長側の方にもどんどんコミットしていく,あるいは逆に首長サイドにも文化・スポーツ分野を持っていっている町もありますので,「いやいや,教育委員会だけではないよ」ということをもっともっと書き込んでいただくような,あるいは地域自治に対してもっともっとコミットしていただくような部分があってしかるべきじゃないかと思っていますし,更に言うと,コミュニティのデザインといったところまでも社会教育士が担ってもいいのではないかというような思いも持っておりますので,御検討いただければと思います。
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。首長さんのお立場から,もっと住民が地域をつくっていく,経営していく,より小さいコミュニティのところから持ち上げ型のような草の根からつくっていくというような表現が入らないか。さらに,今は教育委員会ベースであってもいろいろな領域と結んでいって,一般行政を変えていけるような力を持つような,そういうような社会教育士の在り方みたいなことも構想できないかと,そういうお話であったと思います。どうもありがとうございました。
 では,野津さん,お願いできますでしょうか。

【野津委員】
 島根県の野津です。
 全体として非常に網羅的でよく書かれていると思いますけれども,2点ほど地方の役人として言いますと,これだけのことを行政に求めるのであれば地財措置にしっかり明記する必要があると。先ほども少し申し上げましたけれども,今うちの県で派遣社教が1.5人分しか入っていないというこの事実,この10年間で,10年前が七,八人だったのが今は1.5人しか入っていないという,こういったことが,それこそ市長部局に物を言うときに,私も財政課長をやっていましたので切る材料,典型的な切る材料であって,交付税は色がついていませんから,外との話ではなくて役所の中の理論で非常に弱い。やるときは入っていることになっている,どうせ総額は変わらないので,分かっていますけれども,入っていることになっているというのはとても大事なことで,誰の仕事なのかというところが地財措置で明確になる,県の仕事なのか市町村の仕事なのかというところも含めて,どこにどういった項目を措置するのかというのは,実効性を持たせるのにとても大事だろうというふうに思っています。
 もう一つ教育長として申し上げると,6ページのエの旧制度の受講者への措置であります。もちろん新しい科目が2つあって,それを取っていないわけですけれども,こう書いてあっても,もう一個言うと,この取っていない旧制度の人間が今B講習の講師をやっていると,これをどう捉えるのか。この1ポツ目に書いてあるのは当然そうであって,実際に派遣社会教育主事とかをやった人間はこんなものは当然持っていて,受講しただけの人ではなくて,実践活動を現場でやっている人間というのは当然身についている話であって,今更これをあえて書いてしまうと多分離反者が,ケツをまくってしまう人がいっぱいいると思います。
 私は前から申し上げていますけれども,例えば現場の経験年数が3年以上あって任命したいと,教育委員会が適当と認めれば称号を得られると,例えばですけれどこういった認定制度を暫定的に旧制度の人に導入すると,市町村教育委員会が発令したのであれば,市町村の推薦で県がまとめてやってもいいのですけれど,国まで持っていくと人数がたくさんなので大変だろうと思いますので,そこら辺は県教委で責任を持って人選してやるということができますので,是非この点についてはお考え直しいただければと。お考え直すのか,加えるのか分かりませんけれど,そうしていただければと思います。ではないと,先ほど言いました社会教育士の新しい称号の団体って非常に幼いところからスタートしてしまうと思います。せっかくのいい流れ,そして更に先ほどあった国全体として発展させようというのであれば,これまでの功労者を捨てないということがとても大事だし,今でも指導者だと私は実感しております。是非お考えいただければと思います。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。求めるのならちゃんと金をつけろという話ですので,是非それについても,財務省ときっちりと,ということもあるかもしれませんが,計画の中にどう書き込むかということもあるかと思います。
 それから,あと一つは既にいらっしゃる方々,これは次に関さんにお願いしたいと思いますけれど,関さんがいつもおっしゃっている社会教育主事は受講してなるわけではなくて,経験を積んで主事になっていくのだということをおっしゃっていますので,そういうことも含めてコーディネート,新しい課程にある能力といったものをどう捉え直しながら主事経験者の方々に対して社会教育士という称号をどう授与していくのか,そんなことも少し検討できないかというお話だと思います。どうもありがとうございました。
 少し御相談なのですが,実は予定時間はあと5分なのですけれども,多分こうなるだろうなと思ったのですが,ほぼ全ての委員の方々が発言されたいということですので,すみません,10分延長させていただいてよろしいでしょうか。御都合のある方は先に手を挙げて「私,都合がありますから」と言ってくだされば先に回しますので,お願いいたします。申し訳ありません,取り回しが悪くて。10分延長させていただきたいと思います。それでも多分不十分ですので,どうぞ御協力をお願いいたします。よろしくお願いします。
 そうしましたら,関さん,お願いいたします。

【関委員】
 ありがとうございます。関でございます。
 私は6ページのカの部分です。社会教育主事の配置促進とここに書かれております。社会教育主事は現在必置であるにもかかわらず設置されていないところがある。これは特別な事例かもしれませんが,先日聞いたのが,60歳で定年退職して,役所であれば再任用で65歳まで働く人が多いわけです。その中で,過去に社会教育主事資格を取得した人がそこに配置されるようなケースがあるようです。しかしながら,実際の職務としては正規職員ではございませんので権限は少なく,担当する仕事は本来の社会教育主事のものとは全く違うものになってしまう。少し厳しく言えば,単に名義貸しにならないように社会教育主事の役割の明確化をお願いしたいと思います。これらの議論につなげていただいておりますけれども,その部分を鮮明に打ち出すべきではないかと感じます。
 社会教育計画の立案ですが,これも計画策定をやっている市町村とやっていない市町村があるかもしれませんが,社会教育主事がどのような形で計画策定に関わってプランニングしていくのかとか,現状では自治体によって違うかもしれませんけれども,ある程度これは社会教育主事として担っていただく部分だというものを明示してもいいのかなと感じております。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。この社会教育主事の配置促進,法的には必置になっているのですけれども,特に市町村でどんどん配置率が下がっている,それに対してきっちりやるべき仕事があるのだといったことを明記できないかと,その他も含めて検討が必要だという話だと思います。ありがとうございました。
 では,倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 牧野先生のお話から,今回のこのまとめが非常に重要なのだなと,改めて身が引き締まる思いとともに,今後の検討を進めていきたいなと思いました。
 まだ検討の時間があるということですが,今後のスケジュールを教えていただければと思います。骨子に対して細かい部分などいっぱい意見がありますけれど,多分今日は全然時間がないと思いますので,いつまでにどれぐらいの意見を言えるのかということを,是非教えてほしいです。またどの範囲まで意見をやり取りする余地があるのか,例えば構成だったり,大体の項目は出ていると思うのですけれども順番だったり,表現だったり,ボリュームだったりということなど,どれぐらい意見を出していいのかを伺いたいなと思いました。
 今回の趣旨から言いますと,社会教育士の量的な拡大と質的な保障という両面で検討していかなければいけないのではないかと思うのですけれども,今,骨子を一見したところによりますと,どちらかというと量的な拡大の部分に比重が置かれているような気が現時点ではしています。
 先ほどの牧野先生のお話で言うと,他の領域や他の専門職と対等に協働し合ってけん引したり活用したりしていくような社会教育主事・社会教育士の幅広い専門性を養成していかなくちゃいけないということで考えますと,質的な部分というところの記述がもう少しあってもいいのではないかというように思いました。今日の議論を伺っていますと,養成校とか主事講習実施機関の方の責任と役割ということについての記述みたいなことがもう少し必要なのではないかとか,先ほど講習の担当者という話もありましたけれども,養成を支える大学・機関側の土台の部分が貧困になってしまうと,この仕組み全体が回らなくなっていくとも思いますので,都道府県や養成に関わる教育機関の強い連携ということの追記ということの検討も今後必要になってくるのじゃないかと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 先に事務局の方から今後の計画,予定というか,どれくらいこの議論ができるのかといったことも含めて,多分先に皆さん知りたいでしょうからお話しいただけますでしょうか。

【高木地域学習推進課長】
 今回,6枚物の骨子案を示させていただきました。全体の構成を示す,通常我々はこういったところで骨子案を示すときはもっと本当は短いのですよ。ですので,私のところに部下から上がってきたときにはもっと分厚かったので,それでは骨子案ではないよと言って圧縮させて6ページになったというのが今回でございます。次回にはこれを踏まえてちゃんと肉づけしまして,多分この3倍,4倍ぐらいの量になると思いますけれどきちんとした中身にして素案としてお示しして,次回は3月だと思いますけれども御議論いただこうかなと思っており,御意見いただいたものを反映した上で素案を出そうと思っております。今回はお時間がないので,御意見を出し切れない部分に関しましてはメール等でいただけますと,それを反映した上で整理して,また部会長,副部会長と御相談の上でお示しするのかなと思っているところでございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。今日は骨子案で,今おっしゃったように6枚というのは多いのです。普通は4枚なので,多いのですが,これを基にして次回素案が出てきます。それについてまた御議論いただきたく,素案をもう一回議論して,最後に最終案が出てくるので,その辺りで最終決定をお願いできればと思っています。ですから,まだ構成等も触れますし,今,倉持さんがおっしゃったようにここをもう少し書き込んだ方がいいのではないかという御意見も当然反映されていきますので,是非たくさん出していただけばと思います。どうもありがとうございます。
 そうしましたら,オンラインで原さんが今,身を乗り出していましたから,原さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【原委員】
 すみません,この後少し予定がありまして,2つ申し上げたいと思います。
 1つは,2ページから3ページあたり,3の人材の養成のところで専門性という言葉と汎用性という言葉,これはずっと議論にはなっているのですけれども,汎用性というと広くなっていくので,社会教育の専門性というのをどのように捉えていったらいいのかというようなところ。それから,それに関わって言うと,次の3ページのところで社会教育人材のエントリー条件であると,エントリー条件ということは,かなりまだ手前にあるのかなというようなイメージもあるので,専門性をどのように表現していくのかというようなところが一つです。
 2つ目は,それも関わるのですけれども,これは新たな第一歩というか大きく変わっていくところで,社会教育人材の活躍の場あるいは養成の場というところなので,大胆な面というか大胆な踏み込みも必要でしょうし,一方で確実にこれを進めていかなければいけないわけで,そうすると,例えば確実な面というのは社会教育のオリジナルな部分でこそまず第一歩が確実に踏み出せる,例えば公民館にしても社会教育の領域にしても,そこで例えば社会教育人材がこのように新たな活躍ができるのだと,それを先ほどありました防災の話だとか様々なところに展開できるような,何かそういった大きな面と確実な面が描き出されるといいのではないかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。いわゆる社会教育士,社会教育主事の人材の専門性とは一体何であるのか,ここに専門性と汎用性といろいろ書いてあるのですけれども,多分汎用性が残っているのは社会教育士をつくるときに,もっと社会に広く役に立つといったことが言いたくて使ってきた言葉だと思いますので,それをもう少し今の議論も含めて,社会教育の専門性と社会教育とは何かといったことも含めた議論の中で少し言葉を考えていければと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。よろしくお願いいたします。
 1点だけお願いしたいと思うのですけれども,この骨子案を拝見して,第一印象として社会教育主事が隠れてしまっているなと思うのです。社会教育士の活用は,社会教育主事がいて社会教育士が十分に活躍できる環境がつくれると思うのです。社会教育主事が発令されていない市町村で社会教育士が活躍できるかどうかを想像すると,やはり社会教育主事の支援と社会教育士の活動を支援する施策の推進に伴って社会教育士が生きていくと思うのです。なので,関さんと同じような話になるのですけれども発令の促進等,それは本当にできれば一番上に出てくるくらいのグレードだと思うのです。ここを見ると社会教育士のものしか目に触れないところがあるものですから,是非発令促進につながるような記述も充実していただいて,市町行政,また都道府県社会教育行政を応援するような形のまとめになっていくと有り難いかなと思います。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。社会教育主事の重要性,これも今までの議論の中では,社会教育主事は地域全体の学びのコーディネーター,オーガナイザーであり,更に教育委員会の中にありながら,関係の部署とうまく連携を取りながら調整していくと,しかも学びを更に社会教育士が現場で活躍されているところにつなげていく役割だという位置づけになっていますので,きっちりと社会教育主事の重要性といったことを訴えることも必要ではないかなと思いますので,また御検討いただければと思います。どうもありがとうございました。
 最後に,伊藤さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【伊藤委員】
 2の社会教育人材を取り巻く状況のところの(1)の一番初めの丸ポチの下のところに「リカレントやリスキングの学習ニーズの高まり」とありますけれども,明治安田生命さんの事例の発表にもあったように個人のパラレルキャリアとしての社会教育士の取得,そちらの方を社会教育という分野だけではなく,ほかの分野から社会教育士を取るというような流れを更に入れると裾野の拡大につながるのじゃないかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。社会教育士の活躍の在り方としてパラレルキャリア,もう少し言うとマルチワーカーですとかギグワーカーという形で1人でいろいろな仕事をされるという方も出てきていますから,そんなことも一つキャリアに入っていくといいのではないかという御発言だったと思います。どうもありがとうございました。
 では,最後に一言,副部会長の青山さんからお願いいたします。

【青山副部会長】
 ありがとうございます。
 今回,中間的まとめの4のところが多分主な論点になるのかなと思っておりますけれども,社会教育人材,この文書では主に社会教育士のことに焦点が当てられることが多かったんですけれども,その認知の向上とかネットワーク化とか,あるいは活躍とか研修ということを考えたときに,「あっ,私たちも関係があるのだ」という人をいかに増やしていけるかということがすごく重要だと思うのです。中間的まとめにポンチ絵がありましたけれども,例えば地域学校協働活動や公民館,あるいは青少年教育施設とか,PTAとか,総合型地域スポーツクラブとか,いろいろなことが出てくると思いますけれども,そういった人たちと組んでネットワークを作っていくこと,次の活躍の場をつくっていくということも必要になると思います。「我々も関係があるのだ」という人たちを増やしていくような書きぶりになるように言葉を加えておくことでいろいろな可能性が増えていくと思いますので,その辺をもう少し考えていきたいなと思って聞いていました。
 以上です。ありがとうございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。社会教育人材というのは,みんなが当事者なのだというような形での訴えかけみたいなものができないだろうかということだと思います。どうもありがとうございました。
 すみません,一応ここで今日の全ての議題を終えることになるのですけれども,少し取り回しが悪くて10分延長させていただきました。どうもありがとうございました。
 では,最後ですけれども,今後の予定等に関わりまして,事務局から御連絡をお願いいたします。

【粟津生涯学習推進課課長補佐】
 資料5に今後の審議予定案をお示ししております。次回は319日の予定になっております。第9回以降は未定になっておりますけれども5月下旬ぐらいだと思いますので,正式にはまた改めて御連絡さしあげたいと思います。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。次回の予定がありますので,是非御予定をお願いしたいと思います。
 また,今日はいろいろと御意見を言いたい方がいらっしゃると思いますので,先ほどもお話がありましたがメール等で事務局の方にお出しいただきますと,それを次の素案に反映させていこうと思いますので,是非ともまた御意見等をいただければと思います。どうもありがとうございました。
 では,これで今日の社会教育人材部会第7回の部会を終えたいと思います。どうもお疲れさまでした。どうもありがとうございました。 

── 了 ──

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線2972)
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp
 

総合教育政策局地域学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線2977)
メールアドレス:chisui@mext.go.jp

(総合教育政策局生涯学習推進課)