社会教育人材部会(第5回) 議事録

1.日時

令和5年9月7日(木曜日)14時00分から16時00分

2.場所

文部科学省「第一講堂」(東館3階) ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育人材の活躍促進について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)古賀委員,関委員,野津委員,牧野委員
(専門委員)青山委員,伊藤委員,井上委員,大村委員,倉持委員,原委員,山本委員

文部科学省

(事務局)里見大臣官房審議官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長 他

5.議事録

【牧野部会長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第5回社会教育人材部会を開催いたします。本日は,お忙しいところ,また,朝夕,少し過ごしやすくなってきましたが,日中まだまだ暑い中,御参集くださいまして,どうもありがとうございます。本会議は,対面とオンラインを併用して開催させていただきます。
 なお,本日もユーチューブのライブ配信を行い,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から,会議の全体について録画を行いたい旨,申出があり,許可しておりますので,御承知おきを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,次に事務局から,オンライン会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 本日は,対面とオンラインを併用して会議を開催させていただきます。
 オンライン会議を円滑に行う観点から,4点お願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞きやすいように,はっきり御発言ください。2点目,御発言の際には,名前をおっしゃってください。3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしてください。4点目,御発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除していただければと思います。お手数をお掛けいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお,本日,会場にお越しの皆様は,御発言の際には挙手又はネームプレートを立てていただきますようお願い申し上げます。
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第のとおり,資料1から資料4,参考資料1から参考資料3でございます。過不足等ありましたらお知らせください。
 併せまして,事務局に人事異動がありましたので,新たに参りました職員を御紹介させていただきます。
 総合教育政策局政策課長の滝波でございます。

【滝波政策課長】
 滝波です。よろしくお願いします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 総合教育政策局生涯学習推進課長の石橋でございます。

【石橋生涯学習推進課長】
 石橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 総合教育政策局地域学習推進課長,高木でございます。
【高木地域学習推進課長】
 高木でございます。よろしくお願いいたします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 総合教育政策局生涯学習推進課専門官の合田でございます。

【合田生涯学習推進課専門官】
 合田です。よろしくお願いします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。今日が第5回になりますが,この夏の人事で総合教育政策局の課長さんが,総入替えと言っていいでしょうか,皆さん,代わりましたので,今日は全員御出席を頂いて,皆さんの議論を聞いていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入りたいと思います。
 最初に,これまで皆さんに議論していただきました,いわゆる「中間的まとめ」と呼んでおりますけれども,「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について」ということで,参考資料1から3が配付されております。これにつきまして,前回,7月26日にこの部会で御議論いただき,その内容を含めて部会長一任という形でおあずかりしておりました。その後,青山副部会長や事務局とも相談しながら,必要な修正を加えて,8月8日,ちょうどこのときに文科省の人事異動があったのですけれども,8月8日に開催されました第126回生涯学習分科会において報告を行い,了承を頂きました。その場で,様々貴重な御意見を頂きましたので,事務局から御紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【高木地域学習推進課長】
 失礼いたします。地域学習推進課長の高木でございます。今,牧野部会長から御紹介ありました8月8日の生涯学習分科会で頂いた御意見について,事務方で簡単に要約した上で紹介させていただきます。詳細は,後日,ホームページで掲載される議事録を御覧いただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 まず,社会教育人材の養成に関する御意見等でございます。「理念や理論といった基礎的な部分はもちろん必要であるが,現場で実際にどのような工夫をして課題を乗り越えたかなどの現場の実践知,身体知を共有していくことが重要である。社会教育主事講習において,発達障害の多様性など,障害への理解に関する内容を充実していただけるとありがたい。社会教育人材の養成に当たっては客観的な立場で養成することが重要である。いろいろなところに社会教育士が増えていくことがまちづくりには重要であり,社会教育主事講習については,オンラインの活用などによる時間的,金銭的な負担軽減を図ることで,受講者が増えていくとよいと思う。社会教育主事講習において,民間資格や講習を受ける前の事前の学習が幅広く認定できるとよいのではないか。社会教育士の方がより大きな集合であり,分かりやすさの観点から社会教育士講習と称することも検討してはどうか。」といった御意見を頂いております。
 続きまして,社会教育及び社会教育人材の全般的な御意見について紹介させていただきます。「障害のある方々も含め,第11期の生涯学習分科会で議論した多様なウェルビーイングの観点をより一層踏まえ,議論を進めていただきたい。社会教育主事講習について,民間の参加者が増える一方で,開催地以外の市町村行政の関係者の参加者が減っているという話がある。公民連携や官民協働を推進するため,市町村行政に対して,政策的に社会教育を位置づけて推進する意義を再整理してアピールしていくことが重要である。社会教育主事に任用され,活躍することや,社会教育士の称号を取得することが自らのキャリア形成や力量形成につながることをアピールすることが必要である。社会教育主事講習は行政職員のリスキリングとしても重要であり,公民館に社会教育主事講習を受けた方が増えていくと,行政と地域の様々なところでコーディネートする役割が発揮されると考えている。社会教育主事は,いろいろな形で経験を積みながら育っていくものであって,人との信頼関係の構築が社会教育主事の一番の醍醐味(だいごみ)だと考えている。社会教育主事が経費的な負担になるのではなく,将来的には自分たちが当事者になってまちをつくっていく,そういう人が増えることが,社会をより前に進めていくエネルギーに変わっていくのではないか。地方自治体の現実をもう少し見ていただいて,地方自治体の負担を考慮していただくことも重要。人生100年時代の生涯学習につなげていくため,また,地域コミュニティの醸成のためには公民連携などにより民間の社会教育への参画が進むような方策が重要ではないか。社会教育については,より一層,住民のコンセンサスを取りながら進めていくことが重要である。また,企業の退職者などでまだまだ働きたい人たちが多くいるため,そういうリソースを社会から求めて,首長部局に投入し,企業も巻き込んで,地域社会を形成していく必要があるのではないか。」といった御意見を頂いているところでございます。
 以上でございます。

【牧野部会長】
 高木さん,どうもありがとうございました。
 ただいまの御紹介は,前回の生涯学習分科会での議論,意見の概要ですので,先ほども御紹介がありましたが,後ほどホームページ上で公開されます議事録もまた参考にしていただければと思います。どうもありがとうございました。
 そして,改めてですけれども,本部会の委員の皆様には,これまでの御審議に対して厚くお礼を申し上げたいと思います。さらに事務局の皆さんも連日遅くまで,この文案をまとめるのに御尽力いただきましたこと,どうもありがとうございました。感謝したいと思います。引き続き,よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局において,本中間的まとめの概要版も作成しておりますので,この場で配付させていただいております。参考資料1になりますので,こちらもぜひ御覧ください。よろしくお願いいたします。
 ここまでのところで,この「中間的まとめ」と呼んでいます「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について」について,何か御意見ですとか,又は御質問,又は御議論されたいこと等ありましたら挙手をお願いできますでしょうか。挙手又はネームプレートを縦にしてお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。そうしましたら,また御意見等ありましたら後ほどでも結構ですので,事務局にお伝えを願えればと思います。よろしくお願いいたします。
 では,今回,第5回ですけれども,今回から新しい議事としまして,社会教育主事,それから,社会教育士の活躍促進についての議論を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,早速ですけれども,議事に入りたいと思います。本日は,社会教育人材の活躍促進に関しまして,井上委員,それから,山本委員,古賀委員,それぞれの取組についての御発表いただき,各委員の皆さんから御質問ですとか御議論をお願いできればと思います。
 最初に,井上さんから,地域と学校の連携における社会教育人材の役割・活躍機会について御発表お願いいたします。よろしくお願いいたします。

【井上委員】
 よろしくお願いいたします。井上でございます。本日は貴重な機会を与えていただいてありがとうございます。それでは,「地域と学校の協働における社会教育人材の役割・活躍機会」ということでテーマを頂きましたので,栃木県の地域連携教員制度も含めまして,地域学校協働活動における社会教育士の活躍の場面について情報提供させていただければと思います。
 それでは,一枚,次のページ,めくっていただければと思います。まず,社会教育士への期待ということでお話をさせていただきたいと思うのですが,ちなみにこのバラは私が育てているバラです。関係ありません。(笑)
 次のページをお願いいたします。それで,地域学校協働活動において関係者を羅列したのですけれども,この3つの場面が考えられると思うのですが,一つは地域学校協働活動関係者として,統括的な協働推進員,また,社会教育指導員,また,地域学校協働活動推進員,こういう方々がいらっしゃると思います。また,学校関係者としては,地域連携担当教職員ということで,都道府県市町村によっては置いているかもしれません。それと管理職辺りが学校関係者として考えられると思います。それと実際にボランティアとして関わられる方ということで,学校支援ボランティア,地域活動実践者,こういう方々がいらっしゃると思います。
 こういう方々で社会教育士の称号を取るということがどれだけ有効かということを段階的に示したものがこの図になります。かなり行政に深いところまで関わる統括的な推進員であったり,また,実際に行政職員である社会教育指導員は積極的に取っていただいていいのではないかということかと思います。特に統括的な推進員はもう社会教育主事そのものというふうに私も捉えておりますので,そこら辺は取っていただくといいのかなということで,取得に向けたアプローチができるのではないかと思います。それと,地域コーディネーター,地域学校協働活動推進員であったり,地域連携担当教職員などの学校側のコーディネーターについてはできれば取得していただいた方が役に立つのではないかと思います。学校管理職であったり,CSの委員さん,特に委員長さん辺りは取っていただくとすごく有効ではないかと思います。また,ボランティアさんとか地域活動実践者も社会教育的なことを分かっていただいて活動すると,御自身の生涯学習活動も充実するのではないかということで効果的ではないかと考えました。柔道の技あり,有効,効果みたいな感じですけれども,こういう段階で,それぞれの取得に関するアプローチというものが有効ではないかと考えました。
 次のページをお願いできればと思います。まず,左側のピラミッドですが,私が勝手につくったものですけれども,社会教育主事講習の主な履修内容として掲げられているものについて,下が基礎的なもの,上に行くに従って社会教育の専門性と呼ばれているものつまり行政的なスキルに近いものということになっていくかと思います。このようにつなげていくと,概論,支援論,経営論という形になっていて,それぞれの履修内容が先ほどの登場人物が,どこら辺まで生かせるのかなということが右側の役職との対応になっております。そうすると,社会教育主事であったり,指導員については,もう社会教育行政の経営戦略まで深く学んでもらう必要があり,統括的な推進員辺りは,戦略的までいかなくても,行政と地域活性化辺りまでは分かっておいていただきたいと。あと,推進員さんとか地域連携教員については,社会教育における地域の人材の育成辺りまでは把握しておいていただきたい。ただ,管理職とかボランティアの方については,概論の辺りを分かっておいていただくことまでで有効になるのではないかということですね。こういう形で,それぞれの役職,また,立場において有効な学びということが,このような対応があるのではないかというふうに解析いたしました。数値的な根拠はないのですけれども,イメージ的にはこのようになろうかと思います。
 次のページに行っていただいて,特に,社会教育主事から地域連携担当教員辺りまではやはり社会教育主事を取っておくと非常に有効的ではないかと期待されるターゲットではないかと考えているところでございます。
 次のページに行っていただいて,これについても私がつくった図ではあるんですけれども,地域学校協働本部,また,学校運営協議会ですね。地域学校協働本部については,地域活動から地域づくりへということ。学校運営協議会については,地域と連携して学校づくりということで,この真ん中から右側に行くに従って地域づくりが初期の段階から発展的な段階に行くものを示しています。学校の方では真ん中のところが初期の段階で,左に行くほど発展的な段階と。それを目安として中間的なところの内容について掲げているところであります。
それぞれのこういう役割について,それぞれの登場人物がどこまで受け持っていくのが効果的か,また,現に受け持っているかということが下の横長の役職の名前で表しています。このように社会教育行政として推進していくためには,それぞれの役職というか,役割の方がどこまで役割を果たしていくのかということを明らかにしないと,効果的な施策展開ができないということで,これは整理したものですけれども,社会教育士の役割,称号を持っていると,かなり地域づくり,学校づくりの部分をカバーできるのではないかということです。
 次のページに行っていただければと思うのですけれども,赤い点線で囲ったところがそれを示しているのですが,社会教育士の称号を取っていただくことが期待できるのではないかということになっております。このように俯瞰(ふかん)的に見ると,社会教育士については,学校,地域,それぞれの取組において非常に有効な知識を習得できる講習,称号であるということが言えようかと思います。
 では,次に行っていただければと思うのですが,そこで,栃木県では,地域連携教員制度という制度を設けております。この地域連携教員制度ですけれども,次のページに行っていただければと思うのですが,栃木県では地域連携教員,地域連携担当教員ですけれども,また次のページに行っていただくと,この地域連携教員は社会教育主事有資格教員を原則として充てることとしております。社会教育士の制度ができて,社会教育士を取った人が指名されるという形になろうかと思うのですけれども,これはやはり社会教育主事講習での学びを期待して,そのように位置づけているという形になります。
 これは平成26年から,次のページをお願いできればと思うのですが,これは平成26年から全公立学校ですね。小中高,特別支援学校等に設置しております。生涯学習の視点から地域連携の活動を効果的に展開するために校長が指名するという形で配置しているというものになります。
 そのスキームですけれども,次のページに行っていただければと思うのですが,この丸について,左側の学校,右側が地域ということで,学校側の窓口として地域連携教員Aというものですね。右側の地域は,地域コーディネーター,地域学校協働活動推進員がBということ。このAとBが連携することで,連携活動を効果的に,また,効率的に行っていくという,そういうスキームになっております。地域づくりについては,さらにCという地域の社会教育主事が支援していくというスキームを示しているものでございます。
 この地域連携教員の内容につきましては,次のページに行っていただければと思うのですけれども,設置については,地域連携教員として,校長が指名して校務分掌に位置づけるという形になっております。学校の先生方はよく分かると思うのですが,特別支援コーディネーター,それと同じようなスキームになっております。
 指名要件は,社会教育主事有資格教員を指名するということを原則としています。難しい場合,いない場合については,適任者若しくは教頭を指名するという形になっております。
 どういうことを行うかというと,3つの柱で職務を規定しています。一つは,連携した取組の総合調整ということで,プランナー,学校全体の連携活動を管理してもらう,見てもらうということですね。企画者ということですね。2つ目が,地域と連携した取組の連絡調整や情報収集ということで,コーディネーター,連絡調整ですね。その役割。3つ目として,地域と連携した取組の充実,アドバイザーということで,社会教育主事講習を受けているということで,学習プログラム,参加型学習等のスキルを身につけているということで,他の教員が何か連携活動をするときに,こうするともっと効果的だよというアドバイスをしてもらうというようなことですね。この3つを職務として充てております。
 校内体制としては,地域連携係というものを設置して,そこにて地域連携教員を配置するということです。これは私が施策化したところですが,非常に大変でした。なぜかというと,生涯学習から学校教育の場に設置するということなのですね。イメージで言うと,隣のうちの庭に木を植えにいくという感じですね。非常に大変だったんですが,全市町村の教育長にお願いして,どうにか設置にこぎ着けたというところです。
 なぜ栃木県でこのような制度ができたかということで,背景が幾つかございまして,1つ目が,今出ております有資格教員を全校に配置するということを目標に社会教育主事有資格者を養成しました。昭和50年からということで,非常に先見の明があった課長だと思うのですが,各学校に1名ということで,宇都宮大学と茨城大学に教員を送って,有資格者をどんどん増やしていったということになります。
 これがその養成の図で,23年までしかないのですけれども,2年ごとに宇大と茨大で交互にやっているものですから,少し変な形のグラフになっているのですけれども,地元でやるときに多く養成して,茨城大のときには旅費の関係で,半分以下の人数という形になってしまうのですが,計画的に養成してきたということです。
 次のページ,お願いいたします。現在の状況ですが,この有資格教員については,栃木県内全部で1,094名の有資格教員がいます。全教員が1万5,859名ですので,かなりの割合で有資格者がいるのではないかと思います。学校には,小中学校においては81.3%の学校に有資格教員がいます。県立学校では74.4%ということで,栃木県内の学校,約8割には有資格教員が1人はいるというような状況になっております。
 その背景としての2つ目ですが,いろいろ,ずっと養成はしてきたのですけれども,せっかく受けてきたのに,そのスキルを生かせないというような声も上がっていました。例えば交流活動の企画・運営とか,コーディネーションとかやりたいのだけれど,やれないということが有資格教員から声が上がっていました。全員というわけではないのですけれども,やりたいモチベーションの教員がいっぱいいたということですね。
 次のページ,18ページ,お願いしたいのですけれども,学校側はどうかということで,有資格教員が配置されると効果的な,生涯学習係や地域連携係には,小中高,そのような形で,小学校で23.2%,県立学校に至っては3.5%しか配置されていないという状況でした。なので,このようなスキルを生かせる体制をつくっていかなければいけないという課題があったということです。
 次のページ,お願いできればと思います。さらに管理職側も,有資格教員について様々な期待していました。先ほどの有資格教員の答えと全く一致するのですけれども,そういう地域と連携した活動の企画立案をやってもらいたい。生かしてもらいたい。また,教育資源の情報収集,提供してもらいたい等々,有資格教員に期待しているということで,やれるというものとやってほしいというものが一致したという状況もございます。
 それで平成26年に地域連携教員を設置したわけですが,ただ設置するだけだと形骸化するということで,次のページ,20ページになりますが,支援体制をつくりました。校長が指名して,市町教育委員会が情報提供とか,社会教育主事を取りなさいというような資格取得の奨励であったり,そのようなことで支援していました。また,私が今おります総合教育センターは研修機関ですので,地域連携教員研修,また,新任地域連携教員研修等を充実させて,活動を支援してきたと。また,栃木県には7つの教育事務所がありまして,現在24名の社会教育主事がいます。その社会教育主事が地区ごとに研修を行ったり,個別の学校に,求めに応じて支援たりということで,支援体制をつくってきたというところになります。
 では,次のページ,お願いいたします。21ページが今の連携教員の内訳ですが,これが指名状況になっているのですけれども,有資格者の割合というところが赤丸で囲ったところですが,これが今,課題でもあるんですけれども,当初は40%以上,有資格者が連携教員に指名されていたのですが,年々減少してきまして,今,35.3%ということですが,さらなる指名において有資格者が充てられるように投げかけていく必要があるのではないかというところです。これについてもやはりいろいろなほかの業務の兼ね合いであったり,有資格者の養成がなかなか進まなかったりというような状況もありまして,少し下がってきているという状況もございます。
 それで平成26年に地域連携教員を設置したわけですが,ただ設置するだけだと形骸化するということで,次のページ,20ページになりますが,支援体制をつくりました。校長が指名して,市町教育委員会が情報提供とか,社会教育主事を取りなさいというような資格取得の奨励であったり,そのようなことで支援していました。また,私が今おります総合教育センターは研修機関ですので,地域連携教員研修,また,新任地域連携教員研修等を充実させて,活動を支援してきました。また,栃木県には7つの教育事務所がありまして,現在24名の社会教育主事がいます。その社会教育主事が地区ごとに研修を行ったり,個別の学校に,求めに応じて支援したりということで,支援体制をつくってきたというところになります。
 では,次のページ,お願いいたします。21ページが今の連携教員の内訳ですが,これが指名状況になっているのですけれども,有資格者の割合というところが赤丸で囲ったところ,これが今,課題でもあるのですが,当初は40%以上,有資格者が連携教員に指名されていたのですが,年々減少してきまして,今,35.3%ということですが,さらなる指名において有資格者が充てられるように投げかけていく必要があるのではないかというところです。これについてもやはりいろいろな他の業務の兼ね合いであったり,有資格者の養成がなかなか進まなかったりという状況もありまして,少し下がってきているという状況もございます。
 次のページ,お願いいたします。この地域連携教員を設置して,どのような効果とか課題があったかということです。
 では,23ページ,次のページ,お願いいたします。まず,当事者,地域連携教員はどのように感じているかということで,地域連携教員の設置に重要性を感じるかという問いについては,「とても感じる」が38.5%,「少し感じる」が48.4%ということで,86.9%,おおむね9割の連携教員が何らかの重要性を感じているという状況です。ですので,職務についての重要性も認識しているということかと思います。
 続いて,24ページをお願いいたします。地域連携教員として業務を進めてきて,どのような効果があったかということを聞いたものがこの図になるのですけれども,まず一つは,自分の地域連携に関する認識がさらに高まったということ。次が教育活動の充実ということで,やはり学校の教科活動をはじめ,特別活動も含み,教育活動が充実したというふうに答えています。
 そして,次のページ,25ページですが,その連携教員が有資格者の連携教員と資格のない連携教員がいるわけですけれども,それについて差があるのかということで調べたものが25ページになります。これを上から見ると,「学校に協力的な住民が増えた」とか,「授業内容が充実した」,このところは資格を持った者が連携教員になった方が大きく効果が出ているというところです。
 下の方にずっと行きまして,「他の教員の地域連携に関する負担が減った」とか,地域で子供を育てようという機運が高まった」とか,これはアウトカムで言えばかなり最終的なアウトカムに近いところなので,なかなかそこまでの効果までは資格の有無についての関連性はこの時点では見えなかったというかと思うのですが,初期的なアウトカムには現れていたということが言えようかと思います。
 次のページ, 26ページです。それともう一つ,地域コーディネーターと地域連携教員の関わり,それを調査したデータになります。これについては,地域連携教員が有資格者であるか否か。あと,その学校に地域コーディネーターがいるかいないかというものを4つのグループに分けて解析したものです。
 上から,地域連携教員が有資格者であって,その学校にコーディネーターがいるというところです。2番目が,連携教員は資格がないが,コーディネーターがいるという学校,3番目が連携教員が有資格者ではあるが,コーディネーターはいないというところです。一番下は両方ないということです。こう見ると,その効果の数を数えたところ,やはり連携教員が有資格者でコーディネーターがいるという学校ほど効果が多いという傾向が出ております。やはり連携教員が資格がなくて,コーディネーターがいないというところは効果がなかなか見られないというところが全般的に見えようかと思います。これも調査結果でございます。
 続いて,27ページ,お願いいたします。また,課題もやはり見えております。ここで出ております62.4%のところ,業務に携わる時間の確保ということで,やはり教員ですので,連携教員だけに専念するわけにいかないということで,学級担任を持っていたり,若しくは部活動を持っていたり,いろいろな状況でなかなかこれに専念できないという状況で,やはり時間が足りないという状況は見えております。ただ,これについては,校長先生が持ち時間数を減らしたり,あとは学校内にチームをつくって1人ではなくて,2人,3人で地域連携教員の業務を分けて,シェアしたりということで,効果的に進めている学校も見られているという状況です。
 続きまして,28ページお願いいたします。
  あと,制度としての課題,これを3つ挙げたいと思います。1つが,社会教育主事講習派遣の困難化ということで,今,学校教員不足と言われていると思うのですけれども,やはり再任用教員の制度ができてきたり,また定年延長になったり,若手の先生が減っているというような状況で,なかなか社会教育主事講習に行かせたくても行ける先生が少なくなってきているという状況が出ております。また,社会教育主事講習への派遣の意義の理解不足ということでは,その教員不足の状況を考慮しても社会教育主事講習へ行ってくるといいよという管理職の認識がそこまで高まっていない状況も学校によってはあるということで,なかなか社会教育主事講習に派遣しづらいといった状況も出ているというところです。
 それと,先ほど申し上げたとおり有資格教員の指名促進で,せっかく有資格者がいるのですけれどもなかなか難しいというのもあったりするものですから,やはりチーム体制で構築してもらったり,また校務分掌で校長先生に配慮してもらったりというところをお願いしているところです。
 それともう一方で,事務職員の中でも有資格者の方がいらっしゃいます。その方も,すごく連携教員の業務に興味を持っていただき,また意欲があるという方もいらっしゃいますので,まだ栃木の制度は事務職員を含んでいないのですが,今後検討して,そういう方も連携教員として活躍していただくことを検討しており,事務職員の方も社会教育士のターゲットの1つということが言えようかと思います。
 最後に29ページ,お願いいたします。
 今後の連携教員への期待ということで,やはり地域とともにある学校づくり,コミュニティ・スクール等の推進役,促進役ということで,今もそういう役割を果たしています。やはり連携教員が有資格者である学校はこのCS化が進むのが非常にスムーズになっています。また,CSになってからも活動が充実しています。そういうところにやはり有資格者の非常にスキルが生かせるというところで,重要な役割かと思っております。
 2番目ですけれども,地域の教育資源の発掘と活用ということで,新たな指導要領の方でも,社会に開かれた教育課程はじめ地域の教育力を生かしていくという理念の下,展開されておりますので,そういうものの発掘と活用,やはり社会教育主事の有資格者がそれを担っていくということが非常に効果的かと思います。
 最後に,学校を核とした地域づくりの発信役ということで,やはり学校の教育活動は学校だけで終わるのではなくて,それが地域の活動につながっていくのだという,そういう俯瞰(ふかん)的な視点を持って教員が連携活動に当たることができる,そうすると,活動の内容も非常に地域づくりにつながるような内容になっていくということで,こういうところで,やはり社会教育士の称号を持った方が活躍できる場となっていくのではないかと思っております。
 すみません,少しオーバーしてしまって申し訳なかったんですが,以上が,地域と学校の協働活動における人材の活躍の状況について提案させていただきました。
 以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 栃木県の総合教育センター生涯学習部長の井上さんから,地域と学校の協働における社会教育人材の役割・活躍機会ということで御報告を頂きました。特に,統括的な地域学校協働活動推進員の役割として,学校と地域を結ぶということで,特に栃木県が制度化されています地域連携教員の実態について,そしてさらに調査等を含めての御報告ですが,地域連携教員が各学校に配置がされているが,今回のこのいわゆる社会教育士の,また社会教育主事有資格者の担当といったことがあまり広がっていなくて今後の課題であるということですとか,さらには,これから社会教育士・社会教育主事任用資格保持者の学校への配置がどういう形で期待がされていくのか,といったようなことのお話があったかと思います。どうもありがとうございました。
 そうしましたら,今の井上さんからの御報告に関しまして,御質問又は御意見等ありましたらお出しいただけますでしょうか。ある方は,会場の方はネームプレートを立てていただき,またオンラインの方は挙手ボタンを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 御報告ありがとうございました。
 栃木県の地域連携のお話について勉強させていただいたこともあって,改めて今日のお話を伺って非常に多角的に理解することができました。
 伺いたいのは,資料18ページのところ,生涯学習係・地域連携係等の設置率は小学校で98.7%,中学校で97.5%とかなのに,社会教育主事有資格教員の担当率は23.2%とか26.2%とかの割合になっている。あとこの21ページのところ,有資格者の割合35.3%ということで,一定程度主事講習に送っているにもかかわらず,こういうあまり高いとは言えない数字というのは,何か要因があれば分かる範囲で教えていただければと思います。

【井上委員】
 貴重な質問,ありがとうございます。
 今御質問の件なのですが,18ページについては地域連携教員を設置する前の状況ですが, 2割ぐらいの指名率でした。それが,地域連携教員が設置されて4割ぐらいに上昇しましたが,指名が進まない一番の要因は,有資格教員がやはり担任を持っていたりとか他の業務があったときに,やはりそちらを優先されてしまうことが多いという状況です。担任等がなく自由に動ける教員とがなかなかいないということです。それでも担任をやりながら連携教員をやっている方もいらっしゃるのですけれども,その場合は管理職の校務分掌を軽減する等の判断も必要になってくると思います。そのような配慮も促してはいるのですけれども,今のところ今の状況が限界ということです。
 そのようなことから,先ほど申し上げたとおりチームで担当すると役割分担ができます。また,校務分掌等を減らすなどの配慮をすると,ある学校では8時間減らしたらかなり学校全体の連携活動が進んだという状況もあり,そのような持ち時間の配慮等を行うとかなり効果的に連携活動が進んでいくということをお話ししながら,配置を促進させていきたいとは思っております。 以上でございます。

【倉持委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 よろしいでしょうか。
 では,関さん,お願いできますでしょうか。

【関委員】
 関でございます。ありがとうございます。何点か伺っても構わないですか,井上さん。

【井上委員】
 はい。

【関委員】
 1点目,4ページのところでイメージしているのは,井上さんがいつも言われている社会教育主事講習の中で,それぞれいろいろな,ターゲットによっては科目全部を受けることなく重点的に受ける部分がある程度分かれてもいいのではないかという二階建てのイメージと捉えていてよろしいかというのが1点目。
 そして2点目は,ここでいわれている地域連携教員制度は,普通の日常の教師としての当然いろいろな業務の上に乗っかる仕事と理解したらよろしいのでしょうか。専属でこういった業務に取り組める立ち位置で動かしてくれるものではないものと理解してよろしいでしょうか。その場合,教員にとっての負担感がどういったものかというのも教えていただきたいなというのが,2点目。
 それと24ページのところですが,この地域連携教員として先生方は,私どもが今まで知っている先生方は非常に責任感が強くて,自分の力でいろいろなものに取り組んでいくという思いが強かったという気がするのですが,例えばこういう地域連携教員として活動する中で,地域の人の力を借りて,いろいろなものを動かしていこうというような意識変革が生まれるものなのかというのを伺ってみたいなと思っております。
 それと単純に聞きたいのですが,26ページでいう効果というものは,具体的にどういうものをイメージして効果として活動を測定しているのか。多いところから少ないところまで何が効果になっているのかということを教えてもらいたいです。何点かにわたり申し訳ございません。

【井上委員】
 ありがとうございます。
 まず4ページの図ですけれども,二階建て構造なのかという話ですが,本当に正直を言うと,ここの空白の部分は講習を受けてもお釣りが来る部分というふうにも言えるのかなとも思っております。本来でしたらそこまで学ばなくてもやれるのかなという部分でもあるのですが,この社会教育士のスキームがそれではないということで,全部を学んで俯瞰(ふかん)的に学ぶという位置づけだと思いますので,そういうことなのかなと思います。活躍するに当たっては,このような知識・技術があれば足りるのかなというような解釈で私はこの図を作成いたしました。
 それと日常業務の中での負担感ですね。やはりこの地域連携教員制度をつくるときに,一番の視点はやりたい人がやれる体制をつくろうということだったんです。なので,負担感がある人のことよりも,やれる人がやれる体制をつくるということです。本当に生き生きとやっている方は多忙感や,負担感は少ないのかなと思います。ただ,嫌々やっている方は多くなってしまうのは事実かとは思います。
 それと,3番目の質問を確認させてください。

【関委員】
 すみません,質問が多くなり申し訳ないです。24ページのところで,地域連携教員として活動,ただ今のお話とつながるかもしれません,もともとやる気のある人がなっているのであれば,あまり意識の変化は生まれないかもしれませんが,この職を経験することによってこの教員の意識が変化するものかどうか,その辺をお伺いできたら幸いです。

【井上委員】
 すみませんでした。
 これは劇的にあります。やはり立場が人を変えるというか立場でその業務に関わると,地域の方との関わりの中で地域の教育力を再認識して,やはり劇的にその連携に関する意識が高まっていくというものは,これは子供と同じですね,生徒・児童と同じように,連携教員になって意識が高まっていくという方も多数いらっしゃいます。ですので,それについての追跡調査をもっとすれば出てくるとは思うのですけれども,それが全般的に見取れるような状況になります。
 それと最後の効果の内容の数ですけれども,この効果については,申し訳ございません,その前のページの25ページのものの数ですね,学校に協力的な住民が増えたとか,授業内容が充実したとか,この数が幾つ向上したかというものの数になっております。
 以上でございます。

【関委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 よろしいでしょうか。
 では大村さん,お願いいたします。

【大村委員】
 愛知教育大学の大村でございます。よろしくお願いいたします。
 栃木県の実践については非常に関心を持っているのですけれども,今日,具体的なお話が聞けて非常に勉強になりました。聞きたいことはいっぱいあるのですけれども,幾つかに絞って。
 まず1つは,非常に仕事が多いというイメージがあります,企画から広報までですね。これ,先ほどの質問にもありましたけれども,それだけの仕事をこなすのに,それぞれの学校の中で配慮がされているのかされていないのかという問題ですね。
 それと関わって,仕事の2つ目ですけれども,社会に開かれた教育課程の開発というものがこの連携教員によって進められているかどうかということなのですが。恐らく1人では難しいので教員のチーム形成がそこでされているのか,つまり学校全体として教育課程開発に取り組んでいる中でこの連携教員さんがいるのかどうかという,そういう学校の中の組織体制とその仕事との関係ですね。
 それに関係して3つ目に,その仕事の中に地域づくりということについては,先ほどの図だと学校づくりと地域づくりが反対方向を向いているものですから,どうリンクするのだろうという気がしていまして。その社会に開かれた教育課程の中では,やはり子供たちが地域づくりに参加していくということは不可欠だと思うのですけれども,その中でその地域づくりについても教員が関与していくということがなければ,それは難しいのではないかというふうに思っていまして。地域づくりにおいてはどういう責任を持っているのかといいますか,実際どうなのだろうかということですね。
 あとキャリアの問題として,この連携教員が経験することによってキャリア面での,何といいますか,どういう位置づけがされているのか。指導主事等との関係とかはどうなのだろうか,あるいは教頭になる関係など,この辺を少し教えていただきたい。それから,教頭先生が意外と多いということが気になりまして,本来,その教頭先生が全部抱えなくていいようにこの制度があるのではないかというふうに思っていましたので,それがその制度の意図との関係はいかがだろうかというふうにも思います。
 最後に,本来は加配があるといいと思うのですが,加配をめぐっての議論があれば少し教えていただきたいと思います。
 以上です。

【井上委員】
 ありがとうございます。少し漏れなく答えられる自信がないのですが。
 まず,先ほどの関さんの質問に漏れてしまったのですが,地域連携教員は日常業務の中でやっていくものなので,特別にこれだけのためにという方ではありません。他の業務を兼ねてやっているというようなことになります。
教育課程との関係ですけれども,学校によっては地域連携教員が教務部所属している場合もあり,その場合は強く関わりがある思います。ただ,連携教員が連携体制をつくっていくことが教育課程に寄与していくと思います。例えば数学に地域の方が入ってくるためにはどういう意図があるのかとか,教育課程の目標との関わりみたいなところを洗っていったりするのを,連携教員が全体の連絡調整の中で,みんなでワークショップをやったりとか,若しくはみんなで現職教育をして,なぜここで地域の教育力が必要なのかということを議論しながら,学校によっては一覧表にまとめて,このために地域の教育力を入れるのですみたいなことをやっている学校もあります。それがゆくゆくは教育課程の推進につながっているのではないかと思っておりますので,直接どうつながっていくかということはよりも,そのような下地をつくっているということが地域連携教員になっていくかと思います。
 それと,地域づくりとの関係ですが,やはり地域での活動については地域が主体となってやるということが根本だと思うのですが。ただそこに,地域に子供を連れていく,学校の教育活動の中で連れていく場合には,地域連携教員として関わっていくということになろうかと思います。ただ,地域活動に教員が全て関わらなければいけないということではないと思いますし,そうなると負担感も大きくなると思います。なので,もし教員が地域づくりに関わるとしたら,もし引率等の行為がなければ地域の一員という形で,地域側の人間として関わっていくべきなのだろうというふうにスキームとしては考えております。ただ生徒が地域に行く場合には,引率という形でもちろん一緒に活動していくということがその在り方だと思っております。
 それと,キャリアについては特にございません。ただ,地域連携教員をするとかなり地域とのノウハウが分かりますので,教頭の見習という形で地域との関わり合いを勉強するいい機会ということで,教頭にふさわしいような時期のミドルリーダーみたいな方を連携教員に充てるという学校もかなり多くなっているというような状況です。ただ,キャリアアップの何か関わりというものはありません。
 地域連携教員の指名が教頭が多い現状ですけれども,これについては,多いのがほとんど小規模校なのですね。小規模校は御存じのとおり4,5人の学校もあれば非常に少ない人数でやっているものですから,もう教頭しかあてがえないというような状況がありまして,そういうところがやはり教頭が担わざるを得ないということです。大きな学校は大体教頭以外が担っているという状況になっております。
 それと加配については,先ほど話したとおり隣のうちに木を植えにいくような状況でできた制度ですので加配の話まではできませんでした。ただ事例としては,福島県では加配で地域連携教員を事務所単位に1人ずつ置いて加配で活躍していた,もう今は補助金が終了して実施していないと思うのですが,そのような例もありますので,福島県では連携教員がフリーで朝から晩まで業務できる事例として蓄積されているのではないかと思います。
 以上でございます。

【大村委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 オンラインで,野津さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【野津委員】
 島根県の野津です。すみません,先ほどの質問と大分重複してしまいましたので。
 任命権者としての興味で聞くのですけれど,手当とかそういう処遇みたいな発想というか要望とかそういう声というのはないのですか。

【井上委員】
 手当の関係ですね。手当はございません。

【野津委員】
 教員のステータスとしては,やはりこれをやっていると管理職に近道というような部分だけが個々の教員のステータスなのでしょうか。

【井上委員】
 まあこれ,連携教員になれば近道になるという認識は多分ないとは思うのですが。ただ,教頭とか管理職になって学校づくりをしたいという教員は地域を学びたいというときに希望したりとか,あとは教頭側が将来教頭になってもらいたいという方を指名したりということで,地域を学んでもらうためのきっかけづくりという形になろうかと思います。

【野津委員】
 ありがとうございます。
 私も栃木さんと同じような時期,社会教育課長をやっているときに,校内社会教育主事というのをつくりたくて,ただ当時,力がなかったので実現できなかったのですが。それと同じ制度がこうやってできていて,大変すばらしいなと思いました。ありがとうございました。

【井上委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 では青山さん,お願いできますか。

【青山副部会長】
 栃木の事例,教員籍の有資格者が減っているという現状,特に私の大学のある埼玉県では派遣社会教育主事の制度が終わってから激減している状況ですので,すごく参考になると思ってお聞きしました。
 お聞きしたいのは,有資格者の教員数を増やしていく上で,教員になってから講習を受けるパターンもあると思うのですけれど,有資格の教員を採用していくということもあるのかなと思っています。例えば教員採用試験をやるときに社会主事も持っているとメリットがあったりとか,そういった採用のところでの取組が県としてあるかどうか,あるとすればどんな形かということをお聞きしたいと思いました。
 以上です。

【井上委員】
 ありがとうございます。
 恐らく採用のときに持っている資格というところで書く欄はあったと思います。ただ,それがその選考の中でどこまで生かされるかということだと思います。それと,採用された方で社会教育主事の資格を持っているかどうかは必ず調査をいたします。把握した上でその方を連携教員の候補として扱っていくということはやっております。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 では,伊藤さん,お願いできますでしょうか。

【伊藤委員】
 貴重な発表,ありがとうございました。
 学校というところで,生徒・児童の当事者が,この制度が入ることによってどのような効果があったか,その当事者の声とかというのは24ページのところにもなかったのですけれど,何か井上さんがお聞きになっていることがありましたら,お願いいたします。

【井上委員】
 この制度ができて子供たちにどのような影響が出たかということでよろしいでしょうか。
 やはりこの制度ができてから地域との連携活動が随分充実しました。かなり取組自体も増えておりますし,あと取組内容も,ただ単に連携して何かやるというだけじゃなくて,子供たちにとってどういう展開をしていくと効果的かというのを考えながらやるようになりました。連携教員の研修でも,数ではなくて内容で子供たちに少しでもいい機会をということで話をしております。
 やはり学校側も,連携活動が深まって子供たちが元気に挨拶するようになったとか,いろいろ社会性が高まったとか,そんなこともいろいろな連携教員の研修とかでも声として聞いております。現場に行っても本当に地域の方が普通に入ってこられるような状況も目にしておりまして,連携の効果がそういうところでも,子供たちにも当然見られているというようなところが言えると思います。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 まだ2つ御報告ありますので,少し時間が気になりますけれど,少し私の方からも1つだけよろしいですか。すみません。
 例えばこの13ページの図ですね。地域連携教員制度のスキームということがあって,こちらを拝見しますと,例えば2015年の冬に出た3つの大きな答申があります,いわゆるアクティブラーニングの答申と,それからチーム学校の答申と,そして地域学校協働答申です,この3つ目の地域学校協働当初でも描いた地域と学校の1つの形がここに反映されているのかなと思ったのですけれども,いかがでしょうか。
 今日はどちらかというと,総合教育センターですので,学校の側でこういう方々,先生方,連携教員の方々がいらっしゃって地域と連携をとりながら,という話があったのですが,少し現状と離れるかもしれませんけれど,今後の在り方として,例えばコミュニティ・スクールという場合にも,学校に運営協議会をつくれば今のところはコミュニティ・スクールだと呼ばれているのですが,むしろ地域と連携をとりながら子供たちが地域で一緒に学んでいくという形で,地域づくりも含めて本来コミュニティ・スクールという構想になっていたのだと思います。
 その意味で,こちらのこの地域コーディネーターの方々と地域連携教員の方々との関係ですとか,さらには先ほど大村さんもおっしゃっていましたけれども,そういう先生方を支えるのは学校の中のチーム形成といいますか,もっと言えば働き方改革も含めて,どんな形になっていったらよいのか。1つが,例えば加配ということもあるかもしれませんがもう少し,例えばその校務分掌の在り方ですとか,さらには子供たちへの教え方の在り方ですとか,そのようなことも含めて少し何か,先ほど御紹介いただいた現実とは離れるかもしれませんが,井上さんの方でこうあったらいいのではないかといったお考え等が何かありましたら,少しお聞かせ願えたらありがたいなと思ったのですけれども,いかがでしょうか。

【井上委員】
 ありがとうございます。少し御質問に正面から答えられるかどうか分からないのですが。
 このスキームについては実は協働答申よりも前に描いたものなので,そちらに先行して描いた図かなとは思うのですけれども。いずれにしても,この地域づくりと学校づくり,これは一体的に行うということで,もちろんスキームとしても一体的推進というふうに言われていると思うのですが。その連携というところが一番のキーポイントなのかなと思っています。そうかといって先ほどの質問にあったように,教員が地域づくりまでやってくれるのが一番ありがたいのですけれども,働き方改革も含め,教員の本分である教科指導,それがまず中心的にあるべきだろうと思います。そこで,やはり学校の教育活動を地域活動につなげていく,地域の人につなげていく,その連携の役割,これをAさん,Bさん,この連携教員と地域コーディネーターがうまくやっていくことで,学校のこの活動を地域でもやってください,どうですかというような,そういうつながりを深めていくと一体的推進になっていくのかと思います。ただ,そこが少し一番弱いところかなと思っております。そこら辺も,社会教育行政も絡みながら行っていく,一体的推進はそこが鍵になっていくのではないかなと思っております。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 次に,後から,2番目の山本さんの御報告とも関わってくるかもしれませんので,さきに山本さんの方から首長から見た社会教育人材ということで,次の御報告を頂きたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 山本さん,お願いいたします。

【山本委員】
 それでは,東神楽町長の山本でございます。
 私ども,どちらかというと首長サイドなので教育委員会ということではないのですが,首長の方から社会教育というのはどういうふうに見えているのか,あるいはその社会教育人材というのがどういうふうに必要としているのかということを,私どもの町の実践,それからあるいは北海道としての実践から少しお話をさせていただきたいと思います。
 次,お願いします。
 まず,私どもの町の特徴と公民館活動について御説明をさせていただきたいと思います。
 次,お願いします。
 私どもの町は北海道の真ん中にある町で,旭川市という,今人口32万人ちょっとということになりますが,その町の隣町にあって,比較的ベッドタウンみたいな形で利便性の高い町であります。面積的には北海道としては少し小さな町ではございますが,人口は今9,900人を少し切ったところというところになります。
 次,お願いします。
 特徴としては5つぐらい,子供が多くて,北海道で子供が一番多い町であります。人口が増えていたというのが適切で今減少局面にあっています。花のまちということで,花を中心としたまちづくりをしています。米を中心とした農業あるいは家具工業が盛んです。それから,旭川空港がある町で,私どもの役場から5分ぐらいで着く,非常に住むには便利なところです。地域自治を一生懸命頑張ってやっていまして,これは実は公民館が中心になってやっております。
 次,お願いします。
 その中の一つで,この地域自治,それ以外の説明もしていませんが,地域の中心で公民館が元気で頑張っていますということになります。1万人のところで7つの公民館で今やっています。
 次,お願いします。
 社会教育を様々やっているのですが,やっていることはそれほど皆さんと大きく変わりがあるわけではないなというふうには思っていますが,かなりいろいろな人が関わってやっているというようなイメージはあります。ですので,都市型の町に近い部分がありますが,結構田舎的な部分もかなりあるというところであります。
 次,お願いします。
 総合計画の中で,私どもの町はこの地区別計画というのを位置づけました。地域ごとに計画をつくりましょうというのを位置づけたのが平成25年ということになります。ちょうど12年ぐらい前の話になります。
 次,お願いします。
 そのときに,この公民館地区ごとに地区別計画をつくろうというふうに思ってやりました。これは私の公約でもあったのですが,地域ごとに,こういった自分たちの身近な地域で計画をつくっていきたい,やろうということでございます。
 次,お願いします。
 これはかなり役場の職員が一生懸命頑張ってやりました。ほぼ全員の職員が参加をしてやったということになります。
 次,お願いします。
 実際にはどういうふうにやったかというと,これは事前に研修をして,この例になったところが熊本県の氷川町というところになります。氷川町は合併している町なので,さらに言うと,その合併する前は宮原という町だったのですが,こういったことをやっていて,地域ごとに計画をつくってそれを自分たちで実践をしていくということは,これはすごくすばらしいなと思って見ておりました。それを実践していこうということで,私どもがやっていったということになります。
 次,お願いします。
 実際には4回ぐらいワークショップをやって,地図を基にしながら,例えばその町のいいところ,悪いところ,発見をしていく。そのいいところ,悪いところを発見しながら議論をして,そのことによって,例えばどういうふうにしていったらいいとかいろいろ考えていく。その中で目標を立てていく。その次には,ではその目標を立てて実践をしていくときに誰がやるのだ,住民がやるのか行政がやるのかあるいは協働でやるのかというようなことを議論していくということになります。
 次,お願いします。
 これは1回目のときのワークショップの図なのですが,これ役場の職員と町の人がわさわさワークショップをやっています。結構面白かったなというふうに思っています。
 次,お願いします。
 最終的にどういうふうになったかというと,結構いろいろと議論が出たのですね。それで,当然その地域の中での様々な課題なんかを一生懸命解決をしようということも当然あるのですが,比較的行政に対する不満というよりは,やはり自分たちがもっとやっていかないといけないという強い思いを感じるような場面がありました。そのことによって,かなり地域ごとの活性化というのが進んでいったということになります。
 この中で特に志比内地区という,一番右端の方にありますが,これは一番山の方なのですが,ここがかなり頑張って,ここには実は学校があって,その学校というのは小規模校で今12人しかいないのですが,地元の子は誰もいません。みんな山村留学で来ている子たち,それを地元が受け入れながらやっているということになります。その中で様々議論をしていったというのが,すごく大きかった部分であります。
 その山村留学を取り組んだその行政区,町内会なのですが,5個あった町内会をまとめたということがあります。それと老朽化した公民館の改築なんかも全てワークショップでやっていったのですね。そういったことを実際に進めることによって,この地域が頑張ってやるような仕組みができた。行政区が1つになって地域の公民館も一体にしてしまったという話。それから,地域の住宅活用。実はここは山村留学なので親と子が一緒に来るというケースなのですが,そこで空いている住宅に住むのですが,その空き住宅が実はなくなってきたということがあって,それをどうしようかということで,空いている住宅を地域の人が活用するための取組を考えていた。それから公民館を改築したということになります。
 次,お願いします。
 こういう公民館なのですけれど,雪の風景の公民館になります。ワークショップで行いました。
 次,お願いします。
 平面図で少し見づらいのですが,この公民館って普通の公民館とはかなり変わっていまして,入ったらすぐオープンキッチンになっている公民館になっています。ですので,住民の人が勝手に入ってきて,そこでコーヒーを飲んでおしゃべりができるようなことをしたいということ。それから山村留学があるのでお試しで住みたい,お試しで通ってみたいという子もいるので,和室があってそこで寝泊まりできるような環境,そんなものも整備をしたということであります。非常にコンパクトで使いやすい公民館かなあというふうには思っています。これは本当に住民の皆さんが一生懸命考えてやった。これを北大の先生方が実際に絵を描いていったということになります。
 次,お願いします。
 これ,少し屋根の風景とかです。
 次,お願いします。
 これも側面の風景ですね。
 次以降では,その中で自治体のガバナンスの中で私どもはどういうふうにやっていったのかということであります。
 次,お願いいたします。
 これは少し自治法の問題になるのですが,自治体の執行機関としては当然首長サイドとしての執行機関とプラス行政委員会があるので,例えば行政委員会でいうと当然教育委員会があり農業委員会があったり,あるいはそれぞれの関係する委員会があるという中で,どういうふうな関係の中でやっていくかというと,当然首長サイドからすると,教育委員会に所管するものについてはそちらの教育委員会に任せてしまうということになるわけですが,それに対してどういうふうにコミットしていくのかというのが実は大きな問題になるのだろうというふうに思っています。当然,その権限のやり取りというのが今までもずっと出てきたわけで,その権限のやり取りの中で,例えば社会教育の部分がどういうふうに思っていたかというのが,実は私どもでも大きな課題になっているということになります。
 次,お願いします。
 その中で特にコミュニティーの関係なのですが,これは地域の中でそれぞれコミュニティーが衰退をしていくというのは,これはもう全国の中ですごく大きな問題になっているわけですが。その中では私たちが少し思ってきているのは,単純に限界集落というよりは,やはり地域がどういうふうに思っているのかというより,計画をまずつくったりすることによって様々な課題とか,自分たちでやらなきゃいけないことを認識するということ。それからその中で,私どもは公民館が結構もともと頑張っている地域だったものですから,社会教育みたいなものは比較的地域の中で根づいている部分があると。それを生かしながらやれることができないのかということで,今,地域自治の推進条例をつくろうと思っています。これはまず公民館を充実した地域自治上どういうふうにやっていくのかを考えていきたいということであります。
 次,お願いします。
 そういう地域自治の形みたいなものもやっていく中で,公民館が結果としてはその地域自治の中からオミットされていったというような部分があって,それってやはりその社会教育法の制約の問題かなというふうにはずっと思っておりました。その中で,例えば施設としてはコミュニティセンターという名前にしたり,あるいは地域ごとの地区会館みたいな名前があったり,そういったようなものが出てきた。それから,地域自治の関係の組織なんかについても,これは,どちらかというと例えば公民館というものではなくて,例えば小規模多機能自治みたいなことを提唱するような市町村があったり,あるいはその地域のコミュニティー組織というのをつくってしまうというようなことがありました。
 ただ,そうしたときにやはり課題になって,これが全国の中でそれほど大きなトレンドになって広がっているということではないというのは,実は地域自治の中での課題なのだろうと思っています。それは何なのかというと,一つはやはり社会教育的な視点が足りないのではないかというのは,これは僕の思いであります。要するに次世代を育てようとか次世代のためにやろう,あるいはその地域の人たちが楽しんで学びながらやっていこうというような視点が実は欠けているのではないか。だから,意外と全国で広がっていないのでないかというような思いがあります。そういった学びに対する住民のニーズあるいは未来に対する意識,そういったものを実は包含するのはやはり公民館だったのではないかというのが僕の思いであります。
 次,お願いします。
 それからガバナンスの問題なのですが,これは首長サイドからどういうふうにガバナンスの中で考えていくのかということになります。事務の委任というのは結構できていて,それと同時に社会教育法が様々改正をされたことによって,例えば文化・スポーツの部分については首長部局に移管ができる。あるいは社会教育施設についてもその首長部局に移管ができるということでなっています。当然そのことによって,様々な自治体が首長サイドの方に移管をしていったということになります。
 そうすると社会教育のかなりの部分が移管をされてしまうと,では教育委員会に残っているのは何なのかと言ったら,学校教育だけなのかという話になって,それってどうなのだろうというような思いは実は僕の方ではあります。今の僕らの方の考えとしては,やはり教育の方は教育の方に残しておいた方がいいのではないか。例えば文化・スポーツにしても教育的な視点ってやはり絶対必要だよねという中では,教育委員会に置いておきながら,それで一緒になって共管をしていくというようなことが大事じゃないかと思っています。
 私どもの町の実践の事例としては,例えば未就学児の保育,例えば認定こども園,それから保育園といったものは,実は教育委員会の方に持っていきました。それから発達支援の部分もそうです。それから学童保育,これもやはり学校とかぶる部分もありますし,あと子供全体の中での育成という問題もあるので,これもそうです。それから老人クラブも,これは福祉政策なのですが,今の高齢者の方って元気な方も多いので,それよりはやはり学びの視点とかを含めて,高齢者大学はそもそも教育委員会で持っているので一緒になってやった方がいいのではないのということで,教育委員会に持っていきました。
 その意味でいうと教育委員会の所管が,多分うちの町が全国の中でも一番多いのではないかと思うぐらいの所管をさせてもらっているということになります。ただ,それは逆に言ったら,教育委員会にやったから僕らが関係ないよということは全くなくて,では一緒になってやりましょうというような思いでマネジメントしていくということになります。
 首長部局と協働で実施した方が効率的に執行できる事務は,首長部局と連携して実施をしています。例えば収納の部分でいうと,学校の方になりますが,給食費は公会計で私どもが集めていて,学校の方では誰が滞納しているか分かりません。そういうようなことをやっています。それから,共同事務室みたいなものを持って,例えば学校のそれぞれの消耗品とかの共同購入であったりとか,あるいは様々な教材費とかの納付などというのは共同事務室の方でやって,それに対しても役場の方でコミットしていくような形をとっています。
 今,デジタル化についても,やはりその機械の選定であるとか,あるいはその指導なんかについても一緒になってやるような仕組み,事務の効率化についても同じであります。それからコミュニティー政策の部分でいうと,先ほど言った公民館みたいものはもう教育委員会が所管をしていますが,これもやはり地域自治の中で一緒になってやっていこうというような思いであります。
 それから危機管理も学校だけに任せるということではなくて,例えば最近でいうと北海道も非常に暑くなって,先週は35度を超えるという,そういう中でエアコンがなくて大丈夫かみたいな話があって,小学生が亡くなる事案もあって非常に大変でした。そういった危機管理もやはりそれは役所全体としてやる,自治体全体として取り組む。あるいはさらに学校の事故防止なども,これもやはり私どもの方からもコミットさせていただきながらやっていきたいというような思いであります。その意味では,こういう共管をしながらやっていくという思いであります。
 次,お願いします。
 自治体職員の中でどういうふうに社会教育人材を考えていくのかということであります。
 次,お願いします。
 基礎自治体の役割は,特に私どもみたいな小さな町の場合は,住民のフロントラインに立っているということであります。様々な能力を求められますが,特に住民の皆さんと一緒に協働でやっていこうという能力というのは,これは社会教育人材に求められているものとかなりかぶるというふうに思っていまして,こういったことができなければ,逆に役場の職員ってなかなか難しいという思いがあります。
 私どもの町は120人あまりの職員しかいない自治体でありますので,社会教育だけを一生やっていくという職員はいません。ですので,そうした中で社会教育をある時期通り過ぎるということがあって,その中でどういうことを学んでいってキャリアアップをしていくのか。あるいはプライベートで実際に自分の町に住んでいますので,その中で例えば地域の公民館とか地域活動とかに関わって,その中でどういうふうにステップアップをしていくのかというときにこの社会教育をやっていくと,やはり非常にいい人材になっていくというふうな思いであります。
 次,お願いします。
 北海道としてもそういったこともあるということなので,社会教育主事講習の中で,例えばファシリテーション能力とか,あるいは公民館がどうしても防災拠点になりますので,その防災の取組,それから実際今DXなんかもどんどん進んでいますので,そういった講義を追加しながら主事講習の改善をしていっているということ。
 それから,先ほども言ったそのコミュニティーに対するものというのは,実は公民館って有効なのではないかということに首長さん方も大分気づいてきた。そのことが結果としては,その公民館振興首長部会というのを私どもは北海道公民館協会の中でつくって,では,その公民館というのを社会教育の部分だけではなくて,コミュニティーの活性化のためにやはり何とか頑張っていかないといけないのではないか,そのことを首長サイドとしても勉強していこう,あるいは連携をしていこうというような思いであります。
 ですので,首長サイドからも優秀な社会教育人材を求めていくというのは,私どもとしても例えば採用の部分であっても必要でありますし,あるいは職員研修といった中でも必要だと思っておりますので,私どもも主事講に職員を出しながらやっていきたいと思っています。また,これをもう少し大きな流れの中で組み込めれば,やはり地域にとっても非常に有為な人材が形成できるんではないかと思っておるということであります。
 少し駆け足で申し訳ございません。そのような形で発表させていただきました。どうもありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 東神楽町という小さな自治体ですけれども,特にそこにおける,いわゆる地区会議ですか,地区会議で住民自治を基本にして地区をつくり変えていったということ。さらに,そこに関わる行政の在り方として,いわゆる社会教育的な力がないと行政も回っていかないのではないか。特に,住民の中に入り込んで住民と一緒になって社会をつくっていく,ここに共管の思想とありましたけれども,そういうような形で,ある意味では補助執行等も使いながら,新しい自治の在り方をつくっていく。そのときに,社会教育人材という方々がある意味一般行政の中にたくさんきちっといるといったことが大事ではないか,そういうようなお話だったと思います。どうもありがとうございました。
 では,今の山本さんの御発表に関しまして,御質問ですとか御意見等ありましたら,お出しいただけますでしょうか。
 では,オンラインで原さんの方から,まず,お願いできますでしょうか。

【原委員】
 東北学院大学の原でございます。御発表ありがとうございました。
 私も社会教育士の活躍の場をどこに求めるのかというのでいきますと,先ほどの井上委員さんからのところとも重なるわけですが,やはり社会教育の元来の領域の中に探していくというのをまず第一で考えていかなければいけないのではないかなと思っておりましたので,今の御発表では,まさに共感する事例を頂いたなと思います。
 公民館のところが中心になっていましたけれども,公民館を運営していく中で足りない部分や,あるいは公民館を通じて新たなことができる部分に,社会教育士の活躍の場や活躍の機会というものを創っていく,あるいは見いだしていくという,そういった方法論的なところも含めて本当に参考にさせていただきました。公民館だけではなく,例えば,図書館だとか,あるいは博物館だとか,例えばそういった社会教育施設の中に,社会教育士が活動する場,活躍する場,あるいは先ほど地域の計画を作るというところがございましたので,公民館がカバーできるというか,対象としているところの中でももう少し地域の中で社会教育士の方々が活躍をするような場,そういったところがまだまだあるような気がするのですけれども,例えば図書館だとか,あるいはほかのところで,そちらの町のところで今後期待できるようなところがあれば,少しそちらをお伺いするとまたほかのところでも参考になるのかなと思いました。もし何かおありでしたらお聞かせいただければと思います。

【山本委員】
 私ども,どちらかというと,昔からこういうのを普通にやっていて,職員の社会教育の専門知識もすごくあって,やっているという感じではそれほどないのですね。逆に言うと,僕も今,社会教育とか公民館とかに関わりがどんどんどんどん深くなればなるほど,もう少し専門的な知識を持った方が多分いろいろなことができるのではないかという思いがあって,職員をどんどん研修に,主事講習に出しているというイメージなのですね。ですので,その意味では,やはりまだ実際のフロントラインにみんな立てている状態ではあるが,まだ少し知識的とか,専門的な部分がおぼつかないところがあるので,それをもっとバックアップできるようなやり方をしないといけないかなと思っております。
 ただ,こういったことが結果としては,地域の皆さんの満足度につながっている部分があるかと思っていて,町の幸福度ランキングというのがあって,全国ランキングですが,その中で小さな町のふるさと版というのがあって,その中で,東神楽町町が全国1位になったことがあります。それは結局こういった公民館活動とか,そういったものに対する満足度が高かったからではないかというのがあって,単純に行政が施すというよりは,行政と一緒になってやっていく場面を住民の皆さんも理解しているのではないかと思っています。そのことで特に,例えば小さな項目なんかでいうと,行政に対する信頼度が実は全国1位だったのですが,そこが強かったような気がしております。
 すみません,答えになっているかどうか。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 そうしましたら,関さん,お願いできますか。

【関委員】
 ありがとうございます。関でございます。
 今の山本町長さんのお話では,住民の数は1万人弱ぐらいですよね。そこに町職員が120名,さらには公民館が7つあって,それぞれが当事者意識を持った住民自治を進めている,本当にすばらしい町だなと改めて感じました。職員が120名ということでしたけれども,例えば公民館にも町の職員が勤務されるようなシステムなのか,あるいは住民の中で社会教育人材としてこれはという人がそこにいるのか,その辺を教えてもらいたいのが1点。
 あと,町の職員のキャリアの中で,社会教育の経験というものが考慮されて,いろいろな部局に異動していくのでしょうか。若い時期の経験が,将来,町職員としての力量というか,能力に反映されていくような事例など結構あるのではないかとも推測されるので,その辺り,もう少しお聞かせいただけたらありがたいかなと思っております。

【山本委員】
 ありがとうございます。私どもの中で,社会教育を担っているというか,地域の元気づくり課という名前で,社会教育課でも何でもなくて,地域の元気をつくるのだということで少し地域の元気づくり課という名前,8年ぐらい前に変えたというふうに思っていますが,その中で実際は町全体の社会教育の部分を担っているということになります。ですので,地区ごとの公民館に対しては,それぞれの職員を派遣しているということは実はなくて,地区館はそれぞれ各自が勝手に運営をするということになります。ただ,私どもの町の職員も結構地元に住んでいますので,その職員が地区館の中で運営委員として関わっているケースはかなり多くて,僕なんかも昔は関わっておりましたが,そうした中で社会教育的なことを実際にプライベートで実践をしているというようなことであります。
 それと同時に,逆に仕事として社会教育を担当した職員というのは,住民の皆さんとしっかり対話ができたり,様々オーガナイズしていくことが得意な職員が多いので,先ほどのような地区別計画であったりとか,あるいは結構いろいろな場面でワークショップをやるのですけれども,そういった場面で自分たちでファシリテートしながらできるというような能力がついてくると思うので,人材を育成していく,キャリアアップしていく最初のステップの中に,やはり社会教育というのを織り込むというのは結構私どもとしても重要だと思っています。長野県の飯田市とかは,初年度に職員は公民館に行くというのを結構ベースにしているというのも聞きましたけれども,私どももそれに近いような形で考えているというところでございます。

【関委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。御発表ありがとうございました。
 2点お聞きしたいのですけれども,非常にすばらしいと思ったのは,通常所管が,教育委員会から部局に行くというのはよく見るのですが,部局から教育委員会に来るという攻めの姿勢ということですか,それが非常に感動したのと,あと,通常公民館がコミセンになってしまうという流れの中で,公民館活動が充実しているという状況は,市長の山本さんのお力なのかなと思うのですが,ただ,これからの社会教育士がどれだけ活躍していく,また拡大していくかと考えた場合に,社会教育士が部局の方でも異動したときに活躍していく,部局にとっても効果的な人材なのだということをアピールしていく必要があると思うのですが,教育委員会から部局に行った社会教育主事の有資格者の中で,部局で活躍されているような例を把握されているかどうか,また,資格を持った方々同士のネットワーク,ハブとしての期待がかかっているものもあると思うのですけれども,ネットワークみたいのがあるのかどうか,この点もしありましたら教えていただければありがたいと思います。

【山本委員】
 ありがとうございます。
 私どもの中で,例えば役場の中で誰が社会教育士になってというのは当然分かっていますけれども,役場の中でネットワークになっているというのはないです。ただ,道全体の中では社会教育主事の会みたいのがあって,そこでオーソライズしていく,まとめていくというようなことになっているのだと思っています。
 ただ,キャリアがステップアップしていく中で,やはりそういったことを持っている人たちが昇進していくというようなことであったり,あるいはインセンティブとしてなっていくようなものも必要なのかなと思っていて,今,僕個人としては,できるだけ年に1人は主事をつくりながら,その子が常に社会教育をやるということではないけれども,キャリアの中でそういったことを学んだということをベースとしていけるような,そういったことができないかなと思っていて,できる限り,主事講習の方には出すようなイメージでいるというところであります。

【井上委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 では,大村さん,お願いいたします。

【大村委員】
 大村です。どうも発表ありがとうございました。
 今,お話をお聞きして,やはり公民館での活動がまちづくりとかなり一体的に展開されているのだなと理解しました。その上で,この会の大きなテーマである社会教育人材というときに,お話を聞いていると,1万人の自治体で120人の職員で,その120人の職員の方たちが社会教育人材として活躍されているのかとイメージしたのですが,実際の数字がもし分かりましたら,120人の中での有資格者,今どれぐらいなのか,それから,社会教育職員,仕事として社会教育をやっていらっしゃる方が何人ぐらいいらっしゃって,その内どれぐらい資格を持っておられるのか。
 それから,もう一方で,公務員以外の住民が,そうした社会教育主事の資格を取ったり,社会教育士の賞を取ったりしていることはどうなのか,特に今,公民館の館長や主事は住民の方がなっていらっしゃるとお聞きしましたので,そこではそういった資格取得の動きがどうなっているのか,あるいは社会教育関係団体の関係者も多分そこには大きく関わっていらっしゃると思うのですが,それも含めて,住民の中での資格取得の動きというのを教えていただきたいのですか。

【山本委員】
 ありがとうございます。
 今,私どもの町で社会教育主事の資格を持っている職員って多分10名弱ぐらいだと思います。現実的に,今,地域の元気づくり課というところでは8人ぐらいしかいない職員で回しているので本当に少ないと思っています。その中で資格を持っているのは,今でいうと2人ぐらいかな,かなりステップアップして出てしまうというケースが多いので,今,2人ぐらいかなと思っています。
 現実的に,北海道,今までどうだったのかというと,主事の資格を取るためには全部札幌に行かなきゃいけなかったのです。札幌に1か月行くったら相当ハードルが私どもも高くて,出張で出すにしてもなかなか難しかった。それが3年前から道の方でオンラインでできるようになったということでかなりハードルが低くなって,それを出せるようになったことが全道の中でも大きなことになっていると思います。
 実際,住民の中で資格を持っている方というのは,例えば元先生で資格を持っていたという人はいるかもしれないのですが,ほとんどいません。ただ,前,北海道の道教委の方から発表があったように,やはりそういった人材も受け入れられるということも増えてきているのだと思いますし,そういうふうに学びたいという方も増えてきているのだろうと思いますので,できるだけ門戸を広げながら,私どもも,そういった形で受講できるような応援はしていきたいなと思っていますので,住民の方が受け入れられるような仕掛けがもう少しできたらいいなと期待もしております。

【大村委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。今日,御発表が3つなものですから,時間があると思って油断していましたら,あともう30分になってしまいましたので,次に古賀さんの御発表をお願いしたいと思います。
 NPOにおける社会教育人材の活躍についてということで,よろしくお願いいたします。

【古賀委員】
 古賀です。
 NPOにおける社会教育人材の活躍について,お話の前に少し前置きさせていただきます。「社会教育人材」と申しますのは,有資格あるいは有称号者か否かというのはさておいてという含みがあります。それから,「NPOにおける」とつけてはいるものの,NPOの団体内とかNPOセクター内の話ではもったいないので,地域におけるNPOにおける社会教育人材の活躍ということで,「地域における」という含みでお話します。
 まず現状としまして,公的機関や民間それぞれいろいろな場面で社会教育的な人材が活躍する場面が増えてきた印象があります。まず,公的機関につきましては,例えば私どものNPOでも長らくコーディネートしているところでもある公民館,よく聞かれるのは親子も含めた若い世代に利用してほしい,あるいは地域では高齢者も含めて単身者が増えているので何とか単身者にも利用してもらいたいとか,いろいろな願いが聞かれます。そこで,資料に「新境地」と書いております通り,NPOや企業とマッチングして公民館と協働で課題解決とか若年者の参画の場とかをつくるというような,新しいチャレンジングな動きが出てきていましす。ここにおいてNPOが活躍する場面が増えてきているなという印象です。
 課題解決というと,例えば防災や外国人との多文化共生,住民間のつながりづくりだったり,「 ウェルビーイング」の方向性とも重なると思うのですが,実にいろいろなNPOが,それぞれに専門外のような課題に対してあえて活躍する場面も増えてきました。
 例えば私どもがコーディネートした中でも,地域でスポーツを推進しているNPOは身体的なトレーニングについて高い専門性があるということで,高齢者向けに,自宅でもできる基礎的なエクササイズの指導をしていただいたことがありました。これは一見「高齢者福祉」なのですが,スポーツ分野のNPOの方々が主となっての取り組みでした。
 それから,児童館についても長らくNPOや企業とのマッチングのお手伝いさせていただいた経緯があり,「次世代育成」という目的で様々な体験活動をコーディネートしてきました。ただこのところ,ひとり親家庭も増えておりまして,児童館としては社会的包摂といった側面も配慮する必要性が出てきているようです。その中で様々なNPO,例えば環境教育とか野外体験が得意な団体だったり,昔からの郷土文化学習が得意だったり,そのような様々な団体に出入りしていただいて,学校や家庭ではなかなか体験できないことを児童館で叶えるためにNPOが活躍することが増えております。
 それから学校教育においては,地域のボランティアも含めて学習支援に取り組んだり,さらには中学校,高校あたりになると,大学生とマッチングをして,この年齢になると割と進路選択もリアルに考える年代ということで,大学生との対話の機会をNPOがコーディネートする機会も最近ちらほら出てきているところです。ほんの10年前,十数年前などではなかなかなかったような多彩な学びや体験の場が,学校の中で出てきているなという印象です。
 加えて公的機関以外でも,以前私どもでコーディネートして非常に印象深かったエピソードとしまして,企業と協働で生物多様性について体験的に学ぶプログラムを実施したことがあり,実施内容についてNPOと協議した結果,アメリカザリガニという外来種が国内でも増えていて,身近な池とかにもあるということで,これを題材にした活動をしましょうと提案いただきました。加えて,ただ観察するだけというのも面白くないということで,料理の専門家の方も交えて,アメリカザリガニを一度採って,生態を学びつつ1週間きれいな水に置いて泥等を抜いて,子供たちと調理体験をして,生き物の大切さ,命の大切さを学ぶという流れで,食育という側面も絡めてやったこともありました。このプロセスでは,いろいろな方に企画を頂いたのですけれども,こういう化学変化みたいなところが非常に面白いなと思った次第です。
 まちづくりにおいては,最近各地で増えている印象なのが,NPOが商店街,大学等と協働してのイベントです。親子向けのアート活動とか地域のフィールドワークとかのアクティビティもNPOが関与して盛んに行われている印象があります。
 地域福祉の分野でも,社会福祉協議会とか,あるいは最近,社会貢献活動に関心を寄せる社会福祉法人も増えておりまして,世代間交流や人権学習,防災学習などが行われています。特に防災については,障害者のための自助の学びのプログラムなどにNPOが関与する場面が出てきた印象です。
 資料に「所感」と書いておりますが,総じて感じているところとして,以前に比べるとコロナ禍もあいまってか,何か地域の中でユニークな体験や学びを手軽にやりたいという潜在的なニーズが高まっている印象があります。官民で「社会教育」とうたわずとも社会教育的なユニークな学び・体験・交流など,つながりづくりのきっかけとなる関わり,すなわちタッチポイントが非常に増幅してきたなという印象が一つあります。
 2つ目として,それに関連して,NPOは,中には非常にその団体ならではの専門性とか,スキル・ノウハウを持っているところがありまして,そうした力量のあるNPOが各所で,時には分野を超えて活躍する場面が増えております。私が住んでいる福岡の方もそうですけれども,中にはリピーター的なファンを有し,年中いろいろなスポットで活躍する団体も増えてきました。
 それから3つ目,うれしいことにNPO間で社会教育の認知度が向上してきている印象があります。私自身2002年から九州・沖縄エリアの社会教育主事講習を担当させていただいていますが,目に見えてNPOの方々の受講が増えてきております。NPOの間でも,何が起因してか分からないのですが,徐々に社会教育を意識する向きが出てきていることは喜ばしいなと思っているところです。
 そこでということで,資料2枚目の方では課題も幾つか書いております。せっかくなので,私が見聞きしている限りでのNPO関係者の生の声にも触れながら3つお示ししたいと思います。
 1つ目が,社会教育の知見の活用がもっとNPOに広がったらいいなということです。私自身が社会教育のファンでもありますので,できれば資格・称号取得のインセンティブになったり,社会教育のファンのような人たちも増えたらなといった願いを抱いています。先月講師を担当した社会教育主事講習でも聞かれたのが,社会教育主事講習を初めて受講した文化関係のNPOの方の,「これを受講しながら,これまで自分たちがやってきたことの強みとか地域でのポジション,立ち位置,それから自分たちの団体としてこれから地域の中で担うべき役割を再整理できた」という非常に熱く前向きな御意見です。
 裏を返すと,ここまでの認識に至れるというのがまさしく社会教育なり,社会教育主事講習の良いところかと思いますので,こういう人たちが増えてきたなとを肌身をもって感じました。
 加えて聞かれた声として,「社会教育主事講習といえば,異業種・異年齢の方々が受講されていて,こういう講習で多様なつながりを一手に得た」というのもありました。「ここで得たつながりをそのまま現場の活動に生かせそうだ」というような非常に前向きな意見もありました。社会教育主事講習は異業種交流という側面も非常に強いので,もっともっと潜在的に蓄積しているであろう社会教育の人材のつながりが,NPOの間でも生かしていかれたらなと思ったところです。
 それから2つ目,縦割り。これは専ら行政において縦割りということが批判的に使われたりするのですけれども,私が属するNPOセクターにおいても同様のところがありまして,福祉は福祉とか,環境は環境とか,どうしてもセグメントしたような発想で動きがちになってしまいます。これも実際にNPO関係者から聞かれた声なのですが,「自分たちのやっていることは全くもって社会教育なのに,当の社会教育の関係者になかなか振り向いてもらえない」とのことでした。
 加えて,公民館とマッチングをした際に,NPOの方々が「公民館って実に多彩なことをやっていて,自分たちももっともっと知らなきゃと思った。これまで全く別世界と思っていた」というような声も聞かれました。すなわち,NPO自身もおのずと活動のフィールドを無意識のうちに狭めているおそれがあることも感じておりまして,自分たちで縦割りを越境していくことの大切さを,私たちもこれからしっかり伝えていかなきゃと思っているところです。
 それから,最後,私自身,長らく中間支援のNPOとして活動している立場として,マッチングやアイデア交換が可能な恒常的な環境づくりというのが必要だなと思っております。中間支援NPOなり公民館なりで「つなぐ」ということまで関心を払って日頃から活動している人がいるのであればいいのですが,やはり地域によってはそうした機能が皆無というところもあります。一方では,熱心に地域とつながりたいとか,それこそ課題解決に役立ちたいという願いを持っているNPOの人たちもいらっしゃいますので,そうした人たちや諸機関,これは企業も含めてなのですが,接点づくり・活動の場づくり・環境づくりがまだまだこれから必要と思っております。
 環境づくりというと,ひとまずポータルサイトとか交流のイベントとかの大仕掛けなことをイメージしがちなのですけれども,例えば私たちがこれまでやってきた経験値でいうと,ひとまずニーズをキャッチし,見えてきた課題を整理する役がいたり,地域資源の情報を蓄積している人がいたり,団体の特性を見極められる人がいたり,企画会議に同席をしながら計画の進捗を確認したりというプロジェクトマネジメントができる人がいたり,そのプロセスで,ファシリテーションなり,会議の円滑な運行ができて,最終的には課題出しもできるような,いわゆる伴走役ができるような人がいればいいのだろうなと思っているところです。
 雑ぱくではありましたが,ひとまずお話は以上とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 地域におけるNPOの社会教育人材の活躍についてということで,NPOの方々も,今回この社会教育主事,それから社会教育士に注目をされてきているということ,それから,NPOの活動が社会に展開していく中で,認知度が広がっていくのだけれども,従来のいわゆる社会教育と,NPO等の新しいタイプの社会教育の在り方に齟齬(そご)が生じているというか,相互乗り入れがうまくいっていないのではないか,そういうことの中で今後どうあったらよいかという話があったかと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,少し時間も押してきておりますけれども,ただいまの古賀さんの御報告に対して,御意見ですとか御質問等ありましたら,また名札を立てていただくか,挙手をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 関さん,どうぞ。

【関委員】
 失礼いたします。古賀さんの日頃の活動,いろいろな情報を我々もインターネットを通して拝見しております。本当すばらしい活動をしているなと改めて感じております。
 1点お伺いいたします。今,古賀さんたちは中間支援組織として,NPO相互のつなぎ手の役割を担っておられると思います。その中で,NPOの中間支援組織と行政内の,例えば社会教育主事のようなつながりというものは日常的に結構あるのでしょうか。その辺が昔から課題で,私自身も社会教育主事であるときが多かったのですが,振り返ってみるとNPOの方々と日常的なつながりというものがなかなか構築できなかったことを反省しています。都市部の社会教育の場と,地方の小規模な自治体の社会教育の状況とも違うような気もするのですけれども,そういう中で,社会教育主事,社会教育人材とNPOがつながって成果を上げてきたグッドプラクティスがございましたら,その辺,何か教えてもらえたらいいなと思います。

【古賀委員】
 古賀です。ありがとうございます。
 行政組織の業務分掌によりけりです。社会教育課なり生涯学習課というところがボランティアをある程度所管されていれば接点がつくりやすいのですが,どうしてもNPO・ボランティアとなると市民活動推進課とか地域づくり課とかが所管されているので,我々NPOからすると一番近い距離はそういう部署で,なかなか教育委員会所属の社会教育課とかとは接点が持ちづらいところです。
 一方で最近,社会教育生涯学習関係の部署の職員さんも積極的にNPOと接点を持とうとされていて,いろいろな会合にも顔を出されているので,属人的なつながりは以前に比べると結構増えたかなという印象があります。

【関委員】
 ぜひもっとつながったらいいですね。

【牧野部会長】
 よろしいでしょうか,ありがとうございます。
 倉持さん,お願いいたします。

【倉持委員】
 御報告ありがとうございました。
 すごく勉強になって,特に資料2枚目のところの観点がそれぞれ,ああ,なるほどと思いながら伺いました。資料1枚目のところで,「NPOの間で「社会教育」の認知度が向上している。(例:主事講習)」というところがより興味を引いたのですけれども,NPOの方の受講が増えているというようなこともあるということで,これって何か背景とかきっかけとか理由があるのでしょうか,古賀さんの御存じの範囲のところで少し教えていただければと思います。

【古賀委員】
 先ほどお話ししそびれたのですが,指定管理者制度に基づいて指定管理の施設を担っているNPOが,職員を派遣しているというケースが大半のようです。講習主催者がそういうところにも積極的に告知されているのかと思われます。
 任意のNPOの方の参加はほぼ皆無というのが現状ですね。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかに御意見,御質問等ありますでしょうか。
 どうもありがとうございました。今日は最初に「中間的まとめ」の御報告がありまして,その後,お三方,井上さん,山本さん,古賀さんの方から,それぞれのお立場から社会教育人材の活躍についてお話を頂きました。
 私の方から簡単に所感めいたことを申し上げますと,最初井上さんの方からの報告は,人生100年生きる子供たちに対してどのような学びを保障していくのか,そのときに地域と学校がどう連携,協働の関係を取ることができるのか,特に学校の立場から,どのような形で学校の中の組織の在り方も変えながら地域との共同活動を展開していくのか,そのときにまだ少し一つ壁があるといいますか,地域との関係の中で,学校から地域を変えていくとか,また学校の方から子供を出して,地域にある種教育活動のようなものをお願いするという関係にはなかなかつながっていかないというようなお話があったのではないかなと思います。
 その意味でやはり,地域側の,地域学校協働推進員のような方々と学校はどういう関係をつくっていくのか,もっと言えば,学校の在り方そのものが地域とどう結びついていくのかといったことが今後問われてくる。そこが,もしかしたらある意味ではコミュニティースクールづくりといったことの大きな鍵になってきているのではないか,という印象を持ちました。
 それから,山本さんの方からは,地域が自主的に活動を展開していく,さらに住民の方々が自らのコミュニティーをつくっていくときの公民館の重要性であったり,さらにワークショップのような形式がきっちり取られていく中で,自分たちで町をつくっていくという,当事者になっていく,そうしたときに社会教育的な手法がどうしても必要になってきますし,その意味で職員の方々が,社会教育主事,また社会教育士のきちっとした講習を受けているといったことが大事になってくるのだ,という御指摘があったかと思います。
 さらに,そのときに,井上さんとは逆の方向で,地域から,例えば学校とか,それから教育委員会との連携の中で,次の世代をどう育成するのかといったことも,この地域の持続可能性といったことも考えていくと,課題になってくるのではないか,そういう意味では,そこに社会教育的な考え方であったり,手法といったことを組み込みながら,どう連携を取っていくのか,特に,いわゆる首長部局と教育委員会との関係をどうするのか,が問われているというお話でした。今日とても興味深かったのは,一般的には教育委員会の方から社会教育や生涯学習を首長部局に出すという話はよくあるのですが,山本さんのところは逆に持ち込んでいくというか,関係する福祉なども持ち込んでいって,教育委員会に一緒にやっていこうという関係をつくっていらっしゃる。このことことがとても興味深いと思いました。
 それから,あと古賀さんの方からは,NPOという,ある意味,新しい活動のアクターになるわけですけれども,NPOが社会的にどんどん広がっていく中で,今回の社会教育士の称号も含めて認知度が広がっていっている,さらに気がついてみたら,自分たちがやっていることが社会教育ではないかというようなことになっているという御指摘があり,そうなのだけれども,こういうNPOの動きと,いわゆる従来の社会教育,いわゆる公的社会教育と言われているようなところとの,まだ少し齟齬(そご)があるといいますか,その齟齬(そご)をどう解消しながら新しい社会基盤づくりをしていくのか,特に新しいアクターがどのように社会づくりを担っていくようにつながっていくのか,そういうことが問われているのだ,という御指摘だったのではないかと思います。
 その意味で,例えばもう古い話ですけれども,戦後の公民館づくり等に活躍された鈴木健次郎が,社会教育は社会の地下水脈であるという話をされていたり,最近ではこの生涯学習分科会の方でも,社会の基盤づくりであったり,さらには社会の人間関係を耕しておくというような表現で,社会教育が,いわゆる教育行政だけに限らず,むしろ社会の様々な基盤をきっちりとつくっていく,そのときにやはり人的基盤ということをしっかりつくっていくものとして位置づけようとしてきたことと,今日の議論というのは関わってくるのではないかと受け止めました。どうもありがとうございました。
 さて,まだ少し時間がありますので,これまでの議論を受けてお三方から一言ずつ最後に,何かお考えでも感想でも結構ですので,言っていただければと思いますけれども,いかがでしょうか。
 井上さんからお願いしてよろしいですか。

【井上委員】
 ありがとうございました。今日いろいろな方のお話を聞いて,やはり学校だけではなくて,地域とのつなぎ役となるのが社会教育士の大きな役割,またミッションというか,長所になっていくと思いますので,その点からの社会教育士取得に向けたアプローチというものも大変重要になってくるのかなと感じました。今日はありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうありがとうございました。
 山本さん,お願いいたします。

【山本委員】
 どうもありがとうございました。私ども,どちらかというと一方的にこんなふうにやっているというだけの話だったのですが,しかしやはり僕らが思っている以上に社会教育ってニーズがあるというか,求められているものって多いなと思っていました。
 先ほどの栃木県の話なんかも,いや,北海道の教員の先生方が社会教育士に関心持ってくれたらもっといいのになという思いがやはりあって,もう少しこういったムーブメントみたいのを社会全体に広げていければなというような思いを改めて感じさせていただきましたし,またNPOの関係も,役場の職員なんかももっと外に飛び出していって,属人的な関係をもっとつくらなければ駄目だろうという,仕事は切るかもしれないけれども,そうではないところもっと頑張っていかなきゃいけないなというのを改めて思いました。ありがとうございました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 古賀さん,お願いいたします。

【古賀委員】
 今の牧野さんの御発言を受けて,新しいアクターとか人的基盤というところに非常に触発される思いがしています。今,団体数自体,NPOは必ずしもどんどん増えているわけでもなく,実は高齢化が進んでいたり,若い世代は複数のいろいろな緩いつながりで活動することを試行していたりもしますので,団体としての活動もさることながら,NPOとしても異業種のつながりを持ちながら,いかにそういう人たちを取り込んでいくかということもこれから必要になるなと感じた次第です。
 貴重な機会をありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 熱心な意見交換どうもありがとうございます。今日はもう少し早く終わるかなと思っていたのですが,すみません,読みが甘くて申し訳ありませんでした。
 それでは,今日の議論はここまでとさせていただきまして,また後ほどでも結構ですので,御意見等ありましたら事務局にお届けいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に,事務局の方から何かありましたらお願いいたします。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 資料4を御覧ください。今後の審議予定案をお示ししております。次回は11月13日月曜日,15時から17時で開催を予定しております。第7回以降については記載のとおりです。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 次回ですけれども,11月13日,15時から17時の開催予定ですので,どうぞ御予定いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,本日の社会教育人材部会をこれにて閉会したいと思います。
 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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