社会教育人材部会(第2回) 議事録

1.日時

令和5年6月28日(水曜日)17時00分から19時30分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6 階) ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育主事講習実施機関からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)古賀委員,関委員,野津委員,牧野委員
(専門委員)青山委員,井上委員,大村委員,倉持委員,塩田委員,原委員,山本委員

文部科学省

(事務局)藤江総合教育政策局長,里見大臣官房審議官,森友社会教育振興総括官,神山生涯学習推進課長,黄地地域学習推進課長,西リカレント教育・民間教育振興室長 他

5.議事録

【牧野部会長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第2回社会教育人材部会を開催いたします。本日はお忙しい中,また,とても暑い中お集まりいただき,どうもありがとうございます。本会議は,対面とオンラインを併用して開催させていただきます。
 なお,本日もYouTubeのライブ配信を行い,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から,会議の全体について録画を行いたい旨,申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。よろしくお願いいたします。
 では,次に,事務局から,オンライン会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
 事務局の中村でございます。本日は対面とオンラインを併用して会議を開催させていただく観点から,4点お願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただくようお願いいたします。
 2点目,御発言の際にはお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
 3点目,後発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 4点目,発言に当たっては挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。
 本日,会場にお越しの委員の皆様は,御発言の際には挙手又はネームプレートを立てていただくようお願いいたします。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第のとおり,資料1から資料5,参考資料1,参考資料2でございます。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,これから議事に入りたいと思います。前回と同様,本会議では,何々委員という呼び方ではなくて,何々さんという形で呼び合いながらざっくばらんに議論を深めたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 前回,第1回目ですけれども,社会教育主事,それから,社会教育士の在り方について,各委員から御意見,お考えを主にお聞きした形になるかと思います。そこでは,社会教育主事の養成において,主事発令されなくても,地域社会等で専門職として活躍できるようにと設けられた社会教育士の称号と,社会教育主事との関わりについて,特に重点的に議論がされたのではないかと思います。つまり,称号としての社会教育士を授与されることにより,社会教育主事になることを目的とするわけではなくて,むしろ地域や様々な領域で活躍ができる専門職としての社会教育士の称号の取得を目指して講習等を受けられる方が増えたのではないか。そうなりますと,従来の社会教育主事という専門職資格と,社会教育士という称号との関わりの在り方について,もう少ししっかりと議論をすべきではないか,ということになったのではないかと受け止めております。
 今回は,そうしたことをきっちりと整理する意味も込めて,社会教育主事講習の実施状況について,特に北海道立生涯学習推進センター,それから,愛知教育大学,大東文化大学,島根大学の4つの機関・大学,それぞれについての取組についての御発表をお願いしたいと思います。
 この4機関・大学ですが,社会教育主事講習について,又は,社会教育主事の課程について,それぞれ様々な新しい取組をされていまして,いろいろ工夫をされていますので,そういう点も含めて御紹介いただきながら,今日の議論に進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,早速ですけれども,議事に入りたいと思います。
 まず,北海道立生涯学習推進センターから,全科目オンラインを活用した社会教育主事講習の取組について,御発表をお願いいたします。伊藤さん,よろしくお願いいたします。オンラインでの御報告になります。お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 北海道立生涯学習推進センターの伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は,当センターが実施しております社会教育主事講習について御説明させていただきます。失礼ですが,資料を共有させていただきます。
 本日の説明の流れでございますが,初めに,北海道立生涯学習推進センターについて御説明させていただきます。次に,「当センターが実施する社会教育主事講習の概要」,「3つのポイント」,「受講者数,受講者層の変化」,「オンラインでの実施による可能性と課題」,「課題に対する取組」,「受講者の声・感想」を御説明し,最後に,「社会教育主事講習を通じて目指すこと」をお話しさせていただきます。
 北海道立生涯学習推進センターは,北海道教育委員会所管の教育機関としまして,平成3年に北海道立社会教育総合センターとして,北海道札幌市にある道民活動センタービル「かでる2・7」に設置され,平成13年に現在の名称へ変更しました。
 ちなみにですが,この「かでる」というのは,仲間に加えるという北海道の方言から来ております。「かでる2・7」の2・7は,このセンターの住所,北2条7丁目を指しております。
 センター長は,平成27年6月から,北海道教育庁生涯学習課長が兼職しており,令和3年4月からは,機構改正による課名の変更によりまして,社会教育課長が兼職しております。
 当センターは,本道における生涯学習振興の拠点として,市町村や高等教育機関及び産業界と連携を図りながら,社会の進展や地域の要請に応える事業を総合的に行い,道民の様々な学習が促され,それらの活動が豊かに展開されるよう支援することを基本方針とし,主な機能としまして,「調査研究」,「指導者の養成・研修」,「学習情報の提供・相談」,「学習機会の提供」,「教育メディアの利用促進」を担っております。
 これらの機能のうち,「学習機会の提供」の具体的な内容といたしまして,今年度実施する事業を1つ御紹介いたします。
 札幌市では,年に一度,夏の昼の時間が長いときに,札幌市内全域の公共・文化施設,企業施設を特別に夜間開放し,市民の地域文化への関心を高めることをねらいとした「カルチャーナイト」を実施しております。今年度,当センターでは,この「カルチャーナイト」に合わせまして,北海道と包括連携協定を締結しております明治安田生命様と連携をして,「親子で学ぶ!こども航空教室」を開催いたします。
 こうした様々な事業の実施や丁寧な情報発信により,新しい北海道を創造する人づくり,地域づくりに関する学習の機会の提供を行っております。
 それでは,当センターが実施する社会教育主事講習の概要について御説明させていただきます。
 当センターでは,令和2年度から文部科学省の委託によりまして,社会教育主事講習を実施しております。現在は3名の職員がこの業務を担当しておりまして,うち2名が社会教育主事となっております。
 実施方法といたしましては,北海道の広域性を踏まえまして,オンライン会議システム「Zoom」を活用し,道内外の多彩な講師による講義を配信しております。
 また,多くの方が受講しやすいよう,A日程,B日程と年2回実施しており,A日程は7月から9月の平日に設定し,B日程は10月から1月の休日や学校の冬季休業中に設定しております。
 令和2年度から令和4年度の受講者数は,御覧のとおりとなっております。
 当センターが実施する社会教育主事講習の3つのポイントについて御説明させていただきます。
 1つ目は,「全科目のオンライン実施」です。民間を含む多くの方が受講しやすいよう,講師や受講者間での双方向の交流の確保にも配慮した上で,全科目をオンラインで実施しております。
 2つ目は,「「社会教育演習」における専門的な分野に特化した学び」です。防災教育,高齢者教育等の専門的なテーマに特化した事業の企画・立案により,それぞれ専門性が身につくように取り組んでおります。
 3つ目は,「北海道社会教育主事会協議会との連携」です。北海道社会教育主事会協議会とは,各市町村の社会教育関係職員で構成された任意団体で,各管内におきまして自主研修を実施するなど,それぞれの地域の社会教育の振興の一翼を担っております。
 北海道は広域であるため,皆様の都府県の教育事務所にあたる教育局が14局あり,それに合わせて,この北海道社会教育主事会協議会も,管内ごとの社会教育主事会に分かれております。
 当センターでは,14の社会教育主事会を束ねる北海道社会教育主事会協議会と連携して,「社会教育演習」の運営を行っております。受講者と現場の社会教育担当者が直接関わることで,実際のイメージができるとともに,受講後のつながりについても期待することができると考えております。
 本日のポイントの1つ目である全科目のオンライン実施と,ポイントの2つ目である「社会教育演習における専門的な分野に特化した学び」の内容や効果について詳しく御説明させていただきます。
 こちらが,受講者のオンラインスキル意識に関するアンケート調査の結果でございます。
 自分のオンライン研修のスキルの変容について,「受講前と比べてスキルが上がった」と回答した受講者に,「受講前と比べてスキルは少し上がった」と回答した受講者を加えますと,全体の92.5%になるとともに,ClassroomやChatなど,Googleの活用に関する項目につきましては,全ての項目で事後が事前を上回る結果となっております。
 全科目をオンラインで実施していることにより,オンラインへのアクセスやデジタルツールを活用するプロセスを受講者自身が体験することになり,受講者のデジタルリテラシーが格段に向上したと考えることができます。
 デジタルを活用しての社会教育の推進が求められる中で,オンラインで社会教育主事講習を受講することは,地域や市町村で指導的立場に立つ社会教育主事や社会教育士にとって必要な体験的知識になると考えます。
 資料の次になります。また,全科目をオンラインで実施していることにより,多くの本日御出席の委員の皆様にも御協力を頂いておりますが,道内外の多彩な講師による講義を提供することができ,受講者は質の高い講義を効率的に受講し,最先端の知識を身につけることができます。
 受講者の事後アンケートでは,「すばらしい講師陣から,社会教育の最新の情報を学ぶことができました。大変満足しています」といった感想があるなど,講義の満足度が大変高くなっており,分かったという実感を得ている受講者が多いことが明らかとなっております。
 一例を紹介しますと,東京大学大学院教育学研究科の牧野教授の講義では,オンラインの良さを活かして,韓国や中国の状況について交流する場面を設定してくださいました。
 こうした多様な学び方を社会教育主事講習において受講者が経験することにより,受講後,内容や対象に応じた多様な学びの場づくりを実践することができると考えております。
 資料の次になります。次に,「社会教育演習」では,実践力を身につける基盤づくりとして,「地方創生」,「防災教育(災害対応)」,「放課後活動」,「高齢者教育」の4つのテーマから,受講者自身がテーマを選択し,グループで協力しながら主体的に事業企画案を作成するプログラムを提供しております。
 「社会教育演習」においては,対話・共感からの課題の発見や,課題を解決するアイデアを創出し可視化するプロセスを経験することが大変重要であると考えることから,北海道社会教育主事会協議会協力の下,話合いや現場の声を聞く内容を可能な限り多く設定しております。
 話合いの時間を多く設定することで,オンラインの操作に不慣れな受講者も,お互いに教え,学び合い,課題を克服していくことになり,このプロセスにも社会教育主事・社会教育士が必要とする学びが多く含まれると感じています。
 こうしたプログラムの工夫により,オンラインの弱点と言われる交流の難しさを克服することができ,現場での実践にもつながる学びになると考えます。
 資料の次になります。次に,受講者数及び受講者層の変化についてです。
 受講者数の推移につきましては,スライド左側のグラフにお示ししておりますとおり,当センターが社会教育主事講習を実施するようになった令和2年度より,受講者が大幅に増加しております。
 また,受講者層の変化につきましては,スライドの右側のグラフにお示ししておりますとおり,行政及び民間等が増加傾向になっており,特に民間等が増加しております。なお,割合の下に記載しております数字は,受講者数となっております。
 スライドの次になります。このように受講者数が増加し,受講者層が変化した理由の一つとしましては,オンラインでの実施により,受講しやすい環境を提供することができているためと受け止めております。受講者事後アンケートにおいても,「遠方に住んでいるため,会場に行くことは難しい」「オンライン実施だったため,旅費がかからず,手軽に参加することができた」「出張命令簿や復命書などの業務を減らすことができ,オンラインでも効果的な研修であった」「オンラインだったため,様々な方が参加しており,地域の枠を超えて交流することができた」といった感想があるなど,オンラインでの実施により,様々な負担が軽減されていることが明らかとなっております。
 資料の次になります。特に北海道は日本の面積の約22%を占めており,広域であるため,移動に多くの時間を必要とします。イメージ的に申し上げますと,九州の2倍,四国の4倍の広さと言われております。こうしたことから,受講しやすい環境の整備は特に重要となっております。
 当センターが,文部科学省から社会教育主事講習を受託する前の令和元年度までは,札幌市に集合して社会教育主事講習を実施していましたが,その頃の受講者数と昨年度の受講者数を比較しますと,14管内のうち10管内で受講者数が増加しております。最も受講者数が増加した上川管内の振興局所在地である旭川市は,札幌市から140キロメートルの場所に位置しており,車で高速道路を利用して2時間程度ですが,根室管内の振興局所在地である根室市については,札幌市から450キロの場所に位置しており,高速道路を利用し,渋滞がない場合でも約6時間はかかります。
 当センターがオンラインで社会教育主事講習を実施するようになってから,札幌市から離れた地域の受講者も増加しており,受講しやすい社会教育主事講習を実施することは,各地域の社会教育の振興に寄与するものと考えます。
 こうしたことから,オンラインでの実施による可能性といたしましては,オンラインを活用することで学習の内容・方法の多様性・充実化を図ることができ,様々な人々が共に学び合う場を実現していくことが可能であるとともに,受講しやすい環境を整備することで,社会教育主事はもとより,社会教育行政を理解した「社会教育士」を多く育成することにつながり,地域の社会教育の振興に寄与することが期待されます。
 また,多様な受講者同士が共に学ぶことができる場を設定することで,新たな学びの機会へつながることが期待でき,様々な取組や活動への可能性を広げることができると考えます。
 一方,オンラインでの実施による課題といたしましては,受講者から「他の方々との交流を深められるような対応をしていただけると,つながりも深まると感じた」といった感想があるなど,オンラインによる運営のさらなる工夫や,社会教育主事講習後の研修・交流機会の設定が必要となっております。
 オンラインによる運営の工夫につきましては,受講者の声に耳を傾けることが重要であるため,具体的に要望のあった「課題やプロセスが語られる講義」の設定や,「講師や受講者との交流が深められる工夫」について,次のように見直しをしています。
 「課題やプロセスが語られる講義」の設定につきましては,「社会教育演習」において,各教育事務所や各道立体験活動支援施設ネイパルで勤務している社会教育主事から,専門的なテーマに特化した事業を企画・立案する際のポイントにつきましてショートレクチャーを受けたり,各市町村教育委員会の社会教育担当者から,ニーズの捉え方や課題整理の仕方,各種計画との接続について説明やアドバイスをもらう場面を設定したりするなどして,課題やプロセスから,各地域における社会教育活動がどのように行われているのかを知り,学ぶとともに,専門的な知識を身につける講義を設定しております。
 また,北海道内各地域で展開されている多様な主体による事例発表を聞く時間を可能な限り多く設定し,学習者の多様な特性に応じた学習支援を行うことの重要性を理解するとともに,具体的な活動や取組のイメージをつかみやすいように工夫しています。
 次に,「講師や受講者が交流を深められる工夫」といたしましては,Google Classroom,Google Chat,ブレイクアウトルームを必要に応じて活用し,受講者一人一人の人柄や考えを知るプロセスを設定することで,人間関係を構築し,課題解決のための方法を受講者同士で話し合い,導き出そうとする姿勢の育成に取り組んでいます。
 スライドの次になります。令和2年度には,現場の雰囲気をより身近に感じてほしいと考え,「道立体験活動支援施設ネイパル森」から施設内の様子を中継配信しました。
 運営側の私たち自身もまだまだ発展途上であるため,手探りのところも多いですが,受講者の声に寄り添いながら,オンライン空間であっても,人の輪をつくり,学びの場をどのようにつくり上げることができるか,試行錯誤しながら前に進む姿勢を受講者に感じてもらうことは大変重要であると考えております。
 また,今年度より,社会教育主事講習後の研修・交流機会の創出にも取り組んでおります。昨年度実施いたしました運営委員会においても,「社会教育主事講習終了後も継続して研修することが大切」といった御意見を頂戴しており,受講者のフォローアップや,相互に協力し合える人的つながりの機会となることを目指しまして,「社会教育スキルアップ研修会」を年3回,対面で実施する予定です。
 このように,オンラインと対面を組み合わせることで,学びの質を高め,ネットワークを広げることにつながると考えております。
 スライドの次になります。また,対面による研修の場といたしまして,「北海道社会教育セミナー」や,「地域生涯学習実践交流セミナー」を実施しています。令和5年2月に札幌市で開催いたしました「地域生涯学習活動実践交流セミナー」では,特定非営利活動法人教育支援協会代表理事,吉田博彦様,並びにstudio-L代表,山崎亮様に基調講演の講師をお引き受けいただくとともに,令和5年6月に札幌市で開催いたしました「北海道社会教育セミナー」では,文教大学人間科学部教授青山鉄兵様に基調講演及び基礎講座の講師をお引き受けいただきました。当センターでは,社会教育主事講習と連動させた主催事業の実施により,実践につながる継続性のある学びの場を提供していきたいと考えております。
 スライドの次になります。こちらは,社会教育主事講習を受講した方々の声です。NPOスポーツクラブでクラブマネージャーとして活躍している社会教育士のAさんは,「法令や社会教育のこれまでの経緯などを学んだことで,改めて自分の活動を見詰め直したり,今後の方向性を明確にしたりすることができました」と話し,医療法人職員として活躍している社会教育士のBさんは,「私は今,障害者の生涯学習に携わっています。社会教育という学びの場がなぜ必要なのか,社会教育主事講習で,一から学ばせていただき,行政が地域住民のために取り組む目的も知ることで,障害のある方とともに学ぶ場づくりの参考となりました」と話しております。
 こうした声は,社会教育主事と社会教育士が共に学んだことの成果であると思います。社会教育士にとっても,社会教育行政の知見は必要で,行政職員や教員だけでなく,民間など多様な方が共に学ぶことで,地域社会のまちづくりを住民自治を基本として進めることができると考えております。
 最後になりますが,当センターは,社会教育主事講習を通じて,北海道内における社会教育主事の配置促進はもとより,民間の様々な団体や事業者,さらには個人にとっても受講しやすい社会教育主事講習の実施により,社会教育行政についての知見のある方が,行政内部だけでなく,社会の様々な領域で活躍することができる基盤づくりを進めたいと考えております。
 また,当センターの機能の一つである「指導者の養成・研修」に社会教育主事講習を核として,プレ研修やフォローアップ研修を効果的に位置づけ,社会教育人材の養成・研修を系統的に展開することにより,北海道の実情に応じた実践的な学びの場を実現したいと考えています。
 社会教育主事と社会教育士が共に学び,それぞれの役割を認識しながら,住民の声に耳を傾け,協力をし,地域づくりや福祉,教育に関わっていく。そうした地域を広げていくことで,よき社会が実現できるのだろうと思います。当センターでは今後も各地域の社会教育の振興のため,よりよい社会教育主事講習の実施に努めてまいります。
 私からの説明は以上でございます。

【牧野部会長】
 伊藤さん,どうもありがとうございました。
 ただいま,北海道の北海道立生涯学習推進センターから,社会教育主事講習についての御報告を頂きました。
 特色としましては,全科目をオンラインでなされているということ,特にオンラインで始めてから,受講者の数が急増したということ,そして,受講者の属性が大きく変わってきたということ,特に,民間の方々といいますか,行政の方と民間の方が特に急増した。そうしたことの中で,オンラインで交流することのメリット,特にデジタルリテラシーといいますか,オンラインのリテラシーが高まっていったということ,さらに,オンラインの弱点を克服するために,できるだけ多くの交流の機会を持っているということなどが御報告されました。さらに,講習後のいわゆるフォローアップの機会も設けているということですね。
 特徴として,いわゆる社会教育士の取得者が増えていくわけですが,そういう方々が社会教育行政についての理解を深めて,主事にはなりませんが,現場でそういう方々が活躍することによって,社会教育行政との連携を取りながら,新しいまちづくり等に活躍ができるような裾野を広げているのではないか,そのような自己評価をされているのだというふうに受け止めました。どうもありがとうございました。
 それでは,今の北海道立生涯学習推進センターからの御発表に対しまして,御質問・御意見がありましたら,各委員の方々から御発言をお願いしたいと思います。オンラインの方は,ボタンを押していただければと思います。また,会場で御参加の方は,ネームプレートを立てていただけるとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,関さん,それから,次に古賀さん,よろしくお願いいたします。

【関委員】
 今,部会長の牧野さんの方からも話がありましたけれども,オンラインの講習をすることによって,受講生のターゲットがかなり変わっていったというイメージを持っています。特に民間の方が非常に増えているということ。具体的に,今どういった人が増えたのか,もう少し聞いてみたいなというのが1点と,あと,9ページの「社会教育演習」の部分で,テーマを4つ設定して対応しているということですけれども,これが毎年同じテーマなのか,あるいは,それを決めるに当たって,受講生のいろいろな意見が反映されているのかどうか,その辺,もう少し聞いてみたいと思って質問させてもらいました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 伊藤さん,いかがでしょうか。1つは,民間の方々の属性ですけれど,どういう方々が増えているのかということと,2つ目が,「社会教育演習」のテーマですけれども,どのように決められているのか,すみませんが,よろしくお願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 増えている属性としましては,NPOの方ですとか,指定管理者の方々が増えております。
 研修のテーマにつきましては,重要な課題を事務局の方で選定して,考えております。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。関さん,よろしいでしょうか。
 では,次,古賀さん,お願いいたします。

【古賀委員】
 古賀です。御発表ありがとうございます。私からも2つ質問させていただきます。
 1点目が,今回オンライン,いろいろ困難さもありつつも,創意工夫でかなりいろいろな点を乗り越える努力をされたのだなということが伺えたのですけれども。とはいえ,やはりここは少し困難だというふうに現時点でお感じのところがありましたら,お聞かせいただきたいというのが1点目と,今,ちまたではもうハイブリッドや対面に戻す動きがあるのですけれども,そちらの方ではそのお考えがあるかどうかというところもお聞かせください。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。伊藤さん,いかがでしょうか。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 ありがとうございます。
 オンラインによる実施のため,受講者同士のネットワークや,現場でしか味わえない雰囲気を感じることは難しいと思っております。こうしたことから,先ほど説明の中でも申し上げましたけれども,社会教育主事講習による学びが,単発なものではなくて,継続性のあるものとなるように,フォローアップ研修というのを位置づけておりまして,社会教育スキルアップ研修を今年から対面で年3回実施することとしており,受講者同士が相互に協力し合える,人的なつながりの機会の創出に取り組んでいるところでございます。
 また,受講者のオンラインスキルについてもばらつきがありますので,全体を対象に,事前オリエンテーションを実施するとともに,必要に応じて個別に対応しておるところでございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。古賀さん,よろしいでしょうか。

【古賀委員】
 ハイブリッド云々の件。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 ハイブリッドの件ですね。ハイブリッドの件は,今後も一応オンラインを進めながら,今のようにフォローアップ研修などを使って対応していきたいなと考えております。
 講習は講習,また,それをフォローアップするような研修で,今質問にあった形が,我々が今検討したフォローアップで,対面でもやるというところでございます。

【古賀委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 では,山本さん,北海道の社会教育主事講習に関わっていらっしゃると思いますけれども,お願いいたします。

【山本委員】
 東神楽町長の山本でございます。私も実は北海道の主事講習の運営委員をやっておりますので,内容については十分承知しているので,逆に,私どもの立場からフォローさせていただくと思えば,まず1つが,主事講習に本当に参加させやすくなった。僕らからすると,参加させやすくなったのですね。だから,今までだったら,札幌にずっと張りついていかれるという状態だったら,費用の面もそうですし,あるいは,業務上の負担のものでもできなかったのですが,今オンラインでやっているので,これ,職員研修の一環としても,常に年に1人は参加させられるような形ができるようになった。その意味では,非常に良かったなと思っています。
 それから,現代的なテーマの部分なのですが,現代的なテーマについては,私ども,この主事講習の運営委員会などでかなり議論をしてやらせてもらっています。特に,例えば防災の面でありますとか,コミュニティといった部分の課題については,やはりかなり取り組んでもらって,やってもらっているということです。
 今年度については,これはまだ議論中の部分はありますが,デジタルのリテラシーの上げ方といったことについても議論をし始めている部分もありますので,その意味では,進化をしながらやっていくというのが,1つ大事なことなのだろうとは思っています。
 また,こういった議論も頂きながら,私どもも,愛媛県とか,いろいろなところへ参加させていただいて,こういうのはいいな,という先進事例があるのをいつも思いながら,それをまたフィードバックしながらやっておりますので,そういう全国的な取組の中でも,私どももしっかり取り込んでいきたいと思っています。
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。
 運営委員でありながら,町長さんというお立場から,職員を講習にとても派遣しやすくなったということと,特に演習の課題ですけれども,いろいろな課題を皆さんの方から拾い上げながらつくっていくのだという話だったと思います。
 オンラインで野津さんから御発言の御希望があります。野津さん,お願いいたします。

【野津委員】
 島根県の野津です。先ほど,民間の方でNPOと指定管理者が増えたというお話でしたが,この人たちって仕事で受講しているのでしょうか。もしそうであれば,そういった方面に特別に何か広報か何かをされたのでしょうか。教えてください。

【牧野部会長】
 伊藤さん,お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 この人方は,仕事で来られております。特別な広報というのは,特にはしておりません。

【野津委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 野津さん,よろしいでしょうか。

【野津委員】
 はい。ありがとうございました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,井上さん,お願いいたします。

【井上委員】
 井上でございます。前回欠席してしまいまして,失礼いたしました。
 1つ質問なのですが,これは,オールリモートの講習だと,ファシリテーションスキルの学習など,やはり対面でないとなかなか修得が難しいスキルもあると思うのですけれども,その補完のためにフォローアップ研修を3回行われていますが,札幌で3回とも行うということで,フォローし切れるのでしょうか。やはり札幌まで来られない方もかなりいらっしゃると思いますが,そのフォローがし切れるのかどうか,お聞きしたいと思いまして質問しました。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 ありがとうございます。
 確かに,フォローアップ研修は札幌で年3回です。ただ,地方に,先ほど申し上げました社会教育主事会がありますので,そちらの方と連携しました地元でのフォローもできるような,いらっしゃる管内でできるような形の体制も取らせていただいております。

【井上委員】
 ありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,青山さん,お願いいたします。ここで一旦切らせていただきますので,よろしくお願いいたします。

【青山副部会長】
 青山です。ありがとうございました。
 参加者の増加については,オンラインにしたというところと,また,社会教育士の制度が始まったところと両面があるというふうに理解しているのですけれども,逆に,オンラインだと,定員の管理をどうするかというところがあると思っていまして。例えば,道外からの参加者をどれぐらい受け入れ得るかですとか,1回で令和3年規模の122名というのが適正なのか,もっと増やせるのか,収容人数の辺りのさじ加減のところを少し教えていただけるといいかなと思うのですけれども。

【牧野部会長】
 伊藤さん,お願いいたします。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 ありがとうございます。
 大体今のところ,いい感じの数字なのですよね。ただ,もう少しぐらいは受け入れられるかなというふうには思っております。
 増えてみないことには分からないのですけれど,今のところは,順調に伸びてきてこのぐらいが妥当かなというふうな実感を得ております。これ以上増えてくると本当に考えなければいけないのか,増えてきたときに,もう少しまた検証したいなと思っております。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。「いい感じだ」というのが響きました。どうもありがとうございます。
 それでは,北海道からの御報告については,ここまでとさせていただきまして,また最後に全体の討論がありますので,そちらでお願いできればと思います。
 伊藤さん,どうもありがとうございました。

【北海道立生涯学習推進センター(伊藤)】
 どうもありがとうございました。

【牧野部会長】
 それでは,続きまして,愛知教育大学の事例,特に対面とオンラインの併用による社会教育主事講習及び養成課程の取組について,御発表をお願いしたいと思います。
 大村さん,それから,今日は中山さんも来ていただいていますので,よろしくお願いいたします。

【大村委員】
 よろしくお願いいたします。愛知教育大学,教育ガバナンス講座という少し耳慣れない講座名ですけれども,後で少しまた御説明いたします。
 資料は2-1をまずは見ていただきたいのですけれども,1枚目の下のところに,今日の構成を書いてあります。「はじめに」の次に,社会教育主事(社会教育士)養成課程について,2として,社会教育主事講習について,3,オンラインと対面を活用した取組について,4,講習と養成課程の併用についてということで,最初と1と4を私,大村が,そして,2と3は中山の方で報告をさせていただきます。
 それでは,2ページ目に行きます。まず,愛知教育大学の概要を御紹介したいと思います。教育学部一学部の単科大学で,学生定員は859名です。社会教育主事の養成課程は全学開講になっていまして,ですから,ほとんどが集中講義という形で開講しているという状況です。
 一方,社会教育主事講習は,愛知・岐阜・三重・静岡4県が回り持ちで,国立大学が担当しています。その講習の開催時期に4県の教育委員会及び4大学が,東海地区社会教育主事講習運営検討会という形で開催して,制度が変わるときには複数回やっていますが,今は講習終了時の運営会に併せてこの検討会を開いて,そこで調整等をしています。ですから,4年に1回のローテーションで本学も担当しています。
 オンライン活用は講習のみで,養成課程については,感染拡大時期に一部オンラインにしましたけれども,原則として対面授業を実施しています。
 なぜ対面なのか。非常に感染拡大した2020年においても対面授業をなるべく実施していたのですが,それはフィールドワークを非常に多く取り入れているということと,それから,社会教育実習が実施できなくなった科目もあるのですけれども,名古屋市の児童館に受入れをしていただいているのですが,児童館は感染拡大時期でも閉じなかったのですね。開いていて,そして,実習の受入れもしていただいたので,そのため,コロナ禍の中でも実施をしてきています。
 2ページ目の下の方は,学部の課程及びコースの図になっています。右側が,学生の入学定員数です。
 私と中山は教育ガバナンス講座ですけれども,これは下の方の緑の教育支援専門職養成課程という,新課程の一つのコースになっています。この課程は,教員免許を取らない課程で,心理コースはスクールカウンセラーの養成を目的としていて,福祉コースはスクールソーシャルワーカー,教育ガバナンスコースは,学校事務職員及び教育委員会の職員というような,教育あるいは子供に関わる公務員養成ということを目的としているコースです。
 こうした新課程が実は社会教育主事の養成とかなり親和的だというのが,それを狙っていたわけではないのですが,実態を見るとそうなってきています。
 その次のページへ行きます。養成課程についてです。教育課程については,資料2-2に,『履修の手引』の該当部分を参照させていただいています。
 教育学部ということもあって,特に社会教育特講では,教員養成系の科目をかなり当てはめていて,普通に勉強していれば大体取れるという科目になっていますが,あとの概論,経営論,支援論,実習,演習等は,先ほども申し上げたように,集中講義で実施をしてきています。
 1つだけ補足すると,生涯学習概論のBS生涯学習概論とありますが,これは,先ほどお話をした教育専門職養成課程の必修課程にしていて,1年生の後期に実施しています。130名の授業ではありますけれども,私が担当していて,グループワークを中心にして,テキストを読んで,グループワークで議論してといった繰り返す中で,グループワークの中でお互いの相互理解,相互承認を進めていく,そうした学びの場をつくるといったことを体験してもらう,そういった授業に実はしております。
 2-1の資料に戻ります。養成課程の修了者です。2020年,2021年,2022年の3か年の数字を掲示させていただいています。2019年までは,学生が何を取って何を取っていないかというのを調べないと分からないものですから,そういった作業はしていなかった,文科省の方から問合せがあったときだけ数えていた,そういうふうに事務局の方は言っています。ですから,2020年から確実に数が把握できるようになりました。
 20年は旧課程もありましたが,新課程では14名,旧課程では12名,見ていただくと分かりますように,教育ガバナンスコースの学生が非常に多く取得しています。21年,22年も,ガバナンスコースは基本的には数は多いのですが,教員養成課程も,年によってかなりばらつきはありますけれども,一定数は取りに来ているというのがお分かりになるかと思います。
 実際の,養成課程の授業科目について,まず,実習について表をお示ししました。私が担当しているものと,それから,中山が担当しているのは後期にありますが,そして非常勤でお二人お願いしています。
 その次のページに行って,実習の内容ですが,私が担当しているものは実習1と実習2,2つ立てているのですけれども,実習1の方は,名古屋市立の児童館,今,今年度は2館にお願いしているのですが,日常業務に参加して,そこで子供たちと関わり合うということを中心にやっています。
 ただし,児童館の中では,プレイパークを実施している出前児童館という形ですね。地域に入って公園でプレイパークを開催したり,あるいは,その児童館の中での企画を担当させていただいたりということもしています。
 実習2は,「こどものまち」という,子供がつくるまちを,子供の実行委員会との中で一緒につくっていくという実習にしています。
 これらの実習は,資料2-4になりますが,テキストを用いていまして,子ども・若者支援専門職養成研究所の「子ども・若者支援専門職養成ガイドブック」というものを今サンプル版として作ってきているのですけれども,私の担当している部分をテキストとして,子供主体の活動をどう支援するかということと,子供理解,それから,関係形成,そして,その働きかけといったものを記録して振り返るという,そうしたその記録の取り方についての部分で,これを読んで実習記録を書いてもらって,書いてもらったものを基に学生の中で議論をしたり,あるいは,児童館で児童館の職員の方と一緒に意見交換をしたりということを行っています。
 養成課程の2つ目が,実習の方は,中山が担当しているものは,豊田市の交流館,それから,長久手市の文化の家という,舞台芸術を地域に広げていく,そうした社会教育施設なのですが,ここでの実習を取り組んでいます。
 その次のページですが,非常勤の方にお願いしている実習は,1つは,豊田市の総合野外センターで,豊田市は小学校5年生と中学校2年生に学校キャンプを行っているのですが,そこでの支援ができるような力量を身につけようと,そういう目的で,野外活動を中心とした実習をしていただいています。
 もう一つは,実はコロナで今は休止中なのですが,長野県の泰阜村でNPOのグリーンウッドというところが,「山賊キャンプ」,これも子供主体のキャンプをやっていまして,子供が集まったところで山賊会議を開いて,その企画を立てて,それを支援して実施していくという,いかに学生が子供たちを支援するかということを実習させていただいています。
 その下が実習以外の科目ということになります。
 その次のページに行きまして,全学に開講している概論で,社会教育の基礎1という授業は,フィールドワーク中心の授業を行っています。プレイパーク,子供対象の図書室,スポーツクラブ,それから,豊田市の交流館,名古屋市の児童館,それらを順番に見学させていただいて,可能であれば,そこの活動にも参加をさせていただいて,1年生の最初のときに,社会教育の現場を体感していく,そういったことを狙いにした授業になっています。
 そのほか,非常勤の方にお願いしている中では,特に愛知県は日本語指導の必要な子供たちが突出して多い県ということもあって,多文化共生の社会教育というテーマで授業を行っていただいています。
 こういった形で,集中講義中心なので,学生も大変だと思いますけれども,社会教育の基礎1は,今年は90名が履修登録していまして,年によってばらつきはありますが,50名から,多いときには,特にコロナ禍は100名を超えて,現場に出たいという,それだけ学生の思いがあったのだと思いますが,受け入れていただくところは大変なのですけれども,そうした授業を実施してきています。
 それでは,中山さん。

【愛知教育大学(中山)】
 中山と申します。よろしくお願いいたします。
 まず,大村の資料2-1の中山担当の実習のところを見ていただけるでしょうか。
 1,社会教育主事(社会教育士)養成課程についてということで,豊田市の竜神交流館と長久手の文化の家ということで,これについては,先ほど大村の方から施設の概要については紹介があったと思うのですが,時間がないので,1点だけ補足しておきます。この2つを実習の施設としてお願いしているというのは,竜神交流館に関しては,館長,主任主事ともに愛知教育大学の社会教育主事講習の修了生であるという,これが大きな要因になっております。
 特に主任主事の方は,「社会教育演習」における私のゼミ生であるということで,そうしたつながりもあって,実習をお願いしているという背景があります。
 長久手市の文化の家に関しては,これは私が長年,社会教育委員として日常的に長久手とはつながっております。その中で,文化の家については学ぶところが多いということで,お願いしているというのがあります。
 ここのところは最後の大村のまとめのところで関わってくる点なので,補足をさせていただきました。
 では,続いて資料2-2を御覧いただけるでしょうか。
 まず本学の社会教育主事講習の4つの特徴ですが,(1)ということで,まず一つ目の特徴は,対面による講習の実施ということです。昨年度の令和4年度の講習においては,可能な範囲で遠隔を取り入れつつ,それ以外は可能な限り対面で実施という方法で行いました。具体的には,3ページ目のところに講習の日程表をお示ししていると思うのですが,これはオンラインでやっても差し支えなかろうという内容に関しては7月25日から8月1日まで原則としてオンラインで実施しました。一方,8月2日から5日は集中的にフィールドワークに出かけております。これは対面で,実際の社会教育実践の現場に出かけています。その後,8月8日から8月19日にかけては,対面でやった方がよかろうという内容について,対面授業を実施しました。その後,22日から25日は社会教育演習ということで,対面によるゼミを行っております。
 なお,カリキュラムの大きな流れとしては,オンライン授業と対面授業を通して知識面について学び,フィールドワークで様々に現場の実践のことを学びつつ,最終的には,対面授業の一番最後の方で「学習支援者の力量形成」という内容の授業を位置づけました。「学習支援者の力量形成」では,東京学芸大学の倉持伸江先生がこの分野の研究をなさっておりますので,これを参考にした授業を組んで,さらには,「たま社会教育ネットワーク」の事例なども紹介しながら,「講習だけで終わるのではなく,その後も学び合うことが大事だ。それが社会教育実践者としての力量を高めるのだ。なので,講習終了後も学び続けませんか」と提案する形をとりました。こうして講義型の学習を終わり,「社会教育演習」に入っていくという,そういう流れにしました。講習終了後も,修了生が,社会教育実践者としての力量形成に向けて,何らかの形で学び続けてほしい,と考えました。
 それで,可能な限り対面で実施したということの理由は,2つあります。
 1つ目は,現時点では対面による交流の方が授業内での交流は行いやすい,ということです。もちろん,オンラインでの交流も技術上は可能なのですけれども,現時点ではまだ対面授業方が行いやすいであろうという判断がありました。2つ目は,いかにも名古屋大学的な発想なのですけれども(大村と中山の出身大学の),私どもには,授業前とか,授業の休み時間とか,フィールドワークの移動中とか,フィールドワークの終了後,授業後などの雑談,この雑談こそが学びを深めるという考え方があります。そこで,対面授業を実施することによって,受講生同士ですとか,受講生と講師が交流を深めることが可能になるのではないかと考えました。
 ただし,これまで社会教育主事講習では毎回,2泊3日の合宿を2回行ってきたのですが,今回の講習では,コロナ禍の影響で,実施することはかないませんでした。
 また,コロナ禍の影響もあって,授業後の交流,いつもですと,数回はあるのですが,これも全く行われませんでした。
 結果としては,講習終了後,修了生によるSNSグループが立ち上がりまして,さらに修了生による自発的なグループ,「社会教育士ネットワーク」という自主的な団体が立ち上がって,月1回のZoomミーティングによる実践交流会を行うとともに,時々対面による研修会を行っています。
 そのような形でネットワークがつくられつつあるのですが,一方では,私の感覚ですと,受講生と講師の交流は不十分だったなという気がしております。今回たまたまなのか,交流の時間が短かったのかは少し分析が必要なのですが。例年ですと,講習会の修了式が終わった後に,受講生と講師との間で長時間にわたる名刺交換が行われて,それが基盤になって,我々がさらに地域のいろいろな現場に出かけていくという関係がつくられてきたのですが,今回はその時間が少し短めだったなという印象があります。
 では,(2),二つ目の特徴であるフィールドワークの重視に移ります。通常の社会教育主事講習では,は2泊3日の合宿を2回実施して,そこでフィールドワークを実施しておるのですが,今回は講習の第2週目で日帰りのフィールドワークを4日連続で実施いたしました。愛知県とその近辺における様々な実践について見学をして,説明を聞いて,質疑応答を実施するという形で行いました。実際にどこに行ったのかは,私の資料の3ページ目に書いてありますので,御覧いただきたいと思っております。
 フィールドワーク先は,いずれも教員が関わっている実践のうち注目されるものです。要は,これからの社会教育の仕事を深めようとする受講生ですとか,市民の立場で実践に関わってきた受講生にとって参考になりそうなものを中心に,フィールドワークを行っております。
 このフィールドワークは,毎回受講生の評判はいいです。今回もとてもよかったです。ただし,課題として,日帰りのフィールドワークを4日間連続で実施したということで,受講生からは「とても疲れた」という声も聞かれました。次回はぜひ合宿を復活させて,その中でフィールドワークを実施したいと思っています。
 (3),特徴の三つ目ですが,講師陣の自主性を尊重したゼミ活動ということです。最後の1週間で社会教育演習を行ったのですが,私どもの講習では,毎回,各講師が,受講生の状況を基に創意工夫しながらゼミ活動を実施して,最終的には,今後の自分自身の社会教育実践の在り方について追究した2ページの研究論文をまとめていただく,ということをやっております。
 ゼミの進め方については講師陣の自主性を尊重しております。ある先生だと,受講生の研究テーマについてのグループワークを実施したりですとか,私のゼミの場合ですと,何を書けばいいのか分からないという受講生がたくさんいたので,まずは自分自身が実践上どういう夢を持っているのかというのを語り合った方がよかろうということで,少人数のグループワークを時間をかけて行ったりしました。比較的受講生の研究テーマが近い人が集まっているある先生の場合は,講師が講義を行うということもありました。大村の場合は,大村が日常的に関わっている実践のオンライン学習会に参加して,現場の実際の声に触れるとか,各講師が工夫を凝らしたゼミ活動を行っていきました。
 その結果,ゼミ単位での受講生の関係づくり,講師と受講生の関係づくりにつながるということで,ゼミ単位でも結構関係づくりがそれなりにできてくるということがあります。場合によっては,今回はありませんでしたが,いつもですと,ゼミ単位で授業後の交流などが行われることもあります。
 (4)ですが講習終了後の試みと動きということで,これまでの講習会でも修了生の自発的なネットワークとか,修了生と講師の関係はつくられてきたのですが,本学としては組織的なフォローアップの取組は行ってきませんでした。もちろんやれるとよかったんですが,教職員の数が少なくて,そこまで取り組む余裕がなかったというのが正直なところです。
 ですが,昨年度の講習では,思い切って,愛知教育大学の公開講座の一環として,修了生向けのフォローアップ研修を2回実施いたしました。今年度に関しては,愛知県の生涯学習推進センターと連携して,推進センターの主催事業として2回実施する予定で,そこでは,修了生を実行委員も含めた形で打合せを行った後で行おうと思っております。
 また,これは先ほども話しましたが,修了生が中心となって,「社会教育士ネットワーク」という組織を立ち上げたのですが,昨年度の講習では合宿ができなかったので,今年は合宿をしたいと言っているようです。その辺りどうなるかは,今後の動きが注目されるところだと思います。
 続いて,「3.オンラインと対面を活用した取組について」です。(1)と(2)については,先ほどお話ししましたので,省略します。
 (3)の結果についてなのですけれども,これも先ほど話したことと重複があるのですが,遠方からの参加者にとっては,これ,特に岐阜の方とか静岡の方だと,1か月半ずっと泊まらなければいけないというのがあったのですが,そのような負担が一定軽減されたという,そういう成果がありました。ですので,私どもの講習では,昨年度のものは,若干参加者が増えております。
 ただ,オンラインの接続が不安定な状況が,受講生の側にも生じましたし,我々講師の側にも生じたりして,なので,授業への悪影響も一定出たというのが課題としてはありました。
 あと,受講生同士とか,受講生と講師陣の関係づくりという点でも課題が残ったかなと思います。ですので,受講生からはもっと対面の交流がしたかったという声が上がっていました。
 ということで,まとめについては,大村の方から最後にまとめを話していただこうと思います。

【大村委員】
 先ほどの資料2-1の最後のところを御覧ください。講習と養成課程の併用についてということで,本学は,講習は毎年やっているわけではないのですけれども,それを両方やるというのは珍しいと言われまして,そんなものかというふうに思いましたけれども,それがどういうふうな意味を持っているのかというのを改めて考えてみました。
 今,中山の方からもありましたけれども,講師が地域の実践に参加するということを大事にしてきていますけれども,結局,そこのつながりが,養成課程学生の学びの場が地域に広がって,フィールドワークを受け入れていただいていますし,非常にそこでいい経験をさせていただいています。
 それを,本学の場合には,3年それを養成課程でいろいろなところに行き,その中で一番いいものといいますか,講習の中でぜひ体験していただきたい,そういったところにお願いをして,講習の受入れをしていただいているといった関連になっています。
 また,その講習の参加者,それから,講習で受け入れていただいたところも,例えば,地域学校協働活動などで瀬戸市に伺ったのですけれども,そこの地域コーディネーターの方,30名ぐらいの方がみんな参加していただいて,グループワークを組んで,本当に膝を突き合わせて,実際こんなことをやっているのだという話をしていただいたこともあったのですが,そのことが瀬戸市の実践にとっても非常にいい影響を返していけたのかなというふうにも思っています。
 また,主事講習参加者がその地域で実践をして,そこにまた学生が学びに行かせていただくというような,そうした社会教育の実践と,養成課程と,主事講習ということがつながっていっているなというふうに感じています。
 特に,養成課程の場合は,学生がそこで学んだからといって,社会教育の実践に必ずしも関われないですよね。大学を卒業しても,実際にそういう場に行く学生はほんの僅かですので,やはり講習の中で,主事講習が社会教育実践に果たす役割というのは非常に大きいと感じていますが,その循環の中に学生が参加するということで,実践の場も非常に活性化するといいますか,喜んでいただいているかなと思っています。
 ただ,先ほども3つ目にありましたが,講習実施年には相当教員も事務局も大変な思いをする。夏休み,社会教育実習で児童館などに回るわけですけれども,回りながら講習もやると,そういう1年になるということになります。
 あと一つ,少し補足させていただきますと,主事講習と養成課程のカリキュラムの違いで,やはり社会教育実習の問題があるのですね。昨年度,主事講習をやって感じたことは,参加者が広がったのですが,その広がったということは,実は社会教育の実践に必ずしも参加していない方が講習を受けに来るのですね。現職者でなくて,実際,そうした現場も知らなくて受けに来るわけです。そういった方たちが,実習をしなくて社会教育士の称号を取得していくということが果たしていいのかどうか,そういった思いも少しございます。
 ですから,本学の場合には,実習の中で支援といいますか,子供であったり,相手を理解し,関係づくりをして,そして働きかけていったりという,そういったプロセスを丁寧に見ていこうということをやっていますが,そうした経験を講習の中でもしてもらいたいなという思いが少しございますが,これは今後また考えていきたいと思っています。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。大変思いのこもった御報告ありがとうございました。
 特に,実習を特に重視されているということと,それから,最後の御指摘,社会教育士という称号を取りに来られる方々が,必ずしも社会教育の実践に関わってこられた方ではないということ,それとのかかわりで,こういう方々は実習を取らなくてよいのかということ,こうしたことも含めて,講習の在り方を考えた方がよいのではないのかという御指摘がありました。この点も,また後から議論ができればと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,今の愛知教育大学からの御報告に関しまして,御質問・御意見等はありますでしょうか。少し時間が押しておりますので,手短にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。では,また後から全体の議論ができましたら,その中でも出していただければと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして,大東文化大学から,特色ある社会教育主事講習の取組について,御説明をお願いしたいと思います。一盛さん,お願いいたします。オンラインで御参加です。お願いいたします。

【大東文化大学(一盛)】
 大東文化大学の一盛といいます。よろしくお願いします。
 大東文化大学は 2 科目の講習のみを実施しております。大東文化大学は,板橋と東松山にある 8 学部の,主に文系の大学です。社会教育士の課程を持っているのが,文学部と社会学部で7学科になります。事務の所管は教職課程センターが担当しています。各学科の教員と教職課程センター専任教員からなる社会教育士運営委員会のもとにワーキングチームを作り,教職課程センターの事務と一緒に課程と主事講習の運営にあたっています。ここにワーキングチームの名前を書いてありますが,上の段が教員 4 人,下の欄が事務職のメンバーです。私は文学部ですし,次に来る阿部先生は社会学部,山本先生は教職センターの専任,末定先生は文学部というように,我々みんな所属がばらばらです。事務は,教職課程センター事務室の管轄ですから,教職課程センターのスタッフということになります。毎年,課程の学生は,大体 30 人程度が所属しています。
 それでは,主事講習の話に移ります。大東文化大学の2 科目講習は,21 年度から始めました。ここには昨年度のカリキュラムを掲げていますが,大体,前年度も同じです。開講期間は秋から冬にかけて,毎週木曜日の夜間にやっております。講義そのものはオンラインで,スクーリングを文科省から昨年度より課せられましたので,フィールドワークしております。スクーリング会場は東京,埼玉,大阪,愛知,沖縄を会場としました。ただし一人1か所ということで希望が少なかった愛知会場,沖縄会場はやりませんでした。定員は 50 人で,定員を超えた場合,我々は基本的に受け入れ,クラス分けをする形での対応を基本としています。オンライン講義の時間帯は,昨年度は 18 時 20 分,一昨年度は 18 時から始めました。90 分を 2 コマということで,スクーリングに関しましては,4 コマで,午後 13 時に現地に集まって,夜の 19 時 30 分までとなっています。2 科目講習のみですから,受講料を取るというのも一つ特徴としてあるわけですが,1 科目当たり 1 万 6,000 円,2 科目で 3 万 2,000 円という額で設定しています。できる限り最低限の必要経費をもらえるぐらいの額と思って設定しました。ただし,スクーリングでの交通費などは自己負担です。
 これが大東文化大学のホームページに 21 年度,22 年度に上げておきました講座の特徴です。カリキュラムの内容は,できる限り地域の貧困・格差,2 年度目は,それをさらに女性,ニューカマーに焦点を当ててみました。特に先進的な実践をできる限り紹介し,その中で,社会教育的な課題は何なのか,社会教育の可能性を議論してみました。
オンライン開催ですから,内容に即して全国各地の講師にお願いしています。また,現場のニーズを考え社会福祉の制度と現状を2コマ,地域の貧困などの現実を考えるために社会学の講義の2コマ入れています。後半はできる限り実践の現場で活躍している先生方にお願いしましたが当然,社会教育的視点で状況を見ることが大切ですから多様な実践を社会教育の視点で振り返る講義を後半で入れてあります。
 「生涯学習経営論」の後半,9~12回目にフィールドワークを入れてあります。川口,大久保や西成です。西成は,いろいろな意味で先進地域と考えておりますので講義のみならずスクーリングにも入れました。
受講生の属性ですが, 21 年度,22 年度で変化があり不安定な状況があります。1 年目は 77 人申込みがありましたが,基礎資格がない方もあり,実際には 70 名でした。初年度は,関東が当然中心になったわけですが,関東以外にも,全国的に受講生がいました。例えば,山口県とか,鹿児島県とか,これは恐らく教育委員会の方々が声かけをしてくれたと思います。ドイツ在住の方も鹿児島の教育委員会が紹介したようです。勤務先は,公民館,教員,教育委員会が多いわけですが,NPO,ボランティア,一般企業という方たちも比較的多く受講しており,多様な職種の内容がお互いに聞けるので受講生に刺激になっています。
 2 年目が,人数だけではなくて,地域が変わっていまして,関東に集中した特徴でありました。これはいろいろな理由があると思うのですが,スクーリングが課せられたことが原因の一つにあると思います。
受講生アンケートは,簡単なアンケートを随時採っていますが,開講時期とか開講曜日についてはおおむね良いのですが,時間帯がなかなか難しいとみております。初年度 18 時スタートで,2 年目が18 時 20 分。この 20 分間でも微妙で,適切な設定時間ということについては,まだ模索中です。あとは,どこで知ったかということですが,ウェブ上,教育委員会,日本社会教育士会とあります。その他の人づてのということが多い傾向にあります。特に社会教育の現場で活躍中で意識の高い層は,情報交流の中で大東の講座を知り受講しています。
 受講理由ですが,オンラインであったからということが一番多いです。他の講習にエントリーしたが抽せんで漏れたという方と,先ほども述べたカリキュラムを見てきたという方,この 2 つが大きな受講理由です。特にカリキュラムを見てきた方たちは,福祉というものに重点が置かれているため,現場のニーズとの関係で,気になってきています。埼玉で中心になっていろいろ活動され,ネットワークをつくっている社会教育関係者,ないしは以前社会教育畑にいて,今,学校の先生でという方たちや,多摩地区の公民館の方たちというような,割と意識の高い人たちが,講習内容に興味を持って講習しています。
 講座に対する満足度ですが,これはオンラインの講義とスクーリング講義とを分けてみました。スクーリングは半日ですが,現場に行き,見学と話を聞く,それを踏まえて,メンバーでの議論,その後食事をしたりするのですが,スクーリングの評価と比べたら,オンラインの評価は少し悪く 4 が圧倒的に多い違いがあります。交流を求めていること,また社会教育の世界の方々があまり行ったことのないところを歩くリアリティということもあると思います。
 受講生の感想は,好意的な感想が多いのですが,オンラインのトラブル問題が出てきています。やはりオンラインですから,電波事情が悪かったり,特に講師の先生が,ネット環境,パソコンにあまり長けていなかったりするなどの問題が出てきます。状況に応じて,サポートを遠隔でしている私たちの方から,「ここをいじってみてください」などと指示をしながら解決をしています。
 あと,大東文化大学の講習は,講習の最中に,先ほど愛知教育大の事例でもあったように,SNS 上で受講生がすぐつながりができ,毎回授業の感想やら,それぞれの交流を始め,そこから,我々の方としても,受講が終わった後に,引き続き実践交流をする緩やかなネットワークをつくろうという提案をしました。それが大東社会教育士会です。1 年目の講座が終了した日に提案をして,総会を開きました。すでにネットワークそのものは受講生主導で作られていましたので,規約の準備のみ大東の方でしました。参加の意思を表明されている講座修了者の中から運営委員を希望で選出し,そこに我々教員も加わりました。実態は,事務局長さんを中心に,元受講生の運営委員のメンバーが企画を立て,毎月例会を開催しています。2 週間ほど前に今年度の総会があったのですが,今年度の計画が提案されました。左上の手が 4 つつながっているロゴも,新しく提案された会のロゴマークです。
 恐らく,全国の主事講習の受講者が少しずつつながっていっているのではないかと思います。というのは,講座の第3木曜日,講義終了後に定例会があるのですが,大東の修了生だけではなく,いろいろな地域の方も参加されています。つながりは,大東の中だけでできているというわけではありません。
 親睦会は,昨年は伊豆に行きました。今年は草津に行く予定で,その地域の社会教育関係者とも交流をし,学習,観光,交流をします。
 大東社会教育士会には講習のスクーリングへの参加・サポートもしていただいております。さらに,大東文化大学の社会教育士課程のキャリアガイダンスにも協力してもらっています。教員,公民館職員,NPO職員,企業を立ち上げた人というような方々が興味深いお話をしてくれます。このガイダンスは,社会教育士の資格を取った延長線上で,どのような仕事があるのか,可能性を含めたお話を提供してもらっております。また,社会教育実習の報告会にも参加してもらい,アドバイスをしていただいています。
 このような形で,講座の受講生の組織である大東社会教育士会は,多様な社会教育畑の方々と交流し,一方で,大学の社会教育士課程に連携・支援をしてもらっております。我々としては,非常に助かっていますし,教員が語れない部分を,この大東社会教育士会のメンバーが自分の話として語ってくれています。
 交流会では,島根大学の講座修了者とも合同で会を開いたりしています,毎回,大東以外の方たちも来られ,大学の先生なんかも参加しています。講習を受けた人たちが,自分が関わっている,お世話になっている方々に声かけをして参加を促してくれています。実践交流も,修了生である会員と非会員が交互に報告をしています。オンラインですから,全国の実践事例を聞くことができています。いろいろな地域の話やら,地域の実情の違いなんかも非常によく分かるので,私も勉強になっております。
 また,こういうビラを毎回作って,皆さんに回しています。こういう能力も非常に長けていますので,養成課程のガイダンスのビラも作ってくれています。我々教員は非常に助けてもらっているというか,後ろからくっついていっているという,そんな感じの会になっています。
 最後に,講座としての課題です。先ほど言いましたけれども,オンラインの技術的なトラブル,人数は少ないのですが,やはり慣れていない方の対応に気を付けています。先生の中にも,そういう方がいます。パソコンに何かの異常があったときに,困るのがオンラインの特徴です。外の教員を入れることで講座の内容を豊かにしようと考えているのですが,一方でトラブルが出る危険性を抱えているのが現状です。
 さらに,必ずサポート体制をつくり教員が担当者として毎回講義に入ります。事務も必要に応じてサポートに入ってもらっています。その負担と事務手続,スクーリングの段取りなどの負担が大変大きいです。
 オンラインは,先ほどから出ていますけれど,全国各地から受講生が参加できることや,講師,実践の話も,全国各地の話が聞けるということだと思います。zoomのブレイクアウトルームなども使い勝手がいいですから,工夫次第で多様なことができます。しかし,対面の受講と比べたとき,先ほど名古屋大学の話のところで,なるほどなあと聞いていましたが,「雑談」ですね。やはり日常の授業,ゼミの中での関係性,そういう中からいろいろ学ぶこと,特に社会教育的な地域の見え方,議論の深みいう意味では物足りないと思います。特に民間に勤めている人たちにはもう少し,対面の時間を増やした方がいいと思います。ワーク作業の面も制限されるため,課題が多いと思います。
 あと, 1 年目は 50 人を超えて,一斉に授業することは可能でしたけれど,細かなケア,これはパソコンの苦手な人も当然いますし,社会教育に対する専門性の落差もありました。そのためクラスを 2 つに分けました。
 要望ということで言いますと,修了証明書を大東文化大学も出していますが,ドイツの社会教育畑で働いている方から,これはドイツで有効な資格ではないけれども,やはりそういう研修を受けたということを職場では評価したいので,国の証明を出してほしいとの要望がありました。私が英語で説明を書きましたけれど,あくまでも個人で書いたものにすぎませんでしたので,何らかの形で文科が証明を出していただけると助かります。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 大東文化大学で,2科目の主事講習ということで,開講されている事例の御報告でした。特に社会教育士会等をつくられて,相互に交流されているといったことなど,とても参考になったのではないかと思います。どうもありがとうございました。
 少し時間が押しておりますので,ここでは質疑を省略させていただいて,次の島根大学からの御報告に移りたいと思います。
 では,島根大学から,特に夜間・休日を中心とした学びやすい環境整備をしながら社会教育主事講習に取り組んでいらっしゃる事例について,御発表をお願いできますでしょうか。大野さん,よろしくお願いいたします。

【島根大学(大野)】
 ありがとうございます。
 まず冒頭,長谷川の方から説明いたします。長谷川先生,よろしくお願いします。

【島根大学(長谷川)】
 画面,見えておりますでしょうか。

【牧野部会長】
 大丈夫です。

【島根大学(長谷川)】
 島根大学の教育学部の長谷川と申します。よろしくお願いいたします。
 私,本学部の副学部長として,この講習の運営のワーキンググループの委員長をしておりますので,最初に少しだけ全体のことについてお話しさせてもらいます。
 今日は,その講師の一人でもあるし,ワーキングのメンバーである大野公寛の方から,後ほど具体的なことについて報告したいと思っています。
 あわせて,同じワーキンググループの島根大学教育学部附属教育支援センターの山中慎嗣も同席しておりますので,よろしくお願いいたします。
 島根大学の社会教育主事講習ですけれども,これは令和2年度より始めておりまして,今年で4年目になるというものであります。
 これは,昨年度,令和4年度の際に配付したパンフレットでありますが,字が小さいので御覧になりにくいとは思いますけれども,本講習の特色等についてこのように書いてあるということであります。
 特に,学校や地域における「人づくり」,「つながりづくり」,「地域づくり」に生かせるマネジメント能力やコーディネート能力,ファシリテート能力を身につけた「学びの専門人材=社会教育士」を育成するということを明確に最初に伝えて,募集をかけているということです。
 うちの場合は,4科目一括履修で実施をしております。
 特に島根県の教育庁社会教育課からの強力な支援を頂いておりまして,全国から受講生を受け入れてきておるということであります。
 もともとオンラインと対面の両方を用いて,仕事を続けながら受講できる講習とすることを前提として始めた経緯がございますが,ただ,ちょうど始めた頃からコロナが広がったこともあって,必然的にオンラインにかなり大きな比重をかけざるを得なくて,あまり当初のもくろみどおりにはいかなかったのですが,昨年の令和4年度については,ようやく当初の構想どおりにいったかなというふうに思っているというところであります。
 ちなみに,話の前提ですが,これも少し字が小さいので恐縮なのですが,これが昨年度の年間のスケジュールでありまして,特に7月16日から翌年の1月20日までという長期にわたって実施しまして,全国から58名の方が受講されて,58名が単位修得されているということです。
 この表の中に色づけをして4つの色に分けていますけれども,赤とピンクは同じですけれども,これがいわゆる4科目に当たっていまして,赤で囲んだ対面と書いてあるところがあるのですが,これが7月と9月と11月にあるのですが,ですから,これは必然的に休日に開催しているということになりますが,それ以外のほとんどの色がついているところは,いずれもオンラインでありまして,時間としても,夜の7時半から9時過ぎまでという時間を設定してやっておりますので,したがって,本講習は全て休日と夜間に実施しているということになっておると思います。
 一応そういう概要だけを最初にお伝えしておいて,以下,具体的な実情について,大野の方から御報告を申し上げたいと思います。
 大野先生,よろしくお願いいたします。

【島根大学(大野)】
 では,次のスライドをお願いします。島根大学の大野です。よろしくお願いします。
 今説明がありましたように,島根大学の講習は夜間と休日のみで開講しています。この後,その際の開講の際の工夫について御紹介をしようと思うのですけれど,その前に,そもそも何で夜間と休日だけで開講しているのかということについて御紹介をしたいと思います。
 その理由は大きく3つあります。
 まず1つ目が,全国からの学習者,受講者が集まって学び合うという環境をつくることで,地元山陰地域の受講者に日常とは異なる学びの刺激をもたらしたいということがあります。島根大学の講習は,地元の島根,鳥取のニーズを踏まえて開講しているのですけれども,山陰地域の受講者の皆さんが全国の受講者の方々と交流することで,視野を広げる,それから,ネットワークを広げるということを目指してこのようなことを考えています。
 2つ目の背景,理由として,島根大学の講習では,受講者が理論と実践を往還しながら学びを深めるということを大切にしています。
 特に社会教育演習の科目の中で,受講者一人一人の現場,職場のプロジェクトを題材とした,いわゆるPBLを実施しています。受講者が自分の職場とか現場で日々向き合っているリアルな課題を,この演習の時間に持ち込んできて,そこで課題の発見だとか,分析だとか,あるいは,現場で目指したい状態を検討したりとか,それを実現するための戦略を検討したりとか,そういったことを講師とほかの受講者が一緒になって対話をしながら深めている,そういう学習を取っています。
 受講者は,それを踏まえて,講習外の時間で自分の現場,職場で実践を行って,また講習の時間にそれを持ち寄って報告を行って,講師やほかの受講者からアドバイスを受ける,いわゆる壁打ちのようなものをして,また,さらに現場で実践を重ねて,演習の時間に戻ってきて,振り返りをしたり,次の一歩を考えたりとか,そういった学習のスタイルを取っています。
 そのために,先ほどありましたように,この講習は開講から閉講まで7か月間という長期の期間を設定しています。それは,そのように受講者が現場とこの講習を行ったり来たりしながら,現場も変化するし,自分も学ぶし,自分も変化していくしということを進めていくために,そのようにして学びを深めるために,このような長期間で設定をしているということがあります。
 それから,3つ目として,島根大学の講習は,主事発令を想定しない方々を含む多様な受講者の越境的な学びの場をつくるということを大切にしています。
 島根大学の講習は,社会教育主事になることを目指すという方だけではなくて,民間も含めた様々な領域で活躍する社会教育士,この士を養成するということを基本的には目指しています。
 ただ,士としてどういうことができるのかというのが,講師も,サポーターも,受講者も,特に民間を含む多様な領域の方々はなかなかつかめていないところもありますので,そういった中で,いろいろな受講者が自分の領域とか専門性を超えて学び合う,越境的に学び合うということで,新しいヒントや刺激を得るとか,領域を超えたコラボレーションが生まれるとか,それから,多角的に社会教育について考えるということを大事にしようとしています。
 このような大きく3つのことを実現しようとすると,必然的に夜間・休日,しかもオンラインとならざるを得ないというのが,島根大学の講習の取組の前提となっています。ですので,夜間・休日ありきというよりは,講習で実現したいこういった学びの場の在り方から,必然的にオンライン授業,夜間・休日が導かれていったという経緯がございます。
 次のスライドから,夜間・休日,オンラインでの実施の実際の工夫について紹介したいと思います。
 まず,リアルタイムで行っているオンラインの授業についての工夫です。オンライン授業では,一般的に対話をすることが難しいということが課題として挙げられるかと思います。その点,島根大学では大きく4つの工夫に今取り組んでいるところです。
 1つ目が,画面右上の吹き出しにあります,授業中は画面オンにしましょうということです。基本的に受講者と講師は画面オンにして参加することによって,対話を促す環境をつくっています。
 2つ目が,右下のチャット機能の活用というところです。講師が講義を行っている時間,しゃべっている間も,受講者からは感想とか疑問を自由にチャットに書き込んでもらうようにしています。そうすることで,講師としては,リアルに受講者の感想を見ながら進めていくこともできますし,また,受講者からすると,一緒に受講しているほかの方がどういう感想を持ちながら,考えを持ちながら授業を受けているかというのを知ることができます。受講者は,やはり一人で画面の前で授業を受けていますので,一緒に受けているという実感を持てるような工夫をしています。
 3つ目として,左上です。クラウド上で資料共有ということを基本にしていますので,共同編集機能を使っての作業ができるようになっています。これによって,オンラインでありながら,例えば,一つのスライドに一緒に付箋を貼っていくような作業ができるとか,一つの資料にみんなで書き込んでいくというような協働的な学習を実現することができます。
 最後に,左下のところで,ブレイクアウトルーム機能の活用です。先ほども御発表にありましたが,これを活用することで,少人数で対話を行うという空間をつくるようにしています。
 また,先ほど申し上げたように,島根大学の講習,多様な受講者がおりますので,学習のニーズもかなり多様です。そのため,一つの授業の中でも幾つもテーマに分かれた部屋を設けることで,受講者のニーズに合わせた対話の場を設定できるように工夫しています。例えば,学校の先生の受講者の方は,今日ここで話をしてみましょう,民間の方はこちらの部屋でとか,そういうふうな受講生の属性で分けることもありますし,テーマに応じて,学びづくりの点に関心ある方はこちらとか,マネジメントについてはこちらというふうに,部屋を分けて実施するなどもしています。
 そういったことをやる関係で,結構授業の中で画面共有をぱっとしたりとか,チャットに書き込んだりとか,ブレイクアウトルームに分かれたりという作業は結構出てくるので,授業者の講師だけではなくて,オンラインサポーターのような形で,別の講師の方を配置するようにも工夫しています。
 では,次のスライドに移ります。ここまでがオンラインでの学習の工夫についてでした。ただ,オンラインでいきなり初対面の学習者,受講者が対話的に学ぶというのは少しハードルが高いように思われますので,この講習では,受講者の皆さんがオンラインでも学びを深められるように,幾つか工夫をしています。このスライドで,それを説明しようと思います。大きく,関係づくりの側面と授業参画の側面と,2つの点での工夫を御紹介しようと思います。
 まず,関係づくりについてです。対面の講習も実はあるので,島大の講習の開講式,一番最初の授業に,対面をまず1回目設定しています。これによって,受講者の方とか講師の方が,これから一緒に学び合うよねという,この関係をつくる機会にしています。開講式の対面のプログラムも,そういったお互いのことを知る,関係を深めるようなプログラムを中心に用意する工夫にしています。
 また,画面右上ですが,講習期間中の学習者との連絡のLMSの活用にも取り組んでいます。貼ってある画像は,昨年度の講習で使用したSlackの画面です。このSlackを活用して,例えば,授業外の時間でも受講者同士がコミュニケーションを取るということをできるようにしています。また,チャンネルに,例えば,みんなの掲示板みたいなチャンネルをつくりまして,そこで全国から多様な現場から集まった受講者が,お互いの現場の報告をおっしゃったりとか,次こんなイベントありますよとか報告をし合ったりというような掲示板もつくったりして,お互いの対話を促すように,関係づくりを促すようにしています。
 また,このSlackの中では,オンラインでの交流会とか,あるいは,授業の延長戦やりましょうということを,受講者がある種勝手に企画していくということも生まれています。この画像,小さいのですが,よく見るとオンライン交流会,オンライン飲み会やりますということが書いてある受講者の投稿なのですけれども,そういったオンラインでの交流会が受講者発案で進んでいるというような状況があります。オンラインスキル発揮されているなと思っています。
 続いて,授業参画についてです。オンラインで,しかも夜間の受講になりますと,受講者の方は,仕事,家事を終えて画面の前に向かうということになるので,受講者の方が落ち着いて気持ちを切り替えて授業に入っていくということが,学習効果を高める上では重要だと考えています。そのために,授業が始まる少し前の時間から部屋を開いておいて,講師が社会教育について少し話すような,ラジオのようなものを流しておくだとか,授業が始まった直後にチェックインの時間を取るだとか,そういった工夫もしています。
 また,受講者への参画のはしごを用意するという工夫も行っております。これは,授業が終了した後に,授業者が,今日の授業はこんなことを大事に設計したのですよというポイントを受講者に共有することによって,受講者の方がだんだん授業に参画してもらえるような工夫を,足場がけをしています。昨年度,実際に授業の終盤で,オンライン授業を講師と受講者が一緒に設計するというようなことも,何回か起こりました。
 このような形で,関係づくり,そして,授業参画を促すことで,つまり,安心安全な学習環境を整えるということで,オンラインであっても積極的な授業参加が実現できるように工夫をしています。
 なお,休日の開催については,少し課題もあるということで,下の方に記述しております。特に休日の間の託児のサービスなんかがあるとよりいいなという意見も出ていますが,まだ実施できていません。
 では,次のスライドに移りたいと思います。
 今回,この事例発表に当たって,修了生の方にアンケートを実施しました。上の円グラフは,講習を受講するに当たって,島根大学の講習が夜間・休日に開講されているということを,受講するかどうかの判断基準としてどれぐらい重視したかということを尋ねたものの結果です。ほとんどの方が「重視した」,「やや重視した」を回答されているという結果になっています。
 その下,「夜間・休日」のよかったこと,困ったことについて,自由記述をもらっています。「夜間・休日だったからこそ受講できた」という方がいるということ,また,遠隔であってもつながりづくりというのができているということが,この記述からは読み取れるかなと思います。
 一方で,育児や仕事の両立の課題,特に学校の先生で,部活の関係で夜間・休日は難しいというような声も頂いています。
 私からの報告は以上です。長谷川先生,お返しします。

【島根大学(長谷川)】
 ありがとうございます。
 あわせて,今年の2月にアンケートを行ったときの受講生の声の中で,オンライン講義に関することも,当然休日・夜間になりますと,オンラインなので,そのことについても見てみると,こんな感じです。
 よかったという意見として,「仕事に支障が生じない」,「遠方から参加できた」というのは当然ですけれども,一方では,やはり「常に画面をオンにするように求められたことに疑問を感じた」とか,あるいは,「通信環境への適応に苦労した」といったようなことが上がっていたということです。併せて御報告しておきます。
 最後に,簡単にですけれども,本学で行っている講習が抱えている課題といいますか,今後の,特に夜間・休日に実施するということに関する,これは主にはオンラインをやっていかないといけないということですので,まとめておきますと,大体5つあるかなと思っております。
 1点目は,何より受講者の学習環境,オンラインの場合,やはり受信環境といいますか,そちらの方がどうしても不安が残るというのが大きな課題ですので,これは丁寧な説明をして,今年度も何とか改善していこうと努めております。
 2点目は,プライバシーの課題ですが,これは先ほど何度か出てきたように,画面のオフの状態では受講状況は把握できませんので,絶えずオンにするようにと指示していますけれども,結構これは受講者にとっては負担だということで,これもやはり丁寧な説明をするより今はないかなというふうに考えて,今年もそれを試みているということであります。
 それから,3番目は,家庭の事情や出産・育児等への対応で,これも先ほども少し触れましたけれども,やはり夜間実施・休日実施の両方について,こういう私的な事情で受講しにくいという状況は当然起こり得ると思っております。これも,結局丁寧に対応していくより今のところは手がないと考えているというところです。
 4点目は,対面の重要性について指摘する声がありましたように,我々としても,それはやはり重要で,完全オンラインというのは望ましくないと。それで,いかに両方入れていくかということがもちろん重要な課題で,今後も取り組みたいと思います。
 最後,時間と資金面ですが,これも非常に重要な問題で,やはりオンラインで夜間・休日となりますと,事前の打合せをはじめ,しかも,かなり多数の人たちに手伝っていただかないと回らないというのが現状であります。ですので,やはりそのための人の経費もかかるということについては,今後も引き続き大きな課題であると考えております。
 以上,島根大学からの報告は以上であります。どうもありがとうございました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。特に,時間を厳守していただいて,ありがとうございます。
 今,島根大学の方から,受講者の利便性を考えて,夜間・休日を活用した講習の取組,それを実施するに当たっての様々な工夫です,それから,アンケートを通した課題等が報告されました。
 時間が,今日は少し遅くなるのですが,あと10分ほど残っておりますので,ここで島根大学への御質問だけではなくて,全体を通して御質問,御意見等がありましたら,お出しいただければと思います。
 特に,今日まだ御発言がない塩田さん,倉持さん,それから,オンラインで原さん,もしお三方の方で何か御意見や御質問等ありましたら,まずお願いできますでしょうか。
 では,塩田さん,お願いいたします。

【塩田委員】
 ありがとうございます。
 全体を通じてになると思うのですが,実際にこの社会教育主事・社会教育士の裾野を広げていくということに当たっては,やはりこういうオンラインの活用であるとか,夜間・休日の活用といったものは,裾野を広げる意味で避けて通れないものだと思っています。私たちのような民間の者がこうした学習,学びをするには,会社を辞めない限りは,こういう機会というのはなかなか得られないと思うわけです。
 一方で,この社会教育というフィールドは,やはり人と人との接点,触れ合いのところで作用するものだと思っています。そういう意味で,実際に今もうそういう触れ合いをしている人が,さらなる自身の高度化を図ったり,深みを増すためにこういう講習を受けるというときには,オンラインでも十分機能を発揮すると思うのですが,全く真っ白な,接点とかを持っているような仕事ではない人が,こういう役割発揮をしたいというときに,実際のフィールドワークとか全くない状態で,もう講習完了しましたよというのが,本人も本当に自信を持って,若しくは,送り出す側も自信を持って,あなたはもう一定の称号を得るにふさわしい学びをしたよと言えるのかどうかというのがやはり不安で,自分が仮にそういう立場になっても,送り出す側だとしても,受ける側でも不安だと思うので,そこを払拭できる何かというものがさらに一段必要ではないかなと思いますので,意見として述べさせていただきます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。
 御自身が受講生であったら,ということだと思いますけれども,受けやすい環境づくりはどうしても必要だろうと。そうであればオンラインが必要だと思いますけれども,ということなのですが,やはり社会教育という特性を考えていくと,それだけでよいのか。むしろ,実際に人と人が交流しながら,実地の様々な経験を積んでいくといったことも含めて,社会教育士として育成されていく,また,社会教育主事になっていくといったことがどうしても必要ではないか。その辺りをどう考えていくのかという御指摘だったと思います。引き取って,また今後の議論につなげたいと思います。どうもありがとうございます。
 倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 御報告ありがとうございました。改めてこうやってじっくりお話を伺うと,それぞれをもっとじっくり聞きたいと思うぐらいで,全然時間が足りないなと思いました。
 お話を伺っていて,幾つか,これから検討とか議論を皆さんとしたいなと思ったところがありました。1つは,やはり主事講習修了者のネットワークやコミュニティのお話が,愛知教育大学や大東文化大学の事例で非常に印象に残りました。修了者自身の継続学習にもなるし,次年度の受講者の学び,サポートということもあるし,養成課程の学生との交流や現場との交流もあるなど,様々な効果があって,講習校による特性もあって,自発的な取組というのが非常に未来を感じるというか,可能性を感じるお話だったなと思います。
 それから,養成課程と主事講習との連携とか相乗効果,あるいは,主事講習とか養成課程が現場とつながっていることで現場の力量形成や現場の活性化につながっていることなど,学びの質の向上や高度化との関連も非常に大きいのだなというふうに,各事例を伺っていて思いました。
 そういうことで言うと,今お話にあったように,オンラインだけではその部分の効果をどこまで高められるのかなとも思ったりして,そうすると,オンラインと対面の効果的な活用とか併用の在り方というのが,各主事講習によってどういうふうに特徴化していけるかも論点だと思いました。受講者がそれに応じて講習を選択できるようになるとともに,地域性みたいな部分の特徴というところが,横並びではなくて,いろいろな特性みたいなことが選択可能になっていくと,より裾野も広がっていくのかなと思っていました。
さらに改めて4つのお話を聞くと,とにかく担当される方の御負担が非常に大きいということはすごくひしひしと感じたので,この部分も持続可能に横展開していく上では,放っておけない課題だなと思いました。
 感想じみてしまいましたが,以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。
 今回の4つの事例から,オンラインの有効性といいますか,そうしたものは見えてくるのだけれども,やはり対面の重要性といったこともあるのではないか。さらには,課程と講習も含めてですけれども,やはり実践現場を持っているといったこと,講習,課程,またオンライン,対面,さらに現場といったことの関係性をどう捉えながら今後の講習の在り方を考えていくのかといったこと,さらには,担当者の負担の大きさ,これをどう解消しながら,主事講習の在り方をより持続可能なものにしていくのか,その辺が問題ではないかという御指摘だったと思います。どうもありがとうございます。
 それでは,オンラインで,原さん,お願いできますでしょうか。

【原委員】
 原です。今日もありがとうございました。
 各地の実施の報告を伺いまして,本当に多様な形で広がっているなというふうに感じたところです。
 実は,私も前の大学におりましたときに,講習の主催を五,六回やったりしたときに,回ってくると事務負担,あるいは,実施の負担というのが多いというのを実感していたのですけれども,やはりほかの実施大学さん,あるいは,機関の方々からも同じことが聞こえて,これはある意味共通の問題だなと思いました。
 今までもう出されているのは抜きにして,1つ,オンラインの講習が行われるということで,例えば,先ほどの北海道のセンターさんの実施でいきますと,見たところ,県外の講師が3分の2ぐらいいらっしゃったと。島根大学さんの方も,オンラインですると全国から受講者がいるという。
 これまでの社会教育主事講習,各大学,地方大学でやっていたもので,結構地方色,社会教育というのは,かなり地域によっても違うということで,私なんかも北東北の方で,北東北の内容を盛り込みながらやってきたところもございます。そうすると,オンラインになると,全国の方が,例えば,自分とは違うところに参加したい,出席したいという要望には応えられる一方で,地元の方々の学習内容の中で,全国の状況や先生方のお話を聞けるといったメリットと,一方で,地元,足元のところの学習内容がどこまで今までのような形ですくえるのかどうかというようなところの,そのバランスというのはどう考えるのかということで,社会教育主事講習というものをもっとナショナルスタンダード的にしていく方向なのか,あるいは,もう少しこう地元色を維持しながらということにするのか,その辺りを検討していく必要はあるのではないかなと思ったところです。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。
 事務負担の大きさ,これは実感されているということなのですけれども,さらに,今回オンラインを併用する中で,各地の受講者の中に,いわゆる全国区といいますか,そういう方々が増えてきているのではないか。その意味で,この主事講習の在り方について,ある種ナショナルスタンダードのような形でつくっていくといったことを考えるのか,さらに,やはり地域特性といったことに応じて,地域を重視する形で編成をするのか。その辺りをやはりもう一度きちんと考えていく必要があるのではないかという御指摘だったと思います。今後のカリキュラム編成等についても,今後議論する予定ですので,今の御意見等も反映できればと考えております。
 取り回しも悪くて,それから,多分皆様,思いがたくさんあるものですから,随分お話しになって,さらに,最初の方にまた機器のトラブルがありまして,時間が押してしまい,ました。実はあと2分しかないものですから,今日はこの辺りで閉じさせていただいて,また次回の議論へつなげたいと思います。御了解いただけますでしょうか。
 どうもすみません。どうもありがとうございます。
 それでは,議事を事務局の方にお返ししますので,よろしくお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
 事務局の中村でございます。
 それでは,資料5を御覧ください。今後の審議予定(案)についてお示ししております。次回は7月3日月曜日17時から19時30分での開催を予定しております。第4回以降の開催日程については,記載のとおりです。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。次回,7月3日,今日と同じ時間,17時から19時30分までとなりますので,御予定をお願いいたします。
 それから,今日どうしても時間が迫ってしまいましたので,十分御発言がいただけなかったと思います。それで,事務局の方へ後からメール等で御意見いただければと思います。委員の各先生方におかれましては,ぜひとも事務局の方へ御意見をお届けいただければと思います。
 今日御発表いただきました4つの事例を担当してくださった北海道立生涯学習推進センター,愛知教育大学,大東文化大学,島根大学の各担当者の方々,今日は大変ありがとうございました。遅くまでお付き合いいただきまして,どうもありがとうございました。これからもまたぜひよろしくお願いいたします。
 では,これで第2回の部会を終えたいと思います。どうもありがとうございました。

―了―

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メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp
 

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