公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成30年5月29日(火曜日)15時00~17時00

2.場所

文部科学省東館13階13F2会議室

3.議題

  1. 論点整理
  2. その他

4.議事録

【明石座長】 
 定刻となりましたので、ただいまから第6回公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループの会議を始めたいと思います。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 事務局より、資料の確認と本日の会議の流れを御説明してください。

【伊藤社会教育官】 
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第と座席表、資料1と参考資料の1から7を配付しております。過不足ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 本日は、これまでの会議におきまして皆様より御意見頂きました内容を踏まえまして、事務局で作成しました資料1の論点整理(案)につきまして意見交換を行うこととしております。
 以上です。

【明石座長】 
 それでは、議題に入りたいと思います。
 まずは、事務局より資料1、論点整理(案)について全体像の御説明をお願いいたします。八木課長、お願いいたします。

【八木社会教育課長】 
 それでは、私から資料1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。資料1につきましては、これまでワーキングで頂いたヒアリングや御意見をまとめた論点整理(案)でございます。
 まず、1ページを御覧いただきたいと思います。上の丸4つにつきましては、本ワーキングの設置の経緯をまとめたものでございまして、3マルにございますように、公立博物館をはじめとする公立社会教育施設について、地方公共団体の判断で条例により地方公共団体の長が所管することを可能とすること等に関しまして、専門的な見地から検討を行うために本ワーキングが設置されたという趣旨を述べております。なお、今後、今回御議論いただきまして、最終的には論点整理(案)を中央教育審議会の生涯学習分科会に報告することになっております。
 それでは、1ポツから説明をさせていただきます。まず1ポツは、「社会教育を教育委員会で所管していることについて」ということでまとめさせていただいております。最初の丸でございますけれども、戦後、地方における社会教育に関する業務というのは、政治的中立性や継続性・安定性の確保等の観点から、教育委員会の所管とされ、今日まで70年近くの歴史を刻んできたところでございます。社会教育は、学校教育以外の場における学習の機会を提供し、地域における人作りを通じて社会の発展に寄与してきたということを書かせていただいております。
 そして、2つ目の丸、今後、人生100年時代の到来やSociety5.0に代表されるような社会の大きな変化が予想される中で、生涯学習社会の実現が一層強く求められております。
 2ページに参りまして、最初の丸でございますが、そのためには、行政としても国・地方を問わず、学校教育・社会教育の振興を通じた生涯学習社会の構築の取組をこれまで以上に強力に展開していく必要があるという形になっております。特に、新学習指導要領におきましては、学校と社会が共有し相互に連携する社会に開かれた教育課程の実現を目指していること、平成29年の社教法改正によりまして、地域学校協働活動が新たに規定され、学校と地域の一層の連携が求められていること、さらには、社会人の学び直しによる生涯を通じた能力の開発や、地域で心豊かに活動するための学び、多様な人々とともに生きる社会を作るための学び等の充実が求められていること。こうしたことを踏まえると、学校教育と社会教育との連携・融合を図りながら、横断的・総合的な視点で教育行政を展開していくことが一層重要と考えられる。
 このような観点から、社会教育に関する事務につきましては、今後とも教育委員会が所管することを基本とするべきであるとしております。教育基本法に位置付けられております教育振興基本計画等の策定を通じまして、国・地方の双方において、学校教育・社会教育を通じた総合的な教育政策に今後一層注力することが求められるとしております。併せて、地方公共団体の長の所管するほかの行政分野との横断的な連携を効果的に図るため、総合教育会議の積極的な活用を含めた取組についても推進する必要があるとまとめさせていただいております。
 2ポツからが、「今後の社会教育施設に求められる役割」ということでまとめさせていただきました。前回にも御指摘賜りましたように、社会教育は、全国に公民館でいきますと1万4,171、図書館が3,331、博物館が類似まで含めますと5,690、青少年施設が941、女性教育施設が367、合計いたしますと2万4,500施設にも及ぶと。それだけ面的な側面が、そういう強みを持っているということでございます。そして、歴史的にも、学習手法や学習領域等における豊富な蓄積と貴重な財産を有していることを書かせていただいております。
 2つ目の丸でございますが、施設管理に関しましては、施設設置の目的を効果的に達成するための措置として、指定管理者が導入されていて、株式会社など民間事業者にも館長業務を含め、全面的に管理を行わせることができることとなっていることを書かせていただいております。
 一方で、3マルでございますけれども、社会教育施設の現状には厳しい意見もありまして、それぞれの施設が今後果たすべき役割を明確にするとともに、求められる役割を果たすために必要な具体的な方策について制度面も含めて検討し、着実に実現していく必要があるとしております。
 近年、社会における人と人とのつながりの重要性が見直されるとともに、新たなテクノロジーも積極的に活用しながら、小さな単位で地域の課題解決に積極的に取り組もうという活動が注目されていることも踏まえまして、こうした住民主体による課題解決の活動に社会教育施設がどのように貢献しているか、そうした視点も検討を行うことが重要であるとしております。
 さらに、いずれの施設におきましても、バリアフリー化を進めるとともに、あらゆる地域住民の社会的包摂に寄与する視点に立ち、運営の充実を図ることが求められるとしております。
 そして、3ページの真ん中ほどから公民館について書かせていただきました。最初の丸は、公民館は地域の学習拠点として、地域住民の学習ニーズに対応した講座、講演会、展示会等を実施してきたと。一方で、公民館につきましては、この前も御指摘いただきましたが、主催事業が減少し、実態として利用者が固定化しているところも見受けられるなどの指摘もあり、より効果的な事業展開に向けた職員と住民との間での対等な議論の活性化や、多様なネットワークを構築できる中核的な人材の養成が急務になっているということにしております。
 今後でございますけれども、地域課題を解決するために必要な学習を住民に提供する役割や、学習の成果を地域課題解決のための実際の活動につなげていく役割、こうしたことを強化することが求められるとしております。また、中山間地域における小さな拠点の中核となる施設としての役割も期待されるとしております。
 公民館は、昭和21年に文部次官通牒が出ておりますけれども、その当時の機能としましては、社会教育機関であるとともに、社会娯楽機関であったり、町村自治振興機関、産業振興の機関、こうした役割も期待されていたところでございまして、上記のような方向性は、その当初の設置の趣旨とも合致するものであるとさせていただきました。今後でございますけれども、学習と活動を結び付ける機能を有する新しい地域の拠点施設を目指していくことが望ましいとしております。
 次に、4ページでございます。図書館でございますが、図書館は、図書の貸し出し、読書会、レファレンスサービス等を実施してきたと。今後でございますけれども、障害の有無に関わらず、全ての住民に読書の機会を提供する役割を強化するとともに、社会に開かれた教育課程の実現に向けた学校との連携の強化であったり、商工労働部局や健康福祉部局等とも連携した地域課題解決や地域の先駆的・主体的な取組の支援に資するレファレンス機能の充実などの役割が求められるとしております。さらには、まちづくりの拠点となる地域住民の交流の拠点としての機能も期待されるとしております。
 今後の図書館ですけれども、市民生活のあらゆる分野に係る関係機関と連携の下、利用者及び住民の要望や社会の要請に応える地域の情報拠点としての運営の充実を図ることが望まれるとしております。
 続きまして、博物館でございますけれども、博物館につきましては、様々な学術資料・芸術作品等の収集・保管、そして、それらについての調査研究、さらには資料や調査研究の成果を用いた展示・教育事業を行ってまいりました。そしてまた、博物館の対象とする分野は極めて多様でございまして、個々の博物館の名称につきましても、美術館であったり歴史館であったり科学館であったり動物園、水族館等々、様々であるというのが特徴の一つとなっております。
 5ページに参りまして、博物館、今後でございますけれども、社会に開かれた教育課程の実現に向けて、地域の学校における学習内容に即した展示・教育事業の実施であったり、国内・国外の多くの人々が知的好奇心を満たしつつ広く交流することができる場としての役割を強化することが期待されるとしております。
 また、各種の講演会、研究会等の開催を通じて、各分野におけるボランティアの養成であったり、友の会等のネットワーク作りを展開することや、地域住民参加のワークショップ等を通じて、博物館の事業やその地域の在り方についてともに議論し、博物館の事業の改善や住民の主体的な活動につなげていくことも重要であるとしております。
 そして、近年の訪日外国人旅行者数の増加によりまして、博物館というのが新たに経済活性化に資する資源としての観点からも期待が高まっていると。その際、博物館は単なる観光資源ではなく、旅行者に日本や地域について理解を深めてもらい、親近感を醸成してもらう場であったり、旅行者と住民とが交流する場であるという視点も重要であると。なお、各博物館の目的や性格に照らした場合、経済活性化に資する事業を展開することが難しい博物館があることにも十分留意する必要があるとしております。
 続きまして、青少年教育施設でございますが、青少年教育施設は、青少年を対象に研修事業や体験活動プログラムの提供を行うとともに、青少年団体等の利用に供するために設置される社会教育施設でございます。そして、青少年の成長に大きな影響を与えていると。今後でございますけれども、次代を担う青少年の健全育成を総合的に推進することであったり、青少年が地域の担い手となることを支援する拠点としての役割を担うことも期待されるとしております。
 続きまして6ページでございますが、女性教育施設でございます。女性教育施設は、女性や女性教育指導者を対象に各種の研修・情報提供等を行うとともに、その施設を女性や関係団体等の利用に供するために設置される社会教育施設でございまして、実際には男女共同参画センターであったり女性プラザ等として、女性向けのキャリア形成支援やリーダー育成等に係る講座を展開するとともに、女性に関する各種相談窓口を設置するなど、男女共同参画の推進にも大きく貢献しているところでございます。
 今後でございますけれども、女性の一層の社会参画が期待されている中で、例えば、出産・育児等により離職した女性の就業支援や、地域活動への参画を支援するための多様な学習機会の確保や情報提供等が求められるということでしております。
 そして、3ポツからが「公立社会教育施設の所管に関する特例を設けることについて」というタイトルにしております。まず、先ほど述べましたとおり、総合的な教育行政の推進を図る観点から、社会教育に関する事務については、今後も教育委員会が担当することを基本とするという考えを基に、一方で、今述べましたような社会教育施設の役割に対する期待が高まっている中で、地方公共団体からは、地方公共団体の判断によって、地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管することができる仕組みを導入すべきという意見が提出されております。こうしたことも踏まえまして、まず1つ目として、特例措置を設けることについてのメリットを中心にまとめてみました。
 まず1つが、「他行政分野との一体的運営による質の高い行政実現の可能性」としております。当該施設を活用して、当該施設における社会教育に関する事業等を、まちづくりや観光等のほかの行政分野との事業等とを一体的に推進することで、より充実した住民サービス等を実現し、地方行政全体としてより大きな成果を上げることが可能になるとしております。
 7ページに参りまして、また、社会教育でございますけれども、社会教育は、福祉、労働、産業、観光、まちづくり、青少年健全育成等の地方公共団体の長が所管する行政分野とも大きな関わりを持つものでございます。公立社会教育施設を地方公共団体の長が所管することとなる場合、こうした地方公共団体の長が所管する他の行政分野における人的・物的資源、専門知識、ノウハウ、ネットワーク等を公立社会教育施設において効果的に活用することで、当該施設の運営のみならず、社会教育行政全体の活性化にとってもプラスの効果が生まれる可能性があるとしております。
 例えば公民館につきましては、地域コミュニティーの維持や中山間地域における小さな拠点に必要な施設としての観点からも、その意義が改めて見直されている中で、様々な行政分野が交わる地域作りの拠点としての機能強化や運営の改善につながるということは挙げられます。
 図書館につきましては、ほかの行政分野の施設との運営上の連携を強化することで、住民交流の拠点、まちづくりの拠点、さらには様々な分野の情報拠点等として機能をより効果的に発揮しやすくなることが期待されております。
 また、博物館につきましては、観光などの振興にも大きな役割が期待されているところでございますけれども、関連する行政分野とのより密接な連携が運営の充実や地域振興にもつながることは考えられます。さらには、地方公共団体の長が所管する博物館相当施設等が新たに博物館登録制度の対象となることで、首長部局における当該施設の充実に向けた機運の高まりや、教育委員会側においては登録博物館が増えることによる社会教育の一層の充実も期待されるとしております。
 このほか、青少年教育施設や女性教育施設におきましても、例えば、ひきこもり、非行少年の自立支援、女性の社会参画支援等について、教育行政の枠組みを超えて、より効果的な取組が実施しやすくなることなどが考えられます。
 そして、複合施設のより効率的な運営実現の可能性も考えられます。様々な分野の施設が複合した形で設置されている場合に、その所管を一元化することで、当該複合施設の運営がより効率的に行える点も挙げられます。現在、公立社会教育施設の複合化の現状でございますけれども、図書館については65%、公民館は31.6%、博物館は19.2%となっております。その割合は年々高まりますとともに、例えば図書館につきましては、この前の品川区の大崎図書館の話もございましたけれども、図書とリハビリ病院と介護老人福祉施設、そうしたものを一体とした複合施設がオープンするという情報も聞いておりまして、そうした医療・福祉の複合化など、人口の高齢化を見据えた新たな取組も進められる状況となっております。
 そして、8ページでございますが、政治的中立性の確保についてでございます。公立社会教育施設の所管を首長の所管とすることができるようにすることについては、今述べたような意義がある一方で、とりわけ政治的中立性の確保について十分な検討が必要となります。
 まず、教育でございますけれども、学校教育、社会教育ともに政治的中立性の確保が重要であると。学校教育につきましては、児童生徒の発達段階に応じた体系的な教育を行うことにより、社会を生きる上で基礎的な素養を身に付けさせるものであって、教育基本法、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法及び教育公務員特例法において、政治的中立性の確保に特に配慮する規定が置かれているところでございます。
 これに対しまして、社会教育につきましては、その事業への参加は参加者の任意でなされているもので、強制性が伴うものではないこと、参加者が成人である場合には本人、青少年である場合にはその保護者が判断するものであることなど、学校教育とは異なる側面も多くございます。このため、社会教育における政治的中立性の確保につきましては、学校教育と完全に同一の措置を講ずる必要があるとまでは考えられず、教育委員会による一定の関与や第三者機関の設置等の担保措置を講ずることにより、これを確保することも可能と考えられます。したがいまして、社会教育に係る事業を展開する社会教育施設の所管についても、一定の担保措置を講ずることにより、政治的中立性を確保することは可能と考えられる。
 本ワーキングのヒアリングにおきましても、公立社会教育施設の所管については、政治的中立性の確保や学校教育との連携等についての一定の担保措置を講ずることを条件に、地方公共団体の長が担当する特例を認めることを肯定する意見が多く述べられたところでございます。
 なお、平成25年の中教審答申におきましては、首長が任免を行う教育長を地方教育行政の責任者とすることについて検討が行われた際に、教育行政の政治的中立性、継続性・安定性を確保するため、教育長による事務執行に合議制の教育委員会が必要な歯止めを掛けられるような制度的措置を講ずることが議論されました。
 その中で、教職員や事務局職員の人事、教育内容等、教科書、その他教材の扱いなど、特に重要な個別の事務につきましては、教育委員会の議に基づいて、教育長が基本方針を策定することとされたと。「議に基づいて」というのは、法的拘束力があるものと解されております。とされた一方で、社会教育に関する事務を含めたその他の基本的な事項につきましては、教育委員会の議を経ることとする。「議を経る」というのは、従う義務まではないが、強い拘束性を伴うものと解されておりますが、特に重要な個別事務とは明確に区別した扱いがなされていたものでございます。
 この教育の政治的中立性を確保するための担保措置については9ページに書かせていただきましたが、例えば、以下のような新たな仕組みを導入することが考えられると。ただ、その具体的な在り方については、さらに詳細に検討する必要があるとしております。
 その具体的な中身でございますが、まず1つ目としまして、地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管することについての条例を定める際には、スポーツ・文化に関する所管についてと同様に教育委員会の意見を聞くことを義務付ける。
 2つ目でございますが、地方公共団体の長が公立社会教育施設に関する事務について規則を制定する際には、あらかじめ教育委員会の意見を聞くことを義務付ける。
 3つ目、毎年度、公立社会教育施設の事業実施に当たりましては、社会教育委員の会議等を活用した第三者機関を設置して、意見を聞くことを制度上明確に位置付ける。さらには、社会教育委員の会議につきまして、委員の委嘱に係る参酌基準において、例えば、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設について見識を有する者についても明記すると。そして、第三者機関の会議については公開で行い、議事録を作成し、公表することとする。こうした措置が考えられるとしております。
 併せて、公立社会教育施設について、運営状況の評価や情報発信を一層推進するとともに、各施設に設置された審議会や協議会等を積極的に活用することなども重要だと考えているということでございます。
 上記のような担保措置を講ずることによって、政治的中立性の確保のみならず、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携に関しても、その確保が可能となるものと考えられるとしております。
 (3)「本WGとしての考え方」でございますが、以上の検討を踏まえ、本ワーキングとしては、社会教育に関する事務については今後とも教育委員会が所管とすることを基本とするべきであるが、当該地方の実情を踏まえて、地方公共団体の長が所管することが当該地方にとってより効果的と判断される場合には、地方公共団体の判断によって、地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管することができることとする特例を設けることについて、今述べましたような政治的中立性の確保に関する制度的担保が行われることを条件に可とすべきと考えるとしております。
 その際、地方公共団体の長が担当することとなる事務につきましては、公立社会教育施設の設置とその運営に関する事務、例えば、規則の策定であったり、各種事業の実施、職員の任命、審議会等の設置・委員の委嘱、運営状況の評価・情報提供等が含まれることになると考えられます。
 10ページでございますが、「地方公共団体において特例措置を活用する場合に留意が求められる点」をまとめております。まず、「教育行政としての一体性の確保」としておりますが、生涯学習社会の実現に向けた取組をこれまで以上に強力的に展開することが求められております。その中で、教育委員会には教育基本法に基づく地方公共団体における教育振興基本計画の策定等を通じて、域内における社会教育の一層の振興を図ることが求められております。
 公立社会教育施設における業務は、地方の社会教育行政の重要な柱となるものであって、仮に首長が所管することになったとしても、公立社会教育施設に関すること以外の社会教育に関する業務との一体性を保ち、さらには学校教育とも強固に連携しながら進めていくことが重要であると。教育委員会には、総合教育会議等を積極的に活用しながら、首長部局やNPO法人等の多様な主体との連携・調整を行い、社会教育の振興の牽引役として積極的な役割を果たしていくことが求められるとしております。
 さらには、地方公共団体の長で策定いたします、例えば、地域活性化プランであったり観光振興基本計画におきましても、公立社会教育施設に関する事項はもとより、広く社会教育、学校教育との連携等についても留意した記載を行うなど、相互の連携に基づく総合的な行政が進められることが重要であるとしております。
 都道府県の教育委員会においては、専門的な知見を生かしまして、広域的な観点から域内の社会教育行政の総合的な推進を図るため、博物館に関しましては登録事務や学芸員の資質向上事務、私立博物館に対する指導・助言等、公民館に対しましては、公民館主事等の資質向上事務や私立公民館への指導助言等、図書館に関しましては、司書等の資質向上事務や私立図書館への指導助言等を行うものであって、さらには、都道府県全体を俯瞰した上での学校教育との調整役としての役割も担うことが期待されております。
 また、市町村教育委員会におきましては、社会教育と学校教育との連携を推進していく役割が一層重視されるようになっていることも踏まえまして、社会教育主事も活用して、地域学校協働活動の推進であったり社会教育関係団体との連携等について積極的な役割を果たしていくことが求められます。
 そして、首長で所管することになったとしても、当該施設に関しましては、社会教育主事が専門的・技術的な助言と指導を積極的に行うことであったり、教育委員会との連携の下で、社会教育施設の職員に対する研修を充実させることも重要と考えられます。
 11ページに参りまして、なお、さらに今年の2月に社会教育主事講習等規程の改正が行われましたが、その際、社会教育主事講習の修了証書を授与された者又は社会教育主事養成課程の修了者は、社会教育士と称し、教育委員会のみならず、首長部局、NPO、企業等の幅広い分野で活躍することが期待されております。今後、そうした首長が特例を活用する場合においても、その施設の職員等として社会教育士を積極的に活用いただくなど、社会教育に専門的な知見のある人材の積極的な登用に意を用いていただきたいとしております。
 そして、「地方自治法に定める事務委任・補助執行の活用の検討」というのがございます。地方公共団体におきましては、地方自治法第108条7の規定によりまして、事務委任・補助執行により、首長部局は公立社会教育施設に関する事務を行う事例も増えております。事務委任・補助執行を行っている地方公共団体からは、権限と責任の所在の曖昧さや執行上の手続の煩雑さを指摘する声がある一方で、公立社会教育施設の運営を首長の所管の他の行政分野と一体的に行うことができる点については評価されているところもございます。各地方公共団体において、公立社会教育施設の所管に関する特例の活用を検討するに当たっては、事務委任・補助執行のような既存の制度の活用についても併せて十分に検討の上、より適切な方法を選択することが望まれるということにしております。
 以上が留意する点でございまして、最後に4ポツのところが「社会教育の一層の振興について」ということにしております。今回、施設特例措置が導入されたとしても、それぞれの社会教育施設が社教法、図書館法、博物館法等に基づく社会教育施設であることには何ら変わりはなく、各施設にはそれぞれの法律に定める目的に即して、各種の基準等を遵守して、社会教育の振興に努めることが求められます。教育委員会においても、首長部局と密接に連携を図りながら、当該地方公共団体における社会教育の振興に努めることが求められるとしております。
 そして、今後は首長部局も社会教育振興の一翼を担うこととなることから、国においては公立社会教育施設を所管する首長部局とも十分な意思疎通を図りながら、連携関係を構築していくことが求められるとしております。また、都道府県教育委員会においても、市町村の首長部局に対して同様の対応が求められるとしております。
 そして、今回の特例でございますけれども、社会情勢の変化の中、公立社会教育施設が求められる役割をよりよく果たすことができるよう、地域の実情等を踏まえまして、教育分野以外の分野の専門的知見、経験や人脈、情報発信等に係る資源を有する首長部局が、社会教育の振興の新たな担い手として加わることを可能とするものでございます。すなわち、地域における社会教育の振興がこれまで以上に図られることを期待して導入しようとするものでございますので、このことを国、地方公共団体、関係団体等の全ての関係者が十分に認識しておかなければならないとしております。また、特例を活用する地方公共団体におきましては、このことを契機に、地域における組織体制の強化を図るとともに、社会教育の在り方についての地域住民の関心を高め、一層の参加を進めるための環境整備を図っていくことが望まれるとしております。
 なお、本ワーキングにおきましては、博物館については、委員や関係団体から今後の博物館に求められている役割を踏まえまして、博物館登録制度の在り方を含めた博物館法の総合的な見直しについての検討を進めるべきとの意見がございました。来年の秋にはICOM京都大会が開催されるなど、博物館振興に向けての機運は高まってきております。29年度日博協の報告書におきましても、ICOM京都大会の開催こそ、博物館制度を見直す絶好のチャンスとの指摘もあることから、今後、専門家や関係機関とも十分に意思疎通を図りつつ、現場の状況を十分に把握した上で、博物館の一層の振興に向けて、より専門的な検討が行われることを期待したいとしております。
 以上、長くなりましたが、私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【明石座長】 
 八木課長、ありがとうございました。本日の議論は、御説明いただきました論点整理(案)の事項に沿って進めていきたいと思っております。それでは、まず1ページと2ページの1、「社会教育を教育委員会で所管していることについて」について、皆様より御意見をお願いしたいと思います。ちょっと短いんですが、大きな頭の方といいましょうか、なぜ今回、こういう導入があって、社会教育を教育委員会が所管していることについての歴史的なことと社会の動きを加味しながら述べさせていただいておるんですけれども、何か補足とか付け加えることがありましたら、お願いいたします。
 2ページの上の方の2番目の丸がございますよね。多分これが1番の勘どころかと思われます。「今後とも教育委員会が所管することを基本とすべきと考える」ということをまず押さえておいたうえで、総合教育会議等の積極的活用を含めた取組についても精査する必要があるとか、そういう形で押さえていきたいと思います。こういう基本があって、こういう時代の流れからいくんですよというスタンスを述べております。この辺、よろしいでしょうかね。
 それでは、2番目の「今後の社会教育施設に求められる役割」について、2から6ページのところがございます。「今後の社会教育施設に求められる役割」について少し御意見を頂きたいと思っております。各公民館とか図書館、博物館、青少年教育施設、女性教育施設等がございます。この辺に関して何か御意見があったら、お願いいたします。
 金山委員。

【金山委員】  
 金山です。私は、博物館のところについて意見を言わせていただきます。今、課長から詳細な説明をしていただき、よく分かりました。ありがとうございます。5ページのところですが、丸ポツの2つ目ですが、これについては前回、この部分はなかったもので、それをその後、事務局で追加していただいた文言です。基本的にはこれで結構ですけれども、一部、3行目あたりのところで結構だと思いますが、「博物館の事業やその地域の在り方等について」というところで、地域の課題を解決することも博物館では、住民参加のワークショップなどを通じてやっているものですから、「地域の在り方や課題解決」というところを追加していただきたいところが1点ございます。
 もう一つは、3つ目の丸ポツのところですが、これも少し前回のものに修正していただき、最後の文言のところ、経済活性化というところがここではよく強調されておりまして、博物館が経済の活性化に貢献するということが述べられていますが、最後のところで、「なお」というところで、「各博物館の目的や性格に照らした場合、経済活性化に資する事業を展開することが難しい博物館があることにも十分に留意する必要がある」ということを追加していただきました。
 これを入れていただいた背景というのは、経済活性化という考え方はもちろんいいんですが、ただ経済活性化ということが余り前面に来ると、博物館の持つ本来の教育性や学術的なことが後回しにされてしまうことが懸念されます。そういうことではなくて、やはり博物館の基本は教育機関だということです。前回のWGの資料でお出しした中で、イギリスやフランスの国立博物館と照らし合わせた場合、日本の国立4館(東博、京博、奈良博、九博)の投資額はルーブル美術館や大英博物館よりも低くなっています。その結果、やはりパフォーマンスも低いんです。私は観光ということで言えば、政府は国立の博物館にもっと投資するべきだと思いますし、国立博物館には伸びしろがあることを指摘しておきたいと思います。
 その次に、全国の地方の博物館というのも、観光による経済効果を期待するところがあるようですが、ただ、それは限られた観光地であろうと思います。全国の多くの地域博物館というのは、社会教育施設として、地域の歴史や文化や自然を調査、研究し、それを教育、普及していくことによって、地域の人たちとの地域づくりをはかる、まさに社会教育そのものの考え方ですが、それがメインになるのです。観光とか経済活性化というのは、それは決して前面に来ることではないことを確認しておきたいと思います。そういった意味で、ここの最後の、先ほど言った「なお」というところからの文言を入れていただいたところです。
 また、文言のところで一部修正していただきたい、お願いしたいのは、最後のところの下から2行目ですが、「経済活性化に資する事業を展開することが難しい」と。難しいというよりは、「展開することがなじまない地域博物館があることにも十分留意する」というようなことで御検討いただきたいと思います。
 それから、もう一つ、今のところの部分について、下から5行目のところからですが、「また、住民が自らの地域について学び、誇りを持つこと(シビックプライド)」とありますが、その次に、これは文科省もキャリア教育ということを盛んにいろいろ推進されていますが、キャリアというのは人の生き方ということですが、これは決して子供たちだけを対象にするのでなく、人の生涯にわたる意味でのキャリアということであるし、そういうことで言うと、「市民のキャリア(生き方)を支援」という文言も入れていただきたいと思います。それはこれからの社会教育としての地域博物館の役割です。私自身もそのような発言や活動をしてきているし、他の博物館でもそういう動きが出ています。これまでにも住民参加型の中に、同じような文脈でやっている博物館もありますので、入れていただければと思います。私からは、この部分については以上です。

【明石座長】 
 ほかに何かございますか。
 では、植松委員。

【植松委員】 
 植松です。4ページの(2)の図書館の項で2つ言葉を修正していただければと思います。まず、「障害の有無に関わらず全ての住民」という表現ですが、障害の有無に関わらずということは、今日、基本的な、あるいは普遍的な考えでありますので、これを削除し、その代わりに、図書館は乳児から相当な高齢者までが利用対象であることが、他の社会教育施設に対する図書館の大きな特色であると言えますので、「今後は、幅広い年齢層にわたる住民に」という表現で、幅広い年齢層を対象にする社会教育施設であることを是非強調していただければと思います。
 それから、その続きですが、図書館法第2条の定義にもありますように、図書館は住民に読書の機会を提供するのみならず、調査研究、自学自習的な場としての機会を提供することが大きな役割ですので、幅広い年齢層にわたる住民に読書と調査研究の機会を提供するといったように、第2条の定義に示されている図書館の目的の部分をもう一度ここに入れていただければと思います。
 以上、2点です。

【明石座長】 
 ほかに。
 関委員。

【関委員】 
 公民館のところの関係で、この中を見てみると、公民館、実際、平成11年ぐらいですかね、ピークは、1万七千数百あったのは。それから、現在、3,000以上、公民館が減ってきておるということ。この中ではあえて触れてないのか、どちらかは分からんのですけれども、決して主催事業が減ってきただけではなくて、公民館そのものも、従来の公民館から違うものに移していくことによって、現状、数的には図書館や博物館と比べて公民館が右肩下がりになっておるということは、どこかで触れておく方がいいのかなと、この文章、全体の文脈を見ながら感じたんですが、この辺、もし何か意図がございましたら教えてもらえたら。

【八木社会教育課長】 
 特段ございませんので、そういたしたいと思います。

【明石座長】 
 ほかに。
 清國委員。

【清國委員】  
  清國でございます。公民館のところだけではないのかもしれませんが、また、後段にも出てくるんですが、公民館のところで言いますと、2つ目の丸のあたりの内容になろうかと思います。より効果的な事業展開に向けた職員と住民との間での対等な議論・・・のあたりのところに関連します。社会教育主事講習の講習内容が改定される中で、学習支援の分野が新たに取り入れられることになりました。つまり、申し上げたいのは、公民館の職員にも教育職員として、ファシリテーターであったりコーディネーターであったりという能力を獲得していただくことが必要です。もちろんこのあたりのところは研修のところにも触れていただいていますし、社会教育士のところにも触れていただいているので、分散して押さえてはいただいているという理解はしてございます。公民館等の社会教育施設で、地域作りに資する学習を展開する場合、何か知識や技術を伝達するようなものではなく、地域の中にある様々な資源を地域住民みずからが見つけ出して、それを活力に変えていくようなプロセスを経ることになります。それは教える行為ではなく、むしろ学び合いの中で多様なアイデアをつなぎ、組織化するような行為です。このプロセスに寄り添いながら支援できる、そのあたりの資質を身に付けた教育職員こそこれから求められる職員像になるのだと思います。そのような職員が配置された公民館がさらに一層求められていくことがニュアンス的に伝わればいいなというようなことを感じました。
 このような観点から申し上げますと、図書館であれ、博物館であれ、青少年教育施設であれ、そこで指導系の役割を果たす職員の方には、一様に教育に携わる職員として、ファシリテーターやコーディネーター等の学習支援の力量を身に付けるべきであると触れていただくとありがたいと思います。もっともここに書くべきか、また、研修のところに書くべきか、相応しいところで結構です。以上です。

【明石座長】 
 ほかに。今の御意見をお聞きしながら、植松委員がおっしゃった、ゼロ歳から高齢者といいましょうか、幅広い年齢層を対象というのは、私は、図書館だけに関わらず、公民館もそうやらなきゃいけないし、博物館もこれから幅広くやるでしょう。青少年施設も、今、スタンスを広げて、ゼロ歳から、幼児のことにも物すごく関心を持っているし、高齢者とのゲートボール等の交流も含めているのです。基本的に、学校教育以外の社会教育施設というのはゼロ歳から100歳ぐらいまでを想定することを共通認識にしていかないと時代に対応できなくなるでしょう。

【金山委員】 
 同感です。

【明石座長】 
 博物館、物すごくやってくれているので助かります。金山委員がおっしゃいましたように、やっぱり博物館、市民のキャリアとか生き方を支援するというの、これ、本当に新しい視点ですよね。失礼ですけど、博物館はそういうのに余り関心なかったと思っていたんですけれども、そこまでやってくれると新しい博物館が誕生しますね。

【金山委員】 
 はい。

【明石座長】 
 あと、ほかにいいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、6ページから11ページの3ポツの「公立社会教育施設の所管に関する特例を設けることについて」の御意見を頂きたいと思います。この辺は大事なところなので時間を取りたいと思います。6ページからであります。特例措置を設けることに関する御意見がありましたら、お願いします。

【金山委員】  
 (1)の特例措置のところですね。担保措置のところは、また別ですね。

【明石座長】 
 いや、そこも一緒でいいです。6ページから11ページまで。

【金山委員】  
 それでは、2点ございます。1つは7ページのところですが、丸ポチの4つ目ですが、「博物館については」というところですが、「観光などの振興にも大きな役割が期待されているところ」ということですが、これは先ほど、私が発言したことと関連しまして、振興に一定の役割が期待されるというのは分かりますけど、「大きな」ということを言うと、では効果がないときにはどうなんだという、期待外れだということになってしまう。私はそれほど期待しない方がよいと思っています。ですから、「大きな」というところは、別のいい言い回しに訂正していただければ。「一定の」とか、そういうことの方が適切かなと思います。
 それからもう1点ですが、これは大事なところですが、政治的な中立性の確保のところの担保措置ということで、9ページです。恐らくこの委員会の一番大きなテーマは、ここのところだと思います。これまでにもヒアリングでいろいろ意見が出されましたし、委員会の総意として、選択制については考え方としては賛成するが、政治的な中立性がきちんと担保できるというところが前提条件になっているということは、先ほど課長の方からも説明があったとおりです。
 9ページの丸ポツの最初のところになります。その丸ポツの中に小さな点が3つありまして、3つ目のところです。これは教えていただきたいのですが、「毎年度の公立社会教育施設の事業実施に当たり、社会教育委員の会議等を活用した第三者機関を設置して意見を聴くことを制度上明確に位置付ける」と、これが政治的な中立性を担保するための大きなポイントになるのではないかと思いますが、そのときに、「社会教育委員の会議等を活用した第三者機関」という、この言い回しの意味が私にはよく分かりません。社会教育委員の会議というのは、社会教育委員会議とか社会教育委員会ということになると思いますが、ここに博物館や図書館、公民館の専門家もここには入るということなのですが、そこで政治的な中立性が不明確になった場合に、意見を具申するということは、当然、この会議体としては必要になってくるわけですが、その場合に、社会教育委員会がどうのようにして首長に意見を具申することができるのか、その辺がよく見えません。
 それからもう一つ、第三者機関といった場合に、社会教育委員会というのは、私の認識では、第三者機関とはいえないのではないかと思います。独立した第三者機関ではないというのが私の認識です。だから、この第三者機関ということがどういうものを意味しているのか、その辺のことが分からないので、教えていただければと思います。以上、2点です。

【八木社会教育課長】 
 お答えさせていただきます。まず、先生が想定されているのが監査委員とか、そういうものだと思うんですが、ここで書いている第三者委員会というのは、そうした意味ではございません。いわゆる首長が所管した場合にある程度素直に物が言える有識者会議というのを想定しております。現在、国会でも審議中の文化財保護法でも、そうした委員会形式というのがとられておりますけれども、そうしたものを想定しております。その事例として、例えば社会教育委員の会議を活用するというのも一つ挙げている。ですから、第三者委員会の例示として社会教育委員の会議というのを挙げさせていただいております。ただ、ここにつきましては、このリード文に書かせていただいたように、今後、最終的には法案等にも関わってきますので、国会等の議論も踏まえながら確定していくこととなると思いますが、一つ、社会教育委員の会議を挙げさせていただいた理由としましては、教育委員会サイドの方で委嘱するものでございますので、そうした意味で、教育委員会の方の専門的な知見も使えるということがございます。また、設置率につきましては96.4%ということで、各自治体においてもかなり高い割合で設置されているというのも一つ事例で挙げさせていただいた理由でございまして、こうしたところに今後、今は社会教育委員の参酌基準というのは、社会教育に専門的な知見を有する者、学校教育に専門的な知見を有する者、家庭教育に専門的な知見を有する者、大きく3つのカテゴリーになっておりますけれども、例えば今度こうした形で特例を設けるときには、公民館とか図書館とか博物館の専門家を入れていただくというのを明記するというのも一つの考え方としてあるのではないかということで、今回挙げさせていただいたということでございます。

【金山委員】 
 よろしいですか。

【明石座長】 
 どうぞ。

【金山委員】  
  そうすると、先ほど話しましたことですが、首長に対して、具体的にどのような形で第三者機関なるものが意見を具申することができるのでしょうか。社会教育機関として、博物館であったら、常設展示、展覧会でもよくあることとして、近代史や現代史の取り扱いなどについては、史観の違いなどもあり、政治的な問題になることがありえます。それから美術館の場合には、表現の自由との兼ね合いということがあるし、あるいは公民館であれば、最近では、さいたま市の公民館で憲法9条を詠んだ俳句が公民館の発行紙に掲載されなかったことについて、東京高裁の判決がありました。図書館であれば、図書を選ぶ選書作業などにも、政治的な中立性というのは強く求められるわけです。そういったことが通常は余りないと思いますけれども、今言ったような懸念があります。政治的中立性が損なわれるような事態が生じた際、首長に対して物申すことが求められるわけで、その場合に、どういうようなルートで首長に対して具申できるのか、あるいは勧告することができるのか、その辺がこれだと見えてきません。

【生重委員】 
 私は、金山委員が気になさっていた社会教育委員の会議が、逆に96.4%もまだ存在していたんだということに喜びとともに驚きを感じております。何を申し上げたいかといいますと、意外と決定権に実態が伴わないというのがいろいろなところでの現状ではないかと。そこのところにきちんとした位置付け、ここは、私は大いなる期待をして、社会教育委員の会議自体が機能するような、地方の。これから100年人生の時代で、私たちはもっと生涯にわたって学び続ける、社会教育は重要なんだということを打ち出していくぞということの中に、この一連の動きがある。だからこそ、総合教育会議の方にももちろん期待は寄せているんですが、社会教育委員の会議がきちんとした明確な、この教育全般に関わるところにものを考え、発言しという位置付けにきちんと置かれていくということは、今後の日本教育の中での、学校教育と社会教育という両輪だというところを支えていくことになるんだから、そこをそれぞれ考えなければいけないよって私は書いてあるんだと読みました。ずっと長く社会教育の周辺に関わってきているので、私は、ここの部分は是非書いていただいて、きちんと発言をできるような形を整えていくべきではないかというふうに考えます。

【笠原委員】 
 笠原ですけど、ちょっとその点で、担保措置という面での議論というふうに私は理解したもので、ちょっとそこのところで交通整理が必要なのかなと思ったのです。今の教育委員会が所管をしている限りは、例えば教育委員会を超えて政治的中立性を確保するための担保措置というのは、基本的にないですね。教育委員会が責任を持ってという形になるんだと思いますけれども、それが知事部局へ移管されたときに、政治的中立性の確保をするために教育委員会を超えた存在がそこを担保しますよというのは、少しどうかなという気が、教育委員会の立場からしますとですね。

【生重委員】 
 教育委員会は超えてないです。

【笠原委員】 
 ですから、教育委員会と違う組織が政治的中立性を確保していくという、その機能を例えば社会教育委員会に負わせるというのは、少し違うんじゃないかなという気がするのですよね。

【生重委員】 
 なるほど。

【笠原委員】 
 最初のところに、基本的には教育委員会が関わっていくという中で担保していくというのが、現行の仕組みの拡大をという意味では理屈に合っているのかなという気がするのですけども。

【明石座長】 
 金山先生、よろしいでしょうか。

【金山委員】 
 これまででしたらそれでいいかもしれませんが、首長部局が現に社会教育施設を所管するということができるようになるわけです。そうなったときに、教育委員会の関わり方が問われるわけです。例えば、総合教育会議は首長と教育長等が出るわけだから、そういったところに教育長の方から首長に意見を具申するということも一つあるのかもしれませんが、何らかの形で首長に教育委員会あるいはそれに準ずる会なり立場の人間が直接具申するということが、私はこの担保措置の一つになるんだろうと思います。いろいろ事情はあるだろうとは思いますけども、その辺りの道筋をつけていただきたいと思います。

【清國委員】  
 全国社会教育委員連合の理事もしておりますので御発言させていただこうと思います。教育委員会と社会教育委員との教育委員会組織内での少し微妙な関係性について触れたいと思います。ここは言葉を選ばなければならないと思うのですが、本来、教育委員会は社会教育も含めて教育全体のことについて話をしなければなりませんが、学校教育委員会と揶揄されたりするように、かなり学校教育に特化された内容についての議論が中心になっています。もちろん、時間的なことや分量的なこと、託されていることの緊急性や優先順位等あるのかもしれません。しかし、その偏りは課題だろうと認識しています。先ほどのご発言にあったように、社会教育委員は、社会教育関係団体等の活動を通して社会教育に関わっている、あるいは過去の経験等を踏まえて委員が選任されています。また、制度的には社会教育委員というのは教育委員とは違って独任制ですので、一人一人の社会教育委員が求めに応じてということにはなりますが、社会教育に関して教育委員会に対して意見を述べることができるという権限といいますか、そういう資格といいますか、そういうものが与えられています。合議制の教育委員会とは違った意味合い、特性を持っています。ただし、第三者委員会として社会教育委員の会議を位置付けるのであれば、規定を設けて合議的な役割を担ってもらえばいいのだろうと思います。つまり、社会教育委員が公立の社会教育施設の運営についてチェック機能を果たすというのは、私は十分可能なことだと思います。また、社会教育全体に対して目配せができるような委員の人選にもなっておりますし、そこをうまく自治体が活用することは可能かと思います。年に1回、2回の社会教育委員の会議ではなくて、自治体の判断で社会教育施設の移管等が教育機能を損なわず行われることを担保するのであれば、社会教育委員がそこに対してコミットしていけるような仕組みを教育委員会として持った方がいいように思います。
 以上でございます。

【明石座長】 
 どうぞ。

【関委員】 
 昔、社会教育委員の職務として、社会教育関係団体に対しての補助金を交付する際に意見を求めなければいけないという……。

【笠原委員】 
 今もそうです。

【関委員】 
 今もございますか。我々の場合に、確かにその辺が非常に弱くなっていて、逆に市の補助金そのものが、全体で公募制度になってしまった、長年の中で。ジャッジメントは市長の方が握るというふうな形に、正直、移行してしまったような実感はありますね。今、我々もその辺が薄くなっているので、本当に社会教育委員にその機能を持たせるのであれば、その辺をより明示する方がいいのかなという印象は持ったんです。

【笠原委員】 
 社会教育委員、うちの方は審議会と言っているんですけども、社会教育審議会という、実質、同じだと思います。皆さんのいろいろなお力を頂きながら、それぞれの施設が活性化したり、役割をより充実させていくという意味では、まさに今、残念ながら群馬県も補助金を予算化するときに意見を伺うぐらいのことしか、逆に言うと、社会教育委員さんに余り活躍していただく場面がないので、むしろこれからのそれぞれの施設をさらに充実させるためには、より必要なんだと思うのです。それと、中立性の担保ということでは、事業実施という面とはまた違って、中立性全体の担保ということになりますと、教育委員会が一番関与して、そこのところをしっかり意見を申し上げていくという仕組みが、施設とすればふさわしいのではないかなというのが、私の個人的意見でございます。

【明石座長】 
 課長の方から。

【八木社会教育課長】 
 ちょっと補足でございますが、もともと社会教育委員の会議を例示として挙げた理由でございます。先ほど関委員がおっしゃっていただいたように、補助金を出すときには社会教育委員の合議体で意見を聞かなければならないというのがありましたので、この規定を一つの参考に、あくまでこうした例示を挙げさせていただきました。ですから、ここもあくまで、仕組みを検討するということなので、これで今後また詰めていくときに決まりというわけではございませんし、今考えていたのは、ここに書かせていただいたように、教育委員会が意見を聞くのも当然でございますし、もう一つのそうした有識者会議も使った方がいいんではないかという趣旨で書かせていただいたもので、決して教育委員会が絡まないとか、そうした趣旨ではございません。例えば社会教育委員の会議にしても、社会教育委員がこの制度を考えるときに、直接、意見を首長に言うというやり方もあるでしょうし、教育委員会に報告した上で教育委員会の方からまたそれを言うというやり方もあるかと思いますので、そのあたりは、きょうの御意見も賜りながら制度設計は考えていきたいと思います。

【生重委員】 
 特に公民館、図書館、博物館等の社会教育施設についての見識を有する者という具体的な明記の部分がいいなと実は思っていまして、私、図書館の選書委員とかいろいろやってきてはいるんです。そこが形骸化されていったり、いろんなものって長年の歴史を積み重ねていくと、あるべき姿から逸脱していくというか、集まるために集まるみたいに、図書のことだけを言っているんじゃないですよ。全体、委員会という組織そのもののことを指しているんですが。それぞれに活性化してほしいんです。博物館の委員会の方にも、それから公民館であろうと、運営していくことの意義とか意味みたいなことを、きちんと自分たちが置かれた立場から考えていく。そして、その代表者が集まって社会教育委員の会議なんだということになって、社会教育委員の会議は決して補助金を審査するためだけの会議に陥ってはいけないと思っていて、その町の社会教育全般の活力というか、人々が生きている知識のための何たるかをみんなが語り合っていく、その中に学びがあったり、調査研究があったり、次への働くという意欲につながっていったりという原点があると思うので、今回、私、あえてここに社会教育委員の会議と入れていただいたのは、再度申し上げますが、大層ありがたいというふうに思っております。

【関委員】 
 本来は、決して補助金の審査ではないですね。社会教育計画の立案が本務でしょう。

【生重委員】 
 そうです。

【明石座長】 
 そのほか、担保措置について、笠原委員がおっしゃるように、9ページの3つの中黒の前の2つが、必ず教育委員会の意見を聞くことを義務付けるという、この所管に関するものと、規則を作る場合も必ず意見を聞くという、これはかなり縛りの強い担保だと思っておりまして、3つ目方で、生重委員がおっしゃるように、私も千葉県の社会教育委員をやりましたけども、本当に名誉職。聞き流してほしいんだけど。

【生重委員】 
 記録に残したくない。

【明石座長】 
 今回こういう形で公民館、図書館、博物館等の有識者が入ってくれると、これありがたいです。

【生重委員】 
 画期的ですよね。

【明石座長】 
 うん。事例として、第三者機関を考えていますよという案として考えてもらう。あとは、国会でどうやって法案にするかは御検討していただくとしまして、こういう意味合いで3番目があるというふうに捉えていただくといいかと思います。
 ほかに何か。植松委員、何かございませんか。

【植松委員】 
 金山委員がおっしゃったように、例えば首長へ直接意見、具申できる第三者機関というか、社会教育委員の会議等を活用した首長へ直接意見を述べたり、具申できる機関というような言葉を入れるのがよろしいのではと私も思います。

【明石座長】 
 ちょっとその辺は検討させてください。ここにおいては、公開で行い、議事録を作成して公表するということも、かなり私は首長に縛りをかけるかなと思います。これは無視できない。その方がじわじわ効いてくるかなという感じはしていますけど、各委員の御意見がありますし、その辺は少し検討させてください。
 そのほか。どうぞ。

【清國委員】  
 先ほども若干触れさせていただいたんですが、10ページ、11ページのところに書いてくださっております職員等の資質向上のところは、これまで以上に言葉を丁寧に書いてくださっていて、非常にありがたいなというふうに思っております。また、首長部局への移管を判断されたとしても、社会教育主事がそこにしっかりと専門的な助言と指導を行うとか、あるいは教育委員会と連携して職員の研修を充実させるというのは、これは非常に重要なことあろうと思っております。これも特定の自治体のことを言いたいわけではないのですが、公民館がコミュニティセンター化されて研修機能が弱まった例がございます。もちろん社会教育施設ですから教育施設であることに間違いはないわけですし、法律も社会教育法や博物館法にのっとって施設が運営されるというところは変わりません。ただ、所管が変わることによって、教育職員としての研修にどれほど力を入れていただけるのかということについては、心配してもおります。先ほどのように、例えば観光振興に力を入れる施設経営と事業展開に傾斜した場合、教育職員としての十分な、あるいはふさわしい研修が本当に実施していただけるかどうかについては不安があります。都道府県も含めて、教育委員会との連携を図りながら、施設に勤める職員の力をしっかりとつけていくことを期待します。そのことが、先ほどのところにもありましたが、住民と対等に、住民に寄り添って考えていける、学習事業が展開できるのだと思います。この町をどう作っていくのか、住民の暮らしをどう作るのか、住民の力を引き出しながら考えていける下地、素地を持ってもらえると思います。その流れでいいますと、先ほど社会教育主事講習の改訂については触れさせていただきました。社会教育経営論も社会教育主事講習の中に新設されます。このような変動する社会における社会教育施設の経営について学んだ方々が、言い換えると、社会教育主事がしっかりと図書館、博物館、公民館の職員の研修にも関わっていけるということが、期待されていると考えます。恐らくとそういう文脈で書いていただいていると思いますが、その実現が本当に望まれるなと思ってございます。
 以上でございます。

【明石座長】 
 大体よろしいでしょうか。
 では、笠原委員。

【笠原委員】 
 私、1点、どこに入れていただければいいか整理がついていないんですけれども、先ほど来、政治的中立の確保の話がありましたけれども、それと併せて、これも社会教育施設全般にわたって専門性の確保という観点をしっかりベースとして押さえて、清國先生のお話にもつながるところなのですけども、所管が変わってもそこのところはしっかり維持されるような仕組み、それも教育委員会だけではなく知事部局ですとか、様々な行政の力が加わって、よりいい施設の機能が発揮できたり、さらにいろんな広がった課題に対応できたりという形になるのだと思います。教育委員会がこれまで所管をしていたというのは、政治的中立性と併せて人材の関係ですとか、専門性をしっかり維持していくためには教育委員会の人的資源の関係ですとか、人材養成のアドバンテージというのが現実にあったので教育委員会が所管をさせていただいてきたのだと思うのです。そのところを併せて、しっかり今後も確保しながら、機能がより大きく膨らんでいくような形で考えていただく、そのことを特例的な所管を認めるにしても、そこの専門性のしっかりとした確保、維持というところをはっきり打ち出していただく必要があるのかなというのを、感じているところでございます。
 それとあと最後一つだけ、これは文科省さんの方に注文なのですけども、11ページのところで、4の2ポツ目のところなのですけども、「国においては」ということなのですけども、特に複合施設等をこれから考えていくときに、国の省庁間の連携みたいなところもいろいろその中で、具体的にどういう規制がかかるかは、私、経験ないので分からないのですが、スムーズに複合的な施設が展開できるような、省庁間のいろんな財政支援の仕組みなどもしっかり考えていただくのが地方にとってはよりいい施設づくり、あるいは運営づくりができるための大きな力になるのかなという気がいたしますものですから、是非「国においては」というところで、省庁間の連携みたいなところも考えていただければありがたいなというふうに思います。
 以上でございます。

【明石座長】 
 ありがとうございました。今の笠原委員の11ページの最初の丸ポチ、これが先ほど清國委員と笠原委員が言われたことのエッセンスをまとめているかなと思うんです。要するに、社会教育士として教育委員会のみならず首長部局、NPOとか幅広い分野で活躍されることが期待されている、これはまさに新しい専門職だと私は思っているんです。これまでの社教主事だけではつぶしが効かなかった、言葉は悪いけど、残念ながら。社会教育士として専門性を高めていきますから、知事部局も市長部局も社会教育士を積極的に活用していってほしいという、そういうことをここではっきり言わないと両輪になっていかないという感じがして。そういう政治的中立性な担保と同時に、新しい専門職の人材育成と活用というのが大事かなと思っております。ありがとうございました。
 それでは、最後、4番の社会教育の一層の振興について、今、笠原委員が言ってくれましたけども、ほかに。11ページと12ページの部分で何か御意見ございましたら、お願いいたします。

【清國委員】  
 これは全体を通してということになります。4のところのまとめ方にも関わる部分なんですが、社会教育の一層の振興に首長部局が関わっていくという書き方は非常にいいといいますか、大胆なといいますか、輝いていると思います。生涯学習は総合行政で、というような掛け声はこれまで言われてきたわけですが十分ではなかった。そこへ持ってきて、社会教育の担い手として責任を持って首長部局が関わるということの書きぶりが素晴らしいと感じました。これは、社会教育施設の首長部局への移管という検討を通して、肉を切らせて骨を断とうとしているようにも受け止められます。でも、逆に言うとひさしを貸して母屋を取られることにもなりかねない危険性もある中で、重要な記述のように思うのです。これは一つの社会教育の推進を図る上で大きな一歩になるのかなという書きぶりのように思えます。そういった意味で、ここでの議論がただ単に移管を技術的に捉えられると社会教育が先細りしてしまう。都道府県や市町村の社会教育行政の今後を考えると、生涯学習振興という文脈とは性質の異なる、社会教育振興の一翼を担うという責務について踏み込んで書かれていて、ピンチをチャンスに変える方向性に共感しました。このような表現の仕方、これを首長部局に強く発信していただき、含みを理解していただき、そのような動きを作り出していただくというのは本当に欠かせないことであるなと感じました。感想めいたことになって非常に申し訳ないんですが、そのような印象を持ちました。

【明石座長】 
 ありがとうございました。ほかに何か。
 はい、関委員。

【関委員】 
 今の清國先生と同じ思いなんですけれども、言い換えれば、行政全体を社会教育化していこうというところまでむしろ投げかけができるのであれば、本当にすばらしいなと、我々、以前からずっと思っておったことになんですけれども、その方向が目指せれるのであればいいなと思っています。
 あと、今までどちらかというと先進的にも既にやってきておるところ、公民館でいえば、三千数百の公民館が減ってきたわけですけれども、それをもう一度呼び戻すような外向けのアナウンスができないものかどうか。今から先は、恐らく公民館が減ることはないと思うんですけれども、逆に首長部局に生かすときに、コミュニティセンターとか、地域何とかセンターみたいな格好で、公民館ではなくなった施設を今回、また社会教育の方に加わってもらうような外向けの宣伝をしていただけると、社会教育そのものも右肩下がりではないということをよりアピールできるのではないかなというふうな印象を受けるんですが、なかなか一遍向こうへ行ったものをもう一度名前を変えて公民館にしなさいというのは、正直難しいところもあろうかとは思うんですけれども、それぐらいの勢いがあったら、平成から新しい時代に向けての方向性がきちんと打ち出せるのかなという印象は持ちました。

【生重委員】 
 普通に暮らしている一般市民の方は、自分が図書館に行こうが、博物館に見に行こうが、それが社会教育だという自覚がないんですよ。行きたいから行く、読みたい本があるから行くという。ただ、ずっと何気なく長く社会教育のそばにいる人間からすれば、そういう公民館の存在もそうなんですが、地域づくりの土台はそういうところにあるよと全ての関係各所が言っていて、それをもう一度、これって誰かがやってくれる地域社会から自分たちで物事を押し進めていく地域社会に変えていくんだよと、私はここに書いてあるように読めるんです。社会教育が骨抜きになるのは、住民の自覚が足りないからですと、住民の方に分かっていただきたい。自分たちの意識の中にあって、自分たちが参画していくという場があったときに、そこでお互いにきっちり協議して、自分たちの町に必要なものを自分たちが考え、創り、広げていく、学び合っていくということを、今回の見直しの中で物すごくそこを感じているので。金山委員がおっしゃっていた幅広い年齢層というのは、是非全体に言ってほしい。本当にどの施設も、ゼロ歳からずっと、社会と関わり続ける限り、いろんな方たちに参画してきていただきたい場所であるということにおいて、全ての施設がそういうところであり、全てに関わっていて、自分たちの町にあることを誇りに思うというように、この中で感じ取っていただけるような表現になるといいなと思っております。

【明石座長】 
 では、金山委員。

【金山委員】  
 最後の12ページのところですが、これは前回、私の方から資料をお出ししたことを受けて、ここに事務局の方で入れていただいたものです。2行目のところですが、「博物館登録制度の在り方を含めた博物館法の総合的な見直しについての検討を進めるべきとの意見があった」と、以下、略しますけども。博物館の場合には、法律上、登録博物館という制度がございまして、これは教育委員会の所管だということになっています。その位置付けについては今後も変わらないということですが、先ほど類似施設も入れて5,000館以上あるという説明がありましたが、実は類似施設の中にも、本WGでヒアリングをしました北海道立博物館のように充実した博物館が多くあります。選択制になると、教育委員会所管である登録博物館が、場合によっては首長部局へ移管してしまうということもあり得るわけですね。そうすると、登録制度そのものがますます意味不明の制度になる。これは以前から指摘されてきたことですが、実は国立博物館は博物館法の適用の受けておらず、文化財保護法の下の施設ということになっている。したがって国立博物館は博物館ではありません。このように博物館法には多くの問題点があります。さらに今回の選択制のことを踏まえると、博物館法については総合的で抜本的な見直しを是非早急に行っていただきたいということが、ここの最後の文章に込められているということで御理解いただきたいと思います。

【明石座長】 
 ほかによろしいでしょか。ありがとうございました。かなり方向性がまとまってまいりましたと思います。本日の皆様の御意見とか御指摘を踏まえた論点整理(案)の修正につきましては、座長の私に御一任いただければと思っておりますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【明石座長】 
 ありがとうございます。
 では、本論の論点整理につきましては、生涯学習分科会を控えておりまして、そこにおいて報告し、分科会で御審議を頂きたいと思っております。
 それでは、神山大臣官房審議官、最後に一言、お言葉を頂ければと思っております。

【神山大臣官房審議官】 
 本来であれば、常盤局長から御挨拶申し上げるところでございますが、別の会議とバッティングとしておりまして、代わりまして私の方から御挨拶させていただきたいと存じます。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中にも関わらず、このワーキンググループにおきまして、今回を含めて6回という多回にわたり様々な御検討を頂きまして、まことにありがとうございます。この場をおかりして感謝を申し上げる次第でございます。
 この会議では、まず最初に自由に御討議頂いた後に、合計17団体という非常に多くの関係機関にヒアリングしていただきまして、まさに現場の声を聞いていただき、また、それを踏まえましてそれぞれの先生方がお持ちのバックグラウンドを存分に発揮いただきながら、専門的な見地から御議論頂いたところというふうに認識しているところでございます。これから論点整理ということでございますけれども、文部科学省といたしましては、このおまとめいただきました論点整理を基に今後制度の構築に向けての検討、あるいは関連施策を推進して、未来の地域づくりの拠点である社会教育施設を活性化してまいりたいと考えておりますので、引き続きの御指導、御鞭撻を賜れればと思っているところでございます。大変、まことにありがとうございました。

【明石座長】 
 審議官、ありがとうございました。
 それでは、事務局より連絡事項がありましたら、お願いいたします。

【伊藤社会教育官】 
 ありがとうございます。本日の資料につきましては、机上に置いていただければ、後日郵送させていただきます。
 連絡事項は以上です。

【明石座長】 
 それでは、これにて閉会とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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