【参考資料6】ヒアリングにおける主な御意見

ヒアリングでの主な御意見



所管についての考え方

首長部局で所管する場合のメリット

デメリット(教育委員会が所管するメリット)

考えられる担保措置等

1

日本博物館協会

公立博物館の所管の在り方に対し、教育委員会に限定せず首長部局が所管できる可能性が検討されることは、より現実に添った柔軟な運営を望む現場の期待も踏まえ有意義なことと考える。

・地域振興に係る総合的施策と柔軟に連携できる

・観光、まちづくり等に対し役割を発揮しやすい環境整備につながる

・柔軟な事業予算の獲得が期待できる

・社会教育施設としての基本的機能が損なわれることはないか

・事業の中立性・公益性、中長期的事業の継続性は担保されるか

・収益性・効率性が期待できる事業が優先されることにならないか

・第三者からなる公立博物館の運営に関する協議会的会議体を常置し、その運営に対する評価・指導・助言を行える体制を整備することが必要

2

全国科学博物館協会


・地域振興・観光行政との連携がしやすくなる

・首長の関与により博物館事業が活性化する

・予算が確保しやすくなる

・他の社会教育・生涯学習事業との連携がしづらくなる

・予算が確保しづらくなる


3

日本動物園水族館協会

・所管が何処であれ、教育普及事業や、調査研究事業はほぼどの苑においても行われている。

・博物館の展示においては中立性が問題になると聞いているが、動物園や水族館ではまさに生きた生物を扱っているということでは、これらの影響を受けるものではないと考える。




4

鹿児島県霧島アートの森

・知事部局で所管しているが、教育委員会から教員が2名配置され、学校現場と連携できている。

・教員の配置について手続上の不便はあるが、運営については、特にデメリットは感じたことはない。

・今日の利用者のニーズや利便性の面では合理的な運用が期待できる。

・博物館法の観点からは資料保存や研究面の影響が大きい。


5

東北歴史博物館

・地域の事情に任せることはあり得るとしても、一律に博物館を教育委員会の所管でなくすることには反対。

・首長が変わることで対応が変わることが起こりうる首長部局の所管とするよりも教育委員会のような(建前として)独立性を持つ部局に所管を任せることが望ましい。

・仮に首長部局での所管を可とすることになっても、博物館活動への正しい理解を首長が持つことを担保されなければならない。

・活動のための予算の獲得への期待?

・博物館の本質的な役割と活動に制約を受けることになるかもしれない?

・博物館の学芸員は本来専門職であるべきであるが、首長部局に置かれると専門職としての位置づけが曖昧になり、人事異動においても容易に他組織に移り得ることが懸念される。



6

三重県

・事務委任により、博物館や図書館の管理運営・事業に関するほぼ全ての事務を知事部局が所管しているが、これまで、教育の政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映の3点に関する支障は生じていない

・事務委任後においても、博物館等は社会教育施設としての機能をしっかりと果たし、学校教育との連携も重視した取組を展開している。

・事務委任の場合は、一部の事務(条例改正等)に関して県議会で2つの常任委員会への説明が必要となるなど、手続きが複雑になるが、首長部局が所管することにより所管部局のみで執行できることとなり、事務手続きが改善される。


・知事部局と県教育委員会の連携を担保するための仕組み等の検討要


(知事部局側)

・公立博物館(=登録博物館)及び公立図書館の所管について、各地方公共団体がその実情に応じて任意に選択できるようになることを期待

・博物館法や図書館法等の求める役割を適切に果たしつつ、まちづくり行政や観光行政等の他の行政分野との一体的な取組を一層推進したいと考える地方公共団体にとって選択肢が増える


・図書や展示資料の選択、事業内容に関する政治的中立性の確保等に支障はないと考えるが、懸念される場合には、所要の措置を講じて選択制にすることも期待。
<措置の例:「望ましい基準」の改正>

ア) 基本的運営方針・事業計画の策定・公表を義務化

イ) 協議会等を活用した評価を義務化

ウ) 図書館資料収集方針の策定・公表を義務化


(教育委員会側)

・知事部局と同様、提案に賛同。地方公共団体の自主性を尊重し、地方分権につながる内容であるとともに、一体的行政運営の確保に貢献

・社会教育法等で求められている役割や専門性の確保を前提としながら、地域社会への参画や地域文化の振興につながる学びへと発展し、これまでの枠組みを超えた幅広い施策への展開を一層推進したいと考える地方公共団体にとって選択肢が増える。


・社会教育施設としての位置づけに変わりはなく、その機能は確保され支障はないと考えるが、今後も教育との関係性を維持していけるよう留意は必要。

7

全国都道府県教育委員会連合会

・公立社会教育施設に関する事務の首長への移管を検討するに当たっては、博物館、図書館、公民館それぞれが有している本来の意義を再検証するとともに、例えば、チェック機能を付与された審議会の設置について検討するなど、社会教育行政推進の視点に立った慎重な検討が必要と考える。

(博物館・図書館)

まちづくり行政、観光行政その他一般行政分野間での連携・協働が促進され、首長のリーダーシップの下、一体的・総合的な施策の推進を図ることができるようになることが期待される。

(博物館)

学校その他の教育機関との連携が図りにくくなるとともに、継続した専門的調査研究、公平・中立な資料収集及び保存・活用が行われなくなるなど博物館の運営において政治的中立性や継続性・安定性の確保に影響を来す可能性がある。

(図書館)

公平・中立な資料収取が行われなくなるなど政治的中立性の確保が懸念されるとともに、政策課題に左右され安定的・継続的な運営が妨げられる恐れがあることや、学校図書館等との連携が図りにくくなる可能性がある。

(博物館・図書館)

博物館協議会や文化振興に関する審議会等にチェック機能を付与するとともに、条例の制定等重要な意思決定を行う際には、首長が教育委員会から十分に意見聴取を行うなど、博物館運営における専門性や政治的中立性、教育との連携等を確保する必要がある。




(公民館)

まちづくり行政、観光行政等の展開により地域経済の活性化や地域課題の解決に取り組む首長部局内の関係各部署との連携が緊密になることにより、施策の複合化が促進され公民館の機能の充実が図られることが期待される。

(公民館)

社会教育施設としての機能及び地域の人材育成に係る教育機能が低下することや、学校その他の教育機関との連携が図りにくくなること、また、政治的中立性の確保に影響を来す可能性があること、社会教育行政が首長部局の他の行政分野の中に埋没し、公民館本来の教育の目的が見失われることなど、市区町村における社会教育行政への影響が懸念される。

(公民館)

専門性の維持のため社会教育主事の有資格者の配置を進めることや、公民館運営審議会を設置してチェック機能を付与すること、また、条例の制定等重要な意思決定を行う際には首長が教育委員会から十分に意見聴取を行うことや、地域課題に応じた公民館の在り方を協議するなど、首長が定期的に教育委員会の有する社会教育に関する専門的知見を活用できる仕組みを導入することなど、公民館運営における政治的中立性や教育との連携を確保する必要がある。

8

北海道(全国知事会推薦)

・博物館の所管の選択制を認め、博物館法を実態に合わせることにより、博物館の幹を太くし、国・地方が「文化芸術立国」の未来を共有できる。

・首長部局の行政視点(人材、施策)を総動員することによる博物館の更なる魅力・利便性の向上により、地方創生へ貢献。

・登録による対外的な信頼性・ステータス向上
・首長部局の行政視点(人材、施策)を総動員することによる博物館の更なる魅力・利便性の向上

・トップがやる気になると、予算・人が一気につぎ込まれる。



9

全国町村教育長会

・地方公共団体の判断により地方公共団体の長が所管することを可能とすることに対しては賛成であり、可及的速やかに実現されるよう検討を進めていただきたい。

・926の全国町村教育委員会のほとんどの町村において急激に過疎化や高齢化が進んでおり、公民館、図書館、博物館において様々な地域課題により的確に対応した取組が求められており、多様な主体との連携強化が日々重要となってきている事実に鑑、速やかに実施されることを願う。

・地域住民の熟議文化育成により地域活性化に資する


・首長部局へ移管するための条例制定または改廃の議決の際に教育委員会の意見聴取を行うことや、社会教育委員、博物館協議会等の活用等により担保可能とすべき

10

岡山県鏡野町(全国町村会推薦)

・所管が首長でも教育委員会でも特に影響はない。現在、首長部局所管であるが、問題は生じていない。所管を選択制にすることについて賛成。

・夏休みの体験教室の実施や、教育関係者との交流も行っている。

・展示については、館長、学芸員、美術館協議会で決めており、政治的中立性が脅かされたことはない。




11

全国都市教育長協議会

・社会教育施設の所管を選択することによって市長部局が所管するとなっても、社会教育施設の意義からも、引き続き、政治的中立性や生涯学習
・社会教育の継続、学校教育との連携が担保できるかどうかが肝要であると考える。各自治体においても担保できる実情や状況が異なるので、各自治体において詳細な検討のうえ選択することが望ましい。

(博物館)

・教育以外の政策分野との連携が強まることなどでの多角的な視野から、より時代の要請に応えることができ、また多様な機能を持つことで、地域の歴史と観光の一体的推進や地域活性化、利用者本位で満足度の高いサービス提供などにつなげられる可能性が期待できる。

(博物館)

・博物館法に定める歴史思資料の収集・保管・調査・研究や学校現場との連携といった、博物館としての基本業務の優先度が低下しかねないこと、専門性や政治的中立性の担保などが危惧される。

・審議会等の外部機関の設置や活用、また議会の関与の在り方など、博物館あるいは社会教育施設としての基本業務の優先度や専門性・政治的中立性をしっかり担保する方法を熟慮する必要がある




(公民館)

・教育以外の政策分野との連携や、命令系統の統一が図れるなどのメリットがあげられる。また、事務委任・補助執行ではなく市長部局へ移管される場合、意思決定が簡素化されるなどにより迅速な対応が可能となる。

(公民館)

・教育以外の政策分野との連携が強まることで、社会教育施設としての理念が薄れ、地域課題解決のための学びの提供の実施がおろそかになりなるなど、カルチャースクールや貸館業務が中心となるような、社会教育施設の位置づけから乖離しかねない懸念がある。





(図書館)

・公民館同様、教育以外の政策分野との連携や、命令系統の統一が図れることなどがあげられる。例えば、観光や福祉の分野など、教育以外の分野の専門図書館を作りやすくなるなど、より細やかな社会のニーズにも応えやすくなることなども考えられる。

(図書館)

・現在図書館はとりわけ学校・学校図書館との関連や繋がりが強いが、選択制により市長部局所管となる場合、地方公共団体の長によって総合行政を志向する中で、逆にその関連や繋がりが薄まりかねないなど、図書館機能の教育的理念が崩れかねないなどの懸念がある。


12

福島県いわき市(全国市長会推薦)

・博物館の設置・管理の所管部局を地方公共団体の判断により決定することができる制度は望ましいと判断している。

・文化財を活用したまちづくり・観光振興の取組み、美術館と芸術文化交流館の連携による新たなプログラムづくりが進んでいる状況にあり、文化芸術推進基本計画が掲げる、文化芸術の「多様な価値」を活かして創造的で活力ある社会を目指した観点からみた場合、メリットのほうが大きい。

・事務執行にあたり、教育委員会及び市議会において二重に審議されることで、慎重な判断がなされる一方、事務の重複、遅延が生じる。
最終決定権者は誰なのかという問題もあり、責任の所在が曖昧となることが現在懸念されている。

・教育委員会にかわり、既存の文化財保護審議会や美術館協議会が取り扱う審議案件の範囲の拡大、また、文化芸術推進全般に係る審議会等を設置することで、政治的中立性を保ち、また、有識者による良識あるジャッジメントをうける等の対応を検討していきたい。

13

日本図書館協会

・公立図書館は、住民一人ひとりの資料要求に対する個別対応を基本とし、住民の公平な利用の観点からすべての住民に公平に基本的なサービスを保障することを目的とし、住民の生活・職業・生存と精神的自由に深くかかわる教育機関であることから、公立図書館は教育委員会の所管とし、基本的には図書館のありようは各自治体の自主性に委ねられるものである。




14

全国公民館連合会

・公民館は、社会教育の中心的担い手であり、地域づくり・人づくりの拠点としてその役割・存在感を示している。安易な所管の変更がなされないようにするとともに、地域住民にその存在がさらにプラスになるように取り組むことが大切である。
そのうえで、地域の実態や実情に応じ、教育委員会の所管が原則だが、首長と教育長とが連携を密に取り合えば、首長部局の所管にしても支障はないものと考える。

・予算の確保がしやすい。

・観光や福祉などの分野との連携がしやすくなる

【教育委員会所管のメリット】

・学校教育、家庭教育、社会教育の一貫性と連携が取りやすい。(地域の活動に学校が協力、学校に地域が協力など)

・人材の確保と育成がしやすい。

・所管が変わっても名称(公民館)を変える必要はない。「内容面で考えれば、公民館の事業としての対応が可能である。」

・地域の実態に即し、地域主体の事業を実施すること。

・公民館運営審議会と同様な仕組みを設置し、チェック機能を持たせること。

・社会教育に関する専門的知見を有する人材の育成と確保を心掛けること。

15

郡山市教育委員会

・今後の施設の在り方については、地方分権の進展やICT化等の社会情勢の変化、更には少子高齢社会が進行する中、特色ある地域づくりと各種地域課題の解決を図るため、観光・福祉・防災等の多様な住民活動を行う拠点として、幅広く住民に対し活動の場を供することが求められていること、改訂学習指導要領において確かな学力の育成がうたわれていること、リカレント学習の重要性が高まっていることなどの社会情勢の動向に対応するため、自治体独自の施策方針のもと、法令にしばられることなく所管する部局を柔軟に決定することができる法体系の整備を望むものである。

(公民館)

・部局間の連携が容易であり、観光・福祉・防災等の多様なまちづくり活動が可能

(青少年施設)

・部局間の連携が容易であり、様々な分野の活動が可能

(女性教育施設)

・部局横断的な男女共同社会施策の展開

【教育委員会所管のメリット】

(公民館)

・社会教育施設としての公民館本来の役割の明確化

・学校教育との連携が容易

(青少年施設)

・学校教育との連携が容易
・スポーツ少年団の合宿など青少年の健全育成活動との連携が図られる。

・学校教育との連携が容易


16

枚方市

・生涯学習市民センター、青少年施設、女性施設を市長部局が所管しているが、特に問題は生じていない

(生涯学習市民センター)市民の主体的な生涯学習を支え、まちづくりに生かす役割を限定された行政目的を持つ教育委員会でなく、総合行政を担う市長局部が担うことで、全ての市民が身近に学べる環境をつくり、その成果を生かし、様々な課題を協働で解決していくことが可能となる。

(図書館)メリットとしては、自治体の判断により、選択が可能となった場合、各自治体がおかれている状況に合わせた運営が可能となる。

(枚方公園青少年センター)ひきこもりも含めた青少年相談の窓口となっていることから、市長部局が所管することで、教育だけでなく、福祉、保健、医療、雇用などの施策との連携がしやすくなり、総合的に推進していくことができる。とりわけ、青少年相談の窓口には、様々な悩みを抱えた若者が相談に来るが移管により、同じ部にある子ども総合相談センターとすぐに連携し、支援することが可能となった。



17

荒川区

・補助執行により首長部局が図書館業務を担当しているが、特に問題は生じていない

・ 経営支援、保健所、公園緑地課など、全庁組織との連携がスムーズ

・ 自由な発想の事業展開が可能(区内企業と連携したアート展、アニメ制作会社との企画展等)

・ 自治体連携がスムーズ

・ MLA連携はもとより、他施設や団体とも連携(高齢者施設、障がい者施設、大学、病院等)


【教育委員会との連携の工夫】

・課長級職員の教育委員会への出席

・総合教育会議、社会教育委員の会議の活用や、学校図書館司書との連携研修の実施、区長を本部長とする生涯学習推進本部への教育長、教育部長、各部長の参加等により、教育委員会との連携の工夫を行っている。

 


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生涯学習政策局社会教育課

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