【資料1】第1~4回WGにおける主な御意見

第1回~第4回WGにおける主な御意見

【社会教育施設全体】
○これからの時代、教育委員会の専門性だけで施設の運営や情報発信をしていくのは難しい。より多くの力(行政内の他部局、民間企業、NPO等)を結集してシナジー効果を発揮していく仕組みが必要ではないか。

○予算や人的措置の面から考えると、地域によっては首長部局所管としてもよいのではないか。

○どこがやるべきか、より、何をすべきかが大事。活躍している社会教育の実践者は、教育的な思い(人・地域をより良くしたい)をもって、様々な者とつながりながら展開している。社会教育主事のみならず今後は「社会教育士」の活動にも期待。

○首長部局に移管されることを考えると、社会教育の視点を持った人を多く養成し、様々な分野で力を発揮してもらうなど、学び・教育が損なわれないような仕組みづくりを担保することが重要。

○非常時は、平時の課題が一挙に出る。阪神淡路大震災の際に行った学びの活動の中でも、社会教育側と首長部局側の課題が一気に表出したが、一体となって活動する中で人材が育った。平時でも、学ぶことと実践のサイクル化が重要。

○子供たちが各々の学習段階に沿って地元を学び、地元を愛し、将来戻ってくる、そうしたまちづくりにつなげるべきであり、そのうえで社会教育施設がよりよく活性化するにはどうすべきかを考えるべき。

○首長部局は予算的に教育委員会より潤沢。お金がないために、培ってきたよき社会教育資本を切り崩すような例を見かける。本当の意味での学び、地域のつながりを大事にする活動を考えなければ、地域そのものが壊れるリスクがある。

○地域では高校生とのつながりが重要。しかし地域と学校との関係を作る上で、まだ学校側の土壌ができていないと感じる。首長部局と教育委員会の関係を考える上で、もう少し土壌改良が必要。

○所管の問題を考える上で、平時と非常時の違いに注目すること、民間の力の活用すること、総合教育会議を活用することの3点が大事と認識。


○所管の選択制を認めることについて賛成。事務委任により図書館・博物館を首長部局で所管しているが、支障は生じていない。外国人学校や私学等を首長部局が所管していることもあり、公立学校のみならず幅広い学校との連携を進めている。事務委任の仕組みによりむしろプロセスが多くスムーズな執行が難しい場面もある。所管の選択制により懸念される政治的中立性の確保や地域住民の意向の反映は、他の方法でも担保可能。例えば望ましい基準の改正により基本方針の策定等を義務化することや、情報公開を進め、行う事業をすべてオープンに住民に開かれたものとすることなどが考えられるのではないか。

○教育委員会制度の意義は、政治的中立性の確保・継続性安定性の確保・地域住民の意向の反映にあり、そのため教育委員会は、首長からの独立性・合議制・住民による意思決定、の3点の特性を有している。公立社会教育施設の所管の選択制を議論するにあたっては、社会教育が教育委員会におかれてきた本来の意義や役割を損なうことなく行われるべき。移管の検討に当たっては、各施設それぞれが有する本来の意義を踏まえ、慎重な検討が必要。博物館、図書館については、所管を選択制にするにあたっては、第3者機関のチェック機能の付与、条例等の重要な意思決定の際には首長が教委から十分に意見聴取を行うなどの措置が必要。公民館については、博物館・図書館の際の措置に加え、社教主事の有資格者の配置を進めることや、首長が定期的に教委の有する社会教育の専門的知見を活用できる仕組みを導入するなどが必要ではないか。

○地方分権として考えた際、所管を選択制にすることにより、知事部局で、予算も含めてトータルで考えることはメリット。一方、それに対して教委がアプローチできる余地は相当にあり、教委でも知事部局に移管した時と同じくらいのメリットを作り出すことができるはずだとも思っている。デメリットとして考えられる政治的中立性をしっかりと担保するための仕組みが必要。

○所管の選択制に賛成。急速な過疎化や高齢化が進む中、多様な主体との連携強化が日々重要となってきていることから、速やかに実施すべき。ただし、政治的中立性の確保や学校教育との連携の要請等にも留意し、首長へ移管するための条例制定等の際に教委の意見聴取を行うことや、社会教育委員、第3者機関の活用等を行うべき。

○地域を一番よく知る地域の方々が、地域課題解決のため、社会教育施設において熟議を行い、公民育成のための場とすべき。社会教育施設は時として命の砦にもなりうる施設。住民がよく足を運ぶ施設となり、人が集まり、熟議を行い、様々な地域課題に的確に素早く対応できるようになれば、地域活性化に資することに結びつくものと考える。

○選択制について、おおむね賛成。ただし、専門性や政治的中立性が懸念されるところ、社会教育施設全般において、第3者機関の設置や活用、議会の関与の在り方など、しっかり担保する方法を熟慮する必要。

○今後の施設の在り方については、地方分権の進展やICT化等の社会情勢の変化、更には少子高齢社会が進行する中、特色ある地域づくりと各種地域課題の解決を図るため、観光・福祉・防災等の多様な住民活動を行う拠点として、幅広く住民に対し活動の場を供することが求められていること、改訂学習指導要領において確かな学力の育成がうたわれていること、リカレント学習の重要性が高まっていることなどの社会情勢の動向に対応するため、自治体独自の施策方針のもと、法令にしばられることなく所管する部局を柔軟に決定することができる法体系の整備を望むものである。

【博物館】
○博物館は、教育機関、学術機関であり、調査・研究活動のほか、学校教育や民間事業者との連携も重要。他の社会教育施設にない特性として、モノを収集して保管するという機能があり、それをきちんと公開する仕組みが必要。

○訪日外国人旅行者数の増加は外貨獲得の絶好の機会。特に観光資源として博物館の果たす役割が大きい。単なる観光資源ではなく、日本の正しい知識、日本人の価値観を伝える現場であり、地域の方との交流を深める場ともなる。

○博物館を活性化するためには、教育委員会と首長部局が意思疎通を図らないとうまく対応できず予算的にも厳しい。総合教育会議の設置で教育委員会と首長が対等の立場でやり取りする仕組みができたことなど、状況が変わっていることを前提に議論すべき。

○行革、合併の関係で博物館の職員を減らさざるを得ず、博物館の元気がなくなったため、指定管理者制度を有効活用し、首長とも連携してうまくいった例がある。所管は教委にあるが特に問題は起きていない。民間の力を活用することによるいい例。

○首長部局の管理下であるがゆえに、観光振興にはつながったがコレクションの管理に支障が出たところもある。メリットとデメリットをよく考えるべき。

○首長部局が所管する場合には、総合力がメリット。ただし地域において観光行政が成熟しているとはいえず、首長が変わると観光振興行政が変わるということが起きるのも現状。首長の交代によってぶれないという点が重要。

○住民の学びの力は観光にとって大変重要。「シビックプライド」がある地域こそが最高の観光地、というのは世界共通の認識。その点で博物館は重要であり、単なる観光資源では全くない。

○首長部局所管によるメリットは、予算が取りやすくなることが一番多く聞く意見。また、まちづくりや観光的な関わりなど、総合的な政策と連携をとりやすい点もメリット。

○デメリットは、首長の考え方がマネジメントに強く反映されること。入館者を獲得しやすい展覧会はサポートしてもらえるが、そうでないものは優先度が下がる、個別の作品を展示するかどうか首長の意向に配慮する、という話も聞く。さらに、(所管に限る話ではないが)指定管理者制度が導入される中、専門職員としての学芸員が非常勤になっている現実もある。現実として人とお金の問題を把握した上で、所管の問題を議論してほしい。

○博物館法においては、博物館は社教施設と位置付けられているが、学校教育との連携や文化財の収集・保存、収蔵品の研究・発信等様々な役割が付与されている。発信という部分で観光施策とうまくかみ合うと、観光客も増える。多様な役割を持つ博物館全体の振興に資するように法制度の改革が必要。文化財保護法と博物館法が両輪として機能すれば、首長部局になってもメリットがある制度に整理されていくのではないか。

○首長所管の博物館の運営の観点で、政治的中立性が担保されるためには、首長から独立した会議体として、継続性をもち、諮問・答申ができるような博物館協議会が必要。

○政治的中立性の観点からは、首長自身は選挙で選ばれることから、首長をもっと信頼して任せるべきではないか。

○首長に所管を移した場合、首長の意向に左右され、単なる観光地化してしまうのは問題だといった意見がある。

○首長部局に移した際の政治的中立性への懸念について、議会も世論もマスコミもあり、行政の透明化が進む昨今、政治的中立性が担保されないやり方を強権的にやることはできないのではないか。

○首長部局所管の博物館の中には、ボランティアセンター(首長部局所管)と連携し、活動が活発化しているところもある。都市型の博物館ではボランティアが集まるが、地方ではなかなか集まらない。

○首長部局所管の博物館でも、学校教育との連携は可能。むしろ理念の共有が重要。これは、首長含め、住民に情報発信していかなければ理解が得られないことであり、理解醸成のための努力が必要。

○動物園は、もともと公園管理部局や建設局、都市局、経済部など首長部局の所管が多い。広く市民のためにという前提条件があり、所管が首長部局か教育委員会なのかというのは自治体の考え方による。統括団体としては、一貫した教育活動を行っているので所管にはとらわれない。

○動物園・水族館に関しては、展示物が生き物であるため、政治的中立性による影響はないと考える。

○動物園・水族館においては、生き物の命を預かっているので、鳥インフルが発生した時などは、厚労省や環境省(厚労部局や環境部局)と密に連絡をとって対応する必要が生じる。

○首長部局所管の博物館であるが、入園料を無料にして、学校行事での利用促進を図っている。また、民間企業(マスコミ等)と連携し、広報の充実を図っている。

○首長部局所管の博物館であるが、教員を配置し、学校との連携はうまくできている。教育委員会の所管でないことについてのデメリットは感じない。

○首長部局所管の施設として、入館者数は目標の一つではあるが、それだけを重視しているわけではない。美術館としての機能も重要であり、入場者数を増やす企画だけでなく、芸術的価値の高い展示を行うなど、バランスを考えている。

○博物館の本質的な意味を考えれば、首長部局での所管を可とすることになっても、博物館活動への正しい理解を首長が持ち、首長が変わってもその理解が継続されるよう、担保する仕組みが必要。

○首長部局所管となれば、本来専門職として配属されていた学芸員が、人事異動において容易に他部署へ異動となり、専門性が保たれない懸念が生じる。

○所管問題もさることながら、博物館登録制度をより実効性のある制度とするべく、抜本的な法改正が必要ではないか。

○博物館がさらに良いマネジメントをするためには首長部局の力を活用するのも一手ではないか。所管の選択制を認めることが、博物館法の幹を太くすることにつながるのではないか。政治的中立性の懸念への議論があるが、お金や人は最終的には首長部局が握っており、この力は大きい。単なる社会教育施設としての役割だけでなく、もっと大きなポテンシャルを持つ施設と認識しており、その力を最大限生かすべく、所管の選択制に賛成。

○所管を選択制にすることについて賛成。町レベルの規模だと、所管が首長だろうが教委だろうが、特に影響はない。建設や展示、運営においては、関係者の協議で決めていくものであり、政治的中立性が脅かされたことはこれまでになかった。現在当町では首長部局所管であるが、問題は生じていない。

○所管の選択制に賛成。既に補助執行を活用し、首長部局で博物館を所管しているが、教育との連携、調査研究、開発行為が懸念されたが、基本的に全く問題なく、むしろ他部署(観光、地域づくり等)との連携したプログラムの提供がなされ、良い効果を生んでいる。一方で、補助執行の仕組みにより事務の重複や煩雑さによる遅延、責任の所在が不明確、などの問題が生じている。政治的中立性への懸念については、例えば第3者委員会の設置により担保できると考える。


【公民館】
○いまや公民館は様々。小規模多機能自治が進む中で、本当の意味で地域を変えていく力を公民館に持たせるためには、教育委員会にとどまらず首長部局所管とする可能性もあってよいのではないか。

○地域を存続していく上で、公民館的な機能が首長側からも必要とされ、学ぶことと活動、実践がうまくつながっていくのであれば、首長部局で公民館機能を持つことも有効。

○特に中山間地や小規模自治体の公民館は、地域活性化、地方創生の機能はなくてはならないもの。各地域の実情に応じて、学びと実践が結びついた新しい地域の拠点としての機能をこれからの公民館は目指すべき。

○公民館は選択制にすることにより意思決定の簡素化が実現できるだろう。自助・公助が求められる昨今、地域課題解決のための学びの場として公民館が果たす役割は大きい。原則としては教委所管が望ましいとは思うものの、地域の課題を鑑みるに、選択制として首長部局所管とする方策もあると思う。現に公民館の位置づけを外して首長にもっていっている自治体も少なからず存在。地域として、一つの方向性を向くようにすれば、所管はどちらでもいいんじゃないかとする自治体が多いと思われる。

○首長部局から見た地域課題解決と、公民館から見た地域課題解決は、首長部局から見た時の方が広い概念のように思う。スタートが違えど、どちらのサイドから攻めるのがいいかは自治体次第。

○公民館から生涯学習センターへ移行し、地域に運営を委ねる自治体もあるが、社会教育が衰えたわけでもない。地域で大いに使っていく観点こそが重要。

○当自治体では、公民館を首長部局で所管する動きがあったが、震災を機に、学校教育との連携を重視し、教育委員会で所管することとなった。まちづくりの観点で言えば、公民館は各地域に存在する地域振興担当職員(首長部局)と連携している。地域の実情に応じて多様な観点があると思われ、所管の選択制について問題はないと考える。

○公民館は、社会教育の中心的担い手であり、地域づくり・人づくりの拠点としてその役割・存在感を示している。安易な所管の変更がなされないようにするとともに、地域住民にその存在がさらにプラスになるように取り組むことが大切である。そのうえで、地域の実態や実情に応じ、教育委員会の所管が原則だが、首長と教育長とが連携を密に取り合えば、首長部局の所管にしても支障はないものと考える。

○首長部局所管となれば、予算の確保がしやすい・観光や福祉などの分野との連携がしやすい点がメリットにあげられる。一方、教育委員会所管となれば、学校教育、家庭教育、社会教育の一貫性と連携が取りやすいこと(地域の活動に学校が協力、学校に地域が協力など)・人材の確保と育成がしやすいことがメリットにあげられる。

○所管の選択制によりたとえ所管が変わっても、公民館の名称を変える必要はなく、内容面で考えれば、公民館の事業としての対応が可能。地域の実態に即し、地域主体の事業を実施することや、公民館運営審議会と同様の仕組みを設置し、チェック機能を持たせること、社会教育に関する専門的知見を有する人材の育成と確保を心掛けることを担保することが重要。

○首長部局の所管となることにより、部局間の連携が容易となり、観光・福祉・防災等の多様なまちづくり活動が可能となる点がメリット。

○教育委員会所管のメリットとしては、社会教育施設としての公民館本来の役割が明確化されること・学校教育との連携が容易であること、があげられる。

【図書館】
○図書館は、複合施設の例にもあるように、様々な機能を取り込んでいくことが今後の流れ。地方財政のひっ迫もあり、財政部局の理解を得ることが前提となっていることから、首長部局との連携は不可欠となっていることが実情。

○図書館は、地域課題解決のための学びの場としての役割を鑑みるに、選択制として首長部局所管とする方策も考えられる。政治的中立性の懸念についてはそれを担保する措置をとることにすれば良いのではないか。

○公立図書館は、住民一人ひとりの資料要求に対する個別対応を基本とし、住民の公平な利用の観点からすべての住民に公平に基本的なサービスを保障することを目的とし、住民の生活・職業・生存と精神的自由に深くかかわる教育機関であることから、公立図書館は教育委員会の所管とし、基本的には図書館のありようは各自治体の自主性に委ねられるものである。

○首長は地域住民に選ばれた地域の代表。たとえ所管が選択制となり首長が所管することになったとしても、学びの場としての図書館が地域にとって非常に重要であることは皆感じている。よって政治的中立性が損なわれるとは必ずしも言えない。

○選択制とした場合のメリットとしては、自治体の判断により、選択が可能となった場合、各自治体がおかれている状況に合わせた運営が可能となる点であると考える。

○現行、既に補助執行により首長部局が図書館業務を担当しているが、特に問題は生じていない

○首長部局所管となった場合、以下のメリットがあると考えられる。
   ・ 経営支援、保健所、公園緑地課など、全庁組織との連携がスムーズ
   ・ 自由な発想の事業展開が可能(区内企業と連携したアート展、アニメ制作会社との企画展等)
   ・ 自治体連携がスムーズ
   ・ MLA(Museum, Library, Archives)連携はもとより、他施設や団体との連携が促進(高齢者施設、障がい者施設、大学、病院等)

○首長部局所管とした際には、課長級職員の教育委員会への出席、総合教育会議・社会教育委員の会議の活用、学校図書館司書との連携研修の実施、区長を本部長とする生涯学習推進本部への教育長・教育部長・各部長の参加等により、教育委員会との連携を工夫することが考えられる。

【その他の社会教育施設】
○首長部局所管のメリットとしては、部局間の連携が容易であり、様々な分野の活動が可能であること、部局横断的な施策の展開、があげられる。

○教育委員会所管のメリットとしては、例えば青少年施設の場合、学校教育との連携が容易であること・スポーツ少年団の合宿など青少年の健全育成活動との連携が図られること・学校教育との連携が容易であること、があげられる。

○現行、既に生涯学習市民センター、青少年施設、女性施設を市長部局が所管しているが、特に問題は生じていない

○首長部局所管となれば、市民の主体的な生涯学習を支え、まちづくりに生かす役割を、限定された行政目的を持つ教育委員会でなく、総合行政を担う市長局部が担うことで、全ての市民が身近に学べる環境をつくり、その成果を生かし、様々な課題を協働で解決していくことが可能となる。

○首長部局に青少年施設を所管している立場としては、本施設がひきこもりも含めた青少年相談の窓口となっていることから、市長部局が所管することで、教育だけでなく、福祉、保健、医療、雇用などの施策との連携がしやすくなり、総合的に推進していくことができる。とりわけ、青少年相談の窓口には、様々な悩みを抱えた若者が相談に来るが移管により、同じ部にある子ども総合相談センターとすぐに連携し、支援する

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