資料7 生涯学習分科会(第77回)における主な意見

【学習履歴の蓄積と活用について】

  • 学習履歴の蓄積の取組は、生涯学習パスポートや、eポートフォリオなどの整備と併せて進めていくことが非常に重要。これは世界的な傾向にも沿うものであり、世界共通のフォーマットなども見据えて、議論を進めていくべき。
  • 潜在的に地域は人材の宝庫であることから、生涯を通じた学びの中で、個人が主体的に自己の学習の履歴を把握し、そのことを社会的な貢献の機会に結び付けていくことは、極めて重要と考えられる。
  • 学習活動を社会の中で生かしていくために、例えば、教員やボランティアにどういうことを勉強してもらいたいのか等のニーズを踏まえ、蓄積した学習成果をある程度クオリファイして、一種の資格のように取り扱って、社会の認知度を高めると良いのではないか。
  • 単に専門的な学習の履歴を重ねていくということではなく、学びの向上とともに、自分の学んだことで地域の課題解決に貢献するという学びの循環の中で、個人個人の学びのプロセスを見える化しつつ、同じ課題を共有できる人たちとの出会いと協働を促していくということが重要ではないか。
  • 現在、自治体ではマイナンバーカードの活用が課題となっている。学習履歴の管理についても、マイナンバーとリンクさせることで、各種の証明にも使いやすくなるなど、利便性が高まるのではないか。
  • 現在、働くことの履歴をジョブカードで残す取組も別途進んでいる。マイナンバーやジョブカードも含め、履歴という面と社会的認知という面で、様々な可能性があるのではないか。

(課題)

  • 学習の成果を企業が評価しなくては、学ぶモチベーションや、学習費用の投資にもつながらない。生涯学習パスポートやプラットホームは、企業や社会のニーズを踏まえ、学習成果の評価をしやすくする仕組みとして機能することが重要。
  • 働いている人は、現実的にはなかなか休めないという状況がある。学習時間の問題については、例えば、有給教育休暇(仮称)の制度化など、学び直しの前提となる環境整備についても併せて議論が必要ではないか。
  • これからの社会では、スキルと市民性を持った人材が、学習成果を活用するという視点で、社会の要請を踏まえた、地域づくりの支え手、担い手になっていくことが重要であり、そのために何をすべきかということを考える必要がある。

【ICTの活用について】

  • 社会人や育児中の人など、学習時間や場所に制約のある人々にとって、ICTを活用したeラーニングは、非常に有効な手段である。
  • ICTを活用した個別学習教材を使って、中学生同士でどんどん学習をし合っていくようなことも可能になっている。一方で、実際の社会に触れながら、自分への肯定感を高めていくということも重要な課題と思われる。
  • 例えば絵を描くことについても、ICT化が進んでいて、様々なソフトやコンテンツが利用できる状況になっている。デッサンをYouTubeで学習するようなことも行われており、様々な創造的な分野なども含め、幅広い学習活動を対象としていくことが重要。
  • ICTの普及のスピードは、ここ二、三年でも非常にスピードが速いと感じる。スマートフォンを使った学習環境というのは、社会人にとって非常に利点の多いものであるので、技術革新に遅れないように、スピード感を持って議論し、提案し、実践していくことが重要と思われる。

(課題)

  • 特に小学生を対象とする民間の学習機会では、eラーニングが相当に普及してきているが、最終的に人間の関わりがないとモチベーションの維持は難しいと感じる。eラーニングを本当に中身のあるものにしていくためには、リアルの人間がいかに関わるかということをセットで検討していくことが重要。
  • スマートフォンや携帯端末などICTの普及は進んでいるが、もっと安く使えれば、更に普及率は広がると思う。学習に関して廉価に活用できないかなど、海外の事例も踏まえ検討してみてはどうか。
  • 学校現場でも、デジタル教科書が普及し始めているが、著作権の問題が一つの課題になっている。教育現場のルールが、そのまま社会人教育にもつながってくるので、これらのことも勘案することが必要ではないか。

【生涯学習をめぐる状況等について】

  • 少子高齢化の問題が深刻化する中で、例えば高齢の方々の健康寿命を延ばしていきながら社会的な負担を減らしていくという観点からも、各個人の学習を保障して、さらには各個人がみずから社会参画をしていく中で自己実現ができるというような取組を、基礎自治体を基本として進めていくことが有効ではないか。
  • これからの成熟した社会では、職場でずっと仕事をする中での学び以上に、育児休業中など組織から一度出たときに学ぶという視点が、組織にも大きな付加価値をもたらすのではないか。
  • 従来のように経済の規模を拡大していくということができない社会において、どういうものを価値として置き、どういう形で地域社会、コミュニティを実現するのかを考えなければならない。そうした観点から、人々が自己実現としての学習を進めることによって、同時にコミュニティにも貢献できる仕組みのような、生涯学習をうまく活用していくことについても議論できると良いのではないか。
  • 変動する社会において、従来の仕事観をどう見直すか、生涯学習をどう見直すかということが重要。雇用やキャリアの積み重ねと学習履歴との連携の可能性などもあるが、まずは、生涯学習の分野でのeラーニング、ICT活用といった観点に焦点化させて、議論を深化させていきたい。

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