学校地域協働部会(第8回) 議事録

1.日時

平成27年10月5日(月曜日)13時30分~16時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【明石部会長】
  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会学校地域協働部会(第8回)を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  前回の部会におきましては、事務局から提案された審議のまとめ(素案)について様々な御意見を頂きました。本日は、前回の御意見等を踏まえ、修正した審議のまとめ(案)が提示されていますので、これについて議論していただきたいと思います。
  本日の議論を踏まえて、生涯学習分科会に報告したいと考えております。
  また、今後、パブリックコメント等を行っていく関係上、本日で一旦まとめをさせていただきたいと思います。それを受けて10月9日の生涯学習分科会に報告していくつもりでございます。なお、本日も、報道関係者から傍聴及び録音の希望があり、これを許可していますので、御承知おきください。
  それでは、議事に入る前に、文部科学省の人事異動があったとのことですので、事務局から御紹介してください。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  はい。人事異動はありましたが、本日遅れておりますので、また次回にさせてください。

【明石部会長】
  では、次に配付資料の確認と委員の出欠について、事務局よりお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  本日もどうぞよろしくお願いいたします。まず、配付資料としまして、議事次第の後、資料1が審議のまとめ(案)(第1・3・4章)、資料2が審議のまとめ(案)に関する参考資料、資料3が今後のスケジュールです。そして、参考資料1が教育課程企画特別部会の論点整理、参考資料2が学校地域協働部会第7回における主な意見、参考資料3が審議のまとめ(案)(第2章)です。過不足等があれば教えていただければと思います。
  また、本日は、浅原委員、井出委員、若江委員が御欠席でございます。以上でございます。

【明石部会長】
  本日の議題に入ります。まず、前回の会議での御意見等を踏まえて作成した審議のまとめ(案)について、事務局から説明を頂きまして、その後、自由討議といたします。では、説明をお願いします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  まず、資料1を御覧いただければと思います。柱立てとしまして、最初のページを見ていただきますと、「はじめに」、第1章、第2章、第3章、第4章とあります。「はじめに」と第4章「コミュニティ・スクールと地域における学校との協働体制の効果的な連携・協働の在り方について」が、前回までの御議論を踏まえ新しく追記いたしました。また、第2章は、本日の午前中に開かれた「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」の方で御議論いただいている部分になります。本日は、特に第3章、第4章を集中的に御議論いただければと思います。
  1ページ、「はじめに」では本部会の設置の意義や取組につきまして整理させていただいております。
  2ページ、第1章につきまして、大きく前回の資料と変更があるわけではありませんが、下から二つ目のマル、「かつての地縁を再生するという視点にとどまることなく、新たに地域コミュニティを創り出していく」というあたりを、前回の御意見を踏まえ追加しています。
  3ページ、このほか、昨今、子供が被害者や加害者となる様々な事件が発生しており、地域で家庭や子供を見守り支えることの必要性が指摘されている。こうした観点からも、学校と地域の連携・協働を一層進めることの重要性が増している、を追加しています。
  「(3)教育改革、地方創生等の動向」、その下のタイトルを「学習指導要領の改訂について」という形でまとめ、学習指導要領の改訂については、その基本的な方向性について教育課程企画特別部会で審議が進められ、本年8月に「論点整理」が取りまとめられたところであるとしております。参考資料1の中で、新しい時代と社会に開かれた教育課程というところが強調されておりますので、学校や学校の関係者だけでなく、地域や周りの方々と一緒になって学校教育を創り上げていくんだという姿が鮮明になっており、そのようなところが目指していく部分になるのではないかと思います。
  4ページ、「高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革」について、こちらも若干修正しています。
  6ページ、「2.学校と地域の連携・協働の必要性」の部分ですが、7ページの下から三つ目のマル、さらに、課題を抱えた保護者や子供の孤立化に対応する観点から、保健福祉部局等との連携を図りながら、全ての子供たちを守り、支える地域社会の在り方が問われている。個人や個々の機関だけでは対応が困難な課題についても、学校と地域の連携・協働により保護者や子供に必要な支援を行うことで、家庭や子供の変化をもたらすことにつながるとしております。特に保健福祉部局との連携が非常に重要になってくるということで、保護者支援、家庭や子供の変化をもたらすものではないかという御指摘を頂いております。その次のマル、「地域住民の学びを起点に」、「ふるさとに根付く子供たちを育てるとともに」としております。
  第2節、「(2)子供も大人も育ち合う教育体制の構築」、9ページの上のマル、家庭教育の支援の観点からも、家庭教育の支援を視野に入れた地域と学校の連携が進むことで、課題を抱えた保護者に対する支援の充実につながるとともに、孤立感を抱えた保護者を含む多くの保護者に対し、学校との協働による活動に参画していく機会をつくることにつながるとしております。
  同じく9ページ、「2.学校と地域の連携・協働を推進するための組織的・継続的な仕組みの構築」について、「コミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的推進」につきましては、大きな考え方はこちらに整理させていただき、具体的な進め方につきましては第4章の方に新しく記載しております。
  第2章については、本日、御議論いただくところではありませんが、少しだけ御紹介いたします。参考資料3に、第2章の部分がございます。
  3ページ、第2節「これからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方について」、「提言のポイント」というところがあります。目的として、学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めていく役割を明確化する必要がある。現行の機能は引き続き備えることとした上で、教職員の任用に関する意見に関しては、柔軟な運用を可能とする仕組みを検討する必要がある。地域の人々の理解や協力、参画等が促進されるよう、学校支援の総合的な企画・立案を行える仕組みとする必要がある。校長のリーダーシップの発揮の観点から、学校運営協議会委員の任命において、校長の意見を聴取する仕組みとする必要がある。小中一貫教育など学校間の教育の円滑な接続に資するため、複数校で一つの学校運営協議会を設置できる仕組みとする必要があるとしております。
  4ページ、「制度的位置付けに関する検討」として、全ての公立学校がコミュニティ・スクールを目指すべきであり、学校運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策が必要。その際、基本的には学校又は教育委員会の自発的な意志による設置が望ましいこと等を勘案しないといけないのではないかとしております。コミュニティ・スクールは全ての公立学校の方で目指していこうと。緩やかな体制で地域の実情に応じた形で進めていこうというような議論が午前中の作業部会でもありました。それに対応すると言いますか、対等なパートナーとして地域側はどうしていくのかということを、第3章の方で御意見を頂ければと思います。
  第3章ですが、資料1の11ページからになります。第1節、「地域における学校との連携・協働の意義について」、「1.地域の教育力に関する課題」、「2.地域の教育力の充実のために学校と連携・協働することの意義」として、第1章と共通している部分もありましたので、全体の文章の整理をしております。また、「2.地域の教育力の充実のために学校と連携・協働することの意義」の三つ目のマル、また、地域の大人は、子供が関わる事件に際して、そのことをどこに連絡・相談したら良いのか分からないとの実態もあり、まずは気軽に子供たちに声をかけることから始めてみることも重要であり、学校と地域の連携の中で子供の様子を見守っていくことが重要であるとしております。
  12ページ、四つ目のマル、そのため、社会教育施設をはじめとする学びの場やICTを活用したものも含め、多様な形態による学習機会を整備することなど、今後も社会教育の役割の重要性を踏まえた取組を推進していく必要がある、それから次のマル、「地域の教育力の再生・充実は、地域の課題解決に向けた連携・協働につながり、持続可能な地域社会の源となる」というところも、記載場所を変えたりしたこともありますが、こちらに整理しております。
  第2節、「地域における学校との連携・協働の現状等について」として、法令上の規定等、整理をしております。下から三つ目のマル、教育基本法が改正され学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力の重要性がうたわれたとしております。
  14ページ、「2.地域における学校との連携・協働の課題」として、三つ目のマル、情報共有が十分ではないことや、それぞれの活動が単発で実施されてきたことなどの課題があるとしております。次のマル、例えば、学校支援地域本部では、学校に対する支援に重点が置かれがちで、地域の振興まで意図した取組は少ない等の課題もあるとしております。
  第3節、「地域における学校との協働体制の今後の方向性について」、「1.地域における学校との協働体制の目指す姿」として、こちらは全面的に整理している部分でもありますので、御覧いただければと思います。地域と学校がパートナーとして、協働して子供の教育に関わることを通じ、地域振興についても推進することである。また、将来にわたり継続的に活動に取り組める体制とすることが必要であるとしております。
  15ページ、一つ目のマル、すなわち、今後更に地域において学校と協働した活動を充実しながら、各小学校区で、それぞれの活動の連携を促進することが可能な、共通基盤となるコーディネート機能を有する体制づくりが必要である、このような協働体制を、ここでは「学校協働地域本部(仮称)」と呼ぶことにするとしております。
  「学校協働地域本部(仮称)」についての特徴は、社会教育のフィールドにおいて、地域の人々や団体により緩やかなネットワークが形成された、任意性の高い団体としてイメージされるものである。一方で、地域住民が参加しやすいつながりの緩やかなものではあるが、参加者の世代交代なども経ながら永く持続していくものでもあるとしております。
  次の3要素が必須ということで、(1)コーディネート機能、(2)活動する地域住民、(3)継続的な活動の実施、としております。どのような内容の活動が行われるかは、地域の実情、本体制の発展段階に応じ、多様であるものと考える。例えば、放課後子供教室から始まり、次に学校の授業の支援が加わり、さらに、郷土学習の共同企画や学校と地域の行事の共催等を実施するという場合もあれば、学校の環境整備や登下校の見守りから始まり、放課後や土曜日の教育に拡張する場合もあるとしております。学校教育部局との連携強化や、首長部局との連携強化、参加者一人一人が学び合う場を持っていくということが重要だとしております。
  16ページ、「2.地域における学校との協働体制の整備の方向性」として、早期に全小学校区(約20,000)において構築されることを目指す。また、小・中学校のみならず、高等学校においても有効な取組でもあるため、高等学校も巻き込んだものとしていくことが重要であるとしております。
  三つ目のマル、将来的には、子供たちを社会の主体的な一員として受け入れ、様々な実践への参加を促す機能を有する体制の構築へと進化・発展することが考えられるとしております。 
  第4節、「地域における学校との協働のための取組の推進について」、「(1)学校区における地域コーディネーター」について、前回頂いた御意見を踏まえ、整理をしております。
  下から二つ目のマル、また、地域コーディネーターによるコーディネート機能は、1、地域住民が主体となって活動する場合、2、PTAが主体となって活動する場合、3、NPO等と協働して活動する場合、4、公民館など社会教育施設等を拠点に活動する場合、など地域の実情に応じて、様々な態様があるとしております。
  17ページ、一つ目のマル、加えて、「学校協働地域本部(仮称)」の中核を担う地域コーディネーターは、様々な人々や活動をつなぐ役割が大きいが、一方で、経験の蓄積が難しい分野でもあるため、十分な研修機会の確保などを通じて、相互に学び合うことが有効である。二つ目のマル、なお、地域コーディネーターは、子供の状況に触れることになるため、守秘義務を重視し、責任の所在の明確化を図る場合は、地域の実情に応じて、委嘱等の契約を行っている場合など、何らかのルールを設けることで、学校との情報共有が円滑になるのではないか。三つ目のマル、また、地域コーディネーターとなる地域人材の確保は最も重要である。その際、現在あるいは過去にPTA活動を経験した人、地域の自治会等でネットワークを持っている人、社会教育も経験されている元教職員など、地域の実情に応じて様々な人が考えられるが、地域コーディネーターを務める人に求められる資質等についての緩やかな目安など、国や都道府県等での具体的な事例収集や分析、その情報提供が必要であるとしております。
  「(2)市町村単位での統括的なコーディネート機能」として、新たに、市町村全体の学校地域協働に関する統括的なコーディネート機能が必要である。統括的なコーディネート機能は、例えば、地域における学校と協働した取組をこれから開始する地域への新たな「学校協働地域本部(仮称)」の立ち上げの助言や先行事例の提供を行ったり、既に取組を行っている学校区の地域コーディネーターのリーダー的存在として、それぞれの地域の定着の度合いの違いなど実情に応じた活動活性化のアドバイスやモデル事例の紹介を行ったり、研修の企画・実施などによる地域コーディネーターの資質向上を進めるものである。また、各学校区で活躍する地域コーディネーターの確保と同じく、こうした市町村域を統括的にコーディネートする役割を担う地域人材の確保も重要である。その際、こうした役割を担う人材は、既に地域コーディネーターを務めた経験のある人材などが考えられるが、求められる資質等については、地域における学校との連携・協働による活動への深い関心と理解を有するとともに、他の地域コーディネーターを含めた関係者からの信望も厚く、地域課題についての問題提起、整理、解決策の構築等を仲間とともに進めることができるファシリテート能力にたけている、などの望ましい条件が挙げられるが、その目安などについては、地域コーディネーター等と同じく、国や都道府県等での具体的な事例収集や分析、その情報提供が必要であるとしております。
  「2.地域における学校との協働による活動の充実」、「(1)今後求められる活動内容等」について、頂いた御意見を踏まえ整理しております。
  18ページ、六つ目のマル、教職員の多忙化が大きな課題となっている状況の中で、こうした活動について地域と学校が情報を共有することは重要であるが、教職員が子供と向き合う時間を確保する観点等からも、教職員が様々な地域活動に参加し地域課題の解決に取り組むことを過度に求めていくことのないよう十分に留意する必要があるとしております。
  「(2)活動場所の確保等」について、段落を分け新しく記載しております。学校内の施設で活動を行う方が適当と考えられるものについては、1、施設整備面での工夫、2、余裕教室の活用など施設の有効利用を図ることによる工夫、3、施設管理面での管理責任などの課題の解決を図るための行政側でのモデル例の提示などの工夫、について、積極的に教育委員会や学校と「学校協働地域本部(仮称)」が連携・協働して行うことが求められるとしております。
  「(3)幼稚園、高等学校、特別支援学校、高等専修学校等の特性を踏まえた取組の推進」について、幼稚園の「子ども・子育て支援新制度」を追記しております。高等学校等については、今後望まれる学習活動である「 アクティブ・ラーニング」の有効な展開の観点からも、「学校協働地域本部(仮称)」との連携・協働体制の構築を進めることが重要である。こうした体制構築が進むことにより、高校生等が地域の商店街や企業等と連携し、地域課題の解決に参画する取組が進めば、キャリア教育の推進や地域貢献にも繋(つな)がるとともに、地域に愛着を持ち、自分が学んだ地域で働きながらその地域を活性化していくことに繋がっていくことも期待される。こうした視点を持つことにより、例えば、高等学校でこのような学習が成り立つためには、小中学校段階で、このような活動が必要であり、また、地域と連携・協働した支援活動は、子供たちが地域に目を向けるようになり、将来的に必ず自分たち地域に返ってくるものであるという関連性が理解されるようになり、地域住民のモチベーションが高まるとともに、活動の充実に結びつくものであるとしております。
  20ページ、「(4)子供たちの抱える課題への対応や、家庭教育支援の充実等のための地域における学校、福祉等との連携」について、地域が学校との連携を深める中で、地域は、子供にとって、学校や家庭ではない第三の場所として安心な居場所になることが考えられるとしており、二つ目、三つ目のマルについても、整理しております。
  第5節、「国、都道府県、市町村による推進方策について」として、都道府県・市町村教育委員会において、域内全体の地域における学校との「学校協働地域本部(仮称)」の企画・立案を担い、社会教育の立場で、施策実施を支援する職員を、新たに明確化することが必要であるとしております。
  21ページ、第4章、「コミュニティ・スクールと地域における学校との協働体制の効果的な連携・協働の在り方について」です。第1章が全体の現状分析の話、第2章がコミュニティ・スクールの今後の方向性の話、第3章が地域側の話があり、第2章、第3章をつないだ結果を第4章として整理しております。現状ではまだ第2章、第3章は十分固まっていないこともあり、十分な記述ではありませんが、まず第2章、第3章の議論を振り返るところから始まり、地方創生の実現のために、コミュニティ・スクールの機能、「学校協働地域本部(仮称)」の機能のそれぞれを大切にしつつ、両者が相互に補完し高め合う存在として効果的に連携・協働し、両輪となって相乗効果を発揮していくことが必要である。学校と地域の特色を生かし、学校と地域が共に考え、地域全体が当事者として参画していくことが大事ではないか。また、それぞれの活動の企画等の段階から、双方の運営方針や取組計画等を共有したり、提案をしていくということが大事ではないか。また、地域における学校との協働体制において中核となる地域コーディネーターが学校運営協議会の委員も同時に務めて、地域における学校支援や学校運営に関する協議に参画したり、学校運営協議会の運営の中核を担ったりする一方、学校運営協議会の委員が、地域における学校との協働体制における企画調整担当も同時に務めて、社会教育における地域貢献活動の企画運営やその実施に参画するなど、それぞれの経験や考え方を、お互いの発展のために生かす「人的配置の工夫」も有効であるとしております。
  22ページ、また、ある自治体では、市内の全中学校区に青少年の健全育成と地域の教育力の向上を図ることを目的とした会議(地域青少年育成会議)を、市内全校に学校運営協議会を設けた上で、両者が目指す子供像を共有し、両輪となって活動する工夫として、地域青少年育成会議の事務局が学校運営協議会の事務局も兼ねる工夫を行っている。このように、両者の緊密な連携による効果的な運営の観点から、例えば、「学校協働地域本部(仮称)」の事務局と学校運営協議会の事務局を兼ねるようにすることも考えられるとしております。また、「地域連携の推進を担当する教職員」との連携強化や、「チーム学校」を支える観点について記載しております。
  最後に全体的に目指す姿を記載しております。学校と地域がビジョンを共有した上で、協働による取組を重ね、大人も子供も学び続ける社会を共に創っていく必要がある。「あらゆる世代が一体となった地域活性化の両立を目指していく」という形で、記載しておりますが、このあたりも御意見を頂ければと思います。以上でございます。

【明石部会長】
  ありがとうございました。これまで頂いた御意見等を反映させていただきましたが、今後、パブリックコメントを行うために、「審議のまとめ」として一旦取りまとめに向けた最後の部会となりますので、積極的に御意見を頂ければと思っております。熊谷委員。

【熊谷委員】
  第3章の第3節、15ページ以降から出てくる「学校協働地域本部(仮称)」というところですけど、これが少し気になるところです。というのも、これは先ほど室長も話されましたけど、従来の学校支援地域本部と同じなのか、違うのかというところが読み取りにくい。同じであれば、今まで学校支援地域本部をやっている人たちに「このままでいいのではないか。変える必要はないのではないか」という印象を与えてしまう。違うのであれば、どう違うのか。学校支援地域本部を発展させたらこういう「学校協働地域本部(仮称)」になっていくんだという、その辺の関係性が少し分かりにくいのではないかと思います。
  そこを突き詰めて考えると、結局、「連携」と「協働」という言葉の意味をきっちり説明していないのではないか。「連携」はこうだ。しかし、「協働」はこうなので、「連携」から「協働」に高めていかないといけないという説明がなく、「連携」と「協働」が一くくりに説明されているので、もう少し「協働」の段階はこうなんだと指摘することが大切ではないかと思います。そのように「協働」と「連携」の違いを踏まえて考えますと、「学校協働地域本部(仮称)」という名称は、本部会も学校と地域が協働するということですので、「学校地域協働本部」の方がいいのではないかと思いました。
  それから20ページ、そうした「学校協働地域本部(仮称)」と統括コーディネーターと、それから市町村の職員、この三つの関係が少し分かりにくいと思いました。
  総括あるいは統括コーディネーターと社会教育主事というのはどういう関係になっているのか、あるいは、この20ページ、下から2番目のマルに、「都道府県・市町村教育委員会において、学校との『学校協働地域本部(仮称)』の企画・立案を担い」ということが書かれています。「学校協働地域本部(仮称)」の企画・立案を担うのは市町村の職員の役割だとこのままでは読めてしまい、企画・立案を行うのは、学校や地域の、そういう学校に係る人たちではないかと思い、この関係性というのも少し読みづらいと思いました。

【明石部会長】
  大事な御指摘を2点挙げていただきました。これに関連して何か御意見を頂きたいと思います。要するに、名称を変えるんだけれども、魂はどうするのかということですね。それともう一つは、統括コーディネーターと社会教育主事の位置付けというのをどうするのかという、今回の中間まとめの非常に大事なところだと思います。関委員。

【関委員】
  私は、この「学校協働地域本部(仮称)」なるものが、余り固定化された組織ではなく、誰もがいつも出入りできるような緩やかな場の方がいいような気がいたします。
  今までの学校支援地域本部の場合、常にどのような人間がサポートするかということがある程度固まっている傾向が、うちの町にはございました。
  しかし、本当はまだまだ眠っている地域の学校に対してサポートしようとする人が一杯いるかと思いますので、そういう人がいつでも学校に対して何か思いを持ったときには関わっていけるような、プラットフォーム的な、誰もがそこに参加しやすい場があれば、もっと学校支援の地域の思いが高まっていくのではないかという気がします。
  ですから、コーディネーターも縁結びをするという機能よりは、むしろそういう場の雰囲気づくりがうまくできるような能力が求められる。ファシリテート能力と言われているかと思いますが、そういったものがもっとそこに人材を得ることができれば、地域そのものも、そのことでいろいろな人の参入が生まれてきますので、元気になっていくのではないかと思います。

【明石部会長】
  ありがとうございました。生重委員。

【生重委員】
  私もずっと考えていまして、概念としてプラットフォームというと、もう少し広域な気がします。この文章だけ読むと、1小学校・1中学校という、現実やっている人間からは、今やっているものの名称が変わるという混乱は多分起きてくると思います。
  違う名称にするには、なるほどと思ったことは、最初の連携と協働をきちっと書くことなんだということと、関委員が言ったように、私もプラットフォームなのかなと思います。
  それであれば、もう少し広い概念で、例えば山野委員が言っているスクールソーシャルワーカーを入れて、エリアの中で、もう少しまちを挙げての子育てや協働みたいなことと、情報共有化で子供たちの環境を整えていくというようなことももう少し視野に入ってくると、地域再生というところも入ってくると思います。
  例えば、貧困の問題、食事の問題、放課後の孤立化しているところの孤独にいる子たちの居場所の問題とか、いろんな課題が都市圏だけでなく地方においてもたくさん山積みしている状況の中で、これが図になったらもう少し分かるのかなと思います。子供にとって広い範疇(はんちゅう)は小・中の校区だと思います。その校区の中できちんとプラットフォーム化されていて、いろいろ大人たちが横串を刺してくれていて、居場所があり、食事ができる場がありとか、宿題をできる場があり、みたいなところと、そこに参画してくる地域の大人が多くなればなるほど、地域の再生や協働というところに行くであろうと思います。
  今、我々が学校を支援しているのは、学校の先生と積み上げた過程の中で横断的に、トピックスでイベントではなく、小学校1年から6年まで、中学校1年から3年まで、体系付けて子供の発達課題に応じた教育に外との連携を付けていくんだということを学校支援が主にやっていることで、そこのほかに土曜日をやっているところがあり、放課後をやっているところがあり、その全体が夏休みや冬休みや長期休業中のプログラムを一緒になって考えていく協働体制づくりみたいなことをもっと効率的にやっていこうよと。みんなで連携してやっていく。それぞれのセクションはみんなプライドを持って頑張っているんだから、それが協働できるようになるような大きなものとして描こうよ、だったら、何となくほかの今一生懸命やっている方たちが納得するのではないかというイメージが浮かんでくるんですけど、この連携と協働というところの文章にそこら辺がうまく、今現状あるものを否定しているのではないんだと。今あるものを継続し、連携しながらやっていくことによって、地域再生の協働の大きなプラットフォームができるんだということが書かれていれば、今まで一生懸命やっている人もつぶれないし、これからやるところも分かりやすくなるかなという気がいたしました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。では、谷合課長。

【谷合社会教育課長】
  社会教育課の谷合です。今、お三方から御意見を頂きましたので、少し補足をさせていただきたいと思います。まず、今回、新たに「学校協働地域本部(仮称)」というのが示されておりますけれども、これと現在の学校支援地域本部と何が違うのかという話ですが、基本的には違いはありません。ですので、今、生重委員がおっしゃったように、今それぞれ各地で取り組まれている取組、これはこれまでどおりやってほしいわけです。
  では、なぜ変える必要があるのかということですが、現在の学校支援地域本部というのが、「支援」という言葉が少し、要するに学校をお手伝いするということにやや重きが置かれやしないか。そこを、いや、そうではなく、正に学校と地域が「協働」していくための本部であるというメッセージを伝えるために名前を変えてはどうかという提案でございました。ですので、決して今までやっている取組を否定するものではありませんし、既に学校支援地域本部という名前で協働しているところも恐らくあると思いますので、それは是非そのままやってほしいと思っております。
  また、熊谷委員から、それなら「学校地域協働本部」ではないか。「学校地域協働本部」の方がよいではないかという御意見がありましたけれども、あえて言葉の順番を「学校協働地域本部(仮称)」としているのは、飽くまで地域側の本部なものですから、「地域本部」という言葉を一つの単語と考えた方がよいのではないかという思いで「地域本部」をくくっております。そうして「学校協働地域本部(仮称)」となったということでございます。もちろん名称についても御議論いただきたいんですが、今回の提案の趣旨はそういうことです。それから、「連携」と「協働」の違いについて説明すべきではないかということもおっしゃるとおりかと思います。そこの説明は少し足りなかったと思います。
  先日、松田副部会長からも「連携」と「協働」の違いについて、「連携」というのは二者がそれぞれの目的を持って別々に動いているのをつなぐだけだが、「協働」というのは同じ目的に向かって両者が正に有機的に関係していくという話だったと思います。そういうことも踏まえ、検討させていただきたいと思います。
  それから、熊谷委員からあったコーディネーターについてですけれども、幾つか登場人物がおります。一つは、16ページに、「学校区における地域コーディネーター」ということで、主としてこれは小学校区単位で地域コーディネーターがいます。それから、17ページに「市町村単位での統括的なコーディネート機能」ということで、具体的な統括コーディネーターがいるか、いないかは別としますけれども、統括コーディネーター的な人がいると。この人は、我々、今、イメージしているのは、どちらかというと民間レベルの人が主体かなと思っています。もちろん公務員でも差し支えないと思いますけれども、市町村域全域を見渡し、それぞれの個々の学校区にいるコーディネーターに対してアドバイスをしたり、あるいは、まだ実施されていない学校区があれば、「そこでも本部を創ろうよ」みたいな形で動いてくれるような、そういう人をイメージしているところでございます。
  最後に、社会教育主事についてはということになりますけれども、社会教育主事は、現在も学校と地域の連携というのは当然担当しておりますけれども、余りその辺りが必ずしも制度的に明確になっていないところもありますので、そういうことも少し制度的にも明らかにしていき、地方公共団体の中での役割としてしっかりやっていくと。そういうことも明らかにすべきではないかということで提案しております。以上です。

【明石部会長】
  では、德田審議官。

【德田大臣官房審議官】
  今、谷合課長が説明されましたが、「学校協働地域本部(仮称)」について、これはこれまでの学校支援地域本部と全く同じというわけではありません。これまでの学校支援地域本部は学校支援だけをやっていたんですけれども、今後の「学校協働地域本部(仮称)」というのは、名称もそうですけれども、先ほど、生重委員が言われたような放課後とか土曜の教育活動とか家庭教育支援とか、もう少し幅広く共通基盤になるものを目指してやるということで、中身も変えていくという発想で、来年度の予算要求にもそういう観点から地域コーディネーターを全小学校区に配置しようという予算要求もしております。

【松田副部会長】
  今の前段の議論ですけれども、そういう意味では、これまでの学校支援地域本部からネットワークという意味での広がりをかなり意図しているということと、途中の議論でありましたワンウェイから双方向性といいますか、地域と学校の双方向性という、その2点で新しいものになっているということだと理解しています。
  そのことを考えたときに、子供の側(がわ)から、その区別なり、そこで出来上がってくる教育場ということを考えてみますと、従来、子供というのは家庭と学校と地域という三つの生活空間が連携しながらも、それぞれの価値観で動いていて、例えば学校で学力的に勉強が苦手だと思っていても、生活の知恵がすごくあり地域ではすごく褒められているというような、自分というものをどういう場で支えていくかという多様なチャンネルがあったと思います。
  ところが、近年それが一元化しているという指摘をよく受けていて、そういうことを考えたときに、広がっていくということは決して一元的に子供を価値化していこうということではなく、やはりそれぞれの教育場の特色を生かしてというところが前提になっていることだと思います。
  そうだとすると、先ほどの「連携」と「協働」という話も、決して「連携」から「協働」へという話ではなくて、「連携」と「協働」というものがセットになって子供たちを支えていくということになるのかなと思います。
  例えば、地域では地域の子供の学習場があり、学校では学校の学習場があり、そこでそれぞれの子供の良さというものが引き出されるということが「連携」の側面で、一方、学校というところでは、ある学校の目的あるいは地域というところでは地域の教育の目的に学校と地域が協働して行っていくというような、かなり輻輳(ふくそう)的な関わりの在り方を今回は前へ出そうとしているという理解なのかなと感じております。

【明石部会長】
  牧野委員。

【牧野委員】
  今の議論ですけれども、生涯学習の方から考えますと、先ほど、「学校協働地域本部(仮称)」と学校支援地域本部で少し違うというお話があったのですが、地方創生ということが大きな課題になっているということから考えると、もう少し地域の在り方といいますか、例えば、地域に住んでいる保護者、地域の住民や子供たちも含めて、少し変な話になりますけれども、何かを行政に要求するとか行政サービスを受け取るという受け手としての住民ということよりは、むしろ地域を創っていく住民として、今後は立っていかなければいけないという議論になるのだと思います。
  その意味では、この「学校協働地域本部(仮称)」といったものも、学校を支援するということが従来あって、学校支援地域本部であったわけですけれども、協働ということであるとすれば、学校を核にしながらも、やはり地域の住民が変わっていくといったことをベースに考える必要があるだろうと思います。
  例えば、コミュニティ・スクールと学校運営協議会、それから学校支援地域本部があったとすると、さらに、先ほど関委員がおっしゃったようなプラットフォームとしての何か地域の新しい組織といいますか、そこにコーディネーターが配置されていって、子供たちも地域の一人の主体として受け入れられて一緒に活動していくとか、何かそういうイメージができてくるといいのではないかと思います。
  その意味では、「学校協働地域本部(仮称)」という言い方でもいいのかなと思いつつも、実はこの中の記述が、いわゆる社会基盤としての、というような表現があるかと思うと、従来の学校支援地域本部と同じような表現になっていたりと、少し揺れがあるものですから、一体これが何なのかということがはっきり分かりにくいところがあると思います。
  もし支援本部的に使うのであれば、支援本部という位置付けにした上で、むしろ学校と学校支援地域本部と、また地域のいろんな組織が乗っかるプラットフォームを構想するということの方が分かりやすいのではないかと思います。
  それは、小学校区単位ぐらいにこの組織なり基盤となる本部を創っていき、そこに住民のコーディネーターが配置されていく。その中で住民自身が学びを組織して、地域を創り出していく主体として自己形成し、子供も地域を創り出していく主体として育成されていく。このように、学校における系統学習や学校における学びの場という問題と、地域における地域を創り出していく側になる主体形成といったものが、そこで協働していくといいますか、又は連携をとりながら新しい主権者を創っていくといいますか、それが住民自治を鍛えていくのだというような、何かそういう流れになっていくのではないかと思います。

【明石部会長】
  ありがとうございました。では、山野委員、お願いします。

【山野委員】
  私も、前のプレゼンで、資料を学校プラットフォームで書かせていただき、9月26日に「学校プラットフォーム」をテーマとして、シンポジウムを行いました。松田副部会長にも来ていただき、300人以上来られて、47都道府県の県を塗りつぶしていったら、多分五つぐらいの県以外はみんな来られたというぐらい、教育長や首長、教育委員長等、いろいろな人が来られました。それだけ皆さんの関心が高く、この定義とか意義とか意味が分かりにくいということもあったと思います。
  先生方がおっしゃったとおりですが、先ほどの德田審議官の説明があったように、やはり今ある学校支援地域本部と別の名称で置いた方がややこしくないのではないか。別なんだということであれば、今、牧野委員や生重委員がおっしゃったように、学校プラットフォームとして名称を、学校地域プラットフォームなのかもしれませんけれども、何か違うものにした方がいいのではないか。
  フォーラムには文部科学省の方も来てくださり、子供貧困対策の方で学校プラットフォームという名称を使っていますから、そこの混乱とか、同じような名前を国として出していくところの混乱ということも懸念しました。なので、意味合いとしたら、柔軟性があり、松田副部会長もおっしゃいましたが、アクターはその地域やその状況によって変わっていきますけど、地域が主体的に動いていき、それともう一つは、子供の主体的な変化を生み出せるものであるというような形で、組合せはいろいろで、柔軟性を残したプラットフォームのようなことがイメージできるのではないかと思いました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。平岩委員、どうですか、子供中心に考えていったときに。

【平岩委員】
  ありがとうございます。この会議でずっと申し上げてきた「子供たちのために学校と地域が一緒になる」ということが、メッセージとして強く出ればよいと思います。
  この資料の中にも大分そういう表現は増えてきたと思いますし、最終的に出るアウトプットがあると思いますが、今までとどこが違うのかということが書き込まれるといいのかなと思いました。
  先ほど明石部会長がおっしゃっていた社会教育主事とコーディネーターの役割の違いで、実は今ある自治体とそういう議論を既にしています。この間、統括コーディネーターは何をして、社会教育主事は何をするのかという議論をいたしまして、統括コーディネーターというのは、一つは地域コーディネーターの支援、困ったときの相談役でしょうと。そしてもう一つは、地域コーディネーター自身のレベルアップをする役割ですねと。例えば、研修をしたり、ほかの地域の事例を伝えたりして、地域コーディネーター会議を多分月に1回ぐらいやるんでしょうね、といった話をいたしました。それから、新たな地区での立ち上げという役割もありますねというところで、これは立ち上げられていないところに入り込んでいって、一緒になって地域コーディネーターを探すところから始めて立ち上げていくような、この三つが統括コーディネーターの役割という議論がありました。
  では、社会教育主事はどうかというと、その全体のバックアップ、組織としてのバックアップをしていて、主人公は統括コーディネーターや地域コーディネーターだけれども、それを裏支えする存在として社会教育主事がいて、特に役割を発揮するのは学校との折衝の場面で、地域コーディネーター、地域の方がやりづらい部分を行政として入っていってあげるというようなところが出てくるんでしょうと。
  そんな話をいたしましたので、この資料の中に、具体的に定義はまだしなくていいのかもしれませんけれども、期待される役割としてあると思います。

【明石部会長】
  ありがとうございました。生重委員、ちょっとお聞きしたいんですけれども、先ほど山野委員からもありましたが、学校プラットフォームと「チーム学校」といいますけれども、杉並区で講習会とか研修会のときに、「プラットフォーム」という言葉と「チーム学校」ということに対して質問が出たときに、委員はどういう説明をされますかね。

【生重委員】
  今のところ、そういった質問は全く出てきていません。ただ、今、平岩委員が言ったことはまさしく私どもが杉並区においてやっています。学校ごとにコーディネーターズを育て、なおかつ情報を共有化しながら、それぞれの学校の個性・特性に合わせた体制づくりをしていくみたいなところで、年間物すごい時間を掛けてうちは研修しており、新人養成もしています。杉並区の中でも分区と呼んで細かいエリアが7エリアありまして、そのエリアごとに学校と、主幹教諭とか主任とか地域連携担当になっている方々に出席していただける体制がここ5年で組めたんですが、そのときに打合せしていくのが、社会教育主事や係長であったり課長であったり、社会教育主事の役割を担ってきちんと資格を持っている人たちも含めて、行政の教育チームと我々がもっと先生の理解をするためにはコーディネーターの研修に年1回でいいから先生に来てもらおうとか、まさしくそういうことを決めて、そうすると一緒にペアで出てくるので、「よその学校はこれだけできているんだ」、「そんなことお願いしていいんだ」ということも、学校の中にも浸透しやすくなっていくんです。
  我々が望んでいるのは、これから施策として「チーム学校」になり、プラットフォーム化されていくという期待は私の中にありまして、それがもっと明言化されて文章になっていくと、より全国に広がっていきやすいだろうと思います。「チーム学校」、国の方の委員会でも、地域連携担当ができるということも聞いていますし、そのようになって段階的に学校と、それから、支援する側ではないんだということはおっしゃるとおりで、私もその言葉は大賛成で、支援という言葉を取って、協働のパートナーだというようになっていかなくては駄目なんだと思っています。だから、余計説明がしやすくなると期待をしております。

【明石部会長】
  ありがとうございました。浦崎委員。

【浦崎委員】
  先ほど牧野委員が、地方創生という大きなテーマがあるので、それに照らしてどうなのかという、この議論の必要性をおっしゃいました。私も全く同感です。
  そもそも、なぜ今、地方創生が必要になってきたのか、なぜ今、国力がここまで低下してきたのか、そこを1回把握する必要がある。それは端的に申しますと、役割の細分化と固定化、ここに行き着くのではないかと考えております。経済の面でも新しいものを開発できなくなったとか外国に負けるというのは、そこにあるのではないかと考えています。 教育機能、次世代育成機能が低下したのも、教育というものは学校がやるものであって我々は関係ないという細分化・固定化ですね、そこに行き着くのではないかと考えています。
  したがいまして、これから先、地域が再生していく、国力が再生していくためには、やはり人と人、あるいは団体と団体、機関と機関の関係性が変わっていかざるを得ない。それを教育の側面で申しますと、やはり学校だけではなくて、地域のいろいろなステークホルダーが当事者意識、当事者性を高めていくということが必要である。
  だから今までが、学校支援というのは、多分前提としては教育を推進する主体は学校なんだよと。そこに周りの者が支援していくんだよと。その前提条件は、学校がその役割を担うところだという何か暗黙の前提があったと思います。
  そうではなくて、人づくりというのは、学校も含めて社会のあらゆるステークホルダーが共通のゴールを目指していろいろな役割を果たし合っていく、これが新しい教育の姿である。それが牧野委員がおっしゃった新しい住民自治ということにつながってくるんだと思いますけれども、それが今までの学校支援と協働との決定的な違いなんだということを、地方創生という言葉と絡めてメッセージを発信していくことが大事ではないかと思っております。以上です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。永山委員。

【永山委員】
  私も、先ほどの説明で、「学校協働地域本部(仮称)」と学校支援地域本部は同じなのかどうかというのを疑問を持っていましたが、説明を聞いてみると若干違うというイメージがありました。
  今日の資料の14ページ、2の四つ目のマルに、「学校支援地域本部では、学校に対する支援に重点が置かれがちで、地域の振興まで意図した取組は少ない等の課題」と書いてあり、その後に「学校協働地域本部(仮称)」のことが出てきます。ということは、やはり地域の振興を意図するということが大事だということなんでしょうけれども、もしここまで求めていくのだとしたら、学校が主体というのは難しいんだろうと思います。学区内には、町会とか商店街があります。それから、議員の影響も大きいです。だから、町会とか商店街とか地域とか議員とかも含めた同じ土俵に学校もあって、みんなでやっていくということであれば地域の振興まで意図できるんですけれども、今までのような学校支援地域本部、つまり子供への支援という視点から考えると、そこまでが学校主体になる限界かなと思います。
  私の学校は、来年度、「学校支援地域本部になりませんか」という世田谷区の募集に対して手を挙げました。そうしたら、ヒアリングに来ると言うんです。学校にヒアリングに来るということは、学校が主体だよということを暗に言っているような気がするんですね。 そのうちコーディネーターの話も出てきて、結局、学校でコーディネーターを見つけてくださいということであれば、今までのように学校支援地域本部なんですが、今ここで議論されている地域の振興まで含めるとなると、話が物すごく大きくなり、今までの考えよりも更に広げていかないと難しいかなと思います。
  そうなると、学校支援地域本部と「学校協働地域本部(仮称)」は、同時進行ということはあり得るのか、ということも疑問に思いました。今後変えていくのか、学校支援地域本部は存続しながら、新たに同時進行で「学校協働地域本部(仮称)」があるのか、そこが疑問なので教えていただければと思います。以上です。

【明石部会長】
  谷合課長。

【谷合社会教育課長】
  先ほど、私、説明を間違えまして、大変失礼いたしました。「学校協働地域本部(仮称)」は、今、永山委員からありましたように、もう少し広い、単純に支援だけではなくて広い活動をしていくことになります。今、永山委員から御質問があったように、そうすると二つ本部を創らなければいけないのかということですが、そうではありません。それは一つでいいわけです。今議論していただいている名称もいろいろありますが、現場ではそれぞれ既に違う名称で組織が置かれていますから、それがあればいいわけです。
  ただ、その役割として、単純に学校支援だけでなく、もっと地域の振興につながるようなことも含めてやってくださいという意味なんですね。いきなり地域振興まで全部フルセットでやってくださいというのはなかなか厳しいと思いますから、まずはできるところからやってくださいと。まず今やっていることからでも結構ですと。ただ、将来的には、単純に学校支援活動だけでなく、もっと地域の振興に資するようなことも拡大していってほしいと、そういうことでございます。
  では、そうなると、学校でそれをやれと言われても厳しいということでございますので、それは、飽くまでこの本部体制というのは地域側の話になりますから、もちろん校長先生も無関係ではないと思いますけれども、これを全部学校でやってくださいという趣旨ではないと思っております。以上です。

【竹原委員】
  かつて開かれた学校づくりと言ったときの学校と、地域とともにある学校と言うときの変換と似ていると思います。今回、学校支援地域本部をメッセージ性のある名称、地域学校協働本部(仮称)にし、地域創生ということがいつも出てきますが、あくまでも子供を真ん中に、学校を真ん中にして協働的に動き、いい学校になり、いい子供の環境ができたときにまちもよくなる、そういう地域創生として捉えた方がいいと思います。
  地域創生を最初から目的化してしまうと少しずれてくると思うので、飽くまでも子供を核にしたテーマコミュニティとして動くときにどのようにしたらいいか、15ページで丁寧な説明がないと、三段跳びぐらいになってしまいそうな気がしています。

【明石部会長】
  本日は松浦委員が途中退席されますので。PTA活動をされていますから、コミュニティ・スクールということも視野に置きながら、今日の「学校協働地域本部(仮称)」のことについて何か御意見がありましたらお願いします。

【松浦委員】
  先ほど、永山委員がおっしゃってくださったのと同じ疑問がありましたが、先ほどお答えいただきましたので。ただ、やはり自分の地元に帰ると、もともとあるところに、新たに「学校協働地域本部(仮称)」が来ると、何度説明してもしばらくはそのまま2本で行くという感覚が取れないのではないかと思います。以上です。

【明石部会長】
  では、生重委員。

【生重委員】
  外側から名前が変わって、大きく捉えると「学校は地域の振興なんかできないよ」という議論になってしまうんですが、例えば、コミュニティ・スクールという組織をやって、学校支援というものを我々はずっと土曜日も放課後も夏休みもやってきているんですけれど、それをやっていると、例えば、商工会と一緒に、「この危険な道に子供たちの明るい絵を描こうよ」とか、「もうちょっとここの日陰になっているところを子供たちが遊びやすい公園にしていこうよ、そうすると犯罪が起こらないよね」とか、それから、「お年寄りの健康のためには一緒にラジオ体操をやろうよ」と、本当に単純なんですよ。
  でも、防犯も防災も、そういうものって、子供たちが小さなうちからいろんな人と知り合ってコミュニケーションをとっていくことが大事だという、その中で「子供たちの学習力を高めていきたいね、じゃあ放課後面倒見てくれる方いるかしら」とか、キャリア教育で、「じゃあ、地域のキャリア教育として商工会にお手伝いいただきたいね」とか、そのように全部がつながっているんですよね。
  子供の貧困の問題も、学習の放課後の問題もどうしよう、御飯の問題もどうしようとかというのは、みんな全て地域協働の中にあるわけですよ。実は学校で課題を解決しようとして様々なことをコミュニティ・スクールの中で一生懸命議論していって、ちゃんとPDCAサイクルを回していったならば、必ず地域と協働する体制になっていくんですね。
  それは、本当にとんでもなく世界中にヒットする商品を開発しましょうみたいな話を、このまちの経済状況を改善しなければいけないとかという、そういうことを言っているんじゃないんですよ。「まちが元気になるために私たちができることを1個1個やりましょう」なんだと。そうでないと学校からの視点にならないし、そして、学校で子供だという共通項があるから賛同して「一緒にやってもいいよ」という人が出てくれるのであって、そうでないと、おのずとそれぞれの立場が違うので、自分たちの主張が多くなってしまう。
  だから、学校からの視点の中に地域とすごく絡んでいることが全ての学習の中にあって、そこに大人たちがいかに入ってくるかということをどう調整するかというのがこれからのコーディネーターのより一層の大事な役割であり、その「学校協働地域本部(仮称)」という名前の下に置かれたものの中にきっと様々な機能が入ってくる。
  事業支援をする事業部があり、放課後を推進する事業部があり、土曜日活動を推進する事業部があり、環境をよくしていくための事業部があり、様々な人たちの協働によって、自分のまちの本当にいい環境づくりというのが地域創生というところにつながっていく第一歩なんだと思います。
  ただ、1個言えるのが、多分、永山委員も私も東京ですが、東京って見えづらいんですよ。でも、地方に行くと抱えている課題はもっと直面しているので、こういうことを考えていくと、「子供たちのためにやっていくことが我々の元気になるんだね」とか、「私たちのまちの安全につながるんだね」というふうに考え方を少し変えていくだけで、全然違ってくるのではないかと思い、永山委員のお話を聞いていました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。牧野委員。

【牧野委員】
  竹原委員がおっしゃったように、何か一番大事なところが最後に来てしまったという感じがするのですが、やはり学校を核にした地方創生ということですので、学校は外せないし、子供を中心に置いてということは、確かにそうだと思います。
  ですけれども、学校支援ですとか、学校という話になると、また全部学校に吸収されていってしまうような感じを受けてしまいまして、そうではなくて、一旦、子供を真ん中に置きながらも、子供たちを地域にある程度引き出していくという感じなのだろうと思います。
  ですから、そこのところをこの「学校協働地域本部(仮称)」の在り方としてどう考えるかということを、この15ページのところで今後少し議論をしたらどうかと思います。
  地方創生の問題も、今、生重委員がおっしゃったように、子供のためにみんなが何かやろうよというところで一致をしながら、地域コミュニティを変えていく。これは当然、従来、社会教育や生涯学習がやってきたことでもあって、その中で大人が変わって、まちが変わっていくということがあるのですけれども、さらに、もう一つ、例えば、飯塚委員に後からお聞きしたいと思うんですけれども、今、北海道が、一つの事業として小中高校の12年間一貫で「心がふるさとに向くキャリア教育」という事業をやろうとしていまして、それはやはり地域に根ざした子供たちを育てて、一旦出てはいくけれども、帰ってきたい子供たちを育成するという形で、地方創生の在り方を考えようとするわけですよね。
  その意味で、やはり地域コミュニティが子供たちのことを大事にすることで、子供でもいろいろなことを地域の大人と一緒にやっていくことによって、子供はいろいろな経験を積んで、その中で自分たちが地域に関わって変えていけるんだとか、新たに地域を創り出せるんだと思えることによってこそ、子供たちはその地域に帰っていこうとするということなのではないでしょうか。
  小中高校まで、基本的には高校というのは職業高校なのですが、一貫で、子供たちが地域のことをよく理解して、その上で、自分たちが地域の主役なのだと思えるような、そういう教育をしていこうというのを、今、北海道が事業化しようとしています。そういうようなことにつながっていくのではないかと思います。
  その意味では、ここの「学校協働地域本部(仮称)」といったものも、従来の学校支援地域本部を少し広げてという議論なのかもしれませんけれども、もう少し地域の方に引き付けたような形での在り方というのを構想した方が、より学校が生かされていくというか、また子供たちを中心にしながら、学校も地域のアクターの一つなのだという形で捉えていくことで、学校の負担は軽くしながら、だけど、学校の教育機能は強化されていく。そして、子供たちが地域で出てきていろんな活躍をしながら、自分たちの人生を設計できるような力を付けていくのだというような議論につなげていけるのではないかなと思います。そういう形で15ページのここの議論をもう少し展開されたらどうかと思います。

【関委員】
  私も同じようなことになるのかもしれませんが、学校と地域社会というのは二つの別のものでは決してないと思うんです。学校というのは地域社会の中の一つの重要な部分であって、子供も当然そうだろうと思うんです。地域社会全体がその中にある学校に対していろいろ力を掛けていくことによって、地域社会全体もより充実したものになっていく、輝いていく、そういう関係性を作らなければ、学校に対して地域が何かをやってあげるみたいな図式から抜け切れないと思います。地域の中にある学校、そういう中で地域との良い関係性を作っていけば、もっと今回の本当の意味のプラットフォーム、地域全体がプラットフォームだと私は思いますので、そこがもっと有効になっていくような気がいたします。

【明石部会長】
  浦崎委員。

【浦崎委員】
  先ほどから、役割の細分化・固定化の話をさせていただいております。今の大人は強烈な固定観念を持っている。その一つが、子供の学びの場は学校であるという固定観念だと思います。地域でもっといろいろ学び得る、学ぶべきであるという視点が欠けていると考えています。つまり、児童生徒をもっと地域に出していくという方向性が、今、非常に必要だと考えています。それが1点目。
  そして、先ほどの地域の振興まで意図した取組、これは現場としては非常に簡単なことなんです。私は高校生を地域に出すということを、今、地元で進めております。とても簡単で、学校は、地域、地域課題解決する場に生徒を送り出す、これが学校が地域の振興を意図するということにつながっている。一方で、地域のいろいろな団体は課題発見・解決の現場に高校生を迎え入れる。これが、地域が教育に対して当事者意識を持つということなんですね。
  ですので、文字だけを見ると何かすごく負担がかかってくるような印象を受けるかもしれませんけれども、現場で申せばそういうことですので、そう心配することではないのかなという印象を持っています。以上です。

【明石部会長】
  平岩委員。

【平岩委員】
  先ほどから議論になっている地域の振興を意図した取組は、このまま受け取ってしまうと、学校の先生たちが商店街を盛り上げに行かなければいけないのかという意味合いにとれてしまい、これ以上の負担は難しい、ということかと思います。やはりキーワードは「子供たちの学びを支える」ということだと思います。
  学校支援地域本部というと、どうしても「草を刈りに来てください」みたいなイメージが強くなってしまいますけれども、先ほどから出ているような「地域学を一緒に創らないか」とか、「子供たちのキャリア教育を一緒にしませんか」とか、学びに広がることで、今回の協働という概念に非常に近しくなってくると思いました。
  結果的には、学校が無理に地域を振興しようと思わなくても、学校に関わる大人が増えれば増えるほど、子供たちから元気をもらえたとか、まちで会う子供たちが挨拶をしてくれるようになったとか、まさしく地域振興が図れるのだと思います。
  その意味でもう一つだけ付け加えますと、第4節の2の(1)「今後求められる活動内容等」というところにできれば追加してほしいなと思っていることが、「多くの市民を巻き込んでいくような役割や取組が必要」だということです。どうしても、「学校協働地域本部(仮称)」になったとしても、例えば十数名の限られた人がずっと一生懸命やっているということではなく、10人だったのを20人にして、100人にして、1,000人にしてという、例えばですけど、子供たちが1年間頑張った成果を地域の人に向けて発表する場とか、そうやってどんどんまち全体を巻き込んでいくような、そういう役割がコーディネーターの役割かなと思いますので、是非そのように地域を巻き込んで、地域全体が子供たちと関わったことで元気になっていったというようなストーリーになっていくと非常に中身が出てくるかなと思います。以上です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。飯塚委員、全体をお聞きになって何かありますか。

【飯塚委員】
  いろいろ御意見を聞かせていただき、その軸が一体どこにあるのかということを思いました。学校なのか、子供なのか、地域なのか、その説明が多分一貫していないので、すごくごちゃごちゃというわけではないんですが、何かそのような感じを受けました。
  先ほど、牧野委員がおっしゃった北海道地区で今後捉えてやっていくというところですけど、各地の青年会議所がやっている事業では、地域の企業や、そういったところの魅力というものを子供たちに伝えていって、この地域にはこんなすばらしい会社がある、だから地方に、都市に出ていく子供たちが地元に帰ってきて、ここで生活していきたいという、そういった教育もよくやっています。

【明石部会長】
  ありがとうございました。ほかに何かございますか。熊谷委員。

【熊谷委員】
  皆さんと共通理解が図れたと思っています。学校支援地域本部が最初にできたときは、学校支援地域本部の三つの狙いがあり、一つ、学校支援だけでなく、生涯学習の成果の活用や地域の教育力活用という、そういう狙いが最初からありましたが、それが学校支援という名前が付いているためにその形のものが発展してきたと思います。
  だから、それは当初に立ち返り、学校を支援するだけではないというところを含んだ名称の「協働」というのを入れて改善する、これはこれでよいと思います。「協働」がどこに付こうが、「支援」よりは「協働」の方がいいのではないかと理解しました。
  ただ、それは、一つの学校だけではもう限界を迎えているのだと。そうなってくると、やはり、つながっていて、それが、先ほど、横の広がりと言いましたけど、今度は縦のつながりで、小学校、中学校あるいは保育園・幼稚園、この縦の中で子供たちをというふうに見ていくことになってくると、やはり一つの小学校だけでは難しい。そうなってくると、中学校区というような形で、教育プラットフォームということになってくるのではないかと思います。
  私たちもいろいろ調査に行かせてもらい、教育プラットフォームのように参画している校長先生は、自分の学校では学校支援は強力的にリーダーシップをとりながら、プラットフォームではいわゆるサーバントリーダーシップのような形で地域の中の学校なんだという形で、校長先生のリーダーシップのとり方もプラットフォームの中にいる学校の校長の在り方というのはまた違ってきている。それはそれで私はいいと思います。
  そういう意味で、これが二階建て構想じゃないですけど、そういう形で展開していくということが大切なのではないかと思います。
  ただ、一つ気掛かりなのは、今、学校支援ということで成果を上げてきているので、なぜこの上、協働という、学校にとってはしんどいところまでしなければいけないんだと。一見しんどくて、そこまで行くと楽に、急がば回れなんでしょうけど、そこを後押ししてあげるような言葉や説明が必要だと思います。今のままで十分ではないかというのではなく、もう少し「協働」というところの段階まで高めるとか、そういう取組というのが大切なんだと後押しするような説明が必要ではないかと感じました。以上です。

【明石部会長】
  牧野委員。

【牧野委員】
  今、熊谷委員がおっしゃったことと関わってくると思うのですが、教育プラットフォームということの強みをもう少し入れていくと、学習プラットフォームといいますか、「学びのプラットフォーム」と考えた方がいいかなと思います。
  それと、先ほど飯塚委員がおっしゃったように、軸は何かという、これは私たちの受け止め方ですが、先ほど申しましたように、何かを主張し、求めていく、要求するという権利ということではなく、むしろ創り出していく、新しい社会を創っていくのだという形において、子供も大人も地域社会に参加していくのだと思います。
  その意味で、参加の仕方が学びという形態をとりながら相互に高め合っていくというか、学んで、自らをそこで社会を創り出していく主役として育成していくという環境を創り出すのだということが軸になっていくのではないかと思います。
  その中で、例えば小中高一貫のキャリア教育がなされていく中で、子供たちが地域に帰って新しい産業を興したいと思えるような社会を創っていく。今までは仕事がなくてしようがないから出ていくということであったものを、出て行ったけれども、やはり帰って、職を創りたいのだという。さらに、そこに、この部会の最初の方で、熊谷委員から御紹介があったと思いますけれども、21世紀型スキルの問題があって、私たちは既に子供たちに将来の職業について教えられなくなっているわけですよね。
  その意味では、彼ら自身がいろいろな体験をして、自らが自分の人生を設計し、自らが課題を解決して、自らの生活を立てられるような力を付けていかなければいけない。基本的にはそれは、イマジネーションの想像力とクリエーションの創造力を身に付けていって、単に一人だけで競争して勝っていく強い個人だけではなくて、むしろコミュニケーションをとりながら、みんなで協働しながら新しい価値を創り出していく力を付けていくのだと。そうしたものを学校だけでは賄い切れないので、地域社会で一緒にやっていこうと。そして、その中で大人が子供たちに地域社会の学びの機会を提供することによってこそ、実は大人も変わっていくのだ、というところに、今回の議論の核心があったのではないかと思います。
  その意味では、ここの「学校協働地域本部(仮称)」といったものも、従来の学校支援地域本部から、もう少しプラットフォーム化していきながら、いろいろな大人が関わっていき、そして学びを組織していくものとして、これがあるのだということになるのではないか。それは当然、子供のためにということは基本なのですが、実はそこで大人たちも学び合って、自らが価値観を変えていったり、社会を新たに創っていく主役として自らを育成していくということに関わっていくのだというような、そういう議論につながるといいのではないかと思います。
  それらが、22ページの最後の1段落にまとまっているかと思いますが、そういうところに結び付くような議論として、15ページのところを少し考え直していただけるといいかと思います。

【明石部会長】
  大分議論が深まってまいりまして、整理できつつあると思います。問題は、コミュニティ・スクールとお互いが歩み寄るといいましょうか、同じプラットフォームをする場合でも、ある程度概念の整理をする必要があると思います。
  コミュニティ・スクールの中の学校運営協議会ってありますね。いろいろ検討されていると思うんですけれども、この辺と「チーム学校」と学校のプラットフォーム化とかという概念をどのように整理していけばいいかということがあると思います。
  その辺、山野委員、午前中の作業部会でどのような議論があったのでしょうか。

【山野委員】
  正にそこを整理しないといけないという課題整理が最後になされたのですが、この第4章にその辺を丁寧に書き込まないと、生重委員が午前中の作業部会でも説明してくださっていたんですが、プランを作っていくというか、学校運営協議会がそういう協議をしていく場で、実働部隊が学校支援地域本部で、「チーム学校」はそことリンクしていかないと、全ての子供たちを落としていく可能性がありますよね。
  例えば、今、3分の1の人たちが孤立している状況なわけで、先ほどの、地域が元気になってやりとりしていけるとも限らない。地域側が3分の1はその受皿になれないという状況がありますので、だから、こぼれる子供たちというのは、皆さんが思っているよりかなりたくさんあると思います。
  そういう意味では、「チーム学校」という、心理だったり福祉だったりという専門家チームを中心にしたところにちゃんと拾えていけるような、コミュニティ・スクールと、それから学校支援地域本部と、それからいろいろな学校で展開されている家庭教育とか、子供や保護者を支援するいろいろな部隊がつながりながら、「チーム学校」ともつながっていかないといけないと思います。
  生重委員が後でおっしゃってくださると思いますが、土曜日、放課後の委員の方や、皆さんが運営協議会に参画されているというお話もあったので、そのような全体像、全体を包括するようなことを丁寧に書かないと、皆さんイメージがばらばらになるのではないかと懸念しました。以上です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。生重委員。

【生重委員】
  20ページの第5節の「都道府県・市町村教育委員会において」、最初に熊谷委員がここと言ったところですが、社会教育の役割の中で、それぞれの「学校協働地域本部(仮称)」が企画・立案、実行している。そこについて社会教育の立場で施策実施で支援したりアドバイスしたりするという、そういう役割だと思います。この書きぶりだと企画・立案を担ってしまう感じになるので。私の解釈が間違っていますか。

【熊谷委員】
  私もそういうふうに読みました。

【生重委員】
  それはダブルスタンダードというか、上意下達になったらいけない。ずっと議論のテーマは市民の自立であり、我々が自分たちのまちを自分たちで何とかするんだという意識を作っていくのだとしたならば、ここは企画・立案、実施するのに対して、社会教育の立場で施策実施を支援するとかアドバイスをするなどのスタンスを明確にしていただきたいなと思います。
  コミュニティ・スクールと学校支援地域本部になっても、それから放課後も夏休みも土曜日もやっていてという話を午前中の作業部会で話したのですが、それは、コミュニティ・スクールの学校運営協議会は学校長と一緒に理事者のように経営の、学校のこういう教育をしていくんだよというビジョンを共有し、それに対して質問したり議論したりして、「校長先生、賛成です」と手を挙げて、そこに予算もきちんとつき、人事もつく3本柱なわけですよ。ということは、何かがあったときにはコミュニティ・スクールの委員は一緒に謝るし、一緒に責任もとる立場ですよねと。だから、うまくいっているかどうか、アンケートの中で、今年1年間、うちの学校はこういう経営方針の下で回るんですよ、国語ではこうです、特別教育はこうです、総合的な学習ではこうですと、私のやっているところでは、全部確認しています。それで数値化していき、最初に打ち立てた経営ビジョンと、それが効果的に回っているかどうかを毎年データ化し、子供たちの置かれている状況をクロスで掛けて分析までコミュニティ・スクールでやります。
  コミュニティ・スクールの委員になるということはそういうことですよね。準公務員で、学校が健全経営をされていく、そして地域にどういう寄与ができるのかというお互いのものをやっていくというのは。だから、その他の今までやってきた学校独自にとっていた評価に対して「何でできとらんのだね」って言いに来るだけのボス的な方たちが集まるものは要らないんです。
  人選を間違えずに、自分たちが手と足と頭を使える人をコミュニティ・スクールの運営委員にしなければいけないんです。そこの中に学校支援地域本部のメンバーとか、土曜日のメンバーとか、放課後のメンバーとか、おやじの会のメンバーとか、地域の商工会の方とか、うちは弁護士も入れています。
  あらゆるところでトータルに学校運営のコンサルティングを真剣勝負でやるよというのがコミュニティ・スクールで、それを受けて学年ごとに、例えば、私は小中をやっているので9年間、どういう発達で、段階に応じて、授業でキャリア教育ではこういう方にお願いしよう、伝統文化ならこういう方にお願いしよう、もっとこういうものを効果的に入れていきましょう、それによって子供たちにとって学ぶ力、生きる力が相乗効果として現れればいいよね、地域に出張していく土曜日があってもいいよね、放課後があってもいいよね、夏休みに地域の大人と課題解決するのもいいよねという、そのトータルをコーディネートするのが地域コーディネーターという名前でうちはやっていて、それが一人ではできない。これだけやっているから一人ではできないんです。放課後担当者がいる。土曜日担当者がいる。土曜日も2本立てで、学校の授業としてやる地域と連携するものをコーディネートする。月1回の土曜授業と、それから、その他の土曜日にいかに地域に子供たちを出すかとか、学校に様々な機能を入れるかということをコーディネートする社会教育の側の土曜日をコーディネートする人間もいる。そういうものが一堂に会して学校運営の協働体制をとっていくということをやっていかなければ駄目なのでないかと。
  同じ杉並区の中でも、これを言うと、まだコミュニティ・スクール体制になってない学校のトップの方、ほかの評議会とかのトップの方は、「そんなことできないよ。それは教育行政がやることだよ」っておっしゃるんですが、そんなにできないんだったら引退すればいいんですよ。そういうことを教育行政がしっかり言っていかなければ駄目だし、校長先生も既存の今までの同じ人たちを選び、名前を変えれば自分が思う学校経営ができるというふうに思わない方がいいだろうと。さっきより相当過激なことを言っていますが、そういうことなんだと思えば、地域自治や市民自立とかというところに意識が育つんです。
  8人とか10人で始めたものが、今や物によっては100人、200人ベースで来るし、毎年夏の熟議では物すごい人数がやってきて、自分たちは東京ですけど、「おらが学校」って、みんな、そこをどうしてよくしていくのかという議論になるんです。
  だから、そこに踏み込むまでのことを、今回の新しいものの中でどうやってそこが分かってもらえるか。そうでないと、日本中から学校が消えてしまう、東京と大阪と名古屋にしか子供が育てられないようになってしまいますよというぐらい、地方の疲弊が激しいです。それは、各地に、今、私が言ったことまでできなくても、それに近いことはどこもできるんです。子供を助け合い、みんなで面倒を見ていく。沖縄で言えば、かつての結のようなことができるはずなんです。そういうことでコミュニティ・スクールと学校支援地域本部は両輪だと。それがあって回っていくということをもう少し優しく午前中の作業部会では言いました。

【廣田参事官補佐】
  明石部会長、済みません。

【明石部会長】
  どうぞ。

【廣田参事官補佐】
  先ほど明石部会長から、コミュニティ・スクールとこの第3章の「学校協働地域本部(仮称)」の関係について御指摘がございました。
  振り返っていただく必要があるのが第1章の第2節のところです。現行の資料の7ページから8ページに、これから学校と地域がどういう連携・協働の姿を目指す必要があるかということが大きく3点に分けて書いてあります。
  まず一つ目、地域とともにある学校に転換をしていくということが書かれておりますが、第2章のコミュニティ・スクールのこれからの在り方を議論するに当たっては、「地域とともにある学校に転換をしていくのだ」ということを大きな軸として議論されております。
  つまり、これまでの「地域に開かれた学校」ということではなくて、「地域住民あるいは保護者が学校に参画をしていく、共にビジョンを共有しながら、共に協働して進んでいく」ということをこれからの学校の姿にしていこうと。そのような中で、全ての公立学校においてコミュニティ・スクールを目指すということが議論されております。
  一方、二つ目は「地域側の軸」として捉えており、子供も大人も育ち合う教育体制を構築していく、ここが皆さんに議論していただいているプラットフォームをどう地域に創っていくかということだと思っております。
  したがって、コミュニティ・スクールを進めていこうと思ったときに、学校運営に参画していく仕組みを設けているだけでは駄目で、実際に地域にそのような子供を一緒に育てていこうという基盤ができていくということが重要だと思っております。今、皆さんが議論されているこのプラットフォームの動きというのは、これからコミュニティ・スクールを進めていこうと考えたときに、とても重要な動きだと思っております。打ち上げ花火とおっしゃいましたけれども、この動きが正に相まっていくことによって、地域とともにある学校への転換というのも進んでいくのだろうと思っております。
  そして、更に重要なことが9ページの「学校を核とした地域づくり」。これは正に地方創生、地域課題の解決といった視点ですが、いろいろなところでお話をするときに、子供を軸として学校と地域がつながらなければならないということを話すときに、「学校は地域振興までしなければいけないんですか。」と、よく問われることがあります。
  そこでお答えするのは、子供を軸として考えたときに、これからの子供たちに地域への愛着・誇りを育んでいくことの必要性、あるいは地域の将来を担う人材育成をしていくという観点において、学校の先生方が果たす役割というのは非常にある。だからこそ、地域に出していただく必要があるということをお話いたします。
  したがって、第3章のまとめに当たり、学校としてもそのような視点が必要だということを意識しながら、どうやって学校を核とした地域づくりを進めていくか。子供を軸とした取りまとめとして、この3番を第3章の中に、あるいは第4章の中にもどう入れていくかが課題だと思っております。
  まとめとしては、コミュニティ・スクールを進めていく動きに当たっても、第3章の、このプラットフォームの動きがとても重要だと捉えております。
  以上です。

【明石部会長】
  はい、ありがとうございます。松田副部会長。

【松田副部会長】
  今までのお話を伺っていて、明石部会長からの三つの関係の問題ということで考えていました。今のお話を伺っていましても、コミュニティ・スクールというのは結局、やはり学校が問題であって、そこに家庭教育と学校教育と社会教育がいわば協働していくということになっていると思います。
  それに対して、この部会で議論している学校と地域の協働というのは、あるいは学校支援地域本部からの流れの問題は、やはり主軸は飽くまでも社会教育にあり、それは狭い意味での社会教育ではないんですけれども、生涯学習の活用という意味で学校を支援していくということも含まれるような問題ですが、その問題を学校と家庭と地域が正に協働して行っていくという、そういう区別が本来はあるのではないかと思っています。
  けれども、今のお話のように、それぞれを進めるに当たっては、協働体制になった反対側の教育、学校と社会教育がお互いに連携し合わないと、支え合わないと、基本的には進まないんだというような議論になっているのではないかと、自分の中では整理しています。
  あと、「チーム学校」の話は、スタートはそこに教育と福祉の連携という問題が非常に表に出てきた議論ということになっていて、そういう意味では、学校教育、社会教育という問題の中に福祉との連携という問題も入ってきた中での「チーム学校」という議論。もちろん、部活動指導とかそれ以外のところも広がっていますけれども、何かそのような少し大ざっぱな議論はあるのではないかと思います。
  あと2点お話ししたいのですが、先ほどから、学校が地域の振興までというような議論がありますが、それは出口をどう捉えるかというイメージの問題があり、結局のところ共通しているのは、地域の側から学校へ関わられたときも、そこの場で新しい出会いと御自身の変化みたいなものがあって、それは大きな意味では学びと言っていいと思うんですけれども、つまり、関わり、関わられ、支え、支え合うことで、学びというものがその当事者それぞれに、子供だけでなく関わられた地域の方にもお互いに広がっているという、その状態が基本的には双方向の成果だということであって、決して物的にとか、あるいは形式的に地域の何かの特産物ができたとかそういうことではないのではないかと思います。
  あと一つ、この「学校協働地域本部(仮称)」を考えるときに、ネットワークということがもう少し前に出てもいいなと、つまり、ネットワーク化していくということは、例えばですけど、ある学校でコミュニティ・スクールなり学校支援地域本部の課題があって、明石先生に是非アドバイスが欲しいと思っていても、それを校長先生に上げたり教育委員会の人に上げて順番にお願いしていって「明石先生に」と言っても、なかなかたどり着かないんですね。ところが、生重さんがいらっしゃって、僕がいて、こういう3人のネットワークの中で、「明石先生になら声を掛けてあげられるよ」みたいな話で急に行くと。つまり、ネットワークというのは遠さと近さという問題があって、その近さというものを手元にたぐり寄せられるという機能的な意味合いでのメリットが大きいと思います。
  ですから、プラットフォームなりこういう本部を創っていくといったときに、そういうネットワーク化が進むという面をもう少し書き込んだ方がよいのではないかと思いました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。熊谷委員。

【熊谷委員】
  先ほど廣田補佐の発言にもあったように、やはり学校の先生の役割は非常に重要になってくると思います。そのときに、最初の社会に開かれた教育課程というような、学校の中もカリキュラムとして変わっている、この視点というのはやはり大切な視点で、学校にとっては内側から改善していかなければ、外側のこういう地域と連携しろという圧力ではなく、学校の内側から社会に開かれた教育課程で変わっていかなければいけない、これは大切な視点だと思いますので、これをもう少し最初だけでなく組み込んでほしいと思います。
  そういうふうに考えてみると、今、高校生の主権者教育というようなことが言われて、社会科や政治という中で主権者教育というのは考えられてきていますが、皆さんの話を聞いた中で、このようなプラットフォームの場で地域の大人たちがこのように社会を創っているんだと、こういう学びというのは本当にいい教材であったり学びの場であると思います。
  ですから、中高生にこのような社会のつながる力でなくて社会を創っていくという力を養っていくためには、いろいろ職場体験などあるわけですが、こういうプラットフォームや、そういう取組に高校生が参画し、自分たちももう少ししたらこのように社会を創っていく側に回っていくんだと、高校生をパートナーという視点も大切ではないかと思いました。どうも高校生は学びの受け手というのではなく、これからのパートナーということですから、社会を創っていくという、そういう意味での主権者教育だとか社会に開かれた教育課程ということも踏み込んでくると、地方創生とか地域づくりとか人づくりということに関わって、答申になっていくのではないかと思いました。以上です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。牧野委員。

【牧野委員】
  今の議論ですけれども、もう少し言いますと、少し古い話、98年の中央教育審議会答申で出された教育行政のネットワーク化の議論がありました。
  生涯学習振興行政の中で社会教育の範疇を拡大していって、従来の学校教育、家庭教育支援、社会教育という教育行政の範疇を広げていくというか、社会教育の部分を広げていって、例えば、まちづくりですとか、女性とか子供ですとか、福祉ですとか、さらには教育事業者、産業ですとか、大学、NPOと連携して、社会教育が拡大していくことで、全体をくくって生涯学習振興行政にしましょうという議論があったと思うのですが、ある意味では、そうしたものを小学校区ぐらいまで下ろしていくという議論に近いのではないかとも思います。
  ですから、学校を核にしながら、子供たちの成長を軸にして、将来の地域の担い手やこの国の担い手を育てていくということを大きな目標にしながら、そこに大人が総掛かりで関わっていき、そしてそこに例えば産業界の方やいろいろな方々がいらっしゃって、子供の学びを豊かに育てていく。さらに、その中に当然、福祉やいろいろな機能が入っていって家庭教育の支援もしていくというような地域の構造を創っていくということに近いのではないかと思います。
  その意味では、行政ではありませんけれども、小学校区や中学校区という単位において、住民が地域に関わってその地域を自分たちで活性化していくという仕組みを、子供を真ん中に置いて考えよう。そのときに、今の資源としては学校があり、また、社会教育や公民館や、そういういろいろなシステムがあるわけですから、その中で学びを組織していきながら、地域は自分たちで担っていくという子供たちを育てようということで総掛かりになろうというか、そういうような形になるのではないかと思います。
  ですから、そのような大きな枠の中に、議論してきたことを置いてみると、地域の在り方というのがもう少しイメージできるのではないかとも思いました。
  付け加えですけれども、もちろん私たちもいろいろな言葉を使いますので、概念が踊ってしまうのですが、例えば、ネットワークやパートナーシップ、又は協働とか連携とかという言葉、また、教育もそうなのですが、何かネットワークが目的化してしまうですとか、又は教育することが目的化してしまうのですが、そうではなく、やはり次世代の子供たちを育成するということを大きな目標に置いて、そのときに、ネットワークはある種手法として使えるという議論にしておかないと、議論が硬直化してしまいますので、何かそこも避けるような工夫をしていただければと思います。

【明石部会長】
  竹原委員。

【竹原委員】
  皆さんがイメージしている学び方、地域とのつながり方は同じだと思います。その中で、キーパーソンはコーディネーターだと思います。
  コーディネーターが、単なる学校支援で御用聞きのようなコーディネートではなくネットワークを作り、プラットフォームにある課題や人など様々なものをインプットした上でつなげ、今後は社会に開かれた教育課程ということも視野に動いていかなければいけない。そのためには学ばなければいけないし、コーディネーターの資質が問われています。そうなりますと、コーディネーター研修マニュアルや、全国のコーディネーターのネットワーク化等によって様々なブラッシュアップが必要になります。
  既に杉並区等では実践されていますが、養成した後は自分で頑張ってねというのではなく、組織的に、教育委員会、文部科学省など、様々なレベルでブラッシュアップしていかないと、この「学校協働地域本部(仮称)」が形骸化してしまうと思います。

【明石部会長】
  いろいろ貴重な意見ありがとうございました。時間も迫ってまいりましたので、本日頂いた御意見を踏まえて修正していきたいと思います。
  例えば、一番やりたいのが、15ページの「学校協働地域本部(仮称)」でございます。 この文言が突然現れた嫌いがあって、もう少し書き込まないといけない。その哲学的な視点といいましょうか、ワンウェイでなく、松田副部会長がおっしゃるようにツーウェイ機能だと思います。支援というのはワンウェイ的な色彩が強いので、双方向で持っていきたいという感じで、その中に連携・協働の言葉ももう少し書き込みたいです。そうするとこの「学校協働地域本部(仮称)」の理解が深まると思います。パブリックコメントをしますので、焦点をはっきり、立場をはっきりさせる必要があると思います。
  2点目は、竹原委員がおっしゃいますように、コーディネーターを、小学校区の場合、コーディネーター、市町村の場合はコーディネート機能と言っております。その辺をコーディネーターとしてもいいのか。その場合に、小学校区のコーディネーターと市町村レベルのコーディネーターの場合はどういう役割が違うのか。社会教育主事はどういう役割を担うのか、その辺のことを少し分かりやすく書くとよいのではないでしょうか。いろいろな人の意見が頂けると思っております。
  もう1点が、これは一番難しいんでしょうけれども、コミュニティ・スクールと「学校協働地域本部(仮称)」の、生重委員は両輪だとおっしゃっていましたけれども、先ほどの話を聞くと両輪ではなく、学校運営協議会は、私立学校でいえば理事会みたいな機能を持っているかなと思います。だから、そういうふうな理解をされたら難しいかなと思います。10年たっても、何で6%しかできないかというのは、理解の仕方で、「えーっ、そこまでやるの」と引いていくということがなきにしもあらずで、廣田補佐がおっしゃったように、もう少し学校運営協議会のありようをどうしていくのか、検討してほしいものです。いろいろな事例があると思います。その辺とこの部会で考えている「学校協働地域本部(仮称)」というのを創る場合に、先ほどから出ているプラットフォームというのも、一般の方々が考えた場合、どういうことをプラットフォームというのか、はっきりさせたいです。 1番線、2番線、3番線なのか、それとも1本だけなのか、複数あるのかとか、そういうことまで多分意見が出てくると思います。そういうことも含めて、今日の御意見を頂きまして、私と事務局の方に一任していただければと思います。それで、もう少し意見がありましたら。生重委員。

【生重委員】
  済みません、むきになってこれが正しいなんて私が言えるべき立場でも何でもないんですが、ただ、私が関わっている学校ではそうしていますという例を言っただけで、全国ヒアリングで歩いて、それぞれの事例はそれぞれにいいんですよ。別府で創ろうとしているのも、地域協働の中で様々な役割を担えるようになっていますし、山口県の今回ヒアリングを掛けたのは、光と金子みすゞさんのところ。

【熊谷委員】
  長門。

【生重委員】
  ああ、そうです。あと京都に多少なんですけど、私が杉並区で言っているのが正義だと言っているのではなく、地域ごとにありようが違うのはよく分かっているんです。
  先ほど、牧野委員が言っていたことで、前に中教審の答申でネットワークというのを、まさしく東京都は実はそれをそのまま具現化したんですね。地域教育推進ネットワーク東京都協議会というのがありまして、都立高校の支援も、それから子供たちの健康、福祉、それから学校の緑化、もちろん松田副部会長もメンバーだし、私もメンバーなんですが、その中に小中学校を支援するのと都立高校を支援するのと、本来なら都道府県である東京都が市区町村が持っている小中学校に及ばないものも研修機能として入れていくことによって、東京都とのつながりを作っていく。その構想の中にプラットフォームというのは市区町村にあるべきだという、ネットワーク協議会の概念が違いますか。

【牧野委員】
  済みません、いいですか。イメージとして言っただけであって、東京都がそのようにしているということではなくて、ネットワーク化の図がありますよね。皆さんが見ると、学校教育と家庭教育支援と社会教育というのがあって、社会教育が大きくなっていって、いろんなところに手足を伸ばしているという図がありますよね。全体として生涯学習にするのだと。
  今の議論は、私はイメージとして、これがある意味では地域社会、小学校区や中学校区におりた感じではないかと言っただけなのです。
  例えば、学校教育が核にあるとすると、子供たちのためにこの社会教育という部分がある意味では地域のプラットフォームになって、例えば産業界とかまちづくり、福祉や何かと連携をとりながら、学校と一緒になって地域を創っていくという形で大きくあるのだというようなイメージではないですかという話です。

【生重委員】
  割とそれに近いものが、東京都の組織の中でやっているんですよという話を今したんです。もっと足りていないのが、市区町村におりていっているプラットフォームが市区町村のそれぞれの考え方が違うのでできていないんですが、かなり産業界を巻き込んで、小中学校も放課後の活動支援者を松田副部会長のところがおやりになっていたり、いろんな機能が巨大な首都圏でも可能なネットワーク化されているので、各都道府県も自分たちの特性に合わせてそういうものを創っていくと、細部にわたるものも見えやすくなるし、縦・横・斜めの連携がとりやすくなるのではないかという意見です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。本日の御意見を踏まえまして、私と事務局に一任していただければと思っております。それで、審議のまとめがまとまりましたら、皆様に事務局からお送りします。それでまた御意見を頂きまして修正していきたいと思います。では、今後の審議について、事務局から御提案をお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  本日も様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
  資料3、今後のスケジュールがございます。10月中旬の生涯学習分科会、これは具体的には10月9日、今週の金曜日になりますけれども、本日の議論を踏まえ修正したものを報告させていただきます。また、10月中旬の初等中等教育分科会においても、報告・審議していただき、その後、パブリックコメントを実施したいと思います。その後、10月26日、11月13日、12月7日と、あと3回、地域とともにある学校の在り方に関する作業部会と合同で開催し、年内に答申をまとめてまいりたいと思います。
  最後に、冒頭間に合わなかったものですから、人事異動について御紹介いたします。大臣官房政策評価審議官の関審議官です。

【関政策評価審議官】
  よろしくお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  渡辺大臣官房付です。

【渡辺大臣官房付】
  よろしくお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  それでは、これからもこのような体制で進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【明石部会長】
  それでは、本日予定いたしました議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室