学校地域協働部会(第6回) 議事録

1.日時

平成27年8月25日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 委員からの意見発表(学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生の在り方)
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【明石部会長】
  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会学校地域協働部会第6回を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
  本日は、学校と地域の連携・協働による教育を通じた地域振興・再生の在り方について審議を行いたいと思います。浦崎委員、飯塚委員、牧野委員の3名から御意見を発表いただきまして、これまでの主な意見と検討の方向性と併せて議論を行いたいと思います。
  なお、本日報道関係者より会議の全体について録音を行いたい旨の申出がありました。許可しておりますので御承知おきください。
  議事に入る前に、人事異動があったようですので事務局から御紹介いただけますか。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。8月に文部科学省の人事異動がございましたので御紹介させていただきます。生涯学習総括官の岩本でございます。

【岩本生涯学習総括官】
  8月4日付けで就任いたしました生涯学習総括官の岩本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  内閣官房教育再生実行会議担当室長の浅田でございます。

【浅田教育再生実行会議担当室長】
  浅田です。引き続きよろしくお願いいたします。

【明石部会長】
  ありがとうございました。それでは次に配布資料の確認と委員の出欠について、事務局よりお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  本日は台風の影響もございまして、浅原委員、井出委員、熊谷委員、関委員、松浦委員、松田副部会長の6名が御欠席でございます。関委員からは御意見を頂いておりますので、後ほど紹介させていただきます。
  本日の配布資料ですけれども、議事次第に続きまして、資料1が第8期中央教育審議会の審議状況、資料2が浦崎委員の発表資料、資料3が飯塚委員の発表資料、資料4が牧野委員の発表資料、資料5が学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生の在り方に関して(検討の視点)、資料6がこれまでの主な意見と検討の方向性(案)、資料7が今後のスケジュール(案)です。参考資料1が学校地域協働部会における検討事項(例)、参考資料2が学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生に関する参考資料、参考資料3が学校地域協働部会第5回における主な意見です。

【明石部会長】
  本日の配布資料について事務局より説明をお願いいたします。最初に里見課長、お願いします。

【里見政策課長】
  それでは資料1を用いまして、「第8期の中央教育審議会の審議状況」と書かれている資料で、特に学校地域協働に関係する議論がどのように行われているかを全体像として御紹介申し上げたいと考えております。
  まず1枚目を御覧いただきますと、青い囲みになってございます生涯学習分科会の学校地域協働部会、こちらが今御審議を頂いている場ですが、時折共同で開催していただいているのが初等中等教育分科会の、同じく青くなっております、地域とともにある学校の在り方に関する作業部会、こちらで今後のコミュニティ・スクールの在り方とその総合的な推進方策等について議論していただいている状況でございます。先般までのプレゼンテーションと御議論の中で、特に学校に関わる御議論がたくさんございまして、いろいろな御意見を賜ったわけでございますが、学校に関わる部分につきましては、初等中等教育分科会の、黄色に青囲みになっている部分、一つは教育課程企画特別部会と、その上位であります教育課程部会。それから教員養成部会、そしてチームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会、この三つが設定されておりまして、それぞれ論点整理、あるいは中間まとめということで、既に中央教育審議会の総会にも御報告ないしは御説明をされている状況でございます。そのような状況でございますので、まず学校に関わるような、学校側から社会にどう開くのかという観点につきまして、今御議論されているところを順に御紹介してまいります。
  2ページを御覧いただきたいと思います。中央教育審議会の、特に初等中等教育分科会の中で、社会に開かれた学校という観点で御議論がされているところでございます。まず青字で書かれている部分でございますが、これは教育課程企画特別部会の論点整理の中の文章を要約した部分でございますけれども、社会的・職業的に自立した人間として伝統や文化に立脚し、高い志と意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していくための資質・能力を子供たちに育むことが必要であると。これを新たな学校文化と位置付けて、これを形成していくことが重要であるという視点で、まず報告、論点整理がなされているところでございます。
  このような考え方からいたしますと、左側の8月20日の論点整理、幾つか見ていただきますと、その視点で、例えば学校が社会や世界と接点を持ちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら学ぶことのできる、開かれた環境となることが不可欠である。あるいは、社会に開かれた学校での学びが地域貢献につながり、その絆(きずな)を地域活性化の基盤としていく。あるいはこれからは社会に開かれた教育課程ということで、例えば放課後、土曜日での学びなどを、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させる、こういう非常に大きな理念が整理されてきているところでございます。
  その中で、下の二つでございますが、こういった観点から、カリキュラム・マネジメントという観点で、社会に開かれた教育課程の観点から、保護者、地域の人々を巻き込んだカリキュラム・マネジメント、それからアクティブ・ラーニングという観点からしましても、学びを推進するエンジンは子供の学びに向かう力であり、実社会や実生活に関連した課題などを通じて動機付けを行うことが重要だということで、学校、カリキュラムの在り方が議論されてきております。
  また教員養成部会では、その観点に立った形で教員養成がどうあるかが議論されておりますが、チームとしての学校という考え方で、特にそれを担う教員が保護者や地域の力を学校運営に生かしていく視点、あるいは学校が地域作りの中核を担うという意識を持って学校と地域との連携をしていく、そうした資質を教員に養成することが重要であるということ。
  右側にまいりまして、チーム学校作業部会におきましては、地域と連携し、チームとして課題解決に取り組むこと、そのために学校側に地域連携担当教職員(仮称)という方を新たに置いて、法令上に明確化することまで御議論いただいているということでございます。
  以上のように、学校を中心として社会にどう連携していくかが初等中等教育分科会でしっかり御議論いただいているところでございますので、これからプレゼンテーションを経まして、資料5、資料6に基づきまして、生涯学習分科会としての御議論をしていただくわけでございますが、その際には、是非地域の側(がわ)をどれだけ豊かにしていくか、あるいは地域の方から学校にどう関わっていくのか、学校が地域にどう連続していくのかといった視点で、地域側を軸足に御議論いただければ大変有り難いと思っておりますので御紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

【明石部会長】
  ありがとうございました。全体像が大体分かったような感じがいたします。では引き続きまして鍋島室長、残りの資料の説明をお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  資料5を御覧いただければと思います。先ほど明石部会長からお話がありましたように、本日は、学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生の在り方に関して議論いただきたいと思います。
  学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興等に向けた人的ネットワークの構築、学びの機会の充実、地域づくりの推進方策等について、以下の視点から検討したらどうかという提案であります。
  まず、学校と地域の連携・協働をきっかけとした地域力の結集・人的ネットワークの構築、地域住民の学びの機会の充実方策についてどう考えるかということです。学校支援地域本部の活動が、地域の課題解決のための活動等に発展するにはどのようなきっかけが考えられるか。また、社会教育活動として児童生徒の地域貢献に発展する活動についてどう考えるか。このような活動を行う際、地域のコーディネーターやボランティアはどのような役割を果たすことが望ましいか。学校と地域の協働の取組を通じて構築されたネットワークや学びの機会が、組織的・継続的な仕組みとして地域に根付くために必要なことは何かということです。
  2番目としまして、今申し上げましたネットワーク等を主体とした地域の課題解決や地域づくりの推進方策についてどう考えるかです。学校と地域の協働を通じ、地域の課題解決や地域づくりに発展していくために、社会教育主事等の人的体制の整備、社会教育施設や地域の関係施設・団体等との連携方策の整備等の在り方をどのように考えるのかということです。
  参考資料2を御覧いただければと思います。これまでの主な流れとしまして、平成14年度、完全学校週5日制の実施から、社会教育の側からも、どのような形で子供たちの育成を学校とともにやっていくのかということで手を打ってきたところであります。放課後の活動に対する支援から始まり、杉並区の取組を始め、各地域で沸々と起こっているようなPTAの取組、保護者以外の地域の方々を巻き込んだ学校支援地域本部のような取組に対する支援や昨年度から土曜日に着目した取組も始まっており、今年度からは更に学習支援という取組も始まっております。
  次のページですけれども、先ほど口頭で申しました奈良市の取組ですが、こちらは公立幼稚園、小学校、中学校、それぞれに学校支援地域本部があり、また中学校区ごとに全体としての地域教育協議会があることも特色の一つです。さらに、お団子の販路拡大に向けて地域コーディネーターが地域企業に働きかけ、生徒たちが伝えていくような取組をしている地域もございます。また、宮崎県都城市の山田中学校の学校支援地域本部の取組ですけれども、子供たちが、高齢者福祉施設の訪問や地域の行事に積極的に参加して地域全体で町作りを進めている事例もあります。
  次のページですけれども、岩手県大槌町の、「ふるさと科」の事例ですが、震災復興を期に小中一貫教育を始めているわけですが、場所の整備とともに地域の方々を講師として招き、発表の機会を作られたようなふるさと学習を町全体として行っている非常にユニークな事例です。
  その下ですが、東京都小平市立小平第二中学校区の取組、また滋賀県湖南市立菩提寺小学校の取組ですけれども、こちらは学校支援と家庭教育支援の連携した取組事例ということで、いずれも学校支援地域本部の取組として家庭教育の取組を実施しています。家庭教育支援チームと連携することにより、学校と家庭の情報を相互に共有して、相互の支援が進むということもありますし、学校にとっては保護者の対応が充実するということ、家庭にとっては子育ての悩みや不安を解消するきっかけになること、地域にとっては人材活用や地域の結束につながるという形で非常にうまく機能されているのではないか思います。
  次のページからは社会教育の体制についての基礎資料です。社会教育主事制度の概要ということで、教育委員会事務局に社会教育主事を配置しているということですけれども、下にグラフがありますが約2,500人が発令されております。配置人数が減っているのは、市町村合併や指定管理等、様々な制度が進んでいることが原因になっておりますけれども、前回、関委員から発表がありましたように、中核としていろいろなコーディネーター能力を発揮されている方々も多くいますので、このような方々に今回の議論のテーマに沿った御発言を頂ければと思います。公民館の現状としましては、市町村合併や施設の老朽化により公民館数が減少傾向にありますけれども、サークル活動の場、発表の場という機能を持っており、地域の課題解決の場という形で機能強化を図っているところです。
  具体的には10ページになりますけれども、これから社会教育の役割としてどのようなものが考えられるかということですが、住民と行政の協働による課題解決に向かっていったらどうかという提案や協議を各自治体の方々と進めてきているところでもあります。住民自身がいかに地域を支えたり盛り上げていくことができるかをうまくコーディネートしていくこと、様々なジャンルの方々との連携が大事なのかなと思っております。その中で、まち・ひと・しごとのような形の地域創生の中核となるような形で、公民館や社会教育が地域社会作りの中核として、窓口役のような形になることも考えられますし、小学校区のような小さな拠点の区域としまして、その中でファシリテーション能力を磨き上げていくことも考えられると思います。
  具体的な事例としまして隣のページから幾つかございますけれども、最初の新居浜市の泉川公民館の取組は先日関委員からお話いただいた事例です。また下の秋田県北秋田市では、人口減少に悩まれてはおられますけれども、「おらほの地域応援し隊」という形でみんなで関わっておられる取組です。
  最後のページですけれども、新潟県小千谷市の取組で、交流をキーワードにした中山間地の集落活性化支援ということで、交流、体験、拠点ということで様々な機能を自治公民館として行っておられるような取組、これを市内のほかの中山間地に広げていくところが特色ではないかと思います。また、秋田県大館市の公民館の取組ですけれども、こちらも高校生が中心となり設置者の別を超えて、県・市町村を超えまして自分の地域をどのように作っていくのかという事例でありますので、浦崎委員の発表とも少し関係があるかと思います。
  最後に資料6ですけれども、これまでの主な意見と検討の方向性(案)につきまして簡単に御紹介させていただきたいと思います。こちらは明石部会長とも相談しながら便宜的に整理したものになりますので、本日も含めて次回以降でも結構ですので、是非御意見をいただければと思います。初等中等教育分科会の作業部会と一緒になって答申を出していく段階に進んでいく必要があります。まず1番目としましては、時代の変化に伴う学校と地域の在り方につきまして、社会の動向と子供たちの教育環境を取り巻く状況等として、学校と地域の連携・協働の必要性、子供たちが身に付ける力は、学校だけでなく地域全体で育んでいくんだという御意見を中心に頂いているところでもあります。構成としましては、枠囲みの中には、初等中等教育分科会の作業部会等で頂いた主な御意見を書いてあります。
  3ページですが、2、これからの学校と地域の連携・協働の在り方ということで、これからの学校と地域の連携・協働の姿、地域とともにある学校への転換、大人も子供も共に育ち合うような教育支援体制の構築、そして学校を核とした地域作りの推進ということで、今のところ三つほどまとめているところです。
  (2)としまして学校と地域の連携・協働を推進するための組織的・継続的な仕組みの必要性ということで、一過性に終わることなく継続していく取組のためにどのような形で進めていけばいいのかをこの辺で議論ができたらと思います。
  4ページですけれども、(3)としまして学校と地域の連携・協働を推進するための体制整備ということで、教育委員会内の学校教育部局、社会教育部局との連携・協働体制の構築をこのあたりにまとめていければと思います。
  6ページの下ですが、前々回御議論いただきましたコミュニティ・スクールと学校支援の関係の一体的な推進、これはどのあたりの場所で扱っていくかも含めて検討が必要ですけれども、生重委員からもありましたように、地域に合った形で進めていくことが大事だと思いますが、このあたりにつきましても共通のものとして整理ができたらと思います。
  9ページ、これからのコミュニティ・スクールの在り方と推進方策となっていますが、初等中等教育分科会の作業部会で議論が進んでおりますので、そちらで出ている意見をうまくはめ込んでいく形になると思います。
  その次に、学校と地域の協働体制の構築のための具体的方策についてということで、本部会で御議論いただいているところを中心に、まずはこれからの学校支援地域本部の在り方ということで、できるところから内容を発展させていくところから始まり、11ページの大きな2としまして、学校と地域をつなぐ人材の配置等の在り方、これは前回コーディネーターの方々やボランティアの方々、様々な育成機能、公民館との関係を、前回の御意見を中心に入れております。
  最後13ページですけれども、大きな3としまして、学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生の在り方ということで、これは今までも御意見を頂いているところもありますが、本日集中的に議論いただくということで項目だけ立てているところであります。この項目の立て方や様々なことにつきまして、会議が終わった後でも構いませんので御意見を頂ければと思います。以上でございます。

【明石部会長】
  鍋島室長ありがとうございました。では本日の議事に入りたいと思います。
  本日は学校と地域の連携・協働における教育を通じた地域振興・再生の在り方について、浦崎委員、飯塚委員、牧野委員の3名から意見発表を頂き、発表が全て終わった後に意見交換に移りたいと思います。では浦崎委員、よろしくお願いします。

【浦崎委員】
  御紹介いただきました浦崎でございます。よろしくお願いいたします。
  まずは資料2、表紙を御覧ください。これから地方創生には地域課題の解決策を探る大人のアクティブ・ラーニングに高校生を参加させることが有効であり、そのためには地方公共団体、総務省等との連携が重要であるという立場から意見発表をさせていただきます。
  2ページ、1を御覧ください。岐阜県可児市では、この夏高校生が大人や大学生と関わりながら大人や地域に対する親近感を高め、地域の課題を学び、解決策を一緒に探るというアクティブ・ラーニングに1年生を全員参加させるという実績を収めることができました。取組の概要につきましては、9ページから15ページの新聞記事を後ほどゆっくりお読みください。
  この夏、生徒が参加いたしました「夏の!!OPENエンリッチ・プロジェクト」につきましては16ページ、17ページのパンフレットを御覧ください。全ての生徒に変わるチャンスを与えるためには、希望者だけではなく全員参加にする必要がある。そのために300人規模の受皿を地元で作ってほしいという声に応えていただいた結果がこのパンフレットでございます。これだけのメニューは全て地元で、なおかつ社会教育の場として用意していただいたということでございます。詳しい経緯あるいは検討スコープに対する私見につきましては、本文を御覧いただければと思います。
  このような仕組みにつきましては、わずか1年足らずの間で確立することができました。その理由といたしましては、3ページの2を御覧ください。生徒、高校、地域が三方よしの関係を構築することができたのが理由でございます。簡単に申し上げますと、いろいろな意味で生徒の意欲や意識が向上する。学校はいろいろな意味で負担が軽減される。教育効果が上がる。そして地域につきましては持続可能性が向上する。こういうメリットを各者の間でしっかり共有できたことがスピーディーな展開につながったと考えております。なおかつ面白いことは、学校に協力するという意識ではございません。自分たちに必要なことを自分たちでやっていくんだという意識で進めていただいている点が非常に大きな特徴でございます。
  続いて、3、高校と地域の協働が地方創生の礎ともなる探究活動、あるいはアクティブ・ラーニングとどのように関連しているかお伝えいたします。私は現職の高校教員でございます。毎日の授業、100%アクティブ・ラーニングを導入して進めております。一方で地域に関わる高校生が地域の大人とアクティブ・ラーニングを繰り広げる現場も熟知しております。両方を知る立場から高校生を地域とつなげるべき重要性についてお伝えしたいと思います。アクティブ・ラーニングを取り入れた教科の授業は、助け合って理解を深めていける点で、一斉講義式の授業に勝る面もある反面、構造的な限界もございます。それは、教科や科目は学問体系に沿って構成されており、幾ら総合化の方向で進めようとも、本質的には細分化された世界である点、因果関係が確定している点、習得だけでも莫大な時間を要するため、表層的な導入はむしろ学校に混乱や疲弊をもたらす点であります。アクティブ・ラーニングの実効性を高め、大学入試改革等の理念をより高度に実現するためには、地域にまで視野を広げ、生涯学習的な視点を持って多様な大人が地域のリアルな課題を解決する活動にアクティブ・ラーニングを導入し、そこに高校生も参加させるということを踏まえた上で、高校では地域課題を解決する活動への接続性を意識したアクティブ・ラーニング型の授業を行うという協働が必要と考えております。実際このような活動を経験した可児高生は、正解のない問題に挑戦するのが楽しい、多様な関係者が協力し合えばどんな問題でも活路が見いだせるという感覚をはっきり持っております。
  以上、高校生、学校、地域がそろって活力を回復できるか、それともそろって疲弊の度を増すかは、高校と地域がアクティブ・ラーニングに関して適切な協働を実現できるか否かにかかっているということができます。また、大学入試改革への対応、グローバル人材の育成を本気で考えるならば、その土台として地域課題解決活動への参加は必須であり、さらに、その土台として授業のアクティブ・ラーニング化の推進は必須であることが言えます。
  続いて4ページ、4、高校と地方公共団体が連携する重要性についてお伝えします。まずポイントですが、5ページ左上の図を御覧ください。良好な地域環境は児童・生徒の学力や社会性が高まるための重要な基盤であります。子供や若者が集団と核との関わり方を体験的に学び、段階的にステップアップできる地域環境を保障できるかどうかがポイントになってきます。そして今日教育問題の多くはこの地域環境の崩壊に起因するといっても過言ではないと考えております。
  右の図に移ります。子供の学力や社会性が向上するかどうかは、かなりの程度、幼い子供を持つ母親の孤立感を解消できるコミュニティがあるかどうかにかかっています。続いて左下です。昔は子供に豊かな遊びが保障されていたため、小中学校の授業における動機付けは最小限で済み、授業でじっくり学びを深め、定着することが可能でした。しかし対照的に今日は遊びが貧困化したために、授業で動機付けに膨大な時間・労力を要し、じっくり学び深める時間が奪われ、授業で定着まで進めず、結果として学習塾が必要になってしまったということでございます。すなわち豊かな遊びを日常的に体験できる地域環境を子供から奪ったつけを保護者が学習塾の月謝という形で支払わされているとともに、保護者の所得格差が子弟の教育格差につながる危険性が高まっているということでございます。また多くの高校では動機付けに対する配慮が乏しく、加えて受験対策の比率が高いためにじっくり学び深めることは現実問題として非常に困難になっています。こうして高校生の学習意欲は低下し、学習が作業化し、十分な基礎学力を身に付けないまま大学に進学する若者が量産されている。それが今日の有様であるということができます。
  以上、子供や若者の学力や社会性は自然環境やコミュニティなど、地域環境の影響を大きく受けます。重要なのは、それに対して教育委員会や学校が果たし得る役割は小さく、むしろ首長部局が関わるべき必然性や必要性の方がずっと大きいということでございます。
  6ページ上の図は、自ら課題を発見し、解決する態度や能力を備えた若者が育つ過程を示したものであります。目前の子供や若者が図に描かれている幾段階ものステップを高校を卒業する頃までに登り切る見通しが立てば、我々は教育に対して明るい未来を描くことができると考えます。ここで重要なのは、一人一人に全てのステップをタイムリーに保障することです。そのためには高校段階まで通した成長過程を描くこと、そして教育環境の整備や地域課題を解決する活動に関連の深い地方公共団体との協働が不可欠だということでございます。
  左下の図に移ります。地域では、今日コミュニティの崩壊が深刻化しています。高校では生徒を抱え込んで受験指導や部活動に注力しております。見過ごすことができないのは、地域は高校に負担を与え、逆に高校は地域に負担を与えているという悪循環であります。今日地域と高校は共倒れに向かって疾走しているという実態を指摘することができます。
  このような悪循環の進行を回避できなかった一因としては、特に高校生段階において地域の将来を担う次世代の一貫的な育成に対する責任の所在が不明瞭だったという点を指摘できます。具体的には、市町村や市町村教育委員会は「県立高校生は管轄外」、教育委員会や高校は「市町村のことは管轄外」と考えた結果、高校生を市町村等の担い手として育成する部分に大きな穴が開いてしまったわけでございます。今必要なのは、地方公共団体はコミュニティの再生、高校は地域課題解決型キャリア教育という緊急策を講じることによって、まずは直接的な効果を手にすることでございます。その際に両者がビジョンを共有すれば、各者の対策が相手に対する抜本策となって、相手に対して間接効果を及ぼすことができ、好循環を形成することができるということでございます。この循環は人口規模が小さいほど早く確立でき、併せて速く回転させることができ、両者の一体的な再生を加速させることが可能になります。
  小中学校段階では地域が享受できる恩恵が分かりにくいほか、連携を通した学校を核とした地域づくり効果も、どちらかというと限定的な面がございます。それに対して高校では、地域が受けることのできる恩恵や即効性、連携しない損失を明快かつ説得力を持って伝えることができ、地域、とりわけ地方公共団体の参加や協力を圧倒的に得られやすいメリットがございます。そして、それにより学校教育の基盤となる教育環境の再生加速や、各小中学校区を単位に構成された諸団体への影響力も期待できます。
  最後、5です。より普及性の高いネットワークの構築手順についてお伝えします。小中学校レベルでコーディネーターが個々に奮闘されるより、あえて高校と地域、高校と地方公共団体の協働を先行する方が全体像が分かりやすくなって、併せて地方公共団体が各方面に対して持っている様々な影響力を借りることもできて非常に合理的であるということができます。そしてこの方が小中学校のコーディネーターにかかる負担も軽減されて、力量が少なくて済み、普及性が高まると考えております。その際に必要になってくるのは、地方公務員も含めたプライベートなネットワークの形成を先行することでございます。例えば高校のPTAの役員会等を上手に活用すると、このようなネットワークは比較的早く作れるのではないかと考えております。
  8ページにいきます。まとめとして提言をさせていただきます。1、グローバル化や地方創生に対応できるよう、課題発見・解決能力を向上させるという上位目的をより十全に達成したいという立場から、大学入試改革等とも整合的で、より合理性や実効性の高い政策の実現に必要な手立ての実装につき、関係する部署や会議に対して、当部会から申入れを行うこと。具体的には、ア、アクティブ・ラーニングを、学校と地域を俯瞰(ふかん)する視野、生涯学習的な視点に基づいて導入すること。イ、幼少期の遊びにさかのぼって手立てを講じられるよう、首長部局等との協働を推進すること。2、学校と地域の協働につき、総務省に対して地方公共団体の参画支援を要請すること、でございます。以下、当部会の検討課題、あるいは検討スコープに関する私見を記しましたのでお読みいただければと思います。以上で発表を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。飯塚委員、お願いします。

【飯塚委員】
  皆さんは青年会議所という団体は御存じでしょうか。JCIと言われる団体でございます。我々青年会議所は何をしているか、簡単な概要だけ説明させていただきたいと思います。
  まず初めに簡単に説明させていただきますが、JCIの正式名称といたしましてJunior Chamber International、若いリーダー、社会起業家で構成される国際的な組織であります。会員数は115か所の国と地域、4,780の各地青年会議所が存在しております。世界には約17万3,000人のメンバーがいる組織でございます。
  次のページですが、世界を大きく四つにエリア分けをしております。ヨーロッパ、アジア・パシフィック、アフリカ、アメリカ地域でございます。日本国内では、資料では697になっておりますが、698の青年会議所が存在しておりまして、会員数は約3万5,000人です。10の地区、47の都道府県単位にあるブロック協議会を構成しておりまして、私はその上というか、日本青年会議所の1メンバーであります。このJCIのマークを見ていただくと分かるように、国連にコミットしている団体でもあります。縦に国連のマークが入っていると思いますが、国連にもコミットした形で、毎年8月には国連ニューヨーク本部においても諸会議等々を活動している団体であります。
  JCIの中でも、特に教育ですね。青少年育成事業などの実例が多数ございます。ほんの一例ですが画像を載せてあります。上の段、左と真ん中は広島県の尾道青年会議所が行っている「ありがとうを伝えよう!」という事業です。小学校で感謝についてJCIメンバーが、地域の方、先生などと行う出前授業の画像です。上の段の右側、JCIカップというサッカーを通じた青少年の健全な成長の機会として開催させていただいております。下の段は富山県の射水青年会議所が行っている青少年の体験授業、こちらは1996年から続いている事業でありまして、毎年テーマは変わりますが、今年度は、地元の大人と一緒に地元産の食材や材料などでいろいろ製作をする中で郷土愛や感謝の心を育むということをテーマにして行った各地青年会議所の青少年育成事業の事例であります。
  2015年度日本青年会議所のスローガンといたしましては、「美しく先駆けよう! すべては未来を生きる人のために」ということで活動しております。今年は日本再興がテーマであり、地方創生といった行政の要素、アベノミクス効果、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、様々な地域が機会や地域特性を生かして地域の自立・自活に向けた取組をすることが必要であるといったところで、地域を輝かせ、日本を再興させようと我々青年会議所は活動しております。
  その中で地方創生に向けた取組の一つとして、毎年7月に行われますサマーコンファレンスで、今年度は地域再興フォーラム、また地域再興政策コンテストを開催させていただきました。地域再興フォーラムには、大前研一先生をお招きして、地域の競争力を高めるイノベーションとこれからの地域の自立・自活、国作り、国際社会における日本について、どのように我々責任世代が行っていかなければならないのかということで講演していただきました。
  地域再興政策コンテストでは、日本青年会議所が独自のネットワークを生かして136の政策を集め、本年度は留萌青年会議所、「北海道最大の音楽合宿の街留萌へ」がグランプリを受賞し、また集めた136の全ての政策を、プレゼンターとして御出席いただきました石破地方創生担当大臣に政策提言をさせていただきました。
  日本青年会議所として、本年は土曜学習推進の支援というところで、我々の資質向上委員会が活動をしております。全国各地の青年会議所への土曜学習の周知、土曜学習応援団への登録並びに登録の呼び掛け、また土曜学習の実施、並びに実施予定校へのJCIが持っているプログラムの活用の御案内、御説明を主に行っております。
  次に青年会議所のメリットとして費用がかからないということですが、こういったことをやってほしいという依頼が来た場合は、我々は手弁当で行きますよということです。会場によっては会場費等かかると思いますが、我々が行く交通費等はかからず、手弁当で皆様にこのプログラムを提供しますということで活動しております。
  また豊富な事業内容と、特に地域に根差した団体で、全国で697となっておりますが、全国で698の青年会議所が北海道から沖縄まで存在しています。
  土曜学習推進の支援の一環として、今年度は、富山県の公益社団法人高岡青年会議所で行われた青少年育成事業「ワクワクMAXキャンプ」を簡単に説明させていただきます。この事業の背景・目的はこちらに書いてあるとおりでございますが、座学とキャンプ体験を開催させていただきました。座学においては、寺子屋塾長の木村貴志より、子供たちに夢を持つことの必要性や夢を志に昇華させることの重要性について御講演を頂き、話の聞き方、人に物事を伝えるときの心得などを学び、そのままワークショップとして子供たち同士で意見を交わしながら、自らの夢と志について考えるという座学をしました。
  また日本青年会議所のメンバーが、日本の情緒と道徳心を育む徳育ゼミナールという授業を開催しました。子供たちが思いやりや感謝の心の重要性を理解し、その上でふだんの生活の中で多くの人々に支えられていることに気付き、また感謝することを学ぶといったプログラムを開催しました。
  下の写真はキャンプの授業です。こちらの体験授業は、子供たちで判断できることは子供たちの自主性に任せていこうとする点が重要視されています。初日の夕食と2日目の朝食の食材の買い出し、また班担当のJCIメンバーまで子供たちとともに決めて、親元を離れ、非日常的な環境において各自が何をすべきかを考えて実際に行動を起こす、その主体性を養うとともに、仲間の気持ちを思いやり、共に励まし、助け合うことで共感する力や共助の心を育む、そんな授業を開催いたしました。
  今回我々は特に鹿児島県に注力しております。なぜ鹿児島に注力するのかといいますと、鹿児島県が、全国で初めて県内の公立小中学校で土曜授業を導入することを決めました。全国の教育関係者は、鹿児島県で土曜授業がどのように行われるのか、反響を注目しながら、我々JCIとしましてもこの方針に対して積極的に支援してまいりたいと思っているところでございます。
  プログラムは青少年育成事業の一環として、主にこの写真にもある七つのプログラムを活用しております。1、2、3、4と各種プログラムの説明がありますが、例えば未来の選挙教育プログラム、「みらいく」といったものは、各地の選挙の投票率がよくないということで、模擬選挙を行いながら、小学生のうちから選挙に興味を持ってもらうものや、3にあります「青少年版領土・領海意識醸成プログラム」、日本の領土はどこですか、領海はどこですかということを面白く、アニメを加えながら学ぶプログラムです。ほかには道徳に力を入れたプログラムで構成しています。それぞれ実施時間や実施人数はいろいろありますが、各地の人数に応じた形でいろいろなプログラムを開催している状況です。
  我々は教育者でも教育従事者でもなく、各地の教育機関なり小学校・中学校に足を運んで、このプログラムを開催させていただきたいとお話をすると、「あなたは教員資格、免許を持っているんですか」とか、厳しいお話も頂くこともあります。我々は教育資格者ではないですが、未来の子供たちのためにどういったことを学んで大人になってもらいたいのか、当たり前のことができる当たり前の大人になってもらいたいという気持ちで、いろいろなプログラムを考えながら各地教育機関、青年会議所を通じて、小学校・中学校にこのようなプログラムを活用していただいている状況です。
  地域コーディネーターの役割というところで、我々青年会議所には698のネットワークがございます。どこかの市には必ず青年会議所がある団体でございますので、地域コーディネーターの一員として各地の青年会議所メンバーを取り込んでいただき、是非、子供たちの教育、未来の教育のために大いに活用していただきたいという気持ちでございます。以上で発表を終わります。

【明石部会長】
  ありがとうございました。牧野委員、お願いします。

【牧野委員】
  お願いいたします。資料4に従ってお話させていただきます。
  私からは、今までの議論を少し俯瞰するような立場からお話をさせていただきます。私の専門は、教育学の中でも生涯学習ですので、子供たち又は私たち大人も含めて社会的な存在として自分をどう認知し、肯定していくことができるようになるか、それと地域の在り方をどう絡めていくかという観点からお話をさせていただきたいと思います。
  大きな流れとしましては、従来の帰属するというアイデンティティ、つまり社会に帰属する、集団に帰属する、国に帰属するというアイデンティティの持ち方から、相互承認、お互いに認め合って存在を認めていくという関係への組替えが必要になってきているのではないかという観点からお話をさせていただくことになります。キーワードとしましては身体性、分配から生成へ、想像と信頼、ネットワークとプラットフォーム、新たな専門職になります。
  最初に身体性の二重の意味での排除ということですが、これも抽象的な話となり、申し訳ないのですが、いわゆる固有の存在として自分を社会にどう位置付けるかという問題があろうかと思います。この場合は空間と時間をどう捉えるかということになるわけですが、私たちが生きてきた明治以降の日本の社会は一般に工業化社会と呼ばれるものですけれども、そこでは空間と時間を画一化し、均質化して普遍化することが行われてきました。例えば時間は、人々が時計時間で生活するように全国一律になっておりますし、空間も基本的には工場、人工的な空間が普遍化していくという時代、学校の中にもそういう時間と空間が持ち込まれていることになります。
  学校では時間と空間の画一化と均質化を通して、身体に対する規律・訓練を通して身体を産業化していく、これを産業的身体と言いますけれども、誰もが同じように働ける力を持つような体、能力を発揮できるような労働力になっていくことが基本的に目指されたといえます。その上で、国民文化を実践することで身体を通した価値観の統一を行ってきました。ここにおいて私たちには、「我々」という一体感が醸成され、均質的で平等な、「我々の中の私」という感覚を国民の一人一人が共有していくことになります。こうして、日本国民であるという強い意識を持つようになった。しかもそれが工業化、さらには経済発展と絡むことによって、個人の生産労働、勤労と生活の向上と国家・社会への帰属意識が重ねられて、人々の強い国民意識が形成されていたと言えるかと思います。少し話を単純化しておりますけれども。
  それでは社会教育はどうかといいますと、実は小学校区をベースに町内会・自治会が全国に普及しましたのが1920年代の半ばになります。この頃に社会教育が行政概念として成立しました。特に1923年の関東大震災以降、1924年に社会教育が行政概念として採用されました。自治会・町内会は全国の小学校区を基本に作られたもので、ある意味で、空間と時間を画一化していく機能を持ったものでした。学校とともに、社会においても空間と時間の画一化と均質化が促されて、人々の社会への帰属意識が強化されていきました。自分の生活の改善と企業の業績の向上、さらに、国家経済の拡大といったことが同値されていくことが可能であった。そして強い国民意識を持つことが可能だった時代がしばらく続いたと言えるかと思います。
  しかし1980年代の半ばになりますと、それまでの大量生産・大量消費の市場が飽和していることもあって、画一化・均質化という時代から個別化・個性化が訴えられる時代に入っていきました。そこでまず、身体性が排除されていくことが起こったのではないかと受け止めています。それは産業社会から消費社会への転換だったと言えるかもしれません。個性があおられ、時間と空間も個別化又は個人化が求められて、「我々の中の私」ではなくて、「私としての私」が強調され、その後の「私探し」のトレンドにつながっていったのではないかと受け止めています。個人が「我々の中の私」ではなくなり、社会に浮遊する時代がやってきた。私探しの時代であり、学校が、身体を通した規律・訓練によって産業的身体の育成に失敗し始めた時代でもあって、不登校や校内暴力が多発した時代でもあったのではないかと思います。
  この頃、臨時教育審議会が開かれました。臨教審は学校の中の子供の荒廃状況を何とかしたいという議論から始まったのですが、出口は生涯学習社会の提言になっていたわけです。それもある意味では、このような社会への対応であって、このような社会の変化を反映していたのではないかと思います。特に臨教審は、社会に浮遊し、社会的な統合を解除し始めた個人をターゲットに、個人の存在の根拠を社会への帰属ではなく自己価値の向上に求め、それを生涯学習の役割として市場化することで、市場を通した私の価値の向上とその産業化によって国内市場の拡大を進めようとしたと理解され得ます。そこでは市場における価値の向上という自己肯定感が、社会に浮遊して帰属を失った個人の存在根拠とされたのではないかと思います。
  しかし、この生涯学習の市場化は十分に機能することなく、社会状況が転換していきます。それが1990年代のバブル、それからバブルの崩壊につながっていくかと思います。その頃から消費社会から金融・情報の経済の社会へ転換していくわけですけれども、生涯学習の市場化の機能不全の主な原因としましては、市場を細かくセグメント化し過ぎてしまった、個人化し、分断し過ぎてしまった結果ではないかと受け止められます。
  更に金融・情報社会が身体性の根拠である画一的で均質的な時間と空間を排除するような時代がやってきています。例えば24時間オープンの金融市場とコンピュータによる金融商品の売買など時間性と空間性を極限まで排除し、身体を持った人間が介在することが困難な事業形態に変わってきています。生産労働の不要化とゼロサムのマネーゲームの進展といったことが一面で起こっています。さらに、もう一面としまして、情報産業・金融産業は雇用力は極めて小さいため、労働の非正規化が進展しています。さらに、サービス業では接客業を典型例として感情労働化が進んでいき、他者によって人格を評価され続けるような社会が生まれてきています。
  金融・情報経済は、時間と空間を極限まで縮減して人間の身体性を排除するような動きを示しているかと思います。そのような社会では、従来の産業社会、工業社会における富の生産による分配の格差が起こるわけではなくて、既存の富を独占するか喪失するかという形での格差の拡大へとつながっていくのではないか。その意味では、人々は「我々」という同質感を失ってしまい、人々の個別化・個体化が進展し、社会が分散化していく状況が招かれているのではないかと思われます。そうしたことの中で、従来のような労働者を育成し国民を形成していくという学校の在り方が機能不全を起こしたままになっているのが現在の状況ではないかと思われます。
  6ページにまいります。そこで、新たな身体性を構築することを考える必要があるのではないかと思われるわけですが、そこでは、現在のような情報社会、金融経済、さらには大衆消費社会における子供をどう捉えたらいいのかが問われるかと思います。そのときには、従来のような時間と空間の画一性・均質性を前提とした、身体性に基づいた「我々」の回復はまずあり得ないと考えた方がよいだろうと思われます。反面で、個別性をベースにした各個人の実存、存在の新たな生成と社会的な協働の必要、さらに、人々の生活保障のためにも社会的な協働、お互いに助け合っていくことが求められてくる。その意味では、お互いに認め合う関係を作っていくという観点から、子供観の組替えが必要ではないかということになります。
  その観点からは、これからの社会的な価値の在り方としては、個人が我々に帰属する私として存在するのではなくて、個人と個人が作り出す関係が私の存在であることで、「私」はその都度「私たち」となって、ニーズを作っていくものとしてあることになります。簡単に言いますと、お互いに信頼感を持って、認め合って、市場を新しく作り出していく関係があるのだ、ということです。そこでは、相手を慮(おもんぱか)る想像力が働かなければならないということが新しい価値を生み出すような、社会の在り方が構想されるのではないかと言えます。そこではまた、自由も所与で分配されるものではなくて、お互いに認め合うことによってこそ発動する関係性の概念になっていくのではないかと思います。その中で、新たな身体性を構想していくということです。
  それは、簡単に言いますと7ページの(4)になりますけれども、21世紀型のスキルといった形で提言されてきているのではないかと思われます。その中では、子供たちの在り方も新たな市場、つまり想像力と信頼といったものに定礎された、又はそれらに基づいた新しい社会の在り方と結び付けて考えられる必要があるのではないか。その場合に、子供たちは、ある意味で保護、教育される対象というだけではなくて、社会を作り出していく主体として、社会のフルメンバーとして迎えられていくことがあってよいのではないかと思われます。
  8ページになりますけれども、新しい子供像としましては、社会を作り出していくこと、さらには他者との関係を作り出していくこと、さらにはそこのベースとして想像力と信頼といったものによって自らの新しい身体性を獲得していく存在としての子供というものがあり得るのではないかと思います。
  各地の取組がいろいろあり、御紹介したいのですが、時間がありませんので、また後から議論の中で紹介できればと思います。どれも私どもの研究室が関わっているところばかりなのですが、実際に小学生から高校生まで地域で子供たちを受け入れて、大人と一緒になって子供たちが町作りに関わって、自己肯定感を高めていくという実践が全国に広がってきております。先ほどの浦崎委員の御紹介でもありましたが、それも一つの事例だと思います。高校だけではなくて小学校から既に同じような実践が行われ始めています。
  その中で、9ページの上になりますけれども、一旦地元を出ていくけれども、また帰って仕事を作りたいという子供たちが生まれてきている実践があります。そのために、どういう形で子供たちを教育するかですが、それを「実践としてのワークショップ型学習」と呼んでみました。子供の新たな姿としては、フルメンバーとしての子供たちというものです。そしてコミュニティの大人自身が子供との間で新しい自分を作り出して、社会を作り出して、生まれ変わっていく実感を得るような関係を作っていく。それは、従来のような講義型やディベート型のようなものではなくて、ワークショップ型の学習になっていくのではないかと思います。「ワークショップ型の学習」といいますのは、ちょっと分かりにくいのですけれども、体験して創造することで学ぶという、ここに矢印が入っていますけれども、この矢印の空(あ)いているところに内省を組み込んでいく。そして思索し、自分を確認するプロセスを組み込んで、お互いに違った意見をより高次な形での新しい意見に組み上げていくプログラムであると考えてよいと思います。
  そのプログラムを実施するために、新しい学習組織の生成と専門職が必要になるのではないかというのが10ページからの議論になります。「ワークショップ型の学習」が取り入れられていくことによって、学校そのものが画一的で均質な時間と空間の呪縛から解放されて、異年齢・異学年・多様な内容、そして新たな専門職との協働による新たな知識と価値の生成と変容・循環という在り方に組み替えられていくのではないかと思われます。
  その場合の新たな専門職とは何かといいますと、子供や大人たちとともに生活し、共同的な関係の中で彼らの関係を取り結び、かつ彼らの言葉にならない思いや感覚を言語化、可視化して、子供や大人たちの関係論的な相互学習・相互変容、さらに、新たな自己の生成と価値の生成、そのような変容と循環を促す役割を担うような、活動支援のための専門家となることが必要と思われます。
  その場合に「ワークショップ型の学習」を実践していく組織が必要になってきます。それが次のページになりますけれども、「地域のプラットフォーム」として形成されていくことが必要になるのではないかと思われます。このワークショップを組織し、実践するための主催者である新しい専門職を育成し、配置する必要があります。この専門職は、従来の社会教育主事や公民館主事を一つのイメージとしながら、地域住民とともに生活し、人々の声をすくい上げていく力を持った人々を育成していくことになるかと思います。しかもこの専門職は学校においても子供たちのワークショップを組織して、学校という場所を従来の規律・訓練に基づく画一的な身体的統御の場から、子供たちが多様な子供と交わる中で自分と他者との関係において新しく自分を生み出していきながら、新たな社会を作り出していくような存在として育成するような役割になっていく人になるのではないかと思われます。
  そうしたものを基本にしながら、地域で学習のプラットフォームを作っていく。例えば、「地域まちづくり未来プラットフォーム」のようなものを作って学校と地域コミュニティがこのプラットフォームの基盤の上で連携・協働しながら、子供と地域コミュニティを結び付けて子供を社会のフルメンバーに位置付けていくということが求められるのではないかと思われます。
  さらに、そこからコミュニティが新しい市場へと展開していきます。市場というとお金もうけの議論になるかもしれませんけれども、単にお金もうけだけではなくて、まちを再生していく、活性化していく基盤になるものと御理解ください。そこでは、想像力と信頼に定礎された新しい市場が形成されていき、そこから新しいニーズが生まれてくるようになります。それが新しいビジネスとして立ち上げられて、さらに、市場を活性化していくという議論ができるのではないかと思われます。実際に、私たちの関わっているいろいろな実践ですとか、企業で、そういう取組を始めたところが出てきています。
  その場合、さらに、評価の在り方も関わってくるかと思われます。一つは新たな評価手法を開発する必要があるだろうということです。従来のような個人を相互に比較しながら、相対評価を進めるという議論ではなくて、むしろ学習歴などの個人データは、個人化し、暗号化する技術がありますので、必要なときに個人が評価を申請する形で評価してもらう。個人データつまり個人が提出する学習歴や成績は、それがどのように価値的に多様で豊かな社会を作っているのかという観点から分析し、豊かな社会の指標として利用することが考えられてよいのではないかと思われます。その意味では、この下の方になりますけれども、ガニエのADDIEモデルというのがあるのですが、analyze - design - development - implement - evaluateというものが、常にevaluateに返っていきながら、評価されながら、変革されながら変わっていくというモデルがあるのですが、それをもう少し、例えば他者を評価して人々を分断するのではなくて、人々を結び付けていけるような評価の手法を開発することがこれから必要になるのではないか、ある意味ではワークショップ型の評価モデルといったものを開発していく必要があるのではないかと思います。
  その上で、以上のような取組を経て新しいコミュニティを作っていくことになります。それは基本的には住民自身が経営していくコミュニティになるのではないか。地域の学習プラットフォームとワークショップ型学習組織をうまく経営しながら、全ての住民が地域コミュニティの経営と実践に参画して、地域課題を捉えながら、新しい社会をデザインしていくようなことが可能になるのではないか。
  これは既に小さい町村では始まっていることなのです。行政負担を減らしながら住民が主役になっていく実践が各地で行われています。専門職としての社会教育主事や公民館主事も、先ほどのような形で見直しをして、例えば公民館などの地域の「場」において学習プラットフォームを運営する専門職として社会教育主事や公民館主事の見直しを進めていったらどうかと思われます。そこでは、子供たちが地域コミュニティの創造にも関わっていくという実践が可能になるのではないかと思います。さらに、それをもう少し行政に引き付けて考えますと、いわゆる「行政の学習化」という議論ができるのではないか。簡単に言いますと、住民の思いや願いを可視化しながら、一義的には住民自身が自ら地域を経営していく、学習型の自立分散型の行政に展開して、さらに、困難な問題は行政がサービスとして行うという形になっていくのではないか。そこでは、行政には、住民の「学習」を組織し、支援することが第一義的に求められることになります。そういう意味では行政サービスの分配を求める不自由な住民から、地域コミュニティを作り出していく自由な住民へという形での住民観の転換が行われていく必要があるかもしれません。その中で行政負担を軽減しながら、住民自身が新たな地域コミュニティを活性化するための価値を作り出していく。それはお金だけではなくて、いろいろな価値が循環して新しい意味での地域コミュニティが生成されていくことにつながるのではないかと思われます。
  課題をまとめますと、子供も大人も自らの身体性、自分の存在の固有性を獲得するために、自らが地域コミュニティを作り出し、組替え、経営する主体となる必要があるのではないか。さらに、子供を社会のフルメンバーとして受け入れることで地域コミュニティの学びの潜在力を活性化していくことが可能ではないか。さらに、この学びはワークショップ型の学びであることが求められてくる。そのためには、地域コミュニティに、「まちづくり未来プラットフォーム」のような組織を作り、公民館などの既存の社会教育・生涯学習施設などに置くことが考えられる。このプラットフォームでは、学校と地域が連携・協働して、子供たちを社会のフルメンバーとして受け入れ、様々な実践への参加を促していく。さらに、このプラットフォームの経営に従来の社会教育主事・公民館主事などをベースにした新たな専門職を配置し、ワークショップ型の学びを地域コミュニティで展開する必要があるのではないか。さらに、地域コミュニティをベースにして、子供を含めた住民が、行政サービスを受ける受動的な自由から、地域コミュニティを作り出し、経営する能動的な自由を獲得していくことになるのではないか。そこから、行政を「学習化」していきながら、行政負担を軽減し、多様で多元的な価値の生成に伴う新しい地域コミュニティの経済を生み出すことにつながるのではないかと。以上です。ありがとうございました。終わらせていただきます。

【生重委員】
  浦崎委員がお話されたアクティブ・ラーニングは、もともとの学問は体系的にでき上がっていて、習得に時間がかかるのは当たり前で、アクティブ・ラーニングのマイナス面をきちんと公の場でお伝えくださったなと思います。
  私もそういう懸念は前から抱いていまして、いろいろな先生たちに質問を投げかけているんですが、先生によっては、探求型の学習とかディスカッションの中で、自らの気付きの中で、気付いたら学ばなければというところにいくという方法もあるので、アクティブ・ラーニングは徹底的な基礎土台の学力が身に付いていないと表層的なところだけにいってしまう危険があるので、学校支援地域本部や土曜日を活用するとか、放課後の学習にチャレンジさせるようなものなど、自身の気付きみたいなものも含めて、できることなら小学校、中学校の義務教育時代に、75%から80%は学力感として身に付けさせるのがいいのではないかと思います。
  それから、可児市の事例も、牧野委員が体系的におっしゃったことも、地域がそれなりにやる気にならない限りその現状には至らないということをすごく実感しています。私自身、浦崎委員の活動は、長い間遠巻きにウォッチャーとして見てきているので、今のここの加速度的な、1年半前の御苦労があるかと思いますが、どこの地域事例においてもそういうことが言えるんだと思います。どこかの段階でやる気を出せば出すほど、どこかが阻害要因になってしまう。時間をかけて浦崎委員も地ならしをされていったし、各市の成功しているところもそれをやっていらっしゃる。そこを伝えずして、1年半でできるんだと思われてはいけないのではないか。だから地域プラットフォームの必要性とか、例えばJCIに入っていただきながら子供たちの学び、大人たちの学びを支えていくために、各世代の財界の方たちにも入っていただき、一緒になって考えていく、そこに社会教育主事や公民館というものが中心的プラットフォームの基地として機能できるともっとよいのではないか。きちんと体系化し、課題を表さないと、またしぼんでしまう気がします。
  それだけではなく、例えばスクールソーシャルワーカーに入ってもらい、これからの子供たちが抱える課題を大人が共有化していくことも含め、それぞれの地域に合わせてモデル化していかなければいけないんだと思います。成功事例も、その地域だからできたんだというのではなく、どうすればその辺を体験者としてうまく解決できるか、研究者としてどうしたらより理解が進み、もっと課題は深刻になってきていて、社会総掛かりで本気にならない限り変わらないんだということをどう体系付けて社会が分かるようにお知らせできるか、お考えをお聞かせいただければと思います。

【明石部会長】
  よろしいでしょうか。学校支援地域本部の役割としてはコーディネーターがいますよね。コーディネーターが学習をドッキングさせる役割として、アクティブ・ラーニングのところにお願いするのか、それとも既存の教科の学習のところにお願いするのかという、そういうかなり専門的なことまで理解してコーディネーターが学習組織を作らないといけないのかという議論があるのですね。
  一方では牧野委員がおっしゃるように、新しい専門職といったときは、ある程度そういうアクティブ・ラーニングと教科の成果をドッキングできそうな感じもするのだけれども、その辺を含めてコーディネーターの役割と、現在している活動についていろいろな議論があるのではないでしょうか。先生の御提案の中の、表層的なアクティブ・ラーニングということを使っていらっしゃるのだけれども、そういう専門的なことまでコーディネーターが理解してやらざるを得ないとなると、多分この学校支援地域本部は崩壊しますよね。そういうものも含めてお願いします。

【浦崎委員】
  今は、地元の方々に対しても全体像をシンプルに伝えることが、ようやくできるようになってきました。だからすぐに御理解いただき、当事者意識を持っていただいて、勢いよく動いていただけるということなんです。ですから全体像をきっちり、分かりやすく提示できるかどうかにかかってくると思います。分かりやすく伝えれば伝えるほど、コーディネーターとしての専門性が低い方でもコーディネーターを務めることができると考えています。
  実際、今、可児市で御活躍いただいている方は、いわゆる教育コーディネーター的な専門的な勉強はされていません。町のいろいろな方々を、趣旨と方法等きちんと伝えて連れてきていただくという形で成り立っています。
  ですので、結論的には、きちんと全体像を伝えることによって成り立つのでコーディネーターには高度な専門性は要らない。町にどんな課題があるのか、その解決策にはどんなステークホルダーが必要なのかということを、通常の社会人の常識で判断してまとめ上げる力があれば成り立っていくと思っています。
  一方で、ここから先は学校の問題になると思うんですけれども、では教員はそういうキャリア教育的なもの、アクティブ・ラーニングを地域に放り出してしまっていいのかというと、それは全く別問題でありまして、地域できちんとしたアクティブ・ラーニングが成り立つようにするためにこそ、教員はしっかり地域の動向等を理解して、そこにつながるようなアクティブ・ラーニング型の授業を進めていかないといけない。それは教員の専門性に期待すべきところだと思います。よろしいでしょうか。

【生重委員】
  私の質問はコーディネーターとは関係なかったんですけれども、学校の中での教員間の理解の進め方も同じですか。最初から理解があったわけではないですよね。

【浦崎委員】
  はい。教員は理解する能力は持っていると思います。しかし理解するだけの物理的な時間、精神的な時間、余裕がないと思っています。

【生重委員】
  可児市では、ほかの高校もそこも巻き込まれていく傾向にありますか。

【浦崎委員】
  実はこのようなコラボレーションを岐阜県内でも紹介しております。そうしましたところ、岐阜県の飛騨市、岐阜県の一番北になりますけれども、吉城高校という高校がございます。飛騨市という自治体がございます。今ある意味、可児市よりも急テンポでコラボレーションが進んでいる状況にございます。

【生重委員】
  ありがとうございます。牧野委員。

【牧野委員】
  どう答えたらいいですかね。こういうものをここで議論すると、全国一律に同じようにしなければいけないとなりかねない感じがするので、まずそうではなくて、基礎自治体レベル、もっと言えば市町村の更にもっと下のレベルでばらばらでいいのではないかというのが基本的にあると思います。
  それぞれの実態に応じて組み方が変わってくるだろうと思います。ばらばらでいいというのはいい加減でいいという話ではありません。それぞれが違っていていいんだということを前提で考えていくというのがまずあると思うんです。
  さらに、先ほど私が申し上げた事例は、詳しくは申し上げていませんが、私たちが全部関わっている事例で、どの地域も最低3年ぐらいは関わり続けないと動かないです。そのときに一番早いのは行政が動くことであり、地元の商工会が一緒になることなんですね。そして子供たちのために自分たちがどういうプラットフォームを準備できるかを、私たちも含めて議論していきながら、教育委員会等に語りかけをしていって、子供たちが出てくるような状況を作っていくことが一番早いと思います。

【生重委員】
  分かりました。いろいろな事例も地域ごとの特性を生かして実践事例が示されることでそれぞれの地域の個性を生かしてやっていくことで、最初に苦労なさって積み上げた方よりは時間がかからないということですね。

【明石部会長】
  ほかに何かございますか。若江委員。

【若江委員】
  先ほど部会長がおっしゃったように、今日の議論の中心である、地域の人と交わる学習の機会の充実が図られて、それがどのような成果を生んでいくのかということについて、浦崎委員の高校の事例は非常に可視化しやすいでしょうし、飯塚委員に言っていただいた、小学校、中学校レベルでその基礎作りみたいなことが非常に重要だということは分かりました。
  そして、先ほど牧野委員からお話がありました、学習型自立・分散型行政へという言葉を使っておられるのが、まさにそれは行政だけではなくて人材も同じで、学習型自立型の人材を作っていかなければいけない。そういった人材を育成していくためにも多様な学びの機会が有効で、このような地域と連動して様々なスタイルがあるということですが、ここに新たな専門職の在り方という御提示があって、それは本当に重要だと思います。
  ただ、ここでは、今お話があったようなアクティブ・ラーニングの実施も含めてですが、多様な人をまとめていったりする高度な能力が必要だとされています。私たち、産業界に関わる人間は、学校とか教育従事者だけではなく、親だとか企業市民としての人たちにもこういう理解を促して、そういった人たちが高度なコーディネーターの一翼を担えるようにしていきたいと思っています。その対象として、専門職としての社会教育主事や公民館主事を見直すということだったのですが、本当にその見直しでこの高度な専門職の機能が達成できるのでしょうか。
  一方では、ここで評価のことについて言っておられて、評価の仕組みがもっと明確になりうまく活用できるようになれば、専門職化というのはもっと広く普及し、育成のめどもついてくるのではないかと感じたんですけれども、ここのところについてもう少し御意見を聞かせていただけますか。

【牧野委員】
  少し抽象的な言い方で申し訳ないんですけれども、専門職の場合、今までの社会教育主事は制度化されていまして、国家資格としてあるんですけれども、教育委員会の中にいて、指導・助言をするという立場なんですね。そうではなく、もっと住民の中に入り込んでいく力を付けてもらおうというのが基本的な趣旨なんです。
  例として挙げましたけれども、例えばここで私が申し上げた新しい専門職というのは、語弊のある言い方をしますが、私たちが実践していく中でいろいろ手伝ってもらっている方々で、私たちの表現で、「百戦錬磨のおばさん」という人たちがいるんですね。彼らは町内会とかいろいろな活動をされていて、人を取りまとめる力を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんです。そういう方々が参画されてくれば基本的には回っていくような仕組みになっていくと思うんですね。そういう方々にこういうところに入っていただいて、地域のいろいろな人材をよく知っていて、この問題ならこの人だ、これならこの人だと言えるような方がいらっしゃれば回っていくような仕組みになるのではないかと考えています。
  それからもう一つは、この専門性というのは、例えばオランダのビュートゾルフという、障害者や高齢者、認知症の方々と一緒にコミュニティを作っていくという実践があるんですが、そのときに出てきていますのは、過剰な福祉や過剰な医療や過剰な介護が、実は人間の尊厳を毀損してきてしまったのではないか。その意味では、健常者がよかれと思って与えるのではなくて、一緒に生活をしながら彼らが本当に何を求めているかを感じとりながら提案をしていくような人たちをこれからは専門職と呼ぼうという議論が出ているんですけれども、そういう立場に立てるような方々をたくさん作っていく必要があるのではないか。その中で地域課題も、地域課題というのは皆さんがいろいろなことを議論していくんだけれども、いろいろなことを感じていらっしゃって、「こういうことじゃないですか」と提案できるような人。「そうでしょう、だからこれをやりなさい」ではなくて、提案をしていきながら住民の中に議論を作っていくことができるような人々のことを新しい専門職と呼びませんかという議論なんです。そうしたものを育成していこう。そうすればそういうプラットフォームと学校が連携がとれていくような仕組みにつながるのではないかということなんです。

【若江委員】
  よく分かりました。ありがとうございます。

【明石部会長】
  平岩委員。

【平岩委員】
  私も質問なんですけれども、この間、新居浜市に行ったときに、関委員とお話しさせてもらった後、放課後子供教室をやっている男性の方から質問が出ました。10人ぐらいで放課後子供教室をやっていて、それは充実しているんだけれども、その10人と子供たちが点でつながっているだけの取組に感じるとおっしゃるんですね。もっと点が線になり面になりということにするにはとずっと悩んでいるとおっしゃっていて、レベルの高い御質問だと思いました。
  3人の委員の方々にできれば一言ずついただければと思いますが、どういう状態を線、面と呼ぶかということもありますが、地域と子供たちの取組が点だったところが一気に広がり始めたきっかけとか、タイミングはということを教えていただければと思います。

【浦崎委員】
  先ほども少し申し上げましたように、小・中学生ぐらいまでだと、地域から学校教育に対して一方的な支援になってしまいます。自分たちにどんなメリットが返ってくるか分からない。したがって自分たちに利益がないから協力はできないという場合が多い。ですので、そこをきちんと理解して動いている方たちが、残念ながら物好きな人たちに見えてしまうのです。
  しかし高校生までつないでやると、高校生でこのような学習が成り立つためには、小・中学校段階でこの活動は大事なのだという必然性が見えてくる。だから「これは一方的な支援ではなくて、将来的に必ず自分たちに返ってくるものなのだ」ということが見える。そうすることによって意味をしっかり理解していただいて、孤独感から解放されるのではないかと考えます。

【飯塚委員】
  点が線になり面になりという質問に対しての明確な回答かどうかは分からないんですが、資料にもあるとおりこの七つのプログラムを開催していく上で、授業参観のようにやることもあります。そうすると、小中学生に向けたプログラムですが、実はそこに参加される親もこれを学んで帰るといったこともあります。
  子供たちが、学ぶ部分もあるんですけれども、どちらかというと参加される親の方も新たな気付きが得られるプログラムがあるんです。例えばPTAの力を借りて開催するときは、口コミで広がり、うちの学校でも開催してもらえませんかといったように広がるという意味での効果、そういったところはすごく感じる部分はあります。

【牧野委員】
  多分よくある質問だと思いますが、点から線へ、線から面へということではなくて、どこかで地下茎感覚でつながっていて、点が幾つか増えていくという感じだと思います。ネットワークを組んで、AがあってBへ行ってAとBがくっついてBとCと広がっていくというイメージではなくて、Aがあって、どこかへつながってBが出てきて、Cが出てきてという形で点が増えていくというイメージの方が理解しやすいのかなという感じがします。そこに飯塚委員がおっしゃったような、子供が変わると親が変わるということの中で、地域が少しずつ変わっていくとか、理解者が増えていくとか、それは線がつながっていくということよりは、どちらかというと点が増えていくという感じで地域が変わっていくことになるのではないかと思います。
  例えばここに挙げました青森県の大鰐町というところがあるんですけれども、大鰐のキッズプロジェクトは面白いことをやっていて、地域の大人たちが町作りのグループを組んでいるんですが、そこは小学生が東京の野菜ソムリエの意見を聞いて、今後東京でこういう野菜がはやりそうだよとか、こういうものが必要だよと聞いて、子供たちが学校で野菜栽培をするんです。収穫して東京に持ってきて、青森県のアンテナショップで子供たちが売るんです。そのときに取引先の大手の外食チェーンの社長も呼んで、来てもらい、子供たちと交流しながら、その夜に名刺交換会があって、ジュースを飲みながら子供たちが自分のお手製の名刺を社長たちと交換するんですね。そして帰ると何が起こるかといいますと、お父さんたちに、「お父さんは大鰐なんか将来はないから出ていけと言っているけれども、東京の人はこんなに大鰐のことを大事だと言ってくれるよ」と言い返すわけです。そして自分たちは将来、中学校は出ていくかもしれないし、高校から出ていくかもしれないけれども、大鰐に帰ってきて新しい仕事を作りたいんだと言い始めるらしいんです。そういう実践があちこちで起こっていることによって親が変わっていきますし、地域も変わっていくことが起こるのではないかと思うんです。ですから性急につなげていくということよりは、点を一つ増やしていくことの方が議論としてはしやすいかなという感じを持っています。

【平岩委員】
  ありがとうございます。

【明石部会長】
  山野委員。

【山野委員】
  質問ではないんですけれども、プロセス、コラボレーションするということは必ず葛藤があって、葛藤をどうマネジメントしていくのかということがあります。牧野委員がおっしゃった住民の中に議論を作っていくんだ、これを新しい専門職と呼ぶんだというのはとても重要だと思って、何か特別な技能が要る人というのはイメージしやすいので、そこは明確化していった方がよいと思いました。
  先ほど生重委員がおっしゃった、好事例が出ると、あそこだからねというのは各地域でそう言われてしまうので、住民側から見たプロセスを明確化し、人材がどうだったかというよりもプログラム評価やプロセス評価が重要ではないかと思い、そのような視点が入ったらいいのではないかと思いました。
  それともう1点、浦崎委員がおっしゃった、全体像をシンプルに伝えるんだというところで、支援側の全体像も、資料6の4ページ、教育委員会内の、学校教育部局と社会教育部局、あるいは首長部局というお話も出ていたんですが、この辺が見えていない。実は学校の中で、先ほどのお話も地元でいろいろ聞くと管理職しか見えていない。学校の教員全員が見えているわけではない。これらを考えると、全体像が学校教育とか家庭教育を見えるようにする。今日の報告の中にも家庭教育と連携している学校支援地域本部の例もあるというのがいい。家庭教育、学校支援地域本部など登場人物全ての全体像が見えて、どれを選んでいったり、どういう構造でチームを組んでいったらいいのかというのはそれぞれの自治体が違っていい、チョイスできるという、そういう見せ方ができないか。国の会議ですから、1本を作るという意味ではなく、見える化していき、チョイスしていけるのがすごく重要ではないかと思いました。
  もう1点、家庭教育の方で、今家庭訪問型の支援を検討しています。家庭教育の方で例年のアンケートで、一番困っているというのが、困難な課題を抱える家庭への接近方法などです。学校支援地域本部とかいろいろな方が出会われています。その困難事例に対する入っていき方のマニュアルというかガイドラインみたいなものを作ろうと家庭教育の方でされているんですけれども、それは一例ではありますが、コーディネーターのモデルとかプロセス的にどのように入っていくのか、誰とどうつながっていくのかが見えていく、提示していくのも大事なのかなと思いました。学校内組織である縦と地域との関連での横の話です。以上です。

【明石部会長】
  コーディネーターが学校と家庭にどうやって入っていくか、そのプロセスがすっと入っていける場合と、なかなか壁が高い、学校でさえも高いし、家庭はもっと高い場合があるという、非常に大事な御指摘です。永山委員。

【永山委員】
  コーディネーターのことですけれども、どういう場合にうまくいったのか考えましたら、やはり学校の表も裏もよく知っている人。学校の事情、教員の事情、地域の事情がありますし、地域の人間関係も大変重要であり、また中学校と小学校の違いをよく知っている人。
  つまり本当に何でも教員が相談できるような評議員みたいな方で、バイタリティーのある人がコーディネーターになった場合、とてもうまくいきました。小・中学校との関わりとも関係してくるんですけれども、小学校でいろいろ活動するんです。小学校ではアクティブ・ラーニング的なことは以前からやっています。ところが中学校に行くと進学や授業時数の問題もありこなしていくのが大変です。高校も同じだと思います。
  ところが、小学校は以前は幾らでも時間があるような感じでやっていたんですけれども、子供たちが中学校に行き、地域との連携となったときに、壁になるのがどうしても授業時数とか、先生たちの理解が得られないとか、子供たちは進学していくんですれども教員は別々ですね。そのパイプ役をコーディネーターがうまくやってくれると、小・中学校の違いを踏まえたいい教育内容を提示してくれるような人が、うまくいきました。
  学校のことをよく知っている方、小中の違いをよく知っている人で、人格的にも優れた人材をどう見付けていくかが大きな課題だと思います。だから地域のいろいろな会合に顔を出して地域のことを知っていく。ではどこまでを地域というのかと学校でも議論になるんですけれども、PTAも地域なんです。子供が卒業すると地域のおじさんおばさんになっていきますし、PTAという言葉も、学校とPTAと言いますけれども、PTAのTは学校なので、PTAで本当は学校も含まれているんです。そういうことでPTA、学校、地域を一体となって見ていけるような人が、学校としてはほしいと思います。以上です。

【明石部会長】
  ありがとうございました。竹原委員。

【竹原委員】
  私は二つ申し上げたいのですが、まず子供をフルメンバーとして考えることを心掛けています。これは本気でやらないと、やったふりになってしまうと思っています。
  東山田であるとき企業の方がいらして、中小企業75社のある工業団地で、横の連携がなかなか取れず、防災や安全管理で困っている。学校と何かできないかという相談が飛び込んできました。ちょうど中学校の保健委員会が、防災を軸に何年間も小中連携で動いているのを知っていたので、コーディネーターがこの話をつなぎました。その結果中学生が核になり75の企業の情報が共有され防災マップができました。一企業の社長が、「皆さんどのように防災対策をしていますか」と聞いて歩いたら、「何の権限で」と言われてしまうところ、中学生が各社を回りマップを作成、横の連携が初めてとれました。保健委員会の中学生も地域に出て自己有用感を高め、小中学校の防災学習も連動し、まちづくりへつながりました。子供をフルメンバーとするとともに、私たちコーディネートをする立場としては飛び込みにも強くなければいけない。つまり偶発性にも強くなければならないと考えています。今年の年間計画はこれですというだけではやれないということです。すぐに実を結ばなくても種をまくことを大事にすることで、先ほど牧野委員がおっしゃった地下茎というか、根っこに、いつか芽を出すものにつながるのではないかと思っています。
  コーディネーターの資質が議論されていますけれども、イコールパートナーとして子供も、企業も含めてつないでいける力がなければいけない。それは能力とかスキルだけではないですね。マインドが必要だと思います。そのときにやってみたけれどもできないとか、してはみたけれども引かないといけないということもたくさんあるので、うまくいくだけではなくて、トライ・アンド・エラーができる人が必要だと思います。めげることはたくさんありますが、志のあるコーディネーターがネットワークをしてつなげていければと思います。
  プラットフォーム型とか、まちづくり未来プラットフォームという組織を作りという御提案について、少し詳しく聞きたいと思います。
  

【明石部会長】
  生重委員。

【生重委員】
  今までの議論を聞いていて一つひっかかったものがあって、コーディネーターは誰でもできるというのは若干まずかろうと思います。誰でもできるんですが、ファシリテーターの能力があるとか、結局資質ですよね。人を見抜く目をどう持つかという、それもあるんですけれども、社会教育的には学び続けるという姿勢を持つことが重要で、これだけ変わりゆく地域や学校を取り巻く背景、現代的な課題を含め、それから学校理解、それから口が固いとか余分なことを言わないとか、そういう要素がたくさんあって、学び続けるというのは一つの才能なので、誰でもできるわけではないなという気がいたしました。
  冒頭の説明にも教育課程の話も出て、教員養成も劇的に変わらなければいけないし、学校経営者の研修の内容も踏み込んだものにならない限りここの理解はいかないと思います。今回の一番特筆すべき点は開かれた教育課程、それからカリキュラム・マネジメントなんだという、チーム学校の中で教科も横断して、生活体験、社会体験、地域課題解決というものが全ての教科と連動できるんだというところも含めてカリキュラム・マネジメントできる学校側のリーダーを輩出していくことと、コーディネーター側にもそこに理解を示し、きちんとカリキュラム・マネジメントを外側から理解し、外側から進めていったり結び付けていく、例えば飯塚委員のところのプログラムは道徳の、ここでもってくることによってこう生きるでしょうと。その前後でどの教科の先生が何をどう教えれば、飯塚委員たちが来てくれたJCIプログラムが生きるのか、子供たちの中で納得値が深まり、自分から発信できるような市民となれるのかみたいなことも含めて、コーディネーター側も真の理解をしていない限り、教員だけがまたしんどい状況が生まれてくるというのが、皆様方の議論を聞きながら、このようにならなければ駄目だなと。だから新しい、今まで作ってきたものプラス要素を加えながらコーディネーターを伸ばしていかなければいけないし、それに社会教育主事も抜本的に機能する社会教育主事資格になっていかなければいけないと改めて感じました。

【明石部会長】
  ありがとうございました。まだまだ議論は尽きないのですけれども、用意した時間が迫っております。本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。
  その前に先ほど竹原委員がおっしゃいましたように、牧野委員が提案した新しい専門職の袋をどういう形で捉え直すか、一つは社会教育主事、公民館主事を新たに発展的解消の方にもっていくのか、違うレールを引くのかという感じで、新しいキーワードを出していただいたので、今後議論していきたいというのが1点です。
  二つ目は、子供をフルメンバーにするというのを、もう少し具体化したときにどうなっていくのか、子供が主体的になるんだけれども、どういう形で保障していくかを押さえておかないとグチャグチャになるかな、というのがありました。
  三つ目は、学習のプラットフォーム化というのはずっとこの部会で話してきました。それとチーム学校といったときのドッキングの仕方を、どう捉え直すかというのが課題になります。これはこの部会でなくて初中局の方もありますので、チーム学校と学習のプラットフォーム化をどう整合性をもたらすかが大事かなと思いました。
  最後、私が個人的に言いたいのは、まだ定着しませんけれども、行政の学習化という概念の理解です。これは牧野委員が指摘されています。この二つの概念の共有化が求められます。それと、浦崎委員がおっしゃるように知事部局、首長部局に対するメッセージをどうするかということです。また、教育委員会の行政でも各部局との連携、もっと広い意味での行政の学習化ということをどうするか、非常に大事な御指摘を頂いたので、答申をまとめる場合にこの辺をうまく詰めていきたいなと思っています。どうもありがとうございました。
  それでは本日欠席の委員からの御意見がありましたけれども、それは後ほど事務局から御紹介いただきまして、この辺で終わりたいと思います。
  では今後のスケジュールについて事務局でお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】
  本日は様々御意見を頂きまして本当にありがとうございました。検討の視点に関わるところ、いろいろアイデアを頂いたと思います。
  本日は、関委員が災害対応で急きょ御欠席になったんですけれども、御意見を頂いておりまして、簡単に御紹介します。先日新居浜市の取組という御発表がありましたけれども、学校支援地域本部を立ち上げた目的が、子供たちの教育の場としての学校・地域住民の力を結集して支えていこうということでした。地元で問題行動を起こす子供たちが増加したとか、不審者の増加によって登下校の安全が損なわれているというところへの対応はそもそも地域の課題であって、それを地域の住民の方々の力で少しでも改善できることに取り組んでいこうということが非常に大事で、きっかけにもなっているし、それが学びにもつながっているんだと、話合いを重ねる中で地域力が高まってきたと感じておりますということでした。地域課題解決というときに、純粋に課題を解決するだけではなく、自分たちの得意分野を見極めたり、磨きをかけて活動を大事にしていくことが貴重であり、過去から現在に至る流れだったりということを、担ってきた人材の方々に活躍の場をうまく提供できれば社会教育活動にも結び付けることができるのではないかと、新居浜市ではふるさと学習として別子銅山の近代化の産業遺産、塩田文化の継承、郷土の偉人などについての検証に取り組んで、現在ではESD教育という形で全体につなげているんだという御意見もございました。
  資料7に今後のスケジュール案がございます。次回は第7回、9月14日月曜日に、9時30分から12時まで文部科学省内の会議室で行いたいと思います。以上でございます。

【明石部会長】
  ありがとうございました。それでは本日予定した議事は全て終了いたしました。
  これで第6回生涯学習分科会学校地域協働部会を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室