資料5 中央教育審議会総会第99回(平成27年4月14日)・初等中等教育分科会第98回(平成27年4月21日)・生涯学習分科会第77回(平成27年4月27日)における主な意見(諮問関係)

【総】・・・総会、【初】・・・初等中等教育分科会、【生】・・・生涯学習分科会

■今後のコミュニティ・スクールの在り方について
・コミュニティ・スクールは、学校運営の観点と地域との連携の観点と二つある。【初】
・コミュニティ・スクールは小中学校と高等学校ではその在り方も異なるということも含めて検討が必要である。【初】
・高校生たちが地域の課題解決に取り組んでいる学校が増えてきている。自治体の取組から先進事例を共有し、高校のコミュニティ・スクール化を図っていけるとよい。【初】
・地方創生を考える上で、地元への若者定着のためにも、コミュニティ・スクールに企業が参画するような新しいスキームを考えていけるとよい。【初】
・今後のコミュニティ・スクールでは、キャリア教育に力を入れてほしい。その際、大きなハードルとなるのは、地域のプレイヤーとして参加してほしい働き盛りの男性たちが学校に関わる精神的余裕のない現状であり、中央教育審議会の立場からも企業の労働時間について申していくべき。【初】
教員養成段階から地域との連携・協働の意識を構築していくことが重要である。また、校長の意識も重要であり、早急に手を打つ必要がある。【総】

■コミュニティ・スクールの導入等の促進について
・学校は課題を抱え込むのではなく手放していく必要があり、その意味でコミュニティ・スクールは意義があるが、コミュニティ・スクールに係る時間や責任を明確にしながら、コミュニティ・スクールに移行していくことが重要である。他の仕組みと比べたメリットを示すことができれば、学校は取り組んでいけるのではないか。【初】
・町村レベルでコミュニティ・スクールの導入が進まないのは類似の仕組みがあるという不要感からであり、教員にとっても、新たな仕組みの導入に多忙感を感じてしまうからではないか。一方、校長が代わろうとも学校は成果を上げていく必要があり、そうした継続性の観点からはコミュニティ・スクールは重要である。町村教育長会でもコミュニティ・スクールを進めようという議論をしているが、地方では人材確保が難しいこともあるため、段階的な導入が望ましい。総合教育会議も活用しながら、首長部局と一緒になって進めていく必要がある。【初】
・どの学校にも地域住民等の意見を学校運営に反映する仕組みはあるが、現状からコミュニティ・スクールへの進化を図るとすれば、従前の取組との違いの明確化やメリットを示していけば自然と移行が進むのではないか。【総】
コミュニティ・スクールは本来の機能を果たしているのか、なぜ広げていかなければならないのかといった本質の議論がないまま今に至るのではないか。そうした本質を共有するためにも、コミュニティ・スクールについては、学校におけるマネジメントの観点と社会教育が学校に関わる意義の観点について考える必要がある。【初】
・これから統廃合が進んでいくことも考慮し、統廃合をきっかけにコミュニティ・スクールに取り組むのではなく、その前から一地域のみならず地域間で関係づくりをしておく必要がある。【初】
既存の仕組みを生かしてコミュニティ・スクールに移行していく場合と、全く何もない状態からコミュニティ・スクールを導入していく場合とで分けて検討していく必要がある。【初】
・小中学校が活性化していくために高校生が参画していくという発想も必要ではないか。【初】

■コミュニティ・スクールの課題について
・全校に学校運営協議会制度を導入するという方向性には賛成である。一方で課題も多くあり、学校運営協議会委員となる人材の不足や外国人の多い学校の存在等の地域の実情が様々であることから、一気に導入していくことは困難な状況である。地域の課題をしっかり検証しながら、前向きに検討していきたい。【総】
・コミュニティ・スクールの導入により、教員の労働時間が減り、教員の職場以外でのインプットの機会が増えることにつながり、子供たちへ還元できるようになっていければよい。【総・初】
教員の長時間労働が課題となっている中で、コミュニティ・スクールが必要だという納得感が必要であり、優先順位を示していくことが必要ではないか。【初】
教員の多忙化についてしっかり考えていくことが重要である。学校支援本部や放課後子供教室の事業は導入以来10年たたないが、教員の負担になっていないこともあり、広がってきている。コミュニティ・スクールに支援本部等の仕組みを取り入れていくことは重要だが、校長のリーダーシップや教員の勤務負担についても考慮が必要である。【初】
地域との連携に当たり、副校長や教頭の負担を軽減する観点から、事務職員の活用が重要である。【総】
・学校運営協議会委員は単なるオブザーバーではなく、一定の権限を持つため、学校の実情を見るための場と時間を確保するとともに、意欲ある人材を選ぶことが課題である。【総】
・コミュニティ・スクールを広げていくに当たり、教員が人脈を備えていることが重要であり、また、しっかりとコミュニティ・スクールについて語れることも重要である。【初】
・コミュニティ・スクールがなぜ必要で、どういったメリットがあるのかといった点のリアリティの共有がなされていない。より詳細な実態調査等を通じてメリット等を示していく必要がある。【初】

■コミュニティ・スクールの機能について
・コミュニティ・スクールの在り方を議論するに当たり、教職員の任用の議論は避けて通れない。自治体レベルでは、学校支援地域本部等は生涯学習関連の部署所管で、人事は学校教育関連の部署所管と異なるため、全国に広げていくためには、組織におけるシステム化も構築していかなければならない。【初】
・コミュニティ・スクールの任用に係る意見具申については、内情を熟知していないと無理がある。学校支援本部の経験ある人などを学校運営協議会委員にするなど、組織構成についても検討していかなければならない。【初】
・学校支援本部の導入が先か、コミュニティ・スクールの導入が先かという議論もあるが、プロジェクトを実行するためには、学校支援地域本部等の実行部隊が必要となる。【初】

■学校支援地域本部の在り方等について
・学校支援地域本部は、地域の課題解決の核として、大人の生涯学習の場ともなり、もう一方の諮問(教育の多様化と質保証の在り方)とも有機的に連携していると考えられるため、関連付けた提案につながるとよい。【生】
・地域は専門性の高い人材の宝庫でもあり、また、学校支援地域本部が持続可能な組織となるためには、そういった地域の人たちにとって働く場となることも想定して議論することも必要ではないか。【生】
子供の問題が多様化しているため、解決に向けて教員を増やすのか、教員を支援する人材を増やすのか、学校支援地域本部の制度化も含めて検討が必要。【生】
高校生に地域のイベントに参画してもらうことは、キャリア教育の前に生涯学習としても重要なこと。異世代の大人と付き合っていくことも大きな学びとなるため、学校支援地域本部の取組として推進すべき。【生】

■地域人材(コーディネーター等)の確保、配置、研修について
・地域人材の研修を早急に進めることが必要。【生】
地域人材の確保が重要であり、そのためには企業の理解が必要であり、企業で働く人々にとっても、学校への参画協力は社会教育の実践の場と捉えて理解を示してもらいたい。【初】
・退職した団塊の世代は様々なキャリアを持っているので、そういった人たちが活躍できる場を地域につくってもらいたい。【生】
・コーディネーターをどう地域で生かすのかという前提をもって学校の統廃合を考えるべき。【生】
教員、地域の人材の両方に対して研修が必要。【生】
コーディネーターの能力としてはFBI(「F」はフットワークが軽いこと、「B」はバランスがよいこと、「I」はITが使えること)が必要。【生】
社会教育主事は、地域のコーディネーターとともに学校・家庭・地域の連携を進める上で重要な存在であるため、学校には必ず配置してほしい。【生】
・コーディネーターは、市レベル、ブロックごと、学校ごと等、重層的に配置することが必要。【生】
・学校支援地域本部からコミュニティ・スクールへと発展していく段階で、地域のグランドデザインを描ける地域人材を育てるには、アクティブラーニングなどを地域の人たちに学んでもらい、子供たちも含め、地域に一定の価値観を持ってもらうことが重要。【生】

■地域との連携全般について
地方創生を考える上でも重要な諮問である。学校が地域を育て、地域も学校を育てるものであり、これまでは学校教育には保護者とPTAのみが関わってきたが、これからは地域全体が関わっていくという視点が重要である。【初】
・地方では子供の数も減ってきており、まちそのものが小さくなっている。地域活性化のためには、子供も地域行事に積極的に参加するなど、子供が地域を支えていくという気概を育てていかなければならず、学校と地域が一体となっていくことが必要である。【初】
学校にとっては、地域の人々が入ってくる場合、学校側に窓口として副校長やボランティア人材を置いていると機能しやすい。【初】
地域側も学校を支援したいという声はあるが、言いづらいということもあるため、校長がリーダーシップをもって積極的に地域に対する関わりを発信してもらいたい。【初】
・学校の周りの地域住民だけでなく、もっと広い範囲から学校を支援するネットワークがあるとよい。また、子供は支えられる存在というだけでなく、子供自身が地域で役割を担い、果たしていく機会を与えていくことが重要である。【初】
・学校運営という観点からだけでなく、(公私関わらず)子供たちが地域の活動にどう参加していくか、その機会や場をどのように確保していくかといった点についても検討が必要である。【初】
・私立学校に通う子供たちは居住地域との関係が希薄化している。私学も、商店街との連携など地元と協力しながら子供たちを育てていく必要性を感じており、公立だけでなく、私学における地域との連携も重要である。【初】
・社会が変わっていく中で、子供の学びも変わっていく必要があり、体験活動が重要である。地域や社会が正にその場となる。【初】
・NPOや企業、大学など子供たちが地域の活動に参画していく道をどうつくっていくか議論してほしい。【初】
高校生が社会参画していく場を提供していくという視点が必要である。【初】
・防災という観点から地域との連携を考えていくという例もよくある。【初】
学校と地域の連携については現状も地域ごとに“地域の底力”を持っており、そのあたりを斟酌(しんしゃく)し、よりよい体制を作っていく指導が必要。【生】
・生涯学習を活用しながら、個人の利益を実現していくと社会のためになるという仕組みができるかどうか。弱い個人の共存によって強い社会の基盤ができることを議論していくことが必要。【生】
・地域の連携・協働を考える上で、その目的は何かを起点として考えることが大事であり、それに沿ったプログラムを設定することが重要。【生】
学校と地域の相互理解を深めるためには、地域人材について、専門職とそうでない人の立場を見える化し、それぞれがどのような役割でどうリンクしているのかなど、全体的なマッピングを示すことが重要。連携のポイントは弱点を共有すること。【生】
・学校を核とした地域づくりを進めるには、地域教育のグランドデザインを行政ではなく、地域が描くことが重要。【生】

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生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室