制度問題小委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成19年6月28日(木曜日) 10時~13時

2.場所

如水会館 「オリオンルーム」(2階)

3.議題

  1. 制度問題小委員会委員長・副委員長の選任について
  2. 教育基本法改正等を受けた生涯学習・社会教育関連法制の在り方等について
  3. その他

4.出席者

委員

 明石委員、糸賀委員、井上委員、菊川委員、清國委員、讃岐委員、鈴木委員、高橋(興)委員、高橋(守)委員、土江委員、水嶋委員、山重委員、山本委員、米田委員

文部科学省

 田中文部科学審議官、加茂川生涯学習政策局長、金森総括審議官、清木生涯学習総括官、大槻生涯学習政策局政策課長、高橋生涯学習推進課長、平林社会教育課長、湊屋男女共同参画学習課長、後藤参事官、安間青少年課長、濱口民間教育事業振興室長、行松地域学習活動推進室長、岩佐家庭教育支援室長、今野生涯学習調査官、小林生涯学習推進課課長補佐

5.議事録

【高橋生涯学習推進課長】
 失礼いたします。定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会、第1回の制度問題小委員会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、ご多忙中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 清國委員が既に羽田には到着したんですが、こちらに向かう交通機関に若干乱れがあるということで、少しおくれるという連絡が入りました。そのほかの出席予定の委員の皆様はおそろいでございますので、これにて開催させていただきたいと思います。
 既に皆様方にはご案内いたしておりますが、先週の6月18日の生涯学習分科会におきまして、教育基本法改正等を踏まえた生涯学習や社会教育関係法制のあり方についてご審議いただくためにこの委員会が設置決定されて、きょう、第1回目の開催の運びとなったわけでございます。
 きょうはこの後、委員長などの選任などをいたしていただくことになっておりますが、それまでの間、便宜的に事務局のほうで司会を務めさせていただきたいと思います。私はこの分科会を担当いたします生涯学習推進課長の高橋でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、現在政府では9月末まで温暖化防止、省エネのために、クールビズということで会議室の温度を通常よりも若干高目に設定しておりますので、会議が進みますと少し暑くなるかもしれませんが、その場合には、どうぞ上着などをおとりいただければと思います。すいません、事務局も早速上着をとっておりますが、そういうことですので、お許しいただきたいと思います。
 それでは、まず会議の冒頭に、担当局長であります生涯学習政策局長の加茂川より一言ごあいさつを申し上げます。

【加茂川生涯学習政策局長】
 おはようございます。加茂川でございます。私のほうから冒頭、まず皆様方にお礼を申し上げたいと思います。この小委員会の趣旨につきましては、今、高橋課長のほうからご説明がございましたが、教育基本法の改正を受けての法律事項について、特にこの小委員会は生涯学習分科会のもとに置かれますので、生涯学習・社会教育に関係する法律的な問題点についてご審議をいただくということで設置させていただいたわけでございますが、お集まりの委員の方々は大変お忙しいのにこの委員のメンバーとしてお引き受けいただきましたことを、まず御礼申し上げたいと思いますし、早朝より第1回目の会合にお運びいただきましたことも、重ねて御礼申し上げたいと思うわけでございます。
 背景について、私のほうからるる申し上げる必要はないくらい、お集まりの皆様方はご存じと思いますけれども、昨年の12月に教育基本法が60年ぶりに改正になったわけでございます。大臣がその教育基本法の改正の審議の際にも、その後の国会でも何度も申しておりましたけれども、教育基本法の改正は大変大きなことでございますが、具体的にその理念、目標を実現するためには、教育基本法が改正になっただけでは進まない。関係の法令の整備がまずございますし、肉づけ、肉づけと言っておりますが、関係する予算等の確保も必要でございますし、関係者の意識改革が何より必要かもしれませんし、それから、スケジュール管理といいますか、教育振興基本計画というものもきちんと樹立した上で物事に当たっていく。そういう総合的な取り組みが必要になるわけでございます。
 そこで、法令的な整備で申しますと、実はこの通常国会に緊急を要する学校教育法等の3法案、教育再生3法案と俗称しておりますけれども、それが提案になりまして、去る6月20日に成立いたしました。この教育再生3法案に関しましても、中教審の関係分科会で、たしか2月6日が第1回だったと思いますが、3月10日の答申に至るまで集中的なご審議をいただいた上で、中教審で十分ご審議をいただいた上で、法案を作成する手順に入り、国会のご審議をいただいたという手続がございました。
 その3法案はいわゆる緊急を要する法律的な整備でございましたので、これで終わるものではない。それぞれの学校教育の分野、青少年体育の分野、私どもの生涯学習・社会教育の分野でもまだまだ検討すべき課題があるわけでございます。この小委員会では、関係しますのは社会教育法等、関係法律が幾つかございますけれども、それに関しまして、教育基本法の改正を受けたご審議を専門家のお立場から、それぞれの知識やご経験を踏まえて、やや詳し目のご審議をお願いしたいと思うものでございます。
 関係します教育基本法は、何よりも3条に新しく生涯学習の理念の条文が規定されたことが第一でございますし、家庭教育についても新しい条文が、それから学校、家庭、地域社会の連携についても新しい条文が設けられておりますし、社会教育の条文についても充実が図られておる。そういったことがございますので、それを踏まえて関係する法令について、教育基本法は60年ぶりに改正になったわけでございますから、それぞれの関係法律も歴史のある法律で、長いこと課題がたまっている部分もあるのではないかと思います。また、現代的な要請についても速やかに対応すべき課題も顕在化しているのかもしれません。どうぞそういった観点から、皆様方に奮ってご審議をお願いしたいというのは、この場でございます。
 事務局、十分お世話させていただこうと思っておりますけれども、いろいろご注文、ご指示のもとに進めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 それでは、前後いたしましたが、資料1-1にこの制度問題小委員会の設置についての設置要綱がございます。そして、資料1-2に委員名簿がついておりまして、委員はこの資料1-1の設置要綱に基づきまして、田村生涯学習分科会長のご指名により、既に決定させていただきました。初回でございますので、この名簿の順番とは異なりますが、きょうは座席を五十音順に配置させていただいておりますので、私のほうから順番にご紹介させていただきたいと思います。
 明石でいらっしゃいます。

【明石委員】
 明石です。よろしく。

【高橋生涯学習推進課長】
 糸賀委員でいらっしゃいます。

【糸賀委員】
 糸賀でございます。よろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 井上委員です。

【井上委員】
 井上でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 菊川委員でいらっしゃいます。

【菊川委員】
 菊川でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 清國委員は、ほどなく到着と思います。
 続きまして、讃岐委員でいらっしゃいます。

【讃岐委員】
 讃岐です。よろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 鈴木委員でいらっしゃいます。

【鈴木委員】
 鈴木です。よろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 また、正面に戻りまして、高橋 興委員でいらっしゃいます。

【高橋(興)委員】
 高橋でございます。よろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 高橋 守委員でいらっしゃいます。

【高橋(守)委員】
 高橋でございます。

【高橋生涯学習推進課長】
 土江委員でいらっしゃいます。

【土江委員】
 おはようございます。土江でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 水嶋委員でいらっしゃいます。

【水嶋委員】
 水嶋でございます。よろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 山重委員でいらっしゃいます。

【山重委員】
 山重です。どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 山本委員でいらっしゃいます。

【山本委員】
 山本です。どうぞよろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 米田委員でいらっしゃいます。

【米田委員】
 米田でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 あと本日はご欠席ですが、興梠委員が就任されまして、全部で15名ということになっております。
 それから、事務局の出席者も簡単に紹介させていただきます。文部科学審議官の田中でございます。

【田中文部科学審議官】
 田中でございます。おはようございます。

【高橋生涯学習推進課長】
 先ほどごあいさついたしましたが、生涯学習政策局長の加茂川でございます。

【加茂川生涯学習政策局長】
 どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 大臣官房の総括審議官の金森でございます。

【金森総括審議官】
 よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 生涯学習政策局の生涯学習総括官の清木でございます。

【清木生涯学習総括官】
 清木でございます。よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 同じく、政策課長の大槻でございます。

【大槻政策課長】
 よろしくお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 最後に、社会教育課長の平林でございます。

【平林社会教育課長】
 どうぞよろしくお願いします。

【高橋生涯学習推進課長】
 そのほか、きょうは担当官が2列目以降に控えさせていただきます。
 それでは、これから委員長・副委員長の選任という人事案件に入ります。恐縮でございますが、傍聴の報道の方がいらっしゃいましたら、人事案件でございますので、しばらくの間、非公開になりますので、退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

※委員の互選により委員長が専任され、副委員長の指名が行われた。

(報道関係者入室)

【山本委員長】
 お手元に資料がたくさん用意されているかと思いますが、それでは、公開をしていただきましたので、早速ですが、審議に入りたいと思います。今回は最初でございます。本来、生涯学習分科会での審議の経過などを説明していったほうがいいのかもしれませんけれども、もう先ほど加茂川局長がごあいさつくださいましたので、私のほうからは省略させていただきたいと思っております。我々のほうは、生涯学習・社会教育関連の法制の改正も含めて、今後の制度のあり方、根幹にかかわるところの検討をまずこの小委員会でしっかり固めるということでございますから、非常に重要な役割を担っているかと思います。
 そういうことにつきましては、この前から分科会のほうで分科会長からも依頼がございますので、今回は最初で、専門委員の先生方は初めてお集まりいただいていますから、自由にご意見をいただければと思いますけれども、ただ、時間的に言いますと大変びっしり詰めてやっていかないとならないところかと思います。一応予定としては、これから7月いっぱいぐらいはそれぞれ課題がございますので、そういうことについて集中的に審議を重ねていただきまして、この審議の動向を見まして、8月に入りましたらば、分科会のほうに中間的な報告でもできればと思います。やはり分科会とこちらでキャッチボールの行ったり来たりをしていないとまずいかと思いますので、そういう運びにしていければと思っております。
 そうしますと、委員の皆様はお忙しいのは重々承知しておりますけれども、ご無理をお願いしなければならないかもしれません。その点、よろしくお願いいたします。場合によればペーパー等とかメール等でいろいろご意見をいただくということも出てくるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、審議に入りたいと思います。まず事務局から本日の配付資料についての説明をお願いいたします。

【高橋生涯学習推進課長】
 それでは、きょうは初回でございますので、少し配付資料がたくさんございますが、資料の確認を兼ねて、私と平林社会教育課長から合わせて30分ぐらいで基本的なところをご説明させていただきたいと思います。
 まず議事次第に、きょうは資料が1-1、1-2、2、3-1、3-2と5種類ございます。この資料は基本的には事務局である程度説明をして、会議の中心的な審議に役立てていただくものでございます。そのほかに、参考資料の1から5というのがございまして、これは時間の関係もありますので、事務局からは逐一説明いたしませんが、審議の中でまた参考に使っていただければと思います。
 それから、資料、参考資料以外にきょうは机の上に紙のファイルで、グレーのファイル、ピンクのファイル、グリーンのファイルと、3つファイルが乗っております。これは毎回会議の席上に準備をしたいと思います。各回の共通資料ということで、グレーのファイルは後ほど見ていただきますが、この小委員会で中心的に審議いただきます4つの法案の概要と条文。ピンクのファイルは、それにも関連してまいりますが、改正されました新しい教育基本法と教育振興基本計画関係の資料。そして、グリーンのファイルは、生涯学習や社会教育に関する基礎データを綴じ込んだものでございます。これは分科会でも使っている資料をこちらのほうに準備いたしております。もしこの紙ファイルに入っている資料をご自宅でもぜひ活用したいということであれば、おっしゃっていただければ同じものをコピーして、ご自宅にお届けいたしますので、ご必要な方は、事務局のほうにお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、資料1-1と1-2は既に見ていただきましたので、資料2と3-1、3-2、それから若干グレーのファイルを使いながら、まず私のほうから簡単に全体の状況と、生涯学習関係についてご説明いたしたいと思います。まず資料2をお手元にお願いいたします。
 これは先ほど局長からの説明で申し上げましたように、今回新しく改正されました教育基本法のうち、特にこの小委員会に関係する条文の抜粋でございます。2ページ目以降につきましては、この条文に関連する国会での主なやりとり、政府の答弁がついております。時間の関係で、1枚目だけをざっとご説明いたしますが、まず今回の基本法では、第1条教育の目的、そして第2条に教育の目標ということで、従来の基本法に比べまして、教育の目標がかなり具体的に掲げられた、これが1つの大きな特色でございます。
 例えば第2条第3項に公共の精神といったことがございますが、これは従来の基本法にはなかった文言でございます。そのほか、第4項の生命や自然や環境、第5項の伝統と文化、あるいは我が国と郷土を愛する態度、こういったものは今回の基本法改正によって新しく追加された目標でございます。国会答弁では、この第2条の目標というのは、学校教育、社会教育、家庭教育に通ずるものであるとされておりますが、一方で、社会教育や家庭教育というのは自主性を尊重して行われるものであるので、具体的にどのような教育を行うかは教育主体にゆだねられるんだと。学校教育とはおのずからそこの扱いが違うんだといったやりとりも国会で行われております。詳しくはまた2ページ目以降をごらんいただければと思います。
 それから、第3条に生涯学習の理念というのが新設されました。しかも、先ほど小委員長のお話にもございましたが、これは第1章の総則的なところに位置づけられておりまして、第2章の学校教育、社会教育、家庭教育の前に位置づけられているというところでございます。
 そして、第10条の家庭教育は新設された条文でございます。第10条では、保護者の第一義的な責任ということを書いておりまして、第2項では、国や地方公共団体の家庭教育支援ということが掲げられております。国会では、この第10条に基づいて家庭教育に具体的に立ち入るような新法の制定とか法改正は予定していないということを大臣も答弁しておりますが、一方で、第2項の家庭教育支援については、社会教育法等の改正も検討するといった答弁もございます。
 それから、第12条の社会教育は従来からあった条文でございますが、従来はなかった文言が冒頭につけ加えられております。「個人の要望や社会の要請にこたえ」ということで、個人の要望、社会の要請、この2つが対比している形で今回新規につけ加えられたと。これも今後の検討の1つのポイントではないかと思っております。
 そして、第13条には、学校、家庭、地域の連携協力に関する規定、これも新設条文でございまして、国会でもこのような規定を受けて、社会教育法等の改正を検討するといった政府答弁が行われております。
 大変駆け足で恐縮ですが、一応このあたりが基本法の中で特に今後念頭に置いていただくところかと思って、紹介をさせていただきました。
 次に、生涯学習法制に関しまして、若干資料を使いながらご説明をしたいと思いますが、まずお手元のグレーのファイルをごらんいただければと思います。このグレーのファイルは、最初の表紙のところに4つの法律、これは略称でございますが、いわゆる生涯学習振興法、社会教育法、図書館法、博物館法、この4つにつきまして、1ページめくっていただきますと、それぞれの法律の概要をコンパクトにA4の1枚にまとめてあります。その後ろにインデックスで1、2、3、4と耳のついているところからは実際の条文が入っておりますので、これを適宜ご参照いただければと思いますが、1ページめくっていただいたところに生涯学習振興法の概要がございます。
 ちょっとこれを見ていただきますと、この生涯学習振興法は、ちょうどあしたが誕生日になりますが、平成2年6月29日に成立で、制定されて約17年の法律でございます。そこに書いてある内容というのは大きく3点でございまして、都道府県教育委員会の行う事業について定めております。2点目は、都道府県が定める地域生涯学習振興基本構想についての規定がございます。そして、3点目として、都道府県の生涯学習審議会の規定がございまして、大きくこの3点が規定されております。
 法律の中には、生涯学習の定義規定というのは特に設けられておりません。また、県の規定が中心になっておりまして、国や市町村の役割については、必ずしも明確に規定はされておりません。一番下の改正履歴を見ていただきますと、地方分権改革とか、中央省庁再編とか、そういった改革に伴う規定の整理はございましたが、いわゆる生涯学習の観点からの大きな改正というのは行われないで、現在に至っているという法律でございます。これが今後どういう見直しの必要があるかというのが、1つ大きなテーマになるわけであります。
 そして、それに関連して、今までこの中教審の分科会、その他においていろいろなご意見をいただいております。それを項目ごとに整理したのが資料3-1でございますので、資料3-1をちょっと見ていただければと思います。
 この資料3-1、一番上、タイトルの下に凡例を書いておりますが、大きく4つの意見をまとめて項目ごとに整理いたしました。◎というのは、ことしの1月に第3期の生涯学習分科会にまとめていただいた中間報告の中でも、この4つの法律に関する見直しの提言が行われております。◎はその中間報告に盛り込まれた提言でございます。
 それから○は、特に先週の第4期の生涯学習分科会でもこの4法案の見直しについて、大変多岐にわたるご意見をいただきました。それを中心にまとめたものでございます。
 それから□は、図書館と博物館につきましては、中教審とは別に別途協力者会議で検討が進められて、それぞれ報告が取りまとめられておりますので、その報告に盛られている提言事項とご理解ください。
 そして●は、ちょっと最初の3つとは観点が異なりますが、ことしのゴールデンウィークを挟みまして、連休の前後に47の都道府県と17の政令市から、1時間ずつ生涯学習・社会教育関係のヒアリングを行いました。その中で、自治体の生の声としてどんな制度改正が必要かという聞き取り調査を行ったものでございます。ちょっとそういうふうに性格が異なる4つの意見がございますので、記号で区別しながら、これを大きく生涯学習、社会教育、博物館、図書館に分けて、さらにその中を少し小項目ごとに整理してみたのがこの資料でございますので、この資料3-1を見ていただきますと、大体これまでの議論が概観できるということになっておりますので、ぜひこういった議論を踏まえて審議を深めていただければと思っております。
 それから、資料3-2というものをその後ろに用意しておりますが、これはこの資料3-1で出てきたさまざまな意見に関係しそうなデータとか、各種答申等を事務局でピックアップしたものでございます。
 それでは、私のほうからまずこの1番の生涯学習関係のところについてかいつまんで申し上げたいと思いますが、資料3-1、これは生涯学習関係は(1)から(7)まで7つの小項目で整理いたしました。
 まず「(1)生涯学習の理念・定義等の明確化」で、自治体からも委員の中からも理念規定とか定義規定を置くべきではないかという意見がございます。先ほどちょっと申し上げましたが、現行法には生涯学習の定義規定は置いてございません。これは17年前の国会審議でも議論になったところでございますが、当時の議事録では、こういう政府答弁がございます。「生涯学習とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して、生涯にわたって行う学習活動であって、そのような通常使われている言葉によって法を運用すれば足りる。それ以上に一律な定義規定を設けると、かえってその意味内容を限定することにもなりかねないので、あえて定義は設けない」というのが、当時の整理でございます。
 それに関連いたしまして、資料3-2の1ページから5ページまで、少し長いんですが、これは中教審、生涯学習審議会等、関係審議会がこれまで生涯学習とか、生涯学習活動とか、生涯学習社会とか、そういうものについてどういった説明をしているかというのを少し時系列的にピックアップしたものでございます。先ほど申し上げましたように、「生涯学習とは国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して、生涯にわたって行われる学習活動」といった意味合いで大体使われているんですが、振興法で明快に生涯学習そのものは定義しておりませんので、例えば5ページを開いていただければと思うんですが、最近の諸答申の中では、生涯学習というよりは生涯学習社会という形で使われることが多くなっております。
 例えば5ページ目の真ん中ほどに、中教審の平成15年3月20日答申がございます。これは基本法改正のベースになった答申でございますが、ここでは、「国民の誰もが生涯のいつでも、どこでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような社会を実現することが重要であり、このことを踏まえて生涯学習の理念を明確する」といった形で答申がまとめられておりまして、実は先ほど基本法3条に書かれました生涯学習の理念は、この評価のところが「適切に生かす」と若干文言は変わっておりますが、実はこれがほぼ基本法3条のベースになった表現でありまして、そういった意味では、基本法上は生涯学習というよりは生涯学習の理念といった形で、若干今回整理がされてきたといった状況でございます。
 それから、恐縮ですが、また資料3-1に戻っていただきまして、(2)のところには生涯学習と社会教育や学校教育や家庭教育との関係を整理する必要があるのではないか。前回の分科会では、さらに企業内教育も含めて総体として考えるべきではないかといったご意見がございました。それから、(2)の一番上の○ですが、前回の分科会では、教育と学習というのが今回教育基本法には規定されていると。従来の基本法には学習という言葉がなかったので、これから議論していく上で、やはり教育と学習の関係というのは整理が必要ではないか。あるいは、少なくとも議論のたたき台として委員会にコンセンサスが必要ではないかと、そういったご意見もいただきました。
 また行ったり来たりで恐縮ですが、資料3-2の6ページ目でございますが、これは今回の教育基本法を改正する政府案を作成する際に、事務局の内部で整理した概念でございます。学習と教育の関係を、これは極めて大ざっぱに整理したものですが、学習というのは「学ぶ者」に着目した概念であって、これは教育による学習、これは学校教育、社会教育、家庭教育などがありますが、それだけではなくて、教育によらない自己学習も含む概念であると。学習のほうが教育よりも広い概念だと。一応基本法上の教育と学習は、こういった形で整理をして今の基本法ができましたので、これもちょっと議論の前提としてご認識いただければと思っております。
 それから、また飛び飛びで恐縮です。資料3-1に戻りまして、2ページ目のところに行きますと、「(3)国・地方公共団体等の役割」というのがございます。これも先ほどのグレーのファイルを思い返していただきますと、専ら現行法は県の事業とか役割が中心でございましたが、これは委員の意見とか自治体からの意見とか、共通的に国や県や市町村の役割や責任をしっかりと規定するべきではないか。さらに、教育委員会と首長部局の関係でありますとか、NPOなど民間教育機関の役割、あるいはそういったものの連携、推進体制のあり方、そういった規定が必要ではないかと。大変多岐にわたっておりますので、個々にはご紹介申し上げませんが、全体的にはそういったご意見が多数出ております。
 それから、同じページの下のほうで、「(4)地域生涯学習振興基本構想・都道府県生涯学習審議会」、これは専ら自治体からのご意見だったんですけれども、これも現行法に規定されているんですが、これも先ほどの資料3-2の7ページ目にこの2つについて資料を載せてあります。ちょっと現状を見ながらコメントをさせていただきますと、生涯学習審議会の設置状況でございますが、これは昨年調べたところによりますと、47の都道府県のうち約8割、36の都道府県にはこの生涯学習審議会が置かれているという状況でございます。ですから、設置は約8割なんですが、ヒアリングしてみますと、この生涯学習審議会と、また今後議論になると思いますが、社会教育委員の会議、これがなかなか役割分担が明確でない、そのあたりの整理が必要ではないか。そういった自治体がございました。ただ、ヒアリングでは非常にきれいに整理されていて、両方十分機能しているとおっしゃる県もあれば、実はほとんど重複していて、委員が兼務でやっているような状況だと。県によっても大分実情が違うなというのがヒアリングの感じでございました。
 もう1つの地域生涯学習振興基本構想のほうは、残念ながら現在までに県が構想を策定して所管大臣に協議が行われたのは平成8年に1件あるのみということで、あまりこれは活用されておりませんので、そういったことから自治体からは規定の見直しが必要ではないかといったご意見も出ております。
 あと簡単にレジュメの3-1の残りをご説明いたしますが、「(5)の学習成果の評価・活用」のところですが、これは第3期の分科会でも大分ご議論いただきました。特に基本法では、学習した成果を生かす社会の実現ということで、かなり評価にかかわる規定も入りましたので、1月にまとめられました◎の中間報告のところでは、具体的な提言として、例えば一定の要件を満たす検定制度を文科大臣が登録することによって生涯学習を振興するといった政策が考えられるのではないか。あるいは、学習成果とか内容を評価するような、国からは独立したナショナルセンター機能を持つ第三者機関を検討する必要があるのではないか。さらには、学習支援団体に対する顕彰制度の創設など、ここはかなり具体的な提言がされております。今、若干事務局のほうでもこういった提言について予算を含めて検討しておりますので、これはまた次回以降の機会で、より具体的なご提案もできればと思っておりますが、そういったことがございます。
 それから、同じ評価のところで、ジョブ・カードというのが出てまいりますが、実は現在政府部内でジョブ・カード構想というのが内閣府、厚生労働省を中心に検討されております。いわば就職に当たっての学習履歴ということで、これは生涯学習ともかかわるので、こういったものも視野に入れる必要があるのではないかといったご意見も出されております。
 さらに、(6)では人材育成の必要性。それから、「(7)その他」のところでは、以上(1)から(6)以外のご意見の雑多なものをまとめておりますが、例えば生涯学習の振興を考えるに当たっては、情報通信手段の積極的活用が必要である、他省庁との施策の連携が必要である、政策評価が必要である、そういった意見がございました。
 また、自治体サイドからは、これは生涯学習だけではなくて、社会教育法も含めた話だと思いますが、法制度の見直しのときには、地方分権の観点から、地方の裁量を狭めないように、規制にならないような配慮が必要であるといったご意見もございました。
 以上、大変雑駁な説明で恐縮ですが、主として生涯学習に関するこれまでの主な意見をご紹介させていただきました。資料3-1の4ページ目以降につきましては、引き続き社会教育課長のほうからご説明をさせていただきます。

【平林社会教育課長】
 それでは、社会教育法、図書館法、博物館法につきましては、るるご説明したいと思います。
 まず社会教育法についてでございますが、先ほどのグレーのファイルの冒頭に、社会教育法の概要というのを載せてございます。皆さん方ご案内かと思いますけれども、法律には定義ということで、目的の中に、「社会教育とは学校の教育課程での教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動」という定義が置かれているところでございまして、それに関する国及び地方公共団体の任務をこの社会教育法では明らかにしているということがございます。
 規定の内容では、ここにございますように、都道府県及び市町村の事業、事務内容、あるいは社会教育主事という教育委員会に置かれている専門職員としての社会教育主事の配置であるとか、あるいは資格要件について規定していると。それから、ほかに社会教育関係団体であるとか、あるいは社会教育について助言を行う社会教育委員の規定。それから、社会教育法の中には公民館の規定が置かれておると。それから、学校開放、通信教育といったようなことが置かれております。
 改正履歴で申し上げますと、1ページをめくってもらいますと、ちょうど直近では平成13年に家庭教育の支援であるとか、あるいは青少年の社会奉仕体験活動といったような規定が追加されているところでございます。
 それでは、資料3-1に戻りまして、社会教育法の部分の意見、こちらのほうは10点に分けて整理しておりますが、まず社会教育の目的または(2)の役割も合わせてですけれども、それであった意見といたしましては、「教育基本法で『教育の目標』に『公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う』」といったことが設けられたということを今後の社会教育のあり方を考える上で重要ではないかといったような意見。あるいは、時代の状況に応じた目的というものを考えるべきだと。また、地域の課題とか生活課題の解決に向けた取り組みの重要性といったものも考えるべきではないかということ。
 同じように、(2)の冒頭の部分でございますが、先ほどもございましたように、教育基本法の社会教育についての規定におきましては、「個人の要望と社会の要請にこたえ」というような文言が追加されましたが、その観点からでは社会の要請が強い学習活動が促進されるように配慮すべきではないかといったこと。それから、都道府県関係のヒアリングにおきましては、主にやはり国、地方公共団体の役割なり任務をちゃんと具体的に明示すべきではないかといったような意見が多く出されたところでございます。
 それから、(3)の社会教育主事についてのご意見も幾つかございます。一般的に望ましい社会教育主事の職務、養成、配置のあり方というものを検討すべきではないかといったこと。あるいは、これは最近の活動等からのことかと思いますが、地域と学校との橋渡し役として、社会教育主事の有資格者を活用する方策といったものを検討すべきではないかといったようなこと。
 それから、実は先日の分科会においてもご指摘がありましたが、最近社会教育主事というものが減少しているといったことがございますが、その減少というものは、その役割がわかりにくいといったことも一因ではないかと。それから、現在では社会教育主事につきましては、教育委員会の必置の職員として位置づけられておりますが、その必置条項はやはり堅持すべきではないかということ。あるいは、社会教育主事は教育委員会の職員でございますが、学校にも置いてはどうかと。それによって家庭や地域の教育力向上というものが図られるのではないかといったような意見が出ているところでございます。
 それから、配置関係で次のページにもございますが、冒頭で社会教育施設、ほかの施設等への配置というものを明示してはどうかといったようなご意見もございますし、この欄の下のほうですが、昨今非常に指定管理者制度というものも導入されておりますが、社会教育施設の円滑な運営のためには、この指定管理者制度、指定管理者の応募要件として、こういった社会教育主事の資格というものを応募要件としてはどうだろうかといったような意見も出ているところでございます。
 それから、4番目の社会教育関係職員全般・地域の人材といった部分でのご意見も出ておりまして、各種学習支援等々の人材の役割や機能をちゃんと整理してはどうかといったようなこと。あるいは、最近では高齢者、団塊世代といったものの力を活用するという意味で、教育サポーター制度といったものを創設してはどうかと。それとの関連で、学習コーディネーターといったものも育成してはどうかといったようなこと。それから、一般的に社会教育主事、学芸員、司書というものが法律上位置づけられておりますけれども、それぞれの制度というものは共通の部分を整理して考えたほうがいいのではないかというご意見もいただきました。
 それから、(5)として社会教育委員についてのご意見でございますが、これは先ほどもございましたように、生涯学習審議会と社会教育委員の会議というものの関係をちゃんと整理、一本化してはどうかと。それと関連するという意味では、この社会教育法の第13条にこの社会教育委員の会議について規定がございますが、これは社会教育関係団体への補助金を交付する際に、この社会教育委員の意見を聞くというものが規定されておりますが、その規定については、その手続を省略できるように改正あるいは削除してはどうかといったようなご意見がございます。
 それから、(6)として、社会教育施設全般についてのご意見でございますが、こちらについては生涯学習の理念といったものに基づいて、期待される役割なり機能を充実するために、それぞれの施設の役割を明確化する必要があるだろうといったようなこと。1枚めくっていただきますと、特に公民館等の社会教育施設については、機能の充実、総合的に各種の機能を確保していく必要があるだろうといったようなご意見がございます。それから、下のほうには社会教育施設につきましては、教育委員会が管轄するか、首長部局でもよいかといった議論もございますので、国において明確な方向性を打ち出すべきではないかといったような意見がございます。
 「(7)公民館」についてのご意見でございますが、これは先ほどの社会教育の個人の要望なり社会の要請といったような部分ともかかわってくるかと思いますが、そういう個人の学習目的と地域課題のマッチング機能を確保するという整備が必要だといったことで、事業の評価といったものを義務づける制度設計が必要ではないかといったようなご意見がございます。それから、公民館につきましては、その運営方針あるいは事業内容等々の見直しといったことが地方関係団体からのご意見がございます。
 それから、「(8)家庭教育支援」についてでございますが、こちらのほう、事業関係のご意見が多いかなというふうには思いますが、家庭教育支援の充実ということを図るべきではないかといったようなこと。それから、整理といたしましては、次のページもめくっていただきますと、家庭教育に行政がどこまでかかわるのか。学校教育の関係も含めて検討してはどうかと。あるいは、社会教育の中の重要事項として位置づけるべきではないかといったようなこと。あるいは、家庭教育についてのサポートといったものも行政活用といったことを考えてはどうかというようなご意見がございます。
 それから、(9)におきまして、学校、家庭、地域住民の連携協力といった点で整理させていただきました。これは直接的には教育基本法の第13条にこういった規定が設けられたわけでございますが、それを受けて、意見の中では、その基本法13条の規定といったものをもう少し具体化した法律の規定が必要ではないかといったようなこと。また、その際には社会教育法だけではなくて、学校教育法とセットで行って、幅広い連携の取り組みといったものを規定するべきではないかといったようなこともございますし、一番最後のところでは、放課後子どもプランというものを私どもは現在実施しておりますが、こちらについても、ちゃんと法律に位置づけられないか検討すべきではないかといったようなご意見がございました。
 また1枚めくっていただきますと、「(10)その他」という部分でございます。これはそれ以外のNPO等、あるいはワーク・ライフ・バランスといったような指摘がございまして、特に地方関係者のほうからの指摘では、地方の実情に応じた教育行政という意味では、地方分権の精神にのっとった改正といったことを心がけてほしいというようなご意見が出ているところでございます。
 続きまして、図書館法及び博物館法について簡単にご説明したいと思いますが、概要でまたグレーのファイルに戻っていただきまして、図書館法を開いていただきますと、改正履歴をごらんいただきますと、実は現行の法律にはあまり中身自身は、いろいろな行革関係であるとか国の関与を整理するといった意味では、こう言っては何ですけれども、これまで中身を削ってきたというような感じになっておりまして、現在の規定では図書館の定義であるとか、あるいは公立図書館についての規定、あるいは専門的職員としての司書の規定といったようなものを規定しているにとどまっているところでございます。特に現在では図書館について、例えば規制という意味では別に許可とか許認可があるわけではございませんが、成立したとしたら公立と私立ということで設置するということになってございます。
 それから、また1枚めくっていただきまして、博物館法の概要というものがございまして、こちらのほうも一定の内容として、博物館についての定義あるいは登録制度と。博物館につきましては、登録というようなものが制度としてございます。それから、相当施設ということ。それから、学芸員という専門的職員の規定があるといったものでございまして、実はこちらもこれまでの改正というものでは(3)でございますように、30年に学芸員関係の規定、あるいは博物館相当施設といったものの指定制度を創設した以外は、どちらかというと地方分権あるいは行革の観点からの見直しというものを行ってきたというのが現状でございます。
 資料3-1に戻りまして、図書館法関係あるいは博物館法関係のご意見を紹介したいと思います。まず図書館法関係でございますが、こちらにつきましては、やはり地域を支える情報拠点といったことの役割が期待されるということから、相談情報提供機能の強化をした。あるいはハイブリッド化、青少年読書活動の推進、行政との連携といったようなことを進めてはどうかということ。それから、図書館の活動の質的向上とも関連いたしまして、司書の養成なり資格のあり方、あるいは研修等のあり方についての実効性を高めるような方策が必要であるというようなご指摘がございます。
 それから、博物館法関係につきましては、こちらは実は協力者会議でも6月15日に検討会の報告がございまして、その制度改正についてのご提言をいただきました。その中身が中心でございますが、博物館は現在非常に中身が多様化しているということで、現行の博物館の登録制度あるいは学芸員制度についてのあり方を見直したらどうかといったようなこと。学芸員についても、高度化という意味では教育、保存、資料の活用といった面からの人材の養成をしていくということが必要だろうと。博物館の登録制度については、現在は基本的には公立という意味で地方公共団体と、それから民間という観点では、公益法人というふうに限定されているわけですけれども、それを拡大してはどうかといった意味で、国とか独立行政法人、あるいは大学、地方公共団体でも首長部局の所管するような博物館についても登録の対象としてはどうかといったようなこと。あるいは、博物館自身も天文台とか科学館といったものも含めて考えてはどうかと。また、学芸員につきましては、それに対応して大学の養成課程を見直すということに加えて、現職の学芸員の資質向上といったことも考えてはどうかといったようなことをご指摘されているところでございます。
 説明は以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。以上でございますが、そのほかにこれは別にご説明いただかなくてもいいのかもしれませんけれども、参考資料3というのも出ておりますが、これについて、何か事務局ございますか。

【高橋生涯学習推進課長】
 恐れ入ります。お手元の参考資料3を見ていただけますでしょうか。これはさきに成立いたしましたいわゆる教育再生3法の概要でございます。これは教育基本法の改正を踏まえまして、学校教育法、地教行法、教職員免許法等を改正いたしまして、これは専ら教育再生会議の第一次報告に対応した、あるいは基本法改正を踏まえた内容でございます。
 詳しい内容は初中局が作成いたしました概要が後ろについておりますが、特にこの小委員会に関係しそうなものを若干抜粋いたしますと、1つは学校教育法を改正いたしまして、学校というのは保護者や地域住民との連携協力を推進するために積極的な情報提供を行うという規定が追加されました。それから、これも従来から実質的に行われているところが多かったんですが、社会人等を対象にした大学等のいわゆる公開講座などの特別の課程について、大学が証明書を発行できるということで、その根拠規定が設けられました。それから、これは学校開放に関する若干技術的な改正が行われております。それから、教育における地方分権の推進ということで、地教行法が改正されまして、これは従来中教審の答申にも書かれておったものですが、スポーツや文化に関する事務については、首長が管理、執行もできることにしておりますが、今回、社会教育についてはこのような取り扱いがなされておりません。
 以上、ご参考までにご報告いたします。

【山本委員長】
 ありがとうございました。さて、これから今の資料等々を参考にしていただきながら、ご意見をいただければと思いますが、質問や何かはその中ででもしていただきたいと思います。それで、きょうは議事のところにございますように、(2)は「教育基本法改正等を受けた生涯学習・社会教育関連法制の在り方等について」ということでございます。
 ただ、今の資料でもわかりますように、非常に幅が広うございますので、最初、フリーディスカッションといっても、あれこれあまりにも議論が広がってしまっては少しやりにくいところも出てくるかもしれませんので、前半のほうを先ほどの基本法の第1章の生涯学習のところと、後半のところを第2章の社会教育関係、図書館、博物館も含めてそういうところについてご意見をいただくというふうに進めていきたいと思います。大体この小委員会はこのぐらいのメンバーですから、ご発言が自由にいただけると思うんですが、ただ、お1人のご発言の時間があまりに長くなってしまいますと、ほかの方のご意見がいただけない部分もございますので、いろいろお話になりたいことはあると思いますが、ポイントをお話しいただいて、あと必要があればペーパーなり何なりを出していただいて、補っていただければと思います。
 それでは、今回はテーマをどこどこということに絞らないで自由にということですが、これからご意見をいろいろいただいていきたいと思うんですけれども、まず最初に、先ほどの生涯学習関係のところで、生涯学習の理念というものが基本法に入ってきたのは初めてでございますので、このあたり、いろいろご意見もあるかと思います。その点についていろいろご発言いただければと思います。ほかのところは最近あまり人数が多いものですから、名札を立てていますが、このぐらいのメンバーですので、そんなことをしなくても手を挙げていただければ大体何とかなりますので、自由に手を挙げていただいて、ご発言いただければと思います。それでは、どこからでも結構です。
 糸賀委員、どうぞ。

【糸賀委員】
 意見というよりはちょっと確認といいますか、質問なんですけれども、今回、私どもの制度問題小委員会の主たる使命といいますか、役割は、先ほど冒頭にありましたように、この設置の目的として、教育基本法改正等を受けた生涯学習あるいは社会教育関連法制のあり方について検討するんだと。その一方で、今、高橋課長や平林課長からの説明を受けた資料3-1を拝見しますと、これは従来から抱えていた社会教育あるいは図書館、博物館の問題も洗い出されるということ。そういう意味では、教育基本法が改正されたことと連動する法改正の部分と、従来から抱えていた問題をこの機会にやってしまおうというか、そういうふうな内容が混在しているような気がしたんです。
 それから、さらに言うと、これは法改正がなじむ問題と、むしろそれこそ地方分権でそれぞれの自治体における生涯学習のあり方や社会教育のあり方の中で見直していくべき問題もあるように思うんです。そういう意味では、焦点としてはあくまで教育基本法改正に伴う関連法制の改正という範囲に絞るのか、そうじゃなくて、もう少し広げて、従来からそれぞれの領域で問題視されていたようなことも今回含めて、必ずしも教育基本法の改正と関係はしないんだけれども、そういうものも今回すべて盛り込んで法改正を目指していくのかと、その辺の焦点の合わせ方としてはどういう方向なのか、ちょっと確認させていただきたいんです。

【山本委員長】
 なるほど。私のほうからそれについて申し上げて、事務局のほうでそれでいいかどうか確認をお願いしたいんですが、私どもとしては、これだけのメンバーが集まっていますので、いろいろご意見いただく、自由にいろいろなご意見をいただいて、ただ法律の改正の部分というのは我々は専門ではありませんので、やはり文部科学省にお任せするしかないと思うんです。それから国会のほうというふうになるので。そのあたりのところはお任せしておいて、我々のほうは、本質論とか、現場の方もいらっしゃいますから、そこら辺も含めていろいろ意見を出していく。これは大事なところだとか、そういう話まで出しておいていただければ、あとはもう信頼して、我々は信頼しておりますが、事務局のほうにお任せするというのでいいんじゃないかと思うんですけれども、それではあまりにも雑駁ですか。そんなに広げないで、もうちょっと絞ってくれということになりますか。事務局のほうはどうでしょうか。

【高橋生涯学習推進課長】
 まず、教育法改正に伴うものとそれ以外のものというのは、一体的にご議論いただければと思っております。今回の学校教育関係の3法案につきましても、直接基本法改正に伴うものと、それから派生するようなものを含めて議論いただいていますので、広い意味で法律とか制度にかかわるようなものについて広くご議論いただければとありがたいと思っております。
 それから、そういう意味では、制度にかかわらずに単に予算を増やせというような話は、多分この小委員会の直接の中心議題ではないと思うんですが、当然大臣もおっしゃっておりますように、制度と予算というのはある意味では表裏一体の部分がありますから、まとめていただくレポートに制度の整備に合わせて重要な予算的なことが盛り込まれることは当然あると思いますが、これは基本法だけではなくて、それ以外の制度面を中心にぜひ広くご検討いただければ、事務局としては大変ありがたいと思っております。

【糸賀委員】
 そういう意味では、我々、これが法改正になじむだとか、あるいは教育基本法の改正に伴ってここの部分の改正が必要だとかということにこだわることなく、これからの生涯学習全体の質を向上させ、振興させるための意見なり提案をしていけばいいと。
 あと、それの切り分けは事務局のほうで、法改正に関連するとか、その後の施策の充実に生かすべきところということのすみ分けなり、切り分けはやっていただけると。そういう意味では、我々は自由に発言していっていいと、こういうことの理解でよろしいですか。

【山本委員長】
 よろしいですね。多分大丈夫だと思います。

【糸賀委員】
 ありがとうございました。

【山本委員長】
 私のほうからお願いしておきたいのは、シャープにここだという問題点を指摘していただきたいという気はするんですが、それぞれの専門のところから来てくださっていますので、ほんとうなら今問題、あるいは長い目で見ればこれから50年、ここは問題ですよというようなところをぜひ出していただければと思います。法律にそれがなじむかどうかは、先ほどのようなことです。答申の中にそういうのが入っていても、必ずしもそれが法律になるとは限りませんから、いいと思うんです。今まででもそういう部分、つまり答申として生きているというのもありますから、ぜひいろいろご意見をいただければと思います。
 それから、どうですか、米田委員。

【米田委員】
 自由に、大きな話でもということですから、私は、ことしの4月1日から長崎の県美術館の館長ということで、1年ぶりに現場に復帰したんですけれども、主に千葉県の美術館を中心に博物館活動とか生涯学習にかかわってきたわけなんです。その中で思っていますことは、私たちが子供のときの社会と今は、ここ三、四十年で大きく日本が変わっているなと思っております。親の子殺し、少年の幼児いじめとか、なかったとは言いませんけれども、こんなにひどくなかったなと思っております。
 同時に、これはそこにいらっしゃる明石先生に、私、前に千葉県教育振興財団というところで芸術文化担当の役員で1年お世話になったときに来ていただいてお話をしてもらいましたら、後で明石先生にフォローしてもらえればと思うんですけれども、子供のつき合いが悪くなって、しかも小学生とか中学生が手帳を持っている。小学生が手帳を持って行動する国はいい国なんだろうかということを思っておりまして、それは生涯学習ですから勉強しなきゃいけないんだけども、遊ぶときに遊ばない、遊べない。友達が十分つくれない。それが今、30代とか40代の人たちも、意外と仲間づくりが下手みたいに思います。私らのときは、何かあったら、お酒も飲みますけれども、みんなで話し合ったりしました。
 ということで言うと、ここ三、四十年で大きく日本は変わってきているなと思っております。それは、大人も子供も忙し過ぎる、それからかなりよくバリバリしている人が抑うつ症とかうつ病になっているというような、個別にはありましたけれども、かなり広範にそういうのが起きてきています。私は、ティーンエージャーのうちに大きく生涯学習に触れる必要があるなと思っているのは、この発言なんです。とりわけ私は美術ですから、答えのない世界におります。何かに夢中になるということをティーンエージャーにすることが、スポーツだとか芸術や文化や学問、みんなそうですけど、必要だなと思っています。
 つまり、何かに没頭して我を忘れる、ふと肩をたたかれて我に返るというような時間を持たない、持てないでいるということは、長い子供の人格形成の中で、後でゆがみが出ているんじゃないかと思っています。そこのところに、私らの美術館も1つですけれども、生涯学習が何らかの役割があるかなと思っております。
 もうちょっと言いますと、有名な建築家の事務所にいわゆる受験の勝ち組の優秀な建築家が入ってきたわけですけれども、土地を造成して、盛り土を入れて、苗木を植えた。それから5年も6年もたって、その人があそこにホテルや文化会館や植物園をつくったときに、そこの職員の人が出かけるので聞いたら、苗木に水やりをすると言ったんです。それは実は安藤忠雄さんに聞いた話なんですけれども、つまり水をやれと命令したけれども、水をやるなとは命令しなかった。かわいそうに雨が降るぞと言ったそうです。つまり、5年ぐらいたてば、もう根がチャッチャとしたらほっといていいんだということを、マニュアルで動いているんです。
 やはり自分で行動して、心で感じて、頭で考えるような子が増えていかないとだめだと思うんです。その中で、スポーツや音楽や美術や演劇や、それから読書もそうです。そういう生涯学習が子供自体に何か楽しいこと、おもしろいことに没頭することを体験する。それが今出ている家庭や学校や地域での、これはどこか1カ所の責任ではないと思っておりますけれども、今後法改正がこういったことに対して何らかの前進ができればと思っています。
 それからもう1つ、この間の読売新聞に出ていましたけれども、親のいちゃもんといいますか、何でも学校の先生になすりつけていく。一々挙げませんけれども。それは、1つの原因は、親の世代が地域社会に相談すべき人がいないとか、仲間がいないとかという問題がどうも原因だと言われております。そういう意味では、美術館、博物館だけじゃなくて、地域の中で新しいネットワークがつくっていけるようなまちづくり、地域振興と生涯学習の役割ということをこれから考えていきたいと思っております。
 大ざっぱなんですけれども、こういうのが私の今思っていることです。

【山本委員長】
 ありがとうございました。どうぞ。

【明石委員】
 1点申し上げたいんですけれども、今、大学で困っていることが、工学部、理学部で多いんですけれども、ある先生の講義にいちゃもんをつける、クレーマーといいましょうか、自分が正しいんだと。あなたの教授方法はおかしいとか、その解法はおかしいとかといって授業の90分間をつぶしてしまうという。ほかの学生がブーブー言っても、その方は黙って動かなくて、ある先生を攻めていくという。こういう大学のクレーマーといいましょうか、学生のクレーマー、これは院生に多いそうなんです。世間一般でも、モンスターペアレントというのがありますけれども、言いたいのは、自己完結型の学生、院生とか地域社会の方が増えているという。自分だけのマイワールドで世界をつくって、もうそれが正しいと信じて疑わないという。それでワーッと攻めてくるという方がいろいろ場面で出てきているなと。
 そうすると、今、第三者機関というのがいろいろなところで出てまいりますね、保険のことを含めて。そうすると、教育場面における第三者機関は、どういう形で設置できるのか。今、米田委員も言われましたように、何でも相談できるよろず相談所とか、そういうのを法的に整備できるかどうかわかりませんけれども、何か相談に行って、隠居さんといいましょうか、江戸時代の隠居さんがうまく裁いてくれるというか、調停してくれるという。そういう世間教育を伸ばしていかないと、クレーマーが増える中で、アメリカ社会みたいに訴訟をしてくれればいいんだけども、訴訟に行く前までに、皆さん非常に疲れてしまうという。日本は訴訟社会になるかどうかわかりませんけれども、何かもやもやして、一部だけがストレスがたまってきているような社会があるなと。
 そういう状況において、新しい生涯学習理念というのは学習する機会を保証しているんですから、何とかうまいぐあいに、教育における第三者機関のあり方というのを何か詰めていきたいなと思っております。
 以上です。

【山本委員長】
 どうぞ、皆さん、遠慮なく言ってください。今のお二人とも、生涯学習社会で今のいろいろな問題を受けとめられるようにしていく必要があるという話ですよね。やはりそういうのをこちらで検討していかないと、ほかではなかなか検討できないので、そういうものも含めて。ほかのことでも結構ですから。どうぞ。

【土江委員】
 それでは、生涯学習と社会教育、あるいは学校教育との関係ということでございますけれども、とかく生涯学習と社会教育というのが一体化して今までとらえられていたんじゃないかなという気がしました。今回は、生涯学習の理念というのが明確にされたということで、生涯学習を軸とした、生涯学習に対して学校がどうかかわっていくのか、あるいは社会教育がどうかかわっていくのかということが明確にされたというふうに思っています。
 それで、学校教育なんですけれども、それぞれ目的、目標があるわけですけれども、やはりこの中で特に義務教育段階においては、生涯にわたって学ぶ姿勢づくり、そういう生涯学習の観点に立った教育が必要だなと思うわけなんです。学校教育は今まで、ご案内のように、積み上げ方式で1つ1つ積み上げていって、さらにまた中身を深めていくという、どちらかと言えば垂直型の統合的な教育をなされたと。それが今回、いろいろな課題、問題、特に連続性でありますとか、あるいは一貫性とか系統性、こういったところが見直されてきたのではないかという現状があるのかなと。
 そういったところで、社会教育というのは、横の広がりを充実させるもののいわゆる水平的な統合を目指すものかなと思っておりまして、現状における最大の学びをどう充実させていくのか、社会教育にはそういう大きな役割があるのではないのかと考えております。そうしたときに、義務教育は高校とか大学と違って選択性ではないわけですので、その義務教育において、社会教育がいかにかかわっていくのかということは非常に重要な視点なのかなと思っておりまして、特に、学校教育の中で水平的な統合の役割を社会教育は果たしていくのではないかと思っています。
 それからもう一方で、生涯学習の理念が規定された中で、学校教育のかかわりということになると、学校が生涯学習の1つの機関としての役割、機能を果たしていかないといけないのかなというふうにも思います。先般、新聞で、京都府の高校が、小中学生に土曜日を開放して府立高校のサタデー広場というものを展開していましたけれども、学校が家庭教育をやってもいいわけですし、対象が必ずしも子供に限らないで、あらゆる世代に対して教育の専門機関としての役割を果たすべきかなと思いまして、学校の教育のあり方そのものも、生涯学習の理念のもとでこれからどう展開していくのかと。そのためには、学校教育法との改正の絡みにリンクしていかないといけないのかなということを感じております。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。どうぞ。

【山重委員】
 制度づくりという観点から、私は公共政策の問題にかかわっておりますので、ちょっとコメントさせていただければと思っています。
 社会教育のところにも入ってしまうんですけれども、お許し下さい。私が理解しているところでは、生涯学習に関しては、国民一人一人が、自分の人格を磨いて豊かな人生を送ること、それを学ぶことの重要性に気づくこと、そして、それを伸ばしていくためにこれを伸ばしていきましょうと、そのために国が何をしたらいいのかといったことが多分課題なんだろうなと思っています。
 ただ、その一方で、教育の目標に関しては、資料2の第2条のところを見ていると、象徴的なのが公共の精神とか、主体的に社会の形成に参画しその発展に寄与する態度を養うといった表現です。つまり、公共性の部分をもっと養っていきましょうということだと思うんです。ですから、個人にあらゆる意味での学ぶ機会を提供すると同時に、教育的観点からは、もっともっと個人が社会に貢献するような、公共空間をよくしてくれるような学習をしていってほしい、生涯学習をやってほしいというスピリッツを今回の改正の中に感じています。
 そういう意味では、一般的な個人の自己実現とか人格の形成といった観点からだけではなく、教育の面で、特に社会教育の面で、どうやったら公共性を養うことができるのか、それから社会の形成に参画してくれるような人格を人々に持ってもらえるのかという観点からの制度設計を考えていく必要があるのかなという印象を持っております。
 そのような中で、社会教育のところに入って大変申しわけないのですけれども、資料3-2の6ページの、文部科学省内部で学習と教育の関係について整理された図が私にとっては大変わかりやすかったので、見ていただければと思います。国民は学びたいという需要を持っているわけです。それに対してどのような教育の機会を提供するかという、ある意味で供給側の話というのが社会教育の話なんだろうなと思っています。社会教育のところを見ると、この整理はよくわかるんですけれども、事例として挙がっているのが、社会教育のイメージとして、教える人がいて、教わる人がいて教育なんだというような事例がどうも多いような気がするんです。
 私は、先ほど申し上げたような新しいスピリッツ、つまり公共性を養うとか、主体的に社会の形成に参画するとか、そういった点から教育をとらえると、教える人がいて、教えられる人がいるというところに社会教育を限定するのは、やや狭いイメージかなと思っています。むしろ、図の右側の「自己学習=『学ぶ者』のみによる行為」というところを見ると、例えば奉仕活動とか体験活動、レクリエーション活動における学習など、これは教える者、教えられる者という関係はないんですけれども、人が学ぶ場があるという認識が見られます。
 結論から申し上げると、教育というのは教える、教えられるという関係に限定するのではなく、例えば奉仕活動を通して人は学ぶことができるわけですから、そういう環境を整備するような事業というのもまた社会教育の役割、あるいは社会教育のイメージの1つとして持っておいたほうがいいのではないかと思っております。
 そういう意味で、社会教育をさっき言ったような限定的な意味でイメージするのではなく、もうちょっと広くとらえ、奉仕活動を促す政策というのはどんなものがあるのか、体験活動を促すようなものはどんなものかというところまで考えながら社会教育をイメージしていくと、もっと先ほどの教育の目標にかなうような、一致するような社会教育のあり方を考えられると思います。またそういう場が提供されることで、生涯学習というのがほんとうに深い意味で社会をよりよくする、つまり個人とともに社会をよりよくするような学習の機会となるし、社会教育がそれを促すということにつながっていくのかなと思います。ちょっと生涯学習のカテゴリーを超えたかと思いますけれども、そんな感想を持ちました。

【山本委員長】
 ありがとうございます。別に超えても構いませんので。みんな仕分けしてくれます。はい、どうぞ。

【糸賀委員】
 今、山重委員が言われた点と同じようなことを私も実は考えていましたので、あえて手を挙げさせていただきました。
 それはどういうことかというと、私も今の6ページ、学習と教育の関係についてですが、この関係については私自身がよくわからないこともあって、ただ、この6ページの学習と教育の関係についてで、今後のベクトルの方向として、私も自己学習という部分が、実際に人数が多くなるかはともかくとして、ウエートはやはり大きくなっていくんだろうと。より多くの国民が生涯学習にいそしむというのか、生涯学習活動にかかわるという意味では、教育による学習の部分というよりは、自己学習の部分が大きくなっていく。そういう意味ではベクトルとしては、教育による学習の部分は、縮小と言うと語弊があるかもしれませんけれども、必ずしもここの充実だけではなくて、自己学習の部分についても充実を図っていく必要があるんだと思うんです。
 実は、そのことが先ほど明石委員が言われたクレーマーに、自分自身の社会における至らなさを気づかせる契機にもなっていくんだろうと思うんですよ。つまり、教える者と教わる者という関係は、社会教育の世界ではいつでも入れかわる可能性があると。教えていた人間が、いつかは教わる立場にもなるという。
 さらに言うと、今度は自己学習の部分で、この自己学習を支援し、サポートしていく役割というのがすごく重要なわけですよね。その人は、別に教えているわけではない。教わっているわけでもない。だけれども、学ぶ人たちの生涯学習、自己学習を支援し奨励していくという役割がすごく大きくなっていく。それによってベクトルの向きが一層自己学習のほうに向いていくことになるんだろうと思います。
 そのときに大事なのは、やはりボランティア活動でありますとか、サポーターといったようなことで、生涯学習にかかわってはいるんだけれども、自分自身が教えているわけではないし、だけども学んでいるわけでもない。そういういわば生涯学習にかかわる視点の多様化といいますか、複眼的な思考といいますか、単眼で、1つの眼で見ているのではなくて、複眼的に見ていくことで随時自分の視点が変えられていくという、そういう経験を社会や学校教育の中で行っていくことで、自分自身の利益だけを求めていることの愚かしさにだんだん気づいていくという。
 これは介護の世界も同じでして、介護する側とされる側が場合によっては入れかわってしまうという。今まで介護していた人間が、介護されることによっていろいろなことに気づくというわけですよね。そういうことが、今後の生涯学習の中で確かに必要だろうと。それが公共の精神の育成といいますか、形成に結びついていく可能性がある。これがなかなか学校教育の中ではできない。学校教育ではどうしても、教える側と教えられる側が固定していますけれども、それが生涯学習の中では、朝、午前中は自分が教えていたけれども、午後になったら今度は自分が教わる側に立ち得るという、そういう可能性を持っているだけに、この自己学習の充実ということは必要だろうと思います。
 ただ、そのときに私が気になるのは、先ほどずっと生涯学習の中をレビューしていて、その評価をするという、つまり学習成果の評価ということが上げられていました。果たしてこの自己学習、つまり学ぶ者が主体的に行った場合に、その人は評価されることをどれだけ強く求めているんだろうかというところなんです。自分自身は、別に社会的に評価されなくてもいいと。自己実現であったり、自分自身の生きがいを見つける。いわば自分自身の価値観に基づいてそれが納得できればいいんであって、それが対社会的な評価を得ることの必要性についてどれだけのニーズを持っているかについては、私自身はやや疑問ではあります。
 それは、本人がその一定の時間充実し、自分自身が以前に比べて向上したとか、いろいろなことがわかるようになったということで納得できるのではないかと思います。したがって、評価ということと、今後の生涯学習のベクトルの向きというのは、常に同じ方向を向いているわけではないような気もしております。その中で今後、生涯学習の成果の評価ということもあわせて見ていく中で、今のような視点ということも欠かせないのではないかと感じました。
 以上です。

【山本委員長】
 なるほど。ありがとうございます。
 どうぞ、高橋委員。

【高橋(守)委員】
 今のお話に関連するのかなとも思うんですが、今、私の施設は、いわゆる生涯学習推進センターという、全県の市町村や教育機関を後押しするというような立場で業務をしておりますけれども、そういう意味では、直接市民が来る、住民が来る、直接型の施設ではないんですが、ただ複合型でして、図書館と文書館が全部1つの建物になっています。
 その中で、おいでになっている方と話をしていますと、ある興味のある方が、非常にうれしそうに私に話しかけてくるんですけれども、それはこういうことなんです。今、午後に宅配のボランティアをやっていると。それは大したものですねという話を延々としていきましたら、そのうち、実はおれは何でボランティアをするようになったかというわけを話し始めて、それは、私は退職したんだけれども、毎日午前中に図書館へ来て英語を自分で勉強できる環境ができてすごく満たされたと言うんです。それで、私は次にボランティアを始めたと言うんですよ。だから、例えばボランティア1つとっても、その背景というのは、ただ社会に貢献するというよりも、もっと人間の内側というのはいろいろな満たし方や絡みがあって動いているということをしみじみと感じるんですが、今のお話で申し上げますと、そういう方は評価というものは求めていないんだということをまさに感じられるわけです。
 それからもう1つ、新潟でやっております各市町村の中で最近ちょっと人気が出てきているのが、60歳からのピアノ教室というのがあるんです。これはまさに人気番組でありまして、新潟市あたりもやっておりますし、上越市あたりもやっているんですが、お年を召してピアノを弾きたい。つまり小さいときからあこがれていたんですね、人の前でピアノを弾くと。学習というのは、社会教育の側面もあるけれども、今お話がありましたように、自分の自己型といいますか、自己学習型の比重というのがこれから大きくなっていくと。評価のあり方というのは、それは多分自己評価なんじゃないかなと感じているんですが。そういう意味で、学びの機会が多様であればあるほどやはりいいし、それは必要なことなんじゃないかなと思っています。
 それから、同じことなんですけれども、うちで今、映画・ビデオ鑑賞会というのをやっております。この内容は、完全に教育映画です。あるときは人権映画であったり、あるときは家族の映画であったりなんですが。最近非常に増えてきまして、200人ぐらいのホールなんですけれども、リピーターが口コミで増えたせいか、満席になることが毎回多くなりました。おいでになる方にいろいろ聞いてみますと、まちの中でやっている商業映画は、私たちの見る映画が何もないと言うんです。私は、今までそういう発想を持っていなかったんですけれども、やはりゆったりとしたわかりやすい、若干教育的な香りのする映画をほんとうに好んで来ている方がいるんだということをしみじみと感じまして、これも映像文化も多様であればあるほどいいなということの一例として少しお話しさせていただきました。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。では、鈴木委員。

【鈴木委員】
 この場はどういうことをやるのかということがよくわからないのですが、今まで皆さんのお話を伺っていて、私はもっと細かいことを、法制度的な細かいことに入るのかなと思っていたんですが、そうでもないような感じで。
 糸賀委員がおっしゃったこと、あるいは山重委員がおっしゃったことはわかるんですが、例の6ページの図ということなんですが、そのときに、この「社会教育による学習」という社会教育ということの社会教育の構造的な特質というのか、教育の構造論をやるつもりはないんですけれども、社会教育といった場合に、学校教育との違いのようなものがやはりあると思うので、そこのところで考えればいいのではないかとも思うんです。それで振り分けをしているのではないかと思うんですが。
 その議論がどこで出てくるかというと、例えばここで考えなければいけないのは、教育基本法の改正によって社会教育関連、生涯学習関連のものが変わっていくのか、いかないのかというところだと思うので。その場合に、教育基本法、生涯学習振興法、社会教育法というふうな構図が考えられるのか、社会教育法、図書館法、博物館法を同じにすれば、教育基本法の下にその4つの法律が並列してあるのか、どういう構図を考えるのかというのが1つ重要な問題になるのではないかと思うんです。今の教育の構造論みたいなものと関連して。
 それをどういうふうにするのか。今の生涯学習振興法というのは、当時の事情というのはあったわけでしょうが、私自身は何だかよくわからない法律なので、この際、生涯学習の理念という第3条ができたことによって、これも生涯学習の理念なのか、生涯学習社会の理念なのか私自身はよくわからないんですが、それによって生涯学習振興法の本体ががらっと変わってしまうかどうかは別にして、何か今言った教育基本法、生涯学習振興法、社会教育法をどうという、その構図がきちんとできるようなことになり、先ほどの6ページの図がきちんとわかるようなことになるような方策というのは考えられないのかというふうに私は思っている。
 そこの中で、例えば今回の13条の学校、家庭、地域の連携という、それなどが真意かどうかわからない、勝手に言ってしまうんですが、新生涯学習振興法などの重要な骨格になり、そこでの行政的な支援はどういうことであるのかというようなことが出てくると。
 そうすると、教育基本法の第3条生涯学習の理念というのは、これは生涯学習のと言ったときに、どうも個人的なことしか出ていないような感じがするんです。山重委員がおっしゃったように、特に「公共の」というようなことがあまり第3条では見てとれない。しかし、第2条の教育の目標のところでは公共の精神があり、あるいは社会教育についての第12条の規定に、社会の要請というようなものが入っている。それらを新しいというか、言うことは勝手でしょうから、新しい生涯学習振興法の中に規定をしていくと。それで社会教育法等に振り分けていく。そんなことが考えられないかというようなことを私は思っていて、そういうようなところの議論につながるのかなというふうに思っていました。ちょっと勝手な発言です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。どうぞ遠慮なく出していっていただければ。
 では、どうぞ水嶋委員。

【水嶋委員】
 第1回目の小委員会ですので、フリーディスカッションという話だったのかと思いますけれども、もう少しテクニカルなことに入ると、あと数回あるので、そこで言えばいいのかもしれませんが。
 私が思っていることは、今の鈴木委員のおっしゃるように、ベクトルを合わせる必要があるのかなというふうに思います。そのときに3つほど、きょうの資料3-1とか3-2をざっと眺めさせていただきますと、まず評価制度のことがいろいろなところでうたわれております。公民館にしろ、いわゆる社会教育施設にしろ、博物館にしろ。ですから、今の糸賀委員がおっしゃった自己満足度を評価する、しないというのは、また生涯学習施設としては別の問題で、税金を導入するとか、いろいろなお金を使うというようなことを、こういう世の中ですから、そういった施設については評価制度というのを設けましょうというのでいろいろな指摘があるとおりであります。
 それからもう1つは、2つ目ですが、明石委員が指摘された第三者機関についてということについても、博物館界でもそういう話が出ておりますし、私の個人的にお聞きしたいことは、第三者機関をどのように考えていくべきなのかというのを、図書館界、公民館、カルチャーセンターも含めてですけれども、いわゆるそういった施設に対して、あるいは施設機能に対してどのような第三者機関を設立するのか、しないのかという議論も次回以降にご議論いただければと思います。
 それから、第3番目ですけれども、これも博物館だけに限らず、図書館にしろ、公民館にしろですが、社会教育主事であるとか、図書館司書、学芸員というような専門性を持っている資格、資質、あるいは人材養成のあり方についても、この委員会で法律としてどのように定めていくのかというようなご議論もいただければと思います。以上、3点です。
 それで、この6ページの図示されたものを見ますと、確かに教育と学習というのはこういうような切り分けの整理でよいのかもしれませんけれども、これがいわゆる社会教育施設ばらばらになっている図書館、博物館、公民館というのではなくて、それぞれの施設機能においてどのような関連性を持たせるのか。具体的に見ますと、生涯学習の理念があって、その理念を中心にそういった施設機能の生涯学習機関がどのように連携するのか。そして、その施設連携とともに学校教育、家庭教育というような広い理念とその周辺というような形で、コアと周辺という形で整理をしていけたらなと思います。
 以上3点、評価制度と第三者機関、資格、専門性、人材養成ということについてご議論いただければと思います。以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。どうぞ。

【高橋(興)委員】
 私は、教育基本法、社会教育法、生涯学習振興法3法の関係をきちんと整理していただきたいということをまず申し述べたいと思います。と申しますのは、先ほどの高橋課長さんのご説明の中に、例えば生涯学習振興法に基づく生涯学習審議会、都道府県レベルでは36都道府県で設置されているという話がございました。私も、県の教育行政に携わって、ちょうどこの振興法に基づく県の審議会の設置条例の提案からずっと携わってまいりました。そういった中で、私が最も大事だろうと思っておりますのは、確かに審議会と社会教育委員の会議との混乱が全国的に見られるのは事実だと思います。ただ、私は、混乱はあるけれども、だからといってなくすべきものだとは思っておりません。
 と申しますのは、大事なことは、この審議会を動かすために、あるいは生涯学習に関する行政を総合的に推進するために、先ほどご説明いただいた同じ資料の中に、他部署との連携のための庁内会議等を設置しているというところも34都道府県あるわけでございます。私は、このことが地方の教育行政の中では非常に重要な意味を持っていると考えているわけです。
 例えば、青森県の場合は、審議会の委員の選任については、事務局は教育委員会の生涯学習課が担当しておりますが、委員の選任については、知事と協議をすることになっております。ですから、そこで知事が生涯学習の何たるかということを、そして今どういう状況にあるかということを2年に一遍、必ずそこでレクチャーを受けて、だれを委員にするかというふうな形でかかわりを持つと。
 それからもう1つは、他部署との連携のための庁内会議等は、県の場合は、ここの例えば推進本部というふうな名称がついている県が多いわけですけれども、そこの本部長は大概は知事や副知事がなっているのが通例でございます。そして市町村でも、これにならってわりと推進本部などを持っておりますけれども、そこでは市町村長が本部長になっていると。審議会は形骸化しているかもしれないけれども、行政のそういう動かし方の中で、この振興法に基づく審議会、そしてそれを支える事務局体制が形づくられているという意味は、私は極めて大きいと。これを社会教育委員会議に統合してなんていう選択肢は、私はあり得ないと思っております。そういったことを、ぜひこれからの法制度の整備の中で、地方の教育行政の、あるいは生涯学習振興行政の実態に即して、むしろそういう行政を支援するような法制度が確立されることを強く期待したいと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 行政の立場ということで、そこら辺から意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、生涯学習推進体制については、他部局との連携をいかにうまく図れるかを後押しするような、そういう法制度を是非つくっていただきたいと思っております。実際に今、環境問題とか、職業能力開発等の主管課から、教育委員会にアプローチがあり、かなりいろいろな事業を一緒にやり始めていますが、やはり他部局の事業は、社会教育で行われるような人づくりという視点がないものですから、どうしても安定しない形になっています。それを公民館などが連携することによって人づくり、結果的には生涯学習の振興につながっていくことになり、部局との連携ということが重要になってくるのではないかと思っております。
 それと、社会教育については、一言で言うと、生涯学習に社会教育が隠れているという状況があると思います。具体的に、私は、社会教育実践研究センターに勤務していましたが、年々社会教育計画をつくっている市町村が減ってきている状況でした。これはなぜだろうと思い、県に帰って調べたりしたのですけれども、結局社会教育計画をつくらずに、生涯学習推進計画をつくっているという状況でした。市町によっては、きちんと生涯学習という視点で計画をつくっているのですけれども、手を抜いている市町においては、社会教育計画をそのまま生涯学習推進計画と読み替えている状況で、その結果、社会教育が見えなくなっているというような状況にあります。
 それで、先ほど6ページの議論でもあったのですが、教育による学習、ここが社会教育としてこれからきちんと取り組んでいかなくちゃならないと思うのですけれども、やはり「教える者」というところが、人という意味もあるのですが、拡大解釈すると、ここに行政課題であったり、地域課題であったり、そういうものを教える者というふうにとらえることができると思います。
 その教育目標、また行政目標を達成するために、市民に身につけてもらいたいものはどういうことかということを学習してもらうという視点が、公共と社会の要請にこたえているかというところを社会教育でどう達成していくかというところが、法の中で都道府県、市町村の行政担当者を後押しするような予算がなかなか取りづらくなっております。だから、こういうふうにきちんと教育目標を達成するための施策ということになると、予算も取りやすいということもございますので、行政担当者を後押しするような法制度をお願いできればと思っております。
 教育基本法に生涯学習の理念が入ったときには、第一印象としましては、これで他部局との連携、そこら辺もある程度楽になるのかなと。教育委員会だけで頑張らなくても、うまく法でそういうこともやっていけるのかなという期待もあるというのも事実でございますので、そのような点でお願いできればと思います。

【山本委員長】
 菊川副委員長。

【菊川副委員長】
 お話を聞いていまして、3点ほど。6ページの図なんですけれども、社会教育と生涯学習というのはやはりわかりにくいんだなというのを改めて思いました。生涯学習と、生涯学習行政と、社会教育と、社会教育行政と、4つ概念があると思うんですけれども、そこが現場サイドで実務をしている人にしっかり腑に落ちているということが大事だと思います。例えば、自己学習の「『学ぶ者』のみによる行為」ということなんですけれども、イメージとして、図書館に本を読みに来る人。これは自己学習なんですけれども、政策としては社会教育行政だと思うんです。ですから、ピンクのところからブルーのところにベクトルが行っているんじゃないかと思いまして、そういうところがはっきり現場サイドで腑に落ちるような法制度の整理が必要なのかなというのが1点です。
 それから、社会教育ということで、教育基本法に絡んで個人の要望、社会の要請という言葉なんですが、社会教育というのはそもそも自主性、自発性というのを大事にした場の定義ですよね。社会における教育活動の支援と。ところが、一般的にはよく社会が教育する、社会を教育するというような誤解がずっとあって、それは場の定義ですよと長年言ってきている。この場の定義ですよということと、公益に資するとか、あるいは社会の要請に応えるというのをどういうふうに整理をしていくか。井上委員さんが社会教育の雑誌に書いていらしたけれども、社会教育主事の専門性は、そこの公共に資するということをあたかも本人の要望というように料理をして提供するのが社会教育主事の専門性だというのを書いてらして、ああ、ほんとうにそうだなというふうに思ったんですけれども、そういうところの整理を現場サイドで腑に落ちるようにしていくというのが2点目でございます。
 それから、高橋先生のおっしゃった生涯学習審議会との絡みなんですが、この辺は正直申しまして、地域によって差がありまして、私どものところは生涯学習審議会があるんですけれども、休眠している状態でございます。それは、例えば学習が大事であることはわかるけれども、学習のある部分についてはどの計画でそれを調理していくかというところが地域やトップの判断で違うところもあるので、地方のその辺の実態、あるいは分権時代の制度設計というものが要るのかなと思います。地方の事情がそれぞれで違うので、あえて意見ということでございます。失礼しました。

【山本委員長】
 讃岐委員、何かありそうですね。

【讃岐委員】
 地方なものですからあれですが。今、学習のベクトルでございますが、学習って僕は進化すると思っているんですよ、この図表を見たら。といいますのは、教える側と学ぶ側と2つに分けてありますけれども、学ぼうとする気がしていない人に対して、ちっちゃい子供がいるとしたら、いわゆる訓練するとか、しつけるという、教える側が意思があって、相手がない場合。そういう次元から出発して、その次に学ぶ意欲があって、こっちにも教える意欲があって、これが普通、狭い意味の教育という段階。次は、図書館じゃないですが、教える気はないんだけども、学ぶ意欲があってという、いわゆる感化を受けるというレベル、3段階で。もう最後の段階は、いわゆるこちらも意思はないし、相手側も意思はないんだけども、お互いにいい影響を及ぼし合うという、そのベクトルをどういうふうに自己学習のほうに持ってくるかということをやらないと、あんまり期待し過ぎてだれも来ないというのは現実にある問題ですので、そこの流れをどういうふうに整理していくかというのが重要じゃないかなという感じがします。
 これは、さっきありました生涯学習と社会教育の、とことんやらないとほんとうは難しいところだと思うんですが、生涯学習に関しても、先ほど鈴木先生がおっしゃった理念の中では、個人的、私的な生涯学習は描いているんですけれども、社会的、公共的な生涯学習についてはあまり触れていない問題があり、どうするかという問題がある。だから、ここのことをもう1回整理していかないと、最後の生涯学習と社会教育の関連がごったになってしまって、好きな者が好きなことをやったらいいというような、極端な言い方をしますと、そうなってしまっている現状を打破できない状況が今あると思うんです。
 もう1つ言いますと、生涯学習審議会と教育委員と社会教育委員、これは今ばらばらです。といいますのは、生涯学習審議会自体がまだ少ないのもありますけれども、これは知事部局が持っているとしたときです。それからもう1つは、教育委員会は、学校教育委員会と僕は悪口を言う場合があるんですけれども、社会教育委員会はほとんど意見が入らないと。いわゆる社会教育課だけが担当していくという段階ですから、ここをもう1回整理していただくほかないと思うんです。家庭、学校、地域住民の連携といっても、いわゆる社会教育委員の中だけでワーワー言ってしまう。そこが一番難しいところじゃないかなというのを私は感じますが。
 ですから、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力というのがせっかく基本法でも出てきたところですから、そこをもう1回ぐっと力強く打ち出すためにはどこがやるのかということを、3つの委員会でもいいんですけれども、その整合性をはっきりすることをやらないと、今までと同じようなことの繰り返しになるのではないかという思いがしております。

【山本委員長】
 清國委員、いかがですか。

【清國委員】
 生涯学習と社会教育の関係性を明確にするというのは、両者がともどもに曖昧性を含んでいるためとても難しいものです。ですから、別の視点から問題提起をしたいと思います。現在、コミュニティ政策が地域において重視されています。コミュニティ政策とは、公共の視点と非常に密接に関わっています。先ほど明石先生がおっしゃったクレーマーの存在は、一方で育ちの問題につながっていると思うのです。人が人の中で人に成長していないというんでしょうか、インフォーマルな教育機能が家庭や地域の中からなくなってきたのではないでしょうか。コミュニティの再生には教育・学習の視点が欠かせないと思うのです。
 一方で、生涯学習は総合行政なので、例えばそれが部局に移っても教育・学習の可能性も十分考えられる。教育委員会を離れて、生涯学習という名称で部局に移管される。社会教育が生涯学習と置き換えられて、市民部等のコミュニティ政策を行う部局に吸収されることも可能性としては考えられると思います。現実にある市では、市民政策部が新しくつくられ、コミュニティ政策に教育・学習の視点を取り入れようというようなことが起こっています。
 そうすると、社会教育がこれまで培ってきた財産をごっそり部局がもっていくことになるのです。さらに、選挙によって選ばれた首長さんの意向によって左右にぶれることも考えられます。コミュニティ政策に教育・学習の視点が必要だということはよく理解できるが、「ひさしを貸して母屋を取られる」ことにもなりかねない。生涯学習は総合行政だ、とした場合に、必ずしも教育委員会にとどまる必要はない。一見、正当性をもつような動向ですが、慎重に吟味して、生涯学習と社会教育、生涯学習とコミュニティ政策、社会教育とコミュニティ政策の三者を考えることも有効かと思い、問題提起させていただきます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 いろいろご意見いただいて、大体一通り、第一ラウンドのご意見いただいたんですけれども、これから次回以降いろいろまた検討していくと思います。今何人かから出てきていると思うんですけれども、行政で言えば、ほかの部局と言っていますけれども、我々のほうとしますと、ここの小委員会で検討して、さらに分科会へ上げて、それから中教審の総会へ上げていきます。そうすると、社会とのかかわりで、これからの社会をどう見て、その中で我々のほうとしてどういうチャレンジをしていくのか、発信していくか、あるいは貢献していくかというのが出てくるわけです。ですから、その辺の観点も次回ぐらいから少し入れて、例えばというと、具体的なのは少子高齢社会とかそういうのがありますけれども、そのほかに情報化の進展で学習ががらっと変わってきているけれども、我々はそっちを見てないとか、わからないから見てないとか、そういうこともあります。
 それから、知的立国を目指せ、知識社会に進んでいくんじゃないの、そのときこちらはどうなるんですかとか、それに我々のほうはどう貢献して、あるいはリーダーシップをとっていくんですかとか、その辺のところの観点もぜひ入れていただいて、この次ぐらいからまたご検討いただければと思うんですが。
 今、大体生涯学習社会の話をすれば、学校教育、社会教育とか家庭教育といろいろ出てきてしまうわけです。それは総論なので、これから少し時間を各論的に、社会教育と一言で言っていますけれども、施設、図書館、博物館も含めて、先ほど総論でいただいた中で、ここのところにこういう問題があるじゃないかとか、これをどうするんだとかというのがあると思うんです。資料でも出していただいていますので、今度は少しそういう具体的なところに踏み込んでご意見いただければと思います。第2ラウンドはいかがでしょうか。今の続きで結構ですので、ご意見あればいただきたいと思います。はい、どうぞ。

【清國委員】
 続けて恐縮です。社会教育における専門職は社会教育主事ですが、その養成やもつべき資質、獲得すべき技能が抽象的でわかりにくいところに問題があるのではないでしょうか。それを教員と比較していうとわかりやすくなります。すべての教員は授業ができる点で専門性が示しやすいのです。社会教育主事は、これからもっと地域にコミットしていく力、地域で活躍する人たちに社会教育に置いてもよきリーダーとして役割を担っていただくような支援が必要になると思うのです。まどろっこしい説明になってしまいましたが、要するに、学習を組織化する力、具体的にいいますと、ワークショップや参加体験型学習の学習スタイルを取り入れることに大きなウェイトをおいてもいいのではないでしょうか。
 社会教育主事には獲得すべきいくつかの能力があり、その中で方法や形態としての参加体験型学習を強調すると、テクニックだけではつとまらないというおしかりを受ける覚悟をした上で、それでもやはり社会教育主事であれば全国共通にこれだけはできるようになっている、という専門性は必要なのではないでしょうか。今年度はわが大学も社会教育主事講習を開催することが決まっています。その中で、社会教育主事の養成についても健闘していきたいと思います。

【山本委員長】
 社会教育主事について何かご意見ございますか。もしあればこの際いただいて。よろしいですか。もちろん後でまた出していただいても結構です。
 じゃ、ほかのことでどうでしょう。施設関係でも結構ですし、家庭教育、いろいろあると思うのですが。はい、どうぞ。

【糸賀委員】
 今社会教育主事のことが出ましたので、図書館の司書のことで一言申し上げたいと思います。
 先ほども冒頭のところで紹介ありましたように、図書館と博物館に関しては別に協力者会議が設けられておりまして、私は図書館のほうにもかかわっております。その中で今後の司書のあり方なんですけれども、現行法規では司書及び司書補というのが図書館で働く専門的職員として規定されております。ですが、この司書補というのは高校を卒業して取ることのできる資格であります。これは今から50年以上も前にできたときに位置づけられました。ご承知のようにそのころまだ大学に行く人間はそう多くなかったわけですが、現在では大学、高等教育機関に進学する人間はかなり増えている。図書館の利用者の中には大学院を修了した人もまじってきているという実態の中で、高校を出て司書補として働いている人間、あるいは短大を卒業して司書の資格を取った人間だけで十分対応できるわけではありません。そういう意味では司書の仕事についても高度化、あるいは専門的な知識が求められているというだけに、学歴要件を底上げするということだけではなくて、私は司書の仕事の中での、いわゆる差別化と言いますか、高度な専門的知識が求められる経営でありますとか、あるいは高度なレファレンス、最近ですと、先ほど委員長が言われたように情報化に伴ってインターネットを活用して情報発信をする図書館が増えてきております。そのときのコンテンツづくりということを考えますと、やはりこれは大学院で学んだ主題専門性を生かすということも当然必要になってきておりますし、地域住民の生涯学習を支えるという意味でも、そういった専門性や高い主題知識といったものが求められる。それだけに今後、これは法改正をやはり伴うのだろうと思いますけれども、司書の中でのもう少しレベルの高いところでの差別化、階層化を考えていく必要があるのではないかと思います。
 博物館のほうは、水嶋委員がずっとかかわっていらして、つい先ほど報告書が出たとご紹介がありました。あの中では上級学芸員と、それから、基礎学芸員資格という階層化を提案されております。いずれ図書館のほうでもそういう階層化を提案し、実際にそれを実現していく必要があるんだろうと思います。既にあれは、平成8年の、当時の生涯学習審議会の報告の中でも高度な専門性を有する司書の養成について提案されておりました。ところが、10年以上経てもなかなかそれが実現できていないということもありますので、ぜひこれを機会にそうした方向での実現を図っていきたいと考えております。

【山本委員長】
 今出てきましたので、学芸員とかその他社会教育、あるいは生涯学習支援の専門職、ボランティアとか人材関係のことでご意見があれば、ばさっといただいてと思いますが、どうですか。

【明石委員】
 私より菊川委員のほうが、前回の生涯学習分科会で興味深い提案をされたんですよね。学芸員と社教主事と図書館司書ですか、基礎ベースは一緒で、あとは上に煙突を3つつければいいという、司法試験で言えば、司法試験に受かって、弁護士になるか、検事になるか、裁判官になるかと同じように、社会教育関係の資格というのを高度化しておいて、基礎的な資格を二、三押さえる。あとは、専門性がありますから、特別なところで3つの煙突を立てていくような方法を今回できないか。糸賀先生がおっしゃるように、高度化社会において社会教育の関係者の資格をどう考えていくかと同時に今度はボランティア、学習コーディネーターとかまた違う資格もありますから、その辺の区分けも考えるチャンスかなと思っております。

【山本委員長】
 なるほど。どうぞ。

【菊川副委員長】
 はっきりしたイメージがあるわけではないのですが、例えば、司書も学芸員も社会教育主事も大学の単位を取って資格をもらっている若い方がたくさんいます。年間5千人とか1万人とか出ているわけですから、私どもも非常勤の職員を採用する場合には、お給料は安いんですけれども、司書の資格を持った人にお願いしています。そういう場合と、それから、私どものほうに20年、30年いて、やはり司書として働いているというのをどんなふうに考えていくのか。だから、司書にしても学芸員にしてもその能力を証明する資格と、それから、発令行為としての資格と両方あるわけです。
 社会教育主事についても同じようなことが言えまして、社会教育主事もやはり資格としての証明がある。ただ、一方で毎年夏にやっている大学の社会教育主事講習で受講者が減っているという状況があると思います。ですから、新しい制度をするときに、なぜ社会教育主事の受講者が減っているのか、今必要とされる社会教育主事の新しい仕事は何かを考える必要があります。例えば、私どものところ、九大の主事講習に固まりで出してきた市の教育委員会があります。それは、非常に熱心な教育長さんがおられて、必ずしも社会教育に出そうと思って資格を取らせているのではなくて、学校で社会教育主事に活躍してもらうために主事の資格を取らせたということでございます。
 長くなって恐縮ですが、1つの観点は能力を証明する資格ということと、発令行為という部分と、それから、それぞれのレベルの違いということと、また、資格制度の役割ということ等、3つの資格を整理するといいなと思っております。

【山本委員長】
 なるほど。どうぞ。

【水嶋委員】
 明石委員がおっしゃったように学芸員にしろ、司書にしろ、社会教育主事にしろ、大学で学ぶ各単位については生涯学習論とか、今、教育学原論と言うんですか、教育学とか、いろいろあると思うんですけれども、菊川委員がおっしゃるように共通の部分は当然あると思うんです。博物館に求めてくる人たち、あるいは、訪れる人、インターネットでいろいろ情報収集する人というのは、最近特にそうだと思うんですけれども、物を調べたいというときには、図書館であろうと、博物館であろうと、文書館、アーカイブスであろうと、もうどうでもいいんですね。その資料の所在がたまたま図書館にあるとか、実物資料が博物館にあるとかいう、いわゆる物とか情報というのは、我々が博物館、図書館と規定しているだけであって、一般のお客さんの情報収集活動というのは、ITによってだと思うんですけれども、それほど厳密になってきていないのが現状なんです。
 イギリスなんかを見ていますと、行政自体が図書館、ミュージアム、ライブラリー、アーカイブスと一体化しているような傾向があります。ですから、行政自体のあり方も考え直さなければいけない、これは直近の課題ではないかもしれませんけれども、将来どういう方向に導くのかとか、あるいは、生涯学習施設をどのような背景の中でベクトルを向けていくのかということは、また議論があるかと思いますけれども、いずれにしましても、お客さん、市民というんですか、ボランティアも含めてですけれども、情報を提供する側と情報を受け入れる側、学習する者といった人たちはインターネット社会では施設的なことはないんですね。ですから、大学でも、あるいはこういった行政でも社会教育実践センターというところにおいても、共通科目というのは設けてもしかるべきだろうなと思います。それを個別の法律の中でどう位置づけるかというのは、また別なテクニカルな問題があるかと思いますけれども、考え方として連携していくのはよい方向ではないかなと思います。

【山本委員長】
 どうぞ。

【鈴木委員】
 あんまり1つのものに注目してしまうといけないかもしれませんが、また6ページの図なんですけれども、学習と教育というのは、教える者と学ぶ者にかなり意識しているんですね。でも、ほんとは別のあれがありまして、それは教育的な価値なんです。どういうものがいいものだと提示するか、提起するかということがあるわけです。それによって学習と教育とは違うというのが、ここには明示されていないんだけれども、あるわけですよね。だから、教育というと、つまりいいか悪いか、どの程度か、どういう内容かということが問題になるわけですけれども、何らかの価値を提起するような行為であるのだということが重要な話だと思うんです。
 そうすると、公民館とか、社会教育一般とかはわかりやすいんだけれども、図書館や博物館はそれをやっているのかやっていないのか、お客様がとかいう言い方になると、お客は本を読みたくて来ているだけだという話になる。でも、図書館側はこういう本を読んでもらいたいということでやっているわけですから、それは教育という話だという構図になるわけです。そのところを生涯学習と言えば、その個人がやりたいことを何でもという言い方をしてしまうと、教育ということから外れてしまう。だから、教育ということをきちんと考えるのか考えないのかのところが重要な話なんです。
 今回の教育基本法の中には、これまでは社会教育施設とは言っていなかったはずなのですが、社会教育のところで社会教育施設という文言が入っているわけです。現行の社会教育法では図書館やあれも社会教育の機関だという規定がある。そのところが極めて重要な話だと思うので、そうであるとすると、学芸員も司書も教育機関の職員であるんだということになる。したがって、それなりに共通のものをきちんとやって、人を相手にする専門職である、物や情報だけを相手にする専門職ではない、物や情報が欲しいんだったら、別のところに行けば、別なデータベースに接すればいいわけなので、単に図書館へ来ないで、本屋さんで買うぐらいのことをすればいいわけなのです。そのところで、社会教育だというふうにやるということの意義を考え、職員の上級もいいんですが、上級というのは、資料などについての上級だけであって、人間を対象にするような職員としての上級であるかどうかというのはわからないと私は思うんですが、そういう上級があればなおさらいいと思いますが、そういうもので考えていく。だから、共通に職員の基盤を充実させて、さらにその上に、検事、弁護士、裁判官というのがあるようなものはすごく望ましいことだと思って、それぞれが、学芸員は学芸員で別なもの、司書は司書で別なものという形ではないようにするのが、やはり生涯学習支援全体から見てその中で社会教育施設を位置づけるということになるのではないかと思っております。

【山本委員長】
 山重委員。

【山重委員】
 私は制度について今までよく知らなかったので、教えていただきながらということになるんですけれども、グレーの2のところで見ているんですが、例えば2ページ目に社会教育法第5条の中に社会教育のカテゴリーというのがあって、おそらく列挙されているんだと思うんですが、その中の12番などを見ると、「青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること」と規定されていますので、私のイメージではやはり社会教育のカテゴリーに先ほどの自己学習のサポートも入ってくるんだろうなと思っているところです。その辺が間違っていれば教えていただきたいんです。
 それで、今のお話の続きということで、社会教育主事についてよくわからなかったものですから、法律を見ていて今の点を気づいたんですが、具体的に第9条の3というところを見ていくと、「社会教育主事は、社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える」と書いてあって、どちらかというと、この主事というのは、社会教育を行う人ではなくて、行う人に助言するという仕組み、つまり行政的な役割みたいなのであって、例えば、図書館の司書さんとかいう専門的な技能を持っている人というよりは、教える、指導するという立場で性格が違うような気がするんです。むしろこれから必要なのは、社会教育をきちんとできる人たち、例えばレクリエーションとか、先ほどのボランティア活動などにうまく参加させて、そこから何を学ぶかといったことを、まさに社会教育を実践する専門的な技能を持っている人たちをもっと今後社会でつくっていかなければ、社会教育がほんとに充実しないのではないかと思っているんです。そういう意味では、この主事というのはそういう人ではないんだということが法律上は少なくともわかったのかなと思っているので、むしろ今後は主事の役割を変えるというのも1つあるのかもしれない。少なくともスピリットとしては、社会教育はますます重要になってくると思うんです。そういうのを専門的にできる人たちを育てていく仕組みをもっとつくっていったほうがいいのではないかと思います。
 間違いがあるかもしれないので、教えていただければ。

【山本委員長】
 土江委員にご意見をいただく前に、私のほうから知っている限りでいいますと、今の社会教育法ですけれども、最初のページの第3条第1項のところにある、国及び地方公共団体の任務としての、みずから実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するというところが一番のポイントだそうです。環境醸成が国及び地方公共団体の任務だということと、それから、先ほどの第5条ですけれども、これは要するに社会教育が先ほどのようなことをやっているときに、漏れ、落ちがあってはいけないというので並べてある。ですから、よく見ると矛盾がたくさんあるんです。矛盾があるんだけれども、それは百も承知でこういうのをつくった。つまり、どこかですき間ができて落ちてしまうと、カバーができないのでは申しわけないというので、こういうようにしてあるという話でございます。
 それから、その次の社会教育主事の第9条の3ですけれども、これはつくった人が間違ったとおっしゃっている。直したかったけれども、何度直そうとしても直せない。どういうことかと言いますと、具体的には教育委員会に指導主事がいるわけです。それと社会教育主事を同等のものにしていきたいということを考えて入れてみたけれども、これは間違ったということで、昭和30年代に何とか直そうとしたけれども、直らなかったということなので、この際直してくれという要望がございます。
 では、土江委員。

【土江委員】
 それぞれ委員の先生方からご意見がありましたけれども、6ページの学習と教育というところは私も考え方がはっきり整理されていないわけですけれども、社会教育は、確かに自己学習にウエートを置くということはよくわかるんですけれども、これまでの社会教育の中でほんとにこれでいいのかなというところもございまして、特に生涯学習の観点から学校教育の中でも義務教育といったところにウエートを置いた場合に、この社会教育と学校教育との融合は非常に重要でして、学校教育では明らかに目的といったものが、システム化がきちんとなされている。これに対して社会教育はいかにもファジーだなという気もしておりまして、少なくとも共通的な目標を持つとかいったことも必要なのかということで、今学社連携・融合を進めていくチャンスでもありますし、また、学校支援という観点からも社会教育の目標というものを明確にする必要があるのかなと思いますし、また、今後の社会教育の大きな役割の中にやはり地域コミュニティーの再生があると思うんです。そうしたところで、社会の要請の部分との関連の中で社会教育の目標的なものを明確にしていけたらと思います。
 それから、もう1点。社会教育主事の関係ですけれども、先ほどありましたが、年々社会教育主事講習が減っているということで大変嘆かわしいわけですけれども、教育委員会の事務局に置くというふうになっているわけですが、やはりそれに限定しないで、民間の社会教育主事も含めて、教員はもとよりですけれども、行政の職員も有資格者が学校に配置できるということは、今後家庭、学校、地域住民の連携、協力というところでは極めて大きいかなということで、この点もまたご議論いただければと思います。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございます。
 どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 社会教育主事のお話でやはり思ったんですけれども、社会教育主事といっても担っているところが広くて、ほんとに大きく分けると、枠しかつくらない社教主事もいるんです。学級・講座の運営しかしない社教主事もいるし、両方している方もいるし、一言で言っても広い範囲である。ただ、全部を通してみると、いろいろな人に話すんですけれども、やはりコーディネート力がほんとに社教主事の任務の柱になるのかなと。それは、社教主事の存在を示すのにも、このコーディネート力をいかにアピールしていくか。
 やはりいろいろな教育力が地域に出ていると思います。例えば、学校で環境学習をやるという場合に近くの川に行こうといったとき教育力が地域に出てくるわけです。そのときに社教主事がどう公民館、もしくは地域の団体と結びつけていくかという実績を周りに示していくことによって存在感が上がっていくのじゃないかということで、コーディネート力というところを考えると、先ほど司書と博物館の学芸員と3つの専門職の話が出ましたけども、どの資格もやはりコーディネート力というのが核になっていくのじゃないか、それは共通のものであって、共通に履修できる部分でもあるのじゃないかと思っております。
 先ほど資格の話が出ましたけれども、これからは民間の方とかNPOの方にどんどん社会教育に参画してもらうということで、やはり民間資格としての、任用資格でない社会教育主事的な資格が必要になってくるのかなと。そういうところにコーディネート力とかすべてを兼ね備えたものを学んだ方が学んだ成果を生かせていけるような資格、また、仕組みが必要じゃないかと考えております。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、高橋委員。

【高橋(興)委員】
 生涯学習分科会を含めてどなたもご発言にならないので、この際ぜひお話をしておきたいと思いますが、今、社会教育の公共性だとかということが盛んに言われていて、特に昨年来いろいろな県を回る機会があって、そういう市町村の方々の話を聞きますと、こういうことを盛んにいう方が多いということが大変心に残っているんです。それは、学校週5日制になってから、社会教育の主たる仕事は学校とのかかわりの部分がものすごくボリュームを持って、成人教育はすかすかだということを言うわけです。今のように社会教育は公共性が大切と言えば、ますます趣味、教養的な事業は減っていくんだろうと思うんです。
 だとすれば、私どもの県をとってみても顕著ですけれども、民間教育事業者の役割は相対的に地方では高まっていくんだろうと私は今思っているんです。私どもの県では幸いNHK文化センターが県内に3カ所あるという全国的にも珍しい県でございますけれども、それぞれ営業成績は順調だそうでございます。
 しかし、そういった中で新しく地元資本で民間教育事業を立ち上げようという動きもあります。社会教育法第23条に公民館を特定の営利事業に利用させてはならないという規定があって、実は、これは民間教育事業者には問題ないんだという通知等が文部科学省から出て、解消しているようにも思いますけれども、この際法律を見直すときには、こういったところなども民間教育事業者との関連でぜひ整理したいと私は希望しております。
 以上です。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 若干コメントしますと、ご本人は言いにくいので言わないんでしょうけれども、文部省で平成六、七、八年ぐらいですか、生涯学習社会のネットワークづくりをして広げていこう、それに民間を入れようとかいうこともやって、高橋委員は参加していまして、それを県でそのまま県民カレッジというシステムをつくって具体化したんです。そこに民間が入っているから今のようなことになっているので、行政と民間との協力があったということだけつけ加えておきます。
 どうぞ、ほかに。もしほかの項目でお気づきの点があれば、また出していただくとしまして、そろそろきょうのところはこのぐらいということにしていきたいと思いますが、これから先大変タイトなスケジュールになっていくかもしれませんけれども、ご協力をお願いしたいと思います。

【高橋生涯学習推進課長】
 事務局から2点ほど連絡いたします。
 1点目。まず、大変恐縮でございますが、1個資料の訂正でございます。先ほど一言解説しました参考資料3の、既に公布されております教育再生3法の1枚目なんですが、実は学教法の改正法律の3項目の施行日が20年4月1日になっておりましたが、これは後ろの資料と整合がとれておりませんで、1枚目が間違っておりまして、これは昨日の公布日から6カ月以内で政令で定める日ということでございます。大変申しわけございません。資料を修正したものをまた後日お送りさせていただきたいと思います。また、後日ホームページに載せます資料は訂正したもので載せさせていただきますので、ご了承いただきたいと思います。
 それから、次回の日程でございますが、参考資料5をごらんいただきたいと思います。先生方、大変お忙しい方ばかりですので、事前に日程をお聞きしまして、できる限り多くの方が集まれる日ということで、既に毎週1回、今後4週間の日程を決めさせていただきました。大変ハードな日程でございますが、よろしくご協力をお願いしたいと思います。次回第2回は1週間後の7月5日の、きょうと同じ時間で10時から13時、食事を用意して、食事が13時までには終わるように運営をする予定でおります。場所はKKRホテル東京の白鳥で、地図をたしか机の上に置いてあると思いますのでご確認いただきたいと思います。
 それで、委員長からも冒頭お話がありましたが、きょういろんなご意見が出されましたので、少し事務局で論点を整理しながら次回以降は項目を絞った形で審議を深めていただければと思っております。ただ、次回は第2回でございますが、大変僣越ではございますが、事務局としては各方面からの有識者のヒアリングも1回行ってはどうかなと思っておりまして、今の参考資料5の2枚目に別紙として次回このような方からここに書いてあるようなテーマで、多分きょうのご指摘とダブる部分もあるかと思いますが、それぞれの分野の専門家の方をお招きしてはどうかと思っておりますので、この点をお諮りしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

【山本委員長】
 ありがとうございました。今のようなことで、次回少しいろいろ外からご意見なり何なりを聞いてみたいということでございますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【山本委員長】
 ありがとうございました。それで進めていただくということにしたいと思います。

【高橋生涯学習推進課長】
 それでは、これで第1回目の日程は終了でございます。本日はお忙しい中ほんとうにありがとうございました。
 これから昼食の準備をいたしますので、どうぞお時間のあります方は昼食をお召し上がりいただきまして、お帰りいただきたいと思います。本日はまことにありがとうございました。

─了─

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