家庭・地域の教育力の向上に関する特別委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成18年5月22日(月曜日) 10時~12時

2.場所

東京国際フォーラム G502(5階)(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)

3.議題

  1. 「放課後子どもプラン」(仮称)について
  2. 家庭・地域の教育力の向上について
  3. その他

4.出席者

委員

 大日向委員長、大宮委員長代理、赤坂委員、明石委員、見城委員、坂元委員、笹井委員、杉山委員、土江委員、中橋委員、藤野委員、藤原委員、山極委員

文部科学省

 高橋生涯学習推進課長、三浦社会教育課長、清水男女共同参画課長、濱口民間教育事業振興室長、山本家庭教育推進室長、行松地域学習活動推進室長、その他関係官

5.議事録

(1)事務局より参考資料1-1、2、資料1、2について説明が行われた。

(2)「放課後子どもプラン(仮称)」について、意見交換が行われた。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 ただいまのお三方の課長さんのご説明は、家庭、地域の教育力の向上に関する本委員会の審議内容とも密接にかかわるということでご説明をいただきました。
 なお、厚生労働省の香取総務課長におかれましては、この後に所用がおありで途中退席のご予定ということですので、ただいまご説明がありました資料のうちで、特に放課後子どもプラン(仮称)、及び、放課後児童クラブについて、委員の皆様からご意見がありましたらお願いしたいと思います。
 それでは、杉山委員さんと明石委員さん、順にお願いします。その次に大宮委員さん。お願いいたします。

【杉山委員】
 ご説明ありがとうございました。私のほうから確認をさせていただきたいのが、放課後子どもプラン(仮称)の件についてですけれども、厚生労働省のほうで放課後児童健全育成事業ということで特に共働き家庭に、学校が終わった後帰っても、お家に家族がいない方たち、子どもたちの居場所ということで、学童保育というような形で私たちも利用させていただいた事業があったんですが、それが今度一本化されるということで、すべての家庭にという子育て支援の方向性からいうとそうだろうなと思うわけですけれども、やはりちょっと懸念するのは、例えばこの資料1の2枚目にもありますように、やっぱり性質が違うというか、文科省で地域子ども教室として今おやりいただいているのが週1回程度、ほぼ毎日というのはあるんですけれども、そういった状況で、こちらの厚労省のほうはもう最低200日で年間281日以上みたいな感じで、夏休みも土曜日もやっていって、出欠確認があって連絡票があってというような感じで、割ときょうこの子が来ていて、この子は今こういう状況でということを選任の指導員さんがかなり把握してくださっているという状況で、おそらくそこまでのことは地域子ども教室の中ではなくて、いつ来てもいいし、いつ帰ってもいいよと、遊ぶ場所という感じで事業を進められてこられていたかと思うんですね。
 その中で、今後どうなっていくんだろうという心配を、両方いいところがあるわけで、それが今後一本化するとどうなっていくんだろう。今のご説明ですと、文部科学省の教育委員会の方が中心になっていきますということになると、そちらの地域子ども教室的になっていくとするならば、働く親がとてもやっぱり出欠、うちの子が来てくれているのかとか、おやつが出るのかとか、そういうことをすごく心配をしているわけで、そのあたりが消えてしまうというか、そういう今までずっと学童保育の方たちが積み重ねてきた、あそこの学童保育のノウハウであったりとか、そういうものがなくなっていってしまうということに対してちょっと心配をしているという部分がございます。
 もう一点が、できる限り小学校の中で実施していくという方向性は、そうなのかなと思うんですけれども、子どもたちが全員学校が好きとは限らないんじゃないかなという気がしておりまして、場を変えるということというんでしょうか、私たちはよく放課後は地域でみたいなことを申し上げたりもしていたんですけれども、選択肢の1個として学校があるという、かつ、今の子どもの危険な、地域がほんとうに子どもの居場所になれるのかという現状の中では、申し上げていることは理想論なのかもしれないんですけれども、じゃあ、全部学校でということに対してちょっとそれを力強く推進していくということに関しては、ちょっともう少し子どもの話だとか地域の話とか親の話とか聞きながらやってほしいなというような気持ちというか、そんなのがございます。
 何かすみません、長く。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 一問一答ではなくて、お三方まとめていただいて、重なる部分も多いと思いますので、明石委員さんと大宮委員さんがお話しいただいた後にお答えいただけますでしょうか。

【明石委員】
 明石でございまして、非常にいいプランが出てきたかなと思っております。ということは、やっぱり先発の市町村をもう少し検討していただいて、よさをこのプランに生かしていただければと思いまして、たまたま隣の横浜市が小学校が353校ありますけれども、ご承知のように、平成4年に「はまっ子ふれあいスクール」を全児童を対象にやってまいりました。これは全児童対象です。それで、10年たちまして反省がありまして、結局参加者が小学校1年生だけに終わってきて、3年、4年からもうほとんど参加しなくなってくるんですね。すごいお金を出しているのに参加しなくなってきたと。一方では、それは市長部局がやりまして、もう一方では厚労省の補助金を受けた学童ルームはあったんだけれども、そこもシングルの家庭のお子さんも全員ルームにも参加してない。そういう2つの施策の矛盾点が出てまいりまして、何とか文科省でやっている地域子どもルームと同じような形で学童ルームもドッキングできないかという形で検討してまいりまして、去年から実験的に、18区ありますけれども、去年は9区、今年は9区で19区、特別なプランをつくりまして、厚労省と文部科学省の施策をドッキングした形のキッズスクール、キッズクラブを立ち上げたんですね。
 それが、かなり比較検討していますと、よさというのは、専門のスタッフを育成した。主任スタッフが1名とスタッフが2名、要するに、専属の方が3名います。これは公募でやっております。公募で受かった方を8週間、2ヶ月かけてトレーニングしていただきます。さっきみたいな学校との連携をどうするか、ボランティアの確保をどうするか、子どもとの遊びをどうするか、大体学校に拠点を置いていますけれども、杉山委員がおっしゃるように、学校だけでは不十分だから、地域にどうやって公園に遊びに行けるかとか、夏休みはどういうキャンプをすればいいかとか、そういうことを工夫しております。そして、そのデータといわゆる「はまっ子ふれあいスクール」の従来のデータで、子どもたちの意識を聞きますと、基本的にはやっぱりキッズクラブのほうがいい。
 私が申し上げたいのは、この事業の成果を決めるのは、スタッフの育成とボランティアの確保、そのコーディネーターを育成しておかないと、結局子どもたちは、悪いけども家庭に帰って、やっぱり今の漫画とテレビというふうに流れかねないんですね、テレビゲームに。ここをぜひ予算化する場合に、スタッフの育成プログラムを、横浜は8週間、2ヶ月かけて育成したんですが、相当金をかけております。その辺をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

【大宮委員長代理】
 それでは、私のほうから。私のほうは自分の2人の子どもを学童保育でずっと育ててきたので、よく教育委員会と福祉部で全然いろいろ考え方が違うので、小学校で学童保育をという活動などを山形市とか高崎市でやったりして、いろいろ苦労した経緯があるので、基本的には小学校を活用して小学校を拠点にして放課後のこういう場をつくるという方針に関しては賛成です。
 ただ、小学校を、校長、教頭を中心にして全学生放課後を、安全、安心、教育、遊びのプランとしてやるのはかなり困難というか、むしろ今まで学童保育というのは福祉部でやってきて、指導員をしっかり置いて、生活、昼間の兄弟といっているわけですけれども、放課後の生活を1年間行う場として、30人から50人ぐらいの子どもを指導者と父母が協力して年間スケジュールをつくってやってきたのに対して、全校の放課後の校長、教頭先生が、放課後まで遊びと生活をプランニングするという、これはかなりの負担をかけることになるので、ねらいとしてはわかるんですが、現実的には、今までの結果からいうと、私は福祉部が中心になって、学校の校長、教頭先生も、今までも協力してきたので、より全面的にその生活のあり方を協力するとしたほうが現実的なのかなと思いますので、決まってしまったんだったら仕方がないんですか、その辺の今までの学童保育の基盤をしっかりと踏まえて、土曜日や日曜日を一つの集団体験とか伝統遊びとしての今までの文部省の中身をプラスアルファして、生活の場としての安心・安全な居場所づくりという形に持っていくほうが現実的かなと思っております。
 そうでなければ、今のお話のように、スタッフとコーディネーターの全面的な育成を真剣にやらない限りは、校長先生も教頭先生も学校の教育委員会は困るだろうと思います。

【大日向委員長】
 いかがでしょうか、今までのご意見に対して。

【香取総務課長】
 それでは、幾つか私のほうから。
 まず、統合した後の、統合というか、19年度以降、一体的な事業にした後の、いわゆる放課後児童クラブがどういう形になるかということですけれども、冒頭申し上げましたように、私どもの側からの問題意識は、800の放課後児童クラブ空白区にできるだけ早い段階で設置をしていきたいということ。それから、現在でも45パーセントくらいが学校の場所をおかりしていますが、放課後児童クラブを設置したときの場所として、これはそれこそ小学校の学童ですから、基本的には小学校負担でつくられるということもありますので、設備とか場所という意味でも、運営という意味でも、今以上に小学校の側との連携とかご協力をいただくような形でやっていきたいという意味で、今回のようなプログラムを考えるということになります。
 したがいまして、全児童対策の中でどのような事業が例えば新しく組まれるかとか、ちょっとお話がありましたように、そういった体験学習みたいに、今までの学童クラブではできなかったようなものを取り入れるということがあるんだと思うんですが、基本的に今やっている学童クラブのサービスというか提供している事業のレベルを変えるつもりはあまりありません、変えるというか下げるつもりはありません。例えば、出欠をきちんと確認するとか、それから、先ほど申し上げた指導員の問題ですとかおやつの問題ですとか、これは実は先行的にやっている幾つかの市町村で、私は実は個人的には世田谷区にいるんです。うちの子どもが学童を出るときに、実は親睦区に以降して全児童との統合をやったんですけれども、やはりそのときにおっしゃったようなことは必ず問題になって、現場の中で、学童の子どもとそれ以外の子どもとである程度付加的にサービスを提供しなきゃいけない要素というのは出てきます。その部分は、おそらく基本的には必要なサービスとしてもやっているものですから、そこは後退をさせるということはおそらくできないのであろうと考えています。
 と同時に、各市町村に小学校ごとに学童クラブを置くわけですけれども、例えば、学校区のでき方ですとかクラブのでき方によって、複数学童クラブが存在するところは実は幾つもあるわけで、そうなると、複数の例えば学童クラブをすべて学校で実施できるかという問題も出てきますから、学校以外の場所で実施をすることというのは必ず今でもありますし、今後ともそこはあるだろうと。ただ、その場合でも、お話がありましたように、できるだけ学校側がいろんな形で運営に関与すると、学校との、今でもそうですが、学校とクラブの連絡、出欠の連絡とかいうことがきちんとできるようにということをやっていきたいと思っています。
 保育園の子どもと違って、学齢期になりますと、当然塾へ行ったりする子もいますし、学童に行くと言って、帰りがけに友達と約束ができて、そのままどっか行っちゃうとか、幾らでもそんなのはあるわけで、そうすると、出欠の確認の問題というのは必ず問題になりますので、うちの子どももそうでしたが、そういったことはきちんとやっていかなければならないと思っています。
 その意味で、明石先生のお話になりますが、横浜にも我々はちょっと、この間お話を伺いに行ったり見に行ったりしておりますし、23区内ですと、世田谷とか幾つかもう統合した形に移行して学童クラブを実施しているところがありますので、そういうところでうまくいったり、あるいは、現実に現場で問題になったことなんかは一応分析をしてこの形に移行していきたいと思っています。
 おそらく現実問題として、今学童クラブでやっているようなサービスを、じゃあ、例えば全児童に対してやるのかと、できるのかと考えれば、多分それは、私ども、今の子どもだけで約600億内外かかっていますので、おそらくそれはできないし、そこまでするという事業の必要はおそらくないと思いますので、全児童対策としてどういうものをやり、その中で特にいわゆる保育的なサービスがその子どもに対して付加的にどういうサービスをつけていくかということを具体的にこれから詰めていって、事業に組んでおくということになるだろうと思っております。

【高橋生涯学習推進課長】
 私のほうからも若干ご説明したいと思います。
 まず、その前に、まだ細部についてはこれから検討すると、まさにきょういただいたようなご意見も含めて検討ですので、必ずしもまだ両省ですべてが細部について詰まっているわけではありません。若干私と香取課長のニュアンスが違えば、そこはまたこれから調整するということでお聞きいただきたいと思うんですが、基本的な認識は私も同じようなことかなと今のお話を聞きながら思っておりました。
 必ずしもすべてを一本化するというよりは、緩やかな一つの同じ場所の中で、2つの事業が緩やかにだんだん融合されていくというのがちょっと望ましいのかなと。ですから、今の学童についてもできるだけ今の水準を切り下げないようにというのは多分私どももそういうことで考えなければいけないと思っておりますし、そういう中で、今まで子ども教室でやっていたような全児童対策というのもうまくそれに乗っかっていく。
 ですから、全児童対策のほうにまであえて出欠を全部とるとかおやつを出すこともないんだろうと思いますし、ただ、ばらばらにやるんじゃなくて、例えば同じ場所で1人の指導者のもとに統合されるということでも随分違ってくるのかなと、そういうことを1つ考えております。
 それから、杉山先生のほうからは、何でもかんでも学校がいいのかと、学校以外のところで子どもが救われるとかほっとする面もあるというのもおっしゃることはわかるんですが、ただ、あくまで場所としての小学校と学校教育がどうかというのは峻別する必要があるのかなと。冒頭申し上げましたように、あくまでこれは社会教育的な位置づけであって、学校教育ではないと。したがって、先生の職務でもないと。先生もご協力はいただくけれども、基本的には先生ではないコーディネーターがいて、ボランティアの指導員の方々、そういう集団が、ただ、せっかくの地域の有効な施設ですし、安全を管理しやすい施設、移動の必要がありませんので、学校という場所は大いに活用しながら、しかし、学校教育ではない方々が中心になっていただくと。
 したがって、大宮先生のほうから、ちょっと私の説明が不十分だったかもしれませんが、放課後については、校長、教頭がプランニングするということではなくて、そこに置かれた例えばコーディネーターの方が中心になってプランニングをいただくと。あくまで校長、教頭はそれをサポートいただくという形かなと思っております。
 それから、実はこの5月9日に発表して、私も教育長の協議会とか、小学校・中学校の校長会、教頭会とかいろんなところに今ご説明に伺っておりますけれども、実際にいろんなお話を聞きますと、それぞれ2,000近い市町村がいろんな事情、沿革のもとでやっておりますので、むしろ学校ではないところに今まで放課後児童クラブを設置していたところも当然ございますし、ただちに一本化は難しいといった声も聞きますので、国としては大きな方針、方向性は示すにしても、実際にこれを実施いただくのは各市町村ですから、それぞれの市町村の実情を最大限配慮した形の制度設計にしないと、こういうモデルを決めたから全部これでやれという形ではうまくいかないだろうと思います。そこはこれからぜひ現場のご意見も聞きながら、現場にも使いやすい、現場から歓迎されるような制度設計にしなければいけないのではということは考えております。
 最後に、明石先生からご指摘のあった指導者の問題というのは、これは確かに大事ですし、今まで両省がそれぞれ指導者育成的なことをやっていましたが、こういったところはまさにうまく一本化してやっていくことがこの事業の成否につながると思いますので、きょうお話しいただいたようなことも参考にしながら、これからの制度設計を進めていきたいと思っております。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 この事業は厚生労働省さんと文部科学省さんが一つの事業を連携して取り組まれるという非常に画期的なお取り組みだと思います。その内容に関しては、具体化に関しては今後担当者の方々が鋭意詰めてくださるということでございますので、きょうの皆様のご意見もぜひご参考にしていただければと思います。
 それでは、香取課長におかれましては、大変お忙しい中ご説明にいらしていただきましてありがとうございました。
 それでは、これから本日の審議に入りたいと思いますが、本日の議論の材料となります配付資料につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

(3)事務局より資料3について説明が行われ、意見交換が行われた。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 これまでのこの委員会での議論をまとめていただいたわけですが、これからご議論に入っていただく前に、スケジュールのことをお知らせしたほうがいいと思うんですが、きょうと、あともう一回、6月2日予定されております。可能でしたら、6月2日の段階でまとめたいと考えておりますので、きょうの残った時間、どうかどんどんご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか、どなたからでも。明石委員さん、お願いします。

【明石委員】
 まず最初の感想ですけれども、よくまとめられているなというのが率直な意見であります。
 それで、1つ一番私が個人的に気に入ったのは、きょうの2ページ、3ページの「(必要な視点-3つのポイント)」は非常によくできているなと思いました。今回の特別部会の何かコンセプトを3つ示している。支え合い、育ち合い、分かち合いというのを多くの方々に知っていただけるといいかなと。できたら、「早寝早起き朝ごはん」が非常にテンポがよくて多くの国民にわかりやすいのは、やっぱり一点に絞っている。そういう意味では、私は三合い運動というか、この「合い」を3つの「合い」と3つの「共」、例えば、地域を通じた支え合いというのは、共同生活の共で、育ち合いは「共育する」、共に教育、育てるという「共育」で、分かち合いというのは「共生」、共に生きるという。何かそういうキーワードをつくって、例えば語呂的には三合い三共運動を広めましょうとかということを絞って、その次の6月2日あたりに、最初のところに全体をどういう形で国民運動として起こしていくかという視点が大事かなと思ったんです。
 そういう意味では、この3つのコンセプトというのは非常にいいなと。これはもう少しこの委員会の中で具体的に詰めていって、この3ポイントをよろしければ取り上げていただきたいと思っております。
 以上です。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。土江委員さんでしょうか。よろしくお願いします。

【土江委員】
 それではお願いします。
 11ページの朝食の提供というところですが、確かに朝食をとることが難しい家庭環境にある子どもをどうするかということで、地域で食べさせるという提案がありますが、実際、今岡山県の美咲町ですか、生徒に牛乳とか、あるいは、乳製品を無料で提出しているということで、こうした地域の視点というのは非常に大事ですが、一方では、やはり子どもたちの自立といったところもポイントとして明示したらなと考えております。子どもたちの年齢とか発達段階に応じた子ども自身が自立していくようなメニューとか、あるいは、食事づくりとか弁当づくり、これは今の教育課程の改定の中で、例えば家庭科の時間等々の絡みも出てくると思うんですが、一つにはそういう学校教育のカリキュラムの中で考えてみたらどうなのかなと思います。
 あるいは、地域でCATVとかそうしたものを活用しながら、朝ご飯のメニューとか、「早寝早起き朝ごはん」という一つの国民的な運動の中でわかりやすく提供していく。いずれにしても、子どもたちが自立していくという視点をとらえないといけないんじゃないかなと思います。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。
 杉山委員さん、お願いします。

【杉山委員】
 ちょっと感想めいたことになるかと思うんですが、例えば1ページのところに現状ということで、よく言われる都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化というようなことが出ているわけですけれども、そろそろどうしてこういうことになってしまったのかというような社会的な背景を見直してみて、どうしようかというようなことを出していく必要があるんじゃないかなと思っています。
 こちらの議論でも、例えば6ページのところにありますように、再生か創造かというようなことをいろいろ話し合いもさせていただいたわけですけれども、結局今ネガティブに都市化になっちゃったとか核家族化とか、女性が社会進出したからとか、いろんなことを言われるんですけれども、それはどうしてそうなったのかということ、過去を振り返ってみると理由があるわけですよね。日本の方針としてそっちに行った、高度経済成長を求めたのは私たち国民でもあったし、私は子どもだったのでよく知らないんですけれども、そういう国と国民の意図があって都市化が進み、格家族化が進んだというようなところを踏まえて、じゃあ、次、私たちはいいところと悪いところを引き受けて、どうするのかという次の議論ということが必要になってくる。それはもう経済とかあっちのほうの人たちは考えもしないので、ここで考えないといけないんじゃないのかなというような気持ちを持っています。
 あと、家庭教育といったときに、親としてどう生きる、どういうことを子どもたちに伝えるかということももちろん大事ですけれども、一方で、大人である私たちは、親でもあり働く人でもあり、地域で生きる人間でもあるということを考えると、そういった働く人間としてどう生きるのかというのは、ある意味、キャリア教育とかそういう部分だと思うんですが、そういう教育も受けたいし、それから、地域に生きる人としてどういうことをしたらいいのかとか、どういう考え方を持ったらいいのかとか、そういった学びも欲しいなと思うわけですね。そういったものがバランスよく生涯学習として学べるといいんじゃないかなと思っています。
 あと、ぜひ最後につけてほしいのが、安定した財源がないと、せっかくこういうふうに書いてくださっていることがほんとうに担保できないというか、いいことがあるんだけれども、そこがやっぱりお金あってというか、教育にしてもかける時間にしても、それから、先ほど来、明石先生がおっしゃっていらっしゃるようなコーディネーターの育成であったりとか、ボランティアを確保するにしても、何につけてもやっぱり財源は必要なので、そのあたりをきっちりと確保していくというようなことは明記していただけたらなと思っています。
 もう一点、ちょっと細かいんですけれども、10ページのところに、「学校で父親や母親の役割、家族についてしっかり教えるべきである」、メディアを使った「家風づくり運動」とかもあるんですけれども、ちょっと父親や母親の役割って、私は厳密に分けたことがないのでよくわからないので、どういうことを言っているのかなというのが、もしどなたか補足で説明していただければ教えていただけたらなと思います。
 以上です。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。
 今、最後に杉山委員さんがご指摘くださった10ページの父親イメージの希薄、確かにこのあたりは誤解されてひとり歩きする危険性もかなりあるということを、前回のときに私もちょっと申し上げたような記憶が今よみがえってきたんですが、このあたり、いかがでしょうか、どなたか。
 多分これをおっしゃってくださったのは明石先生がおっしゃってくださったんですね。いかがですか。

【明石委員】
 ジェンダーフリーの原則というのを踏まえながら、やはり父的、父親というよりも父的役割、母的役割といったほうが誤解がないかと思います。これを見ると、父親と母親と限定すると、いずれも実態概念でしょうから、操作的に父的な役割と母的な役割というのがあって、それは当然、家族内とか地域内でしっかりと教えていただきたいと。
 家風づくりというのは、だから、この家風も多様な概念、ともに生きるという多様な概念をいくためには、新しいというか、ある家の家風もあるし、連合した家族の家風もあるしとか、そういう一つのカルチャーをつくってほしいという意味なんですね。それがないと、何かふわふわした、どこに根づいていいかわからないという、その基礎、基本が従来の家族であり、従来の地域コミュニティだという感じで、この新家風づくりといいましょうか、私の持論で、家の家風と学校の校風と地域色といいましょうか地域のカラーという、そういう一つの三段論法の一つとして押さえてほしい。それが固定的な一つのユニットの家族であり得るし、いろんな連合家族もあり得るかなという。その辺のことは視野に入れてほしいなと思います。
 以上です。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。
 家風、校風、郷土色を出すというご意見、大切かと思います。ただ、前段の結婚したくてできない若者の云々というところとつながるといかがなものかということがございまして、むしろ今の若い人たちが結婚したくてもできないのは、働き方に問題があったり、経済的に自立できないとか、そういう労働問題がかなり大きい。働き過ぎて出会いのチャンスがないとか、そういうところが指摘されていますので、ここは前段と後段を一緒にしないほうがいいかなということを考えたりいたしました。
 それでは、山極委員さん、お手をお挙げくださっていました。よろしくお願いします。

【山極委員】
 2点ございまして、まず1つは14ページの企業の役割というところの白丸2つ目の、ジェンダーバイヤスとの関係です。数年前都内で実施した調査結果によると、若い10代の人たちを対象に、お父さんのイメージとお母さんのイメージについて聞いたところ、“お母さんは決断力があり元気がいい。お父さんは優しくおとなしい”というふうに変わってきているのですね、年代別にもこのイメージは異なりますが、“父親とはこうあるべき”“母親はこうあってほしい”というように決めつけることはよくないと思います。従いまして、性別役割分担をするのではなく柔軟に固定的役割分担を見直していくみたいなニュアンスに変えていただいたほうがわかりやすいかなと思います。
 2つ目は、17ページでございます。これは活動に参加する人材の養成とか確保ということでございまして、白丸の1つ目のポツの1行目ですね。「校長及び教頭には、多様な外部の者に係るマネジメント能力が必要」という記述がございますが、このマネジメント能力については、スタンスも入るのではないでしょうか。例えば、現在のタテ型ピラミッド組織は、プロイセン参謀本部以来のもので、個(自発性)の摩滅だった訳ですが、21世紀は脱工業化・IT化の時代にありますから、フリー・フラット・フレキシブルな組織を基本とし、それぞれの個性を引き出すといったマネジメントが大事だと思います。この点についてのお考えの方向性が出ていらっしゃるようであればお聞きしたいと存じます。
 以上でございます。

【大日向委員長】
 むしろ山極さんがお考えのことをおっしゃっていただいて、盛り込めるものは盛り込みたいと思います。

【山極委員】
 ありがとうございます。
 グローバル化の大競争時代を、生き残っていくには、多様で多彩な価値観を持った人材がいるほど企業の競争力は高まりますので、企業の研修はこの方向でやっております。新しい、将来に向かったマネジメントについて、考えて参りたいと思います。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。
 赤坂委員さん、それから、坂元委員さん、それから、中橋委員さんの順でお願いします。

【赤坂委員】
 今、山極委員さんがおっしゃったこととちょっとつながるかなと思うんですが、17ページのところに、これらの取り組みを進めていくときに、校長、教頭にはというこの文言があって、これもほんとうに具体的にどうなのかということはこれから詰めるにしても、大変重要なことだなと思っています。
 それにつながるかなと思うんですけれども、実は幼児教育、乳幼児教育、保育とは一体何だろうかというあたりもいろんなところで話が出ておりますけれども、子どもを育てるのが楽しいとかうれしいとか、ちょっと大変だけれどもというあたりで、それを助けてあげられる今一番身近にいるのが、もしかしたら保育所の保育士であったり幼稚園の教員ではないかなと思います。
 そういう意味では、いろんな広場ができて親たちが集っていても、その子どもが育っていく過程を意味づけてあげたり、こんなおもしろいことがあるよ、こんなふうに考えればというようなことを、それも一つのマネジメントかわかりませんけれども、伝えてあげられるだけの力を持った資質、能力が求められるということをすごく感じます。
 特に私学とか公的なものとは言い切れないかもしれませんが、若い保育者でどうしても成り立っている状況のところでは、なかなかそのことをきちんと保護者に伝えていけるだけの研修体制が今のところでは大変まだ足りないのではないかなと思っています。
 そういう意味では、少なくとも乳児、幼児を預けている保護者に対して、きちんとその中身、子どもが育っていく過程、あるいは、見通しがこうなっているのよ、こういう発見というのはとても大事なことよということを伝えてあげられるような能力、あるいは、それを分析できる力をつけていくような研修体制というものをきちんとしていく。これがもしかしたら一番今根本の子育て支援かなと私は感じています。
 具体的に言えば、よだればっかり垂らして困りますと悩んでいるお母さんに、もう離乳が始まる時期なのねということ、その一言でお母さんが何か明るくなるなんていうようなことも伺っております。
 そんなことで、ぜひかかわる人の研修というあたりをどこかで具体的に書いていただけるとありがたいなと思います。
 以上でございます。

【坂元委員】
 13ページに学校の役割という項目がございまして、学校による子育て支援について多様な意見があったことが書かれておりますが、学校を通じた家庭の教育力の向上というときに、その意味というのは、1つには、7ページに項目がございますが、きめ細やかな家庭教育支援にあるのではないかと思っております。
 きめ細やかな支援ということでは、孤立したり子育てにあまり関心のない家庭に対して、どのように介入していくことができるのかということが問われているかと思うんですけれども、学校の先生方がそうした孤立したり子育てにあまり関心のない家庭を含めて、どのような家庭についても保護者との面談をしたり、家庭訪問をしたり、あるいは、授業を通じて家庭にアクセスできるという機会は非常に貴重なもので、なかなかそれ以上のものは難しいのではないかと思うわけでございます。
 ただ、現実には学校にはいろいろな負担が今あるところから、生徒の学力指導、生活指導に加えて、さらに親の指導まで行うというのはとても無理だというご指摘がありまして、それで13ページの「学校の役割」の項目のところで、多様な意見というものの1つしてそこに含まれることになったのだろうと思います。
 学校という場を使って、先生ではなくNPOや地域の方などが活動していただくというのはよいけれども、それに先生が参加するというのは難しいというご指摘だと思います。当然、現実的に現場が対応できないということであれば、そうした取り組みはうまくいかないのでありまして、現場が受け入れられるものでなければならないと思うのですけれども、ただ、やはり面談をしたり家庭訪問をするとか、授業を通じて家庭にアクセスできるという機会は非常に貴重と思いますので、最初から難しいというよりも、どうすればその機会を生かせるのかということを検討していくような考え方もあってよいかと思います。
 例えば、先生方の活動を制限して、家庭の事情を知って、特に必要なものであれば、しかるべきNPO等による生涯学習の取り組みの情報を持っていってそれを紹介するということだけを基本的に行うという、すなわち、先生方が実質的にその家庭に対する指導を行うのではなくて、あくまでつなぎ役、入口のところだけの活動を行っていただくことが考えられます。また、授業を通じた家庭の啓発でありますが、例えば、安全教育、特にITの安全教育などで言われておりますが、授業でITの安全について扱いまして、その資料を家庭に持ち帰ってもらって保護者にコメントを返してもらうということがすごく家庭の啓発によいという議論がございます。ITの安全教育では、学校を通じたそうした家庭の啓発というのが重要なことだと考えられております。
 もちろん、先生方の負担が増える分、人員的な措置等があれば大変よいわけですが、なかなか財政は難しいという状況ではございます。いずれにしましても、先生方の持っている機会は大変貴重でございまして、それを現場に受け入れられる形で活用していくことも、きめ細やかな家庭支援という観点から検討の対象としてもよいのではないかと考えている次第でございます。
 以上。

【大日向委員長】
 ありがとうございます。
 もうひとかた、中橋委員さんでしたね。その次に見城委員さん。

【中橋委員】
 中橋です。
 私のNPOのほうで、居場所づくりの運動をしている、活動をしているんですけれども、その中でも、やはり最初に冒頭にあったように、広くどんな家庭も受け入れるということで受け入れはしているんですけれども、全く子どもに無関心な家庭というのが少なからずあって、それで、子どもたちに随分荒らされて苦労しているという現状があるんですけれども、私の子どもは学童さんに行っていて、月3,000円学童の費用を払って行っているんですけれども、その3,000円すら払いたくないとはっきりおっしゃるご家庭の方で、もう子どもも全く見ない家庭というのもあって、そういう家庭があるからこそ家庭教育ということでこういう活動があるんだと思いますけれども、幾ら運動しても幾ら活動しても幾ら啓発しても伝わっていかない家庭がやはりどうしても中にあるんだということは、現実としてすごく感じています。
 だからといって、それを放っておいていいのかというとそういうことではないので、その子どもたちをどういうふうにして受け入れていくかということですけれども、現実的には私たちの居場所の教室の中での材料費が要るような授業をしても、材料費も持ってこないんだけれども、放っとくことができないというか、危なっかしいので受け入れる。だけれども、ちょっとするとそういう家庭の子どもたちは地域の子ども会に入っていない、自治会にも入っていない、だからこの行事にも来れない、あれにも来れない、これも参加できないということで、結局放ったらかしにされていて、今だとほんとうに日が長くなったので、夕方遅くまであっちこっちで、駐車場で遊んではあっちに行けと言われてこっちに行って、あっちに行けと言われて、ほんとうに居場所がない子どもたちというのが私のほうの田舎にも何人かやっぱり周りに見受けることがあるので、そういった子どもたちを何とかして受け入れられるような場所が必要なんだなと。
 そのためには、この中で、NPOなどの記述、NPOなどの子育て支援団体の役割が重要であるということで書いていただいてはいるんですけれども、それだけではなくて、もう既に行政との連携がとれている既存の婦人会であるとか民生委員さんであるとか、そういう既存の役割のある方々、婦人会の人にしてもそうですし、自治会にしてもそうです。自治会に入っている親の子どもたちだけということではなくて、やはり自治会費を払っている、払ってないにかかわらず、そういった子どもがいたら受け入れてほしいなというような既存の団体の役割というのをこの中にどこにも書かれていなかったので、地域の中にいろんな資源があって、そういうそれぞれの役割というか、こういう認識を持ってほしいということをこの中にぜひ織り込んでいただきたいなということが1つ。
 あともう一つ、「(企業の役割)」ということで、13ページの下に、企業は仕事と子育ての両立支援を行うことが企業にとってプラスになるということを認識していないということなんですけれども、この中で、企業の意識改革だけではなくて、私たち消費者が、ここは子育て支援に非常に熱心に取り組んでいるとか、地域の中でこういう役割をこの企業が担ってくれている、だからここのサービスを受けましょうとか、この商品を買いましょうとかというような消費者の成熟度が足らないと、やっぱり安ければ安いほうがいいとかというようなことにまだまだ流されているので、そうした消費者の人たちへの働きかけですね。この企業はこういったことをしていますよというようなことのバックアップを行政が少しでもしていただけるような。最近だと子育てに優しいクーポンを出したところを行政のホームページの中で紹介したりというようなことを少しずつ取り組みが始まっていると思いますけれども、そうしたことを促して、企業をもっと地域の子育てに参画したいと思えるような雰囲気づくりというのをしていただいたら少し変わるかなと思いますけれども。
 以上です。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 じゃあ、見城委員さん、お願いします。

【見城委員】
 ありがとうございます。
 この全体を見せていただいて、やはり家庭・地域の教育力ということで、今日本がわからなくなっている一番重要な部分だと思うんです。昔のように封建的だったらもう何も言わなくてもある種の路線に乗っていけば家庭というものがあり、父親も母親もその路線で行けたものが、いろいろ自由に自立してやっていくというふうになってしばらくたってみたら、わからなくなっているというのが現状ではないかと思うんですね。
 そういうことを考えますと、すべてが重要なんですが、先ほど問題になりました10ページの子育てに関する理解の促進というところの父親、母親、家風という部分ですね。これは大変センシティブなところでして、大変雑駁な言い方ですが、一般的に何かが問題があると、例えば父親がしっかりしてなかったとか母親がという簡単な形では、従来の父親的役割というものがまだ頭の中にありまして、やっぱりそういう存在がなかったというような、例えばそういうような表現というのはよく使われるんです。
 それで、ジェンダーの問題などをよく研究していたり、その周辺にいる方たちと一般のギャップというのが私はどうしてもあると思います。ですから、ここは重要ですので、一番家庭はどうしたらいいのかとみんな思っているときに、もう少しここを吟味してしっかりこの中でも意見をもう少し固めて、わかりやすく少しでも一般の人が理解しやすいきっかけになるようなことをやっぱりここにしっかり書くべきだと思います。ここはひとつお願いであり、もう一回あるということに対しての期待ですね。ここをもう少し練ってしっかりするべきだと思います。
 それから、もう一つが、11ページの朝食のところです。私は現実を見て毎日朝食を食べずにいる子を、理屈はともかく、きょう食べさせたほうがいいという非常に具体的な考えを持ってこういう意見を申し上げている一人なんですが、ここの書き方は、整理していただきたいと思うんです。全部読んでいくと、結局どういう方向に行くのかが少しわからなくなります。羅列でも結構です。1つの文章に例えば1番目の丸のアメリカの一部でとバウチャーの話がつながってくると、話が少し「早寝早起き朝ごはん」の運動と違ってしまうんじゃないかと思うので、分けて書いていただけないでしょうか。
 うまく言えないんですけれども、こういう「早寝早起き朝ごはん」の運動があるということと、例えば2番目の丸の朝食を提供する必要性について調査を行ったら、さぼる親が出てくるとか、そういうふうにまたつながっていくと、朝食を食べずに来て非常に落ち着きがないそういった子どもたちの問題が現実にあっても、出せばさぼる親が出てくるから、じゃあ、出さないほうがいいのか。負担はあるし、学校はそういうパワーを投入すべき、教員以外を投入すべきであると何かつながっていくよりは、できたら一つずつの問題を個別に書いていただいて、これがマスコミに出ていった場合でも、実際それを今度受け手側の国民がもう少し現状を理解して、じゃあ、地域の行政にもっと働きかけるべきなのか、自分たちのまちでそれはまちづくりでやるべきなのかという動きにつながるような形も必要ではないかと思います。
 よろしくお願いします。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 ちょっとよろしゅうございますか。今、見城委員さんが言われたことは、先ほど中橋委員さんが言われたこととかなり重なると思うんですが、どんなにメッセージを出しても届かない家庭があって、その家庭の子どもたちをどうするのかということを考えなくてはいけないということですね。そうしますと、この「早寝早起き朝ごはん」はとても大事だから、まず家庭でやりましょう。でもそれがどうしてもできない家庭もあるんだから、その家庭に対しては、まず守るべきことは子どもを、その子どもに対して、地域でどうやって朝食を提供していくかという具体的方法もありますよという、そういう段階を経て書いていくと、今おっしゃったと理解して、よろしゅうございますか。

【見城委員】
 はい。

【大日向委員長】
 わかりました。
 大宮委員さんが先手を挙げていらっしゃいましたので、その後、笹井委員さん、お願いいたします。

【大宮委員長代理】
 それでは、全体的にですけれども、非常によくまとめていただいたなと、我々が勝手にばらばらいろんなことを言うものを、先生方の意見をほとんど尊重しながら位置づけてよくまとめていただいたなという感想を持っています。
 ただ、全体的に一つ一つ丁寧にある意味では尊重したがゆえに、全体の問題の外観というか、それが見えにくくなっている部分があるということは感じますので、マトリックスとか図表化をもう一度やってみたときに、特に家庭と地域のほうのニュアンスが若干、表記とかとらえ方というのは全く同じになることは難しいんですが、表現のあり方とか表記のニュアンスの違いがあると思いますので、全体にマトリックスで概念化したときにどうなのかということを作業としてやっていただければ、またクリアになるんではないかというのが1つです。
 あとは、もう一つはキーワードを、僕らはこういうのが出てくると、今度実際やるときに、例えば一番、全部やると時間がかかる、1ページ目をごらんいただくと、「基本的な考え方」で家庭の教育力について丸が3つあって、そうすると、一番重要なところが、例えば1つ目の丸では居心地のいい居場所、家庭が居場所だということと、社会へ送り出す子育てを行う場所だという2つあたりがキーワードになって、次のところで地域の支えが、地域の教育力が衰退している。3つ目は、とはいっても、家庭教育は私的な場だみたいな形のキーワードが出てくると思うんですが、そのキーワードを非常に明確化していったときに、論点に問題がないのかという作業をもう一度やっていただくと、書き足りてない部分とかなり書き過ぎて過剰になっている部分があるんではないかなと、全体的にそういう作業も私なりにもう一度やってみるとすっきりしていくのかなと。全体の概念の概要をもう一度マトリックスや図表でとらえ直す作業と、一つ一つの力点をもう一度、どこをキーワード化して強調するのかという作業をもう一度別の視点でやると、よりこの趣旨がクリアになるのかなと。
 あと、若干不統一の面、不明な部分、先ほどの議論が分かれる部分。私は先ほどの議論されている10ページに関しては、例えば父親なり母親の役割という表現そのものは、もう親としての役割としたほうが、学校によってはもう3割ぐらいが片親家庭という現状があるときに、母親の役割といったときに、母親がいないよとか、父親の役割というのは父親がいないよというのが、単年度でいえば40パーセントが離婚、結婚する4割ぐらいが離婚するなんていう現状の中で、やっぱり親としての役割、大人としての役割、社会としての役割ということを前面に出して、家庭教育と地域の教育と社会ということをやっぱり考えたほうがいいという。
 だから、そういうところのをもう一度一つ一つの見直さなくちゃならない部分があるのかなというのが全体です。
 もう一つ、長くなって恐縮ですが、2点検討していただきたいのは、1つは、今までの議論に出たんですが、例えば1ページ目でいいますと、丸1の基本的な考え方で丸2の例えば地域の支えがなくなっているというそういう現状認識でもいいんですが、先ほどの意見にあったように、残念ながら家庭が家庭の役割を機能を果たしていない、役割を果たしていない、そこで生きている子どもたちをどうするかという視点がやっぱり家庭の教育力の問題としてあると思うんです。丸2のところで、かつてあった地域の教育力が衰退して支えがなくなったと。もし家庭が機能として機能不全に陥っているものを、残念ながら、役割を果たしていない子どもに対しても、社会全体が地域社会で支えるようなやっぱり問題、そういう仕組みづくりが急務なんだみたいな部分をどっかで明確に大事なところで出していったほうがいいのではないかということが第1点。
 もう一つは、これは丸1のところなのか丸3のところなのかわかりませんけれども、途中で書いているんですが、やっぱり家庭の教育とか地域の教育というのは、社会を支える成員を育成していく基地なんだという。自分の子どもを育てて、自分自身も成長するということももちろん、それが根幹なんですが、でも、我々の社会の一員を担う子どもたちを育てていく家庭は最前基地であり、地域社会はそれを支えていく重要な基盤であり、その中で私たちの次の社会、次世代を担っていく子どもたちが豊かに育っていくんだという、そういう部分を、中にはあるんですけれども、少し前面に出せないのかなと。ちょっとこれは私の反省なんですが。

【笹井委員】
 私の意見は特に個別のテーマとか論点についてではなく、全体をとおしての意見なんですけれども、もともと先ほど大宮委員もおっしゃっていましたけれども、家庭の話なり地域の話、家庭での教育をどう上げていくかとか、あるいは、その地域の人たちの意識がどうあるべきかというようなのは、本来プライベートなというか、あるいは、個別的なというか、そういう個人の、あるいは、個々の家庭の話なわけですよね。
 それで、そういうものを何か尊重しつつ、かつ、その持つ問題を克服してこの家庭についての教育力を向上させようというときには、そういう人たちが持っているエネルギーみたいなものをもっと出してもらうような形の政策というのが必要じゃないかと思うんですね。
 先ほどのようなそういう状況を踏まえると、行政のやるべきことというのがある意味では限定的、ある意味では間接的にならざるを得ない部分がどうしてもあるんですけれども、逆に言えば、そういういわば民の力ですよね。個人なり、あるいは、NPOなり、あるいは、個々の家庭を支えている人たちなりの持っているエネルギーを引き出して、それを一つにまとめていくというんでしょうか、地域エネルギーというのはそういうことだと思いますけれども、それを維持継続して、さらに発展させていくような、そういう仕組みみたいなのが必要じゃないかと思うんですね。
 そういった求心力の中心になるようなものを政策として何かつくれないかと考えると、個々の地域でこれまでの行政のガバナンスとしての今の政策というより、むしろコミュニティ自身のいわゆるコミュニティガバナンスという言葉が今ありますけれども、その具体化、それを具現化したようなある種の何か枠組み、これは具体的に言えば行政計画というんでしょうか、そういう計画みたいなものを地域地域でつくって、その中でいわゆる個々の政策なり施策、あるいは、個々のいろんな活動に対する支援というものをその計画の中で位置づけていって、それを求心力の中心としてよく言われる、言いかえると地域づくりの中心として活用していくことができないだろうかなと思うんです。
 現行社会教育法で社会教育計画の話が出ていますし、生涯学習振興計画というのもあります。名前はどうあれ、生涯学習や社会教育のアプローチで地域ぐるみでこういう地域・家庭の教育力を向上させるような計画づくりといいましょうか、そういうことがこの際やはりこの審議会でご提案したほうがいいのではないかと思います。

【大日向委員長】
 それでは、藤野委員さんと藤原委員さん、お願いいたします。

【藤野委員】
 全体的によくおまとめになっていただいておりますというのが率直な感想です。1ページ目の基本的考え方、家庭の教育力について、いわゆるこの基本的な考え方からすべて始まってくるわけですけれども、3番目の丸に、先ほど大宮委員さんもおっしゃっていただいたいわゆる教育力の基本になるものは家庭教育であると。その家庭教育は、親等が子どもに対して行う私的な教育のことであるとはっきりとうたっておられて、もう一点は、やはり家庭教育は親の責務であるとはっきりうたっていただけばどうかなと。すべてそこから始まっていくのではなかろうかなと。しかし、親が子どもの教育を果たす上で、いろいろと困難が生じた場合、地域の助けや協力が必要とする部分も出てくるでしょうし、そういった事柄も含め、まずは親がその責務を果たすためのいろいろな論点をこのような形でまとめていただいているという形で私はいいのかなと思うんですけれども、これはそれぞれのご意見もあると思います。また、教育基本法案の中にも具体的責任という形でうたっておられますので、あえてここで入れるかどうかというのはまだ論議をしていただけばいいと思うんですけれども、そういう部分、またよろしくお願い申し上げます。

【大日向委員長】
 それでは、藤原委員さん、お願いします。

【藤原委員】
 1点の指摘と1点ちょっと質問させていただきたいんですが、先ほど10ページのところで見城委員さんからご指摘のあったところにも関連する話ですが、「学校で」という言葉、あるいは、「学校の教員が」という言葉、あちこちで散見するんですけれども、これは必ずしも多分これは「学校で」といった場合、校長、教頭、あるいは、教員がというような意味ではきっとないんだと私は思いますが、「学校という場所を使って」、例えば「コーディネーターが」とか、あるいは、「福祉の現場の方が来られて」とか、そういうふうに明示していただきませんと、学校で「父とは、母とは」について教え、生活習慣もつけ、託児もし、朝食も出し、ときには家庭訪問を徹底して、その監視もするというようなことは不可能だと思います。
 もしそういうことを学校に要求しますと、今の状況になりますね。過剰な負担で機能低下が起こるわけです。なおかつ、機能低下が起こったところで学力が落ちていったわけですけれども、その学力も向上せよということが国民的な要求として来ています。無理だと思います。
 実際に、「父とは、母とは」を教えろと言われても、教員の中には何人も、私も知っていますが、離婚している方もいらっしゃいます。そういう複雑な問題を抱えた教員もたくさんいるんですね。そのことを忘れないでいただきたいと思います。教員という職業が崇高な使命を深く自覚してもいいとは思いますけれども、普通の人間だということをぜひ忘れないでいただきたいなと。
 時代の要請としては、環境教育、国際理解教育、ボランティア教育ですね。最近はIT教育。さらに、ニートの問題を含めまして、キャリア教育、職業教育が大事。そして、来年から特別支援教育という、これはものすごく現場が揺れる仕事になりますけれども、これが始まり、さらに、心の教育という諸外国ではまずほとんど宗教というセクターと家庭とがやっております問題まで学校に今押しつけられる状況ですので、これ以上押しつけないようにしたほうがいいと思います。
 私は別に被害者として何かキャーキャー言っているわけじゃなくて、押しつけないほうが機能低下を起こさないという意味で非常に冷静に言っているわけです。そうじゃないと学校が保育園になってしまうということですね。それならそれで、3倍ぐらいの予算がつかないと無理だろうなと。今のは別に、3倍というのはメモしていただかなくて結構です。イメージに過ぎません。
 もう一つですが、ちょっと質問です。これはすごく深くかかわるところだと思うんですが、放課後子どもプラン。厚労省と文科省が力を合わせてというのは非常にすばらしい交流だと思うんですが、小学校内で実施することとするとなっているということは、これは今現在子どもの居場所事業として中学校を現場でやっております活動は支援を受けられなくなると理解していいんでしょうか。これは報道された途端に、杉並の中でも非常に問題になっているんです。どう考えればよろしいですか。

【高橋生涯学習推進課長】
 後者のご指摘につきましては、多分この子どもクラブとは別の形で何か考えなければいけないかなと思っております。実は先ほど香取総務課長からは2つの補助金を1本にしてと言いましたが、厳密に言うと、私どものは補助金ではなくて、16年から18年の3年間限定の委託事業という形になっておりまして、これは前回も申し上げましたが、財務省から、3年やったんだから、あとは市町村でやってもらうでしょうと、もう国の予算要らないよねといったような厳しい指摘もある中で、従来からこの子ども教室の小中合わせたものをどうするかというのは、一つ大きな宿題になっておりまして、せっかく根づいてきているので、何らかの形で残してほしいという声が大変大きくなってきております。
 ですから、小学校のほうはこの子どもプランという形で、むしろ厚労省と一体となって何かいい形にしていきたいと思いますし、一方で、中学校は補習的なこと、学びの要素も入れた形で何かつくらなければいけませんので、ただ、放課後児童クラブというのは小学校低学年で、これは現実的に中学校を対象にしておりませんので、次に考えるのは、中学校対策というのは子どもプランとはちょっと別の形で何か考えなければいけないかなというのが今の問題意識でございます。

【藤原委員】
 文科省の方々はもう100パーセントわかっていただいていると思うので、私が指摘するまでもありませんが、一応強調しておきたいのは、中学生、今家に帰ってもお帰りと言ってもらえない、その子が児童館に行くわけにいかないんですね。児童館はやっぱり小学生のためにあるという認識がありまして、よっぽど中学生を遊ばせるのがうまい館長じゃないとなかなか務まらない。あるいは、そういう館長がかわった途端に、もう全然行かなくなるという、そういうことが起こって、その子たちが学校にも居場所がありませんとどこへ行くかというと、ゲームセンターへ行きまして、全然違うナナメの関係をつくりますので、これはぜひよろしくお願いしたいと思っております。

【高橋生涯学習推進課長】
 それで、実はちょっと厚労省の課長さんはきょうはもう帰られましたんですが、もう一つ、今、児童館で放課後児童クラブをやっているところもあるんですね。そういうのが、じゃあ、学校に入ってきたときに、その児童館をどうするのかと。例えば一つの方向としては、そういう場合に、小学生は小学校という場を活用するんであれば、既存の児童館というのは中高対策になっていくというのもあるのかもしれません。そこの辺が、むしろ今回、この放課後クラブという厚労のほうとかなり本格的な連携を始めることによって、いろんな波及が出てくると思いますので、ちょっと今のご指摘も踏まえながら考えてまいりたいと思います。

【大日向委員長】
 ありがとうございました。
 そろそろ時間がなくなりました。活発なご議論、ありがとうございます。
 最後に藤原委員さんが、学校にだけ押しつけないでとおっしゃってくださって、それは同じことで、家庭にだけ押しつけないでということでもあると思うんですね。先生方が普通の人間であれば、親はもっとそれ以上に悩み多き普通の人間、その親の子育てをどう支えていくかということを、家庭のあり方や地域のあり方ということでこれまでご議論いただいたと思います。
 皆様、多くの方がお認めくださっていますように、事務局に大変なご努力をいただきまして、私どもの意見を集約してくださいましたのがきょうのこのペーパーです。
 なお、また、きょうは大変大事な点を幾つかたくさんご指摘いただいたと思います。
 そこで、委員長としてぜひお願いがございますが、6月2日まで、限られた時間です。皆様のきょうのご意見も事務局が十分盛り込んでくださると思うんですか、私が伺っていても、どういうふうに盛り込んだらいいか難しいなというご提案、そしてそれがとても大事なご提案でもあったと思います。例えば、大宮委員さんがキーワードをマトリックスをつくって考えるというのも、先生のほうからもお出しくださるということでしたよね。多分、そうだったと思いますが。
 それから、冒頭に杉山委員さんが社会背景が変わったということももう少し踏み込んで書いたほうがいいんじゃないかとか、マネジメントに対して山極委員さんのご意見、一例を挙げただけですが、どうかメールで事務局のほうに、何ページのここのところはこう書いたらいいんじゃないかという具体的な文言でお出しいただけるとよろしいかと思います。こういう報告書は、こういった議論した後に文言としてどう書かれるかということがとても大事です。委員の皆様のお考えを最大限盛り込んだ報告書にしたいと思いますので、期限をいつぐらいまでにしたらよろしゅうございますか、事務局としては。ホットなところで1週間。

【高橋生涯学習推進課長】
 できれば、今週中にいただけるとありがたいと思います。ただ、なかなかお忙しくて土日にお考えの先生もいるわけでございまして、月曜日、土日に書いた方は月曜日の午前中にはいただければ、来週の金曜日でございますので、何とかそれまでに処理いたしたいと思います。

【大日向委員長】
 お忙しいと思います、大変申しわけないんですが、土日を含めて月曜日ぐらいまでにどうかご意見をお届けいただければと思います。それから笹井委員さんも全体の感想をお寄せくださいました。それをどうやって具体的に、何ページに盛り込んだらいいかということも私もぜひ伺いたいとところでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、きょうのところはちょうど時間になりましたので、事務局のほうにお返しいたします。

(4)事務局より、今後の日程等について説明が行われ、閉会となった。

─了─

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生涯学習政策局生涯学習推進課

(生涯学習政策局生涯学習推進課)