中央教育審議会教育振興基本計画部会(第1回) 議事録

1.日時

令和4年3月22日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(東館3階) ※WEB会議

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 第3期教育振興基本計画期間中の教育改革の動向について
  3. 次期教育振興基本計画について
  4. その他

4.出席者

委員

   荒瀬委員、今村委員、内田委員、清原委員、小林委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、永田委員、堀田委員、村田委員、安孫子委員、岩本委員、大森委員、大日方委員、川口委員、河野委員、黒木委員、黒沢委員、杉村委員、関委員、徳永委員、牧野委員、松浦委員、三好委員、元紺谷委員、吉田(信)委員、吉見委員、渡邉委員

文部科学省

   藤原総合教育政策局長、出倉大臣官房審議官、白井初等中等教育企画課教育制度改革室長
   磯山大臣官房施設企画・防災部施設企画課長、根本総合教育政策局社会教育振興総括官、浅田国立教育政策研究所長

5.議事録

・部会長について、渡邉光一郎委員がふさわしい旨発言があり、了承された。
・副部会長については渡邉部会長から、永田委員、清原委員、荒瀬委員の指名があった。
※ 事務局から説明の後、資料1-3のとおり、中央教育審議会教育振興基本計画部会運営規則が了承された。

【渡邉部会長】  教育振興基本計画部会の発足に当たりまして、私から一言挨拶をさせていただきたいと思います。
 この部会の役割、検討すべき事項につきましては、末松文部科学大臣が示されました諮問理由と諮問事項によりまして明確でありますけれども、後ほど議題(2)と(3)にて改めて確認させていただきます。
 私といたしましては、この諮問の受け止め方として、不易流行の視点が重要なのではないかと考えております。不易としての視点は、改正教育基本法の理念体系にあると思います。足元の世界情勢を見るにつけまして、我が国の教育基本法が民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを掲げていることを誇りに思います。
 そして、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進するとしていることについては、先人の教育の本質を希求してきた結晶のようなものだと感じます。このように改正教育基本法の理念体系は、次期教育振興基本計画における変わることのない不易として共有化すべきものだと考えております。
 もう一方の不易流行の流行(りゅうこう)として認識すべきことも明確に示されていると思います。現行の第3期教育振興基本計画は、人生100年時代、超スマート社会であるSociety5.0の到来といった未来社会の変化を見据えた未来志向の教育政策の在り方を既に示しております。
 この第3期において、中央教育審議会は、「令和の日本型学校教育」の答申、学校の働き方改革答申、そして、高等教育段階におけるグランドデザイン答申が示されております。教師に関しても、昨年3月に中央教育審議会の教師の養成・採用・研修等の在り方について諮問され、検討を進めているところであります。次期教育振興基本計画は、第3期のこれらの答申や検討された事項、更に文部科学省以外での審議事項等も含めて、十分考慮しながら変化に対応する総合的な基本計画として位置づけていく必要があると考えます。
 第3期での中教審答申も未来志向という方向性は明確になったと思いますが、諮問理由で指摘されておりますように、学校で学ぶ子供たちが社会の中心になって活躍する2040年以降の社会は、これまでの日本社会や制度の延長上では対応できない段階に至ることが想定されており、教育振興基本計画もそのような歴史の転換点に立っているとの認識を前提として策定する必要があります。また、人口減少や高齢化、そしてコロナ禍によって、より重要性が高まったデジタルトランスフォーメーション、そして、ポストコロナ下におけるグローバル化や多極化、地球環境問題などがこれまで以上に進行すると予想されています。正にVUCAの時代と称されるように、そもそも先行きが不透明で、将来の予測が困難な未来においても生きる力を受容し、未来を支える人材づくりにつなげていく必要があると思います。
 このように日本社会が大きな転換期を迎える今、諮問事項への検討を深め、幼児教育、義務教育、高校の教育、そして高等教育、大学院、さらには生涯学習の観点も含めて、全体が連続性・一貫性を持ち、未来社会のニーズに応えるようになるということ、そうした教育や学習の在り方に今後の方針や目指すべき教育施策の方向性について答申する必要があります。
 そこで、答申をまとめる際に、特に留意すべき視点を改めて3点挙げておきたいと思います。1点目は、Society5.0、SDGsといった未来志向を持ち、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもあるウェルビーイングが実現されるように制度の在り方を考えていく必要があるということ。
 2点目は、一人一人の可能性が最大限に引き出されると同時に、誰一人取り残されないという多様性と包摂性、ダイバーシティ&インクルージョンの視点が重要であるということ。
 3点目については、答申で示す方針や方向性について、確実に実効性のあるものとするための人的・物的資源や財源の確保と再配分についても具体的な手段を念頭に置く必要があるということ。
 以上3点ですが、このように考えますと、これから策定する次期教育振興基本計画は大変難易度の高いものであると思います。例えれば、VUCAの海を行く日本の教育という船の羅針盤となるようなものだと考えます。
 最後になりますけれども、この基本計画策定に当たりますのは、先ほど副部会長に就任いただきました永田先生、清原先生、荒瀬先生をはじめといたしまして、私を含めました12名の委員の方々と臨時委員に任命されました18名の委員の方々と合わせまして30名の委員の皆様方ということになりました。それぞれの委員の方については、教育界や関係団体においてすばらしい知見や実績を有している方ばかりでございます。文部科学省の皆様方とともに審議をしっかりと前に進めて、この羅針盤を示していきたいと思いますので、どうか皆様、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 私の挨拶としては以上でございます。次に、議題を進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議題(2)と議題(3)につきまして、事務局から2つ続けて説明をお願いします。それでは、よろしくお願いいたします。
【佐藤政策課長】  それでは、事務局から、議題(2)と(3)をまとめて御説明させていただければと存じます。
 今、部会長から御挨拶の中で、ポイントの部分はお話があったと受け止めておりますけれども、参考資料を御参照いただきながら、詳細なものも含めまして御説明を補足させていただければと思います。
 まず、資料2、資料3-1、それから参考資料2を主に使わせていただければと存じます。まず、教育振興基本計画のこれまでの経緯について少し触れさせていただきます。資料3-1の2枚目の部分と参考資料2のパンフレットを御参照ください。
 部会長からも先ほどお話がありましたけれども、平成18年の教育基本法の改正によりまして、教育振興基本計画、平成20年から第1期、平成25年から第2期という形で、3期目が平成30年3月の中教審における答申を受けて、平成30年6月からスタートして現行計画、第3期の計画が進行しているという状況でございます。
 そして、内容の面では、これもお触れいただきましたけれども、第2期の計画の際の「自立」、「協働」、「創造」の方向性を継承しながら、人生100年時代、超スマート社会(Society5.0)の到来に向けまして、教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」、これを最大化していこうということをコンセプトにしてございました。
 基本的な方針といたしましては、夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する。社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する。生涯学び、活躍できる環境を整える。誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティーネットを構築する。教育政策推進のための基盤を整備するという5つの大きな基本的な方向性を掲げて、その下に幾つかの目標・指標を設定したところでございました。
 こういった大枠の中で基本計画を推進してまいったわけでございますけれども、これを受けて、今回、次の計画に向けての諮問という形で大臣から頂いたものでございました。資料3-1を御参照ください。これも部会長のお話で触れていただいた部分が多々ございますが、諮問の概要といたしまして、社会の変化(2040年以降の社会)というものを想定したときに、今、我々が置かれている位置は歴史の転換点にあるのではないか。時代的な背景も踏まえながら現状を分析してございます。
 その上で、人口減少や高齢化、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXと言われている部分、グローバル化や多極化、地球環境問題、それから変動性、不確実性、複雑性、曖昧性といったVUCAの時代、先行き不透明であるといったあたりから、失敗への批判ではなくて挑戦を応援するということで、望む未来を私たち自身で示し、作り上げていくことが求められている時代ではないかということで、大きく2つの背景事情を掲げてございます。
 1つは、超スマート社会(Society5.0)、これは現行の計画とも相通ずるものがあります。一人一人の人間が中心となる社会である一方で、労働市場の構造や職業そのものが抜本的に大きく変化していること。それから、ちょうど東京オリパラのレガシーにもございましたが、共生社会や社会的包摂、いわゆるウェルビーイングという考え方で、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもあるウェルビーイングを大事にしていこうということ。この大きな2つの背景を踏まえながら、大きな視点として次のくだりを書いてございます。
 「変革を起こすコンピテンシー」、新たな価値を創造していく力。それから幼児教育から義務教育の基礎の上に、高等学校、さらには大学、高等専門学校、専門学校、それから大学院までが、より一層の連続性・一貫性の中で有機的につながりを持つ。それから産業界や国際社会も含めた幅広い社会のニーズに応えていくべきである。それから絶えず変化する予測困難な社会における人材移動を支える社会人の学び直し(リカレント教育)の重要性。全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を目指し、社会的包摂を推進するということでございます。
 後ほど御説明申し上げますが、こういった大きなコンセプトの中で、既に第3期基本計画の実行の中で幾つか実現してきた政策を少し掲げさせていただいております。初等中等教育段階では、昨年1月に中教審で御答申を頂きました「令和の日本型学校教育」の答申で、「個別最適な学び」と「協働的な学び」という大きな概念整理をしていただきました。その中で政策として、一人一台環境の実現、これはいわゆるGIGAスクール構想、それから小学校における35人学級の計画的整備、教職員定数の改善。それから高等教育の段階でも平成30年に「グランドデザイン」答申を頂いて、「学修者本位」を前提とする制度改正、質の保証への対応をやっていただいたところでございます。
 そして、何よりも今回、歴史的転換点の一つの背景事情としても新型コロナウイルス感染症を契機としてという一つのエポックメークがあろうかと思っております。デジタルがもたらす学びにおける可能性の提示、学びの在り方が変わってきているということ、変容してきているということ、学校の持つ福祉的機能や教師の存在意義、リアルな体験の持つ価値の再認識と、こういったことも大きく踏まえる必要があるのではないかという問題意識でございます。
 そこで、次の2つのテーマ設定をしてございます。これは先ほどのポイントとも重なりますけれども、幼児教育から義務教育、高校、それから大学院まで連続性・一貫性を持って社会のニーズに応えるように、教育や学習の在り方も大きく変容が求められている中、デジタルとリアルの最適な組合せの観点から、コロナ後の教育や学習の在り方について検討すること。それから共生社会を実現していく上で学習者の視点に立って、誰一人取り残されず、一人一人の可能性が最大限に引き出されて、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもあるウェルビーイングの考え方、これが実現されるように制度の在り方を考えていく。こういった大きな2つの視点を踏まえまして、諮問事項として4つ掲げてございます。
 1つ目でございますが、今後の教育政策に関する基本的な方針といった大きなテーマ。2つ目は、今後5年間の教育政策の目指すべき方向性と主な施策について。3点目、学校内外において生涯を通じて学び成長し、主体的に社会の形成に参画する共生社会の実現を目指した学習を充実するための環境づくり。4点目、第3期の基本計画及びその点検結果を踏まえながら、多様な教育データをより有効な政策の評価・改善に生かしていくという方策、こういった点を大きく挙げているところでございます。
 この諮問に基づきまして、委員の皆様方にはこれから御議論を賜ればと思っておりますが、その中で御参考に、この第3期計画の最中にどういった議論がなされ、また、制度改正がなされたのかというのを、資料2「第3期教育振興基本計画中の教育改革の動向」を参照いただきながら、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 既にこれも部会長の、先ほどの御挨拶の中にございました点がありますので、そういった点は省かせていただきますけれども、まず、中教審における答申が大きく5つ出てございます。先ほども触れました、2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申が平成30年11月に出ております。そしてこの中で、「学び」の質保証の、再構築のための教育の質保証や情報公表などについての指摘を幾つか頂いてございます。
 それから2つ目でございますが、これは生涯学習、社会教育の視点から、人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について、これは平成30年12月に頂戴してございます。これも社会教育の意義や果たすべき役割について明確にした上で、新たな社会教育の方向性をお示しいただいたものと受け止めてございます。
 それから3点目、これはいわゆる初等中等教育段階での働き方改革に対する総合的な御答申を頂いてございます。平成31年1月でございました。勤務時間管理の徹底や勤務時間・健康管理を意識した働き方改革の促進といったあたりが大きなテーマでございました。
 それから4点目でございますが、これが昨年1月の「令和の日本型学校教育」の在り方について、これも大きなテーマ設定で御答申を頂いたものでございました。
 そして、最後でございますが、第3次学校安全の推進に関する計画について、今年の2月、ちょうど東日本大震災から10年、11年経過したということもあり、学校安全というものをこの段階でしっかりもう一遍検証していこうということでの御答申を頂いてございます。大きくこの5つの御答申を頂いております。
 おめくりいただきまして、その中で、更に第3期中の文科省以外の、中教審以外の審議状況というのも少し御議論に資するかと思いましたので入れてございます。教育再生実行会議においても、第十一次提言、第十二次提言がございます。技術の進展に応じた教育の改革のありよう、新しい時代に対応した高等学校改革、こういった点も打ち出していただきました。
 それからポストコロナ期における新たな学びの在り方ということで、初等中等教育のワーキング、高等教育のワーキング、それから教育DX関係、デジタル対応、こういったものをもろもろ頂いたものでございます。こういった中に、今回我々の諮問の中にもありましたウェルビーイングの考え方も少し出てきたところでございます。
 それからもう一つ、内閣府に置かれております総合科学技術・イノベーション会議、いわゆるCSTIと言われている組織でございますが、この中にも教育・人材育成ワーキンググループというものが新たに設置されまして、中間まとめが昨年の12月に頂いてございます。第6期の科学技術・イノベーション基本計画なども踏まえながら、中教審委員の先生方ともコラボをしていただきまして、今後5年間にわたってのいろいろなテーマ設定をしていただいてございます。探究・STEAM教育のありようですとか、文理分断からの脱却、それから理数系の学びに関するジェンダーギャップの解消、こういったものについても御意見を頂戴しております。間もなく最終まとめを公表とお聞きしてございます。
 それから新しくできたデジタル庁において、ロードマップが今年の1月に取りまとめられました。デジタル庁と総務省、文科省、経産省、関係省庁が集まりまして、教育データの流通・蓄積の全体設計イメージをお示ししてございます。こういったものも少し御議論に資するかと思い、教育の周辺部分も含めて御説明申し上げました。
 おめくりいただきまして、第3期計画中の制度改正、法律改正などを含め、どういったものが行われたのかということを御説明申し上げます。
 1つ目は、教育段階全般の横断的な取組の中で、教育の無償化でありますとか、保護者の負担軽減の推進という点などから子ども・子育て支援法の一部を改正する法律が通りまして、令和元年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしてございます。それから大学等における修学の支援に関する法律というものも通りまして、令和2年4月から制度がスタートしてございます。これは高等教育のいわゆる修学支援新制度と称されているもので、こういったものもスタートを切ってございます。
 それから初等中等教育段階でございますが、これは新しい学習指導要領が実施されてきております。高校の部分については、この4月から年次進行で、いよいよ最終段階に入ってございますけれども、そういった指導要領の改定。それから先ほど少し申し上げました学校の働き方改革、教職員定数の改善、GIGAスクール構想、こういったものが大きなテーマ設定で、初等中等教育段階で第3期計画中、進行したものでございます。
 それから高等教育段階でございますが、3ポツのところでございます。専門職大学や専門職短期大学という新しい制度が実行に移ってございます。それから大学等の管理運営の改善ということで、大学評価の認定のことにつきましても新しい制度が導入されてございます。これは令和元年の法律改正でございました。それから国立大学法人については、一法人複数大学制の導入も新たな取組で進めてございます。
 それから最後のところでございますが、国立大学法人等の管理運営の改善、教育研究体制の整備といったことから、学長選考会議の手続や名称といった点を変更しているところがございます。こういった制度改正に取り組みながら、更におめくりいただいて、現在進行中の中教審の御議論などを御紹介させていただければと思います。
 中教審で「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方の特別部会というのを総会直属で置かせていただきまして、昨年3月に諮問を受け、教員の養成・採用・研修の一体改革を進めてございます。諮問内容に対して、それぞれ御議論を鋭意進めていただきながら、改善、改正、改革の取組を進めているところでございます。
 それから初等中等教育分科会で新たに、先ほどの「令和の日本型学校教育」の在り方というものを具現化していくために、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会といったものも御議論としてスタートしてございます。それから教育振興基本計画部会が今回新たにスタートする。
 それから内閣官房で新たに教育未来創造会議という組織が昨年の12月からスタートしてございます。これは主に、当面、高等教育を中心に大学の機能強化、それから学びの支援、リカレント教育、こういったテーマで御議論を今進めていただいていると認識してございます。
 それからCSTI、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議でございますが、こちらは先ほどのワーキンググループの中で間もなく取りまとめが行われるものというふうに聞いてございます。
 簡単でございますが、事務局からの説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明を受けまして、皆様の御意見を伺ってまいりたいと思います。本日は第1回の会議、キックオフということでございますので、なるべく多くの委員の皆様に御発言いただきたいと考えております。御発言の際は二、三分にまとめていただければ幸いでございます。
 会場で参加の委員につきましては、ネームプレートを立てていただきまして、指名を待っていただきたいと思います。また、ウェブ参加の委員につきましては、挙手ボタンを押していただければと思います。御発言が終わりましたら、手を下げるボタンで挙手を取り下げていただきますようお願いいたします。また、御発言時以外はマイクとカメラ、両方ともオフにしていただければと思います。
 それでは、せっかくでございますから、臨時委員の方々から御指名させていただきたいと思います。是非よろしくお願いします。
 それでは、まず、会場の村田委員、それから大森委員、続けてお願いいたします。村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  ありがとうございます。私から、4点述べさせていただきたいと思います。この諮問事項にもありますし、それから先ほど御説明がありました、第3期のところで議論があったところとも関係します。まず、1つ目は一人一人の個性をということで、あるいは個別最適化というところなのですが、具体的には、恐らく飛び級だとか早期卒業だとか、今、初等中等高等教育、特に初等中等教育のところでは横並びで、ほぼ同じ年、同じ学年というふうになっていますけれども、そうではなくて、イノベーティブなこれから人材を育てていくためにも飛び級等が当然あってしかるべきだという制度設計にしていかないとなかなか難しいのではないかと思います。
 2つ目ですが、これはリカレント教育とも関係しているのですけれども、特に今、中教審の大学院部会でも議論されておりますが、特に大学院でのリカレント教育をどうするか。18歳人口の五十数%が大学に行っている状況ですので、リカレントといえば大学ということよりも、むしろこれから大学院教育がどうあるべきか、ということが重要だと思います。
 それから3つ目、オンラインとリアルをどうするかということですが、これはむしろオンラインをどう考えていくかということで、ITを使って根本的に、教育制度の抜本的な改革が必要になるのではないかと思っております。現時点ではリアルとオンライン、あるいは大学で言えば、通学制と通信制と分かれておりますが、この区別がもはや通用しないのではないかと思ってございます。
 それから4つ目でございます。これもいろいろなところに書かれておりますが、文理の分断をやめる。よく文理融合とか文理横断と言われていますが、理系からは文系への横断はできるのですけれども、文系から理系への横断ができないということになっています。というかできません。これは数学がなかなかネックになっておりまして、今般、数学あるいは理系の科目をバランスよくと書いてありますが、やはり数学を数Ⅲまで全ての高校生が学ぶ必要があるのではないか。と言いますのも、今後、IT人材だとかAI人材と言われるときに、AIの基本は、数学的な基本は数学Ⅲ、微積分学、線形代数、統計学でございますので、全ての学生が数学Ⅲまで学んでおくことが文理の横断、文理の壁をなくすのに一番いいことだと思いますから、ここを必須にすべきではないかと考えております。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。今正に課題として認識されている4点を提起していただきました。学年を超える制度、特に高大接続の議論にもありました論点だと思います。それから大学院の問題や、オンラインによる横展開の視点、また文理横断という大変重要な問題点についての御指摘を頂いたと思います。ありがとうございました。
 それでは、大森委員、お願いいたします。
【大森委員】  御指名いただきましてありがとうございます。臨時委員の大森でございます。冒頭自己紹介をという御指示がございましたので、そこからです。群馬県前橋市にございます共愛学園前橋国際大学並びに同短期大学の学長をしております。
 本学は、学生の9割が群馬県出身、七、八割が県内に就職するという地方創生拠点大学を自負しています。近年、各方面から評価を頂戴しておりまして、例えば地域連携、グローバル、教職協働、教学マネジメント、さらには共創コモンズとしてのキャンパスなど、いろいろなテーマで文科省の事例などに取り上げていただいているところでございます。
 大学人としては、地域と一体となった人材育成という観点から、この部会に加えていただいていると理解しております。また、私自身、中教審では大学分科会、教学マネジメント特別委員会、質保証システム部会に参加させていただいています。
 一方、法人としては、こども園、小中高を持っておりますことと、個人としては、群馬県で青少年の健全育成とか、各高校の運営指導委員、あるいは前橋市の教育を柱とするスーパーシティのアーキテクト。加えて、小学生、高校生の3人の子供を育てる現役の親で、PTAで地域学校協働本部に近い取組なども展開していますので、初等中等教育にも深く関心を寄せているところでございます。ちなみに前橋市では15年以上社会教育委員もしておりますので、その重要性も認識しています。
 それで、今回の問題意識についてですけれども、高等教育においては多様な大学の在り方を支援する仕組みの構築、特に地方の大学の充実に資する施策ということに問題意識を持っています。地方から大学がなくなることのインパクトというのは非常に計り知れないものがありまして、数の上では、日本の大学の典型である地方小規模大学がより地域と一体となって人材育成を進めることができる支援策が求められます。例えば自治体が国立や私立大学も自分ごと化できる仕組みであるとか、あるいは一律ではない大学の在り方を社会が共有する文化の醸成などです。
 初等中等教育では、先の答申で議論された、また、今、村田先生がおっしゃった個別最適な学びと協働的な学びの実質化ということが分科会でも御議論されていると思いますけれども、特に教育DXは個別最適な学びを後押しすることになると思っています。本気で個別最適を目指すならば、やはり修得主義ということが実質化されるということとともに、より一層少人数教育を可能とする環境整備が必要だと考えます。
 なお、教員の確保について、そもそも教員を目指す、教員養成課程を目指す若者をどうしたら増やせるかというのを大きな課題意識として持っています。社会に開かれた教育課程で社会教育と学校教育の融合みたいなお話もしたいところですけれども、時間ですので、またの機会にしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。御自身の実績を踏まえた多様性の視点、それから個別最適と協働的学びをDXでどう実現させていくかという、今までの議論の非常に重要なところを指摘していただいたと思います。
 それでは、引き続きまして、会場の河野委員、杉村委員、お願いしたいと思います。
【河野委員】  AFS日本協会の河野でございます。AFSは、2度の世界大戦での負傷兵救護輸送というボランティア活動を経て、平和を希求するということで、交換留学という学位取得を目的としない異文化での学びを推進してまいりました。現在60か国あり、約100か国と交流を行いながら、多様な文化、価値観の人々とともに生きることを学ぶという、多文化共生をテーマに掲げて事業を推進しております。
 国連のSDGsに関しましても、目標4と、16、平和と公正というところで、日本のこれから向かうべき教育と親和性が非常に高いと考えております。コロナ前には年間1万人規模の交流を実施し、日本は、そのうち10分の1の約1,000人の交流を手がけてまいりました。同じ教育目標を掲げ、同じガイドラインの下で交流プログラムを実施し、受け手と送り手が一体にならないとよい体験が提供できないという、相互依存のグローバルネットワークの中で異文化理解教育の推進を続けてまいりました。そういう観点から、今般の、高校留学の現場での長年の経験から、今回の中教審でお役に立てるかなと思うところにつきまして幾つかお話をさせていただきます。
 まず、10代は、この後の人生に非常に影響を与えやすい年代であると思います。母語が確立して、自分の考え方を論理立てて説明することができて、将来の進路に柔軟であるという、そういう年代です。
 第3期教育基本計画の中では、高校留学6万人計画が挙げられていましたけれども、残念ながら大半が短期留学であって、日本の高校に在籍したままのいわゆる長期留学、交換留学的なものが非常に少ない。特に今、話題になっていますグローバル・コンピテンス、これを高めるには異文化の日常にある程度長居させる必要があるのではないかと思っております。
 その中で、日本の社会的課題という視点から申し上げますと、海外からの高校留学生をもっと日本の地域社会が受け入れられる仕組みづくりが必要なのではないか。1人の留学生を受け入れいたしますと、大体平均して10人に影響を与えると言われます。日本人のグローバル・コンピテンスを高める観点からは、日本はもっと受入れ活動に積極的になるべきではないかということ、それから学校だけの負担に現状はなってしまっていますが、地域、NGO、それから支援団体、これらがインクルーシブに連携して日本のグローバル化を推進していく、そんな仕組みづくりが必要ではないかと思います。
 長くなりました。以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。コロナ禍で少ししぼんでしまったのではないかと思う留学、特に高校段階の留学というのは、ポストコロナを考えると非常に重要な要素になるのではないかと思います。河野委員の今のお話は、いろいろな交流活動、今まで続けてこられた体験も踏まえた、大変重要な御指摘を頂いたと思います。ありがとうございました。
 それでは、杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  ありがとうございます。上智大学の杉村美紀と申します。私は国際教育、比較教育を専門にしておりまして、現在、日本のユネスコ国内委員会でも仕事をさせていただいている関係で、その観点から3点ほど意見を述べさせていただきます。
 1つは、今回、2040年以降の社会を想定して、現在のお子さんたちが将来活躍できる社会へ向けての教育振興基本計画を議論する機会を頂戴できたことを大変感謝申し上げております。今日、国際社会では、昨年11月に、「教育の未来」、Future of Educationというレポートをユネスコの国際委員会が発表しましたが、同レポートの目標年が2050年ということで、そうした国際社会のアジェンダとの連動を考えながらウェルビーイングをしっかり確保していける教育計画というのが今正に求められていると強く感じているからです。
 このレポートでは、海外において、あるいは日本もそうですけれども、Transformative Educationの重要性がうたわれています。今日の世界情勢を見ても、連帯、あるいは連携・協力ということがこれまで以上に大事になってきている国際社会において、次世代を担う子供たち、あるいは子供たちだけではなくて、生涯教育という視点を含めますと、私どもが何をどう考えていくかということは、教育が担う大きな責務と役割だと強く感じます。
 ウェルビーイングということと併せてケアというのも大事な視点であると思います。そこにはインクルーシブであるとか、あるいは持続可能な開発のための教育(ESD)といった、これもまた、国際社会が、SDGsとの関連で重視しているものですけれども、そこで挙げられているホールスクールアプローチ、あるいは地域を巻き込んだアプローチというのが非常に重要な視点になるかと思います。
 2つ目は、SDGsでも述べられている平等と公正ということです。「教育の未来」レポートもそうですけれども、SDGsでは「誰一人取り残すことのない」施策が重視されており、そこでは、教育の機会の均等だけではなくてエクイティー、すなわち公正性をどう考えるかということが関係してきます。このことは、この部会で今後議論していきましょうと先ほど御説明がありました、「一人一人の個別最適な学び」に通じる視点かと思います。そこでは学習成果の可視化、あるいは学びの質をどう担保していくのかということが課題になると考えます。
 そのことは、3つ目の点になりますけれども、コンピテンシーをベースにした教育の在り方やカリキュラムの展開、そして、現在、多くのコロナ禍で行われている新しい教育への挑戦、すなわちオンラインを使ったハイブリッドな新しい教育への挑戦とも結びつき、それらを実現していく際の課題にもなると思います。2040年に向けては、今以上に各国の子供たちの教育について、日本も含めてそれぞれの国が、国民としての教育としてどのように考えるかというだけではなく、グローバル市民としての生き方や学びが求められるようになると考えます。そうした点を是非御一緒に議論させていただければと思います。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。今回の諮問事項のキーワードとなるウェルビーイングやSDGsについて、コンピテンシーベースの考え方という、大変主軸となる考え方をお示しいただいたと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、副部会長に御就任いただきました永田委員と清原委員のお二人に御発言いただきたいと思います。
 それでは、永田副部会長、お願いいたします。
【永田副部会長】  ありがとうございます。振興計画立案には、前回も参加させていただきました。そのとき一番大切だった誰も取り残さないということは、確実に根づいてきています。多様性、それから包摂的にそれらを取り扱う、公平・公正に、ということは大賛成であるし、そのようにしてきたとも考えます。一方、飛び抜けたタレントをどのように扱うかということについては、相変わらず議論されていません。皆さんにもすぐ分かっていただけるのは芸術であるとか、スポーツであるとか、数学の天才であるとか、文芸家であるとか、誰にでも何かにおいてそのような才能はあるだろうという前提に立って、小中高大、社会人、いずれに対してもそのようなことが開花する形で本当に教育システムをとっているか。若干疑問なのでもう一度議論していただきたいと思います。
 それからデジタルに関して一言申し上げます。今お聞きになっている方々が、例えばファクスが壊れたのでPDFに書類を直して送ることをデジタルだと思っている方は誰もいらっしゃらないと思います。正にアナログそのものです。デジタルがもたらしている本質は何かというと、送るだけではなくて、基本的に人間の営みの方向が変わったということをきちんと議論しないといけないだろうと考えています。
 昔は、物流だけをやっていた企業が農業をやったり、水産業をやったり、ゲームをつくったり、様々なことをしています。それはデジタルがもたらした革新的な変化によるわけで、その部分を業態が違ったとしてもできるということです。つまり、違う軸のプリンシプルがあるということを理解しないといけないだろうと思っています。アナログなことをやって、デジタルを使っていますということを脱却して、次のデジタルが目指す、本来、人でないとできないことに踏み込んだデジタルとは何かということをしっかりと考えていきたいです。
 以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。大学分科会でのグランドデザイン答申以降、多様性をキーワードにしてまいりましたけれども、今御指摘いただいた特異な能力の人材をどうしていくのかというのは、多様性の延長にある残された課題だと受け止めさせていただきました。それから、DXの本来の在り方という大変重要な御指摘、ありがとうございました。大学分科会との連携もこれからも非常に重要になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、清原副部会長、お願いいたします。
【清原副部会長】  渡邉部会長、どうもありがとうございます。
 杏林大学及びルーテル学院大学客員教授、前東京都三鷹市長の清原慶子です。渡邉部会長から副部会長として御指名いただきましたので、部会長を補佐して、充実した運営に尽くしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次期教育振興基本計画の、諮問の趣旨の御説明の中で、「望む未来を私たち自身で示し、作り上げていくことが求められる時代」という時代認識が示されています。誰かが示す未来を受け身で受け止めるのではなく、一人一人が希望を持って主体的に生きていくための教育の実現が改めて求められているのだと思います。
 この時期、教育振興基本計画の策定に向けて計画部会が発足するに当たりまして、今後重視したい点、2点に絞って申し上げたいと思います。
 1点目でございますが、特に諮問内容の「③学校内外において、生涯を通じて学び成長し、主体的に社会の形成に参画する中で、共生社会の実現を目指した学習を充実するための環境づくり」につきましては、コミュニティ・スクールが大変に重要な意義を持つと私は認識しています。その根拠は、私自身が三鷹市長として、平成18年度(2006年度)から三鷹市教育委員会とともに、校長を始め学校の教職員、保護者の皆様、地域の皆様、有識者の皆様との協働で「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を推進してきた経験からの問題意識です。
 先日、初等中等教育分科会でコミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議の最終まとめ案の御説明を頂きました。副題には、「学校と地域が協働する新しい時代の学びの日常に向けた対話と信頼に基づく学校運営の実現」とありました。すなわちコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によって地域とともにある学校づくり、学校を核とした地域づくりが進められ、未来を担う子供たちの成長を地域全体で支えるということが進むことが望ましいと言えます。
 コミュニティ・スクールとは、一方で学校教育の主体である児童生徒一人一人を大切にするために個別最適な学習と協働型学習が実践されることは有用です。正に教育の場でのリアルとデジタルがバランスよく実現するために進められていくことが望まれています。
 他方で、教員のみならず、保護者や地域住民が学校の取組を応援していく、支えていくという過程である地域学校協働活動においては、参画する保護者や地域住民等にとっての生涯学習、社会教育の場でもあります。こうしてコミュニティ・スクールの活動を通して、児童生徒や教職員のみならず、保護者や地域住民も学習や教育における当事者意識や参画意識を高め、多様な他者との共生、共に生きることを自らが体験する、正に新しい時代のコミュニティーづくりに役立つものと言えます。私は「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」の実践の経験を通して、「学校を核とした地域づくり」が推進されるということを実感してきました。是非次期教育振興基本計画にはコミュニティ・スクールに関する、従来よりも更に具体的で詳細な内容が記載できることを願っています。
 2点目は、諮問の趣旨として、「特に2040年以降の変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の時代であり、先行き不透明で将来の予測が困難な未来に向けて、生涯を通じたあらゆる教育段階における教育政策の目指すべき方向性を検討してほしい」というふうに求められています。
 渡邉部会長が御挨拶で重視する視点の1つとして提示されたのが、「一人一人の可能性を実現し、誰一人取り残さないために多様性と包摂性の具体化」とおっしゃいましたことに大いに賛同したいと思います。最近のパンデミックの影響もあって、従来の想定以上に職業も働き方も多様化し、家族の形も多様化しています。ライフスタイルも多様化していますし、求めるウェルビーイングの形も多様化していると言えます。それぞれの、学びの形の多様化は不可避です。そうであるならば、一元的に一つの形に収れんしない、障害のある人も不登校の人も、経済的困難や家族の介護の必要性等から学習機会に困難を持つ人などを含む、一人一人の人生の多様性を包含した制度が必要になっているのだと思います。
 このように次期教育振興計画が目指すべき教育の目指す方向性に「多様性」と「包摂性」があるならば、その方向を実現していく推進体制にも「多様性」と「包摂性」が不可欠であると思います。諮問内容の1の後半に示されている「幼児教育、義務教育の基礎の上に高等学校、大学、高等専門学校、専門学校、大学院までの全体が連続性・一貫性を持つこと、そして生涯を通じたあらゆる教育段階における計画」が求められているわけですから、具体的な政策の内容を考えるとともに、計画を推進する体制について多様性を含めることによって、より政策も具体化していくと思います。
 最近は中教審の総会でも、私が審議に参加している生涯学習分科会、初等中等教育分科会、そして、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議でも、教育委員会と自治体の市長部局の連携、都道府県教育委員会と市区町村教育委員会の連携、学校教育機関相互の連携、教育機関とNPO等の他の地域公益団体や民間企業等と幅広い主体の連携や協働の重要性が皆様から提起されています。是非、計画部会の委員の皆様も大変幅広い分野から多様に参集されていますので、教育振興計画が教育関係者に閉じることのない開かれた教育振興計画になりますように、そして多くの皆様が次期教育振興計画の推進の担い手になろうと思っていただけるような計画をつくれたらなと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。生涯学習の視点からの、学校内外の連携と多様性、包摂の重要性に関する御指摘でありました。これからも生涯学習分科会等との連携が大変重要になると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。
【渡邉部会長】  それでは、続きまして、会場の清水委員と、それからオンラインの松浦委員、続けてお願いしたいと思います。まず、清水委員、お願いいたします。
【清水(信)委員】  ありがとうございます。学校法人武蔵野東学園の清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 学校法人武蔵野東学園は、学園創立以来57年間、特別支援教育、インクルーシブ教育を行っている学園でありまして、今現在、幼稚園2園、小学校、中学校、学校教育法124条になります専修学校(高等課程)、高等専修学校を設置し、今現在、3歳から18歳まで園児・児童・生徒約1,600人が学ぶ学園でございます。そのうちの3割が発達障害の子供たちでございます。
 私も学園で40年以上教育に携わってまいりました。ですから、今回の共生社会を目指してウェルビーイング実現に向かうということ、大変うれしく思っております。障害ある子供たちと接していると、様々な格差や差別を実感してきております。例えば高等専修学校の第1期生、平成元年の卒業ですけれども、このときには療育手帳(愛の手帳)は就職のときの法定雇用率にはカウントされないという時代で、身体障害者手帳オンリーの時代でありました。時代が変わってきて、一番大きく環境がよくなったのは、平成17年4月の発達障害者支援法ができて以来、教育現場においても環境整備がされてきたかなと思っております。
 しかし、やはり共生社会を目指すときには、教育の場、特に幼児期からの集団教育の場における障害者理解教育、またインクルーシブ教育の推進が不可欠であると日頃から思っております。そして、多くの国民の方に障害者雇用や障害者福祉サービスの現実を知っていただくことも並行して周知徹底していく必要があるかと思っております。
 また、先ほどお話ししましたように学校教育法の124条の高等専修学校で30年余り、発達障害児、不登校生徒、また高校中退の生徒と関わってきております。そのようなときに、確かに国の文部科学省のいろいろな施策の中で子供たちのための施策が実行されておりますけれども、しかし、高等専修学校というのは学校教育法の124条の学校であるが故に、高等専修学校生はその支援を十分に受けられなかったという現実もございます。30年かかってようやく解決したというのを一つ御紹介しますと、平成29年3月31日にやっと加入がかなったのが日本スポーツ振興センター学校安全部になりますが、災害給付金の保険にようやく124条の高等専修学校が入れるようになりました。もし事故あった場合には、学校存続の危機を抱えながら我々は子供たちの教育を行ってきました。しかし、おかげさまでこれは解決しました。
 なぜこのような事態になっているかというと、現行の学校制度、特に後期中等教育機関が非常に複雑化していて、なおかつ、一般の国民の方がなかなかその現状を理解していないというのがございます。例えば高等学校卒業と高等学校卒業程度と、あと大学入学受験資格付与というのがなかなか、これは一般の方はお分かりになりませんし、また、中学校卒業後の進路は、各種学校、この中には外国人学校もありますし、専修学校一般課程、高等専修、高校の中には全日制、定時制、通信制、また、公立私立高等専門学校、文部科学省所管外の学校、農林水産省であるとか、防衛省とか、そういったところも15歳で入れる学校がありますし、フリースクール、サポート校、都市部には多くございます。
 この実態の中で、高等専修学校ですら、なかなか中学校の先生もいまだに御理解していただけていないという現実があります。若い先生、特に20代の先生に関しては、高等専修学校を認知している先生は、私どもが行ったアンケート結果では6%にすぎませんでした。これが高校であれば、当然中学の先生は100%知っているという現状です。
 多くの人々に理解されていない今の学校制度を、この転換期に一度見直しをして、そして多くの国民に今の学校制度をしっかり認知していただいて、また、中学校の先生、高校の先生も含めて、しっかりとその方向性を認知した上で進路指導を展開することによってミスマッチもなくなり、高校中退や不登校の問題も解決につながっていくのではないかなと思っています。ですから、転換期に一度、今の学校制度、特に後期中等教育以降の制度を見直すことも必要ではあるかなと思います。誰一人取り残されずというのは、今回のテーマだと思います。格差のない支援を多くの子供たちに平等に与えていただければと思います。
 長くなりましたが、申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。インクルーシブ教育という共生社会に必要であり、また、将来的なウェルビーイングの視点からも大変重要な御指摘を頂きました。ありがとうございます。
 それでは、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  御指名ありがとうございます。慶應義塾で常任理事を務めております松浦良充と申します。常任理事としての主管業務は教育と入試でございますが、文学部教授を兼務しており、そちらは教育学が専門です。教育学でも大学史や高等教育思想史、特にリベラル・アーツの思想史を専門にしてきております。
 そういう観点から、先ほど部会長のお話の中で不易と流行(りゅうこう)というキーワードをおっしゃっていただいて非常に力強い思いをいたしました。また、部会長からも、それから諮問理由にも歴史の転換点にあるのだという御指摘があって、その認識はすごく大切なのかなと思っております。もちろん5年間に実効性のある具体的な計画を立てるということが一番の使命だとは思いますが、その背景には今後の日本や世界の教育の在り方に対する歴史的な展望というのは欠かせないのではないのかと思っております。
 その観点から、ほぼ同じことを言うのですが、2つに分けて申し上げたいと思います。と申しますのは、まず、歴史の転換点ということで言われているのが、この諮問理由にもありますが、Society5.0の中での教育の在り方を考えるということ。これは現行の第3期でも同じ認識であったかとは思うのですけれども、不易と流行(りゅうこう)という観点でいうと、現在の教育制度というのは、Society3.0に適合的な制度として工業化社会の中の人材育成のための仕組みとしてつくられてきた。これをどう考えるのかということ、3.0から4.0を超えて5.0になるときに、本当に私たちの教育制度を3.0と同じような、その延長上で考えていいのかどうかという大きな議論が是非必要ではないかと思っています。
 そのこととの関連でいうと、私は政府のいろいろな議論の中で非常に気になる言葉があります。今回の諮問理由にもあるのですが、「社会のニーズ」という言葉、産業界、あるいは国際化の中での社会のニーズに教育が応えていく。確かに重要なことなのですが、この社会のニーズというのはものすごく曖昧な概念で、もし今回のこの部会でも社会のニーズということを議論するのであれば、必ず具体的に社会のニーズというのは何を指しているのかという議論がないと、いわゆるエビデンスに基づいた、きちっとした政策策定はできないのではないかと強く思っております。
 もう一つは、やはりSociety5.0というところで、私もここ数年、仲間の教育学者たちとデータ駆動型社会の中で教育はどう変わっていくのかということの共同研究をしてきていますが、テクノロジーと教育の関係を考えるときに、どうしてもテクノロジーの教育への利活用ということが主たる課題になってしまっているように思っています。もちろんそういうことも大切なのですが、今、Society5.0で教育が決定的に考えなければいけないのは、知識の生成プロセスが今までとは全く違う形で行われていく。特にデータや情報と知識の関係というのがかなり大きく変わってくる。今までのように教科書の中や、あるいは大学の研究の中だけに知が閉じ込められるのではなくて、そこから知の生成が教育制度を超えて大きく広がっていく中で、教育の在り方をどう考えるのかということを、大きな議論になってしまうかもしれませんが、是非具体的な施策の前提としてそういう議論もこの部会でお願いしたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。歴史的に、Society3.0モデルというのが恐らく教育でも社会全体でも成功モデルであったが故に、Society4.0への対応が不十分となったことを踏まえ、Society5.0の教育を検討していかなくてはいけないと思いました。大変歴史観が背景にある御意見を頂きました。ありがとうございます。
 それでは、まだかなりの方が手を挙げておられますので、少し後ろの時間を考えますと、1人二、三分でお願いできればと思います。
 それでは、引き続きまして、オンラインで参加の牧野委員、岩本委員、吉見委員、続けてお願いします。では、牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。東大の牧野です。
 現在、東大では社会教育学と生涯学習論を担当しております。私自身は社会教育、生涯学習の観点から各地のまちづくりですとか、いろいろなコミュニティーに入り込んでフィールドワークを行うことを中心にしております。それから中教審の生涯学習分科会の副分科会長も担当させていただいております。
 今日、実は声がかれているのは、昨日コロナワクチンの3回目の接種をしまして、今日熱が出て、いつもにも増してぼうっとしている状態なのですが、こういう生活を私たちは2年間強いられていることになっているのだと思います。それからもう一つは、例えば気候変動ですとか、それから今回のロシアのウクライナ侵攻のような戦争ですとか、そういう世界的に大きな状況という問題と、それから国内の例えば人生100年時代の到来、人口減少、格差拡大、更にSociety5.0、皆さんが今まで議論されたようなこと、いわゆる構造変動があるわけですけれども、そうしたものを、私の立場から見ますと、私たち一人一人が日常生活で引き受けなければならない時代がやってきてしまっている。そうしたことが、例えば一般の人々の観点からすると、いわゆる予測不可能な社会に入った、そして不安で仕方がないというようなことになってしまっているのではないかと思います。それを教育という観点からどう捉えるのかといったことが大きな課題になっているのではないかと思います。
 時間がありませんので、簡単に私の期待といいますか、思いを述べますと、そういうことの中で大きな、例えばグローバルな問題ですとか、それからナショナルな問題があって、そして様々な技術を活用しながら新しい教育をということなのですけれども、そうしたものを担っていく人々の日常生活のある意味では現場といいますか、いわゆるコミュニティー、そうしたところで、今、社会の底抜けが始まってしまっているのではないか、そう思うのです。私もあちこちのフィールドに入っていますが、例えば自治機能の低下であったりですとか、又は貧困の問題で……。(接続が切断されたため、記録なし)
【渡邉部会長】  牧野委員の御発言の途中ですが、オンラインに支障が出て、今つながっていない状況でございますので、次の方の発言に移らせていただきたいと思います。大変申し訳ございませんが、次に、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。私は、全国の高校だとか中学生の支援をさせていただいている財団の岩本と申します。今回、初回ですので、計画づくりにおいての在り方というか、そこに関して思うところを3点述べさせていただけたらと思います。
 1点目が、第3期計画の在り方自体の検証・評価というところを是非お願いできたらというのが1点目です。第3期計画での施策だとかの恐らく検証というのはされると思うのですけれども、私が是非お願いしたいのは、そもそもの計画のつくり方だとか、目標や指標の設定の仕方だとか、計画の構成だとか、あとはつくった後のフォローアップ、どのようにつくった計画をこの4年、5年フォローアップしてきたのか。こういったところの在り方が、何が機能していて、何が十分ではなかったのかという検証・評価から入って、では第4期の計画をつくるときに、つくり方だとか、目標や指標の置き方、若しくは構成自体がどうあったらよりよいのかというような計画自体のところを、まず一旦、目線を合わせてから中身の議論に入っていった方がいいのではないかということで、多分、次回そういった評価・検証から入るかと思うのですが、そのときに計画自体のところにも言及というか、事務局からも検証の考え方とかいただけるといいなというのが1点目であります。
 2点目は、第4期においての、これをお願いできたらなと思うのは、理念や言葉に終始せずに実効性のある、実行に結びつく計画であってほしいということであります。私もいろいろ見させていただく中で、本当にすばらしい理念や、きれいな、本当にいい言葉はたくさんあります。個別最適な学びとか、主体的、対話的でとか、社会に開かれたとか、そういう抽象的なすばらしい理念、考え方がたくさんある中で、現場がそうなっていないという。いつも新しい言葉が出てきて、計画はきれいなのだけれど、現場が変わっていかないということを、もうこれ以上、言葉の理解とか、いろいろな言葉が乱立することで、それを解釈したりとか、それを浸透させるということに終始してしまっているというようなことを余り繰り返さずに、僕はあるものを生かすということで、すばらしい考え方はたくさんそれぞれの部会で出されてきていると思いますので、あるものを生かして、恐らく今回は、ウェルビーイングというのは、教育の中でまだちゃんと定義が日本の中ではされていないと思いますので、理念とか抽象的な言葉でやるならウェルビーイングぐらいを今回しっかり定めるぐらいで、あとは何々の教育とか、何々的な学びとかという抽象的なことだけではなくて、それはあるものを生かしながら、最終的には実行計画、いわゆるロードマップみたいなところまで、やはり実行につながっていくようなところを見据えた、現場を主体に考えたときの、きれいな計画というよりはちゃんと現場を改善、充実させていくための計画であってほしいというところが2つ目のお願いというか期待になります。
 最後、3点目は、部会長が述べられました人的・物的資源、財源を含めたリソースの再配分も含めて、しっかりここを見据えた審議、計画ということ、私これは大賛成で、正にそうあってほしいということで、リソースの確保や再配分に資する計画や審議とは、一体何があれば教育に資源が確保できたりとか、再配分も含めてできるようなものになるのかというところ、私少しまだイメージが、この議論の中で何がそれにつながるのかというのが少しまだ見えていないので、今後また、そういったところを教えていただきながら、実際に現場が求めているのは、理念や言葉だけではなくて実弾、リソースであったりとか、制度的なものだとか、ここが本当に変わっていかない限り、言葉が躍っても変わりませんので、そこにつながるためにこの計画の審議で何が必要なのかというところを、いま一度確認させていただきながら議論に臨みたいなというふうに思っております。以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。大変貴重な御意見を頂いたと思います。第3期のときも今後5年間の教育政策の目標と政策群のロジックモデルという形で整理した経緯があります。そのロジックモデルの構築までの議論にかなりの時間がかかりましたので、これをまた繰り返すというのも余りよくないと思います。今ある第3期のロジックモデルをベースに、フォローアップを次回以降に示していただくような形で、事務局に検討いただき、それぞれの議論を進めるようにしてはどうかと思います。
 ただ、コロナ禍でこの2年、必要なアンケート調査などが十分できなかったということもあります。その点は考慮に入れた上で総括をして計画を立てるということにせざるを得ないのではないかと思います。貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、吉見委員、お願いいたします。
【吉見委員】  ありがとうございます。東京大学の吉見でございます。
 これまで中教審では大学分科会等でグランドデザイン答申の議論を含めて参加させていただいてまいりました。今回の諮問事項にある歴史の大きな転換点に私たちがいるという認識、この認識を私も深く共有しております。何から何への転換かと考えますと、やはり未来が明確だった時代から未来が極めて不確定な時代への転換だと思います。成長主義的未来が行き詰まり、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代になった。そうした未来を生き抜く力、それをどう育てる仕組みをこれからの教育でつくっていくのか。これがこの会議の大きなテーマだと思います。
 さて、今日の資料3-1には、幼児教育、義務教育の基礎の上に高等教育まで一貫した連続的な仕組みを持ちつつ社会のニーズに応えるとあります。これ自体は賛成なのですけれども、ここで問題なのは、確かに初中教育から高等教育までのある程度の一貫性はあるのでしょうが、高等教育、特に大学から社会のキャリアへの一貫性はどんどんなくなっている。つまり、大学で専門として学んだことと、社会に出てから生かしていくことが余り対応していないのが日本の現状です。もちろん、医学部や薬学部は例外でしょうが、工学部でもそれほど大学の学びとその後のキャリアは対応していません。
 なぜそうなったのかと考えますと、これはかなり遡りますけれども、1949年に新しい教育システムになって、6・3・3・4制で日本の教育は単線的に一元化されました。単線的に一元化されたことによって、ある種の平等主義を推し進めた面もあるのですけれども、同時にそれは、大学入試に過度に人々の関心が集中し、偏差値で一元化した価値観の中に全ての人が取り込まれてしまうという大きなマイナスを伴っていました。とりわけ年齢主義といいますか、年齢と人生を一対一対応させて考える社会の仕組みが徹底した。その結果として生じた諸問題が、今、限界まで達しているのではないかと思います。
 私は、今こそ、単線主義から複線主義への転換がはかられるべきだと考えています。同時に脱年齢主義、つまり年齢に準拠するのではない仕方で人生が組み立てられていくような社会を導くような教育を創り出していくことがとても重要だと思っております。
 そうしたことを考えるときに、時間のマネジメントの問題がとても重要で、初中教育も高等教育も、多数の課題を単線的な時間の中に細かく詰め込んできたが故に隙間がなくなってしまった、細切れにいろいろなものが詰められ、隙間のない人生を私たちが送るようになってしまったことに大きな問題がある。だから、隙間をどうつくるのか、メリハリをどうつけるのか、風通しをどうよくするのかがとても大きな課題になります。かつての「ゆとり」教育とは異なる仕方で、次世代の人生についての考え抜かれた時間のマネジメント、それと教育の複線化をつなげていくことが重要だと感じております。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。従来、高大接続や産学連携に関係して議論されてきた問題点を非常に端的に御指摘いただいたと思います。複線化は、日本の、戦後の教育の在り方そのものの課題と思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、三好委員、関委員、内田委員、続けてお願いしたいと思います。三好委員、お願いいたします。
【三好委員】  ありがとうございます。広島県福山市の三好です。よろしくお願いします。
 今、委員の皆様の御発言を聞かせてもらって、改めて私がこの場に参加させてもらっていることの意味を考えていました。私は、自負ですけれども、全国で一番、学校の授業を見たり、先生と話をしたり、子供たちと話をしたり議論したり、一番学校に行っている教育長だと思っています。調査があるわけではないですが、私の自負です。
 コロナ禍、2年間、ここのところはリモート等で会うことが多いのですけれども、それまではとにかく学校へ行っていました、役所の中にいることはほとんどありませんでした。議会と必要なときだけ。あとは毎日毎日学校へ行って授業を見たり、時には授業したり、また、校内研修で先生たちと一緒に話をしたり、子供たちと話をしたりというようなことです。
 私は、国で出される教育施策、また県の施策を踏まえて、本市でビジョンを掲げて取り組んでいます。しかし、その施策というのは、子供に届いて、学校に届いて、子供の姿で表現されて行動化できて、初めて届いていると思っています。ですから、常に会議室での話はなかなか私自身、実感が持てなくて、数字では変わってきた。結果は出てきても、何か実感が持てない感じをずっと持っておりますので、ですから常に行って触って見て感じてということを大事にしてきました。
 そういう中で、この諮問を読ませていただいたときに、渡邉部会長が最初申されたように非常に難易度が高いなというのは、全部に対しては、とても私の手に負えるところではありません。特に私が預かる小中学校、高等学校、高等学校は1校ですけれども、義務教育において、教育施策が子供の姿として表現される。学校に届いて、教職員がそれなりに理解して、面白がってやる気を持ってやるという状態をつくるのが私の仕事であり、市町の教育委員会の役割だと思っています。
 ですから、そこについても、この諮問の中に単なる理念の検討にとどまらずと、先ほど岩本代表理事からありましたように、私も思いを同じくします。言葉を変えたり、仕組みを変えたり、そのこともとても大事だと思うのですけれども、理念と実践、具体と抽象をとにかく行ったり来たりしながら、いかに子供の姿に届けるのか。そこでの、今の考えだったり、難しさであったり、学校での子供や先生たちの姿から私が発言させていただく、皆さんからたくさんの考え方を頂きながら、学校の姿や子供の姿を通して、この場で発言させていただくということが私の役割かなと聞かせてもらいながら思いました。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。中教審はボトムアップ型の審議会だと思っています。現場の視点は大変重要ですので、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、関委員、お願いいたします。
【関委員】  ありがとうございます。新居浜市生涯学習センター所長の関福生と申します。私は、市の職員として、一番初めに公民館の事務、その後、社会教育生涯学習関連の業務に主に就いてまいりました。最後に教育長を1期務めまして、今現在は生涯学習センターに勤めております。社会教育畑の中で市役所生活を送らせてもらった者でございます。現在、生涯学習分科会の臨時委員も務めさせていただいております。
 問題意識について2点、問題意識というより、むしろ反省点かもしれませんけれども、申したいと思います。
 1点目でございます。私は個人の学びとつながりの学びといいますか、公の学びといいますか、その両者が相互に絡み合うことがやはり大切ではないかと考えております。平成に入っての生涯学習の流れの中で、本来学びというものが社会をつくる基盤であるにもかかわらず、どちらかというと個人の学びで完結してしまったことが多いのではないかという反省をいたしております。
 今、社会には様々な課題があります。それらを解決していくのは、個人一人一人の学びが個人で終わらずに、他者とのつながりの中に広がっていくことが何よりも大事ではないかなと思っております。教育の領域だけではなくて、福祉やコミュニティー政策など、他の領域ともつながることによって、これから先、新しい学びが実践につながっていけばいいのではないかと思っております。
 今回の諮問の中で、先ほど来、皆さんのお話の中にございますが、ウェルビーイングの実現ということが挙げられております。ともすれば、ウェルビーイングが誰かから与えられてもらえるものではないかというふうな感覚があるような気がしてなりません。やはり自分たちで実践を通じて獲得していくような取組のための新しい方向性が見えればいいのかなと思っております。
 2点目は、新型コロナウイルスによって、これまでの当たり前の学びが本当に変わってしまった気がします。授業が中止になったときに何もできなかった自分たちのことを今振り返ります。これまでずっといつでもどこでも誰でも学ぶことができる生涯学習社会を実現しようと言いながらも、実際には学びに参加可能な人しか対象にしていなかったのではないかなということを思い知らされたものでございます。
 SDGsで言うように誰も取り残さない社会の実現と言いながらも、障害を持った人や排除されてきた方への学習機会の提供に、我々社会教育の領域が本当に真剣に関わってきたかどうかという強い反省を持っております。SDGsの目指すべきゴールをみんなで共有して、みんなが力を合わせてその実現を目指すために、本当に令和の時代にふさわしい新しい学びの仕組みづくりが、今この教育振興計画の中で答えが見えてくれば何よりかなと思っております。
 私は、特に都市部とは状況がかなり違う、地方の現状をこの場で語ることができれば何よりかなと思っておりますし、現場の感覚を少しでも伝えることができれば有り難いと思っております。どうかよろしくお願いをいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。生涯学習の視点で大変貴重な意見を頂きました。ありがとうございます。
 大分予定の時間が経過しておりまして、まだ9名の方が手を挙げられています。大変申し訳ございませんが、一言ずつ頂いて、重要な御意見については、次回以降にまたまとめて伺えればと思います。
 それでは、内田委員、今村委員、川口委員、続けてお願いいたします。内田委員からお願いいたします。
【内田委員】  皆さん、こんにちは。京都大学の内田です。中央教育審議会では本委員会とそれから生涯学習分科会に入っております。専門は社会心理学や比較文化で、特にウェルビーイングに関連した研究をしております。この中でもウェルビーイングに関連する意見を述べさせていただければと思っています。
 ウェルビーイングに関しては、きちんとデータセットとの連携をしていくことが重要かと思います。事務局からもデジタル庁との話も出てきたと思いますが、データ連携をしていくことで教育とほかの部分との役割をつないでいくことができると思います。ウェルビーイングというのは、基礎的なベースラインのウェルビーイングと、それからもう少し主体的で可能性やチャレンジにつながるようなウェルビーイング、両方が必要だと思います。こうしたことを実現していくためにもきちんとデータを収集して分析をし、エビデンスに基づく観点を提案していくことも必要ではないかと思っております。また、今後の委員会の中でも発言させていただければと思います。以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。ウェルビーイングについては、かなり重要な位置づけになりますので、今後、一旦テーマ立てをして、少しまとめた意見交換をさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
【内田委員】  よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  はい。ありがとうございます。それでは、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  よろしくお願いいたします。様々な会議に参加させていただいております、NPOカタリバの今村と申します。
 私からは今回の議論の中でお願いしたいことと、進め方について一言ずつ言わせていただきたいと思っています。1つ目は、こども家庭庁が今閣議決定されて、ここから国会審議が始まるところだと思うのですけれども、こども家庭庁設置法に明記された、「こどもの権利利益の擁護」という観点を日本の教育行政の中でどのように受け止めて、どのようにそれを踏襲していくのかという点については第一義に置いていくべきなのではないかと思っておりまして、その観点をちゃんと検討に入れていきたいです。
 その上で第3期の反省として、不登校の子供たちに対する取組が様々計画の中では盛り込まれていたにもかかわらず、当時計画されたときよりも、不登校の子供の数、又は不登校傾向の子供の数、また、コロナによって学校に行けていないのに、何のケアもされずに放置されている子供の数が大変増えているということについて、どのように捉えて、今後の計画に具体的に数字目標を持って落とし込むかというところについては、最優先事項として取り組んでいくべきだと思いますので、その点を盛り込んでいくことを大切にしていきたいと思います。
 もう一つ簡単になのですけれども、この会議の進め方なのですが、大変たくさんの先生方がたくさんの専門性で御参加されていることと思います。私としては、この人数で会議をしていくということはほぼ無理といいますか、中身を具体的にしていくことが薄まるのではないかということを大変危惧していますし、計画というものはやはり具体的であって、目標が明確にされないと計画とは言えないと思うので、今回、コンセプト的な計画ではなくて、具体的な計画が必要だと思うという意味でも、この会議自体のワーキンググループみたいなものがアジェンダごとに設定されるとか、何か別のオンラインツールとか、SNS的なツールを使って日々の議論をしながら観点を検討に入れていくとか、そういったことも検討しなければ本当にいい計画にならないのではないか。今後のGIGAスクール前提社会の中での一斉授業を新しい形に変えていこうというときに、態度として示していけるような計画策定のプロセスにならないのではないかということも懸念しておりまして、そういった会議の進め方についても事務局で御一考いただけたらと思っております。私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。運営についての御意見も頂いたところであります。ありがとうございました。 それでは、川口委員、お願いいたします。
【川口委員】  東京大学の川口大司と申します。現在、東京大学の政策評価研究教育センターというEBPM、エビデンスに基づく政策決定を研究教育するセンターのセンター長を務めております。
 今回の答申に当たって重要だと思うのは、エビデンスに基づき政策提言をすることだと思います。今回の答申では様々な政策が提案されることだと思いますが、我が国において、これまでの実績や海外での実績を踏まえて有効であることが立証された政策を優先して答申に含めるべきだと思います。そうでなければ厳しい財政需要の中、リソースの確保は難しいと思いますし、既に十分忙しい教育現場の教員の時間といった貴重な資源が浪費されるおそれもあります。もちろん十分なエビデンスがない新しい政策が提案されることもあるかもしれません。そのような場合も含めて、今回の答申で提案される教育政策が5年後にどのように評価されるべきなのか、その評価の方法をあらかじめ考え、更にそのような評価に必要なデータをあらかじめ確保しておくような工夫も必要だと思います。
 また、政策評価を実質的なものにするためには、失敗の責任を追及するのではなく、失敗を生かしながら政策をよりよくしていくという姿勢、つまり、行政の無謬(むびゅう)性を否定する姿勢が大事だと思っています。エビデンスに基づく政策形成の精神を今回の答申に入れることによって、第4期の計画が終わったときには何が達成されて、何が未達であったのかが振り返られ、第5期の計画に生かされるといったサイクルが出来上がることに期待したいと思います。以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。岩本委員の御指摘とも重なると思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、小林委員、元紺谷委員、黒木委員、続けてお願いしたいと思います。小林委員、お願いいたします。 小林委員は、今、離席のようですので、先に元紺谷委員よりお願いいたします。
【元紺谷委員】  皆様、こんにちは。元紺谷でございます。私は、北海道札幌にあります有朋高等学校の校長、そして、今年度より開設しました北海道高等学校遠隔授業配信センターの長(ちょう)も兼務しております。学校現場の代表ということで、多分話ができるのではないかというふうに思っています。
 2点だけ問題提起させていただきます。まずは、教育は人なり。人材確保、非常に厳しい状況です。教員の成り手、さらには管理職の成り手が枯渇しているという状況。これをどう克服するかということが、大きな課題です。
 もう一つは、北海道は特に広域性で、人口減少問題から地域創生が喫緊の課題となっています。特に、全国平均よりもその進行はかなり激しいということで、本校においても地方の小規模校に遠隔授業を配信し、教育課程の質の保証を担っているわけなのですけれども、そういった子供たちにどんな未来を描かせるかということが大きな課題になっています。
 最後に、本校についてです。北海道で唯一の公立の通信制高校であります。全道に3,000人の生徒が在籍しておりますけれども、かつては働きながら学ぶ生徒が、現在は6割以上が10代の生徒、要するに不登校、あるいは全日制を中退した、そういった子供たちが学びのとりでといいますか、最後のとりでということで学んでいる学校です。そしてもう一つは、定時制課程なのですけれども、昼間一・二部と夜間部のある三部制の高校も併せ持っております。こういった子供たちは全日制に通えない子供たち、そういった子供たちが学んでいます。このような学校に勤務している校長の立場で、今後、学びの多様性をどう保障していくか、地域創生につながる学校の在り方、こういったことについて、今後議論に加わっていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】  ありがとうございます。株式会社ニトリホールディングスから企業の一例としてお話をさせていただきます。たくさん企業体系、教育体系をつくるのにかなり失敗してきまして、その際に学んだ重要なポイントとして、先ほど岩本さんがおっしゃっておりましたけれども、ロマンという理念だけではなせなくて、ビジョンとして具体的な数値目標が何よりも大事でした。つまり、企業としては事業計画とそれに伴う要員計画が、何年までにどのぐらいの能力の人が何人必要だという具体的な計画がないと教育体系は組めなかったという反省があります。
 そしてもう一つ、社会のニーズに応えるという教育を考えたときに、是非御検討いただきたいのは、企業がどんな人物を今求めているか、どういったところにチャレンジしているのかというところ、この辺の情報を是非産学で共有をしたいと思います。そうしたことで、企業の求める人物像、そして即戦力で活躍できる能力開発が学びの場でも共有できるのではないかなと思います。以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。産学連携の重要性ということだと思います。それでは、徳永委員、お願いいたします。
【徳永委員】  ありがとうございます。筑波大学で教員をしています徳永と申します。私自身、専門が異文化間教育や教育社会学でして、これまで外国につながる子供たちの居場所づくりとか、エンパワーメントについて実践や研究を進めてきました。
 今日、皆さんから何度も御意見があったと思うのですけれども、やはりダイバーシティとインクルージョンとエクイティーをどのように教育の中で議論し、それを制度設計につなげていくのかというところは非常に関心があります。その中でも特に外国につながる子供たちが今非常に増えていて、子供たちが抱えている課題が可視化されなかったりとか、そういった子供たちの支援の在り方、環境づくりというのもなかなかできていない中で、今後どのように公正の視点から子供たちに資源を提供したりとか、ネットワークづくりをしたりとか、支援体制を厚くできるのかというのは、是非ここでも議論できたらいいのではないかと思っています。
 それは多分、外国につながる子供たちだけではなくて、やはり私たちが変わっていく、マジョリティの生徒たちが意識変革、教員が意識変革していくというところでもあると思いますので、多文化共生というのもキーワードとして、是非議論していただきたいと思っています。以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。グローバルダイバーシティという非常に重要な視点だと思います。ありがとうございます。
 それでは、先ほどつながっておりませんでした小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  申し訳ありません。遅れて参加になりましたので、前半の部分を伺うことができませんでしたので、本当に手短に。私は、数少ない経済界からの参加ということになります。
 いずれにしましても、皆さん、予想不可能、あるいは不確実な将来ということをおっしゃっていらっしゃいますが、どちらかというとネガティブなトーンで語られがちです。予測不可能、あるいは将来が不確実ということは、これからの子供たちが自分たちの力で世の中を変えていけるという自由度もあるというポジティブなサイドもあります。これからの社会づくりにオーナーシップをしっかりと取っていけるような子供たちの育成ということを目指しこれから議論を進めていただきたいと思います。それがスマート社会、そして一人一人のウェルビーイングということにつながるのではないかと思います。
 その上で1点、特に私が気になっておりますのが、これまでもオープンな学校教育、開かれた学校現場ということを言っていますけれども、なかなかそれが実行できておりません。経済界にかかわらず、学校以外の拾い社会との連携を具体的にどのように使うのかをもう少し細かく見ていく、議論していくことが必要ではないかと思います。今後ともよろしくお願いします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、まだ恐らく御意見がある方はたくさんいらっしゃると思いますが、今日は以上とさせていただきまして、次回以降、また改めて御発言をいただければと思います。
 今日いろいろな御意見を頂きました。特に、第3期の教育政策の目標と施策群をどう総括して次に進めるのかという御意見は非常に重要だと思います。先ほど申し上げたように、この間、コロナ禍がありましたので、アンケート調査などが十分に行えないという事情があり、ロジックモデル全体を示すのは大変難しい状況にあります。ただ、そうは言っても、総括をした上で第4期を進めるようしていきたいと思います。また、ウェルビーイングをはじめとして主要テーマがございますので、これからそういったテーマ項目に沿っての議論を個別に進めていければと思います。
 以上、全体を通しまして、事務局から、もし補足があればお願いいたします。
【佐藤政策課長】  大変短時間に皆様の御発言を頂戴しまして、ありがとうございました。また、部会長の御進行、大変ありがとうございました。
 今、委員の先生方から頂戴したそれぞれの御意見に対して、我々として整理をいたしまして、特に前回計画との関係についてのお話というのは、我々としても整理をどういう形でするかということを、委員の先生方の御意見も踏まえながらと考えておりました。今日こうした形で御意見を頂戴しましたので、その整理の仕方を考えてまいって、そして次回以降、必要に応じてしっかりお示しをしていくということを考えてまいりたいと思います。
 それから、会の運営等についても御要望が幾つかございました。この辺も踏まえて調整を部会長と御相談の上、整理をしていきたいと思っております。
 本日は大変短い間に御発言を賜りまして、ありがとうございました。引き続きよろしくお願い申し上げます。
【渡邉部会長】  限られた時間の中、御協力いただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは、以上で本日の会議は終了とさせていただきます。
 次回の部会の日程につきましては、追って事務局から皆様に御連絡を差し上げたいと思います。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。以上とさせていただきます。
 
―― 了 ――