中央教育審議会教育振興基本計画部会(第11回) 議事録

1.日時

令和4年12月12日(月曜日)14時30分~17時

2.場所

文部科学省会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過報告(素案)について

4.出席者

委員

荒瀬委員、今村委員、内田委員、清原委員、小林委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、村岡委員、村田委員、安孫子委員、大森委員、大日方委員、河野委員、黒木委員、黒沢委員、杉村委員、関委員、徳永委員、牧野委員、松浦委員、元紺谷委員、吉田信解委員、吉見委員、渡邉部会長
 

文部科学省

藤江 総合教育政策局長、藤原 初等中等教育局長、池田 高等教育局長、里見 大臣官房審議官、森友 総合教育政策局政策課長 等

5.議事録

【渡邉部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第11回中央教育審議会教育振興基本計画部会を開催させていただきます。本日も大変御多忙の中、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。新型コロナウイルス感染症がなかなか収まりませんので、本会議はハイブリッドでのウェブ会議とさせていただきました。
 次期教育振興基本計画の策定に向けて、これまで総論と各論の議論を進めてまいりましたが、本日は審議経過報告素案という形で議論していただければと思います。
 それではまず、本日の会議開催方式と資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【川村教育企画調整官】  失礼いたします。事務局の川村でございます。
 本日もウェブ会議での会議開催とさせていただき、傍聴につきましてはユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきください。
 御議論の時間におきましては、挙手ボタンを押していただければと存じます。部会長の御指名により、順次御発言をお願いします。御発言時以外はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日の資料は、審議経過報告に関する資料として、資料1、2、3、4、参考資料として、次期計画の策定に向けた若手・中堅職員の懇話会に関する資料の5つでございます。
 本日は、全体30名の委員のうち、25名に参加を頂いております。お忙しいところありがとうございます。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 それでは早速、議事に入らせていただきます。まず、お手元の資料の説明を、引き続き事務局からお願いいたします。
【川村教育企画調整官】  失礼いたします。それでは、資料を共有して説明させていただきます。
 資料1でございます。こちら、「次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過報告について(素案)」ということでございます。こちらは、これまで御議論いただきました総論、各論のそれぞれの施策、パートがございましたけれども、そちらを合わせる形で一つの資料にしたものでございます。見え消しと溶け込みを用意しておりますけれども、資料1の見え消しで御説明をさせていただきます。こちらの見え消しにつきましては、これまで御議論いただきました総論若しくは各論あるいは指標、この3つの資料でこれまでに御覧いただきました資料からの見え消しということで御用意しております。
 冒頭のところ、現状と課題、こちらにつきましては、これまで御議論いただいた総論をそのまま掲載をしております。こちらの修正箇所として、現状のところ、人生100年時代における生涯学習、その際、高齢者を含めた全ての人の豊かな人生という観点も必要ではないかという御意見がございましたので修正をしておるということで、こういった形で今後修正、以降修正が入っております。
 主立ったところを御紹介させていただきます。子供の権利利益の擁護という、こういった用語的な修正も行っております。
 また、青字のところにつきましては、これまで記載をしておりましたけれども、場所を移動した関係で少し記載が変わっているところを青字でつけております。内容的には変更はない部分でございます。
 今後の教育政策に関する基本的な方針のところでありますけれども、ここが総論のところで、これまで御議論いただきました中で、特に基本的な方針の中にございましたウェルビーイングというものと、それから、2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手、前回、社会課題の解決ということでお示ししたところでありますけれども、この2つの概念が言わばコンセプトとも言うべき重要な概念であるという御議論がございましたので、こちらにつきましては、5つの基本的な方針から外に出す形で総括的な基本方針ということでお示しをしております。
 2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手ということで、こちらもこれまでございました記載でございますけれども、場所を移して、人への投資、また、これからの社会における持続可能な社会の創り手、こういった形で位置づけております。そして、日本社会に根差したウェルビーイングの向上・日本発の概念整理につきましても、これまで御議論いただきました内容、青字ですので内容は変わっておりませんけれども、一部、前回ございました要素のところでありますけれども、学校や地域でのつながりといったこと、また、多様性への理解、サポートを受けられる環境等ということで、こちら、前回キーワードでお示ししたものを修正しているというものでございます。
 そして、5つの基本的な方針ですが、先ほどの順番ということで、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成、そして、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育ということで整理をしております。青字のところは、若干修正、記載の場所を移動しておりますけれども、内容的な修正はございません。
 ESDの箇所につきましては、持続可能な社会の創り手というものをコンセプトに据えた関係で、若干記載の整理しております。文言的な修正が若干加わっておりまして、その部分が赤字でございます。
 高齢者を含めた人生を豊かにする観点での生涯学習、また、ICTの活用ということで記載の追記をしております。
 それから、少し前に参りまして、公民館等のところ、こちらは文言的な修正でございます。
 それからページとしては少し飛んでいただきまして、22ページでございます。指導体制・ICT環境の整備のところ、学校の教師の在り方ということで、ここの部分は答申案等を踏まえまして記載を追記しております。教員研修の高度化、デジタル技術の活用、個別最適な学び・協働的な学びということでございます。
 それから、22ページの最後のところ、部活動の関係の記載を整理しております。
 それから、骨太の方針等に合わせた記載の整理、こういったものも23ページのところは行っております。
 そして、24ページ、大きいローマ数字の3のところ、今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき事項。ここは現行の計画ではEBPMと教育投資について記載をしておりますけれども、こちらについては今後追記予定ということで、また御議論いただければと思っております。
 大きいローマ数字4のところ、今後5年間の教育政策の目標と基本施策でございます。こちらにつきましては、これまで各論として御議論いただいた内容を記載しております。まず、考え方といたしまして、現行第3期の記載をベースといたしまして、教育政策の目標と施策、それから、指標についての考え方を記載しております。教育政策を総合的かつ体系的に示すとともに、客観的な根拠に基づき成果検証し、政策の立案に生かすサイクルの実践。
 また、本計画、令和5年度から令和9年度までの5年間における教育政策の目標、その実現のための基本施策、また、進捗を把握するための指標を示すということ。
 また次の丸では、教育活動、地方公共団体や民間において自律的に行われるものへの留意ということで、今回の計画は国全体としての目標や成果に係る指標、国自身が取り組む施策を明らかにするものということでございまして、各地域や教育実践の現場においては、それぞれの実情も踏まえながら自主的な設定が期待されるということでございます。
 それから、指標でございますけれども、今後5年間の教育政策の目標、こちら、現在の水準等を踏まえて、改善の方向性を示すことが必要かつ適切であるものについて設定したということ。また、数値の達成が自己目的化され、目指すべき状況とのかい離等が起きないような十分な留意が必要であること。また、目標によって達成状況を測ることができる程度が異なりますので、この目標をもって全ての要因の達成状況を評価することは困難であるということ等、留意点を述べております。また、本計画の期間中にあっても、より適切な指標の在り方について不断に検討し、計画期間中であっても指標の見直しを行う柔軟な取扱いも可能とするという、前々回をお示した考え方を記載しております。それから、「更に」というところでは、地方公共団体における、本計画を参酌した目標設定についての記載ということでございます。
 そして、目標1以降、ここからがこれまで各論で御議論いただいたところでありますけれども、こちらの赤字のところを今回新規で追加しております。なお、これまで基本施策それぞれについて御議論いただきましたけれども、この目標1に入ってまいります基本施策に通じるような考え方ということで、柱書きという形で新たに各目標に記載をさせていただいているものでございます。
 目標1につきましては、学校段階間・学校種間及び学校と社会の連携・接続が重要であるという御議論、また、確かな学力について、その内容とするところを明確にすべきではないかという御指摘がございましたこと、また、同一年齢・同一内の学習を前提とした教育の在り方に過度にとらわれないという視点、こういった点を柱書きとして盛り込んでおります。
 その上で、基本施策のところでございますけれども、基本施策の項目名について若干整理をしております。新しい時代に求められる資質・能力を育むということで、この資質・能力がどういうものであるかということを明確にすべきという御指摘がございましたこと、また、幼児教育の質の向上と入れておりますけれども、これまで項目名だけであったものを、「質の向上」ということで方向性を書き加えるような修正を行っております。高等学校教育改革における生徒の学習意欲の喚起が重要だという御指摘でございます。こういった観点で各項目について修正を行っております。
 キャリア教育・職業教育におきましては、キャリア発達という考え方が必要であるという御指摘を踏まえた文案の修正。
 それから、次の指標候補のところでありますけれども、前回の御指摘を踏まえて、28ページでございますが、修正をしております。「授業の内容がよく分かる」、また「勉強が好きと思う」児童生徒の割合、また、将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合、高等学校へのコーディネーターの配置、普通科以外の普通教育を主とする学科の設置の状況、こういったものを指標として前回御指摘ございまして、またその後お送りいただいた御意見等を踏まえた修正ということでございます。前回御議論いただいた指標につきましては、候補という形でこの目標の最後につけるということで記載をしております。高校生の学修時間の充実に関する指標の検討、また、学生の授業外学修時間、そして、4学期制の採用、また、大学等での就職先等の進路先から卒業生の評価を聞く機会を設けている大学の割合ということで追加をしております。
 目標2、豊かな心の育成のところについても、現行第3期の柱書きも基本としつつ、教育基本法の内容も踏まえ、こういった形で整理をしておりまして、人格形成の根幹及び民主的な国家・社会の持続的発展ということでございます。
 こちらも文言的な整理がございます。いじめ等への対応、人権教育の推進のところでは、総合教育会議等を活用した日常的な市長部局との連携促進、いじめ対応に係る第三者性の向上、こういったことを追記しております。体験活動、読書活動は、これまで一緒に書いておりましたけれども、分けた上で、体験活動のところの趣旨の明確化というものを追記しております。
 それから、32ページ、豊かな心の指標候補のところでありますけれども、御意見を踏まえて整理をいたしまして、地域や社会をよくするために何かしてみたいと思う児童生徒の割合の増加、また、いじめ重大事態のうち、総合教育会議の開催状況に係る改善について、児童生徒の自殺者数の減少、自分と違う意見について考えるのは楽しいと思う児童生徒の割合の増加等、子供たちが困ったこと、また、認められているというようなことに関する状況の認識、こういったものを追加しております。
 目標3のところ、健やかな体、こちらも柱書きを加えまして、こちらも文言的な修正ということでございます。
 それから、35ページ、グローバル社会における人材育成ということで、こちらも柱書き、現行の計画、教育基本法等の文言を踏まえまして、今回御意見ございました異なる文化・価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力とか、包摂性、異文化・多様性の理解、社会貢献、国際貢献、こういったものを追加しております。
 基本施策のところ、こちらは文言的なものでございます。
 目標のところ、こちら、37ページでございますけれども、指標候補ということで、英語力については指標検討と前回なっておりましたけれども、現在のレベルにつきまして、5割というのが達成の目標になっておりますけれども、このたび5年後目標値として6割以上という数字をお示ししております。また、これまでは平均値で5割ということでありましたけれども、全ての都道府県・政令指定都市においてこのレベルを達成した中高生の割合を5年後までに5割以上にすることを目指すという目標を立てております。また、特にグローバルに活躍する層の英語力について、CEFRのB1レベル相当以上を達成した高校生の割合、こちらも新たに設定をしております。この関係の指標につきましては、教育未来創造会議等の議論を踏まえた指標設定を予定しているということもございます。
 それから、イノベーションの関係でございますけれども、文理の融合、また、文理にとらわれないという御指摘がございましたので、「総合知」という考え方を柱書きに入れております。内容的には、指標の候補のところで、理系が中心になっているというふうな御指摘がございましたので、大学と企業と連携して実施するPBLの実施とか、普通科以外の普通教育を主とする学科設置等の状況を追記しております。再掲でございますが、追記をしております。
 目標6、主体的に社会の形成に参画する態度、こちらも柱書きの上で、41ページでございますが、主権者教育の推進、国家・社会の形成に主体的に参画する主権者ということでございます。ESDについては、国内外の学校間の交流、こちらを記載しております。42ページ、ここの指標のところには、学級生活をよりよくするために学級会での話合い、互いの意見のよさを生かして解決方法を決めているという児童生徒の認識、こちらも追加をしております。
 目標7、多様な教育ニーズへの対応のところ、こちら、柱書きの中で、一人一人の能力・可能性を最大限伸ばす教育の実現、また、多様性の尊重によるマジョリティーの変容、こういったところを記載しております。内容といたしましては、不登校児童生徒への支援の推進ということで前回御指摘ございましたので、現状、それから、対応方策を含め、追記をさせていただいております。こども家庭庁との連携、また、それらの取組を通じた今後の方向性、急増の要因分析、こういったことも追記しております。
 海外で学ぶというところ、自らの長所・強みを活用した可能性の発揮、また、学級における国際理解教育の推進。青字ところは、これまでと記載が変わっていないけれども場所を移したというものでございます。高等学校の定時制・通信制のところ、御指摘がございましたセーフティーネット、また、全日制課程を含めた在り方から検討した、その結果を踏まえながらというところの記載でございます。それから、ページがずっと行って恐縮でございますけれども、47ページでございます。指標として、不登校特例校の設置数の増加、夜間中学の設置の増加、こちらを追記しております。
 目標8につきましても、柱書きを追記の上で、現代的・社会的な課題に対応した学習等の推進、こちらは現行計画に入っておりましたけれども、生涯学習という文脈でも引き続き必要ではないかということで、様々な課題対応のための教育ということについての記載、第3期、現行の計画もベースとしつつ記載を追記しております。それから、生涯学習のところの指標でございますけれども、50ページでありますけれども、生涯学習は、仕事や就職だけではなくて、人生を豊かにするためという目標、それぞれ置くことが大切ではないかという御指摘がございましたので、それを踏まえた指標の修正でございます。部活動の関係の、表記の整理。
 それから、コミュニティ・スクール、また、地域学校協働活動につきましては、前回検討となっておりましたところ、カバーしている公立学校数とか、コミュニティ・スクールを導入している公立学校数の増加、こういったところは指標として新たにお示しをしております。社会教育士、この活躍の幅についての、記載の追記ということ。それから、指標として、公民館等における社会教育主事、有資格者数の増加、こちらも追加をしております。
 目標11、デジタルに関して、52ページのところ、児童生徒の情報活用能力の育成ということでございます。こちら、これまでの記載に加えまして、前回、デジタルに関する様々な能力とか態度、こういったことについての御指摘がございましたので、それを踏まえた修正をさせていただいております。校務DXにつきましては、DXのところへの移動ということで、内容的には変わっておりません。それから、教育未来創造会議の記載ぶりに合わせた大学DXの記載の追加もしております。
 指標候補、54ページでありますけれども、これまで検討となっておりました部分、児童生徒の情報活用能力、また、教師のICTの活用指導力、こういったところを少し括弧で中身をお示しして記載を追加しております。また、指標として、児童生徒の一人一人に合わせた形での活用頻度の増加、やり取りする場面での活用頻度、また、優良事例、こういったところも追記しております。
 目標12、こちらも柱書きを入れまして、教師のウェルビーイングということについてもこちらで記載をしております。学校段階間それぞれ分かりますように、初等中等教育段階と、それから、高等教育段階、それぞれ追加をしまして、地方教育行政のところでは、日常的な教育委員会と市長部局との連携ということで追記をしております。
 それから、指標につきましても少し整理をいたしまして、児童生徒1人1台端末水準維持、指導者1人1台端末水準の向上、また、通信速度に関する記載、そして、サポートの体制の構築、自治体の状況、ICT支援員の配置人数の増加、こういったところを追記しております。高等教育に関しては項目名のみでございます。
 目標13も柱書きを追加しております。僻地のところは、御指摘を頂きまして、遠隔による合同のこととか、また、地域の学校段階間の接続に関する内容も追加しております。指標は、明確化の観点での修正でございます。
 目標14は、柱書きを追加しまして、内容的には変わっておりません。
 目標15についても同様でございます。
 これで、資料1でございますけれども、こちらで全て御説明、63ページまででございますけれども、資料1についてはこちらになります。
 そして、これらをまとめましたのが、資料3の概要図でございます。これまで御議論いただきましたもの、上のところは変えておりませんけれども、次期計画のコンセプトということで、2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成ということで、前回の御指摘を踏まえて整理をしております。そして、それを通じて、日本社会に根差したウェルビーイングの向上という、こういう構造といたしまして、今後の教育政策に関する基本的な方針、5つでございますけれども、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける、また、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現、地域や学校で共に学び支え合うというこの3つについて、教育DX、そして、実効性確保のための基盤整備・対話で支えるという構造にしております。
 次のページは、今後5年間の目標と基本施策。各論のところにございます内容を全て、項目ベースでありますけれども記載を、目標と項目、それぞれ基本施策の項目ということで並べたものということでございます。一覧するという観点で御活用いただければと思っております。以上が審議経過報告の素案に関する御説明でございます。
 資料4につきましては、指標候補の参考データ、前回お示ししたものと同じでございますけれども、必要に応じて御参照いただければと存じます。
 最後に、参考資料として御用意しております、次期地域教育振興基本計画の策定に向けた若手・中堅職員の懇話会についての御報告でございます。文科省の若手・中堅職員70名によりまして、本年の6月から11月ぐらいまで、これは有志の自発的な懇話会ということで、この次期計画の策定に当たって提言を取りまとめてもらいました。もちろんこれは文科省としての見解を示すものではございませんけれども、御紹介をさせていただき、メンバーの1人である宮本さんから後ほど対話の関係で報告をしてもらいたいと思っています。
 各グループに分かれてということで、まず学校の役割・教師の役割グループということで検討がございました。教師の意欲的な取組の推進ということで、言わば職人。この職人技を共有するための場づくりが必要ではないかということとか、教育委員会における政策立案能力の強化に関すること、また、教育分野における資金流入策ということで、幾つかのヒアリングを踏まえて提案をしてもらっています。
 それから、経済的・地理的格差の是正等というグループにつきましては、意識の格差ということで着眼しまして、経済的・地理的状況によって生まれる劣等感や諦め、こういったものが地方コンプレックスになってしまい、これが表層的な第1階層ということで、これが深層に行くと、エージェンシーが不足してしまう。教師絶対主義のような傾向が見られて、主体性や知的好奇心に格差が生じるという、こういう問題提起をした上で、一概には解決できずに、意識格差の実態把握というところから、人の循環を促す機会、総合的・複合的な格差支援、こういったことが必要ではないかという提案をされています。
 共生社会の実現に関しては、マジョリティーの変容ということで、この部会でも御議論がございました方向性、特にマジョリティー性を持った側(がわ)が自分の特権に自覚的になり、マイノリティーが直面している構造的な障壁に気づくことが社会の変化につながっていくという指摘でございます。
 それから、ウェルビーイング・自己肯定感のグループにつきましては、子供たち、教職員、学校、このそれぞれについて、例えば子供たちは、近年着目される社会情緒的スキル、こういったところへの注目とか、教師については、ブラックなイメージが広がる中での働き方改革、教師の魅力化、持続可能な業務体制の確保、こういった視点。また、子供をめぐる課題ということで、権利利益の保障とか福祉との連携といったことも重要であるとした上で、各それぞれの子供たち、教職員について、現状のシステムからウェルビーイングの概念が実現した姿はどういうものかということを想像して資料としてまとめてくれています。また、これについては、高等教育、それから、生涯学習、社会教育にもたらす変化についてもまとめてくれているというものでございます。
 それから、出る杭(くい)を伸ばす教育、生産性の向上に向けた教育、大学教育のグループでありますけれども、こちらは貨幣的、非貨幣的、社会のため、個人のためという、こういう軸を立てて、この4象限でこのサイクルによってウェルビーイングが実現していくのではないかということで、例えばT型人材、π型人材、クラゲ人材というような重要性に関する指摘・検討とか、学ぶ楽しさの重要性、こういったことを提案してくれております。その中でも、ソーシャル・イノベーションを牽引する人材ということで、社会課題の解決に取り組むビジネスを通じた様々な価値を、経済的に限らず牽引できる人材というのが必要であるということでございます。
 これ以降、現場に響く計画にするグループにつきましては、参加をしてくれた宮本さんから紹介をしてもらいたいと思います。
【事務局(宮本)】  紹介いただきました宮本と申します。私どものグループでは、この計画がつくって終わりとならないために、現場に響く計画にするにはどうすればよいか、自分事として受け止めていただくにはどうすればよいかということで議論を行いまして、3つの柱を置いたところでございます。
 1つ目としましては、計画の主役は飽くまでも教育に関わる各主体とすべきである。そのためには、計画を見たときに、教育に関わる方々がわくわくしたり、若しくは何か使えると思う実感をしていただくような内容にすることが重要ではないかというのが1点目でございます。
 2点目といたしまして、広報に際しては直接、教育関係者に伝えるということでございまして、対話を伴う双方向型の広報が有効ではないかと。そのためには、動画配信とか、若しくはオンラインを活用した対話が行えるのではないかということを提案しております。また、策定途上からの対話ということも御提案しております。
 3つ目でございますが、策定後、広報の段において資料を作成することになると思いますが、その際、刺さる資料にするためにターゲットごとに資料を作り分けるということが一つ考えられるのではないかということを御提案しております。
 この中の2つ目の柱でございまして、策定途上から対話を行うことが重要であろうと提案いたしましたこともございまして、実際に対話を5回ほど行いました。以下その内容について概略を御報告させていただきます。なお、今後は中高生とも対話を実施する予定であるということも申し添えさせていただきます。
 まず1つ目で、1回目でございますが、こちら、現在大学生で教職課程を履修している方々と対話を行いました。彼らと話をする中で、教員になった際にはチャレンジ精神を発揮していきたい、いろいろ自分たちも改革をしていきたいと言ってくれていましたが、そうしたチャレンジできるような学校文化にするためには、リーダーとかミドルリーダーの理解が必要であろうということを彼らが言っておりました。そういったリーダー、ミドルリーダーを行政としても支えていくことが重要ではないかと感じたところでございます。
 次のページをお願いいたします。続いて2回目といたしまして、現職の先生方と対話を行いました。本当に何か気を遣ったりすることはなく、厳しい言葉で学校の現状についてお話しいただきまして、文部科学省の一職員としても重々実感しておりますが、やはり労働環境とか日々の活動における余裕のなさについて厳しいコメントがございました。具体で言いますと、春休みに次年度の計画を考える時間がないとか、指示されることが多く自分のやりたいことができないといったことも具体の話でございました。一方で、文部科学省とどうしても対立構造になってしまっているのではないかと思うことが日々あるが、今回このような話す機会があると、一緒に頑張っていきたいと思うことができたというコメントもございまして、対話を継続していくことの重要性を感じた次第でございます。
 次のページをお願いいたします。続きまして、大学に通う学生さん、特段、教職とかということではございませんが、彼らと高等教育の在り方についてお話をいたしました。大学がどういった場であってほしいかということを投げかけた際に、学びたいことが自由に学べる場所であってほしいというような言葉がございました。その関連といたしまして、学生生活が就活ありきになってしまっているのではないか、また、学ぶことにお金がかかるということを実際学生の身としても感じているということについてコメントがございました。
 次のページをお願いいたします。続きまして、ある自治体の、複数の管理職の先生方と対話を行いました。この中で先生方から、年齢構造とか、また働き方改革が進む中での指導力の向上ということが共通の課題として示されたところでございます。また、ウェルビーイングということについても意見交換がなされまして、集団生活を送る場である学校で個を尊重することは難しいという意見がある一方で、相手のことを尊重しつつ、自分の思いも伝えていくと、そういった中で合意形成していく力を養う一つの契機になるのではないかということをおっしゃっている校長先生もいらしたところでございます。また、こういった対話を通して、主体的・対話的で深い学びということのよさ、意義を改めて管理職の先生自身が感じたというコメントもございました。
 次のページをお願いいたします。最後、5回目でございますが、こちら、ある県のその県内複数の教育長の先生方と対話を行いました。その中で、子供の現状について、委員の皆様も共通の御理解かと思いますけれども、支援を要する子供とか配慮を要する子供が増加している、また、子供の主体性が弱くなっている、また、家庭とか地域における教育の弱まりを感じるといったことについて、教育長の先生方の職務経験を踏まえてもコメントがあったところでございます。また、感想として、正に一つのこれが狙いではございましたが、こういった対話を通してこれからの教育を自分事として考えられたいい機会になったというコメントがございました。
 以上が私ども有志の職員で取り組みました提案、また、対話の実践の報告でございます。一つの参考としていただけましたら大変光栄でございます。ありがとうございます。
【川村教育企画調整官】  川村から、加えまして、先週土曜日にユース政策モニターという、以前御報告した子供たちの意見を聞くという会がございました。こちらについては、資料をまとめまして、次回の部会で御報告をさせていただければと思っております。
 事務局からの説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 今説明いただきましたとおり、今日の審議としましては、1つ目が総論から各論に向けてその全体の関係性がどうかという視点、2つ目がこれから確定させていく各論の指標やアクセントのつけ方、3つ目は、プラスアルファとなりますが、先ほど、ジキコンの御説明を頂きましたので、この辺の受け止め方についても御意見を伺えたらと思います。
 今日は比較的時間を長く設けておりますので、御自由に発言いただけたらと思います。それでは、挙手をお願いします。いかがでしょうか。
 村岡委員、お願いいたします。
【村岡委員】  山口県知事の村岡でございます。ありがとうございます。お取りまとめいただきまして、本当にありがとうございます。
 私から、特に55ページからの指導体制・ICT環境の整備、教育研究基盤の強化の中で、56ページになるのですが、教師の資質の向上というところについて、これは大きな課題だと思っているので申し上げたいと思っております。今回もまとめられていますが、これから大変な時代を迎えるに当たって、未来を担う人材の育成はとても重要ですし、様々な能力を身につけていかなければいけない。その身につけるべき能力というのは今回まとめられているとおりでありますし、我々山口県といたしましても、これからの時代、非常にいろいろな課題に対して果敢に挑戦をして、それを乗り越えていく、そうした人材を育てるということが大変重要だと思っています。
 そうなのですが、それを育てていく上で大変重要なのが教師の存在だと思います。実態として、教師の採用試験は、昨年度は本県におきましても倍率が過去最低になっておりまして、また、教師不足の問題も起きています。全国的にもこれは大変厳しい状況にあると思っていますし、正に国でもこの議論がされていると承知をしております。山口県教育委員会におきましても、何とかこの状況を打破していかなければいけないとそうした危機感から、教員の志願者の拡大に向けて様々な取組をしようということで、教師の養成の充実とか、採用試験の改善とか、あるいは教員免許の保有者の掘り起こし、様々なことを大学等とも連携を密にしながら進めているところでございますし、我々県の立場からしても、人づくりという観点で大変これは危機的な問題だと思っています。
 教師の確保に向けた取組を進めていく上では国の役割が大変重要だと思っておりまして、そのことを申し上げたいと思います。今後国におかれては、教師の確保に向けた重要な視点として、例えば長時間労働の解消に向けた取組、先ほど先生方の意見の中にも、最後に御報告があった中にもありましたけれども、そうした長時間労働の解消に向けた取組とか、給与制度見直し等の処遇の改善、こうしたことも進めていく必要があると思いますし、その上で、教職の魅力とかやりがいとか、そうしたことを是非全国規模で発信をしてもらって、教師という仕事そのもののイメージアップを大きく図っていかなければいけないのではないかというふうに、是非そうしていただきたいと思っています。
 それから、加えて、これから教師を目指そうと思う若い人たちを応援するという意味では、例えば教員養成大学の定員の拡大とか、あるいは教員の免許状の取得を支援する返還不要な奨学金制度の創設とか、そうした新たな制度を積極的につくっていくということも重要だろうと思っています。
 そうしたことから、是非この状況を国・地方一体となって乗り越えていかなければいけないと思っておりますので、目標12にありますけれども、教師不足への対応、ここは大変重要だと思っておりますので、ここについて是非しっかりと打ち出しをしてもらって、具体的な施策も思い切って進めていただきたいと強く思っております。
 私から以上です。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。お話の中にもありましたように、「令和の日本型学校教育」の教師の在り方について、別途、特別部会で答申をまとめる方向で議論されていますので、この基本計画でも、その要素を認識しながら、教師の資質・能力の向上や教師のウェルビーイングも付け加えて、答申との連動性が取れるような形で整合性を取っていくということだと思います。
 既に答申が出されている働き方改革の内容や、給特法の見直しの議論、御指摘のようなやりがいに関することこそが今回の基本計画の中の、教師のウェルビーイングの要素だと思います。そういったものが総合的に発揮されないと、なかなかおっしゃるような問題の解決にならないと考えます。大変貴重な御意見を頂きました。ありがとうございました。
 それでは、清原副部会長、お願いいたします。
【清原副部会長】  ありがとうございます。清原です。副部会長として初めに発言させていただき、失礼いたします。
 まず、1点目でございます。資料3の「次期教育振興基本計画の策定に向けた審議過程について(素案)【概要】」について申し上げたいと思います。この整理は、これまでの総論、各論及び評価指標に関する審議過程を踏まえまして、審議内容の構成を分かりやすく整理した資料になっていると思います。もちろん資料1の文章が重要でございますけれども、概要を把握するために、この構成図が広く普及し、内容が波及することになっていくのではないかなと思います。
 この概念図の中で、今後の基本方針の中でも、特に2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成と、日本社会に根差したウェルビーイングの向上の2つが冒頭に並んで掲げられています。これはいずれも重要なポイントで、特に前者は、社会変動を受け身に捉えるのではなくて、むしろ持続可能な社会を創造、クリエートしていく人の育成に注目して示している点が重要だと思います。ここでは、人への投資という言葉と持続可能な社会の創り手という言葉がキーワードとして明記されている点に注目したいと思います。
 この点については、本文の7ページに説明がなされておりますけれども、これらの言葉は、次期計画を目指し実現する上で不可欠な予算、財源、基盤づくりを含めた国としての教育への投資の意義と責任を示すキーワードであると受け止めております。教育や研修、人材育成等をコスト、経費として捉えるのではなくて、投資として位置づけていく。教育への投資、創り手としての人への投資を明示することは、これまでの、委員の皆様との審議を踏まえますと、大変有意義な位置づけになってきているのではないかと思います。先ほど村岡知事が強い問題意識から指摘されましたように、教師の確保が課題になっていることから、人への投資については、意欲と意識のある人が質の高い教員として輩出される仕組みの強化ということも位置づけられていると思います。
 次に、日本社会に根差したウェルビーイングの向上でございますが、これまで特に総論において十分に審議してきたわけですけれども、人への投資によってその実現こそ目指されるべきことが示されていると思います。ウェルビーイングについては、これまで委員の皆様から、他の基本理念と並列するのではなくて、施策のさらなる基本中の基本、基本的な理念として明記する必要が指摘されてきましたので、今回説明が強化されたことは大変有意義と思います。
 例えば日本社会に根差したウェルビーイングの構成要素を、幸福感や協調性、利他性や社会貢献意識、自己肯定感、開放的協調性と多様なつながりなどと補強していただきました。そして、これらを通じて向上させていく中に、結果として子供たちの主観的な認識が変化したかについてエビデンスを収集していくことが大事であるということも明記されました。そして、先ほど渡邉部会長も指摘されましたけれども、今回の原案では、子供たちのウェルビーイングを高めるためには教師のウェルビーイングを確保することが必要であり、学校が教師のウェルビーイングを高める場となることが重要であるということが本文中にしっかりと補強されました。さらに、学習者のウェルビーイングを向上する基盤として、労働環境がよいということも大事である、そして、そのことが家庭や地域のウェルビーイングにもつながる、さらには生涯学習、社会教育を通じて、地域コミュニティーを基盤としてウェルビーイングが実現していく視点も大切であるというふうに今回補強された点、明記された点は極めて重要だと思います。
 次に、後半にあります、今後の教育政策に関する基本的な方針について申し上げます。一方で、日本社会に根差したウェルビーイングの向上を私たちは掲げてきているわけですが、他方で不可欠なのが、丸1として明記されている、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成です。このたび順番として、2の社会的包摂の部分よりもグローバル化が前に出ましたが、この間、杉村委員、河野委員をはじめ委員の皆様の御報告や御意見で、いかにグローバル化について重要性が高まっているかということが共有されてきました。その経過が反映されての順番の交代だと受け止めております。
 私たちは、国内はもちろんのこと、国外の実情を展望しつつ、コロナ禍で交流が難しくなっておりますが、多様な手法で国際交流を深めていくことによって、初めて身近な家庭、地域、学校、職場を含めた地域社会における多様なステークホルダーの連携が実現していくものと思います。
 さらに、丸3、丸4として、教育デジタルトランスフォーメーションの推進と計画の実効性確保のための基盤整備・対話が、この資料3では幅広く1、2、3の項目を支える基盤として表記されていることも重要だと思います。特に、2ページ目の基本施策群は、各自治体が計画を策定する際に大いに有益な施策群として列挙されていると思います。
 次に、今回、各論で、柱書きで内容が充実されていることに感謝をいたします。全部を指摘しませんが、例えばということで、25ページの目標1のところ、確かな学力の育成、幅広い知識と教養、専門的能力・職業実践力の育成のところの、柱書きについての意義を申し上げたいと思います。ここではしっかりと「学校段階間・学校種間及び学校と社会との連携・接続を図りつつ」ということが明記されているとともに、最後に「初等中等教育段階においては、同一年齢・同一内容の学習を前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、多様な個々の状況に応じた学びの実現を目指す」と明記されました。これは2040年を見据えていることもあり、包摂性を考えた教育を検討していく際の一つの重要な視点になっていると思います。
 また、目標7の多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂のところでは、不登校児童生徒への、支援の推進の中で、こども家庭庁との連携やアウトリーチが補足されていますし、目標12では、55ページに教育委員会と市長部局の連携も、総合教育会議等を活用した日常的な連携というふうに、「日常的な」を補足していただいている点も重要だと思います。
 最後に申し上げます。大変丁寧に報告していただいたジキコンの意義についてです。これは主体的な文部科学省職員の参加と伺っています。すなわち、仕事として取り組んだのではなく、発意して、次期教育振興基本計画に資する取組を特別部会と連動しながら創意工夫の中でしていただいた御報告を頂きました。特にウェルビーイングについてビフォー・アフターを示すなど興味深い提案でございますし、文科省職員とステークホルダーの対話の取組は極めて重要だったと思います。すなわち、誤解に基づく、文科省職員と現場の教職員や教育委員会職員の意思疎通ができていないというような感覚は払拭すべきと思っています。今回の文科省職員と多様な教育関係者との対話の取組というのは、この計画をつくるプロセスだけではなくて、今後実行していく際にも対話を重ねる中でよりよい計画の実現が図られるものと思います。
 なお、10日の土曜日、内閣府と連携した子供・若者の意見を聞く会、ユースラウンドテーブルを傍聴させていただきまして、改めて是非このような取組の継続を願っているところです。
 今回まとめていただいたものは、経過をより分かりやすく示すものとして、特に資料3の概念図などを生かして、なるべく早く教育の現場に広報していただくことを願っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
【渡邉部会長】  多くの御意見を頂きまして、ありがとうございます。前回整理したイメージ図について、頂いた御意見も踏まえ、今回、概要を整理しています。御指摘のとおり、次期計画のコンセプトとしての2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成と、日本社会に根差したウェルビーイングの向上という2つが、5つの基本的な方針の大前提としてあるということを、ワーディングも磨きをかけて整理したのがこの概念図になったということです。また、この整理に基づいた御意見も頂き、ありがとうございました。
 それでは次に、大森委員、お願いいたします。
【大森委員】  ありがとうございます。大森でございます。よろしくお願いします。
 私はかなり細かいこと、もう本当に大変よくおまとめを頂いていて最後の段階だと思うので、少し細かいことを3点ほど申し上げます。
 まず1点目、審議経過についての見え消し版で今日御説明いただきましたけれども、その資料でいうと、37ページの、グローバル人材育成のところの在外教育施設についての表記がありますけれども、魅力を充実させていくということは非常に重要なことだと認識しています。今、少しの課題感としては、義務教育はしっかりと在外教育施設があるかなと思っているのですけれども、いろいろ在外の施設の校長先生とお話をすると、その先、小中が終わった先の課題も実は見えてきていて、その先に日本の教育を受けようと思うと、帰国せざるを得ないというような国もまだまだたくさんあるというところです。
 何かうまくソリューションはまだまだ作れていないのですけれども、そのようなことも含めて、文言の中に例えば、魅力をアップするために、国内の教育施設とか教育機関との連携とか接続とか、そんなようなことが一言入って、少し皆さんの認識が高まればなとも思ったところです。例えば国内の高校との、オンラインでのやり取りとか、何かそういうようなことが可能性として見えてこないかなと少し期待しているところです。反映できるできないは後でお任せをしたいと思いますけれども、意見として申し上げます。それが1点目。
 2点目ですけれども、イノベーション人材のことなのですけれども、37ページの後半から書いていただいていて、今回目標の後に、前文というか概要というかを入れていただいて非常に分かりやすくなったなと思っています。ありがとうございます。その中で、イノベーションを担う人材というのは、社会課題の解決や持続的な社会の発展に向けて新たな価値を生み出す創造性ということが大事だと書いていただいています。そこのところですね。もう本当にこのとおりだなと思って、いわゆる技術革新としてのイノベーションというよりも、新たな価値創造という意味でのイノベーションが今の主流の考え方だと思っています。
 そうしたときに、これはもうこれまでも何回も議論になっているのですけれども、その後の部分の書きっぷりが、もう少し社会課題解決とかそういう、先ほどのジキコンでもソーシャル・イノベーションの重要性を若手の皆さんもおっしゃっていましたけれども、この探究・STEAMのところで書いていただいているのですけれども、高等教育も含めて何かもう少しそういう書きっぷりがあってもいいのかなと感じたのは、全体としてはどうしても何か、これも何度も議論になっているのですけれども、理系教育の話、科学技術イノベーションの話にどうしても少し寄っている感じが否めない。これは指標も含めてなのですけれども。探究でもかなり多くの高校生が社会課題は何なのだろうと考えて、福祉のこととか教育のこととか今一生懸命考えてやっていますけれども、そういったところをしっかりと支援していくのだということが見えるような内容あるいは指標が何かないかなと考えたところです。
 もう1点、そこの同じ箇所の中にある40ページに、起業家、アントレプレナーシップ教育のところです。これも今のと連関するのですけれども、スタートアップ・エコシステム拠点都市のことを中心に書いていただいていますけれども、これだけではなくて、全ての大学とか小中高生にそれを拡大させていくと書いていただいていますけれども、拠点から拡大ということがベースになっています。しかし、そうではなくても、全ての教育機関でこういうことがなされるように支援をしていくような、このスタートアップ・エコシステム拠点都市は非常に重要なのでそれはそれとして、しかし、それだけではなく、アントレプレナーシップ教育を支援しますよ、推進しますよというふうに見えた方がいいかなと感じました。
 最後、3点目ですけれども、これも本当に細かいことなのですけれども、58ページです。目標12の体制のところで、高等教育段階の指標のところに中期計画のことが出てくるかと思います。事業に関する中期的な計画、これはこのこと自体が悪いわけではないし必要なことだと思っているのですけれども、ここに指標が出てくるけれども、本文にはこのことに関する文言が出てこないと思うのですね。何か本文にないことが指標にというのが、どういうふうになるのかなというので、もう少し連関があった方がいいかなと感じたということです。
 本当に細かいことを申し上げました。以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。それぞれ非常に重要な御指摘を頂きました。1点目の、在外教育施設の魅力向上のところは、実際に国内の連携などはオンラインで進み始めており、好事例もあると思いますので、そういった要素を付け加えることは問題ないと思いました。
 それから、イノベーション人材についても、新たな価値創造という視点で全体の位置づけをして、それから、STEAMの定義もリベラルアーツ的な考え方をベースにしたものとしてきましたので、全体とすると文理融合した総合知なのだという整理はしていると思います。ただ、現実的に、現在の理工系のウエートが余りにも小さくなり過ぎているので、そこの強化も併せていかなければいけないという現実論もありますので、この両方のバランスを取りながらという整理ではないかと思います。そうした中で、この新たな価値創造に向けてという点は御指摘のとおりだと考えます。
 アントレプレナーシップも、起業家教育というものは初期の教育段階から非常に重要であり、要素としては起業家につながるような教育という位置づけではないかと思います。
 いろいろ具体的に御指摘いただいたと思いますので、反映できるところについて検討させていただきます。
 事務局から何かありますか。いいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、荒瀬副部会長、お願いいたします。
【荒瀬副部会長】  ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。3点申し上げたいと思います。
 1点目はお礼でありますが、渡邉部会長と、それから、事務局の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。本当によくまとめていただきまして、資料3の概要版も非常に分かりやすくまとめていただいたと思っております。
 2つ目ですけれども、初等中等教育分科会に特別部会が設置されておりまして、私はその特別部会長をやっておりますが、11月から2つのワーキングが新たに立ち上がっております。義務教育の在り方ワーキンググループと高等学校教育の在り方ワーキンググループでございます。この2つのワーキンググループが動いていく中で、今回こういう形でまとまっていくこの教育振興基本計画の内容が正に支えになっていくだろうということを思っています。我が国の教育政策について全体的に見渡すことができますので、これらを視野に入れながら、義務教育、高等学校教育がどうあるのかということを検討してまいりたいと思っております。これが2件目でございます。
 3件目、これは清原委員からもお話があったところなのですが、ジキコンですか、このネーミングもなかなかすてきだと思うのですけれども、清原委員とは違って私はずれた発言をするかもしれませんが、こういったことが文部科学省の皆さんの職務として位置づけられていくということになっていくのも大事なということを思っています。御自分の時間を使っていろいろとやっていただけるのは大変有り難いですけれども、ほかでなくても本当に忙しくしていらっしゃるわけですから、正に教師の在り方をどうするかという議論もそうなのですけれども、文部科学省の皆さんの働き方についても考えていく必要があるし、現場との話合いというのは本当に大事な職務の一つとして位置づけるべきではないかと思っております。なかなか大変だと思うのですけれども、是非正に文部科学省の皆さんのウェルビーイングというものも考えていっていただければ有り難いなと思っております。
 その上で、お願いが2つございます。一つは、これは是非継続的にお願いしたいということであります。その際、中教審の委員ともこういった形での話合いができるような機会を持っていただけると非常にうれしいということと、もう一つは、例えば文部科学省というのは何か敵対関係みたいだったというお話もありますけれども、中教審も場合によったら、現場の先生から御覧になれば遠い存在のように思っていらっしゃるかもしれないので、是非とも本当に虚心坦懐(きょしんたんかい)に話ができるような場を持っていければいいなと思っておりますので、中教審の委員ともやっていただきたいですし、中教審の委員も交えた機会も御検討いただければ大変有り難いと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。2つのワーキングでの検討もこれから非常に重要な位置づけになると思います。今までのいろいろな審議の中で、高校段階は義務教育と大学が結びつく非常に重要な要素として、高大接続の議論等もあったわけですが、今日的な課題はまだ高校段階に非常に多く残っていると思います。是非連携していただきながらワーキングで議論を進めていただけたら有り難いです。ありがとうございます。
 それから、ジキコンの評価も、大変共感するお話を頂きました。これは文科省側に是非受け止めていただいて、今後いろいろな面で生かしていただけたらと思います。
 何かコメントありますか。それでは、是非今の御意見を踏まえて検討いただけたらと思います。ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  小林です。ここまでの本当に皆さんからの様々な意見をしっかりと盛り込んでいただきまして、本当に事務局には感謝申し上げます。
 特にウェルビーイングというのは一つの形だけではありませんので、その意味で、27ページにあるように、「自分らしい生き方を実現できるキャリア発達」ということが明確に書かれたことは非常に意義の高いことだと思っています。これまでどうしても世の中における、社会における成功というのが何となく画一的なモデルになりがちであったことがあると感じておりましたが、本当にそれぞれの人たち、子供たちが自分の持っている能力を最大限に生かすような生き方をしていく方向にシフトしていく。そのためには例えば同一年齢の同一内容の学習に過度にとらわれないというような幅の広い見方ができてきているのではないかと思い、今回の新しい基本計画に大きな期待を寄せるものでございます。
 一方で今回取りまとめいただいた指標を見たときに、これだけの指標をもし本当に導入するとすると、実際に現場でできるのかどうかということが懸念されます。当然のことながら、ここにもありますように教師のウェルビーイングも重要なわけですから、これだけの指標が逆に教師のウェルビーイングの阻害要因になってしまわないよう、これから具体策の策定段階において各指標の統合や選択に注力していただきたいと思います。これまでは足し算の議論をたくさんしてきて参りましたが、ここから先は、どう引き算をしていくかを考えていかなければいけないのではないかと思いました。
 非常に難しいプロセスになると思います。皆さんからいろいろな意見を頂いて盛り込んできたものを、今度はそれをどういうふうにまとめて簡略化していくかという課題にんろうかと思いますが、今後の議論はその辺りを意識しながらしていきたいと思います。この点については是非ジキコンの皆さんにも、今のこの基本計画の提案に対してどういったことが阻害要因として考えられるかとか、あるいは現場の意見を、現場からはどのように見えるかというようなことも是非インプットしていただきたいなと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。ウェルビーイングのところについて、御指摘のとおりだと思います。
 前々の意見からも指標の数の多さについては御指摘いただいており、前回と比べると随分絞り込んでいただいているのですが、今のような視点も入れてさらなる検討を進めたいと思います。ありがとうございました。
 引き続き、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  ありがとうございます。皆さんおっしゃっているように、これまでの議論や意見を本当に着実に盛り込んでいただいて大変感謝しております。ですので、もはや細かいところしか気がつくところはないのですが、私、高等教育の関連で幾つか気になるところを申し上げたいと思います。
 まずは、基本的方針の見え消し版の、10ページのところに主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニング、大学教育の質保証という項目があって、そこの、最後の丸のところで大学教育の質保証について書いていただいています。そこの最後の文が、全ての大学において3つのポリシーや内部質保証、教学マネジメント、学生や社会の声を反映した不断の見直しが行われて、取組を促していくというふうになっているのですけれども、ここは少し、3つのポリシー、内部質保証、教学マネジメント、それから、学生や社会の声を反映した不断の見直しというのが、キーワードは並んでいるのですが、少し関連が、例えば3つのポリシーの策定と着実な実施、内部質保証の確保とか、教学マネジメントの推進とか少し言葉を補っていただかないと少し流れてしまうかなと思いました。
 それからもう一つは、学生や社会の声を反映した不断の見直しというのは大学にとって大切だとは思うのですが、これが必ずしも各論でうまく反映されていないのではないのか、あるいは私が見落としているのかもしれないのですが、特に学生の声を反映したという部分が後ろとどうつながっていくのかなということが気になりました。
 それからもう一つは、それぞれ基本施策と指標のところですが、まず清原副部会長がおっしゃっていましたように、私も目標1の確かな学力の育成云々(うんぬん)のところの最初に、学校段階間・学校種間、学校と社会の連携・接続ということ、これをまず冒頭にうたっていただいたことは非常に有り難く、方向性が明確になっていると思いました。
 それからもう一つは細かなことなのですが、先ほどの総論のところで私が指摘した少し上にもあったのですけれども、「PBL」という言葉が各所に出てきていて、先ほどの10ページのところでも、アクティブ・ラーニングとの関連で問題解決学習(PBL)というふうになっているのと、それから、各論のところで、27ページの、学修者本位の教育の推進のところでも、同じようにアクティブ・ラーニングや、こちらは課題解決となっているのですが、問題解決、課題解決どちらでもいいかとは思いますけれども統一した方がいいというのと、ここは教育方法のレベルの話。それから、下の文理横断・文理融合のところでもやはりPBLを含む文理横断型というのが来て、あと、イノベーションのところでも、企業の課題解決や製品開発等を題材とした授業科目の開設というところでPBLの実施となっていて、PBLは大切だとは思うのですが、少しくど過ぎないかなと。あるいは、教育方法としてPBLが大切だということは強調すべきだとは思うのですけれども、文理融合は必ずしもPBLだけで方法論的に行われるわけではありませんし、逆に企業との連携というのはこれはもうPBLでしかやりようがないのではないのかなと思いますので、少し整理していただくといいのではないかと私自身の感覚では思いました。
 それからもう一つは、指標、特に目標1のところの指標との関連ですけれども、先ほど来も若干出ていますけれども、文理横断・文理融合というのは総合知ということも含めて大切だと思うのですが、難しいとは思うのですが、指標の中に文理融合・横断に関わる指標が入っていないので、何か設定していただくのがよいのではないのかと思ったことが1点です。
 それから、指標に関して、これは前回か何かも申し上げたかもしれないのですが、4学期制の採用というのが出てきていて、これはもちろんグローバル化などの文脈でも、それから、それこそPBL的な観点からでも必要だとは思うのですが、しかし、昨今の設置基準改定の状況、動向を見ると、学事暦というのは柔軟化していこうという方向にあるのだと思いますので、4学期制だけを指標化してしまうと少し誤解を与えるというか、4学期制が非常に望ましいのだという設定ではないかという理解というか誤解を広げてしまうのではないのかなということが少し気になりました。
 細かなことばかりでしたが、以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。この第3期の期間に高等教育のグランドデザイン答申から始まり、質保証、それから、全体の教学マネジメントとその一連の整備をしてきたということを踏まえた書きぶりになるよう、御指摘のような形で少しワーディングを整理して、3つのポリシーとの関係などが分かるような形でブラッシュアップさせていただきたいと思います。
 それから、4学期制については、グローバル化との関係で対応しているところが非常にうまくいっている例も出てきているものですから、ある程度推進する方向で出した方がよいのではないかと思います。弾力化を否定するのではなくて、成功しているモデルをある程度見ていただきたいということです。当然各大学で自主性があり、それを考慮した計画になりますから、必ずしもほかを否定するわけではなく、一旦最先端のものを示すといった趣旨だと思います。
 今の御指摘全般について、事務局から何かありますでしょうか。では、池田局長、お願いします。
【池田高等教育局長】  高等教育局の池田でございます。今、渡邉部会長がおっしゃった最初の点も含めて、少し整理をしたいと思います。松浦先生からの御指摘、ごもっともなところが多いと思いますので、少し文言も含めて整理をしたいと思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、黒沢委員、お願いいたします。
【黒沢委員】  いつもお世話になっています。事務局の方、本当に取りまとめありがとうございます。本当に感謝したいところです。
 指標が出てきますと、やはり現場を預かる一校長として、こういうところをやっていくのだなということでより具体的なイメージが湧いてくるなという感じがします。できるできないとか、難しい難しくないとか、いろいろあると思うのですけれども、こういった指標が出てくることは、僕はとてもいいなと思っています。
 その指標で2点ほど、少し細かい点なのですけれども、御意見をさせていただければなと思います。まず1つ目が、43ページと47ページの辺りに、不登校の子供たちを支援するということで不登校特例校のことが書いてあります。これはこれでいいのですけれども、全国の都道府県と政令指定都市で指標は設置の数となっているのですけれども、例えば公立の小中学校という扱いの不登校特例校であるならば、設置者は市区町村になるはずなので、都道府県だと、都道府県のどこかの市区町村につくるのですかというのかどうかというのは少しお聞きしたいなという部分です。指標については、都道府県でばっとくくるのではなくて、やはり人口当たりとか、あるいは不登校の数当たりとかそういうのも少し今後視野に入れていくといいのではないかななんて思っているところです。これが1点目。
 もう一つが、子供たちの勉強とか学力についての指標がいろいろ入っていると思うのですけれども、特例校に通う子供たちはなかなかそういう指標に合わない部分が結構あるのですね。ですので、今後でいいと思うのですけれども、特例校向けの何か指標が更に出てくると、より細かく見えてきていいのではないかなと思ったところです。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。不登校支援の推進については、以前お示しした資料では、従来の、協力者会議等での議論の内容を踏まえて整理しており、かなり精緻なものになってきておりますが、御指摘のように、どうしても市町村レベルにまで届いていないと思われます。教育振興基本計画はどうしても都道府県や政令都市をベースにしていますので、そこのカバーは今後の課題だと思います。
 藤原局長、お願いいたします。
【藤原初等中等教育局長】  今、不登校特例校を都道府県政令市全てにということの目標についてのお話がありましたけれども、もちろんおっしゃるように、基本的に義務教育段階の学校というのは市区町村が設置者でありますので、理想的に言えば、そうしたところでちゃんと通えるようなところに設置がされていくということなのだろうと思うのですけれども、現段階で21校しかないというふうな状況で、端的に言えば、まだどんな形でやっていけばいいのかよく分かっていない関係者が多いということだと思うのです。
 そういった中で、まず、差し当たりは全ての都道府県、政令市に1校は少なくとも設置がされて、ああいう形の学校をつくればこういった子供たちへの対応ができるのだというふうなものを早くイメージを持てるようにしていきたい。これが基本的な考え方でございます。それを踏まえて次のステップに進めるようにしていきたいと、こんなふうに考えております。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。大変大きな社会問題になっていますし、文科省としても、不登校に関する調査研究協力者会議等で議論を深めていただいておりますので、そのようなことも含めて、引き続き重要課題としていただけたらと思います。ありがとうございます。
 それでは、杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  事務局におかれましては的確な取りまとめを本当にありがとうございます。毎回、感謝申し上げております。私からは大きく3つ申し上げたいと思います。
 1つ目は、今回、かがみ文をそれぞれの頭につけていただき、これまでの議論の細かな点をきちっと盛り込んでいただいた点がとても有り難いと思いました。あわせまして、これも繰り返しになりますが、資料3にある大きな見取図のところで、持続可能な社会の創り手の育成とウェルビーイングという観点を2つ出して、その下に目標を5つ大きく位置づけていただいた点も、重要な柱がより明確になったと思います。
 そのことと併せて、もう一つ是非感謝申し上げたいのが、24ページのところにあります、いわゆる指標をめぐる取扱いの部分です。私、ここの部分はとても大事な点だと思っております。と申しますのは、先ほどから議論に出ていますとおり、指標に落とし込んだときに、せっかくの密度の濃い議論や内容の豊かさがどうしても指標に入ると矮小(わいしょう)化されてしまうことが懸念されます。これは前回も申し上げたことでもあります。しかしながら、今回、24ページのところに、不断の努力もきちっと見ながら、しかも、指標化しにくいところについても、数値に惑わされることなく、みんなでやっていこうという意思表明がしっかり書き込まれた点はとても大事だと思います。また、指標を提示するときに、指標を組み合わせながら皆さんに考えていただけると、ステークホルダーの方にもよりよく御理解いただけるのかと思いました。それが1点目です。
 2点目はグローバルのとりあげ方についてです。具体的に申し上げますと、資料3の、先ほどの見取図のところなのですけれども、大きな2つの目標の下にグローバル化、そして、その次に、共生社会の実現と地域や家庭での学び合いという観点が3つ並んでいます。この3つの関係性についてですが、このように並べること自体は、これはこれですごく良いと思うのですが、一方で私が思うのは、例えば、先ほどちょうど清原副会長より、今回、グローバルが1番はじめに位置づけられましたとおっしゃっていただきましたけれども、実はこの3つというのは、どれが1番、2番、3番ということではなく、3つが絡み合いながら進んでいって、それを支えるのがデジタルトランスフォーメーションであったり、さらには、計画を支える実効性のための基盤整備という部分になると考えます。
 言い換えれば、グローバル化とその次の共生社会の実現といったように、2つの観点を結びつけ、観点相互の関連性を考えることこそが大変重要だと思います。グローバルと言うと、海外に目を向けることととらえられ、一方で共生社会は日本の中の話というふうに考えられがちですが、そうではなくて、例えば、2番目にある多様性、公正とか包摂性という点、これらは正にSDGsでうたわれていることでもありますが、それがまたグローバルな目標でもあると同時に、日本の目標でもあると考えられます。
 一例として、「内なる国際化」という言葉があるかと思いますが、その「内なる国際化」ということをこのグローバルのところに少し入れていただけると、ESDにおいて、日本社会における外国につながる子供たちの問題を取り上げるといったときに、当然2番とも絡みますが、それは1番の問題でもあり、グローバルが海外のことだけをやることだけではないのだというところが強調されると思います。それによって、1と2の間のつながりがもっと見えてくるように思いました。これが2つ目の点です。
 最後に3点目は、ジキコンについてです。本日、すばらしい御発表を頂きまして、文科省の皆様が職務の傍らこうして考えてくださったその熱意こそが、正に「持続可能な創り手」としての活動であるのではないかと思いました。創り手を自覚して一生懸命考えてくださったことに感謝申し上げたいと思います。
 ジキコンの成果として、ここに出された資料の中で、例えば、先ほどもお話しくださっていましたけれども、ウェルビーイングが実現される前と後でこういったことができるという幾つかの実例を、ステークホルダーとの話を通して挙げてくださっています。今後指標を考えていくときに、是非そうした御知見も取り入れたり、教えていただく部分があるのではないかなと思いました。具体的にどれがというふうにはすぐには申し上げられないのですけれども、是非ジキコンでの御議論を更に続けていただければ、部会として意見をまとめていく上でもとても有り難いと思いました。
 以上3点でございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。1点目の指標の留意事項は、おっしゃるとおりだと思います。
 それから、2つ目のグローバル視点での内なる国際化は、グローバルだけではなくて、持続的な発展に向けての学び続ける人材育成にも関連しています。以前、イメージ図で関係性を見た際、全て関係しているということと、それから、どれが1番、2番ではなくて、本当なら立体的に示したいのだという話になりました。それぞれが関係していますから、見る角度によってそれが1番に見えるし、必ずしも順番ではないというイメージだったと思います。言葉としてそうしたつなぎができるのか少し検討していただきます。ありがとうございます。
 それでは、次に、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  ありがとうございました。私から、全体は非常によくまとめていただいて、何も言うことは私はございません。逆に、全体がよくまとまっているので、細かいところに目が行ってしまったので、私の誤解に基づいているのかもしれませんが、お教えいただければと思います。
 12ページのところなのですが、下から3行目のところ、「起業家教育(アントレプレナーシップ教育)」、そして、見え消しで「起業家精神教育」とあるのですが、起業家教育をそのままもし訳すのであればアントレプレナー教育になりますし、恐らくここは、起業家精神教育、アントレプレナーシップ教育の意味ではないかと思います。別にベンチャーをやったりとか、企業家ではなくても、今の普通の企業内においてもそういった精神が大事ですよという意味だと思うのです。
 そうすると、アントレプレナーシップ教育となっているのだったら、起業家教育にしてしまうと、本当に起業家だけになってしまうという、その辺の言葉の問題、少しどうなのかなと若干疑問に思ったので、もし何かお考えがあってのことであれば教えていただければと思います。これは40ページにも同じような言葉が出てきています。
 もう一つが37ページや何か所か同じところが出てくるのですが、「総合知」という言葉があります。「総合知」とした場合、ほかのいろいろな言葉が出てくるときに、例えば、典型的なのは、OECDラーニングコンパス2030は脚注がついているのですが、このように「総合知」とするのであれば、この「総合知」の定義をしておかないと、人によって随分異なった定義をすると思います。恐らくこれは教育未来創造会議等々から出ているのだと思いますから、そこの定義もしていただいた方がいいような気がいたしました。
 それから、最後3つ目も、これはコメントです。皆さんからありましたジキコンについて。私は特に10ページと11ページが面白かったなというふうに思っています。出る杭(くい)を伸ばす教育、生産性の向上という正に貨幣的領域の分野と、それから、その裏の非貨幣的領域、ソーシャル・イノベーション、ここを対照的にされて非常に面白かった。両方大事だと思うのです。是非、このような活動を続けていただければというふうに思います。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。3点御指摘いただきました。恐らく、アントレプレナーシップ、直訳だと、起業家精神教育ですけれども、もう少し広く全体を捉えたいということで、「起業家教育」としていると理解したのですが、事務局、いかがでしょうか。
【川村教育企画調整官】  ほかの文書等での使い方も含めて一度確認をして、また……。
【渡邉部会長】  恐らく、大体、「起業家教育」に統一されてしまっていると思います。「精神」が抜けてしまっているのですね。
【村田委員】  その場合、アントレプレナーシップがいいのか、アントレプレナーがいいのかというのがあるのですね。
【渡邉部会長】  直訳すると恐らくは「精神」が入るのですけれども。
【村田委員】  そうです。それも少しややこしいなと思います。
【渡邉部会長】  では、今までのいろいろなところの提言書もあるので、整合性を取っていただけますか。
【川村教育企画調整官】  かしこまりました。
【渡邉部会長】  それから、「総合知」のところもそうですね。これも定義づけの話ですので、今までCSTI等で定義したものがあると思います。それぞれ検証させていただきます。御指摘ありがとうございました。
【村田委員】  よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  それでは、次に、関委員、お願いいたします。
【関委員】  ありがとうございます。人生100年時代というものの捉え方というものをこのように整理していただきまして、自分の中でも本当にすっきりしたなというのを改めて感じております。御礼(おんれい)申し上げます。
 前回も少しお話しした内容なのですが、目標9です。学校と家庭と地域の連携・協働の推進による地域の教育力の向上の部分なのですけれども、この中で前回も、学校が核となって地域づくりを行うという記載がこの中になされていることについてお話をさせていただきました。平成27年の12月の地域と学校の答申を私ももう一度見てみたのですが、項目としては確かに、「学校が地域づくりの拠点となる」という表現だったと思います。
 しかし、文章の一番初めの部分では、「地方創生の観点からも、学校という場を核とした連携・協働の取組」というふうな表記になっております。私は学校が直接、地域づくりに当たるのではなく、学校というプラットフォームに集まった人たち、住民の皆さんがその新しい地域をつくっていく。そのことによって地域も元気になり、学校も元気になるという表記の方が、学校や先生側は負担感を持たないのではないかなという感覚を抱いております。実際には、前回の答申との整合性等もあり、いろいろ難しい問題もあるかと思いますけれども、再度御検討いただければ有り難いなと思います。
 あと、もう一点なのですが、目標の6の部分なのですけれども、これはあえて、この項目の中、いろいろなものを列記されております。その中で1つ、これはあえて避けるテーマなのかなという気もするのですけれども、平和ということがこの中には余り出てきていないような気がしてなりません。
 先般、私どもの事業の中でも、平和について考える講座をやってみようということで、事業を今プランニングしていたのですが、ある90代の女性の方と話をしていたときに、自身のつらい体験談を語ってもらうようなお話をしたときに、その方からは、今は語るべきテーマではないということでお断りをされてしまいました。その背景にあるものを自分なりにいろいろ忖度せざるを得ませんでした。これから先の未来に持続可能性を求めるのであれば、平和というのは、教育の中できちんとみんなが共に生きていくための最低限の学びをしていくべき部分ではないかなという感覚を持っております。
 これは子供だけではなく、我々のような戦争を知らない世代にとっても学ぶべきテーマではないかなと思いましたのであえて発言させていただきました。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。学校と家庭・地域について、今回は、コミュニティ・スクール等にもう一度焦点を当て、学校と連携したいという点が強く出たものですから、御意向と少し違うのかもしれません。そこは御意見を踏まえて検討させていただきます。
【関委員】  学校が負担感を持たないのであればいいかなと思うのですけれども、何人かの現場の教師とお話した際に、学校がという表現では、自分たちが主体になるのかなという懸念を持った人もいたので、もし可能であれば誤解を抱かれないよう、学校という場を生かすという表現の方が良いのではという感覚でございます。
 以上です。
【渡邉部会長】  今の御意見を踏まえて、修正を検討させていただきます。
 それでは、黒木委員、お願いいたします。
【黒木委員】  ありがとうございます。先日来この資料を見せていただきまして、本当に大きな仕事をなさったな。これまでもそうなのですけれども、心から感謝申し上げます。それから、このジキコンさんの取組、これは本当にすばらしいなと思いました。
 私、目標の16について申し上げたいと思っております。ページは63ページで、資料の3ですと、今後の、5年間の教育政策の目標と基本施策の一番右下に来るのですけれども、ここが実は一番大事なのではないかなという気がしてなりません。当事者意識のことをジキコンの担当者の皆さんもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、ここをしっかりやることで、この計画がしっかり進むのではないのかな。市区町村教育委員会さんも、ここを基にして動いてくださるのではないかな。あるいは、私学さんも是非一緒に動いていただかなくてはいけない部分もたくさんあると思うのです。そういった部分で、この計画の実効性を担保するのは、ひょっとすると、この目標の16ではないのかな。そんな気がしております。これによって計画の相互理解が進んだり、共有できて、周知できて、改善に向かってまさしくフォローアップしていくことができるのかもしれないなと思っています。
 ですから、是非ここの書きぶりをもう少ししっかり枠組みとして、荒瀬委員も杉村委員もおっしゃいましたけれども、ジキコンさんの取組ってすばらしいですねというお話がありました。こここそ利害がひょっとすると一致していないかもしれない人も巻き込めるところではないのかなという気がしてなりません。目標ごとにステークホルダーを設定することとか、指標ごとにステークホルダーを設定することとか、あるいは、ステークホルダーの例示とか、もう少しここをしっかり書いた方がいいのかな。
 行政を預かっていますと、例えば、通学路を安全にということがあります。通学路を安全にと学校と教育委員会でやろうとすると足りない。道路の設置者の問題があります。それも、市町村の場合もあるし、国の場合もあります。警察が関わる場合もあります。かように、ステークホルダーは多様なのです。ですから、それぞれの施策に予算をつけるためにも、ステークホルダーの輪郭をはっきり見せるというのはとても大事かなと思っています。この計画を一番実効性を担保するのはこの目標の16ではないかな。だから、ここをしっかり書くべきではないのかなと思っております。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。対話の重要性は、御指摘のとおりです。どうしても従来は都道府県の自立性をベースにしてきているため、計画時期もずれるとか内容的にも自主性が前面に出てしまうというのが実態ですが、御指摘のとおり、そこはもう少し今の段階から、答申後の対話の構造を検討し、実効性を高める必要があると思います。ここの書きぶりも含めて、少し検討させていただきます。ありがとうございました。
 それでは、牧野委員、お願いいたします。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。授業がありましたので、参加が遅れまして、どうもすみませんでした。
 既に皆さん議論されているかもしれませんが、私たちの議論をとてもうまくまとめてくださっていて、文科省の職員の方々、寝ていないのではないか、と思って心配をしております。できるだけ皆さんが寝られるように協力をしたいと思いながら、お話を聞いていたのですが・・・・・・。
 全体として、印象としましては、教育がこれから社会をきっちり引っ張っていくといいますか、新しい社会づくりに向けて、教育こそが先導していくのだという方向性が明確になってきたのではないかと受け止めています。
 例えば、私が前回少しこだわりました課題解決人材の話ですけれども、これも今回、持続可能な社会の創り手の育成という形でまとめていただいています。実はあの後、私の知り合いの一部上場企業の役員たちにいろいろ話を聞いていきますと、確かに課題解決は大事なのだけれども、これから、それ以上に求められてくるのが、問い返す力を持った人であったりとか、もっと言えば、課題が起こらない社会とは一体どんな社会なのかといったことを構想できる人材なのだとおっしゃるので、その意味では、次期教育振興基本計画に向けての諮問内容のこともありますけれども、この持続可能な社会の担い手づくりといったことがとても大事になると受け止めています。
 更にそこから、このポンチ絵でいきますと、ウェルビーイングの実現ということにつながっていきますので、その意味でも、教育が引っ張っていくといったことが前面に出てきたのではないかと受け止めており、とても有り難く思っております。
 さらに、それと関わって、私の専門ですけれども、生涯学習社会の実現ということで、特に学校で学んだ後の学び直しであったり、継続的に学んでいくリスキリング、さらには人生100年といったことも見据えられて、多様な生き方が実現できる社会の在り方といったことが構想されているように受け止められるような表現に変わってきましたので、これもとても有り難いと思うのです。
 特にこれとウェルビーイングとの関わりでいきますと、今、いろいろな調査で分かってきていますのは、学歴指標ですとか収入指標よりも、むしろ自己決定指標というようなものの方が幸福度と強い関わりがあることが分かってきていて、その意味では、それぞれの人が自分の価値を持った上で、きっちりと自分の在り方を決めていく力を持てるようにしていくといったことがウェルビーイングに関わってくるのだろうというふうに思います。
 人生100年の中で、学校を終えた後、例えば、マルチステージであったり、さらには、パラレルキャリアと言われるような生き方の中で、多様性と、それから公正性と、更にそれをインクルーシブなという形で、一緒に生きていくという形でまとめ上げられていくという社会の在り方といったものが求められてくる。その意味でも、教育が果たす役割が明確になったのではないかと思います。
 さらに、もう一つ、ここは強調したいと思っていますのが、更にその上で、例えば、社会教育や生涯学習のところで、「社会基盤の」という表現があるのですけれども、それはもう少し住民自治ですとか、それから、生き生きと皆さんが生きる中で当事者性を持って生きていくというような形で議論をまとめられないかと思います。経済的に多様性を重視しながら、みんなが自分の生きたい生活ができるといったことと同時に、地域社会で一人一人が生き生きと、様々な創意工夫を凝らしながら、自らが地域社会の担い手として生きていくといったことをベースにして社会を構想していくと、例えば、社会負担が小さな社会が出来上がってきたりですとか、さらには、それぞれがお互いにいい関係をつくりながら、草の根の非常に足腰の強い社会が出来上がってくるのではないかなと思います。その辺りも教育が引っ張るという意味においては重要になってくるかと思いますので、その辺りも少し話し加えていただけるととても有り難いというふうに受け止めています。
 その上で、そうしたものを実現するときに、すみません、これは教育振興基本計画の課題なのか分からないのですけれども、財源の問題を扱わなくていいのかというふうに思ったのですが、いかがなのでしょうか。今、防衛費の問題で増税議論になりそうなのですけれども、教育費をきっちりと確保しながら、将来に向けて責任を取るといったこともどこかに書き込む必要があるのではないかなというふうに思ったのですが・・・・・・。その辺り、少し教えていただけると有り難いと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。冒頭のところは、前回も貴重な御意見いただきまして、次期計画のコンセプトとして、持続可能な社会の創り手の育成が日本社会に根差したウェルビーイングの向上に連携していくという、整理をさせていただきました。感謝いたします。
 それから、ほかのところの御指摘についても、生涯学習分科会で議論していただいた社会や地域との連携、OECDのウェルビーイングに入っているQOLの要素など大変幅広いものになっていますが、教育の射程範囲としてどこまでカバーできるのかということもあります。今回のウェルビーイングの定義ではOECD評価のQOLまでは達していなかったのですが、地域社会との連携をどこまで表現できるのか、今の御意見を踏まえて、少し工夫ができるかどうか検討させていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次に、元紺谷委員、お願いいたします。
【元紺谷委員】  ありがとうございます。私からは大きく2つお話をさせていただこうと思います。
 1つは、概要版にありますウェルビーイングの表記の部分ですけれども、今回、3月からずっと関わらせていただいて、ウェルビーイングの議論については、かなり時間を割いて丁寧に審議されたというふうに思います。そこで紡ぎ出された言葉をうまく整理されて、これだったら行けるのではないかなというふうに思いました。私もこだわったウェルビーイングそのものの入り口の言葉についても※印で注釈を入れていただきましたので、ここはまたWHOの憲章から引っ張ってきているだろうなという表現で、非常に分かりやすいと思います。ですので、すごい皆さん方の力の結集でここまで精度が上がるのだなということで感謝しております。
 さらに、ジキコンでは、ウェルビーイングのことについて、ビフォー・アフターということでかなり丁寧に整理されております。小中高、それから社会教育に関わってまで整理されておりますけれども、ここに家庭のウェルビーイングももしかしたら議論の中では入っていたのかなと思うのですが、家庭教育の中でのウェルビーイングもこの中にあるのかなというふうに思いながら、これを拝見させていただきました。これが大きく1つ目です。
 2つ目ですが、見え消しの45ページになります。3回目ぐらいから少しここはこだわってきたところですけれども、定時制・通信制の教育に関わってです。ここについても前回御指摘させていただいたところを丁寧に拾っていただいて、言葉を整理していただきました。ここはさらっと書いてあるのですけれども、実はこれは、特に最後の3行、全日制課程も含めた各課程の在り方の検討というのは、これは日本の高校教育のベースというか、基礎の部分を検討する必要があるということで、正に大きい話の入り口がここで書かれているというふうに私も理解しております。
 実は、今日の午前中ですけれども、特別部会の高校ワーキンググループの話を傍聴させていただきましたが、そこでも多くの方が全定通がフラットというような言葉で表現されておりましたけれども、この部分、1つだけ私から指摘をさせていただくのですが、定時制課程をイメージするときに、多くの方が夜間定時制をイメージします。これは間違いないです。制度設計したときには、全日制に行けない子供たちがいます。学生が、夜、仕事が終わってから学ぶ、あるいは、通いそのものができないのであれば通信制に行くということで、定時制、通信制はそういった勤労青年の学びを保障してきたという歴史がありますが、近年は、それもありますが、多くは不登校生徒や特別な配慮を必要とする生徒、特別支援の生徒など、様々な多様な生徒のセーフティーネットとなっているわけなのです。
 夜間定時制の存在意義について、私は疑問を投げかけたいと思うのですけれども、夜間定時制に通っている生徒が夜間に行く必然性はあるのかないのか。多くの生徒は、夜にしかやっていないから行っているという実態があります。これは既存の制度を使って何とかここまで来ていますけれども、もうこれは見直す時期が来ている。見直さなければいけない時期が来ているというふうに思っております。
 ですので、今後、ワーキンググループでは年度内に論点整理がされると思うのですけれども、さらに、その後にも、全定通の枠組みについては検討されていくべきだというふうに考えております。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今回、方向性としてはこういう整理をさせていただきましたが、お話にあったように、荒瀬副部会長の元でのワーキングで、この辺も含めた高校の在り方そのものも御議論いただくものと思われます。したがって、引き続き、この方向性に沿って検討を深めていただくようお願いしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、徳永委員、お願いいたします。
【徳永委員】  ありがとうございます。資料3について、基本方針やウェルビーイングの関係性なども大変分かりやすくなったと思いました。ありがとうございます。
 私からは3点気になったことを申し上げたいのですけれども、資料1で、これも何度も申していることなのですけれども、目標7の多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂のところで、前回、様々な多様なニーズを持つ子供たちのつながりを意識した方がいいのではないかとお伝えし、今回柱書きを書いていただいて、大変分かりやすくなったと思いました。
 それを読んだときに、今回、全ての人の、ウェルビーイングの向上というのを出しているので、ここの目標7のところでも、多様な教育ニーズのある子供、つまり、社会の周辺に置かれている子供たちのウェルビーイングも重要だということを、ウェルビーイングという文言だけでもいいのかもしれないのですけれども、この目標7にきちんと明記するということが重要なのではないかと思いました。例えば、不登校の子供だったり、貧困家庭の子供だったり、外国につながる子供のウェルビーイングも重要で、その向上を目指しているのだということも入れるといいと思いました。
 あと、45ページのところで、これはマジョリティーの変容というところと関連して国際理解教育というのを入れていただいたと思うのですけれども、学校全体で取り組むという姿勢というのもとても重要ですので、大変細かいことなのですが、学級におけるというよりは、学校全体で異文化理解教育とか国際理解教育に取り組んでいくという、そういった発想も重要だと思います。
 2つ目なのですけれども、先日、内閣府と連携したユースラウンドテーブルを私も傍聴させていただきまして、今回の基本計画の中に子供との対話というのを、目標16と関係するところだと思うのですけれども、子供と対話をしながら政策をつくっていく、反映をさせていくというところにつながると思いました。ユースラウンドテーブルを実際に傍聴して、改めて、こういう様々な学校段階の子供たちの声をきちんと聞くということ、それを政策に反映させていくということが非常に重要だと思いました。
 大変負担が大きいことだと思ったのですけれども、単発で終わらせずに、今回もしかしたら限られた子供たちだったのかもしれないので、様々な背景を持つ子供たちや異年齢の子供たちに参加してもらって、声をきちんと聞いて、声を奪われてしまっているような、なかなか声を上げにくいような子供たちの声も聞いていくというのも、誰一人取り残さない仕組みづくりを目指す上で気をつけていく必要があると思いました。
 あと、もう一点気づいていたのが、子供の声を聞くという重要性ばかりが言われていて、今回の計画でも、意見表明とか子供の社会参画ということが何度もキーワードとして出てきていると思うのですけれども、それを聞く側(がわ)の大人、マジョリティー側がどれほど子供の声を聞くということを理解しているのかとか、聞くだけではなくて、それを例えば実践とか施策にどの程度反映させていくのか、させないのかとか、あるいは、対話を通して気づいたこと、学んだことをどのように子供たちに返していくのかとか、教員を含めて大人側の姿勢だったりとか、子供の声を聞くということの理解を深めるということも、今回、もしかしたら計画に入れるのは難しいのかもしれないのですけれども、今後進めていく上では大変重要なことなのではないかと思いました。
 最後に、ジキコンの今日の発表を聞いて、改めて本当にすばらしい発表だと思いました。特にマジョリティーの変容というダイバーシティとインクルージョンのグループの方たちが発表されていたところは、本当にそのとおりだと思いまして、マイノリティーの子供をどう支援するのかだけではなくて、マジョリティーが持っている特権をどう意識化するのかとか、その辺りにどう働きかけていくのかというのはマイノリティーの支援と同じぐらい重要なことだと思いますので、こちらも是非今後皆さんと議論をしていけたらいいと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。今回、ウェルビーイングを明確に定義したのですが、この項目に全てのウェルビーイングの要素を入れているわけではありません。冒頭の御意見については、ウェルビーイングというワードで示すのか、それとも、ほかで何らかの明示をしていくのか、その辺の工夫をする余地があると思いますので、検討させていただきます。
 それから、子供の声については、先ほども御意見が出ているところでありますので、目標16の書きぶりを含めて検討させていただきます。
 これは来年設置予定のこども家庭庁との関係においても、明示的にする必要がありますので工夫したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  ありがとうございます。私も、先ほど御意見も出ましたけれども、43ページと44ページの不登校に関する記述について申し上げます。
 まず、前回からの進化として、相談を受けられていない児童生徒について触れていただいたことと、また、こども家庭庁と連携した居場所づくりというところで、学びと育ちの、双方の観点からの支援という観点を明記されたということをとても喜ばしいことだと受け取りました。ありがとうございます。
 その上でなのですけれども、3点申し上げさせていただきます。
 まず、43ページなのですけれども、誰一人取り残さずというところから書いてある、「全ての人の可能性を引き出すための教育の観点から」の次につながる言葉なのですが、「学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方を整理するとともに、これらの児童生徒が必要な支援につながるよう環境整備を進める」ということが、よく読むとそうではないのかもしれないのですけれども、学校を中心に、学校に戻すべきと受け取る人もいるのではないかな。学校を中心に不登校の子供の居場所をつくるべき、要は、既存の学校を中心にというふうに見えるので、できれば、「学校を中心とする学びの在り方」から、「多様な選択肢から子供たちの学習権を保障し、これらの児童生徒が必要な支援につながるような環境整備を進める」のような、そういった書き方にしていただくことはできないかということがまずお願いの1つ目です。
 2つ目なのですけれども、44ページに更に追記していただきたい観点なのですが、もちろん不登校24.5万人という数字は、国家的アジェンダとして最重要テーマだとは思うのですけれども、前回の問題行動等調査の中で衝撃を与えているのは、長期欠席者41万人だと思います。これについても、この資料の中では、きちんとまずそこにどう手を打つかということ、不登校だけではなくて、長期欠席者41万人の実態について把握できていないということ、この41万人をきちっと学びと育ちの両方をちゃんと見るということ。例えば、経済的に困窮して、経済的な理由で行けていないとか、病気で行けていないとか、そういった子たちを含んでいましたし、その他がかなりたくさんいるということも含めて、そこもスコープにすべきということは明記すべきだと思います。
 それに関連するのですけれども、改めて、この長期欠席、不登校の実態調査というところは足りないという前提をここに明記すべきだと思います。現状は、不登校傾向や隠れ不登校などのことも把握できていない。2018年の日本財団調査から更新がありませんし、これも含めて、また、不登校の要因分析も当事者アンケートとのずれがあるということも踏まえると、現在の統計をそのまま続けるのは、もしかしたら継続的なものだからしようがないのかもしれないのですが、深掘りする実態調査も継続的にやっていくのであるということをきちんと位置づけた上で、その上で不登校特例校が本当に足りているのか足りていないのか、県に1つでいいのか足りないのか、そういう設置目標みたいなものは、量的に政策が足りているのかということのモニタリングができるデータがあってこそ、この設置目標が正当なものか測れるのだと思います。
 なので、私は、先ほども御意見ありましたけれども、不登校特例校、県に1つ、これはやった方がいいことだけれども、それをやれば不登校の政策に手を打ったというふうに県や自治体が思わないような、そういう書きぶりにここではしないといけないと思うので、その点も明記いただきたいなと思いました。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。書きぶりの問題だけではなく、これからの取組そのものの御指摘だと思います。先ほどもありましたように、協力者会議等でのいろいろな議論を踏まえて、教育支援センターの充実や既存の学校を中心にした体制整備をした上で、更にこの特例校等がどう展開できるのかという整理をしておりますので、先ほどの御意見と併せて検討させていただきます。
【今村委員】  調査の部分の方が重要なので。申し訳ないです。1つ目の書きぶりの部分よりも、きちっとした統計的な調査のやり直し、若しくは、きちっと調査の再設計か深掘り調査をちゃんとやるということ。ここがないと政策の妥当性が判断できないというところが重要なので、そこはお願いいたします。
【渡邉部会長】  御指摘のとおりだと思います。調査も含めて充実させるということでよろしいですね。
【藤原初等中等教育局長】  よく検討してみたいと思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、河野委員、お願いいたします。
【河野委員】  ありがとうございます。河野です。資料3、大変すばらしくまとめていただきまして、本当にありがとうございました。
 次期計画のコンセプト、まずコンセプトが大きくあって、その下に柱が3つあって、そして、それを支える基盤という非常に美しい形で分かりやすくなりました。これが先ほども何名かの委員の方がおっしゃいましたように、この資料3が世に出回って現場に使われる資料になるように、是非、更に表現などに磨きをかけていただいたらよいかと思います。
 私たちはずっと議論をしてきましたので、この資料が非常によくまとめられているというふうに感じるのですが、初めて御覧になる方にとっては、もう少し説明が足りない、あるいは、ビジュアルにもう少し付け加えられた方がいいというような御意見があろうかと思います。
 それから、先ほど杉村委員も御指摘をされていたように、ここの1番、2番、3番というこのグローバル、それから、誰一人取り残さずということと地域、これが、付番が振ってありますので、何となく1番、2番、3番という順番で見てしまいがちですけれども、これは全て横に連携している。もしかすると、この①、②というのをこの資料3の中では取っていただくとよいのではないかと思います。
 そして、もう一つ、この資料をきれいに作っていただきましたので指標に目が行きました。外国人留学生数。これは高校段階からの受入れ推進を文言に入れていただきましたので、外国人留学生数というところに高校留学の数も入れてカウントする、(多分、過去の調査では大学の数が中心だったと思いますので、)ことを御提案します。
 それから、最後ですけれども、留学生、このグローバルのところに「留学等国際交流」と書いてあるのですが、文章にもそのように書かれていますが、指標の資料を見ますと、まだそれが十分に反映されていない。これから教育未来創造会議等での意見も踏まえながら検討されていかれることだと思いますけれども、留学等国際交流をどういう指標で測るのかを是非御検討いただけたらと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。お話にあったように、教育未来創造会議でもかなり重点的な検討をしていただいているところですので、そのまとめを含めて、今の御指摘のような視点を入れる方向で検討させていただきます。高校のところについても、大変重要な御指摘でした。ありがとうございました。
 それでは、清水信一委員、お願いいたします。
【清水(信)委員】  ありがとうございます。先生方の議論の成果、また、文科省の皆さんの献身的な事務処理でここまで方向性が見えたということで、私も部会に出るたびに勉強させていただいております。
 いよいよ実行に移すという段になったときに、資料3の⑤になりますけれども、計画性の実効性確保のための基盤整備と対話というところですが、この中に経済的、地域的状況によらない学びの確保というのがございます。この大前提は誰一人取り残さないというのがあり、そして、どこで学ぼうが子供たちにはしっかりした教育環境が整えてあるということだと思います。
 しかし、私は私立の人間で、なおかつ、学校教育法124条という専修学校の高等課程に携わる者としては、一概にそうですねというところでお話しできないところがございます。公立と私立の経済的支援の格差、これは致し方がないところもあるかもしれませんけれども、私立の中にも、今度は1条校と124条の違いによって経済的支援の格差がございます。これは学校にだけではなくて、学ぶ子供たちへの支援の格差もございます。
 具体的には、例えば、交通費、JR定期の割引率の問題です。JRの規則では、学校教育法の第1条の学校に通う場合は、それぞれの割引率が適用されますけれども、124条、専修学校高等課程の場合は、一般社会人並みというところでした。しかし、我々運動しまして、今現在は、3年制の大学入学受験資格付与指定校に限り、交通費、JRの定期の割引率が高校生割引と同率になっております。
 こちらで、どこで学ぼうが条件は同じにしてあげないと、取り残されていく子供たちはいると思います。不登校の子や不登校の生徒、また、特別支援の必要な生徒が多く学んでいるフリースクールとか、また、サポート校とか通う交通費ですね。これも格差があってはいけないと思います。
 ですから、この機会に、経済的、地理的状況によらない学びの確保のところにポツ1をつけていただいて、現状の教育現場再確認というところで、1回再確認していただいて、全員の子供たちが同じスタートラインからスタートできるような環境をつくっていただけたらなというふうに願っています。
 もう一点、資料4の目標の13になりますけれども、これも前回学校安全のところでお話しさせていただいたのですが、先ほどお話ししたように、学校教育法の124条故に、激甚法の対象に専修学校はなっていないのです。こちらについては、災害時における学びの支援というところに是非早い解決をお願いしておきたいと思います。
 いつ災害があるか分かりません。学びの環境をできるだけ早く整えて、学校再開を子供たちのためにもしなくてはなりません。是非この機会に、124条の、専修学校の激甚法の対象というところもお願いをできればと思っております。
 専修学校という立場で日頃から格差というお話をさせていただきますけれども、何分少数派ですが、どこで学ぼうが子供たちに格差のない教育環境を是非よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。今までも御意見いただいてきた内容であり、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、吉見委員、引き続きお願いいたします。
【吉見委員】  ありがとうございます。まず、本日、よんどころなき事情により遅れて参りましたことをおわび申し上げます。
 それで、ほかの皆さんもお話になりましたように、全体的な熟度が私も上がってきているというふうに思います。その理由は、構造がかなりはっきり見えてきたということでございます。
 私が理解する限りでは、全体的な目標がウェルビーイングである。そのための方針として、3本の柱①、②、③が立てられている。①がグローバル、②が多様性、公正・公平、そして包摂性という共生社会、そして、③が地域や家庭というところで、その全体を通底するものとして、DXと、それから、先ほど来出ているような基盤整備と対話ということがあるという、この構造はとてもよく分かります。
 その上で,2点申し上げたいのですけれども、1点目は、教育が社会を引っ張るのだというメッセージ性がもっと強く出た方がいいように思います。これまではどちらかというと経済や技術が社会を引っ張るということで日本はやってきた。もちろんそれらは続くのだけれども、それだけではもう不十分で、経済や技術と並んでというか、あるいはそれら以上に、教育、これは人をつくる、人を育てるということですから、予測困難な時代にあっては、教育こそが社会を引っ張るのだというメッセージ性が冒頭に掲げて、もっと攻めの姿勢を前に出した方がいいのではないかという気がいたします。
 例えば、1の冒頭のところが現状と課題となっていますが、もう少し、現状と課題だと受け身なのですが、課題とビジョンとか、攻めの姿勢、打って出る姿勢があった方がいいのではないかというのが第1の点です。
 第2点は、先ほど杉村委員もおっしゃったこととも重なりますが、3本の柱が立っていて、これらの目標の中では、グローバルとかイノベーションを強調している目標と、ウェルビーイングや誰一人取り残さないということを強調している目標があるわけです。もちろん両方大切なわけですけれども、両方が相乗的に、お互いに補い合うような形でうまく両立するということをきちんと示していくことはそう簡単ではないと私は思います。
 そのときに、この両方のベクトルの、割り算の分母として、1つはデジタルトランスフォーメーションが出ているわけですけれども、もう一つ、それぞれのいろいろなところにリカレント教育とか人生100年時代とか生涯学習とか、人生の中での教育が出ています。しかしながら、このポンチ絵の構造の中では分散化されているというか、要素としてはいろいろ出ているのですけれども、全体を通じて、人々の人生の中で教育の価値を再定義するというか再提示するという、その辺のことが割と薄まっている気がします。
 これはコミュニティーの問題とも直結すると思いますけれども、地域とかコミュニティーの問題と本当に直結すると思うのですが、もう少し明確に全体を通じるものとして、リカレント、人生100年時代、マルチステージ、生涯学習、あるいはそういう地域の中で創造性をつくっていくということ、そういうことを、全体を通底する柱にしていく方が、全体の構造はより明確になるのではないかと思う次第です。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。全体では、能動的な社会の創り手の育成ということが前の議論よりはかなり前に出た感じですが、もう一段強調するという御意見だと思います。
 御指摘のとおり、相互関連性、できればこのコンセプトの通底性というところでつなぎにできたらと思いますので、そこも含めて工夫できるかどうか検討させていただきます。ありがとうございました。
 安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】  安孫子です。多種多様な御意見を美しくまとめた文章で、本当に驚いています。それと同時に、大変恐縮なのですが、企業側として少し違和感が2つありますので、それについてお伝えさせていただきます。
 まず、1つ目ですが、今回のこの中長期の指標につきまして、資料3の全体像も含めて、数値目標が明記されていないというところに違和感があります。この後、大多数の現場を束ねていくためには、やはり到達目標を数字で置き換えるというプロセスが必須ではないかと我々は考えるのですけれども、今後、そういった取組はこの流れの中であるのでしょうかという質問にもなります。
 そして、2つ目ですけれども、ジキコンについてです。大変すばらしい活動で、そして、その内容についてもとても共感します。ただ、企業としては、この問題解決というのは、常に3現主義で、現場と現物と現実で取り組まなければ問題解決はできないというスタンスでありますので、今後とも、制度設計する側(がわ)とそれを実行する側(がわ)の縦組織間で、コミュニケーションをしながら進めるという職務が必然として行われるように期待したいと思います。
 私からは以上になります。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。数値目標等については、これからそれぞれの指標を具体的にどう答申として示すのか細部のさらなる検討が必要ですが、全てが数値目標にはなかなかなりにくいのだろうと思います。前回第3期基本計画のときもそうでしたが、定性的な要素が教育の分野にはあるものですから、その要素を組み合わせてどの程度まで目標化できるのか。今回は概念整理のところでまとめておりますので、数値目標は入れていませんが、入れられるもの、入れられないもの、定性的なもの、そういったものを区別しながら、検討を加えていきたいと思います。
 ジキコンについては、御指摘のとおり、大変重要な視点だと思いました。ありがとうございました。
 それでは、次に、吉田信解委員、お願いいたします。
【吉田(信)委員】  吉田でございます。今日は遅れて参加で申し訳ございません。大変事務局の皆様方の御苦労がしのばれる内容かなというふうに感じております。
 私から、その上であえて、評価も含めて指摘をさせていただきたいのですけれども、後ろから行きます。40ページから行きますが、この主体的に社会の形成に参画する態度の育成、規範意識の醸成。これは5から6になったわけですけれども、次、41ページに、主権者教育の推進のところに、国家・社会の形成に主体的に参画するという言葉を入れていただいたのは、私としては評価をしたいというふうに考えております。
 こうなった場合、40ページなのですけれども、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、この場合、40ページの、一番下の目標のところの冒頭に書いてある言葉なのですけれども、ここです、主権者教育のところに「国家・社会」というふうに入れているのであれば、ここにも「主体的に国家・社会」と入れるべきではあるかなとは思いつつも、ここの「社会」というのはもっと広くグローバルなことを考えるのであれば、このままでもいいかな、どうしたものかなというところは少し悩みどころではありますけれども、ここにも「国家」という言葉を入れてもいいのではないかということは私としては指摘をさせていただきます。それが1点でございます。
 続いて、少し戻りまして、ページは35ページでございます。目標の4、グローバル社会における人材育成。ここに教育基本法の文言も踏まえた上でというところだと思うのですけれども、「グローバルな人材を育成するために、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに他国を尊重し」とこの言葉が入ったのは評価するのですが、この「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」ということは、実はもっと前の道徳であるとか伝統文化等々のところにも関わってくるのではないかなと。グローバル社会における人材育成ということで、ここにあえてこれを入れるということ自体は、私は評価しておりますけれども、今度はもう少し前に戻っていただいて、ページの29ページに行っていただきたいと思います。豊かな心の育成というのが目標2に書いてあります。ここに整理期間という言葉が出てきたのは、とても私はよかったなというふうに思っているわけでございます。
 少し話がずれてしまうかもしれませんけれども、私、今回のサッカーのワールドカップにおける日本代表の戦い方であるとか、あるいは、観客の、日本人の皆さん方の態度、姿勢というのが非常に世界から評価されているということは、とても私はよかったなというふうに思うわけです。これは我々の日本社会がこれまで培ってきたものというのがバックグラウンドにあって、サッカーではあるのだけれど、そこには非常に武道の精神が息づいていたのではないかなと。それはこの伝統が形成してきたものでもあるし、この日本社会が美徳としてきたものが世界的にも認められた。特にサポーターの皆様方の清掃ですね。あれが非常に認められたということも、日本型ウェルビーイングを語る上では、正に、ああいった日本人の生き方というか姿勢というか、あるいは、ああいう試合に臨む態度というか、非常に表れたのではないかなと思っているわけです。
 何が言いたいのかというと、実は、この下に道徳教育の推進というのが出てくるのですけれども、29ページです。それと次のページの31ページなのですが、伝統や文化等に関する教育の推進というのが出てくるのですけれども、これというのはもっとつなげて語られても私はいいのではないかなというふうに思うわけなのです。
 例えば、日本の言葉で「潔い」という言葉がございますけれども、あの「潔い」は正に「清潔」の「潔」なのですよね。清掃する場を清めるという態度と、それと、勝ち負けに対してフェアプレーで臨む、相手のこともリスペクトする、リスペクトって片仮名を言ってしまいましたけれども、相手のことも尊重し尊敬する。こういった武道的な精神みたいなものというのは、もう少し我々自覚的に言葉化していくということも大事なのではないかなと。
 日本の社会がこれまで培ってきたよき美徳というものを、伝統それから道徳という面でもきちんと捉え返していく。子供たちにそれを、自信を持って伝えていく。子供たちがまた外に出ていったときに、グローバルな人材として出たときに、正に日本人というのはこういうものであるということをしっかりと胸を張って示せるようにしていくということも、この教育の中に盛り込んでいくというのは非常に大事なのではないかなというふうに感じているところであります。
 最後になりますけれども、まず、その上で32ページに飛んでください。指標候補というのがここにございます。ここに、人が困っているときは進んで助けていると考える児童生徒の割合の増加というのは、これを載せたというのは、非常に私は評価したいと思います。であれば、ここにはもう少し踏み込んだ言葉として、例えば、勇気だとか、先ほど正義感という言葉が出てきましたので、勇気という言葉は、非常に私は大事なのではないかなと。これからの世の中を考えるとですね。
 いじめの問題も、いじめはいけないと言うことは大事ですけれども、いじめている子に対していじめはいけないよと声を上げていく勇気というのが非常に今、子供たちの中に必要なものなのではないかなということを感じるわけです。勇気というものをもっともっと強く打ち出していくということが私はあってもいいかなと。
 最後になりますけれども、8ページになります。7ページ目から、今後の教育政策に関する基本的な方針というのがございまして、いろいろと書いてあります。正にこの日本型ウェルビーイング、協調性であるとか他者への思いやり、これを維持していくためにこそ勇気を持ってこのウェルビーイングを守っていくというそういう姿勢というのでしょうかね。「自ら顧みてなおくんば、千万人といえども我行かん」という言葉がありますけれども、そういう勇気というものもあって初めて、このウェルビーイング、みんなの幸せ、誰一人取り残さないという社会を実現できるのだという、そういう価値をもっともっと前面に出してもよろしいのではないかということを感じたところでございます。
 いずれにしましても、本当にいろいろとこれまで御尽力いただいて、ここまで来たということに対しては心から敬意を表したいと思います。
 私からは以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。以前に改正教育基本法の不易流行の議論をさせていただきましたが、まさしく不易に相当することについての御指摘だったと思います。ウェルビーイングの御指摘も、それゆえに今回のような形のウェルビーイングの定義になったということだと思います。反映できるものについて検討させていただきます。ありがとうございました。
 それでは、最後になります。永田副部会長、お願いいたします。
【永田副部会長】  ありがとうございます。
 日本型ウェルビーイングと言いだした最初の頃は、不満だったのですが、この資料3のまとめ方になり、各目標をしっかり読めば、言わんとしていることは書かれたと思います。「日本社会に根差した」だけでは足りないが、きちんとその枠の中に「調和と協調ある発信」となっているので良いと思います。更に「日本社会に根差し世界に発信できるウェルビーイングの向上」などであれば、少し長いが、良いのではないかと思いました。
 細かい点では、教育全体のシステムに、大学の入学試験のところの指標がないこと、それから、文理横断とか文理融合教育云々(うんぬん)のところの指標がないという問題があると思いました。そのような指標に落とすものではないということもあるかもしれないので、先ほどの吉見委員がおっしゃったことと似て非なることを言いたいのですが、この教育振興基本計画の中で、施策に落ちるものはたくさん話ができてよかったと思います。しかし、もう一つは、次の段階のための検討しなければいけないことについて、言わなかったこともあり、欠けていたというのが反省です。
 例えば、先ほどの1条校、124条校の話であったりすると思うのです。その中で、これがイノベーションの世界にとって科学技術は大切だ、それから、そのほか文理融合は大切だと言っているのですが、ウェルビーイングを考えるということは、我々は十分生きるためのことはできているという前提に立っていると思うので、そのことがきちんと教えられている上でのイノベーションやウェルビーイングかということを少し思ったのです。
 そのときに、とても大切なのは、科学技術やそのほかというときに、これは大学分科会で議論にもなったわけですが科学技術、数学だというのであれば、文系とは何か。哲学ではないか。例えば、そう思うわけです。そうすると、この哲学の教育について大学、高校、中学と考えていくと、実は立派なものがないと思います。
 そのあたりに大学に進学してから、文理融合と言わないといけなくなってしまう素地(そじ)があるとすると、これはジキコンにお願いしますが、高校教育について考えてほしいと思うのです。高校教育が義務教育ではないのに指導要領がある。文科省の部会でもいろいろ議論されていることと思いますが、なぜだろうかというのが1つあります。
 それから、哲学あるいは経済、それから歴史、法、政治学、こういったものを早く勉強し始めないと、最終的な意味でのイノベーションや社会変革につながらないのではないかと思っています。もし次に議論するときがあれば、そのような施策で解決できる、あるいは、システムを変えなければ変えられないことということをまた一緒になって考えてみたいと思うので、ジキコンの方々、是非とも、そのような問題を考えていただけると有り難いと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今の御指摘は荒瀬副部会長からもございまして、恐らくワーキングでの高校の検討事項とも関係する問題です。教育振興基本計画は全体像の計画を立てるものですが、個別施策の実行段階に入ったときに、御指摘のとおり高校段階の具体的な有様は、高大接続も含めて、課題として残っているのだろうと思います。
 したがって、この基本計画の中ではそうした問題が明確になるような形で整理をした上で、次のワーキング等の、検討の際に、是非深掘りをしていただくような道筋をつけられたらと思いました。大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 お時間になりましたが、少し今日の総括をしてから終了させていただきたいと思います。事務局の方で、全体について何かコメントございますか。よろしいですか。
 今日は全体の総論と各論という形で議論してきたものについて横断的な整理や御意見、評価を頂きました。資料3の体系図はもともとのイメージ図を文書化したものということで、頂いた御意見を反映できたものになったのではないかと思います。今日の御議論を踏まえて、更にこれをブラッシュアップしていきながら、答申に持っていければと思います。
 それから、今日、皆さんから御意見がありましたように、ジキコンの評価は大変高いものでした。重要な基本計画の策定に向けて、文科省の職員の方が連携し、こういった参画をしていただいたことは大変よかったと思います。政策を具体化するには、当事者意識とか参画意識を持てるかどうかに関わりますので、私としては、是非基本計画答申後に、それぞれの方々がこの答申実行の伝道師になっていただけたらいいなと思います。そういった意味で、ジキコンのような取組は非常に重要だと感じました。これは答申提出後の文科省にもお願いしたいことでありました。
 それから、今日の御議論の中で、清原副部会長から御意見があった、今後の教育政策に関する基本的方針の総論的な整理については、前回の御議論を踏まえて、持続可能な社会の創り手の育成と、日本社会に根差したウェルビーイングの向上の2つを掲げながら、これが全体のコンセプトなのだと、この計画を位置づける非常に強いメッセージなのだという整理ができたのは非常によかったと思います。今までの皆さんの御議論をまとめるとこういうことだったのだろうと思います。
 とりわけいろいろな議論がありましたウェルビーイングの構成要素についても、従来の幸福感という漠然としたものだけではなくて、つながりの要素や協働・協調性、利他性、多様性、それから社会貢献意識、自己肯定感と自己実現、心身の健康など、こういった形で要素を明確化したのが今回の特徴になったのではないかと思います。こういったものが個別施策等を含めて今後更に整理できればと考えます。
 各論についても重要な御指摘を頂きました。杉浦委員に御指摘いただいたように、指標の留意事項を掲げたのは大変重要だと思います。今後の個別指標の達成を進める上で、これは改善の方向性を示すということが必要なのだと強調されている点が非常に大事です。それから、各指標は状態の改善や展開を図るためにきっかけとなるものであって、多角的な評価を行うことが重要だという留意事項もございました。
 さらに、計画期間の中でも、より適切な指標の在り方を不断に検討して、柔軟な取扱いが必要なのだという留意事項も3点目に挙げられました。各地方公共団体の基本計画は、御議論にもあったように、時期もずれており、内容的にも必ずしも一致しているわけではありません。したがって、計画期間中でも柔軟に見直しをするということは、教育基本法に基づくこの基本計画自体もそうですし、地方が策定する基本計画も同じことが言えるのではないかと思います。
 したがって、国の基本計画と同時にスタートするため、ウェルビーイングが入っていないという地方自治体もあるかもしれませんが、今後そういったところも随時見直してもらうといった対応をしていく必要があるのではないでしょうか。そういった意味でも、ジキコンにて対話の重要性という御指摘を頂いたのは大変重要です。したがって、これは文科省の行政としても、是非そうした形で進めていただけたらと思いました。
 あと、今日も種々重要な御指摘を頂きましたので、ブラッシュアップしたものを、次回、引き続き御議論いただきます。いよいよ答申に向けての整理となりますので、御協力をお願いできればと思います。
 本日は以上とさせていただきますが、次回の予定について事務局からお願いします。
【川村教育企画調整官】  次回は1月13日金曜日、14時から開催予定でございます。次回は審議経過報告の案について御議論いただくことを予定しております。
【渡邉部会長】   それでは、本日は以上とさせいただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――