中央教育審議会教育振興基本計画部会(第8回) 議事録

1.日時

令和4年10月13日(木曜日)15時30分~18時

2.場所

文部科学省会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 次期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方について

4.出席者

委員

荒瀬委員、今村委員、内田委員、清原委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、永田委員、堀田委員、村田委員、安孫子委員、岩本委員、川口委員、河野委員、黒木委員、黒沢委員、川口委員、関委員、徳永委員、牧野委員、松浦委員、三好委員、元紺谷委員、吉見委員、渡邉部会長
 

文部科学省

藤江 総合教育政策局長、里見 大臣官房審議官、森友 総合教育政策局政策課長 等

5.議事録

【渡邉部会長】  それでは,定刻となりましたので,ただいまから第8回中央教育審議会教育振興基本計画部会を開催いたします。大変御多忙の折に,今日も御出席いただきまして本当にありがとうございます。
 残念ながら,まだ新型コロナウイルス感染症の拡大防止を続ける必要があるため,ハイブリッド形式のウェブ会議とさせていただきました。
 本日は,次期の教育振興基本計画策定に向けまして,前回の御議論に引き続き,基本的考え方の案について,まず御議論いただきます。その後,新たに今回提示しております各論の骨子についても議論をお願いしたいと思います。
 それでは,まず,本日の会議の開催方式と資料につきまして,事務局からの説明をお願いします。
【川村教育企画調整官】  事務局の川村でございます。
 本日もウェブ会議での開催とさせていただきます。傍聴につきましては,YouTubeで配信をしておりますので,御承知おきください。
 御議論の時間におきましては,「挙手」ボタンを押していただければと思っております。部会長の御指名により,順次御発言を頂きます。また,御発言時以外はマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
 本日の資料といたしまして,基本的な考え方に関する資料として資料1と2,各論に関する資料として資料3,ユース政策モニターとの連携に関する資料として資料4の4つでございます。
 最後に,本日,全体30名の委員のうち,23名に御参加いただいております。お忙しいところありがとうございます。
 説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 それでは,今の説明に準じまして,早速議事に入らせていただきたいと思います。
 まずは,資料1,2に基づいて,資料の説明をお願いしたいと思います。
【川村教育企画調整官】  それでは,資料を共有いたしまして,御説明をさせていただきます。
 こちらは,前回御覧いただきました次期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方(案)の資料でございます。前回の御指摘を踏まえまして,赤字で見え消しの修正をしたものでございます。こちらに基づきまして御説明させていただきます。
 まず,コンセプトの部分でございますけれども,第2期,第3期と掲げられてきた「自立」,「協働」,「創造」,この理念につきまして,個別最適な学びと協働的な学びの一体的推進ですとか,主体的・対話的で深い学び,こういったものに発展的に継承されており,個人と社会のウェルビーイングの実現を目指すという点を追記させていただいております。
 また,グローバルバル化についての文言の追加をさせていただいております。
 そして,最後のところ,Society5.0の実現を目指すとともに,牽引役として多様な価値観に基づき地球規模課題の解決に貢献するグローバル人材の育成を図るということを追記させていただいております。
 続きまして,現状,それから普遍的な使命のところでございますけれども,生命尊重,命の大切さという御指摘がございましたので,これに関する追記をいたしております。
 文言の整理を一部させていただきまして,不易と流行(りゅうこう)のところで,前回御議論がございましたので,「流行(りゅうこう)」を取り入れてこそ「不易」としての普遍的使命が果たされるものであり,不易流行の元にある教育の本質的価値を実現するための法ということで,追記,修正をさせていただいております。
 続きまして,文言の整理が一部ございますけれども,イノベーション人材のところ,高度専門人材の育成が必要であるという御指摘がございましたので,この点を追記させていただいておりますのと,学校施設に関する課題,こちらも追記をいたしております。
 また,新型コロナウイルス感染症の影響を,一定まとまった記載が必要ではないかという御指摘がございましたので,国際経済の停滞,グローバルな人的交流の減少,体験活動の機会減少等々,また,ICTの活用が当初十分でなかったという点,これを契機として遠隔・オンライン教育が進展したという点,学びの変容,こういったところについて追記をいたしております。
 続きまして,基本的な方針丸1から丸5まででございますけれども,この中で,グローバル,それから社会人の学び直しに関して,重要な柱ではないかという御指摘がございましたので,丸2のところで,グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成という形で修正をさせていただいております。
 ウェルビーイングのところにつきましては,ウェルビーイングの実現について,もう少し概念をはっきりさせるべきであるという御意見がございましたので,多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに,地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなるというようなことを追記させていただいております。
 また,これに関する国際的な発信についても追記いたしております。
 ウェルビーイングの関係でございますが,子供たちの主観的な認識が変化したかについてのエビデンスの収集が重要であるということ,御指摘を踏まえた反映,また,協調性について,組織への帰属を前提とした閉じた協調性ではなく,共創するための基盤としての協調性という考え方が重要であるという点,また,物事を前向きに捉えるポジティブな考え方が重要であるという点,こちらを追記いたしております。
 また,ウェルビーイングと学力は対立的に捉えるのではなく,個人のウェルビーイングを支える要素としての学力や学習環境,家庭環境,地域とのつながりなどがあって,それらの環境整備のための施策を講じていくという視点の重要性を記載しております。
 また,組織や社会を優先して個人のウェルビーイングを犠牲にするのではなく,個人の幸せがまず尊重されるという前提に立つことが必要であるという認識を記載しております。
 それから,医療的ケア児については,追記でございます。
 また,同一年齢で同一内容を学習することを前提としたという教育の在り方に過度にとらわれないという点。後ろの箇所でも出てきますけれども,全体を通じて重要な考え方ではないかという御指摘がございましたので,こちらにも追記をさせていただいております。
 丸2の基本的な方針は,先ほど申し上げたグローバル化,それから学び続けるという要素を加えております。文言の整理を一部させていただいております。
 それから,グローバル人材育成については,柱を一本立てまして,持続的な社会の志向の関係と分けた上で,少し厚めに記載を追加しております。コロナ禍で激減した日本人学生・生徒の海外留学,若年段階からのということ。
 また,産官学を挙げたグローバル人材を育成する取組の推進,優れた外国人材の受入れを図る,外国につながる子供が持つ多様性を「長所・強み」として生かす視点,海外で学ぶ日本人の子供への,教育の保障,また,デジタルの活用,遠隔・オンラインとリアルの組合せ,さらには,グローバルに対応した教育システムの国際標準や平準化が進められることが予測される中での,日本の教育の位置づけの検討,こういったことを前回の御指摘を踏まえて追記をしております。
 また,持続可能な社会の創り手という観点で,こちらの項目を分けた都合上,項目を1つにしましてということで,記載ぶり自体は前回と変わっておりません。
 それから,前回,学校と地域・産学官の連携推進のために,人と人,組織と組織をつなぐ,広げていくというためのコーディネーター人材,コンソーシアムの組織間の連携,こういったものの御指摘がございましたので追加をしております。
 それから,こちらは前のところに同一年齢,同一内容ということを追加した関係で文言の整理ということと,異質なものとの融合こそがイノベーションを生み出すというイノベーションに関する追記でございます。
 また,マルチステージという考え方につきまして御指摘がございましたので,この同一年齢での単線的な学びや進路選択を前提とした人生のモデルから,一人一人の学ぶ時期や進路が複線化する人生のマルチステージモデルへと転換することが予測されている中での学校教育における学びの多様化,また,リスキリングを含む社会人の学び直しといった点を追記しております。
 また,学校教育と社会教育の連携につきましても御指摘がございましたので,コミュニティ・スクール,地域学校協働活動等々の推進によりまして,次世代の社会の担い手として子供の成長を支えていくという,地域社会における子供たちの,学びの場の確保,こういったことを追記しております。
 リカレント教育につきましては,高度専門人材育成という視点が重要ではないかという御指摘がございましたので,これは項目を立てて記載を充実しております。キャリアアップの促進,学修歴の可視化というような形で,教育未来創造会議で御指摘されている点も踏まえての記載の充実を図っております。
 それから,地域での協調的な幸福感を紡ごうと取り組んでいる人たちが,自信と誇りを持つべきであるという御指摘がございましたので,その点を追記いたしております。
 それから,生涯学習社会の実現のところにつきましては,いわゆるリスキリング,スキルアップということだけではなく,人生100年時代において,生涯を通じてウェルビーイングの実現につながる意義を有するものであって,子供,若者,社会人,高齢者を含めまして,年齢を問わずに学び続けて,自ら向上,また地域や社会への貢献の意欲を持つ人を尊重する社会が目指されるべきであると。そのための社会教育の果たす役割の重要性,これについて指摘がございましたので追記しております。
 DXの関係では,DXというのは3段階の最終段階であるということでございましたので,DXに至る3段階とした上で,若干文言の整理をしております。
 それから,第3段階のイメージにつきまして,利活用の場面(教育や学習のリソースとしてのデジタルの活用,教育データの利活用など),これの分類・整理をした上で示すという点ですとか,また,そこに至るまでのクリアすべきハードル・時間軸を整理していく。また,DX時代の到来に備えた制度設計の見直しの検討,こういったことも御指摘を踏まえて追記をしております。
 さらに,DXはあくまで手段であるということ。その上で,デジタルも活用して問題解決や価値創造ができる人材の育成こそが目指されるべきであるという御指摘を踏まえた修正を加えております。
 また,デジタル社会の負の側面にもと御指摘がございまして,正負の側面に留意しつつということを追加しておりますのと,個人情報の保護とデータ活用のバランス,こちらは複数御意見がございましたので,今後更に充実した指導や支援が提供されていくことに鑑みれば,安心・安全を確保した上で,よりデータの利活用を図っていく方向で検討を進めるべきであると。その際,保護者に対する説明,理解を得ていくということの重要性,こちらも記載しております。
 また,DX推進のプロセスにおける国や地方公共団体の各レイヤーでのルールや標準化,個々の学校における業務フローの改善,この両輪が必要だという視点も記載しております。
 また,教科の中だけではなくて,学校教育活動全体の中での組合せを検討する必要性,こちらも記載いたしております。
 それから,教師のICT指導力の向上に関する御指摘がございましたので,追記をしております。
 関係省庁との連携,そして,最後のところ,対話のところにつきましては,関係省庁,学習者ということで追記をしております。こちらは本文の追記ということでございます。
 もう1つ資料がございまして,資料2になりますけれども,こちらは,基本的な考え方の概要ということで,先ほどの文章から抜粋をいたしまして,項目ごとに簡潔に1枚の資料でまとめたものでございます。
 コンセプトにつきましては,これまで御覧いただいたとおりでありまして,1のところ,教育をめぐる現状と課題,教育の普遍的な使命,また羅針盤,第3期期間中の成果,そして課題,社会や現状への変化への対応ということで,キーワードをピックアップしております。
 その上で,今後の教育政策に関する基本的な方針ということで,丸1から丸5の方針を記載した上で,それぞれの方針につきまして,書かれている本文の中から幾つか抜粋をいたしまして,特に今回,新しくキーワードとなるような事柄につきましては,太字で記載させていただいております。
 私からの説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 前回までに御議論いただいた内容をかなり忠実に反映していただいたと思います。後ほど各論の議論をしていただきますが,恐らく各論からも基本的考え方に展開する要素などがいろいろと出てくると思います。一旦ここでは,この基本的な考え方が全体像としてどうかという視点で御議論いただければと思います。
 それでは,早速ですが,御意見のある方は,「挙手」ボタンをお願いします。いかがでしょうか。
 では,内田委員,お願いいたします。
【内田委員】  内田です。
 1つだけ,文言に関わるところに関する意見なのですけれども,資料の中で幾つか「日本型ウェルビーイング」という言葉が出てきていたかと思います。これに関しまして,私自身も日本文化の中で,どのように新しいウェルビーイングを考えていくかというのは非常に重要な視点であるということも御説明させていただいておりましたし,また,これまでの世界の状況というのが,基本的にOECDとかの項目にかなり依存した形でウェルビーイングを定義してきたということに関して,多少問題であったのではないかという発言をさせていただきました。そういう発言も踏まえて,日本型ウェルビーイングというふうにしていただいていたのかなと思うのですけれども,一方で,日本型ウェルビーイングという言葉がこのような形で一般に流布するとなると,今度は,ある意味,少し問題もあるかもしれないと思いました。
 というのは,日本型というふうにくくってしまうことによって,前回申し上げたような,例えば国際発信が難しくなる可能性もあります。これは日本のことだから,ほかの国ではあまり考えなくてよいというようなことにつながってしまうとなると,この新しいウェルビーイングの考え方を日本から世界に発信していくという意味では,少し弊害になってしまう可能性としてはあるのではないかと思いました。また,世界基準のものと,日本型のもののバランスを両方考えていくということが,より重要であろうということを踏まえますと,日本型ウェルビーイングというある種のカテゴリー型の言葉よりは,日本社会に根差したウェルビーイングというような形で,少し別の文言にしていく方がよいのではないかなというふうに思いました。
 その上で,国際発信と連携して強化していくというようなことで,全体の方向の調整があればよいかなというふうに,先ほど御説明いただいた資料を見て思ったという次第です。
 以上,意見です。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 前回の議論にあったように,日本から情報発信をして,むしろ世界に日本の考え方を是非定着させてほしいという思いで「日本型」という言葉をあえて使っていましたが,確かに今お聞きしていてそういう問題もあると思いました。御指摘のような形で,「日本社会に根差したウェルビーイングの実現を目指す」とか,そういった工夫が必要なのかもしれません。貴重な御意見として承りたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,ほかにいかがでしょうか。
 川口委員,お願いいたします。
【川口委員】  この社会の現状や変化へ対応して教育課程を考えていくというのは非常に大事な考え方だと思いまして,それで,グローバル化ですとか,デジタル化に代表される自動化の話が書いてあって,グローバル化そのものに対応する人材がデジタル化そのものに対応する人材を育成していくということの重要性には全く異論はないのですけれども,グローバル化ですとか,デジタル化というものがもたらす労働市場の変化があると思うのです。
 例えばですけれども,近い過去を振り返っても,経済活動がグローバル化して生産ラインで働いている人が減ってきているというような事情があって,製造業の現場の方というのは減っていて,そうすると,経済活動がサービス化していくというようなことが起こってきて,働いている人に求められるスキルが変わってくるということがあると思うのです。
 また,人工知能みたいなものが発達していくことが予想されるわけですけれども,そうすると,繰り返しを正確にやるというような能力よりも,やはり新しいものをつくり出していくですとか,あるいは,人と一緒に働いて,チームとして何かをつくり出していくような能力ですとかというものが必要になっていくというようなことが予想されるわけで,既にもうそういったものが大事だという指摘はされていると思うのですけれども,社会の変化と必要とされるスキルの真ん中のところに,働き方が変化していくので,求められるスキルが変化して,それに対応して教育も考えていくのだという,真ん中に働き方というものが入ってくると,結論はあまり変わらないと思うのですけれども,より説得力が増すのかなというふうに思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 今回の計画は,第3期計画の振り返りや,その関係性だけではなく,御指摘のように,3期の間に起きた社会変化とか,世界情勢の変化というものを踏まえた視点が非常に強く出ています。社会変化への対応策の1つとして,働き方や雇用の変化もあるということは御指摘のとおりだと思います。本文の中にどう入れるか,また少しまたがるかもしれませんけれど,各論の方でも是非御議論いただければと思います。ありがとうございます。
 それでは,牧野委員,お願いいたします。
【牧野委員】  私たちの議論をうまくまとめてくださいまして,どうもありがとうございます。
 その上で,まだもう少しこの不易流行にこだわりたい気がしています。なぜかと言いますと,こういう捉え方もあるのだろうと思うのですけれども,基本的には,不易流行というのは,いわゆる流行(りゅうこう)ということこそが不易であるというか,変わっていくことによって不易そのものが保たれていくというようなことで,例えば,例が挙がっていますけれども,「人格の完成を目指し」と書いてあるはずで,目指し続けることが流行(りゅうこう)であり,不易になっていくということだと思うのです。人格の完成をさせるといったことが不易ではなくて,人格の完成を目指していくということが不易だという表現になっていて,それこそが流行(りゅうこう)なのだということと重なっているという条文になっているはずだと思うのです。その意味では,人格とは何かというのは,本質的には分からないはずで,その時代に合わせて完成を目指し続けていくということが,教育の大きなダイナミズムをもたらすのだとされていると思います。これらの意味で,まだ文章の書きぶりが,不易はこちらで,流行(りゅうこう)はこちらで,不易は変わらないけれども流行(りゅうこう)を取り入れていきましょうというような議論になっているのではないかと思いますので,その辺りをもう少し御検討いただければと思います。
 さらに,グローバル化と少子化,それから人口減少の議論が書かれてあるのですが,これはある意味で,少子化と人口減少は数や割合の問題で,高齢化も関わってきますが,実は長寿社会の議論があまり----生涯学習とも関わって学び続けると表現されてはいるのですけれども----,社会の長寿化という変化における教育の役割がもう少し書き込まれてあると,少し全体のトーンが変わってくるのではないかとも思います。
 更にその上で,そうしたものと関わってくる問題としてグローバル化があるのですが,例えば,ローカリティをどう捉えるかというようなことが書かれている必要はないでしょうか。それから,特に「社会教育」という言葉が取り上げられていますけれども,特にコミュニティにおけるローカルなものを,どうやって自分たちで維持をしつつ,グローバルにつなげていくのかといった議論をしていく必要もあるように思います。もう少し言えば,多様な価値が存在して,それを人々が互いに交流して,更に新しい価値を創造していくというか,そういう社会の在り方がこれから求められてくるだろうと思います。
 その意味では,グローバル化というのは,文中で盛んに強調されているわけですけれども,もう少しローカリティの話,これは先ほどのウェルビーイングの議論と重なるところがたくさんあると思いますので,ローカリティの問題をもう少しどこかに組み込めないかとも思いました。
 さらに,私自身が中教審の生涯学習分科会に関わっていますので,議論をそちらの方に引きつけますと,人々が当事者として社会基盤をつくっていくときに,学びといったものをコミュニティや社会,また日常生活に埋め込んでいくといいますか,そうしたものとして社会教育があって,そうしたことの中で長寿社会において学び続ける社会が出来上がっていき,更に人格を完成させ続けるといいますか,また,全ての人が当事者になり続ける社会が生まれてくるのだというようなロジックをどこかで組めないかと思います。そこに,例えば教育DXの話が入り込んでくる,そのインフラを整備していくという議論になるのではないかと思います。その辺りも少し,もし可能であれば組み込んでいただければと思いました。
 以上です。どうもありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 不易流行については,御意見の趣旨と全く同じ思いで文章にしていると思いますので,もう少し磨き上げられるかどうかかと考えます。御指摘のとおり,不易流行の本質は同じというところがあって,変わらなければ不易を守れないのだというのが本質だと思います。趣旨は御指摘のとおりですので,少し文章をブラッシュアップし,工夫をしてもらいたいと思います。
 なお,2つ目に関して,基本的な方針の丸3の地域や家庭で共に学び合う社会の実現にあるコミュニティの要素と,それから,丸2のグローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成にあるリカレント教育は,他の提言でも非常に強く言及されてきているところです。確かに,ローカリティについては2つの基本的な方針にまたがって入っていますので,今の御意見を踏まえて,本文を修正するのか,それとも各論をつなぎ合わせせるのか,工夫をさせていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】  堀田です。
 私は,見え消しの18ページ,教育DXの話のところに少し違和感のある表現があるので,そのことをお伝えしておきたいと思いました。
 それは,「DXはあくまで手段であることに留意することが必要である」という書きぶりです。これはなぜ違和感があるかというと,例えば,コンピューターやICTやそういうものは道具なので,何らかの目的をうまくやるために,その道具を使うという意味で,よくこういう言い回しが,とりわけ中教審や文部科学省ではされてきたと思います。ただ,DXというのは,デジタルが前提となって多くのユーザーの行動や,サービスが変わってきたときの社会変革を差しますので,道具のような言い回しは適切ではないように思います。ですから,コンピューターを手段としていろいろ使っていった,それが第一段階,第二段階となって,そういう行為が当たり前になったときに業務をどのように変えるか,制度をどのように変えるか,働き方あるいは雇用関係をどういうふうに変えるか,あるいは学習で求められる,教育で求められる人材像がどういうふうに変わるかみたいな話となると,これはもはやDXは目的をも規定する部分かと思いますので,書きぶりを修正していただけるといいかなと思います。
 以上でございます。
 
 
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 DXは,御指摘のとおり,非常に幅の広い視点だと思います。従来の第3期計画にあるようなICTインフラを整えるというのは,どちらかというと,ICTの基盤部分をどう整えるのかという話でした。GIGAスクールにしても,校務支援システムなど基盤を整備するという趣旨もありますが,御指摘のように,教育DXというのは,更にその先を進めるという話です。同時に,デジタル人材を育成するという,人材育成など,教育DXと一言でいっても幾つも要素があります。丸4の,教育デジタルトランスフォーメーションの推進の文章には,その要素を全て書き込んだつもりではいますが,限定的な意味合いに取られないようにするというのは御指摘のとおりだと思います。これからやろうとしている教育DXは非常に幅広い要素があるのだということが分かるようにしていきたいと思いますし,各論のところでも,教育DXの推進やデジタル人材の育成,また基盤について含まれますので,少し幅広いニュアンスで受け取れるよう工夫をしてみたいと思います。
 ありがとうございました。
 元紺谷委員,お願いいたします。
【元紺谷委員】  私は,7ページのウェルビーイングのところについて少しお話をさせていただこうと思います。
 内田委員の方からかなり詳しい説明があり,概念整理については精度が上がったと私は認識しております。ただ,まだ私は入り口論にこだわっていて,多分この中の委員の皆さんは,ウェルビーイングを通常,普通に使われていると思いますが,私はどちらかというと初心者で,なじまない言葉です。最近,この会議に参加させていただいて,ウェルビーイングに触れることが多くなるにつれて,何となく使えるようになったという感があります。
 私は公民科の教員です。その立場からお話しします。例えば,新しい学習指導要領において新設された科目「公共」の教科書が12冊あります。どの教科書にも「ウェルビーイング」という言葉は出ていません。また,「倫理」の教科書は,5冊の教科書がありますが,1社だけ「ウェルビーイング」という文言が出ています。これが現状です。将来的には多くの教科書で扱われるようになると思います。価値を表す言葉であり,「幸福」や「幸せ」という言葉では表現できない,新たな幸福感を表す概念として「ウェルビーイング」を広めていくためには,「ウェルビーイング」という言葉を多分教科書で使う必要があると思います。
 私は何が言いたいかというと,この基本計画に載せるということは,この言葉をすごく重く受け止めなければいけないというふうに思います。ただ,向こう5年間だけ使って,その次の5年間にはもうこの言葉が使われないのではなくて,今後,世界のスタンダードの幸福を考えるときの概念でもあり,日本の幸福を考えるときの概念でもあると思います。将来的には,多くの教科書で価値をも「幸福」を取り上げるときに,「ウェルビーイング」の概念の説明があると思いますが,一般の人たち浸透させるためには,入り口論ですが,なぜ幸福という言葉で置き換えられないのかという説明が必要だと思います。
 あともう1つは,各論のところに出てくるのですけれども,「主観的ウェルビーイング」という言葉があります。そして,このページには「主観的な幸福感」という言葉があります。要するに,ウェルビーイングと幸福感が結構まだ整理できていなくて,幸福というのは,内田委員の説明によりますと,幅広ですごい広い概念である。それに対して,今使おうと思っているのは,その「幸福」という言葉では表せない少し限定的な幸福感なので「ウェルビーイング」を使うというような私は認識なのですけれども,これが間違っていれば御指摘いただきたいんですけれども,その辺の「幸福」と「ウェルビーイング」という言葉をきちんと使い分けなかったら,読み手が混乱するのかなというふうに思っております。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。
 御指摘のとおり,このウェルビーイングという概念は,第3期計画までにはないものです。ウェルビーイングはOECDのグローバルベースでのラーニングコンパスとしても出てきておりますし,それから,今の世界の潮流を踏まえ日本社会においても必要な要素ですので,今回の基本計画で初めて出すに当たり,非常に重要な概念になろうかと思います。それゆえに,御指摘のとおり,これをどう理解してもらえるのかということについて,基本方針としての書きぶりだけではなくて,今後,コラムや資料をつけるなど,何らかの工夫をして,その理解浸透を図ることが必要だと思いました。ありがとうございます。
 それでは,次に,黒木委員,お願いいたします。
【黒木委員】  私は,20ページからの計画の実効性の部分を少しお話しさせていただこうかと思います。
 計画の実効性のところで,やはり地方におりますと,どうしても実行するための人がいないというのが一番大きな課題なのです。ここで書いていただいております,21ページの上の方にありますスクールカウンセラーとか,スクールソーシャルワーカーというのは非常に大切です。次の形式段落の中にあるようなICTの支援員というのも大切でございます。その下にあります多様な担い手,つまり,担い手の方を膨らまそうという考え方もとても大切でございます。地域の部活動の担い手もなかなかいないので,どなたかという話になったり,また,高等教育段階における様々な連携でございますね,そういったことも担い手を確保するためには必要な取組だと思います。
 ですから,そういったことが文脈の中で,地域としては,専門家は必要なのですけれども,そんな方々がなかなかいないので,だからこそのICTのインフラなのだというようなことでもあるかと思いますし,担い手を多様化させましょうということになっていると思うのです。そこのところを実現させるための事業であったり,予算でなければならない,そういう全体に合った書きぶりになかなかなっていないのかなというふうに感じるのです。
 ですから,落としどころとして,そんな書き方をしていただくと,地方の方でも実効性を担保するための方策や道筋がしっかり見えて,政策にも落とし込みやすくなるのかなという気がしております。
 申し訳ございません。書きぶりの問題なのですけれども,そうしていただくと,大変助かります。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  黒木委員,後半の方で少し聞こえていない部分もありましたが,計画の実効性に関する御意見を頂きました。当然,この教育振興基本計画の周知と実践をどうしていくのかは大変重要な要素です。各都道府県が計画を改めて策定して,そこに基本計画の要素が入れ込まれますので,御指摘のような形で各都道府県における計画においてもKPIが築きやすいような形にする工夫が必要だと思いました。ありがとうございました。
 後半の方で,こちらに聞こえていなかったところにつきまして,少し繰り返していただけますでしょうか。
【黒木委員】  はい,分かりました。
 お話し申し上げたのは,書きぶりになるのかなと思うのです。先ほど申し上げましたように,人がいないと実行できませんので,実効性を持たせるために,どう手立てを講じるかという中で,この20ページから21ページにかけては,ICTの,インフラの整備のことが書かれてありますし,また,連携を多様にしながら担い手を増やしましょうというようなことも書いてあるかと思います。ですから,それらがしっかりつながるような書きぶりをしていただきますと,今後それを根拠にしながら政策に落とし込んでいくことができて,更に実効性がしっかり担保できるのです。単発な書き方ではなくて,できればそういう総合的な書き方になると非常に有り難いと思っております。
 そんなことを申し上げました。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 総論の書きぶりと,それから,特に留意すべき事項として,そういったものをどう遂行するか,あるいは投資をどうしていくのかというようなことは,この後にまた御議論いただきます。各論と含めて,今後の議論でも深めたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,河野委員,お願いいたします。
【河野委員】  河野です。
 これまでの先生方の御議論を踏まえて,特に元紺谷委員の御説明された点に大変共感をいたします。
 私自身も,基本方針,これが実際に現場に下りていくということ,そこで実行可能性を伴わないといけないということを強く考えておりますので,そこに分かりやすい表現を使う必要があろうかと思います。
 例えば,先ほど話題に上りましたウェルビーイングです。実は私自身は,最初は英語でこの言葉を耳にしました。日本でどう伝えるかということを考えなければいけない立場でしたが,英語で聞くと非常に分かりやすいのですが,日本語にすると,「幸福感」「福利」というような言葉に置き換えざるを得ず,ピンと来る日本語が確かにないのです。
 ただ,この基本計画を3期の基本計画を参照しながら読んでみますと,やはり今回の新しい5つを,もう少し分かりやすい内容にしていただく必要はあろうかと思います。
 例えば,誰もが幸福感を持って共に生きられる力を育成するのだというようなことであるとか,どういうような理想の社会を追い求めるのかということが最初に来て,その実現のためにこういう教育方針でいきます,そのためにこういう施策を取りますという形であれば,ミッションがあって,ビジョンがあって,そしてストラテジーがあるというような分かりやすい形になり,浸透しやすいのではないかと思いました。
 また,「グローバル」という言葉も非常に分かりにくいので,「世界とつながる社会」というような言葉に置き換えるとか,それから,その次が地域や家庭,ドメスティックなコミュニティの話になり,そしてデジタルトランスフォーメーション,対話,という流れをうまく表現できると良いと思います。また,全てに共通するものとして,「誰もが取り残されない」があるので,誰もが共に生きられ,世界,地域社会,デジタルとつながる,というような表現になっていくと,現場の先生方のやりがいにつながる表現になるのではないかなと思いました
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 御指摘のように,これから各都道府県に基本計画とKPIを策定していただくとなったときに,いかに分かりやすく伝えていくのかは大変重要だと認識いたしました。
 一方で,先ほど申し上げたとおり,ウェルビーイングというのは,OECDのラーニングコンパスなどで,いわゆる共通語として使われ,既に官公庁,他の省庁とか,企業でもウェルビーイングとしての定着が始まっていますので,このまま理解してもらうことも必要だと思います。今のような御趣旨がこの「ウェルビーイング」という言葉に込められていることを,分かってもらう工夫ができればと思います。
 片仮名を使わないで全部日本語という考え方もあるのですけれど,一方で,「ウェルビーイング」や「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」など,社会全体に広く共通語として使われていくこともこれから起きますので,むしろ新しい教育振興基本計画において,新しい概念として知っていただく努力も必要かなと受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
 それでは,次に,松浦委員,お願いいたします。
【松浦委員】  私からは,2つのことを申し上げます。今の議論に触発されてということもあるのですけれども,分かりやすく伝えるということについて,昨日の議案説明会のときにも申し上げたことです。普通,この教育振興基本計画については,用語集のようなものはこれまではつけてこなかったということで,それはそれで了解したのですけれども,やはり1つは,発信した後に,閣議決定された後に,広がっていく,広い理解を頂く,現場もですし,一般的な社会にも,伝えるときに,やはり結構な用語というか,キーワードがたくさん散りばめられていまして,それについてのある程度の分かりやすい解説のようなものを別途用意することが,発信だけではなくて,我々が今後,最終的にこのプランを詰めていくときの共通理解ということのためにも必要になってくるのかなと思いました。ただ,いろいろ動きのある概念も多いので,なかなか難しいとは思いますけれども,何か用語やキーワードの理解を深めるような工夫があってもいいのかなというのが1つ,今の議論の中で思ったことです。
 2番目が,先ほどの牧野委員の御発言に渡辺部会長がもう既に指摘されたことと重なるかもしれませんが,私もやはり15ページのこのリカレント教育のところが少し気になりまして,もちろんこれは各論で今後いろいろ議論しなければいけないとは思うのですが,ここで「リカレント教育を通じた高度専門人材育成」というのが出ています。リカレント教育としては狭い1つのピンポイントで言及をしていて,基本方針としては,実はもう少しリカレント教育の広がりのようなことをこちらの基本方針の方には出す。そして各論では,もちろん高度専門人材育成も必要ですし,もっと生涯学習的な観点も必要です。それから,リカレント教育で確かに高度専門人材育成というのは大切で,特に私ども大学や高等教育の立場からすれば,これからどんどん力を入れていきたいところではあるのですけれども,リカレント教育で問題になる専門というのは,やはり今まで我々が理解していた専門よりも,もっと広い社会実装をしていくとか,そういうところがあるので,「高度専門人材育成」としてしまうと,狙いが,未来に向けた,将来5年間に向けた振興計画としては,少し狭い理解になってしまわないかなということが少し気になりました。
 以上です。
 
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 分かりやすさに関して,用語の問題などもありますが,答申によっては,冊子にする段階で,資料集とか,データ集を入れるという工夫をしているものもございます。今回,第3期との連動性だけではなくて,新しい要素も出てきていますので,これから都道府県で教育振興基本計画をつくっていただくに当たり,この新しい要素などを理解してもらうために,事務局の方で,用語集をつけるとか,当面は備考欄で解説するとか,あるいは冊子にするときには,従来と違って,資料集やデータ集で理解浸透を図るなど,まだ時間が大分ありますので,その辺の工夫をしていただけますでしょうか。
【川村教育企画調整官】  かしこまりました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 それから,リカレント教育については,御指摘のとおり,教育未来創造会議等でもかなり重きを置いています。従来の生涯学習として進めてきた学び直しのレベルを,大きく変えていくために,高等教育そのものも変わらざるを得ないような指摘を受けていますので,基本的な考え方と各論のところで,よりそういった趣旨を入れられるように議論を深めたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,ほかの方,いかがでしょうか。
 村田委員,お願いいたします。
【村田委員】  今,松浦委員がおっしゃって,先ほど部会長がおっしゃったことなので,全く今,松浦委員がおっしゃったこととかぶってしまうのですけれども,私もリカレント教育のところが,この書きぶりで大丈夫かなというのが少し心配です。
 といいますのは,13ページに産官学連携があって,その続きで14ページ,大学云々(うんぬん)という議論があるのです。それと離れた形で,生涯にわたって学び続ける学習者の育成というような,マルチステージの人生では入っているのですが,その次に,今度はリカレント教育と,これは全てつながってくる問題なので,先ほど部会長がいろいろなことに関わってくるのですとおっしゃったとおりなので,ここのリカレント教育というのは,私の方からも前に,これは1つ取り出してほしいということは申し上げたのですけれども,これでは非常に狭い意味になるのではないかなというので,もう少し工夫が必要かなと。
 それから,15ページのところの,2つ目の丸のすぐ上に,「リスキリングを含む」とあるのです。ところが,リスキリングとリカレント教育,これもリスキリングの定義が,これも恐らく産業界だとか,大学とかで,かなりばらばらになっていると思いますから,定義をちゃんとしておかないといけないというのと,リスキリングを含むリカレント教育なのか,リスキリングとリカレント教育をどうするのか,あるいは,少なくとも私の理解では,リスキリングと生涯学習とは少し違う概念なのかなというふうに思いますので,その辺りの切り分けということが極めて重要,特にリスキリングに関しましては,これは岸田首相が5年間で1兆円のリスキリングを含むということをおっしゃっていますので,つまり,ここの書きぶりは慎重に,しかし前向きに考えていくことが必要なのかなと思いますので,よろしくお願いいたします。
 以上です。
【渡邉部会長】  貴重な御意見を頂いたと思います。確かに15ページの書きぶりで,従来の生涯学習としての広義の学び直しの視点はあるのですが,今日的議論とすると,高等教育の在り方とも関わり,社会とのリンケージの中におけるリスキリングという概念が非常に重要になってきています。
 したがって,この新しい要素としての御指摘の内容を,基本的考えのリカレントのところでもう少し区分けした書き方にするか,それとも,これは各論にも重なりますので,後ほど御議論いただく各論のところで明確化していくことが必要なのか検討が必要かと思います。ありがとうございます。
 それでは,清原副部会長,お願いいたします。
【清原副部会長】  清原です。
 まず,資料1,「地域教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方(案)」については,私たちが求められている諮問に対して整合性がある内容であるというふうに,今日,再認識させていただきました。
 と申しますのは,改めて各論に入る前に,この基本的な考え方が諮問と整合しているかどうかということで諮問を読みましたところ,特に,「超スマート社会,Society5.0を念頭に置き,ウェルビーイングの観点も踏まえ,新型コロナウイルス感染症を契機としたオンライン教育を活用する観点など,デジタルとリアルの最適な組合せ及び幼児教育,義務教育の基礎の上に高等学校,大学,高等専門学校,専門学校,大学院まで,全体が連続性,一貫性を持ち,社会のニーズに応えるものとなる教育や学習の在り方について,総合的かつ体系的に示してほしい」と,このようにあったわけで,これに対応するには,正に今回の基本的な考え方が,大変網羅的に幅広く対応することができているなというふうに確認をさせていただきました。
 その上で,2点申し上げたいと思います。
 1点目は,今回のこの内容については,私たちが,委員の皆様から話題提供を頂いて,本当に自由闊達(じゆうかったつ)な意見交換をしてきて,それが反映されているとともに,生涯学習分科会とか初等中等教育分科会のみならず,他の調査研究協力者会議であるとか,教育未来創造会議とか,総合科学技術会議,イノベーション会議など,いろいろな会議の報告等を反映しています。そこで,今回,改めて補強された事項で,各論の検討に移行するときに留意した方がいいかなと思う点について幾つか発言をさせていただきます。
 「日本型ウェルビーイング」の示し方については,本当に皆様の問題意識と共有しています。私は,9ページの5つ目の〇でございますけれども,「加えて,これまでの同一年齢で同一内容を学習することを前提とした教育の在り方に過度にとらわれず,日本型学校教育の優れた蓄積も生かして,個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実していくことも重要である」と。私は,これは皆様との意見交換を反映した極めて重要な文章だというふうに思いますし,これを実現していくために,私たちには創意工夫が求められていくと思います。
 そのときに,こうつながっていくのかなと思いましたのは,「日本型ウェルビーイング」を目指すときに,10ページのところで「個人と地域・社会のウェルビーイングのつながり」があり,11ページの上段に「学び手,学校,保護者・地域住民等が『三方よし』となり,それぞれのウェルビーイングが高まるよう三者が一体となって取組を推進することが求められる」とあります。また,グローバル化に関するところにも,13ページに「地域・産学官連携,職業教育」とあって,地域と産学官の連携ということがあり,とりわけ14ページに補強されたところに「学校と地域・産学官の連携を推進していくためには,人と人,組織と組織をつなぎ,拡(ひろ)げていく機能が重要となる。そのためのコーディネーター人材の育成や,コンソーシアムによる組織間の連携が求められる」とあり,こういうような新しい教育の形を進めていくには,教員だけに専門性が求められるだけではなくて,多様な人材が参画することによって初めて実現するのではないかということが明記されています。
 そして,15ページには「マルチステージの人生生涯にわたって学び続ける学習者の育成」とあるわけで,正にここは,先ほどの同一年齢で同一内容を学習することを前提としない広義の生涯学習であったり,実質的なリカレント教育であったり,子供も大人も一緒になって学ぶけれども,それがよりウェルビーイングなものとしていくというような内容が示されています。それをどう具体的に各論で示していくかということに,私たちは,今日,正に意欲をかき立てられるのではないかなというふうに思いました。
 2点目に申し上げたいのは,最後の⑤計画の実効性確保のための基盤整備・対話のところについて,前回,私が発言させていただきました「文部科学省と関係省庁との連携」であるとか,「学習者もステークホルダーとして意見の反映」ということがあり,これは本日の御報告にある「ユースの声を聞く」ということも関係してくると思うのですが,「計画作成過程に加わるということが,その計画を実現していくときの意欲と責任に関係する」と思っているので,なるべく多くの方に,パブリックコメントでもいいですし,ヒアリング対象でもいいですし,各年代の人にこの計画のこれからの策定過程に加わっていただくことで,実現の担い手にもお互いになっていただく。こういう推進をしていくことがこの中で一番必要なのかなと考えます。
 加えて,現在,私は,初等中等教育局初等中等教育企画課が主管の「『令和の日本型学校教育』を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議」のメンバーとして取り組んでいるのですが,その中で,実は教育委員会だけではなくて,首長部局との連携が極めて重要であるということを再確認しています。
 また,教育行政への多様な人材の参画による教育委員会事務局機能の充実であるとか,教育委員会そのものの活性化も検討しておりまして,是非この計画実現の中には,教育委員会や学校関係者だけではなくて,地域の皆さんもそうですし,自治体の首長部局が加われればよいと思います。ですから,「地方公共団体」と書いてしまうと,教育計画だから教育委員会だけだと思われるといけないので,あえて「首長部局」と明記していただいた方がいいかなと思います。
 関連して,19ページに「データの利活用」が書いてあるのですが,このデータについても,教育分野だけの取組ではないので,より一層,学習者,児童・生徒本位のデータの活用ができるために,広範な英知を集めて臨んでいくというような体制を提案できたらなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
 
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 最初の方の御意見について,恐らく第3期計画でも,より広く,社会全体で取り組む教育というような視点はありましたが,今回,社会に開かれた学校というような概念が非常に強く出たのだと思います。貴重な御意見,ありがとうございました。
 それでは,まだ大分手が挙がっているのですが,後半,各論の議論もございますので,今村委員,徳永委員,清水委員,岩本委員,吉見委員,以上で,この前半の議論は一旦区切らせていただきます。それでは,今村委員,お願いいたします。
【今村委員】  私の方からは,この資料をこれからどう発展させていかれるのかということが分からない中での発言になるのですけれども,資料1の全体を拝見して,少し私の読解力では,本当に伝えたいことが伝わる資料には,大変僣越ながらなっていないのではないかなということを率直に感じました。
 やはり今回の,一連の議論の中で最も重要な点は,何を成し遂げたいのか,転換させていこうよという議論だったと思っているのです。今までの日本の教育は,今は苦しいけれども,未来のために何とか頑張ってよと子供たちに,言ってみれば,多少のストレスをかけて,それが教育だとされてきて,たくさんの不登校が生まれているという現状もあって,そこをどうしていくのだろうということがある中で,本当に日本の教育を,今,子供たちが幸せかという,子供たちのウェルビーイングを最上位目標に置いた日本の教育にきちんと変えていこうよということが,今回のこの委員会でずっと重ねて議論をされてきたことだと思っています。それをやはり最上位目標に置くということがはっきりと示されないと,この一連の委員会の意義があったのか,なかったのかが,少し私には分からないなという感想を持ちました。
 なので,この資料の一番上に,まず,コロナウイルスとウクライナの話から始まっているのですけれども,いっぱいキーワードが書いてあるのですが,ウェルビーイングを最上位に置いた教育に転換するということをやっていくのだというその志を,この一番上の次期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方というところに,むしろそれを書くとか,また,コンセプトの一番上に書くとかして,そのためのキーワードとして,個別最適な学びも必要だし,学習者主体の学びもあるし,しかし,それら全ては,子供たちのウェルビーイングを軸に転換していこうよという,その価値の軸を変えていくのだということなのだという,目標のために手段があるのだという書きぶりに,やはりそこは整理された方がいいのではないかなと,少し私が理解し切れていなかったら申し訳ないのですけれども,そんなふうに思いました。
 また,この資料なのですけれども,全部のキーワードが各セクションに入っているので,そのことのために,うちでは何なのかということが少し分からない。私には少なくとも読み解くのがすごく難しいなという感想を持ったので,それはまた別の資料でもいいのですが,今後のまとめの中でなのかもしれないのですけれども,この課題に対して,資料3にはいろいろなキーワードが書いてあるのですけれども,その課題に対して,過去どんな,第1期,第2期,第3期では,どんな政策が取られてきて,ここからはこのキーワードに対してこういう政策が取られるのだみたいなことが,この課題と流れというか,政策が分かるようなものに最終的には仕上げていかないと,市町村が読み解けないのではないかなというふうに思いました。
 すみません。大変失礼なことを申し上げましたが,私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 確かに,教育振興基本計画は,初等中等教育から始まって高等教育,生涯学習といった教育全体について,第3期の間に出た答申のいろいろな要素も含めながら,今後5年間でどう計画していきますかという形なので,多岐にわたるのは致し方ない要素がありますが,それをどう分かりやすく都道府県に伝えていくのかというのは,御指摘のとおり,より工夫をしなければいけないなと思います。資料2をもう少しポンチ絵にするとか,説明を加えていくときにも,附属資料のような形でポンチ絵を作るといった工夫も必要かもしれませんので,今後の議論のスケジュールからいくと少し後になってしまうかもしれませんが,そうした工夫を検討する必要があるかなと思いました。
 それでは,徳永委員,お願いいたします。
【徳永委員】  今回,D&Iという,ダイバーシティとインクルージョンというのが1つ大きな視点になっていると思うのですが,なぜそもそも多様性や公正性,包摂性が重要なのかということがもう少し書かれていても良いと思いました。現在,子供の教育実態を見てみると,いろいろな理由で取り残されてしまっている子供たちがいて,例えば不登校の子供たちだったり,貧困家庭の子供たちだったり,外国につながる子供たちだったりがいる中で,そういった子供たちが実際にどのようなことに困っているのかを数値で出していくなど,実態をきちんと把握していく必要があると思います。その中で,よく今,議論されている教育格差,つまり生まれによって学歴や学業達成などに差があることだと思うのですけれども,そういう実態もきちんと踏まえることが重要だと思います。こういう格差があるからこそ,多様性や公正性,包摂性を大事にしないといけないということを,実態も踏まえた上で基本計画をつくっていくことが重要だと思いました。
 もう1点目は,今回,グローバル化というのが,丸2番,グローバル化する社会の持続的な発展というところで入っているのですけれども,グローバル化とともに,やはりローカルなその地域の国際化とか,内なる国際化などは,両方同時に考えていく必要があるのではないかと思っています。
 今,日本自体が多様化していて,様々な文化的,言語的背景を持っている人たちがこの地域に暮らしているということ,そういう多文化化が進んでいるということを認識した上で,内なる国際化とグローバル化をどのように進めていけるのか,それを進める上での例えばマジョリティが多文化共生の教育を学んでいったりとか,異文化理解教育を実際に受けたりとかが求められてくると思います。今回,D&Iと言うのであれば,やはり日本が多文化化しているというところは,きちんと私たちが理解する必要があるのではないかと思いました。以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 今回,「ダイバーシティ&インクルージョン」ではなくて,「ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン」がウェルビーイングと並んで新しい言葉になっているというのは,非常に大事な要素だと思います。
 御指摘のように,「ダイバーシティ&インクルージョン」だけではなくて,公平・公正性が非常に重要な時代になってきているということで,あえてDE&I,「E」を入れております。
 格差についてお話がありましたが,格差論はいろいろな議論があって,突き詰めてしまうと社会構造論にもなってしまい,そこにアプローチしていくと,都市と地域とか,保護者の要因とか,欧米のように格差問題が階級の問題になってしまうなど,教育の範囲を超えて非常に広がりを持ってしまい,エビデンスがなかなか整わない可能性があります。そういう意味もあって,今回は,このD&Iとウェルビーイングでアプローチをした方が前向きな形で教育政策を策定できるのではないかという整理だと考えております。
 したがって,問題意識は同じですので,こういった取り上げ方で前向きな構成をしていきたいということで御理解いただけたらなと思います。ありがとうございました。
 それでは,清水委員,お願いいたします。
【清水(敬)委員】   私は,16ページのところになります。「地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進」の中の,特に学校と地域との連携というところになります。
 私はPTAという立場で参加させていただいておりますので,ここの部分に関しまして,PTAが取り組むべき,関わる重要度というのは非常に高いと思っています。
 また,19ページですが,保護者などに対してデータ等の利活用のメリット,技術,安全性について説明を行うというような文言があります。こういったところについても,我々PTAとしてもしっかり関わって,積極的に関わって協力をするべきだと思っております。
 いずれにしても,私たちPTAとしての関わり合いというのが大変重要であると考えております。
 以上,意見です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 今回この基本方針の丸3の「地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進」が1つの大きな柱として打ち出されたのは,御指摘の趣旨のとおりだと思います。ありがとうございました。
 それでは,岩本委員,お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。3点ほど大きくあります。
 1点目が,コンセプトに関するところで,私自身,もう少し分かりやすくしていけるのではないかなというふうに感じました。教育を通じて目指すものが今回はウェルビーイングという,この説明だとか,用語では,経緯とか,いろいろ必要だと思うのですけれども,では,そのウェルビーイングを目指して,今回の教育振興基本計画は何をやっていくのかというところのコンセプトというか,大切にしたいものみたいなところで,ここまでの議論を伺っていて,私はやはりキーワードとして,社会とのつながりみたいなものが,すごく今まで出てきています。そうしたときに,例えばウェルビーイングの実現を目指して,誰もが社会とつながる教育を推進するのだという,どんな子でも社会から取り残されずにちゃんとつながっていられるというところもそうですし,グローバル化という国際社会ともつながっていける,地域社会ともつながりがある,そういった共生的な社会というか,共生社会とかを含めて,そういう今までの学校教育は社会に開かれるだけ,だけではないですけれども,開かれていく。今後は,開かれ,そしてつながっていく。それは子供だけではなく大人も社会とつながっていくような教育を今回は特に大事にしながらやっていくのだ,そういったようなコンセプトの打ち出し方などがあってもいいのかなというふうに思いました。
 2点目が,その中での5つの基本的な方針の柱といいますか,これが一体どういう関係なのだろうかというのが少し分かりにくくて,例えば,ウェルビーイングの向上とか実現というのが,本来,大きな上位目的だとしたら,そこに向かってこういう手が,5つなら5つの方針だとか,そうなってくるのかなと思いますので,何かウェルビーイングがあって,社会とつながるみたいな中で,例えば共生社会,国際社会ともつながる,地域社会とも,何かそういう目的と,そのための方針の関係性を少し整理して,分かりやすくやっていけるといいのかなと。
 最後,実効性のところで,私,これはすごく重要だと思っていて,2つほど,実効性の担保に重要かなと思っているのが,1つが,教育行政の機能強化とか充実という話題を今議論していますけれども,やはりこれはもう実効性,どんな教育政策をここできれいに書いても,教育行政の機能が充実するというか,強化されていなければ絵に描いた餅にまたなってしまいますので,これはやはりしっかりと入れるべきではないかということが1つと,あとは,NPO等の多様な担い手の連携協働というところで,先ほども意見でも出ていたかと思いますけれども,地方でやっていると,多様な担い手が,あたかももう既にいるとは限らないところで,やはりここにちゃんと多様な担い手の育成があって,若しくは育成確保と連携協働みたいなことが大事。NPOもそうですし,社会教育的な組織だとか機関と連携協働もするし,育てるみたいな,ここの循環をしていかないと,実際,機能しないと思いますので,そういったところはちゃんと明記していただいた方がいいかなというふうに思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 冒頭の御意見は,分かりやすさにも通じる話ですので,概念図をもう少しポンチ絵風にするとか,先ほども議論になったような整理をして,分かりやすくする工夫が必要かなと思いました。
 2つ目の開かれた学校については,今回の計画は従来以上に開かれた学校として,社会とつながるという考えが非常に色濃く出ているのではないかと思います。DXそのものが,レイヤーごとに外とつながるので,御指摘のような趣旨は,今回の基本計画ではかなり反映されるものだと思います。ありがとうございます。
 それでは,吉見委員,お願いいたします。
【吉見委員】  私,毎回のように文科省の皆様に,やはり足し算から割り算への転換が必要なのではないか,つまり分母を明確にすべきではないかということを言い続けているのですね。確かに5つの柱に,これまで出てきた諸要素はほぼ盛り込まれていて,要素的には全体がカバーされているのはよくわかる。しかし,どうもばらばら感がある,つまり構造が見えない,そこが問題点なのだと思うのです。
 その意味で,先ほど清原委員が最初にお話しになったことはとても重要です。この基本計画は諮問に対して行われるものですから,常に諮問まで戻ってみる必要があります。
 それで,超スマート社会やウェルビーイングももちろんあるのですが,それ以前に,やはり2040年以降の社会の変化,それの中で教育の役割の変化を見据えるという,これが根本中の根本なのだと思うのです。
 諮問の中で書かれている2040年以降の社会の変化が,いろいろ並んでいますね。人口減少や高齢化,デジタルトランスフォーメーション,グローバル化や多極化,地球環境問題,つまり,21世紀は変動性,不確実性,複雑性,曖昧性の時代であり,先行き不透明な将来予測が困難な未来,これも,これだけではよく分かりませんが,いずれにせよ,こういう2040年以降の,社会への変化の中で,教育の役割が変化する,これを見据えて5年間でどういう基本計画を立てるかという,この主軸に僕らは常に戻ってくるべきでしょう。
 そうすると,ここから先は私の意見ですけれども,ずっと会長もお話しになっているウェルビーイング,それから不易流行,これらを並べていくと世界がもう少し広がると思いますけれども,長寿化,人生100年時代です,それからリカレント,そして持続可能性,こういうキーワードがずっと並んで出てきますね。
そして,これら全体を見ていくと,ざっくり言えば未来に向けての時間軸が変化している。つまり,これまでの延長線上に未来がない。だから時間軸が変化しているときに,その変化している時間軸に対して,私たちは,教育の役割の位置づけ,あるいは役割の変化,社会の中での,教育の役割の変化をどういうふうに描いていくのかということが問われている。ここの辺りのことをもう少し明確にすることで分母が見えてくるはずです。この共通分母を見つけていかないと,分子と分子をつなごうとしても,分子と分子はつながらないと思うのですよ。そうではなくて,共通分母を据えて,5つの柱なり,もっといろいろな要素をつないでいくことが必要なのではないかということを感じました。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。
 目指すところは全く同じ思いであります。この第3期計画の間にまとめられた高等教育のグランドデザイン答申などの各答申や提言が,御指摘のような未来志向型,バックキャスト型で施行しようとなっているのは共通認識だと思います。そういった意味で,御指摘の趣旨は,これから各論全体を整理する上でも大変必要だと思います。ありがとうございました。
 それでは,この後,各論の議論に移りたいと思いますので,総論部分の議論は,ここで一旦区切らせていただきます。今日もかなりの御意見を頂きました。今後のスケジュールを考えると,この基本的な考え方(案)は審議経過報告という形で,中教審の総会にも報告させていただきたいと思っているものですから,今日頂いた御意見を入れた上でブラッシュアップをさせていただき,総会に報告したいと存じます。調整については,是非部会長一任とさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
(「お願いします」の声あり)
【渡邉部会長】  ありがとうございます。御異論ないものとさせていただきたいと思います。
 それでは,次に,各論の骨子について,改めて事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【川村教育企画調整官】  それでは,資料を共有して説明をさせていただきます。
 こちらは,次期教育振興基本計画における各論の骨子ということでございます。本日御議論いただきました基本的方針の案,丸1から丸5,現在のものをこちらに入れておりますけれども,これに基づきまして,次期計画の目標案,それから方針との主な対応関係,そして主な内容案ということで,仮にこちらを作成させていただいたものでございます。
 次期計画の目標案につきましては,1から並んでおりますけれども,17ございます。現行の計画は21でありますけれども,一部整理をしまして,一旦まず17ということでお示しをさせていただきました。
 そして,基本的な方針との対応関係につきましては,今回,基本的な方針の複数の要素が含まれている部分がございますので,なかなか1対1対応が難しいということもございまして,一旦今回は関連する基本的な方針をこちらに入れさせていただいているということで,上の丸1から丸5と対応する形になっております。
 そして,主な内容案につきましては,現行の計画も一部継承しつつ,今回新しく盛り込む要素ですとかを,アンダーラインを引きつつ入れさせていただいております。
 まず,1と2と3でありますけれども,ここは現行でもございますが,教育基本法にございます知・徳・体に対応する確かな学力,豊かな心,健やかな体ということで整理をさせていただいております。
 ただ,この1につきましては,これまで初等中等教育と高等教育を分けておりましたけれども,今回,学校段階間の連続性ということで,高等教育また初等教育も含めてここにまとめておりまして,幼児教育から,義務教育,高等学校,それから大学入試,大学教育の学修者本位,また,専門職大学ですとか,高専,専修学校,キャリア教育ということで,一体のものとして記載をするという構成とさせていただいております。
 それから,2の豊かな心については,深く関わるであろう主観的ウェルビーイング,それから発達支持的生徒指導という新しい生徒指導提要における考え方,また,こども基本法の対応ということを新しい要素として盛り込んでおります。
 3のところにつきましては,健やかな体の育成,スポーツを通したということで,スポーツはこれまで別途の項目にもございましたけれども,ここにまとめまして,特に運動部活動改革の推進ですとか,複数の内容をこちらに盛り込んでおります。
 4につきましては,多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂ということで,この項目自体はこれまでも多様な教育ニーズへの対応がございましたけれども,上の方に持ってきた上で,社会的包摂を加えて,新しい要素として位置づけております。ヤングケアラー,それから教育相談,特定分野の特異な才能を持つ子供たちということで要素も入っておりますけれども,様々な特別な配慮が必要な子供たちですとか,それに対応する教育,また,指導の在り方ということについての要素を盛り込んでいる形になっております。
 5の主体的社会参画意識・規範意識の醸成につきましては,新しい項目として,従来の豊かな心の中に含まれていた項目がございますけれども,やはり主体的社会参画意識,諮問でも触れられておりますので,この部分を独立して項目立てさせていただいております。
 この辺りまでが主に1の共生社会ですとかというところに関わってこようかと思いますけれども,6以降,グローバル社会における人材育成,イノベーションを牽引(けんいん)する人材育成ということで,グローバル化,また,生産性の向上,そういったところに関する目標になろうかというふうに思います。
 特にイノベーションのところでは,探求・STEAMですとか,文理横断・文理融合,その辺りが新しい内容として入ってこようかというふうに思います。
 また,リカレント教育(社会人の学び直し),この辺りも新しい要素が入っておりますので,産学連携カリキュラムですとか,働きながら学べる環境整備,学び直しに向けた経済支援,その辺りも未来創造会議の提言も踏まえつつ,盛り込まれることになるかなというふうに思っております。
 それから,9,10あたりは,基本的な方針でいきますと,丸3の地域や家庭で共に学び支え合うという項目に相当するところが中心になるかと思っております。地域の教育力の向上ですとか,地域コミュニティを支える社会教育の推進ということで,項目としては,前回からの継続もございますけれども,生涯学習分科会の議論の整理を踏まえまして,デジタル社会への対応ですとか,新しい要素は記述を充実させていくということになるのかなというふうに思っております。
 11,教育DXにつきましては,丸4に対応するものということで,丸4は様々な項目に関わるので入れておりますけれども,中心的な対応関係としては,教育DXの推進・デジタル人材の育成ということで,1つの目標として立てております。デジタル教科書・教材・ソフトウエアですとか校務DX,この辺りは全て新しい内容になってこようかと思いますので,1つの,次回の各論の柱になるかなというふうに思っております。
 12以降は,計画の実効性確保のための項目に関する事柄でございまして,経済的状況,地理的条件によらない質の高い学びの確保ですとか,指導体制・ICT環境の確保,ここは1人1台端末というのは,次期,新しく盛り込むべき要素かなと思っております。
 また,NPO・企業・地域団体等との連携・協働ということについては,こちらも項目立てとしては新しいものということでございます。
 そして,施設の関係,安全確保については,1つにまとめさせていただきまして,施設整備ですとか,学校安全の推進という要素が入ってこようかというふうに思っております。
 また,高等教育機関の経営基盤の確立・機能強化,こちらは前回と同じでありますけれども,17に各ステークホルダーとの対話を通じた計画策定・フォローアップということでございまして,子供を含むステークホルダーからの意見聴取・対話ということで記載をしております。
 あくまで現行の計画をベースに,これまでの御議論を踏まえて事務局で整理をしたものでございまして,今後,十分変わり得るものであろうということで考えておりますので,御議論いただければと思っております。
 なお,これ以降,この次の資料2,2ページでございますけれども,第3期の教育振興基本計画,現行の計画の全体構造ということで,1から5までの方針の下に,(1)から(21)の目標がございまして,そこに施策群がこういう形で連なっているというものでございます。これに関して,目標は(1)から(21)でございます。この下に,測定指標・参考指標ということで,今,こういった指標が計画上盛り込まれておりますので,指標については,次回以降の御議論ということになろうかというふうに思いますけれども,御参照いただければということで資料としてつけさせていただいております。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 今,御説明いただきましたとおり,先ほどの基本的な方針と諮問事項に基づいて,この新たな教育振興基本計画として優先されるべき目標案は,こういう整理ではないかという趣旨です。したがって,第3期の間に出されたいろいろな答申や提言もありますが,その中で,この計画に盛り込むべき優先的なものは何か,という視点で是非御議論いただけると有り難いです。
 それでは,御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
川口委員,お願いいたします。
【川口委員】  2040年までの変化を踏まえてということだったと思うのですけれども,当然,将来を見通すというのは非常に難しいと思いますけれども,過去の変化の延長線上にある変化というのも当然あると思うのですけれども,やはりグローバル化ですとか,技術振興,生産技術の自動化というのはこのまま進んでいくのではないかというふうに思います。
 そういう中で,どうしても人間でないとできない仕事というのを考えると,7に挙げられているイノベーションを牽引(けんいん)する人材というのは,これを育成していくというのは,非常に優先順位が高い目標なのかなというふうに思いました。
 それで,この中で「多様な才能・個性を伸ばす教育」というのを具体的に挙げられているのですけれども,もちろんこれは大切なことだと思うのですけれども,どうしても,多様な才能を束ねていくようなリーダーシップというものも必要になってくるのかなというふうに思いました。ですので,人と一緒に働いていくような能力ということが,実を言うと,このイノベーションという目標にもつながっていく可能性があるのではないかというふうにも思いました。
 あとは,大学院教育改革は,特許を取っている人というのは博士号を持っている人が多いというようなエビデンスもあって,日本では博士号を持っている人が少ないというようなこともあって,やはり大学院教育を充実させていくというのは大事なことだと思うのです。ここの書きぶりだと,「大学院教育改革」というふうになっているのですけれども,これ,16の,高等教育機関の経営基盤の確立,機能強化というものとも関連するのですけれども,もう少し単純に,博士課程で学んでいる人が経済的に安心して学べるような,その環境の奨学金ですとか,そういったものの整備というものがあってもいいのかなというふうに思います。
 ついでに,2040年までの将来を見通すというのが非常に難しい中で,不確実性がある中で,それに対応していくものとして,リカレント教育というものを位置づけられるのかなというふうに思いました。
 少し関係ない点で恐縮なのですけれども,先ほど徳永委員がおっしゃったことと深く関係する繰り返しなのですけれども,6のグローバル社会という中で,やはりこれから日本の社会で,例えば特定技能制度ができて,外国人の方がどんどん増えていくのだと思うのです。それも今までのホワイトカラーの人たちが増えていくというだけではなくて,ブルーカラーの人たちも外国人として増えていく。それで,地域の学校の中に外国人の子弟の方が来るという中で,そういう多様な児童の中でどういうふうに学んでいくのか,日本人がどういうふうに対応するのか,外国人の方にどういう教育を施すのか,そういう意味での対応も非常に大事なのかなというふうに思いました。
 以上です。どうもありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 今回の変化要素について,イノベーションを牽引(けんいん)する人材育成のところに,主な内容だけでもかなりの内容を書き込んでいますので,それぞれについて,恐らく各論でもう少し膨らめていく必要があります。御指摘のように,大学院教育などは非常に重要な要素になってきていると思います。
 リカレント教育は,目標案8として出していますので,先ほどの議論にもあったように,ここはかなり新しい要素として,各論でも充実した書きぶりにしていく必要があるのだろうと思います。
 それから,外国の方たちや児童生徒が増えてくるという点は,令和の日本型学校教育の答申でも,かなりのウエートをかけて議論されましたので,その内容を踏まえて,ここに新たな要素として盛り込む必要があるのかどうか精査することになろうかと思います。ありがとうございます。
 それでは,河野委員,お願いいたします。
【河野委員】  各論ということで,御提示いただいたこの基本方針の5つと,それがどう17の目標案にリンクしていくのかという御提案を頂いているのですけれども,この5つの方針があまり目標に反映されていないのが,3番目の「地域や家庭で共に学ぶ」です。3番目は2つぐらいしか出てきていません。「地域や家庭で共に学ぶ」は,もっとたくさんのところと横断して関わってくるかと思います。例えば2番目,3番目,4番目,5番目,6,8,14番目あたりも関係してくるのではないかと思いますので,御検討いただければと思います。
【渡邉部会長】  御指摘よく分かりました。各論のまとめ方として,基本的方針との連携だけではなくて,各論の項目毎(ごと)の横のつながりも出てくると思いました。ありがとうございます。今後の留意点だと思います
 それでは,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】  丸1から丸5までの対応づけにおいて,丸4が教育DXなわけですけれども,これがいろいろなところと関わることになるというのは,今まで議論してきたことをうまく受けていただいたのかなと思います。
 とにかく学校の情報基盤が非常にプアーなことで,例えばいろいろ手伝いたい外部人材の方が手伝いにくい状況があるとか,先生と連絡するときはファクスではないとできないとか,メールアドレスがないとか,いろいろな情報化の遅れ,世間とのズレが起こっている。そういう状況の中で,教育のDXを進めるというのは,1つは,時代に合った教育活動を様々に行うためのインフラの整備でもあると思っております。そういう観点で11番とか13番あたりを少し確認すると,教育DXという言い方は11番にあり,指導体制(支援スタッフの充実を含む)とかというのは13番にあります。この11と13のすみ分けを明確にしておく必要があるかなと思います。
 先ほども渡邉会長が,教育DXという言い方で,基盤整備の話から,いろいろな働き方改革の話から,デジタル人材の話までやっているというお話を頂きましたけれども,恐らく13番のところに指導体制のところ,環境整備,どちらかというと,教師の働きやすさ,あるいは学校という機関のいろいろな人材活用の観点での整備が13なのかなと私は感じます。一方で,11番,教育のDXが何のために行われるかというと,やはりこれからの時代の,人材育成のために行われる。それはすなわち,例えば最近の中教審答申でいえば,個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実だとか,不登校の児童生徒の皆さんが,学習をきちんと行う体制をどうするかとか,そのために,例えばデジタル教科書や教材,ソフトウエアがどうあればいいかとか,子供たちの学びの状況を可視化するために教育データをどういうふうに使えばいいかとか,大体ここに書かれていると思いますけれども,そういう教育の内容と児童生徒に育成すべき能力の話,そのための,教師の能力の話みたいなことが11に入り,一方で,基盤整備といいましょうか,インフラ整備といいましょうか,そういうようなことの予算づけのことが13にあるといいのかなと思うし,これが続いて提示されていると,更に分かりやすいのかなと感じます。
 もう1つだけ。情報活用能力の育成,これは児童生徒の情報活用能力の育成を差すわけですけれども,これは学習指導要領の総則に既に学習の基盤となる資質・能力としても挙げられております。これが恐らく矮小(わいしょう)化することは,これからはもう考えられないと思います。生涯学び続けるに当たって,情報活用能力が身についていない人は学び損なうことが多くなると考えられるからです。そう考えると,この情報活用能力の育成が,この項目においては最も重要なことかと私は思います。そのことと,デジタル人材の育成がイコールではないということが分かるようにしたいなと思います。つまり,ここで言うデジタル人材というのは高等教育を差していて,デジタルの専門性を持った人材,こういう人がどんどん増えていかないと,我が国の産業的にはもたないという話がある一方で,最初にある情報活用能力の育成は,全ての人がこれからの時代を生き抜いていく学習のリテラシーとして必要なのだというようなことです。ここが明確になるように書き分けることが大事かと思っております。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。非常に重要な御指摘を頂きました。
 確かに基本的な方針のところにもDXに関する非常に多くの要素が書かれていますので,各論にもいたるところに出てくるのだと思います。また,御指摘のように,11と13の項目が離れてしまっていますが,これは項目が分かれていたとしても,近くに続けて記載していくことも検討が必要ですし,DXのインフラ基盤と人材育成,それから,DXが横につながることとか,DXを使った個別最適な学びを充実させることなど,幾つもの要素があるので,そこは教育DXとしての大きな項目で,場合によっては少し項目が増えるかもしれませんけれども,再整理が必要だと思いました。ありがとうございました。
 今村委員,お願いいたします。
【今村委員】  少し堀田先生のお話ともかぶる部分もあるのですけれども,私も,先ほども申し上げたのですが,この「ウェルビーイング」というキーワードは,やはり全ての教育目標,人材育成目標の共通した目標だと思うので,上位概念かなという点と,DXというのは,そういったウェルビーイングを目指すために必要な打ち手の質と量を,全ての政策の質と量を確保するための必要なインフラとしての打ち手という,そこに挟まれて,各教育目標,人材育成の教育目標というところが入ってくるのかなというふうに感じたのですよね。なので,全部一律にして番号を振っていくというやり方もあるかもしれないのですけれども,計画を実行する人たちが参考にできるような論点の打ち手といいますか,全てにかかるところと,それぞれの育成目標みたいなところを,もう少し分かりやすい構造でこのシートにも書いていただいた方がいいなと思いました。
 重ねるのですけれども,私は,今回,肝になってくるのは,「ウェルビーイング」というキーワードがきちんとここに入ってきたという部分は,全ての共通目標であり,DXというのは確かに3段階あって,その段階はどこなのかというところは置いておいても,2040年には本当に三,四割の自治体が1万人以下になっていくという未来を見据えたときに,やはり必要な打ち手のインフラだと,最低インフラのための施策だと思うのですよね。なので,そこを分けた上で各育成目標というところに分けていただきたいなと思いました。
 あと,すごく各論なのですけれども,これは次期目標案の5番,主体的社会参画意識というところについてなのですが,ここに地域課題解決学習から始まっているのですけれども,できれば,学校の校則とか,学校のルール,学校の在り方に関する課題解決学習みたいなものを,生徒と先生が対話的にやっていくという,校則検討といいますか,生徒と教員の校則をテーマにしたようなものが何か入らないかなと。地域課題解決学習というところが各校のPBLのはしりとして数年前から入ったのですけれども,本当の課題は実は学校の課題に生徒たちが参画できないというところにあるように感じています。逆に言うと,それに参画し,ルールが変わっていっている,そこの昔から続いている規範意識が変わっていっている学校のウェルビーイングは,物すごく先生,生徒ともに上がっていっているということを現場で感じております。
 なので,このタイミングに,ブラック校則などという言葉もささやかれている今,校則というところについては,書き込むべきキーワードなのではないかなというふうに感じております。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 先ほどの基本方針のところでもありましたように,分かりやすくするために,理念系のところと,基盤となるDXなどのインフラなど,各項目の課題の概念図のようなものは,いろいろなところに出していくときにあった方が分かりやすいと思いますので,今後の議論をしながら事務局でも少し検討していただけますでしょうか。
 それから,2つ目の校則関係は,いかがでしょうか。行政執行の中で行っていくということなので,こういう長期的な基本方針のテーマにすべきかどうかは少し判断が難しいのですが,事務局の方で何かありますか。
【森友総合教育政策局政策課長】  校則に関して,こども庁の関係とかもあって,いろいろ今,検討しているところでございますけれども,計画の中の各論の部分で,どういうふうな書きぶりができるのか,できないのかということについて,今後,先生方の意見も聞きながら,担当課とも話をしながら,今後の宿題とさせていただければと。
【渡邉部会長】  では,そこは宿題とさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは,村田委員,お願いいたします。
【村田委員】  先ほどもリカレント教育のところでお話しさせていただいたので,今回もそこに絞ってお話しさせていただきます。
 7番と8番が特に私がお話しするところです。まず,7番目なのですが,先ほど少し川口委員からもお話があったかと思うのですけれども,大学院の教育の充実は,これはちゃんともう少し書いてほしいなということと,ジェンダーギャップの解消だとか,それから多様な才能・個性を伸ばす教育だとか,いろいろな要素がここに入り過ぎていると感じます。もう少し整理できないのかなというふうに思うのです。
 あるいは,ジェンダーギャップの解消,理系人材,理系女子というような言葉がありますけれども,その問題とイノベーションとは違っているわけで,理系人材をどう増やすかという問題とイノベーションとは違うわけですから,少しそこは切り分けられるのだろうなと。
 同じことがリカレントの8番目にもありまして,高齢者の生涯学習の推進,生涯を通じた文化芸術活動の推進という,90年代に言われた生涯学習の問題と,今回のリスキリングを含むリカレントの課題というのは違うと思うのです。リカレントというのは,むしろここでは,学び直して,それをもう一度仕事に結びつけていって生産性を上げていくというようなことになるわけで,いわゆる高齢者の生涯学習というのは,もちろん,それを生産にということもあるのですけれども,生涯を通じた文化芸術活動というような意味,あるいはボランティアによって自己実現をしていくという意味とは若干違ってくると思いますから,ここをもう少し整理をして課題を切り分けておかないと,結局何を言っているのか少し分からなくなると思うのです。
 同じことがほかの項目についても言えるのではないのか。もう少し絞っておかないと,あまりにも総花的になってしまうのではないのかなというような気がいたします。もう少し主な内容案のところを絞って考えていって,各目標案のところをより分かりやすくできるようにしておいた方がいいように思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。非常に的確な御指摘を頂いたと思います。
 7の項目のイノベーションを牽引(けんいん)する人材育成に,STEAM,文理横断・融合,ジェンダーギャップといった内容と,大学院教育やアントレプレナー教育など,やや異なる要素があるので重視されているポイントが少し総論的になっている気がします。ここは,場合によっては項目を分けて再整理する必要があるのかもしれません。
【村田委員】  少しだけ付け加えさせていただきますと,いわゆるイノベーションと言う場合,R&Dが基本になってくると思うのです。それで,R&D人材というのは,エンジニアとサイエンティストなのですが,そうすると,結局それは,先ほど川口先生からも特許という話も出ましたけれども,R&Dの人材というのは,基本的に,これから社会科学も出てくるかもしれませんが,理系と,修士,博士なのですね。だから,イノベーションと言ったときには,どうしても修士,博士,それから理系,あるいは,もう少し増え,社会科学とかというような形になってきますので,そこにジェンダーだとか,多様な才能だとかということは少し違うと思うのです。違う要素だと思いますから,もう少し整理をしていただければと思います。
 イノベーション基本法も新しくなって,文系のということも入ってきているのですが,そういうことを含めて,ここはイノベーションに絞るべきだと思うのです。やはり今,日本の企業は,非常に大きな内部留保を持ちながら,その内部留保の投資先がない,これはイノベーションをすることができないから,人材育成ができていないからだと思います。正にここを少し強調しておかないといけないのかなと,大学で高等教育を携わっている人間としては思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  よく分かります。イノベーションを創出する要素として,今,御指摘のような研究や大学院などの問題と,それらと少し切り分けた,イノベーションに少し絞り込んだテーマを明確化するということだろうと思いました。
 リカレント教育のところも,御指摘のとおりで,教育未来創造会議などで議論されているリカレント教育は,従来の学び直しとは違いますので,場合によっては,もう少し分けて,特に今日的なリカレント教育について,際立たせる必要があるのかもしれません。ありがとうございました。
 それでは,次に,永田副部会長,よろしくお願いします。
【永田副部会長】  こちらの各論は,少し細かなことばかりになってしまうので,先に,前半の総論のときに出ていなかったことを一言だけ申し上げます。
 物事の理解は,ダイバーシティ&ユニティという観点を持つことが重要で,ダイバーシティというのは,今,人のDEIのことを言っているわけではなくて,一般論的には,多様なこのようなコンテンツと,これを総和するユニティがあるはずです。その中のユニティの1つがウェルビーイングだったと思うのですが,日本型というところは全然議論されていないと思うので,忘れないでいただきたいと思います。これが総論に対する意見です。
 各論の方ですが,やはりヒエラルキーの違うものが並んでいるという気がします。先ほど会長がおっしゃったように,施策レベルで具体的に述べるものと,内容として基本計画の個別論として述べるものが混ざっている気がするので,そこは取捨選択をしてフォーカスしていただけるといいなと思いました。
 自分は高等教育に特に関心がありますが,縦割りはよくないと思って見ていると,7番のイノベーションのところは,初等中等に関わるのは探求とSTEAM教育しかありません。書かれた方は高等教育の中でのSTEAM教育だと思っているのですが,そうではないはずです。イノベーションを起こすために必要なことは,幼いときから全部そのような環境で学ぶことなのでしょう。特に40年先を目指してやろうというのであれば,7番が高等教育になってしまっているのが残念な気がします。
 イノベーションは,やはり幼い頃からそれを起こせる人材を育てるものだろうと思います。村田委員がおっしゃったと思いますが,受験を変えようという意見があったと思います。高大接続のところを根本的に変えるようなことは,載せてもいいのではないか,あからさまに,これは大学がやりなさいという部分にまとまっているのはよくないと思います。やはり小学校,中学校にも適用できるように,ここでいう「探究」という単語が唯一残っているし,ジェンダーギャップというものも多分小学校からいけると思うので,何かしら人間の,学びのライフスパンの中にイノベーションが見えるように書いてもらえると良いのでは。全体的にそのように考えてはいかがでしょう。しかも,やはり物すごく施策レベルとフィロソフィーレベルがごった煮になっている部分がないとは言えないと思うので,御検討いただければと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 やはり先ほどの理念と,この各論がどういう関係性なのか説明があると,今の永田副部会長のお話などとも整合性が取れるのかなという気がしました。
 それから,イノベーションのところは,先ほどの村田委員の御意見等とも合わせて,少し再整理する必要があるかもしれません。イノベーションは確かに初等中等教育からずっと関係していますし,特に高校改革の観点からも,STEAM教育が非常に重要になり,高大接続とも関係していくので,ある意味では,高大接続に再挑戦するためにも,STEAMがあるということでもあろうかと思います。ここは今の御意見を踏まえて,もう少し再整理するような方向で検討したいと思います。よろしくお願いします。
 それでは,次に,関委員,お願いいたします。
【関委員】  私からは二点申し上げます。一点は,先ほどもございましたが,「リカレント教育をはじめとする生涯学習の推進」という箇所です。人生100年時代と言われる中,人生の上り坂の部分と下り坂の部分,両方が一緒になっているような気がしてなりません。やはり,上りの時代には職業にも直結した上りの時代の学びが必要であり,下っていく時代には,生きがいを持ちながら,それまでの体験を伝え,人生を全うしていく,そういった学びが大事なのではないかなと思っております。
 これから先,ますます高齢社会が進んでいく中で,リカレント教育と下り坂の生涯学習というものを,ある程度区分して考えた方がよいのではないかというのが一つ目の意見でございます。
 それともう一点は,10番の項目でございます。「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進」という項目の中で,これは最後の「地域課題の解決に向けた関係施設・施策との連携」の中に含まれているかもしれませんが,住民自治的な,自分たちの力で自分たちの地域をつくっていくような要素というものが,これから更に重要になってくるのではないかなと考えます。
 地域運営組織,これは総務省所管の事業かもしれませんが,そういったものとの関係の中で,地域コミュニティをどうやってみんなでよくしていくかということを考えていかなければならないと考えます。以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 リカレント教育については,先ほどの村田委員の御意見もありましたので,今の御意見も併せて整理をさせていただけたらと思います。
 それから,地域コミュニティのところは,御指摘のとおり,9番,10番の項目で非常に重視されるべき御意見だと思いました。ありがとうございました。
 それでは,次の議題も残っていますので,今手が挙がっています,黒木委員,松浦委員,岩本委員,牧野委員,それから清原副部会長の5名の方で,一旦区切りとさせていただきたいと思います。次回以降もこの議論は続けますので,焦点を当てて,少し短めにお願いできればと思います。
 それでは,黒木委員,お願いいたします。
【黒木委員】  私は,実効性のところをやはり一番こだわっておりましたので,今般,これからまた本当に大変なことになるだろうと思いますが,各論のところで,12から17まで,⑤を入れていただいたこと,本当に有り難いと思っております。この計画と現場をいかに近づけるかというのが一番大事だと思っています。そのためにも,先ほど来出ています施策と理念のギャップ等を埋めるためにも,関連指標というのはとても大事だと思うのです。何をすればこれができるのかというようなところです。それは評価にもつながりますので,ひょっとすると17番が一番関連しているのかもしれませんし,各々全部のところで関連指標というのはしっかりもむべきなのかもしれませんが,これから5年間のことですけれども,政策の現場では,教育委員会も,市町村,それから知事部局も,年ごとに評価をします。それによって先に進みますので,関連指標というのは非常に大事かなと思っています。それをしっかり議論するべきかなと考えております。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 実効性のところは,恐らく今後の議論で非常に重要な要素になってくると思います。ありがとうございました。
 松浦委員,お願いいたします。
【松浦委員】  私は,各論の全体像ということについて申し上げたいと思います。
 今回,第3期と違って,基本方針のサブとして目標を組んでいくという形ではなくて,クロスリファレンスにしていただいたことは,大変有意義だなというふうに思っていました。ただ,そうすると,丸3が少ないとか,今度は逆に丸5が単独で丸5ばかりが多くなってしまうというところがありますので,先ほども出ていましたけれども,今回,初等中等,高等,あるいは社会教育ということで,分断しないで全体像をということ,これも大変評価できることだと思うのですが,なぜか16番だけが高等教育の経営基盤となっていて,これは第3期の20番の継続なのかなと思いますけれども,教育機関の経営基盤というのは,高等教育だけではなくて,広く考えれば,財政のことも含めて重要になってくると思いますので,16番を含めて丸5をほかのものとリンクさせていくということが今後必要になってくるのかなと思って拝見していました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今後の検討とさせていただきたいと思います。
 それでは,岩本委員,お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。
 私は,構造自体の整理というのは是非やっていただいた方がいいなと思ったのですが,それに加えて3点ほどありまして,1点目は,先ほども少し申し上げました,教育行政の機能強化ではないですけれども,やはりそういった部分が今後,何をするに当たっても重要だと思っています。特にEBPMだとか,こういったところはちゃんとできるようにしていくと,教育行政自体のDXやアップデートを含めて,手段としては重要ではないかというところ。
 それと,先ほども出ていました実効性のところで,私は,やはり財源の確保は,今後の教育全体を考えたところで非常に重要な目標になると思いますので,それだけでも1つ抜き出して,目標,指標を設定してもいいぐらいの項目になるのではないかというところ,財源・予算をしっかり確保するということをしっかりと旗を立てるというところ。
 最後は,この中で,若しくは総論の中でも少し弱い視点だなと思っていたのですが,今後,2040年を見据えたときに,やはり少子化がすごい勢いで起きていっている。今の出生数とかを見ていると,もう本当に下り坂で,学校自体をどう維持していくのか,若しくは違う形にアップデートをしていくのかみたいな,地方に行けば行くほど本当に苦しくなっていく。そうした学校のこれからの在り方みたいなところが,もう少しどこかに入ってくるということが必要ではないかと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 最初に御説明した資料の,今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき事項として,教育政策の,持続的改善のための評価指標の在り方と,教育投資の在り方については,別出しで挙げており,別途議論した上で記載をするというような形ですので,ここについてはこの各論とはまた別の位置づけということで御理解いただければと思います。ありがとうございました。
 それでは,牧野委員,お願いいたします。
【牧野委員】  皆さんがおっしゃったこととも関わってくるのですけれども,やはりこの各論のところが,最初の基本的な考え方との関わりで,レイヤーが混在しているといいますか,計画と施策と行動が混在しているような感じがしますので,基本的な考え方と各論の間に1つ全体の構造を示すような文章が入ってくるといいという印象があります。
 その場合,構造を記すときの考え方ですけれども,基本的には,時間と空間の秩序の在り方が随分変わってきているのではないかということを思います。例えば,人生100年ということの中で,人生の在り方が,従来のように,男性原理のと言ったりするのですけれども,旅立ち,それから苦悩,勝利,帰還のような直線的な目的達成型モデルで一生を動いていくような,いわゆる段階論的で一直線の議論ではなくて,むしろパラレル・キャリアであったり,マルチ・ステージであったりします。その意味では,人材の構造の在り方も変わってきていると思うのです。そこでは,人生の時間軸が変わってきているという問題と,それから,地方から中央へ出ていくとか,周辺から中心へというような空間の在り方も,例えばコミュニティにいながら世界とつながっていったりですとか,あとは,いわゆるメタバースのような形でのデジタル空間と,いわゆるリアルワールド空間との関係の在り方みたいなものとして問われてきているので,そうしたことを基本にしながら,少し大くくりの構造を示した上で,次に,施策ですとか,いわゆる各論に入っていくという議論の方が分かりやすいかなと思います。その辺りをまた御検討いただければと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 先ほどの概念整理と併せて検討させていただきたいと思います。
 それでは,最後になりますが,清原副部会長,お願いいたします。
【清原副部会長】  清原です。
 まず1点目,2の豊かな心の育成というところに,「こども基本法対応」というふうにあります。子供の最善の利益を尊重して,基本的人権を尊重し,そして折々に子供の意見表明の機会を保障するということで,来年の4月1日にこども家庭庁設立とともに施行されるわけですが,この部分だけではなくて,もう先取りして,例えば17の各ステークホルダーからの意見聴取・対話に子供を含むと明記されていますが,ひょっとしたら,ほかにもこども基本法対応はあるかもしれないので,ここに「こども基本法対応」という言葉になっていますが,少し具体的に各所に必要に応じて明記する必要があるかなと思います。
 あわせて,4の多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂のところに,特別支援教育に医療的ケアが含まれ,ヤングケアラーについても明記されました。これは第3期までには明記されていない事柄で,現場では,やはり対応について,大変創意工夫も必要ですし,是非ここのところは具体的な方向性を示す必要があると思います。
 次に,先ほど堀田先生がおっしゃった11番の教育DXと13番の関係なのですが,それに触発されて,生涯学習分科会では,実はデジタルシチズンシップという概念を第11期の,審議の整理の中で使わせていただきました。これは5番目の主体的社会参画意識・規範意識の醸成とも関連するかもしれないし,教育DXの情報活用能力の育成に関係するかもしれませんけれども,未来を考えるときに,活用能力だけではない主権者としてのデジタルシチズンシップというようなことが重要になってくるかもしれませんので,デジタルシチズンシップという概念について,どう位置づけられるか御検討いただければ有り難いなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 DXのところは,先ほどのように,いろいろなところに関係していきますので,再整理する中で,検討していけたらと思います。
 こども基本法との関係は,まさしく次のテーマにも関わりますので,次に移らせていただきたいと思います。それでは,ユース政策モニターとの連携について,事務局から資料説明をお願いします。
【川村教育企画調整官】  それでは,資料を共有して説明させていただきます。
 ユース政策モニターという制度,内閣府におきまして,子供・若者に関する施策をより充実させるとともに,社会参画意識を高めるために,小学校5年生から20代の方々を公募して,施策に対する意見を把握,活用するというものでございます。
 これに関連しまして,内閣府と連携をしまして,教育振興基本計画をテーマとした連携の取組を予定しております。
 1点目が,ユースラウンドテーブルというものでございまして,オンラインにはなるのですけれども,20名から30名程度の子供・若者と,テーブルを囲みまして意見交換をするというものでございまして,論点を設定して,子供たち,それから私ども役所の職員のほか,関係の方々が入りまして,グループワークをして,発表をしてもらうということで,イメージとしては,昨年度,法教育で行った取組ですけれども,学校でどういう取組が法教育で必要でしょうかということで,テーマと,その理由というようなことで発表している,こういうイメージでございますけれども,これを1つ行いたいと思っております。
 それから,ウェブアンケートということで,ユース政策モニターに登録をされている方が数百名いらっしゃいますけれども,その方々に対してアンケートをする,子供・若者からのウェブを通じた意見聴取ということでありますが,過去の例では,300名,500名程度の方からの回答があるということで,こちらは結果を取りまとめて公表という形になっております。
 今回設定する論点の候補例ということで,内閣府とも意見交換をしつつ,今のところ,こういうような形で考えているというものでございますけれども,少し分かりやすく,例えば,学校であなたが「良かった!」と感じたエピソード,「つらい」と感じたエピソード,「将来役に立ちそうだ」と感じるような学習活動,「もっと学校はこんなふうになったらいいのに」というようなこと,また,「自分も受けてみたい」と感じる授業,どんな先生に教わりたいか,学校で幸せを感じるのはどんなときかという,全てではないかもしれませんし,グループ別に違うかもしれませんけれども,こういった設定をした上で,現在の教育振興基本計画の検討状況についても,御説明を分かりやすくした上で,これから5年間で教育はどんなふうに変わってほしいですかというような意見を聞いて,またこちらの部会に報告をさせていただきまして,議論に反映をしていくということを行いたいというふうに考えております。
 なお,こちらは,実施時期を12月から1月ぐらいまで,主に11月にラウンドテーブルということを今のところ予定しておりますので,また詳しく決まりましたら御案内をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども,御指摘等ございましたら,頂戴できれば幸いでございます。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,本件についての御意見,御質問がございましたら,お願いします。いかがでしょうか。
 御説明にありましたように,このユース政策モニターは,内閣府で今までもやられてきたことではありますが,こども基本法の関係で,より重視されるようになった非常に重要な要素だと思います。
 黒沢委員,手が挙がりましたか。どうぞ。
【黒沢委員】  いつもありがとうございます。私から1点だけ。このアンケートを採るというのは非常にいいことだと思います。ただ,教育環境でもいいし,家庭環境でもいい,どういう環境,あるいはどういう立場の人が,子供が,どう意見を述べたかが随分変わってくると思うのですよね。
 例えば,例にあった項目をうちの学校でやったら,ほとんど否定的な意見しか上がってきません。ところが,やはり学級委員長だとか,優秀なお子さんという言い方はあれですけれども,そういうお子さんたちに聞くと,肯定的な意見もたくさん出てくると思うのですけれども,どういう人からどう聞くかというのをちゃんと整理して聞かないと,偏った意見にならないかなというのは心配な点です。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 非常に留意すべき事項だと思いますが,事務局から,今の点について補足はありますか。
【川村教育企画調整官】  ユース政策モニターにつきましては,仕組み上,ラウンドテーブルは原則先着順というようなことになっておりますので,登録した方々が申し込んで,そこから20名,30名選ばれるということになりますけれども,どういった属性ですとか,環境についてどこまでということについては調整が必要ですけれども,そういった背景が分かるような形で意見交換をするということを留意したいと思いますし,アンケートの方につきましては,一定そういった内容も取っていけるかというふうに思いますので,御指摘を踏まえた設計にしていきたいというふうに思っております。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 ほかにございませんようでしたら,本件については以上とさせていただきます。
 今日も非常にいろいろな御意見を頂き,ありがとうございました。少し全体の総括的なお話をして締めさせていただきたいと思います。まず,基本的な方針については,審議経過報告として総会に報告させていただくことといたしましたが,もともと諮問事項に対して,新たな時代の潮流から来る優先課題とは何なのかを中期的な計画にするということと,最初の議論のときに御意見があった,初等中等教育から高等教育に至るまでの連続性を重視した共通課題を整理しょうということがありました。そういった趣旨では従来とは違うまとめができているのではないかと思いました。特に,第3期計画との違いということでは,今回,それらの点がかなり際立ったのかなと思います。
 したがって,第3期計画の期間中の成果と課題から来る視点も重要なことですけれども,それ以上に社会の変化への対応が,今回かなり色濃く出たと思います。コロナ禍で日本のデジタル化が周回遅れだということが露呈したことで,従来のICT利活用の水準を超えた,教育DXのような視点が重要になったことや,世界情勢の変化で地政学的リスクが非常に高まり,世界の潮流からも影響を受けるというような視点から,社会の持続的な発展の重要性がより明確になったこともあります。社会課題の解決や,個人・社会のウェルビーイングの向上という視点は,そういった全体の潮流から来る意識ではないかと思います。
 したがって,個人・社会のウェルビーイングの向上は,第3期計画にはない要素として,非常に重要な理念になってくると思います。
 また,冒頭御説明したように,第3期の期間中にいろいろな中教審の答申もありますし,教育未来創造会議の提言等も含めて,あらゆるところからいろいろな提言がなされています。こういった視点もしっかり組み入れていく必要があり,基本的な方針の丸1から丸5で整理されていると思います。
 したがって,次期基本計画は,第4期の基本計画ではなくて,ちょうど学制150年の節目にあり,不易流行の視点も入っていますので,むしろ新教育振興基本計画として明確に打ち出していく必要があるのではないか,私としては,そのような認識をしております。今まであえて第4期という言い方をしなかったのも,そういった形で学制150年の節目に出す新教育振興基本計画ではないかという意識がありました。
 今後も,各論を含めて,より重要な議論になっていきますので,皆さまの御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,本日は以上とさせていただきますが,次回の予定について,事務局から改めてお願いいたします。
【川村教育企画調整官】  次回は11月4日金曜日10時からの開催予定でございます。各論について御議論いただきたいと思っております。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,今日も長時間,本当にありがとうございました。以上とさせていただきます。
 
―― 了 ――