中央教育審議会教育振興基本計画部会(第3回) 議事録

1.日時

令和4年6月2日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室、3F2特別会議室(東館3階) ※WEB会議

3.議題

  1. 次期教育振興基本計画と教育DX(デジタルトランスフォーメーション)について
  2. 教育振興基本計画の教育現場での実効性について

4.出席者

委員

荒瀬委員、今村委員、内田委員、清原委員、小林委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、永田委員、堀田委員、村田委員、安孫子委員、岩本委員、大日方委員、河野委員、黒木委員、黒沢委員、杉村委員、関委員、徳永委員、牧野委員、松浦委員、三好委員、元紺谷委員、吉見委員、渡邉委員

文部科学省

丸山 文部科学審議官、藤原 総合教育政策局長、出倉 大臣官房審議官、桐生 崇 総合教育政策局調査企画課長

5.議事録

【渡邉部会長】  それではただいまから、第3回中央教育審議会教育振興基本計画部会を開催させていただきます。
 本日は、大変御多忙の中、そして新型コロナウイルス感染症の影響がまだ続く中で、御出席いただきましてありがとうございます。
 今回もウェブ会議での開催とさせていただきます。
 前回の会議では、第3期教育振興基本計画について、進捗状況の確認、それから課題とその対応について御議論いただき、大変貴重な御意見を多くいただきました。
 その中で、初等中等教育から高等教育までを俯瞰的に見て、横断的な課題認識を持つことが重要といった御指摘もございました。
 こうしたことは、諮問の趣旨にもある、Society5.0時代の社会においては、幼児教育から始まって、義務教育の基礎の上に高等教育等があり、より一層の連続性や一貫性の中で有機的につながっているという考え方とも重なるものだと考えます。
 したがって本日からは、こうした諮問の重要事項を念頭に置きながら、前回の議論の中であった横断的なテーマについて、順次議論していきたいと思います。特に、未来社会を見据えた教育政策には何が重要なのか、こういったことに視点を置いて議論をしていただければと思います。
 そこで、本日のテーマは、諮問事項でも重要な視点となっており、前回のフォローアップの議論でも課題として浮かび上がっております教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)、またこちらも諮問文の中にございましたが、教育現場の実効性の確保、この2つについて議論をさせていただければと思っております。どちらも教育段階を超えた横断的なテーマということでもあります。
 それでは、まず、本日の開催方式と資料、運営の仕方について、事務局より説明をお願いします。
 それでは、よろしくお願いします。
【川村教育企画調整官】  文部科学省の川村でございます。本日はウェブ会議での開催とさせていただきまして、傍聴につきましてはユーチューブにて配信をしております。
 本日、まず事務局から資料を御説明した後、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)について堀田委員より、教育振興基本計画の実効性について黒木委員より、それぞれ話題提供をいただきたいと考えております。
 双方のテーマとも教育段階を横断したテーマでございまして、教育段階の全体の連続性、一貫性という諮問文に示された観点からの検討に資するものであると考えております。
 お二人の先生からの話題提供、主に初等中等教育段階の視点からお話しいただきますけれども、ぜひ、委員の先生方、高等教育や社会教育、生涯学習といった視点からも御議論を賜れればと存じます。
 両先生からお話しいただきました後、今回グループを2つに分けましての意見交換とさせていただきます。大変恐縮でございますが、教育現場での実効性グループの先生方におかれましては、お二人の先生の発表が終わった後に、チャット欄にURLをお送りしますので、そちらから別のZoomに移っていただければと存じます。
 テーマ別の意見交換中は、2本、ユーチューブを配信いたしますので、傍聴されている方におかれましては、それぞれのURLより視聴をお願いいたします。
 テーマ別の意見交換の後、また全体で集まりまして、意見交換をする時間を設けることとしております。その際は、教育現場での実効性グループの先生方、またチャット欄にURLをお送りしますので、そちらからお戻りいただくということでお願いできればと存じます。
 御議論・質疑の時間におきましては、通常と同様、挙手ボタンをお押しいただきまして、各グループの司会の先生方の御指名により、順次御発言をお願いします。御発言以外の際は、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日の資料は資料1、2、3となっております。
 最後に、本日30名の委員の先生方のうち、25名に御参加をいただいております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。まずは、資料1について、事務局から御説明いただければと思います。
 よろしくお願いします。
【川村教育企画調整官】  文部科学省の川村でございます。引き続き御説明をさせていただきます。資料共有をさせていただきます。
 資料1、事前に御説明をさせていただいた先生方もございますので、簡単に御説明させていただきます。
 今回事務局からお示しした資料でございますけれども、目次は以下のとおりでございまして、まず、今回の議題とは直接関係ないという部分もございますけれども、第3期教育振興基本計画期間中の各種の提言、また審議状況について、一覧化した資料でございます。諮問の中でも、他の審議会等での議論の状況も踏まえつつということがございましたので、こういったものをお作りしております。
 縦に初等中等教育、高等教育、生涯学習・社会教育、スポーツ・文化ということでございまして、横に時系列を取っております。それぞれ、学校段階をまたぐものもございますけれども、どういった議論が行われてきたか、色分けしてお示ししております。
 右側、赤枠で囲っておりますところが現在審議中の会議でございまして、例えば本日の議題でまいりますと、GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議、また、教育データの利活用の会議ですとか、こういった審議が行われておりまして、また、右上のところに教科書・教材ソフトウェアのワーキンググループ、こちらでデジタル教科書等の議論が行われております。また、地方教育行政につきましては調査研究協力者会議が開催されておりまして、こういった審議も踏まえながら、これから基本計画部会での御議論を賜れればと思っております。
 続きまして2つ目の資料は、国の教育振興基本計画を参酌して、地方公共団体で計画を策定することに関する規定でございます。
 黒木委員の発表の関係で御用意した資料でございますけれども、国の教育振興基本計画、こちらを参酌して、地方の教育振興基本計画、また教育大綱をつくることが、それぞれ教育基本法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の中で定められております。
 左側は努力義務、右側は義務ということでございまして、それぞれ策定率につきましても下に記載をしております。
 これの関係で、地方公共団体での教育振興基本計画の策定に関する幾つかのデータをお示ししておりますので、御参照いただければと存じます。
 それから、次は第1回、第2回部会での教育DX、また、現場での実効性に関する御意見をまとめておりますので、御参照いただければと存じます。
 これ以降につきましては、本日の審議に関わりますGIGAスクール、DX、それから冒頭お示ししました各審議会での審議の概要の資料でございますので、適宜御参照いただくということで説明は割愛させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは次に、本日のテーマとして、まず次期教育振興基本計画と教育DXについての話題提供ということで、堀田委員から御説明をお願いできればと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【堀田委員】  東北大学の堀田です。資料2に基づきまして、お話をさせていただきます。
 私は、下の方に書いてありますように、デジタル教科書や教育データの利活用等に関する文科省の会議の座長をしております。そういう立場から、今日は4つほど提言をいたします。
 まず1つ目は、「DX」と言われるわけですが、これに対して教育の情報化というのは今どこまで来ているかというお話。2つ目は情報活用能力のお話。3つ目はデジタル教科書やデジタル教材等の学習コンテンツのお話。4つ目は、特に先生の、学校における働き方改革と情報化についてのお話という形になります。
 1つ目、まずデジタルトランスフォーメーション、DXと訳されますけれども、この概念は、教育にかかわらず、あらゆる領域で検討されてきております。
 左下にございますように、大体3段階ぐらいで、変化していくということがよく現象として捉えられております。
 1つ目の段階というのは、まずはICTを導入していろいろなものをデジタルに置き換えるという段階。2つ目は、それをやることによってだんだん便利になって変わっていく段階。3つ目は、ICTを使って、みんながデジタルで行うという前提で社会のいろいろな仕組みが変わっていくという、3つのステップだと言われています。
 このことを分かりやすく書いてある図がありましたので、引用しております。左から第1段階、第2段階、第3段階と書いてありまして、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという言い方をよくされています。第1段階と第2段階がちゃんと進まないと第3段階のDXはやってこないということが知られております。
 例1、例2と書いてありますが、例えばいろいろな広告チラシのようなものをウェブの広告にすると検索ができたりするようになり、それが便利になると、今度はウェブからの購入とかリコメンドに誘導することができるようになり、そういうのが普通になってくると、今度は購入データに基づいたいろいろなビジネスというのが立ち上がってくると。その段階まで行くとDXと言う、ということになります。
 下の例2でもございますが、学校でも例えばプリントをデジタル化して印刷しなくてよくするとか、いつでも取り出せるようにするという利便性、これが第1段階。あるいはこの組合せ、デジタル教材、個別最適、そういう形でリコメンドみたいにしていくというのが第2段階。そういうことが普通になってくると、そもそも制度の改善とか教育リソースの配分の最適化などを考えることができるようになるのではないかというのが第3段階。
 こう考えると、私たちはDXを目指すものの、教育においてはまだ第1段階がようやく始められる程度のところにいると。GIGAの端末は配られましたが、これは第1段階をやるための道具がようやく来たと、そういうところでございます。
 少し話が変わるようで恐縮ですが、左下にあるようなこういう書類を、例えばお子さんが小学校に入学するときに、多くの家庭では何枚も書くことになります。
 ここに書かれるような内容を右下に例示してあります。例えば家庭環境調査票というものや健康調査票というものを書くのですが、同じようなことを何度も何度も手書きするのです。これは調査票を使う人が違うので、そのたびに書くわけですが、これでは顧客目線ではないわけです。しかも、書く内容のほとんどは既に役所が持っているはずの情報だったり、あるいは重複があったりしています。
 一般的な例えばレストランの予約サイトとかそういうところでは、一度登録しておくと、あとはマイページに最新情報を入れておけば自動的にいろいろなものに反映されるようになりますから、そう考えてみると、小学校入学時にお子さんのマイページみたいなことが例えばできれば、随分変わるのではないかと。ここまで行くとDXに近づいてくるのではないかと思います。現状はまだまだそこまで行っておりません。
 1つ目の提言ですが、教育DXまでまだ少し時間がかかるということを考えますと、まずは現状の端末の利用頻度を高くするということ。そして、利用頻度が高くなっても耐えられるようなネットワーク環境が、本当にあらゆる学校のネットワークが高速になっているか。もしそうでない場合はネットワーク環境のアセスメントを自治体でしっかりとしていただくということが重要だろうと。
 また、下の方に書いてありますが、GIGAの端末というのは、あと数年で恐らく故障したり、いろいろなことが起こります。リプレイスは当然もう必然的に必要です。
 そうなることを見越した費用の負担、あるいは措置の仕方について、この第4期の教育振興基本計画中に起こることですので、しっかりと検討し、組み込むことが必要かと思います。
 2つ目に参ります。情報活用能力についてでございます。
 初等中等教育においては、学習指導要領の中に「学習の基盤となる資質・能力」という概念が入っております。つまり、いろいろな教科の学びの基盤になるものとして、例えば言語能力や情報活用能力や、問題発見・解決の、そういうものの見方や考え方をすることが捉えられているということです。
 このうち情報活用能力について具体的に解説に書いてあるのが下のところですが、情報活用能力というのは、大きく分ければ、赤いところの、情報そのものをどのように人間として扱っていくかという話と、あと、その時に必要に応じてコンピューター等をうまく使うという話。そのほかに青いところですが、この青いところは、基本的な操作を習得したりプログラミングをしたり、情報モラルや情報セキュリティーについて理解したり、統計について理解するというようなこと。この青いところは各教科にぴったり収まらない部分があるので、ややもすると未履修っぽくなるところがありがちだというところでございます。これらを体系的に身につけさせていくことが、このGIGAの端末を基盤として利用するような時代の学び方かと思います。
 この情報活用能力については、文部科学省として7年から9年前に調査をしております。
 大体、入力速度が、真ん中辺りに書いてありますが、学習の邪魔になってしまう程度の入力ペースしか達成できていないのだとか、あるいは下の方に書いてあるように、情報活用能力が高い子がたくさんいるような学校というのは、情報を活用させる活動、ICTを活用させる活動をたくさんやっているところなのだということがはじき出されております。
 これについては、要するにICTの学習利用の頻度が情報活用能力を形成するのに非常に関係しているということでございまして、GIGAの端末を使わずに情報活用能力が身につくことはない、つまり学習の基盤として機能することはないということですから、現状利用頻度を上げるというのは非常に重要な課題だということです。
 文部科学省は、この情報活用能力調査を昨年度、令和3年度の後半に、実際に抽出ですが行っておりますので、夏ぐらいにこれの速報が出ると聞いておりますので、この辺り、注目していただければと思います。
 2つ目の提言は、この情報活用能力の確実な育成が重要。情報活用能力を学習技能としてしっかりと育てていくために、私たちは考えなければいけないことがありますということです。
 とりわけ、中段にありますが、この初期指導やプログラミングやこういうようなものについては、各教科等になじみにくい場合があるので、未修得になりがちであるということです。データサイエンス等、必要な時代ですから、この辺りを組み込んだ教育課程をどのようにつくるかというのは非常に重要なことだと思います。
 一番下に書いてありますが、「情報」の時間のような、何かそういうようなことを研究開発学校で検討しているところもありますので、こういう動きを踏まえて、教育課程の中にどのように情報活用能力の育成をきちんと定めていくかということが重要かと思いますし、その1つ上にCBTの話を書いておりますが、情報活用能力調査というのがいつでもCBTで受けられて、子供たちの情報活用能力の段階が分かるのだみたいなことを、いつか実現すべきではないかと思っております。
 3つ目の話は、デジタル教科書やデジタル教材のお話です。文部科学省はじめ、様々な形でデジタル教科書の推進については進められております。
 左側にあるように、合理的な配慮の観点からも有効性が色々と出されていますし、右側にある様々なデジタル教材と連動することによって学習効果を上げるという観点で動きがあります。
 左下に赤枠で囲みましたが、子供たちがデジタル教科書でよく使う操作は「拡大」です。そのものを大きくして見て、よく観察したいと。そういう形でデジタルを使っていることが多いということが知られていますので、この、子供たちが教科書の見えの中から、ある部分を選択して拡大するような機能というのは、デジタル教科書の中核的な機能になるということです。
 現状、中教審のワーキングでこれは検討されていますが、真ん中にあるようなデジタル教科書の部分、これは検定の問題とかそういうようなことがありますので、できるだけシンプルにしておく必要があると。これは無償給与の範囲などの課題もありますので、シンプルにしておく必要があると。
 一方で、左側にあるようなデジタルの教材というのは、技術が進めばどんどんどんどんいいものが出てきますので、ここはむしろ競争領域にしておくべきだろうということ。あと一番右にある、例えばGoogle Classroomのような汎用的な学習支援のクラウドツールはたくさん出ておりますので、こういうのをノート代わりに色々と使っていくというような形が、デジタルの世界の学びのスタイルかと思います。
 このように考えたときに、この真ん中のデジタル教科書をどこからどこまでにするかということと、一番左側のデジタル教材とどのように連携するかというようなこと。一番右側のツールに、デジタル教科書の例えばある写真を持っていって、貼って、それを子供たちがいろいろレポートに使うみたいなことへの著作権の問題とか、色々なことが横たわっております。
 3つ目の提言は、このデジタル教科書の本格的な整備を現在検討していく段階にあるということです。これを教育振興基本計画にきちんと組み込む必要があるだろうと。
 「本格的な」というのは令和6年度が目指されています。令和6年度は、ちょうど小学校の教科書が替わるときなのです。現在令和4年度ですが、もう検定とか採択とかそういう時期が近づいていますので、そう考えると、もう令和6年度には移行ぐらいの感じにならざるを得ないということです。
 一番上にありますように、そもそも教科書のみならず、いろいろな教材等を私たちは一緒に使ってきたと。教科書の方は使用義務や無償措置、無償給与、著作権上の特例などが規定されていますが、教材は、子供たちの実態に合わせて担任の先生や学校が決めて、教育委員会に届出をするという形になっています。
 そして、デジタル教科書あるいは教材を考えたときに、やはりそれを配信するとか認証するとか、あるいは教科書というのは教科ごとに教科書会社が違うのが普通ですから、そうするとインターフェースの不統一みたいなことが起こる、あるいはIDがみんな違うみたいなこと起こると。シングルサインオンのような機能、一回どこかにログインすればあとは自動的につながるみたいなことが、子供の認知負荷を下げるという意味でも重要かと思います。
 こういうようなことを、技術的なことも含めて、私たちは今、検討が必要になっておりまして、特にデジタル教科書とデジタル教材がうまく連動して機能するようにする。そして学習ログのようなものが適切に取られ、それが子供たちのリフレクションにつながったり、あるいは先生の指導をもっとよくするものになったりすることが必要かと思います。
 紙が急になくなることはまた現実的ではありませんし、紙には紙のよさがあります。紙とデジタルをしばらく一緒に使っていくことが考えられる必要があると思います。
 ところが現在、デジタル教科書は有償ですので、なかなか自治体がこれにお金を払うことは難しいですし、国がいつまでも補正予算で措置するというのも難しかろうと思いますが、そういう意味で、デジタル教科書の無償措置、無償給与というのは真剣に考えなければならない課題かと思っております。
 4つ目、先生方の働き方についてです。校務の情報化と言ってもいいかもしれません。
 これは中教審の働き方の答申のところの図ですが、先生がやらなくてもいいのではないかとか、あるいは先生がやるのだが軽減ができるのではないかというようなことが整理されている表です。そこに赤字で私が、テクノロジーでこういうことができるのではないか、みたいなことを書き込んであります。
 細かくは説明しませんが、こういうことが結構テクノロジーでできるし、私たちの生活はそういうふうに使っているのだが、学校には予算が十分投与されておらず、その結果、こういうことは全部人手でやっていて多忙になっているという現実があります。
 一方で、最近文科省から出ている働き方改革の事例集等を見ますと、結構デジタルをうまく使って働き方を変えている。もっというと仕事のやり方を変えている。もうDXの感覚に近くなっているところも出てきています。これは非常に優れた事例集がありますので、ぜひ、全国でこれを御覧いただきたいと思うところです。
 これについて4つ目の提言をいたします。まず、少しでも早く校務をデジタルに移行することを私たちは急ぐべきだと。そうでないと、先ほどの第1段階や第2段階を過ぎることなく、そうするとDXにたどり着くこともないということです。
 よく、紙でやれることを何でデジタルでやらなきゃいけないのだというふうになりますが、どちらでもいいことは、もうデジタルでやるというぐらいのつもりで進むべきではないかと思います。
 とりわけ、これは学校だけの問題ではなくて、学校の情報化が遅れると、保護者が紙で全部やらなくてはいけなくなって大変です。このことを考えると、学校の情報化というのは非常に重要だと思います。
 また、真ん中辺りにありますが、ネットワークによるセキュリティーのところ、ここが実は非常に大きな課題になっています。
 少し前までは、技術的にネットワークを分離することでセキュリティーを担保しようとしていました。そうすると、学校あるいは学籍に関係する色々なネットワークが幾つもあって、その結果、校長先生が4台パソコンを使っているみたいな例があります。全部違うネットワークにつながっているということですね。で、パソコンの代金がかさんでコストがかかっているとか、データのやり取りができないのでUSBでデータのやり取りをするみたいなことが起こって、それがなくなって個人情報が漏れる、みたいなことが出てくるということです。
 最近の技術では、もう同じネットワークの中でセキュリティーを守る仕組みがいろいろできてきていますので、これは自治体や学校のネットワークの再整備が必要なタイミングに、今あります。
 特に、下の真ん中に「ワンストップ」と書いてありますが、もう先生も子供たちも、一回朝ログインしたら、そこからはずっと認証がキープされていて、色々な仕事を自分のできる権限の範囲で情報を触れるようにすることが必要ではないかと思いますし、あるいは教員研修のオンライン化とか、それを受講する場所とか時間を少し自由化したような、働き方の柔軟性・弾力化みたいなことが望まれるのではないかと思っております。
 私の説明は以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続けてということになりますが、黒木委員から、2つ目のテーマである教育振興基本計画の教育現場での実効性について、話題提供をお願いできればと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【黒木委員】  よろしくお願いいたします。私は教育現場での実効性についてということでお話をさせていただくのですが、校長の経験もありますし指導主事の経験もありますので、両方の経験からお話ができればいいなと思っております。よろしくお願いいたします。
 1枚おめくりいただきまして2枚目のシートでございますが、本県の教育振興基本計画を基に例示をさせていただきながら、本県の例ですけれども、本県ですとこのように動いているというお話を、まずさせていただきます。
 一番上に、国の第3期の教育振興基本計画がございます。今般、令和5年度からの基本計画に向けて、この会議でございますが、本県の教育振興基本計画は一番下、黄色いところでございますね、ここに書かせていただきました。同じく令和5年度始期でございます。年次が書いてございませんけれども、今、取り組んでおります令和元年から4年間の教育振興基本計画が第3次でございます。そういった意味では第3期と同じ数字でございます。
 その上にありますのが、本県の、まず緑色のところが総合計画でございます。総合計画は、中長期的なビジョンの20年計画と、「アクションプラン」と書いてございますが、4年分の短期計画で成り立っております。それぞれが、やはり令和5年あたりに一つの節目がございまして、特に第3期のアクションプランは、令和5年から次の期に移ってまいります。これは4年間になっておりますのが、実は、知事の任期の反映ができるようにしてある仕組みでございます。予算を伴う施策でございますので、知事の思いも伝わるようにしてございます。
 その間に挟まっておりますのが教育大綱でございまして、水色のところ、これも同じく次の始期が令和5年からになっております。つまり、本県の場合はスケジュール上、全て次のプランが令和5年始期でございます。そのように合わせてございます。
 シートの3を御覧ください。取り出して、本県の教育振興基本計画のことをまず書かせていただきます。先ほど申し上げましたが、第3次の計画に当たります。
 令和元年度の計画でございまして、4年間でこの計画をプランニング、それは先ほど申し上げましたが本県の総合計画の短期的なビジョン、「アクションプラン」というのですけれども、その期間と合わせてございます。もちろん、計画の性格は教育基本法と本県の総計、これを計画の中でしっかりうたっております。
 右の方にゆるキャラが書いてございますけれども、これは本県のゆるキャラでございます。「宮崎犬」と書いて「みやざきけん」と言うのですけれども、あまり御存じではないかもしれませんね。よろしくお願いいたします。
 次のシートにお進みください。次のシートが、先ほど川村さんからも説明がありましたが、資料1にもありましたけれども、教育振興基本計画の基になっています教育基本法の抜粋でございます。
 教育振興基本計画は、この第17条で政府が施策の計画として定めているものでございます。これは、第17条の1行目に「施策」と書いてあるのも非常に大きな要素だと、私は思っております。
 第2項に、「地方公共団体は、前項の計画を参酌し、基本的な計画を定めるよう努めなければならない」となってございます。この「地方公共団体」という物の言い方が、一般的にといいますか、従来、今まで例えば教育施策等をそれぞれ県の中で伝えていったり、その浸透を図ったりするためには、市町村との関係というのは非常に大きくありまして、都道府県、県なりと市町村、それがどんな関係にあるのかということをそれぞれ考えながら計画というのは進んでいくのですが、ここには、書いてございますように県と市町村の役割分担はございません。横並びでございます。そこのところにも一つ課題があると思います。これが2つ目の課題かなと思っております。
 それから、一番下ですけれども、「定めるよう努めなければならない」ですから、努力義務になっているという点ですね、これがまた3点目の課題かなと思っています。
 シートの5にお進みください。本県の場合ですけれども、実は、宮崎県の行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例がございまして、条例の中で、行政上、計画の策定を議会の議決事件として定めることになっておりまして、その計画は、それぞれの部局なり外局、教育委員会なりが決めて、申し出て、さらに議決を得ることになっておりまして、本県の教育振興基本計画は、この基本的な計画に位置づけてございます。したがって、本県の計画は議決の必要があるという計画でございます。
 ここまでで一旦まとめましたのが、6枚目のシートになります。位置づけでございますが、一番上に国の教育振興基本計画があって、先ほど来、「参酌してつくる」というのも非常に大きなキーワードでございます。参酌というのは、よいところを得てつくるという形、いいところ取りですよね。長所を用いるという考えでございますから、この「参酌」という言葉が非常に、両方ある、メリットもデメリットもあると実は思っております。
 そこに本県の、一番下ですけれども、総合計画がまず横たわっておりまして、先ほど来申し上げましたように、本来のビジョンとしては、中長期的な20年ビジョンでございます。20年ビジョンと、知事の公約実現のために、知事の公約も生かすことができるような仕組みとして、4年ごとの計画をアクションプランとしてつくってございます。
 その中で、まず大綱というものが左側にございます。大綱というものの位置づけが、本県の場合は、国の教育振興基本計画を参酌して、なおかつ県の総合計画を踏まえてつくるとうたってございまして、この両方から矢印が伸びた形に、左側、なってございます。
 右側の教育振興基本計画は、同じく国の教育振興基本計画を参酌して、宮崎県の総合計画、20年分と4年分に分かれてあるのですけれども、その部門別の計画として位置づけられています。ですから、そういった意味では総計の中に含まれていると考えていいかと思っています。総合的な計画の中に含まれて、教育振興基本計画がある。
 この大綱と振興計画の両方があるというのも、また一つ、なかなか施策の浸透が難しい部分なのかもしれません。それも課題だと思っております。
 大綱につきましては、7枚目のシートでございますが、大綱自体は、地方公共団体の長が――これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律でございますので、通称「地教行法」というものですね。地教行法の上で、長が参酌して大綱を定めるものとする。大綱は、先ほど説明がありましたけれども、定めることが義務づけられております。努力義務ではないということですね。
 ここまでを踏まえて、次の8枚目のシートでございますが、それからもしよろしければ、先ほど川村さんが御説明になった資料1の中で、横並びにしてありました2枚目と3枚目のシートも一緒に参照していただけるといいかなと思っております。
 先ほどの資料1の2枚目と3枚目でございますが、2枚目のシートに、教育振興基本計画と大綱とが横並びで書いてございます。これを見比べていただきますと、先ほど来出ていますように、根拠になっている教育振興基本計画が、教育基本法上、努力義務だということが分かると思うのです。この左側のページでございますが。今画面にも映していただきました。右側、大綱は義務、「定めるものとする」となってございます。
 なおかつ、その計画について変更等がある場合には、総合教育会議、2項目に書いてございます、右側の地教行法の大綱に関わるところの2項目に、2行目ですけれども、総合教育会議という大がかりな会議を開くことになってございます。これが行政上の仕組みでございます。
 私どもの県は、この教育基本計画については、左側の、今度はまた第17条の第2項でございますが、先ほど申し上げましたように、宮崎県は前項の計画を参酌し、いいところを取って定めております。努めなければならないのですが、定めております。なおかつ、これは議会にかけて定めているわけです。そこが非常に大きいと思っています。
 それで、先ほどもう1枚のシートを御準備いただいていたかと思うのですが、川村さんのシートの、教育振興基本計画に関する状況というのがあると思います。
 これを見ていただくとお分かりのように、教育振興基本計画は、都道府県は、アですね、「計画をつくっている」というのが85%で、イ、「総合計画の一部を位置づけている」。
 本県は振興計画自体もつくっておりまして、位置づけとして計画の一部にはなっているのですけれども、実際つくっておりますので、一番上の85%に当たるところに宮崎県はあります。
 こんな形で、「両方の性格を持っている」と答えていらっしゃるウの都道府県まで含めると、100%どの都道府県もつくっているのです。それは指定都市も一緒でございます。
 ところが、市町村の方を御覧いただくとお分かりのように、だんだんと計画単独でつくっていらっしゃるという割合が減ってきます。市町村としても、市町村ごとにそれぞれ行政体力がございますので、あるいはスタッフなり人員なり、担当の限界等もございますので、少しずつ割合が減ってまいります。
 ですから、もうここは自治体の総計と一緒と考えた方がいいという判断等も恐らくあられて、イとかウというのが増えてくる形になるのかなと。合計28%でございますので、3分の1ぐらいはそうなっているということでございます。
 なおかつ、努力義務ですので「つくっていない」というところも17%あるわけでございます。
 その下に対象期間が書いてございますが、本県の場合は都道府県のところの4年のところに入るのですが、ほとんどの自治体が5年でございます。ここが一番大きな割合になっているのは、やはり国の動向を見ているということだと思います。国の動向を見ながらつくっていらっしゃるということでございます。
 それで、そもそもが、ではもう5年と5年で10年というスパンでつくっておきましょうというあたりも数は多くて、市町村あたりになってくると、もう先に10年つくっておきましょうよというので、4分の1の24%は10年でおつくりになっていらっしゃる。事情もよく分かるなあという気がいたします。
 もう1枚のシートにお進みください。この裏です。川村さんのシートの方です。資料1ですけれど、では大綱はどうなのかと申しますと、大綱については定めなさいとなっておりましたので、どこも大体、市町村が99.3%という数字がたしかあったかと思いますが、ほぼほぼ全部つくっているということになります。
 ただ、ここに御覧のように、都道府県の場合ですと、計画と別に大綱、本県もそうですけれども、各々あるのだと。いずれも教育基本法参酌でございますので、イコールだという部分もかなり多いはずなのですけれども、別々につくっているところが都道府県は多いです。先ほどから申し上げますように、だんだん自治体の規模等が小さくなってくると、このように割合が減ってきて、計画をもって大綱に代えていたり、大綱をもって計画に代えていたりと、読替えをしているところが市町村ですと半分近くあるということに、結果的になります。
 こういった仕組み自体が、ではどこまで学校まで届くのかというところでございます。
 それで、チェック機能はやはり議会がチェック機能を果たしますので、議会へは報告をしているのか、承認をしているのか等々のことでございますね、そういったところがチェック機能として今度はあると思うのですけれども、これ自体はそれぞれでございまして、本県の場合ですと議会の承認が必要でございます。先ほど申し上げました、本県では条例で議決事項になっておりますので、議会とのやり取りも当然ございます。
 そこら辺は、予算の執行具合等の点検等も当然あるわけでございます。そういったことも都度、議会では問われたりしておりますので、答弁をする必要が出てきております。
 さらに、この振興計画について、私立学校・幼稚園・大学、こういったところも当然含むのだということがあるから、「地方公共団体は」と、市町村と県を分けていないのではないのかなというのは、川村さんからも御指摘を受けました、こういった部分があるから、特に横並びにしてあるのではないでしょうかというお話でした。
 なおかつ、その基本計画を公表する際の名義は、実は分かれておりまして、教育委員会がやっている部分と、首長さんと団体の名義両方でやっている場合の割合は多うございます。
 本県の場合は、いずれも私立学校も幼稚園も大学のことも書いておりますので、一番、都道府県のところでは書いていますよという割合のところに入っております。一番左の方ですね。
 それで、また、すみませんけれども川村さんがお作りになったシートの2枚目に戻っていただいてよろしいでしょうか。戻っていただきますと、このような仕組みになっている中でつくられている振興基本計画、それぞれの県なり市町村なり、あるいは大綱なのですが、この表の下から2段目を見ていただけますか。
 これ、それぞれの根拠法の施行日がずれているのです。平成18年の振興基本計画が先で、地教行法の改正が後なのです。平成18年の12月に教育基本法は改正されていて、大綱の基になる地教行法は平成27年なのです。それが一体どうなっているのかという話なのだと思います。
 それで、申し訳ございません、本県のシートの9を御覧ください。
 少し長くなりましたが、8で、先ほど申し上げましたように、国の教育振興基本計画と地方公共団体の振興計画は参酌ということになっていますので、それぞれが横並びで、いいところ取りしながらつくればいいのです。ここに実効性の鍵があると思っています。参酌ですから選択しながらつくればいいので、いいところを選択してつくるということに目的を持っていかれれば、結構いろいろな形でつくれるのかなと思って、実効性もそこに伴ってくると思っております。
 右側ですけれども、実際、本県の場合ですと、実は、参酌をしながらつくるのですけれども、市町村の計画との関わりは深うございます。本県の計画をつくる際に、市町村からも御意見を拝聴しておりますし、本県の場合ですと高校生とかからも意見をいただいております。それから教員からも意見をいただいております。市町村からも意見をいただいております。そういうことをしながら進んでおりますので、両方の方向で矢印を赤く書かせていただきました。ここも実効性のためにさらに必要かなと思っています。
 その結果出来上がりましたのが、9枚目のシートでございます。
 9枚目のシートを御覧いただきますと、本県の基本計画が書いてございますが、ここの15の施策と4つの重点取組というのが真ん中下ぐらいにございますけれども、これが国の21の目標と照らし合わせていいところかなと思っています。
 水色で書いてありますのが、ほぼほぼ国の21の目標と重なる施策でございます。緑色のところが本県独自の施策でございます。
 ですから、3番の読書県づくり、もちろん読書県づくりにつきましては、子供の読書活動の推進等々については国にも明記はあるのですけれども、もう一歩踏み込みまして、県自体を読書県にしましょうという、これは知事の御意向を生かしながら3番目の項目があったり、8番目が、本県は少子高齢化がどんどん進んでいる県でございますので、ふるさとに対する思いをもう少し深くしたいといった考えがありまして、8番目のような、ふるさと教育をしっかりやりましょうというのがあったり、13番目でございますが、いろいろな教育が多様だと書いてございますけれども、本県は中等教育学校を最初につくらせていただいたこともあって、小中学校の連携、それから中高の連携、あるいは幼保との連携、そういったことを、自治体自体が小さくなっているところあたりは熱心にやってございます。そういったところを応援しようというのが13番目の施策でございます。
 そのようなことがちりばめてありますが、まさしくこれが参酌でございまして、この緑以外のところを参酌したというところになります。
 さらに、一番実効性があるのは下の重点取組と書いてございます4つの取組で、これらが直接、予算や施策と結びついておりまして、それらを実効性が最もある施策ではないかなと思っております。さらに参酌したというようなイメージでしょうか。
 もう少し言いますと、15の施策と4つの重点取組の上にございます、「基本目標」と書いてある、この振興基本計画の基本目標なのですが、この基本目標の1と2と4は、ほとんど大綱と同じです。
 ですから、本県の教育大綱自体が国の基本計画の参酌でございますので、この辺りが、ダブり感といいますか、同じようなことが書いてある。これらが、市町村が、先ほど申し上げましたように、どちらかを計画にどちらかを大綱にとしていることの、恐らく表れかと思います。
 最後ですけれども、そういった私どもの取組を、これは施策でございますので、この計画自体が施策であるということから、このように点検評価の必要がございます。10枚目のシートでございます。点検し、評価をして、議会に提出しなければなりません。そういった準備も、この計画を進行する中で必要だということでございます。
 11枚目のシートでございますが、そのためにどのような点検と評価をしているかといいますと、そもそもが、右上でございますけれども、宮崎の教育に関する調査、これはアンケートでございます。アンケートを12月から1月に取りまして、そのアンケートを基にして、4月の新しい年度の陣容で、点検評価をまず内部で行います。それを、その下でございますが、いわゆるPDCAサイクルですね、外部の評価に次は委ねまして、有識者に、7月。8月に定例の教育委員会にも諮らなければなりません。定例の教育委員会に諮って、なおかつ、それを9月から10月に公表する。しかし、これは実は前年度分の評価なのです。そういったものを見せて、改めて、今年度分については12月からアンケート調査が入るということになります。少し回りが遅いですね。
 実際に評価したものを、7月までに何とか学校に示したり届けたりしながら、9月・10月でホームページにはもう出ているわけですから、実際には、しかし学校を動かすのは4月でございますので、4月の1日めどに、教育長のメッセージとかいう形で、この振興計画の、先ほど少しお示ししましたような施策とか重点取組を改めて示しているような形になっています。これが恐らくスケジュールとして大きな課題なのだろうなと思っています。実効性を持つということについて言えばですね。
 少し長くなりましたけれども、いろいろな課題が、こういう行政上のものとしてもあると思っております。
 すみません、以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。教育現場での教育振興基本計画と大綱との関係などが非常によく分かりました。ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様には事前にお知らせしているとおり、ここからは、今の2つのテーマについて、それぞれグループに分かれて意見交換をしていきたいと考えております。
 なお、その際に、教育DXグループの進行役につきましては清原副部会長に、教育現場での実効性グループにつきましては牧野委員に、それぞれお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 具体的な進め方については、事務局から御説明をお願いします。
【川村教育企画調整官】  川村でございます。それでは、事前に御希望をお伺いしておりましたけれども、DXグループの先生方、こちらのZoomにお残りいただきまして、教育現場での実効性のグループの方は、今、チャットにURLをお送りいたしましたので、そちらをクリックして移動するという形でお願いできればと存じます。
 現在14時50分過ぎですので、15時45分まで御議論いただきまして、その後お戻りいただくということでお願いできればと思っております。
 それではどうぞ、実効性グループの先生方、移動をお願いいたします。
(実効性グループの委員が移動)
【清原副部会長】  皆様、こんにちは。教育DXグループの皆様、全てお残りいただいていますでしょうか。本日、司会を務めさせていただきます副部会長の清原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、会議の冒頭に渡邉部会長がおっしゃいましたように、本日の2つのテーマは教育段階を横断している課題でございます。教育段階全体の連続性、一貫性を重視するという、諮問文に示された観点からの検討に資するものと受け止めております。
 そこで、これから皆様と御意見交換いたします教育DXに関するグループ討議の進め方について、御提案いたします。
 最初に、本日は主として初等中等教育における教育DXについて、話題提供していただきました堀田先生への御質問や意見交換から始めさせていただき、その後に、高等教育や社会教育・生涯学習などの視点を含めた、教育全般に係る意見交換に進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、早速始めさせていただきます。
 堀田先生の御報告に関しまして、御質問、御意見のある方から、挙手ボタンを押していただきますようにお願いをいたします。いかがでしょうか。
 それでは村田委員から、御発言よろしくお願いいたします。
【村田委員】  ありがとうございました。堀田委員の御報告、非常に興味深く拝聴させていただきました。大学とパラレルに考えながら、大学だったらどういう問題なのだろうと思いながら聞かせていただきました。私からの質問は提言3のところ、丸3のところ、デジタル教科書の本格的整備のところに関してなのですけれども、最終的に、紙とデジタルと両方使い分けていかなければならないというような御提言だったと思うのですが、恐らく、教材とまた教科書とが不可分、まだ区分されていないということなのですが、教科書をつくるとした場合に、例えば高等教育でも、こういった教材をつくるときに膨大な費用と、それから膨大な時間と手間がかかります。
 国の教科書ですから、当然この辺りは国が費用を負担するのかもしれませんが、費用対効果ということを考えた場合に、デジタル教科書と紙ベースとではどう考えられるのか。あるいは、教科書をデジタル化したときに、紙ベースではない教科書のメリットみたいなものがどのように考えられるのか、お教えいただければと思います。
【清原副部会長】  御質問ありがとうございます。
 堀田委員、デジタル教科書の費用対効果でありますとか、また、メリットについての御質問です。よろしくお願いいたします。
【堀田委員】  まず、メリット等の話からさせていただきます。私のスライドでいえば11ページになります。
 これは実際に検討されている会議で配付された資料ですが、デジタルですので、紙と違って、任意の場所を拡大したり、線を引いたり、あるいは背景色を入れ替えたりすること、これは障害のあるお子さんに非常に有効と言われています。あとルビを打ったり、機械音声で読み上げたりする。これは日本語に通じない方に有効と言われています。
 こういうふうに、様々な合理的配慮という観点からのことが、紙の内容と同じものがデジタルになるだけで、その点が非常に有効だろうと。
 あともう1つは、デジタル教材がいろいろ出てくるわけですが、デジタル教材とデジタルの教科書が行き来できるような形での仕組みをつくろうとしたときに、デジタルの場合はですが、こういうことが、メタデータを埋め込んでネット上の仕組みで自動的にリンクされるとか、そういうことが実現できるだろうというメリットがございます。
 もちろん、紙の方が現状では学び慣れていますので、そういう意味で、デジタルで学ぶことにこれから慣れていくと、紙の方がいいという意見が少しずつ、相対的には弱くなるのかなと思っていますが、現状では紙の方がいいという声はあります。それは多分、教材にもよる、題材にもよるし、教科にもよると思うのです。あとは発達段階にもよるかと思います。
 この辺り、総じて効果はこういうふうにあるが、どの学年のどの教科から移行していくかについては、慎重に検討することになっております。
 もう1つ、費用対効果の話というかコストの話で申し上げると、日本では、いわゆる紙の教科書においては、義務教育段階の紙の教科書は、全て費用負担は国が行っています。これを無償給与と言いますが、全ての教科の教科書を、全国津々浦々の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、彼らにみんな、4月の入学・始業式までにちゃんと届けると。これに係る様々な開発あるいは流通の経費等は国が見るという、そういう措置がされております。大体400何億かかっていると聞いていますが、毎年ですね、そういう意味で、デジタルにしたらこの部分のコストダウンができるのではないかということが期待されています。
 ただし、最初の段階では、まずは配信の仕組みとか認証の仕組みというようなことが、今度は地方自治体のネットワーク上で無理なく行われることがちゃんとできるかどうかというようなことについて、いろいろ実証実験等を重ねていく必要がありますので、現状は、外国語、英語の教科書を中心に、一部の教科の教科書について、国の補正予算でつけて、色々な学校で使っていただいているという、まだ現在はそういう段階中です。
 これが、インフラが整ったら、恐らく流通コストも下がるのではないかと考えられますが、まだそこまでは至っていないという現実がございます。
 長くなりました、お答えとなりますでしょうか。
【清原副部会長】  ありがとうございます。
 村田委員、いかがでしょうか。
【村田委員】  ありがとうございました。
【清原副部会長】  それでは永田委員、お願いいたします。
【永田副部会長】  ありがとうございます。説明いただいた中で、現実的な教育の現場のことを考えたときに、例えば5番目のスライドでDX段階を第1、第2、第3段階とまとめています。
 この第3段階の持っている意味を教えられているのだろうか、あるいは教える気があるのだろうか。そこが明快ではないような気がします。
 インフラ整備もできる。それから、先ほどの教科書の問題も、ある程度のメリットを見つけてやっていくのでしょうが小学校・中学校のときに、デジタルトランスフォーメーションは、つまり社会変革であるということを本当に教えているのだろうか、あるいは教えるような仕組みになっているのか。
 もしないのであれば、それをまず徹底的に教えない限り、単なる機械遊びや数学のちょっとしたクイズのようなものになってしまうのではないか。それが実は一番心配であり、指導要領が変わって本当にそのようになっているかどうか。もし、なっていないのであれば、次の基本計画を立てるときにそのようなものを織り込んでいかないと、将来の本当の意味でのデジタル人材は程遠いのではないでしょうか。
 1と2は確かに必須で、そこを超えないと3がないのは分かっているので、それは次の5年間や今の延長で行えばいいが、先を見据えたらその最後の段階を概念的に、また実質的に身につけさせないと、デジタル人材はできないのではないかと危惧していますが、いかがでしょうか。
【清原副部会長】  ありがとうございます。大変根本的な、まさに私たちに託されている横断的な視点からの御意見ですが、これは堀田先生にお答えいただいた方がよろしいですかね。
【永田副部会長】  もし御意見あればお聞きしたいと思います。
【清原副部会長】  はい。そして、これ以降、どうぞ皆様のお話で重なり合う部分があると思いますので、どうぞ堀田先生の御報告に触発されて、ほかの観点からの御意見等も伸びやかに発言していただければと思います。
 それでは堀田先生、よろしくお願いします。
【堀田委員】  永田先生、ありがとうございました。私も全く同感でございまして、もっと言うと、DXというのが学習の内容としてちゃんと埋め込まれているかということのみならず、そういうことを教員がちゃんと社会の変革ということを捉えて子供たちを育てているかという点で、まだ大きな課題があると認識しています。
 ですので、そういう意味では、この社会の情報化、私たちの生活の情報化、これによる社会の変革、こういうようなことがどういうふうに起こっていて、それを私たちは、望ましい社会にしていくために、どのように人間として社会形成していくのかということをちゃんと教育内容にすべきだと思います。
 そのためには、プログラミングの体験だって必要だと思うし、デジタルを通じてクラウドで色々な人とつながるという経験も必要だと思いますし、そういう断片的なことは何とかGIGAの端末でできるようになってきたものの、それが子供たちの能力育成として体系化できていないというのが現状の課題と私は考えておりまして、これが「情報活用能力を確実に育成する」という言い方で体系化した教育課程を国が提示すべきではないかというのが提言2のところでございます。御意見ありがとうございました。
 以上です。
【永田副部会長】  ありがとうございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。大変重要な点が指摘されてきたと思います。ありがとうございます。
 それでは松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  ありがとうございます。全般を見通していただいて、よく理解できました。ありがとうございます。
 今のお話とかなり関連するのですが、私もやはりこのDXの段階で、第1段階は単に紙がデジタル化していくという、メディアが変わっていくということなのだと思うのですが、だんだん第2段階、第3段階から、DXの社会的な意味以外にも、教育内容がやはり根本的に変わっていくということを考えていかなければいけないのではないか。単に方法が変わっていくとか手段が変わっていくだけではなくて、例えば教えるべき中身ですね、具体的に言えませんが、例えば手で書いていたものがデジタルという手段で変化していくとか、今まで紙では得られなかった知識の習得の仕方がどんどん広がっていくとかいうことがあると思うので、教育内容の変更、具体的に言えば学習指導要領になるのかと思うのですが、その辺りをもう第2段階ぐらいから視野に入れていかなければいけないのではないのかなと、伺っていてそういう感想を持ちました。ありがとうございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。まさに手法として教育DXを捉えるだけではなくて、教育内容の変化、社会の変化とも関連づけて、私たちは提案していきたいと思います。
 小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  ありがとうございます。私2点ありまして、今の点の延長のお話としては、そうしますとやはり教員の育成において、この第3段階のデジタルの教育というのを教えるような教育をできるような人材の育成というのが急務ではないかと、まず一つ思いました。
 それから、少し別の視点なのですけれども、学校における現場の負担軽減ということなのですけれども、ここの14ページにいろいろ提案があるのですけれども、実際これを実行しようとすると、恐らく現場ではできない理由がいろいろ上がってくるのではないかと思うのです。これは教育の現場に限ったことではないと思うのですけれども。
 その時に、やはりメリットとデメリットを出したときに、どういう時間軸でメリットを考えるのかを明確にしておかないと、なかなか現場では、目先の負担が増えるからできないという結論になってしまうと思うのですけれども、例えばこの14ページを実行していくに当たって、どれぐらいの時間軸を――本当はこれ、早ければ早いほどいいのですけれども、進めていくに当たって、どれくらいの時間軸を念頭に置けば実行可能になるとお考えでしょうか。
【清原副部会長】  御質問いただきました時間軸のことなどについて、堀田先生、何か御見解があればよろしくお願いいたします。
【堀田委員】  ありがとうございます。まず、今2つ出たので、1つ目から簡単にお伝えしますが、要はDXの時代を見越した、教員になる人たちの資質向上というか、そういう教員養成が重要であると。これはそのとおりだと私は思っております。
 一方で、全国の教員養成大学や教員養成課程における教員養成の仕組み、あるいはそういう学習環境が、まだ十分にそのようになっていないという現実があります。これについては各教育学部等で御努力されているところかと思いますが、文部科学省としては教員養成のフラッグシップ大学というのをつくって、そこから推進していくと聞いております。
 2つ目の負担軽減の時間軸についてですが、私もこれは早ければ早い方がいいと思うのです。ただ、現場が「できない」と言ったときの、その現場の「できない」というのは、先生の力が十分でないからできないということだけでは全然なくて、むしろ、うちの自治体のネットワークがそういうふうになっていないからできないというような、教師がどれだけ工夫したり努力しようとしても、とても――学校というのは義務教育だと市町村立がほとんどですから、市町村の色々な仕組みの中でやはり動いていますので、そこの色々な条例とかネットワーク整備の方針とか、そういうことによって新しい方向に移り切れないという現実がございます。
 ですので、これはマスコミ等では教師の資質の問題に還元されることが多くございますけれども、実際は、これは学校の設置者に真剣に考えていただくような仕掛けを、国としてどうするかという話なのかなと私は思っております。
 時間軸について十分答えられていなくてすみません。
 以上です。
【小林委員】  ありがとうございます。ということは、今、別の分科会の方でやっている実効性というところに、やはりこの問題を併せて考えていただく必要があるということですね。
【堀田委員】  はい、そういうふうに思っています。
【清原副部会長】  そうですね。そのように思います。まさに、計画をいかに具体的に、時系列を踏まえて計画的に行っていくかという、小林さんが指摘されたとおりのことなので、まさに基盤のこととして、相互にこの課題も位置づけていかなければと思います。
 それでは、続きまして安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】  ありがとうございます。質問が1つございます。デジタル化促進のためには、やはりこれからどう予算を獲得するかというところも大変な問題だと認識します。
 それで、我々企業側としては、やはり予算獲得の手順とすると、まずスモールスタートで実験をして成果を上げて、徐々に拡大して成果を確定して、効率削減を前提に予算を獲得していくと、こういった手順を踏んでいくのですが、学校現場においては、このような生産性向上を目的にした実験の推奨体制とか、またはそういった実験に対する発表の場みたいなものは用意されているのでしょうか。
 以上です。
【清原副部会長】  重要な御質問です。民間からの視点ですが、これは堀田先生、あるいは事務局、どちらがよろしいでしょうか、お答えいただくのに。
【堀田委員】  私でできる範囲をまずお答えすると、基本的にはそういう研究指定があったり、あるいは何か国から、手を挙げた自治体に委嘱するような制度は幾つかございますが、今の段階ではこれを、自治体を挙げて行うというのは、先ほどのネットワークの整備とかそういうことから全部ありますので、あまり簡単ではないので、できるところを頑張ってやっているところの好事例を集めて、文部科学省が吸い上げて整理してフィードバックするというぐらいに、現状ではとどまっているところがあるかなと、私の認識ではそういうふうになっています。文科省の立場から回答されると少し違うかもしれません。
【清原副部会長】  そうですね。どうですか、森友さん、どうぞ。
【森友文部科学戦略官】  一般的には、文科省でも予算事業などで実証研究事業を立ち上げながら、現場での取組の成果を確認しながらやっていっております。
 デジタルの関係でも様々な予算がついておりますので、そういった事業もその中にございますので、実際の成果を確認しながら、財政当局とやり取りをして予算を確保するという流れになっております。
【清原副部会長】  安孫子さん、いかがでしょうか。
【安孫子委員】  ありがとうございました。
【清原副部会長】  それでは吉見委員、お願いいたします。
【吉見委員】  ありがとうございます。これは半分意見になってしまうかもしれないのですが、私は、教育DXの一番の力は横串の力だと思っております。既存の縦割りを突き破って、様々な水平的ネットワークをつくっていってしまう力です。
 例えば学校の教科とか専門分野、あるいは個々の学校とか学部とかの社会組織の間の縦の壁、それから教育課程と図書館、様々なミュージアムだとかの制度の壁、様々な既存の縦割りで分かれていた組織体制を水平的に突き破ってしまう力が、デジタル化の中にはあると思いますし、それが学びにとって大変大きな意味を持つと認識しております。
 その観点からいうと、3つ重要なことがあるのではないかという気がいたします。
 1つは映像の問題です。例えば、川口のNHKアーカイブスには、70万以上の番組コンテンツと500万項目以上のニュースコンテンツがデジタル化されて蓄積されています。民放までを含めると、横浜の放送番組センターにかなりのデジタルコンテンツがあります。
 それを教育利用していこうという動きは過去にもいろいろあって、最近では、例えば夏目漱石の『こころ』をドラマ化した優れた番組がある。そのコンテンツを国語の授業で活用すると、生徒たちの間で漱石の文学についての理解がすごく深まったという事例が報告されています。他にも、美術系の番組を使いながら美術の先生が授業をしている。
 社会科とか理科はもっと使いやすいと思いますが、国語とか美術とかの科目でも、過去に放送されたアーカイブ映像を使って、今の生徒たちの知的想像力を広げることができます。つまり、もっともっと放送局でアーカイブ化されている映像をオープンにして、授業の中に取り込んで使っていくことが、これからの教育DXの主要な課題となるはずです。
しかし、それらの映像は、NHKや民放の放送局だったり、映画会社だったりが持っているわけで、彼らは自分のコンテンツでお金儲けをしようとしていますから、国がきちんと介入しないと、未来の子供たちのためには生かされていきません。
 2番目なのですが、DXの話とオンライン授業の話は、セットでやはり議論されるべきだと思います。つまり、「境界を越える」と言いましたけれども、違う地域にいる人たち、違う国の人たち、それから子供たちでも違う学校にいる子供たち、これが同じ授業でグループワークしていけることが、教育DXにおいて大変大きい意味を持っています。ですから、教育DXと授業のオンライン化はあくまで一体であるべきです。学校を超えて地域が結ばれるオンライン化など、そうしたトランススクール、トランスローカルな問題を、DXの一環として考えていく必要があるのではないかという気がいたします。
 3番目ですけれども、今、私たちはとてつもない情報過多の社会に生きています。その溢れる情報には、フェイクニュースとか怪しい情報も山のようにあり、また私たちから情報を盗み取るような罠もあるわけですから、そのような情報、あるいはメディアを批判する力をどのように教えていくかということがものすごく重要です。データとか情報を、便利だから使うというのではなく、もっと批判的に子供たちが自分たちで考える力をどうつけていくか、それが大切です。大学生も、まさにそうなのですけれども。
 実際の現場を知り、ちゃんと現場に内在する。ネット情報だけに頼らないというか、現場を知ることの重要性をいかに理解させるかということ、この辺りも、DXと一体になって進めるべき重要課題ではないかと思っております。以上でございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。御意見として承ります。まさに横串を刺す力を生かすためにも、映像のアーカイブを生かし、そしてオンライン学習の可能性をもう少し追求することと、何よりも批判能力も含めた力をということです。
 それでは、45分までの時間を有効に生かしていただきたく思いまして、次に内田委員、河野委員、今村委員、三好委員、そして黒沢委員、どうぞ、御意見あるいは御質問をお願いいたします。
 それでは、内田委員からお願いします。
【内田委員】  ありがとうございます。堀田先生のお話、すごく参考になりましたし、また、色々な形でデジタルの波及効果というのがあるのだということについても、改めて感じるところがありました。
 この間の事前のディスカッションのときにも少しお話をさせていただいたことなのですけれども、一つは、DXになることによっての価値といいますか、あるいは成果指標みたいなものをどう考えるかということを、やはりこの会議の中でも考えていかなければならないのではないかなと思いました。
 資料をいろいろ拝見していると、やはり導入率はよく描かれていると思いますが、その後実際にどうなっていくのかというフォローの観点も必要になってくるのではないかなということに、堀田先生のお話をお伺いしていて改めて気づかされました。
 例えば、ウェルビーイングの観点からいうと、デジタルの教科書やコンテンツを使うことで、本当に学習が進んで、楽しいなとか、知りたいことを深く知ることができるからチャレンジしたいモチベーションというような、いわゆる主観的な意欲につながっているのかどうかということは、やはり考えておく必要があるかなと思いましたし、また、先生のお話の中でも出てきたように、保護者、先生、それから子供たちにとって、便利で楽ということだけではなくて、実際には空いた時間で色々な作業ができるとか、もっと深掘りの学習ができるとか、スムーズなコミュニケーションができるというような、社会的なつながりということにも展開していくということもあるのかもしれません。
 せっかく端末があるならば、定点的に満足度を聞くこともできるのかなとも思いますし、そうしたフォローの測定の仕組みづくりも考えていく必要があるかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【清原副部会長】  ありがとうございます。教育DXのまさに成果とか評価とか、多元的な方向性を御提案いただきましたが、堀田先生、コメントございますか。
【堀田委員】  いや、そのとおりだと私は思っています。今まではやはりハードウエア等の整備率みたいなこと、何%みたいなことに終始してきた、そういう時期だったのだと思うが、これからはやはり質が上がっているかどうかをしっかり見ていく時代かなと思います。ありがとうございました。
【清原副部会長】  ありがとうございます。定量的評価も重要ですが、定性的な評価を、教育DXもしっかりと、という御意見です。
 それでは河野委員、お願いいたします。
【河野委員】  よろしくお願いいたします。いろいろお話をお伺いしていまして、これまで、特に国際理解教育の分野では、学校現場でのデジタイゼーションが非常に遅れていると感じておりましたので、このコロナ禍で非常に教育DXの推進が急ピッチで進められたことで、国際理解教育の現場で変化が生まれているということ、今後に向けての可能性についてお話し申し上げたいと思います。まず、国際理解教育が実体験のものだけではなくて、バーチャル体験とのハイブリッドで展開するようになったということ。
 コロナ禍で、各国の水際対策で、いつ留学できるか不確実な中で留学を待つというような状況でしたので、その間に様々な活動がオンラインで行われるようになりました。
 例えば留学前にオンラインで文化体験学習の理論を自主学習で学んだり、同じように留学を志している仲間とオンラインライブによる交流をしたり、留学先のホストファミリーですとか受入先の高校とオンラインでつながったりして、実体験の期間が短くても、参加者や受入先の方々の満足度が非常に高くなったという体験をいたしました。
 あと、対面での留学説明会や留学試験の実施をやめてみたところ、離島であったり、これまで応募の少なかった都道府県・地域からの留学希望者が増えたという体験もいたしました。
 そういった体験を通じて、今後に向けての可能性としては、やはりデジタルの活用によって、グローバル教育推進の機会提供というのはより広がるのではないかと思います。
 それから、学校における普及が進みますと、海外の教室同士をつなぐということで、これまでのように1人の留学生の体験を通じて聞く話というのが、教育全体の実体験に変わるということ。それから、留学団体というものの関わり方なども、学校同士をつなぐという役割に変わっていく可能性も秘めています。あるいは、国際理解教育担当の先生方の育成に、留学団体が積極的に関わっていくことができるということで、限られた人への教育の機会ではなく、誰一人取りこぼさないグローバル教育への可能性を大いに秘めているのではないかなと思います。
【清原副部会長】  どうもありがとうございます。先ほど吉見先生が、オンラインの力で小規模の学校でもつながることで理解が深まるとおっしゃって、国際理解教育だけではなくて国内理解教育というか、そういう意味での可能性を、今の河野さんのお話からさらに確認をさせていただきました。ありがとうございます。
 それでは今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  ありがとうございます。大変勉強になるお話をいただきまして、ありがとうございました。
 1つ堀田先生に質問といいますか、この場の使い方について自体の質問なのですが、この場というのは、堀田先生に投げ込んでいただいた論点を皆さんで議論をして、次期計画にどんな文言を載せていくといいのかということを検討している場なのかなと思っているのですが、その中で堀田先生から、教育データ利活用ロードマップでは、現状、教育DXに向かうための第2段階として、まず2025年まではしっかりやるべきだと書いてあると。堀田先生としても、とにかく第1段階から第2段階への誘導促進をということが現実的な落としどころであるということなのですが、今回の計画においては、どこまでを見据えた理想を書くべきなのかということについて、現実的に堀田先生が今どうお感じになっているのかということをお聞きしたいです。また、これはこういう国の計画をつくることに参加したことがない素人の意見なのですが、提案としては、もしかしたらこれって、企業とか、私たちNPOとかでも何か目標をつくるときに、ベースシナリオとリスクシナリオとベストシナリオを3段階でつくったりするのですが、本当はDXまで行きたくて、それには幾らかかって、このようなことまでやればベストにたどり着くかもしれないが、しかしベースとしては、第2段階ぐらいまで行くならまずこれをすべきだよね、みたいなことを、2段階ぐらいで計画に書くのがいいのかななんていうことも思いながら、この計画での明記の仕方というところについて、どのようにすべきなのかなということも思いながらお聞きしていました。
 最後にもう1点なのですが、先ほど吉見先生がおっしゃっていたこと、本当にまさに私もそうだなと思っていまして、今とにかく一番の危機は、教員採用倍率が現実的にだだ下がりだという点だと思っています。そのような状況にもかかわらず、学校の先生の仕事がめちゃくちゃ難易度が上がっていっているという現実を踏まえたときに、先生たちの仕事が「自分で教える」ではなくて、社会資源のコーディネートに徹して、個別的な対応と個別的な探究支援、探究伴走を、とにかくいろいろな資源を駆使するようにできるためにDXを働かせるというところまで行かないと、それでいうとベストシナリオにはたどり着かないし、本当に採用倍率ゼロみたいな、1倍を切ったというニュースが最近話題になっていた県がありましたが、そんな現実が迫っている中で、やはり急ぎたい、急ぐためのシナリオをどう書いていくのかというところには検討が必要だなと思いました。すみません、質問したり提案したり、いろいろ言ってしまったのですが、私の発言は以上です。
【清原副部会長】  ありがとうございます。まず堀田先生、そして、もしこのことについて対応というか、お答えがある方は発言していただければ。
 では堀田先生、まずお願いします。
【堀田委員】  ありがとうございます。デジタル庁のロードマップで、2025年までは大体第2段階だと書かれているというのは、これはそう書いてあるので、彼らの考えなのだと思います。私も大体そのぐらいかなというのが、私の感触です。
 ただし、これは領域によって色々なことが起こっていますし、授業がかなりもうDXなのではないかというような授業になっているところもあるのです。だから、これは学校によって、早いところはもう早く到達しているところはあると思います。
 教師の役割とかが、それこそ学習の伴走に大きく変わっているような、そういう授業というのは、第1段階・第2段階を一生懸命やったところは既に達し始めていますし、それはもしかしたら、子供たちの様々な能力や興味・関心に応じた、まさに個別最適な学びを実現するというのを、教室においてある程度やっているということなので、それは第3段階にもう至っているのではないかと私は思うときもあります。
 ですが、国として、指標を基にこの計画をつくっていくときに背伸びし過ぎると、実現しなかったではないかという評価になって、そしてそこに予算がもうつかなくなるというのは、私はそういう意味ではリスクだと思っていることを考えると、今、GIGAの端末が来て、先生たちも一生懸命頑張っていらっしゃるので、第1段階はまあ行くと思うのだが、やはり第2段階ですね、色々なことが本当に便利だと実感されて、やり方を変えてみようかということが始まるようなことまでは、少なくとも第4期で、あらゆる教育場面で第2段階までは全国で確実に行われるべきではないかと考えております。
 私の意見は以上です。
【清原副部会長】  ありがとうございます。文部科学省で、教育DXでこうした計画を検討されている方の認識はいかがですか。参考までに伺えれば。お願いいたします。
【桐生調査企画課長】  教育DX室長の桐生と申します。我々DX室でも、4省庁の教育データ利活用ロードマップにおいて、政府全体のデジタルの計画が大体2025年を一つの目安としていることが多いので、それでいうと教育分野も、2025年までにできることというのはやはり第2段階ぐらいが想定されるだろうといったことで、我々も捉えてやっております。
 ただ、その上で、この議論を進めていく上で、第3段階とはどういうものかというのはやはり数々いろいろなところで議論が出てくるので、我々も第3段階というのはどういったものであって、それを見据えて第2段階、第1段階というのをちゃんと線を引いていく必要があるなと考えているところです。
 以上です。
【清原副部会長】  ありがとうございます。今村さん。
【今村委員】  ということは、ビジョンとして、第3段階はどんな世界観が広がっていて、その時、学校という組織はどんなリソース調達ができているかとか、先生の仕事がどうなっているかということを描いた上で、計画では、今回は第2段階だからここまでは到達しよう、というような資料になれば、イメージしやすいのかもしれないと思ったのですが、そういう感じになるべきということでしょうか。
【清原副部会長】  そうですね、今の皆様のお話を伺っていると、今村さんがおっしゃったようなことだと思いますし、先ほど堀田先生がおっしゃった、例えば、今、配付されているタブレット端末も、また更新しなければいけない時期というのも第4期にはやってくるわけで、そのことについては国も努力されるでしょうが、自治体も努力をしなければ、その更新は円滑には行かないと思うので、先ほどリスクシナリオともおっしゃったのですが、自治体もよくリスクシナリオは考えるということがありますので、どういう条件を整えなければ達成できないかという要件も明確にした計画にしていかなければならないということを、今村さんの問題提起から、私たちは受け止めることができたと思います。ありがとうございます。
 それでは三好委員、お願いいたします。
【三好委員】  ありがとうございます。委員の皆様の御意見をいろいろお聞きしていまして、学校の設置者として、また、教職員、校長、子供たちの日々の今の様子を見ている者として、おっしゃっていることはとてもよく理解できます。また、それぞれの、現在・これからに対する問題意識等もよく理解できます。
 一方で、なかなか一つ一つの、例えばデジタル教科書の導入とか試行も、本市では全部の小中学校で試行はしております。また、端末をGIGAで配付することができましたので、教育委員会主導、学校・教師主導でなくて、とにかく使うということ、まず使うことを目的にどんどん使い始めていますから、その中でも子供たちの、慣れるということから、自分でどんどん探して色々な機能を使い、セキュリティーもかいくぐってやってしまうということも含めてやるような状況を見ながら、これまでの学校や教室の姿が大きく変わってきている状況はあります。
 一つ一つ、このように取組は始まっているのですが、委員の先生がおっしゃったように、DXは社会変革なのだと。このように大きく、構造というか価値観も含めて変わっていくということが、できるところから、できるものから五月雨的に入っていく中で、学校はそれを一つ一つ受けながら、その理解もしながらやっているというのが現状だと思っております。
 ですから、教職員の資質・能力について色々な御批判をいただいたり、設置者としての管理とか指導の不十分さを御批判いただいたりすることは謙虚に受け止めますし、そうだということも思っておりますが、一方で、これまで明治以降変わらなかった学校と言われる中で、5年先、10年先の教室の姿や学校の姿がなかなかイメージできません。
 この計画は、次期期間内での実効性ということも諮問の中でありましたけれども、一方で、2040年以降の社会を念頭に置いてという中で、なかなか5年、10年後の学校の姿を描くというのは難しいのかも分かりませんけれども、それを第何段階というのか、DXで言えば2段階、3段階という言い方になるのかも分かりませんけれども、未来の学校の姿を描きながら、ではどこまでとか、何を。
 それからデジタル教科書は、紙がデジタルになったということではないというのは十分認識しておりますが、デジタル教科書を使うということと、授業の内容を理解する、教える、学ぶ、またそれを評価するとなると、当然、教育課程や教育内容や時数との関係も出てくると思うのです。
 不登校もどんどん増えていますし、その中で学校のハードも内容も、では、その5年後、10年後の学校はどのような姿になるのというところから戻って、このDXから、また振興基本計画で何を描くのか、何をこの中に表現されるのかというのは、設置者として、また、学校の教職員、子供たち、管理職の側から見て、難しいと思うのですけれども、未来の学校の姿をもう少し見たいというか見せる、国として実現したい価値とか姿がこうなのだということを、難しいと思うのですが示す必要があるのではないかと思いました。
 皆さんの御意見をお聞きしながら、よりそういう思いがいたしましたので、意見を述べさせていただきました。
 以上です。
【清原副部会長】  ありがとうございます。それでは、45分までの予定ですので、黒沢委員、そして大日方委員に続けて発言をしていただいて、それで最後に堀田委員に一言と思っております。では黒沢委員、お願いいたします。
【黒沢委員】  ありがとうございます。堀田先生、本当にありがとうございました。
 現場を預かる校長としては、もう第1段階であがきまくりというところで、とてもではないが第2段階には行けないなというのが今の現場です。
 その中で、やはり先生方から出てくることで、参考までにお伝えしておきたいなと思ったのが、デジタル教科書は僕も大いに結構だし、いいなあと思ってはいるのですが、やればやるほど子供たち、画面ばかり見るようになるのです。先生の顔を見ないのです。
 ベテランの先生は、顔を見て子供たちを指導していくというのがやはり身についているので、画面ばかり見られると、もうベテラン教員はお手上げ状態となる。若い先生は、逆に子供の表情なんか関係なくばんばん授業を進めていますから、「デジタルいいですね」と、このようになってくるわけです。
 子供たちはどうかというと、うちの学校の場合、不登校の子供たちを集めていますから、人の顔を見るのが苦手な子しかいないのです。ですので、デジタル教科書をやると喜んで勉強するのです。でも、人の顔は一切見なくなります。隣の子とも話をするのは苦手な子たちですから、余計、デジタルを与えれば与えるほど、殻の中に入っていく。
 本校でもオンライン授業とかやったことあるのですが、オンラインをやると学校に二度と来なくなるので、今はオンラインをやめたりとかそういうこともしているので、デジタル教科書を導入していくときに、それが逆効果になっていくケースもあるのだというところは、ある程度意見として上げておきたいなと思います。
 以上です。
【清原副部会長】  ありがとうございます。三好委員も黒沢委員も、学校の現場がどうで、そしてこれからどうなるかという、非常に重い問題提起をいただきました。
 それでは大日方委員、お願いいたします。
【大日方委員】  ありがとうございます。私は渋谷区の教育委員も務めておりまして、渋谷は比較的、DXに一生懸命取り組んでいる中で、先日、興味深い報告をいただきました。
 デジタルの教科書と診断補充型の教材を連携して、算数の授業で、個別最適な学びというのはどういうものなのかということを実際に取り組み始めたということでした。今日のお話でデジタル教科書とデジタル教材を分けた御説明をいただいて、なるほどと思ったのですけれども、本当にこれを進めていくということであれば、やはり覚悟を持って取り組むことが必要で、できるものから順次というのも予算的な意味合いでは大切なことは重々分かるのではありますけれども、やはり、デジタル教科書はここまで、教材はここまででと区切るよりは、本当にこのメリットを得るという覚悟を決めるのであれば、ここに費用を投じるのだという、覚悟も含めてしっかりとやっていく。
 恐らく使う子供や教師から見れば、デジタル教科書のここはこうで、教材はこうでと分けて考えないと思うので、ここでの議論というのも、理想の形はこうだよというもの、第3段階のものはこうだよということをしっかりと見せていくこと、それによって現場の先生方も、これは導入することの意義があると理解できるのではないかなと感じました。
 特に学びの進みが早い子、ゆっくりな子がそれぞれいる中で、学習の進捗は一人一人がどんどん違って当然で、それぞれのペースで学べることで理解が深まります。そういう中で、このデジタルというところは非常に重要なのではないかと感じました。ありがとうございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。
 すみません、ほぼ全員の方に発言していただいたのですが、荒瀬委員、一言あれば。あと少し時間がありますから、一言どうぞ。
【荒瀬副部会長】  ありがとうございます。
 いろいろ伺っていまして、社会の変化のスピードに学校がついてこられていないという批判がたくさんあって、それは一方でそのとおりだと思っています。
 ただ、学校が社会の変化のスピードについていけるような、ちゃんとその手だて、それは例えばお金の面とか人の数の面とか、あるいは具体的に人の質の面というところは、大学であったりとか、あるいは研修をやっていく、うちもそうですけれども、そういったところがちゃんと機能しているのだろうかといったようなことを思っておりました。
 さらには、社会の理解ですね。先ほど堀田先生がお出しになった、例の働き方改革の項目を見ても、学校がやることはある意味限られているはずなのですよね。それがもう今は何でもかんでも学校でとなっている。そこのところに対する、社会という言い方がいいのかどうか分からないのですけれども、学校を取り巻く人たちの考え方の転換ということも、ぜひ、やっていただかなければならないなと思います。
 最後に、デジタル化が進むのは多分当然でしょうし、これをいかに使っていくか、あるいは、場合によっては使わないかという、その辺の、使っていけばいくほど使い方が分かってくるので、今まだそこまでは行っていないでしょうから、そういう中でいろいろな面を併せて考えていく必要があると思いながらお聞きしていました。ありがとうございました。
【清原副部会長】  ありがとうございます。
 では堀田先生、今日、話題提供者として皆様の御意見を伺って、一言まとめをお願いいたします。
【堀田委員】  皆さん、ありがとうございました。私も、これは提案した甲斐があったなというぐらい、皆さんのいろいろな御意見をいただけました。
 最後に、時間がないでしょうから1つだけ。吉見委員がおっしゃった、情報があふれる社会において、子供たちはもっとメディアあるいは情報に対する冷静な判断ができる、そういうリテラシーが必要だということについて、私も全く同感でして、ところが、これは国語なのか、数学なのか、理科なのかみたいになると、やはり既存の内容に引っ張られてしまいますので、私はこのことを取り立てて教えるようなことが情報活用能力を育成する体系的なカリキュラムの中に存在すべきではないかと考えております。
 そういうことを改めて、この分野の大御所の吉見先生から聞いて、私は意を強くしたところでございました。ありがとうございます。
【清原副部会長】  ありがとうございます。私も、メディア教育を専攻していたものとして、今日、本当に皆様が基盤としての教育DXの重要性を多面的な角度からお話しいただいたことで、より深めることができました。御協力ありがとうございました。
 それでは、時間を1分過ぎましたので、これで教育DXグループの討議を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。
 それでは、もう1つのグループの皆様が戻っていらっしゃいますので、このままでお待ちください。よろしくお願いいたします。
(実効性グループの委員が移動)
 
(実効性グループの議論)
【牧野委員】  それでは、これから意見交換に入りたいと思います。
 最初に、黒木委員から、宮崎県を事例にして、実効性をどう高めるかという御議論をいただいたかと思います。例えば宮崎県の場合ですと、「参酌して」ということをどう捉えるかといったことも含めて、教育基本法も地教行法も、参酌をして、あと地域の実情に応じて定める、また、努力義務か義務かという違いはありますけれども、計画・大綱をつくらなければならないというお話があり、その上で、宮崎県としては、20年ビジョンをつくって、さらに知事の任期に合わせる形で4年間のビジョンをつくってらっしゃる、アクションプランをつくってらっしゃるというお話がありました。さらに、この問題にかかわって、県と市町村の関係とをどう考えたらいいのかといったご提案、また計画と大綱との関係をどう捉えたらいいのかというような、御提案、御指摘があったかと思います。黒木委員から補足等ありましたら、最初に御発言いただければと思いますが、いかがでしょう。
【黒木委員】  ありがとうございます。今おっしゃっていただいたとおりで、整理しますと、まず、地方公共団体が横並びだということで、ちゃんと市町村の小中学校まで届くのかなというのがあります。施策としてですね。多くの行政ルートとしては、国から県に来て、それから県が市町村に照会させていただいて、そこから市町村の教育長さんから市町村立の小中学校に伝わる、そういった階層を経るのですね。今回そういったことは明記されておりませんので、本県ですと市町村ともやり取りしながら、あるいは市町村の事情もお聞きしながらつくってはおるのですけれども、私自身が市町村の中身がどうなのか実はよく知りません。そこまではコントロールできていないということかもしれません。
 また二つ目に、施策であることは非常に大きいと思います。ゼロ予算のものもあるのでしょうけれども、予算を伴って実効性がないといけないということで、どうしても議会との関係が出てまいります。先ほど来のいろいろな国の計画にしましても、6月ぐらいに出来上がっているのですね。それは議会との関係だと思います。国会ですね。本県の場合ですと6月に議会がありますので、その後に本県のものは6月や7月に出来上がっています。ですからこれも議会を経ているということなのですね。その辺もスケジュール上非常に大きな要素だと思っています。
 三つ目が、先ほどの努力義務なのか必置なのかという部分です。
 それから四つ目に、大綱をどうするのかです。いろいろな施策の根拠法が違うのですね。例えばコミュニティスクールをいつも私は例に出させてもらうのですけれども、学校運営協議会は地教行法が根拠ですよね。ところが、学校評議員というのがありまして、これは学校教育法の施行規則の方からたしかできていると思います。なおかつ、地域学校協働活動の人たちがいます。こちらは社教法が根拠になっている。様々な根拠の人たちがいて、実際には国はコミュニティスクールについて推進という立場を基本法で取っているのですね。その辺りもなかなか難しいところかと思います。
 それから、先ほど点検・評価のスケジュールがあります。これをうまく回さないと実効性がなくて、そのタイミング、スケジュールの関係ですね。
 最後は、ずっとこれを一緒に勉強しながら県が一番頑張らなくてはいけないなと思ったのですけれども、国のものが冊子になってなかったり、県はつくっているがホームページで示して渡すだけになっていたり、先ほど申し上げましたように市町村のことを知らないところがあるので、県の役割はすごく大事だなと痛感しているところです。
 以上でございます。
【牧野委員】  どうもありがとうございました。それでは皆さんいかがでしょうか。こちらのセッションは、大学の研究者以外は、皆さんほとんど現場の方だと理解していますので、特に現場のお立場から教育振興基本計画がどういった実効性を持つのか、そのためにはどうしたらいいのかという観点から、少し御意見いただけるとありがたいのですけれども、いかがでしょうか。
 それでは、元紺谷委員、お願いいたします。
【元紺谷委員】  こんにちは。北海道有朋高等学校の元紺谷でございます。よろしくお願いします。先日は黒木教育長さんとお話しさせていただき、ありがとうございました。
 今詳しい説明がありましたけれども、先ほど黒木委員から、ゼロ予算はあるけれども、やはり施策であるならば予算化された方が、実効性があるというお話でした。私もそうだと思います。
 それで、学校現場からすると、まず、国の基本法から北海道の基本法になりまして、道立高校などでそれを受けてやるのですけれども、当然、先ほどあったように議会が絡むので、予算化は、北海道の場合は3月の予算、そして6月、9月、12月と4回の道議会がありますけれども、その中で一番早くても6月です。特に、文科がつける予算と道がつける予算がありますので、そのずれもあります。ですから、計画を実行する場合は、1年間ありますけれども文科の仕事は半年ぐらいで1年間をやってしまうという感覚があります。ですから、結局は2年目なのですよね。そうすると、文科の指定は2年ぐらいで、2年目にはPDCAのCになってしまうので、2年間のうちの1年間ぐらいで実際計画を立てて実行するという見通しでやっています。本来ならもう少し時間をいただいてやりたいのですが、どうしても議会と予算があるので難しいと現場では思っています。ただ、国や都道府県に予算をつけてもらった方が、明らかに実効性があると認識しています。
 以上です。
【牧野委員】  ありがとうございます。基本的には予算の問題だということですね。議会承認の関係もありますが、予算をきっちりつけてもらった方が実効性はあるだろうという話だと思います。関委員、いかがでしょうか。
【関委員】  黒木教育長、ありがとうございました。私は愛媛県の新居浜市という市の教育長を務めた経験がありますが、学校教育の領域であれば国から県そして市町村というタテの整合性がある程度担保できていた気がします。私は社会教育領域からの教育長でしたのですが、社会教育、生涯学習においては、それぞれの市町村がかなり独自の方向性を持って動いていた気がいたします。また割と県内の横の情報の共有あるいは意見交換の場も少なかった気がするので、国の振興基本計画を市町村レベルの単位自治体が、県や国レベルで示された方向性を踏まえ、一定の方向性にみんなで煮詰めていく上には、情報共有のための対話の必要性をずっと感じていました。
 実際に、先ほどのお話にもございましたが、各自治体の財政力の差であったり、あるいは首長の方向性があるので、ベクトルをそろえるのはかなり難しいし、むしろそろえない方がいいという判断をされる方もあろうかと思うので、そういった点についてもっと議論ができたらいいなと思っています。
【牧野委員】  ありがとうございます。特に社会教育の立場から、どうしても草の根からといいますか、上から一直線に降りてくるようなものではなくて、様々な多様な意見をうまく調整しながら下から持ち上げていくような議論も必要ではないか。そのためにも、学校教育と情報交換や情報共有をするような意見交換の場をきっちり設けて整合性を持たせることも必要ではないか、という御指摘だったと思います。
 それでは、岩本委員お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。今、対話というキーワードが出ましたので、そこに絡めて思ったことです。
 実効性という意味では、予算の話だとかは当然そうだと思います。もう一つは、対話や参加、参画をしっかり担保すると、ステークホルダー、関係者含めて実効性が高まると思います。
 では、誰とどのレベルで対話するのかということだと思いますけれども、首長さんだとか議会というのは今まで話があったので、それ以外の観点では、私、先ほど関委員の話にもありました縦と横の接続というところでの連携が大事だと思います。例えば横でいけば他部局ですね。他部局の政策間連携みたいなところを含めてしっかりと議論しながら、教育委員会だけの話ではなくほかとの関係性の中で何が求められていくのかという対話をする。もう一つは、ほかの関係機関ということで、例えば、大学や産業界を含めたところとの対話の中で教育の方向性を協議していくという横の話。
 もう一つの縦というところでいくと、先ほどありました現場との対話というところで、校長先生とかだけではなく教職員だとか子供たちの声だとか保護者さんたちの声、こういったものをどこまで拾えるのかという部分と、もう一つ、都道府県と市町村の対話ですね。今、横並びになっているものを、逆にこれはメリットというか、そういうふうに考えれば、ここがしっかりとその対話をしながら、両方が両方を参酌すると言ったらあれですけれども、しながらつくっていく。エビデンスと対話に基づくポリシーマネジメントみたいなところでいくと、こういった対話をプロセスの中でしっかりとつくっていくのは実効性の上で重要ではないかと思います。
 以上です。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。対話ということなのですけれども、誰が当事者というかステークホルダーなのかといったことを考えながら、おっしゃったように、縦横の関係、例えば部局間連携ですとか、さらには国と都道府県、市町村の関係ですとか、様々な形での連携を取る。そのそれぞれのステークホルダーがきっちりと教育を中心に据えて対応しつつ、実効性のある政策をつくっていくことが重要ではないかという御発言だったかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。清水委員お願いいたします。
【清水(信)委員】  ありがとうございます。
 私は、私学の人間なものですからどうしても私学との比較をしてしまいますし、また今回こちらの委員に入れていただいて、公立のシステムを、申し訳ないのですけれども初めて知った人間です。そういった観点で少しお話しさせていただくと、実行までのステップが非常に複雑であるのと、あと一つは現場、特に教職員に施策の方向性とか具体性、また、関連の保護者にどうやって情報を提供しているのかについて、公立ではどんな現状があるのかお聞きしたいなと思いました。
 私学でして、武蔵野東学園でしたら、毎年、新しい年度を迎える前、3月の下旬ですけれども、幼稚園、小学校、中学校、高等専修のそれぞれで保護者会を開きます。当然保護者に、翌新年度の重点指導については、教職員の方は既に情報の共有をした上で保護者を一堂に集めまして、まず学校長から、この3月でしたら令和4年度の武蔵野東小学校の重点についての発表、また、その後はクラス懇談会に分かれてより具体的な話をし、1年間のスタートを図ると。当然、公立さんと同じように、私立学校でもガバナンスの強化が今話題になっていて、PDCAサイクルをどう回すかというところも私学の大きなテーマですので、そのような形で施策を立て、実行に移す前に情報の共有をするというところにもウエートをかけているのですが、公教育との違いがそこにあるのかどうなのかをお聞きしたいなと思いました。
 以上です。
【牧野委員】  ありがとうございます。計画を実効あるものにするということで、情報の共有が大事ではないかという御指摘だと思います。今、私学の実情をお話しくださったのですが、公立学校はどうでしょうかということですね。特にとても複雑なように見えるということなのですが、いかがでしょう。事務局から、または黒木委員も行政にいらっしゃいますので、どのようなことになっているか少し御紹介いただけますでしょうか。
 では、黒木委員お願いいたします。
【黒木委員】  御質問ありがとうございます。今のお話の中で、清水先生のところにも職員の評価というのはあるのでしょうか。ありますね。
【清水(信)委員】  はい。
【黒木委員】  公立の場合にも教員評価というのが当然ありまして、その評価というのは、そもそも一つの学校の中にいらっしゃれば、それぞれお持ちになっているお仕事の中で、例えば教科の指導であられたりとか校務の分掌における仕事であられたりとかが対象でございますよね。
【清水(信)委員】  はい。
【黒木委員】  それは、その学校の経営ビジョンですとか、目的、目標、そういったものに根づいて恐らくつくられてございますよね。
【清水(信)委員】  はい。
【黒木委員】  それは恐らく校長がつくられていますよね。
【清水(信)委員】  すみません、学校法人ですので、一応理事会で大きな方針をつくって、具体的なところは各園・校の校長がその方向性を定めるという形になります。
【黒木委員】  恐らく、今お話しになったような理事会で学校をこうしようという方針に当たるものを、先ほど私が申し上げたように施策に基づいて県がつくっています。公立の場合ですと、ここに非常に手間取っているわけです。それをつくったものを校長のところにお伝えしたところでようやく発動する形になってございます。
 この間意見聴取したときも、そういった市町村教育委員会あるいは県の教育委員会が最初に出す大きな方針、目的、基本的な計画、そういったものは、地域によっては12月に示しているというお話がありました。ですから、3学期にはそれを準備して1学期に間に合わせる。先ほど私申し上げた宮崎県では、そのサイクルがずっと回っていて、表明するのが随分遅くなっています。12月の段階ですと、先ほどありましたように次のアンケートとかに取りかかっている段階でして、学校に下ろす形にまだなっていません。そこに非常に大きな反省と気づきがありまして、そうしないとうまく伝わっていかないなということを感じました。
 だから大きなサイクルなのですけれども、そこの置き方、あと、効率的に行うための教育委員会の汗のかき方と言えばいいのでしょうか、それがあると学校はもっと軽やかに実行できると思います。
【清水(信)委員】  ありがとうございました。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。いかがでしょうか。教育委員会と学校との関係もとても大事になってくるという御指摘だと思いますが、ほかの委員の方々いかがでしょう。特に大学の、私と同様の方々はいかがでしょうか。
 では、杉村委員お願いいたします。
【杉村委員】  大学の立場から発言させていただきます。まずは黒木委員から宮崎県のすばらしい取組を教えていただきましてありがとうございました。私は大学で国際教育を担当しておりますので、日本の学校現場でどのようにいろいろ具体的に、しかも日本の教育基本法に基づいた施策が行われているのかとても勉強になりました。ありがとうございました。
 一方、国際化の案件に関してですが、私は現在、ある県の高等教育関連の委員会に関わらせていただいています。そちらでも感じることなのですけれども、今おっしゃったとおり、情報が伝わっていく速度と実効性の速さというのが異なり、皆さん頑張っておられる中で、手続を踏む以上一定の時間がかかります。ある意味、その点が施策の実効性という点で大切なポイントにもなっているように思います。
 そしてもう一つ、先ほどお伺いしました黒木委員の御発表の中に、高校生や現場の先生の声も聞きながら実施するということをあげてくださっていたかと思います。これは私ども大学の行政からみての意見ですが、行政から来た施策を受け皿として実施するだけではなくて、おっしゃったように当事者意識をもって自分たちからアイデアが出せる場があると、参加者が担い手になり一緒になって取り組んでいくことができるのではないかと思いました。もし宮崎県でそのような良い事例があったら、それについても教えていただきたいと思いました。
 まとめますと、実効性の速さの部分と、それから、先ほど対話という話が出ていましたけれども、当事者意識をどのくらい持つことができるか。といってもなかなか大変だとは思うのですが、皆さんで盛り上げることができる場があればいいのではないかと思います。
先ほど宮崎県の取組の図を見せていただいて、国の行政とこういうふうに結びついているというのがよく分かりました。逆に、例えば宮崎県から出てきたアイデアを吸い上げてつくられた部分など、そうした独特な部分もあるのではないかと思い、その点についても教えていただければと思いました。
 コメントと意見というよりも質問ばかりですけれども、ご教示いただければと思います。ありがとうございます。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。情報を伝達するのに、いろいろな仕組みの中で動いていますから時間がかかるのではないかということと、あと、ステークホルダーの方々がどれくらい当事者意識を持って関わることができるかが重要で、その意味でも情報の伝達が大事ではないかという御意見だったと思います。黒木委員いかがでしょうか、今の杉村委員の御質問ですけれども、宮崎県独自で何か考えてつくられたようなことが、もしあれば、少し御紹介いただけますでしょうか。
【黒木委員】  御質問ありがとうございます。最初の質問、1点目にどうやって高校生の声とか現場の先生たちの声を拾うのかというのがありました。まだまだこれからもう少し改善していこうと思っているのですが、高校生たちが集まる大きな場がありまして、総合的な高校生の体育の大会である高校総体の文化部版で、高校総合文化祭というのがあります。そういうところに各学校の生徒会長とかが来るのですよ。その生徒会長とのミーティングの中で実は本県の第3次教育基本計画をつくる際に提案させていただいて、こういうことについてどうでしょうと、リーダーから聞いた形にはなるのですけれども、意見聴取を直接した。教員も、研修センターというのがあり、その研修の場でお題として出させていただいて、そこから聴取しました。
 次回は第4次になるのですけれども、それをつくる際にはさらに中学生とかも入れていきたいと考えて、スタッフが進めてくれようとしています。
 それから後半の御質問、宮崎県発はどうなのという話ですけれども、先ほど少し申し上げましたが、中等教育学校がそうかと思います。中学校と高校を接続した公教育への取組は早かったと思います。それで法改正がありまして、本県で最初の中等教育学校ができました。
 あと取り組んだ中では、総合的な学習に取り組んでいる部分がまさしくその中等教育学校でありまして、それがだんだん形として総合的な学習の時間にもつながっていったと思っています、横断的な学習をしておりましたので。そういったこともあります。
 それから、そういったことをする学校を実は随分前につくっておりまして、それが総合学科につながっていったと思っています。ほかの県でもやっていらっしゃったのかもしれませんけれども、そういったところは先駆的で特徴があるなと思っています。
【杉村委員】  ありがとうございました。大変楽しみですね。ありがとうございます。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。徳永委員、いかがでしょうか。
【徳永委員】  ありがとうございます。先日、打合せの際に黒木委員に、高校生や教員の声をどのように聴くのかということを実は質問させていただきまして、今のお話は大変参考になりました。ありがとうございます。
 今の件とも関わるのですけれども、この委員会に参加させていただいて感じるのが、国の基本計画でつくったものが学校現場に届くことが非常に重要だということです。ですので、第4期の基本計画をつくるときに、やさしい日本語の発想といいますか、分かりやすい言葉で計画をつくることをすごく意識しないといけないと思いました。国でつくっても、結局、参酌されるときに概念が伝わっていなかったりとか、本当はすごく議論したことがあったとしても、それが現場の学校の先生だったり、あるいは市町村や県の教育委員会の人たちに理解されないことがあるとすれば、現場のニーズも踏まえながら参照されやすい内容にしていくことを意識する必要があると思います。トップダウンで伝えていくだけではなくてですね。
 というところで、先ほど岩本委員もおっしゃっていた対話とか参画というところで、今回のつくっていく過程ですよね、基本計画の策定プロセスをどのように民主化していけるのかというところがすごく大事だと思います。例えば今回の案を策定するどこかのタイミングで、都道府県や市町村の教育委員会の方々と少し意見交換する場を設けたりとか、声を聴いて入れていくというところも意識した方がいいと参加する中で思いました。
 一つの例ですと、今回多様性と包摂性というのがキーワードになっているとおっしゃっていたのですけれども、これらの言葉は色々な意味合いで使われていて、なぜ多様性なのかとかなぜ包摂性なのかというところがもしかしたら皆さんの中で共有されていないところがあるように思うので、そういった点を具体的に意義が伝わるような形で議論を重ねていけるといいと、今日のお話を聞きながら思いました。
 以上です。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。この計画をどう浸透させるかというときに、プロセスの問題と、あとは言葉遣いといいますか、どういう表現で分かりやすくし、理解してもらうかといったことが大事ではないか、それを先ほどの対話ですとか情報の交換にどうつなげていくのかという御意見だったと思います。
 岩本委員、いかがでしょうか。
【岩本委員】  ありがとうございます。今策定とその浸透という話がありましたので、最後の評価、改善のところで、二つほど質問というか黒木委員にお伺いできたらと思います。
 一つは、宮崎の教育に関する調査みたいなのを冬にして、それで教育振興基本計画だとか施策の評価につないでいるということなのですが、これは一体どういう形で調査をして何を見てというところについて、特にこういうところを見るのが大事だみたいなのがもしあるのでしたらお願いします。その評価のための調査におけるポイントは何かということが一つと、あと、評価サイクルですね。4年なり5年でつくっても1年程度で小さいサイクルを回していくのは大事だと思います。今回見させていただいたものは、12月、1月にやった調査の結果が出てくるのが次の年の秋ぐらいになっているのを見ると、教育行政のサイクルで見たら、恐らくこの12月、1月にやったものは6月ぐらいにはある程度、点検、評価が終わり、そして次年度の計画に7月ぐらいから入らないと、ちゃんとしたサイクルにならないのではないかなというふうに思いました。今は結構時間がかかるということだったと思いますが、どうしたらよりきちんとサイクルが単年度で回るようになるのかみたいなところが二つ目の質問というか、アイデアがあれば教えていただけたらと思います。
【牧野委員】  ありがとうございます。黒木委員、いかがでしょうか。策定と浸透以外に、それにも関わりますけれども、評価、改善というところで、評価の視点と評価サイクルがどうなっているのかということなのですけれども、いかがでしょうか。
【黒木委員】  国の基本計画も定量的な指標が結構あったと思いますけれども、チェックポイントがございますよね。子供たちのセルフエスティームはどのくらいかというようなものがあったと思いますけれども、同じでございまして、例えばそういったものを、サンプリングでございますけれども、郵送とかも使いながら集約して、子供たちもそうですし教員もそうですし学校関係者もそうですしPTAの方もそうですし、そういったところにアンケート調査をしてそれを集めたものを指標化しています。そういうやり方をしているということですね。
 それから後半にお話がありました実効性のことですけれども、まさしくそこに課題があると思っておりまして、これを変えなくちゃね、という話をちょうどしているところです。
 ただ変えられないのが、議会とか教育委員会といった組織との関係です。議会は6月の後は9月でございますので、それを見ながらこうやってつくっています。4月に発動していて、6月の議会に間に合えば一番早いのですけれども、なかなかそうはいかない。9月になってしまう。当然、教育委員の皆様にも見てもらう必要がありまして、御意見を賜ります。そうすると、月例でございますから、月一の教育委員会の期日に間に合わせなくてはいけない。それらを全部クリアして何とか10月にホームページに載せているところが実はございます。いかんともし難い部分があって、どこまで何を遡っていけばもっと早くなるのかは私たちの課題でございます。ありがとうございます。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。いかがでしょうか。今のところ皆さんの御意見は、黒木委員の御報告を受けて、情報の交換といいますか意見交換、対話が大事で、ステークホルダー全ての人たちが当事者意識を持ちながら計画を実行できるような関係性を構築することがまず大事ではないかというお話ですとか、さらに策定過程等も含めて、早くからステークホルダーの間に浸透させて、理解をしていただく、そのためにも評価や改善の在り方が大事になってくるのではないかというお話になっているかと思います。
 ほかの委員の方々いかがでしょうか。引き続き御意見、御質問等ありますでしょうか。
 よろしければ、司会を担当していますが、私から一言発言させていただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。私、今皆さんのお話を伺っていて、関委員と同じように私の担当が社会教育、生涯学習ということもありまして、カリキュラムを決めて、知識を伝達していくことを基本にして、学校のような教育をするという議論にならないのですけれども、一つ観点を変えてみると、例えば先ほどの参酌し、地方の実情に応じて計画を策定する努力義務があったり、または大綱をつくることが義務化されていたりするわけですけれども、これは地方分権一括法との関わりがあったのではないかと思います。
 特に分権一括法の枠組では、国と地方公共団体の関係というのは、機関委任事務が廃止になっていますから対等となっていて、そして予算の在り方も、もともと教育費は独立しているわけですけれども、一時、教育費も地方交付税の中に入れたらどうか、一般財源化したらどうかという議論があったぐらいです。この分権の議論が進んでいた時期に、教育基本法の改正があり、教育計画をつくることになっています。その意味で、「参酌をし」ということの後に地方の実情に応じて決めてくださいという論理になっていて、どちらかというと都道府県と市町村の自立性を担保しながら、または尊重しながら国との関係で教育の在り方を決めてほしいという意図が見える記述になっていると思います。
 逆に言えば、地方自治体または市町村の自立性を確保しながら、けれども国としての一体感を保ちながら、どう教育行政を進めていくのか。そのときに上から下に下ろしていくという関係と横をつなげるということもありながら、下から上へ上げていくという仕組みは要らないのか要るのか、そんなことも含めて計画・大綱の実効性を何か考えられないかと思います。
 しかも実は、そうしたことがもう一つのグループのDXとも関わりがあるのではないかと思うのです。教育や学習における個別性を進めつつ、それぞれのアクターが発信すること、交流し、新たな価値をつくることで全体最適の方に持っていきながら、さらに個別に探求を深めていく、上から下ろすだけではなくて下から上げていくような仕組みもつくりつつ、また、各自治体が情報発信をしながら交流をしていくという関係をつくる一方で、国として一つの大きな教育の体系といいますか、または大綱を実現していくことにつながるような考え方を取ることはできないかと思って、皆さんのお話を伺っていました。
 いかがでしょうか。特に対話や情報の交換といったことにも関わるかと思いますけれども、自治体の自立性、独自性、また分権という問題と国の教育政策との関わりのような議論になってしまうかもしれませんが、何かお考えですとか、またはお感じになることありましたら少しお聞きしたいのですけれども、いかがでしょう。
 杉村委員、お願いいたします。
【杉村委員】  今の牧野先生の御発言を受けてなのですが、少しピントがずれてしまうかもしれませんが、この分科会あるいは中央教育審議会全体の議論は日本を主軸に考えていると思います。一方で、他国に目を向けたときに、日本の教育行政の仕組みというのは、一見すると硬直的に見えるところがあるかもしれませんが、今、牧野先生がおっしゃったとおり、まさに各自治体や県の自律性をできるだけ尊重しつつ、しかしながら国としての全体の統一を出すという意味では、どんな制度も完璧ということはないし、そこそこきちんとうまくバランスが取れている制度と言えるのではないかと思っております。これでもっと国の統制が効いてしまっては、幾ら実効性の速度が上がっても、自分たちの地域の独自性や特色が出せないことになりますし、かといってあまりばらばらにやっていても難しくなるだろうと思います。中央教育審議会の基本計画部会にはいろいろな立場の先生方がおられますので、どうしても自分のところを中心に考えがちではありますが、そうした他国との比較も考えると、日本ならではの良さというのをまずはかみしめつつ、その中でできることというのが何かあるのではないかと思いました。
 その意味で、例えば現行の学習指導要領の中で、持続可能な開発のための教育(ESD)が取り上げられています。そこでは子供たち中心の学びや、あるいは今よく議論されている新しい学力観が盛り込まれています。これは全ての学校やステークホルダーで考えるということになっており、先ほど徳永先生もおっしゃっていた包摂性と多様性ということもこれに関わります。前回も申し上げたことなのですが、現在ユネスコスクールが今日本全国に1,120校あると思います。こうした全国のユネスコスクールが集まって年に1回全国大会をされています。先ほど調べましたら宮崎県にもユネスコスクールおありになるので、多分宮崎県からも参加しておられると思います。そこでお互いの良い実践を交換し合って学び合ったり、時には県を越えて交流をしていらっしゃる例もあるように拝見しています。ただ今、牧野先生もおっしゃったとおり、現場同士で各県がそれぞれのよさを出しつつ、もっと交流や連携をする場があってもいいのではないかと考えます。
 もちろんそれを実現するには、先生方はただでさえお忙しく、仕事や働き方改革もある中で簡単にはできないと思いますが、例えば宮崎県の総合制学校の取組を他県と共有されるとか、それを聞くことで現場の先生や、例えば自治体の職員の方も、「このやり方ならうちでも実施できるかもしれない」とか、あるいは「うちだったらこうする」といった、その辺のお互いの触媒作用みたいなのが働き出すと、上から来た施策をただ受けてやるというだけではなくて、自分たちでいいアイデアを出しあい、むしろ国にアピールしていこうというぐらいの下からの動きが生まれるかもしれないと思いました。
 うまくまとまりませんが、他国の例との比較で考えると、日本の仕組みをうまく利用して、しかも連携して進めることができれば良いのではないかと思っております。ありがとうございます。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。日本の強みといいますか、各自治体がとてもしっかりしているということ、そして学校現場もとてもしっかりしているということを基本にして、お互いに情報共有をしながら、また交換しながら新しい形をつくっていけないかという御提案だったと思います。関委員いかがでしょうか。
【関委員】  ありがとうございます。先ほどの牧野先生のお話を聞きながらつくづく思ったのですけれども、今特に社会教育の領域においては文科省の領域以外でのつながりがかなり増えてきているような気がします。厚労省にしても、総務省なんかも本当に力を入れるようになったことをひしひしと感じるのですけれども、そういったものを進めるに当たって、市町村ごとにいろいろな個性というか色合いがあろうかと思うので、総務省とつながりが強い自治体もあれば、福祉行政に力を入れているような自治体も当然ございます。国の省庁間レベルでも横のつながりを更につくっていただいて、これから先どのように全ての国民の幸せを求めるようなスタイルを築いたらいいのか、そういった大きな方向性を何か示せれば、市町村としては判断する選択肢や基準が増えるのではと考えます。当然、最後は自分たちが選択しなければいけないと思いますけれども、その際の選択肢をきちんと明示してあげることができれば、何か違う姿が見えてくるのではないでしょうか。今は割と暗中模索の自治体が多い気がするので、そういったものがここで打ち出せたらいいのかと感じています。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。特に社会教育、生涯学習の分野では、特に現在コミュニティーづくりですや地域づくりといったことと様々な一般行政の施策が深く関わっている中で、各市町村レベルの自治体の独自性を出すことができるような時代に入っています。そこで教育行政と一般行政の関わり方をどう考えたらいいのか、それを今後、どう検討していったらよいのか、何か自治体に対して選択肢を増やしていくような形で議論ができればというお話であったと思います。どうもありがとうございます。
 元紺谷委員、いかがでしょうか。
【元紺谷委員】  ありがとうございます。私からは2点お話しさせていただきます。
 先ほど牧野委員からありましたように、下からということについて少し事例を紹介したいと思います。多分、どこの都道府県にもあると思いますけれども、校長協会があります。北海道も北海道高等学校長協会がありまして、そこは文教施策要望ということで道教委に要望を上げています。そこから道を経て国に行くような流れであるとか、それから、研究団体がありまして、例えば私は定通教育に関わっているので全国通信制教育研究会――全通研には当然文科省の方に助言者として入っていただいて、いろいろな課題を提言しそれを施策に反映してもらっています。こういった機能を十分使えば、下からの意見というのは吸い上げられるのではないかと思いました。
 二つ目が、先ほどの徳永委員の話にすごくヒットするのですけれども、言葉の力だと思います。徳永委員から易しい言葉でどう伝えるかとありまして、私もそう思います。
 たくさんの言葉が出てきますよね。一つ事例を挙げると、アクティブ・ラーニングという言葉が一時期一斉に流れましてマスコミが騒ぎましたけれども、結局は「主体的・対話的で深い学び」という違う言葉に置き換えられて大分浸透しました。人間は言葉の持っている意味を自分なりに解釈してイメージするので、本当は「主体的・対話的で深い学び」がどういうものなのかは、実際に学習指導要領とかを読んでみないと分かりません。でも、あの言葉は生きるわけですよね。今回も、「個別最適」であるとか「協働的な学び」も、答申でそういう言葉が使われると生きていく。
 今回、「超スマート社会」と「ウェルビーイング」という柱が諮問で出されました。ウェルビーイングというのはまた分かりづらいですよね。こういった言葉を、生徒や先生まですとんと落ちる言葉に置き換えられないのかなということを思っています。
 以上です。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。現行のいろいろな制度を使えば、もっといろいろな形で下から上へも含めて対話ができるのではないかという御発言と、もう一つは、言葉をきっちりと伝えられるような形で伝えていく、そしてそれがステークホルダーの間に浸透していく過程で対話が生まれるような在り方を検討すべきではないかという御発言だったと思います。
 すみません、45分頃に終われと言われていますので、申し訳ありませんが、あとは岩本委員でよろしいでしょうか。では、岩本委員お願いいたします。
【岩本委員】  ではすみません、手短に。今対話というところでしたので、今つくっている教育振興基本計画のところで具体的にできることは何かなと思ったときに二つありまして、一つは、他省庁というか、首長部局との連携みたいなのが教育委員会にとって大事な中で、国でいうと厚労省含めて経産省だのいろいろあると思います。そういったところと内部では調整していると思いますけれども、改めて、本当に大きい政策間連携みたいなところで、場合によってはそういうのも本当に、フラットにというのはなかなか難しいと思いますが、つくる過程の中では改めてやって、そういう姿を見せていくということも一つあるのではないかというのが1点目です。
 2点目は、ボトムアップというところでいくと、各市町村教委とかから要望とかがいろいろ出てくるのはいいと思いますけれども、全部との対話は難しい。そうすると、都道府県としっかりと対話をしていくのは大事だと思います。都道府県は市町村教委だとかの意見も吸い上げますし、県立学校だとか生徒とのつながりもありますので、都道府県と国の振興基本計画のところを、一方的な陳情という話ではなく、しっかりと一緒に考えていくと。その中で、使えるものとして、例えば、全国都道府県教育長協議会といったところでも議論をしながら一緒に考えていくとか、そういった対話の場を間で持っていくだとか、そういったことも、形式上というよりは実質的なところで少しトライしていいのかなと思いました。以上です。
【牧野委員】  どうもありがとうございます。各自治体の中でいわゆる一般行政と教育行政との間での対話をどう考えていくのか。特に教育は今日、ある意味では教育行政の専管事項ではなくなりつつあって、むしろ地域のことを考えつつ、どうやって社会基盤をきちんとつくっていくのか、次の世代をどう育成するかという議論にもなってきています。その意味で、一般行政との対話をどうするかということと、それから、多分、今おっしゃったように、各都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会または現場とは対話が進んでいるでしょうけれども、いかに都道府県と国とが対話をするかが課題となっている。上から下ろされるだけではなくて、むしろ対話をしていく中でそれぞれの独自性を発揮しながら、全体として教育計画をつくり実施をしていくことが大事ではないかという御指摘ではなかったかと思います。どうもありがとうございます。
 それではそろそろ時間になっていますので、今回こちらの実効性グループの議論は、黒木委員からの御報告と課題提起を受けて、対話の重要性といいますか、そして、それぞれのステークホルダーが政策または大きな方向性をどうやって我が事として受け止めつつ、それを現場レベルで実効が担保される形をつくるのかといった議論になったかと思います。
 その意味で、十分な情報共有と対話を重ねながら、国がつくるこの振興基本計画をどうやって現場レベルで具体化していくのか、そのようなことが問われているのではないかというお話だったと思います。これからも、国、それから地方自治体・公共団体とで、それこそ対話を続けていきながら、国も地方から意見を吸い上げていくというか、反映させていくことも大事ではないかというお話だったと受け止めています。
 それでは、これでこちらの実効性グループの議論を終えたいと思います。今また戻るリンクが提示されましたので、そちらで全体の会議に戻っていただければと思います。どうもありがとうございました。
(実効性グループの議論終了)
 
【渡邉部会長】  皆さん、お疲れさまでした。実効性グループに御参加の皆様、戻られていますでしょうか。
 御協力いただき、ありがとうございました。活発な御議論をいただけたと思います。
 本来であれば、ここからまた相互理解のために意見交換の時間を十分に取ろうと思っておりましたが、大変熱心な御議論になったということで、ここでは、各グループでの意見交換がどのような内容であったかについて、事務局から概要を御紹介いただくことに少し時間を使わせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から、相互の御意見等の要約をしていただければと思います。よろしくお願いします。
【森友文部科学戦略官】  失礼します。時間の関係で全て御意見を御紹介できないので、御容赦いただければと思います。
 まずDXですが、冒頭、DX、デジタル化を進めることのメリットはどういうことがあるのか、あるいはデジタル教科書と紙の教科書のそれぞれの費用対効果はどうなのかというような御質問もございまして、その後、DX、堀田先生の御発表の中であった第3段階の、トランスフォーメーションを教えていく、これがどういう意味があるのかと。社会変革なのだということをしっかりと意味合いを教えていくことが何よりも大事なのではないかと。もちろん、第1段階や第2段階が必要なのは前提だけれども、それが一番大事なのではないかというような御意見がございました。
 そして、第2段階、第3段階となるにつれて、手法だけではなくて教育内容も変わっていくという、それが大事なのではないかという御意見もございました。
 そして、それに伴いまして、教員の育成段階で第3段階についてもしっかりと教えられるような仕組み、養成課程というのが大事なのではないかと。
 さらに、現場の負担、教員の負担軽減という話もございましたけれども、その中で、先ほどの資料の中で挙げられていた項目で、実際にやるのは難しいこともあるけれども、時間軸を示しながら、取組の実効性を担保していくことが大事なのではないかという御意見もございました。
 さらに、デジタル化を進めるための予算獲得は当然大事なのだけれども、しっかりと、企業でも当然のこととしてやっているような生産性向上、効率性、そして成果の確認などを行いながら、必要な予算を獲得していくことが大事なのではないかという御意見もございました。
 また、教育DXの力というのは、まさに横串で縦割りを破っていくということが一番の大きな力なのではないかと。その中で3つ大きくあるとすれば、映像の利活用をしっかりとしていく。それも自分でつくるというよりは、例えばNHKのアーカイブなどはすごく蓄積があるので、そういったものをしっかり活用していくということも大きいのではないか。
 それから、オンライン授業とDXをセットで進めていくと。例えば違う地域の学校にいる子供たちが同様に学べるような場面をつくっていくことも大事なのではないか。こういったことを進める中で、情報を批判する力ということも、情報だけではなくて現場をしっかり見るということも大事なのだということも、併せて培っていくことが大事なのではないかというような話もございました。
 また、DXについては、導入するだけではなくて、導入した後どうなっているのかということを評価していくことが大事なのではないかと。子供たちの満足度とかは例えばどうなっているのかということを測定していくことも大事なのではないかというような御意見もございました。
 さらに、国際理解教育の観点からは、留学が今回のコロナ禍でなかなか実際にできなくなったこともあったのだけれども、他方でメリットとしてはバーチャルの体験が進んだということで、離島にいるような子供たちもそういった体験をできるようになってきたといったメリットもあったということでございます。
 もう1つは、本日の議論をしっかりと次期計画に取り込んでいくことが大事で、取り込み方はしっかり議論していくべきではないかと。
 例えば、教員採用の倍率が今、下がっていて、仕事が難しくなっているということもその理由に挙げられるのだけれども、DX自体が教員の負担軽減につながるのであれば、しっかりとそれについても結びつけながら、どうやっていけば、計画でどう変えていけばそれにつながっていくのかということもしっかり議論する必要があるだろうという話もございました。
 また、現場の委員の方々からは、今の議論はすごくよく分かると。ただ、本当の意味での5年先、10年先の、DXが進んだ教育現場の姿というものがなかなか、正直なところイメージができない部分もあるので、そこをできればしっかり計画の中で示していただけるとありがたいというような御意見もございましたし、また、例えばデジタル教科書を使っていると画面ばかり見ていて、先生の顔を見ないというような子供たちもいると。不登校の子供たちでいうと、もともと、なかなか顔合わせということは苦手なので、よりそれが進んでしまうというような面もあるし、オンライン授業で進む面もあるので、デジタル教科書のそういう面もあるということも頭に置いておく必要があるのではないかという話もございました。
 さらに、デジタル教科書と教材の話もありましたけれども、色々な側面があるのでしょうが、教科書と教材はやはりセットで考えていく方が、現場としては使いやすいのではないかというのがございました。
 最後に、社会の変化に学校がついていけないというような議論が、今日、いろいろあったのだけれども、そのための手だてとして、例えば教員の数とか質とかもしっかりついていけるように手当てしていくことも必要なのではないか。また、学校への理解、学校が何をやるべきで何をやるべきでないのかということも含めた社会の理解を促進していくことも大事だといった御意見がございました。
 早口でしたが以上でございます。
【川村教育企画調整官】  それでは実効性グループにつきまして、川村の方から御説明させていただきます。
 まず、計画をそれぞれ県や市で実施していくに当たって、予算をしっかりと確保する必要があるという御意見がございました。
 また、本日の発表は学校教育中心でしたけれども、社会教育の関係では市町村がそれぞれ独自の取組を行っている面もありますので、そういう意味では県・市という関係につきましては少しフラットになるのではないかという御意見がございました。
 また、実行していくに当たりまして、対話や参画をステークホルダーとしっかり行っていくということで、例えば教育委員会の中だけではなくて、他部局との連携ですとか、大学ですとか産業界といったところとの対話を行っていく。また、現場の先生方との対話、都道府県と市町村との対話、こういったものが必要ではないかという御意見がございました。
 また、私学と公立の違いにつきましても御意見がございまして、保護者の方々への周知ですとか、学校の先生方への周知といったことをどういう形で行っていくかということが、議論としてございました。その中で、やはり先生方に早めに伝えるですとか、様々な機会を通じてというような意見がございました。
 それから、やはり計画を行っていくには当事者意識を持つような仕組みが必要ではないかということでありまして、対話とつながりますけれども、例えば教員の研修の中でこういったことをテーマにするということですとか、高校生が集まる場を活用して高校生の意見を聞いてみるというようなことが有効ではないかという意見。
 また、この計画の策定プロセス自体に様々な対話の機会を入れていくべきではないかということで、都道府県や市町村との意見交換。例えば多様性・包摂性というテーマについて、なぜこういうことが必要なのかということをきちんと意義が伝わるようにしなければならない。その際に、難しい言葉だけで伝えるのではなく、易しい言葉を用いて、日本語の使い方にも留意しないといけないという御意見がございました。
 また、実行していくための点検評価をしっかり行っていくというようなプロセス、こういったものも実効性につながるのではないか。
 また、国・自治体、それから学校との関係性でありますけれども、自治体の自立性をきちんと確保すべきという御意見。ほかの国と比べて、日本の教育制度はバランスがいいのではないかという御指摘もございましたので、そういったところも目を向けていく必要があるのではないかということ。また、省庁間の連携についてもよく今後取り組んでいくべきではないかという御意見。
 最終的には、対話を通じて、それぞれの構成員が自分事として受け止めるということが重要ではないかと、こういう御意見がございました。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。さらに議論を深めるために意見交換を行いたかったのですが、お時間となりましたので以上とさせていただきます。ご進行いただいた清原副部会長、それから牧野委員、大変充実した議論にしていただき本当にありがとうございました。
 今日の冒頭で、堀田委員からDXの第1段階、第2段階、第3段階ということを御説明いただいたのですが、御意見の中にもあったように、この第3段階が意味する社会というのはどういう社会なのかについて、学校も教師も含めて、理解されなければいけないと思いました。
DXだけでは手段に過ぎません。これはまさしくSociety5.0時代の社会とはどういう社会なのかということにも通じますし、次回予定しております、ウェルビーイングやダイバーシティー&インクルージョンといったこととも重なる問題だと思います。
 このSociety5.0時代というのは一人一人の人間中心の社会であり、そして新たな価値を創造する力とか変化に対応する力といったことが重要になるのだろうと思います。
 したがって、こうした第3段階で説明されたような方向性を明確に示すこと、そしてそのための、第2段階を中心にした具体的なロードマップ、それに基づくKPIがどうなのかということが重要です。また、量から質への重視、こうしたKPIを考えることが重要だという御意見もありましたが、大変重要な御意見だと思います。
 そして、これらの実効性をどう高めるかということについては、実効性グループで御意見いただいたように、教育現場が理解し推進しなければ、進まないということだろうと思います。
 そのための予算や社会の理解、それから連携の問題ですとか、今日のテーマである教育DXで考えれば、御意見にありましたように、横串の力を生かすということにつながるのだろうと思います。レイヤーごとに横にどうつなげていくのか。その力をもって実効性を高めるようなことが必要なのではないかと思います。
 それでは、今日も大変貴重な御意見をいただきました。今のようなことを踏まえて、次回のテーマでございますが、我々が目指す社会はどういう社会なのか、そういったことにつながるテーマということで、1つは、今までも御意見いただいております、ウェルビーイングについてどう位置づけ、考えていくのか。もう1つは、誰一人取り残さない教育とはどういう意味なのか、何をすればよいのか。こういったことをテーマとして予定したいと思います。また今日のような形で進めさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次回の教育振興基本計画部会は、7月12日の火曜日、10時からを予定しております。
 それでは、今日は以上とさせていただきます。本当にありがとうございました。
―― 了 ――