中央教育審議会 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第9回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第132回)合同会議

1.日時

令和4年10月24日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室※WEB会議

3.議題

  1. 大学設置基準等の改正における教育課程等に係る特例制度について
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方について

4.議事録

【渡邉部会長】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第9回「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会、そして第132回教員養成部会の合同会議を開催いたします。
 本日もウェブ会議システムと対面を併用しての開催といたします。
 それでは最初に、事務局から会議の開催方式と資料について説明をお願いします。
【平沢教育人材政策課長補佐】  文科省教育人材政策課の平沢です。会議の進め方等について確認をさせていただきます。
 本日もウェブ会議システムを活用していることから、1、御発言に当たっては聞き取りやすいようはっきりお話しいただくこと。2、御発言の際には名前をおっしゃっていただくこと。3、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただくこと。4、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくことについて御協力をお願いいたします。
 文部科学省の会議室から御出席の委員におかれましては、挙手の代わりにネームプレートを立てていただくようお願いいたします。御発言の際には事務局がお席までマイクをお持ちいたしますので、席に設置しております端末に向かってお話しいただければと存じます。
 本会議の後は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信しております。Webexのチャット機能については傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど、補助的な使用としていただきますようお願いいたします。
 配付資料は、議事次第に記載のとおりです。
 事務局からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。次に、本日の議事についてですが、議事1は教員養成部会の議事となります。
 本年9月の大学設置基準改正によりまして、教育課程等に係る特例制度が設けられました。この改正は教職課程にも関係があるということで、本日は事務局からその内容について説明させていただきます。これは報告事項となります。
 そして議事2は、本特別部会の答申素案についてです。
 前回9月の特別部会で中間まとめ案を基に御審議いただきまして、その際の皆様からの御意見を反映して、中間まとめを取りまとめました。
 そして今月には、加治佐委員に主査を務めていただいております基本問題小委員会で、この中間まとめについての関係団体ヒアリングを実施していただきました。後ほど議事のなかで加治佐主査から御報告いただきたいと思います。
 本日は、そのヒアリング内容も踏まえた答申素案に対する審議をいただきたいと考えております。
 それでは、早速議事1に入らせていただきます。大学設置基準等の改正における教育課程等に係る特例制度について、事務局から説明をお願いします。
【中村大学教育・入試課長補佐】  文科省の大学教育・入試課の中村でございます。私からは、資料1に基づきまして、大学設置基準等における教育課程等の特例制度について御説明したいと思います。
 資料の1ページ目を御覧ください。今回、大学設置基準等の改正ということで、平成30年に中央教育審議会のほうで「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申」というのが出まして、それで「学修者本位の教育」への転換というふうな方向性が強く打ち出されたというふうなところでして、その中で、高等教育の質保証システムについても再考が求められまして、現在の質保証の在り方を見直し、より時代に即したものにする必要があるというふうなことで、その再考が求められるというところでございます。
 大学設置基準も、時代に即したものとして抜本的に見直すことが必要ということで、専門的な審議を経た上で、この改正を行ったというところでございます。
 今御覧いただいているところが全体像というふうになっていますけれども、令和2年6月から、大学分科会の下に質保証システム部会が設置されまして、17回にわたる審議を経まして、令和4年3月に審議まとめということで取りまとめられまして、その取りまとめを受けて今回の改正に至ったというふうな趣旨でございます。
 特に三番、基幹教員制度、今回ちょっと御説明は割愛しますけれども、こちらの制度ですとか、あとは今回、今日御説明いたします六番の教育課程等に係る特例制度、こちらが特に大きな内容となってございます。
 施行日については、九番のところに書いていますように、本年の10月1日から施行されておりまして、改正内容全体にかかっては、特に内容の変更に伴うところに関しては経過措置が既存の大学等については置かれているという状態になっております。
 それでは次のページ、2ページを御覧ください。教育課程等に係る特例制度について、全体の趣旨を御説明します。
 大学設置基準そのものは最低基準ということで、全ての大学が遵守することになる法令というふうなことですけれども、先ほどの中教審の質保証システム部会の審議まとめにおいて、大学の創意工夫に基づく取組を促進し、今後の大学設置基準の改善につなげるため、内部質保証等の体制が十分機能していることを前提に、教育課程等に係る特例を認める制度を創設するといったことが提言されております。
 これを受けまして、教育課程等に係る特例対象規定の一部または全部によらないことができる特例制度を創設するといった改正を行ったところでございます。
 このことによりまして、基準によらない大学の創意工夫ある先導的な取組の促進と、その効果検証を踏まえて、今後の大学設置基準の改善等につながることが期待されているというところでございます。
 次のページを御覧ください。この特例制度の申請・認定のスキームについてです。
 この特例制度は、認定を希望する各大学の学長から文部科学省に申請いただく形となります。その申請書に、申請計画書や認証評価における適合認定を示す書類、内部質保証に係る書類、情報公表を行っていることを示す書類などを添えて行い、有識者会議、こちらは大学分科会の下に置かれた有識者会議でございますが、こちらにおいて認定基準に基づく確認・審査の結果を踏まえ、文部科学大臣が認定を行うというふうな形になってございます。
 認定は大学についてなされるわけですけれども、認定を受ければ、大学の全ての学部等で特例による先導的な取組が直ちに行えるということではなくて、自ら申請した学部等や特例対象規定、認定を受けた認定機関の範囲内で取組が可能となるものです。
 また、認定を受けた大学では、在学生や入学希望者等に対する配慮の観点から、当該先導的な取組に係る内容を学則等に定め、公表することが必要となります。
 また、有識者会議の審査の結果等によりましては、認定に条件を付したり、内容の変更を求めたりすることもございます。
 次のページを御覧ください。認定基準の内容ですけれども、有識者会議においては、丸1として機関としての要件と、丸2として先導的な取組に係る要件の2つについて確認・審査が行われます。
 特に後者の先導的な取組を行う要件に関しては、申請計画書において、その取組を行う必要性や実施する教育組織、活用する特例対象規定、具体的な実施内容等を明記いただくということになります。
 それから、次のページを御覧ください。認定後のスキームですけれども、丸1のところに書いていますように、認定後は年1回の実施状況報告が必要となります。提出された報告書は文科省のホームページ等で公表することになります。
 それから、同じくこの丸1の中の括弧に書いていますが、認定期間終了後には検証報告といったことを行っていただく必要がございます。
 終了後も経過措置として、先導的な取組を実施する学部等に在学する学生がいる間は、当該取組を維持することは可能となっています。また、延長を希望する場合の延長申請も行うことは可能です。
 このほか必要に応じ、報告徴収等や是正要求、認定の取消し、助言・フォローアップ等が行われるということがあります。
 なお、認定を取消しした場合には、経過措置として、先導的な取組を行う学部等に在籍する学生がいる間は、この取組を継続することが可能となります。
 次のページを御覧ください。今後のスケジュールですけれども、今月にできればこちらのほうの有識者会議を開催させていただいて、審査要綱や運営規則等について審議、決定をするというふうなことにしたいと思っておりまして、その後11月に入って、速やかに申請の受付けを開始したいというふうに思っております。
 それから年明けに審査を行いまして、第1弾の認定を行い、認定を受けた大学において、学生募集やPR活動といったことを行っていただいて、早ければ令和6年4月から、新しい先導的な取組を行う大学に学生が入学してくるというふうなことを考えているところでございます。
 私からの説明は以上となっております。
【樫原教員免許企画室長】  引き続き、教員免許企画室長でございます。このたび、この大学設置基準上の特例を認められた大学につきましては、こうした大学が教職課程を設置するときに、この部分についても教職課程としての特例を新たに設置する必要がございます。
 この点につきましては、11月の教員養成部会において具体的な方向性をお示しさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 本件については、先ほどの説明にありましたように、大学分科会で議論された大学設置基準改正における教職課程に関係する部分の報告という位置づけとなります。
 教育課程等に係る特例を認める制度創設ということであり、今後いろいろな事例が生じるかと思います。それらへの今後の対応については、加治佐部会長の下、教員養成部会で具体的な検討をいただくことをお願いしたいと思います。
 これは報告事項となり、また行政マターにもなりますので、もし質問等がある場合につきましては、事務局のほうに直接御意見を寄せていただければと思います。
 根津委員、手が挙がっていますでしょうか。お願いいたします。
【根津委員】  すみません、スライドの5枚目の、認定後のスキーム・イメージの中の、先ほど御説明がありました丸2ですけれども、「報告徴収」という、この「徴収」は「徴収」なんですか。聴き取りのほうの「聴取」ではないんですか。それだけです。
【渡邉部会長】  これはおそらくそうですね。御指摘ありがとうございました。
 それでは、議事2に入らせていただきます。先ほど申し上げたとおり、この間に関係団体のヒアリングを行っておりまして、加治佐主査に大変な御苦労をいただいております。まずは加治佐主査から、この関係団体ヒアリングの状況について御報告いただければと思います。加治佐主査、よろしくお願いします。
【加治佐委員】  はい、分かりました。基本問題小委員会主査の加治佐です。
 ただいま渡邉部会長から御紹介いただきましたように、基本問題小委員会において、中間まとめについての関係団体ヒアリングを実施いたしました。
 概要は資料3-1のとおりで、2日間にわたって実施しました。
 聴取しましたのは、教育委員会、教育長、園長・校長、教職員、PTA、大学等の合計26の関係団体でございます。審議の場で12団体、書面で13団体から御意見を伺いました。
 資料3-2に、各団体に提出いただいた意見書が配付されております。
 中間まとめの総論・各論全てについて様々な御意見をお聞かせいただき、小委員会の場において、委員の皆さんとも活発な意見交換をしていただきました。
 全体を振り返りますと、慎重な御意見もあるにはありましたけれども、私としてはおおむね中間まとめの方向性に御賛同いただき、共通の問題意識を持っていることが確認されたと考えております。
 私からは以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。資料3-2にありますとおり、関係団体より大変膨大な御意見、貴重な御意見をいただくなか、ヒアリングを実施していただきまして、本当にありがとうございました。
 加治佐主査におかれましては、昨年の教員免許更新制小委員会でも主査として議論をまとめていただきましたけれども、今回もまた、中間まとめに向けて基本問題小委員会の議論をリードしていただきました。さらに、この関係団体のヒアリングにおいて大変な労を取っていただいて、本当に感謝をしたいと思います。本当にありがとうございます。
 また、基本問題小委員会の委員の皆さまにおかれましても、この教師の在り方に関する議論に多大なる御尽力、御協力をいただきました。改めて、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
 本日は事務局に、特別部会の中間まとめを基にヒアリングの意見を反映させた答申素案をまとめていただいています。
 この答申素案についてこれから議論していただきたいと思いますが、今日の議論の後に中教審の総会において審議を行うという前提で御議論いただければと思います。
 それでは、まず答申素案の内容について事務局から御説明いただきたいと思います。
【樫原教員免許企画室長】  御説明させていただきます。資料の2-1が答申素案で、資料の2-2が中間まとめから答申素案に向けて変更した部分を、見え消しで分かるような形で記載をしております。
 ですので、説明については2-2のほうを用いて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、いきなり飛びますが9ページを御覧ください。これは総論の部分でして、8ページの終わりから教師不足の現状について説明をしております。
 この教師不足の説明の中で団体の皆様からお話がありましたのは、特にこの教師不足の問題ですが――少々お待ちください。
 すみません、資料の9ページになりますが、こちら上段のほうですけれども、「『教師不足』を引き起こす原因は」から始まるパラグラフですが、ここのところに、後ろに「また」から始まる1行です。「また、年度途中からの代替教員の確保については名簿登録者の多くが既に他の職に就いており、一層困難であるとの指摘もある」ということを記載してほしいとの御意見をいただきましたので、この旨を追記しております。
 続きまして22ページの、今後の改革の方向性ですけれども、この中で、ここは教職生活を通じた新たな学びの姿の実現ということがございます。
 その中で、令和3年答申で授業観・学習観の転換を目指し、そして、主体的に学び続ける教師の姿を実現するためには、教師自身の学びの研修観の転換を図る必要があるということが、もともと書いてございます。
 その後に、OECDのラーニングコンパス2030の状況を紹介させていただいた後に、1行追加をして、「これを踏まえると、教師が、自ら問いを立て実践を積み重ねていく探究的な学びをデザインしていく必要がある」ということで、教師自身の探究的な学びについて追記がなされております。
 続きまして、各論パートのほうに移ります。27ページからは、「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる資質能力が記載されております。
 この点につきまして、具体的には29ページです。今回、指針において、教師に共通的に求められる資質能力が定義されたということを踏まえて、各大学において何をするかというところが記載をされております。
 もともとの中間まとめでは、教職課程を設置する大学において、「自己点検評価の上でこうした資質能力を身につけられるようになっているか確認をし」というふうな記述がございましたが、単に確認するだけではなくて、教職課程の改革・改善につなげることが必要ではないかということを御意見としていただきましたので、その点を追記しております。
 続きまして30ページを御覧ください。教育実習のことについて主に書いてございます。
 第2パラグラフの「こうした状況を踏まえ」というところですけれども、ここの「取得を目指す免許状の学校種の違い等を考慮しつつ」という記述がもともとございましたが、ここの中身を詳しく説明をしております41脚注を追加しております。
 これは、かなり教育実習に関しては学校種によって様々な違いがあるというところを御意見としていただいたところでありまして、例えば小学校や中学校においては教員業務支援員、いわゆるスクールサポートスタッフや部活動指導員等の形で関わることも想定されるため、こうした活動を「学校体験活動」として単位上位置づけ、曜日を定める等、計画的に実施することにより、学生と学校の双方にメリットが生まれるとの指摘があるということを書いております。
 一方、高校については、こうした実習生の年齢と高校生の年齢がより近いということから、こうした部分について心配、懸念の声があるということをあえて追記をさせていただいております。
 それから、30ページの本文に戻りますが、これは中段から下のほう、「その際」から始まるパラグラフです。「その際」というところの後の「また」という記述が、今回追記をしたところでございます。
 これは、教育実習や学校体験活動、介護等体験活動で、学生が様々な場面で学校に行く中において、学校とか介護等体験の施設に行くための心構えや基本的マナーを、ちゃんと大学で指導してほしいということを御指摘いただきましたので、その点を追記しております。
 続きまして、少し飛びますが33ページでございます。専科指導優先実施教科に対応した小学校教員養成の促進でございます。
 ここについて、真ん中より下のところの「特に」から始まる文が、今回追記をしたところでございます。「特に、小学校教員養成課程を有する大学が少ない都道府県等においては、地域に所在する私立大学をはじめとした中学校教員養成課程を有する大学等と連携を図り、本特例措置の効果的な活用を促進していくことが期待される」ということで、やはり地域によっては小学校の養成課程がまだ少ないという現状があるという御指摘をいただいて、今回追記をしております。
 続きまして34ページでございます。優れた人材を確保できるような教員採用の在り方についての記述です。ここは民間等の就職活動の実態について記載をしておりましたが、「民間企業等の就職活動の早期化により」からが追記をした文章でございます。
 これは特に学校現場の皆様から御意見をいただきましたが、民間企業等の就職活動の早期化により、就職活動を不安に思い、少しでも安定した就職先を決めたい学生は、教師を目指していても先に民間企業に就職を決めてしまう。これによって教員採用を受けるのをやめてしまうとの御指摘もあるということで、その旨を追記しております。
 続きまして、同じページの「こうした」から始まるパラグラフでございます。この部分において、もともと「国と任命権者が協議をしながら」というのが中間まとめでの記述でしたが、今回、文部科学省と、教育委員会並びに教員養成大学などの大学関係者が協議会というものを立ち上げましたので、大学関係者等も含めた形で協議しながら、「学生の負担等にも留意しつつ検討を進めていくことが必要である」という記述を追加しております。
 それから35ページは、これは多面的な採用選考のところなんですけれども、もともとここは「正規採用ではなく任期付職員として」という記述があったんですけれども、もともとここの趣旨としましては、教育委員会のほうが認知つきでということよりも、任期を区切って入職をしたいと希望する人に対して応えられるようにということだったので、その誤解がないように表現を修正しております。
 続きまして36ページです。特別免許状の部分です。「一方」というところから、一部記述を追記しております。「一方、特別免許状を授与されて教職に就く者についても、自らの専門性を生かしつつも、教師として様々な業務を担うことになる」。つまり、特別免許状の教員だからといって特別免許状に関わる特定の教科だけをやっていればいいという話ではなく、教師として様々な業務を担うことになるという点。
 そのためには、教師に共通的に求められる資質を身につけ、円滑につなげることが必要であると。そのために、各任命権者が、採用前後の適切な時期に、基本的な教職教養や教育事情、児童生徒に対する理解、指導方法などの研修を実施すべきであると。
 それから、これは教職大学院の関係者から御意見いただきましたけれども、「また」から始まるところでして、「特別免許状による入職後、一定期間教職を務めた者については、教職大学院へ派遣し、専修免許状を取得させるということも考えられる」ということを書いております。
 この点につきましては、脚注のほうに書いてありますが、もともと教育職員免許法の第6条及び別表3において、特別免許状を有する者は、免許取得後3年勤務した後に、教職大学院で一定の単位を取得した後に、専修免許状――これは一般免許状ですけれども、を取るということが、普通免許状ですけど取ることが可能ということで、その部分を記載しております。
 それから、特別免許状の授与によって働く人の働き方については多様なものがあるということで、任期の定めのないもののほか、任期付や臨任など様々な入職希望者や任命権者の意向などを踏まえた方法が考えられるということを追記しております。
 それから38ページです。校長等の管理職の育成及び求められる資質能力の明確化です。
 この件につきまして、校長に必要な資質としてはアセスメントとかファシリテーションが必要だということがあったんですけれども、これは御意見の中で、それだけではなくて、やはり教員として必要な資質や素養みたいなものが必要だという御指摘をいただきましたので、これはもともと教員として求められる資質の具体的な内容を基礎として、校長に必要なものが追加されるという部分を追記しております。
 続きまして、また飛びますが43ページでございます。こちらについても、教職員の関係者の方から御意見をいただきました。
 ここは、小学校と中学校の両方の免許を保有することを促すということですけれども、一方で、小学校と中学校の免許状の両方を保有する人たちの採用や人事異動について、教師のライフステージを踏まえて、両方を保有することによってかえって不利益を被ることのないよう十分配慮をする必要がある、その旨を追記しております。
【小畑教員養成企画室長】  教員養成企画室長、小畑と申します。続きまして、44ページを御覧いただければと思います。
 44ページの上から4行目のところでございますけれども、昨今の教員採用ニーズの増大といったニーズがある中で、各教員養成を担う大学におきましては、その対応ニーズへの対応のみならず、様々な役割を果たしているというようなことについての御意見がございましたので、例示といたしまして、その努力の例として2点、優れた教員養成モデルの研究・開発であったり、学び続ける教師を支える研修機能の高度化といった内容を追記させていただいたというものでございます。
 続きまして47ページでございます。こちらは、先ほど議題1のほうで事務局のほうから御説明をさせていただきましたが、大学設置基準の改正がございまして、「専任教員」という言葉の用語の変化がございましたので、その変更を踏まえた微修正をしたというものでございます。
 それから48ページの一番下のところを御覧いただければと思いますけれども、こちらは、各大学と教育委員会が連携をしながら、教職志望の高い学生の入学であったり、あるいは入職を支えていこうというような内容でございますけれども、その中で、奨学金であったり授業料減免といった経済的なインセンティブというものも重要ではないかといった御指摘がございましたので、追記をさせていただいているというところでございます。
 それから50ページのところ、49ページからの続きになりますけれども、組織体制の見直しというところでございます。
 こちらは、地域によってはなかなか、私立大学も含めて教員養成を担う大学が少ない中で、国立の教員養成大学が重要な役割を果たしている地域もあるといったことがある中で、少しこれまでの記載ぶりが国立教員養成に焦点を当てたような形になっているというようなことがございましたので、「国公私の垣根を越えた」というような形で、組織体制の見直しについては少し表現ぶりを改めさせていただいたというところでございます。
【樫原教員免許企画室長】  続きまして、飛びますが52ページでございます。ここは、教員免許更新制の発展的解消を契機とした失効・休眠免許保持者の円滑な入職の促進のところでございます。
 特に失効・休眠免許状保持者を臨時的任用で活用する場合ですけれども、この場合、臨時的教員になる人というのは様々なバックグラウンドを持っている可能性がございますので、こうした状況を踏まえまして、各任命権者においては、勤務内容の経験など引き受けやすい勤務環境を調整することも重要であるという旨、御指摘をいただきましたので、その点を追記しております。
 本文の52ページの終わりですけれども、メンタルヘルスに関する記述が必要ではないかという御指摘をいただきまして、特に単なる勤務時間の長短の問題ではなく、児童生徒等や保護者等への対応から悩みを抱える教師もいるとの指摘もあり、教育職員の精神疾患による病気休職者数は5,000人を超える水準で推移をしていると。各任命権者においては、原因分析や効果的な取組の研究に努めるとともに、文部科学省においても必要な支援を講じるべきであるという記載を追記してございます。
 最後になりますが、54ページを御覧ください。今回、中間まとめから答申に至るということで、「おわりに」ということを、委員の皆様の意向を踏まえまして原案を書かせていただいております。
 まず、明治5年に学制が発布されたというところがありますが、実は、学制が発布されたその前には、同年の5月に東京の直轄の師範学校を創設するということが決まり、同年9月に開校した。つまり、今回この年というのは、計画的な教師の養成が開始されてから150年を迎えたとも言えると。
 この間、教師の養成や免許に関する制度は大きく変化をしましたが、どの時代においても教師が公教育の要であることは変わりがないということを記載しております。
 その後、教育基本法第9条を引きまして、特に教師は自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めるという話と、その裏返しとして、教師が社会的にも制度的にも尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、国や地方公共団体が養成と研修の充実が図られることを求めているという記述がございます。
 この教育基本法の記述を受けまして、本答申におきましては、新たな教師の学びの姿というものは、まさに教育基本法に掲げる研究と修養を支えるものであり、自律的・主体的に学び続ける教師を後押しするということを期するものであるということを記載されております。
 それから次のパラグラフでは、近年の教師を取り巻く状況を説明をさせていただいております。
 この中で、教職全体がいわゆるブラックな職業という印象を持つ学生も少なくない中、一方で毎年約10万人が教員免許状を新たに取得し、公立の教員採用選考試験では、新卒・既卒合わせて延べ12万6,000人が受験し、3万4,000人が新たに教師として採用されていると。また、小学校、中学生などの将来なりたい職業においては、引き続き教師というものは上位に位置していると。
 こういった部分から考えると、やはり教師というものに魅力を感じている人も多いのではないかという見方も可能であると。
 こうした状態を継続していく、これは次代の教師の育成の第一歩であるという意味からも、学校における働き方改革を強力に推進をするとともに、学校を心理的安全性が確保できる職場にすることが不可欠である。このところに向けて、国、地方公共団体、学校関係者が一丸となって取組を進めることを期待するということを記載しております。
 最後に、中教審の今後について記載をしております。
 もともと今回の諮問答申というのは、「令和の日本型学校教育」の在り方を題材にして議論した令和3年答申の延長線上にあると。
 このことは、やはり教師が創造的で魅力的な仕事であることが再認識をされ、志望者が増加し、教師自身も士気を高め、誇りを持って働くことができるという将来の実現に向けた提言であって、これは最終的には子供たちの教育に資するものであるということが書いてございます。
 最後に、今後の教育政策に関する議論は、次期教育振興基本計画の策定を受け、教師に関する事項を含め、教育振興基本計画部会で行われており、さらに、今回の提言内容の具体化は教員養成部会等に引き継がれるということで、これまでの議論の蓄積を生かしていくということを記載してございます。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ここから審議に入らせていただきます。ちょうど1時間少々時間を取れると思います。御発言の際には、会場で参加の方は挙手かネームプレートを立てていただければと思います。
 それからオンラインで参加の皆さんは、挙手ボタンを押していただきたいと思います。できるだけたくさんの方の御意見をいただければと思いますので、簡潔な発言に御協力願います。
 それでは挙手をお願いいたします。戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。先ほどお話ありましたが、2回の委員へのヒアリングで、26もの団体の意見を踏まえ、この答申素案がさらに中身の濃いものになったものと受け止めております。そこで2、今までの重複の意見もありますが、2点ほど述べさせていただきます。
 1点目は、特別免許状のことで、こだわりをちょっと私も持っているわけですが、ヒアリングにおいては、特に義務教育段階での授与について意見が複数ございました。「小・中学校において特別免許状の授与件数が少ないのは、生徒指導等を含めた幅広い力を求める比重が高校と比べて高いため」など、教師は生徒指導等を含めた様々な業務を担うことを考えると、なかなか活用しづらいといった御指摘でありました。つまり、定数内という縛りがあるために、専門性よりも「学級経営力や生徒指導力など総合的な教師力」が求められるので、授与が進まないということだと思います。
 これは私の意見として、このような判断を服務監督権者である市町村の教育委員会や学校がするというのは、理解できなくもないですが、任命権者の方がそのような判断をされるというのはいかがなものかと考えています。基礎自治体によっては、小中学校からの要請等で特定分野の専門的なスキルを有する職員の配置を求めているところもございます。そのような要請があったとしても、また、文科省がどんなに通知を発出しても、任命権者が及び腰になっていては、需要件数の伸びは期待できないと思います。
 確かに、専門的な知識・技能を有する方であっても、教職に関する基礎的な知識等がほとんどないのは当然問題ですが、これまでも繰り返し述べてきましたが、制度の趣旨を踏まえれば、指導方法や指導技術等がもともと身についているかどうかを過度に重視し過ぎないことも大事なことだと思います。先ほど御説明ありましたが、36ページにあるように、そもそも特別免許状というのは普通免許状と異なる強み、また専門性を評価して授与される免許状であることを踏まえ、都道府県教育委員会によって授与状況に極端な差が生じないように、今後の改革を期待したいと思っています。
 また併せて、答申素案の36ページは今回加筆をいただいたわけですが、特別免許状を授与されて学校現場に入る際に研修を実施して、基本的な教職教養など、教師に共通的に求められる資質を身につけることについて、追記していただいております。こうした対応もセットで進めて、教科に関する優れた知識・技能を有する者を教師として積極的に迎え入れていくこと、この特別免許状制度が改めてしっかりと活用されるべきだと考えています。それが1点目です。
 2点目は、もう一つ複数の方々から御指摘のあった「採用選考試験の早期化」ということについて、私からも前回、「受験者への様々な影響を鑑み、具体案として、少なくとも一般の地方公務員採用試験と同じ時期まで早めることを検討してはどうか。」と発言をさせていただきました。34ページにありますように、「学生の負担にも留意しながら関係者が協議しながら検討を進めていくこと」というこの追記は非常に重要だと思います。全国の自治体が優秀な教師をしっかりと確保していくためには、各自治体の取組も大事ではありますが、ぜひ関係者間でコミュニケーションを取りながら、それぞれの知見を持ち寄って、全体として検討を進めていくことが大事だと思います。
 先日、この協議会の第1回目が開催されたとお伺いしています。採用選考の早期化ももちろん大事な検討テーマであると思いますが、もっと、せっかくであれば視野を広げていただいて、例えば採用選考試験の複数化を含めた多様な入職ルートの在り方や、知識再生型から脱した試験問題の質の向上など、多面的な採用に向けた御協議を行っていただき、さらなる改革につなげることを大いに期待を申し上げたいと思います。
 ちょっと長くなりました、以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。今回のこの見直しの中でも大変重要な2点について御指摘をいただいたと思います。
 特別免許状のところは、今までの活用実態が非常に少なかったものを、何とか御理解をいただいて、この特別免許状を活用していただき、新しい時代に対応できるように広げていきたい。戸ヶ﨑委員のところですでに実践されているようなことができるようにといった趣旨であります。今回の修正内容は御意見を踏まえたものになっていると思いますので、これをどう教育権者に知っていただくことができるかだと受け止めさせていただきました。
 採用試験の早期化・複線化についても大変重要な御指摘をいただいたと思います。事務局から説明がありましたが、御指摘の内容を踏まえた幅広い検討が、この協議会で具体的に進められることを期待したいと思います。
 事務局から、何かこれについて補足的なものはありますか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、ほかにありますでしょうか。荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。3点申し上げたいと思いますが、まず、答申素案書をおまとめいただきありがとうございました。大変読みやすく、また内容も明快になったというふうに思っています。
 3つあるんですけども、今、戸ヶ﨑委員のほうからありました特別免許状について、まず申し上げておきたいと思います。
 私は高等学校に長らくいましたけれども、その際、特別免許状を取得して教職に就いた者が2人いました。前職を明らかにするとちょっと個人が特定されてしまうので申し上げませんけれども、2人とも非常に優秀な人で、もちろん専門教科はそうなんですけれども、1人はホームルーム担任としても大変活躍をしてくれました。もう1人は現在教頭職についています。学校全体のことが非常によく分かっていて、大変頼りになる存在であります。
 ですから、専門しかできないというふうな見方は、まずちょっと見方を変える必要があるのではないかなということを思っています。それがまず1点です。
 2つ目ですけれども、私、資料2-1をずっと見ておりましたので2-1で申し上げますが、22ページのところです。
 さっき御説明の中で追記してくださったという、22ページの真ん中下辺り、OECDのことが書いてあるその下の「これを踏まえると」というところの1文で1段落になっているところですが、今お示ししていただいたところです。
 「教師が、自ら問いを立て実践を積み重ねていく探究的な学び」云々の表現がありまして、この部分は多分、「教師が」の次に点があるので、「教師自身が」というふうな意味合い、これは前の文脈からしてもそうかなと思うんですけれども、これは同時に、実は研修の提供者がこういった研修をしっかりとデザインしていくということも非常に大事ではないか、ということでもあると思っております。
 私ども教職員支援機構としても、こういった新たな研修の在り方というものも追求していきたいというふうに考えております。
 最後、3点目でございます。書き加えていただいた「おわりに」のところなんですけれども、54ページで、先ほどの御説明でも、今のこの会議が令和答申を担うということで、令和答申について触れていただいています。
 最後のページの「中央教育審議会では」というところの次の段落、「今回の答申は」というところからの段落でありますけれども、これをしっかりと読んでいくと、これはまさに令和答申の中身を受け止めていただいて書いてくださったということで感謝しております。
 とりわけ、「時代や社会の変化に対応しつつ、誰一人取り残されず、誰もが自分らしさを大切にしながら学ぶことができ」というのは、この答申の中では「ウェルビーイング」という言葉はOECDの紹介として1か所しか出てこないんですけれども、まさにそういったところにつながる内容ではないかと思っています。
 そして最後に、こういったことは今後、教員養成部会等に引き継がれることになって、さらにここで議論をしっかりとしていきたいということが書かれているわけなんですけれども、そのために何をしていかなければならないのかということを改めて思いました。
 学習指導要領は、カリキュラム・マネジメントの記述の中で、教育課程の実施に必要な人的または物的な体制を確保するとともに、その改善を図っていくこと、これがカリキュラム・マネジメントとして重要な3つの中の1つであるということを示しています。
 これは、この部会ではなくて教育振興基本計画部会のほうで永田先生がおっしゃったと記憶しておりますけれども、本当にこれから教育に対するしっかりとした投資が必要なんじゃないかということで、そのことは先ほど御説明のあった、教員として就職する人の奨学金の扱いとかも含めて、お金で何とかできる部分というのもあると思います。
 もちろん、お金はなかなかないわけなんですけれども、そういったところもしっかりと視野に入れて考えていくことが必要ではないかということを思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。1点目の特別免許状についての御指摘は、確かに今回の答申素案の書きぶりの中でも、専門しかできないというニュアンスではなくて、その後の展開があり得るというふうな形で書かれております。御趣旨のとおりだと思います。
 2点目の、教師自らに加えて、研修を実施する者もデザインしていくという御指摘は、そのとおりだと思います。ここは、教師だけではなくて、研修の実施者もデザインする旨を書き加えるような形で修正をさせていただきたいと思います。
 それから「おわりに」のところについての御指摘、大変ありがとうございます。その趣旨がぜひ伝わっていくようにしたいと思いますし、御指摘のように次期教育振興基本計画での検討そのものだと思いますので、そちらにもつないでいくような形にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、中原委員、お願いいたします。
【中原委員】  よろしくお願いします。まずは関係団体等へのヒアリング、そして答申素案の取りまとめ、本当にお疲れさまでございました。
 21ページにありますように、これからの教師の学びを考えるにあたり、あるビジョンですね、これが語られているところが良いところだと思います。「新たな教師の学び」の姿は「個別最適な学び」と「協働的な学び」さらには「主体的・対話的で深い学び」こうした学びの三位一体である、ということですね。これは、要するに「これからの子どもに提供される学び」と「教師の学び」が「連動する」こと「一体化する」ことを意味します。教師の学びなくして、子どもの学びなし、なのです。子どもの学びと教師の学びは、常にセットで考えなくてはなりません。
今回、こういうこのビジョンの下に描かれている点が非常に印象的でした。このビジョンを絵に描いた餅にしないで実践現場に届けていただきたいと思います。「よいビジョン」は「リソース」を伴ってこそ実現します。リソースなきビジョンほど、空しいものはありません。
 その意味では、よいビジョンは出来たかもしれませんが、本当の困難は、ここからです。
このビジョンをリソースを伴って実現するには、教員養成系大学での教え方・学び方の見直し、そして教員養成系大学に対するリソースの追加が必要です。つまり、教師の学びをつかさどる機関への投資が必要です。ここでの学びが教師教育学や学習科学などの教師の学びを考える理論、さらには、データに基づきながら、再構成されることが重要です。
もう一つは、指導主事の教育力の抜本強化です。今の学校では、各教員の校内研などは、指導主事が指導しています。しかし、その指導主事の先生方は、「個別最適な学び」と「協働的な学び」さらには「主体的・対話的で深い学び」を自ら実践できるでしょうか。また、大の大人(=教員)を相手に研修をする技術を学びとっているでしょうか。企業の世界では、企業研修にたつ講師を養成することは、Training the trainerといいます。
 よく現場の指導主事に話を伺うと、「子どもには教えられるんだけれども、大人(教師)に教えるのは苦手」とか、そういうことをよく聞きます。もう一度、指導主事の先生が学び直せる環境をつくっていくことが大事なのではないでしょうか。これはNITSなどの機関が先導的にプログラムをつくり全国展開していくことも考えられます。
 最後に行われなければならないのは、学校へのリソースの追加です。
教員が新たに学び直すためには、学びの資源(学習資源)が必要です。今、学校には、そのリソースが足りていません。教員の定数のあり方の見直し、長時間労働の是正が「セット」になって取り組まれる必要があります。
再三にわたって申し上げておりますが、「長時間労働の是正なくして、学び直しはできません。「教師の学び直し」と「長時間労働の是正」はセットで考えなくてはなりません。そのためには学校管理職のマネジメント力の抜本強化も必要です。こうした内容に、ぜひリソースを追加してください。
 次に考えるべき事は、「ビジョンは、現場でアクションプランに落ちてこそ実践される」ということと「ビジョンは、フォローアップされなければ、ただちに形骸化する」ということです。今回、よいビジョンはできました。しかし、このあと、どうやって各現場のアクションにつなげていきますか。どういうタイムスケジュールの中で、誰が、どういうふうに実現していくのか。これを放置していては、「いいビジョンだけど、誰やるの?」という風になります。
橋のたもとに「御触れ書き」を出しても、世の中は変わりません。世の中が変わるためには、それが「現場のアクション」に結びつかなくてはなりません。そして、現場に根付くためには、年単位の時間がかかります。その間の変化を、定期的にモニタリングやフォローをつづけなければ、ただちに形骸化するのです。そういう意味では、「ビジョンに魂をこめて」終わるのではなく「その後の運用にこそ、魂を込めて」いきたいものです。
 今日、協議会の話も出ていましたけれども、地方公共団体、教員養成系大学に、このあとを任せっきりにしないでいただければと思います。このビジョンがアクションにつながっていく進捗の報告、変化の報告などを中教審の部会、関連する協議会、関連会議に諮っていっていただきたいです。そしてデータをもちいて、着実に着実に、その変化をトレースしていきましょう。そうした丁寧なフォローアップを「継続」ならぬ「超継続」してこそ「今後の教師の学び」が実現します。すばらしいビジョンであるからこそ、ぜひ実現していただければなと思いました。 
以上です。これまで、ありがとうございました。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございます。1点目に御指摘いただいた点については、いずれにしても「令和の日本型学校教育」答申を踏まえて今回の答申素案があるということであり、そのとおりだと思います。
 特に今後のアクションプランなりフォローアップの重要性はおっしゃるとおりだと思います。協議会だけではなくて教員養成部会もありますし、それからデータ等の蓄積を検証しながら、これは行政そのものが今後当然のこととしてやっていくことだと思いますので、例えば、それを教員養成部会等に戻しながらフォローアップするということになろうかと思います。ありがとうございました。
 それでは秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。大変格調高く素案をおまとめいただきまして、またこの間、多くのヒアリングをありがとうございました。
 その中で3点ございますがまず1点は事務局への質問でございます。
 今回、素案のタイトルでございますが、「新たな教師の学びの姿の実現と多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築」となっております。
 しかし、目次及び本文においては全て、「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」という言葉が使われておりまして、本文中も全て「形成」であります。「構築」が使われるところは最後の、「教師を支える環境整備としての仕組みの構築」というところの一語でございます。
 これは、本文を生かすならば「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」ではないのか。あるいは「構築」のほうが格好いい印象というか、それであると、本文もその語に統一しないと、サブタイトルだけが本文にはない表現が使われているということは問題ではないかと思います。どちらかへの統一が必要と思われるのですが、あえてサブタイトルだけここが違うということについてはなぜなのかということを伺えればというところがまず1点目です。
 それから2点目でございますけれども、最後のおまとめの文章をつくっていただきました「おわりに」の部分でございます。
 学制150年に合わせて、これまでの教師の歩みを書いていただいて、大変大事だと考えております。
 一方で、その2段落目でございますけれども、教育基本法のことが書かれているところです。教育の本質は人格的な触れ合いにあるということはよいのですけれども、「単なる知識・技術の伝達にとどまらず」という表現は、よく使われる言葉ではあるんですけれども、教師の重要な仕事の一つに、学習指導要領に基づいた知識や技術を伝え、学んでもらうということは重要な専門性だと私は思っています。
 そう考えると、この「単なる」という語を取り、「知識・技術の伝達にとどまらず」とするか、「知識・技術の伝達とともに、教育を受ける者の人格の完成を目指して、その成長を促す営みである」などのように、やはり知識・技術というものを軽んじた表現に最後にしないことは、重要な公教育の役割ではないかと考えます。
 これはあくまでも意見でございますけれども、御検討いただけるとよいのではないかと感じた点であります。
 また3点目は、大変細かなところではございますけれども、40ページ目の教員免許の在り方のところでございます。
 先ほど中原委員も言われたように、子供たちの個別最適と協働的な学びと同じ同形構造を教員も持つのであるという、このところの、今後の研修の在り方についてという文言のところは賛成なんです。けれども、「一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びであることが必然的に求められる」と書かれているんですけれども、ここは、一人一人の教師の「個性」だけでよいのかと思います。「適性」とか、あるいは「個性とともにそれまでに高めてきた専門性に即して」というような表現にする必要はないのだろうかと思うところです。
 子供のほうは、指導の個別化と学習の個性化という形で「個性」ということが言われているんですけれども、教師が個性ということで自分の好きなところだけを伸ばすというのではなくて、やはり専門性に応じた、多様な専門性を生かすという意味合いがもう少し入る必要はないのだろうかと考えました。
 以上、3点です。1点目は質問になります。以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。まずは御指定もありましたので、事務局から、タイトルと本文中の違いに何か意味があるのかどうかについてお願いします。
【樫原教員免許企画室長】  事務局でございます。タイトルにつきましては「構築」と書かせていただいておりますが、やはり、集団というものを受けて書く言葉としましては「形成」のほうが適切だと思いますので、この点は「形成」のほうに直させていただきます。
【渡邉部会長】  今、事務局からは「構築」から「形成」に修正するということでしたが、秋田委員は「形成」でよろしいですか。
【秋田委員】  はい。統一されれば結構でございますので、その点、確認ということでございます。どうもありがとうございます。
【渡邉部会長】  いずれにせよ、教職集団を大変重要視していくという意味合いでタイトルに持ってきておりましたので、「形成」に修正して、本文との整合性を取ることにさせていただきます。
 それから2点目の、「おわりに」の、「単なる」というだけではなくて「ともに」というような修正については、この文脈からしてそのとおりだと思いますので、「知識・技術の伝達とともに」というような趣旨での、修正をさせていただきたいと思います。
 3点目についても、これは文言調整が関係しますので、少し検討させていただきます。
【秋田委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。それでは、次に高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  私から1点申し上げさせていただきます。
 教員養成に関わって、その充実のために教職課程認定のことについてたくさん触れられているとは思っておりますが、もう少し実質的な面について具体的に記述してもよいのではないかという意見を、この段階で申し訳ないのですが、少し申し上げさせていただきたいなと思います。
 本報告書にも書かれているとおり、教職課程認定については、コアカリをつくるとか、そういったそもそもの充実については書かれているとおりでございます。
 ただ、このことがしっかり審査されているといった旨の記述というのも、あってもよいのではないかと思います。
 実際の教職課程認定の作業を考えれば、我々も課程認定を受ける際にたくさん書類を書いて出します。教員一人一人、これまでの業績や担当する授業のシラバスを提出するわけで、審査においては中教審の委員会が、その業績が十分であるか、シラバスがしっかりコアカリを満たしているか、それら同士の一致等について審査を行っていると思います。場合によっては資格なしといった判断に至るケースもあるというふうに伺っております。
 先ほど中原委員からも、絵に描いた餅にならないようにといったような指摘があったと思いますが、教職課程に関わって、こういったことを実質化するには、課程認定作業について様々な意見や、大学の独自性の重要性といった指摘もあるものの、実はこういった作業が教職課程全体の研究業績を生み、レベルアップにつながっているのではないかと感じるところもありますので、こうしたことについて、また改めて検討していく必要性とか、充実していくような必要性があるのかなと思っています。
 関連する記述がどこにあるかというのがあまり思いつかないのですが、例えば47ページに、「実務家教員については」という記述がございます。「自らの実務経験や授業観・学習観を学生にそのまま伝達するのではなく」という、ここの部分は、実務家教員もどんどん現場を離れていけば分からないことも増えてくると思いますし、GIGAスクール等、大変現場は動きが激しいですから、実務家教員の時代の話を再生産しているだけでは厳しいと。
 となると次の、「大学教員として実務経験を体系化・構造化し、理論と結びつけながら教育を行うことが求められる」と。
 つまり、こういったことがしっかり、今現在かなり行われていると思いますが、教職課程認定の作業の中でしっかり確認されていくということが、こういった記述の実質化につながるんじゃないのかなと感じたところです。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。この養成のところについては、表題にあるように、理論と実践の往還をあらゆるところで生かしていくということでございます。御指摘の趣旨はよく理解いたしました。
 文言的にどうするのかということ以上に、今後の教員養成部会等でこの趣旨をどう生かしていくのかということが大変重要な御指摘だというふうに受け止めさせていただきました。
 修正について、何か事務局のほうからありますか。
【樫原教員免許企画室長】  事務局でございます。特に課程認定のプロセス自体のものについては、もともと総論の制度の概要のところに簡単には書いてあるんですけれども、そこの部分を特にもう少し充実させる、ないしはほかのところの記述を工夫をさせていただきたいと思います。
 特に、教職課程の課程認定委員会の先生、お名前を出すことは今できませんが、この夏秋にかけてもかなり多くの審査に携わっていただきましたので、そういった方々の思いというか、力にも報いるような形で記述をさせていただければと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。それでは、次に貞廣委員、お願いいたします。
【貞廣委員】  ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。まずは取りまとめの労をお取りいただきましてありがとうございます。
 その上で2点申し上げたいと思います。1点目は、働き方改革等の記述に関連をして、2点、可能であれば加筆をしていただきたいということです。
 働き方改革について、先ほど来幾つか御意見が出ているとおり、もちろんリソースの問題でもありますけれども、単に特定の業務を減らしたりアウトソーシングしたりするというのではなく、先生方の働きやすさと働きがいを両立するものであると考えます。これは教職の魅力化にも通ずるものです。
 そのため2点、加筆していただきたいというのが、まず38ページの、校長等の管理職の育成及び求められる資質能力の明確化の部分についてです。段落で言うと「また」で始まる、「また、校長のマネジメントについても」のところで始まる、今出していただいているところですけれども、「学校で働く人材の多様化が進む中で、職場の心理的な安全を確保し」云々というところですけれども、恐らく意味としては、働きやすさと働きがいの両立ということを意識してくださって書いてくださっていると思いますけれども、明確に働きがいと働きやすさを教職員に保障していくという学校長の役割を書いていただくということも必要かと思いました。
 また、ここについては、そういう教職員の育成ですね、それも校長先生の重要な役割ですので、それについても併せて、できれば記述をしていただきたいということです。
 もう一つ加筆をしていただきたい箇所というのが52ページになります。教職員の方々の心理的な安定、安寧云々について書かれているところですけれども、もう少し下のほうでしょうか、ちょっと私が追いかけられていないので―― 一番下の、最後の段落ですね。
 ここに教員のメンタルヘルスのことについて御指摘くださっていて、これは非常に学校現場でも重要な問題だと思いますけれども、こうした本当に深刻なメンタルヘルスの問題もそうなんですけれども、それも含めて全体の方々が、先ほど来から同じことを申し上げていて申し訳ないのですが、働きやすさと働きがいを両立して、やりがいを持って教育活動に携わっていくと。それを保障できるようにというような書き込みも、可能であればしていただきたいと。これが1点目でございます。
 2点目は、30ページに行っていただけますでしょうか。教育実習に関わる記述のところでございます。
 真ん中の辺り、上から3番目の段落の後段でしょうか、「後述の『介護等の体験』等で学生が学校現場に行く機会が多くある中で」というのですけれども、ここに、「学生に心構えや基本的マナーを指導する」というふうに書いてあります。
 実際、我々はもちろん指導してから学校現場等に送り出しておりますし、その結果、なかなか至らないというか、なかなか指導が、こっちは頑張ってやっているんですけど行き届かない部分があって、ちゃんと指導してくれよというような御意見が出たということは承知しているんですけれども、曲がりなりにも大学に、「マナー」という言葉をこういう文書に使うことにちょっと違和感がありまして、「学生に心構えをしっかりと」ぐらいの記述にしていただいたほうがいいのではないかということです。それによって我々が手を抜くということではなくて、公的に出る文章として若干、私自身は抵抗がございました。
 むしろ、学生に心構えを指導し、これだけではなくて、教育実習等というのはやっただけではなく、その活動を振り返り、省察し、次の活動につなげていくと。これを指導することこそが大学の重要な役割であると思いますので、むしろそちらのほうを加筆していただくという形で微調整をしていただけないかということでございます。
 以上、2点申し上げました。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。1点目の2か所の修正、いずれにしても働き方改革との関係でしたけども、働きやすさ、働きがい、特に働きがいの御指摘は非常に重要な要素だと思いました。
 この部分は、もともと平成31年1月の働き方改革の答申が出ているものですから、そちらの答申の指摘事項があるので、記述としては若干絞り込んだ書きぶりになっていますが、御指摘はもともとの働き方改革の答申の趣旨そのものだと思いますので、文言として先ほどの御指摘のような形で入れるよう検討をさせていただきたいと思います。
 それから2点目については、この点を指摘した方もおられるものですから、その趣旨をもう少し総括的に受け止められるように、例えば先ほどの御指摘に心構えと全体の教育実習等の実態を踏まえた形での書きぶりというふうな形で、工夫をさせていただきたいと思います。
 事務局から何かありますか。
【樫原教員免許企画室長】  ありがとうございます。特に2点目のマナーの話ですけれども、まさにこれは学校現場の方から明確に「マナー」という言葉を意見書上書かれておりますので、「マナー」ということを書かせていただきましたが、基本的にその「マナー」という言葉が大学生にふさわしいのかどうかということであれば、多分修正の余地はあるとは思いますが、一方で、ただ単なる心構えだけではないという、これは各種校長会の皆様のかなり切実な声として伺っているところであり、この点につきましてはずっと、まさにずっと大学関係者と受入れ側の関係者の中でいろいろ話し合うというか、いろいろ議論があるところかと思いますので、その趣旨も踏まえて、表現ぶりは検討させていただきます。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  では、言葉遣いについて、この「基本的マナー」も含めてどういう文言で修正できるのか、検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
【市川委員】  すみません、その言った当事者の全国特別支援学校長会の市川でございます。
【渡邉部会長】  はい。どうぞ、関連事項ということで御意見をお願いします。
【市川委員】  言葉の使い方についてはお任せいたしましたが、我々のほうで介護等体験について、このような『フィリア』という冊子も出しています。これは、全国の特別支援学校長会の校長からいろんな意見がありまして、このようなものを出しております。この中にも、正直言って大学生の、我々の言うところの言葉の「マナー」という領域についてのことをかなり指摘しております。
 実際問題は、いろんな大学からいろんな学生が来まして、いろんなことが学校の中で行われているのは事実です。また、大学側にその旨を伝えた学校がありましたが、その大学からは「そこまで大学では指導できません」と言われたということも意見として聞いています。
 そういう意見を踏まえて我々も意見を提出しているわけなので、言葉の使い方はともかくとして、介護等体験について、特別支援学校ではいろいろなことが学校の中で行われているというのは理解をしていただければと思います。言葉の使い方については、別にどうこう言うつもりはございません。
 以上です。
【渡邉部会長】  承知しました。
【貞廣委員】  部会長、よろしいでしょうか。
 申し訳ありません、本当に御不快な思いをされたのであれば大変申し訳なく、心よりおわび申し上げたいんですけれども、私自身、教員養成課程におりますので、本当にとんでもないことが日々起こっているのは十分承知しておりまして、なかなか指導が行き届かないことも本当に申し訳ないと思っております。
 ただ、曲がりなりにも最高学府でというところがございまして――ただ、これももう調整は事務局のほうにお任せいたしますので。申し訳ありません、拙い意見で大変失礼いたしました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。いずれにしましても、介護等の体験等の現場では、いろいろことが起きているということを、よく承知した上で対応してほしいということですので、そういう趣旨が伝わるような形での修正をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは永田委員、お願いいたします。
【永田委員】  ありがとうございます。今の意見、今のやつを聞いていて、「マナー」という単語と違う単語、例えば「リテラシー」を使えばいいかなと思います。「理解すべきこと」とか「共通に認識すべきこと」という単語なので、使えるのではないかと思います。
 さて、私の意見は、22ページの「ウェルビーイング」について一言だけ申し上げたいと思っていますが、確かにこの全体を通しまして、「ウェルビーイング」という単語は1か所しか使われていなくて、しかもOECDのプロジェクトの引用として引かれています。
 現在、振興計画のほうで、この「ウェルビーイング」というのは今後重要な単語になるわけです。その時に、ここに引用されているようにOECDがいう意味の「ウェルビーイング」というものは、確かに事実として残していいんだけれども、その後付記いただきました「これを踏まえると、教師が、自ら問いを立て実践を」云々というところ、もしくはその上の、「教師自身についても(かぎ括弧)」の部分なのですが、ウェルビーイングの解釈として、これは「令和の日本型教育」を云々する教員・教師になっているわけですから、日本におけるウェルビーイングの解釈を経た上で、あるいはそれを考えた上で、教師自身がこの全体のコンテクストの中で考えてほしいという意味を残したいので、例えば、どちらかのところで教師自身が、あるいは教師自身についても、「令和の日本型」とは言いませんが、「日本におけるウェルビーイングについて考察し、その上で自ら問いを立て」とか、そういうことを言っておかないと、この後出てくる振興計画よりも遅れたことにならないかなと思って付け加えました。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。御指摘の趣旨は非常に重要な要素だと思います。若干こちらの答申素案作成のスピード感が早くて、教育振興基本計画のほうが後ろにずれているため、現時点では書きぶりの差が生じてしまっていると感じました。「日本発の」という表現になると思いますけれど、日本発のウェルビーイングについての考察というような形で、今御指摘のような文章を加えて、教育振興基本計画との連動性をより高めるようにさせていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、次に岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。すみません、ちょっと細かい点を何点か。
 最初、22ページ目に、教師の学びの姿で、「これを踏まえると、教師が、自ら問いを立て実践を積み重ねていく」というところがあるかと思います。
 これ、前後の文脈を読むと、一つは振り返りというところが特に前の段落から出ていて、これ、問いを立てて実践するだけではなくて、それをちゃんと振り返ってというあたりなんかの姿もちょっと入れたほうがいいのではないかというところと、あと、その後の文脈というか、読んでいくと、実践だけではなくて「理論と実践の往還」ということがあります。
 ですので、教師の学びの姿のところに、問いを立て、実践して振り返り、それとちゃんと理論とも往還させながら学んでいくような探究的な学びだというような、令和の時代の教員の学びの姿をもう少し丁寧に記述したほうがいいのではないかというのが1点目であります。
 次が30ページ目の注でついたところ、41ですかね、「一方、高校においては、生徒の年齢がより近い学生が学校現場に入ることが心配」ということで、ちょっと何か、小中学校に関してはこうだといろいろ書いてあって、高校だけ心配が書かれているというのが少し違和感というか、これはもう少し、どんなことが懸念されるから、だからこういうことをしたほうがいいとか、何かもう少し補足がないと、これは一体何を言いたいのかというのが読む人にも伝わりにくいと思いますので、先ほどありました、こういった懸念があれば学生にモラルだとかマナーだとかリテラシーだとかの指導をよりする必要が、特に高校に入る際にはあるのかとか、対面だけではなくてオンラインの活用なんかも含めてとか、何かちょっとここの書き方は、もう少し、どういう懸念に対してどんなことが必要だという指摘だとか、あるかというところを補足したほうが。ちょっと、小中学校の書き方と比べてすごい乱暴だなという感じがしましたので。というのが一つです。
 次、38ページ目に、校長の資質能力の明確化のところで、「教員に共通に求められる資質の具体的内容を基礎とし」と。それにさらに「加えて」とか「特に」と。特にこれが必要で、「また」何々、というので、何かすごい、校長に求められるものが本当に広範、広く基盤から積み上がっていくような、何かスーパー校長みたいなイメージになっていってしまっている感じがあって。
 特に必要なことが何なのかというところで、教員に共通して求められる教科科目の指導とか、本当にそういったところまで基礎として必要なのかというのはあるかと思いますので、今回の文脈において、校長に本当に必要な資質能力を明確化するという意味で、本当に全部必要なのかというところを含めて、もうちょっとコンパクトにというか、あれもこれもという形にならない書き方のほうが、本当に言いたいことが伝わっていいのではないかというのが、ちょっと書き方のところです。
 最後、54ページですかね、「おわりに」のところです。「おわりに」の中に、今回はどこまで議論ができて、何はまだ議論し切れていないのか、今後議論すべき、後に引き継いでいく点みたいなところを、やっぱり明確に書いてもいいのではないかと思います。
 特に今回、教員の待遇だとか配置のところに踏み込んだ議論というのはまだ十分されていないというふうに感じます。教職員のウェルビーイングを考えたときに、こういった点は重要になってくると思いますので、それは引き続き、より検討していく必要があるというようなことなんかも記しておくべきではないかと思います。
 特に教職員の配置や定数のところに関して言えば、小中学校、義務教育のところは定数改善なんかもされてきてはいるんですけど、高校に関しては定数改善というのがずっとされてきていないというところで、高校も含めてこういったところをしっかりとやっていく必要が、検討していく必要があるというようなことも載せていただけるといいかなというふうに思っています。
 最後ですが、中原委員からもありましたけど、やはりこれ、文章はこういった形でいいと思うんですけど、最後出すときに、例えばステークホルダーごとの役割というか、国は何をする、大学は何をする、教育委員会とは何をする、学校現場ではどういう役割、みたいな、それぞれが一体ここにおいて何をしていくのかということと、それのスケジュールというか、大きい意味での工程ですね、いつ頃何をしていくのかという、それがどうつながっていくのかみたいな、そういったイメージを持てるほうが、それぞれがそこに向かって動き出すと。このビジョンに向かってですね、できると思いますので、まとまったときにはそういったところも、工程表というのか、含めて示せると、関係者が動きやすくなるかなと思います。
 以上です。すみません、ちょっと長くなっちゃいました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。1点目の修正については検討させていただきます。2点目の30ページの注のところについては、確かに過去このような御意見があったので注意書きとしているものの、なかなかその具体的な対応まで書けなかったということだと思います。ただし、御指摘とおり、注意書きといえども、この書き方だけだと私自身も少し違和感を感じます。先ほどの御指摘のような、モラル対応とかそういったことも検討事項になるというように工夫をした方がよいと思いました。
 事務局のほうでここについて、何か意見はありますか。
【樫原教員免許企画室長】  事務局です。30ページのここの部分の記述は、もともとどういう御意見があったかにつきましては、資料3-2のヒアリング概要のほうで意見書を全部まとめておりますが、これの41ページの全校長様の御意見を、かなり事務局のほうとしても短く記載しておりましたので、趣旨としましては、まさに教育実習生の低年齢化ということで、生徒との年齢がより近いことで、教員としての立場を律することが難しくなることも心配されると。大学が教育実習生の質を保証するのかも心配であるという御意見を踏まえまして、これは特に高校ならではの事情と考えまして、その部分を、すみません、短く書きましたが、もう少し的確に表すということと、あとは、ここはもともと多様な教育実習の在り方ということがありますが、小学校・中学校と高校では求められる教育実習の期間も、前者は4週間であるのに対し、後者は2週間と少し状況は異なりますので、そういったことも踏まえた対応もあり得るのかなというふうに考えております。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 あと、御指摘の校長の資質のところについては、校長としてのマネジメント、ファシリテーション力、そういったことについて特に焦点を当てて記述をしたいというのが趣旨です。ただ、基礎を積み上げている部分がなくてもいいという話ではありませんし、校長の任命自体が非常に幅広くなってきますから、そういった方にも資質要件のところをきっちり確保してほしいという趣旨もあって、やや積み上げたような記述になっています。御指摘のような視点でより焦点を当てるような書きぶりにできるのかどうか、これは検討事項にさせていただきたいと思います。
 あと、「おわりに」のところと、今後の工程表等の関係ですけれども、これを具体化するときには、教育振興基本計画における今後の各論の計画の中でどの程度この要素を入れていくのかとか、教員養成部会で実際に今後この実践の中での課題等について引き続き検討していくのか、ということになります。全ての工程表等についてこの答申の中で書くのは非常に難しいものですから、御指摘のような点を教育振興基本計画等の中の教員のところでどの程度入れられるのか、検討させていただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【岩本委員】  ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 それでは、木村委員、お願いいたします。
【木村委員】  こんにちは。長崎大学の木村です。素案のまとめ、ありがとうございました。私は、各関係団体から2回御意見をいただきましたので、その中で改めて感じたことを基にお話をさせていただきます。
 53ページ、「おわりに」の後半に記載していただいたように、現在の教員志願者減少の背景は、子供たちの成長や教育に関われるという教員本来の魅力が損なわれているからというよりも、教職を目指している者でさえ教職に就くことをちゅうちょしてしまう状況があるからではないかというような認識が高まりました。このような中、教員免許更新制の発展的解消から始まった今回の答申への一連の取組は、教職を目指す者が、教職に対する自らの主体性を支えに、養成・採用・研修のプロセスを高度な専門職としての自信と誇りを持って歩むことができる、それを実現できるものだというふうに私は捉えをしています。となれば、教員の資質能力の向上と併せ、教職へのちゅうちょの背景となっている課題を教員の志願者の立場に立って取り除く方向性を明確にすることは、この答申の役割の範囲の中でではありますが、重要なポイントだというふうに思います。
 その一つが52ページでありますけれども、「学校における働き方改革の一層の推進」という部分だと思います。1行目に、「時間外勤務は一定程度改善傾向にあり」。これは数字上そういうことになっているんだと思いますが、ヒアリングの話を聞くと、やっぱり現場サイドとの温度差というのは大いに感じるところがありました。学校現場が理解できる改善、そういうものがやっぱり期待として望まれているんだろうなと。そういうふうに考えると、この部分は、繰り返しますが、この答申の役割の範囲の中で結構なんですが、他の取組との連携とか、また、働き方改革を含めた課題、ちゅうちょの課題となっているものの解決、この辺りにも幾らか可能な範囲の中で言及していただければというふうに思います。
 最後にですが、採用につきましても、今までの根強い人気に頼り切って、例えば時代によって採用数が大きく変化するとか、臨時的任用教員に頼っている仕組みとか、また、今回話題になっている採用試験の時期が遅いとか、志願者の立場に立っているとは言い難い部分もありましたので、こういうことも含めて今回を起点に改善していただければと思います。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。まさしくこの答申素案の趣旨そのものを支援していただくようなお話だったと思います。いずれにしても、これを今後各都道府県の教育委員会等にも理解してもらう必要がありますし、教員の皆さんに理解してもらうことが非常に重要ですから、こういった答申内容の理解浸透をどうしていくのか、大変重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。
 それでは、益川委員、お願いいたします。
【益川委員】  それでは、益川のほうからコメントさせてください。
 50ページ、51ページの「教師を支える環境整備」の(1)の「学びの振り返りを支援する仕組みの構築」のところですが、簡潔にまとめられていますが、21ページ、22ページにある「今後の改革の方向性」とどのように関連づいているのか具体的な表現が少ないのではないでしょうか。今回、例えば22ページの加筆箇所で多くの委員から追加のコメントも出ていますが、この追加内容も踏まえ、自ら問いを立てて実践を積み重ねていく探究的な学びをデザインしていくというところ、などの表現をぜひ反映させていただきたいです。例えば、51ページの研修プラットフォームを活用することでデザインしていくようになってほしいみたいな文言であるとか、授業観、学習観、そういうことを通して転換につなげていってほしいという文言などが入っていたほうが望ましいです。参照される方が、50,51ページの(1)の範囲の文章だけ取り出して解釈されてしまうと、本答申のビジョンとの関連が弱くなってしまうので、ぜひ加えていただきたいなと思います。
 それから、荒瀬委員からもコメントがあったように、そういうことを通して、このプラットフォームの中で研修を充実させていくと同時に、研修内容のデザインのブラッシュアップみたいなところにもプラットフォームを活用していくことで研修内容の質を向上し続けるような内容もぜひ加筆していただけるとうれしいです。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。環境整備の中で指摘している研修のプラットフォームについては、御指摘のとおり、大変重要だと思います。どうしても従来暗黙知になりがちなところを、形式知にというような御指摘もありましたけれども、これは見える化、分かる化ということで、より実践につなげて、往還をつくりやすくするということだと思います。御指摘のとおりだと思いますので、今の御趣旨を加えられるのかどうか、検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、根津委員、お願いいたします。
【根津委員】  早稲田大学の根津です。
 資料2-2の内容はこれまでの議論をおおむね的確に反映しているかというふうに思います。お取りまとめに厚く御礼申し上げます。
 ただし、教職課程に携わる大学や大学関係者が、教職課程の設置や維持はややこしいと、コストの割に面倒なのでもうおしまいというふうに教職課程の規模縮小や取りやめに至るリスクというものが生じるかなとも感じました。これは難しいんですけれども、専任教員や多数の非常勤講師等を含め、教職課程に携わる大学関係者の矜持ややりがいといったものにどこがどう対応し、報いればいいのか、なかなか簡単には答えが出ないところだというふうには思います。答申の素案に何か具体的に修正を求めたいというわけではありませんけれども、印象として一言述べさせていただきました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今回のヒアリングの中の御意見でも、こうした教職課程大学が撤退するようなことについての問題指摘がありました。むしろ逆にこの答申を理解してもらうことによって、そういった大学がもう一度踏張ってもらいたいという思いを持ちました。御指摘の趣旨がよりプラスに動くような形でこの答申を現場に受け止めていただけたらなと思います。非常に重要な御指摘だと思います。
 それでは、次に、森山委員、お願いいたします。
【森山委員】  森山です。よろしくお願いします。
 全体を通しまして精査をいただいて、そしてまた、ヒアリングでの御意見を踏まえ、組み入れて、おまとめいただきまして、本当にありがとうございます。
 私のほうから1点、34ページの「優れた人材を確保できるような教員採用等の在り方」の①の「教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方」のところについて少しお話をさせていただければと思います。いわゆる早期化・複線化について検討する必要があるというところです。まず、やはり少しでも採用試験受験者並びに講師名簿等への登録者を増やすという手だてにおいては、応急処置的なものかもしれませんが、重要なものと考えます。その中で、具体的には、やはり教育実習等の在り方の見直しであるとか、あるいは複線化と早期化との関連性とか、いわゆる養成と採用との一体的な改革の下で実現するものだというふうに思います。そういう意味では、この答申の中では、いわゆる民間企業等についての時期、いわゆる内々で確保する時期等についての、あるいは公務員についての試験の実施時期、そのようなところの文言が非常に強く書かれておりますが、養成・採用との一体的な改革の下で実現するというところの文言を入れていただくことによって、ぜひこの実現の可能性を高いものにしていただくということが必要なのではないかと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。先ほども話がありましたけれども、いずれにしても、御趣旨も踏まえながら、協議会等で非常に実態に即した形での検討がこれから進められる必要があると受け止めさせていただきたいと思います。記述の中にもありますように一部早期化をすればいいという単純な話ではなくて、逆に全体の人数調整が難しくなってしまうとか、採用選考試験の在り方がむしろ難しくなってしまうといった課題も出てきますので、協議会での検討というのは非常に重要になってくると思います。ありがとうございました。
 それでは、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】  今村です。
 取りまとめ、ありがとうございました。私からは、「はじめに」の中でぜひ触れていただきたい点を申し上げさせていただきます。この「はじめに」においては、中教審の中でどんな議論をされてきたのか、特に教師の養成を検討している、ここでどんなことが検討されてきたのかというところからスタートしているんですけれども、これは教員養成に関わる場面だけではなく、様々な委員会の答申等、全てにおいて触れていかなければいけないんじゃないかと思っています。それは、この審議会とは違う外の力の働きかけによるものだとは思いますけれども、来年4月からこども家庭庁が設置される。その上で、こども基本法が制定されたということについても、この大きな流れの中で教師が一人一人そこを踏まえなければいけない。教師だけではなく、私たち大人たち、特に教育に関わる大人たちが新しいスタンスのスタンダードとして踏まえていかなきゃいけない法律ができたと言えるんだと思います。
 そういった意味で、細かく触れる必要はないとは思うんですけれども、やっぱり子供を真ん中にした、子供の視点に立った学校、子供の視点に立った教え方、そういった視点というのが、これまでは供給側がこういうことを教えるべき、こういうふうに養成すべきというところだったわけですけど、子供たちの声や意見を聞きながら、そこを改めていくんだという方針が、学校教育法とか教育基本法との考え方、上位はどっちなのかどうか分からないんですけれども、一応今、こども家庭庁は文部科学省に勧告権を発動できるということもあるわけですので、そういう意味で、こども基本法ができたということについても、全ての教育者の方々にきちんと踏まえていただかなきゃいけない部分だと思います。なので、ここについても、「はじめに」の中で、社会の大きな意思決定がされたわけですので、そこについて踏まえるべきかなと思いました。
 私からは以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。大変重要な、そして大きな動きがあったということでは、御指摘のとおりだと思います。ただ、「はじめに」が、「令和の日本型学校教育」の答申との関係性とか教員免許更新制のところを中心に出した審議会のまとめという流れで整理しているものですから、こども家庭庁の要素を初めに入れるのは難しいかと思いますので、9ページ、10ページにある「他の会議体等からの提言・要請」という項目の中に含める形で整理させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【今村委員】  はい。確かにそちらのほうがいいかもしれません。ただ、子供を真ん中にして物を考えるべき時に来ているというか、それは今までも当たり前だったけれども、なかなか実現していなかった新しい当たり前ですので、先生方一人一人には重視していただきたい基本スタンスかなという点だけもう一度触れさせていただきますが、ここに明記ということでいいと思います。
【渡邉部会長】  承知しました。その趣旨が伝わるような形にさせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、時間になりますので、あと、大字委員、松木委員の手が挙がっていますから、このお二人の御意見を伺い、もしその他にもあるようでしたら、後ほど事務局を通じてご意見をいただくことにしたいと思います。
 それでは、大字委員、お願いいたします。
【大字委員】  全連小の大字でございます。
 今回、ヒアリングまたは意見書等を様々御配慮いただいてこのような形で答申をまとめていただいたことに、まず感謝を申し上げます。この答申を通して、また、この答申を読むことによって、これから教師を目指そうとする学生が安心感を持ったり、今、現役で先生をしている教師一人一人が、次への期待というか、やる気を持てるような、そういう答申になっていただけるとありがたいなと思っております。
 そのためには、大きな柱の5番目の「教師を支える環境整備」のところがやはりどれだけ具体的に書き込まれるかということが重要ではないかなと、現場を預かる校長としては強く感じています。できればもう少しここを具体例も含めて書き込んでいただけるとありがたいなという思いです。例えば、今、学校現場は、勤務時間の中で教材研究をしたり、教材準備をしたり、研修をしたりという時間が取れないような状況にあります。それは総授業時数がどうしても年々というか、答申の改訂によって増えてきて、勤務時間の中ではもう本当に授業だけやっていると、そういう状況もあります。そのようなところも踏まえて、書き込める範囲で環境整備について具体的に御記入いただくか、また、「おわりに」のところで、今後こういう機関で積極的に検討、審議を進めていくというようなことを表していただけるとありがたいなと、そのように思っています。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。今の御趣旨は恐らく働き方改革の関連事項の要素だと思いますので、その視点で文言として加えられるかどうか検討をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、松木委員、お願いいたします。
【松木委員】  今回の答申の際立った特徴の一つは、学部教育と大学院教育の連携接続、他大学との関係も含めた連携接続という点、あるいは教育委員会と大学の連携協働といったようなことにあるかなと思います。これまでのような就業前の4年間をターゲットにした教員養成、準備教育としての在り方から、教師が生涯にわたって学び続ける専門職としての育成の在り方に大きく踏み出したんじゃないかなというふうにも思えてきます。この中で、教師のキャリアパスの仕方として、教職大学院等の教員になっていくという道についても踏み込んで書かれているかなというふうにも思います。こういったことを含めると、今後の検討課題になるかなというふうに思いますが、教職大学院の教員をどう育てていくのか、Ed.D.のようなものを含めて新たな課題が出てくるんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。教職大学院だけではなく、日本の大学院全体の課題なのかもしれません。非常に大きな課題として受け止めさせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、本日も大変多くの御指摘をいただきました。中教審で諮問されました「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方については、これまでこの特別部会だけでも9回、それから教員免許更新制小委員会で6回、基本問題小委員会では何と10回を重ね、合計で25回もの議論を行ってまいりました。非常にたくさんの論点があったわけですけれども、委員の皆様の御尽力、御協力のおかげで、本当に中身の濃い答申にまとまりつつあるのではないかと、認識をさせていただいております。
 今日も多くの指摘がございましたので、その内容についてはしっかり受け止めさせていただきたいと思います。そして、本日の御意見を踏まえた修正をした上で、これからパブリックコメントに付していくスケジュールに移らせていただきたいと思います。さらに、最終的には中教審の総会において審議されるものと考えております。今後、パブリックコメント、それから総会での御意見、そしてそれを踏まえた修正については、委員の皆様には事務局を通じて報告をさせていただきたいと思います。必要に応じてその場面においても御意見をいただきたいと思います。
 そこで、本日の御意見を踏まえまして、修正については私にぜひ御一任いただければと思います。また今後の進め方についても御了承いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
 ありがとうございます。特に異議ないと受け止めますので、それでは、年内の答申を目標とてパブリックコメントに付すとともに、総会における審議を進めさせていただきたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、皆様の多大なる御協力のおかげで、この特別部会も開催するのは今回最後ということになろうかと思います。令和3年3月12日の諮問でございましたから、それ以来、たくさんの論点について、小委員会の加治佐主査をはじめとして、委員の皆様に精力的な御参加をいただいて、特別部会としての審議を進めることができました。この間、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、ほとんどウェブ会議で実施するという状況でございましたけれども、皆様の御協力のおかげで答申素案ということになりました。本当にありがとうございます。
 今日の皆さんの御意見も聞きながら、感想的なことになりますけれども、この答申素案は諮問5点に答申する内容となっており、教師、教職集団、免許、それから養成・研修、環境整備と、多岐にわたるものでございます。どれも大変重要な議論内容だったと思います。ただその中で、教員免許更新制の発展的解消という結論を得たこと、これに象徴されていますけれども、中教審特別部会というのは教育現場の多くの実態ですとか多数の声を尊重しながら審議を進めてきたと思います。まさにこの中教審特別部会の運営が未来志向の理論というものと現場実践の往還だったのではないかというふうに感じています。
 私の思いといたしましては、全国市町村教育委員会連合会からのヒアリングの意見の中にあったのですが、教師は学び続ける者のみが教える資格を持つという言葉の引用がありました。私にとって強く印象に残った文言でした。答申素案の中にも記載されているとおり、教師が自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研修と修養に励み、理論と実践の往還の下に学び続ける存在であってほしい、こういうことを意味しているのだと思います。そして、それを豊かな授業に生かして、その姿を社会に示すことにより、教師が創造的で魅力ある仕事であるということを再認識することにつながり、ひいては教師自身の士気や誇りを高めることにつながるのだと、このように考えます。この思いと皆さんの多くの思いが詰まったこの答申が広く教師の皆さんのもとに届いて、未来に向けて「令和の日本型学校教育」を担ってほしいというふうに思います。
 以上、今日の皆さんの御意見を聞きながら感じたことを申し上げさせていただきました。
 それでは、本日の議事は以上とさせていただきます。答申素案については、先ほど皆様に御賛同いただきましたとおり、本日の議論を踏まえて必要な修正をした上で、パブリックコメントに付して広く国民の声も伺い、かつ総会での審議を進めさせていただきたいと思います。この先、パブリックコメントで寄せられた意見ですとか、それを踏まえた修正等は事務局を通じて報告させていただきますので、また必要に応じて御意見を頂戴できればと思います。引き続き、その点では御協力をお願いできれば幸いです。
 本日も大変長時間にわたりまして、ありがとうございました。以上とさせていただきます。
 
―― 了 ――

(総合教育政策局教育人材政策課)