中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会(第9回)

1.日時

令和4年10月6日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会 中間まとめに係るヒアリングについて
  2. 教員の資質能力の育成等に関する調査研究について

4.議事録

【加治佐主査】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会、第9回基本問題小委員会を開催いたします。
 本日もウェブ会議システムを活用しての開催です。
 それでは、本日の会議の進め方等について事務局から説明をお願いいたします。
【平沢教育人材政策課長補佐】  文部科学省、教育人材政策課の平沢と申します。
 御多用中の御出席ありがとうございます。本日も、ウェブ会議システムを活用していることから、1、御発言に当たっては、聞き取りやすいようはっきりお話しいただくこと。2、御発言の際は名前をおっしゃっていただくこと。3、発言時以外はマイクオフミュートにしていただくこと。4、御発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンを押していただくことについて、御協力をお願いいたします。
 本会議の模様は報道関係者と一般の方向けにライブ配信しております。Webexのチャット機能については、傍聴者は閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただく等、補助的な使用としていただくようお願いいたします。
 本日は、議事1に係る発表、意見交換のため、日本教職員組合の丹野書記次長、全日本教職員連盟の前田委員長、日本教職大学院協会の吉水事務局長、全国私立大学教職課程協会の田子専務理事。また、議事2に係る発表、意見交換のため、龍谷大学の松岡准教授、浜銀総合研究所の有海上席主任研究員に御出席いただきます。
 配付資料は、議事次第に記載のとおりです。前回、9月9日開催の令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会におきまして、中間まとめ案は、委員の皆様におおむね御了解をいただき、渡邉部会長に一任となりましたが、その後、部会長と調整させていただき、資料1のとおりで、案の取れた中間まとめとなっておりますので、御報告いたします。
 また、議事1の関係団体ヒアリングに関して、書面にて、全日本教職員組合、日本高等学校教職員組合、全国教育管理職員団体協議会の御意見を承っております。資料3-1から3-3にて配布しておりますので、御報告させていただきます。
 なお、資料4について、直前で恐縮ですが、先ほど、委員の皆様へ差替版をメールでお送りいたしましたので、御確認いただければ幸いです。
 事務局からは以上です。
【加治佐主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御報告のとおり、前回の特別部会を経まして、資料1のとおり、中間まとめが取りまとめられました。今日も含めて、2回の基本問題小委員会において、この中間まとめについての関係団体のヒアリングを実施いたします。
 進め方ですが、まず、各団体から資料を基に御説明をいただき、その後、意見交換、質疑応答を行うという形式といたします。また、効率的に議論を行うため、時間を区切って実施したいと思います。区切り方は議事次第のとおりです。
 それでは、早速、ヒアリングを開始してまいります。まず、第1グループです。日本教職員組合の丹野書記次長から10分ほどで御報告お願いいたします。
【丹野氏】  皆さん、こんにちは。日本教職員組合、丹野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は中間まとめの意見表明の機会をいただいたことについて感謝いたします。
 さて、2021年1月に、中教審は令和の日本型学校教育の構築を目指して、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現について、答申をされました。その際、必要な改革をちゅうちょなく進めることで、従来の日本型学校教育を発展させ、令和の日本型教育の実現を目指すとしています。山積する教育課題の解決とともに、全ての子供の可能性を引き出すための教育施策を進めるとした答申であったと理解しております。
 その上で、個別最適な学びと協働的な学びのいずれも極めて大事な学びの観点を進めていくためには、教員をはじめとした必要な人員の配置拡充、処遇改善、教育条件整備は欠かせません。これらがちゅうちょなく善処、あるいは改革されることにより、現場教育職員のモチベーションは上がり、職員室が活性化され、教育の持続性とともに、子供一人一人に対する最善の教育が準備される環境に近づくものと考えます。この考えの下、以下、意見を述べさせていただきます。
 まずは、総論部分であります。GIGAスクール構想の前倒しにより、ICT環境が急速に整備されました。ICT支援員等の配置、通信環境の整備、機器等、更新時の予算措置、健康被害等とともに、日常の授業において、端末は利用しているものの教育的効果を追求するに及んでいないとの課題が、現場から課題として挙げられてきています。教職員の多くから研修を求める声もある一方で、研修時間の確保が困難な状況にあることは、委員の皆さん御承知いただけるかと思います。ICTという学びのツールの活用は、今後、さらに進むものと考えます。協働的な学びへのアプローチ方途を示すことが必要であると考えます。
 連合総研が、9,000人を超える全国の教育教員の勤務実態調査をしました。その結果、教員の持ち帰り仕事時間を含む1か月の時間外在校等時間の平均が123時間16分でした。教員の勤務時間は高止まりのまま、平均で過労死ラインの80時間を、40時間を超えるという異常な勤務実態が報告されたばかりです。この調査において、教員の仕事を勧めるか否かの質問をしています。その結果、強く勧める、どちらかというと勧めるが41.8%です。全く勧めない、どちらかというと勧めないが57.2%という結果でした。勧めない理由の3つが業務量の多さ、勤務時間の長さ、精神的負荷の大きさでありました。
 このような実態を真摯に受け止め、文科省をはじめとする教育行政が、今、改善への取組を急ピッチで進めなければ、若年退職者、病気休職者、若者の教職離れは改善されず、結果、教師不足も改善されないと考えます。まずは、これまで学校に押しつけてきた多くの業務のスクラップ、そして、スリム化を強く求めます。
 連合総研の調査結果では、苛酷な勤務状況にありながらも、4割の教員は教員の仕事を勧めるとしています。まだチャンスは残っていると認識します。今、ちゅうちょなく業務を削減し、教職員数を増員するなど、定数改善等の改革を進めなければ、公教育の持続性が危ぶまれる状況にさらされると感じているところです。
 各論です。2ポツ、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成についてであります。小学校高学年における教科担任制については、そのための教員の人的配置の下、進めるべきです。教員の増員のない中で、担任教員をいわゆる専科教員化することで、持ちコマ数は軽減されないばかりか、教材研究、教科等の負担が増加しているとの報告もあります。また、教科担任制の実施に際しては、優先実施教科に限らず、学校単位での柔軟な対応を奨励すべきであり、そのための教員を配置すべきです。教員採用試験の早期化については、教育実習の早期化が可能か否か、十分な議論が必要だと考えます。早期化に伴う大学側と受入れ校との日程調整の困難性、大学の教員行政カリキュラムの影響、早期化に伴う新たな教師離れ等を想定することも必要です。また、そもそも早期化することで、どの程度の受験者増が見込まれるのか。教員採用選考試験の早期化、あるいは複線化を含めた多様な入職ルートの在り方について、課題解決につながる研究結果を教育委員会に示した上で、早期化については、議論すべきです。
 根本は、教員採用試験の受験者数を増やすことではなく、教員になりたい学生や若者を増やすことだと考えます。正規採用ではなく、任期付職員としての数年間の採用については、臨時教職員が増え続けている現状から、これ以上、不安定な職の採用を増やすべきではないと考えます。9月29日の都道府県、政令市教育長とのオンライン会議の際に、長岡文化大臣は、安定的な学校教育を実現していくためには正規教員を計画的に採用していくことが極めて重要と話されました。これを日教組は支持し、正規教職員の割合を増やすよう求めます。
 3ポツ、教員免許の在り方についてです。義務教育9年間を見通した免許の在り方については、新たな免許取得をはじめ、勤務先、校種の選択、本人の希望を優先し、負担過重とならないようにすべきです。
 4ポツ、教員養成大学・学部、教職大学院の在り方についてです。教員養成大学学部の学生は、教育課程の単位取得に、いわゆる授業はもうパンパンの状況であると聞きます。この状況に、教職課程の単位取得を諦めたり、途中で挫折したりする学生もいると聞いています。また、教育課程単位取得者に限らず、学生の奨学金を主とする、いわゆる借金、この現状も深刻な状況です。このような状況について、大学側、学生の実態分析を丁寧に行い、双方向での課題解決を優先することが必要であると考えます。また、これは意見書には記載していませんが、教育コアカリキュラムによる教育課程の実施が、教員養成大学学部等の当事者意識を低下させている。その一方で、各大学独自の教員養成理念を示すよう文科省より求められている、このことに困惑しているとの報告も日教組には寄せられています。
 5ポツ、教師を支える環境整備についてです。教師が合理的かつ効果的に研修を受講できるようにするため、オンラインでの研修コンテンツを充実させるなど、研修の高度化を図るとあります。オンライン研修については、知識の習得にとどまることが多く、実践的な指導力の養成は学校である現場、そして、子供の実態から始まるものです。授業をはじめ、生徒指導に至るまで、地域、子供の実態により、その指導方法は一様ではありません。いわゆる教師は現場で育つ、子供に学ぶ、その視点に立ち、校内研修の充実を重視した研修の在り方を示すべきと考えます。教員免許更新制の発展的解消により、教員の負担軽減、休眠中の教員免許取得の教員への門戸は開かれました。一方で、研修履歴の記録及び教師と校長等による対話の奨励は、研修の管理や強制を危惧しています。教員が研修に参加しやすくなるよう、時間の確保のため、学校の働き方改革の推進に向けた実効性のある施策が必要であります。
 終わりに、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現のため、また、そのための教員の養成採用研修等の議論において、優先すべきは、ちゅうちょなく学校の働き方改革を進めることです。このことを再度御協議ください。現場にいる教職員が業務に集中できるようになった、職員室が明るくなった、生活時間が確保された等の働き方が実感できる、そんな声が出てくることが今、必要です。
 学習指導要領の見直しによる総授業時数の削減、必要な教職員の確保、教員1人当たりの持ちコマ数の上限を設定しての教員の配置、中学校、高校までの少人数学級の導入、さらには、このことが教職の魅力の低下の解決には必要な施策です。あわせて、教職員の賃金をはじめ、処遇改善、教職を目指す大学生等への奨学金免除も必要な方策だと考えます。
 以上、若干時間をオーバーしましたが、日教組からの意見となります。どうぞよろしくお願いします。
【加治佐主査】  どうも日教組の丹野書記次長、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、全日本教職員連盟の前田委員長、お願いいたします。
【前田氏】  よろしくお願いいたします。全日本教職員連盟で委員長を務めております、前田晴雄と申します。このたびは貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
 それでは、これより、全日教連としての見解を述べさせていただきます。
 初めに、本中間まとめは、令和3年度答申及び先の審議まとめと軌を一にするとして示されたものであり、まさに令和の日本型学校教育構築のための教師の在り方の全体像を示したものであります。特別部会、並びに基本問題小委員会の有識者及び文部科学省の皆様方には、本当に数多くの審議を重ねられ、本中間まとめを取りまとめられたことに対しまして、まずもって厚く御礼を申し上げます。
 今、学校現場は、コロナ禍や教師不足と多くの問題を抱えたまま、一人一人が全力を尽くして教育活動を行っている現状です。本中間まとめには、中長期的な視野から見た方策のみならず、短期的な視点からの方策についても盛り込まれた点等において、早急な教育環境改善のための中教審としての熱い、強い思いを含んだメッセージであると捉え、評価いたします。
 では、まず、初めに、第1部の総論の受け止めと見解について申し上げます。本中間まとめは、第1部の総論において、3つの方向性をまとめております。まず、1で指摘されている研修観の転換及び理論と実践の往還については、主体的に学び続ける教師の姿を児童生徒にロールモデルとして示すことにつながると考えております。全日教連は、審議まとめが出される以前より、活動の中心に教育専門職として、教職員の資質能力の向上を掲げているとともに、このための研修を積極的に企画、運営してまいりました。また、令和2年のヒアリングにおいても、教師の研修履歴管理による教員免許更新制の実質化の必要について言及していることからも、この考え方は全日教連の考え方が反映されたものであると考えております。
 また、2の教職員集団の多様性についても、チーム学校を支える支援人材の配置拡充を求めてきた経緯があります。さらに、3のライフサイクルの変化を踏まえた採用・配置等の工夫の必要性についても、単位団体を通じて要望を行ってまいりました。しかしながら、人材の確保や予算等において、それぞれ実情に大きな差があることや教職員定数の壁等により、改善が進まなかった現状がございます。
 このことが、新規教員採用人数の大幅な増減、職務負担の偏りが起因となる精神疾患等による休職者の増加、産・育休の大幅な増加や長期化等により、いわゆる教師不足を招いていると考えています。この課題の解消につながる本項目についても、臨時的任用を含む教員の採用や研修等の在り方について、改善する必要性を示した点や、さらなる働き方改革について言及した点について評価いたします。
 以上が、本中間まとめにおいて、全日教連が支持する理由でございます。
 他方で、(2)の民間企業等の勤務経験のある教師等を取り込むことや、(3)の教職課程の柔軟性を高めることについては、その方向性は支持するものの、具体的方策については十分に検討して実施する必要があると考えております。
 それでは、次に各論に沿って、見解を述べてまいります。第2部の各論の、受け止めと必要と考える施策、1の(3)理論と実践の往還を重視した教育課程への転換、①教育実習等の在り方の見直しについてです。現場の教師は、教育の未来を担う教職を目指す学生を支援することについては大変意欲的です。しかしながら、時間的に余裕がない状況のため、教育実習における指導や評価が負担になってしまっている現状がございます。まずは、大学、教育委員会が連携し、責任をもって指導を行うことが重要だと考えております。また、教師を希望する学生の育成や確保のためには、学校現場を早い段階から知っておくほうが重要であるという考えは理解しますが、ただ、学校での実習等を行うことでは、資質、能力の向上にはつながりません。大学での教職に関する理論と実習等の実践を往還させるためのプログラム作成が重要であり、この際には、協力する学校現場の意見を取り入れる必要があると考えております。
 2の(1)、教職課程における多様な専門性を有する教師の養成のところでございます。①の特定分野の強みや専門性を持った教師の養成、採用研修については、教育学部以外で教員免許を取得すること、または教育学部においても、専攻課程以外の講習の免許を取得することはハードルが高い現状がございます。私は小学校課程出身ですけれども、中学校、高校の免許取得を目指しておりまして、大変授業数が多くなり、体育会に所属しながらでしたので、なかなか大変でございました。そのため、教員免許取得者の絶対数を増やすためには、この方策は1つの手段になり得ると考えます。
 しかしながら、教員免許を取得するということは、学校現場で教授できる資格を認めることであり、この意味及び位置付けは重いものであります。このことを踏まえ、現在の学校現場で必要な基礎的知識、技能を踏まえた内容にすることが必要です。また、これは本項目を含む全ての要請段階において当てはまることですが、免許取得のハードルを下げることは教師の質の低下を招く可能性がございます。教師の専門性は、個別の学問分野における専門性だけではありません。示されているように、教師に求められる資質、能力の再整理の中にある教職を担うに当たり必要となる素養、倫理感や使命感、責任感、教育的愛情等、まさにこれに当てはまります。このように、いかに教師にふさわしい資質、能力を持った人材を養成できるかということについても一考をお願いしたいと考えております。
 続きまして、(2)の優れた人材を確保できるような教員採用等の在り方、いわゆる教員採用試験の実施スケジュールのことでございますけれども、一般の企業の就職活動の早期化が著しいことから、教員採用選考試験の早期化、伏線化については、支持いたします。また、他自治体との教師獲得競争になっているような現状がございますので、その状況も踏まえ、国が任命権者と協議して、実施時期や方法について検討すべきであるという方向性についても支持いたします。
 (4)、校長等の管理職の育成及び求められる資質、能力の明確化についても、全面的に支持したいと考えています。私どもの団体に所属する管理職自身も、その必要性を感じているという声が挙がっています。ただし、管理職については、多忙を極めている現状が報告されていることは皆様も御存じだと思います。そのため、教職員支援機構等による教職員の学びの応援ページの活用等、オンラインなど効率的で実践的な研修受講ができるようになるように期待をいたします。
 次に、3の教員免許の在り方です。(2)、義務教育9年間を見通した教員免許の在り方、小中の両免保有の促進についてですが、この両免保有を促進することは必要な施策であると考えております。しかし、義務教育は小中学校の9年間であり、発達段階等には大きな違いがございます。そのため、学生段階における教員養成については、ただ簡素化するのではなく、小中学校の免許取得に必要な単位取得は必ず行うことを期待いたします。一方、現職教員について、促進する場合は、例えば、公費により負担を補助する等、両免保有の促進を図ることが必要であると考えております。
 両免保有により、採用の控えや、小学校教員採用時に特定教科免許保有者のみを採用すること、本人が望まない校種への異動が行われる等の懸念が指摘されています。両免保有をしていることによる不利益を被ることがないような指導については、強く望んでまいります。
 最後に、5、教師を支える環境整備、学びの振り返りを支援する仕組みの構築についても全面的に支持したいと思っています。新制度において、学びに専念する時間を確保することができるよう、本項目にあるようなプラットフォーム及び研修履歴システムの構築のための予算獲得を強く求めてまいります。
 終わりに、本中間まとめの副題には、新たな教師の学びの姿の実現と多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築とございます。そのための実現方策として、最後に、改めて3点、述べさせていただきます。
 1点目は、正規教員の定数増が不可欠であるということです。各都道府県が正規採用について、ライフサイクル等も鑑み、見通しを持って計画、採用することができるよう、予算的な下支えが必要であると考えております。
 次に、2点目は、学校における働き方改革のより一層の推進です。学校現場で更なる業務改善と意識改革についての呼びかけを今後も行ってまいりますけれども、更なる具体的な方策を推進することが必要です。今後、始まる部活動改革を含めて、学校における働き方改革が推進されるように期待をいたします。
 そして、3点目は、何よりも教師を魅力ある仕事にするために、根本的な処遇改善が必要であると考えております。小学生、中学生、高校生から教師になりたいと目指す子供たちを増加させなければ、各施策も根本的な解決策にはなり得ません。そのためにも、給与、諸手当を含めた処遇の改善が欠かせないと考えております。永岡桂子文部科学大臣も9月の会見において、勤務実態調査等を踏まえ、給特法の法制的な枠組を含めた処遇の在り方を検討すると述べておられます。
 全日教連といたしましては、引き続き給特法の枠組を維持したままで、教職調整額の支給割合の引上げを求める立場ではございますが、いずれにしても、処遇改善について、議論の俎上に上げていただくことが最も重要であると考えております。
 このように、様々な施策を通じて、子供たちも教職員も生き生きと学び成長していくことができる場所、まさに、ウエルビーイングを実現した学校を構築しなければなりません。全日教連としても、引き続き、国民の負託に応える令和の日本型学校教育を推進することに資する持続可能なものとなるよう、関係省庁に引き続き提言をしてまいりたいと考えております。
 以上で、全日本教職員連盟からの見解を終わります。ありがとうございました。
【加治佐主査】  どうも、前田委員長ありがとうございました。
 それでは、ここから意見交換、質疑応答に入ってまいります。ただいまの2つの団体の御発表につきまして、御意見、御質問等がありましたら、「挙手ボタン」を押してください。時間は15分程度としたいと思いますので、コンパクトな御発言に御協力をお願いいたします。いかがでしょうか。
 戸ヶ﨑委員、どうぞお願いします。
【戸ヶ﨑委員】  戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。
 これまで、この会議等でも発言していることと重複することもありますが、大きく4点ほど、今のお話を聞いていて申し上げたいと思います。
 1点目は今年5月の教特法及び免許法の改正を受けまして、来年4月から新たな研修制度が始まります。新たな研修制度の受け止め方については、研修の負担の増加を懸念する声もあるわけですが、新たな教師の学びの趣旨は、この審議会等でもこれまでも議論されてきていますように、教師一人一人が自らの強みや弱みといったものを把握して、研修のニーズを明確にして、必要な学びを主体性を持って、知的好奇心やわくわく感が発露するよう、まさに、教師も個別最適な学びを行っていくということと私は理解をしております。そうした環境づくりを、国や教育委員会、また、学校現場とで構築していくことは、単に資質・能力の一層の向上というだけではなく、懸念されている教職に対するネガティブなイメージが変わっていくことにもつながるのではないかと思っております。これが1点目です。
 2点目ですが、資料3-1の4ページに、「教員の自主的・自発的な研修が抑圧されることがないように」というような御指摘がありました。私のほうでも、別な機会、参議院の文教科学委員会でも申し上げましたが、「多様な学びの履歴も含むことができるような仕組みが望ましい」こと、また、これも再三申し上げていることですが、「教師に対する性悪説ではなく、性善説に基づいたプロセス、要するに教師一人一人を信じて寄り添う姿勢。」これらを大切にして、教師の豊かな学びをサポートするものでなければならないと改めて感じました。
 また、同じく資料3-1の4ページですが、「校長等の管理職の育成」についての御指摘が書かれてありました。校長というのは一般の教師とは、ステージが違う、と以前のこの会議の中でも、たしか「生まれ変わる」というような発言まであったと記憶していますが、そうした前提に立って取組を行うということは確かに重要であると考えております。これに関して、宣伝になって恐縮ですが、戸田市においては、教師の匠の技を可視化する取組を進めており、暗黙知を見える化し、共有化していくということにチャレンジをしております。こういったことは、これまでの経験や勘という2つのKから脱して、科学や検証という2つの新たなKに基づいた取組を進めていくことによって、効果的・効率的の2K、このような研修実施となって、管理職や、教師の研修における負担軽減の推進にもつながっていくと考えております。
 最後ですが、資料2-2の6ページに「教育的愛情を前提として、子供たちの成長に関わる誇りと責任」という御指摘、記述がありました。これは、学校の現場で日々、子供たちに寄り添う実践家の大変重要な、重い言葉として受け止めました。新たな教師の養成・採用・研修等の在り方に関する議論は、常に「子供を主語」とした教育が一層推進されることを原点にしたものでなければならないと、改めて、御発表で再認識したところでございます。
 長くなりました。以上です。
【加治佐主査】  戸ヶ﨑委員、ありがとうございました。御意見ということで受け止めさせていただきたいと思います。
 それでは、貞廣委員、お願いいたします。
【貞廣委員】  千葉大学の貞廣と申します。貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。その上で、重ねて私から2点意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、どちらの方からも御指摘がありました、教員養成課程のカリキュラムオーバーロードと、特に全日教連さんのほうから御指摘がありました、実習や体験活動の肥大化について、私も全く同じ意見を持っております。
 今も学ばなければいけないことがたくさんあり過ぎて、教員養成課程の学生のカリキュラムはおっしゃっていたとおり、ぱっつんぱっつんで、もうこれ以上何も入らないぐらいです。その上で、実習や体験活動がより重視されることによって、彼ら、彼女たちの生活というのが、教員養成課程で学ぶことと実習と体験活動で埋まっていくような状況です。つまり、そうしたことしか体験や経験していない卒業生たちが教職に就いていくという実態になっています。
 どうでしょうか。皆さん、そういうことだけを学んだ学生に、子供たちの教育に関わってほしいと思うのか。むしろ、一見無駄に見えるような多様な様々な経験をした卒業生、学生たちが教職に就いて子供たちの教育に関わってほしいのか、どちらを選択するのか。私は圧倒的に後者です。無駄に見える活動も含めてというところをむしろ強調したいと思っております。
 その点で考えますと、特に全日教連さんが出してくださっている資料2-2の3枚目になりましょうか。中頃あたりに、学校現場を早い段階から知っておくことが重要であると考えるのは理解するけれども、ただ、学校での実習や学校体験活動を行うことだけでは資質、能力の向上にはつながらないと。こういう御指摘を、現場を熟知していらっしゃる現職の先生方からいただいたということを大変重く受け止めるべきだと考えました。これが1点目でございます。
 2点目でございます。今後、校長をはじめとする管理職の資質、能力の捉え直しと、その明確化というのが行われていく中で、これについても非常に忙しいので、例えばNITSさんの研修、オンラインの研修などを使って、実践的な学びをというような御指摘がありました。これは本当に重要だと思うんですけれども、これは私見ですけれども、管理職たる校長先生というのは、例えばマネジメント力が、最近で言うと、データ利活用能力とかファシリテーション能力とか、そういうことを言われていますけれども、それもすごく重要なんですけれども、それ以前に子供の教育をどうするかとか教育の社会的意義であるとか、全ての子供のウエルビーイングを確保するといったような、そもそもの教育的な価値であるとか、それをどういうふうに実装化していくであるとか、もう少し議論とか理想論、教育の理想の実現者であっていただくためには、実践だけじゃない部分、実践も本当に必要なんですけれども、それ以前の部分についても、もっと注目されていいのではないかと思っています。
 今回、中間まとめに、そういうところの書き込みが浅かったかなと思っていますので、実践的な、今、今日的に新たに必要になった能力のところばかりに足を取られていくということに若干、危惧を持ちました。
 以上、意見2点でございます。ありがとうございました。
【加治佐主査】  根本的な、非常に貴重な意見として受け止めさせていただきます。
 ほかの方いかがですか。ございませんか。
 それでは、今、戸ヶ﨑委員、貞廣委員から、非常に本質を突いたような貴重な御意見がありましたが、今日のゲストの丹野次長、それから前田委員長、何か言及といいますか、何か2人の委員の方がおっしゃったことについて、どれについてでもよろしいんですけど、何かコメントとかございませんか。
 それでは、まずは丹野さんからお願いします。
【丹野氏】  お二人の御意見に関しては、全てにおいて、そのとおりだと思っております。
 千葉大、貞廣さんの話の中で、管理職の根本的な資質という話をされましたけれども、特に管理職になるまでの過程がどうなのかということも、この機に、きちんと検証していただきたいと思います。私は、今、組合で役員をしておりますけれども、本当に志を持って校長をしている方と、そうでない方が残念ながらいるような気がしています。その辺の検証も今後、必要かというふうに考えているところです。
 以上です。ありがとうございました。
【加治佐主査】  ありがとうございました。それでは、前田さんお願いします。
【前田氏】  御意見ありがとうございました。
 まず、研修のことについて、重ねてお話をいたします。研修のことについては、まさに戸ヶ﨑委員がおっしゃられたとおり、私たちは自らを高めるための、自らに必要なものを自らで学んでいく、デザインして学んでいく。それをそれぞれ学校の中で、いわゆる自分で実践して、また反省して、次に生かしていく。そして自分を常に高めていくという新たな研修制度は、より理想的な研修が実現できるのではないかと思っております。
 実際に、私も学校現場でいたわけなんですけれども、かなり校内研修等を工夫して、みんなで研修資料を中心にやっていましたので、こういった形で、これまでの研修でも十分やってきたという自負もありますし、さらに学校で決められたものでない、もしくは、ただ与えられたものではない、今、自分にとってこれが必要だ、それを管理職が、例えば、今、あなたにはこれが必要なんじゃないかということを、まさに管理職の資質であるファシリテーション能力等を育成しながら、常に高め合っていく。
 管理職が難しいこと、例えばよく言われているのは、高校ですと多岐に教科がわたるので、管理職だけでは指導が難しいんじゃないか、こういう声もあります。そういうときには教育委員会の連携、そして、支援機構等の支援も使いながら、しっかりと研修を進めていく、そこが学校現場にとっても重要であると考えていますので、私どもは研修の新たな研修制度というものをしっかりと実のあるものになるようにやっていく自信もあると考えております。
 また、次に、貞廣委員が御指摘いただきました、まさしく現場の実態として、実習だけでは、子供たち、いわゆる学生さんは伸びるわけではないという意見については、全く同意見です。私は徳島県鳴門市の教員で、鳴門教育大学がすぐ隣にある真横の小学校で、今も在籍をしている、籍があるわけなんですけれども、そこから今、東京の事務局に来ているわけですが、この地理的な便利さもあって、とにかく、こういう制度ではないんですけれども、少しでも採用試験に生きるということで、いわゆるボランティアの人たちが殺到するんです。簡単に殺到するというとおかしいんですけども、もちろん市教委に登録するので割り振りはするんですが、比較的多くボランティアの子たちが来てくれていました。
 学校としては、ボランティアということで助かることもある反面、かなりボランティアという子供たち、子供というか学生なんですけれども、この子たちを指導するという立場にも少し追われてしまったような現状もございました。ですので、まさしく教育実習、それから教育体験等を学校にやる場合には、過度な負担にならないようにということとともに、本当に学生にとって意味あるものなのか、これはぜひ見直していただきたい。
 部活動で、先輩方とやること、アルバイトで、それぞれ世間に出て厳しさを味わうこと、そういったことも含めた幅の広い教職員が教師を目指してほしいなという思いがございますので、まさしく言っていただいた意見は私どもの考えと同じだと考えております。
 以上です。
【加治佐主査】  ありがとうございました。どうですか。ほかの方はよろしいですか。
 それでは、日本教職員組合の丹野書記次長、そして、全日本教職員連盟の前田委員長、ありがとうございました。また、いろいろ生かしてまいりたいと思います。
 続きまして、第2グループのほうに移ってまいります。
 まず、日本教職大学院協会の事務局長、吉水事務局長のほうから、報告をお願いいたします。
【吉水氏】  皆さん、こんにちは。どうぞよろしくお願いいたします。日本教職大学院協会の事務局長をしております、兵庫教育大学理事副学長の吉水と申します。本日はこのような意見を述べる機会を設定していただきまして、誠にありがとうございます。協会を代表しまして、感謝を申し上げたいと思います。
 「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~『新たな教師の学びの姿』の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築~(中間まとめ)」、これに対する日本教職大学院協会としての意見をこれから述べさせていただければと思っております。
 初めに、中間まとめ案のところでは、第1部、総論、4ポツのところで、今後の改革の方向性というところが設けられておりまして、理論と実践の往還による省察という教職大学院が取ってまいりました中核的な理念というのを、学部段階での養成を含めた教職生活で実現することについて触れていただいているというところでございます。具体的には、21ページで、ここに触れていただいているということです。
 それから第2部、各論のところにおきましては、これも4ポツでございますけれども、教員養成大学学部、それから、教職大学院の在り方の項目を立てていただきまして、教職大学院を質の高い教職員集団の構築のための機関として明確に位置づけていただいているということをはじめとしまして、本協会といたしましては、中間まとめ案の趣旨については、おおむね共通の問題意識を持っております。
 特に、41ページのあたりから、各論のところで触れていただいているところでございますけれども、教職大学院の高度化、それから機能強化というのが明記されているところ、これは41ページに記載していただいております。それから、41ページから42ページにかけてのところで、学部と教職大学院との連携、接続の強化、実質化というところについて明記をしていただいていること。それから、43ページあたりに教職大学院での学びの機会をより多くの教師に提供する方向性というのが示されているということ。それから、教育委員会と教職大学院と連携、協働した研修プログラム等の展開について示されていること、これは43ページから44ページあたりについてです。そして、44ページに教員養成における人材育成の好循環の実現に、教職大学院の学びを生かしたキャリアパスの確立が明記されていることなどが、本協会としましては非常によかったと思っている点でございまして、これらの期待をしっかりと受け止めて、教職大学院のさらなる充実を図っていきたいと考えているところでございます。
 こういったことを踏まえた上で、2つほど意見を述べさせていただければと思っております。
 1つが、多様な人材活用と教職の専門性の確保についてというところでございまして、これは34ページあたりのところで、特別免許状、それから、教員資格認定試験の対象拡大のことなんかが記載されております。多様な専門性や背景を持つ人材を教師として取り入れるための方策として、今申し上げた特別免許状に関する運用の見直しであるとか、それから教員資格認定試験の対象拡大というのが提言されていることというのは十分理解しております。これは、教員不足というような背景もあるのかと思っております。
 一方、これまで教員養成に求められてきた専門性、それから、普通免許状の取得要件等も勘案して考えていきますと、教科の特性とか学校種における児童生徒の発達段階との関係、研修の在り方といったようなものなど、幅広い見地から特別免許状を授与する要件ですとか、必要な研修の在り方、これは入職前後に研修等が必要だということを記載されておりますけども、この在り方等については、一層丁寧な議論をこれからしていただきたいということを希望しております。
 1つ目の意見と関連いたしますけれども、2つ目としまして、多様な専門性を有する教職員集団の中でリーダーシップを発揮する教員の研修についてということについて意見を述べたいと思います。多様な専門性を有する質の高い教職員集団を形成することが必要であるということは認識しております。また、先ほどの特別免許状の授与等、運用を見直すということですとか、教員資格認定試験の対象拡大とかということを進めていくということになりますと、今後、多様な背景を持った方たちがたくさん学校教育現場に入ってこられるということになります。
 そういった方たちが教職員集団の中でリーダーシップを発揮するという機会も、今後、それに伴って増加してくることと思われます。目標の明確化ですとか心理的安全性の確保ですとか、教職員の経験、背景の多様性を考慮したマネジメントを実施するために、職員の専門、教職の専門性というのも当然不可欠ということになってまいります。多様な専門性を持つ方たちの管理職へのキャリアパスを示すということ、それから、教職の専門性を身につける場として、特に教員養成学部とか教職大学院を修了されていないという方については、その学びの場として、教職大学院を明確に位置づけていただくということを希望しております。
 教職大学院、教員養成学部とか教員養成大学、それから教職大学院を修了して、卒業、修了している人たちが、教職の現場で中核的な位置を締めるというようなことは、今回の中間まとめでも書き込んでいただいておりまして、教職大学院の存在をお認めいただいていることと認識しておりますけれども、今、申し上げたような多様な専門性を有する、質の高い教職員集団をつくるためにも、そういった方々の教職大学院での研修の機会というのを明確に位置づけていただくというようなところを希望しております。
 会員大学の皆様にも意見をお聞きしまして、今日、大きく2つの意見、関連しておりますけども、述べさせていただきました。御審議よろしくお願いいたします。
【加治佐主査】  吉水事務局長、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、全国私立大学教職課程協会の田子専務理事から御報告をお願いいたします。
【田子氏】  全国私立大学教職課程協会の専務理事をしております、田子と申します。このたび、発言の機会いただきまして、ありがとうございます。中間まとめにつきまして、意見を述べさせていただきます。
 まず、当法人、あまり御存じない方もいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。1984年に設立をされておりまして、2016年に一般社団法人化をいたしました。全国の大学、短期大学が加盟をしております。会長に玉川大学長の小原先生、副会長に中京大学長の梅村先生、もう一方、前大阪人間科学大学長の田中先生にお務めをいただいています。
 当法人は、私立大学の教職課程における教員養成教育の充実、発展を目指した研究協議を行っておりまして、年1回の研究大会、研究交流集会を開催のほか、研究委員会等の常設委員会の活動を行っております。現在、特に教職課程自己点検評価の初年度に当たるため、私立大学教職課程の質的な向上、発展ということを目的といたしまして、こちらに重点を置いて取り組んでおります。
 それでは、中間まとめに対しての意見を申し述べさせていただきます。
 まず、総論がございますけれども、中間まとめの特徴は、教員養成をめぐる新たな状況に対する全面的な対応となると考えます。これまでの教員養成制度の歴史の中で、1つ大きな活気を築くという、そういう方向にあると思いますので、当協会として、この方向に賛意を示します。
 中間まとめでは、次に、現状把握がございます。教員の不足、ブラック感、教員の不祥事案、学生の志望低下等が、私どもの会員大学からも教員不足が全国的な問題であって、会員大学には年間を通じて、非常勤講師希望者を募るという、そういう現状が寄せられています。教員の不足ということでございますが、必ずしも学生の教員志望が一律に落ちているとは感じておりません。教員には魅力があるんだけれども、勤務の現状について、明るい印象が少なくなっているという現実がございまして、この両者の関係で、学生たちが4年生で進路を選ぶ際に、他の職種に流れていくという選択をしていると考えておりますので、教員に就きたいという、もともと持っている希望が生かされる、これからも教育の場の構築ということが必要だろうと考えております。
 次に、各論になっておりますけれども、まず、令和日本型教育を担う教師ということで、このことについて、日本全国に存在をしております、私立大学教職課程は、その役割を高めていきたいと考えております。教育実習につきましては、往還型教職課程の形成ということが重点として取り上げられておりますけれども、当協会としても地域との関係がございますので、研究協議を行い、協力の用意がございます。採用試験のスケジュールの在り方についても述べられておりますけれども、この点につきましては、協議会の発足ということも予定されておりますので、そちらに今回は譲りたいと、このように考えております。
 次に、3として、教員免許の在り方について述べられております。この7月で教員免許更新制の発展的な解消をいたしました。これについては、これから新しい制度形成ということで、その点については何の異存もございません。免許更新制の発足当初から、私立大学は国立大学と同じように多大な貢献をしてまいりました。数としては、全国的にかなり大きな講座数を持って更新制ということを完了させたというふうに考えております。
 ここに書きましたのは、私の意見というよりも、会員大学のほうから上がってきている意見なんですけれども、やはり審議のプロセスは各大学に逐次伝わるというものではなくて、結論になって答申になった段階で初めて伝わっていくという側面が強うございます。そのために、審議の状況と少し時間差が生じてしまって、なかなか終了ということに対して苦労したという御意見もいただいております。
 教員研修の高度化ということは、私立大学としてもこれから大きな役割を果たさなければならないと考えておりますけれども、何分にも7月で始まっているところですので、どのように私立大学がそれぞれ力を尽くしていけばよろしいのかということについては、まだ実感は少しないというところでございます。
 次に、9年制を見通した免許の在り方の検討ということは、義務教育学校も不足しておりますので、当然必要であるというふうに考えております。開放性の教職課程の場合は、中高免許課程を既に小学校課程と接続させるということは、これは国立の養成系大学さんのように、うまくすぐに行くということばかりではございませんので、義務教育特例を組み込んだ転換策であるとか、そうしたところで円滑な設置に向かうことができるように制度化ということを御検討いただければありがたいというふうに考えております。
 中間まとめでは、最後の教員養成大学、学部、教職大学院在り方が述べられておりますけれども、私ども私立大学の立場から考えますと、私立大学の教員養成教職課程についての記述ということは、残念ながらあまりございません。これが、国の文部科学省と国立の機関である、法人化されていても機関である国立教員養成系大学との関係ということで、こういう方針ということもよく理解できますので、そうであるとすれば、他の領域と同じように、私学セクターは、独自にそうした地域や他の機関との関係ということを模索しなければならない時期に来ているのかなというふうにも考えております。
 それから最後でございますけれども、教職大学院ということも非常に重要な制度だと思いますが、もう一つ、大学院として、一般大学院の専修免許課程というものがございます。私の勤務している大学は、私立の理系の大学ですけれども、学部生の多いときで75%が大学院に進学をしております。その中には一種免許を持って大学に進学している学生もおりますけれども、現在の専修免許課程の状況ですと、なかなかここから、さらに教員になるという意欲が増していくかというと、なかなかこれは曖昧な、曖昧と言ってはいけませんね、なかなか持ちにくいという状況がございます。何とぞ教職大学院と並んで、全国各地にございます一般大学院専修免許課程について御配慮をお願いできればと考えております。
 以上でございます。
【加治佐主査】  田子専務理事、どうもありがとうございました。
【加治佐主査】  ありがとうございました。
 それでは、意見交換、質疑応答に入ってまいりたいと思います。ただいまの2つの団体の御発表についての御意見、御質問、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  では、私から大きく2点ほど申し上げます。
1点目は、これまで何度か発言をさせていただいておりますが、特別免許状の活用については、積極的な都道府県がある一方、自治体によっては、この要件を狭く解釈し、なかなか授与をしていない場合があるのではないかと思っています。
 必要な専門性等を考慮せずに授与をするということは、当然避けなければならないわけですが、この中間のまとめにもありますように、全ての都道府県において特別免許状の授与基準や手続については、適切に周知することが必要であると、先ほどもお話聞いていて感じました。また、前回も申し上げましたが、この特別免許状は、普通免許状とは異なる強み・専門性を評価して授与される免許であり、今回記載されているように、「指導方法・指導技術等を過度に重視しない」、「教科内容について、教科の内容を完全に包含することを求めない」、こういうことを改めて全ての都道府県に対しても徹底していただきたいと、先ほどお話聞いていて感じました。
 それから2点目は、資料2-3の御発表にありましたように、「多様な専門性を有する教職員の中でリーダーシップを発揮する」、そのような教師の育成や研修、また、併せて、その組織を活性化するための管理職のリーダーシップとマネジメント能力、加えて、その実現に向けた管理職のキャリアパス、これらについては今後重要になると考えております。そのために、御発表にありましたように、教職大学院が果たす今後の役割に大いに御期待を申し上げたいと思います。
 私のほうからは以上です。
【加治佐主査】  戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございました。また生かしていきたいと思います。
 それでは、橋本委員、お願いします。
【橋本委員】  ありがとうございます。前の京都府教育長の橋本です。
 先ほどの発表の中でも、採用試験のお話が出ましたので、この点についてだけ、1点、意見を申し上げたいというふうに思います。
 当然、そもそもは、教員になりたい、そういう学生を増やしていくというのが大切なこと、もちろんではあるんですけども、結局採用試験というのは、学生の取り合いということでありますので、いかに試験を受けてもらえるようにしていくか、ここが大切だろうというふうに思います。実際に我々の聞いている話では、教員養成系大学の中で、優秀な学生さんがリスクを避けて、早い時期に民間企業で就職先を決めてしまいたいと、そんな思いから、もともとは教員になりたいと思っていらっしゃったんですが、結局民間企業に流れる、そういう学生が、ここのところ毎年結構見られると、そういうことがあります。
 そのことを考えますと、ネックの1つは、やはり採用試験の時期ということはあるかというふうに思います。確かに、教育実習をめぐるスケジュール調整とか、また、中間まとめの34ページに書いてありますけども、近隣府県との取り合いということもありまして、その辺の調整をどうしていくかとか、様々な課題があることは事実なんですけども、今回まとめに書いていただいておりますように、国と任命権者が協議しながら検討を進めていくというふうにありまして、まさにこのとおりであるかなと。課題を上回る早期化にはメリットがあるかなというふうに考えております。
 それから、その下に試験問題についても触れられているんですけども、思考力、判断力、表現力等を中心に問うような試験問題の在り方についても検討に着手というふうに書かれてあります。この趣旨のとおりかとは思うんですけども、なかなか、恐らく各府県や政令市で、こういった趣旨の問題を作っていくというのは負担が重いのかなというふうに思います。そういう意味では、かねてから要望してきたわけですけども、国が関与した形での統一問題の作成、こういったこともやはり引き続き検討していただく必要があるんじゃないかなと思いますし、共通問題化すれば、それをベースに、あとは各府県でそれぞれの特色を発揮するような問題作成して、それをもって柔軟に試験が実施できる、こういう可能性もありますので、このことについても、ぜひお考えをいただきたいなというふうに思います。
 以上です。
【加治佐主査】  橋本委員、どうもありがとうございました。
 ほかの委員の方はいかがですか。よろしいですか。
 松木委員、お願いします。
【松木委員】  田子先生にお伺いしたいです。特定の分野に強みを持つ、あるいは専門性を持つ教員の養成という点に関してですが、もう一つ、小学校の高学年の教科担任制ということも絡めて考えていきますと、小中2つの免許を持つことのできる可能性を高めていくという制度が今回出てきていますが、私立大学の中には、近年、小学校の免許を出せるようになった大学が非常に増えたように思います。こういった大学は、今回のような取組についてどうお考えになっていらっしゃるのか。私立大学として把握されている、協会として把握されていることがありましたら、お聞かせください。
【田子氏】  ありがとうございます。私立大学の小学校課程を持っている大学と、これから、今されつつある特定の分野に強みを持った教員、あるいは小学校高学年の理科等の教員の養成ということで、2つのタイプの私立大学の教員養成が行われているのではないかということかと思います。
 特に、この10年ぐらいの間にかなり増えてきております、小学校教員を養成している私立大学が、今回の教員養成の改革について、中間まとめ等が、今おっしゃっているところについてどう考えているかということですけれども、なかなかこれは難しいところで、従来型の小学校教員養成をカリキュラムとしている私立大学の小学校教員養成課程が今後どう発展していくのかということについては、協会として検討課題であるというふうに把握、考えております。
【加治佐主査】  よろしいですか。ほかの委員、よろしいですか。
 戸ヶ﨑委員からは、新しい特別免許状の在り方をいかに周知していくかとか、それから、多様な専門性を持つ教職員集団をつくろうとしているわけですけども、そういう中でリーダーシップを発揮する方のキャリアパスとか、その中での教職大学院への期待とか、そういうことが述べられました。橋本委員のほうからは、採用試験の時期、それから採用試験問題の在り方、こういうことについての御意見がありました。今、松木委員のほうから、小中両免許を取ることになっていくわけですけども、小課程を持っている私学が多いんですけども、どういうふうに受け止めているかといったようなことです。これについては、田子委員のお答えもありましたけれども、それでは、吉水さん、今委員から出ました、どれについても結構なんですが、何か御意見等ございませんか。
【吉水氏】  ありがとうございます。特に、最初に意見言っていただきました戸ヶ﨑先生のことについて、本協会から述べさせていただいたことと整合しているかなというふうに思っております。特別免許状の拡大ということで、多様な方々が学校教育現場等に入ってこられるということについては、これは十分理解しております。
 ただ、2つ目に言っていただいたことと関連しますけども、短期的な研修だけじゃなくて、長期的な教員のそれぞれのステージに応じて、教職大学院というのをどこかで研修の機会としてきちっと位置づけていただけると、協会としても非常にありがたいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【加治佐主査】  田子さん、松木先生の御意見以外のところでは何かございませんか。
【田子氏】  私のほうから何か補足ということでございましょうか。
【加治佐主査】  松木委員からの意見についてはお答えいただきましたが、お二人の方からの御意見に対してはいかがですか。
【田子氏】  採用試験のことと実習のことなんですけれども、私立大学は、御承知のように、いろいろな出身地域から学生来ておりますので、この辺りが、今までは地域別の教員採用の日程になっておりましたので一応整理がつくといいますか、ですが、これからあと、その辺りがどうなっていくのかということがございます。そういう中で、統一問題ということは、1つの方法として非常に検討すべき有力な課題なのかなというふうに思っておりまして、私立大学の教職課程としても、大いにこれから議論に加えていただいて考えていかなきゃいけない問題だと思っております。
 取りあえず。
【加治佐主査】  分かりました。よろしいでしょうか。
 田子さんが最後におっしゃったこと、教員養成大学、学部、教職大学院の在り方、ここで私学が確かにあまり取り上げられていないわけですね。実際は、私学にも教員養成大学、学部、教職大学院がありますので、御自分らで今後の在り方を考えるというようなことも言われていますけれども、国としても、私もやっぱり一定の何らかの方向を示すことが必要なんじゃないかという気がします。
 それから、一般大学院の専修免許課程の在り方、ここも確かにそうですよね。ここもやっぱり今後、正直申し上げて、上のことも関わりますけど、教員ニーズは減ることが十分に予想されていますので、そういう中で、これをどう位置づけていくかですよね。
量的にはむしろ私学のほうが国立をはるかに上回っているわけですから、私学における教員養成の在り方が、今後また検討課題に、間違いなくなるんじゃないかと思っているところです。
 どうも、御意見ありがとうございました。
 それでは、お二方、日本教職大学院協会の吉水事務局長、そして全国私立大学教職課程協会の田子専務理事、どうもありがとうございました。また生かしてまいりたいと思います。
 それでは、今後、中間まとめをベースにしつつ、答申をまとめる段階に入ってまいります。事務局におかれましては、本日の発表・議論、そして書面において提出されている御意見を踏まえて必要な調整・検討に着手をいただきますようお願いいたします。
 これで、議事の1を終わります。どうも皆様、ありがとうございました。
 それでは、議事の2に入ります。昨年度、文部科学省から浜銀総合研究所に委託して、教師の資質能力の育成等に関する調査研究を実施しました。審議会の議論の参考等とするため、本調査の結果について御発表いただき、意見交換をしたいと思います。
 御発表は、本調査の設計・実施に当たって助言・協力された龍谷大学の松岡先生からお願いいたします。
 それでは、松岡先生、どうぞ。15分ぐらいでよろしくお願いいたします。
【松岡氏】  松岡です。ありがとうございます。資料を共有させていただきます。
【平沢教育人材政策課長補佐】  こちらで資料を共有いたしましょうか。
【松岡氏】  お願いします。すいません。
【平沢教育人材政策課長補佐】  承知しました。
【松岡氏】  松岡と申します。よろしくお願いします。
 今御紹介いただいた現職の教員を対象とした調査を行いました。私自身は教育格差をテーマにして研究してきました。教育格差とは子供本人が選んだわけではない出身家庭や出身地域によって、教育の成果である学力や最終学歴などに差があることを意味していまして、これまで教育格差に関する様々な研究を発表してきました。
 本日は、教員の資質能力の育成等に関する全国調査の基礎分析ということで概要報告をさせていただきます。
 発表内容をお示しする前に、大前提として1点だけ明解にしておきたいことがあります。今回の調査分析は全て特定の個人や組織に対する評価ではありません。今までの政策によってこのような実態に恐らくなっているという実態を、可能な限り客観的なデータで示しているにすぎません。小中学校の年齢層を対象とする教員は約100万人いて、各校種の数も小学校約2万、中学校約1万、高校5,000校前後あるので、個人の目に入る範囲では全体を把握することができません。本発表含め、私の仕事は、個人の視界に入る範囲のエピソードではなくて、日本全体の実態に基づいた議論を可能とするための材料の整理です。データが示す日本全体の実感に基づいて、どのような政策が望ましいのかを議論していただければと思います。
 という前提で、次のページをお願いします。
 「教師の資質能力の育成等に関する全国調査」として浜銀総合研究所が実施しました。2021年度の3月に調査を行い、詳細はこちらの概要報告書にあるので見ていただけたらと思います。
 次のページをお願いします。
 学校種別は、小学校と中学校と高校を今回の分析の対象としました。年齢層は、2021年度時点で20代、30代、40代、50代で、雇用形態と職種の回答に基づき3分類して、それぞれの小学校、中学校、高校の正規任用教諭、臨時的任用講師、あと管理職というふうにこの後呼んでいきますが、それぞれのケース数がこのスライドにまとまっています。
 次のページをお願いします。
 研究課題は非常にシンプルでして、今回の調査票はかなりいろんなことを聞いているので様々な分析が可能なのですが、そもそもこの調査をするに当たって最も基本的なことが日本社会では明らかになってないのに政策議論が行われているということで、今日発表する研究課題は、近年の教育政策の動向を踏まえた上で、どのような人が教員になってきたのかを実証的に記述することです。
 次のページをお願いします。
 少しだけちょっと研究の流れというか、背景を説明させてください。教員集団のクオリティ・コントロールには、スライドに1番から6番まであるように、大学の入学試験、大学における養成、資格・免許状の認定、採用、試用期間の評価、そして研修があるという流れです。1番と4番、「入口」の部分、教員養成課程の入学試験:養成前選抜と、4番、教員採用試験:採用時選抜があります。この2つの選抜によって教員の質が調整されてきた、コントロールされてきたと議論されてきました。なお、海外ではこういうことは研究されています。時代によってどういう人が、どういう層の人たちが教員になってきたのかということが、ある程度、明らかになっているのですが、日本においては圧倒的にデータと研究が不足しています。
 仮説は「小学校教員になってきた層が変容してきた」です。理由はクリアで、この「入口」、養成前選抜が政策介入によって変わったことにあります。中学校、高校に関しては、対照的に、教員になる層を大きく変え得るほどの政策介入はありませんでした。今までの研究をレビューした結果をこちらにまとめています。
 次のページをお願いします。
 小学校教員養成の定員削減が、1987年以降と、98年から2000年のいわゆる橋本行革で5,000人定員削減計画があり、養成前選抜が難しくなったと考えられます。ただ、近年は、国立大学の教員養成学部への志願倍率は、定員の微増も考慮すべきですが、基本的には低下傾向にあるということです。
 次のページをお願いします。
 もう一つ、養成前選抜に関して5,000人定員削減だけではなくて、すごく大きいのが、先ほども話題に出ていました私立大学の参入です。2005年の規制緩和によって、平成17年度に51校しかなかったのですが、令和2年度には190校まで増えました。幾つか研究が行われていて、計量分析の結果によると、増えたのは入学偏差値が高くない、いわゆる非研究大学であって、短期大学からの転換が主であると議論されています。中学校、高校とは違って、小学校は国立大学の教員養成課程が中心でした。それが開放性にはなったのですが、受験者数がすごく増えているかというと、2013年がピークで、その後は減っています。入学難易度がそんなに高くない大学でも小学校の一種免許状が取れるようになったので、養成前選抜が簡単になったと考えられます。
 次のページをお願いします。
 教員養成系大学生出身者の志願者数が減少しているので、競争相手も減少して、採用時選抜もより簡単になったのではないかと考えられて、あとは、御存じのように、採用倍率が低下していて、これは退職者増による人口動態的なことで採用時選抜が簡単になってきたのだろうと。
 ただ、自治体間で相当な差があって、ピークがどこに来るかも相当差があるということですが、この分野の研究の概要を踏まえて、仮説は、養成前選抜と養成時選抜がより簡単になったことによって小学校の教師になる層が変わった、です。
 次のページをお願いします。
 結果です。暫定値ですが、私立大学の出身者割合、これに関しては文科省が示している公的統計でも確認できますが、例えば小学校の20代、30代において私立大の出身者の割合が、正規任用教員の20代、30代、40代、50代と見ていただいて、50代だと正規任用教員の41.9%が私立大学出身で、40代で46.4%、30代で55.2%、20代で57.5%と、明らかに20代、30代で増えています。この後の結果もそうなのですが、正規任用教員と臨時的任用講師に関しては大きな差があって、私立大学出身者の割合だけで見ても、特に30代、20代、臨時的任用講師の7割から8割近い人が私立大出身者ということが分かります。
 また、正規任用教員の40代、50代では、そのまま教師を続けている方もいらっしゃれば管理職の方もいて、そこの差も見られます。特に小学校の50代の管理職を見ると、教師を続けられている層と比べると、国立大学出身者の割合が高く、私立大学の出身者割合が低いということが分かります。
同じように表を見ていただきますと、もとから開放性だった中学校、高校ではあまり変わってないことが分かります。例えば中学校50代、40代、30代、20代と正規任用教員の私立大の出身者の割合はそこまで変わっていません。高校は、むしろ20代で国立大学出身者の割合がちょっと増えています。重要なのは、この後もそうなのですが、正規任用層と臨時的任用層が層として同じではないということが、これでクリアに分かるかと思います。
 次のページをお願いします。
 出身大学の一般的な入学の難しさというのを個々の回答者に示してもらっています。結果は、ここにある通り、小学校の正規任用教諭は、他の年齢層と比べると、20代において、卒業した大学の一般的な入学の難しさに対する回答者評価の「難しい/まあ難しい」の割合が低下して、「あまり難しくない/難しくない」の割合が高まっているということが傾向として見られます。正規任用教員と臨時的任用講師の出身大学の入学難易度は、平均的に、正規任用教員と比べると臨時的任用教員の出身大学の入学難易度が平均的に低く、それは小中高校全てで同じ傾向です。採用時選抜が機能しているという見方もできます。あと、中学校では、採用倍率が全国的にも高かった40代と比べると、20代はやや一般的な入学の難しさが、あまり難しくないほうに動いているようです。
 年齢層によって回顧の時間が違うので、大体20代前半で大学卒業しているとすると、50代の人に聞くのと、40代、30代、20代で、自分の大学の入学の難しさを評価するまでの思い出す期間も違いますし、50代と20代ではもちろん大学進学率も異なるので、年齢層間の比較の解釈には留意が必要です。ただ、高校に関しては年齢層によってあまり変わってない一方、政策変更と採用倍率が著しく下がった小学校に関しては明快な動きがあるので、妥当な解釈と思われます。ただ、これだけではなくて、50代であっても進学率が9割超えていた高校への入学難易度も確認するということで、次のページをお願いします。
 小学校の正規任用教員の20代は、40代、50代と比べると出身高校の一般的な入学の難しさに対する回答者評価の「難しい/まあ難しい」の割合が低くて、「あまり難しくない/難しくない」の割合が20代、30代で2桁になっています。傾向としては、小学校、中学校、高校全て一緒で、正規任用教員と比べると臨時的任用講師の出身高校の入学難易度は平均的に低くて、中学校でも20代と、採用倍率が高かった40代を比べると、より入学が簡単だった高校出身者がやや増えているという傾向を見てとれます。小学校、中学校と比べると、先ほどの大学の入学の難しさの結果と同じく、高校に関しては年齢層による差はそこまで大きくないように見えます。
 年齢層によって回顧の時間等違うし、高校階層構造と教育社会学の言葉で言いますが、いわゆる高校のランキング・システムは変わってきている可能性があるので、年齢層間の比較の解釈に留意は必要ですが、大学と高校の両方の結果で併せて見てみると、似たような傾向です。それと、高校と大学の入学難易度の代わりに中学校3年生時の成績の自己評価を用いても似たような傾向が出てきます。高校の教員に関しては、中3時の成績、高校の入学の難易度、大学の入学の難易度で見られる層はあまり変わってないようです。一方、中学校では僅かに変容が見られて、小学校は年齢が若くなれば若くなるほど、より入学の難易度がより簡単な高校と大学の出身者の割合が増えているという傾向が見てとれます。
 次のページをお願いします。
 政策と採用倍率変化の後に小学校教員だった層に変容が見られましたが、社会的出自、social originが変わってきたのかということも検討しました。こちら、細かい表はちょっと省略していますが、本人が選ぶことができない初期条件としての「生まれ」としての出身階層、あるいは、出身家庭の社会経済的地位、Socioeconomic statusと言いますが、親学歴だとか15歳時点の暮らしぶりというような家庭環境についてです。それらで見ると、小学校、中学校、高校の先生になってきた方々は、社会全体を対象とした調査のデータと比べると、基本的には恵まれた、もちろんいろんな家庭出身の方がいらっしゃると思いますが、少なくとも平均的にはやや恵まれた家庭出身の方々が多いという傾向が見られます。年齢層による著しい変化はこの分析では見られません。詳細に関しては今後検討していこうと思います。それと、よく指摘されるように、親が教職だと本人も教職を選ぶという傾向に関しても観察できました。
 次のページをお願いします。
 こちらは、本人に選ぶことができない「生まれ」の一つである出身地域に関する分析結果です。どういう家庭出身なのかというのは本人に選ぶことはできないですし、どういう地域で育つのかというのも本人に選ぶことができません。出身家庭の社会経済的地位、出身地域、あと性別が日本社会における主な「生まれ」といえまして、その出身地域についても調べたわけです。中学校卒業時に住んでいた都道府県と、現職、現在も教員をやっている方々なので、現職の都道府県が同じ割合を出しました。例えば正規任用教員で20代の場合は80.6%が、中学校卒業時の都道府県と、調査時点で働いている都道府県が同じということです。30代でも77.4%、40代で74.3%、50代で86.1%。さらに、中学卒業時点と、現在働いているところだけではなくて大学の最後に通った主なキャンパスの都道府県を加えた3つで見ても、4割ぐらいの方は、中学卒業時の居住都道府県と、大学の最後のキャンパスがあった場所と、現在働いている都道府県が一致しているということで、かなり強い、こういうのを教育社会学の言葉ではローカルトラックというのですが、それが見られます。小学校、中学校、高校、さらには、教師の性別、担当教科による差もあまりなくて、かなり一貫した傾向です。なお、私立中学校、高校の先生方に関しては、この一致の割合が、公立の先生方に比べると少し低いです。
 2015年社会階層と社会移動全国調査、SSM調査と呼ばれる社会全体を対象とした調査のデータを用いて、2021年度の年齢に換算すると、本調査の30代から50代と比較できます。2015年SSM調査によると、中学校卒業時と調査時点の居住都道府県の割合が一致している教師を含めた専門職は大体63から70%なので、本調査の教員だけの結果のほうが高いことがわかります。これをすごく高いと見るのかは個人の解釈次第ですが、一般的に言われるように、教師の地元志向という傾向自体は全国を対象としたデータで明解に確認できたかなと思います。
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 議論と政策的示唆をまとめます。まず。小学校教員になってきた層が変わってきたといえます。言い換えると二、三十年前だったら正規採用されなかったような人が教員になってきた可能性が、ここ10年、20年に関してはあるのではということです。中学校、高校の教員については、小学校と同じ動きではないので、国立大学の定員削減と規制緩和による私立大学数の増加という政策の帰結と解釈できるかと思います。もっとも、因果関係を特定したわけではなくて、年齢層による違いというのは、年齢だけではなくて世代、時代といろんな効果が混ざった結果ですので、これで因果関係を特定したわけでは全くありませんが、政策が変わったのは小学校だけで、そのとおりの動きをしていたのも小学校だけなので、政策による帰結と考えられます。
 また、正規任用と臨時的任用は同じ層ではありませんでした。採用時選抜で「望ましい」人材を正規採用してきた考えられるわけですが、臨時的任用層、例えば今後教師が必要な自治体等々で、臨時的採用で現在働いている方を、例えばみんな正規採用すれば現在の正規採用層と同じになるわけではなさそうです。正規任用と臨時的任用であまり違いがないみたいな地域もあるかもしれませんが、日本全体で見ると、高校や大学の入学難易度や中学校3年時の成績自己評価等々の観点で同じ層ではありません。
 重要なことなので強調したい点として、教員層の変容がどのような影響を児童生徒に与えるかについては分かっていません。日本に関して教員政策の指針になるようなデータはほとんどなくて、分かってないのです。教師の特性、例えば入学難易度で示されるような教師の特性によって児童生徒の成長がどう変わるかみたいな研究がないので、一般論としては、こういうほうが望ましいみたいな議論はできるかもしれないですが、それは私たちの思い込みにすぎないかもしれないので、ちゃんとデータを取って、こういう感じの出身でこういうような学習歴を持つ教師だったら、子供のこういう観点に関しては伸ばしているとか、伸びが足りないだとか、そういうことを明らかにするためには、パネルデータがどうしても必要なので、学力だけではなくて、学力を含む幅広い指標を用いて、教師の特性による子供の成長の違いについて検証することが必要かと思います。それと、各自治体の中で、どのような教師がいるのかというのは資源配分の問題になるので、どの学校にどういうような先生方を配属しているのかといった基本的なことは日本の研究、データでは明らかにされてないので、それらについても検討する必要があります。社会全体として子供の成長を最大化するためにはどのように資源配分すればいいのかという議論をするためには、そういう基礎的なデータが欠かせません。また、小学校教員になる層が変わってきたということは、現在40代や50代の教員が20代のときに受けたのと同じような研修では不十分な可能性を示唆します。上の世代の「私が若い頃は自分で勉強した」のようなエピソードに基づく研修体制ではなく、教員になる層が変容したことに対応した現場の教員の支援を可能な限りすべきです。若手教師の成長を具体的に支援する手厚い政策とその効果検証が必要です。
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 分かったことのもう1点としては、教師の出身家庭の社会経済的地位が平均的に恵まれていることです。また、先ほど触れましたように中学卒業時と現職の居住都道府県が高い割合で一致していること、それに、大学の都道府県まで同じ割合も低くはないということです。これらの出身家庭、出身地域といった「生まれ」以外の観点でも、教員層というのは、良いとか悪いではなくてやや特殊です。このデータで確認できるのは、例えば中学3年生のときに学力の自己評価が、社会全体のそれぞれの年齢層と比べると平均的に高いこと、それに、とても大きいのが、中学校3年生時に大学まで進学するつもり、所謂「大学進学期待」を持っている割合が極めて高いことです。全体だと20代でも約5割少しの子供、実際の大学進学率とそう変わらないぐらいの割合の子が、中学校3年生の時点で将来大学まで行くつもりですが、本データによると実際に教師になった人たちのうち年齢層、学校種、雇用形態などにより多少の違いはありますが8割や9割が大学進学希望でした。中学3年生の時点で、特に40代、50代に関しては大学進学率がそんなに高かった時代ではないので、それでも8割や9割の人が中学3年生の時点で自分は大学に行くつもりだったというのはかなり高いといえます。良いとか悪いではなくて、相当に進学熱が高かった層で、社会全体の平均とはだいぶ異なります。また、中学生のときに学級委員、級長とかクラス長とか生徒会役員とか部活の部長とか副部長をやっていた割合が、教員以外の層と比べると、どの年齢層の話をするかによりますが1.5倍から3倍ぐらいと高いです。
次の最後のページをお願いします。学校教育と親和性が極めて高い人たちが、教職を選び、実際に採用されてきたということが確認されたわけですが、一方、児童生徒は様々な家庭背景を持っています。教員の背景が普通ではないということに自覚的な養成、教職課程や教員研修が求められるのではないかと。例えば、20代教師でも、教育実習は母校で行ったという回答が46%でした。私立大の出身者は大半が母校で実習していました。今回は詳細を示していませんが、例えば母校ではなくて、母校よりも児童生徒の生活や学習の課題が大きい学校での教育実習経験者は、小学校、中学校、高校の正規任用教員で10%台です。残りの人たちは、母校で実習しているか、自分の出身の学校よりも、生活や学習の課題が大きくない学校で実習していました。広域人事なわけで、実際に採用され配属されるのが母校に似た学校とは限りません。教育格差という実態についての理解の土台となるような教育実習の経験を持つ教員の割合が極めて低いということが、今回実証データで示されたといえます。
 全ての子供に寄り添い伴走できる教師を養成するためには、教職課程で教育格差を科目として必修化すること。また、キャリアのどこかの段階で、現職の管理職に対しても研修の必修化が必要ではないでしょうか。具体的に何を学ぶべきかは、ほかの教育社会学の研究者と一緒に書いた「現場で使える教育社会学」という本で示していますので、空理空論ではなくて、具体的にこういうことを学べば、教師として子供に寄り添うためにどういう風に学術知見を使えるのかということをまとめたので、参考にしていただけたらと思います。すみません、発表時間を追いかけていなかったのですが、多分15分超えています。申し訳ございません。御清聴ありがとうございます。
【加治佐主査】  どうも、松岡先生、ありがとうございました。
 それでは、質疑に移りますが、挙手ボタンをお願いします。坂越先生、お願いします。
【坂越委員】  坂越です。教育社会学的なデータ、調査、そしてその分析ということで、承りました。
 本音として確かにそうだなと思われるところも、私、あります。同時に、地方で2,000人ぐらいの規模の大学で、小学校の教員養成をやっている、そういうところから見ると、ここから後は、多分そういう意見が出るだろうなと予測されていたであろうことをやっぱり言っておかなきゃいけないので申し上げるんですけど、前のほうのページで、今回、クオリティ・コントロールというところで、入口の話ですよね。入学試験と、それから採用のところ、ここでしっかり押さえて、どういう傾向、どういう政策的な変化があったのかということを見せていただきました。やっぱり大学で教員養成に関わっている身としては、プロセスのところを、これだけ変化や傾向を見える化してくださるんだったら、何とか養成教育のプロセスを、どういう教育効果があったのかを示してほしいです。それから、入学時点での出身高校の評価などということも分析の要素になっていましたが、大学での養成の後、今度は採用されたときに、採用する側でどういう評価が出ているのか。なかなか収集が難しいデータかとは思うのですけど、養成課程の4年間のプロセス評価を何とか社会学的にできないものでしょうか。
【松岡氏】  浜銀総合研究所が今回のこの調査を実施したのですが、この調査だけではなくて、大学4年生に対する調査を行って、前回、これとは違う部会で有海さんが発表したデータがありますので、そちらの分析をより進めていければと思います。ただ、一般論として、特に米国のデータを見ていると、入口は重要です。どういうような層の人たちが教職に入ってきたのか。皆さん教育者であればお分かりかと思いますが、元からできる人をいっぱい選抜したほうが教育をする上では容易です。選抜と比べて育成、伸ばすということはすごく大変で、実際にデータを取っていくと、この入口の部分で、より有為な人たちが集まってくれるような状況を政策で作るべきではないでしょうか。特に今回の結果は、全部採用に通った人たちの話です。であっても、例えば中学校3年生のときとか高校は、あくまで自己評価ですが、あまり入学が難しくないようなところ出身でも正規採用されているということなので、それが良いのか悪いのかも分からないのですが、こういう実態があるということは国の政策を議論する場では重く受け止めなければいけないのかなと思います。
 もし教員になりたいという有為な人材が多かったら、恐らく今回報告したような結果にはならなかったので、元々の入口の部分、子供たちにとって有為な人たちが自分から手を挙げて教師になるような社会にすべきではないでしょうか。育成はもちろん必要ですし、データを取って、こういうような教職課程、こういう研修をしたらこういうふうに成長するということもデータを取って明らかにしていかなければなりません。ですから、意見は2つあります。入口の部分をもっと見なければならないのではないかというのと、あと、その後の育成に関しては、この国は本当にデータがないので、いろいろなエピソードはあるでしょうけど、こういう研修だったらいいのではみたいな話は幾らでもあると思うのですが、実際それらが教師の資質能力を培っているのか、そしてそれらは子供にどのような影響を与えているのかというのは、現在あるデータでは分からないので、今後もデータを取っていく必要があるのかなと思います。
【坂越委員】  ありがとうございます。見方、考え方というのはよく分かるのですが、あえてもう一つお願いすれば、今度は採用された後の成長度とか、そういうところもまた見ていただけたらなというふうには思います。ありがとうございました。
【松岡氏】  もちろん、そうだと思います。ありがとうございます。
【加治佐主査】  いかがですか。ございませんか。
 それでは、お伺いしますけど、正規採用された層と非正規採用、これらは違うんだということを結論で述べられていますけど、具体的には何が違う?出身大学とかの難しさとか、出身高校の難しさが違うということですか。
【松岡氏】  はい。層として、同質ということではないということです。
【加治佐主査】  非正規の方が正規採用されて、非正規の方が減ってきていると言われているわけですよね。育休とかいうところも補充で困っているわけですけど、そういうことはどう考えればいいですか。
【松岡氏】  すみません、どう考えるというのは。
【加治佐主査】  つまり、正規層と非正規層が、要するに出身高校とか出身大学が違っているということですよね。
【松岡氏】  平均的には。
【加治佐主査】  だけど、その非正規層も、本学の卒業生もそうですけど、大体なるんですよ、正規に。非正規の方は、意欲さえあれば正規になっていっているんです。だから、違いがあると言われても。採用試験の1回目は通らないんでしょうね、その時の準備などの差があるから。だけど、正直言って、出身高校とか出身大学が違っていることが分かって何の意味があるのかなという気がするんですよね。
【松岡氏】  教員政策として議論するときに、もし、例えば、理念的に多くの人が教員になりたい、有為な人、能力の高い人、それらの定義は横に置いておきまして、望ましい力を持っている人が自ら手を挙げて教員になるような社会であれば、採用試験の倍率が高くなり、次に正規採用されたいという候補の人たちも十分に能力が高いという話になるかと思います。残念ながら、現在の日本社会では、このデータで示す限りにおいては、正規教員と常勤の臨時的任用の人たちが、層としてはイコールではないということは、少し言い方を変えますと、人材プールとして同じではないということです。要するに、社会として余裕があるわけではない、それだけ、教職という、この分野に対して人を引きつけることができていないのでは、という話です。
【加治佐主査】 それでは、松木委員、お願いします。
【松木委員】  今、お二方の質問とほとんどダブってしまったので手を下ろしちゃったんですが、ご指名いただいたのでもう1回確認をしたいと思います。
 正規任用教員と臨時任用教員は同じ層ではないというところに関して、これは裏を返していうと、臨時任用教員は採用されないということになる。つまり、いつまでたっても、臨時任用の層は正規の中で混ざっていかないということになるかなと思うんですが、理想の話ではなくて現状の話として。そうなった場合、臨時任用教員の方向けの、例えば、資質能力向上のための研修というようなことを用意しなきゃいけないのか、それとも正規任用教員と臨時任用教員について、実際の教育活動の中での評価、これは坂越委員さんが言われましたけど、この評価をしたときには、実は臨時任用教員の方がいろんな子供たちと付き合いができて評価が高いんだという話なのか。正規任用教員と臨時任用教員の違いについて、その評価とセットでお話を聞けると、説得力があるななんて思ったんですが、いかがでしょうか。
【松岡氏】  御指摘のとおりですが、今おっしゃった分析を可能にするデータをつくるのはとても大変でして、この調査をやることだけでも大変だったので、実施の難易度を考慮していただけるとうれしいです。今回のデータで示されているのは、別に、現在臨時的任用の人たちが一切正規採用されないという話ではなくて、ただ単に、今回のデータで示される今までの正規任用と臨時的任用で、回答者に関しては分布が同じではないということです。もし分布が同じだったら、今後の採用倍率がどうなっても、日本社会全体として、今までと同じぐらいの教員の人たちを次から次に人材プールから入れていけばいいという話になりますが、恐らくそういう状況ではないというのが一つ。同時に、別に大学の入学難易度とか高校の入学難易度とか中学3年生のときの成績が高ければ教師としてよいかどうかというのは、データがないから分かりません。
 ですので、それらに関しては分析しなければならないし、もっと言ったら2022年の段階でなぜそういう研究データがそもそも日本社会にないのかという話です。その点、上の世代の先生方に伺いたいところです。
【加治佐主査】  分かりました。
 ただ、今の御意見聞いて率直に思うのは、いわゆる優れた先生は、どういうプロセスを経て教師になっているかを調べたほうがいいんじゃないかという気がしますけれども、むしろ。
【松岡氏】  優れた教師の定義と、それをどういうふうにして指標化するのかという話を、まずしなければならないと思いますが、もちろん、皆さんがおっしゃったことは全部調べることができたらいいなとは心から思いますが、それを実際に行う研究者の数が足りないです。1つ調査を実施するだけでものすごく大変ですので、より調査に対する理解が得られて、多くの若い研究者がどんどんこういう分析をしていける社会になればとは思います。
【加治佐主査】  分かりました。いろんな調査研究をやって、積み重なることが、蓄積されることが、政策や、あるいは我々実際教員養成をやっているもののエビデンスにはなっていくと思います。本当にありがとうございました。まだこの調査は途中だと思いますので、ぜひいいものに仕上げていっていただきたいと思います。
 それでは、ほかの委員の方はもうよろしいですか。
 それでは、松岡先生、本日はどうもありがとうございました。
【松岡氏】  ありがとうございました。失礼します。
【加治佐主査】  それでは、本日の議事は以上になります。
 議事の1の最後に申し上げましたけれども、今後、中間まとめをベースにしつつ答申をまとめる段階に入ってまいります。事務局におかれては、本日の発表・議論、そして書面にて提出された意見を踏まえ、必要な調整・検討をお願いいたします。
 次回は、来週10月13日木曜日を予定しております。本日に続き、関係団体ヒアリングの第2回目を実施予定です。引き続きの御協力をお願いいたします。
 それでは、皆様、本日はどうも、お疲れさまでした。ありがとうございました。

―― 了 ――

(総合教育政策局教育人材政策課)