中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第4回)・更新制小委員会(第6回)合同会議

1.日時

令和3年9月27日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ案)
  2. 優れた人材確保のための教師の採用等の基本的考え方

4.議事録

【渡邉部会長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第4回「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会ならびに第6回教員免許更新制小委員会の合同会議を開催させていただきます。今日も大変御多忙の中、御出席をいただきましてありがとうございます。
本日も、ウェブ会議システムを活用しての開催となります。
初めに事務局より、事務局の人事異動、それから本日の会議の進め方について説明いただきたいと思います。それではよろしくお願いします。
【中村教育人材政策課長補佐】 文部科学省教育人材政策課の中村です。
事務局の人事異動について御報告いたします。9月21日付けで総合教育政策局長が藤原章夫に交代いたしました。
このほか文部科学省からは、文部科学審議官の丸山洋司以下、関係局長・課長等が出席しております。個別の御紹介については、ここでは割愛させていただきます。
続きまして、会議の進め方について確認させていただきます。本日もウェブ会議システムを活用していますことから、御発言に当たっては、聞き取りやすいようにはっきり御発言いただきたいこと、御発言の際は名前をおっしゃっていただきたいこと、発言時以外はマイクをオフ(ミュート)にしていただきたいこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただきたいことについて、御協力お願いいたします。
Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど、補助的な使用としていただくようお願いいたします。
本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。
配付資料は、議事次第に記載のとおりで御用意しております。
説明は以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。事務局も新体制となりましたが、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事に入らせていただきます。前回の特別部会では、学校組織マネジメントにおいて重要な役割を果たします校長等の管理職も含めた新しい時代の教職員集団の在り方について、そして教師個人に求められる共通的な資質能力について議論をいただいたところです。
その内容を踏まえつつ、今回はまず議事1として、教員免許更新制小委員会においてお示しいただいた審議まとめ案について意見交換をさせていただきたいと思います。続いて議事2として、諮問事項にある「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方」の検討を更に進めるために、本日は優れた人材確保のための教師の採用等の基本的考え方について議論いただければと思っております。
それではまず議事1について、事務局から説明をお願いいたします。
【平野教員免許企画室長】 免許室長でございます。資料1に基づいて御説明をさせていただきます。資料1-1が審議まとめ案の本体でございますけれども、本日は、資料1-4、審議まとめ案概要ということで1枚物を御用意しておりますので、こちらの方で御説明をさせていただきます。また、資料1-3といたしまして、審議まとめの要約版を作ってございます。こちらの方が大体12枚物程度のものでございますけれども、こちらの方も併せて御参照いただければと思います。きょうは、席配置の関係で、私はマスクを着けたままこちらで発言をさせていただきます。口元が見えず発言が聞きにくいところがあるかもしれませんけれども、御了承ください。
それでは、資料1-4に基づいて説明をさせていただきます。この「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けてという審議まとめ案につきましては、特別部会から設置をお認めいただきました教員免許更新制小委員会において5回の議論を重ねてきてまとめたものでございます。先月末にまとめた際には新聞報道なども大分されましたので、既に内容について御承知の先生もいらっしゃるとは思いますけれども、改めて内容について御説明をさせていただきます。
まずこの審議まとめにおきましては、教員免許更新制の抜本的見直しについて結論を出すというところがミッションでございます。一番上の部分でございますけれども、教員免許更新制導入後の社会的変化について、まず審議のまとめに盛り込んでいるところでございます。1点目が、社会的変化の速度向上と非連続化を受けた学びの在り方の変化を挙げてございます。グローバル化、情報化、このようなものが進展する社会において、社会の在り方そのものがこれまでとは非連続的と言えるほど劇的に変わっていく状況が生じつつあるわけであります。また、教育の世界についても、GIGAスクール構想、小学校の学級編制の標準の引下げ、新たな施策が進められているわけであります。
社会が日進月歩で変化するということに伴いまして、教師自身も高度な専門職としてたゆみなく新たな知識技能の習得に取り組み続ける必要が高まってございます。教師の学びの在り方という部分についても、知識伝達型の学習コンテンツを受け身の姿勢で学ぶだけではなく、自らの日々の経験や他者から学ぶといった現場の経験を重視した学びが重要になってきている。このようなことを踏まえまして、地域や学校現場の課題の解決を通した学びを自律的に深めていくことが必要になっているところであります。
また、より多様な専門性を有する教職員集団を構築するために、教師自身が新たな領域の専門性を身に付けるなどしていくことが必要でございまして、教師一人一人の個別最適な学びが求められる、このような変化が生じているところであります。
2ポツといたしまして、教師の研修環境の変化を挙げさせていただいてございます。平成28年11月、教育公務員特例法が改正されまして、教員育成指標の作成、この指標を踏まえた教員研修計画の策定等が任命権者に義務付けられたところでございます。このような枠組みを活用いたしまして、各地域の課題・ニーズに応じた計画的な研修の実施が促進されるようになってきております。
また、オンラインについても、これは研修という部分においても飛躍的に拡大しているわけでございます。独立行政法人教職員支援機構につきましてもオンライン化の取組が進んでいるわけでありまして、オンデマンド型の講座「校内研修シリーズ」については、現在152本まで拡充され、累計の再生回数も158万回に達するなど、国公私の別、地域の別を問わずに良質なコンテンツにアクセスが可能な状況が出てきているということでございます。都道府県の研修のオンライン化も進んできている、このような状況でございます。
そのような変化を受けまして、審議まとめの中では、まず「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿がどのようなものであるのかということについて、基本的なところまで遡って整理をしたところでございます。その内容が、ポンチ絵で青い部分、1ポツで書いているところでございます。
項目を紹介するところにとどまってしまいますけれども、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿としては、教師は学び続ける存在であることが必要であると。これは時代の変化が大きくなる中で、常に学び続けていくということが必要であるということが触れられてございます。
その下、教師の継続的な学びを支える主体的な姿勢。継続的な個別最適な教師の学びを進める上で必要となる基本的な前提は、自律的に学び続けるという教師の主体的な姿勢でございます。このような、一人一人の教師が安心して学びに打ち込める環境の構築が求められるということでございます。
続きまして、個別最適な教師の学び、協働的な教師の学びというところでございます。先ほど申し上げたように、教師自身が強みを伸ばすための学びについては、より高度な水準のものも含めて一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びであるということが求められる。また、教師としてふさわしい資質を広く身に付けていくためには、先ほどの個別最適な学びとの往還も意識しながら、協働的な教師の学びも重視されていく必要があるんだと、このようなことが触れられているわけでございます。
次は、学ぶプロセスというところになってくるわけでありますが、適切な目標設定・現状把握、積極的な「対話」というところでございます。教師の学びが将来の目標に向かって体系的・計画的に行われるように、個々の教師が「将来の姿」を適切に設定し、また、現状の「現在の姿」を適切に把握していくことが必要だということが触れられてございます。このような姿を設定するに当たっては、教師と任命権者、管理職等が指標や受講履歴を手掛かりに積極的に対応を行い、教師の意欲を喚起しながら成長の支援を適切に行っていくということが効果的ではないかということでございます。この際、任命権者や管理職等は、適切な研修を奨励することが重要であると、このようなことについて触れられてございます。
続いて、質の高い有意義な学習コンテンツということで、今度は学ぶ内容の方ということでございます。内容としては、明確な到達目標と適切な内容を備えているコンテンツであること、また、質の高い学習コンテンツが豊富に提供されていること、質保証の仕組みが適切に機能していること、学習コンテンツをワンストップ的に集約・提供するプラットフォームが存在していること、知識伝達型の学習コンテンツにとどまらない、自らの経験や他者から学ぶといった「現場の経験」を含む学びが提供されていること、このような姿が理想的な姿として盛り込まれてございます。
最後、学びの成果の可視化と組織的共有という部分です。学びの成果が可視化され、個人の意欲を喚起できているかどうか、また、学びの成果が個人のレベルを超えた組織として積極的に活用されているかどうか、その教師の学びを可視化するためにも、全国的な観点から証明する仕組みが構築されていること、このようなことが盛り込まれております。こうした仕組みをしっかりデジタル技術を活用しながら進めていくということが「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿として取りまとめられてございます。
2ポツでございます。それでは、この新たな教師の学びの姿を実現する上で当面何を行うべきかということでございます。ポンチ絵の一番上の部分でございます。丸の部分ですが、公立学校の教師に対する学びの契機と機会の確実な提供ということで、文部科学省においては、任命権者が研修の履歴等を記録・管理し、この履歴を活用しながら、任命権者や学校管理者等が教師との対話を通じて計画的・効果的な資質の向上を図るための研修の受講を奨励する、このようなことを義務付けていくということを検討すべきであるということが盛り込まれてございます。
その際、この研修の履歴の範囲は多様なものが含まれるようにすることが望まれるということ、また、任命権者がこの履歴を記録・管理する過程で、期待する水準の研修を受けていると到底認められないような教師については、職務命令による研修の受講や、その命令にも従わない場合には適切な措置を講じる、このようなことについて考え方を国の指針等で明らかにすることが盛り込まれてございます。
そのほか、現職研修の更なる充実に向けた指針の改正、国公私の教師を通じて資質能力を向上する機会の充実、教職に就いていない者のための学習コンテンツの開発、このようなところが当面の方策として盛り込まれております。
この当面の方策よりも時間は掛けてということになってまいりますけれども、3ポツ、さらに検討を深めるべき事項と具体的方向性ということで挙げさせていただいております。研修履歴を管理する仕組みを高度化するために、研修受講履歴管理システムを導入していくこと。また、新しい姿の高度化を支える3つの仕組みとして、学習コンテンツの質保証、一元的な情報提供のためのプラットフォーム、学びの成果を可視化するための証明の仕組み、このようなものを、仮称でありますけれども、研修受講履歴管理システムと連携して構築していくということが必要ではないか、このようなことが盛り込まれております。
また、教職員支援機構の果たすべき役割についても、このシステムの運用への参画、また、3つの仕組みの構築に携わっていくということとか、都道府県教育委員会等としっかりと協働して取り組んでいくこと、標準的な動画コンテンツの作成などに取り組んでいくこと、このようなことが盛り込まれているものでございます。この部分がさらに検討を深めるべき事項ということでさせていただいております。
資料1-5がお手元に行っていると思いますけれども、これは、今のさらに検討を深めるべき事項も含めまして、将来どんなような姿が考えられるのかということを模式図的にお示ししたものということでございます。
さて、このような姿を「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿との関係で構築をした上で、一番下の部分でございます、新たな教師の学びの姿と教員免許更新制の関係をどのように考えるのかというところでございます。教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大など一定の成果が上がってきたというところでありますけれども、更新しなければ、職務上の地位の喪失を招きかねず、自律的・主体的に学ぶ姿勢が発揮されにくい。10年に一度の講習というところが、常に最新の知識・技能を学び続けていくということと整合的でない側面があるのではないか。個別最適な学び、現場の経験を重視した学びと更新制の関係については、方向性が異なっているところがあるのではないか。更新講習の受講は、個人の権利を更新するためのものでございます。本質的に個人的なものとならざるを得ず、組織的なものとする上で限界があるのではないか。
このようなことも考え合わせまして、新たな学びの姿を実現するための方策を講じることで、更新制が担保してきたものを総じて代替できる状況が生じつつあるということから、先ほど説明いたしました2ポツの当面の方策という部分が実現するのと同時に、教員免許更新制については発展的に解消し、新たな教師の学びの姿の実現に踏み出していくべきではないか、このような内容を盛り込んでいるところでございます。ここまでが審議まとめの概要の説明でございます。
ここから先、少しお時間いただきまして、資料1-2で見え消しの資料が用意されております。こちらの方は前回の更新制小委員会で少し御議論いただいたところで反映したところを御紹介させていただきたいということでございます。
大きな修正という意味で申し上げますと、11ページからの新たな教師の学びの姿の部分でございます。言葉遣い、文言の精査を一部行っておりますけれども、13ページに、個別最適な教師の学びの次に、協働的な教師の学びという項目を一つ立てまして、知識技能の習得だけではなく教師にふさわしい資質能力を身に付けるという観点から、このような記述を追加しているというところでございます。ここの中、「他者との対話」というところ、他者というのは一体誰なのかというところがあるわけであります。もちろん同僚の先生とか全国の先生たちというところもあるわけでありますが、ここは幅広く、例えば学校支援地域本部などで関わっていただく地域の方々とか、また、外の社会の様々な方々も含めてあり得ることかと思っておりますので、あえて限定はしていない記述にさせていただいてございます。
続きまして、大きな修正という意味でいいますと、19ページでございます。19ページの方は、大きく二つ修正してございます。1点目は、市町村教育委員会の関与、学校という部分の重視と、このようなところであります。上の部分は、市町村教育委員会、学校管理職が高い当事者意識と意欲を持って参画していくことが重要であるということを書き加えました。下の部分については、今回の新たな教師の学びの姿が多様な内容・スタイルの学びを教師の資質能力の向上に不可欠なものとして位置付けているということに鑑みまして、様々な研修の履歴などを含むことができるような仕組みにすべきであると、このようなことを入れたところでございます。
続きまして、大きな修正でございますけれども、23ページでございます。制度上、正規の教員が中心になるわけでありますが、臨時的任用教員などについても研修の充実に努めることをしっかり指針の中で求めていく、このようなことが必要ではないかということを追記しております。
24ページでございます。24ページの方は、この新たな仕組みの中のさらに検討を深めるべき事項の収益構造といった部分についてしっかりと今後リアルに考えていくべきであると、このような御指摘をいただいておりました。民間事業者は、収益構造が不確実な中にあって参入が難しいというところがありますので、このようなところを記載いたしました。
続きまして、33ページでございます。大学に対する期待という部分でございます。教員免許更新制については、発展的解消ということで位置付けているわけでありますけれども、教員免許更新制の成果、これを引き継いでしっかりと新しい姿につなげていくというところが発展的解消の大きな内容だというふうに承知をしております。
そのような観点から、33ページの上の部分でございますけれども、免許更新制はということで、学びの機会の拡大、大学による関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成、免許状更新講習の経験を生かした養成段階の教育の充実、このような成果を書き連ねたということに加えまして、教育委員会と大学の関係の深化、大学のみならず多様な主体が教員の資質能力の向上に参画するようになったというところを改めて一覧的に記載をさせていただきました。また、下の部分、これはいわゆる開放制の大学を含めての話でありますので、明示をさせていただいているところでございます。
35ページから36ページにかけてが「おわりに」ということで、今後に向けたメッセージも含めて盛り込んでいるところでございます。最後、この点を少し説明させていただきます。この2段落目でございますけれども、本審議まとめの重要なメッセージの一つは、学びに専念する時間を確保した一人一人の教師が自らの専門職性を高めていく営みであると自覚しながら、誇りを持って主体的に研修に打ち込むことができる姿の実現を目指していくということでございます。このようなことをコンセプトとし、対話を踏まえながらということでありますけれども、教師が主体的に求めていく学びと、任命権者が提供する学びが相まって、探究心を持ちつつ自律的に学ぶ姿、教師が育っていくという姿を明らかにさせたところでございます。
3段落目でございます。この学びでございますけれども、内容の多様性や、現場の経験を含むスタイルの多様性の重視ということも重要なメッセージであるということでございます。そのような観点からも、個別最適な学びのみならず、協働的な学びを実現していく。資質能力の向上を広く図っていく観点からも、校内研修や授業研究といった日々の営みを磨き上げていくことや、教職大学院における学びなど様々な機会を同時に確保していくということを構想しなければならないということでございます。この主体的・対話的で深い学びについては、児童生徒のみならず教師も求められていることなのだということを書かせていただいてございます。
こうした姿を実現するためにということで、働き方改革を進めていくことが重要であるということを改めて記載させていただきました。任命権者に加えまして、適切なマネジメントという観点からは、前回議題になった、校長のマネジメントというところも大きいわけであります。このようなところについて、この部会でも今後明らかにしていくのだということを書かせていただきました。
教員免許更新制の成果を継承しながら、新しい仕組みをつくっていく上では、先ほど申し上げた研修受講履歴管理システムと3つの仕組みの構築、こういったところの具体化を速やかに進めていくことが必要ということで、文科省としては、可能になった段階でロードマップなどを明らかにしながら、適切に情報発信をしていくということが必要だということでございます。
文科省としては、丁寧な説明に努めていくということとともに、この部会におきましても、養成・採用・研修の在り方について更に審議を深めていくと、このような締めにさせていただいてございます。
先ほど申し上げた構想の具体化ということでございますけれども、資料1-6で、2枚物だと思いますけれども、資料が入ってございます。1-6の表の方でございますけれども、教員の研修履歴管理システムの構築に向けた調査研究ということで、国の方としても調査研究の予算を要求いたしまして、研修受講履歴管理システムや3つの仕組みを具体的にどのような形で設計していくのか、このようなことをしっかりと調査研究できるような予算の確保に今取り組んでいるというところでございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。それでは、皆様との意見交換に入らせていただきます。ご発言の際は、ウェブ会議システムの挙手機能で挙手いただければと思います。
まず根津委員、それから、益川委員、戸ヶ﨑委員、3名続けてお願いいたします。
【根津委員】 早稲田大学の根津です。形式的なところで大変恐縮なんですけれども、資料1-1です。小委員会の後で気付きましたので、一言。32ページです。この上半分のポツ三つの辺りなんですけれども、表現として「並立」、並び立つというものがありますが、「鼎立」ですね。三つの場合には、鼎と立つという言い方もありますので、御検討いただければと思います。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。御指摘の点は反映させていただきたいと思います。
では、益川委員お願いいたします。
【益川委員】 では、僕の方から発言させていただきます。とてもいいまとめになってきたと思います。特に、協働的な教師の学びという視点が明確に入っているところです。ただ、それに関連して2点コメントさせてください。
1点目です。充実に向けて、研修受講履歴管理システム、それから、3つの仕組みというもの、これが目玉になってくると思われます。その視点で考えたときに、協働的な教師の学びを支援するような、そういう管理システムとかプラットフォームの設計の視点も必要ではないでしょうか。例えば先生方が受講した履歴を基に、今度どういうものを受講した方がよさそうかなどを先生方が地域を超えて情報交換できる場とか、若しくは学習コンテンツを学んでいくときに、学校内のメンバーだけではなく、垣根を越えて情報交換しながら学んでいくような、そういうようなプラットフォーム整備が大事だと思います。
私自身、以前、別の中教審の委員で生涯学習のプラットフォームについての検討に参加しておりました。そこでは、国民の方々が生涯学習を主体的にやっていくための資格の管理システムについて議論していましたが、そこの中でもいかなる資格を取得したかを管理するだけではなくて、似たような資格を取っている人同士、取ろうとしている人同士が対話できるような環境、システムの構築が大事というまとめになりました。そのような視点から、せっかく新しく検討していくというところですので、そのような要素を是非入れていただきたいです。それが1点目です。
2点目は、資料1-5の新たな教師の学びの姿のイメージです。とても具体的に書かれていますが、教師の学びの在り方が重要で中心となりですので、確かにシステムを開発するとか、3つの仕組み自体も大事ではありますが、学び続ける教師を中心に置いて、そこを取り巻く教育委員会とか、教職員支援機構さんとか、各大学とか民間団体とか、いろいろなシステムが周りに来るような形で書いていただけると、先生方へのメッセージとしても、考え方を整理する上でも重要になってくるのではないかと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。前回の小委員会の議論において、協働的な教師の学びについて貴重な御意見をいただいており、今回その部分を反映させております。これから個別最適な学びと協働的な学びをどういうコンテンツとして設計していくのか、について考えていくことになりますので、今の御意見を参考にさせていただきたいと思います。
それから、二つ目で御指摘いただいたように、今回資料1-5としてまとめさせていただきましたけれども、これは全体の研修システムをどう設計、位置付けるかということでこういう図にさせていただいております。当然今後これがまとまった後に、現場の方にどういうメッセージとして示していくのか、教師を中心にした形での図示をするのかといったことについて検討させていただきたいと思います。一旦これは審議のまとめということで御理解をいただければと思います。
【益川委員】 ありがとうございます。
【渡邉部会長】 それでは引き続き、戸ヶ﨑委員からよろしいでしょうか。
【戸ヶ﨑委員】 まずは、見事にまとめられた事務局等の皆様方に敬意を表したいと存じます。大きく二つ申し上げます。一つは、この審議のまとめ(案)の関係者の当事者意識を持った実践上の広がりと正しい理解です。
この教員免許更新制度は、平成18年7月の中教審答申を受けて導入されたわけですが、この答申は、当時話題になっていた指導力不足教員への対症療法だけでなく、「資質能力の高い教師を確保・育成し、十分力が発揮できる仕組み全般の整備を図ることによって、社会の要請に応えるべき」ことを指摘していました。
今から15年前の答申ですが、今回の「審議のまとめ案」と重複した内容が多くあります。ということは、辛辣な言い方をしますと、この15年間は何だったのかということになります。それだけ実行が難事なわけですので、同じ轍を踏まないよう、教職員のスキルアップには、国任せや他人事とせず、任命権者はもちろんのこと服務監督権者である市町村教育委員会、さらには学校管理職など、それぞれが主役であるとの当事者意識をもち、これまで以上に真剣に積極的に取り組んでいくべきであると考えます。まずは、この審議のまとめが教育委員会や学校現場等に腹落ちするよう、すでに要約版や概要版も作成いただきましたが、今後は、国からの地区説明会の実施や動画作成なども検討して欲しいと思います。
二つ目は、発展的解消の意味理解です。現場等から聞こえてくるのは教員免許更新制の廃止への期待とともに「発展的解消」という文言への不安です。審議のまとめ(案)の32ページ、資料1-4の右下に「『新たな教師の学びの姿』を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できる状況が生じる…」と記されています。言葉狩りなどにより新制度ができて研修を一層強く徹底させられ、より勤務環境が厳しくなるのでは、などと表面的に伝わってしまうことを危惧しています。よく読むことで正しく理解できることを期待しますが、この「発展的に解消」の意味することも、同様に正しく伝わるようにする必要があると思われます。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。戸ヶ﨑委員におかれましては、答申の最初の検討段階から大変貴重な御意見をいただいており、感謝申し上げたいと思います。今回御指摘いただいた、歴史的な経緯を踏まえて改善すべき点と、更新制が果たしてきた役割を継承すべき点もあること、教師が学び続けるということの本質的なものを失わないように、それをどう腹落ちして打ち出していくかということは、御指摘のとおりだと思います。これは今後の特別部会の検討全体に関わる話だと思います。ありがとうございます。
【戸ヶ﨑委員】 ありがとうございます。
【渡邉部会長】 それでは、永田大学分科会長、それから、今村委員、中原委員の御三方より続けてお願いできますでしょうか。永田分科会長からお願いいたします。
【永田委員】 永田です。どうもありがとうございます。
私が共感したのは、先ほど益川委員が述べられた、「先生を中心に置いてやってくれ」という、その文言そのものに大変共感をするものです。そう考えて、この全体を読みましたら、良い点がたくさん書いてあります。しかしそれぞれの質を保証するという仕組みがどこにも書かれていません。例えば、服務監督者や任命権者、学校管理職の人はそのままで良いのかどうか。一番初めに書いてありましたとおり、その人たちが今の時代に即した、激動する社会の中で学びを続けなければいけないでしょうし、さらに言えば、教育委員会も変わっていかなければいけないかもしれません。
また、教育コンテンツや研修の内容は、あるから良いのか、それぞれの内容が本当にプロパーなのか。この部分はもちろんこれから検討されるとは思いますが、学ぶ側にとって価値があるものとして、何をもって質を保証していくのかというところが、書いていない重要なことだと思います。それには輪を掛けて何か評価システムが、手間がかかるかもしれませんが、より良いものにするためには必要だと思います。これは今回のまとめに欠けていると言いますか、余り語られていない部分です。つまりいろいろなポイントにおける質保証です。
教師の免許についてですが、医師の免許は更新がもちろんないのはみなさんご存知のとおりだと思います。そこで何がセレクションになっているかというと、勉強していない人は必要とされなくなっていくのです。各自が最善の努力をしないと、必要とされない医師になっていくということがあるため、みんな勉強するのだと考えます。一生懸命研修もするし、勉強もします。それが本当は一番重要なシステムなのだと思います。ここで述べられているように、研修を用意して、いろいろなチャンスを生かして、先生方が自ら学んでいくということも大切だと思います。
最後に、そのような中で、先生が学びたいことがどこにもなかった場合にどうするのかという問題があります。苦労してでも独自に学ばれる方がいらっしゃると思います。例えば海外の事例を日本語に翻訳しながら読んで学ぶなど、このようなことはおそらく今のままだと、ポートフォリオ程度では認められるのでしょうが、本当に本人にとって学ばなければいけないことを学んだところで、関係ないと言われてしまうのはどうなのかなと思います。
つまり、今は書いていないことだけを述べましたが、一つ目は質を保証するということ。また、もっと自由なコンテンツも使っても良いのかなと考えますが、そうすると誰がそれを評価するのかということ。つまり、また質の保証の問題ということになると思います。
以上でございます。
【渡邉部会長】 大変貴重な御意見ありがとうございました。質保証は御指摘のとおり全体に関わる話ですので、今後の特別部会の全体的な検討の中にも、質保証の視点を入れていきたいと思います。今回のポンチ絵では、新しい姿の高度化を支える3つの仕組みの中の学習コンテンツの質保証は入れておりますが、御指摘のようにコンテンツの質保証だけの話ではありませんので、これは今後の特別部会での検討に活かすこととさせていただければと思います。
それから、コンテンツ自体も、今後、大学の養成段階、それから教職員支援機構としてどのようなコンテンツを今後開発していくのか、それに関わる話でもございますので、御意見を踏まえた検討を進めさせていただければと思っております。ありがとうございました。
それでは、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】 ありがとうございます。発言させていただきます。まず、小委員会の先生方のすばらしい御議論を踏まえて、私としても本当に納得感のあるまとめをお出しいただいたことに心から感謝を感じております。
きょうこの場でのこの時間での発言として適しているかどうか分からないんですけれども、どこの場面で申し上げたらいいのかが分からない中で、新たな教師の学びの姿という意味で、どこかここから観点にしていかなければいけないと思っている点をもう1点だけ。ちょっと新たな観点かもしれないので、また別の機会に扱っていただければと思うんですけれども、私は、これからの学校の先生方は、例えば兼業・副業のようなことを通じた学びも御自身の仕事を俯瞰して見る大きな機会として使っていただけるものになっていくのではないかと思っています。
今、私が運営しているNPOカタリバでも、数名の学校の先生方が兼業又はボランティアという形で関わっていただいていますけれども、中には、教育委員会から、学校外での独自のこういった動きについて、勝手なことをするなというようなことを言われたり、あとは、教科書の執筆のような兼業であればいいけれども、そういった違うフィールドでの兼業というのは許されないという、謝礼が発生するようなものは特に許されないというような話もあります。
これは非常にもったいないことなんじゃないかと思っていまして、先生方が現場でされていること、また、社会の大きな変化の中で、別のロジックで動いている組織の動きを行き来することは本当に大きな学びになると思いますので、学校の教職員の方々も兼業ができるようにするということも、ここから話題にしていくべきかと思います。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。今日の議事2において、優れた人材確保のための教師の採用等の基本的な考え方の中で、そういった多様性をどういう形で受け止めていくのかという議論も改めて行いたいと思っております。今の御意見は大変新しい視点だと思います。これは社会全体が多様性を求められている中で、雇用の在り方も含めて考えるべき問題であり、今後の特別部会としての検討の中でも意識をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
【今村委員】 ありがとうございました。
【渡邉部会長】 それでは、中原委員、お願いいたします。
【中原委員】 よろしくお願いします。まず、御丁寧なまとめをしてくださったことに感謝しつつ、これが人材開発の観点からどう見えるか、そして、現場でどう受け取られるのかということを少しお話しさせていただきたいと思います。
まずやはり、どの委員からも出た話なんですけれども、資料1-4や1-5について読んでいくと、一番多分出てくるのは教員の職能発達(学び)というものは研修なんだろうか、
研修が中心なんだろうかというところが、どうしても否めないところがあります。むしろ、教師の学びは、日々のOJT、日々の対話、現場での経験、授業経験が中心であり、それでも学べないものを学ぶのが研修であり、後者はサプリメントのようなものなのではないでしょうか。今回の中教審で、むしろ「教師の学び」ということを全体のビジョンとして掲げるのであれば、それを示した上で研修の位置付けを明示すべきなのではないかと思います。そして、研修の受講履歴システムが教師の学び全体にどのような役割を果たすべきかを書き加えていくと、非常によりクリアな文章になるのかなと思いました。
恐らく人材開発の観点からもそうでしょうけれども、これまで教師教育等々の知見も参照しますと、やはり現場の教育経験とか授業経験やその振り返りで学ぶという観点が大きいんだと思います。研修はどちらかというと、それでは学べないもの、たとえば、学校では学べないもの、最新の内容を学ぶ「サプリメント」のようなものだと私は考えています。
ただ、この資料を中心にやっぱり見ていきますと、免許更新制度の廃止の方からこの議論
は出てきているという経緯がございますので、どうしても「教師の学び、イコール、研修受講」「教師の学びの整備、イコール、研修履歴管理システムの整備」の話のように見えて
しまう。これが現場の誤解や非協力を生まないのかなというのが一番心配したことでございます。
人材開発の観点からすると、教師のみならず、多くの職業の職能発達の中心は現場の経験であり、現場における他者からのフィードバックの存在です。学校でいえば、恐らく、現場の教育経験や授業経験、その振り返り、そして、業務経験を恐らく管理職やそれに委任を受けたリーダー職との対話で振り返っていくということが大事になるのでしょう。そうしたなかで、現場で経験をつみ、フィードバックを受けることが、教員の成長実感やウェルビーイングの向上に恐らく影響を与えるだろうと思います。現在の資料は、研修の位置づけがよくわかりません。また教師の学びの全体における、研修の位置付けが曖昧のように思います。
そして、この研修履修管理システムへの入力なんですけれども、こちらに入力されるのは、やはり研修の受講とか履歴なんだと思うんです。これは狭すぎるのではないでしょうか。もし研修履歴システムを導入するのなら、そこで「取り扱われる内容」を「研修」だけに矮小化するのではなく「教員の学び全般」をしっかり扱うべきなのではないかと思います。ここをもう少し広めて、例えば教員が日々日々振り返っている内容みたいなものも含めてこれを導入していくということが大事なんじゃないでしょうかということです。
また、教師と任命権者が対話というのも、「研修の内容」についてだけなのでしょうか。わたしは違うと思います。研修の内容や、どの研修を受けるかというのは、あくまで「サプリメント」であり、本来、行われなければならないのは、日々の業務や授業経験でしょう。これらも対話のテーマとしていくべきだと思います。
そして次に、研修受講管理システムがあることによる効果を、より解像度をあげて明示する必要があると思うのです。具体的には、この研修受講管理システムがあることによって、教師の学びが以前はこういう状態だったものがこういうふうになるという、より解像度を上げた議論、説明が必要なんじゃないかなと思うのです。そうしないと、このシステムは、誰も運用しなくなります。
誰がこれ入力するんですか、誰が見るんですか、どのように活用されるんですか、誰がニーズがあるんですか、求めているんですかという議論がまずすぐ現場に生まれてくるだろうなと思います。このシステムがあることによって実現される未来、逆にないことによって生まれてくるデメリット、これをしっかり現場に表現していく、伝えていく必要があるだろうなというふうなことを思います。
その上で、あえてこの中心に据えられている研修受講履歴管理システムというネーミングなんですけれども、これは本当に研修ということなんだろうかというのは私はすごく疑問です。教師の学び全体を含んでいくポートフォリオのようなものなのかなというふうに何となくイメージしましたが、今の感じからするとそうじゃないのかなとも見えますし、恐らくそういうことが現場で様々な課題になってくるのではないかと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。前半のお話しは、全体のビジョンに関わるものだと思います。特別部会としても、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申を踏まえた形で、教師の在り方についてのビジョン的なものは、次回以降、御指摘の視点も含めてもう一度議論する必要があると認識しております。
それから、システムの具体化については、今後行政サイドの現実的な整理が必要だと思います。これは教育委員会の役割、学校の役割、それから、教職員支援機構の役割、それぞれを具体化していく中で、御指摘のような点を含めて整備していく必要があると思います。貴重な御意見として承りたいと思います。
それでは次に、市川委員、高橋委員、そのあと、古沢委員と安家委員。時間の関係がございまして、まだまだあるのかもしれませんが、一旦、今手を挙げている以上の4名の方で区切らせていただきたいと思います。
それでは、市川委員、お願いいたします。
【市川委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。よろしくお願いいたします。
この免許更新制が発展的に解消されるということについて本校の教員にお話をしたときに、研修がなくなってよかったじゃなくて、皆さんは学び続けなければいけないんだよという話をさせていただきました。それも踏まえて資料1-1をもう1回読み直してみると、小さい話なんですけれども、19ページにある、先ほど話があった「服務監督者たる市町村教育委員会や学校管理職が」なんですが、特別支援学校の場合は都道府県立なので、都道府県教育委員会も関わっていただかないとならないのかなと思っています。非常に小さい話で、読み替えればいいのかなと思いますが。
それと、19ページの後の20ページの一番上にある、対話と奨励のプロセスが学校管理職の過度な事務負担にならないようにと書いてありますが、まさに特別支援学校の場合には、1校で200人規模の教員がいる学校もありますので、制度設計に当たって実効性の確保という観点も非常に重要になると思っています。
3点目なんですが、同じ20ページの必ずしも主体性を有しない教師に対する対応なんですが、改めて読み返してみまして、特定の教師が、任命権者や服務監督者、学校管理職ですから私ですよね、期待する水準の研修を受けていると到底認められない場合はとありますが、これは私はどう判断すればいいのか難しいなと思います。
というのは、先生方は主体的に研修していく、自ら学んでいくんだということなんですが、自らこれは学ぶんだと。ただ、私の立場から見ると、それは研修として認められないよというふうな、お互いの研修に対する価値観の違いみたいなものも出てくるのかなと。そのことが職務命令のような形に発展するとなると、なかなか学校の校長としては判断が難しい。最後に文部科学省において任命権者が適切な対応が図られることができるようにガイドラインを策定していただけるということなので、校長がどう判断するかということについてもしっかりガイドライン等で定めていただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます、最初の1点目については、検討を加えたいと思います。
それから、3点目の必ずしも主体性を有しない教師に対する対応のところでございますが、本文の20ページに記載のあるように、教育公務員特例法第22条の2に基づいた従来の整理に基づいて、文部科学省におけるガイドラインの策定を御指摘のような視点も含めてしっかりと検討いただきたいと思います。
文科省事務局から何かございますか。
【平野教員免許企画室長】 今指摘いただいた3点目の部分については、まさに文科省として、現場の管理職というところも含めて適切な対応を取ることにできるようにガイドラインを作っていくという趣旨でございます。きょうのお話も踏まえまして、今後、内容についてはしっかりと検討してまいります。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。
それでは次に、高橋委員、よろしくお願いいたします。
【高橋委員】 東京学芸大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。この難しい案件を非常に丁寧にまとめていただきまして、大変ありがとうございます。特に「おわりに」の部分の記述などを見ますと、大変身の引き締まる思いになっております。
私からは、本来小委員会で申し上げればよかったんですが、一つは未来で、やはりすごく変化をどんどんしていくと思うんです。そういう変化への対応ということへの記述をもう少し増やしてもいいんじゃないのかと思ったということです。
つまり、例えば内容面・方法面で見ますと、コンテンツについても、もともとこれは社会の変化が激しいというところからこういう制度の見直しがあるわけですから、コンテンツも多分どんどん新しくしていかなければいけないかもしれないし、むしろ体系化するという、体系化できている内容というのはひょっとしたら新しくないかもしれない。時代に対応していないかもしれない。だけれども、若い先生にとっては、体系化されたものも身に付いてないかもしれないから重要なコンテンツかもしれないとかいうふうに考えると、今の体系化というのも十分大丈夫なんだと思うんですけれども、先ほどもお話にあった、例えば副業みたいなもので逆に先生たちがコンテンツを作るようになった、それ自体が研修になるかもしれないとかそういうふうに考えていくと、余り体系というようなキャップにはめにくいものも出てくるんじゃないのかということです。
あと、方法面でいえば、幾つかどんどん進化していくと思うんですが、例えばオンラインでの学習の仕方で、細かい話なんですが、9ページ辺りにオンデマンド型の学びと同時双方向型の学びというふうに書いてあるんですが、オンデマンドでも双方向に学ぶ方法を持っているようなそういう仕組みもございますので、基本的には多分同期で学ぶ、非同期で学ぶということについて双方向性を持たせるようにしていくとか、少なくとも双方向にならなくても、受講者がアウトプットをしていくみたいな、そういったような汎用的な書き方にしていくと、オンデマンド型というのがどんどん、双方向じゃないんじゃないのかというイメージを持たれることからは脱却できるかもしれない。
こういうこともどんどん変わっていきますので、多分一生懸命考えてもどんどん世の中が変わっていく可能性がありますので、そういったものの見直しがあり得るんだとか、そういうような柔軟な書き方をどこかにしておく可能性はあるんじゃないのかということが私の意見となります。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。今回のこのまとめは、あくまでも免許更新制を中心にして記載してきたものですから、御指摘のような点はまだ弱いのかもしれません。ただ今後、教師の学びの姿のイメージの中でも、これからの養成段階における大学の在り方もそうですし、教職員支援機構の在り方もそうですけれども、新しい対応をしながらコンテンツを検討していくことにしておりますので、御趣旨のようなことは今回のまとめにも含まれると同時に、特別部会としての今後の諮問事項に対応する検討の中に盛り込んでいくことにさせていただければと思います。文言のところで修正できるところがあれば、検討を加えたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】 ありがとうございます。大変分かりやすいまとめにしていただいたと思います。先生たちに学び続けることが大事だというメッセージが伝わることを願っています。
私の方では、臨時的任用教員の研修について着目しています。今、非常に確保が難しくなっていると思うんですけれども、児童生徒、保護者からすると、久しぶりに教職に就く方、初めて教職に就く方には、これを機に研修を充実させてほしいという思いがあるかと思います。まとめでもしっかり書いていただいているんですけれども、その中でオンラインで受講できることが重要だというふうにあります。確かに利便性からはもちろんそのとおりなんですけれども、久しぶりあるいは初めて教職に就く方も多いということを踏まえますと、やはり協働的な学びに対応できるように実践的な研修も必要ではないかと思いますので、オンライン「でも」受けられることが大切だというような感じで、その辺りに配慮していただければいいなというふうに思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。これは議事2の方でまた御議論いただく視点でもあろうかと思います。採用時の初任者研修的なもののレベルを、臨時の先生方の採用の場などにおいてもどう充実させていくのかという点は議論の中にもありましたので、今後の検討とさせていただければと思います。
それでは、安家委員、お願いいたします。
【安家委員】 全国私立幼稚園幼児教育研究機構の理事長の安家と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今回のまとめにつきましては、非常に御苦労いただいて、私どもも何度か会に参加させていただいて、皆様方の御意見も非常に参考になり、今回のまとめについても今後生かしていけるなというふうに思っておりますが、皆様方の大方の御意見は、教育公務員に対する教育、教員の免許証更新であったり、様々な、兼業の話もそうですが、どちらかというとそれが非常に色が濃いということです。
私立幼稚園の場合は、名前のとおり私立ですので、各学校法人が経営主体を持っていて、そして運営されているという、教育公務員とは全く違った形態の勤務であったり職責であったりというふうなことがございます。例えば小学校に入ります前の施設については、幼稚園と保育所というのが一般的な認識でしたが、現在では認定こども園という、幼稚園と保育園の機能を足し合わせたような、開設している時間が12時間で、その12時間をシフト制で勤務をしていたり、朝だけの教員だったり、夕方だけの教員であったりという非常に複雑な勤務の体系でしている者もたくさんおります。今回の教員免許の更新につきましても、「私、3時間しか働かないんですけど、やっぱり更新要るんですか」と、こういうふうな疑問が湧いてきたりするようなことも実際にありまして、私どもは非常に管理をしていくのに気を遣ったというのが現実の姿であります。
それともう1点、8割5分から9割は女性の仕事になっています。女性の場合は結婚を機に都道府県をまたぐことというのはそんなに珍しい話ではありませんので、従前の研修の履歴等も、私どもの財団できちんとナビゲーションで管理をするようなシステムを従来からつくってきたことは先日お話をいたしました。しかし、現実には、先ほど申し上げたようなこともあって非常に難しい状況がありますし、今後、新しい更新制の発展的解消のシステムが出来たときに、それをどのような形で私どもが管理をしていくのかという大きな問題がございます。
従前は、私立幼稚園の教員がほぼそのナビシステムで管理しておりましたが、今後、保育所であったり、認定こども園であったりするような、小学校就学前の方々が全部で乗り合わせるシステムが必要になる、それも全国的な規模で必要になると、こういうふうなこともございまして、我々にすると非常に大きな宿題をいただいたなというふうなことを思って聞いておりました。
それと兼業の件、先ほど発言がございましたが、私どもの中にも兼業している者がもう既におります。そのような関係で教育公務員とは少し肌色が違うというか、そういうふうなことも現実として起こっておりますし、例えばネットで様々な株や投資をしているような方々もたくさん今般おられるわけで、そういうものを兼業と考えないのかどうかというふうな、そんなふうな問題も今後、免許や資格の問題の中で議論しなければいけないなというふうなことも感じておりました。
私立幼稚園の立場、それから、小学校就学前の組織の複雑な、特に文部科学省だけではない、保育所等の免許であったり資格であったりするものも含めて、我々の複雑さも少し今後御理解いただきながら議論が必要だなというふうなことを思って感想を申し上げました。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。今回は免許更新制に関する射程範囲で検討しておりますので、今の御指摘の点については、おっしゃっていただいたように今後の特別部会としての検討の中で考えていくべき話だと思います。
特に最初の方の幼稚園や認定こども園の制度の横断性をどう持たせていくのかということについては、『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申でも非常に大きな論点として整理してまいりましたので、関連する課題意識として受け止めさせていただきたいと思います。
また、都道府県をまたがるポータビリティーについても今回のまとめの中で若干触れておりますが、これも今後の研修受講履歴管理システムの成熟度合いを見ながら検討していく事項だと受け止めております。
事務局から何か全体についてございますか。
【平野教員免許企画室長】 ありがとうございました。本日いただいた御意見について、必要な部分については修正をさせていただきたいと思います。また、幾つか御指摘いただいた中で、本文の方を見ると既に書いてある部分があるというものについては、私ども今御説明していく中でしっかりとそういう点についても伝わるように御説明を申し上げていきたいと思っております。本日は本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、荒瀬初等中等教育分科会長、それから、加治佐部会長、本日の議論のまとめに入りたいと思いますけれども、何か補足すべき点はございますでしょうか。荒瀬分科会長、いかがでしょうか。
【荒瀬委員】 ありがとうございました。いろいろと御意見をいただきまして、今後具体化していく中で大変重要な視点を頂戴したと思っております。
さっき高橋先生がおっしゃっていたこととも関わるんですけれども、研修というものをどう捉えていくのかということがこれから非常に重要になってくると思います。きょうも「研修」という言葉をたくさんの方がお使いになっていらっしゃるんですけれども、これが何か教職員を縛るようなものであるというイメージが巷間流布していたりとか、あるいは新たな手かせ足かせ首かせみたいな義務みたいな感じになっている面もあるかと思うんです。
そうではなくて、研修が、教職員自身が学んでいくことによって、それこそ仕事を楽しく、誇りを持ってやっていけるようにしていくための大事な学びであるというふうなそういったものになっていく必要があります。何か嫌なものというそこのイメージを除くためには研修という言葉を使わない方がいいのかもしれないんですけれども、研修のコンテンツ自体を先生方が作っていく、まさに現場の中で必要になったコンテンツを先生方が考えて、研修の材料にしていって、そこから学びを得ていくといったようなものもあっていいと思うんです。
ですから、研修とは何なのかという、研修の定義というものを大事にしていって、そうすると、校内研修の在り方が変わっていく可能性もありますし、あるいは教育委員会等がやる研修、また、我々の教職員支援機構がやる研修の中身ももっとよりよいものになっていくんじゃないかなと思います。ともかくいろいろな視点を頂戴しました。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、加治佐部会長、何かございますでしょうか。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。たくさんの意見をいただきまして、本当に参考になりました。
私としましては、教員養成大学の学長であるということもあって、やっぱり教師になりたがらない人が増えているということが一番本当に困っています。教師が魅力的な仕事でなければならない。そのためにいろいろな条件があると思いますが、私は教師というのは創造的な仕事なんだと、クリエーティブな仕事でなければいけないと思います。それが能力の高い人を引きつけることになるんだと思うんです。
きょうはたくさん御意見出ましたけれども、何か免許更新制に代わってまたやらされるような感じとか、義務付けられるような感じで受け止められる可能性もあるということを聞きまして、これはいかんなということです。この審議のまとめには、教師の自主的な学びとか主体的な学びとか、あるいはほかの先生との、同僚との協働的な学びというのが強調はされているわけですけれども、そういうふうに受け止められるというのは非常によろしくないので、本当にそこのところをうまく伝わるように我々も考えていかなければならないと思います。
その際、研修というのが、何となくやらされるというか、つくられたものを受けるというイメージが強いみたいですので、どなたかの御意見にありましたように、教師の成長のための学びの中で研修がどう位置付くのかというようなこともやっぱり大きな視点から書いていくべきだと思います。とはいっても、会長おっしゃったように、今後の特別部会の議論の中でそういう視点も盛り込んでいただけたらいいのかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。本日は特別部会としての審議まとめ案を取りまとめることと位置付けております。教員免許更新制を発展的に解消することを文科省において検討することが適当であるという結論となりますけれども、本日に至るまでこの免許更新制の在り方についての検討経緯を振り返ってみると、『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申に向けた教員養成部会の審議において、教員免許更新制あるいは研修を巡る包括的な検証がございました。かつ、関係者に対する検証ヒアリングも実施していただきました。そういった経緯を踏まえて今般の小委員会での集中的な審議がなされた上での今回の審議まとめに至っております。これは非常に中教審らしい、現場の実態を踏まえた、ボトムアップ型の取りまとめがなされたものと私は受け止めております。
同時に今いろいろと御意見のある、「発展的に」というものをどう受け止めるかでございますけれども、これは御指摘のように単なる廃止という考え方ではなくて、資料1-5にまとめていただいている「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿というものを体系的に整備していくこと、これが発展的な解消になり得るのだと考えます。
「教師は学び続ける存在であるのだ」という認識を共通認識として持つ必要が改めてあるわけですが、これは「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申において示した、実現すべき教師の姿を目指すイメージとも重なるのだろうと思います。すなわち、変化を前向きに受け止めて、探究心を持ちつつ、しかも自律的な学びを自らが果たしていって、子供たちの伴走者としての能力も備えるのだと、それが教師像として求められているのだと思います。また、資料1-5で示した姿については、教育委員会や学校、大学、そして教職員支援機構等、免許更新制の中では多様な主体が教師の資質向上に向けて参画してきた歴史があるわけですが、この関係性自体を新しい姿の高度化にあわせ、支える仕組みとしてどのように発展させていくのか、それこそがまさしく「発展的」という意味につながるのだと考えます。
このような受け止め方を前提として、特別部会としての審議のまとめとさせていただきたいと考えます。本日いただいた御意見を踏まえて必要な修正を施した上で、意見公募、パブリックコメントの手続きを進めたいと考えます。事務局におかれては、本日の御意見を整理して、審議まとめ案の修正等を御検討いただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、このような方針と、本日の御意見を反映した審議まとめ案に関して、その対応については私に御一任いただきたいと思います。御了承いただけますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御異議ないと認めますので、そのような扱いにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、本日各委員から表明された御意見については、新たな教師の学びの姿を具体的に創り上げていく上でどれも重要なものだと認識し、こちらについても次回以降の特別部会での議論に活かしてまいりたいと思います。
なお次回については、意見公募、パブリックコメントの結果について皆様に御報告したいと思いますので、事務局におかれては、この準備もよろしくお願いいたします。
それでは、議事2に入らせていただきます。まず、内容について事務局から説明をお願いしたいと思います。
【中村教育人材政策課長補佐】 事務局の教育人材政策課の中村です。資料2に基づいて御説明いたします。
まず、表紙の次の2ページですけれども、教師の人材確保を巡る状況を3点ほど整理させていただいています。まず、公立学校の教員採用選考試験における採用倍率については、小学校で2.7倍ということで過去最低となるなど、人材確保を巡る状況は依然厳しいという状況です。それから、近年、民間等で採用状況が好転している状況であり、国立教員養成大学・学部卒業者の教員就職状況を見ましても、平均で6割台といったような低減傾向にあるほか、一般大学・学部においても、教職課程の履修を断念する傾向が顕著に見られるという例もございます。
他方で、公立学校の新規採用教師に占める民間企業等勤務経験者の割合につきましては4%程度で、特別免許状の授与件数も全国で年間200件程度にとどまっているなど、社会人などの多様な人材が学校現場に積極的に参画しているとは言い難い状況です。
資料の3ページ、4ページにつきましては、参考資料として、小学校、中学校、高校の教員採用選考試験の実施状況を示しております。
5ページ、6ページも、こちらも参考で、小学校、中学校ですけれども、それぞれ退職者数、そして、採用者数の推移と見通しということをグラフで示させていただいております。
それから、7ページ、こちらも参考ですけれども、国立教員養成大学・学部卒業者の教員就職状況の推移といったものを示しております。
それから、8ページは、こちらは開放制の大学の一例ということで、ある私立大学における教員免許状の取得状況で、免許状の取得を断念するような状況が見られるということが分かります。
それから、9ページにつきましては、公立の教員採用選考試験における採用者の属性の内訳ということで、民間企業等勤務経験者が4%程度というふうになっております。
次に、10ページを御覧ください。ここからは主な論点提起ということで、論点を主に掲げさせていただいておりますけれども、まず、入職ルートの多様化ということで、近年、教員採用選考試験では、受験年齢制限の緩和ですとか、特色ある特別選考の実施などによって、多様な背景や経験を有する人材を教職へ迎え入れる様々な工夫がなされてきております。
「令和の日本型学校教育」を実現する上で求められる多様な専門性を有する質の高い教職員集団を構築するためには、これまで以上に、基本的なところに遡って、人材確保の在り方を検討していく必要があると考えております。
そのために、教員免許と採用の基本的な考え方を踏まえた上で、教員免許で担保すべき基盤的な資質能力を前提として、教員採用選考試験の受験時期の柔軟化、それから、多様性を持った人材確保の在り方を検討していくべきではないかというふうに書かせていただいております。
そして、社会人等に対する教員免許の在り方の検討とともに、社会人の有する経験等を適切に評価する特別選考の在り方についても検討すべきではないかという論点を提起させていただいております。
11ページは、免許と採用の基本的な考え方として、過去の審議会等で示されてきた考え方をおさらいとして掲載しているものです。
12ページは、次の論点例として、教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方ということで、教員養成大学・学部以外の一般大学・学部の学生について、大学4年の前期に教育実習を行うことが一般的ということで、一定程度の学生がその同じ時期に行われる企業等の就職活動と競合する結果、教職課程の履修継続を断念しているという指摘がございます。
現在行っています「教職課程を置く大学等に所属する学生の教職への志望動向に関する調査」の結果を踏まえまして、受験時期の早期化や受験ルートの複線化、例えばということで、一定の者に大学3年時に一次試験を受験可能にするですとか、特定の専門性を重視した特別選考を促進するといったことなども含めて、教育・教職に対する熱意を有する優れた人材の確保に資する教員採用選考の在り方について、今後、検討をさらに深めてはいかがかということを示しております。
13ページは、その参考としまして、現在の就職活動の時期と教育実習・教員採用選考試験の実施の時期の関係性をイメージとして示したものです。
14ページですけれども、こちらは効果的・効率的な教員採用選考試験の実施ということの論点で、教師に求められる資質能力の再定義を踏まえて、教員採用選考試験についても、新たな時代に対応した資質能力を備えているかを能力実証できるような効果的な試験問題に見直す必要があるのではないか。また、問題内容についても、単なる知識・技能を問うものにとどまらず、思考力・判断力・表現力等を働かせて回答するような作問の工夫が重要ではないかというふうなことを1点目。
それから、2点目として、その際、過去の中教審答申ですとか、教職員支援機構が行ってきた調査研究により明らかにされた教育委員会のニーズ等も踏まえつつ、教員採用選考試験の共通問題の在り方について、教職員支援機構を中心に、都道府県・政令市教育委員会等の任命権者との協議の場を設けるなど、その具体化に向けた検討を進めてはどうかとさせていただいております。
なお、その協議に当たっては、今後検討することとなる教員免許の在り方の見直しの状況を踏まえつつ、効果的・効率的な実施内容・方法となるよう留意する必要があると考えております。
15ページは、その参考として、過去の6年前の中教審答申の関連部分を抜粋しております。
16ページは、同じく参考として、教職員支援機構のほうで行ってきました、教員採用選考試験の共通問題等に関するアンケートの調査結果概要を示しております。
次に、17ページを御覧ください。「養成・採用の一貫性を重視した質の高い人材確保」という論点として、現在、大学等における教員養成と教育委員会等における教員採用の円滑な接続を意識した取組として、平成28年の教育公務員特例法改正により、両者で組織する協議会の仕組みですとか、そこで協議することとされています教員育成指標の策定など、そういった制度的な措置が充実してきているほかに、各地域独自の取組として、いわゆる教師養成塾の取組ですとか、学校インターン・ボランティアといった両者が協働して行われるような取組が進められております。
教育委員会と大学等のさらなる連携協働を進めるに当たりましては、教職大学院も含め、大学等における学修成果について、教育委員会における採用選考において適切に評価されることが重要と考えております。
そのために、大学等における学生の成績評価に関する理解を深める場として、教育公務員特例法第22条の5に規定する協議会の活用といったことも有効と考えられるのではないかということ。それから、大学等における成績評価に関する教育委員会・大学等双方の相互理解や信頼関係を築くことによって、大学等における学修成果を、採用選考の場面のみならず、入職後の研修内容ですとか、それから、現職教師が教職大学院で学んで修了した後の処遇、キャリアパスといったことに反映するといったことも期待されるのではないかとさせていただいております。
次に、18ページを御覧ください。「養成・採用の一貫性を重視した質の高い人材確保」の中のサブタイトルとして「人物重視の多面的な採用選考」というふうにさせていただいていますけれども、筆記試験、実技試験、面接試験などによる受験者評価の方式に限らずに、過去の一定期間を通じた実績に基づく丁寧な受験者評価を行うことは、人物重視の多面的な採用選考の観点から有効と考えられます。
そのために、養成段階における学びと採用段階で求める資質能力とを有機的に結びつけることが重要と考えておりまして、教育公務員特例法第22条の5に規定する協議会や教員育成指標の仕組みを実質化する取組の1つとして検討することも考えられるのではないかということ。
それから、一部の教育委員会では、教育実習をはじめとした大学等における学修成果を活用した教員採用選考に取り組むというところも見られておりまして、今後、小委員会などで関係者のヒアリングなどを通じて、その実効性や留意点、今後のさらなる展開などについて議論を深めることも考えられるのではないかというふうにしております。
次に、19ページですけれども、サブタイトル「教職大学院と入職との円滑な接続」というふうにしておりますけれども、教職大学院における学部新卒学生、いわゆるストレートマスターについては、教育委員会が行う教員採用選考試験を経て入職する際に、従来、学部4年で受験・合格した上で、採用候補者名簿の登載期間の延長などや、次年度以降の採用選考試験における特別選考(一部免除など)などの大学院進学者に対する特例が多くの地域で行われております。
こういった取組は、教職人材の高度化と計画的な教員採用の観点から有効と考えられますけれども、教育委員会と大学(教職大学院)との一層の連携促進によって、教職大学院における理論と実践の往還を重視した学びと、入職初年度におけるOJTや研修、この2つのさらなる円滑な接続に向けた取組も併せて進めていくべきではないかというふうに考えられます。
次に、20ページを御覧ください。こちらもサブタイトルに「特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用」とさせていただいていますけれども、「令和の日本型学校教育」を担う、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を実現していく上で、免許制度の在り方も含めて、養成・採用を一体的に議論していくことが重要と考えられます。
その中で、教壇に立つ上で最低限の能力を公証するという教員免許の性格も踏まえつつ、教師に求められる資質能力の再定義を踏まえて検討することとなる教職課程のカリキュラムと、大学等で展開される多様な授業科目、この2つを組み合わせた特定分野に強みや専門性を持った人材養成の在り方について、検討していく必要があるのではないかとしております。
それから、専門性を身につける上では、大学等における授業だけでなく、関係団体が実施する講習や大学等での学修成果も活用した各種資格取得、履修証明プログラムなどの活用も考えられるところでして、教員採用選考において、これらの専門性を重視した特別選考も促進していくべきではないかとしております。
それから、高度専門職業人としての教員養成の中核的な役割を担う教職大学院について、教職の高度化に向けた教育委員会や学校現場のニーズを適切に反映するとともに、各大学の強みや特色を生かした、学部と教職大学院との一貫性を重視した教育課程の編成や、その修業年限の在り方についても、検討していく必要があるのではないかとしております。
次に、21ページを御覧ください。「学校現場における経験を重視した養成・入職モデル」というタイトルにしておりますけれども、「経験を振り返ることを基礎とした学び」と「他者との対話から得られる学び」の観点から、教師の養成段階からの学びの在り方も検討していくべきではないかということで、これまでも、教職課程おいては、教育実習をはじめとして、学校現場における実践的な学びの機会が提供されており、近年、学校インターンや学校ボランティアなど、学校現場における体験を重視した活動が展開されております。
自ら仮説や見通しをもって学校現場での実践に臨み、その結果を振り返るといったプロセスが学びの深まりにつながるとも考えられます。こういった観点から、近年、学習指導員等の支援スタッフが「チーム学校」を実現する重要な役割を果たしていることに鑑みまして、教職課程で学ぶ学生が、学習指導員等として学校現場を経験しながら、従事先の学校教職員や所属する大学の教職課程の担当教職員、それから、同じ活動に参加する他の学生などからのフィードバックを受けつつ、理論と実践を往還した学びを深めることが有効と言えるのではないかとしております。
続きまして、22ページですけれども、その話の流れで、その際、大学等と教育委員会との連携により、教育公務員特例法第22条の5に規定する協議会の仕組みや、教育委員会が実施する学習指導員等を配置する取組を活用しながら、学生の教職に対する意欲の保持向上・入職ギャップの軽減に資する養成から入職に至るモデルを促進してはどうかとしております。
このモデルの実効性を高めるために、新型コロナウイルス感染症対応のための教育実習の特例、こちらは令和2年5月1日に通知しております内容では、当時は、令和2年度に限り、教育実習の科目の総授業時間数の3分の1までを学習指導員の活動で代替可能とする内容でございました。現在は特例の内容が異なっておりますけれども、そういった内容も参考にして、学習指導員等の活動の位置づけを、今後検討する教職課程の見直しの中で、どのように考えるかといったことを論点提起とさせていただいています。
23ページと24ページは、その参考として、学習指導員の活用事例として学習指導員を経験した学生の声ということと、あとは、教育実習の実施状況で、いわゆるコロナの特例を使って教育実習を行ったときの実施状況について、掲載しているものでございます。
次に、25ページを御覧ください。25ページは「社会人等の登用を促進するための免許・採用の在り方」ということで、サブタイトルとして「教師以外の学校関係職からの教職への転換」というふうにしていますけれども、社会人等の多様な人材の教職への登用を考えるに当たりまして、教員免許を取得しながら何らかの理由で教職には就かなかった者のほか、教職課程を全く履修せずに社会人になった者ですとか、教職課程を履修したものの何らかの理由で免許状取得を断念した者、大学在学途中から教職への志を持つようになった者など、様々な背景を持った人材が考えられます。
多様な人材を教職へ呼び込む観点から、教職課程を履修していない、在学途中に教職への志を持つようになった、そういった現役学生も含めまして、まず、学習指導員等として学校現場に関わりを持つ職に採用された後に、特別非常勤講師などで必要な知識経験を積み、それらの経験を加味して、免許状を取得し、教職に転換するといったことも考えられるのではないかということ。
それから、他方、教職課程を履修したものの何らかの理由で免許状取得を断念した者などについては、現在行っております、いわゆる「志望動向調査」の結果なども踏まえまして、その阻害要因などを分析し、対応を検討する必要があるのではないかとしております。
26ページのスライドは、今申し上げた内容を模式図的に示したものでございます。
27ページにつきましては、こちらは先般改定いたしました、特別免許状に関する指針の改訂の概要を示したものでございます。
次に、28ページを御覧ください。「社会人等の登用を促進するための免許・採用の在り方」ということで、サブタイトルとして「特別免許状制度、教員資格認定試験等の見直し」ということにしていますけれども、多様な経験や専門性を有する人材を教職へ迎え入れる教育職員免許法上の制度として、特別免許状制度、特別非常勤講師制度、教員資格認定試験、この3つが設けられております。これらの制度につきましては、随時改善が図られてきたところですけれども、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を構築するためには、これらの制度についても、複線化された入職ルートとして、より一層機能させていく必要があるのではないか。
その際、教師個人の強みや専門性を生かした学校組織の機能を最大化していくために、これらの制度がこれから学校現場に参画しようとする社会人等の多様化するライフスタイルや多岐にわたる専門性に合ったものになっているか、社会人等のこれまでの実務経験を適切に評価するものとなっているかなどの観点から、制度の在り方について検討してはどうか。
あわせて、教師を採用する任命権者等が多様な専門性を持つ社会人をより積極的に採用しやすくなるような環境整備を検討してはどうか。例えば、教職の基礎的な知識・技能を習得するための免許状未取得者向けのプログラム開発などといったことを論点提起としております。
それから、29ページを御覧ください。その続きとしまして、具体的な各論の見直しの方向性として、特別免許状制度については、例えば、学校現場に参画しようとする者の専門性に対応できるよう授与教科区分を見直すことや、そのような者について免許状授与の予見可能性を高める観点から、授与手続や授与基準を透明化することが考えられるのではないか。
また、教育現場の実情を踏まえて、都道府県教育委員会自らがイニシアチブを取って授与が行えるようにすることが考えられるのではないかというふうにしております。
それから、特別非常勤講師制度については、教科の領域の一部を担当する非常勤の講師については免許状を要しないこととする制度でありますけれども、教科横断的なプログラミング教育やグローバルな人材育成を目指した教育課程が編成・実施されている中で、特定分野の専門性を有する人材を幅広く迎え入れていく観点から、例えば、非常勤という勤務形態の在り方を検討するなど、このような人材が学校現場さらに活躍しやすく、働きやすい制度にしていくことが考えられるのではないか。
それから、教員資格認定試験については、社会人等に試験の合格により免許状取得の道を開く仕組みとして機能しておりますけれども、現在、一部の学校種に実施が限定されているところです。今後、教師に求められる資質能力の再定義を踏まえて検討することになる教職課程のカリキュラム等の在り方の検討を踏まえつつ、例えば、試験区分を他の学校種・教科にも拡大するとともに、実務経験を加味して一部試験免除を行うなど、社会人などが学校現場に参画しやすくなるような試験制度に見直していくことが考えられるのではないかとしております。
30ページは、特別免許状の授与件数と活用事例についてまとめたものです。
31ページは、特別非常勤講師について制度の概要を示したものです。
32ページは、教員資格認定試験の概要をまとめたものです。
それから、最後ですけれども、33ページにつきましては、今申し上げてきた論点例について1つの図としてまとめたものです。
34ページ以降は、過去の中教審答申の関連部分の抜粋を掲載しているところです。
私からは以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
時間が少し押していまして、残り時間が少なくなっておりますが、できる限り皆様の御意見を伺いたいと思います。ウェブ会議システムの挙手機能でお願いいたします。それでは、安家委員、岩本委員、松田委員、続けて3名より御意見を伺いたいと思います。安家委員からお願いいたします。
【安家委員】 失礼いたしました。私、間違えて挙げたままになっていました。まだございません。
【渡邉部会長】 失礼いたしました。では岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 よろしくお願いします。岩本です。
3点ありますが、1点目が、先ほど時間がなくてコメントできなかった審議まとめ案についてのほうになります。今説明していただいた養成・採用のほうの話とつながるんですけれども、養成・採用も知識技能にとどまらない資質能力を育成・評価していこうといった流れだと思いますが、審議まとめ案のところが、今のままだけだと、何の研修を受けたのかという研修の履修、履歴が分かっても、資質能力が身についているのかだとか、もっと言うと、何ができるようになっているのか、この評価や把握というところについてあまり言及がされていないというふうに見えます。研修を受けるということと資質能力が身につく、できるようになるということは、必ずしもイコールではないというところだと思います。
このままだと研修を受けること、受けさせることが目的化していってしまう可能性、リスクがあるという話だったかと思いますし、上位目的は、資質能力が身について、それをちゃんと生かしていけるというようなところが目的になっていくかと思いますので、知識を研修で覚えたのかどうかみたいなことは多少評価できるのかもしれないですけれども、それをできるようになる、使える、生かしていけるというふうにしていくというようなことも考えると、今後もさらに検討を深めるべき事項というようなところで、研修の履修の管理だけにとどまらない資質能力の評価や把握というのを今後どのようにしていくのかということを調査研究していくとか、今後の部会で検討するというようなことを加えていく必要があるのではないかというふうに思いますというのが1点目です。
2点目が、今日の議題の2つ目になりますが、社会人等の多様な経験や専門性を有する人材を教職員として活用するということに当たっては、先ほど今村委員等からも出ていましたけれども、こういう多様な専門性を有する社会人等が兼業、副業、クロスアポイントメントなどで教職員としても教育に携われるようなことを、私立や海外の事例なんかも参考にしながら、地方公務員制度や、場合によっては教育公務員特例法を含めて、こういったところの見直しや改善というようなところも見据えて、今後検討していく必要があるのではないか。
少なくとも、論点に兼業、副業、クロスアポイントメントみたいな多様な働き方をどのように受容していくのか――公立学校においてもですね。というところは論点に入れるべきではないかというのが2点目です。
3点目は、スライドの29ページ目の論点のところですが、免許状を要しない特別非常勤講師制度、これを非常勤に限らず、例えば常勤も可能にするという、例えば、特別常勤講師制度、もしくは、常勤も非常勤も含めた特別講師制度なりに改善をしていくというところにおいては、非常に私自身も賛成ですし、検討していくべきだというふうに思います。
また、その際には、この特別非常勤をやって、もしくは、特別常勤講師をやって、その勤務経験なりを踏まえて、そういった方に、例えば、特別免許状を授与していくとか、教員の資格認定試験も受けやすくして、そして教員になっていくという、シームレスにこうやって外部の社会人がどんどん教員になっていけるような一体的な制度設計をここでは議論して、検討していく必要があるのではないかというふうに思います。
以上3点です。長くなりました。失礼します。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。最初の点は質保証に関わる今後の全体の議論の中の課題として受け止めさせていただきます。
できるだけ皆様に意見をお聞きしたいと思いますので、続けさせていただきます。松田委員、それから、清水委員も手を挙げていらっしゃいます。その後、松木委員に続けてお願いしたいと思います。松田委員、お願いします。
【松田委員】 ありがとうございます。
本議題については、教員の養成・採用、人材育成、そして、離職防止戦略の一貫性が大切になってくると思います。人材育成や養成については、ほかの部会で集中的に議論が進んでいますし、育成研修については、本日の前半部分についても議論がありました。そして、採用手法の多角化であったり、入職ルートの多様化は、本日の資料2でもしっかりと論点が出されている印象があります。しかし、冒頭に申し上げた養成・採用、人材育成、離職防止戦略の中で、離職防止戦略についての議論だけ手薄な印象があります。
企業経営においては、人材の採用と離職防止は関連が深いことと認識されていて、様々な施策が講じられています。しかし、本日の論点においてもそうですが、離職防止策に関しての具体的な議論があまり見られません。もちろん、ほかの部会で、出産・育児で離職した方々に対する復職支援であったり、免許更新制度の採用に対する悪影響を鑑みた上での制度の見直しが検討されていますが、これでは不十分な気もします。労働時間や労働環境問題の解消、多様な働き方の実現、働きがいや意欲を高める施策の具体的な検討が必要だと思います。現職の先生方の現場を徹底的に調査して、課題をしっかりと整理した上で、1つ1つの課題に対する具体的な施策を検討する必要があろうと思います。
本日、これらの論点の中で、ほかで検討されているのであれば、本日の議論にも論点として含まれる必要があろうかと思いますし、先ほどの資料1-5で示された全体像のように、優れた人材確保のための教師の採用等の基本的な考え方についても、離職、採用、人材育成、離職防止戦略がどう関連し合って、これらの一貫性についてしっかりと示していくべきだと思います。
昨今、世間の教職に対するネガティブな印象が広まっているかと思います。メディアでもネガティブな情報が先行してしまっていることも非常に残念です。教育に対するネガティブな印象を払拭するために、ポジティブなブランディング戦略が必要なわけですけれども、ブランディングだけ先行しても状況が悪化するだけです。働きがいのある職場をきちんと設計することで、これを優先順位を高く検討し、現職の実態を基軸にこのリブランディングを実現するべきだと思っています。
以上です。
【渡邉部会長】 離職防止の観点から見た大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
それでは、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 公益社団法人日本PTA会長をしております、清水と申します。
私のほうは、この教師の採用というところに関しまして、様々な迎え入れるための工夫をされるというところの中で、特にこの資料の中の12ページ、13ページのところになります。教員採用選考試験の実施スケジュールというところが一番気にはなりました。私も企業経営者というところで、いろいろと大学生であったり人材のいわゆる採用試験とか、こういう時期のところに、ここにも上がっていますように、まさに各学生の方々が、就職活動と同じ時期に競合する結果、残念ながら断念しているというところがこういう形で出ているといった中で行きますと、非常にこういったところはしっかりと対応すべきであるというふうに思います。
我々企業も人を採用する際に、非常に毎年苦労しています。当然、これは教職員だけの問題ではなくて、一般企業においても人の採用という部分においては大変苦慮している状況でありますし、ぜひ、少しでもそういった教員になりたい、教師になってみたいという興味のある方々が広く、早くそういった形で迎え入れるような形が取れるというのが理想ではないかなというふうに強く思いましたので、私の意見とさせていただきます。
以上です。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 企業採用との関係性の観点で御意見をいただきました。ありがとうございました。
それでは、次に、松木委員、お願いいたします。
【松木委員】 総合大学の中で開放性を生かすための工夫ということについてお話をさせていただきたいと思います。
様々な学部の専門を持った学生が教員免許を取得していっていただけるようにしたいなというふうに強く思っているところです。その際に、現在、教免法の改正があって、総合大学の中の教育学部の、例えば教職の科目等の利用がしやすくなったのはよかったなというふうに思っています。ただ、これだけでは限界があるように思っています。
では、どんなふうにしたらいいのかというと、例えば、共同実施制度等を活用する。どの学部に所属していても教員免許取得を希望する学生は、それを副専攻として位置付けして、所属学部の学位の他に教育学士も取れるようなダブルディグリーにしていただけると、教員免許を取りたい学生が増えるのではないかと思います。増えるばかりでなく、各専門の強化や、教員の多様性にも貢献できる。地方の国立大学の教育学部はどんどん小さくなってきていますが、その教育学部の新たな可能性を開くことができるとも思います。開放制の原則の中での教育学部の役割を再検討していただきたいと思います。
すいません。時間のないところで、もう一つだけ。先ほどの前半の論議の中で、審議のまとめの中で落ちていたのは財政問題だというふうに思うんです。全くそこの部分が欠けていた。これは裏を返すと、教員更新講習のときには受講者がお金を払うわけですよね。それは自分の免許の更新だからそういうことになるかなと思いますが、今回の場合、誰が主体の研修なのか。任命権者の研修管理システムづくりということであるなら、任命権者がその負担を負っていくことになるかなと思いますが、研修の主体が誰なのかということもきちんと位置づけながら整理をしないと、今後の発展がないようにも思います。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。財政についてはいろいろな面に関わりますので、これも特別部会として全体論の中でまた議論させていただきたいと思います。

それでは、根津委員、お願いいたします。
【根津委員】 ほそぼそと教員養成に携わってきた一大学教員としての感想レベルの話になりますけれども、幾つか申し上げます。
まず、1つは開放性ですので、教育学部でも教員を第一志望と考えていない学生は珍しくないということ。免許の取得を条件に家族に大学進学を認めてもらう学生も珍しくありません。教職課程で学ぶ中で、向いていないと気づく学生もいます。逆に、教育実習で突如覚醒するケースもやはりあります。この種の揺れですとか、幅ですとか、揺らぎというものは頭に入れておく必要があります。
今回の議題としては若干的外れかもしれないんですけれども、学部段階で導入されて久しい介護等体験実習、あるいは、教育実習の在り方をどう考えるかというところも必要かなと思います。教員になるつもりのない学生を教育実習などに参加させないでほしい。こういう関係者の意見は非常に根強い、というのが実感です。
資料2のほうに参ります、2ページのところです。教員免許の取得を義務づけない学部などで、大学生が就活と教職とで両てんびんをかけるという状況があるわけですけれども、やはり将来の進路や就職の不安というのが大きいだろうと見ています。「教員は社会経験がない」という、先ほどネガティブなというようなお話もありましたけれども、こういう見方を気にして、一旦企業などに就職してから教員というふうに考える大学生も一定数存在します。
ここでやはり考えるのは経済的な側面で、かつての奨学金制度で教員は免除職とされていましたし、一定期間の勤務で返済が免除されていたはずです。国レベルで、こういう教職に特化した奨学金の導入というのは難しいでしょうか。先ほど財政の話もありました。各大学の授業料免除や教育委員会レベルの教職志望者への奨学金で対応できるところはあるかもしれないなというふうに思います、あとは、医師のような地域枠ですね。ある程度そこの地方自治体、地方公共団体の教員になるというところが、先ほど公務員というお話もありましたけれども、一定の割合で教員養成学部にもあると、家庭や受験生の意識も変わるのではないかと思います。
あと、2つです。1つは、19ページのところで教職大学院の接続のお話がありましたが、多様な専門性という観点からしますと、教職大学院以外の大学院で専修免許状を出すところも特例に含められないのかというのが感想です。
最後です。29ページのところなんですけれども、教員資格認定試験の拡大や復活というのは選択肢としてあり得るわけですが、大原則はやはり大学での教員養成だろうというふうに考えますし、そうなりますと、大学の教職課程の増強といいますか、専任数の純増が必須だろうなと感じた次第です。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
残り時間が少なくなってまいりましたが、今日まだ御発言をいただいていない方は、杉本委員、吉田信解委員、それから、坂越委員、貞廣委員、秋田委員といらっしゃいますので、この5名の方には優先的に御発言をいただきたいと思います。
それでは、杉本委員、お願いいたします。
【杉本委員】 ありがとうございます。全国高等学校長協会の会長、杉本と申します。よろしくお願いします。
主な論点の12ページにあります、教員採用試験のスケジュールの在り方について、教員の養成・採用について、特に受験者を増加させるということは喫緊の課題だと私も考えます。具体的なエビデンスは持っておりませんが、本校に受入れをしました教育実習生などの話を聞きますと、希望者が増えない要因の1つとしては、やはり民間の採用時期の早期化があると思います。
多くの企業は解禁前の冬から春にかけて面接などの選考が進められている実態があります。来春の入社の就職採用活動の日程は、資料にもありましたけれども、解禁時期が3月1日会社説明会、6月1日面接などの選考、10月1日内定となっておりますが、実際には、大学生の内定率は5月1日で51.3%、5月15日で59.2%であるということが新聞のほうでも報道されておりました。
本会議が文科省、教員養成大学、任命権者である設置者、それから、各学校の校長の代表などが集まっている会議でありますから、採用に関しては、採用試験の時期を早める、あるいは、複線化するなどの根本的な制度改革を含めた検討となることを大いに期待しております。
もう一点。19ページにあります主な論点のところで、教職大学院における議論と実践の往還を重視した学びというのが取り上げられております。また、21ページのところでは、教育実習をはじめ、大学インターンや学校ボランティア、学習指導員、教員業務支援員など、このようなものが例示されております。先ほど離職者のことが問題になっておりますが、離職する理由の1つとしては、学校に勤めてみて、こんなはずではなかったということがあるかと思います。学校における経験を重視した、それこそ往還的な学びということが実施できると、そういった問題も少しは軽減されるかと思います。
私からは以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、次に吉田信解委員よりお願いいたします。
【吉田(信)委員】 全国市長会の社会文教委員長を務めております、埼玉県本庄市の市長の吉田でございます。今日は大変ありがとうございます。
教員の成り手が少なくなっているというのは非常に大きな問題であるというふうに考えております。そして、また、今日の御説明の中で、様々な手法で教員の成り手を育成していこうという、手法自体、私は本当に様々な手法があっていいと思いますし、そういったことも皆さん方で知恵を出し合いながら考えるすばらしいことだというふうに思っております。
私からは1点だけです。地域間格差が生まれないようにしていくことが必要ではないかということでございます。若い方を早くから教員という世界にお誘いしていろいろなことをやっていただく学習指導員等の話もございましたけれども、どうしても県庁所在地であるとか、そういったところに人材が偏ってしまうようなことにならないように、様々な形で人材を登用していこうということ自体は大歓迎でございますけれども、地域間格差ということが起きないようにしていただきたいというのが私からの意見として申し述べさせていただきます。
以上でございます。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、坂越委員、お願いいたします。
【坂越委員】 坂越です。
お示しいただいた論点の中で特に自分が大事かなと思ったのが、入職ギャップのことです。22ページ辺りにありますけれども。養成のほうでしっかりと基礎的な力をつけては卒業させるのですけれども、特に小学校なんかで、4月1日から担任を持って保護者と対応するというのはかなりハードルが高いです。そのためにどういうふうにすればいいのか。
養成段階で、ここに示されているような学習指導員だとかインターンシップというような仕組みをぜひ活用したいこと。それから、採用されてからも、これはぜひお願いですけれども、新任研修の間、かなりサポーターをつけていただいて、それに慣れるまでの間、しっかりフォローしてもらいたい。前と後ですよね。実際のところ、せっかく就職したのに、1年もたない新採教員がいることも事実ですよね。ぜひそういうことがないようにということ。
そのためにということで、例えばですけれども、地方国立大学で県内地元学生というのは3割なんていうところが結構あると思います。つまり、県外から学びに来ていて、また地元に帰りたいという学生が結構いますよね。そういうときに、教員養成学部と県教育委員会等が連携することはとっても大事なのだけれども、大学が所在する県の教師塾に入れるか入れないか。そういうインターンを含めた学生時代の学びが、ある意味、共通性をもって、ポータビリティーと言うんですかね。この県で勉強して、こういうことをやってきたというのが、自分が就職したい県へ持っていけるような形。ぜひこれも考えていただけたらなと思います。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、引き続き、貞廣委員、お願いいたします。
【貞廣委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。時間がないということですので、1点だけ申し上げます。
近年、教員養成がインターンシップをはじめとする現場での経験的学びを強調・拡大する方向性で進められてきています。この方向性そのものにはもちろん賛成します。また、特別免許状等を活用して、多様な社会的経験を積んだ方々がその専門性を生かして教職に参入していただける。これも歓迎します。
ただし、こちら、資料2の25ページの2つ目のところにある、教職課程を履修していない方が学校での現場の経験を元に免許を取得するという、この免許取得の在り方は、言わば学校現場のみで教員養成を行って普通免許を発行するという仕組みに相当するわけで、若干慎重な検討が必要ではないかというふうに考えます。
これまで、高度な専門性を有する日本の教職、または教員養成は、学校現場での実践を大学等が生み出す学問的知と往還させて振り返ることを基本としてきたと思います。また、諸外国を見ますと、このように学校現場のみで免許を発行しているところというのは実際にあるんですけれども、これは教職の社会的地位の劣位化とも表裏一体となっています。
個人的には、何らかの形で大学等の単位取得を組み合わせる可能性も含めて、これらのファクターを総合的に判断して、慎重な制度設計が必要なのではないかと考えます。
以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
多様な人材を入れていくということには賛成ですけれども、一方で、本道で教員になろうとする学生が途中で企業か教員かを迷うというようなことの背景において、先ほどあったような就職採用の時期と採用試験の時期の問題というのが大変大きいと思います。
その意味で、例えば、ここに御提案があるように、3年生の時期にある人物選考の前のものになるのかもしれませんけれども、一次試験をするとか、あと、総合大学の場合には、修士、博士課程院生たちで教育が専門でない人たちが、ダブルディグリーで逆に中高において開放制の大学からで有能な教員になり得る人たちがいます。しかし、そういう人たちも、試験と修論とかD論が重なるというようなこともありまして、むしろ少し前倒しをして、そういう人たちが教師になれるということを明確にしていくというようなことが非常に重要なのではないかと考えます。
本道の中でなり得る可能性のある人たちのハードルというものを取り除くためには、1つは、採用試験の時期のあと、試験の内容として、知識・技能だけではなくて、やっぱり人物や専門性を重視すること、特に高度の専門性重視というところに進むことが大切だと思います。
またもう一つが、学生から言われるのが、やっぱり財源というか収入の問題です。給特法で4%で妥当か、教員はブラックというイメージが極めて高い。ここは、今後、この部会でこんなことはすぐにはできないんだろうと思うんですけれども、給与改善の問題があると思います。それから、先ほど根津委員が言われましたけれども、奨学金であったり、例えば、中国やシンガポールであれば、教員になるということになれば、奨学金や、そこで給料が払われる国もあるわけです。ところが、日本は自分たちで授業料も払い、そして、リスクも取りながら、しかも、今、給料の高い企業に行かずに教職を選ぶということは、非常にリスクが高くなる。それらのリスクをいかにして低減していくのか、財源を確保しいかにそこに厚く投資していくのかということが重要だろうと思います。
また、女性にとっては大変働きやすい、産育休が十分に保障されている職業であります。こうした生涯専門性をもって働き続けられる職業の魅力というものをもっとアピールできる機会というのをたくさんつくっていくということも重要なところではないかというふうに考えます。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
時間が若干超過しそうなのですが、まだ3名の方が手を挙げていらっしゃいますので、一言ずつ御意見を伺って、もし不足するようであれば、メール等で事務局にお出しいただくということで、お願いしたいと思います。それでは、戸ヶ﨑委員、益川委員、今村委員の順にお願いいたします。まず、戸ヶ﨑委員からお願いします。
【戸ヶ﨑委員】 資料2は、私なりに長年抱いてきた採用等への改善への期待などが、網羅されており、こちらも大変よくまとめられていると感じました。
実に様々な方策が示されていますが、その実現に向けては簡単ではなく、法改正等の絡みなどで優先順位や難易度もかなり違ってくると思います。社会変化や教育ニーズ等を鑑みて優先順位を付けるとすると、一言で「社会人の採用や登用」についてだろうと思います。12ページには、以前にも意見を述べましたが、教員採用選考試験の応募者数の回復に向けて、民間企業との採用との競合をもっと意識する必要性があること、また、25から29ページには、社会人等の登用の促進、入職ルートの複線化・多様化の促進などについて記載があり賛同期待をしたいと思います。これに関して特に申し上げれば、採用段階で教員免許所持を不要にすることや、教員免許を持っていない志願者のための採用枠を設けることがあります。これによって、中途採用「潜在的教員希望者」が確保され、キャリア教育、PBL、STEAM教育などでの専門性の発揮や適切な保護者対応などが期待できます。一方で慎重な制度設計も大切かと思います。
また、ここには記載はありませんが、教育関連の企業とゼミ生が一体となって、教師だけでなく同時に教育関連ベンチャーをも養成するようなものもあってよいと思います。そのようなゼミを経て教師となれば、Society5.0の時代に見合ったイノベーティブな教育の様々なアクションを起こしてくれるものと期待したいと思います。
次に、その気になればすぐにでも着手可能と思われるのは、17ページから19ページ、21、22ページにあるように、各自治体の教育委員会と教員養成大学・教職大学院との連携促進です。こちらも国任せではなく、それぞれが当事者意識を持って様々なトライアルを行うことで、養成・採用の好事例がたくさん生まれ、ベストプラクティスを共有していくことで、より優れた人材確保がスピード感を持って可能になるものと期待してやみません。


【渡邉部会長】 終了予定時刻ではありますけれども、せっかくでございますから、意見を引き続き伺いさせていただきたいと思います。御了承をお願いいたします。益川委員、お願いします。

【益川委員】 すいません。短くコメントします。
採用の多様化によって採用数、それから質を上げていく検討も大事ですが、でも、やっぱり本丸となるのは、教員採用試験そのものの見直しだと思います。先ほど時期を早めるみたいな議論も大事ですが、加えて、14ページに書いてあるように、教員採用試験の試験問題の中身、何を問うのかについて、しっかりメスを入れていくことはすごく大事だと思います。
多様な教員養成の仕組みにすることで、豊かな学びが保証されても、結局は、丸暗記で対策試験ばかり勉強した人が優位に立ってしまう。そのようなことがあってしまうと、教員養成段階で理想とするカリキュラムによる学びも中途半端になってしまう可能性があります。教員養成段階で豊かな経験をもって素質を磨き、採用後もそのまま学び続ける教師、その接続部分である採用試験のところの議論をしっかり進める必要があると思います。
私のほうからは以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、今村委員、お願いいたします。
【今村委員】 時間がない中で発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
貞廣先生の御意見も分かりますが、全て複線的なルートで人が教職に入ってくる仕組みをこれ以上これからも充実させていくというのもどんどん進めないと、とにかく人が足りない。特に地方では人が足りないということがとにかく喫緊だと思っているので、多少のリスクを取っても、やれることはやるという段階にきていると思っています。
その上で、特に地方の大学が近くにないようなところだと、学習支援のスタッフとか、ちょっと仕事をやっていただく人の募集すらうまくいっていないというところもたくさんある中で、例えば、学校もジョブ型雇用でワークシェアリングをして、GIGAパソコンがあるわけですから、一部オンラインでできるものもかなりあると思うんです。特に特定の教科の指導なんかはそうだと思うんですけれども。そういったオンラインで学びを支える人たちにも特別免許状を出していくような仕組みを検討できないかということも思うわけです。
今、うちの組織では、不登校の子供たちの支援を学校と連携して行うスタッフを募集しています。オンラインで在宅でやる人を免許を持っている方限定で10名募集しているんですけれども、まだ申込みが締切りになっていないのに、既に全国から560人の方にエントリーをいただいています。
これは様々な方がいらっしゃいますけれども、教育に関わりたいという人の免許ホルダーはまだまだ眠っている。こういう方々をオンラインも駆使することで質を上げていくということも同時にこの議論の延長で検討できないかなと思いまして、最後に発言させていただきました。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。
今いただいた御意見については、今後、資料2の文章にも反映させて、整理をしてまいりたいと思いますので、事務局におかれては、今日の意見についての反映をよろしくお願いします。
時間も超過しておりますけれども、今日、大変重要な意見交換をさせていただき、審議の取りまとめをいたしましたので、最後に総括的な発言をさせていただきたいと思います。
議事1の教員免許更新制小委員会で議論されてきました、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けてということで、現職の研修の充実や教員免許更新制の発展的解消など、審議まとめ案について本特別部会として改めて御議論いただいたわけですが、先ほど申し上げたように、大変長い間、小委員会等での議論も含めて、審議のまとめに至るまでの熱心な御議論をいただいてまいりました。これまで関係された各委員に改めて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
教員免許更新制の発展的解消についての心配事も含めて、いろいろな御意見がありましたけれども、先ほど申し上げたとおり、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿について、全体的な体系立った整備と、これをまた現場に正しく御理解いただくような対応をしていくことが重要だと思います。とりわけ、中核となる教員の研修受講履修管理システムの構築に向けた調査研究を含めて、そういったものを踏まえた情報発信が重要になると考えております。
それから、議事の2ですけれども、諮問事項の2つ目の事項に関わる内容であり、いろいろな御議論をいただきました。優れた人材確保のための教師の採用等の基本的な考え方についても議論していただいたわけですが、事務局の資料に示された大きな方向性、論点等について、様々な御意見を反映してまとめさせていただければと思っております。
優れた人材確保のための教師の採用に関する方向性についてのキーワードは、新たな学びの実現を可能とする質向上を伴う多様性への対応ということだろうと思います。多様な人材を活用していくということが大変重要になると考えます。
養成段階においても、多様な専門性を有する特定分野の強みや専門性を育成するということが必要になりますし、それから、多様な採用選考の実施ということも重要になります。また、特別免許状等のさらなる活用等によって、社会人等の多様な人材の活用を本格化するステージに入っていると思います。ただ、この前提としては、学校における働き方改革を進めて、教師が創造的で魅力ある仕事なのだという視点も必要であり、これは情報発信も含めて重要になると思います。
いずれにしましても、今後、政策の方向性を議論するためには、エビデンスに基づくことが大事だと考えております。本日の参考資料2でも触れられておりましたが、文科省で実施を検討されている学生に対する志望動向調査等、いろいろな調査結果も踏まえて、客観的なデータに基づき、教職を目指す質の高い人材を確保していくための既存制度、運用のどこで手を打ったり何を見直したりするのかといったことについての議論を深めていく必要があると感じたところです。
本日の議論も踏まえまして、今後、体系立った整理をしていくことの重要性を感じております。また、今回の包括的な諮問を受けた、基本的な方向性を示すビジョンが重要なのだろうと改めて実感いたしました。したがって、委員の皆様とビジョンについて、今後議論をして、共有させていただくとともに、小委員会による専門的な議論も進めさせていただければと思います。
本日、御意見もありましたので、次回、事務局におかれましては、ビジョンを議論するために必要となる資料の準備をお願いできればと思います。
それから、議事1のときにも申し上げましたけれども、現職の研修の充実、それから、教員免許更新制の発展的解消ということを内容とする、新たな教師の学びの姿の実現に向けた審議まとめについての意見公募を行いますので、その結果も、次回報告させていただきたいと思っております。
次回もまた充実した議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間も超過して、大変申し訳ございませんでした。本日、長時間にわたってお疲れさまでございました。本日の議事は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

(総合教育政策局教育人材政策課)