中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会(第5回)会議

1.日時

令和4年3月25日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方について

4.議事録

【加治佐主査】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会第5回基本問題小委員会を開催いたします。本日もウェブ会議システムを活用しての開催です。  それでは、本日の会議の進め方等について、事務局から説明をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】  教育人材政策課の中村です。会議の進め方について確認させていただきます。本日もウェブ会議システムを活用していますことから、御発言に当たりましては、聞き取りやすいようにはっきり御発言いただきたいこと、御発言の際は名前をおっしゃっていただきたいこと、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただきたいこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただきたいことにつきまして、御協力をお願いいたします。Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど補助的な使用としていただくようお願いします。本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。

 配付資料につきましては、議事次第に記載のとおりとなっております。

 私からは以上です。

【加治佐主査】  ありがとうございました。本日の議事は、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方についてです。今回は2名の方にヒアリングで御協力をいただきます。有限責任監査法人トーマツ、吉田シニアマネジャー、そして、東京都教育庁人事部選考課、荒木課長です。お二方、どうぞ後ほどよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ってまいります。いつものように、まずは事務局より説明いただきます。その後、トーマツの吉田シニアマネジャーから御発表いただき、ここで1回目の質疑応答の時間を設けたいと思います。トーマツの吉田マネージャーは、本日、カナダから御出席いただいておりまして、この1回目の質疑応答の時間まで御参加いただく予定です。その後、東京都の荒木課長から御発表いただき、さらに質疑応答と意見交換を行います。

 それでは、事務局よりお願いします。すいません、私は花粉症で、少し声がおかしいと思うんですけど、よろしくお願いします。それでは、事務局より、まずは説明をお願いいたします。

【丹羽教員免許企画室専門官】  ありがとうございます。教育人材政策課教員免許企画室専門官の丹羽と申します。資料1-1にのっとって御説明させていただきたいと思います。

 令和3年12月に諮問された事項の中の1つで、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方について検討するということで、今回、テーマトピックについて事務局のほうから資料を用意しております。

 2ページにいっていただきまして、まず、教員免許制度についておさらいというか、御説明させていただきたいと思います。教師は教科に関する専門的知識にとどまらない生徒指導や特別な支援を要する児童生徒への理解等の多岐に渡る専門性を身につけるということで、高度に専門職であると思っておりまして、一旦ページをスライドさせていただいて、教員としての高い専門職性ということで、教科の部分に関しては、教科に関する専門的事項だけなんですけども、それ以外に指導法ですとか教育の全般的な理念に関する理解、あとは生徒指導、教育相談、様々、教職たる部分としての専門性を有しているというものが教員としての資格を保持しているような内容になっておりますので、教科だけどこまで突き詰めていったとしても、教職としてそこまで到達しないという位置付けだと思っております。なので、どの地域でも最低限の教育が行えるように教育の質を確保する必要がある教員免許制度について、その質を保証する資格として公証しているという制度になっています。

 ただ、一方で、こうした最低限の教育水準を維持しつつも、画一的でない、個人に個々に応じた教育が行われるように、大学における教員養成の原則を保持しつつも、今回、議論のテーマトピックとさせていただいています、特別免許状ですとか教員資格認定試験ですとか、教職特別課程ですとか、こういった様々な制度的スキームを活用して、多様な専門性を有する教職員集団を形成していくべきだと考えております。

 スライドを2つ飛ばしていきまして、まず、1つ目は特別免許状について御説明させていただきたいと思います。特別免許状の現状なんですけれども、授与が行われた都道府県内において有効であり、特定の教科に限定して授与されるものでして、通常の教職課程を経ている普通免許状との違いとしては、今申し上げたような地域の限定性と、あとは教科の限定性というものがあるという状況になっております。

 この場合の授与の方法については、大学における専門的な単位を修得する普通の教職課程とは違って、専門的な知識、経験、または技能を有することですとか、あとは教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っていることなどを基準として、都道府県教育委員会のほうで検定を実施していただいて、それに合格することで授与が行われるという仕組みになっております。

 特別免許状の授与の状況なんですけれども、毎年20万件の免許状が出ている中で、僅か200件ということで、全体に占める割合は0.1%と、もっとここを活用していかないといけないということに加えて、教科についても、特定の教科に偏っているような状況になっておりまして、外国語ですとか看護という、こういった内容の教科に限定して使われているような実態もございます。また、実際の採用の段階においても、民間企業等勤務経験者があるんですけども、小中高段階で僅か数パーセントの枠組みの中で採用されているような状況にもなっております。

 今回、こうした特別免許状をもっと活用していくべきという考え方の基に、一体どこがあい路になっているのかということを、都道府県教育委員会におけるアンケートの中から我々なりに仮説を立てて、それを検証していく形で今回、議論提起をさせていただいて、委員の皆さんに御意見をいただきたいと思っております。冒頭は、先ほど申し上げたように、かなり低調で絶対数が少ないという状況になっていまして、都道府県教育委員会のアンケートでは、検定というプロセスの中での受験者に上がれば、基本的に全員が合格しているという状況になっております。ですので、レイヤー層が3階層ぐらいに分かれているんですけれども、検定受験者というレイヤーに乗っからない形での事前相談段階で、何かしらのミスマッチが生じていることで、なかなか受験まで至らないケースですとか、そもそも事前相談には行かない潜在的希望者がいる中で、こういう事前相談の中に入っていけるような掘り起こしというプロセスですとか、あとは、そもそもこういう事前相談とか潜在的希望者の方々に対して、特別免許状に関する制度ですとか検定のプロセスというものが、ある意味、透明性が確保されて周知されているかというところに課題があるのではないかと思っています。今から3つの観点から各々仮説を立てておりますので、議論させていただきたいと思います。

 1つ目の事前相談段階のミスマッチでございます。想定される3つのミスマッチと書いておりますけれども、1つは教科区分と専門性のミスマッチ、実際に授与される免許状の教科区分と、活用したいと思われている外部の方というか、民間企業経験者の方の学んでいる専門性というところがマッチしていないんじゃないかと。あとは、検定というプロセスがあるがゆえに、時期が実際に活用したい段階と検定が行われている段階とで違うのではないか。あとは主体のミスマッチということで、実際に勤務する場合は、学校を所管する市町村教育委員会ですとか、あとは私立学校である学校法人というところが採用等のプロセス、もしくは実際に活用したいというニーズを上げてくるんですけれども、検定を行うこと自体は都道府県教育委員会に委ねられているので、主体の間で何かしらのずれが生じているのではないかという3点が考えられるのではないかと思っております。

 1つ目の教科区分と専門性のミスマッチですけれども、現状、教員免許状に定められている教科区分については教授範囲が広く、例えば理科の免許状だと物理、化学、生物、地学、この4領域を合わせて理科という形で免許状が授与されている形になっています。一方で、民間企業や大学の高度専門人材を念頭に置いた時に、こうした方々の専門性というのは、物理であれば、物理に特化したような内容、化学であれば化学の内容、生物であれば生物の内容という形で、理科という教授範囲と、専門性を有する方の教科の専門性の部分が必ずしも一致していない状況というのが考えられるのではないかと思っております。

 そのため、1点は高等学校において特に高度理系人材の活用が積極的に図られるように、今、現状の理科の免許状というものは維持しつつも、もっと細分化したような形で授与できるということも考えられるのではないかと思っております。

 2点目は、教科区分と専門性のミスマッチの、今後の中長期的な課題という観点なんですけれども、現行の学習指導要領の中でも、中学校段階ですとか高等学校段階で、学校設定教科、学校設定科目という形で、各学校が独自に設定することが可能となっているものがございます。そうした中で、特定の教科の内容、現行の教科内容だけに限らず、もっといろいろな種類の教授内容というのがどんどん出てきている中で、免許種というものが、それになかなか追いつけていないのではないかという問題意識の中で、現行の教科区分とは異なる学校が設定する教科等も含めて、今後、中長期的に学校設定教科等の中で体系化されていくような教科の内容というものがあれば、そうした状況も踏まえながら、教科区分に応じた特別免許状が授与されるような仕組みというものを検討していくべきではないかと思っております。

 今の御説明していた内容を図示したものがこちらなんですけれども、教育課程上の各教科の領域がある中で、免許状の各教科の内容が下のほうにあるんですが、一番分かりやすい例は、理数みたいなものが新しく教科として設定されているものの、免許状の中では理数という免許状はございませんで、理科と数学に応じて、各々教えられる範囲で関連性の高いものとして教えられているとなっております。これと同じ考えを設定しているのが学校設定教科のほうになっておりまして、学校設定教科で独自に、例えば環境教育ですとか防災教育、例えばSTEAM教育みたいなものを教科として、各学校単位で置いた場合に、それが何の教科に一番近しいのかということで、直接的に一対一対応ではない教科なんですけれども、近しいもので教えているという現状がございますので、こういったところに、そういう各学校単位が設定したような教科の専門性を一定程度、保証できるような教科区分の免許というものも今後、考えていくべきではないかと考えております。

 もう一つは、タイミングのミスマッチということで、先にこちらのアンケート調査結果を御覧いただきたいんですけれども、今回、47都道府県、特別免許状の授与事務を行っている担当のほうにお伺いさせていただいたところ、検定の時期というものについて、受付回数が1回というところが、20都道府県あるという状況です。一方で、随時という形で受け付けていただいているところもあるんですけれども、基本的には、年度単位で学校が、人事異動が出されるということから、こうした設定がされているものの一方で、年度の途中ですとか、臨機応変に採用とか、特別免許状の活用がしたいというときに、なかなかそういった対応ができないような状況が今、生じているのではないかと思っております。そのため、教育職員検定の受付が随時行われるように、国から働きかけを行っていくべきではないかと。

 ただ、その場合、教育委員会における事務の負担軽減というものも図っていく必要があることから、対面による面接等の方法に限らず、オンラインとか書面審査などによる対応で随時受け付け、検定の実施ということが行えるようになっていけばいいのではないかと考えております。

 こちらは5月11日に、文部科学省の方で指針を改定させていただきまして、今申し上げたような内容について、既に盛り込まれているような状況になっております。

 次に行きまして、主体のミスマッチということでございまして、専門人材の活用を希望するのは、勤務する学校、学校を管轄する市町村教育委員会ですとか、あとは学校法人である一方で、検討を行うのは都道府県教育委員会ということで、自らが免許状を授与して、活用まで図ることができないという状況になっております。そのほかにも、国の指針では教科に偏りがないよう、いろいろな教科領域で活用を行っていただきたいと申し上げている一方で、実態に即して、都道府県のほうでは、例えば限定した教科だけに特別免許が授与できるような運用が行われているという状況も生じていると、アンケート調査の結果から分かっております。

 そのため、こうした国の指針と異なって、各都道府県間のローカルルールみたいなものが進んでいってしまうと、扱いの差が出てしまって、実際に活用していきたいという方々のニーズというものが、なかなか吸い上げられないのではないかと思っておりまして、可能な限りにおいて、都道府県教育委員会における基準というものは国の指針を踏まえた方向性のものとして、都道府県間で差がないようにしていくことというのが今後、必要なのではないかと思っております。

 また、仕組みとして、市町村自体が自ら授与することが可能であれば、そういった形で、積極的に制度を活用して市町村が授与するということもありますし、都道府県自体が、自らの所管する県の学校における採用等の中で特別免許状の授与というのも積極的に行っていくということも考えられるのではないかと思っております。

 これは検定の指針に関するもので、今申し上げたような内容が、既に国のほうでもお示しさせていただいているような状況になっておりまして、こちらは、実際、都道府県教育委員会が特別免許状の授与に関する事務を行っているのですけれども、構造改革特区という特区制度の中に、事業メニューで市町村教育委員会が自ら特別免許状を授与するような仕組みが設けられておりまして、こちらは県費負担教職員ではなくて市費負担、市町村費で採用される場合においてのみ、限定的に活用できるものがあるんですけれども、こうした仕組みを活用することで、市町村自らが授与するということも可能となっております。実績としては、当初は5自治体のほうから申請をいただいているんですけれども、3自治体のほうからは取下げされていて、1自治体は授与実績なしですので、実質的には、千代田区教育委員会さんのみが活用されているという状況になっております。

 続きまして、テーマトピックが変わりまして、潜在的な希望者の掘り起こしということで、いろいろと文科省のほうで過去、委託事業等を通じて特別免許状ですとか、あとは外部人材というものを活用する学校現場と外部人材をつなぐ在り方研究というものをやってまいりました。こうした調査結果、アンケート、あとは事例研究をする中で挙げられてきた課題というものを列挙したものが、こちらの資料なんですけれども、学校教員側と専門人材側、各々から分析させていただきますと、学校教育委員会側から見ると、外部人材を活用するに当たって、教職過程を経ていないというところがネックだと。なので、一定の質を担保できる仕組みというのが手続き上、必要だという認識を示されていると。一方で、教師不足という観点から人材を補いたいと考えている学校や教育委員会側の認識からすると、小学校段階を念頭に置くんですが、特別免許状は、先ほど申し上げたように特定の教科に限定したような免許になっておりますので、教科に限定した特別免許状は使いづらいと。あとは、限られた予算の中で制約的になってしまって、現行既に配置されているような教職課程を経た普通免許状の先生と入れ替えてまで特別免許状を授与して民間企業等の専門人材を活用したいと思われる教育委員会側の意向というのはあまりないという状況が明らかになっております。

 一方で、専門人材側なんですけれども、そもそも特別免許状を知らないですとか、あとは、働き方の参画として、転職という形で学校現場に入るということよりも、今の職を維持する兼業、副業などの多様な働き方で学校現場に参画するという関心はあるものの、そうした事例が少ないもので、そういった働き方ができるという認識を持たれていない方々もいると。また、そもそも学校現場にどのように接していけばいいのかということで、参画の仕方自体が分からないですとか、自分の持っているスキルというものがどう学校現場に活かされるのかということが不明瞭で、なかなか踏み出しづらいという状況が明らかになっております。

 今、申し上げた内容が、今まで文科省のほうで委託した事業の調査結果として挙げられているものでして、これが今回、アンケートを行ったものでございます。

 まとめますと、学校教育委員会側としては、教師としての資質、能力への懸念と予算の制約等の観点から、民間企業等の専門人材の活用に対して消極的な傾向があると。一方で、専門人材側のほうは興味がある一方で、そもそも参画の仕方ですとか制度の理解、自らのキャリアを活かした参画などの情報自体が不足しているということになっておりますので、学校教育委員会側に対しては、こういった教職課程を経ていない特別免許状授与候補者に対して、円滑に学校現場に参画できるような研修コンテンツというものを整備していくことが考えられるのではないかと。

 また、小学校段階の教師不足というところにアプローチしていく意味においては、特定の教科に関する特別免許状なんですけれども、複数教科に授与するということ自体も、制度上、妨げてはいないような状況になっておりますので、そうした活用の仕方ということも積極的に周知していくことで活用を図っていくべきじゃないか。あとは、特別免許状を活用する場合の何かしらのインセンティブ措置というものを講じていくべきじゃないかと思っております。

 専門人材側に対しては、特別免許状授与者の有用性ですとか制度の周知、学校現場への多様な勤務形態での参画という優良事例を積極的に創出していきまして、これの横展開を全国的に行うことで、もっと専門人材が学校現場に入る起点にできればいいのではないかと考えております。その場合の優良事例の創出に当たっては、現職の仕事を辞さないままに、段階的に学校現場に参画できるよう、例えば兼業、副業という在り方から、最終的には転職という形に持っていくというスキームですとか、あとは学校現場の入職の際に、自分が持っているスキルというものと、どこを教えられるのかというところのミスマッチをなくす観点から、ある意味、ジョブ型のような形で、範囲の明確化をしていくことでミスマッチを軽減することができるのではないかと、この点にも留意すべきではないかと思っております。

 また、特別免許状をメインにお話を今、させていただいているんですけれども、もともと免許状全体を俯瞰してみると、普通免許状を取得した後、実際に採用試験を受けて合格されている方、もしくはそもそも受験をしていない方というのが一定層、かなりの層いらっしゃるんですけれども、こうした方々がもっと学校現場に参画できるような仕組みというものも今後、検討していくべきではないかと考えております。

 これは外部人材活用事業で、後ほど吉田さんのほうから御説明いただくような事業について、こちらで予算措置をさせていただいております。

 あとは、適切なコミュニケーションに向けた透明性の確保ということで、積極的に活用を図りたい市町村教育委員会と都道府県教育委員会間のコミュニケーションというのを円滑に行うために、基準自体を明確にしていくことと、もちろんそうしたプロセスというものを明確にしていくことというのが重要ではないかと考えております。また、特別免許状による教員採用実績ですとか採用計画を公表することで、積極的に外部の専門的な人材というのを活用すると、教育委員会さんが明らかにしていくことで、そうしたところに、採用に向かいやすいような環境というものも整備できるのではないかと考えております。

 続きまして、特別免許状の話とは異なって、教職特別課程の話になるんですけれども、現在、国会に提出して審議いただいている法律改正が行われた後になるんですが、教職特別課程というもので、主に社会人を対象に1年に限って設置することができていた課程がございます。ただ、1年間というもので必要な単位数を修得するためには、平日の昼間も含めてフルタイムの課程となってしまうという状況が生じておりますので、社会人が学び直しの観点から、もっと自分の今の職、企業等に勤務しながら、課程を履修することができるように、1年以上の弾力化を図る措置を講じることにしておりますので、こうした制度改正に伴って、積極的な活用が図られるような、社会人の学び直しの仕組みとして活用できるようなものを広く周知していくべきではないかと考えております。

 もう一つ、教員資格認定試験という仕組みがございまして、この仕組み自体は、昭和39年に社会の進展に応じて、特定の分野についての充実が一層要請されることに伴って、まずは高等学校の免許状という形から実施されていたものでございます。その後、順次、教科や学校種というのは拡大されていたんですけれども、今、現行では幼稚園、小学校、特別支援学校だけに限定されておりまして、また、平成14年特別免許状の有効期限が撤廃されて、実質、教員資格認定試験で高校段階の外部の人材を活用することに、とって変わることになるという考え方の下から、実施されなくなったという経緯がございます。そうした一方で、今現在、教育資格認定試験の幼稚園、小学校、特別支援学校に限らず、例えば情報という領域の先生が不足しているところで、改めて教員資格認定試験というものを実施することで、免許が授与できるような仕組みというものを今後、検討していくべきではないかと考えております。

 以上が事務局からの説明になります。

【加治佐主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、ヒアリングに入ってまいります。有限責任監査法人トーマツ、吉田シニアマネジャー、カナダからですけども、どうぞよろしくお願いいたします。

【吉田シニアマネジャー】  吉田と申します。よろしくお願いします。

 今日はこの場を設定頂きありがとうございます。夜中3時なもので、テンションが低めで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。それでは、速資料の共有をさせていただければと思います。

 今回、御報告させていただきたいのは大きく2点というところで、1つは先ほど丹羽様からお話をいただいたように、本年度、デロイトグループのほうで受託予算事業を担当させていただきまして、外部人材の活用ということで、今回に関しては愛媛県さんと協力をしながら実施をさせていただきました。そもそも愛媛県を選ばせていただいた理由もあるんですけれども、実は、私のほうであらかじめ17自治体ほどに声をかけさせていただきまして、いろいろ会話をしておりました。予算事業といって実証事業ではあるものの、子供たちが唯一、1回限り機会を得られる重要なタイミングかと思うので、なるべく実証と言えど、実証に近しくないような形でやりたいという思いがありましたので、17を別に選抜をしたわけではないんですが、いろいろアンケートとかヒアリングをさせていただいて、最も協力的で、かつ、こちらがこういう内容に対しても非常にレスポンスをくださった、愛媛県のほうと御一緒させていただいたと、まず、そういった前提の経緯がございます。

 事業全体のイメージが、今出ておりますとおり、大きく5つのステップにあるかと思っています。まず、ゼロ段階として、アスリート、今回は外部人材といっても、特にアスリートの人材です。オリンピック・パラリンピックもありましたので、アスリートの人材を対象にして、学校のほうに入職をしていただくと、そのフィードバックをいただくというトレーニングをさせていただきました。アスリートに関しても、様々なニーズが恐らくあるかと思っていまして、実はアスリートイコール体育ですとか、そういうわけでもないだろうと。例えば科目も、英語が得意ですとか、保健体育じゃなくて実はキャリアがやりたいですとか、実は家庭科が好きですとか、いろいろな方がいらっしゃるかと思いましたので、そこのキャリア面、あとはどこで働くかという場所の面、どういう処遇で働きたいかという条件の面、そういったいろいろな観点から学校とアスリート双方のニーズの把握を努めたというプロセスを踏みました。

 ステップ1のところに移りまして、ニーズを踏まえた段階で人材のマッチングということで、学校がこういう人を望むだろうという人を数名挙げさせていただいて、その中から学校に選んでいただくというステップを踏みました。続いて、ステップ2が事前面談ということで、とはいえ、初めて会う方々ですので、不信感とかそういった疑問点がないように事前の面談をして、しっかりパーソナリティーが分かる形で歩み寄っていただこうということで事前面談のステップを踏み、その後に事前研修ということで、さらに、とは言えなんですけれども、アスリートと学校で求めている条件面が特に違った部分に関して研修をして、学校が求めるレベル感にまでは少なくともなってもらいましょうと。そういったプロセスを踏んだのがステップ3。そして、入職、最後に振り返り、学生からの振り返りという形で進めていきました。

 実際に対応してくださった学校ですけれども、愛媛県の新居浜にある新居浜東高校さんです。ここ自身は、もしかしたら御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、非常に体育が有名で、結果的に体育にはなったんですけれども、その中で、2年生時のクラスのトレーニング総合とホームルーム科目で2名に対応していただいたということでございます。

 その2名に関して、少しだけ簡単に説明させていただくと、荻田様と成定様という方です。荻田様に関してはオリンピックに出場経験があられる棒高跳びの選手。成定様に関しては、オリンピック経験はないんですが、全日本で活躍をされていた、主には走り幅跳びの選手でした。荻田様には、先ほど丹羽様からも説明がありましたが、実は御苦労をかなりされた上、教員免許を取得されておられます。オープンユニバーシティーのようなところに通われて、職業を持ちながら通われて、数年かかって取りましたということをしきりにおっしゃっていました。その中でも、一番苦労したのが、ある年に1科目取れないと、おのずとその年には卒業ができないようなカリキュラム構成にどうしてもなってしまっているので、複数年かかってしまうというのはもう致し方がないというところで、避けられない現実としてあったということはおっしゃっていました。

 このお二方の活躍、御協力の下、今回は入職をしていただいて、学校現場での実授業に励んでいただいたというところです。先ほどの4段階、0ステップを踏まえると5段階なんですけれども、そこを少し掘り下げると、実際にどのように教員となっていただく方を選んだかのプロセスのところが少し深掘りして書いてあります。まず、アスリートのレベル判断として、幾つかのレベル分けをさせていただいています。もう一つは、学校側にこんな人物であれば、受け入れてもいいなと言われるような人材像を定義するという活動をさせていただきました。それらを基に、プロセス2のところでレベル感というのを若干把握させていただいて、不足する部分は先ほど申し上げた研修であったり事前面談で穴埋めをすると、そういったプロセス2を踏まえて、最後、研修をしっかりさせていただくという形に移っていきます。

 実際にレベル分けなんですが、今回は時間もあったので、完璧にレベル分けをしたわけではないんですが、少なくとも最低でもこのぐらいのレベルには分けるべきだろうということで分けさせていただきました。まずは、学校での勤務経験があるかないか、常勤なのか非常勤なのか、教職課程は終了しているのかどうか、学校での何らかの関与経験があるのかどうか、例えば部活動指導員なんかもそうかと思いますし、オリパラの選手なんかで言うと、よくあったのはゲスト講師として1回だけだけれども呼ばれたことがありますと、そういった経験も踏まえています。

 次に、子供への指導経験ということで、学校ではないものの、地域のクラブ活動とか奉仕作業のようなもので、子供と頻繁に接しているかどうかというところを見させていただきました。最後に、これは当たり前の事項なんですが、そもそも学校教育に興味があるかどうか。そして、興味がないとおっしゃったアスリートもいらっしゃったので、そういった方はもう完全に論外として排除させていただいてはいるんですけれども、そういったプロセスを踏んで、レベルを分けさせていただいております。

 これが実際に授業の様子です。また、もし機会があれば御覧いただければと思うんですが、授業自体は本当に、かなり密度の濃いというか、オリンピアンもいらっしゃるので、求めるものが非常に高かったんじゃないかとは思うんですが、学生からの最終評価は非常に高くて、特に学校の普段の先生とは違う観点でものが語れるということで、相互補完的な役割が非常にあったんじゃないかと、そういった意見が学生側からありました。その点は我々も狙っていたことではありますので、すごく素直にうれしかったかと思っています。

 次に、学校側がアスリートに対して、こういうことを望んでいますということを列挙させていただいております。これは愛媛県の新居浜東高校だけではなくて、愛媛県下の全ての学校に確認をして、統計を取った結果ということになっています。特に保有してほしいスキルがコミュニケーションスキルということで、これは非常に難しいかと思うんですが、まず、コミュニケーションというのがありました。次に、保有してほしい経験ということで、子供に接する機会であったり学校現場での経験。アスリート経験としては、少なくとも日本の大会でメダリストレベルであってほしいという願望。教員免許状の必要性は、先ほどの丹羽様のお話と少し食い違う可能性もあるんですが、基本的には必要ではないということをおっしゃっています。ただ、ここには裏の意図もあるかと個人的には感じているので、後ほど言及させていただければと思います。

 保有してほしい資格、これは非常に珍しいと思ったんですが、かなり多くの方が臨床心理士と答えていらっしゃいました。これも、また多分裏があるとは思うので、幾つかの学校の方には追加的にヒアリングをしているんですけれども、昨今、学校の現場でもろもろの課題、問題、特に同じようなバックグラウンドを備えた方ばかりが集まるクラスならともかく、そうでない方が多いと。臨床心理士の資格が欲しいというよりかは、そういう勉強をしていると、例えば同じように現場でいろいろなダイバーシティのある学校に当たった際も、こういう生徒もいるんだと、こういう生徒の場合は、私だったらこういう変化を加えて会話したほうがいいんじゃないかと、そういう感覚での頭のマインドチェンジができるという経験があられるという先生が実は非常に多かったんです。ですので、それもあって、臨床心理士のような経験が欲しいですということをおっしゃっていました。なので、資格を持ってくださいというか、そういったプロセスを踏んで欲しいですということをおっしゃっていました。

 最後に保有してほしいマインドセットは柔軟性ということで、科目ベースで仕事をするとはいえ、この科目をやっているから、この科目だけをやっていればいいというようなスタンスで臨んでほしくないとか、アスリートで非常に高いレベルであったから、学校でも自分は高いレベルを維持しながら、学校で何かができるんだと思わないでほしいと。いかなる状況であっても、現場をしっかり判断した上で、柔軟性を持って会話をしてほしいと、そういった意図でこのような話が出てきたのかと捉えています。

 そして、1点目の最後なんですけれども、これは教育委員会の方がディスカッションする中でよくおっしゃっていたことをまとめたものになります。実際にアスリート、今回もアスリートですので、アスリートと申し上げますけれども、外部の人材の方が何を気にしてほしいのか、どういう経験、どういう留意をしながら学校に臨んで欲しいのかということを書いていただいています。特に、実務的にはこんなことも大切というので下に書かれているような、例えば生活のベースがその地域にあるかとか地元出身であるか、これは裏を返すと、多くの普通免許を持っていないけれども学校現場で活躍したいとおっしゃる方がいらっしゃるみたいなんです。その方々を長年、見てきた先生からすると、差し置いて特別免許を取ったからというので突然来る方を優先するというのはなかなかできないと、そういう意図があるかと思っています。ですので、その地域において積極的にコミットしていける気概があるかどうかというのは見させてもらいたいですと、そういう意図かと感じています。志望動機がはっきりしていることとか、推薦者がいるとさらに進みやすいということなどは、実務的な話としてあるかと思っています。

 ここは参考までですけれども、最終的に研修をさせていただくに際して、我々のほうで13の項目に、こういう領域は習得してきてほしいですということを分類させていただきました。例えば、上から順番に、教育者としての心構えとか、下に行って子供への接し方とか、最後は学校現場の状況の理解とか、これもかなりの回数のディスカッションと全高校へのアンケート調査を基にしてピックアップした13項目なんですけれども、これらのゴールイメージを達成した上で入職をしていただいたのが今回になります。ですので、不足している場合は、各々どこかの研修を受けてから入っていただいたと、そういったプロセスを取らせていただきました。

 それが、先ほどのページのイメージです。例えばレベル2であったら、フォローアップの1の研修はあるものとしてみなしましょうとか、そういった形で今回は勘案して入職までこぎ着けたというところでございます。実際の入職自体は、複数回に及ぶパッケージ授業みたいな形にさせていただいて、単発にならないように、科目のある単元に関しては、もう完全にこの先生で対応するという形を取らせていただいたと、レアなケースだとは現場の方もおっしゃっていました。ここまでが予算事業として、実際にさせていただいた内容の振り返りになります。

 次に、潜在的な希望者の掘り起こしのところを少し言及させていただければと思います。先ほど丹羽様からもおっしゃっていただいたとおり、希望者はいらっしゃるんですが、なかなかうまく引き合わせができていないというのも現実かと思っています。実際、我々は今回、少し声をかけただけで、オリンピアンのレベル感の人が57名ほど、すぐに私やりたいという形で声がかかったというところでございます。ですので、何らか対応することで、すぐにドライブしていくんじゃないかとは思っていますが、それには一定の課題はあるかと思うので、その課題は何なんだろうというところが、このページになります。

 まず、左上の教育委員会としては、資質、能力への懸念と温度差の危惧、予算。特におっしゃっていたのは、教育はボランティアなんじゃないのということをおっしゃる方もまだいらっしゃいます。完全なスキルのある方より多少スキルがある身内のほうがいいと、言い方はどうあれ、こういう話かと思っています。

 学校現場、先生方としては、教育のプロフェッショナルであるという自負、プライド、これはなかったら、私個人的にも最悪かと思うので、これはあってしかるべきだと思っています。当該分野スペシャリティーよりも教育者として、なので、オリンピアンとか何か英語がすごくできるという人ではなくて、教育者としての視点にすごく注目しているというのが現場です。一方で、生徒にはいろいろな経験をしてほしいですという親心的なものもすごくある。そこのアンビバレントな感情というのは常に付きまとっているような状況でした。

 外部人材、そもそも学校への参画がよく分かりません。何を見ればいいですかと。これは極めて簡単な課題かと思いますし、すぐに解消するんじゃないかと個人的には思っています。一方で、セカンドキャリアとして活用したいという希望がほとんどでしたので、要は金銭的にあまり優れていないと、なかなかセカンドキャリアにはなりづらいというところが以前から言われている問題かとあります。3点目、ボランティア精神はあるが、まず、生きていくことが重要なんですと、これは誰しもおっしゃっています。彼らは非常にボランティア精神がある方なんですが、先ほど左下の学校現場でもボランティア精神とかという話がよく出るので、そういった目でもともと見られていると、せっかく持っているボランティア精神がなぜか薄れるんですよねみたいな話もされていました。なので、ギブアンドテイクの社会とはいえ、やっていただいたプロフェッショナリティーに関しては、金銭的な報酬もそうですし、いろいろな意味で、報いてあげる必要があるんじゃないかと思っています。

 最後、保護者に関しては、これは単純ですけど、危険、不安は避けたいですという話と、教育機会は積極的に提供してあげたい。なので、外部人材というのは非常にウェルカムですと、そういった姿勢が見られたかと思っています。

 これらプラス、我々がディスカッションをしている中で総合的に考えると、ここのヘッダーメッセージに書いてあるとおり、集めることというのは、実はそんなに難しくもないんじゃないかと思っています。ただ、重要なのは、教育者サイド、外部人材サイド、どちらも主体的に選択できるような仕組みが必要なんじゃないかということが我々のメッセージとして書かせていただいています。具体的にどういうことかというと、端的に言うと、この部分です。何らかのデータベースを構築するなどして、簡易なものでも構わないかもしれません。全国共通で、ある程度プラットフォーム化して、教育委員会からではなくて現場の先生からアクセスして、自分の授業を構築できるような仕組み、例えば大学だったら、16回ある授業だったら16回中の、こことこことここは外部でやってもらいたいとか、そういう形で取り入れられる。もしくは、ある科目は全てこの先生にやってもらいたい。そういった形で、主体的に教育者が教育をデザインできるようなデータベースがあると好ましいということをここで申し上げています。

 一方で、外部人材サイドも同じです。セカンドキャリアとしていくにせよ、そうでないにせよ、自分で、この学校で私はこういう形のことをすると、こういう貢献ができるんじゃないかという思いを持っていらっしゃる方が多い印象がすごくありました。ですので、それは選択という形でかなえてあげられると非常にいいんじゃないかと思っています。ほかも、課題感というのは、おおよそ選択をするものということをつくることによって解消することは多いんじゃないかと思っています。

 最後に、少しだけ、とはいえということで、幾つか配慮事項みたいなことを書かせていただいています。これは今回の事業を通して非常に感じたことですので、少しシェアをさせていただければと思っています。まず、教員、先生、職員という呼び名への配慮がどのように必要か、必要でないかということは、私は実はあると思っています。例えば普通免許で教員と言われている先生と、非常勤だけど教員と言われている先生、これは今までは当たり前なんですけれども、実は、そこには何らかの違いとか配慮とか、呼び方の違いをつけてあげた方が、お互い自分の役割を徹底できるんじゃないかということを強く感じています。

 例えば、今回で言うと、荻田、成定という両名に対しても、学校の学生からすると同じ先生という呼び方をします。でも一方で、実際の現場の先生と、彼らがやっている授業の内容というのは全く違うものがあったんです。先生の中には、外部講師の方が優れているという見方をする方もいらっしゃいました。これは、あって別に悪いことではないんですが、実際に現場で日頃、頑張っていらっしゃる先生からすると、非常にそういうものじゃないんだよねという話にしかならないわけです。ですので、例えば呼び名を変える、ロールが違うので呼び名を変えるというのは1つ考えてもいいんじゃないかということを現場ともディスカッションしながら、ここに書かせていただいたということです。

 2点目も近しいです。呼び名が違うと、役割定義がそもそも違うと。逆もしかり。例えば普通免許ではこういう役割を担いましょうと。非常勤の場合はこうです、特別免許の場合はこうですというのを、例えば現場レベルで分かるような役割定義をすることによって、呼び名と相まって非常に効果のある全体の教育デザインになるんじゃないかということを感じております。

 最後、2つはお互いに敬意を払いましょうということを書いています。例えば、3点目の外部人材のスキルに対しては敬意を払いましょう。実際、現場でも議論になったんですが、役務提供する側と受益者の関係がボランティア関係であると、なかなかこれは長続きしないという話をずっとしておりました。なので、医療介護の話でもそうですが、診療報酬なんかでいうと、国家財政の逼迫に比例し、継続性の観点で難しい局面を迎えることもあるかと思います。

 それと同じで、何らかの財源を国から与えるというよりかは、役務者と受益者の関係性で、何らか相互に成り立つ仕組みというのを今後は考えていけると一番いいんじゃないかという話をしていました。こういった留意点も今回の事業の中にはあって、これらが解消したら、そこまで難しくなく、潜在的な希望者の掘り起こしというのは可能なんじゃないかと。それらの方々が貯められると、要は蓄積できるという仕組みができると一番いいんじゃないかということを申し上げて終わりにさせていただきます。

【加治佐主査】  吉田様、本当にどうもありがとうございました。

 それでは、ここから吉田シニアマネジャーの御発表についての質疑に入りたいと思います。御質問等ある方は、「手を挙げる」ボタンを押してください。時間は15分ほど予定しております。それでは、秋田委員と根津委員です。まずは秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  学習院大学の秋田です。大変興味深い、また、数多くの新たな示唆に数多く富むお話をいただきまして、誠にありがとうございます。

【吉田シニアマネジャー】  ありがとうございました。

【秋田委員】  その中で、2点教えていただきたいことがあります。

 1点は、今回、2名の方に事前研修ということをされたということなんですけれども、その13項目を参考に見てされていったということなんですけれども、これは研修プログラムというものを、既に御社がある種のプログラムを持っていて、それを活用してやっていったという形になるのか、その研修の内容が結局、学校に入る時のある種のマインドセットと関わってくると思いますので、そこを少し詳しめに教えていただきたいというのが1点です。

 それから、2点目としては、こういう多様な人材が入職してきた時の校長とか、学校組織のマネジメントとして、校長がどのような形で関わられたり、それから教員に説明をしたりとか校長の役割、それから校長が保護者にも理解を得る必要が出てきたんじゃないかと思うので、その辺り、学校組織のマネジメントと2名が入ってくるということとの関係を教えていただければと思います。

 以上です。

【加治佐主査】  吉田様、お願いいたします。

【吉田シニアマネジャー】  ありがとうございます。まず、1点目に関してですけれども、これは極めて今回の話では地域性にも関わるんじゃないかという話が大きく出てきました。そのため、何か画一的に、一律でこれをやりなさいということはやめようという話を、まず大前提として、しておりました。もともとは弊社が持っていた人材教育プログラムプラス、学校現場でよくやられるようなものをコンバインしたような形でやりたいなという想定をしていたんですけれども、結局、いろいろな方々からヒアリングなりアンケートなりをさせていただいて、結論としては初任者研修を一番のベースとしながら、とはいえ、役割、先ほど13の項目でこういう役割を担って欲しいというゴール設定イメージ、こういう人材に来て欲しいというイメージ、それには初任者研修ではこういう項目が足りませんというものを付加させていただいて、初任者研修をバージョンアップとは言わないですけれども、モディファイした形で研修を作らせていただいて、ある時間数にまとめてやったと、そういった内容になります。

 2点目の、多様な人材が入ることによって校長のマネジメントがという話ですけれども、まず、今回の校長の話をさせていただくと、極めてフレキシブルに動いていただいたというのが現状でした。ですので、外部から来た2名もそうですし、同じ保健体育科の先生数名もそうですし、他の中学、実は体育の授業だけじゃなくて部活動も見ていただいたので、部活動は4校ぐらいが一緒になってやっていたんです。つまりは他の保健体育の先生も含めて、そういった外部者がいるということを周知したりとか、いろいろな形でマネジメントというか、コントロールしなきゃいけないような立ち位置だったんですけれども、そこは事前に、こういった方でというのをうまく説明していただいて、スムーズに入れるような環境は作っていただけたんじゃないかと思います。

 ただ、ここからは個人的な意見になりますけれども、必ずしもそういったマネジメント業務を校長がやる必要はないんじゃないかということを校長とも会話していました。まず、校長がやるべきだと感じた点としては、保護者というか地域への説明ですとか、言い方が仰々しいかもしれないですけど、学校のブランディングです。つまり、私の学校ってこんなすばらしいことをやっているんですとか、こういうことをやっているから、子供たちにこういう生徒像として育っていってほしいんですということを楽しく見せられるかどうかというのが校長の役割なんじゃないかという話をしていました。

 一方で、現場レベルでそういう外部人材が入っているとか、実際の体育の先生と外部人材の仲がよくないんじゃないかとか、そういった話は多分科目ごとのリーダーを決めて、そこでコントロールさせるというのが、一番現場が見えるという意味ではいいんじゃないかという話で落ち着きました。

 このような回答で回答になっていますでしょうか。

【秋田委員】  とても示唆に富む回答、ありがとうございます。

【吉田シニアマネジャー】  ありがとうございます。

【加治佐主査】  根津委員、お願いいたします。

【根津委員】  早稲田大学の根津です。御発表ありがとうございました。興味深く拝聴しました。

 1つ確認なんですけれども、スライド番号の4のところで、入職という表現が用いられているわけです。御発表を通じて、教育公務員の採用という側面があまりなかったという気がするのですが、辞令交付ですとか、そういう行政上の手続きはどうだったのでしょうか。お答えいただければと思います。

【吉田シニアマネジャー】  ありがとうございます。今回は言わずもがなですけれども、正規の普通免許での教員課程ではありませんので、なかなかその辺が非常に、どこまでやるか、どこまでやらないかというのが難しかったのが実際です。

 ただ、辞令のような形で、学校及び教育委員会のほうから、この科目で当該次元における講師として招聘しますという形の儀式的なもの、及び書面での手続きというのは取らせていただいたというところです。

【根津委員】  そうしますと、非常勤講師のような扱いになるんでしょうか。その辺りはいろいろ細かいことになりますけれども、御回答ありがとうございました。

【吉田シニアマネジャー】  今回に関しては、まさにそうですね。非常勤講師という取扱いをさせていただきました。実は、今年、特別免許の付与というのもトライしようとしたんですけれども、なかなかテストがあったりですとか、付与するまでに少し時間がかかったりですとか、あとは特別免許だと少なくとも3年ぐらいは、その土地に住んでもらいたいという当たり前のような条件がついてきてしまって、1名の方は3年ぐらいだったらとか5年ぐらいだったらという話もあったんですけれども、なかなかそれを即断できなくて、結局、特別免許に近しいんだろうけれども、非常勤でやらせてくださいという話で落ち着いたというのが裏の話としてはあります。

【根津委員】  裏の話を含め、ありがとうございました。

【加治佐主査】  臨時免許状が出たということですか。

【吉田シニアマネジャー】  すいません。

【加治佐主査】  免許状は、厳密に言うと非常勤講師は免許状が要るんですけども、特別非常勤講師ということですね。

【吉田シニアマネジャー】  そうですね。特別非常勤で対応しています。

【加治佐主査】  分かりました。特別非常勤、分かりました。

 よろしいでしょうか。もう深夜ということで、本当に御無理をお願いしておりますので、本当にここまでにしたいと思います。吉田シニアマネジャー、本当にいろいろ考えされました。特に最後におっしゃったこと、いいかげんにしないほうがいいと、ちゃんとやったほうがいいということだと思うんです。簡単に教師にしてはいけませんということだと思います。それはよく分かりました。ただ一方で、外部の方も教職に就いていただくということも促進しなきゃいけないので、そこのバランスだと思います。本当に示唆に富む御発表をありがとうございました。どうぞお休みください。どうも本当に申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

【吉田シニアマネジャー】  ありがとうございました。お先に失礼させていただきます。

【加治佐主査】  ありがとうございました。

 それでは、続きまして、東京都教育庁の人事部選考課の荒木課長、よろしくお願いいたします。

【荒木課長】  東京都教育委員会の私、選考課長をしております、荒木と申します。本日はこのような場をいただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。

 私の方は、教員の免許の方を所管しておりますのと、正規教員の採用の方を所管しております。本日は、特別免許ほか、外部の方が学校に入ることにつきまして、直接、私が所管していない事業もあるんですけれども、その辺も含めて少し御案内をさせていただきたいというものであります。それでは、資料のほうを共有させていただきます。

 それでは、特別免許状に関する取組についてということでお話を始めさせていただきたいと思います。まず、都における特別免許状の授与の状況でありますけれども、検定の実施回数は、先ほど文部科学省さんのほうからのお話もありましたけど、私どもの方は年間3回です。4月、9月、1月と、要は1学期、2学期、3学期に合わせてということであります。ただ、今回、文部科学省さんからの指針の改定等も受けまして、必要な場合、随時も可能と改正はさせていただいております。

 これまでのところは、大体年間50件程度で推移してきています。その上で、大体申請については私立学校がほとんど、そして、教科については外国語が非常に多いです。大体ALTとか、そういう方が免許を持って授業をするといったことを希望するパターンが非常に多いです。

 それで、先ほど申し上げましたように、特別免許状の申請についての所感を少し述べていこうと思うんですけれども、基本は4月の需要が非常に多いです、年度初めです。こちらは数年分のものを、東京都教育委員会の授与状況を示しておりますけれども、29、30、31年度ぐらいまでは、1月もそれなりにあったんですけれども、この数年間は、どちらかというと4月の方に合わせて皆さん申請してきていると思います。何だかんだお話を聞くと、4月から雇用をされるということで、そこに間に合わせるというのが基本のようでありますので、それが多いのかと思います。

 それで、今回、4月に発行するものですけど、65件ということで結構多いんです、今回は。何でかと思うと、指針改定の影響が少しあるのかとは思います。内容的には、実は語学のほか、もう一つバカロレア的なものが結構多いです。指針の説明は本日、ないのかもしれませんが、指針のほうで免許を出せるということの基準自体を少し変えたものと、それからもう一つ、特別非常勤講師などの御経験がある方については書類審査で出せますという形もありましたので、その辺は多かったです。その中で、初めましての人というよりは、大体学校さんで特別非常勤講師、もしくはALTの助手、何らかの形で学校のほうに関わっていて、学校の校長先生もお人柄から実力まで分かっているので、今回、特別免許を出させたいんだということが非常に多かったと思います。

 これも先ほどのお話がありましたけれども、小学校の割合は非常に低いです。中、高、これがどちらかといえば高くて、外国語が大多数だと。私の、これはあくまで所感でありますけども、先ほどトーマツ様の御意見にもありましたけれども、特色ある学校づくり、この観点で御利用されているところが多いのかと思います。

 また、さらに言えば、外部の力の活用が教育効果のさらなる向上、今の普通免許を持ってやってくださっている方たちよりも、さらにメリットが上乗せで出てくるというところに、そのように考えられるところに学校さんが申請をしてきているのかと。ですので、あくまで学校が特定の目的を持って活用している、すなわちニーズがあるところに使ってきているんだと感じます。

 ここからは外部の方との、学校のニーズと外部の力のマッチングということで、少し私どものやっていることを御案内させていただきたいと思います。私どもの中では、社会の力活用事業と言っているんですが、実は令和3年度、今年度の新規事業で、都独自に行っているものがございます。目的と概要を申し上げますと、教育の質の向上及び教員の負担軽減ということで、概要としては、区市町村教育委員会さんに教員免許を持たない優れた知識、経験等を有する社会人を小学校において活用していただこうというもので、特別非常勤講師制度、これはどちらかというと、小学校はあまり使うパターンがあまり想定されておらず、あまりその印象がないと思いますけれども、特別非常勤講師制度を活用して、外部の方を入れませんかと。その時に私どもも実は、先ほどのトーマツさんと同じように、任用前に都が研修を実施いたしまして、それで研修が終わった方を区市町村のほうに御紹介するという形になります。都が外部人材を、今申し上げたように紹介をして、任用に係る費用、これについても全額都負担ということになります。

 実施状況としましては、都から区市町村に対して、小学校3、4年生の外国語活動というところで入れてみました。ここでは客室乗務員の方とか通訳の方など、こういった方々がいらっしゃってくださいました。こういった方、今年は特別非常勤講師制度を使って、教科の領域の一部を教えていただきましたので、その上で、適性がある方もいらっしゃるということであれば、それらの専門性に応じた特別免許状の授与についても、今後、検討していきたいとは思っておりますが、現時点で、ここがもうすぐにという状況にはまだないです。今後の検討ということになるかと思います。

 それから、2つ目であります。教員免許の取得者の少ない教科というものも実はあります。これは全国のお話で、文部科学省さんの資料に出ていますけれども、免許外教科担任、こちらで実は、特に中学校で見てみれば、全部で6,600件あるうちの4,000件は技術と家庭科であります。これらについて、これも文部科学省さんの発表の中にも少しありましたけれども、予算が限られている中で授業のコマ数が少ない教科の教員を雇用できないということだとすれば、それはもう対応策は財政的な措置を取っていくしかないわけであります。それとも、そもそも教員免許を持つ人が少ないのかということであれば、ここの対応策は、免許所持者を増やすための取組となるだろうと考えられるわけでありますが、ここに特別非常勤講師なり、特別免許ということも考えられるかもしれません。

 これは文部科学省さんの資料なんですけど、要は中学校の教員免許の授与件数なんですが、小さいところ、非常に件数が少ないところですが、これを拡大しますと、技術と家庭、保健もあるんですが、これは保健体育のほうで大体カバーしますので、ここはあまり気にしなくていいんですけれども、技術と家庭、特に技術です。技術は、一般の教科の、例えば国語で言うと、年間で5,000件以上の教員免許が発行されているのに対して、全国で、これで見ると恐らく1,000もないです。七、八百ぐらいじゃないかと思いますけど、それだけ持っている人が少ないと。この辺りなんかは、恐らく工学部とか、そもそも教員免許の課程を持っている大学さんも少ないですから、卒業生もおのずと少なく、そして工学部なり何なりですと、一般企業のほうの就職にも結構流れてしまうかという気はします。

 それから、もう一つ、教科の範囲と学校設定教科、科目の範囲のミスマッチというお話があったと思うんですが、これは実際あります。例えば、私どものほうでも環境系の学科のある、いわゆる専門学科高校、こちらのほうがよく出てくるんですけれども、ここで教えるのは工業高校ですから、当然教員の免許は工業となるんですけれども、実際に学校設定教科で、今は例えば環境科学とかバイオ、こういったことを教えることになりますから、工業というと、普通に電気だったりとか建築だったりとなってきてしまうと、当然、これは、免許は持っているけど逆に教えられないといいますか、苦しい状況になります。現行は免許外教科担任の特例で、所持している免許と関連性の高い科目を教示するといった形でお願いをしておりますけれども、こういったところなんかは、なかなか現場として、必要な人材が欲しいけども、なかなか大変だというところはあるかと思います。

 そういったところに対して、我々も、私立学校さんも公立学校も、特別非常勤講師制度を使ったりしています。今回は公立のところでお話をしますと、公立学校においても、特別非常勤講師制度自体は小学校、中学校なんかはあまりいないんです。高校だとぐんと上がるんです。かなり数目としては多いです。この中の、特に届出が多いものは何かというと、学校設定教科とこの辺の、要はこの形です。学校設定教科と、それから、いわゆる専門学科の話と、あとは語学なんです。ただ、学校設定教科も中身をしっかり細かく見ていきますと、語学系、外国語系です。それから、専門学科といったものが結構多いです。ですので、この辺りのところに外部の力を借りて云々ということはもう既にやっておりますので、ここの辺りで何かしら免許の部分で次の部分を考えるというのはあるのかもしれません。

 それから、最後に、社会経験者の受験者増へ向けた取組、これは正規の教員の採用についてでありますけれども、私どもも先ほど、そもそもの本日のコンセプトとして、外部の方を教員として迎え入れるということになりますので、それが先ほど議題にあった特別免許なのか、それとも非常勤講師として入っていただくのかということと、もう一つは正規ということになると思います。正規については、生涯雇用と、合格すれば一生雇用ということになるわけでありますけれども、そこに対して、各地方自治体さんは社会人を対象とした選考を行っておるんですが、東京都としましては、今年から少し受験者増へ向けて、受験資格を緩和してみました。何かというと、通常は教員免許を持っている人、もしくは次の4月1日には確実に免許が取れる人、普通は大学の4年生を想定するわけですが、そういった方にのみ、受験資格が与えられます。基本的には、合格したらすぐ学校に入ってもらって働いてもらうことが前提だからです。ですが、教員免許を保有しない社会人について、選考に合格した翌年度から2年以内に免許を取ってくれということを条件に、受験資格を認めますと。要は、採用候補者名簿に登載が決定してから免許を取得する、すなわち転職しようか、どうしようかと思っているんだけれども、実際、免許を取るときに教育実習とかそんな形、その辺りになってくると、会社を休まないと免許を取れないとなりますので、ただ、免許を取りに会社を休む、もしくは辞めるということになってしまった後に、でも、教員採用選考に合格するかどうかがまだ分からない段階で、そこまでのチャレンジができないという方もいらっしゃるかと思いましたので、であれば、先に受験をしていただいて、能力のある方であれば先に受験して、合格して、教員になる有資格者となっていただいてから教員免許を取っていくのもいいですというのを、今年、新たに始めてみたところであります。

 駆け足でございますけれども、私からの発表は以上であります。ありがとうございました。

【加治佐主査】  荒木課長、どうも本当にありがとうございました。

 それでは、事務局の説明の分も含めまして、質疑応答をお願いしたいと思います。「手を挙げる」ボタンでお願いします。手が挙がってこないですね。それでは、松田委員、お願いいたします。

【松田委員】  ありがとうございます。松田でございます。東京都の荒木課長に質問です。まず、授与件数が、例えば直近だと65件という話もありましたが、これは申請そのものの件数は同等の65件、つまり申請があるものについては通しているのか、通過率についてお教えいただきたいと思っています。

 もう1点が、私の理解のためになんですが、社会の力活用事業の御説明のところで、都が外部人材を紹介されているという話がございましたが、これは都が積極的に人材のプールを持っていて、そこから市区町村教育委員会に紹介できる人材を案内されているのでしょうか。またその際、特別免許状を付与できる専門人材という案内の仕方をされているのか。さらに、この座組だとすると、プールそのものをどういった形でアウトリーチして集めているのか、それは積極的に採用ページで載せているのかですとか、あとは、人材紹介会社との連携があるのかですとか、客室乗務員の御紹介もありましたけど、ここはどこかのエアライン会社との積極的な連携を行っているのかなど、この辺の座組について、もう少しお教えいただけたらと思いました。

 以上でございます。

【加治佐主査】  荒木課長、よろしくお願いします。

【荒木課長】  どうも御質問ありがとうございます。まず、申請数と授与した件数ということでありますけれども、これは基本一致しています。私どもも当然ながら、私学さんも含めて、学校さんには教員免許として、特別免許の授与の基準なり何なり全部お送りしてありますので、こういう基準で授与しますということをはっきり伝えてあります。ですので、それに見合う形で基本的には申請が来ます。たまに少しずれている方もあるんですが、ですので、申請と授与の件数は、ここは一致しているかと思います。これが1点目であります。

【松田委員】  そうですか。1点目に追加でお伺いしたいんですけれども、その場合に、例えば65件であれば、これはほとんど学校からの申請ということでよろしいですか。もし、市区町村教育委員会からも上がってきているとすると、その割合を教えていただいてもよろしいですか。

【荒木課長】  基本的に、こちらはまず、特別免許の制度が任用、雇用したい学校長からの推薦ということになりますので、すなわち雇用することとセットです。よって、こちらについては、先ほど申し上げたように、ほとんど私立です。区市のほうは今回なかったと思います。区市はほとんどあまりないです。都立学校、公立学校等でもたまに来るんですが、公立学校では、割とバカロレアの教員として活用したいということで、日本の教員免許を持っていない方を持たせたいということでお話が来るんですが、その時も基本は学校長ということになります。

 これが1点目です。1点目については、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【松田委員】  大丈夫です。ありがとうございます。

【荒木課長】  ありがとうございます。それから2点目の人材のプールということでありますが、端的に申し上げてしまいますと私どものほうでプールをしました。これが結論であります。

 では、そうすると、どのようにプールをしたのかということになるかと思うんですが、これ実は直接、私が所管していないので、細かなところは、足りなかったら後でまとめて確認の上、御回答いたしますが、まず、1つ目は、私どもは東京都のホームページで、私ども自体が告知をして募集を行ったというのが1つです。それから、もう一つが、文部科学省さんのほうでも、コロナの時に人材バンク的なこともやっていらっしゃいましたので、そちらにもお話をしまして、該当しそうな方については御紹介を受けております。それは客室乗務員の方なんかも御紹介を受けたと、たしか聞いたかと思います。

 それから、もう一つが、私ども東京都教育委員会は、外部人材の、いわゆる外部人材等を活用して学校現場を支援するための専門の組織、外郭団体のほうを1つ持っておりますので、そちらのほうである程度、今回のケースに限らず、いろいろスクールサポーターなり、部活動指導員なり、いろいろな支援をいただく人材をバンクとして登録していますので、そのバンクの中にも、こういった事業があるのでやりませんかというアナウンスをさせていただいて、そもそも持っていたバンクの中から、今回の件に見合う方を、さらにこちらのほうへ誘導、入ってきていただいたと、そのような形であります。いかがでしょうか。

【松田委員】  ありがとうございます。ちなみに、紹介先の市区町村教育委員会の反応や、実際に勤務後の教育成果みたいなものは図られているんでしょうか。

【荒木課長】  いわゆるエビデンスなり何なりの教育の成果というものが、ビフォーアフター等云々というのは、残念ながら、申し訳ございませんが、定性的な形になるかと思います。ですので、その点については、学校さんからはおおむね好評であったというお話を聞いていますのと、それから、これでよかったと思ってくださっている学校さんなんかは継続していると。実はこれ、今年度やって、来年度も実はやるんですけれども、そこについて継続のお話をいただいておりますし、また、自治体さん、それから手を挙げてくださる学校さんのほうも増えているというように聞いております。そんな感じでしょうか。

【松田委員】  ありがとうございます。

【加治佐主査】  それでは、荒瀬委員、お願いいたします。

【荒瀬委員】  ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。よろしくお願いします。

【荒木課長】  よろしくお願いします。

【荒瀬委員】  ありがとうございました。質問を1点させていただくのと、あと、大変申し訳ありませんが、中座しなければならなくなりましたので、意見を1つ言わせていただきます。

 まず、質問をさせていただきます。最後の4番の社会人経験者の受験者増へ向けた取組ということで、東京都が今度新たにこういう形を取られたということですが、教員採用選考に合格した翌年度から2年以内と、その間、採用された方というのがどういう状況かというのが分からないわけですけれども、実際に例えば企業に勤めておられて、その2年のうちに教員免許を取ればいいということなんでしょうけれども、これは、そういう時間的に余裕を持たせることによって、受かるかどうか分からないのに仕事を調整して免許を取りに行くよりも、受かってから調整するほうがたくさんこられる可能性が高いと思われた根拠というんでしょうか、例えばそういう声があったとかといったことがあって、このような形になさったということですか。そういうことを御質問したいんですが。

【荒木課長】  ありがとうございます。ここの部分について、具体的にそういった声というのは、正直言うと、こういうものについての市場調査はなかなかできないので難しかったです。ですので、仮にといいますか、少し聞こえてくる感じからすると、そういう人がいるんじゃないかという我々の中での議論で、であれば、まず、チャレンジをしてみようかとは思っております。

 こちらは、要は名簿延長制度になりますので、それほど大きな変更をしなくても対応できることになりますので、これで、まず、そういう転職者の動向等を少し見ていこうかと思っています。

【荒瀬委員】  ありがとうございました。今のお話と関わることで申し上げると、多分いらっしゃると思います。

【荒木課長】  ありがとうございます。

【荒瀬委員】  現に私、高等学校の校長をしていたんですけど。

【荒木課長】  そうですよね。

【荒瀬委員】  私の学校に来た人は、なぜ京都市を受けたかというと、免許がまだ取れていなくても採用試験の受験資格があるからだと。ただし、採用する時点では免許が取れている必要がありますが。そういうことであったので受けたと言っていました。ですから、持ってからでないと受けられないというのと、持っていなくても受けられるというのは随分違うんだというのを、受験する人からすればあるんじゃないかということを思います。

 ということと、もう一つ、3番のところで書いていらっしゃったことにも関わるんですけど、これは私の申し上げたいことなんですが、特色ある学校づくりのために、学校が呼び込むということがあるんだというお話をなさったかと思うんですけれども、これは逆もあるんじゃないかということ、特色ある学校づくりのために呼び込むことがあるかもしれないというお話なんですが、特色ある学校が、結果的に採用試験を受けようと思う人の目に触れる、言い方がまずいですかね。ある専門的な仕事に就いている人が、その仕事の関連で知った学校が、極めて研究的な内容を持った取組をしているということを知って、なら自分の今やっている研究を高等学校というところでやってもいいんじゃないかと思って受けるとか、あるいは、そういう取組が小学校でもできるんじゃないかと思って受けるとか、といったことも、あるんじゃないか。だから学校が意識して集めようと思っているんじゃなくて、学校の中で取組が行われ、教師が自分の学びを深める機会が用意されているということを知ることによって、ならそっちに行ってもいいんじゃないかと思うようなことがあると。

 これは、前回の会議でも申し上げたことと関わるんですけれども、すいません長くなって、教特法の22条2項にあるような、そういうまさに自分がやりたいと思うことを上司に言って、所属長が認めたら、外でも研修をすることができるといった、そういったことが教師を考えてみようかと思う人を増やすことにつながるんじゃないかということを、改めてまた申し上げたくて発言いたしました。ありがとうございました。

【荒木課長】  ありがとうございました。

【加治佐主査】  ありがとうございました。いかがですか。木村委員、お願いします。

【木村委員】  長崎大学の木村と申します。よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。御説明にもあったように、特別免許状は採用を前提として申請をされることが多いんじゃないかと思います。

 今の荒瀬委員との話を伺いながら、4番の件についてなんですが、既に東京都では実施されているかもしれないんですが、社会人経験者の採用の枠のところで、例えば特別免許状の検定と重ねたような形をつくって、合格すれば、特別免許状で対応するなどのお考えをされているのか、教えていただきたいんですが。

【荒木課長】  まず、現状につきましては、特別免許の授与を前提とした採用選考については実施していないというところであります。今後についてということになりますと、現時点では、実は何とも未定です。特別免許を前提とした採用選考をやるかどうか、その検討を行っているかどうかというと、現時点では、まだそういったことはないです。

【木村委員】  私の浅はかな考えかもしれませんが、特別免許状を前提とした採用試験をするということになれば、広く一般の方に、例えば、特別免許状の趣旨とかいろいろなことが伝わりやすいということを考えたものですから聞いてみました。

 併せて、例えば合格されて2年以内ということなんですが、こういう2年以内の中で優秀な方が仮にいたとして、特別免許状を与えるとか、もちろんそういう条件にかなった場合という前提なんですけども、この辺りというのもどうなんでしょうか。

【荒木課長】  ありがとうございます。正直に申し上げてしまうと、まだそこまで、ここに特別免許が入ってくるというのは想定といいますか、そこまでのことはまだ考えておらなかったというのが正直なところであります。ですので、ただ、採用選考において、たしか私どもの要件は、細かなところは忘れてしまいましたけれども、普通免許状になっていますから、少なくとも今年について、特別免許という形にはしていないです。今後、そういったところを含めて考えるかどうかというのは、先ほどと同じなんですが、まだどちらとも考えはまだ持っていないです。

【木村委員】  すいません、曖昧な質問をしまして、話題が特別免許だったものですから、それと今回の御説明と重ねて質問させいただきました。私からは以上です。

【荒木課長】  ありがとうございました。

【加治佐主査】  手が挙がっていないですね。今の、私が間をつなぐためにお聞きしますけど、最後のところですけど、4番なんですが、特別免許状を私もこれは前提にしているのかと思ったんですが、必ずしも、まだそのように決まっていないということですよね。普通免許状でもいいということですよね。

【荒木課長】  はい。どちらかというと.....。

【加治佐主査】  そうすると、教員を養成して普通免許状を出す側からすると非常に気になるんです。つまり、これまでの常識として、普通免許状を取得した者を対象に教員採用試験を行うと。つまり、大学での学びが前提になっていて、その上で採用試験の問題とか、そういうのが作られるという考え方をしてきたわけです。これは逆で、要するに、しっかりした方というか、教員に適している方をまず選んでおいて、後から教職に必要なものを見に付けてもらおうという考え方かもしれませんが、これは採用試験の問題というのは同じなんですか。普通免許状を持ってこられる方と同じですか、採用試験の問題。

【荒木課長】  こちらは同じになります。ですので、最初はまだまだハードルが高いかとは思っておりますけれども、既にそういった、優れた教職の理解なり何なりを持っている方であるのであれば、当然ながら、我々の正規と等しいものを超える、等しい能力をお持ちなのであれば、あとはもう免許を持っていないだけということであるならば、先ほど教職特別、すいません、名前は失念しましたけれども、あの課程もありますし、もしくは私どもは、実は普通免許については、1種も2種も特に差は設けておらないんです。ですので、学士の方で入っていただいて2年で頑張って取っていただくということを念頭には置いています。

【加治佐主査】  分かりました。それでは手が挙がっておりますので、お願いいたします。根津委員、中原委員、松田委員です。まずは、根津委員からお願いします。

【根津委員】  早稲田大学の根津です。東京都さんの御発表に対してというよりは、頂戴した資料についての意見を3点ほど述べさせていただきたいと思います。

 今回の御発表の意見は、主に中高で教科や科目の専門性というところが議論の中心だったかと思います。資料1-1なんですけれども、こちらの9ページにありましたように、高等学校で教科ではなく科目、科目別の免許状というのは1つの対応策になるかもしれないとは感じました。ただし、雇用形態として細切れになる場合が心配でして、授業時間のみを担当する非正規雇用の教員が増えるということになりますと、結果的に管理業務や専任教員の負担というものが増えないかというのは気になるところです。生徒との関わりについても限られるだろうと思います。

 関連して、別の方向もあるかというのが2つ目なんですけども、1つは特定の教科ということが今は前提になっているわけですけれども、教職のみの部分で特別免許状にはできないのかということを考えています。特に授与件数が少ないと先ほどありました特別免許状について、小学校の場合は教科の専門性もさることながら、学校や子供のことがある程度分かっている。もっと具体的にいえば、休み時間に子供と遊べる大人というのが必要なところではないかとも感じます。

 最後ですけれども、資料1-1の26ページのところにあります。ほかにもあるんですけども、高等学校の教員資格認定試験というのは休止状態と資料の中にはあったかと思います。参考資料のほうですけれども、これを中高で復活させるというのも1つの策ではないかと思います。あわせて、資料1-1、こちらの参考資料にもありますように、現存する幼稚園、小学校、特別支援の免許を含めてですけれども、受験要件の緩和、あるいは大学で取得済みの単位による読替えというものを積極的に検討されてはいかがかと思いました。

 以上です。

【加治佐主査】  ありがとうございました。事務局の提案に対する御意見だったと思います。また時間がありましたら、事務局からのほうからお答えいただきたいと思います。

 中原委員、お願いいたします。

【中原委員】  今日ありがとうございました。今回のテーマが多様な専門性を有する質の高い教員集団の在り方ということなんですけれども、全般的にお話をさせていただきたいと思います。

 私は教育畑に今はいないので、民間企業の観点からお話ししますが、民間企業を辞めてセカンドキャリア等々で学校に関わりたいという人は少なくないんじゃないかと思うんです。外部人材を登用して、教員集団を多様にするというのは、それはいいんですけれども、これは手段だと思うんです。目指す目的が2つ混在している気がしていて、目指す目的の1つ目としては、外部人材を活用して多様、特色ある学校づくりをしたいということです。これに関して言えば、ある意味で、免許とかそういうハードな制度に触れることなく柔軟で、運用で対応することもできるんじゃないかと思うんですが、つまり、外部人材に登壇してもらって、目的を達成して、教員と連携していけるような、なるべくハードルを低くする仕組みを導入したほうが、話が早いんじゃないかと思います。1つはお話にもありましたけれども、人材プールとかフィルターとかマッチングとか評価の仕組みをつくるということだと思うんです。

 もう一つ、混在しているように感じるのは、人手不足の対応ということだと思うんです。それであるならば、社会人が働きながら何らかの夜間や土日で学び直して免許を取得して教壇に立てる仕組みをつくる。例えばオンラインを活用するとか、いろいろなやり方があるんじゃないかと思うんです。要するに、私が言いたいのは解くべき課題は何なのか、今のここで議論しているのは何の目的なのかというのがいまいち分からない、クリアじゃなくなったと思いました。

 以上です。

【加治佐主査】  分かりました。それでは、松田委員、お願いいたします。

【松田委員】  ありがとうございます。事務局に冒頭、御説明いただいた資料についてコメントさせていただきたいと思います。

 本当に論点がとても整理されていて、課題と対策が網羅されていると感じましたが、いまだ突破しきれていないと感じたのが、都道府県教育委員会が特別免許状を付与するハードルというか、どうしてもリスクとして感じてしまうところがあるんだろうと思っていて、そのリスクを少しでも、さらに軽減できるような措置というか、取組をぜひ御検討いただきたいと思っております。

 1つは、例えば特別免許状を一度付与されてしまうと、実質普通免許状と同じような効力や意味合いを持つということもありますので、こういったところの性質も付与ハードルを高めてしまう1つのポイントだと思います。そこに対して、例えば特別免許状の仮免許状みたいなものを付与して、この中で1年、ないしは2年間のパフォーマンスをしっかりと評価をして、それをある一定基準をクリアしたら、正式な特別免許状の付与を行う事を検討いただくことはできないのだろうかというのが1点です。

 もう1点が、東京都の事例にもあるように、特別免許状の付与を前提として、何かプールづくりみたいなものを国が主導することができないだろうかというところで、ただ単にプールをつくるというところのみならず、例えば教職員支援機構のような独立法人が特別免許状を付与する、都道府県が今、付与権限を持っているような権限を持ってライセンシングをして、そこのプールで各都道府県教育委員会がそこにアクセスをして、人材を採用しに行ったりだとか、もしくはプールから全国の都道府県、教育委員会に御案内をするというものがつくれないだろうかというところも御検討いただくのはどうだろうかというところです。

 あとは、もう一点、ニーズを一番把握しているのは、市区町村教育委員会の教育委員会だと思うんです。都道府県だと、なかなか現場との距離感があるという中で、市区町村教育委員会が特別免許状の付与をさらに依頼しやすい仕組みを考えたいですね。それ以前に、市区町村教育委員会は積極的に都道府県教育員会に特別免許状の付与依頼をあげて良いんだという認識を持っていない気もします。特別免許状付与の通達を都道府県教育委員会ではなく、市区町村教育委員会に積極的に通達を出すような試みにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 以上でございます。

【加治佐主査】  ありがとうございました。それでは、貞広委員、お願いいたします。

【貞廣委員】  千葉大学の貞廣です。大変東京都の教育委員会さんから非常に示唆に富む御提案をいただきまして、ありがとうございます。また、事務局が御提案くださった資料も今、松田委員もおっしゃったように、非常に整理をされていると思います。

 その上で、先ほど中原委員もおっしゃったように、私も複数の課題が混在しているのを交通整理しないで、一気に全部解決しようとしているような感じがしていて、少なくとも中原委員がおっしゃったような教育活動の多様化に対応していくのか、それともそもそもの人材不足に対応していくのかということによって処方箋が異なってくるんだと思います。その時に、今日、若干実は私、暗たんたる気持ちにさらになったんですが、中高に関しては、何となく同時にもできるかもしれない。特別免許状の在りようであるとか、松田委員が御提案くださったような仮免許状というような新しい在り方を導入したりすることによって、何か対応することができるかもしれないんですけれども、徹底的に人材不足である小学校教員は、免許取得のハードルも高ければ、もうどうにもならないんだという感じがしてしまいました。

 ですから、特別免許状が付け焼き刃とは言わないんですけれども、もっと別の在りよう、中高と対策は全く違うんだということを革新的に今日思って、暗たんたる気持ちになったわけです。そうした時に、非常に免許を取りにくいので、1つは潜在教師、潜在看護師にならぬ潜在教師に小学校の免許を取っていて、今、教職に就いていない方々にどうアピールしていくかというのが一番最初の道なのかと思います。1度は教師を志し、非常にハードルの高い小学校の免許を取り、その免許を使わないでいる。でも、教育に興味があるという方々をどう引きつけていくのかということを、小学校の場合は相当現実的に構想していかないと、この問題は解決できないのかと、今までもそう思っていたんですけど、今日、さらにそのように思うようになりました。

 以上、意見です。

【加治佐主査】  ありがとうございました。よろしいですか。これから事務局に可能な範囲でのお答えをいただきますが、私が思っていたのは、多様な背景を持つ質の高い教職員集団をつくるということで、今日の議論は、要するに、外部からできるだけ正規教員を迎えたいということじゃないかと思います。外部人材は、もちろん特別非常勤講師とか、その他の形でも活用できるのかもしれませんが、特別免許状、場合によっては普通免許状をもって正規の方だと私は捉えていました。それが正しいかどうかは分からないんですが、それで、事務局のほうはいかがですか。可能な範囲でお答えいただければと思うんですが、多岐にわたりますので。根津委員からだったですか、中原委員、松田委員、貞廣委員までのご意見・ご質問ですね。

【丹羽教員免許企画室専門官】  事務局、免許室の丹羽です。根津委員、中原委員、松田委員、貞廣委員、御意見というか御質問も含めてありがとうございました。

 先に中原先生と貞廣先生のほうから御質問があった目的、座長のほうにも今、補足をいただいたんですけれども、資料のつくりが手段のほうから入ってしまったので分かりづらくなってしまったのかと思っているんですが、メインとしては、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方ということで、入れてくるということなので、人手不足のほうも特色ある学校づくりのほうもどちらもあるのかとは思っています。ただ、メインとしては、特色ある学校づくりのほうでして、特別免許状自体の制度が導入されたのも、専門的な知識、経験を有する方を学校現場にもっと入れていって、教職課程だけではなくて、民間やほかの社会全体を見た方が現場に入ってくるということをもっと促進していくべきじゃないかという理念の下につくられた制度ですので、そういった制度を活用して、もっといろいろな多様な方々が学校現場に参画することで、よりよい教育を実現していく。それは、ひいては特色ある学校づくりのほうにつながっていくということを、念頭に置いているものだと思っております。

 その中で、幾つか御意見いただいているものの対応策として、示唆に富むというか、今後、引き続き検討していかなきゃいけないかなという事項として今、幾つかいただいているんですけれども、例えば、根津委員のほうからいただいている、中高でもう一回教員資格認定試験を復活させる、これは選択肢としてはあり得るかなと思っておりまして、今回、事務局の資料の中でも説明させていただいていますけれども、まずは情報という不足しているところから始めていって、これをどんどんこれから拡大していくということも1つ検討の課題にあるんじゃないかと思っています。

 一方で、これは所感になってしまうんですけど、例えば教職部分だけの免許となってしまうと、冒頭にも御説明させていただいたんですが、普通免許状の教職課程自体がかなり教職に特化しているようなものになっているので、普通免許状との差がなかなか見えづらいので、普通免許状と特別免許状の差をいろいろと見極めながら、そういった在り方というのは検討していかないといけないかなと感じた次第でございます。

 あと、松田先生のほうからも、幾つか在り方としていろいろと御意見をいただいているところなんですけれども、仮免許状みたいな仕組みとおっしゃっていただいているところに関しては、現行制度を仮に使うのであればというところになるんですが、指針の中にも、特別免許状を活用するために、まずは特別非常勤講師という形で、転職という学校現場に入るスキームではなくて、少しずつ学校に関わるやり方の中から特別免許状に発展させていくということを示しているので、これが実質、仮免許状みたいな形に近いのかとは思っておりまして、そういった仕組みを活用しながら、特別免許状のほうを徐々に拡大していくと。今日、東京都さんの御説明の中にもあったんですけれども、指針の改訂された後に特別免許状の授与件数が増えたというところの中には、特別非常勤講師からステップアップした特別免許状というのもあったので、実質そういう使われ方自体が実態の中で出てきているのではないかと感じた次第でございます。

 あとは、免許状の授与のところは、これは法律上の立てつけがそうなっているからみたいな堅苦しいお答えになってしまうんですけれども、都道府県教育委員会が授与するという形になっていますので、ただ、授与するときの要件の考え方を国のほうでも指針で示していますので、国のほうが、ある意味、一種主体的にというか、関わっていくような在り方というのも考えられるんじゃないかと思っています。

 あとは、貞廣先生から御意見をいただいているような形で、確かに小学校段階に対するアプローチというのはかなり難しい、特別免許状を解としてアプローチするのはかなり難しいかなとは我々も思っているところなんですけれども、一方で、小学校段階における特別免許状の授与ということ自体も、複数教科授与することができたりとか、あとは教科担任制という形で専科教員で入られている先生方から徐々にアプローチしていくということも考えられるのではないかと思って、今回、事務局の資料の中には少し入れさせていただいているような状況になります。

 ただ一方で、そういう特別免許状に限らず、潜在的な教師と、まさに御意見いただいているように、いろいろいらっしゃるので、こういった方々が一定程度、ブランクが空いているのであれば、今回の標準的なモデル研修コンテンツみたいな、国のほうで準備していくべきじゃないかという意見出しもさせていただいていますけど、こういったものを活用して、一旦免許は取ったものの、社会に出た後にもう一回教職を目指したいという方が、その研修を一定程度受けて入ってくるというスキームも、引き続き検討していきたいと思っております。

 事務局からは以上になります。

【加治佐主査】  ありがとうございました。もう少し時間がありますが、何か皆様のほうでございませんか。では、松木委員、お願いいたします。

【松木委員】  松木です。特別免許状の役割は何なんだろうと思いながら聞いていたんですが、特殊な能力のある方に学校に入っていただきたいという目的が1つ大きくあるんじゃないかと思います。もう1点は、地方の学校にしてみますと、Uターン、Iターンとして、学び直しの視点から地方で先生になりたいという方をサポートしていく仕組みとしてもありだと思います。

 そう思ったときに、教員養成に携わる大学としては、そういった希望者の方に学び直しを提供するような仕組みみたいなものを新たにつくっていくということも必要になるのかと思っていたわけです。ただ一方で、そう考えれば考えるほど、先ほど貞廣先生の話ではないですが、教員養成の中で先生を目指してきている学生が、6割とか7割しか先生にならない、そういう方たち、そこで3割、4割という方がむしろ学校を目指さなくなっているという現実をどう対応していったらいいのかという問題、これにしっかり応えなきゃいけないという思いと、先ほどの特別免許状に関するサポートの仕方の工夫もしなきゃいけないのかと思ったり、虻蜂取らずにならないだろうかということが、教員養成に携わる者としては危惧していたところでもあります。

 もう1点、様々な特殊能力のある先生が学校に入ってくるというのはとてもいいと思う反面、学校全体をまとめていくような教職の能力のある方がいないと、そういう先生をカバーしていけるだけの学校集団をつくり出していくということができなくなってくると思いまして、改めて様々な能力の方が入ってくる学校を想定すると、学校全体をチームとしてまとめていけるような教職能力のある先生の必要性ということが、さらに重要になってくるということも考えていたところです。

 以上です。

【加治佐主査】  ありがとうございました。松木先生が今おっしゃった2番目のことで言うと、学校の先生方が多様化する、ダイバーシティになった時にそれをまとめる人材が要るということですが、昨年3月12日の諮問では、そういう人材を育成するのは教員養成系大学・学部とか、教職大学院であると読み取れます。

 いかがですか。よろしいですか。ありがとうございました。とにかく今日、御指摘のあった人手不足というのが、実は一番深刻で、すぐに何とかしなきゃいけない問題であるということもあって、特別免許状を持った外部の方を正規の教員にしたいという思いから、事務局のほうから特別免許状取得促進の様々なアイデアがいっぱい書かれています。たとえば、高等学校の教科免許の場合、特別免許状のほうは普通免許の教科単位ほど広くなくてもいいという提案があります。だけど、普通免許状との関係はどうなるかとか、そういうのも気になります。ということで、本当にこれまでとは違うような、大分思い切った提案がなされていると思うんです。だから、本当に教師不足を何とかしたい、あるいは特色ある学校づくりに資する、特定分野に強みを持った方を入れたいという思いは十分に分かります。

 一方で、トーマツの吉田さんが、最後に、簡単に教員にしてはいけない、簡単に教育活動に関わらせてはいけないと言われました。これは現場で実際にそういう実証事業をやられての意見なわけです。これも分かるんです。だから質保証ということも考えながらやらないといけない。特別免許状の改革ついては、そこも留意する必要があるということです。そこの兼ね合いが引き続き重要なのかと思った次第です。ありがとうございました。

 それでは、今日はこれで終わりにしたいと思います。事務局のほうはよろしいですか。事務局のほうは特にもうよろしいですか。ございませんか。大丈夫ですか。

【丹羽教員免許企画室専門官】  大丈夫です。ありがとうございます。

【加治佐主査】  分かりました。

 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方につきましては、引き続き基本問題小委員会で議論を深めていきたいと思います。東京都の荒木様、どうも本当にありがとうございました。本当にいい先進事例の御報告ありがとうございました。

【荒木課長】  こちらこそありがとうございました。

【加治佐主査】  皆さんどうもありがとうございました。これで失礼します。終わります。

 

―― 了 ――


(総合教育政策局教育人材政策課)