中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会(第5回)議事録

1.日時

令和3年8月23日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 審議まとめ(案)

4.議事録

【加治佐主査】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回教員免許更新制小委員会を開催いたします。皆様、御多用中にもかかわらず御出席いただきましてありがとうございます。

本日もウェブ会議です。会議の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 免許室長の平野でございます。会議の進め方について確認をさせていただきます。

本日もウェブ会議でございます。御発言に当たっては聞き取りやすいようはっきり御発言いただくことなど御配慮をお願いします。御発言の際にはお名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外にはマイクをオフにしていただくこと、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただいて、終わった後に「手を下ろす」という動作をしていただきますようにお願いいたします。

Webexのチャット機能については、この会議を傍聴している方が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合などの事務局に対する緊急連絡手段など、補助的な使用としていただきますように御協力をお願いいたします。

本会議の模様につきましては、報道関係者の方、一般の方向けにライブ配信をしてございます。

会議資料は議事次第のとおりでございます。資料は1ということのみでございます。参考資料が1から5まででございます。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 ありがとうございました。本日は議事は1つ、審議のまとめについてということであります。

これまで更新制小委員会におきましては、包括的な検証を基にした教員免許更新制の課題、新たな教師の学びの姿の構想、現職教員の研修の充実に向けた方策などにつきまして、現職教員のアンケートや、更新講習の開設者等への調査などのデータも活用しながら議論をしてきていただきました。

本日は、これまで様々な観点から御議論いただきました御意見を、審議のまとめ案という形にして事務局から出していただいておりますので、早速、議事の1の説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 失礼いたします。資料1、審議まとめに基づきまして御説明をさせていただきます。資料のほう、かなりの量になってございます。ポイントをなるべく絞って御説明申し上げたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

1ページめくっていただきまして、目次ということになってございます。ローマ数字のⅠから「おわりに」というⅥまでの構造になってございます。順を追って説明をさせていただきます。

1ページのほうを御覧ください。「はじめに」というところでございます。

こちらについては、今回の検討に至った経緯について説明しているところでございます。

1ページの真ん中辺り、「諮問の中では」というところでございますけれども、教師が多忙の中で経済的・物理的な負担感が生じているとの声や、臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているという声などがあることも踏まえ、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得るということを諮問は求めているわけでございます。

「教員免許更新制の抜本的な見直しについてということで結論を得るに至ったため」と、これは現段階でこういうことで書かせていただいてございますけれども、ここに審議まとめを示すものであるとさせていただいてございます。

2ページのほうへ行っていただいて、この審議まとめの案における教員免許更新制に対する評価等については、前期の教員養成部会で行った関係者に対するヒアリング、以下「検証ヒアリング」としておりますけれども、こちらに多くを拠っているというところでございます。

3ページ目からが、Ⅱ.教員免許更新制の概要ということでございます。

1ポツは教員免許更新制の目的でございます。教員免許更新制は、教師としての必要な資質能力が時代の進展に応じて常に変化し続ける中で、その時々で教師として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身につけることで公教育の充実を図るとともに、教師が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊厳と信頼を得ることを目指すものであるということで、いわゆる不適格教員の排除を直接の目的とするものとしては位置づけられていないということが書かれてございます。

次の段落でございます。研修が当時投入された頃には、体系的・計画的に行われるという制度的な担保が十分でなかったということや、オンラインでの学習ということが必ずしも一般的でなかったことなどから、全ての教師に資質の保持と向上を図る契機と機会が確実に提供されるように、このようなスキームの構築を図ったという側面もあったものと考えられると書かせていただいてございます。

3ページ目から4ページ目にかけましては、教員免許更新制に関する制度のあらましでございます。内容については、説明を省略させていただきます。

続きまして3、これまでの教員免許更新制に関する見直し等の内容でございます。

こちらのほうにつきましても詳細な説明は省略させていただきますが、例えば平成26年の報告などに基づきまして、必修領域の精選や選択領域の導入が行われたこと、選択必須領域の導入が行われたこと。また、教員免許更新講習と現職研修の相互認定の取組などが行われたということ。6ページに移っていただきまして、免許状更新講習を修了していない者に対して臨時免許状を授与して、教育職員として採用できることを明確にしたこと。このような制度の見直しというところが行われてきたということに触れているところでございます。

続きまして7ページでございます。Ⅲ.でございますけれども、教員免許更新制導入後の社会的変化というところでございます。

ここからについては、本審議まとめの結論に関わってくる部分でございますので、手厚めに若干説明をさせていただきます。

1ということで、社会的変化の速度向上と非連続化を受けた学びの在り方の変化というところでございます。

この部分、以前の更新制小委員会のほうで、更新制導入後の変化というもの、また、それを踏まえた新たな学びの姿というものについてお示しをさせていただいているところでございまして、その内容に多くの部分をよっているわけでありますけれども、内容については一部議論を踏まえてアップデートしている部分がございます。

今申し上げた1ポツという部分については、更新制導入後ということでありますけれども、社会の在り方そのものがこれまでとは非連続とも言えるほど劇的に変わる状況が生じつつあるということ。また、教育をめぐる状況そのものの変化というものもスピード感が増しているということ。その例として、新学習指導要領の全面実施、学校における働き方改革、GIGAスクール構想、小学校における学級編制の標準の引下げ、このようなことを挙げさせていただいてございます。

真ん中から下辺りでございますけれども、このように社会が日進月歩で変化することに伴い、教師が習得した知識技能も急速に陳腐化していくということは明らかでありまして、教師自身も、高度な専門職としてたゆみなく新たな知識技能の習得に取り組み続ける必要がさらに高まっているということで書かせていただいてございます。

次の段落、高度な専門職であるべき教師の学びの在り方についても、パラダイムの転換が起こっていると。一定の前提の下で設計された、座学等を中心とする知識伝達型の学習コンテンツを受け身の姿勢で学ぶだけではなく、自らの日々の経験や他者から学ぶといった現場の経験を重視したスタイルの学びがより重要になってきていることを踏まえ、知識伝達型にとどまらない協議・演習形式の学びや、地域や学校現場の課題の解決を通した学びを自律的に求めて深めていくことが必要となってきているということを書かせていただいてございます。

「さらに」というところでありますけれども、具体的な経験を振り返り、抽象化・概念化して活用していく必要や、学びが全体として変化に対応した適切なものとなっているかどうか、教師自身が他者との対話も通じながら不断の検証を行っていく必要も高まっているわけでございます。

7ページの一番下の部分でございます。教職員組織の姿というものについても、社会の変化に伴い、変革することが迫られているということでございます。

8ページに入っていただきまして、より多様な専門性を有する教職員集団というものを構築するためには、教師自身が、全教員に共通に求められる基本的な知識技能というレベルを超えて、新たな領域の専門性を身につけるなど強みを伸ばすことが必要であり、教師の一人一人の個別最適な学びが求められるというようなところが記載として書かれているところでございます。

2ポツでございます。教師の研修環境の変化というところでございます。

研修の体系的・計画的実施の促進というところでございます。

平成28年11月の教育公務員特例法の改正を踏まえまして、教員育成指標の策定や教員研修計画の策定が義務づけられたところでございます。

また、関係者を交えて、「資質の向上」というテーマについて協議を行うための協議会、このようなものを組織するということがされたところでございます。

こうした枠組みを構築することにより、各地域の課題やニーズに応じた計画的な研修の実施が促進されるようになってきているところでございます。

8ページ、9ページというところは、その背景となっているようなヒアリングの情報を盛り込ませていただいてございます。

9ページの下の部分でございます。オンラインによる受講環境の充実というところでございます。

オンライン等を通じた遠隔授業は、これまでも徐々に進展を見せていたところでありまして、新型コロナウイルス感染症に対する対応を契機として急速な広まりを見せているという状況でございます。免許状更新講習の開設者でもある大学において、学生がオンラインを通じた遠隔授業というものに参加することは、もはや一般的とも言える状況でございます。

9ページの下のほう、教員の研修の観点というところからも、教職員支援機構というところを中心に、オンライン化の取組が進められているわけでございます。

10ページの上の部分でございますけれども、平成29年度から一般公開されているオンデマンド型の講座「校内研修シリーズ」というものについては、現在152本まで拡充され、累計の再生回数も154万回に達するなど、国立・公立・私立の学校の教師や地域の別を問わず、豊富で質の高い学習コンテンツにアクセスが可能な状況というのが現れているわけでございます。

また、下のほうに書いてありますけれども、都道府県の研修のオンライン化というのも進んでいる状況でございます。

ヒアリングにおいて聴取した内容について、関連する記述を盛り込ませていただいているところでございます。

続きまして11ページでございます。このような変化というものを踏まえて、「令和の日本型学校教育」を担う教師の学びということについて触れさせていただいております。

社会的変化の速度向上、非連続化の中で、教師の学びに求められる要素が大きく変化しているとともに、オンライン化の進展など学びの環境自体も大きく変化しているということを、先ほどの3のところで述べさせていただいてございます。現場の経験を充実したスタイルの学び、教師一人一人の個別最適な学びというものが求められるようになっていると、このようなことが触れられていたわけでございます。

11ページの真ん中辺りからでございますけれども、このような大きな変化も踏まえて、教師の学びについてどのような在り方が望ましいのか、基本的なところまで遡って改めて整理するとともに、整理された姿、これを「新たな教師の学びの姿」と称してございますけれども、これを踏まえ、最新の知識技能を習得することを具体的にどのように担保するのかというところを検討したというところでございます。

高度な専門職である教師にふさわしい主体的な姿勢の尊重、教師の学びが画一的・規格的なものに陥らないような学びの内容の多様性の重視、自らの経験や他者から学ぶといった現場の経験を含む学びのスタイルの多様性の重視というものが、この「新たな教師の学びの姿」を構想する上で鍵となる概念ということで整理をさせていただいてございます。

また、学校管理職等が、教師に学びの資源(時間や意欲)、このようなものの確保を促進するということ、学びを深めることができる環境づくりを図ることが不可欠であるということが強調される必要があるとしているところでございます。

1ポツ、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の具体的な姿を、以下に書いているところでございます。

1つ目が、学び続ける教師というところでございます。

ここの辺りの表現につきましては、前にお配りした新たな姿というところを一部踏まえて書かせていただいております。また今後の議論で、表現の適正化等は随時図っていきたいと思ってございますけれども、1つ目でございます。教師はそもそも学び続ける存在であることが強く期待されているというところ。

また、12ページに入っていただきまして、時代の変化が大きくなる中で、常に学び続けなければならないということ。主体的に学び続ける教師の姿は、児童生徒にとっても重要なロールモデルであるということについて書かせていただいてございます。

12ページの下でございます。教師の継続的な学びを支える主体的な姿勢ということでございます。1つ目、教師の主体的な姿勢ということで、先ほど申し上げたような、継続的な個別最適な教師の学びを進める上で必要となる基本的な前提というものは、「令和答申」でも触れられてございますように、変化を前向きに受け止め、探究心を持ちつつ自律的に学ぶという教師の主体的な姿勢であるということを掲げさせていただいてございます。

12ページの一番下でございます。一人一人の教師が安心して学びに打ち込める環境の構築でございます。

13ページに入っていただきまして、個々の教師が新たな学びに参加しやすくなる資源、時間とか意欲というところでございますけれども、このようなものを獲得できるような環境の整備、業務の調整等を、教師の成長というものに責任を有する任命権者、あるいは学校管理職等が積極的に講じるとともに、協働的な職場づくりというものを構築していくことが求められると。

こうしたことが可能となるように、学校管理職の在り方も見直し、マネジメント能力の向上を進めていくことが必要ということを、理想的な姿として掲げさせていただいてございます。

続きまして、個別最適な教師の学びということについて触れさせていただいてございます。

具体的にこのような学びを進めていくプロセスというところで、適切な目標設定・現状把握、積極的な対話ということを書かせていただいてございます。

1つ目の四角でございますけれども、具体的な目標の達成に向けた体系的・計画的な実施が必要であるということ。2つ目の四角、適切な目標設定(将来の姿)と現状(現在の姿)の適切な把握ということでございます。

本文のほうに入ってまいりまして、自律的、体系的・計画的な学びを実現するためということで、適切な目標設定と現状の適切な把握が必要となると。「将来の姿」を目標として機能するよう具体的に設定するということが必要であるとともに、「現在の姿」というものについては、これまでの学習履歴や自らに対する評価等を踏まえて、できるだけ客観的なものとすることが求められるとしてございます。

14ページに入っていただきまして、この「将来の姿」と「現在の姿」の間を埋めるという明確な目的意識に基づき、必要な学びを順次選び取る、これを「体系的・計画的な学び」としておりますけれども、このようなことが自律的な学びの駆動力になるものと考えてございます。

続きまして、任命権者や服務監督権者・学校管理職等と教師の積極的な対話という四角でございます。

この「将来の姿」というものにつきましては、一人一人の教師が自らの置かれた状況ということを踏まえ、その意欲や関心に基づき設定することが基本であるわけでありますが、当該教師を任命・雇用する者や、日常の服務監督をする者のニーズとも調和したものとなることが求められるわけであります。

このため、教員育成指標や研修受講履歴等を手がかりとして、管理職等などが積極的な対話を行うといったことが理想的な姿として必要ではないかということを書かせていただいてございます。

続きまして、質の高い有意義な学習コンテンツという部分でございます。

明確な到達目標と適切な内容を備えていること。体系性を持って位置づけられ、レベルも整理されていること。質の高いコンテンツが豊富に提供されていること。このようなことを項目として挙げさせていただいてございます。

15ページに入っていただきまして、こちらの部分は、特別部会での議論も踏まえまして、この質の高いコンテンツが豊富に提供されているという中で、オンラインで小刻みに学ぶといったスタイルという後に、知識のインプットと実践をセットで繰り返すといったスタイル、このようなことも想定されるといったようなことも記載を追記したところでございます。

続きまして、質保証の仕組みが適切に機能しているということでございます。

既に我が国においては、本質的な内容を学ぶことができる教職大学院での学び以外にも、各大学において開設された免許状更新講習や免許法認定講習、各教育委員会や教職員支援機構が開設しているような研修、民間の様々なセミナーなども含め、優良な学習コンテンツが数多く存在しているという中で、こうした様々な学習コンテンツを積極的に活用していくということが必要ではないかということで書かせていただいてございます。

このような多様なコンテンツの質というものを、全国的な観点から保証されていることが明らかになるような仕組みが機能することが必要ではないかということを掲げさせていただいてございます。

続きまして、各学習コンテンツをワンストップ的に集約・提供するプラットフォームが存在していることが必要ではないか。また、教員免許状を保有するものの、教職には就いていない者が学ぶ上で必要な学習コンテンツが存在していることが必要ではないか。このようなことを掲げさせていただいてございます。

16ページに入っていただきまして、これは以前の小委員会で配った中には入っていなかった部分でございますが、特別部会の議論も踏まえて、追記している部分になります。

知識伝達型の学習コンテンツにとどまらない、自らの経験や他者から学ぶといった現場経験を含む学びが提供されていることが、教師の学びの理想的な姿として必要ではないかということを書いてございます。

現場の経験を重視したスタイルの学びが求められるようになっているわけであります。このため、学校管理職のリーダーシップの下で、各学校において行われる校内研修や授業研究のみならず、学校における様々な機会や場面を、地域や学校現場の課題の解決を通じた教師の学びとして捉えて活用していくなど、日常的なOJTというものを充実させることが必要ではないかということでございます。

こうした学びが、知識伝達型の学習コンテンツを通じた学びと、教師それぞれの状況に応じて適切に組み合わされる必要があるということを考えてございます。

続きまして、学びの成果の可視化と組織的共有でございます。

学びの成果が可視化され、個人の学ぶ意欲が喚起できていることが必要ではないか。学びの成果の可視化、何が身についたか自らが説明できる状態にするということでございます。

また、学びの成果というものが組織において積極的に活用されていることが必要ではないか。教師の学びが可視化されることで、任命権者を含む監督権者・学校管理職等が、特定の事項に秀でた教師の発掘や、人事配置や校務分掌の決定、その他の取扱いに積極的に活用できるようになることが期待されるわけでございます。

17ページに入っていただきまして、このようなことが行われることにより、教職員組織自体が学びの成果というものを鍵として、よりその質を向上させていくことが期待できるのではないかと考えてございます。

教師の学びというものを、全国的な観点から質が保証されたものとして証明する仕組み、このようなことも考えていく必要があるのではないかということで書かせていただいてございます。

これまで述べたような、「新たな教師の学びの姿」というものの実現に当たっては、デジタル技術の活用が積極的に行われることはその前提であるという認識を記載しているところでございます。

さて、17ページの下のほう、2ポツからでございます。今まで申し上げたような、この「新たな教師の学びの姿」というものを実現するに当たって、どのような方策を講ずべきかということについてまとめたセクションでございます。

ここまで述べましたとおり、これまでの様々な変化というものは、教師の学びたい気持ちというものをさらに大切にしながら、主体的・意欲的な教師の学びを実現する姿の実現に資する側面を有しているわけでございます。

このような変化を踏まえて、この「新たな教師の学びの姿」というものに踏み込んでいくタイミングが到来していると考えられるわけですので、以下に述べるような方策を通じて、その実現を図っていきたいと考えているところでございます。

ⅰ)番でございます。公立学校の教師に対する学びの契機と機会の確実な提供でございます。研修受講履歴の記録管理、履歴を活用した受講の奨励の義務づけというところで、18ページに入ってまいります。

仕組みの概要でございます。一人一人の教師が客観的に現在の姿を自覚するとともに、学校管理職等のニーズも踏まえて将来の姿を適切に設定することができるようにするためには、任命権在や服務監督権者・学校管理職等が、個々の教師の学びを把握し、教室の研修受講履歴等履歴を記録管理していくこと。教師と任命権者や服務監督権者・学校管理職等が、教員育成指標や研修受講履歴を手がかりとして積極的な対話を行うこと。学校管理職等がキャリアアップの段階等を適切に踏まえるなど、教師本人のモチベーションとなるような形で適切な研修を奨励していくことが必要である。このようなことでございます。

段落を飛ばしていただいて、「このため、文部科学省においては」というところでございますけれども、教員育成指標や研修受講履歴等を手がかりとした、教師と任命権者や服務監督権者・学校管理職等との対話や、研修の奨励が確実に行われるよう、各任命権者が、教師が教員研修計画に基づき研修を受けた履歴等を記録管理し、当該履歴を活用しながら、任命権者や服務監督権者・学校管理職等が、教師に計画的かつ効果的な資質の向上を図るための研修の受講を奨励することを義務づけることを検討するべきであるとしているところでございます。

「なお」というところでございます。当該教師が県費負担教職員である場合の市町村教育委員会の果たす役割などについては、人事評価制度における事務の分担などの例も踏まえつつ、また、研修の奨励に関する具体的な方法や、これに付随する体制の在り方等については、文部科学省において法制的な観点からさらに検討を深めていく必要があるとしております。市町村の役割、また奨励の具体的な方法といったところは、法制的な観点から詰めていくということになってまいります。

また、履歴の管理、記録というところについても、具体的な範囲について検討を深めていく必要がありますが、任命権者の判断において、制度が導入される以前の研修、これは免許状更新講習というものも含むわけでありますけれども、こうしたものも記録と管理の範囲に含めて積極的に活用していくということが考えられるわけでございます。

19ページに入っていただきまして、このような対話の機会というものについては、具体的にどのように設定していくのかということは各置かれた状況によって異なるわけでありますけれども、人事評価に関わる期首面談の場を活用するといったことや、必要に応じてその場以外でも短い時間の対話を行うなどの方法も考えられるということを挙げさせていただくとともに、そうしたやり方も、必ずしも管理職だけではなく、教師を支援するメンターなどが担うこともあり得る、このようなことも記載をしているところでございます。

19ページの下の部分でございます。必ずしも主体性を有しない教師に対する対応というところについて記載をしているところでございます。

この研修の受講履歴の記録管理、履歴を活用した受講の奨励というところを義務づけていくということについては、全ての公立学校の教師に継続的な学びの契機と機会を確実に提供し、その資質能力の向上を担保するための中核的な仕組みとして機能するものとならなければなりません。

その観点から、当該記録管理する過程で、特定の教師が期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合には、含む監督権者または学校管理職等の職務命令に基づき研修を受講させることが必要となることもあり得るということでございます。

万が一、職務命令に従わないような事例が生じた場合は、これは事例に応じてでございますけれども、適切な人事上、指導上の措置を講ずることが考えられるわけでございます。

20ページに入っていただきまして、文科省としても、こうした考えについて、教特法に基づく指針の中で明らかにすることを検討するべきである。また、「さらに」ということで、ガイドラインを策定し、丸1番から丸3番に掲げてあるような事項について明らかにすることも今後検討するべきであるということを盛り込ませていただいているところでございます。

続きまして、ⅱ)番でございます。国公私立学校の教師を通じて資質能力を向上する機会の充実というところでございます。

公立学校の教師以外の、国・私というところの教師についても、文部科学省として公立学校での取組について積極的に情報提供を行うなど、対話や研修の奨励が行われる環境の構築を促すとともに、教職員支援機構が公開する「校内研修シリーズ」のようなものの活用を促していく。このような方法を通じて、その資質能力を向上する機会の充実を図っていくということが盛り込まれているところでございます。また、教職員支援機構における取組の充実についても記載がされてございます。

21ページでございます。ⅲ)番でございますけれども、教員免許状を保有するものの教職には就いていない者の資質能力の確保に資する学習コンテンツの開発という部分でございまして、文部科学省においては、こうした者の採用前後の学びに活用できるように、「令和の日本型学校教育」で実現すべき方向性というものを踏まえながら、各学校種・教科に共通した観点で、教師として教壇に立つ上で必要な知識技能の刷新を図ることができるような学習コンテンツというものを開発していくべきであるということを盛り込ませていただいたところでございます。

21ページの下、ⅳ)番目でございます。現職研修のさらなる充実に向けた、国による指針の改正という部分でございます。

「新たな教師の学びの姿」というものの実現を図るためにも、現職研修の充実ということが必要でございます。

真ん中からちょっと上辺りでございますけれども、これまで述べてきたような大きな社会変容というものを考慮した上で、教師の資質能力の向上を図るに当たって踏まえるべき基本的な視点を国として明らかにするべく、教育公務員特例法に基づく指針の改正を行う必要があるということを盛り込ませていただいてございます。

その際、本部会で行われている、教師に求められる資質能力の再定義の議論というものを踏まえて、時代の変化に応じて教師が身につけるべき資質能力の視点について明確に規定する。このようなことに加えまして、例えばということで、中堅教諭等資質向上研修後のものも含めて、法定研修以外の研修機会というもののさらなる充実を図っていくということ。研修内容や方法について、記載のとおりでございますけれども、さらなる充実を図っていくということ。校内研修や授業研究をはじめとする、学校における様々な機会や場面を教師の学びとして位置づけ、積極的に活用していくといったことなど、日常的な校内研修等の充実を図ること。管理職等のマネジメントの下で、協働的な職場づくりなど全校的な推進体制を整えること。このようなことを盛り込むことが考えられるというふうに想定させていただいてございます。

ここまで2として述べさせていただきましたのが、この新たな姿というものを実現するために、まず当面講ずべき方策ということでまとめたものでございます。

23ページ以降につきましては、さらに検討を深めながら進めていく具体的な方向性というところを書かせていただいてございます。

23ページでございます。この部会の中で今後も検討していく新たな姿、デジタル技術を活用してより高度に実現していくというところについては、以下に記載した具体的な方向に基づき、検討を継続していく必要があるとしているところでございます。

今後の検討に当たっては、MOOCなど先進的な事例の分析も行いながら、教師や任命権者等にとって効果的な仕組みとすることができるか、関係者の負担をメリットに見合ったものとするなど効率的な仕組みとすることができるか、人的・財政的な面というところも含めて長期にわたって持続的に運用可能な仕組みとすることができるか、このようなところに留意しながら検討を進めていく必要があるとしているところでございます。

具体的な内容について、以下申し上げます。

ⅰ)の「新たな教師の学びの姿」の高度化を支える仕組みの構築というところでございます。

研修履歴を管理する仕組みの高度化ということで、23ページから24ページに入ってまいります。研修受講履歴を記録管理するための情報システム、「研修受講履歴管理システム」というものを、例えば全国的に導入していくことにより、教師が任用された地方公共団体における教員育成指標などに関連づけながら、教師が学んだ学習コンテンツの種類やその成績、単にそういった情報だけでなく、学びを通じて得た気づきなど多角的な情報というものを、受講の都度タイムリーに入力することができるようになるということが考えられるわけであります。このようなことが可能になれば、教師が「現在の姿」や「将来の姿」をより高い頻度で適切に設定し、必要な学びを選び取ることが容易になることが期待できるということでございます。

また、新たな姿の高度化を支える3つの仕組みということで、高度な形でこれを実現するために、大学や民間事業者等が提供するプログラムも含めて、丸1番、学習コンテンツの質保証を行う仕組み、丸2番、ワンストップ的に情報を集約しながら提供するプラットフォームのような仕組み、丸3番、全国的な観点から質が保証されたものとして証明する仕組み、このような3つの仕組みというものを一体的に構築することを具体的に構想していくことが必要であるとしております。

学習コンテンツの質保証を行う仕組みについては、記載のとおり、専門的な観点から審査して認証する仕組みというものを構想することが考えられるわけでありますが、こうした審査については学びの多様性を損なうものであってはならないといったことでありますとか、また、事前の審査というものだけでなく、事後に、実際に受講された方の評価を基に優れた学習コンテンツを明らかにしていく、このような多様な質保証の在り方というものを構想していく必要があるとしているところでございます。

25ページでございます。ワンストップ的に情報を集約・整理・提供するプラットフォームのような仕組みについては、優れたコンテンツを発掘し、認証の仕組みに導くこと、テーマに従って分類する、レベルを付与するというようなこと。情報を一元的に分かりやすく提供するとともに、学習コンテンツについても一元的に提供する、このようなことを構想していくことが考えられるわけであります。

学習コンテンツというものについては、教育委員会等から無償で提供されるものだけではなく、大学等が有償で提供するものも含まれるということで、これに応じた仕組みを整えていく必要があるとしているところでございます。

丸3番の、学びの成果の可視化、証明する仕組みというところについては、社会的に通用する形で証明を行う仕組みを構想していくということが考えられる中で、いわゆる証明書という紙ベースのものではない、デジタル化というところも視野に入れていく必要がある。このようなことを盛り込んでいるわけでございます。

25ページの下のほうでございます。Learning Analyticsということを通じた教師の個別最適な学びの促進と。このような3つの仕組みと受講履歴の管理システムの情報というものが効率的に交換できるようにするなど一体的に構想を進めていくことで、Learning Analyticsを通じた個別最適な教師の学びの促進という観点から効果的な仕組みとすることも視野に入ってくるのではないかということでございます。

26ページでございます。このような仕組みを一体的に構築する上では、一人一人の教師の方がこのシステムを利用するためのIDというものをどう付与するのか、このようなところも課題になってくるわけでございます。

現在、デジタル庁の創設が決定するなど、マイナンバーをはじめ様々な政策分野のデータベースを連携させるようなIDの在り方、このようなことの検討の促進が進んでいくことが期待されるわけでありますので、このシステム、一体的に構築するものについてのIDの在り方については、専門的・技術的な検討を進めていくことが必要としているところでございます。

こちらの仕組み、研修受講履歴システムと3つの仕組みの一体的運用体制というところについては、これを共同で構築するということで、任命権者等がスケールメリットというものを発揮しながら、26ページの下でございますけれども、コストの削減や知識伝達型コンテンツの豊富化・共有財産化、またLearning Analyticsを通じた個別最適な教師の学びの促進、現場の経験を重視したスタイルの学びの企画・実施にその分注力することができるといったようなことができ、27ページに入ってまいりまして、知識伝達型の学習コンテンツを通じた学びと、自らの経験を他者から学ぶ現場の経験を重視した学びとが両立した姿の実現、ひいては全国的な研修水準の向上につなげていくことができるものと考えているところでございます。

この仕組みの運用体制という部分については、真ん中のポツが2つ並んでいる辺りでございますけれども、この研修履歴の管理システムというものについては、制度的に責任を負うことになる任命権者が共同で構築し、管理責任を負うこととした上で、システムの構築や運用に教職員支援機構が参画すること。3つの仕組みの構築や運用は、任命権者が人材面での協力やリソースの提供を行うことを前提に、教職員支援機構が担うことが考えられるとしているわけでありますが、大学関係者も含め、関係者間で協議を深めていくことが求められるとしているわけでございます。国立学校、私立学校の教師がこれらのシステムを利用することも視野に入れていくことが必要としています。

ⅱ)でございますが、教職員支援機構の果たすべき役割ということについて触れさせていただいてございます。

記載のとおり、教職員支援機構というものがかなり大きな役割を担っていく中で、その取組というものを充実していくことが必要となっていくわけでございます。

28ページの下の部分ということで、教職員支援機構については、理事長のリーダーシップの下ということでありますけれども、このシステムの一体的構築に向けた構想の具体化、都道府県の人的参画などを得るための必要な環境の整理、都道府県教育委員会等のニーズというものを機構の意思決定に反映させるためのガバナンスの在り方、教職員支援機構の業務の範囲、このようなことについて検討に着手していく必要があるとさせていただいてございます。

ここまで述べました、大きなⅣ.という、「令和の日本型学校教育」を担う教師の学びという部分につきましては、まとめますと、教員免許更新制導入後の社会的変化ということを踏まえて、新たな教師の学びの姿というものを明らかにし、これを実現するために必要な当面の方策と、その後にさらに検討を深めていくべき具体的な方向性というところについて整理をしたものでございます。

さて、29ページがⅤ.というところでありまして、この「新たな教師の学びの姿」と教員免許更新制の関係ということについて触れている部分でございます。

一番上の部分からでございますけれども、この「新たな教師の学びの姿」というものを実現するための方策を講ずることにより、全ての教師に継続的な教師の学びの契機と機会を提供し、その資質能力の向上につなげられる環境の構築を図ることができるということが考えられるのではないかと。

また、これらの方策の実施により、これまで教員免許更新制が制度的に担保してきたもの、最新の知識技能の習得ということを総じて代替できることが見込まれるということについて記載した上で、具体的に真ん中から下以降、「新たな教師の学びの姿」と教員免許更新制の関係について触れているわけでございます。

この「新たな教師の学びの姿」を実現する上で、教師の学びと免許状の効力というものをひもづけた教員免許更新制は、その阻害要因となると考えざるを得ないとしているわけでございます。

大きな変化というものが生じている中で、教師が常に最新の知識技能を学び続けていく必要性は高まる一方であります。

この新たな学びの姿の中核となる、継続的な個別最適な教師の学びを進める上で必要となる基本的な前提は、先ほど「新たな教師の学びの姿」で触れたように、教師の主体的な姿勢ということになってくるわけでございます。

下から6行目の最後辺りからでございますけれども、教員免許更新制というものについては、教師の学びの機会の拡大、大学による教師の資質能力の向上に対する関与の拡大など一定の成果というものが上がってきたものの、こうした免許状を更新しなければ職務上の地位の喪失を招きかねないという状況の下で、高度な専門職にふさわしい水準で教師の主体的な姿勢が発揮されてきたと評価することには慎重にならざるを得ないのではないかということでございます。

また、30ページに入っていただきまして、上から2行目、10年に一度、特定の期間に免許状更新講習を受講することというのも、教師が常に最新の知識技能を学び続けていくという必要と整合的とは言えないのではないかということでございます。

次の段落でございます。教員免許更新制導入後の社会的な変化、教師の学びのパラダイムシフトということも踏まえつつでありますけれども、教員免許更新制の下での学び(免許状更新講習)については、免許とひもづいているがゆえに、およそ教師として求められる内容というものが中心であると、過去の答申で整理されているわけでございますけれども、今後求められる教師の強みを伸ばすための学びというものは、言わば個別最適な学びであることが求められており、その方向性が異なっているのではないかということ。

また、現場の経験を重視したスタイルの学びがより重要となってきている中で、このような学びというものについては、一定の時期とか時間で完結するというものではなく、時期的に不連続であるということであります。

このような特徴があることによりまして、教師それぞれの状況で、この知識伝達型の学習コンテンツを通じた学びと、現場の経験を重視したスタイルの学びというものが適切に組み合わさる必要があるわけでありますけれども、この現場の経験を重視した学びというものは、履修時間で管理するとか修了確認等を行うことになじみにくい側面というものを有しておりまして、教員免許更新制の下で法律上求められる客観的な更新の要件として位置づけることが難しい側面がございます。教員免許更新制を制度的に位置づけることを継続することで、この学びのスタイルの多様性の実現を阻むことになりかねないのではないかということでございます。

また、個人が保有する免許の効力を維持するための免許状更新講習の受講というものについては、本質的に個人的なものとならざるを得ない側面があり、これを組織的なものとする上で限界があるのではないか。教師の学びというものが、多様な専門性を有する教職員集団を構築する上で孤立するようなものになることは避けなければならないということで、この教員免許更新制と新たな学びの姿の関係を整理しているところでございます。

30ページから下でございます。その上で、これまでの部会においてもということでございますが、本日、詳細については説明いたしませんけれども、別紙1のとおり、教員免許更新制の評価と課題というところについてはまとめてきた。これは前期の教員養成部会の検証ヒアリングというものも踏まえながらまとめてきたものでございます。

教員免許更新制については、大学等講習会開設者の改善や工夫により一定の成果というものを上げてきたものの、現在のところ、最新の知識技能の修得という成果が効率的に上がっていると評価することには慎重にならざるを得ないということ。また、31ページに入っていただきまして、教員免許更新制に起因する負担が教師・管理職に生じていること、人材確保に不透明感を持たせるということが触れられているわけであります。

また、別紙2で触れているところでございますけれども、一定の改善策を講じたとしても、資質能力の確保、負担の軽減、教師の確保、このようなところが並立するものにすることは直ちに困難ということで整理がされているわけであります。

31ページの下でございます。こういったことを踏まえてということでございますが、「よって、本部会としては」というところでございます。

「新たな教師の学びの姿」を実現するための方策を講ずることにより、教員免許更新制が制度的に担保してきたものは総じて代替できる状況が生じること。教員免許更新制は「新たな教師の学びの姿」を実現する上で阻害要因となると考えざるを得ないこと。教員免許更新制の課題の解決を直ちに図ることは困難であることを踏まえ、必要な教師数の確保とその資質能力の確保を将来にわたって実現するとともに、教師一人一人が持続可能な学校教育の中で自らの人間性や創造性を高め、教師自身のウエルビーイングを実現し、子供たちに対するより効果的な教育活動を行うことができるようにするためにも、「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて、教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当であるということに書かせていただいてございます。

また、この措置のタイミングについては、Ⅳ.の2で触れた「新たな教師の学びの姿」を実現するための当面の方策と同時であることが適当であるということで、タイミングについて触れているということでございます。

また、その際、既に授与された教員免許の有効期間の在り方等については、文部科学省において法制的な観点から検討を深めていく必要があるとさせていただいてございます。

教員免許更新制を発展的に解消し、「新たな教師の学びの姿」を実現することにより、教師の専門職性の高度化が進んでいくことが期待されること。また、次のページにかけて触れさせていただいてございますけれども、生涯教師として活躍するチャンスを拡大することにつながっていくということなどについて記載しているところでございます。

32ページから33ページでございます。大学等に対する期待というところでございます。

大学を中心とする講習開設者が、様々な負担が存在する中にあっても創意工夫を凝らしつつ免許状更新講習を実施してきた。大学等の尽力なくして教員免許更新制は成立し得なかったものであり、大学等が教師の資質能力の向上に対して大いに貢献してきたことを多とするという中教審のメッセージとして盛り込ませていただいてございます。

教員免許更新制の下で生み出された成果については、「新たな教師の学びの姿」を構築する上で発展的に継承していくことが重要であるということでございます。

具体的にはということで、幾つか挙げさせていただいてございます。例えば大学等が有償で提供する多様で質の高い学習コンテンツについては、「新たな教師の学びの姿」の中にあっても中核的な役割を占めることが期待されるということ。こういったものを履修証明プログラムとして位置づけることにより、履修後の大学入学を促進していく、このようなことを検討していく余地などもあるのではないか。

また、32ページの一番下でございますが、更新制というものの中で構築されつつあった相互の連携、教育委員会と大学との連携というものについては、「新たな教師の学びの姿」を構築する上でも不可欠なものであり、この事例の共有などを進めていく必要があるというふうにしてございます。

33ページでございます。本部会においては、引き続き教師の養成・採用・研修等の在り方について議論を継続していくわけでありますけれども、その中で大学が果たす役割というものを強く意識していくことが必要になるということをまとめて述べているところでございます。

34ページについては、「おわりに」ということでございます。まだ今後、今日の議論も踏まえて追記をしたいと考えてございます。

本日の審議まとめ案につきましては、これまでの部会での議論などを踏まえまして作成しているところであります。表現ぶり等については、また本日の議論を踏まえて適切に修正をしてまいりたいと思ってございます。

別紙1、別紙2については説明を省略いたしますけれども、先ほどの説明で触れたような内容について書かれているところでございます。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐主査】 どうもありがとうございました。審議のまとめは大部といいますか、ボリュームが非常に大きいです。それを、幾つかのポイントに焦点を当てて説明いただきました。

それでは、この審議まとめについての御意見を伺ってまいります。1時間程度です。「手を挙げる」ボタンを押していただきたいと思います。いかがですか。

それでは、今挙がっているのが戸ヶ﨑委員ですね。それでは戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 まずは、これまでの多くの多様な意見等を踏まえ、見事にまとめられた事務局の皆様に敬意を表したいと存じます。

私からも何度か述べていますが、教師は常に学び続けなければなりませんが、そのことが教員免許更新制と紐付くのかというと別問題です。この審議のまとめでは、教員免許更新制の導入の経緯等を踏まえつつ、教員免許更新制導入後の社会変化や、社会的変化に対応した教師の学びの姿を明らかにし、表題にあるように「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現について示されています。内容について異議・異論を申し上げるつもりは全くありませんが、今後に向けての意見を4点申し上げます。

1つ目は、臨時的任用教員のスキルアップについてです。全国的に多くの学校で、たくさんの臨時的任用教員が日々の学校教育を支えています。初任者研修という手厚い法定研修を通じて1年間学んでいる初任者教員と、そういった研修を受ける機会のない臨時的任用教員の1年間では、その授業力や教師力において、相当な差がつくことを間近でみるにつけ、そのスキルアップの必要性を痛感しております。

21ページに、「臨時的任用教員等であっても、一定の知識技能を備えておくことが求められるところであり、……学習コンテンツを開発するべきである。」とあります。学習コンテンツの開発には大いに期待をしますが、現状は任命権者や服務監督権者による研修はあまり行われていません。本市では独自にオンラインや集合研修で実施していますが十分とは言えません。厳しい言い方ですが、臨任者が放置されてしまっている現状を鑑み、今後は、意図的・計画的な研修の機会や具体的なスキルアップ方法、研修履歴の扱い方などについても考えていく必要があると思います。

2つ目は、服務監督権者の研修等への関わりについてです。任命権者だけでなく服務監督権者が行っている研修の中にも質の高い研修があります。民間や大学の研修も含めて、現状それは研修履歴の中に入っていないところが多いと思います。仮にそれを履歴に含める際に、質的なものよりも時間や研修形式を重視してしまいがちになるのではないかと思います。今後は、都道府県頼りではなく、市町村間や学校間でも研修を共有できるようにしていくことが大切であり、研修履歴の標準化(研修のポイント化、単位化など)を服務監督権者を含めて全国展開できるようにならないものかと考えます。

18ページに「なお、当該教師が県費負担教職員である場合における服務監督権者たる市町村教育委員会の果たす役割などについては、……文部科学省において法制的な観点からさらに検討を深めていく必要がある。」とありますが、研修等による教職員のスキルアップには、国任せではなく、服務監督権者である市町村教育委員会また事務局自身が、主役であるとの当事者意識をもち、これまで以上に積極的に取り組んでいくべきであると考えます。

3つ目は、「理論と実践を架橋し融合する経験」です。教育の世界に限らず、理論と実践の間にはギャップが存在するのは世の常ですが、今後の教育では、EBPMの推進に向けて、「経験や勘」という「2K」から、「根拠、科学、検証」という「3K」を重視するために、理論と実践の融合を図っていく必要性を強く感じています。というのは、学校現場は、WhyやWhatにはあまり関心がなく、「How to」つまり「具体的な手立て」というか「最適な処方箋や即効薬」を求める傾向にあります。「明日からの教育実践にすぐ役立つ内容」に応えていくことも必要だとも思いますが、社会の変化に伴って教師の育成すべき資質・能力も変化していくわけですので、更新制のねらいでもあった「最新の知識・技能の習得」や視野を広げたり、多様な経験を許容したりしていけるような内容なども学ぶことで理論と実践を架橋し融合する経験が不可欠だと思います。そのためには、大学や研究所、また企業等との積極的な連携などにより、その道のプロの方々と教師との出会いの場や教師自身が本物に触れる場を増やしていくべきと思います。教師のワクワク感は間違いなく子供たちに感染するはずです。

4つ目は、ロードマップづくりについてです。この審議のまとめに込められた魂が、国から都道府県、市町村へと降りていったときに、薄れていかないように、また、画餅に帰してしまわないよう、国任せや他人事とせず、市町村教育委員会や学校の管理職はもちろん、すべての教育関係者が当事者意識を持って取り組める実践に向けたロードマップが必要と考えます。

【加治佐主査】 ありがとうございました。今後に向けて、4点の貴重な御意見をいただいたと思います。

それでは続きまして、手が挙がっておりますのが松田委員、松木委員、根津委員、そして木村委員、それから秋田委員ですね。

それでは、まずは松田委員からお願いいたします。

【松田委員】 松田でございます。よろしくお願いいたします。コメントに入る前に、改めてこの場の立ち位置の確認をしたいんですけれども、ここは意思決定をする場でないという認識で大丈夫でしょうか。そうでないのであれば、今後、本事業とかこの構想がどういうプロセスで誰が意思決定するのかについてお教えいただいてもよろしいでしょうか。

【加治佐主査】 この審議まとめは、特別部会が出すということになっているわけです。特別部会に設けられて、更新制や新しい学びの姿について集中的に議論していって一定のまとめを作るというのが、この小委員会の役割ということです。そして、今、申し上げたとおりですので、決定権は特別部会にありますし、そして中教審としての決定は総会になるんだと思います。平野さん、それでよろしいですか。

【平野教員免許企画室長】 今、主査からお話しありましたとおり、審議まとめについては、特別部会のクレジットで出すということを現在のところは想定しております。もちろん審議まとめというものを踏まえて、実際の行政行為を行っていくのは文部科学省ということになってまいります。

【松田委員】 そうなんですね。つまり、この中身について、多分部会から出すということ、小委員会から出すということだと思うんですけれども、出る時点では全員が内容について合意をしているという状態で出すのか、審議があるのか、これに賛成、反対というのがあるのか、そこがすごく曖昧な気がするんですけれども、意思決定権者は誰になるんですか。ごめんなさい。

【平野教員免許企画室長】 一般論でございますけれども、こういう中央教育審議会において、こういう審議まとめというものについては、各委員間で議論をしていただきまして、その上で決を採るといったケースは私としては承知をしておりません。議論を尽くした上で、議論の内容というものを踏まえて修正を行って、これを進めていくということが一般的であると承知しています。

【松田委員】 そうすると、私どもは意思決定権者ではなく、ここでインプットをして、事務局が取りまとめてもらったものが、特別部会であったり本会議に出されて、そこで異論がなければ、これが進んでいくという流れという認識で大丈夫ですか。

【平野教員免許企画室長】 先生のおっしゃる意思決定権者という言葉の意味合いによると思いますけれども、各委員の意見というものを踏まえて、審議のまとめというものが作成されていくということになりますので、必要な意見というものについては踏まえていくということになっていくわけであります。

【松田委員】 分かりました。分かったのか分かっていないのか、ちょっと分からないですが、また改めて事務局には確認をさせていただきたいと思っています。

その上で、2点申し上げておきたいと思います。 まず、室長から御説明がありましたが、今回の教員免許更新制度の発展的解消は、あくまでも教員の学びの在り方をアップデートするための施策であると認識をしました。見直しの背景に教員不足の問題について言及がありましたが、これから先生を志す学生が、更新講習があるから教員を目指さないという事実はないと思いますし、再任用の先生については、特別な措置を検討するなどして、打ち手が考えられたかと思いますので、あくまでも教員不足の問題をしっかりと別立てで議論をして打ち手を考えていくべきだと思いますし、今回の議論というのは、教員の学びの在り方をアップデートしていくんだという構想であると認識をしていきました。

その上で、2点、今後検討を進めていく上で申し上げておきたいと思っております。

1点目が、着実に教員が学び続けられる仕組みを構築することが本当に大切だと思っています。改めて確認ですけど、今回は発展的解消が先に来てから、新しい制度の構築を考えるのか、それとも新制度の構築が確定してから発展的な解消をしていくのかについてです。更新講習は否定的な意見もあると思いますけれども、教育技術をアップデートしたり、学びの機会として一定の良い評価もあったと思うんです。先日も、知人が東京学芸大学で受講した研修は非常にためになったと言っておりました。もし発展的な解消が先に来てしまうのであれば、その際に新制度が運用されていないのであれば、先生方の学びの機会を奪うことにもつながりかねないと思っておりますので、改めて解消が先なのか、新しい制度が構築されてから解消していくのかについてお伺いできればと思っています。

2点目についてですけれども、良質な研修コンテンツを持続的に提供していけるのかどうかについてもしっかりと検討していくべきだと思います。新しい学び方の構想については、これはもう大賛成です。コンテンツのオンライン化を図っていったり、LMSを活用して先生方の学びのDXを実現することはすばらしいことだと思います。先生の学びのDXがあるからこそ、GIGAスクール構想を含めて子供の学びのDXも実現できると思うんです。ただ、この事業を実現しようと考えると、相当な予算要求が必要になってくるのではないかなと思います。よいコンテンツであれば、民間を巻き込んで開発も必要になってくると思いますし、どこかの組織や教育委員会に依存せずに、多様なステークホルダーが参画しながら有料コンテンツが集約されるようなプラットフォームを構築することが大切になってくると認識しています。

優良なコンテンツを開発するためにはコストがかかりますし、システムやLMSの開発、これの保守点検にもコストがかかります。これまでの更新制度であれば、先生方の受講料だけでも年間30億円分の事業費があったと思うんです。その30億円はもちろん受講者がお支払いをして大学が開発して提供してということだと思うんですけれども、これまでの教員免許更新制度はこの規模の事業を運営していたということです。もちろんオンライン化すればコストは下げられる部分もあるかもしれませんが、今後同等規模の事業の予算確保をどう考えていくのか、また、ビジネスモデルをどう構築していくのかは大切だと思いますので、初期の開発にとどまらず、持続的な事業モデルの開発をぜひともしっかりと御検討いただきたいと思っています。優良なコンテンツであれば、教員は自腹で捻出をして研修を受けるだろうという希望的観測ではないレベルで、しっかりと持続的なビジネスモデルをぜひとも考えていただきたいんですが、今後、本構想での事業、新しい構想を検討する体制であったり、ステークホルダーはどういった方になるのか、もし現段階のお考えがあれば、お伺いできればと思っております。

以上でございます。

【加治佐主査】 2点ですね。発展的解消と新制度の開始は時間的にどうなるのかということで、31ページには、簡単ですけど、同時だとは書いてあるわけです。まずはこれについて、平野室長、何かございますか。

【平野教員免許企画室長】 今まさに触れていただいた31ページでございます。

発展的解消のタイミングについては、Ⅳ.2.新たな教師の学びの姿を実現するための当面の方策の実施と同時ということでありますので、これについては、これと発展的解消ということは同じタイミングということでございます。

2点目、現段階での具体的な形の構想、ステークホルダーといったところでございます。これについては、大きな方向性が確定していけば、これに応じた体制ということを整えていくことになるということでございます。現在、まだ概算要求の提出前でございますけれども、体制というものをどのようにしっかりと構築していくのかということについては、そのような中で考えていく必要があるわけであります。

ステークホルダーというところについては、これは更新講習というところでもそうでありますけれども、いわゆるサプライ側の方、ディマンド型の方、これは両方を含む必要があると思いますし、また、サプライの側についても、これは大学を含むということは多分当然だろうと思いますけれども、大学以外にも様々なコンテンツホルダーという方がいらっしゃるわけでありますので、そのような方を丁寧に巻き込みながら議論をしていくということが必要であると考えております。

【松田委員】 ありがとうございます。

【加治佐主査】 それでは、松木委員、お願いいたします。

【松木委員】 松木です。教員の免許更新制度は、スタートのときから教師としての必要な資質能力をパーマネントに保証していく制度としてスタートしようとしていたと思います。ただ、不幸なことに、それに先立って、いわゆる不適格教員の排除といったことが提案されたという経緯もあったために、ネガティブな印象を持たれてスタートしたということが元凶として大きいんじゃないかと思っています。そして、そのネガティブな部分が免許の更新ということとひもづくことで、よりネガティブな印象を持たれた、あるいはそれに煩雑な業務が重なってきて、より大変になったといったことが批判の1つだったと思います。

2つ目は、もちろん大学の提供するコンテンツがより最新なものを提供できるような質のよいものにしていかなきゃいけないということに対する批判だったと思います。

こういったことに対して、今回、提案された新たな教師の学びの姿というのは、ある程度、その解消に向けて実現できている部分があると思っています。大きく分けて2つあるうちの1つに関しては、かなり丁寧に今回、提案していただけたんじゃないかと思います。特に教師が習得しなければならない最新の知識や技能、こういったことに関して、教師の個別最適な学びということを取り上げながら、オンデマンド、あるいはオンラインという形を通して、より質の高いコンテンツが集まるようなプラットフォームを構築していくという形態、その上で、学習履歴システムということを通して自分の研修履歴、あるいは教師の学びの履歴を確認できるような仕組みを構築すること、この点に関してはうまく整理できていると思っています。

1つ落ちていると思っているのは、教師の知識や技能に関してのことではなくて、資質や能力をどう保証していくかということに関してです。資質や能力ということに関しては、知識や技能を伝達するというような方法では不可能ことですよね。まさに子供に主体的で対話的で深い学びというのを求めるのと同じように、教師自身が研修の中で主体的で、対話的で深い学びができるようなものを作らなきゃいけないわけで、コンテンツの提供ということがメインなわけではない。今回の令和の日本型の学校教育で提案されている個別最適な学びというものに加えて、もう一つ、協働の学びということがありますよね。教師自身が自分の現場の体験を振り返りながら整理をし、それについて対話を通して、もう一回確認しながら将来の自分を描き出していく、こういった研修の在り方ということが今回、もう一つの柱として必要なんじゃないかと思います。教師の資質や能力を保証するべきやり方、特に協働の学び、振り返りながら自分の在り方を信念や価値に近づけていけるような学びをどう保証していくかということを、もう一方で考えなきゃいけないと思っています。

この点に関して、オンラインでできないことはないとも思っています。オンラインを通してやる中で、かなりのことが実現できる可能性が私はあると感じています。そういう意味で、教職員支援機構が中心となって整理をされていく研修の中に、そういったものを加えていくというのもありだとも思いますし、そこのところが大変過ぎるというのであるならば、例えば教職大学院にそういった仕事をきちんと位置づけていく、制度的に保証するシステムをつくり出していくということが必要じゃないかと思います。その場合の学習履歴のシステムは、単に何を学んだかというものではなくて、御自身がリフレクションを綴った文章が残されていて、次の研修のときにはそれを振り返りながら、これからの授業の在り方を考えていくような学習履歴システムが必要だと思います。

以上です。

【加治佐主査】 ありがとうございました。協働的な学び、振り返り、リフレクションを行って、さらに新しい学びを作り、それを協働的に深めていくということです。オンラインでもできるんじゃないかということです。ですから、そういう言及も少しあったような気もするんですけれども、これは本当に今後の大きな課題になるのかと思います。戸ヶ﨑委員も、理論と実践の融合化ということでおっしゃったと思いますけど、そういうものに本当にならなければいけないんだと思います。今後の、ある意味、そういう本当に高いレベルのものにまでなっていくのかどうかは、新しい学びのシステムの根幹をなすんじゃないかと思います。平野室長、何か言及はありますか。

【平野教員免許企画室長】 ありがとうございました。今、主査からもお話しいただいたとおり、現場の学びというものを重視するといったところでありますとか、また、このようなものと知識伝達型を組み合わせていくといったところ、また、履歴の中で単なる受けたものだけではなくて、学びを通じて得た気づきなど多角的な情報を入れていく、こういったことも含めて、発想としては盛り込んでいるところでありますけれども、今後、これまで教員免許の更新制が担ってきたものをどう、また整理するのかという観点で、比重の置き方というところについて、先生の中でも御意見があったんだと思っております。

今回、また、「おわりに」というところもございますけれども、いわゆる知識伝達型の学びという、いわゆるコンテンツベースの話というところと、いわゆる資質能力を育成するという意味でのさらに幅広い学びのスタイルという部分の両方が大切なんだということを、改めてしっかりと整理して強調するような記載の追記というものについて考えてまいりたいと思います。御意見ありがとうございました。

【加治佐主査】 それでは、根津委員、お願いいたします。

【根津委員】 早稲田大学の根津です。聞こえておりますでしょうか。短く3つ感想を述べさせていただきます。

1つは先ほどのお話にもあったかと思うんですけれども、これは一種の総合的な学習の時間等で用いられるポートフォリオづくりのようなものなのだというのが1つの印象と言いますか、感想になります。それを長い時間かけて作っていくというところが、それ自体が1つの学習と言いますか、学びの履歴にもなっていくのだと理解をいたしました。

もう一つは、先ほどもまた、これはほかの委員の方からも御指摘あったところで、予算の規模がどれぐらいになるのかというところです。それによって実現可能性というものが大分左右されてくるので、ここは非常に重要なところかとも感じたところです。

最後ですけれども、表紙、あと11ページのところにも出てくる「新たな教師の学びの姿」という言葉なのですが、言葉尻を捉えるようで大変申し訳ないんですけれども、「新たな」はどこに係るのかと。丁寧に読めば、新たな教師、別に新採用と言いますか、これから教員になる人だけを指しているわけではないわけですけれども、意味としては、どちらかと言いますと、「教師の新たな学びの姿」ではないのかと感じたものですので、念のため、一言申し上げさせていただきました。

以上です。

【加治佐主査】 3番目におっしゃったこと、私自身は「新たな」は「学び」に係ると読んだんですが、なかなかさっといかないんですかね。「教師の新たな学びの姿」がいいんじゃないかということですが、平野さん、また検討いただけますか。

それでは、木村委員、お願いいたします。

【木村委員】 失礼します。木村です。

今回のまとめ案につきましては、教師に必要な資質能力の向上という教員免許更新制の趣旨を踏まえつつ、課題に対応する提案になっておりますので、私はその方向性に賛同しています。その上で、提案の内容や委員の御意見と重複しますが、3点意見を申し上げます。

1点目は、令和3年度の免許更新制度高度化のための調査研究事業の結果概要の1つ、更新講習で受講した講習は、最新の知識技能を習得できる内容であったかの問いに対して、52.6%が肯定的な回答をしています。現職教員にとっては、この更新講習によってそれまでは受講できなかった研修を受けることができたというのは、紛れもない事実であります。これらの貴重な財産が、今後も引き続き質の高いコンテンツとして提供されるということを、ぜひ前提にしていただきたいというのがお願いです。また、大学と学校現場、教育委員会が近くなったというのも、この制度の成果の1つだと思っています。今後、教育委員会及び学校で進められる研修が大学と共同で構築されるとともに、大学院等の学びにもつながるような制度と環境になっていくことを大いに期待したいと思っています。

2つ目の意見です。同研究事業結果概要でもう一つ、現職研修が体系的、計画的に受講できる仕組みとなっているかという問いに対しての肯定的な意見は、40.9%にとどまっています。このことが何を語るかなんですが、審議まとめ案を展開していくには、教師一人一人が自らの学びを主体的にマネジメントできる環境整備と、その周知及び教師自身による育成指標の自覚化等、教師の学びに対する意欲というのが大きな鍵を握っています。このことは任命権者や服務監督権者、学校管理職と教師の対話を実効的なものにするためにも、大事だと認識しています。そういう面では、新たな教師の学びの姿の実現に向け、教員育成指標の一層の活用や必要な見直しなど、各市町教育委員会や各学校が当事者意識を持って改革に参加していかないと、実現はどうなんだろうかということを思っています。ぜひ連動していっていただきたいと思っています。

3点目なんですが、審議のまとめ案、17ページから記載されている、新たな教師の学びの姿の実現に向けて講ずべき当面の方策についてです。ここでは学びの機会及び研修受講履歴の記録管理等の対象について、主に教育委員会における教員育成指標等に基づく体系的な研修、教職員支援機構等によるオンラインが挙げられています。それはもっともだと思いますが、ここに各学校で行われている校内研修もその対象として位置づけていただくことはできないかという希望を持っています。こう申し上げておりますのも、例えば、これまで積み上げられてきた授業研究をはじめとする日本型校内研修は、教師の主体性に支えられ、その資質能力の向上に貢献してきているということ、また、国、都道府県、市町村の委託を受けた学校では、大学や教育委員会等と連携しながら先進的な実践研究をそれぞれの学校で毎年積み重ねていること、その成果についても研究発表等の実施により地域の学校に共有されています。

一方で、それら学校現場の実践的取組というのはこれまでの教員免許更新制では評価されてはきませんでした。校内研修が教師の資質能力の向上に関して管理職のマネジメント能力を発揮する場であるという意味や、校内研修を核とすることで、校務と研修の両立が実現され、働き方改革にも寄与するという視点からも含めて、資質能力向上の場として、また、大学や教育委員会と連携する場として、また、対話的な学びを実践できる場として、何らかの形で明確に位置づけていただくことはできないかと思います。

改めて言うと、これまでの日本型教育を支えてきたものを、新たな令和の日本型学校教育においても強みとして、しっかり位置づけた取組方はできないかということを最後に意見として申し上げさせていただきます。

私からは以上です。失礼いたします。

【平野教員免許企画室長】 加治佐先生がミュートになっていらっしゃいます。

【加治佐主査】 失礼しました。3番目、校内研修や学校の取組というのを含めていくということですけれども、それも入れていくんだということは書かれていると思うんです。ただ、これを実際どうやっていくかは、先ほど松木先生がおっしゃったことと同様、また非常に大きい課題になるのかと思いますので、そこはしっかりやらなきゃいけないことかと思います。

教師が2番目の意欲を持って学ぶためには対話をする、あるいは研修の奨励を管理職等がすることになっていますので、そこですよね。本当に学びの雰囲気というのを作れるかどうかが非常に重要なのかということです。そういうことで、また後で、事務局からコメントがあればお願いしたいと思いますが、先に進みます。

では、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。

今回の審議まとめは、免許更新講習の真の狙いとしての教師の資質能力を高めていく、ための制度設計を改めて発展的に捉え直す、そういう報告書になっている。そして、新たなイメージというか、今までの課題を乗り越えていく、そうした質的な転換の提案になっていると私自身は読ませていただいてきました。ですので、この全体に対して賛成をするところであります。しかしながら、これが令和の日本型の学校教育を担う新たな教師の学びの姿という免許更新講習を今後、どうするかというだけではなくて、今後の新たな教師の姿というところで、改めて全体像を見てみますと、先ほど松木委員や木村委員も言われたところでありますが、個別最適な学びとしての教師のペースで、教師の強みを生かしてという個別最適というところについては書かれているわけなんですけれども、それが協働し、例えば探究するということが、もう学校の教師がこれからは単に学んだことを理解してできるというレベルではなく、子供もそうですが、課題を教師自らが探究していくという学び手としての在りようということが、求められます。コラボレーティブ・インクワイアリーとかと、海外では教師のこれからの姿が言われると思うんですけれども、そこの部分が学びの姿の中にはこのままでは書き込まれていないと思います。最新の知識を伝達され、獲得するというところは書かれていて、少しは「探究心を持って」とか報告書の中に「主体的に取り組み」とかという言葉は出されています。けれども、例えば、高校で数理探究であったり、それから総合的な探究の時間であったり、探究ということばが今後の学びの質の転換として、受動的に新たな知識を得るだけではない存在であるという念や理念をもう少しこの文章の中に、新たな学びの姿として打ち出すことができないのだろうかと思います。細かな表現上のことになるかもしれませんが、その辺りがあるとよいのではないかと考えます。

少し不鮮明になるかもしれませんが、例えば教師と、それから学校の管理職とか組織の在り方というものは書かれているんですけれども、現場での学びとということは書かれているんですが、もう少し経験から学ぶというときに、同僚とともに共同で現場で学ぶと、そういうイメージを明確に記していただくということによって、現場の学びというものが管理職と教師が対話するというだけではなく同僚とともにと、木村委員が言われたような側面がもう少し見えてくるということが重要であろうと思います。

また、オンラインもオンデマンド型も重要ですし、質の高いコンテンツも重要です。しかしながら、1つ間違えると個別最適の「個別」が「孤立」になる。例えば、パソコンが職員室に学校で広がった途端に、同僚の会話よりパソコン画面に向かう教師の時間が長くなったのと同じで、これがオンライン研修が、単に個別に学び続けて知識を得ていく存在としてではなくて、よりそれがオンラインであるからこその可能性として、よりほかのネットワークを作ることを可能にする研修でしていくような方向とか、学校の中で、そのコンテンツを共同で議論するという姿が、今回の免許更新の制度の改定と直接関わるわけではないので、「おわりに」のところでもいいのですけれども、かかれた方が良いと思います。先ほど言われたように、そうしたものが学校で行われ、教職大学院が知識を得るだけではなく、教師が探究することの受皿に地域の大学がなっていき、そして、それをまたさらに支えていくような委員会の在り方や教職員支援機構のよりマクロなネットワークがあるというイメージとか図柄が「おわりに」に明確に出されていくということが、今回の制度をどうするかということだけではなくて必要なのではないか。その辺りの新しい学びの姿が、いまだに知識習得型の学びか教師の学びについて、新たにと言いながら、新たな知識を得るということにとどまっていないか、もう少しそのイメージを具体的に探求する教師の姿を書き込んでいただけたらいいのではないかと考えました。

以上になります。

【加治佐主査】 協働し、探究する学びというところを、もっと前面に打ち出すべきだということですけれども、特別部会のほうで新しい教師に求められる資質能力の再定義というのが今、なされつつありまして、その中で今、おっしゃったことをまさしく取り上げると言いますか、それを前面に出そうとされていると思います。そことの兼ね合いもあると思いますが、時間的なこともあるでしょうけど、後書きの中でそういった工夫も、またしていただいて、記入していただければと思います。ありがとうございました。

それでは、続きまして、これから4人の方、荒瀬委員、森山委員、宮澤委員、貞廣委員、お願いいたします。荒瀬委員、お願いいたします。

【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の名前が本文中にもたくさん出てきますし、御発言の中にもありまして、理事長のリーダーシップの下、こんなことをやっていくというのが高らかに書かれておりまして、身の引き締まる思いをしております。

研修の提供のみならず、どういう研修がいいのかというのを研究していくということで、教職大学院の皆さんと一緒にやっている研究とか、あるいはうち独自でやっているものもあるんですけれども、今後は研修についての定義というものも考えていく必要があるのではないかと思っています。それが今、秋田先生がおっしゃったことや松木先生がおっしゃったこと、あるいは木村先生がおっしゃったことと関わっていくのかなと。定義ができれば、何も学校内でやっているのが研修としてふさわしくないということにはならないわけでありまして、それをどう定義づけしていくのかというのを今、機構としても考えていこうと思っています。

34ページに関わって、これも秋田先生が「おわりに」にというお話がありましたけれども、私も「おわりに」のところで、ぜひ触れていただきたいと思いますのは、いろいろあるとは思うんですけども、現場の先生はこれまでも御意見が出てきましたが、相当疲れていらっしゃる。多くの注文があって、厳しい目が向けられているということもあります。実際に誠実に働こうとして、どんどんしんどくなっておられるという面が多々あると感じています。今、機構はオンラインで中央研修をやっておりますけれども、中央研修をやっている最中でも、学校の中にいらっしゃるといろいろなことが起きるんでしょう。研修を受けながら、しかし学校の仕事もしておられるようにお見え受けすることもあって、研修期間中はぜひ研修に専念してくださいと言っても、なかなかそれができないような状況が現実にあるというのを、画面を通してですけれども、実際に今日も見ておりました。

そんな中で、先生に対する応援のメッセージを、最後の34ページにはぜひ入れていただくということで、皆さんの御了解が得られないかということを願っている次第です。要は、今回の教員免許状更新講習が発展的にどうなっていくかということですが、今後、研修でがんじがらめに縛るんじゃないということです。これはこれまでも御意見が出ていましたが、それぞれの教員のペースで、教員の個別最適な学びをやっていくんだということです。要は誇り高く安心して学んで、いい仕事、楽しい仕事ができると、そういうメッセージにつながるような文言をぜひ入れていただきたいと思っています。それが日々真剣に仕事に取り組んでおられる先生方、教員志望の学生の皆さんを含めて教師になろうかなと思う方へのメッセージにもなっていくんじゃないかということを思っています。

以上です。ありがとうございました。

【加治佐主査】 ぜひ今の教師の置かれている環境も踏まえていただいて、新しい仕組みの研修で元気が出ると言いますか、希望につながる、そういうことをぜひ書いていただきたいという御意見であったと思います。よろしく御検討ください。

それでは、森山委員、お願いいたします。

【森山委員】 それでは、私のほうから4点お話しさせていただきたいと思います。

1点目は、今回の審議のまとめは、教員免許更新制を通して、この制度、あるいはこれまでの研修を超えて、しっかりと内容について示しているということに賛同いたします。特に7、8ページのあたりにも示されていますけれども、社会的変化の速度と非連続化を受けた学びの在り方ということに触れています。多様な専門性を有する教職員集団を構築するには、個別最適な学びというのが求められているということは、ここで示されています。私もこのことを保証するためには、ハード面においても多様な学びの場を提供することも必要だと思います。これまで免許更新講習の開講されている状況を見ますと、御承知のとおり、大学だけが開設、開講しているわけではありません。大学以外にも、いわゆる教育のいろいろな分野の民間団体であるとか、あるいは民間の企業、組織、あるいはNPO法人とか財団法人など、開設されてきた経緯があるわけです。そういう意味では、この講習については、様々な団体が貢献してきたということをぜひ今後も御検討いただきたいというのが1点です。

それに関わってですが、また講習の方法についても、演習とか実習を伴う講習は多くの現職の教員の先生方のニーズが高かったということもございます。これは、ある面では先ほどから議論になっておりますが、共同的な学びを中心にプログラムが計画されていたものが多々あると思います。そういう意味では、このことは令和の日本型学校教育を担う教師の学びに、非常に重要なところではないかと思います。その内容については32ページも書かれておりましたが、大学に期待するところの内容にも関連するところかと思いますので、今後、このあたりのところをぜひ積極的に取り入れるということも必要ではないかと思います。

それから、2点目ですが、今後、新しく、新たな教師の学びの姿を実現するための仕組みを作っていくわけですが、その前提としては、今回、このような形で教員免許更新制というところに焦点化して、集中的に早急な議論をして、この審議のまとめに至ったということだと思います。そのことを考えますと、先ほども措置のタイミングのことも議論になりましたが、新たな仕組みを立ち上げるという時期についても、できるだけ早めに具体的な方向性なり、内容を示していくことが緊急の課題ではないかとも思います。

それから、3点目ですが、教員免許更新制の成果をぜひ生かしていただく必要があるかと思います。まとめの中にも分散されて記載されてはいますけれども、たくさんの成果が出ております。そのことをぜひ踏まえた上で、今後の議論をする必要があるのではないかと思います。崩すのはもちろん大変ですが、新しいものを作るのはそれ以上に大変なものだとも思います。成果はきちんと生かしていくという方向を今回の審議のまとめにも書いてありますが、それをぜひ最後まで検討をしていただくことが必要だと思います。

それから、最後ですけれども、先ほど荒瀬先生からも研修そのもののことについてのお話がございました。私もここで重要なのは、現職の教員の研修において、特に重要な観点をしっかりと踏まえた上での、今回の新たな仕組みを作るということが必要ではないかと思います。特にそこでのキーワードは、先ほど松木先生等からもお話がありましたが、教育における理論と実践の関係をどのように捉えていくのかということを踏まえた上で、これは戸ヶ﨑教育長からもお話がございましたけれども、そのことを土台にしながら、どう捉えるかというところまでしっかりと踏まえた上での議論をして、その中で、新しい仕組みを検討していくということが大きな重要な課題ではないかと思います。

例えば、先ほどの共同で学ぶ、あるいは現場での学びということを大事にするという秋田委員をはじめ、御指摘がございましたが、こういう議論についても、理論と実践の関係というところを前提としながら、踏まえて議論していくことで、今のような課題もはっきりと見えてくるのではないかと思います。例えば、実践的指導力ということも、我々は例えば、養成段階では、その基礎をどう捉えるかということをよく課題にします。研修では、現職の研修では現職研修での実践的な指導力ということを当然議論するわけですので、その前提となる理論と実践の関係を捉えるということを前提としながら、新しい仕組みを作っていくということが必要ではないかと思います。

以上です。ありがとうございました。

【加治佐主査】 ありがとうございました。たくさんいただきましたが、特に更新講習を行ってきた大学はそれなりの成果を出していますし、それなりの評価を得ているものも多いわけです。だから、本当にちゃんと書いてあるんですが、これを今後もぜひ生かしていただきたいと私自身も本当にそう思います。

それでは、宮澤委員、お願いいたします。

【宮澤委員】 よろしくお願いいたします。全日本中学校校長会会長、宮澤でございます。

まずは、今回の答申のまとめ案です。教員免許更新制の発展的解消ということですが、それを担保するような形で教員の質的、力を保証していきますということで、方向性はすごくいいなと感じました。ありがとうございます。私からは2点と、それに付随しまして、1点お話をさせていただきたいと思います。

まずは、今回のまとめが出たときに、教員免許更新制の発展的解消というのが、ぱっと表に出たときにすごく脚光浴びるところではないかと思います。その中には、新たな教師の学びの姿を実現するための法則の実現、それと同時に進めていきますということですが、先ほどもありましたが、じゃあ同時にというのは、どれぐらいのスパンで進めていくのか、どんな内容でシフトしていくのかという具体的な流れ、その辺をはっきりとしていただけるとありがたいと思います。今後の課題になってくるかと思います。ぜひそこを明らかにしていただければと思います。

2点目は、先ほども荒瀬先生から本当にうれしい言葉をいただきまして、ありがとうございました。学校の先生、教員、基本的にはいろいろなことを勉強したいという気持ちをたくさん持っています。ですが、今は免許更新制にしても外部へ研修を受けに行くときにしても、申し訳ございませんと言っていくんです。時間割を変える、先生、帰りの学活をお願いしますということで、本当に後ろめたさを持ちながら勉強しに行くんです。ですから、そういったところでは12ページにも出ていたんですが、一人一人の教師が安心して学びに打ち込める環境の構築、ここをぜひ充実していただきたいと思います。ぜひ教員の学ぶ気持ちを大切にしてほしいと思います。そのための環境整備、お願いいたします。

あと、これに付随してというところですが、教師になってしっかりと力量をつけていくというのももちろん大切なことですが、もともと優秀な人材を確保するという人材確保というところも、かなり重要なところだと思います。そういった点では、今後も優秀な人材の発掘、育成、そして確保というところも、ぜひ皆さんと話をしていくとか、何らかの今後の見通しを持っていきたいと感じているところでございます。

以上でございます。

【加治佐主査】 ありがとうございました。

まとめもありますので、現在、手が挙がっているのは貞廣先生です。申し訳ありませんが、貞廣先生を最後にさせていただきたいと思います。御意見等あられる方は事務局のほうにメール等でお寄せいただければと思います。では、貞廣委員、よろしくお願いします。

【貞廣委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。まとめがあるということですので、1点だけ申し上げたいと思います。

大変短いタイトなスケジュールで、多様な御意見をおまとめいただきましたことを改めて感謝申し上げます。その中で、私の意見も反映していただきまして、ありがたく思います。特に11ページのローマ数字4ポツの1ポツの直前ですか、高度な専門職である教師にふさわしい主体的な視点、姿勢の尊重という、ここのパラグラフです。主体性であるとか、画一的規格的なものにならないであるとか多様性であるとか、現場の経験が重要だということ、これを鍵となる概念としていただいた部分、さらにそのためには学びの資源が必要だということも併せて書いていただいている部分、ここは大変重要だと、私個人としては読ませていただいています。

ただ、その一方、今、現場の先生から伺っていますと、働き方改革を現場で進めていくときに、じゃあ、何を削れるかといったら校内研修だよねということで、実は校内研修が削られていっているという実態があると伺ってもおります。大変残念なことだと思いますけれども、リソースがなければ学びというのは継続できないということです。リソースがないのに、今まで委員の先生方が目指すということで示されてきたような学びの奨励というのはできないわけです。そうはいいながら、現場では、もう自助努力ではどうにもならないということにもなっているんだと思います。

ということで、他の先生方のお話とは内容的には重なるんですけど、違う言い方をさせていただきますと、カリキュラム・オーバーロード等に手をつけていただかないと、我々が望むような教師の新しい学びの展開というのは実現できないんだと思います。ただし、こちらの部会の所掌というか役割の外にあるものですので、例えば、「おわりに」のところに、資源がないと学べないので、ちゃんと資源の確保というところにしっかり手をつけるべきだというようなことを他の部会であるとか中教審全体であるとか、今後の政策上の検討の中でしっかりと不断なく進めていくのだということをぜひ書き込んでいただいて、本気度を示していただくことと、荒瀬先生の御提案のような先生方へのメッセージと併せてお示しいただいて、実質的な展開と先生方へのエールを両立させていただくような書き方をしていただけないかと考えるところです。

以上です。

【加治佐主査】 ありがとうございました。また「おわりに」でぜひ御検討いただきたいと思います。

平野室長、あまり時間もなくなっていますが、皆さんの意見について何か特にお答えすることはございますか。

【平野教員免許企画室長】 ありがとうございました。本日、各先生からいただいた意見については、時間が限られている中ではございますけれども、審議のまとめの案という部分の記述の修正というところも含めて受け止めてまいりたいと思います。

大きく皆様の意見に共通している部分が多かったかと思ってございます。校内研修というものにしっかり光を当てていくこと、協働的な学びというものの重要性、また、知識、技能のコンテンツということだけではなくて、資質能力の構造全体をどのような形で考えていくのか、この辺りは軌を一にした意見だったと存じておりますし、また、別の側面では、教師の学びに対する資源というものをどう見いだしていくのか、教師というものが自主性、自立性を持ってしっかりと学んでいくことを後押しするようなところというものをもっと打ち出していけないのか、こういったところもまた1つの大きな流れを持っていたと思います。このようなところ、現行の中に盛り込まれているところをどれだけ浮かび上がらせることができるかというところについては少し考えさせていただきますが、あとがきといった部分も、まだ書ける要素がございますので、こういったものもしっかり活用しながら考えさせていただきます。

また、本日、時間が限られている中で、先ほど主査からもお話ありましたけれども、追加で御意見をいただくようなことがあれば、そこも含めて考えたいと思いますが、また、用語の適切性というところについても、そのような過程でもう一度考える部分もあるかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【加治佐主査】 それでは、簡単なまとめをしたいと思います。

本日も本当に熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日、事務局には、前の期の教員養成部会における包括的な検証、これに加えまして、本小委員会における令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿、そして、現職教員の研修の充実方策に関する議論、また、現職教師に対するアンケートなど各種調査の結果を踏まえまして、審議のまとめ案を作成し、今日、提示していただいたところです。改めまして、審議のまとめ案に至るまで熱心に御議論いただいた委員の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

それで、今日の議論ですが、1つはおおむね皆さん賛同をしていただいたと思います。教員免許更新制を発展的に解消して、新しい学びの姿を実現するということについては、おおむね賛同が得られたと思います。その上で、仕組みをさらにいいものにするためにはどうしたらいいかということをたくさん御検討いただいたと思います。本当に教師が協働的な学び、あるいは安心して元気が出るような学びをつくらなければいけないとか、そういうことを本当に皆さん強調されたと思います。こういう審議のまとめとか報告書を出すときには必ず出る意見ですけども、いわゆるコストを賄う費用を確保する、つまり予算の確保、財源の確保です。これについても改めて強い意見が出ましたので、本気度を示すという意味で、「おわりに」ですか、そこに加えていただければありがたいと思います。

いずれにしましても、本日、各委員から表明された御意見を、新たな教師の学びの姿を具体的に作り上げていく上で本当にどれも重要なものであったと思いますので、次回以降の小委員会や特別部会での議論に生かしたいと思います。

事務局におかれましては、最終的な結論に向けて、本日の意見を調整、整理して、審議のまとめの修正等を御検討いただきたいと思います。

それでは、繰り返しになりますが、本日御発言されなかった方や、さらに補足意見のある委員の皆様は、8月27日金曜日までに事務局宛てに御意見をメールでお寄せいただくようにお願いいたします。事務局にお寄せいただいた御意見は、私も拝読させていただきます。

それでは、どうも皆様、長時間にわたり、お疲れさまでした。今日はこれで、少し早いんですが終わりたいと思います。どうもありがとうございました。





―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)