中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会(第3回)議事録

1.日時

令和3年7月5日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 令和3年度免許更新制高度化のための調査研究事業(現職教員アンケート)調査結果
  2. 教員研修履歴管理状況調査結果
  3. 今後の現職研修の充実方策について
  4. 教員研修の履歴管理に関するヒアリング

4.議事録

【加治佐主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回教員免許更新制小委員会を開催いたします。皆様、御多用中にもかかわらず御出席いただきましてありがとうございます。本日もウェブ会議での開催です。

初めに、本日は事務局にて人事異動がございましたので、その御紹介と、続けて会議の進め方、本日の資料について、事務局より説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 失礼いたします。事務局より7月1日付で人事異動がございましたので御紹介させていただきます。教育人材政策課長が小幡泰弘に交代いたしました。御報告いたします。

【小幡教育人材政策課長】 よろしくお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 それでは、会議の進め方について確認をさせていただきます。本日もウェブ会議でございます。御発言に当たっては聞き取りやすいようはっきりと御発言いただくなどの御配慮をいただくこと、御発言の際にはお名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外にはマイクをミュートにしていただくこと、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただき、発言が終わったら下ろしていただくということでお願いします。

Webexのチャット機能については傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合などの緊急連絡手段としていただきますようお願いいたします。

この審議会の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。会議資料は議事次第のとおりでございます。資料は1-1から6というものまで、参考資料は1-1から3まででございます。

なお、本日は議事4のヒアリングの関係で、京都府総合教育センター長、前川明範様、大分県教育センター総務企画部課長補佐、岡田克文様にも御参加をいただいております。後ほど御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 どうもありがとうございました。前回の教員免許更新制小委員会では、事務局から提案のあった新たな教師の学びの姿について御議論いただきました。おおむね賛同をいただいたと思っております。

今回このタイミングで小委員会を開催させていただくことといたしましたのは、4月から行っておりました教員免許更新制に関する教員の意識調査、及び教師の研修履歴の管理等に関する調査が取りまとまりましたので、その内容をいち早く委員の皆様に共有したいと考えたからでございます。

これらの調査結果は、今検討しております教員免許更新制の在り方、また、新たな学びの姿の検討を深めていく上で、非常に重要な情報であります。後ほど、議事の1及び議事の2として、事務局から説明をしていただきます。

2つ目の、教師の研修履歴の管理等に関する調査の結果報告に関連して、本日は、京都府、大分県から、研修履歴管理の取組について発表いただくこととしております。さらに、新たな教師の学びの姿を効果的に機能させるための前提となる現職研修の充実についても、事務局からの論点提示を踏まえ、御議論をしていただきたいと思います。

それでは、まずは議事の1について、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 失礼いたします。免許室長の平野でございます。議事の1について御説明いたします。令和3年度免許更新制高度化のための調査研究事業、現職教師アンケートというものでございます。

資料1-1で御説明をさせていただきます。本体の調査結果を資料1-2としてつけてございます。必要に応じて御参照いただきたく思います。

参考資料のほうに1-1、1-2として、包括的な検証の概要と本体をつけさせていただいてございます。この中でも触れられているわけでございますけれども、現場の教師を対象とする一定の規模の調査というものを今年度速やかに行って、これまでの教員養成部会などで行っていたヒアリングデータ事実認識というものが、現場の教師の認識と一致しているかどうかということを裏づけることが必要とされていたところでございます。

資料1-1の1枚目を御覧いただきたいと思います。こちらの調査につきましては、現職教師の教員免許更新制や、現職研修に関する認識などを把握するため、現職教師を対象としてアンケート調査を実施したものでございます。

調査対象は全国の現職教師ということで、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社に委託をいたしまして、同社にあらかじめ登録されたモニター会員に調査を行ったところでございます。

調査時期は4月末から5月半ばにかけてということで、6月30日に私どものほうに納品がされているという状態でございます。

真ん中辺りに回答者の属性というものがございます。性別、年齢、勤務先学校種、学校設置区分、勤務先所在地、また、更新講習の受講時期などがあるわけであります。特徴的なところを申し上げますと、性別の比というものについては、教員の性別の比というのが、大体女性が6、男性が3から4という程度なのですが、それが逆転するというところが一つございます。

勤務先学校種というものについて、高等学校というものの比率が回答者は高いということ、学校設置区分について、私学がやや割合が低いといったところがあるわけでございますけれども、年齢とか所在地、勤務先所在地、こういうところについては大きな乖離がないというものでございます。

ポイントをまとめてありますが、中身に入って説明をさせていただきます。2ページ目を御覧いただきたいと思います。

調査結果の概要、(1)更新講習についてでございます。丸1番といたしまして、受講する講習を現職教師の方が更新講習を選ぶに当たって何を重視しているかという点についてお伺いしたものでございます。

「とても重視する」「やや重視する」という項目の合計というところを見てまいりますと、1番は受講会場というものを重視する方が多い。2番目は受講時期というところを重視する方が多い。その2つに比べて低い割合ということでございますけれども、講義内容というものを見ていくという順番になっているわけでございます。講習を選ぶに当たって、受講しやすい場所、また都合の合う時期に開催されているというものを重視する一方で、講義内容の重要度というものは今の2つに比較して劣後しているというような傾向が見て取れるわけであります。

丸2番でございます。希望する講習の受講状況と、それぞれについて実際に自分の希望に沿っていたのかということをお尋ねしたところ、受講会場、受講時期というものについては、「全て希望どおり」「ほとんど希望どおり」が8割を超えている一方で、講義内容については「あまり希望どおりでなかった」とか「全く希望どおりでなかった」という合計がほかの2項目に比べて高くなっているということが見て取れるわけであります。最初に選ぶ時に重視する項目というところでなかった内容というものが低い項目になっているということでございます。

丸3番でございます。希望どおり受講できなかった理由ということでございます。最も回答が多かったものが、講義の内容が期待されたものではなかったということ。2番目は、人数制限により希望の講習が受講できなかったということ。3番目は、そもそも場所等の関係で講習の選択肢が少なかったということでございます。内容面というところで、ニーズといいますか希望との乖離があったということなのではないかと思います。

3ページでございます。こちらについては、希望する受講方法というところでございます。「全て対面」「対面とオンラインの併用」「全てオンライン」、このあたりがちょうど3等分するような図になっているわけであります。

こちらのグラフには出てまいりませんけれども、50歳以上、55歳未満というところを除きまして、年齢が高いほど「全て対面」というものを実施するという傾向があるようでございます。

4ページを御覧ください。受講した講習内容の満足度でございます。こちらにつきましては、受講直後に、まず、どのような感想を抱いたのかということを聞いてございます。

丸5番でございますけれども、「満足」「やや満足」を合わせて57.9%、「不満」「やや不満」はそれぞれ8.1%、8%ということでございます。

一方でということになりますけど、丸6番、受講した講習が、教員免許更新制の趣旨であるような最新の知識・技能を習得できる内容であったのかというところになりますと、丸5番と比べていただきますと「そう思う」「ややそう思う」ということが下がって、また一方で、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」というところが非常に増えていると。つまり、最新の知識・技能を習得できるかというところについては、評価が低くなるという傾向でございます。

丸7番でございます。受講した講習が現在の教育現場で役に立っているかという、有用度でございます。これは「役に立っている」「やや役に立っている」というところについては合わせて3割強という程度に落ち込むということでございまして、丸5番から見ていただきますと、受講直後の満足度というところ、それが最新の知識・技能を習得できる内容だったか、そして実際に現場で役に立っているかというところは、順を追って低くなってくるという傾向でございます。

5ページでございます。なぜ教育現場で役に立っていないと感じるのかという理由を、自由記述形式で尋ねています。この回答割合というのは、自由記述をした方の中の回答割合ということでございますけれども、一番多かったのは、現実との乖離があり、実践的な内容でないということ。2つ目は、そもそも希望した講義でなかった、義務感で受講したということ。3つ目は、情報が古い、既に知っている内容ということで挙げられてございます。

丸9番でございます。受講に当たっての観点別の負担感、どのようなところを先生たちは御負担に感じていらっしゃるかという調査でございます。

「かなり負担に感じた」「やや負担に感じた」、この合計が高い順番で申し上げますと、受講費用というところが1番、講習時間というところが2番ということでございます。そのほかを見ていただきますと、受講予約というところとか、業務との兼ね合いというところについても、先生たちが負担感を感じていらっしゃるというような傾向が出てございます。

丸10番でございます。55歳の時に、旧免許ですと更新講習の修了確認時期がやってくるわけでありますけれども、このことが早期退職のきっかけになるかどうかということについてお尋ねしたものでございます。

ここは、早期退職のきっかけになるという方が36.8%、早期退職のきっかけとは関係ないという方が39.7%ということで、これは実際に早期退職した方の割合ではありませんので、あくまでそういうときに影響を与えるかどうかということについて想像してお答えいただいたものでありますけども、こういった結果になってございます。

続きまして、6ページでございます。丸11番が、免許状更新講習の総合的な満足度でございます。こちらにつきましては、「不満」という部分が39%で最も高く、「やや不満」が19.5%ということでございまして、これらの回答を合計いたしますと58.5%。一方で「満足」「やや満足」の合計では2割を切っているという状況でございます。

免許状更新講習の内容に関する満足度をというところについては、先ほど御紹介したとおりでございまして、また、負担というところも、先ほど御紹介したところです。これを掛け合わせると総合的な満足度というものが出てくるということも考えられるわけでありますが、これが大きく「やや不満」「不満」というところに表れているというところでございます。

相関について、一応取ったものが真ん中辺りにまとめてございます。

この相関係数というものが、絶対値が大きく出ているところということで申し上げますと、時間、費用、業務との兼ね合いとの負担が重ければ重いほど満足度が低いという傾向ははっきりと見て取れるということでございます。

また、受講内容・講義内容が希望どおりでなかったと回答した者ほど満足度が低くなっているというような傾向も見て取れるわけでございます。

6ページの下の部分でございます。教員免許更新制全般に関する自由記述について、上位5項目を類型化したものをまとめてございます。

1番目が、制度自体を廃止すべき。免許更新制に意義を感じないなどと回答されている方が、自由意見を書かれた方の50%程度。以下、受講料の支出の問題、多忙・負担増という問題、時間・肉体的・精神的な負担(費用以外の問題)、講義内容というところの課題と、こういったところについて触れられているということでございます。

ここまでが、免許更新講習、免許更新制度に対する現職教員の認識というものでございます。2,000人程度の方にお答えをいただいたということでございますけれども、このような結果になってございます。

7ページ以降は研修に関してでございます。丸1番、講習と研修の内容重複の有無。もともとクロスオーバーさせると、相互認定していたという前提のものは除きましてお伺いしたところ、講習と研修の重複があったというところについては、8.8%がほとんど重複、一部重複が33.1%という状況でございます。

丸2番を御覧ください。内容の重複による負担感。こういった重複していたという方々にお伺いいたしますと、重複していることに非常に大きな負担感を感じているということが表れているわけでございます。

丸3番以降が、研修の内容というところなどになってまいります。丸3番、現職研修の内容についてというところ、最新の知識・技能、現場の実務に役に立つ内容が多いという部分について、これは半々で分かれているというところでございます。

こちらについては、ただ、ちょっと御注意いただきたいのは、実は都道府県別には相当ばらつきがあると。それが合わさってこういう結果になっているところでありまして、実はサンプル数の問題などから、都道府県別の回答というところについてお示ししないことにいたしておりますけれども、かなり最新の知識・技能を習得できる、現場の実務に役に立つ内容が多いとおっしゃっている方が多い県もあれば、そうでない県もあるといった状況がございます。合わせるとこういう結果になってくるというところでございます。

8ページを御覧ください。こちらのほうについて、研修が体系的、計画的に受講できる仕組みになっているか、教育委員会等が主催する研修の改善状況といったところについても、お示ししたとおりの数字になってございます。これも同様の傾向がありまして、都道府県別にばらつきがあるものが、合成されるとこういう結果になるという状況でございます。

資料の1-1のほうで御説明をさせていただきました。資料の1-2につきましては、その他の項目についても含まれているところでございますが、まずは私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【加治佐主査】 どうもありがとうございました。ここで、関連するもう1つのデータの紹介をお願いいたします。

秋田委員より、更新制が人材確保に与える影響に関しまして、臨時的任用教員や非常勤講師の年齢分布に関する調査データについて御紹介いただきました。調査を実施した慶應義塾大学の佐久間教授から資料を御提供いただきましたので、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】 引き続いて説明させていただきます。資料2でございます。慶應義塾大学佐久間亜紀研究室のほうから御提供いただきました。私のほうから簡単に説明をさせていただきます。

この調査におきましては、教員免許更新制度というものが今後の臨時的任用教員・非常勤講師の任用にどのような影響を及ぼすのか、また教員不足にどのような影響を及ぼすのかということに関するデータということでございます。

この調査につきましては、Xとして今回匿名にさせていただいておりますけれども、この県のデータというものを用いた調査ということになってございます。

(1)番でございます。臨時的任用教員というものが何人ぐらい必要とされているのかと。

臨時的任用教員というのは、フルタイム常勤・任期付の教員ということで、職務としては学級担任、部活の指導なども担っていらっしゃるケースが多いわけであります。この(1)番の一番最後の丸でございますが、X県においては2021年度5月1日時点で1,720人の臨時的任用教員がまずいらっしゃるという状況でございます。

(2)番でございます。どのような方が臨時的任用教員になっていらっしゃるのかということでございます。資料のほうでそれぞれ示されているとおりでありますけれども、世代別に見ると20代・30代の方が中心的な担い手になっている一方で、小学校で18.6%、中学校で13.9%の方が60歳以上ということでございます。特に小学校では、50代女性が27.5%、60代女性が23.1%と、欠かせない存在になってございます。

(3)番でございます。臨時的任用教員が足りているのかということ、不足にどう対応しているのかということでございます。X県では近年、この臨時的任用教員の不足というのも顕著になっているという状況があるということでございます。

2ページを御覧ください。5月1日時点で臨時的任用教員が合計で83人不足していたという状況でございまして、この臨時的任用教員が見つからない場合には、やむを得ず非常勤講師というものを雇用して代替すると。非常勤講師については、時間契約で教科の授業を担うなどの職務が主流でございましたけれども、より重い職務を担う講師も増えてきているということだそうでございます。

(4)番でございます。臨時的任用教員の不足状況、年度内での推移でございます。1つ目の丸にございますように、教員不足というのは、1学期よりも2学期、3学期と、時間が経つにつれて増加していくという傾向があると。特に育産休の代替の未配置については、5月には9人が1月に109人ということで、増えているという状況があるということでございます。臨時的任用教員と非常勤講師が教室に穴を空けないために重要な役割を果たしているということでございます。

そこで、臨時的任用教員の不足を埋めるために非常勤講師を活用するということでありますけれども、(5)番のほうへ行っていただきまして、非常勤講師は何人ぐらい雇用されているのかということでございます。2021年5月1日時点で、X県内の小中学校において884名ということでありますけれども、このうち60代が466人、70代が68人、最高齢は77歳という状況ということでございます。

(6)番、ここは今の御説明と重複する部分もございますけれども、どのような人が非常勤講師に任用されているのかという点につきまして、3ページのほうに移っていただきまして、合計任用数を年齢別に見ると、60代が52.7%、70代が7.7%ということで、60代、70代の存在感というものがかなり大きいという状況でございます。特に男性については、60代・70代が主要な担い手になっているという状況があります。

(7)番でございます。この非常勤講師の需要についても、年度内でどのように推移するのかという点でございますけれども、この丸で言いますと2つ目、5月1日時点と10月1日時点で比べると、合計任用数が約1.7倍に増えていると。このような形で、非常勤講師の需要というものも年度の時間が進行するにつれて大きくなっているというような状況があるわけでございます。

そこで結論、調査データから示唆されることとして佐久間研究室のほうでおまとめいただいたものでございますけれども、丸1番、臨時的任用教師・非常勤講師が学校現場において必要不可欠な存在になっている。丸2番、X県内では60歳以上の世代が非常勤講師の6割以上を担う。臨時的任用教員についても1割以上を担う主たる担い手として重要な役割を果たしているということ。丸3番、教員免許更新制導入時に55歳以上だった方というのは、免許の有効期限、修了確認期限が付されていないわけでありますけれども、今後、教員免許更新制度が現状のまま続く場合には、更新対象になる退職者の教員免許が失効していき、非常勤講師の需要に対する供給源が失われる可能性が高いと。公立小中学校における教員の未配置、教員不足が深刻化していく可能性が高いという示唆が挙げられているということでまとめていただいてございます。

他の都道府県・政令市についても同様の実態にある傾向が高いのではないかということが、佐久間研究室のほうから御提供いただいた資料の内容でございます。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐主査】 ありがとうございました。それでは、もう1つの調査のほう、教員の研修履歴調査結果について、事務局から説明をお願いいたします。資料3ですかね、お願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 教育人材政策課の課長補佐の中村でございます。議事の2、教員研修履歴管理状況調査結果について御説明させていただきます。

なお、次の議事の、今後の現職研修の充実方策についても関連いたしますので、続けて御説明させていただければと思っております。

議事2は資料3に基づいて説明いたします。研修受講履歴管理状況調査につきましては、スライド1ページ目にありますように、全国の教育委員会に対しまして、任命権を有する教員に対しての研修受講履歴についての管理を問うたものでございます。時期については今年の4月から5月で、対象としましては都道府県、政令市、あと中核市を対象に行いました。

スライド1の下半分でございますが、まず最初に全体の概要についてですが、教員の研修受講履歴を管理しているかどうかについて、正規教員を対象にグラフ化をしました。左2つが都道府県の小中学校が中心のもの、あとは高校が中心のものとで、2つにグラフが分かれています。

全体の概況としましては、都道府県、政令市においては、大体全体の7割から8割が何らかの方法で教員の研修受講履歴を管理しているという状況でした。中核市につきましては、それに比べると随分管理している度合いが低いんですけれども、恐らく任命している教員の種類が違うことが理由かと思われます。

次にスライドの2ページ目ですけれども、今度は雇用形態別の管理状況についてグラフ化したものですけれども、基本的には正規教員が一番管理をされているということで、次に臨時、それから再任用。再任用と臨時が逆の場合もありますけれども、正規教員よりは管理がされていないという状況です。

スライドの3ページ目を御覧ください。今度は正規教員の研修受講履歴の媒体、情報システムなのか、その他の電子ファイルなのか、紙媒体なのかという媒体と、あとは管理している内容についてを割合で比較をしたものです。「管理している」と答えた教育委員会についてグラフ化しております。

左上の情報システムを御覧いただくと、大体全体の概要がお分かりいただけますけれども、丸1番の研修名ですとか、あとは丸5番の研修時期・年度についてはおおむね管理されているというのが分かるわけですけれども、一方で、丸2番の教員育成指標に照らし合わせた分類などについては、それに比べると割合が低くなっていると。情報システムもそうですけれども、その他の電子ファイル、紙媒体においてもそういう傾向が見て取れます。

また、特に情報システム、左上のグラフのほうで言いますと、丸6番の研修成果・レポートの管理の割合というのが顕著に低く出ております。

次に、スライド4ページを御覧ください。4ページと5ページがそれぞれシリーズになっておりまして、4ページが都道府県の中の幼・小・中・義務教育学校の場合で、5ページのほうが都道府県の高校・中等教育学校・特別支援学校の場合とでグラフを分けていますけれども、先ほど申し上げた、媒体別で研修のどういう内容を管理しているかといったものを、今度は雇用形態別で改めて見たものですけれども、全体を通しても、正規教員の場合と臨時や再任用の場合とで、おおむね傾向としては変わっていないというふうな状況だと見ております。

4ページ、5ページについてはこのような形で整理しておりまして、6ページのほうを次に御覧ください。研修受講履歴管理の対象となる研修について、どういう状況かというものをまとめたものです。

こちらについては、グラフの1つ目の丸1番、法定研修や基本研修などの悉皆研修、こちらが一番多く管理されている研修のタイプになりますけれども、その次に、3つ目、丸3の、教育委員会が主催する選択研修ですとか、あとは丸4番、大学院派遣研修などの長期研修、それから丸6番、独立行政法人教職員支援機構主催の研修、こういったものを管理しているという教育委員会が多いという状況になっております。

次に、スライドの7ページを御覧ください。今度は教員の雇用形態別に、研修受講履歴管理の閲覧権限の状況をまとめたものでございます。

おおむね全体の傾向について共通しているんですけれども、教育委員会の種別によらず、閲覧権限は丸1の任命権者である教育委員会事務局担当者がほぼ100%という状況になっていると。次に丸3の学校管理職が大体5割程度。それと丸4の教員個人というのも4割程度という状況にありまして、雇用形態別に大きな差というものは見られない状況でした。

次に、8ページのスライドを御覧ください。こちらは正規教員の研修受講履歴管理の運用ですとか活用の方法について問うたものですけれども、こちらについて、左上の赤い表ですけれども、これは記録の方法について問うたものですけれども、記録の方法については、上から3つ目の、教育委員会が主催する研修に関して、名簿や申込みなどから教員個人の研修受講を把握して記録するというパターンが、9割ぐらいということで非常に多くなっているという状況です。

それと左下の青色の表については、研修履歴の標準化と言って、ポイント化ですとか単位化といったものをそういうふうに呼んでいますけれども、それをしているかどうかということを聞きましたところ、これについては僅か2つの自治体が、いわゆるポイント管理ですとか単位化というのをしているということでした。

それから、右の緑色の表につきましては、活用の方法について聞いているものですけれども、活用の目的としては、上から4つ目のところにありますけれども、学校管理職や教育委員会事務局担当者などによる、教員一人一人の研修受講状況の確認と。例えば、教職経験年数に応じた研修をきちんとその経験年数のときに受けているかといった、受講の確認といった目的の確認で把握されているところが強いという一方で、一番下から2つ目にありますような、人事異動等の際に活用されているかと言われると、そこはあまり活用されていないという状況でした。

9ページのスライドを御覧ください。こちらは媒体で、情報システムによって管理しているというふうにお答えいただいた教育委員会のうちで、そのシステムの運用状況について問うたものです。

システム上、その1つ目は、上のほうの表にありますのは、アクセス制限があるかどうかということについては、アクセス制限が何らかの方法でされているというのが6割、7割ぐらいあると。それから下のほうの表につきましては、他のシステムとの連動について問うたものですけれども、大体この2番目のところにあります、他のシステムと連動していない、別個独立したシステムというところが8割ぐらいということで一番多くなっておりまして、その他、一番上に、人事給与システムと連動または一体となっているというのも2割前後あります。

それから10ページ、最後のほうですけれども、研修受講履歴を現在管理していない教育委員会に、今後の見通しについて問うたものです。

研修受講履歴を管理していない教育委員会は、1つ目のスライドのほうにもありましたけれども、全体でいうと34%になるわけですけれども、その管理していない34%の中で教育委員会種別ごとに見ますと、都道府県教育委員会の場合は大体63%が、これからは管理する予定だというふうにお答えいただいて、政令市については83%がその予定だとしております。一方で中核市については、恐らく任命をしている教員が幼稚園主体だということもあってか、管理しようという予定を立てている教育委員会は少ないという状況でした。

管理していない、する予定がないというところの理由につきましては、下のほうに幾つか抜粋しておりますけれども、こちらの方では別にシステムを導入することを前提に問うているわけではないものの、やはり研修履歴を管理しようというときにシステム導入を想定することが多いということもあってか、システム導入に伴う予算確保の困難さですとか、いわゆるシステム面の導入の難しさというところを理由にしているところが多く見られました。

資料3につきましては以上になります。

続けて、議事の3のほうの、今後の現職研修の充実方策についても、併せて事務局である私のほうから御説明させていただければと思っております。資料につきましては、資料4を御覧ください。

議事3、今後の現職研修の充実方策について御説明します。前回の小委員会のほうで議論させていただいた、新たな教師の学びの姿を効果的に機能させるために、その前提となる現職研修の充実方策について、今回御説明しようと思っております。

その際に、教師の持続的な成長や教師の学びの在り方に関わって、先週開催されました教師の在り方特別部会のほうでは、学校組織マネジメントの重要性を取り上げながら、教師自らが主体性・自立性を持って学ぶに当たって、学校現場における教師同士の学び合いですとか、学校現場で抽出された課題に対する協働型の研修、それから学校の教育課題を発見し、チームで共有化した上で協働しながら解決に当たるために、その中で自らの役割を果たすために必要な資質能力を獲得することにつながるような職場環境づくり、そして、そういった職場環境を整える学校管理職のリーダーシップ、それとその管理職自身への支援といったことについて必要だというふうな議論が、有識者ヒアリングを通してございました。

このような教師の主体性や自立性、学びの内容、スタイルの多様性を重視するという方向性につきましては、本小委員会で議論されている、新たな教師の学びの姿の目指すべき方向性でもあるというふうに思っております。

こうしたことは前提として改めて確認させていただいた上で、新たな教師の学びの姿を支える現職研修の充実方策をどう考えるかということについて、資料に基づき、論点提起させていただきたいと思っております。

それでは、資料4の1のところですけれども、これまでの議論ということで、これは前回5月24日の小委員会におかれまして配付されたものを抜粋しておりますが、新たな教師の学びの姿について議論するに当たっての論点例ということで、新たな学びの姿の具体化に向けてということで3点掲げております。

教師が自らの学びを振り返り、将来の見通しを持って主体的に今後の学びを考えるために、管理職や任命権者が個々の教師の学びを把握し、人事配置やキャリア形成支援につなげるためにも、教師の研修受講履歴を記録・管理していくことがまず重要ではないか。

特に公立学校の教師については、教員育成指標等に基づく体系的な研修の仕組みが教育公務員特例法により整備されており、本指標や研修受講履歴等を手がかりにした教師と任命権者等との対話や、研修の奨励が確実に行われるよう、制度的な措置を講じることが必要ではないか。こうした仕組みは、全ての公立学校の教師に継続的な教師の学びの契機と機会を確実に提供し、その資質能力の向上を担保するための中核的な仕組みとして機能するのではないか。

教職員支援機構が公開している校内研修シリーズなどのオンライン講座は、国公私立教員や地域の別を問わず、いつでもどこでもアクセスできるコンテンツであり、その拡充を進めるとともに、学校等における活用を促していくことが重要ではないか。こういった論点例を示させていただきました。

それを踏まえまして、2のところに、現職研修の充実方策に係る論点例というのを、今回改めて示させていただきました。

箱の中に書いてありますように、新たな教師の学びの姿の実現により、全ての公立学校の教師に継続的な教師の学びの契機と機会を確実に提供し、その資質能力の向上を担保するためには、現職研修自体も一層の高度化を図っていく必要があるのではないか。

具体的な各論として5点ほど書かせていただいておりますが、1つ目の、中堅教諭等資質向上研修後も含めた法定研修以外の研修の機会、特に管理職以外のベテラン期の教師の研修機会の充実ですとか、当該研修の多様な実施、提供主体の確保などをどう考えるかということ。2つ目に、研修内容や研修方法について、校外研修などのOff-JTと日常的なOJTとの関係も踏まえつつ、最新の学校現場の教育課題に即した内容となっていることや、対面・集合型の研修と、オンデマンドや同時双方向型のオンライン研修との組合せによる効果的・効率的な実施が求められるが、これらを促す方策として、どのようなことが考えられるか。例えば、各研修実施者の適宜適切な点検の実施などということです。

3つ目に、教師の主体的・自律的な研修を実施する上で、学校管理職等のマネジメントはどうあるべきか。例えば、OJTを含め教師同士の学び合いを促す校内文化の醸成など。4つ目に、研修受講履歴を用いた対話や奨励により、教師の主体的・自律的な研修を促進する一方で、任命権者や学校管理職などの期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合の対応についてどう考えるか。このような場合、どのような方法で実効性のある形で全ての教師に学びを確保することができるかということで、例えばということで、必要性が認められる場合の職務命令を通じた研修受講の担保や、それに従わない場合の必要な措置の在り方などということで、こちらについては現行でも初任研や中堅研で校外研修をする場合などに、職務命令によって研修を受講しているといった実態はあるわけですけれども、このような主体性・自律性といったものを考えたときに、全ての教師に学びの確保をすることの具体的な方策を考えることが必要ではないかということです。

これらにつきまして、教師の資質の向上を図るに当たり、踏まえるべき基本的な視点を国として明らかにする必要があることから、教育公務員特例法第22条の2の規定に基づく指針や、これを補うガイドラインなどにおいて、できる限り具体的に示してはどうかということを論点提起としてさせていただきました。

説明としては以上です。

【加治佐主査】 どうもありがとうございました。では続きまして、冒頭にも触れましたが、本日は実際に研修の企画・運営等に携わる教育委員会の方に取組事例を御紹介いただきます。

それでは、事務局から御紹介をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 失礼いたしました。事務局です。ただいま主査からも触れていただきましたが、本日は京都府と大分県の実際の取組について御紹介いただきたいと思います。

初めに京都府総合教育センターの前川センター長、その次に大分県の岡田課長補佐に御説明いただきたいと思っております。お願いいたします。

【前川京都府総合教育センター長】 京都府総合教育センターの所長をしております前川と申します。本日はこのような機会を与えていただきましてありがとうございます。

早速ですが、京都府の教職員研修の仕組みについて御説明させていただきます。

まず、京都府が教職員研修制度の見直しをいたしました背景と、4つの見直しの観点について御説明します。

京都府では、平成18年の中教審答申と教育基本法の改正を受け、平成19年に教師力向上のための指針を策定いたしました。それを基に研修制度の見直しを図りました。見直しに当たっては、次のページで紹介します研修に対する学校教育現場の意見と課題認識を基に検討を進めました。

具体的な見直しの中身ですが、ピンクで囲っております1つ目が研修の単位履修制度、そして2つ目が受講管理システム、これを2年間の準備期間を経て平成21年度から導入いたしました。また、教職員の負担への配慮や、管理職が研修受講を勧めやすくするために、研修スタイルの工夫を順次進めてきたところです。なお、現在の研修講座は、平成30年に策定いたしました京都府教員等の資質能力の向上に関する指標を基に組み立てております。

研修に対する現場の声と課題認識といたしましては、大きくはここに挙げている3点に集約されますが、1つは、教職員の意欲につながる研修とすること。2つ目が、資質向上やキャリアアップにつながるバランスのよさと系統性、専門性を担保する研修であること。3つ目が、研修を受けやすい、受けさせやすい仕組みづくりを構築することでした。

まず、見直しの1つ目の観点である、京都府教員等の資質能力の向上に関する指標ですが、6つの校種・職種ごとに、7つの観点を縦軸に、5つのキャリアステージを横軸に構成しました。特にキャリアステージは、後で説明します研修の単位履修制度の受講時期の区分とタイアップさせています。

これは、義務教育諸学校の教諭の指標の一部分ですが、7つの観点を縦軸として、それぞれの観点について、5つのキャリアステージごとに、どのような資質能力を身につけてほしいのかを明示しました。

今お見せしました別添の資料1ですが、義務教育諸学校の教員の指標です。それぞれの観点で、ステージに応じて求められる資質能力がグレードアップしていくのがお分かりいただけると思います。例えば、この別添資料1-2の中堅期と充実期を比較していただきますと、それぞれの項目で、中堅期は個人として「何々ができる」という表現から、充実期になりますと「助言・支援ができる」といった指導的能力に変わっているのがお分かりいただけると思います。

また、別添資料2の1から4は、このキャリアステージに応じて研修講座が組み立てられているという一覧表です。これは毎年配布しております教職員研修計画に掲載し、どの研修を受講するのかを考える際の参考になるように配慮しています。

次に、2つ目の観点である単位制履修制度の仕組みについてですが、京都府では1回の研修を1単位とし、教職生涯で60単位の研修を受講することを目安としています。4つに区分した受講時期、それぞれどの程度の研修を受講することが望ましいのかを示しています。ここでは、特定の時期だけに研修の受講が偏るのではなく、計画的に無理なく資質向上を図るために、研修受講の継続性を重視しました。

今お示しした表は教諭の例ですが、採用された1年目は法定研修の20単位、2年目は法定研修の残り5単位と、自分たちが設定した課題についてグループで研究を行う3単位の計8単位を履修することとしており、さらに6年目までに、センター研修等から5単位を選択して受講することを推奨しています。

また、中堅期研修を含む7から15年目の9年間で合計14単位を、16年目以降には各自の専門性や関心に応じた講座を選択して13単位を受講することとしています。

次に、単位制履修制度の狙いと工夫のポイントですが、ここに示した4点となっています。1つは、先ほどの表で示しましたとおり、受講時期に幅を持たせ、無理なく受講できるようにすること。教職員の関心やキャリアステージに応じた、受けたいと思う講座づくり。そして、経験に応じた学びを進化させられるように、グレード化やシリーズ化を研修に導入すること。4つ目が、管理職養成も見据えた人材育成につながることです。

最も重視していますのは、研修を積み上げていくことにより、それぞれのキャリア段階で資質能力を伸ばそうとする意欲につながることだと考えています。

今、説明しました工夫の5つの分類体系、4つの分野、3つのグレードはこのように分類しています。これも毎年配布しています教職員研修計画の中で、研修講座の紹介をしています実施概要の欄、今見ていただいておりますが、ここで、(3)で指標の観点、(4)でグレード、(5)で当該講座が該当するステージ等の情報を明示しています。

次に、単位制履修制度の研修の積み上げの一つのモデルを御紹介します。この例は、特別支援コーディネーターや教育相談の力量をつけたいと考える教員や、退職後等にスクールソーシャルワーカーを目指す教員に対して、3つの領域でグレード化された講座を最短2年間で受講すれば、右にありますような受講済証明書が発行されるというものです。

さらにスキルアップを目指す教員には、下の欄のような上級グレードも用意されており、このように研修のシリーズ化やグレード化、また関連づけ等により、教職員がより積極的に研修を受講し、自らの資質向上に努めようという意欲の向上につながるような工夫をしております。

次に、3つ目の観点である研修スタイルの工夫ですが、京都府では、センターで受講する研修以外にも、ウェブを活用して勤務校等で受けられる研修や、オンデマンドで動画を視聴する実践講座、また、校内研修にセンター所員を講師として派遣する出前講座など、研修を受けやすくする工夫を行っています。

さらに、資質向上には、研修受講だけでなく教職員が自発的に取り組む課題探究的な活動が重要だと考えておりまして、特に中堅期のそういった意欲や成果体験が、教職員の後半期の意欲につながると考えております。

そこで、4番にありますような、若手教員学び合いコミュニティ育成支援事業を昨年度から始めました。今年度は、「効果的なICTの利活用とクリエーティブな授業の創造」をテーマとした、小中学校の校種を超えた教員のグループをはじめ、17のグループがエントリーし、採択されました。それぞれに、若干ではありますが予算措置をするとともに、それぞれのグループには大学の教員、指導主事、センター所員、あるいは現場の管理職等が指導助言者として支援することになっています。

次に、4つ目の観点である研修の受講管理システムですが、このシステムは研修の申込みの利便性を高めるだけではなく、受講した研修を履歴として残し、また、それを本人や管理職がいつでも閲覧できるようにすることにより、意欲的かつ計画的な研修の受講につなげようとするものです。

また、管理職は、教職員と面談等の際に、キャリアアップにつながる研修の受講を勧める資料として活用されることもありますし、さらに、研修歴を管理職登用の資料とするなど、多面的に活用することを目的として、京都府独自でシステムを構築しました。

これが受講管理システムのイメージ図ですが、学校や教育事務所、市町教育委員会は、研修の申込みや承認、あるいは研修履歴の閲覧ができますし、教育センターは受講申込みの受付や管理に活用します。

これは、閲覧あるいは印刷できる個人ごとの研修履歴一覧表です。センター研修や単位履修が認められたセンター以外の研修も、講座名だけではなく履修時期、履修単位数、講座の分野や、さらにセンター研修で講師を務めた履歴まで一括して管理し、確認できるようになっています。

このように、京都府では4つの制度等をリンクさせることにより、意欲や資質の向上、また人材育成につながる研修の仕組みづくりを進めています。

参考までに、研修の受講者数の推移を申し上げますと、昭和56年にはセンター研修の受講者数が京都府全体で約7,000人であったのに対し、平成元年には一旦2万1,000人に増えました。しかし、単位履修制度と受講管理システムを導入した平成21年には、1万4,000人にまで減少いたしました。

今日御紹介しました様々な取組を進めた結果、コロナ禍前の令和元年度には、センター研修の受講者が2万7,500人に増加しましたし、先ほど御紹介しました出前講座は、令和元年度では延べ9,000人が受講しました。

とはいえ、まだ改善の余地があるとは思っておりますので、引き続き、魅力ある研修づくりと資質向上につながる研修の仕組みを検討していきたいと考えております。

以上で、京都府からの報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【中村教育人材政策課長補佐】 ありがとうございます。

大分県のほう、続いてよろしいでしょうか。

【平野教員免許企画室長】 すみません。事務局の免許室長ですけれども、大分県さんの方がちょっと今、回線の状態が悪いようでございます。復帰に向けて少しこれから連絡を取りたいと思いますけれども、しばらく時間がかかる見込みでありますので、一旦ここで委員による意見交換のほうに入っていただいて、途中で回復したところで、すみません、一旦そこで切らせていただいて、大分県の御発表をいただくということでお願いしたいと思います。

【加治佐主査】 分かりました。それでは、大分県の準備が整うまで、これまでのところで御質問、御意見等お願いしたいと思います。手を挙げるボタンを押していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、取りあえずお三方ですね。松田悠介委員、根津委員、貞廣委員ですね。それでは、松田委員からお願いいたします。

【松田委員】 松田でございます。ありがとうございます。何点か御質問でございます。

1点目ですが、これは不勉強で申し訳ないんですけれども、どなたか教えていただければと思います。更新講習についてですけれども、受講科目は受講必須科目と選択科目に分かれているのでしょうか?また各免許種別によって受講科目は変わるのでしょうか?

2点目ですが、アンケートでは幼稚園から高校、そして特別支援の先生含めての集計になっているんですけれども、課題を特定したり改善策を考えていくためにも、各学校種別で見ていく必要があるんじゃないかなと思っておりまして、これは各学校種別ごとに結果の差がそこまでないということなのでしょうか。

3点目ですけれども、オンライン研修に対する意向は年代別で差があったと先ほど室長から御説明いただきましたけれども、他の質問、例えば研修内容が役に立ったのかについて聞いている質問なども経験年数の違いによって年代別で結果の差が生まれそうです。その辺、いかがでしょうか?

4点目は満足度についてなんですけれども、研修内容の満足度についてかなり厳しい評価を提示していただいているのかなというふうに認識をしました。資料1-1の調査結果の4ページ目を拝見しますと、受講した講習内容の満足度が、満足しているが16.5%。やや満足が41.5%。受講した講習は最新の知識技能を習得できたのか、満足は11.8%で、やや満足が40.8%。教育現場に役に立っているのか、役に立っているが7.2%で、やや役に立っているが26.2%というところですけれども、全ての講座を満足を目指すのハードルは高いにしろ、やや満足を含めて50%前後、そして教育現場に役に立っていると感じるのが33%って、とても厳しい結果だと思うんです。そもそも目標って設定されていたのでしょうか。

もう1点については、研修のクオリティコントロールについてです。我々も研修で先生方に、昨日の授業より今日の授業、今日の授業より明日の授業を改善していきましょうということを伝えていくと思うんですけれども、それを体現していくこともこの更新講習においてはすごく重要だと思っています。研修の質を高めるためのフィードバックループやクオリティコントロール、更新講習そのものの質を改善し続けるようなメカニズムって今存在しているのかを教えてください。

【平野教員免許企画室長】 ありがとうございます。幾つか質問がございました。

1点目でございます。必修、選択必修、選択領域という3点に分かれてございまして、必修領域について6時間以上、選択必修について6時間以上、選択領域については18時間以上ということで分かれてございます。必修領域、選択必修領域については、国のほうが省令のほうでその内容を大枠については指定している、こういうことでございます。

2つ目でございます。こちらのほうについては、私ども理解している限りでは、学校種別ごとに大きな差はないといいますか、そもそも学校ごとに実は更新講習の内容というものは、例えば小学校の先生はこれ、中学校の先生はこれということになっていないということで、基本的には免許状というものが最低限度必要なものを担保するという観点から、共通の内容というものをしっかりとやるということが望ましいというのが免許更新制導入時の整理ということでございます。

3点目につきましてでございます。すいません。そこまでちょっと詳細な情報というところは今この場で分かりませんので、後ほど答えられるかどうかも含めて検討させていただきます。

4点目でございます。非常に厳しい評価という中で目標を設定しているのかということについて1点お話がございました。目標というのが、例えば何%が満足するということの目標ということであれば、設定を特にしているものでございません。以前の教員養成部会のときに、国のほうが、各大学が終わったときに受講生にアンケートを取っていただいて、それを国のほうに報告していただくというようなプロセスというものがあるわけでありまして、この数字について九十数%が満足しているといったようなデータというのをお示しさせていただいたことがございます。

一方で、ヒアリングを行いまして、教育委員会さんであるとか校長会というところでヒアリングを行いますと、その九十数パーセント、95%以上だったと思いますけども、満足しているといったものとは相当乖離があるというヒアリング結果というのがあったわけでございます。

こちらについて、当然制度の趣旨からすると、最新の知識技能を習得するというために行っているものでありますし、教師の力をしっかり身につけて、免許にふさわしい資質能力のリニューアルを図っていくということが目的でありますので、ここの数字については具体的な数値目標というものがあるわけでありませんけど、そういう制度趣旨であるということから、そういうことが達成されていない方がいるということそのものも、課題として捉えるべきものとして考えてございます。

クオリティーコントロールというところについては、以前、ヒアリングを更新講習開設者、大学の方にもさせていただいたところでありますけれども、免許状更新講習規則という私どもの規則がございまして、その中で受講生の意向を適切に把握をいたしまして、当該意向を反映するということ。また、免許状更新講習の改善を図るための必要な措置というのを講じ、その水準の向上に努めなければならないということが法定されているところでございまして、各大学が自主的にそのようなことを取り組んでいただいているものというふうに意識してございます。以上です。

【松田委員】 ありがとうございます。いずれにしろ、何か年代別のところとか免許種別ごとの満足度であったり、状況というのは、課題を特定して改善策を考えていく上でとても重要な情報だと思いますので、ぜひとも検証というか、開示をしていただくことを前向きに御検討いただければと思います。

【加治佐主査】 分かりました。それでは、根津委員、お願いいたします。

【根津委員】 早稲田大学の根津です。幾つか意見ということになると思いますけれども、述べさせていただきます。

まず1つは、更新講習についての調査結果がございましたけれども、これは各地域の開設大学と教育委員会との連絡調整がどういうふうに行われているのかなというのは素朴に疑問に思ったところです。

それと関連するんですけれども、先ほどもちょっと似たようなお尋ねがございましたけれども、私が気になったのは、義務教育と、あと幼稚園、高等学校とを一緒にそれを考えていいのかどうかというところです。資料の4のほうでも公立学校というような言葉もあったかと思いますけれども、ちょっと回答のされ方等も違ってくるのではないか、あるいは免許更新講習等に対する見方も違ってくるのではないかと。

以前のデータではたしか夏休みに集中するというところがあったと思うのですが、各種の行事、あるいは部活動の大会等がありますと、中学校の教員、高校の教員等のマインドと小学校とでは大分違ってくるのではないかというふうに推察されます。

また、京都府さんからの御発表ですけれども、大変緻密で、しかも長期的に実績を積まれているということで非常に興味深く拝聴いたしました。最後のほうで受講人数のお話ありましたけれども、教員からの評判ですね。このシステムが、その人数以外のところで実際にそれがキャリア形成にどういうふうに役立っているのか。あるいは管理職の先生方から見たときに、このシステムは果たして、使い勝手がいいというとあれですけれども、そのあたりのまた違いがあるのかどうかですね、両者から見たときに。

そういうところが気になったところと、冒頭で申し上げましたように、校内研修等で、ちょっと不正確なんですけれども、大学からお招きをしてというようなお話もあったかと思うのですが、近隣の大学等々の教育委員会さんとの組織的な連携というものがどういうふうに行われているのかなというところが、もしお時間があればお聞かせいただきたいというふうに思いました。以上です。

【加治佐主査】 まずは京都府さんからお願いしまして、その後、事務局、お願いいたします。前川さん、よろしくお願いします。

【前川京都府総合教育センター長】 研修講座の受講人数以外の評判ということですが、研修講座を受けた後の評価というのは、おおむね高くなる傾向に正直あると思います。私ども測っておりますのは、この制度が始まって10年少しなんですけども、その10年の間で見れるデータとしましては、採用された初任者が数年たったときに、私どもが示しているような単位の履修をしているのかということをちょっと追いかけてみました。

そうしますと、小学校で採用された方が中堅期に入る前に、私どもが設定している目標の単位数をクリアしているというのは7割強ございます。一方で、一番低いのが高等学校でして、こちらは2割弱しか目標を達成できていません。これは、私どもが設定している研修講座の内容が、高等学校向きのものが少ない。あるいは、高等学校の場合は教科等の専門性を求める傾向にあるんですが、それに十分応えられていないのではないかなという反省も含めた分析をしております。

もう一つ、管理職等からの使い勝手がいいのかということですが、私、実際に現場で校長をしておりましたが、教員と面談する際、特に中堅期以降、これからどういう教員像を自分で目指すのかという話を面談でします。そういったときには、こういう講座があるよとか、こういう研修を受けてみたらどうかというようなことを進める材料にはなりました。ですから、管理職としては、日常的に常に使うわけではありませんが、教員等の将来を考えるときには重要な資料になり得るというふうに考えております。

不十分かもしれませんが、以上です。

【加治佐主査】 それでは、事務局お願いします。

【平野教員免許企画室長】 2点大きくいただいたと思います。教育委員会と大学との連絡調整状況ということでございます。以前、教員養成部会でも話題になったところでありますけれども、一言で申し上げると、相当千差万別なんであろうということでございます。

松木先生御所属の福井大学、相当福井県と密に連絡調整をされている、こういった話がある一方で、教育委員会と大学との連絡調整の場として協議会というものが法定されておりますけれども、そのような中で更新講習のことについては一切取り上げられたことがないというふうにお答えも別のところではあったと思います。

また、特定の大学と教育委員会というものが非常に連携をしているということはある一方で、県下の同じほかの大学、私学さん含めてあるわけでありますけれども、そういったところとそれだけ密なコミュニケーションが取れているかというところについても、教育委員会のキャパシティーの問題というものもあろうかと思いますので、そこについては、一部の大学が相当深く教育委員会とコミュニケーションを取っている、これは間違いないことでありますけれども、総体としてどうなのかというところについては、若干控え目に見ておく必要があるのかなということでございます。

2点目でございます。先ほど松田委員の質問と関わる部分だと思います。実は資料の1-2というふうに本体の資料がございまして、こちらのほうに各回答について学校段階別、年齢別の分類というものがされてございます。

資料の1-2開けますか。例えば、資料の1-2のほうのページで申し上げますと、どこがよろしいでしょうか。例えば38ページを御覧いただくと分かると思うんですけども、おおむねこのあたりの傾向は似ているところがあるんですけど、38ページでございます。そこですかね。こちらのほうが、受講した講習が現在の教育現場で役に立っているかという比率になります。

ちょっと見にくいかもしれませんけども、上から全体、性別、年齢、そして勤務先校種ということで分かれてございます。勤務先校種の部分を見ていただくと、大きな傾向は同じなんですが、幼稚園だけは高い傾向が少しございます。ただ、小中高、特殊というところはあまり差がないという状況であります。

年齢のほうというものも少し低いところというのはありますけれども、それほど極端に傾向が逆転している、こういった状況ではないわけであります。そのような意味においては、幼稚園は少し特別な傾向があるようでございますけれども、他の学校、また、年齢というとこについてはあまり大きな差がなさそうだという感じでございます。

また、ちょっとページのほうを移動していただきまして、ページでいいますと、続きまして、55ページ御覧いただきたいんですけれども、免許状更新講習の総合的な満足度というところでございます。こちらについても幼稚園だけが少し頭が高いような感じありますけど、小中高、特別支援というところはほぼ同じ数字でございます。

また、年齢傾向というところ、50歳以上55歳未満だけがちょっとへこんでいるように見えますけれども、そこまで傾向が逆転しているというほど大きな差があるということではないということでございます。

そのような意味においては、幼稚園というところを、以前の包括的検証の中でも、研修機会というものが限られている傾向にあるという中で更新講習に期待する部分が大きいといったようなコメントがたしかあったと記憶してございますけれども、その部分を除きまして大きな差はないのではないかというふうに思っているところでございます。以上です。

【加治佐主査】 ありがとうございました。それでは、貞廣委員、お願いします。

【貞廣委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。幾つか意見を申し上げたいと思います。更新講習のことについては皆さん御意見おっしゃっていますので、そのほかのことについて申し上げたいと思います。

まず第1に、資料3にある研修履歴管理の調査ですけれども、この管理という名称自体にシステムの目的の優先順位の設定に誤りがあるような印象を持ちました。念のため申し上げますと、これは調査のために与えられた名称で、京都府さんの御報告では必ずしもそうしたイメージは持ちませんでした。優先順位は管理ではなく、個々の教師が自らの職能開発のプロセスを、将来の見通しを持って、例えば育成指標等と連動させつつ振り返り、主体的に次の学びをマネジメントしていくことにあるのではないかと思います。そうした意味では、管理ということではないのではないかということです。

連動して2点目として、そういう意味では、今回の調査で御本人が閲覧できることになっているような自治体が4割程度にとどまっているというのは、本来的な意味からして望ましい形になっているとは言えないのではないかということです。

3つ目です。京都府さんの御報告では、大変戦略的に練り上げられた全体像と、また、その中に自発的研究の支援もビルトインされて、主体性の担保に配慮されている点に着目させていただきました。

6月28日開催の特別部会と教員養成部会の合同会議のヒアリングで、中原先生と町支先生が御報告をされていますけれども、そこでは、現場との経験的学びこそが資質の向上をもたらすという御報告がなされました。こうした点からしますと、教育委員会等が企画運営し、新たな知識や技能、理論等を学ぶ研修ももちろん重要なんですけれども、日常的なOJTを充実させることが非常に重要で、研修という観点から言えば、例えば必要に応じてウェブ等も併用しつつ、校内研修が充実されるということを再評価していくべきであると考えます。

また、本人の振り返りを想定するのであれば、これらの校内研修も履歴として適宜記録をし、振り返りを支援するという方策もあると思います。

4つ目です。こうした校内研修が充実される、日常的な学びが充実されるというのは、学内で学ぶ協働性がある学校を実現していかなければいけませんし、全ての教師が学びのチャンスを持ち、経験を戦略的に積んでいただけるような形が取られなければなりません。そうした意味では、校長先生の役割は本当に重要だと思います。子供も教師も育つ学校が理想であり、そのためには管理職が見通しを持って、その教師たちを育成していくということが非常に重要であると改めて感じました。

最後になります。今のような校内研修の充実という点ですけれども、小規模校では必ずしも多様な校内研修を担保することが困難であるという側面もあります。複数校をネットワーク化し、オンラインでの学びを組み合わせた研修の充実ということも併せて考えられるのではないでしょうか。

以上、意見とさせていただきます。ありがとうございました。

【加治佐主査】 ありがとうございました。おおむね御意見だったと思いますが、中村補佐、管理とは法令用語だと思うんですが、こういうことについてちょっとお願いします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局です。今、貞廣先生から御意見いただきました。おっしゃるとおり、管理という言葉は、我々が調査項目の名前の設計上使わせていただいて、重要性については、管理そのものではなくて、おっしゃるように振り返りをするとか、その振り返りしたことを踏まえて、面談などを通じて次のキャリアを考えていくときに使っていくということですので、管理という言葉はさすがになかなか、ほかに適当な言葉が見つからないんですけれども、おっしゃることはごもっともだというふうに理解しておりますので、その点だけちょっとお話をさせていだきました。

【加治佐主査】 これは私も古くて新しい課題だと思うんですけど、行政を行う立場から見ると当然、管理だと思うんですけども、ただ、その中身には必ずしも法令用語の意味だけじゃないものも含まれてくることがこれまでもありますし、それのために抵抗感があるといいますか、そういうこともありますので、この機会に研修履歴の管理という言葉が本当にふさわしいのかどうか。あえて言うと、現場受けをするようなことも考えていいのかなということを、貞廣先生の御意見を聞いてちょっと思いましたね。

あと京都さん、何かお答えすることがございますか。

【前川京都府総合教育センター長】 すいません、先ほど教員免許更新講習と大学との連携を教育委員会がしているのかという質問をいただいておりましたのに、お答えできていませんで申し訳ありません。各大学がどのような講習をしておられるのかというような情報交換、連携というのはしておりません。

一方で、京都府の総合教育センターでも許可をいただいて、免許更新講習の講座を開設しておりますが、その講師等に大学の先生に来ていただくといった連携はさせていただいております。

また、非常に人気のある研修内容、現在でしたら例えば特別支援教育の分野ですとかICTの分野ですとか、こういったものについては積極的に私どものセンターでも講座を開講するようにしておりますし、専門的な知見等で大学の先生にお世話になっているという部分はございます。以上です。

【加治佐主査】 ありがとうございました。

それでは、大分県さんのほういかがですかね。準備できましたか。

【岡田大分県教育センター総務企画部課長補佐】 それでは、改めまして、大分県教育センターの岡田と申します。ちょっと通信関係が悪くて申し訳ございません。大分県では教員研修システムを持っておりまして、その概要について報告をお願いできたらというというような形で受けましたので、その概要について説明申し上げたいと思います。

大分県教育センターでは、YELLと書いておりますけれど、教職員研修支援システムと申し上げます。先生方の教職員研修を支援しようという形で作ったシステムでございます。その概要を説明したいと思います。

次よろしくお願いします。まず、代表的な機能概要ですけれど、右側にございますけど、受講者がこのシステム上から研修を選択いたします。自分が申し込む研修を申し込む。そのときにインターネット側のタブレット、スマホ等にも対応しておりまして、そこから申し込み、所属長がそれを承認するという形です。

それを承認されたらば、次に市町村教育委員会、こちらのほうにデータが移りまして、市町村教育委員会も確認し、承認していると。これがセンターまたは本庁等に届きまして、受講を受け付ける。受講の仮通知という形で、富山県等はここで受講決定を行い、選考を行って、変更することによって、市教委または所属長、本人等が同じ画面で閲覧できるというふうな形です。もともとは、このシステムは教職員の働き方改革の観点から、研修事項の手続を効率化するという形で作られました。その受講手続の効率化を目標として作られたものでございます。

2番目お願いします。このシステム自身は受講申込みだけではなく、eラーニングの機能を持っております。受講者がその研修ごとに動画等がございましたらば、その動画を事前事後または研修の期間の間に受講できるというふうな形です。それに対して、課題の返信レポート、または評価シート等を入力して返すという形で、動画を視聴した履歴も残っていく。同時にアンケート等が自動的に修正できるという形でございます。

効果としましては、事前事後のウェブ研修によるOJTを推進しているというふうな形。それとハイブリッド、ウェブ研修と集合研修を合わせたハイブリッド研修によって、研修を削減するというふうなことも狙いとしております。

あとは、アンケート等の履歴を生かした振り返りの充実という形も目標として作られているものでございます。

次お願いします。それで、このシステムの大きな売りですけれど、二次元コード、QRコードですけど、これを用いた受付をしております。受講者が自分の受講決定になった研修当日にセンター等に行った場合、受付をほとんどQRコードで行っております。3密を回避だとか、これによって受講履歴を確認できるとかというふうな形で、右側に絵がありますけど、スマホの画面ですけれど、こういう画面をかざすことによってQRコード受付を行うというふうな状況でございます。

次お願いします。このシステムの大きな機能といたしましては、受講履歴、これを持っているというふうな形です。個人、管理職、または教育委員会のそれぞれの権限において、過去の受講履歴を閲覧できるという形です。その受講履歴を確認することによって、各キャリアステージに応じた受講計画を立案できるということで、自分がいつどこの学校のときにどういう研修を受講したかということが分かるという形です。管理職も教育委員会も人事異動がございますけど、異動しても異動先で研修履歴を閲覧できるという形になっております。

次お願いします。このシステムの操作概要ですけど、簡単に御説明いたします。ウェブシステムでございまして、ログインします。職員番号等がありますから、それでログインすると、これ、セキュリティー上ワンタイムパスワードを利用しております。ワンタイムパスでパスワードが飛びまして、それを入力することによってログインできます。

次お願いします。視覚者もいますので、合理的配慮の機能という形で画面自身が反転する形でも採用しております。

次お願いします。これは受講申込み、受講者が希望研修で、それぞれの研修区分で選択いたしまして、その研修内容がプルダウンで出ますので、それの希望する研修の詳細を見て、真ん中、ちょっと字が小さいですけれど、研修内容を閲覧して、そして、これが自分の研修目的に達しておれば、それを受講するというふうな形になります。スリーステップで申し込むことができるという状況でございます。

次お願いします。これは、個人がどのような研修に、1年間ですけど、申し込んだかという内容、状態が表示される部分です。ステータス表示と思っていただきたいと思います。個人が基本研修を含め、複数の研修に申し込んできます。そして、この研修が今現在申込み中なのか、所属長が承認したものなのか、または選考漏れがあったものかとか、受講決定になったかということで状態、ステータスがどんどん変わっていきます。そういうふうな状態で、今、自分がどの研修を受講が許可になったかというふうな部分、または必須のものであるとか選択のものであるとかいうことが個人で閲覧できる。この権限は管理職も教育委員会も同じ画面で閲覧できます。

次お願いします。そして、先ほどありましたけど、二次元コードは、個人の受講が決定されたらば、こういう画面が出てきます。これはスマホで写真を撮るとか、または紙で打ち出してくるとか、いろんな方法で受付が可能になります。

それ以外に、欠席届だとか動画視聴とか、あとは研修の評価シート、アンケート入力もこの画面で一括してできる形になります。この回答がない場合は研修は未履修扱いという形になりますので、全員回答するまで受講終了にはならない状況になっております。

次お願いします。次が動画視聴の画面でございます。それぞれの研修の内容に応じた関連づけられた、ひもづけたと言いますか、関連づけられた場所で、動画視聴という一番左にボタンありますけれど、それを押すことによって、中に登録された動画がそれぞれ見られることになっています。附属の添付ファイルも、そこで自分でダウンロードすることもできますし、視聴後にはコメントを入力して、それを送信することになります。コメントを入力することによって視聴完了という扱いになります。

次お願いします。これは事前の学習用、または同一研修用の資料を各自でダウンロードする機能でございます。各研修ごとに必要な資料等をアップしておりますから、個人でダウンロードして事前に学習するという機能でございます。

次お願いします。この画面は、こちらのセンター側の研修の管理システムの画面でございまして、左側奥のほうがそれぞれの研修のどこどこの誰さんが研修を申し込んでいるということをしっかり管理する部分、出欠入力は先ほどありました自動的にQRコードで入力されますけれど、もし忘れた場合は手動でも入力が可能になります。

そして、真ん中にあります、ちょっと見にくいですけれど、それぞれの研修評価シートの回答確認という形で、本人が研修を評価シートを提出したかどうかが、そこで色が変わっておりますけれど、送信済みなのか、未送信なのかというふうな形でなります。

そして、一番下の画面が、それぞれの研修が修了したら修了判定という形で、修了か、未修了という形で登録することによって、履歴として格納されるという仕組みでございます。

次お願いします。受講履歴ですけれど、年度ごとに各自がどういう研修を受けたかというふうな形で閲覧することができます。これはある個人の研修履歴でございます。今のところ過去3年分しかあいておりませんけど、これから積み上げていく状況でございますけれど、個人、または管理職だったら、その学校の誰それ、教育委員会だったら学校ごとで閲覧権限がございます。教育センターだったらば、全員のそれぞれの研修ごとに蓄積された個人の研修履歴を閲覧することが可能というふうな形でございます。

次お願いします。これは受講に当たって配慮すべき事項がありましたら、個人申告で送るという形です。

次お願いします。これは市町村教育委員会、市町村教育委員会の画面ではこういうふうな形になりまして、管轄する学校単位で申込みがあるかないかという形。それと、その学校に所属職員の一覧とか、どういうふうな研修が申し込まれているかという詳細内容ですかね。何人、どこの学校の誰が申し込んでいるかという詳細内容が表示される部分です。これを見ながら市町村教育委員会は承認して、こちらのほうに送信してくるという仕組みになっております。

これが簡単でございますけれど、本県が持っておる教職員支援システムの概要でございます。以上です。

【加治佐主査】 どうもありがとうございました。

本日はアンケート調査の結果が2本、佐久間先生からの研究の報告、それから研修履歴に関する事例2つ、非常に多くの情報提供がございました。委員の方々には、前回お示ししました新たな教師の学びの姿を効果的に機能させるための前提となる現職研修の充実も踏まえまして、これから30分足らずになりますが、御意見をいただければというふうに思います。手を挙げるボタンで示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、木村委員と安家委員、まずはこの2人お願いいたします。木村委員、どうぞ。

【木村委員】 長崎大学の木村です。

免許更新講習の調査結果について、冒頭、満足度や、知識技能を修得できる内容であったか、役に立っているかという項目で、厳しい結果が出たという話がありました。これに関しては講習の内容がもちろん要因であると思いますが、対象者のキャリアの違いもかなり結果に関わっていると思います。例えば、教育現場に立っていない者、または教育現場に立っていたとしても、そのキャリアの大きな違いというのが結果に関わると思うのです。

一方で、現職研修についても、修得できるような講習になっているかとか、現場実務に役に立つ内容が多いかという項目があるんですが、この数字と比べてみるとあまり違いがないようにも感じます。つまり、集合研修の在り方そのもの自体に、研修効果の限界があるのではないかなと思います。

キャリアを超えて、またはそれぞれの状況を超えて研修を充実するためには、例えば、学校教育課題を核とした校内研修の充実とか、また、オンデマンドである一定の知識技能を獲得した後に、対面での演習とか、そういう展開をしていけば、それぞれ大きく変わっていくんだろうというようなことを思いました。

2つ目なんですが、講座を選ぶときに、内容より受講会場や受講時期とありましたが、これは地域間格差を生んでいると思います。

また、負担感としては講習時間や受講費用が大きかったのですが、教員が自分の資質能力を伸ばそうとして最も負担と感じるのは、現職研修と更新講習の内容が重複していることだと思います。

最後に、京都府さんにぜひお尋ねをしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか。大変勉強になりました。その上でなんですが、教職生涯60単位は、教職員に対してどのような動機づけをもって展開されているのか、またどんな効果が出ているのか。

もう一つですが、私の知っている自治体、例えば私の地元がそうなんですけども、教育センターは、センターの研修の履歴は結構押さえていらっしゃる。また、悉皆研修とか経年研修の履歴もしっかり押さえていらっしゃる。一方で、市町とか、あと大学や民間の研修というところの履歴というのはなかなか難しい。このあたりをどうされているのか。

以上です。

【加治佐主査】 ありがとうございます。京都府さんのほうに幾つか御質問があったんですが、時間を効率的に使いたいと思いますので、ほかの委員の御質問等も含めて、またまとめて回答いただきたいと思います。事務局に対しても同じですね。

それでは、安家委員、お願いいたします。

【安家委員】 ありがとうございます。全国私立幼稚園幼児教育研究機構の安家でございます。

幾つか、まず1つ目は、大分県の今の発表における質問でございますが、先ほどのパワーポイントの中に小学校以降の学校種が書かれていたと思いますが、先ほどのシステムの中に幼稚園教諭は含まれておりますでしょうか。その御質問がまず1つ。

それから、先ほどの調査結果の中で、比較的幼稚園教諭の免許状更新の満足度が高いというふうなものが出てまいりましたが、実は私どもの幼稚園の教員の免許状更新は、基本的に幼児教育自身が幼稚園教育要領という要領で文部科学省に規定をされておりまして、他の学校種と違って、学びの体系が基本的に違うわけですね。

学習指導要領のように、1年生、2年生というふうに学びの内容が全て規定されている学校種と、私どもは5つの領域でくくられた教育を総合的に進めていくという教育の方針でありますものですから、基本的に学ぶ内容が他の学校種と違うということで、免許状の更新のシステムができました当初から、私どもは幼児教育研究機構で免許状更新講習の講座を新設をいたしまして、幼稚園教諭向けの特別の講座をずっと持ってまいりました。

ですので、教員たちが更新講習を受けましても、幼稚園、幼児教育に特化した講習を受けることができるということがございます。たまたま幼稚園の講座がいっぱいで、他の校種の講座に受講に参りましても、そのときは非常に違和感があるというか、自分自身の学びの学びたい内容とが違うなという感想をよく聞くことがございました。

という意味では、幼稚園教諭の免許状更新講習と他校種のものが、単位というものだけで一元化されているということに若干我々は違和感を実は持っているということを、これは意見として申し上げておきたいと思います。

それともう1点、先ほど御発表がございましたが、各園で行われております園内の研修。例えば公開保育等を行って獲得できる研修、園内で研修がございますが、そういうものがなかなか更新に単位化されにくい。そういうふうな件が私ども非常に気になっておりまして、外部の先生たちの更新講習を受けないと、それがなかなかなし得ないという、これは更新講習を登録制できちっとグリップされているところにも1つの大きな問題はございますが、そのあたり実際的には私どもは違和感を持っているということも御意見として申し上げておきたいというふうに思っております。

以上でございます。

【加治佐主査】 ありがとうございました。ほかの委員の方はよろしいですか。

それでは、大分県それから京都府、そして事務局の順で回答をお願いいたします。

【岡田大分県教育センター総務企画部課長補佐】 大分県の岡田です。先ほど質問ございました幼稚園の研修がこのシステムでやっているかという質問でございますけれど、研修自体は大分県は幼稚園も一括して企画調整しておりますけれど、システム的には、1つはやはりネットワークの問題がございます。幼稚園の方でつながっているネットワークの調査が実はまだ完璧にできていない関係上、現時点では、このYELLのシステムの中に幼稚園の教職員は含まれておりません。研修は一括して調整をしておりますけれど、システム的にはまだエクセルまたはメール等でやっているという現状でございます。

【加治佐主査】 それでは、前川さん、お願いします。

【前川京都府総合教育センター長】 まず、幼稚園のほうですけども、免許更新講習の講座は開設しておりますが、履歴等として残すいわゆる受講管理システムのほうには幼稚園は入っておりません。

それから、もう一つのほうの御質問の60ポイント生涯でということに対する動機づけ等についてでございますが、あくまでも研修の意欲、学ぼうとするという姿勢につながるということで考えますと、義務化するというだけでは成果につながってこないというふうに考えています。

いかに学ぼうとするかが意欲につながり、成長につながるかということで考えますと、例えば今、免許更新員制度10年たてば受けなければならないんですが、30時間の講習を受けます。私どもの単位制でいいますと、大体8単位程度に相当するかと思うんですけども、これを2年間ではなくて、私どもは10年程度のスパンで、13単位ですという形で推奨しているわけですね。ですから、自分の計画性に基づいて、ある意味、緩やかに学びたい内容を学んでいける。こういうことが例えば免許更新につながっていくのであれば、これは1つ教員の意欲モチベーションにはなっていくのではないかなというふうに想像します。

やはり研修を受けた成果が実感できるということが一番大事ですし、何単位取ったということの数字が大事というよりは、それで自分の成長を実感できるというような研修の在り方を教育委員会が仕組みづくりしていくということが大事なんだろうというふうに思います。

もう一つ、御質問ありましたセンター以外の研修ですね。例えば、市町教育委員会が実施する研修ですとか、あるいは教育事務所、京都府は教育局というんですが、教育事務所単位で実施する研修、あるいは小学校や中学校の校長会が主催しています教育研究会のようなもの。こういったものについても申請を受けて、一定要件に該当すれば、単位認定しております。

基本的には、半日程度以上の研修であるということ。それから、受講して聞いただけではなくて、それに対して振り返りやディスカッション、そういった次の活動が続いている。そういう条件を満たしていれば積極的に単位認定をしておりますし、そういったことが恐らく、先ほど申しました小学校での目標達成率7割強ですか、ここにつながっているのではないかなというふうに思っています。

一方で、先ほど低いと申し上げた高校なんかは、そういう教育研究会の制度が今不十分な部分もありますし、なかなかそこで成果を上げられていないというのが実情です。お答えになったかどうか分かりませんが、京都府としては今そのように考えております。以上です。

【加治佐主査】 事務局の方から。

【平野教員免許企画室長】 いただいた御意見のほう、今後の検討の参考にさせていただきたいと思いますが、幾つか申し上げさせていただきます。

私どものお手元にあるものというのも、この資料の1-2というところと同じものでございますけれども、先ほど来お話ありますように、経験年数とかそういうもので差があるのかというところについて、この数字を見る限りは、経験年数というのを聞いてはいない。つまり年齢別でしか聞いていません。ただし、教員のキャリアということから考えると、年齢が高い方ほど教職経験が長いということも、ここは推定がされるわけであります。

一方で、教職経験が短い方が満足度が高くて、長くなれば長くなるほど低いといったような一律の傾向というのが見て取れるという状況ではございません。50歳から55歳未満が低いといったようなところは傾向としてあるようですが、一律の傾向というものが見受けられるわけでありません。

ですので、ここから経験年数とかいろいろな属性というものと満足度の関係というものを導き出すというのはかなり難しいのではないかということでございます。

また、幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援というところも含めまして、免許更新制のそもそものコンセプトというところに関わってくるわけでありますが、免許更新制の下での学びというものについては、法令的に免許とひもづいた学びということが当然コンセプトになってまいりますので、教師として共通に求められる内容というものを中心とすることが適当であるということでスタートしてございます。

そういう一方で、それぞれどのような形で個別最適な学びというものを促進していくのかというところが新たな学びの姿というところにおいて、今、大きな論点になっているということでございます。

先ほどの貞廣先生からお話あったところ、部会長からもフォローいただきましたけれども、法令用語としてのところとどのように分かりやすく伝えるかというところを両立していくというところについて、我々も知恵を絞っていきたいと考えているわけでありますけれども、まず強調させていただきたいのは、途中で中村が説明したとおり、今回の新たな学びの姿とか前回の特別部会で扱ったもの、これはベクトルが同じということでありまして、教師の主体性、自律性というものを重視しながら、学びの内容、スタイルというものの多様性というものをしっかりと大切にしていく。ここについては前提であるということは説明させていただいたとおりでございます。

その上ででありますけれども、その情報、履歴のほうを記録を管理すると。ただ、記録を管理することそのものが目的ではなくて、新たな学びの姿の中ではそれを用いてどのように対話を繰り広げながら、教師一人一人の自律性、主体性に基づいた成長と、また組織全体としての活用というところを高いレベルで調和させていく、こういうところを狙っていっているというものでありますので、個別のプロセスのところでそういった管理という言葉が出てこざるを得ない場面というのは、用語的にはあり得ると思うんですけども、全体のコンセプトはそういうことであるということについては、再度強調させていただければありがたいなと思ってございます。

以上です。

【加治佐主査】 平野室長、大事なところが最後ちょっと聞こえなかったんです。管理のところ、最後のところが。

【平野教員免許企画室長】 用語はあるわけでありますけれども、全体としては教師の自律性、主体性と学びの内容、スタイルの多様性というものをしっかり重視する。こういったところが前回の特別部会でもこの新たな学びの姿という中でも大事な視点である。これは前提であるということで御理解いただければということでございます。

【加治佐主査】 ありがとうございました。それでは、松木委員、お願いします。

【松木委員】 今日ずっとお話を伺いながら、免許の更新講習の在り方について考えておりました。免許の更新講習ということを考えた場合に、個人の免許をチェックしていくという機能と、現職の先生方の学び続けていく資質や能力を向上させていくという意味と、その中に働きが2つ入っているように思います。そして、それが必ずしもイコールではないというようなことについて、今日改めて考えておりました。

例えば、個人の免許をチェックして更新していく機能ということで見れば、金銭的負担が個人に課せられるのは、ある意味、当たり前のことなのかもしれません。でも、お金を払えば当然のことですが、更新講習が開催される時期やら場所やら研修内容について、受講者が厳しくその質を問うのは、これは当たり前の話じゃないかと思います。

一方で、先般の特別部会の話の中にもありましたが、今、日本型の教育の中で求められている事柄の中に、学級づくりや学校づくりだとか、先生方の協働だとか、学校全体を学び合う組織にマネジメントしていく話だとか、こういった話は個人に金銭的な負担を求めるようなことと、なじみにくい部分も持っているように思います。教師の資質・能力の向上を目指し、さらに、日本型の教育を進めていこうと思ったときに、個人に強く金銭的な負担を求めていくということを超えた部分を今、私たちは考えなきゃいけない状況になってきているんじゃないかなというような気がいたします。

それから、仮に更新講習のいいところが何なのかというふうに考えた場合に、それは今まで各都道府県の教育委員会の中に閉じていた研修が外にも開かれた。つまり、外の大学等で行う研修を受講することもできるようになったという点じゃないかなと思います。教師は公務員であることが多いという特性はありますが、やはり専門職です。専門職には、医師や弁護士のように自治的に自らの研修を組織していく責務があります。

今後、更新講習を見直していく際に、その2つの機能のうち、現職教員の力量形成ということを中心に考えていくのであれば、各都道府県の行う研修の範囲を超えても受講でき、それをもちゃんと都道府県の研修の一部としてカウントできる仕組みが必要だと思います。例えば、つくばの教育職員支援機構が、教員の生涯発達を見据えた研修プランについて、各大学と協働で開発し、オンラインと各地域での対面とをハイブリットさせた研修を現職の先生方が受講できるようなものになっていくということができればいいな、なんていうふうに思ったりもしました。

それから、学習履歴のことに関しましても、何を受講したかのチェックでしたら、個々の教員免許をチェックするレベルとあまり変わらないんじゃないかなと思っています。それを乗り越えていくためには、学習履歴の中にそれぞれの方が、その受講をしながら何を考え、どういうレポートを書いて、どんなふうにそのとき考えてきたのかということが残されていて、それを次の研修では振り返りながら考えていくようなところまで踏み込んでいくということが、今後やっぱり必要になると改めて考えていたところです。

ちょっとまとまりなくなってしまいましたが、以上です。

【加治佐主査】 分かりました。

それでは、最後にしたいと思うんですが、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】 東京都教育長の藤田でございます。京都府さん、それから大分県さん本当にありがとうございました。大変参考になりました。

東京都のほうでもやはりこういう研修を充実させるということで、OFF-JTのほかに、OJT、自己啓発を組み合わせて、学校内でどうやって現場で学んでいくかというのが重要だと思っておりまして、その中で2点あるんですけど、貞廣委員おっしゃいましたように、学校での校長先生の役割ってマネジメント、人材育成というところが非常に大事になってくると思いますので、1点目は、校務全般の方法とか内容の見直しも含めて考えていかなきゃいけないのではないかというふうなのが1点です。

それからもう1点は、この資質能力の向上をお互い現場で見える形で示して、教員、それから管理職が話し合いをしていかなきゃいけないということで、自己申告の際に、私どもも受講履歴なんかをお互い参照しながら対話を進めて、人材育成をやっていくんですが、その際に教員研修の成果(評価)と業績評価とのつながりをどう持たせていくかというのも、各県さんで業績評価(勤務評定)のやり方というのは様々だと思いますけども、この人材育成という面からでは、業績評価(勤務評定)とのつながりをどう持たせていくかというのも重要になってくるのではないかなというふうに思います。

その2点でございます。ありがとうございました。

【加治佐主査】 ありがとうございました。松木委員、それから藤田委員の御意見、今後にぜひ生かしてまいりたいと思います。

それでは、時間も所定の時間に近づいてまいりましたので、今日の御報告はここまでにさせていただきたいと思います。京都府総合教育センターの前川明範さん、それから大分県教育センター総務企画部の課長補佐、岡田克文さん、本当に有意義な御報告ありがとうございました。

それでは、最後に私のほうからまとめをさせていただきたいというふうに思います。本日、事務局から紹介のありました教員免許更新制に関する教員の意識調査につきましては、教員免許更新制に対する現場の教師の認識を適切に把握する上で大変有益なものだったと考えています。

これまでの大学が講習終了後に行ったアンケートの結果とか、あるいは文科省が把握しているデータとは大分違うんですが、これはこれでまた非常に重視しなきゃいけないということだろうというふうに思います。

そしてさらに、佐久間先生から御提供があったデータですね。これは65歳以上が更新講習の対象となる中で、人材確保が非常に困難であると、そういうことを裏づける貴重な情報だったと思います。深刻な状況を端的に表していたんじゃないかというふうに思います。私としましては、そのようなことから、本日発表された様々な情報は、おおむね本年2月に教員養成部会でまとめました認識を裏づけるものであったと考えるべきだと思います。

それからまた、本日は研修履歴の管理に関する調査の結果の共有や京都府、大分県からの研修履歴管理の事例紹介と併せて、新たな教師の学びの姿を実現する上で、現職研修の充実をどのように図っていくのかということについて御意見もいただいたというふうに思います。

事務局におかれましては、今日の各委員の御意見を踏まえつつ、現職研修の充実について、より具体的な方向性を整理し、適切なタイミングでお示しいただきたいというふうに思います。

3つ目ですけども、本小委員会の検討事項である教員免許更新制の見直しに関連する新たな教師の学びの姿、教師の持続的な成長につきましては、先週開催されました特別部会でそのコアとなる学校組織マネジメントに関する有識者ヒアリングを踏まえた意見交換が行われました。

その内容を簡単に振り返ってみますと、経験と振り返りの学びを重視することや、管理職、リーダーとの対話的な関わりを重視したような能力開発。心理的安全性のある職場環境の重要性。こういったことですね。それから学習資源としての学ぶ時間と心理的資源としての学ぶマインドを作り出すことの重要性。さらには、学校現場の教育課題に即した学校単位での共同型研修の必要性。そして、今日も御意見出ましたけれども、これらに大きな役割を果たす校長等の学校管理職、リーダーの在り方についていろいろ議論をされたところでありました。

それでは、最後になりますが、前回も申し上げましたとおり、本小委員会は教員免許更新制を存続するのか、廃止するのかというところに一定の結論を出す必要があります。本日の議論の結果も踏まえまして、事務局におかれましては、小委員会が結論を出すための議論ができるように引き続き準備を進めていただきたいというふうに思います。私からは以上です。

それでは、本日の議事は以上です。事務局のほう、これで終わりでよろしいですか。

【平野教員免許企画室長】 ありがとうございました。本日のいただいた御意見、特に研修の部分、適切なタイミングでまた整理したものをお示しするということと、また、この小委員会というのが結論を出す上で必要な準備というものをしっかりと進めさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

【加治佐主査】 それでは、これで終わりたいと思います。皆様どうも長時間にわたりお疲れさまでした。これで終わります。ありがとうございました。



―― 了 ――


(総合教育政策局教育人材政策課)