教員免許更新制小委員会(第1回)議事録

1.日時

令和3年4月30日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 教員免許更新制小委員会の設置について
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等について
  3. 教員免許更新制や研修をめぐる包括的な検証について
  4. 令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」アンケートについて
  5. 教員免許更新制の在り方の見直しについて

4.議事録

【平野教員免許企画室長】それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会を開催させていただきます。皆様、本日は御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、第1回目の開催でございますので、冒頭の進行は事務局で務めさせていただきます。

今回は非公開の審議事項がございませんので、冒頭から公開をされております。

私は、総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室長の平野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

早速ではございますけれど、議事(1)ということで、教員免許更新制小委員会の設置について、説明をさせていただきます。4月27日火曜日でございますけれども、中央教育審議会「令和の日本型教育」を担う教師の在り方特別部会・教員養成部会の合同開催がされまして、その中で、資料1-1、1-2、諮問の関係の資料でございますけれども、このようなものに基づきながら、今後検討すべき事項について紹介がございました。その中でも、教員免許更新制については、諮問文の中で、できるだけ早急に抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいとされているところでございます。このたび、教員免許更新制について集中的に御議論いただくというために、教員免許更新制小委員会の設置が27日の特別部会で提起され、承認されているところでございます。

この委員会の主査並びに主査代理につきましては、お手元に配っております参考資料1、規則がございますけれども、こちらに基づきまして、部会長が主査、主査代理を選任するということにさせていただいてございます。主査について、また、主査代理については、渡邉特別部会長の指名により、加治佐主査と松木主査代理ということで既に御就任いただくことになっているところでございます。

ここからの進行は、加治佐主査にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】それでは、どうも皆様、主査の指名をいただきました加治佐です。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速、会議の方入ってまいりますが、まずは本会議の進め方の確認と本日の資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】失礼いたします。初めに、オンライン会議上の留意事項についてということで御紹介をさせていただきます。

本日もウェブ会議での開催でございます。御発言に当たっては、インターネットでも聞き取りやすいようにはっきりと御発言をいただくことなどの御配慮をいただくこと、御発言の際には必ず名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただくこと、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくこと、発言が終わったらこれを下げていただくということも併せて御協力をお願い申し上げます。

本日webexを使用しております。このチャット機能については、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合等の事務局に対する緊急連絡手段としていただくなど補助的な使用ととどめていただきますようお願い申し上げます。

会議の資料は、議事次第のとおりでございます。資料1-1から資料5-2、参考資料が1から3でございます。

なお、本来であれば、ここで委員の皆様を御紹介するところでありますけれども、資料2の方に名簿をお示しさせていただいておりますことで代えさせていただきたいと思います。

本日は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしておりますので、御了承をお願いいたします。

【加治佐主査】どうもありがとうございました。それでは、議事に入ってまいりたいと思います。本日議事は、(1)は済みました。(2)から(5)まで4点あります。「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等について、免許更新制や研修を巡る包括的な検証について、令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」アンケートについて、そして、それらを整理した、教員免許更新制の在り方の見直しについてとなっております。

これらを続けて、少し長くなるかもしれませんが、平野室長の方に御説明いただきます。その上で今日はまとめて皆様の御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、平野室長から、資料の説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】引き続き、免許企画室長でございます。説明をさせていただきます。議事(2)「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等についてと題されてございます。これは諮問の内容について御説明したいという趣旨でございます。資料1-1、1-2、ここの方に諮問の内容と概要の方が添えられてございます。

諮問の内容については、27日の特別部会・教員養成部会の方で説明をしておりますので、今回省略をさせていただきますが、諮問の方の、ページで申し上げますと、4枚目でございます。4枚目に、「第三に、教員免許の在り方について」というところがございます。その下の段落、「なお」というところが今回の教員免許更新制に係る部分でございます。

「教員免許更新制については、教師が多忙な中で、経済的・物理的な負担感が生じているとの声や、臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているという声があることなども踏まえ、前期の中央教育審議会において教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して包括的な検証を進めていただいたところです。現場の教師の意見などを把握しつつ、今後、できるだけ早急に当該検証を完了し、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと思います。」と、このような形で諮問が触れられているということについて、あらかじめ御承知おきをいただきたいと思います。せんだっての特別部会の方で、既に論点については相当検証がされているので、早速検討に入っていくということで整理がされているということでございます。

続きまして、議事(3)ということで、包括的検証についてということで説明させていただきます。資料は3-1と3-2でございます。主に3-2の方を使いながら御説明をさせていただきます。

こちらの方は、「教員免許更新制や研修をめぐる検証について(概要)(次期教員養成部会への申し送り事項)」と題されてございます。昨年秋以降、前期の初等中等教育分科会教員養成部会において、教員免許更新制や研修について包括的な検証ということで関係者にヒアリング等を行ってまいりました。その観点で出てきた意見などを踏まえ、また、今期、中央教育審議会どのような議論を展開するかということについて、引継ぎ事項としてまとめられた資料でございます。この内容について説明をさせていただきます。

まずローマ数字の1でございます。包括的な検証の経過報告ということで、これまでのヒアリング等での意見の概要でございます。

1ポツ、教員免許更新制の評価についてでございます。教員免許更新制の評価につきましては、その趣旨である「最新の知識・技能の修得」には少なくない時間を掛けているということもあり、一定程度の効果があるという一方で、費やした時間や労力に比べて効率的に成果の得られる制度になっているのかという点では課題があると、このような意見が聞かれたところでございます。また、学校内外で研修が実施されていることに鑑みれば、現代の社会の変化に即応する観点からも、10年に一度の更新講習の効果は限定的ではないか、このような意見も聞かれたところでございます。

こちらの方の紙に書かれていないところでございますけれども、教師の方々が受講のタイミングとか受講そのものの機会、開設数などが限られているという現状を踏まえて、修了自体が目的化してしまい、ニーズに合ったものよりも受けやすいものを受けてしまうと、このような傾向も指摘がされているところでございます。また、講習の内容についても、現場で期待される実践的なものになっているのか、このような意見も聞かれたということを御紹介させていただきます。

2ポツ、教員免許更新制の課題についてでございます。丸1番、教員免許更新制の制度設計についてでございます。教員免許状の更新手続のミス、いわゆるうっかり失効などと呼ばれることもあるわけでございますけれども、このようなものが教育職員としての身分に加えて、公務員としての身分も喪失するという結果をもたらすということについて疑問があるという声が、ヒアリングの中では上がっていたところでございます。また、教員免許更新制そのものが複雑であると、このようなことも意見として上がっていたところでございます。

丸2番、教師の負担についてでございます。これは文部科学省の調査でも明らかになっているところでございますけれども、教師の勤務時間が増加している傾向があるわけでございます。その中で、更新に費やす30時間の相対的な負担については、これはかつてよりも高まっているのではないか、このようなことが意見として寄せられております。また、講習の受講が土日とか長期休業期間中に行われることもあるわけでございますけれども、こうした期間についても、学校行事に加えまして補習や部活動指導が行われたり、研修が開催されているということもあることから、決して負担感がないということではなく、土日、長期休業も充てなければいけないという負担感があるという意見が寄せられてございます。

また、申込み手続、費用、また、地方などにおかれては、居住地から離れた大学等での受講、このようなプロセスにも負担感があるという声がございました。働き方改革を進める上で、このような更新制に起因する負担は看過できるものではないと、このようなことが申し送り事項の本文の方には記載されてございます。

続きまして、丸3番、管理職等の負担でございます。教員免許更新制に関する手続、教師への講習受講の勧奨などが、学校の管理職や教育委員会事務局の多忙化を招いていると、このような声が寄せられているところでございます。

丸4番、教師の確保への影響でございます。教師の確保につきましては、免許状の未更新を理由に臨時的任用教員等の確保ができなかった事例が既に多数存在していると、このような声が寄せられてございます。採用倍率の低下などから臨時的任用教員の成り手そのものが少なくなっているという現状がある中で非常に大きな課題であると、このような声が寄せられております。また、退職教師を活用することが困難になりかねないと、このようなことが指摘をされてございます。

補足を申し上げますと、制度導入時に55歳以上であった方については、終了確認期限が設定されていなかったということから、有効期限がない状態で教壇に立つことができたわけでございますけれども、今65歳以降に達した方につきましては、免許を更新しなければこれが失効する状態になると、このようなことがあるということでございます。

本文の方でございますけれども、教師の確保という点につきまして、学校に配置する教師の数に一時的な欠員が生じるようないわゆる教師不足について、正常な学校運営を妨げる重要な問題である。こういった教師不足に教員免許更新制がつながっているという指摘は重大なものとして受け止める必要があると、このような整理がされているところでございます。

丸5番が、講習開設者から見た課題ということでございます。講習開設者――大学又はその他の団体ということになるわけでございますけれども、受講者の方からは、学校現場における実践が可能となるような内容を含む講習、また、双方向・少人数の講習などが高い評価を得るという傾向があるということがヒアリングの中では明らかにされてございます。一方で講習開設者の方は、講習を担う教員の確保や採算の確保等に課題を感じているということでございます。これは後ほどの議題の議題(4)のアンケートの内容にも関わってまいりますので、後でその方については説明をさせていただきます。このように、教員免許更新制の課題については、大きく言いますと、負担の問題、教師の確保の問題、そして、講習開設者の負担の問題、このようなところが挙げられているという現状でございます。

3ポツが、各都道府県教育委員会等が体系的に行う教員研修の状況についてということでございます。教員研修については、平成28年度の教育公務員特例法の改正を踏まえて、研修の充実・改善が進んでいるというような評価がされております。具体的には、教員育成指標に基づく体系化、研修の方法の改善、また、コロナ禍ということも相まってでございますけれども、オンライン化などが進んでいるということでございます。

また、独立行政法人教職員支援機構の行う研修についても、オンライン化の進展や内容の見直しが進んでいるというところでございます。本文の12ページの方にその内容は書かれているわけでございますけれども、教職員支援機構の研修の中でも、特にオンライン講座、校内研修シリーズの視聴回数が目立って増加をしているということとか、若しくはオンラインで実施された指導者養成研修などが工夫されていて繰り返し視聴できること、移動コストの削減などが評価されている、このようなことが具体的に挙げられているところでございます。

続きまして、資料3-2の2ページに入ってまいります。次期部会における検証・検討についてということの引継ぎ事項でございます。この次期部会というのは、今回の特別部会、教員養成部会、また、それの下に設けられたこの小委員会を指すというふうにお考えいただければと思います。検証の残された論点というところで幾つか挙げられてございます。

1つ目が、新年度に明らかになる、今年度も徐々に明らかになっていくわけでございますけれども、教員免許状がコロナの特例の下でどれぐらい有効期限が延長されているのかどうか、臨時免許状がどのぐらい授与されているのか、このようなデータに基づきながら、今般の新型コロナウイルス感染症の影響の下で教員免許更新制がどのような状況を現場にもたらしたのかと、このような分析を行うということを引継ぎ事項で掲げております。このデータ等につきましては現在収集中でございますので、またこの小委員会において、適切なタイミングで紹介をさせていただきたいと考えてございます。

「また」ということでございますけれども、昨年度につきましては、児童生徒の学びの保障という観点から現場に調査負担をかけないということで控えていたところでございますけれども、現場の教師を対象とする一定規模の調査を行うということでございます。せんだっての27日の部会において、調査を5つ程度行うということを御紹介させていただきましたけれども、そのうち1番目が教員免許更新制に関する調査ということでございます。この調査の結果もなるべく早い段階でこの委員会を含めて適切な場所、適切なタイミングで御報告をさせていただきたいと思ってございます。このようなこれまでのヒアリングデータ、事実認識がこういった現場の認識とも一致するということを確認するという観点で行うものでございます。

2ポツ、検証終了後の在り方についてということでございます。「検証が完了した後は」とここはなってございますけれども、先ほど申し上げたように、早速この小委員会では具体的な在り方の検討にも入っていくということでございます。当時の書き方でございますけれども、教員免許更新制や研修の在り方について速やかに見直しを行い、その方策を教育現場に定着させて教員の資質向上を図るということでございます。

包括的検証の中で、先ほどまで御紹介したとおり、教員免許更新制について厳しい評価がされていると。その課題の解消を図るために、何らかの前提を置くことなく抜本的な検討が求められる。これまでの検証の結果を踏まえますと、その時々で求められる教師としての基本的知識技能が保持される、こういったような制度の趣旨も踏まえながら、教員免許更新制について抜本的に検討を行い、教師の資質能力を確保するということ、教師や管理職等の負担を軽減すること、教師の確保を妨げないこと、この3つの観点がいずれも成立すると、このようなところを考えていかなければならないとされているところでございます。

教育委員会関係者、校長会関係者からはこれまでのヒアリングの中で様々な、教員免許更新制について、廃止ができるのではないかという意見に加えまして、改善策の提案がされていたところでございます。教師の資質能力の確保を図る、負担を軽減する、教師の確保を妨げない教員免許更新制とすることが、様々な改善策を講じることで可能かという観点で具体的な検討が行われる必要があるとされているところでありまして、本日の議事(5)のところでは、これまで関係者から寄せられた改善策、その他の改善策の内容について御紹介をさせていただき、それを基に議論を始めていただくということを考えているところでございます。

資料3-1、3-2の説明は以上でございます。

続きまして、資料4-1、議事(4)ということでございます。令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」アンケートについてということでございます。昨年度でございますけれども、現場への調査という部分は控えていたところでございますけれども、更新講習の開設者、また、教員免許状を所持する民間企業等の勤務者に対するアンケートを行っているところでございます。検証の中身にも関わる部分でありますし、今後検討に当たって参考になる情報が含まれているかと存じますので、内容について紹介をさせていただきます。

2の調査結果概要、(1)講習開設者に対するアンケートでございます。調査対象としては、全ての講習開設者494大学等に調査を行わせていただきました。回収率は89.7%の443件でございます。

調査結果の概要でございます。1つ目のポツ、更新講習の実施については、地域の教師全体の質の向上につながるとか、大学のPRにつながる、このようなメリットを講習開設者は感じていらっしゃるということでございます。

2つ目のポツでございます。一方で、講習の開設については、負担12.4%、どちらかといえば負担56.9%、これを合わせて7割近くの大学が負担感を覚えているということも実態でございます。

3つ目のポツでございます。開設する際の課題ということで、日程調整、講師の確保、講師の他の業務等への影響、このようなところが5割を超えるところの課題と挙がっております。特に人員の不足というところに関しては、事務作業等を対応する人員の不足とか、講習当日の運営人員の確保、このようなところも課題として挙がっているという状況でございます。

1ページ目の4つ目のポツでございます。コロナウイルスの感染拡大を受けということでございますけれども、既に対面式講習が中止になるなど影響が生じているところでございます。また、対面式の更新講習を行った大学においても、感染症対策を行うなど負担が大きくなってきている。運営に関わる教職員の負担が非常に高くなっていると、このようなことが寄せられてございます。

1ページ目の下から2つ目のポツでございます。今後の更新講習の開設について意向を尋ねたところでございます。コロナ禍の影響もあり、これまでどおりの更新講習を続けていくのが難しいという大学さんなどが4割以上というところでございます。更新講習開設者の負担が重くなっていることがうかがえます。

最後のポツでございます。先ほどの中でちょっと御紹介させていただきましたが、更新講習開設者がいろいろな事後調査、事後評価等を導入している中で、受講者からニーズが高いもの、評価が高い講習はある程度類型化がされているわけでございます。このようなものを増やす場合の課題や障壁として、やはり講師の確保、スケジュール、人員の確保、会場確保、このようなところが課題になってくるというところが挙げられてございます。 実際には、例えば少人数・双方向ということになりますと、クラスサイズを小さくするということになれば、当然必要な数をこなすという観点からは、講師の確保などが必要となってくる。また、会場確保なども課題になってくる。このようなロジックなのではないかと考えてございます。

続きまして、3ページの方でございます。教員免許状を保持する民間企業と勤務者に対する調査でございます。調査の対象は、教員免許を所持する――所持というのは、実は休眠・失効状態を含むということで、取得したことのある者ということでございますけれども、そのような民間企業等の勤務経験者、また、民間企業等の勤務経験があった上で現職教師になった方、こういった方も含まれてございます。内訳は、下の部分にございますけれども、教員免許状を所有する民間企業等勤務、経験者(休眠・失効含む)が2,046名、民間企業等勤務経験のある現職教師の方が375名、合計2.421件の回答ということでございます。

調査結果のあらましについて御説明をさせていただきます。1つ目のポツでございます。更新講習についての認知度、「知っている」と回答されたのは約7割ということでございます。更新講習制度自体については、大半の回答者が更新講習の必要性自体は感じているということでございます。どのような背景かというところは明らかになっていないわけでありますけれども、やはり教壇に立つ上で必要な知識を補充したいと、このような観点があるのではないかと私としては考えてございます。

3ポツ目でございます。休眠・失効状態の免許状所持者が更新講習を受講しなければ教師になれないということについて、6割程度の方は認知をしているわけでございますけれども、その受講対象者という方が現職教師又は教師になる見込みがある者に限定されていることについては、6割の方が「知らない」と回答されている。50代では8割の方が「知らない」と回答されていると、こういう状況でございます。更新講習の受講資格を有する者という部分については余り認知度が高くないと言えると思います。

続きましてのポツでございます。教師の転職意向別に、休眠・失効状態の免許状所持者が講習を受講しないと教師になれないことについて、意向を聞きました。「いずれ教師に転職したいと思っている」方の3割、「過去、教師への転職活動をしたが、教師にならなかった」方の3割が「不満である」というふうに回答してございます。さらに、「過去、教師への転職活動をしたが、教師にならなかった」、「現在活動している」、「いずれ教師に転職したいと思っている」と回答した方の半数以上が、教師になる具体的な予定がない場合には受講できないとされていることを課題として挙げてございます。

教師に転職しようとしたとき、何が問題になるかというところでございます。これは更新制に関わる部分ということで申し上げますと、3割弱が、免許が休眠・失効状態であること、2割強が、そもそも更新講習を受講する時間がないということを挙げております。教員免許更新制が一定の障壁となっていることがうかがえるものでございます。ただ、今画面に投影されておりますように、転職に係る問題点という意味においては、更新制に関わるもの以外についても幅広く挙げられているというのが現状でございます。

続きまして、次のページ、最後のページになります。過去に更新講習を受講したこと、あるいは受講を検討したことがある方に、受講時の問題点を尋ねたところ、やはり土日、長期休業中の開催が多い、受講の時間が取れないという方、負担が大きかったという方、申込みの負担自体も大きかったと、このようなところが5割弱程度続いているという状況でございます。また、受講を検討したが受講しなかった方の理由も、今紹介をしたところが高い割合を獲得しているという状況でございます。

こちらの方の令和2年度「免許更新制高度化のための調査研究事業」の結果の概要を御説明させていただきましたが、資料4-2の方には、文部科学省から委託した株式会社リベルタス・コンサルティングの方の報告書をそのままお配りさせていただきますので、詳細についてはそちらの方を御覧賜りたいと思います。資料4-1、4-2の説明は以上でございます。

それでは、大変恐縮です、長丁場になってございますけれども、議事(5)、教員免許更新制の在り方見直しについて、資料5-1を基にお話しをさせていただきます。教員免許更新制の在り方の見直しについてということで、先ほどの包括的検証の中での引継ぎ事項の中にも触れられていたとおり、関係者から様々な提案がされてございます。その提案について、事務局で検討したものも含めて御紹介をさせていただきながら、教員免許更新制の在り方を見直す上での議論の出発点という形でさせていただきたいと思ってございます。

資料5-1でございます。教員免許更新制については、その時々で求められる教師としての基本的知識技能が保持されるように、定期的に必要な刷新と確認を行うという制度でございます。この見直しに当たっては3つの課題、すなわち、教師の資質能力の確保、教師・管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことのいずれもが成立する解を見いだしていく必要があるということでございます。

教員養成部会において、前期、様々な課題や意見が示されるのと同時に、関係者から改善策の提案が示されました。この3つの課題に対して、提案も踏まえた見直しを図ることにより、教員免許更新制について、現場の教師のニーズに応じた資質能力の向上、負担の軽減の両立を図る、また、臨時的任用教員等の確保を妨げない制度に改善することが可能かという観点で検討していただくための資料でございます。

1ページおめくりください。1ポツ、教師の資質能力の確保でございます。大きく4本の柱で考えさせていただいてございます。1個目が、講習内容の質の向上ということでございます。検証のヒアリングの中では、講習内容について、実践的なものになっているのかどうか、また、大学の側としても、理論的なものも重要だと考えているけれども、十分伝わっていないのではないか、このような課題も指摘されたところでございます。

また、個々の講習が、個々の教師の経験やキャリアフェーズを考慮したものになっていないのではないか、このような御意見もあったところでありますし、また、実際には学校に勤務したことがない者も混じってくるという状況もある中で、しっかりとしたターゲットが設定されているのかどうか、また、指標に基づいて体系的に行われることになってきている研修に比して体系が確立されているのか、このような意見があったわけでございます。

このようなものに対する改善の1つの考え方として、これは私どもの方で考えさせていただいている一案ということでございますけれども、講習内容や受講者のターゲット、地域の育成指標との関係を明らかにするようなシラバスのようなものを作って、対外的に明示をしていく。このようなことが講習内容の質の向上、また、マッチングを適切に図る上でも考えられる1つの方策になるかもしれないというもので挙げさせていただいてございます。

また、教員育成協議会において更新講習の在り方について積極的に議題としていただくということで、教育委員会と大学等開設者が連携をして、実践的な内容を含む更新講習の開設を促進していくということも考えられるのではないかということで挙げさせていただいてございます。

領域については、現在、必修、選択必修、選択という3つの領域が設けられているところでございます。このうち、必修領域については、大学の側も講師の確保が非常に難しいといった声も上がっていたところでございます。大学がその強みや特色を生かした講習を開設するということを促進する観点から、また、受講者の側のニーズに応える観点から、この在り方を見直すということも候補にはなるのかもしれないということで書かせていただいてございます。以上が(1)番でございます。

(2)番がオンライン化の促進ということでございます。先ほどの包括的検証の引継ぎ事項の中で御紹介させていただきましたとおり、受けられるものが限られている、受けることができる時間が限られている、このような理由から、本来ニーズに合ったものではなくて、受講しやすいものを受講してしまうという傾向があるということが指摘されていたところでございます。地理的・時間的条件にかかわらず、必要な、本人に合った、ニーズに合った講習が受講可能となるような、オンライン化を促進していくということも候補になるのではないかということで書かせていただいてございます。

(3)番でございます。教師の資質能力を確保するニーズに合ったような講習内容を確保するという観点から、現場の課題に即した研修と講習の相互活用を更に徹底するということが候補として考えられるところでございます。現在のところ、文部科学大臣の講習の認定については、1講習6時間単位ということで認定を行っているところでございます。教育委員会のヒアリングの中で、この運用について意見があったと記憶してございます。6時間単位とする運用を見直し、短時間の研修についても講習として認定するということで、教育委員会で行われている研修をさらに細切れで認定していくということも可能になるのではないかという候補でございます。

また、講習の講師となることができる範囲を拡大するとか、先ほども御説明した領域の在り方を見直すことによって、より柔軟に教育委員会の行っている研修を講習に取り入れていくと、このようなことも考えられるのではないかということでございます。

(4)番、免除対象者の話であります。これは次の部分でまとめて説明をさせていただきます。

それに加えまして、紙に書かれてございませんけれども、先ほど御説明した中で、講習開設者などからのアンケート、また、本日のリベルタスのアンケートなどにも触れられていたかもしれませんけれども、どのような講習が受講者のニーズに応えているのかという中で、例えばグループワーク・事例発表を取り入れるなど少人数・双方向の講習、このようなものについては非常にニーズが高いということが枠組みとしては明らかになったわけでございます。このようなものをしっかりと拡大していっていただくということについても、教師の資質能力の確保につながるような質の向上というところでは考えられるのではないかと思います。

一方で、これらの見直しについて申し上げれば、大学などの更新講習開設者の負担の増加については課題として認識する必要があるのではないかということでございます。具体的に申し上げますと、最初の講習の設計の段階から教育委員会との連携、また、様々な内容を盛り込んだシラバスの作成、実施段階においても、オンライン化の設備をしっかりと整え、その運用を行っていくこと、また、先ほど申し上げたようなニーズが高い講習を開設するという上では、アンケートの結果からも明らかになっているように、更新講習を担う講師の確保や会場の確保などが課題になるというところもあるのではないかというのが分析でございます。

続きまして、2番、教師や管理職等の負担の軽減でございます。(1)番と(2)番は再掲ということでさせていただいてございます。オンライン化が促進されれば、地理的・時間的要件にかかわらず良質な講習内容が受講可能になるということで、移動の負担、時間的なマネジメントというところは容易になるのではないかということ。(2)番の研修等の相互活用の徹底ということでありますと、研修が勤務時間内で無料で行われるというようなことを踏まえますと、講習との相互乗入れを徹底するということは負担の軽減につながるのではないかということでございます。

(3)番は、教育委員会からの提案のあった中身でございますけれども、30時間を2年間で受講する仕組みの見直し、例えば5年間と、このような提案もあったわけでございますけれども、このような方法で1年当たりの時間を短縮していくというやり方もあるかもしれないと。

(4)番でございます。(4)番は、これも教育委員会からの提案であった内容でございますけれども、免除対象者を拡大するということでございます。例えば勤務実績や研修受講歴、このようなものを捉まえた上で、その方が更新講習を受ける必要はない、最新の知識技能を身に付けていると、このように判断される場合には免除の対象とするということでございます。一方で今の現状、免除の対象者は、例えば教師を指導する立場にある者、校長その他管理職といった辺りとか、優秀表彰を受けた方という形で一義的に決まっているということでございます。

こちらの下の方に書かせていただいてございますが、オンライン化、講習・研修等の相互活用などについては、やはり大学の負担という部分に加えまして、免除対象を拡大するという部分は、実際にどのようなラインを超えた場合には免除対象にすべきなのかというところが設定が上手にできるのかどうか、また、現場の運用も含めて教員間で公平性を確保できるのか、このようなところについては課題があるのではないかと考えてございます。実際にこのところまでクリアすれば免除対象者に位置付けられるといったような客観的な明確なラインを引いて、それを全国的に運用確保するということの難しさがあるのではないかと考えております。

また、教師の負担の軽減は一定見込めるわけでありますけれども、例えば免除対象者を拡大するといったような選択肢を取る場合、教育委員会や管理職などについては、状況を捉まえてそこを判断していくというようなこと、また、判断の結果、様々な、結果が出た方からの問合せ対応、このようなところも含めて負担の軽減が見込めないのではないかということを掲げさせていただいてございます。

次が、3の教師の確保を妨げないことというところでございます。教師の確保という意味では、臨時的任用教員、また、退職教員という部分が課題になっていたというところは御紹介させていただきました。例えばこういった者について、退職教員なども退職した直前の勤務実績等を確認して免除対象とするといったようなこともあるかもしれませんけれども、免除対象者の拡大については、先ほど申し上げたような、適切な運用、公平性の確保、このようなところに課題があるのではないかということでございます。

(2)番が臨時免許状の授与による対応でございます。本日の資料の中で、議事次第の方でいいますと参考資料3でございます。免許状更新講習を修了していない者に対する臨時免許状の授与についてでございます。これは27日の特別部会を踏まえて、28日を発出させていただいたものでございます。

この通知の1ページの一番下の部分でございます。これまで未更新者に対する臨時免許状の授与に当たっては、確認をしていただきたいことがございますという中で、未更新者を採用しようとしている者が、この紙が新しく直ったものでありますけれども、これまでは、取り得る手段を尽くしても普通免許状を所持している者を採用できない場合という要件を求めていたところでございます。この取り得る手段を尽くしても採用できない場合というときに、取り得る手段というのはどこまで尽くしたら取り得る手段を尽くしたことになるのかといったところなども含めて、教育委員会さんの方から、ここが非常に使いにくいといったようなところもございました。

28日に出させていただいたものについては、丸1番でございますけれども、当該未更新者を採用しようとする者が、他に有効な普通免許状を有する者を合理的な範囲の努力により採用することができない場合ということで表現を変えさせていただいております。合理的な範囲の努力については、未更新者を採用しようとする者に過重な負担を求めるものではないという趣旨ということでその解釈を明らかにしてございます。

また、なお書きの部分でございますけれども、他に有効な普通免許状を有する者が存在する場合であっても、その未更新者に求める職務を担うことができないと具体的に判断される場合については、この合理的な範囲の努力により採用することができない場合に含めてよいということを書かせていただいてございます。

このような臨時免許状による授与ということで運用を柔軟化することで教師の確保につなげていくことができるかどうかというところで掲げさせていただいているのが3の(2)でございます。

3の(3)でございます。先ほどのアンケートの方にもございましたけれども、講習の仕組みの見直しということで、現在教員免許状更新講習の受講資格については、現職の教師又は採用される見込みがある者ということで限定がされているところでございます。現職教師等の受講を妨げない範囲で、学校勤務未経験者、いわゆるペーパーティーチャーの方なども受講することができるといったような変更を行うということも考えられるわけでございます。

一方で、下の四角囲みの下の方でございますけれども、受講機会の拡大を行ったとしても、時間と費用を掛けて、当面勤務するかどうか分からないけれども免許は更新しておこうという、受講を自発的に行う者が数多く出てくるかというところについては、慎重に考えるということが必要ではないかということでございます。

こちらの方、今、資料5-1を説明させていただきましたけれども、関係者からの提案、また、問題提起を踏まえた事務局で追加したものもございますけれども、このようなことを講ずることによって、3つの課題、教師の資質能力の確保、負担の軽減、教師の確保を妨げないこと、これが成立するものが出ているのかというところを手掛かりに議論を始めていただきたということでございます。

また、資料5-2として、これまで指摘された課題と本日御紹介した対応策を見取図的にまとめさせていただいたものを参考としてお付けしているところでございます。こちらは飽くまで参考として御利用いただければと思います。

資料6については、先生からの提出資料でございます。また御意見の発表の際に言及があるのではないかと思いますので、私からはこの程度の説明とさせていただきます。ありがとうございました。

【加治佐主査】ありがとうございました。今の御説明にもありましたように、前期の教員養成部会で免許更新制について検証してまいりました。それで、更に検証を続けることになっていたわけですけれども、大臣の方からできるだけ早く一定の結論を出してくれということでありますので急がなければいけないんですが、その方向で事務局から見直しの方向性と観点が示されてきたということです。ただ、これまでの在り方にとらわれずに大胆に改革するようにということも求められておりますので、そこら辺も含んでいただいて、これから忌憚のない皆様の御意見をいただければと思います。

webexの挙手ボタンを押していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。きょうは1回目でもありますので、できるだけ全員の方、紹介も兼ねて御発言いただければと思います。いかがでしょうか。それでは、まずは木村委員、そして、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。木村委員、お願いします。

【木村委員】失礼します。木村と申します。よろしくお願いします。

今回の教員免許更新制の抜本的見直しにつきましては、私なりには欠かすことができない2つの視点があると思っています。1つは、「令和の日本型学校教育」を実現するために教師に求められる基本的な資質能力を育成する研修になり得るかということ、もう一つは、教師の理想的な姿として提示されている、教職生涯を通じて学び続け、子供一人一人の主体的な学びを支援する伴走者としての役割の実現に寄与する研修になり得るか。

1点目の資質能力やそのための研修の在り方については今後明らかにされるとしても、2点目の教職生涯を通じて学び続けることは、現時点においても実現されなければならないことだと思います。教師自身が主体的に学び、学ぶ楽しさを自覚する、学びのプロとしての資質能力は確実に今でも求められるということです。そのための研修は、私なりには、教師一人一人の学びを最大限に引き出し、主体的な学びを支援する伴走者としての機能が、研修自体に有される必要があると思いました。

つまり、今回の教員免許更新制の抜本的な見直しは、教員免許の更新という視点ではなくて、教員の資質能力の更新という視点で検討しなければならないと感じた次第です。このことは、必要な教師数の確保にもつながると思いました。そのように考えると、現在の免許更新制において、受講したい研修が受けられないとか、講習内容が十分でないという状況があるとすれば、そこは絶対に見過ごせないという思いです。

そこで、生じてくる問いが、資質能力向上のための研修は免許更新と同居しなければならないのかというような問いでありました。教育改革の加速化、教員育成指標の策定など免許更新制を取り巻く環境は明らかに変わりました。今回の諮問の前提である、既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って検討、必要な改革を行うということであれば、免許更新制ありきではなく、また、免許更新制が必要ならば、必要な内容にきちんと整える。併せて、既に大学、企業等と連携強化を含め自治体が取り組んでいるとすれば、もっとそういうところにイニシアチブを持たせた研修に移行していくということが考えられるのではないかと思います。

資料の令和2年度免許更新制度高度化のための調査研究事業の結果が先ほど説明されましたが、私がどうしても分からないのは、大学側では更新講習の実施は、教師の資質能力の保持・向上に対して効果があり、地域の教師全体の質の向上につながっていると認識されている。これは明らかにすばらしい講師がいて、すばらしい講義があるということの証明なんですが、一方でこれまで聞いてきた学校や教育委員会等のヒアリングによると、全く反対のようなコメントが出てくる。このギャップは一体何なのか。この辺りが明らかにならないと、なかなか次の手には進みにくい、そんなことを前回から含めて考えていました。

私からは以上です。少々長くなりました。失礼いたします。

【戸ヶ﨑委員】では、よろしいでしょうか。

【加治佐主査】すみません、私、ミュートにしていました。木村委員のお話よく分かりました。戸ヶ﨑委員、どうぞお願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。基礎自治体の教育委員会という立場から、資料3-1に基づき3点意見させていただきます。内容からしてどうしてもクリティカル・ネガティブな意見となりますが御容赦ください。

1つ目です。資料3ページの免許状更新講習のアンケートの結果について、「よい」、「だいたいよい」、「あまり十分でない」、「不十分」の4段階で評価を行った結果、すべての領域で、「よい」、「だいたいよい」の合計が90%を超えており、概ね高い評価を得ている、とありますが、これが客観的で正しい評価と受け止めていいのか疑問です。受講者は「あまり十分でない」とか「不十分」と評価したらどんな結末になるのか、講習開設者への配慮など、恣意的に評価してしまうのも当然であるので、この昭和の時代からの自己評価を、もう少し科学的な評価システムに変えていくべきと考えます。

2つ目です。資料4ページにある免許更新制と資質能力の確保についてです。現在、10年スパンでの更新ですが、教員免許更新制の趣旨である「最新の知識・技能の修得」に向けて、投下した時間や労力に対する効率や成果が上がっているのかについては正直なところ疑問を感じています。

教師は常に学び続ける必要がありますが、そのことが教員免許更新と紐付くのかというと別問題であり、教師の研修はアダプティブで、まさに「個別最適な学び」とすべきと考えています。

リカレント教育のキーワードである「最終学歴より最新の学習歴」に習いますと、大切なのは「最新の情報でいかに学んだか」が重要であり、「最新の研修歴」と言えるものと思います。個々の教師のキャリアステージに応じた10年、20年といった年次研修も加えながら、研修内容を教師自らが主体的に構成できるシステムを構築していくべきときではないかと思います。

最後に3つ目です。資料5ページの下から4行目にも「教員免許更新制そのものが複雑である」と記載されていますが、この複雑さは、「いわゆる『うっかり失効』」とは言い切れない側面もあります。教員免許状は10年有効という言葉が一人歩きをしている感がありますが、平成21年に導入されたこの制度において、平成21年4月1日以降に始めて授与された免許状を「新免許状」、それ以前に授与された免許状を「旧免許状」として区別し、その新免許状か旧免許状かにより、更新の手続き対応等が異なっています。

例えば中学校免許を大学卒業と同時に取得し、その後、通信等で小学校免許を取得した者は、小学校免許を取得してから10年間有効であると一般的には認識されていますが、もし、旧免許状の取得者であれば、その中学校免許の10年間の有効期間を維持するために、「延期申請」を更新時期に実施しなければ、免許状は失効してしまいます。大学の講習こそ受けずに済みますけが、「申請手続き」は行わなければなりません。

また、病気休職や育児休業を長期間取得している場合も、この更新時期は例外なくやってきますので、管理職や教育委員会は、実際には現場で勤務していない教職員の免許状の期限を正確に把握し、手続をさせる必要があります。このように、制度そのものを本人が勘違いしている者がいる中で、所属する全教師に適正な手続を促し、少なからぬ申請書類の手続を進めさせていく学校管理職、市教育委員会の作業は相当な事務量になっています。

【加治佐主査】3点、戸ヶ﨑委員の御意見、非常によく分かりました。

いかがでしょうか。まだ手が挙がっていないと思いますが。それでは、順番を申し上げます。根津委員、それから、松田悠介委員、お二人ですかね。それでは、お願いいたします。根津委員からお願いします。

【根津委員】早稲田大学の根津朋実と申します。ちょっと不案内なもので勝手がよく分かっていない発言をするかもしれないですけれども、どうぞお許しください。

素朴にまず疑問に思ったのは、2年間で30時間という、この根拠は何だったんだろうなというところです。先ほどもお話ありましたように、2年間ということになりますと、1年何かあると、もうその次の年はもう待ったなしになると。そこで突発的なことが起こるともうどうしようもなくなってしまう。また、30時間の合理的な根拠は何だったんだろうかというところも疑問に思うところです。

あとは、関連予算の規模です。お金の話が出てこなかったのですけれども、実際、論点の整理の中でもあったと思うのですが、教員の費用に対する負担感、時間に対する負担感というところは、予算規模の問題が非常に大きいのではないかと思います。

その上で、短期的な対応としましては、やはり先ほど来出ておりますうっかり失効などを考えても、あるいは新型コロナウイルス対応を考えても、やはりこれは延期、かなり大幅に延期をした方がよいのではないかということです、2年間の有効期限をですね。それはまた調査結果を見てということになるのかもしれませんけれども。

長期的に見たときには、1つ議論として出てきていないなと思ったのは、修士号あるいは専門修士あるいは博士号といった学位を取得した場合に、それで何らかの代替ができるのではないかという、部分代替のようなところですね。全てを代替できるとは思わないんですけれども、一定期間内に取った、新しくそういうふうに大学院で取得した学位については、何らかの形で代替が可能ではないか。この中には、派遣されている、あるいは自己の希望でというところもあるわけですけれども。

関連して、大学あるいは大学院の関連する講義、そういうものを取ること、この場合もやはり費用負担と時間が鍵になるわけですけれども、そういったものを一定程度振り替えることができるのではないか。

最後に、私、試行の頃から実はこの制度には実務の方で携わらせていただいて、必修、そちらを担当することが多かったんですけれども、この負担感ですね。必修と選択の担当者の間の負担感もかなり違うというのが率直なところです。受ける方々からしますと、やはり必修というのはいや応なくというところがありますけれども、選択は比較的自分の好きなものが選べるというところがあります。ギャップというお話がありましたけれども、うまくいっていた人は余り文句を言わないというところがあるのかななどというふうにちょっと思った次第です。

以上です。

【加治佐主査】ありがとうございました。それでは、松田悠介委員、お願いいたします。

【松田委員】ありがとうございます。Teach for Japanの松田でございます。個人的にはやっぱりこういう更新講習をなくすということは基本的に考えにくいことなんじゃないかなと思っています。今後も定期的に法令も変わっていきますし、指導要領もアップデートされていきますし、世の中や社会の動向も変わっていきますし、最新の教育テクノロジーであったり、教育メソッドもアップデートされていくわけです。忙しい先生方が通常の業務の中でこういった情報に触れるということはすごく難しくて、更新講習はまさに必要な情報を先生方に定期的にお届けし、これまでの指導のあり方を振り返る有益な機会だと思っています。

ほかの部会でも、伴走者としてピアでお互い支えながら教員の質を担保するというような話もありましたけれども、現場でのピアラーニングは精神的に支えあったり、指導力を向上するというところにはすごく生きてくると思いますが、先ほど申し上げたポイントというのはなかなかカバーし切れないのではないかなと思っていますので、私は更新講習の継続を強く要望していきたいと思っています。

いろいろな声もあるとは思うんですけれども、忙しい中でも、意義を感じていたら参加するんじゃないかなと思っています。これは教員以外の一般的な社会人でもそうです。忙しい中でも、資格試験の準備をしたり、留学の勉強の準備をしたり、それこそ自分で常に最新の情報を得るために、ニューズピックスだったり、いろいろなMOOCプラットフォームを活用して、講座に参加し、情報を得て学んでいるわけですよね。

更新講習の受講を億劫に感じ始めている人は、多忙化など様々な要因はあれど、何よりも意義を感じにくくなっている人もいるんじゃないかなと思っています。そもそも受講の目的や自分自身が学び続ける目的を落とし込めていなかったり、そもそもそれを考えるきっかけがないというところもあると思います。併せて、一人一人学びのニーズは異なっているわけですから、そのラーニングニーズと提供されている研修の内容がマッチしていないということもあるかもしれません。

あとはもう、ただ単につまらない研修と面白い研修があり、つまらない研修に印象が引っ張られている可能性もあると思います。非常に申し上げにくいところであるんですけれども。自分の周囲に聞いてみても、更新講習の感想が掲載されているツイッターやブログを見たとしても、研修中の人たちのツイートで、もう何言っているか壊滅的に分からない、つまらなくて落ち込んでいるというような話もあるんですね。こういった声に別に引っ張られる必要はありませんが、少しでも研修を履修する教員に意義ある研修を提供し続けられるように品質保証を考えていく必要があろうかと思います。    

あとは、教員の多忙化により更新講習が受けられないという事もありますが、多忙化は別イシューだと思っていますので、ごちゃ混ぜにしない方がいいかなと思っています。

これらの課題に対して私なりに、これが可能なのかどうか分からないんですけれども、是非とも事務局にも御検討いただきたいなと思っているのが、更新講習のオンライン一元化です。いろいろな大学ですばらしい講習を作られていて、それをやっぱり集約していく動きがあってもいいんじゃないかなと思っています。オンラインで大学の研修を集約して、受講者がポータルサイトで受講できるようにしていくという考えです。なので、現状のように質の高い研修がばらばらになっているのではなくて、質の高い研修が集約をされていて、多くの人がアクセスできるような状態ですね。

学校内でもまず事前に各学校内で伴走者であったりベテランの先生と共に、一人一人が自分のラーニングニーズを明確にしていったり、ビジョンを作っていくというプロセスがあった上で、自分のニーズに合った研修をそのポータルサイトで受講していく。しばらく離職していた人で、ある程度免許を改めて更新講習を受けて取りに行かなきゃいけない人たちについてはある程度必須科目を多めにするだとか、柔軟に対応することで、一人一人のラーニングニーズに合ったポータルサイトを構築します。また、先ほども集中的に研修を取ることが負担というような話もありましたけれども、多忙化の中でも、2年間の中で自分の隙間時間を探しながら受講していくということも可能になってくるんじゃないかなとも思います。何よりも、これまでの人気講座を受講できないという課題に対して、誰でもいつでも質の高い研修にアクセスできるようになり、満足度を高めていくことができます。    

講座のオンライン化による大学への負担の話も先ほど出ていましたけれども、負担は負担としてあるとは思います。そもそも大学はオンライン研修を作るプロでもないですし、映像作成のプロでもありません。研修ナレッジを持っているので、オンライン研修の作成のプロや民間企業と密な連携を取りながら進めていくと面白いと思っています。

例えば研修企業は、本当に面白く、伝わる研修の作り方ばかりを考えている人たちもいるわけですね。そういったところと連携して、ナレッジをうまく伝えていく技法を磨いていくこともできますし、オンラインの撮影技術に長けている企業と連携し、価格も抑える事ができます。民間と連携をしていくことである程度映像の品質も担保できるようになるのではないかなと思っております。

以上でございます。

【加治佐主査】ありがとうございました。よく分かりました。

それでは続きまして、東京都の藤田教育長、秋田委員、高橋委員、貞廣委員の順でお願いします。藤田委員、よろしくお願いいたします。

【藤田委員】ありがとうございます。東京都教育委員会の藤田でございます。よろしくお願いいたします。私の方からは、大きく4点、若干重複する部分もあるかもしれませんけれども、お話をしたいと思います。

まず第1点目は、システム上の問題です。やはりもともと更新制度は、旧免許、新免許ということで構造が複雑だということもあるんですけれども、私ども、なるべく更新期限をシステム上把握して、なるべくうっかり失効を防ごうというふうにはしているんですが、実際には転居とか複数免許保持で自治体が違うとか、あるいは婚姻等で届出が必須ではないということもありますので、本人の責任ということではあるんですけれども、やっぱりうっかり失効というようなものが出てしまっているというのがありますので、何らかの形で番号を統一するなり、このへんを何か統一、どういうふうに中身を充実するなりするにしても、システム上の課題を是非、教育委員会の立場からは改善を図っていただければありがたいなというふうなことを思っております。

それから、2つ目は、先ほど来何人かの委員さんから出ておりますけれども、やっぱりアップデートというのであれば、これ、10年に一度では全然今の世の中追い付きませんので、そういう意味では、受講する教員の意識によって、アンケートも満足したり、不満だったりというのが出ているような気もいたします。私どももそうですけれども、ほかの都道府県教育委員会、ほかの教育委員会も、人事育成上の指導目標、育成目標、指標という中には、恐らく現代的な課題、今日的な課題も入れていたりするものですから、見直しについての資料5等にもありますけれども、前期からの申し送りの中にもありますけれども、各自治体で行っている人事評価あるいは研修受講による免除、実施する上では、課題もあるわけですけれども、それをできる限り拡大していく方向がいいのではないかなと思います。そういった中では、講習開設者と地域連携ということでそこを共同でできないかとか、その辺はもう少し地域地域でも、文科省さんの方で全体的な基準を示していただいた中で少しやっていく。

そういう中では、先ほどの講義の重点化というんでしょうかね、ウェブも活用したそういったこともやった方がいいと思いますし、何よりも、木村委員がおっしゃっていました、資質の更新というところから考えれば、ティーチングからコーチングということで、ICT元年ということでこれから活用していくわけですけれども、これは教員の方も学び続ける姿勢をきっちり持っていかなければいけないということからすると、ここの辺りは、10年更新ではなくて早く、いち早く皆さんに伝えていかなければいけないのかなと思っております。

それから、3点目です。これももう整理ペーパーにありますけれども、今後、雇用の流動化等も進んできますので、外部人材の活用ということが求められてくる場合もありますし、定年延長、それから、退職教員の力もお借りしていかなきゃいけないということを含めると、負担軽減、それから、予約のシステム含めてオンラインも含めた受講しやすいシステムにしていく必要があるかなと思います。

それから、最後、4点目です。これはちょっと中長期的な形なので、これはちょっと絵空事かもしれませんけれども、やはり教員も、お医者さんなんかと一緒でに、臨床と研究、我々も学校での実践と研究というので、これのバランスがやっぱり必要かなというので、もし10年というのであれば、10年に一回大学とか大学院に行って、少し半年でも1年でも論文でも書いてくるつもりで腰を据えて勉強する方が、将来的には教職の魅力アップにもつながるかなと。

その先には、段階的廃止というか、更新制がいずれ、長い間、何年掛かるか分かりませんけれども、もし段階的に廃止をしていくというふうなこともあるとすると、1つ2つ例を挙げますと、教職大学のところで教員が生涯学び続けるきっかけとなるようなカリキュラム、あるいは教科横断的なカリキュラムだとか、今、SDGsだとか人権、防災、STEAMだとか、いろいろ言われております。プログラミングもグローバルもそうですけれども、そういったものを一定のカリキュラムとして学んだ教員については、採用の段階で10年更新をもう廃止する。

それから、10年経過した者に関しては、大学に行く、大学院に行くということもよろしいでしょうし、あるいは、教育委員会の中で他校種のところの経験を二、三年積むことによって、そういったものを無期限化する。あるいは、休眠・外部の方についても、最低限の受講で無期限化するような、何かそういうシステムを持っていって、最終的には廃止に持っていく。あるいは、指導力不足教員への対応というのは、またこれは別途きっちりやっていくというような制度構築をするような形と併せて、ちょっと時間掛かると思いますが、そんなこともあるのではないかなということで、最後の4点目はちょっと絵空事かもしれませんけれども、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐主査】ありがとうございました。4点、分かりました。

それでは、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】ありがとうございます。学習院大学の秋田です。ただいまのお話を伺いながら、まず最初に木村委員が言われましたように、私は、資質能力、そのためには教員自体がエージェンシー、主体性や自律性を大事にして、意欲を持って研修に臨めるように免許更新講習をしていくということが極めて重要だと考えています。そのためには、きょう5-2で出していただきましたが、やはり育成指標に合わせた形でのシラバスとか、それから、学校種に応じた形での免許更新講習を行っていくということがまず一番に大事であろうと思います。

また、2つ目としては、そのために30時間という時間ではなくて、例えばそれを半分にして15時間にするとか、それから、研修をオンライン化して、その半分はオンデマンド型の講習にして、残り半分は少人数のワークショップ型にするなどの形でうまく効率的に知識を学ぶところと演習型を併せていくというような形の研修の工夫というような形を今後取っていくということが必要になってくるのではないかと考えているというところであります。

そして、3点目としては、教員は最も恐らく男女で女性の教員の比率も高い専門職だと考えています。そうすると、産育休のようなことを考えたときに、やはり2年というような間での更新を求めるのではなくて、もう少し3年とか4年とか展望を持った形の幅を設けて更新が計画的にできるようにしていくこと、それがやっぱり個人のニーズ、個人が学びたいと思ったときに学んでいくというようなことのために必要ではないかと思います。

きょうは外からの接続のために大変音声が悪くて申し訳ございません。本日は以上とささせていただきたいと思います。発言の機会どうもありがとうございます。

【加治佐主査】どうもありがとうございました。3点分かりました。

それでは、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】東京学芸大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。平野室長には丁寧に論点整理をいただきまして大変よく分かったんですが、いいアイデアが出てくるかというのは、また少し反省しながら考えたいと思います。

先生方は、免許更新に限らず、校内研修その他で常に研究や修養を続けていると思いますので、免許更新に限らず、そういったことの記録をしっかり取って、自らも振り返れるようなそういうような仕組みが必要なんじゃないのかなと思っています。そうなっていくと、ICTを上手に使っていく以外に選択肢はないんじゃないのかなと思っています。

まず研修そのものについてですが、先ほど来からオンライン化というお話が出ています。もちろん対面もすばらしくて、これは受講者のアンケートでも好評です。しかし、負担軽減という意味で考えれば、対面で学んでいくしかない内容は、ふだんの教員研修とか現場で仕事をしながら学ぶということで、この手の全国的な研修、義務的な研修に関しては、知識に限る内容を扱うというように割り切っていくということも方法かもしれないと思っています。

私自身も、eラーニングで、有料のeラーニングを買って勉強することがあるんですが、最近は非常に小刻みに、車の中ででも、電車の中ででも、ながらで結構短い、数分のビデオで通過テストとかもあって結構勉強しやすいです.今までのeラーニングと随分印象が異なって、様々な新しい分野のものがありますので、結構こういうふうにオンラインの特性も上手に生かしていくんだなと思っています。

もう一つは、こういった研修の管理をオンラインにしていくことだと思います。このことについて、受講の予約程度をオンラインにしていくというお話はあると思うんですが、10年を5年にするとか、あるいは3年にする、それとも、もうこういういわゆる校内研修なども更新の何らかのものにしていくとしたら、私としてはポイントを集めていく、研修ポイントみたいな、学びポイントみたいなものを集めていくイメージになるのかなと思います。例えば5年とか10年掛けて領域ごとに必要なポイントを集めていくとか、担当する校務分掌に関連して、何らかの研修を受講したとしたら、そういったこともポイントにしていくとかいうことはあり得るなと。

先ほど免除と免除じゃないかということがすごく難しかったと思うんですが、ポイント制にすることで軽減という可能性もあり得ると。こういう仕事を経験した場合はこの分野の研修が免除されるとか、そういったことも考えられていくと。もし免許更新が継続されるとしたら、そういった積み重ねたものの成果を束ねて更新するというようなイメージかなと思います。

そうなってくると、マイページみたいなものが必要になりまして、多分この10年間あるいは就職してからずっと受けてきた研修がいつでも一覧表で見られるというのが、自分の振り返りにとっても、自分の強みを把握する意味でも非常に面白いんじゃないかなと思っています。これはちょっと話しにくいですけれども、JALという飛行機会社がありますけれども、ずっと何十年も乗っている飛行機の記録が残っているので、すっかり忘れていた旅行を思い出すとか、そういった意味で非常に楽しいと思いますので、こういったマイページ。こういうものでポイントとかがしっかり載っていると、より一層先生も、前向きな先生はどんどん勉強されていきやすいんじゃないのかなと思っています。

また、少し余計になるかもしれませんし、ちょっと議論が分かれるかもしれませんが、そういった先生方の研修の状態について、管理職の先生や教育委員会の先生も把握することができれば、その先生の興味や特技を生かした人事配置であるとか、そういったこともできるかもしれませんし、そういったことの積み重ねとプラス何らかを組み合わせることで、学位を渡して免許の種類を上に上げていくとかそういったことも考えられるんじゃないかなと思っております。

ちょっと長くなりましたが、ICTで今までと考え方を変えていけば、小刻みに積み上げていくということも、システム作りは大変だと思いますけれども、上手に作れれば、管理しやすい、見やすいんじゃないかなと思っているところです。

以上になります。ありがとうございます。

【加治佐主査】ありがとうございました。大変よく分かりました。

それでは、貞廣委員、その後、市川委員、安部委員の順でお願いします。貞廣委員、お願いいたします。

【貞廣委員】ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。講義の関係で火曜日の会議に参加できませんでしたので、議論が重複していましたら、申し訳ございません。

まずは室長からお示しいただきました資料5の御提案ですけれども、いずれも大変プラグマティックな御提案であると思います。特に研修と更新講習の相互活用の徹底、オンライン化の促進、又は2年間30時間の要件の緩和などについては、かなりニーズに応じた形の御提案なのではないかと見ました。その上で3点申し上げたいと思います。

1点目でございますけれども、戸ヶ﨑委員から、実は評価はリップサービスなんじゃないか疑惑の御指摘がございました。私もそう思います。また、木村委員から、供給者側と需要者側のアンケートの結果のギャップがあるというような御指摘もありましたけれども、これは効果の考え方とか体感の仕方に齟齬があるんじゃないかと思います。

私も供給者側ですけれども、私は教育の研究者ですので、やはり現場の先生方にはやはり一度現場と日常を俯瞰する機会としていただいて、現代的な教育課題や現代的な教育の意義を見つめ直していただく機会にしていただきたいと考えているんですけれども、現場の先生方は、現場が忙しくて大変がゆえに、即効性があってすぐ学校現場で活用できるものというふうに思って参加されているんだと思うんですね。そうすると、期待が裏切られるわけですので、余りよくなかったなというようなことになるわけです。ここら辺を、もちろん即効性のあるものもあっていいんですけれども、そうでないものもやはりアップデートに必要なんだということがもっと共有されなければいけないんだと思います。これが1点でございます。

2点目でございますけれども、さはさりながら、やはり即効性とか、目に見える形でよかったというふうに思えるような体感がないと、なかなかこういう更新、学び直しというのは定着しません。その観点から是非、目に見えるキャリアのアップデートと連動させるということを考える必要があると思います。

これまでも意見が出ていましたけれども、例えば早い段階から都道府県さんとか自治体さんがやる研修の中に、認定講習の受講を組み込んだり、又は大学の科目等履修、本学も含めて今全国に教職大学院があり、夜間や土日又は集中講義のような科目が提供されていますので、大学の科目等履修の促進を行うことで、免許の上進や他校種の免許を取得した場合には免許更新が免除されるということですね。これによってしっかりとキャリアの明確なアップデートと連動されますので、それは御本人にとっても、学校現場や教育委員会にとっても、非常に利点の大きいことなのではないかと思います。

3点目でございますが、認定講習などということとはまた逆の思考にもなりますけれども、やはり主体的な科目履修の選択の保障というのは必須だと思います。これは科目の選択だけではなくて、自らがデザインをして自らがマネジメントしたということが、効果の体感と大きく連動します。ですから、これはなかなかお店を開けているものの数とか受講できる日程ということも今まではあったと思いますけれども、やはりオンライン化、オンデマンド化することによって、より主体的な選択の保障を拡大していくということが重要であると思います。これが3点目です。

最後に、3点と申し上げたんですが、1点だけ申し上げますと、先ほど高橋委員がおっしゃっていた履修履歴のマイページのようなもの、ちょっと近いところで申し訳ないんですけれども、千葉県の教育委員会さんは研修履歴システムということを導入していて、マイページで研修履歴が見えるようなシステムを入れているんですね。

恐らく、確認はできませんけれども、近い将来の免許更新講習の制度の改革も見越していらっしゃるんだと思いますけれども、自分でパスワードを入れてアクセスすると、必修、これ受けてないとか、これ、次受けなきゃいけないとか、また、自分はこういう分野での得意分野を設定して、それをエンジンとして自分の職能を開発していくんだというのであれば、そういうところを充実させていっている履歴と連動させながら、自分の次の何を受講しようかというのをマネジメントしていけるというようなシステムになっている。こういうことも、主体性の確保ということと、又は漏れのない履修とか更新という意味でも、複数の側面から非常に重要な仕組みなのではないかと思います。

以上です。

【加治佐主査】ありがとうございました。よく分かりました。

それでは、市川委員、お願いいたします。

【市川委員】全国特別支援学校長会の市川でございます。都立あきる野学園の校長でございます。私からは、校長会の方で免許の更新制度について意見等を集約したときに出てきた意見を中心にお話しします。

更新講習によって最新の知識とか技能が獲得できるといった研修成果は、教員の行う教育活動によい影響を与えているという声は多く上がってきています。その視点においては、免許の更新制度というのは教員の質の向上につながっていると思いますし、校長会の校長からは、更新制はやめた方がよいよというまでの意見はなかったという感じです。

一方、免許更新制度の狙いとする最新の知識技能の修得については、年次研修とか都道府県の教育センター等が開催する研修等様々な機会が与えられているという声も聞いております。特段、都道府県の教育センターが開催する研修は、非常に充実をしてきて、校長としては、教育センター等の研修会に出てもらうことで教員の質が向上すると思っているという声が多かったです。

高橋委員のお話と重なる部分もあるんですが、現在は、別の話になりますが、臨床発達心理士等の資格更新講習は、資格更新の時期までにその団体が実施している研修だけでなく、例えば学会の参加とか論文の発表とか他団体の研修への参加等も当該の団体の資格更新講習に代替しているような制度があります。ポイント制という形になるんでしょうか。全国の校長からも、このようにいろいろな研修に出たものをポイント制にして、教育センター等の研修も含めてそれをためて、10年ならその時期に、そこまでにポイントをためて資格更新するという形もあるんじゃないかという声も上がっていました。

このような、自ら研修を選んでポイントをためていくという制度は、自らが主体となり、学びたい研修を自発的に教員が行うという形になるので、好ましいという意見もあります。また、特別支援学校の場合には、視覚障害とか聴覚障害などは、県に1つしか特別支援学校がなかったり、近くの大学で視覚障害や聴覚障害に関する研修が学べないという声も聞いています。またこれも含めてオンラインによる研修の充実も加えて、様々な研修を更新の資格に代えていくという制度もあるのかなと思っています。

同じような話になるんですが、更新講習の受講を最優先するために、特別支援学校教諭免許状の取得の認定講習を後回しにするというケースが多いという声も聞いています。制度が違うのでこれを代替するのは難しいかもしれないんですが、更新講習と認定講習がお互い代替できるようになると、スムーズになるという部分もあるのかなと思っています。

また、先ほど藤田教育長の話にもありましたが、システム上の問題になるかと思うんですが、特別支援学校の場合には、特別支援学校教諭免許を免許法認定講習により取得する教員が多いです。そうしますと、新規免許状を授与された場合は更新講習の受講が免除になるなど制度が複雑になります。更新時期が年齢とか経験年数と重ならないこともあり、学校としてはどの教員が更新かの把握が難しくなるということもあります。更新のタイミングがうまく教員の教職研修などと一致するような、学校にとって分かりやすいシステムというのもありがたいかなと思っています。

私としては以上です。

【加治佐主査】大変ありがとうございました。よく分かりました。

それでは、安部委員、よろしくお願いします。

【安部委員】長崎短期大学の安部です。私の大学ではこの制度の開始以来、更新講座をずっと開設をしております。そこで地域の先生方と講習を通じてお話をする機会が多くある中で、先生方が大学に戻って学んでいただくことは大変いいことだなということをずっと感じてはいました。ただし、免許の更新手続をすることと、教師としての資質向上のために講習を受けることというのが結局は同じことなので、先生方は、この講座を受けないと免許が失効してしまうので、受けなければいけないと思っている。すなわち、強制的に受講させられているという意識がやっぱりあるのではないかなという気はずっとしておりました。

そのために、いろいろ時間的に負担があるとか、学校は非常に最近忙しくなっているのに、それでも受けなければならないことは本当に大きな負担なんだということも先生方から当然出てくると思います。、時間的負担もさることながら、心理的にも強制による負担というのもあるのではないかと思います。ただ、やはりどなたかがおっしゃいましたけれども、時間的負担がどんなにあろうとも、先生として、教師としての資質能力の向上につながる講習というものがあれば、先生方は受けようとなさいますし、忙しいというのならば、その1つの方法として、オンライン化の促進というのが当然考えられると思います。

今、令和の教育の中で教師に求められる、例えばICT活用能力とか、ファシリテーション能力とかをテーマとする講習を提供しなければいけないと思いますが、ここでも講習内容の質を向上するために、教育委員会と大学の連携や、あるいは教員研修機構の教材などを活用することによって、まずはオンラインでそういう講座を受けた後に、それぞれの大学での対面講義の会場では、反転学習等の形をとって、グループワーク等での少人数の先生方の交流を促すような研修にしていけば、研修の中身も充実していくのではないかなと感じております。なかなか制約もたくさんあるんですけれども、学び続ける先生のその資質能力を向上させるための講習というのは、どんな形であろうとも担保していく必要があると思います。

以上です。

【加治佐主査】ありがとうございました。それでは続きまして、坂越委員、大字委員、お願いいたします。坂越委員からお願いします。

【坂越委員】坂越です。よろしくお願いします。前期からの課題で事務局の方で今回の資料にうまく整理していただいて、正直何かある程度の方向性も見えているのかなと思ったりしているぐらいなんですけれども、あえて1つ。3つの柱がありますよね。資質向上、負担感、教員確保。3つ目の教員確保というのは、確かに影響もあるだろうと思うけれども、基本的には違う施策の方からではないのかなと思っています。地方の教育委員も兼ねているので厳しい状況は認識しているつもりなんですけれども、それはそれで別の手だての方でしっかりとやっていただきたいと思っています。

やっぱり資質向上をいかに確保していくかということがメインの課題で、自分なりに少しイメージしてみたんですけれども、2つぐらいイメージしました。1つは、特に現職の教員に関しては、これまでも出ましたけれども、採用側の教育委員会の方でしっかりと協議会を作って、資質向上の指標もありますよね。やっぱりここは講習と研修、プログラムの中にありましたけれども、しっかり大学側と採用側が連携を取って、資質向上に即したような形で講習を組んでいけば、具体的には例えば話にも出ましたけれども、ポイント制だったり、あるいはティーチングポートフォリオだったり、様々な形で今のICTを活用することもあり得るだろうと思うんですね。

そのときに、採用側と実施側が連携するという大前提の下で、そもそもと言うのも申し訳ないんですが、大学が主な講習主催者として動き出したときにちょっと意識したことが、これは県教委さんとか府教委さんたちがなさっているような研修とはまた違う意義を持たせたいというのがあったと思うんです。貞廣委員さんもちょっと触れられたと思うんですけれども、せっかく大学で30時間も講習を受けていただくんだから、もうちょっと広い視点と言ったら失礼な言い方になるかもしれませんけれども、今までの10年間、20年間を振り返る機会にしてもらいたいとかですね。もちろん最新の知識理解も必要ですし、具体的な臨床的な指導方法も大事なんだけれども、自分の30年とか40年の教員キャリアの中で振り返りの機会にしてほしいというような大学での意義というのを考えてやったと思うんです。だから、採用側の教育委員会と大学が連携を取ろうとするときに、どちらもその意義を言わば尊重し合って、それぞれの意義が表れるような、そういう講座なり研修なりということがあればいいのかなと思います。これが1つのイメージ。

もう一つのイメージは、先ほどから出ているような、オンラインだったり何だったり、現職の先生方というのは比較的、先ほどの教育委員会側との連携の中で意味あるものができる。予備軍というか、言葉、ペーパーティーチャーと言ってもいいんでしょうか、そういう人たちが、さあ教育の現場に入りたいと思われたときの仕方としては、これはやっぱり本当にオンラインであったり、今既に委員がたくさんおっしゃいましたけれども、すばらしい講習・講義をオンライン化して、たくさんの人が比較的受けやすい環境の中で受講できる。

今、更新講習は、教職員支援機構が取りまとめていらっしゃいますけれども、あそこは本当にそういうキーセンターになり得るところだと思うんですね。いろいろな大学のすばらしい講師の先生方があそこと連携を取って全国的にオンライン講座を開くようなことがもしできれば、やっぱり現職の先生も、それから、ひょっとして教員になろうかと思っていらっしゃる予備軍の人たちもアクセスしやすくなるかなと思ったりしています。

また様々な御意見を伺いながら、自分でも考えてみたいと思います。以上です。

【加治佐主査】どうもありがとうございました。大字委員、よろしいですか。

【大字委員】全国連合小学校長会の大字でございます。よろしくお願いします。小学校現場の立場ということでお話をさせていただきたいと思います。

まず教員の質と量のどちらもしっかりと確保するというのは、これはもう大前提だと考えております。質の面でいくと、質の向上に教員免許更新制がどれだけ役に立っているかという面でいくと、やはり最新の知識や技能を身に付けることを目的とすると、10年に一度というスパンは時期を逸することもかなりあるなと、そのように思っていますし、なかなか今の制度のままだと、教員も自分の選びたい講座等がなかなか取れずに、更新するために仕方なく受けているというような声も数多く聞かれますので、やはり教員の質の向上にしっかりとつながる、そういう制度であっていただきたいということが1点。

もう一点、教師の量の部分ですが、今、小学校の教師の人材不足は本当に深刻です。特に教員が何らかの形で年度の途中で休職に入るような場合のその後を補充する臨時的任用教員は、なかなか見付かりません。もう御承知のように、教頭や副校長が担任をする。校長が担任をするというケースも決して珍しくはなく、どの学校でも見られる、そのような状況です。ここを早く根本的にしっかりとあらゆる対応を取って解決していく必要があると小学校では思っています。

どうしても10年で失効する免許ですので、採用選考を受けるときに、10年で失効するなら教師以外の職を選ぼうと、そういう若手の声も聞こえますし、60定年の後のベテラン教員も、いや、もう一回講習受けてまで先生続けられないよ、それはきついよという声があり、大戦力が一人ずついなくなるということも現状です。また、他業種からの教員への参入というか、そういったものをもっと増やしていきたいです。小学校現場は本当に人材不足がかなり厳しいので、この辺も含めて教員免許更新制の見直し、できれば廃止も含めて御検討いただきたいというのが私どもの意見です。よろしくお願いいたします。

以上です。

【加治佐主査】ありがとうございました。たくさんの御意見をいただいていますが、いかがですかね。今はもう手が挙がっておりません。よろしいですか。

【平野教員免許企画室長】こちらの会場の方で安家先生が手を挙げていらっしゃいます。

【加治佐主査】そうですか。会場にもおられる? そちらにもおられるんですね、委員が。

【安家委員】公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構理事長の安家と申します。私は現場の幼稚園の園長でもありますが、養成大学の教員も兼ねておりまして、3つの視点の中で様々研修については考えてきたという経緯を持ちます。

教諭の免許を取って、幼稚園現場、認定こども園の現場に職員は出てまいりますが、どこの教員養成機関で講義を受けるかによっては、同じ一種免許であっても、様々な学びの種類、そして、考え方や先生方の違いによりまして、同じ免許であっても御本人たちのお持ちのスキルや知識技能がばらばらであるという現実を長い間見てまいりました。

そんな中で、やはり現職になってからの研修が非常に大切であろうということから研修を一生懸命構築してきたんですが、ちょっと薄っぺらな選択になって、「あの先生はこの頃人気があるから、一度呼んで研修会を構成しよう」とか、そういうふうなレベルで研修をランダムに恣意的に構成してきた経過がございます。

そういう中で、やはり学びの全体像をきちんと掌握する必要がありますねということで、私どもの研究研修委員会で学びの全体像を俯瞰してみようということで、本日お手元にお届けをしております資料6でございます「保育者としての資質向上研修俯瞰図」というものを、我々現場の園長たちが委員として出向きまして、大妻女子大学の岡健先生などにもアドバイスをいただいて、私どもで研修の俯瞰図を作りました。

AカテゴリーからFカテゴリーまでございますが、Aは、今画面に共有されておりますが、「愛されて育つ子ども」という形で、主に子供の人権等についてのカテゴリー。次に「子どもと共に育つ保育者」、Cが「教育・保育理論」、そして、裏面に参りまして、「子ども理解」、Eが「保育実践」、そして、Fカテゴリーが「子どもが育つ家庭や地域」と、こういうふうなカテゴリーを作って、左から3つの部分に区切られておりますが、私たちはHop、Step、Jumpというふうに呼んでいますけれども、まず入門のところから、年次の若い先生から左から順番に右に研修課題に向き合っていく、このような考え方で全体像を見てもらっています。

自分に任せられて研修会に参加していると、自分の好きなカテゴリーに偏っていたり、そして、園から指定されて行く研修ですと、その研修は自分が選んだものではないというふうなことから、たくさんの皆様方の御発言の中にもありましたけれども、先生たちが自ら主体的に能動的に研修計画を立てていくという風にはなりにくく全体が俯瞰するために使ってもらおうということで、この研修俯瞰図を作りました。

そして、各都道府県や全国団体で作ります研修会も、このカテゴリーの番号を振った研修会、例えば1日に4講座あると、例えば1つは子どもの人権のところである、1つは実践のところであるというふうな形で、F1とかB2とか様々な研修の番号を振りまして研修会が実施されています。その研修会に出られた先生たちは、その研修会に出た履歴を、当初はステッカーを発行して、何時間の何の講座を受けたかということの履歴をステッカーとして持ち、そして、研修ハンドブックというハンドブックを発刊いたしまして、そのハンドブックにその履歴のステッカーを貼っていくと、自らの研修の履歴を蓄積していくようなシステムを持っておりました。

そうこうしておりますうちに、私どもも、先ほどの小学校の校長先生のお話にもありましたけれども、非常に人を雇うのが難しいという現実に鑑みて、幼稚園ナビという、職員採用に利用できるようなものを幼児教育課と共に作り出そうということで、今現在ウェブ上でそういう求人サイトを持っております。が、その求人サイトに加えて、先ほどの教員の研修履歴をウェブ上で蓄積できるようなシステムを今現在作っております。

その研修の履歴が、これまた近年、認定こども園化というものが進行しておりますが、処遇をよくしようという働き掛けの中で、処遇改善の2の要件として30時間の研修が必要となります。こういうふうな形で研修履歴に今ウェブ上の研修が位置付けられるというふうなことに相なってまいりました。この教員免許の更新制の問題が出てきたときに、教員免許の更新は受けなければいけないわ、30時間の処遇改善の2の研修も受けなければいけないわというふうな形で錯綜する中にございます。

幼稚園は研修権を教員たちが持っています。逆に言うと、研修をさせなければいけないという義務を各園は負うわけですけれども、保育所はその研修権が実はございません。子供の数と保育者の数は配置基準によって決められておりまして、お昼間の間に抜けて研修会に行くということはまず不可能に近いというふうな、相違った組織が小学校就学前までの施設類型の中にございます。どのように統合してゆくか今後考えなければいけない段階を迎えています。

例えば保育所に勤める保育士でも、多くの方が幼稚園教諭の免許を併有しております。ですので、幼稚園教諭の免状を更新していなければ、保育所を辞められて幼稚園の現場に立つことはできないと、こういうふうなことが当然中で起こってくるというふうな構造もあって、教員免許の更新というのは私どもにとっても非常に悩ましい存在でございました。

先ほど申し上げた研修研究機構の中では、免許更新講習を制度成立当初から担いながら、幼稚園教諭の免許の更新を担ってまいりましたが、私どものアンケートの集計によりますと、非常に好評を得ていたという記憶がございます。ですので、これがなくなるということになったときに、何ら代替の措置が必要であろうと思いますし、研修全体を俯瞰したやはりデータの集積というふうなことにやはり行き着くのかなというふうなことを思っておりまして、学種を超えて統一できるようになることがとてもいいのかなと思っております。

それと、先ほどオンデマンドの話が出ておりましたが、私どもも良質な全国の研修を集めてオンデマンド化して、オンラインで聴講ができるような形態を構造を作っていこうということで検討していたりしております。過去20年にわたる私どもの取り組みが今現在少し花開いて注目を集めているというふうなことでございます。

以上、雑駁でございましたが、御説明を申し上げました。ありがとうございます。

【加治佐主査】ありがとうございました。

【平野教員免許企画室長】こちらで荒瀬先生が手を挙げていらっしゃいます。

【加治佐主査】では、荒瀬先生、どうぞ。

【荒瀬委員】ありがとうございます。

いろいろお聞きしていまして大いに考えさせていただきました。何のための免許更新制だったのかということを、これ、いろいろと振り返ってきているわけだと思うんですけれども、当然時代の背景とか社会情勢とかもあったのかなと思います。研修は重要であり必要であるというのは、これは誰も異論のないところだと思うんですけれども、免許更新制が必要であり重要であるということについては、相当異論が出ているというのが現実だと思うんですね。

それに対していろいろと改善策が委員の皆さんから出されたし、あるいはまた、そもそも更新制自体がどうなのかというふうなお話もありました。研修が本当にきちんと機能するのであれば、私はそっちの方がはるかに大事だと思います。

それこそ免許更新講習でも御参加の先生方にも申しましたけれども、学習指導要領って何も子供たちのために必要なものを書いただけじゃなくて、あれはこれからの社会を生きていくために必要なものが示されているわけだから、すなわち、大人にとって必要な力があそこには込められていて、それを発達段階に応じて学んでいくことが大事なんだということを申し上げ続けてきたんですけれども、主体的・対話的で深い学びというのが、やっぱりアンケートでもいいということが示されているわけですから、そういった学びが研修の形で行われるというのが本当は大事なんじゃないかなということを思いました。

先ほど坂越委員から、教師の確保というのは、必ずしも免許の更新制があるから厳しいというだけではないだろうという御指摘がありましたけれども、私もそれに対しては全く同感であります。

このことについても、やはり具体的に研修をすることによって教師がこんなことができるようになったとか、こんないい時間を過ごせるようになったという、そういうことが教師の中から発信され、あるいは子供たちがそれを実感するという、そういう中で初めて教師の確保というのもどんどん進んでいくんだろうと思いますし、働き方改革はもちろんのことですけれども、そういう意味も含めた研修の充実をどう図っていくのかということを考えるべきだと思います。

これは坂越委員がおっしゃいましたけれども、教職員支援機構がそういったことについてもっとしっかり頑張れということをおっしゃっていただきましたので、まさに頑張りたいと思っておりますということを最後に申し上げまして、発言を終わります。ありがとうございました。

【加治佐主査】会場の方よろしいですかね。

【平野教員免許企画室長】はい。あと、御発言いただいていない委員が、萩原委員、三田村委員、そして、松木主査代理と、こういうことになってございます。

【加治佐主査】そうですね。松木先生からは今、手が挙がっていますね。それでは、松木先生、お願いします。

【松木委員】3点お話しさせていただきたいと思っています。1点目は、更新講習の目的が、教師としての必要な最新の知識や技能の修得ということと、資質や能力を伸ばしていくという、この2点ですよね。1点目の知識や技能を修得するということに関しては、教える、それを覚えるという学習スタイルで成り立つことができますよね。一方、資質や能力に関して、教える、覚えるという形では成り立たないですよね。

大学がこの2つの目的のために更新講習をやっているとしたら、当然ですけれども、知識や技能を修得するための工夫、それはオンデマンドであったり、オンラインだったり、いろいろな工夫があるかなと思いますが、同じように資質や能力を培うための研修の在り方ってどんなことを考えているのか、それをきちんとやっぱり表現すべきじゃないかなと思うんですね。特にリフレクションのようなことが重要になるかなと思うんですが、そうであるならば、10年目、20年目、30年目の学習履歴がちゃんと蓄積されながら、それをリフレクションしながら自分の在り方を見直していくような仕組みになっていくということが重要じゃないかなと思っています。

2点目は、いろいろな問題が更新講習の中であるんですが、大学と教育委員会が協働すれば、一緒になって考えれば、かなりのものが解決すると思えるんですが、なぜしないんだろうかというのがとてもやはり不思議でなりません。いつもそう言いますと、福井のような小さなところだからやれるんだというふうに言われてしまいますけれども、それ言っちゃ終わりだよなという気もしてしまうんです。やはり工夫の仕方は一杯ある。それを是非考えていただきたいなと思います。

3点目、これは大学の運営に関わっていて感じるんですが、教員養成系の学部や大学は、現在非常に厳しい状況の中にあると思っています。特に外部資金の獲得なんかに関しては、ほかの学部以上に困難な学部で、非常に大学の中では肩身の狭い学部です。そんな中で、更新講習のような貢献の仕方というのは、教員養成の大学にとっては非常に大きな話じゃないかなと思うんですね。それをきちんと外部資金の獲得として位置付けられるような処理の仕方、利益の出し方ということが可能な仕組みにしていただきたいなというようなことを強く感じます。そうじゃないと、教員養成系学部はやはりどんどん小さくしていく以外にもう手がなくなってしまっている、そんな状況じゃないかなと思っています。

以上3点でした。

【加治佐主査】同業者として最後の意見よく分かります。

それでは、萩原委員、よろしくお願いします。

【萩原委員】高校の代表で出ております萩原です。きょう提示をいただきました資質能力の確保と負担の軽減、この2つが今後ということだと思います。日々高校の教員も仕事、業務に追われている部分もあります。とはいえ、例えば免許更新のための研修に行くと、非常に負担感はあるけれどもよかったと言って帰ってくる教員もいますし、何か行くだけ無駄だったという教員もいます。中身について聞くと、大学で聞いた講義内容は、都の研修で聞いていたのとほぼかぶる内容であったということがあります。

ですので、研修、資質能力の向上は必要ですが、負担の軽減というところでは何とか、先ほどからもポイントリザーブ等というような話も出ておりますが、何らかの整理をしていくということが必要になると思います。

私からは以上です。

【加治佐主査】ありがとうございました。

三田村委員、よろしいですか。御発言ございますか。

【三田村委員】はい。挙手表示していたんですけれども。

【加治佐主査】そうですか。ちょっと私の方には表示が出てないですね。

【三田村委員】そうですか。申し訳ございません。

【加治佐主査】どうぞ、お願いします。

【三田村委員】全日本中学校長会の三田村でございます。5-1の資料におまとめいただいた方向にほぼよかったなという思いを持っています。その上で、4点申し上げます。

まず1点目ですが、研修履歴、研修ポイント、どう呼ぶかは別として、その話も出ていましたけれども、それに大きく賛同するものでございます。この5-1の資料の中では、30時間を例えば5年というふうに延長してはいいのではないかというのがございましたが、私はいっそのこと10年というスパンでいいのではないかと思っています。と申しますのも、非常に変化が著しいです。また、先行きの読めない新たな課題が次から次へと押し寄せてくる。そういう課題に適切に対応するという点でも、受講の年数を延ばして適時適切なものを受講していく。それを研修ポイントとして10年一区切りで認定するという、そういう仕組みにするのがありがたいなというのがまずあります。

それから、2点目です。免除の対象者の拡大ということ、これはよろしいと思うんですが、ただ、少しここは慎重でありたいなと思います。ですから、対象の拡大を今後どう検討していくのかというところで是非お願いしたいんですが、やはりベテランになるほど自分のスタイルが確立されていく。つまり、学ぶ必要性を感じなくなっていくというのはえてしてありがちです。また、経験年数が上がり、職層が上がるにつれて、逆に学ばなければならないことが増えていくということもございます。ですから、単純に経験年数があるからとか主幹教諭だからという、現行制度もそうですけれども、一律に全部免除、ゼロというのはなしがいいのかなと思っています。

それから、3点目、4点目は、この5-1にはないものですけれども、先ほど来、自主的とか主体的という言葉が出てきています。これはとても必要なことだと思いますが、しかし一方で、学びたい研修だけ学んでいればいいのではないという現実もあると思います。自分の得意分野、好きなものしかやらないということで偏りの生じている教員は決して少なくはない。ですから、やはりそこは例えば管理職と共にキャリア形成をどうしていくかということで共に考えていくような仕組みが欲しいなと。免許は私のものだから私が好きに受ければいいというものでは、余り現場の教育に効果的でない場合も出てくると。ですから、何かそういうキャリア形成になる、主体的だけではなくて、私たちが学ばせたいということの反映できる仕組みがあるとなおいいというのは思いました。

それから最後、4点目ですが、非常に話が大きくなってしまうんですけれども、一言で言うならば、教員免許を一元管理できるような免許センターのようなものがあるととてもいいなと思います。都道府県がそれぞれ発行しているものですから、そういう仕組みを作るのはなかなか容易ではないのかもしれませんが、例えば運転免許証なら、更新が近付いてくると知らせてくれるわけですね。そして、そこには違反歴も全部一元管理されている。今、別問題で、わいせつ教員を二度と教壇に立たせないというような動きも始まっていますけれども、免許履歴に関するようなことが一元で管理でき、そして、学校にいない免許保持者にも、そろそろ更新時期ですよとアナウンスしていただけるような、そういう仕組みがあれば、失効により教壇に立てないとかそういう問題も解消するでしょうし、また、今、副校長、校長が非常に緊張感を持って免許状の確認をしていますが、そういう負担も減ると思います。

以上4点でございます。

【加治佐主査】ありがとうございました。時間ももう過ぎようとしていますが、最後に私の方から、簡単なまとめと今後の審議の方向性への希望のようなことを述べさせていただきたいと思います。

事務局から現行制度を前提にした改善の方向性が包括的に示されたと思います、これまでの検証を基にですね。皆様の中からも現行制度の改善意見がたくさん出されました。それは具体的には繰り返すことはいたしませんが。これから教師調査も行われるということで、それによって何らかの変更がある可能性もありますが、現行制度の課題とそれの改善策、改革策はほぼ出尽くしているんじゃないかという印象を持っております。

同時に、きょうは特にやはり教師の自律性、それを基にした学びを作る必要が基本になるんだと。そしたら、そのことは必ずしも更新制とは関係ないんじゃないかというか、更新制によらなくてもいんじゃないかといったようなこととか、あるいは個別最適な学び、これも子供たちだけじゃなくて、やっぱり教師にも行っていかなければいけないとか、そういったようなこともありました。

あるいは、すばらしいプログラムを集約して、それをICT、オンラインで提供する仕組みとか、学習履歴によるリフレクションの仕組みを作るべきだという御意見も何人の方からもあったと思うんですね。それから、髙橋先生からは、ICTの非常に大きな可能性についてまとめ的な、総括的な御発言もあったと思うんですね。

ということで、現行の仕組みによる改善策はそれはそれで当然置きつつも、一方で、やはりきょうの御意見の中にも今述べましたようにたくさん表れていますように、免許更新制によらずに教員の資質能力の維持向上を図る仕組みはどうあるべきかと。学び続ける教師とか学習者としての教師は、これはもう古くて新しい課題であり、教員に求められる不易な資質能力のわけですけれども、先ほどから申し上げておりますように、ICTとかオンラインとか、場合によってはAIとか、そういうものによって学びのツールがもう全然変わってきているということもあるんだと思うんですね。そうすると、そういう新しいツールを活用した形での教師の学びの支援をするような仕組み作りも考えるべきじゃないかというふうに思います。

ですので、今後は、必ずしも現行の免許更新制に依存しない形で教師の資質能力の維持向上を図るような、そういう議論もよりしていくべきだときょう強く思いました。ということですので、事務局には、次回以降、そのような課題、テーマについての我々の議論が進むような形での準備を進めていただけると大変ありがたいかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、事務局の方から、次回以降についてよろしくお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】ただいま主査の方からお話ありましたけれども、私どもとしても、きょうの議論を踏まえましてまた準備の方をさせていただきたいと思います。

次回の日程については、調整の上で追ってまた御連絡をさせていただきます。

本日は御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

【加治佐主査】それでは、皆様、どうも長時間ありがとうございました。大臣からも、何ら前提を置くことなく抜本的な見直しを進めてほしいということですので、是非皆さんと一緒にこの教員免許更新制小委員会での検討を進めていきたいと思います。改めてどうぞよろしくお願いいたします。

本日はどうも長時間ありがとうございました。お疲れさまでした。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)