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6 .その他


[ 部会等で議論された課題等]

 部会等における議論では、新試験について、1あくまでも高等学校卒業と同等以上の学力認定にとどめるべきであるという意見と、2高等学校卒業資格の付与まで行うべきであるとの意見の両論があり、多くの時間を割いて検討が行われた。将来への問題提起として、極めて有意義な議論であった。

 各々の主な意見は次のとおりである。

1  あくまでも高等学校卒業と同等以上の学力認定にとどめるべきであるという意見
 高等学校においては、教科・科目の履修だけでなく、その他の様々な活動、生徒間や教員との交流など知・徳・体のバランスのとれた教育を通じて人間形成が行われるものであり、単に学力を測る試験のみで高等学校卒業資格を付与することはできない。
 新たな試験において高等学校卒業資格を付与することとする場合には、高等学校の生徒との均衡を考慮すると、学習指導要領の卒業要件である74単位に相当する教科・科目の試験を課さざるをえず、30〜40単位相当の教科・科目の検定である現行の大検と比べ、受験生に過大な負担を強いることとなる。このように、高等学校卒業資格を付与するために、かえって、高等学校中退者などが挑戦しづらい試験となる恐れがある。
 学力を測る試験のみで高等学校卒業資格が付与されると、安易な中退が増加するなど、高等学校教育に悪影響を及ぼす恐れがある。

2  高等学校卒業資格の付与まで行うべきであるとの意見
 学校教育という教育様式に適応できない者について、再度学校への途を開く制度はあるのに対し、円滑な職業生活への移行ないし、接続のための制度が整っていないため、この際、学力を測る試験で卒業資格を付与できるようにすべきである。
 学校から就職までの進路を多様化するため、学力を測る試験で卒業資格を付与できるようにすべきである。
 職業経験や奉仕活動なども評価した上で、卒業資格を付与できるようにすべきである。
 高校生の学力低下を指摘する声が多い中、高校外で学力をつけた者を評価すべきである。

 両方の意見に傾聴すべき点が多いが、高等学校の卒業要件の修得単位数と新試験の相当単位数の格差や、高等学校が知・徳・体のバランスのとれた教育を目指すものであることを踏まえ、本審議会としては、以下のとおりの方針とすることが妥当であると判断した。
1  高等学校卒業と同等以上の学力認定を行うことを基本的な性格とする新試験の制度設計を行うこと
2  新試験の合格が、実質的に高等学校卒業資格取得と同様の効果が得られるよう、各種職業資格や採用試験の受験資格における通用性を高める方向で引き続き努力すること

 なお、新試験合格者に高等学校卒業資格を付与するかどうかについては、上記のとおり、学校教育制度全体との関係について慎重な審議が必要であることはもちろんのことであるが、さらに全課程の修了を学校長が認定する制度をとっている現行の高等学校制度の下で、どのような制度設計が可能かなど技術的にも多くの論点があることがわかった。

 この関連で、新試験により、生涯学習社会における学習の評価の仕組みは一段と充実するが、さらに一歩進んで、国民の誰もが生涯のいつでも、どこでも、自由に学習の機会を選択して、高等学校レベルの学力の取得を目的として、学ぶことができるよう、単位累積制度などの新システムの必要性も検討するべきであるとの意見があった。

 さらに、我が国においては、大学入試に係る試験が複数あることから、新試験と大学入試センター試験との関係を含め、今後の大学入試の在り方を検討するべきであるとの意見があった。
 また、全ての高等学校在学生を対象に学習成果を図る学力認定試験を実施し、その成果を高等学校の卒業要件や大学入学の基礎資格とするなどして高校生にしっかりした学力を身に付けさせる方向を目指すべきであるとの意見もあった。



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