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3 .新試験の内容について

1. 受験科目・水準について

(1) 教科・科目について
 新試験では、就職や進学などいずれの進路を選択する場合においても、必要となる学力を問うものとすることが必要である。
 年間約9〜10万人の高校中退者のうち、大検受検者は、わずか約1〜2万人に留まっているが、これはアンケート結果などから、必受検科目数が多いことなどに起因しているものと考えられる。
 一方で、新試験が高等学校卒業程度の学力を認定するものとして社会に広く受け入れられるよう、多様化が進む高等学校教育において全ての高等学校生に共通に必要な教育内容を包含することが必要である。
 このため、新試験においては、新高等学校学習指導要領において全ての生徒に履修させる教科の範囲内で、認定する学力水準は維持しつつも、受験者の負担を増やさないように受験科目を精選したり、ペーパー試験のみでの評価になじまない実技的な要素が強い教科を削減するなどして、高校中退者等が受験しやすい科目構成とすることが必要である。
 なお、新学習指導要領において必履修とされた英語については、大学等における教育や、社会生活における重要性を踏まえ、全員が受験する科目とする必要がある。
 以上を勘案し、新試験は、国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語の6教科を必ず受験するものとして、構成することが適当である。
 また、受験教科の変更により一部教科に既に合格している者などが不利 にならないように適切な経過措置を講ずる必要がある。

(2) 問題の内容、水準及び合格水準について
 現行の大検が、選抜試験ではなく資格試験であることや、高等学校卒業と同等以上の学力を認定する国の検定として社会的にも評価を得ていることを踏まえ、新試験の問題の水準及び合格水準を現行の大検から大きく変えないようにするべきである。
 また、新試験は、現行の大検同様に高等学校卒業と同程度の学力を認定するという到達度試験の性格を持つことから、絶対評価の考え方を基本として、到達の程度、問題の難易度等を総合的に判断して合格水準を設定するべきである。

(3) 受験科目の免除
 生涯学習の成果を適切に評価する観点から高等学校等において受験科目の単位を修得した者及び「知識及び技能に関する審査」に合格した者については、現行の大検と同様に受験科目に相当するものについて科目の免除を引き続き行うことが適当である。

2. 受験対象者について

 現行の大検は、働きながら学ぶ定時制及び通信制高等学校の生徒の負担を考え、これらの生徒には大検の受検を認めているが、全日制に在学する生徒の受検を認めていない。
 しかし、近年、夜間の定時制高校においては昼間働いて夜学ぶという勤労青年の割合が著しく減少するなど生徒層に変化が生じている。このため、定時制高校も多部制や単位制の高校が設置されるなどしており、生徒の就学形態も多様化し、全日制の高校との違いがかなり小さくなっているケースも増えている。
 全日制高等学校においても、生徒の能力・適性・興味・関心等の多様化の実態を踏まえ、生徒に目標を与えて意欲を喚起したり、学校生活にうまく適応できない生徒の学習成果を評価したりする際の一方策として新試験を活用できるようにするべきである。
 これらのことから、定時制、通信制、全日制すべての高等学校の在学生に新試験の受験資格を与えるべきである。
 あわせて、学校長の判断で受験科目に対応する新試験の合格科目について単位認定できる制度を全日制高等学校にも拡大するなどして、生徒の多様な学習成果が評価されるような機会を提供するべきである。
 なお、具体的な仕組みについては、高等学校教育の在り方にも照らしつつ検討していくことが必要である。

3. 年齢制限について
 現行の大検は、18歳未満で必要科目に全て合格したとしても、満18歳に達した翌日まで大検の合格者とならないこととしている。(飛び入学を除く。)
 部会では、いわゆる飛び入学を一般化して17歳から合格とするべきであるなどといった意見もあったが、この点については、高等学校教育及び大学などの高等教育への接続の問題として我が国の学校教育制度に大きな影響を与えることから、今後、学校教育制度全体の中で慎重に検討するべき課題である。
 このため、新試験においては、現行の大検どおりの年齢制限を課することとする。



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