資料3 臨教審以降の教育改革の主な施策の概要

1 初等中等教育段階

教養教育の基本的な方向(「審議のまとめ」) 主な施策 施策の概要及び進捗状況
1 基礎・基本の徹底
2 自ら学び,自ら考える力の育成
3 豊かな人間性の基盤づくり
(体験活動の機会の充実,道徳教育の充実)
教育課程の改善 【平成元年改訂】
 画一的な教育や知識偏重など,戦後の教育の問題点を踏まえ,「個性重視」「生涯学習体系への移行」「変化への対応(情報化,国際化等)」を教育改革の視点として打ち出した臨教審答申に基づき,学習指導要領を改訂。
  1. 心豊かな人間の育成
  2. 基礎・基本の重視と個性教育の推進
  3. 自己教育力の育成
  4. 文化と伝統の尊重と国際理解の推進
  • 新学習指導要領の実施
    • 小学校・中学校
      • 平成14年度~全面実施
    • 高等学校
      • 平成15年度~学年進行で実施
【新学習指導要領のねらい】
 学校は,ゆとりの中でしっかり指導
  1. 個に応じた指導
     (理解や習熟の程度に応じた指導,個別指導や繰り返し指導)
  2. 体験的・問題解決的な学習
     (観察・実験,調査・研究,発表・討論など)
子どもは,ゆとりの中でじっくり学ぶ
  1. 基礎・基本の徹底
     (興味・関心等に応じてより深く高度に学ぶための基礎づくり)
  2. 「生きる力」を育成
     (自ら学び自ら考える力,思考力,判断力,表現力など)
  • 総合的な学習の時間の導入
  • 地域や学校,子どもたちの実態に応じ,学校が創意工夫を生かして特色ある教育活動が可能になるよう総合的な学習の時間を導入(課題学習や問題解決的な多様な体験活動を実施)。
    • 小学校3年~ 週当たり3時間程度
    • 中学校 週当たり2~4時間程度
    • 高等学校 卒業までに3~6単位
  • 選択学習の幅の拡大
  • 生徒等の特性に応じて,補充的な学習や発展的な学習を含め一層多様な学習活動が可能となるよう,中学校・高等学校の選択学習の幅を拡大。
    • 中1 年間 30時間まで
    • 中2 年間 50~85時間
    • 中3 年間105~165時間
指導方法の改善
  • 少人数指導のための教職員定数の改善
  • 教科等に応じ20人程度の少人数による指導が可能となるよう,教職員定数を改善(平成13年度から5年計画)。
     教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に改善
      (平成12年度)   (17年度)
    小学校 19.2人 18.6人
    中学校 16.4人 14.6人
  • 特別免許状制度の創設
  • 優れた知識や技術を有する社会人に特別免許状を授与し,学校教育に登用(昭和63年度から制度化)。
    • 授与件数 平成12年度 43件(累計)
  • 特別非常勤講師制度の創設
  • 教員免許状を持たないが,優れた知識や技術を有する社会人を特別非常勤講師として学校教育に登用(昭和63年度から制度化)。
    任命件数の推移
      (平成元年度)   (11年度)
    小学校 0人 2140人
    中学校 6人 1604人
    高等学校 167人 4803人
  • 大学院修学休業制度の創設
  • 国公立学校の教員が,国内外の大学院で学び,専修免許状を取得するために休業することを可能とする制度(平成13年度から実施)。
個性や能力に応じた教育の多様化
  • 総合学科の制度化
  • 総合学科の制度化(平成6年度~)
    • 普通科目と専門科目にわたる幅広い選択科目の中から自分の興味・関心に応じた科目が選択でき,自己の個性を発見したり将来の生き方や進路についてじっくり学習することが可能に。
    • (平成12年度) 145校 → 当面500校を目標に設置
  • 中高一貫教育の制度化
  • 中高一貫教育の制度化(平成11年度~)6年間のゆとりある安定的な学校生活の中で,個性や創造性を伸ばすことが可能に。
     (平成13年度) 49校 → 当面500校を目標に設置
高等学校入学者選抜の改善
  • 推薦入学,面接・小論文等による選抜など入試の在り方を多様化。
     推薦入学の実施学科数割合
    (臨教審発足当時)   (平成12年度)
    25.9% 77.9%
  • 面接・小論文等の実施都道府県数
    • 面接 38都道府県 → 47
    • 小論文・作文 データなし → 39
    • 実技 22都道府県 → 45
完全学校週5日制の実施
  • 子どもたちが家庭や地域社会で生活体験や自然体験,文化・スポーツ体験など様々な体験をすることができるよう完全学校週5日制を実施(平成14年度より)。
     → 「全国子どもプラン」の実施
     (「3生涯にわたる学習」の項参照)

2 高等教育段階

教養教育の基本的な方向(「審議のまとめ」) 主な施策 施策の概要及び進捗状況
1 大学の教養教育カリキュラムの充実
2 カリキュラム外も含めた様々な活動の充実
高等教育の機会の拡大
  • 高等教育の量的拡大
       (臨教審発足当時)   (平成12年度)
    (学校数)
     大学 461校 651校
     短期大学 536校 572校
     大学院 279校 479校
    (在学者数)
     大学 1,734,080人 2,754,423人
     短期大学 381,873人 355,788人
     大学院 65,692人 206,074人
    (大学・短期大学への進学率)
       35.6% 49.1%
 
  • 能力に応じた教育の多様化
  • 「飛び入学」の制度化(平成9年度~)
     数学,物理分野で特に優秀な者は17歳で大学に入学することが可能に。
     (平成13年度) 16名在学(千葉大学・名城大学)
※ 現在,分野の制限の撤廃などを内容とする学校教育法の改正を国会に提出中。
  教育研究の質の向上
  • 大学設置基準の大綱化
  • 平成3年に大学設置基準を改正し,カリキュラム編成や専任教員数,授業方法等の弾力的取扱いが可能に。
【カリキュラム編成の自由化】
  • (大綱化前) → (大綱化後)
  • 大学卒業要件として124単位 大学卒業要件として124単位
    そのうち,授業科目の区分を廃止
    • 一般教育科目 36単位
    • 外国語科目 8単位
    • 保健体育科目 4単位
    • 専門教育科目 76単位
 
  • 大綱化を踏まえた各大学の取組の促進
  • カリキュラム改革
     (インターンシップの実施,総合科目の導入,特色ある授業科目の導入など)
【カリキュラム改革の実施状況】(平成10年度)
 設置基準大綱化を踏まえたカリキュラム改革の実施 496大学
  • ボランティアに関する授業科目の開設
    • ボランティア活動を取り入れた授業科目 113大学
    • ボランティアに関する講義科目 102大学
    • インターンシップの実施(平成11年度) 186大学
  • 教育方法の改善
     (セメスター制の導入,学生による授業評価,FDなど)
【教育方法の改善状況】(平成10年度)
  • セメスター制を採用 426大学
  • 学生による授業評価を実施 334大学
  • 単位互換制度を実施 345大学
  • FD(ファカルティ・ディベロップメント)を実施(平成11年度) 280大学
  • 実施体制の整備(教養部の改組など)
【教育方法の改善状況】(平成10年度)
  • セメスター制を採用 426大学
  • 学生による授業評価を実施 334大学
  • 単位互換制度を実施 345大学
  • FD(ファカルティ・ディベロップメント)を実施(平成11年度) 280大学
【教養教育実施体制】(平成10年度)
  • 担当学部方式 2.9%
  • 教養部方式 11.3%(国立大学教養部:平成3年度末30→平成10年度1)
  • 機能的組織方式(※) 51.7%
  • 各学部方式 23.3%
  • その他 10.8%
     (※)教養教育の担当教員は各学部に属し,全学的な教養教育の実施のため,機能的な組織を設ける。
     出典:倉敷芸術科学大学教養学部「大学の教養教育に関する実態調査」
     (平成11年2月実施,回答率52.6%)
【海外留学の状況】
  • 日本人の海外留学者数 75,586人(※)
  • 日本への外国人留学生数 64,011人(平成12年度)
     (※)国により異なる年度の統計データの合計のため参考値
  多元的な評価システムの確立
  • 自己点検・評価の義務化,学外者による検証の努力義務化(大学設置基準の改正)
  • 大学による自己点検・評価の実施と結果公表が義務化され,学外者による検証を行うよう努めることも努力義務化。(平成11年9月)
【自己点検・評価の実施状況】(平成11年10月現在)
  • 自己点検・評価を実施 567大学
  • 実施結果を公表 444大学
  • 結果の第三者による検証を実施 136大学

3 生涯にわたる学習

教養教育の基本的な方向(「審議のまとめ」) 主な施策 施策の概要及び進捗状況
1 生涯学習体制の整備
2 体験活動の充実
3 「魅力ある大人社会」の構築
多様な学習機会の充実
  • 生涯学習の実施状況(平成12年1年間の状況)
    • 趣味的なもの(音楽,美術,華道,舞踊,書道など) 22.0%
    • 健康・スポーツ(健康法,医学,栄養,ジョギング,水泳など) 21.7%
    • 職業上必要な知識・技能 9.4%
    • 家庭生活に役立つ技能(料理,洋裁,和裁,編み物など) 8.0%
    • ボランティア活動やそのために必要な知識・技能 6.4%
    • 教養的なもの(文学,歴史など) 6.2%
    • 社会問題(社会・時事問題,国際問題,環境問題など) 5.0%
    • 育児・教育(幼児教育,教育問題など) 4.4%
    • 語学(英会話など) 3.0%
    • その他 0.6%
    • 特にそういうことはしていない 54.7%
出典:内閣総理大臣官房広報室「生涯学習に関する世論調査」(平成12年12月調査)
 
  • 社会に開かれた学校づくり
  • 公開講座の積極的な開催により,大学の持っている専門的,総合的な教育研究機能を活用。
      (臨教審発足当時)   (平成10年度)
    国立大学公開講座受講者数

    249,399人

    750,304人

    平成10年度においては,548大学で11,489講座を開設
  • 放送大学の設置(昭和60年度)
    テレビ,ラジオを利用して大学教育を実施し18歳以上であればだれでも入学できる放送大学を設置。
    • 昭和60年度1学期学生数 17,038人
    • 平成12年度2学期学生数 84,086人
    • 卒業生累積数 18,227人
    平成10年1月から全国放送化
     平成13年4月,放送大学大学院設置
 
  • 社会教育施設の整備
  • 社会教育施設の整備
      (臨教審発足当時)   (平成11年度)
    公民館 17,520館 18,257館
    図書館 1,642館 2,593館
    博物館 676館 1,045館
    青少年教育施設 1,031施設 1,263施設
    婦人教育施設 100施設 207施設
 
  • 社会人のリカレント教育の推進
  • 社会人が大学等で学ぶ機会の充実
【大学等の取組】
 社会人特別選抜による入学者数
  • (平成5年度) 3,665人 → (平成12年度) 5,092人
  • 夜間大学院(平成元年~) (平成12年度) 20大学院
  • 昼夜開講制(平成3年~) (平成12年度) 68大学,196大学院
  • 通信制大学院(平成10年度~) (平成12年度) 6大学院
  • 科目等履修生(平成3年度~) (平成10年度) 15,282人
【企業等の取組】
  • 教育訓練休暇を付与する企業の割合 20.8%
  • 受講料等の金銭的援助を行っている企業の割合 72.6%
出典:労働省職業能力開発局「民間教育訓練実態調査」(平成9年2月)【労働者の自己啓発への支援】
 教育訓練給付制度(平成10年12月~)
 雇用保険の被保険者等が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受け,かつその教育訓練を修了した場合,受講料の8割(※上限20万円,平成13年1月1日以降に受講した場合は上限30万円)を支給。
 厚生労働省指定講座(平成12年10月現在)
  • 約15,000講座
    • うち専修学校 241施設, 2,587講座
    • 各種学校 21施設, 253講座
    • 大学・大学院 42施設, 87講座
  社会全体で子どもを育てる環境づくり
  • 「全国子どもプラン」の推進
  • 「全国子どもプラン」の推進
     平成14年度からの完全学校週5日制実施を控え,平成11年度から13年度までの間に地域で子どもを育てる環境を整備し,親と子どもたちの様々な活動を振興するため,緊急かつ計画的に施策を推進。
  • 「子どもセンター」
     親や子どもたちが地域の様々な体験活動の情報を身近なところで得ることが可能に。
     設置数 (平成12年度)725カ所
     → 平成13年度までに全国に1,000カ所設置
  • 「子ども放送局」
     子どもたちが近くの公民館や図書館でリアルタイムで子どもたちの興味をかきたてるような番組を見ることが可能に。
     受信局 (平成12年度)約1,606局
  • 「子ども長期自然体験村」
     農林水産省と連携して,農家等を活用し,子どもが夏休みに自然の中で2週間程度の長期宿泊体験を行う。
     実施箇所数 (平成12年度)70カ所
  • 「子どもの商業活動体験~子どもインターンシップ~」
     経済産業省・中小企業庁と連携して,子どもたちが,身近な商店街等で様々な職業に触れることができる機会を提供。
     実施箇所数 (平成12年度)80カ所
  学習成果の活用の促進
  • 生涯学習の成果の活用状況(平成12年1年間の状況)
    • 自分の人生がより豊かになっている 52.4%
    • 自分の健康の維持・増進に役立っている 43.1%
    • 日常の生活や地域での活動に活かしている 25.1%
    • 仕事や就職の上で活かしている 24.5%
    • その知識・技能や経験を土台にして,さらに広く,深い知識・技術を身に付けるよう努めている 17.9%
    • ボランティア活動に活かしている 11.9%
    • 資格を取った 11.5%
    • 他の人の学習やスポーツ,文化活動などの指導に活かしている 9.8%
    • 活かしていない 7.6%
    • その他 1.1%
    • わからない 0.7%
出典:内閣総理大臣官房広報室「生涯学習に関する世論調査」(平成12年12月調査)
 
  • ボランティア活動の推進
  • 生涯学習ボランティア活動の推進
     生涯学習ボランティアセンターの開設 平成12年度124カ所
     「生涯学習ボランティア100万人参加計画」
 (ボランティア活動の状況)
 ボランティア活動経験のある人 31.2%
 今後ボランティア活動参加希望を持つ人 65.0%
 出典:経済企画庁「平成12年度国民生活選好度調査」(NPOの数)
 認証数(累計) 3,815
(平成13年4月6日現在)内閣府国民生活局調べ
 
  • 単位認定制度の整備
  • 大学評価・学位授与機構による学位の授与
     (平成11年度)短期大学・高等専門学校卒業者及び専門学校修了者等 学士1,686人
  • 大学における技能審査の単位認定の状況
     (平成9年度) 149大学で認定

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生涯学習政策局政策課