資料2-1 学校教育法改正に関する主な検討事項

 教育基本法改正、中央教育審議会答申及び教育再生会議第一次報告などを踏まえた、学校の教育目標の見直しや学校の責任体制の充実等。

●:前回(平成19年2月14日)の御意見

1.学校種の目的及び目標の見直しについて

(1)見直しの基本的な考え方

 ● 学校における指導は学習指導要領が基準。学校教育法における目的・目標は、教育基本法と学習指導要領をつなぐ大綱的な基準と捉えるべきではないか。

 ● 学校教育法の目的・目標規定については、学習指導要領が積み上げてきた経緯などを踏まえる必要があるのではないか。

 ● これまで教育課程部会で学習指導要領の見直しについて審議を行ってきており、各教科に関する具体的な議論のほか習得型の教育と探究型の教育の間に活用型の教育を位置付けるといった方向で検討。学校教育法の見直しに当たっては、これらの検討状況を踏まえる必要があるのではないか。

(2)幼稚園の目的及び目標の見直し

 ● 教育の順序性という観点から、学校教育法における幼稚園の規定順についての見直しが必要ではないか。

 ○ 幼小の連携、家庭、地域と幼稚園等の連携などの観点が重要(「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(答申)」(平成17年1月28日))。

(3)義務教育の目標規定の創設

 ● 教育基本法第5条第2項で義務教育として行われる普通教育の目的が規定されたことを受け、学校教育法において、現在の小・中学校の目標規定をもとに、義務教育の目標についての規定を置く必要があるのではないか。

 ○ 義務教育9年間を見通した目標の明確化を図り、明らかにする必要。その内容は、一人一人の子どもたちの個性や能力を伸ばし、生涯にわたってたくましく生きていく基礎を培うとともに、国家・社会の形成者として必要な資質能力を養うことが基本(「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」(平成17年10月26日))。

 ○ 教育基本法第2条「教育の目標」に示された5つの目標はいずれも大変重要。このことについては学校教育法の中にもきちんとこれを受けて盛り込んでいく必要があるのではないか(「初等中等教育分科会(第37回~45回)における主な意見」(平成19年1月26日))。

(4)小・中学校の目的及び目標の見直し

 ● 小学校段階の目標は一層具体的にして、保護者や地域の方に分かりやすい形で示すことが必要ではないか。

 ○ 現行の小学校の目標は具体的で各教科の目標に近いが、中学校の目標はバランスを欠く感じがする。中学校においても、項目として、できるだけ数多く挙げたほうがいいのではないか。

 ○ 義務教育9年間を見通した目標をある程度詳細に規定すると、小学校の目的は義務教育の基礎の確立、中学校の目的は義務教育の目標の達成という整理になる。小学校、中学校それぞれの目的を明確にして、義務教育全体としての到達目標を具体的に規定することが求められているのではないか(「初等中等教育分科会(第37回~45回)における主な意見」(平成19年1月26日))。

(5)高等学校の目的及び目標の見直し

 ○ 高校教育の目標を考えるに当たって、1社会の形成者としての意識を育む市民としての教育、2中学・大学・企業等との連携と接続、3社会の活力維持のための個々人のポテンシャル向上、という3つの観点が重要ではないか。

 ○ 義務教育における普通教育とは、国民の最低の共通教養という趣旨であるのに対し、高校教育の目的である高等普通教育とは、卒業後に大学に進学するにせよ就職するにせよ、レベルの高い専門的な教育に進む上で必要な基礎教育、一般教養という趣旨だと考えられるのではないか。

 ○ 教育基本法改正案第2条の教育目標を義務教育の目標に盛り込むのであれば、高等学校については同じことを書くのではなく、義務教育全体を踏まえて、高等学校教育を行う形になっていれば良いのではないか。

 ○ 高等学校が多様化していることを踏まえると、現行の学校教育法の小学校の規定のように教科全てを列挙する形は高等学校については細かくなり過ぎるため、現行の規定を踏まえてまとめて規定した方がよいのではないか(「初等中等教育分科会(第37回~45回)における主な意見」(平成19年1月26日))。

2.義務教育の年限を9年とする規定について

 ○ 義務教育の年限の延長については、延長すべきとの意見も出されたが、1意識調査において賛成の割合が低く、2延長による教育効果がはっきりしていない、3財政措置が必要である、などの理由から、現行の9年を維持すべきという意見が多かった(「初等中等教育分科会(第37回~45回)における主な意見」(平成19年1月26日))。

3.学校の評価等に関する規定について

(1)学校評価の推進

 ○ 近年の学校教育の質に対する保護者・国民の関心の高まりに応えるためにも、学校評価を充実することが必要(「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」(平成17年10月26日))。

 ○ 高校改革を行っていく場合には、自己点検、評価をしっかりやらなければならないのではないか(「初等中等教育分科会(第37回~45回)における主な意見」(平成19年1月26日))。

(2)学校の情報提供の促進

 ○ 学校運営への保護者や地域住民の参画は、学校運営が透明性を高め、公平・公正に行われるようにするとともに、教育活動等についての評価及び公開を通じ十分な説明責任を果たすという民主主義のルールに基づいて行われるようにする上で重要な意義(「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」(平成17年10月26日))。

 ○ 教育基本法において家庭教育の規定(第10条)が置かれたことも踏まえ、学校や教育委員会等も家庭や地域に対して教育課程に関する情報提供を積極的に行い、各学校の特色を明らかにすることが必要(「第3期教育課程部会の審議の状況について」(平成19年1月26日))。

4.副校長その他の新しい職の設置について

 ● 学校で起こる様々な問題に対応するため、「副校長」、「主幹」、「指導教諭」を設置すべきではないか。

 ○ 国は、学校に責任あるマネジメント体制を確立するため、学校教育法等を改正し、副校長、主幹等の管理職を新設し、複数配置を実現することにより、学校の適正な管理・運営体制を確立する(「教育再生会議第一次報告」(平成19年1月24日))。

 ○ 管理職を補佐して担当する校務を整理するなど一定の権限を持つ「主幹(仮称)」制度の整備を行うことが必要である。その場合においては、主幹(仮称)の職務内容や既存の職との関係を整理するとともに、学校の組織運営上の必要性、学校規模や市区町村及び各学校の状況などを踏まえつつ、都道府県教育委員会等の判断により学校に配置できるようにすることが必要。

 ○ 各学校の必要性に応じて、指導力に優れ、他の教諭等への教育上の指導助言や研修に当たる職務を担う「指導教諭(仮称)」の職を設け、都道府県教育委員会等の判断により、学校に配置できるように制度の整備を行い、教諭のキャリアの複線化に資するようにすることが必要(「教職員給与の在り方に関するワーキンググループにおける審議経過報告」(平成19年1月26日))。

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