教育制度分科会(第36回) 議事録

1.日時

平成25年11月11日(月曜日)9時30分~12時15分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 今後の地方教育行政の在り方について(関係団体からのヒアリング2)
  2. その他

4.議事録

【小川分科会長】  定刻となりましたので、ただいまから中教審第36回教育制度分科会を開催させていただきます。本日はお忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず、今日の会議に関係する資料を事務局の方から確認をお願いいたします。

【堀野企画官】  それでは、本日の配付資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第にございますように、配付資料として、ヒアリング対象団体から提出のあった資料1から資料11がございます。これらに加えまして、参考資料1と2を配付してございます。不足の資料等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川分科会長】  よろしいでしょうか。もし資料等の不足がございましたら、事務局までお申しいただければと思います。
 では、本日、報道関係者より、会議の全体についてカメラ撮影を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、今日の議事に入ります。前回に引き続き、今回の会議においても、本分科会の審議経過報告について、関係団体からのヒアリングを行います。ヒアリングの日程は配付資料1を御参照ください。今日は、全部で12の団体からヒアリングを行います。進め方としては、四つの団体から続けて意見を発表いただいた後に、まとめて意見発表の内容への質疑応答の時間、20分ほど時間を確保したいと思います。その後、ヒアリングの団体を入れ替えて同じ方法で3回繰り返すことといたします。
 なお、発表時間は、1団体当たり8分以内でお願いいたします。今日は発表団体も多いため、スムーズな会議の進行ができるよう時間厳守でお願いいたします。残り1分で事務局からメモを入れていただき、時間を過ぎた時点で私の方から声を掛けさせていただきますので、御了解いただければと思います。
 前回と異なりまして、今日は12団体からのヒアリングを予定しており、会議自体も3時間に及びますので、繰り返しますけれども、時間厳守を徹底していただきたいと思います。時間を超過した場合には、私の方から声をかけ止めさせていただく場合もあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、ヒアリングに入っていきたいと思います。それでは、最初に、全国知事会の阿部文教・環境委員会副委員長、お願いいたします。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  それでは、おはようございます。全国知事会文教・環境委員会副委員長をしております、長野県知事の阿部守一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回、全国知事会としての意見聴取をしていただきますこと、まずはお礼を申し上げたいと思います。
 私どもの知事会の意見につきましては、資料2に、教育委員会制度の見直しに関する意見ということで、今年の7月31日に下村文部科学大臣に提出させていただきました意見書がありますので、こちらを御覧いただきながら、お聞き取りいただければと思います。このペーパーにつきましては、8月7日、この分科会において、茨城県の橋本知事から資料として御提出いただいているというふうに伺っております。既に御覧いただいているかと思います。
 本日、時間が限られておりますので、知事会として、2点、首長と教育委員会との関係から、教育委員会制度の在り方について、そして、地方教育行政への国の関与について、この2点に絞って意見を申し上げたいと思います。
 結論的に申し上げれば、全国知事会としては、中教審の議論で出てきておりますA案を基本として検討していくべきと考えておりますし、また、教育行政、地方教育行政は自治事務でございますので、国の関与は極力最小限にとどめていただく必要があると考えております。
 まず、教育委員会制度の在り方について申し上げていきたいと思います。教育委員会制度の在り方として、私ども全国知事会が主張している主な点は3点でございます。まず一つは、地方教育行政の責任者は選挙で選ばれた、住民の意向を反映できる首長とするべきであるということであります。また、2点目でありますが、現行制度を改革する場合、教育長は、住民に対し直接責任を負う首長の下で実務的に教育事務をつかさどる機関とするべきであると。それから、3点目でありますが、その際、教育委員会は首長と教育長に対する監視機能、あるいは教育基本方針等に関与する法的な権限を持った附属機関とすべだという3点でございます。
 これまでの議論について、資料を拝見させていただきます。私として若干気になりますのは、現在の制度でもよいのではないか、あるいは運用で解決できるのではないかという御意見がある点でございます。今日、この教育委員会制度の見直しの議論がなされているのは、私ども行政が、子供たちが夢を持って自立していけるよう、本当に教育行政の体制をしっかりしていこうと、そうしたことが出発点であると思っております。現在の制度のままでありますと、権限と責任の所在が不明確であると考えておりますし、また、住民でありますとか、保護者の意思が本当に的確に反映しやすくなっているのかという点、課題があると思っております。また、非常勤の教育委員の皆さんが議論される教育委員会制度、迅速な対応、責任ある対応ができるのか。そうした課題が今回の議論の出発点になっているというふうに認識をしております。是非その出発点についてはぶれることなく維持していただいて、いい制度を作っていっていただきたいと考えております。
 現在でも、問題ないのではないかというような御意見もありますが、極めて属人的な、人間関係ベースというか、首長と教育委員会が緊密に連携をする中で、今の制度の中でも極力子供たちにとっていい方向にしようという努力しているからこそ、そういう御意見が出てくるわけでありまして、現行の制度にはいろいろ課題があると思っております。実際問題、例えばこれは長野県の話で恐縮でありますが、教員の不祥事、非常に相次いでおりました。これは何とか変えていかなければいけないということで、通常であれば、これは教育委員会が責任を持ってやってくれということで、私としては済む話かもしれませんが、とはいえ、住民に対して最終的に責任を持っておりますが、これは私、選挙で選ばれた立場でありますので、人事権は私にはありませんが、県民に対して私からおわびをしております。また、いろんな制度、仕組みを見直すに際して予算が伴うものというのはかなりあります。研修を充実しようとか、評価制度を作ろうというときには必ず予算がつきまとってくるわけでありまして、教育委員会だけが見直しの方向付けをしても、それは実行可能性が本当にあるのかということで、今回は私知事と教育委員会が共同で教育行政の在り方について検討する検討会、共同設置という形で議論をいたしました。そうしたことを考えたときに、これは制度的にも首長がしっかりと責任を持てる仕組みにしていただくということが大変重要だと思っております。
 また、私どもの立場から申し上げれば、教育行政の予算、非常にウェート、高いわけでございます。今の長野県の本年度の当初予算ベースで申し上げますと、全体の予算が約8,300億円でございます。そのうち教育関係予算が約1,960億円、約2,000億円ですね。率にして23.6%ということで、これは目的別経費の中では最大のウェートを占めているのが教育費でございます。当然首長としては、民意を踏まえて教育行政に対してしっかりと責任ある対応をしていかざるを得ないわけでありますし、また、訴訟が起こされたときには、これを受けて立つのが首長でございます。そういう意味では、是非権限と責任を一致させていただきたいというのが私どもの思いでありまして、そうした方向で制度構築していただくのが、正に21世紀型の地方教育行政の在り方だと考えております。
 ちょっと長くなってしまって申し訳ないですが、そういう観点で是非私ども全国知事会といたしましては、A案を基本として検討をしていただく必要があると考えているところでございます。
 また、市町村については、これ、多様な、長野県の場合、人口が非常に小さな村もありますので、是非市町村については市町村の御意見を十分聞いていただいて、多様な市町村の声に応えるような制度設計していただければと思います。
 それから、もう1点、国の関与でございます。地方教育行政、言うまでもなく、地方自治、自治事務でございます。ナショナルスタンダードの確保といったような観点で、国の最低限の責任を果たしていただくということが必要だと思いますが、様々な具体的な課題については、これは、住民に直接責任を負います私どもが責任を持って対応していく必要があると考えております。学習指導要領等の教育行政のフレームについては、国に定めていただくということが必要ではあると思いますが、様々な課題が生じたときにそれらに対して責任を負うのは、やはり地方だというふうに考えておりますので、是非国の関与は必要最小限にということでお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続けて全国市町村教育委員会連合会の小比類巻会長、よろしくお願いいたします。

【小比類巻会長】  おはようございます。ただいま紹介ありました全国市町村教育委員会連合会会長しております小比類巻と申します。よろしくお願いいたします。
 私ども全国市町村教育委員会連合会は、全国の市町村教育委員会より集まった意見に基づきまして、今後の地方教育行政の在り方についての審議の課題にでき得る限り沿って、連合会の意見として取りまとめましたので、よろしく御配意くださるようお願いいたします。
 本日は、最も問題を含んでおります教育委員会制度の在り方についてを中心にして意見を述べさせていただきます。ほとんどの市町村教育委員会は、教育の政治的中立、継続性、安定性の確保の重要性を挙げており、やむなく一部の法改正がなされたとしても、基本的には合議体であります教育委員会に執行権を持たせる方向で現状維持が望ましいとする意見が9割を超えたところであります。
 現状維持の方向でという意見の背景といたしましては、教育制度に関する課題等が過去において幾度か取り沙汰されたことを契機とし、教育委員会の審議の形骸化や市長との関係など、指摘されてきた課題の解決に向け、教育委員会会議の工夫など、真摯に取り組み、努力してきた結果、多くの教育委員会は正常に機能している状況があるということであります。市長は、予算執行権、議案提出権等の行使、教育委員会は、執行機関としての役割を果たし、教育長は、教育事務全般にわたり委任された事務を最高責任者という意識を持ちながら、学校は教育長から委任された事務等についての責任を持って遂行するよう努力しており、それぞれの権限の下、各々の責任を負う仕組みとなっているものであろうかと思います。
 今回の抜本的制度改革は、大津市に関する重大な事案を生じた中で責任の不明確さが顕在化していることによるとしておりますが、例えばいじめによる事故があった場合、同じ事故を繰り返さないように原因を究明することは必須となります。しかし、これが教育委員会制度上の欠陥により起きた事案とは考えられず、ましてや、教育長や教育委員長の役割、法的には明確になっているわけですが、それをもっと分かりやすくするということとか、どこかに教育権や責任を集中するということで解決するものとは考えづらいものであります。現在まで市長との関係においても、住民から直接選ばれている市長の言動は重く受け止め、学校現場や児童生徒に悪影響がなければ、ほとんどが有益なものであるわけですが、事務局側は整理し、実現されてきているのが実情であります。中には、学校現場や児童生徒が混乱を招くこと、法を逸脱するものがあったとしても、現行においての教育委員会はセーフティネットの役割を果たすことができているのが実情であります。そのような中、現状維持の方向での意見が9割を超えたことは、今、なぜ抜本的制度改革なのか、不安に感じていることの表れかと思われます。私どもの基本的な考え方といたしましては、今回のこの審議会報告でも述べられているように、教育の政治的中立性等を担保した制度とする考え方に軌を一にするものであります。
 しかしながら、A案、B案の具体案の中で、特にA案は、到底教育の政治的中立性等が担保されているとは言いにくいものであります。A案、B案の具体案について、どちらかと言えば、このたびはB案を基調とした方が良いという意見が多く出されたところであります。まず、A案についてでありますが、支持する意見は少数でありました。この案は、教育の権限と責任が市長と教育長に集中すること、そして、現行の教育委員会、いわゆる合議体としての教育執行権を持っている教育委員会を廃止するという抜本的制度改革の案であるとしています。A案については、住民から選ばれた市長が全面的に教育を握るのであればまだしも、住民から選ばれていない新教育長なるものが独任制で教育執行権を持つことになり、予算権等を与えなければ、それほどの独善独走は考えられないものの、このままではほかからの介入等があった場合、どのように防止策が立てられるのか、好ましくないものであります。いずれにせよ、教育に独任制を持ち込むことはなじまないものであります。
 ただし、このA案の教育委員会なるものは、教育の執行権はないものの、この新教育委員会なるものに、市長の補助機関として調査権を与えるなど強い組織とすることは、多分市長にとっても、説明責任を果たす上でとても必要なことであり、このことで政治的な中立性、バランスが多少なりとも図られるかと思われるものであります。しかし、制度上、それらをどのように位置付けるのかは大きな課題になろうかと思われます。このA案の新教育委員会なるものを組織強化していく上で、私どもの中に新事務局新設の意見があります。現行での事務局の現状は地方により大きな格差があり、中には、指導主事等専門職員の配置ができず、前年まで土木部や総務部にいた職員がいきなりいじめや不登校といった教育問題を担当する教育委員会があるといった実情を考えたとき、とても無理な話になろうかと思います。
 B案についてでありますが、合議体としての教育委員会を執行機関として残しているものの、新教育委員会なるのの権限や責任がどのように残るか不明であり、曖昧なものとなっております。もし、新教育委員会なるものが合議制を採り、教育の執行権を維持しつつ、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条や同法第26条の内容と大差ないとするなら、政治的中立性等は担保されることとなりますが、教育長を教育委員から外したとしても機能は変わらないことから、現状維持でよいということになろうかと思います。抜本的改革には程遠く、分かりづらいものであります。
 私どもの基本的な考え方としては、繰り返し申し上げますが、どのような制度になろうとも、政治的中立性等がしっかりと担保されることであります。その点において、国民から理解されるすばらしい改革案となりますようよろしくお願いいたします。いずれにせよ、どの案にするか、早急に方向性を一本化して具体的な審議に入ることになろうと思いますが、現行の教育委員会制度はすぐれた制度であります。先人の関係者の真摯な努力により、これまで改善を図りつつ、長く今日まで維持されてきていることに対する評価の上に立ち、今後とも、現状維持の案を含めて慎重な審議をお願いするものであります。
 最後に、私ども全国連は、全国の規模の異なる教育委員会を抱えていることから、大都市を中心にした議論にならないよう、よろしく御審議をお願いいたします。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。時間厳守、よろしくお願いいたします。

【小比類巻会長】  はい、すみません。

【小川分科会長】  それでは、続けて、中核市教育長会の木村会長、お願いいたします。

【木村会長】  おはようございます。中核市教育長会会長の木村と申します。中核市教育長会の会長として、教育委員会制度の在り方について、意見を述べさせていただきます。
 中核市教育長会におきましては、平成20年の1月に教育委員会制度の在り方についてプロジェクト会議を立ち上げ、調査研究を積極的に進めてまいりました。11回にわたる熱心な論議を経た後、平成25年1月には、これからの地域主権型地方教育行政における教育委員会制度の在り方について報告を取りまとめ、文部科学省関係各局に提出したところでございます。お手元の資料4についてでございますが、こちらが報告書の概要版となっております。中核市教育長会では、地域の実情に応じた主体的な教育行政を実現するために、従来取り組んできた教育委員の資質向上策と併せて、首長と教育委員会の関係や委員長と教育長の関係などの制度的改革について検討してまいました。
 資料の1枚目、上部中ほどにございます、(2)具体的な見直し方策について御覧ください。丸1、地方教育行政における役割と責任の明確化について、これらを実現するため、具体的に4点の見直し方策について挙げております。まず、第1点目でございますが、現行の行政委員会制度を堅持し、首長からの政治的中立性を保つとともに、合議制を維持することにより、中立性や継続性・安定性を担保することとしております。第2点目として、議会の同意と首長の直接任命により、これまでの教育委員長と教育長を一体化させた教育委員会を代表して責任を負う常勤の特別職である、仮称でございますが、「代表責任者」を置くことにより責任体制の明確化を図ることとしており、中央教育審議会の審議経過報告にございますB案とは若干趣旨が異なります。第3点目として、教育委員会の狭義の役割を教育行政の基本的な方針、政治的中立性に特に配慮すべき事項に関する決定、教育行政運営への監視とすることにより、教育委員会の主体性や自立性を十分に発揮できる行政運営を実現することとしております。第4点目としては、教育行政の基本的な方針等の決定時における首長と教育委員会との事前協議の義務化など、首長と教育委員会による連携協働体制を制度化することにより、教育委員会に対する首長のリーダーシップの在り方を明確化することとしております。
 教育委員会制度は、業務の多様性や専門性の高さ、社会のニーズの高まり等によって、制度の創設時から現在に至るまで様々な問題が指摘されております。もちろん随時制度改正がなされておりますが、中核市教育長会におきましては、様々な変化や改革が行われる中、地域住民の意思を適切に反映しながら、政治的中立性や安定性・継続性を確保した地域教育行政を執行するためには、どのような制度がふさわしいのかという課題認識を持って調査研究を5年間進めてまいりました。その結果といたしまして、現行の行政委員会制度を存続させながら、さらなる体制の充実を求めております。
 よって、今後の地方教育行政の在り方についての審議経過報告書にございます教育委員会制度の在り方について、新しい教育長及び教育委員会制度の方向性といたしましては、教育長を教育委員会の補助機関、教育委員会を性格を改めた執行機関とするB案を基本とした制度設計を支持し、首長からの政治的距離を保つとともに、合議制を維持することにより、中立性や継続性・安定性を担保することが望ましいと考えております。また、今回の制度改正には、基礎自治体である市町村への義務教育実施に関わる権限の移譲がされることでより効果があるのではないかと考えております。私たちの意見、要望を少しでも参考にしていただき、より良い答申が出されることを願っております。
 これをもちまして、中核市教育長会からの意見を終了いたします。ありがとうございました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に、公益社団法人日本体育協会の森副会長、お願いいたします。

【森副会長】  おはようございます。公益社団法人日本体育協会副会長の森正博と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 学校体育を除くスポーツに関する事務につきまして、考えを述べさせていただきます。
 お手元に資料5として、日本体育協会を中心としたスポーツ界の組織図を配付させていただきました。既に御承知かと思いますけれども、日本体育協会は、各種スポーツ団体を統括いたしまして、国民スポーツの推進、競技力の向上等、そして、生涯スポーツ社会の実現、さらには、スポーツ立国を目指している国内唯一の団体でございます。本日は、日本体育協会の中でも、加盟団体の中でも中核的な働きをしていただいております都道府県体育協会、スポーツ協会及びその加盟団体の現状、課題、そして、主管課との連携等につきまして少々述べさせていただきたいと思います。
 都道府県体育協会(スポーツ)協会は、加盟団体である地方の各種競技団体、学校体育団体、中学校体育連盟、高等学校体育連盟というのがございます。市町村体育協会と協力して、都道府県及び都道府県教育委員会の指導の下に各種事業、大会開催等を行って、スポーツの推進、さらには、競技力の向上に努めているところであります。中でも日本体育協会の主要行事であります国民体育大会には、天皇杯、皇后杯を争う都道府県対抗でありまして、各都道府県挙げて選手強化に取り組んでおります。このことが日本のスポーツレベルの維持向上につながっているものと確信をしております。
 次に、資料5の裏面を御覧いただきたいと存じますが、この資料は、都道府県体育協会連合会という組織があるのですが、そちらで調査した資料であります。スポーツ行政の主管課が知事部局か、教育委員会、教育部局にあるかを調査したものでございます。元来日本のスポーツが学校を中心に発展してきた長い歴史を考えますと、主管課が教育行政部局にあることは必然であったわけでございます。しかし、近年は体育とスポーツの概念、この分離が浸透してまいりまして、スポーツの役割も非常に広範囲となり、教育の範ちゅうに収まり切らない部分も出てきたのかなと思います。例えばスポーツ都市宣言、あるいはスポーツによるまちづくり条例の制定やスポーツ健康都市宣言など、スポーツの持っている力をフルに活用しようという傾向があります。そして、記憶に新しいところでは、東日本大震災の復興で示しましたスポーツの力が大いに発揮されまして、被災者の皆様方を勇気づけてくれました。これもスポーツの持つ力が広く認知された証拠であろうかと思います。スポーツ基本法にも示されておりますとおり、スポーツは、人類共通の文化であり、全ての国民が享受する権利であるとうたっている時代におきましては、もはや一部局だけでは対応し切れない部分も出てきたのかなと考えております。今後はこの辺、十分検討する必要があろうかと思います。
 そして、平成19年の地教行法の改正によりまして、学校体育を除くスポーツに関する事務、これが首長の権限下に置くことが可能になったわけです。そのようなことから、スポーツの主管課が現在徐々に知事部局に移り始めております。資料にありますように、現在では、47都道府県中15県が知事部局に移っております。そして、さらに、知事部局へ移管を検討中であるという県も複数県あるように伺っております。
 そこで、既に知事部局に移管した都道府県にそのメリットや課題等を伺ってみたところ、一つには、より広い視野を持ってスポーツ推進を図ることができると。それから、国民体育大会、国際大会等を誘致開催等、県全体で取り組まなければならないような一大イベントを開催する場合にも、関係部局との連携協力がやりやすくなった。また、施策の意思決定も早くなった等の意見も伺っております。また、予算の確保、執行等に関しましても、これは容易に想像がつくのではないかと思われます。
 また、一番大きな課題として考えますことは、長年続いてきました教育行政部局と教育現場との信頼関係、これが崩れないかということです。一時的にもスポーツ行政の停滞が起こりはしないかということを心配しております。といいますのは、先ほど申しましたように、元来日本のスポーツは、学校、あるいは企業を中心にして発展したものでございまして、地域スポーツ、現在でも同じですけれども、地域スポーツを支えておりますのは、地方の体育協会や各種競技団体でございます。そこの団体の役員、指導者は圧倒的に教育局の所管する学校の教員であるということでございます。これを抜きにしては日本のスポーツの発展は考えられません。中学校体育連盟や高等学校体育連盟の方々の協力というものが必要不可欠になってくるものでございます。
 また、施設の面を考えてみましても、最近は非常に立派な公共施設ができておりますけれども、数の上では圧倒的に学校施設が多いということでございます。この施設を活用しない限り、現在の地方スポーツの振興はあり得ないわけでございます。つまり、主管課を知事部局に移管した場合には、首長さんは、これらの教育行政部局、教育委員会の有する人材、施設を十分に活用しなければ、スポーツの推進はあり得ないわけでございますから、この辺の連携、協力体制が一番重要な部分になってくるのではないかと思っております。
 結果としては、体育協会、スポーツ界といたしまして、主管課がどちらに置かれるか、これは首長さんの考え方であろうと思いますし、首長さんと教育委員会との十分検討した上で決定されるものと思いますけれども、日本体育協会といたしましては、いずれに主管課があろうとも、スポーツの推進に努力していることは変わりはないわけでございます。
 最後に、2020年に東京オリンピック、パラリンピックが東京で開催されます。これを機会にスポーツ界としては、組織基盤の充実、そして、スポーツの普及や選手強化の整備、確立等の多くの有形・無形の財産を持つことが必要であると考えております。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、これから今の4団体からの意見発表を踏まえて、質疑応答に入らせていただきます。ただいまの意見発表に対して、御質問があれば、御自由に御発言いただければと思います。
 なお、質問に当たっては、どの団体に対する質問かを明らかにして御質問いただければと思います。よろしくお願いします。では、梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】  全国知事会にちょっとお伺いしたいんですけど、阿部知事さんが今、御説明いただきました。で、この資料2を見せていただいているんですが、ちょっと分かりにくいのは、教育委員会は、法的な権限を持った附属機関とする。これで、中身として法的な権限というのをどういうふうに考えておられるかということが一つ。
 もう一つは、教育長は、首長の指揮監督の下にあるという、こういうふうに書いておられるわけですけど、教育長と、そうすると、法的権限を持つ教育委員会との関係ですね。これは矛盾が生じるようなことは考えられないか。法的な権限と言ってしまうと、これは首長さんのいろんな考え方と若干違うようなことも、教育委員会が決定することができるというふうに、これは読めてしまうわけですね。その辺のことについてどういうふうにお考えかということをお伺いしたいと思います。

【小川分科会長】  では、よろしくお願いいたします。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  まず、私ども、基本的に権限と責任、明確にしていくということが大事だと思います。先ほど来のほかの団体の意見の中でも、運用ベースでやっていけるんだからいいんじゃないかという趣旨のお話がありますが、やはり日本は法治国家でありますから、法律上しっかり誰が責任を取るのか、誰が権限を持っているのかというのを明確にすることが必要だと思っております。そういう意味では、教育委員会について、私どもは、そこに書いてございます、監視機能であるとか、教育の基本方針、そうしたものについてきっちり法律上、位置付けをした上で、教育委員会がつかさどると。その他については、これは、基本的には首長、教育委員会の権限だということで、大枠、基本方針ですから大枠のところは、教育委員会が様々な御意見を出しながら議論していただく必要がありますけれども、最終的に責任を持つのは首長と。監視機能も、これはちょっとおかしいんじゃないかという御意見はどんどん出してもらう必要がありますけど、やっぱり最終的には首長が責任を持つということで考えておりますので、そういう観点で教育長と教育委員会との矛盾が生じるというようなレベルの話ではないのかなと。むしろ、そういう矛盾が生じたときにも、これは首長が責任を持って対処していくということが必要でありますし、十分可能だと思っているところでございます。
 以上です。

【小川分科会長】  いかがでしょうか。じゃあ、一言だけ。梶田委員。

【梶田委員】  一言だけ。今、大阪市長の橋下さんが知事のときに、教育の基本方針は首長さんなんだと。で、細かいことは教育委員会だと、こういうこと。基本方針ということを非常に強調しておられたわけですが、ここでのお考えは、そうではなくて、基本方針は教育委員会、こういうふうなお考えでしょうか。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  これは制度設計の仕方によると思いますけれども、私ども、この問題、先ほど最初に申し上げましたように、いろんな課題が出ているときに責任を持って迅速にどうすれば対応できるか。これは子供たちを中心に考えたときには、そうしたものが首長が担うべきだという発想でありまして、一般的にどういう方針に基づいてやっていきましょうかという議論は、これは様々な代表者から成る教育委員会の皆さんが議論を重ねた上で、そうした方向付けをして、それを踏まえて我々、責任を持って行っていくということが必要だろうと思っています。そういう意味で、ここの監視機能や教育の基本方針などについて、法的な権限を持つ附属機関ということで、私どもは、いろんな附属機関ありますけれども、教育委員会が出してきた方向性は踏まえながら、首長が責任を持って、最後、権限と責任を一致させる中で進めていくということが極めて重要だと考えております。

【梶田委員】  ありがとうございました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。早川委員、どうぞ。

【早川委員】  ありがとうございます。全国知事会の阿部知事さんに続けてお伺いしたいと思います。今の発言に関連すると思いますけれども、指揮監督権を、知事、首長さんがお持ちになるとなると、当然その教育長、教育委員会に対して職務命令を掛けることができるということになると思います。職務命令というのは、明らかに非違行為がある場合以外は、従わなければいけないということになっていると思いますが、そうした場合、職務命令を教育委員会、教育長が拒否する場合があってもいいのかどうか。それは恐らく中立性に関することになると思いますが、職務命令を拒否するということをお認めになるのかどうかということと、もしお認めになるとするならば、A案で制度的にどこでそれが担保されているというふうにお考えなのか、新たな制度が要るのか、その辺ちょっとお伺いできればと思います。

【小川分科会長】  引き続き、阿部知事、お願いします。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  今のA案の基本的な考え方次第だと思いますけれども、通常の感覚であれば、指揮監督権を持てば、それを拒否するということはあり得ない前提だろうと思います。ただ、教育行政のある程度独立性を担保するということであれば、そこは開かれた形で、首長はこう言っているけれども、いや、私としてはそうではないということを、やることを担保することもあり得なくはないだろうと思います。ただ、私とすれば、最終的に誰が責任を持って住民を説得するのか、あるいは議会を説得するのかということを考えれば、これはやはり通常教育長じゃなくて、最後は首長が前面に出てやらざるを得ないわけでありますので、そういう意味で、政治的な責任、あるいは法的な責任、首長が取る前提で、首長の方向性については、これは従っていただくというのがあくまでも基本だろうと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかの団体含めて、森委員、お願いします。

【森委員】  遅れてきて、大変申し訳ございません。
 今の議論で知事さんと小比類巻さんと木村さんにお伺いいたしますが、業務命令の拒否権とか、そういうことを言う前に、私は、今の制度でも政治的中立性とか、極端な首長が出たときに阻止できないのが問題じゃないのかと、私はそういう意見を持っております。現実にそうなっております。で、大事なことは、公開の原則だというのが私の持論でございまして、具体的な事例を言うとちょっと差し障りがあるから余り言えないんだけれども、具体的なケースはいろいろ想像していただければいいんだけれども、そのときに事実上、教育委員会は今、首長に対して勧告したり、政策提案することは事実上できませんよね。
 で、A案には勧告ということは書いてありますね。あれは非常に大きな権限だと思っております。教育委員会が、補助機関という名前ですけれども、非常に権威が高くなるものだと思っています。で、例えばA案の教育委員会が提言なり、勧告したときにそれをオープンにすると。首長はその答えをしたときに、文書で答えてオープンにするというようなことは考えられないかと私は思っていますけれども、御意見を伺いたいと思います。

【小川分科会長】  では、知事からお願いします。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  今、御指摘いただいた公開制というのは、私は非常に大事な視点だと思います。どうもこの教育委員会制度の議論がいろいろ、様々出るのは、ただ、私ども首長が実際に教育行政をつかさどる中で、実際の運用をどうされているかって非常によく分かっているんで、やはり権限と責任、あるいは形式的な建前と本当の動き方というのはもっと一致させなきゃいけないんじゃないかというふうな感覚から出てきたんだと思います。正に今、森委員がおっしゃっていただいたように、例えば今でも自治体の首長の権限、非常に大きいです、よくも悪くもですね。そういう意味で、人事権を持っている首長に対して、常勤の教育長が本当に独立性、政治的中立性、完全に徹頭徹尾やることができるのかというふうに考えたときには、そこはある意味でうまい人間関係のやりとりの中で、首長の意向を忖度(そんたく)するみたいな形は普通行われがちだと私は思います。むしろ、それよりも、責任の所在、権限の所在を明確する中で教育委員会は教育委員会として、先ほど申し上げたが、監視機能みたいな形を明確に位置付けることの方が、首長と教育委員会の相互関係というのはより私は明確になってくると思います。公開制が大事だという観点は、私も全く同じ意見でございます。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、続けて、小比類巻会長、お願いいたします。

【小比類巻会長】  現行においても、市長の指示等が阻止できない状況があるのは、事実かと思います。ただし、学校現場とか、児童生徒に影響ないものであったり、また、良いものであれば、これはどんどん進めるべきであって、ましてや、法的にもし触れるようなことであれば、当然教育委員会、今の制度でコントロールできている状況がありますので、問題はないのかなという気はいたします。いずれにいたしましても、公開の原則だとか、オープンにしていくということは、これはあるべき姿だと思います。まして、このA案における、いわゆる教育委員会がどういう位置付けになるかということに関しては、先ほどお話があったように、権威が高くなるような状況での委員会制度を確立していくことがとても重要なことであろうかと思います。それは全然問題ありません。
 以上です。

【小川分科会長】  では、最後、木村会長、お願いいたします。

【木村会長】  言い尽くされていますけど、やはり積極的な情報の公開、これがこれから教育委員会の体質改善にもつながる大きな御提言だと思います。あとは、教育というのは、国家の百年の計であり、子供たちの人格形成を育む息の長い営みでありますので、そういう特定の価値観の押し付けがあってはならず、是非首長からの独立した行政機関である。しかし、反省を生かして積極的な情報公開、危機管理意識をどのように持っていくか、これから十分閉鎖性の打破については考えていく必要があると思います。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。辻委員。

【辻委員】  全国市町村教育委員会連合会さんにお尋ねしたいのですが、今回、御意見をお伺いしていますと、A案というよりも、B案というよりも、現行の教育委員会制度、こちらで運用上の工夫をすれば、そっちの方がいいんだと主張しているように理解しましたけど、そうなんですかというのが1点です。
 それから、2点目です。これに関連して、そうした場合に、今、制度改革を求められており、特に権限と責任の一致をもっと図らなければならないのではないか。機能によっては、教育委員会の機能も一部更に強化しなければならないのではないかという見解については、どのようにお考えでしょうか。

【小比類巻会長】  現状維持ということは、私どもの基本的な考え方としては、A案、B案であろうとも、何案であろうとも、政治的中立性が担保されていることが大事だと、それが原則であるということなんです。なぜかというと、文化芸術、いろんな、我々、教育問題もそうですけども、なかなか外圧に弱いところもありますし、それを守っていく制度というのはきちっと大事であります。特に公教育においてはそうだと思います。そういう意味で、現状維持というところ、なぜかというと、A案、B案に、今の出されている中では、それらが担保されるのかというか、大変明確にまだなってない。審議、途中なものですから、それがどういう形で明確になるかということが確認できれば、我々はどちらでもいいだろうということの話になります。
 それで、例えば教育委員会の機能ですね。これをきちっとするということは、特にA案のことに関してだろうと思いますけれども、そういう意味で、中立を保つためには、今、合議体の執行権というのはありませんけれども、新教育委員会なるものが安定性と、それから、上にある政治的中立が保たれるような、公安委員会までいかないですけど、何かきちっとした継続できるような制度を市長側の方で担保していただけるような制度であれば何の問題ないというようなことの考え方であります。

【小川分科会長】  辻委員、よろしいですか。

【辻委員】  はい。

【小川分科会長】  ほかにいかがでしょう。あと5分ほどありますけど、では、白石委員、どうぞ。

【白石委員】  全国市町村教育委員会連合会と、それから、中核市教育長会のお話を聞いておりまして、ちょっとお尋ねをしたいのは、教育委員の任命について何か御意見があるかということ。現状では、首長が議会の同意を得て教育委員を任命しているわけですね。そして、教育長は教育委員の互選で選んでいるわけですけれども、教育委員の選任の方法については何かお考えがあるんですか。

【小川分科会長】  小比類巻会長から。

【小比類巻会長】  選任の仕方としては、現状の選任の仕方でよろしいのかなと思います。ただ、独任制という形になるような状況になった場合、制度になった場合、これはね、議会を通してだけでは、住民の意思をそのまま尊重されたということには捉えられないと思いますので、もしかしたら、選任の仕方が選挙だったり、市長と同じような形で選ばれるという仕組みもあるのかなという感じがします。ただ、現状の中での一部の法改正でいくのであれば、今の選び方でいいのかなという思いはあります。

【小川分科会長】  木村会長、いかがでしょうか。

【木村会長】  選任については、直接首長が選任し、また、罷免の権限の拡大等についても、今後、制度設計の中で検討していく必要がある。
 以上です。

【小川分科会長】  白石委員、よろしいですか。

【白石委員】  今、首長に任命権を与えたらどうかという議論をしているんですけれども、首長が任命権、あるいは罷免権を持つという意味で政治的中立性のことを懸念されているのか、そうではなく、例えばA案の場合、どうして政治的中立性のことが気になるのか、その辺の御意見はいかがですか。

【小川分科会長】  小比類巻会長。

【小比類巻会長】  先ほどお話ししたように、教育というものは、独任制といいますか、個人的な心情やら、あるいは党派的なものでは、これは動かしていけないものだと思いますね。そういう意味で、そういう中立性等担保される、文化も芸術も同じようなものでありますが、そういったところでの中立性は担保されなきゃいけないという考え方の下にこういう話をしているところであります。

【小川分科会長】  木村会長、いかがですか。

【木村会長】  やはり任命に対して議会の同意、これを条件に付けておりますし、あと、選任につきましては、もう少し詳細な制度設計の中で具体的に是非、レイマンによるコントロールというのはやはり非常に大事な部分だと思いますので、その辺も含めながら検討していただければと思います。
 以上でございます。

【小川分科会長】  白石委員、よろしいですね。はい。ほかに、あと一、二。では、今田委員。

【今田委員】  阿部知事にちょっと御質問させていただきます。今回、権限と責任ということで、最終的な責任者は選挙で選ばれた首長と。責任というような意味でいくと、素朴にそうだろうなと思うんですが、教育というもの、教育の深みというか、ある意味での哲学の面、そういう面でいくと、それも含めて最終的な責任というものが首長で本当に、正直なところ、いいんだろうか。もう少しそこに対する丁寧さみたいなものが、謙虚さみたいなものが求められるというのが教育のある意味での難しさじゃないのかな。そういう意味で、そこに、限られた文書の中ですからこういうことになるかな。その辺の知事さんの教育に対するお考えみたいなものをお話しいただければと思いますけど。

【小川分科会長】  では、よろしくお願いします。

【阿部文教・環境委員会副委員長】  私どもは責任と権限の一致ということを申し上げていますけれども、首長がオールマイティーだといううぬぼれたことを申しているわけではありません。いろんな行政を行うに当たって、やはり知識経験、豊富な皆さんの御意見を聞きながら、我々、行政を進めてきているわけでありまして、今回の教育につきましても、そういう意味で、先ほどから申し上げておりますように、教育委員会を全部なくしてしまうということではなくて、監視機能とか、教育の基本方針とか、正に今田委員がおっしゃるように、哲学的なところはやっぱりこういう教育を、例えば長野県であれば、長野県の子供にこういう方向で教育すべきじゃないかということは十分御議論いただいた上で、しかし、それを進めていく上に当たっては、我々首長が責任を持って進めていくということが大変重要だと思っております。
 政治的中立性の御議論もあるわけでありますけれども、ほとんど教育の議論、学校の統廃合をどうしようかとか、30人規模学級、どこまで進めるか、非常に教育の中立性とは違うところが実際の議論のウェートとしては高いわけであります。例えば学習の内容等は国の学習指導要領を踏まえていっているわけでありますし、そこの微妙なところについては、例えば附属機関としての教育委員会が、やっぱりここの方向性はこうすべきじゃないかということを公開の場でしっかり御議論いただければ、十分私は担保できると考えております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。意見発表いただきました団体の皆様、本当にありがとうございました。
 ここで、次の意見発表の団体ヒアリングのメンバーと交代しますので、しばらくお時間頂ければと思います。

(団体入替え)

【小川分科会長】  それでは、ヒアリングを再開いたします。
 進め方としては、四つの団体から続けて意見を発表していただいた後に、まとめて意見発表の内容に対する質疑応答の時間といたします。発表時間は、1団体当たり8分以内ということで、時間厳守をよろしくお願いいたします。残り1分で事務局からメモを入れさせていただきます。また、時間を過ぎた時点で私から声を掛けて止めさせていただきますので、その点は御了解いただければと思います。
 では、早速、団体ヒアリングに入っていきたいと思います。
 最初に、全国市長会の大西高松市長と越大津市長、よろしくお願いいたします。

【大西社会文教委員長】  おはようございます。全国市長会の社会文教委員長をしております高松市長の大西秀人でございます。本日は、全国市長会のこれまでの取組と主張につきまして、資料6-1でございますが、私から発言をさせていただきまして、その後、越大津市長から発言させていただきます。よろしくお願いしたいと思います。
 まず、教育委員会の問題につきまして、全国市長会では、平成15年に提言をまとめております。教育委員会の設置につきまして、市町村が自主的に選択できる弾力的な制度とする必要がある旨、提言しているところでございます。その後も、資料にありますように、平成17年、19年に提案をまとめまして、19年の提案では、教育委員会の問題点として、合議制であるため、迅速な対応が難しいということ。それから、複数の委員による執行体制であるため、責任体制が極めて不明確であることを指摘したしております。以降、全国市長会は、国に対しまして、継続して教育委員会の設置の選択制を提言してきておるところでございます。
 一方、裏を見ていただきまして、国の第28次の地方制度調査会におきましても、17年答申で、政治的中立性の確保や民意の反映等は審議会の活用等で確保可能であること、民意の反映等は首長がより適切であること、教育委員会の設置について選択制とすることが適当であることなどが提言されておるところでございます。また、本年4月の教育再生実行会議の第2次答申に対しましても、そこの資料にありますように、地方六団体として意見を出しております。そもそも現行法体系におきましても、地教行法をはじめとする教育関連法におきまして、教育に関する事務は、教育委員会と首長が分担して担うということになっております。全てが教育委員会が今行っているという認識は誤りですし、しかも、教育基本法では、教育振興基本計画、これを策定することになっていますが、これは飽くまで地方公共団体が策定をするということでございます。地方公共団体といいますと、トップは首長でございまして、現実問題として、教育に関しても予算権限は首長にあり、首長と教育長、それから、教育委員会が相互協力をしながら教育行政を行っていくということが必要であります。これが我々が現場で実感をしている考え方ということでございます。
 以上でございます。

【越市長】  大津市長の越でございます。私は、大津市のいじめの事件を契機にいたしまして、教育委員会という制度が責任と権限の所在が一致しない制度である。そこで、こういった制度は廃止すべきだという考えに至りました。この点を少し説明させていただければと思います。
 私自身は、結論から申し上げますと、教育委員会制度は廃止すべきだと思っておりますけれども、いろんな地方の実情があることから、市長会で主張しているような選択制というのは、一つの良い結論ではないかと思っております。また、現在、議論されているA案、B案につきましては、どちらがいいかと言われればA案がいい。ただ、A案でもまだ問題がある。さらに、B案というのは非常に問題がある危険な制度改正であると思っております。
 お手元にお配りしております資料6-3において見解をまとめておりますけれども、1ページ目の責任と権限の所在が分散しているという点で三つ、いじめの事件を通じて責任と権限の所在が分散していると感じたことがございました。その中で一つ目は、教育委員会の中で教育長と教育委員長がいるということ、二つ目は、県と市の教育委員会でも責任が分かれているということ、こちらは、中核市市長会の方でもお話しされると思いますので、ここでは割愛させていただきまして、一番問題なのは、大津市の中で大津市教育委員会と市長の権限が分かれているということであります。
 これがいじめの件のときにどのように作用したかということを説明いたしますと、いじめの件というのは、予算に関わることではないので、いじめでお子さんが亡くなられるということがあるまでは、市長部局には報告がされていませんでした。私自身はそのとき市長でなかったものですけれども、前の市長のところにも報告がされていなかったのではないかと思います。そういった中で、いじめの事件があって、そして、その後、私が市長になった後に訴訟が提起されるということがございました。そして、訴訟が提起されたときには、いじめの問題というのは今まで教育委員会がずっと取り扱ってきたところですけれども、今の制度上は市長が市を代表して訴えられるということになります。そこで、私の方で訴訟を行っていたわけですけれども、そういった中でも、教育委員会からは、どういった事実があったのかという十分な情報提供がなされていませんでした。これについては大津市教育委員会の問題もありますけれども、結局のところ、いじめの問題を担任するのは教育委員会であって、一方で、訴訟を担任するのは市長である。最終的に責任を負うのは市長であるという、責任と権限の所在が分散しているという制度上の問題が非常に大きかったと思っております。
 こういった議論をするときに、教育委員会制度は、政治的中立性が必要だと言われますけれども、私自身は、地方の教育現場を見ていると、そういった政治的中立性というのはフィクションであって、むしろ市民の意見を反映すべきものだと考えています。例えば地方教育現場で問題になること、学校選択制はいいか、また、中学校の給食を実施するべきかどうかということについて、実際、教育委員さん一人一人も御自分の意見を持っていらっしゃいます。また、そういった問題については、地方の教育現場においては、市民、住民の皆さんが学校選択制をどうしたいかということをむしろ積極的に教育の現場に反映していくべきだ。その方法としては、選挙でそれを主張して、選挙で選ばれた首長が反映していくのが一番いい制度だと思っています。
 これを国との比較において申し上げますと、国においては、文部科学大臣、政治家が国の教育を決めている。一方で、地方においてだけ、なぜ政治的中立性ということが言われて、なぜ市民の意見が教育行政に反映されないのかというところを非常に疑問に思っております。もしも教育が中立性を要求されるとすれば、それは教育の教える内容であって、それはむしろ国の指導要領で決まっていますので、地方においては、市民の意見をもっともっと反映すべきだと思っています。
 ですので、A案については、日常的に首長が教育長を指揮監督できないということは、いじめの問題についても指揮監督できないということになりますので、その点は修正すべきだと思っています。また、B案につきましては、大津市の第三者調査委員会報告書において、教育委員会事務局が独走していたということが問題とされていますので、B案というのは、そういった独走を制度上も認める危険なものだと思っております。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続けて、指定都市市長会の奥山仙台市長、よろしくお願いいたします。

【奥山市長】  仙台から参りました奥山でございます。今日発言の前段といたしまして、一言だけちょっと話をさせていただきます。
 まず、指定都市市長会でございますけれども、ただいま会長の選挙期間中でありまして、政令指定都市としての意見集約という作業が困難でありましたので、私、事務局にお願いをいたしまして、簡単な意向の確認調査はさせていただいておるものですが、本日の発言はあくまでも、かつて教育長を経験し、また、現在市長職にございます仙台市長としての私の考えであるという旨を御了解いただければ幸いでございます。
 では、政令指定都市20市の中、現行の教育委員会制度の変更をする必要があるや否やという、この問いに関してですが、今回事務局を通して確認させていただきました簡易な状況調査によりますと、約半数の市は必要があると答えているということでございます。明確に変更する必要がないというお答えの市は極めて少数でございます。しかしながら、制度を変更する必要はないけれども、運用の改善に努める必要があるというようなお考えの市もございまして、そういう意味では、教育委員会制度における問題点の認識というのは、政令指定都市の中に、その幅はありますけれども、現存しているという考え方で捉えていただいてよろしいかと思います。
 しかしながら、今回提案としてございますA案、B案に対するそれぞれのお考えということになりますと、これはA案を採用すべきというところもございますが、必ずしも過半数を得るには至っていない。また、一方で、B案を採用すべき、どちらかというとB案だという案もございますが、この両者はそれぞれ、私が見ます限りでは、ほぼ半数ずつの拮抗(きっこう)している状況ということで、そういう意味では、A案、B案、それぞれ現行に提示されているままでは課題が残るというのが各市長さん方のお考えの背景にあると思います。A案、B案、どちらも現時点では非であるというお考えも2割程度あると受け止めております。
 そういうような全般的な状況の下で、政令指定都市でこのように、一方では、現行制度の問題点や課題も十分認識しながらも、トータルとして見た場合に肯定的な御意見も半数程度あるということの背景を考えてみますと、まず、政令指定都市の教育委員会が持っております事情が他の基礎自治体とは違うということ、ここを認識していただく必要があろうかと思います。まず、私どもの教育委員会は、教員の人事権を持ち、各学校の校長はもちろん、各職員の人事異動も仙台市教育委員会として行っているわけでございます。また、事務局体制も充実に努めておりまして、各部局が整備されていることに加えまして、長年にわたって指導主事等直接の学校運営に携われる能力を持った教職員の育成に努めてきたといったようなこともあろうかと思います。したがいまして、これら人事権、若しくは十分な指導主事等の充実を図ることが困難なそれぞれの基礎自治体の教育委員会とは異なる状況にあるということを御理解いただきまして、やはり教育委員会制度の運用は、都道府県、政令市、また、中核市、特例市、町村等、各自治体の権限と財政力によって大きく異なるところでありますので、その違いを一概に捨象してAかBという議論のみが進むということには、私は大きく危惧の念を持つものでございます。
 そういう中で、基本的に、それでは教育行政の最終的な責任の所在ということを考えるとどうなのかという点ですが、現行の制度は、この点についてはいささかならず不明瞭であると思っております。予算の措置権は、現時点におきまして市長にございます。そしてまた、教育行政の実務的な面での切り盛り役であります教育長を選任して議会に提案しているのも市長でございます。そういったことを考えますと、やはり最終的な責任者としては、市長が責任を持つべきと考えるのが適切ではないかと私自身は考えております。しかしながら、一方で、A案に対する御懸念も非常に広く、多いところでございまして、そのことにつきましては、A案、B案どちらの賛意を表された政令市の市長さんにおかれましても、必ず注記書きとして、教育の政治的中立性や安定性、継続性を担保することが改革の大前提であるという御意見が付随されていることについても、申し述べさせていただきたいと思います。
 その点を考えますと、私は、A案においては大きく今後2点について議論を深めていただく必要があると考えます。1点は、これまでにも御議論があったところでありますが、教育委員会が単なる附属機関であるように、資料からは私は読み取ったのでありますが、教育行政上の重要な課題について、自らの発議によって、答申や提言、場合によっては勧告も行うことができるという、そうした、言わば監査委員会や人事委員会のような独立した権能を持つものとして位置付けられる必要があるのではないかと考えております。
 また、2点目につきましては、今回の試案におきましても、市長は日常的な指示は行わない旨を補足していらっしゃるわけですが、更に私は、首長の教育長への指揮監督については、具体的に対象を限定すべきではないかとも考えております。例えば学習内容に関することや個々の学校運営に関すること、また、教員人事はこれを除くことが適切ではないかと考えます。いずれにいたしましても、私ども政令指定都市におきましても、多くの首長は、教育長は自らが議会に諮った人事案件でありまして、そうした相互の信頼の下に情報を共有しながら、この大変課題の多い教育行政の推進に力を尽くしているわけでございまして、この状況が更に前へ進むための改革となるように期待をして、私の発言を終わらせていただきます。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、続けて、全国都市教育長協議会の石踊会長、お願いいたします。

【石踊会長】  こんにちは。鹿児島市教育長で、全国都市教育長協議会の会長を務めております石踊と申します。
 全国都市教育長協議会は、全国799の市と東京都の特別区が加盟する団体でございます。今回のヒアリングに当たりまして、理事と関係市から意見を集約しますとともに、先週の7日に行われました常任理事会、理事会等で各市教育長の意見を聴取して、本会に臨んでおりますが、なかなか統一した見解をまとめてというわけにはまいりませんでした。それでは、資料7に沿いまして、意見を述べさせていただきます。
 まず、現行制度の現状と課題、それに対する全般的な意見ということで、資料の1ページ目、項目1、2、3をまとめて、審議経過報告の中で指摘されていることと関連させて述べてみたいと思います。
 まず、1点目といたしまして、教育委員会の審議等の形骸化といったことが指摘されておりました。教育委員会の審議内容には、議決、承認項目等もございますが、多くの市においての教育委員会審議では、正規の教育委員会会議と、教育懇談会等の名称を付した自由かっ達な議論の場の二つの場がございます。教育委員が制度の趣旨と責務を認識し、性格の異なる二つの会議の場において活発な議論の下に適切な方針決定がなされております。また、審議の中では、教育委員会事務局の事務執行につきましても意見を述べるなど、多様な立場からの視点を反映するという、教育委員会の趣旨に添った審議がなされていると捉えております。あわせて、人選や任期等についても適切な運用がなされ、多数の教育委員会では、これまで50年以上にわたり継続してきた教育委員会制度は順調に機能していると捉えておるところでございます。今回、学校で発生した重大事案において、一部の市などの教育委員会の対応が不適切であったこと、迅速な対応がとれなかったことのみをもって教育委員会制度全体の疲弊を論じるのは拙速な面があるのではないかという意見も多くございました。
 2点目といたしまして、教育委員会委員長と教育長との間での責任の所在の不明確さという点が指摘されております。これにつきましては、現行制度の課題にも記載しておりますように、住民にとっては制度上、理解しづらい点であったことは、私どもも認識しているところでございます。
 3点目といたしまして、危機管理能力の不足が指摘されております。これにつきましては、今日的教育課題は、市、行政全体で解決すべきことが山積していることから、どの市においても、首長部局との日常的な業務連絡、首長への報告など、意思疎通はうまくとれている状況であります。このような関係を下に重大事案の発生に当たっては、教育委員会事務局が責任を持って対応することはもとより、首長部局と適宜連携を図りながら解決に臨んでおり、危機管理についても、現行制度の中で十分対応できていると考えております。
 このような現状を受けまして、今回教育制度分科会から提案されている案について意見を述べてまいります。
 まず、本協議会においても、A案、B案を中心に意見交換を行いましたが、多様な意見があり、いずれかの案に収束されるものではございませんでした。そこで、それぞれの案について出された意見について申し上げます。
 A案については、審議経過報告にも出されているとおり、教育長が首長が補助機関となると、必然的に首長の考えに追従せざるを得ず、様々な面で政治的な影響を強く受けることになり、教育の政治的中立性の確保が懸念されるという意見が多く出されました。また、首長の交代による方針の変更が、これまでの教育行政の継続性・安定性を揺るがせるのではないかという意見も聞かれました。
 B案につきましては、政治的中立性・継続性・安定性の点からA案に比べ、より望ましい意見がございました。その中でB案は現行制度との違いが分かりにくいという指摘もあるが、課題とされている教育委員会の形骸化については、審議内容を公表する方法を工夫することで、責任の所在の不明確さについては、教育行政の責任者が教育長であることを周知することで補完できるという意見が出されました。
 また、A案、B案共通した意見として、教育長を教育行政の責任者とする制度については、現行制度の責任の所在の不明確さを払拭する点で同意できるという意見が多かったところでございます。ただし、首長の教育行政への意向を反映するために教育長の任期を短縮するとされている点につきましては、一定の方針のもとで長期的な取組等を推進するために、教育長においても現在と同様の任期を保障することが望ましいとの意見が多数でございました。
 締めくくりといたしましては、今回の制度改革においては、現行制度の下、戦後一貫して政治的中立性、継続性、安定性が確保されてきたことを十分考慮し、これらのことが引き続き担保されるよう、大局的かつ長期的な視点に立って各方面から慎重な審議を行い、しっかりとした制度設計を要望し、全国都市教育長協議会の意見とさせていただきます。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。それでは、最後に、全国コミュニティ・スクール連絡協議会の中野関東甲信越支部長、よろしくお願いいたします。

【中野支部長】  ただいま御紹介いただきました全国コミュニティ・スクール連絡協議会の上越市の教育長中野敏明でございます。私は、もっと現場的な発想の中で、今回の2次提言では3番目の柱になります学校と教育行政、保護者、地域住民との関係の在り方について、それにつきまして、今後はコミュニティ・スクール、学校運営協議会を基盤とした学校、家庭、地域の三者の協働体制の在り方、これをより推進していただくという方向で申し上げたいと思っています。
 私の上越市の状況を申し上げて報告にしたいと思います。
 上越市は9年前合併をいたしました。全国でも一番多い14の自治体が一つになりました。合併前の町村の教育の特色を生かしつつ、新しい上越市としての一体感、統一感のある教育の推進のために、平成19年から28年まで10年間を見通した上越市の教育総合プランを策定いたしました。目標は「人をつくる、地域をつくる、未来をつくる」という基本的な目標の下に、重点施策として、開かれた学校教育の推進、家庭の教育力の向上のための支援、地域の教育力の向上のための支援、これを掲げまして、そのための有力な制度である学校運営協議会制度、すなわち、コミュニティ・スクールを基盤として、学校・家庭・地域、全体の教育の環境の質的な向上を図って、その結果として、夢や志をもってたくましく生きぬく人が自然に育っていく地域教育環境づくりを目指しております。持続可能な地域づくり、そして、市の未来づくりにつなげたいと考えております。
 今、資料の1枚目の最初の方を申し上げました。
 21年の5月に地域における教育の中心となる自治組織として、22の中学校区ごとに地域青少年育成会議を立ち上げました。全体をまとめる協議会も組織をいたしました。狙いは、郷土を愛する次代を担う子供の育成、自治意識あふれる人材の養成、市民が生き生きと活動するまちづくりでございます。関わる団体、メンバーは、子供を取り巻くあらゆる団体、メンバー、町内会であったり、まちづくり振興会であったり、子供会であったり、公民館であったり、学校や保育園、PTAでございます。発足して3年を経たころから、地域から祭りや運動会など、地域行事に参加する小中学生が増えてきて、中学生が地域に戻ってきた、地域が元気になったという喜びの声が聞かれました。子供たちも大人とともに準備から参画して、共に汗を流して成功の感動や達成感を味わい、自己肯定感を高めるという成果も生まれたし、地域への愛着も深まっております。
 一方で、学校がもっと積極的になってくれたらという課題のある地域も出てまいりました。今こそ、コミュニティ・スクールの導入のときだと考えまして、それを加速させるために教育委員会として決断をさせていただきました。23年度は準備の年、市長への理解をお願いしたり、先進地視察をしたり、準備委員会での検討、市民、校長会、教頭会、関係者に説明をさせていただきまして、議会の承認を得て24年の昨年4月1日、全ての学校をコミュニティ・スクールに指定をさせていただきました。
 2枚目になりますが、したがって、学校運営協議会につきましては、全市一斉に立ち上げることは当たり前のことでございます。そして、学校運営の基本方針を熟議し承認をしてもらい、学校運営全般に意見を述べて、そして、学校の運営状況を評価するという役割を果たしてもらいました。構成、協議会の委員のメンバーは、公募に応じた市民の皆様をはじめとして、校長が推薦をする15名以内ということになります。この中に当然のことながら、地域青少年育成会議の代表もそこに入っていただく。また、同じ中学校区の他の学校運営協議会の委員をお互いに兼務するというようなことをお願いいたしました。したがって、学校運営協議会と地域青少年育成会議は正に車の両輪のようにして進めていくと。23年度までは学校評議委員会がございまして、学校関係者評価をやっていただきました。意見を述べ、お互いに理解し合って進んでまいりましたが、新たに24年度からは、意見を述べ、承認と評価をして、さらに、参画をしていただき、一定の責任と自覚を持っていただきながら進める。そして、地域青少年育成会議がそれを受けて具体的に実践をする団体というふうに変わってまいりました。その結果の成果を申し上げたいと思います。
 3枚目になりますが、進む協働・深まる絆(きずな)ということでございますが、つい25年度の全国学力・学習状況調査の中から見ますと、上越市の場合、88.4%、中学校でも53.5%というふうに、地域の行事に参加をしているという状況でございます。右側に写真がありますが、上の学校は、これは生徒会の会長が役員選挙に立候補して、地域貢献を一つの公約にいたしました。それで当選して、このように地域とともに、上越市の宝であります春日山の清掃活動、維持活動に取り組んでいるということで、地域の人と人のきずなが深まっていると。その下は、今年文部科学大臣表彰を頂きましたが、中郷区という、小学校1校、中学校1校の地域でございますけれども、ここの学校が、学校のカリキュラムの中に総合と特活、このカリキュラムの中に中郷区を知る取組、中郷区に学ぶ取組、そして、貢献するということで、地域に参画をする、そういう取組がなされ、そして、卒業した高校生もまたその取組に自分たちで率先して入ってくる。人のために何かやることの自分の喜び、こういったものが生まれてきております。
 その下に成果がありますけれども、これは、この間の文部科学省委託研究報告書にあるものでございます。まず、どのように学校が変わってきているかというと、学校関係者評価が実効性を持つ。そして、建設的な意見が多く出るようになる。そして、教職員の意識がそろってお互いの学びや主体的な研修が広まる。それから、カリキュラムの改善にも積極的に関わっていただくと、そういう状況が生まれつつあります。
 次の最後のページでありますが、コミュニティ・スクールと一般校の対比を載せておきました。それから、私は、小中一貫教育の推進とか、ユニバーサルデザイン教育の推進とか、夢、志チャレンジ事業とか、新しい取組をどんどん進めるに当たっても、コミュニティ・スクールを基盤して物事が進んでいくと思っているところでございます。
 最後に、お願いがございますが、まず、教育委員の人選につきましては、コミュニティ・スクールの委員の中から代表される者が必ず選任されるような、そういう方向を私は希望いたします。

【小川分科会長】  はい。時間になりましたので、お許しいただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 これから20分ほど、質疑応答に入らせていただきます。ただいまの4団体からの意見発表に対して質問があれば、御自由に発言いただければと思います。なお、質問に際しては、どの団体に対する質問かを明らかにして御質問いただければと思います。では、どなたからでも。ちょっと待ってください。村上委員、二見委員、早川委員、そして、露木委員という順でお願いします。それから、梶田委員、帯野委員ですね。

【村上委員】  ありがとうございました。全国市長会の越大津市長に質問させていただきます。
 今回の制度改革は、首長が教育長を直接任命するというのがA案、B案ともポイントになっていて、ちょっとそれについてお伺いしたいんですけれども、大津のいじめ自殺の事件が起こったのが平成23年1月で、越市長が就任されたのが24年1月なのですが、その翌月に事件当時の教育長さんから進退伺が出ていて、議事録をちょっと拝見したんですが、結局2月の20日の市議会で、越市長がこの方を教育委員として再任されて、教育長として事実上任命されたということだと思います。そうすると、議会の答弁にもあったかと思うんですが、そのいじめ自殺の事件があったのを御存じの上で教育長を再任されたということなので、その任命責任という点で、市長御自身にも任命責任というのが生じるのではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか。

【小川分科会長】  よろしくお願いします。

【越市長】  すみません。ちょっと訂正させていただくと、事件があったのが平成23年10月で、その後、私が市長になる前に教育長が既に辞められていました。そして、私が従前の方を教育長として選任したというのはそのとおりであります。ですので、私自身は、そういったいじめの事件、市長になった後も報告が全然なかったので、そういうことについて自分自身が十分な判断材料なく、前の教育長を選んだということについては責任があると、結果責任ですので、責任があると思っています。
 一方で、それを知った時点で、やはり今の制度で罷免するというのは非常に限られていますので、もっと罷免権が大きく認められれば罷免するということによって、結果責任をもっと迅速に果たせたとは思っています。

【村上委員】  その点でちょっと。

【小川分科会長】  じゃあ、もう1点だけですね。はい。

【村上委員】  すみません。もう1点だけ質問させてください。
 2月にその教育長さん、再任されてから、大きくニュースになったのが7月頃だったと思うんですけれども、その間にどういうふうに教育委員会とか、教育委員会事務局も含めて、教育長や事務局と意思疎通をされていて、例えば報告を求めることもできたんじゃないかなと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
 それから、私自身が行った調査では、首長さんは教育長さんとやっぱり綿密に意思疎通をしていて、95%の市長さんは教育長さんとうまく意思疎通をしていると。で、例えば同様の事案は、ほかの自治体でも起こっているとは思っているんですけれども、そうしたときに、今の制度の下でも、いじめとか、自殺の事案なんかが生じたときにうまく対応している自治体はあるとは思うんですね。それで、大津市について、このように深刻な状況になってしまった理由をどのようにお考えかということと。
 それから、個々の教育委員会の問題で、制度の問題ではないという指摘もあると思うんですが、これについて報告を求めることができたのではないかと。全部で3点ですが意思疎通がどうだったのかということですね、その半年間、1月から7月ぐらいまでの間ですね。それから、大津市で深刻になった理由と、その個々の教育委員会の問題じゃないかと、制度の問題ではないんじゃないかという指摘に対してどうお考えでしょうか。

【小川分科会長】  すみません。よろしくお願いいたします。

【越市長】  まず1点目の報告、意思疎通ですけれども、こちらについては、教育委員さんとの懇談会等を行っていました。そして、特にこのいじめの件については、訴訟が2月に提起されましたので、それについては報告を求めています。そこで、教育委員会から一定の資料は出されました。ただ、私ががく然としたのは、大津市の件は、警察の強制捜査が入りまして、段ボールで何箱という非常に多くの資料が教育委員会と学校から押収されました。私が報告を求めたにもかかわらず、そういった資料は市長部局の方には提出されていなかったというのが実情であります。
 これだけ大津市が深刻になったという原因ですけれども、三つ目の御質問にも関わるんですけれども、当然、報告を求めたものについて出すということについて、大津市の教育委員会は悪かったと、それは言えると思います。ただ、それが大津市の教育委員会だけの問題かというと、やはりそうではない。最終的に責任を負うか負わないかという違い、制度上の違いというのは非常に大きいと思っています。
 他都市でも同様の事案が起こっていないかというと、必ずしもそうではない。他都市においても、教育委員会がこういった事件において、アンケート開示しないとか、隠蔽体質だと言われています。そこで、首長と教育委員会の違いというのは、首長というのは直接市民から選挙で選ばれていて、常に市民に対して説明していかなければいけない、情報公開をしていかなければいけないという意識は非常に制度上強いわけですけれども、教育委員会というのはやはり制度上もそういった点が弱いのではないかと思っています。
【小川分科会長】  ありがとうございました。では、これで終わります。
 二見委員、どうぞ。

【二見委員】  それでは、越市長さんにちょっとお伺いしたいと思います。
 私、人口7,000人ぐらいの教育委員会の教育長ですけれども、越市長さん、教育委員会制度そのものの存廃の問題であるとか、あるいは選択制ではどうかという御意見もありますけれども、この教育委員会というのは、都道府県もありますし、政令市も、中核市も、いわゆる都市、町、村もあるわけですね。様々な規模があります。それらを総論的におっしゃっているのかどうか。これが1点。
 それから、今日お出しいただいた資料の中に2か所引用されているんですけれども、ただ、引用の部分が第三者報告書の中の部分でございますので、市長さんにお伺いするのはどうかとは思いますけれども、ちょっと読んでみますと、本事案において、委員各自は重要な情報の提供はされず、重要な意思決定においてらち外に置かれていると言わざるを得ない。こうした事態は大津市に限られず、全国の教育委員会に共通する問題と言わなければならない。こういうふうに報告書に書いてあるんですけれども、この調査委員会が何を根拠に全国に共通するというふうにおっしゃっておられるのか、また、市長さんはこの部分をどのように受け止めておられるか、お願いしたいと思います。

【小川分科会長】  すみません。質問が集中してしまいますけど、よろしくお願いいたします。

【越市長】  大丈夫です。はい。
 まず1点目のどの規模の都市についても、教育委員会は廃止すべきだ、選択制を採るべきだと考えているかということについて、私自身はそのとおりであります。制度上の問題であるので、どの規模であっても、教育委員会廃止、又は選択制を採るべきだと考えています。ただ、私の議論というのは、あくまでも大津市の34万人の規模を前提として、それが私の知っている現状であります。
 次に、教育委員さんがらち外に置かれていて、これが全国の教育委員会に共通する問題だと報告書に書かれていた点について、これは、第三者調査委員会の先生が書かれましたので、具体的にどういう根拠を持っていたかということは正確に申し上げられませんけれども、教育関係者の先生が調査委員会に多く入っていらっしゃったので、ほかの都市でもそういった現状を見ていらっしゃったのかなと思います。
 私自身の見解ですけれども、大津市においては、確かにこの時点、いじめの件が起こる前、月に一、二回しか教育委員さんが集まってなかったということで、実際には重要な意思決定について情報提供もされていなかったというのは現実ですので、少なくとも大津市においてはこういう現状は過去にはあった。今、改善されていますが、過去にはあったと思っています。

【小川分科会長】  では、続けて、早川委員。

【早川委員】  また、私も越市長さんに続けて質問で申し訳ございません。2点伺います。
 一つ目には、首長が教育委員会を廃止するにしても、教育委員会や教育部に指揮監督権を強く持つことになれば、職務命令を掛けることになると思うんですけれど、それを中立性を理由として拒否するということは、前提としてはやっぱりないというふうにお考えなのかということ。
 それから、2点目ですが、中立性をフィクションとおっしゃいましたけれど、私もふだん首長の考えが実現できるように努力しておりますが、ノンフィクションとして、その中立性が出てくる場面というのは、恐らくのっぴきならない状況になっているんだと思うわけです。教科書採択など幾つかその中立性というふうにきちんと位置付けられるものはあると思いますが、重大な局面で中立性が首長の言動に対して相対的に表れてきて、それが問題になってくる。そういう意味で、ふだんは出てこないから、フィクションというふうな言い方はあるかもしれませんが、たとえフィクションであったとしても、教育の安定性や独自性を維持するために、中立性をうたっていくということの必要性についてはどうお考えか伺いたいと思います。

【小川分科会長】  2点お願いいたします。

【越市長】  はい。まず、1点目の職務命令をしたときに、中立性を前提として拒否することはないかということについては、私自身は、それはないと思っています。
 2点目の中立性について、やはりそういうことが必要なんじゃないかという御質問だと思うんですけれども、地方において、私自身は中立性が必要とされる場面はあまりないと考えていますけれども、もしも必要とされる場面があれば、今、正に例におっしゃったような教科書採択というのはあるのかなと思っています。多くの地方行政の課題、給食にするかしないか、また、学校選択制にするかどうかというのは、むしろ中立ではなくて、先ほども申し上げたとおり、市民の意見を聞いてそのまま反映すべきだと思っていますけれども、確かに教科書採択については、首長の意見というよりも、多くの方の専門的な意見を聞いてやるというのは一つの制度だと思っています。そこで、私は、逆に首長が指揮監督できないもの、中立性が要求されることを例外的な事項として規定すればいいのではないかと思っています。それは、例えば、国においては、文部科学大臣が基本的には責任を負っているわけですけれども、この中教審があるというのと同じで、地方においても、基本的には首長がやるけれども、教科書採択だけは独立した委員会でやりましょうというのはあり得ると思っています。

【小川分科会長】  露木委員、どうぞ。

【露木委員】  ありがとうございます。この議論の中では、先ほど来、政治的中立性、継続性、安定性ということが言われているわけで、教育再生実行会議においても、そういった視点から教育委員会制度を見直すということになっているわけですけれども、大西市長が出してくださった資料の中に教育の中立性の確保ということで、資料6-1です。常に住民のチェックを受けている教育分野において、住民の負託を受けている首長の政治的信条が行政に反映されることはないというような文言が記されていますけれども、今回のA案、B案においても、教育の中立性、継続性、安定性をチェックするという意味での教育委員会の働きということが考えられているわけですけれども、この2の中立性の確保というのは本当にこういう状況になるのかどうか、多少疑問を持ちつつ、御質問させていただきたいんですけれども。

【大西社会文教委員長】  この政治的中立性という言葉の定義といいますか、それをどういうふうに捉えるかだと思うんですね。政治というのは、正に我々が首長として選挙で選ばれて、あらゆる分野の行政サービスをやっていきますけれども、それは全て政治だと言えば政治なんですね。それは、いろんな意見を、専門家の意見とか、いろんな者の意見を聞きながら自分なりに判断をして、それを議会に掛けて、条例とか、予算というような形で、それで決定を頂いて、それを執行していくというのが、教育行政においても同じようなパターンをとるわけですね。ただ、そのときに教育行政においては、執行機関、決定機関としての教育委員会というのが別に存在すると。その意義が政治的中立性を言われるんですけれども、先ほどから議論しておりますように、飽くまで最終的な責任というのは、選挙で選ばれた首長に掛かるわけですね。その首長が市民、住民の意向を踏まえた上で決定していく。それは、私は政治的中立性という、中立性というのはなかなか言葉として難しいんですけれども、それは政治的行為としてしかるべき行為であると思っております。
 ただ、先ほども越市長が言いましたけれども、教育行政の中で、例えば教科の中身、どういうものを教えていくのかとか、あるいは教科書選択とか、そういう本当に教育の専門的なこと、で、政治的ないろんな思想、信条が余り入ったらおかしくなるような分野、それはやはり教育の中にあると思います。そこが確保された上で、最終的にそこは専門家とか何かがきちっと固めていった上で、それも含めて首長が総合的に判断をしてやっていくと。それは何も首長本人の個人の思想とか、信条に左右されてやるわけじゃない。そういうことをやっていたら、必ず選挙でその答えというのは返ってくるわけですので、そういうことは通常はあり得ないということで、ここでこういうふうに書かせていただいておるということでございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。梶田委員、そして、帯野委員で終わらせていただきます。梶田委員。

【梶田委員】  もう既に今、いろいろと出まして、私がお聞きしたいことはかなり分かったような気もしますが、ちょっと、せっかく大西市長、越市長、奥山市長、それから、石踊教育長、中野教育長、それぞれ正に教育行政に深く関心を持たれ、実際に執行してこられた方々です。お一人ずつ、簡単に見解を伺いたんですけれども、二つあります。
 一つは、私は、大津の問題というのは、基本的には人の問題じゃないかと思っているんですよ。私は、箕面というところの13万のまちの教育委員を8年間やらせていただきました。当時、私は、大阪大学の先生でしたけれども、学校で問題が起こったら、すぐに、ゼミの途中でも連れていかれて、教育委員会みんなで相談していた。結局そういう情報がね、教育委員のところにいってない。あるいは大事なときに教育委員が集まってみんなで相談するということがなされていないというようなことは、制度、つまり、首長が直轄するようになれば本当にこれが解決するかどうかというのをお一人お一人まず伺いたい。これが一つ。
 もう一つは、政治的中立性って、本当にこれ、抽象的な観念で難しいんですけど、先ほどから出ております、例えば教科書採択、あるいはもう既に大西市長もちょっと触れられましたけれども、例えば自分の支持勢力に近い考え方、あるいはその勢力に関係した人を次々校長に任命していくというようなね、例えばそういうことを、首長直属の教育行政を行われたときに、もし起こる可能性があるとすれば、どういうチェック・アンド・バランス、それを首長さんがこの教科書を使えとか、こいつを校長にしろというようなことを言い出すようなことがもし起こってくるとすれば、どういうチェックの仕方をすれば、首長直属の場合でもこれは何とかうまくいくとお考えかということをちょっとお一人一人伺いたい。2点。

【小川分科会長】  ちょっとお待ちください。時間があと5分ありませんので、帯野委員の質問をお伺いしてからまとめてお答えを頂きたいと思います。

【帯野委員】  じゃあ、簡単に。市長会の方にお伺いしたいのですが、教育委員会の設置の選択制、これは一つの方向性であると思うのですが、その場合、設置するか否かという意思決定をどのように行うのか。その意思決定に住民の意向をどう反映するのかということを伺いたいと思います。住民投票なのか、あるいは議会であるのか。
 続けてお伺いしますが、もし議会というようなことになれば、市長が代わるたびに設置するか、廃止するかというような事態になるのか。
 それから、もう一つ、教育委員会、都道府県の方が教育委員会は設置しないとした場合にも、人事権と財政的なバックアップがあれば、個々の市町村で教育委員会は設置できるのかというふうにお考えなのか。そのときに、例えば大阪府の三島群にありますように広域設置という問題との関係についてどのようにお考えなのか。
 その3点、意思決定の方法、それから、教育委員会制度の継続性の問題、それから、都道府県に設置がされなくとも、市町村として設置可能というふうにお考えなのかについてお伺いしたいと思います。

【小川分科会長】  今の質問は、市長会でよろしいですよね。

【帯野委員】  はい。すみません。

【小川分科会長】  では、大西市長、申し訳ありませんが、三つの質問に対して、ほかの方は梶田委員の二つの質問にお答えをお願いします。

【大西社会文教委員長】  ちょっと多岐にわたりますので、しかも、皆さんおられますので、簡潔にいきたいと思いますけれども、基本的に、制度的にどういうふうに担保するのかというのが私は必要だと思うんですね。首長と教育委員会、それから、教育委員会と教育委員会の事務局、これとの間の意思疎通というのは非常に今、悪いところもございますので、情報伝達をよりスムーズにして、最終的に責任と権限を一致させる。それの制度的担保をいかにするのかというのが必要だと思います。人の問題と言われましたけど、人は運用によってやるわけですので、その運用でおかしくならないような制度設計というのがきちっと必要だと思っております。
 それから、チェックの仕方、後の帯野委員の質問にも関わるんですけれども、これは最終的に地方公共団体というのは、首長と議会の二元代表制なんですね。それぞれが選挙で選ばれておりますので、首長が選ばれて、それで議会で条例とか、予算で決定をしていく。そこによってきちっとしたチェックが入り、担保されていくということかと思っております。すみません。ちょっと個々の質問にはお答えしませんけど、基本的にはそこ、議会による意思決定ということで担保されていると考えております。
 選択制の問題ですけれども、都道府県から小さな町村まで全て含めて選択制ということで言っているわけではございません。基本的には、教育委員会の制度を位置付けた上で、きちっと権限と責任を一致させてほしいということですけれども、例えば小さな町村であれば、今は人事権も何も持っていませんので、ある程度教育委員会がなくても、教育長さんをきちっとした人を置いてやれば教育委員会がなくてもできるのではないかと。そういう議論の中で出てきている話ですので、具体的に選択制を実施するとすれば、やはりいろんな観点から要件をきちっと当てはめた上での選択制ということになろうかと思っています。

【越市長】  では、梶田委員の御質問の1点目、制度を改正すれば大津のような問題は起こらないかということですけれども、こちら、やはり制度を改正すれば、私自身は少なくなるだろうと思っています。大津の問題は人の問題であり、また、制度の問題である。人の問題もあるけれども、やはり他都市でも同じような隠蔽するような事案は起こっている。それを、最終的に責任を負う人が決めるという制度にすれば、やはり制度上は少しはよくなるだろうと、私自身は思っています。
 また、2点目のチェック・アンド・バランスですけれども、首長がやったときにどうやって教科書選定や人事についてチェックを働かせるかということですけれども、先ほどもお答えしたとおり、教科書についてはある程度独立した委員会を設ければいいだろう。むしろ例外的に独立した委員会を設けるべきだ。そして、校長人事についてですけれども、こちら、首長は今、ほかの市役所の中の人事、例えば保育所とかあります。いろんな人事をやっていますけれども、そういったときに恣意的な政党の意見というのは、今も反映されることはありませんし、反映された場合には常に議会のチェックもあります。同じような制度で運用できるのではないかと思っております。

【奥山市長】  首長の直轄にすれば改善されるのかといいますと、教育行政も非常に多岐にわたりますし、特に学校は様々でございます。また、学校の人事というのも、もう先生十分御存じのとおり、校長と副校長程度が管理職で、あとは全員、いわゆる鍋蓋と言われるような一般組織とは違った管理監督状況にあるというようなこともございますので、ただ単に首長に最終責任がなったからといって、今の学校運営全体の問題が解決するということではないと思います。
 ただ、今はやはり責任の所在があちらにあるような、こちらにあるような、言わば分散状態であるので、その分散状態を一本化するという意味は、長期的には出てくるであろうというふうに私は考えています。ただ、一方で、首長自身も相当教育行政について勉強を重ねないと、やはり難しい側面はあるという認識です。
 そしてまた、チェック・アンド・バランスについては、先ほどお話しさせていただきましたように、私は、首長が当面指揮監督する範囲というのを明確に逆に規定することによって、様々な中立性や安定性の確保ということを担保しつつ、不当な、あるいは介入と言われるものを防ぐ手だてともなるのでないかというふうに考えております。

【石踊会長】  緊急事態等が発生した場合に、首長を中心にして検討会などをするかということでございますが、私は、現行のとおり、教育委員会事務局で案を練って、そして、首長部局と業務連絡、報告を図っていけば意思疎通はうまくとれていくのではないかなと考えます。
 チェック・アンド・バランスですが、先ほどから出てますように、首長が事業内容とか、教科書採択とか、特に歴史認識等に偏った考えと申しますかね、そういったこと等がある首長の場合は大きな影響が出てくるのではないかなということが懸念されるわけでございます。その他公民館、図書館等で行われる社会教育に関する事業等、先ほどから出ています学校の管理職をはじめとする教職員の人事管理等につきましても、やはり政治的中立性というのが求められる事務でございまして、現在の形でいけばいいのではないかと考えます。

【中野支部長】  私も、まず、制度を変えるからというのではなくて、もっと狭義じゃなくて、広い意味で教育委員会の事務局の改革、私はそれを中心に今、行っていますけれども、つまり、報・連・相も含めて、委員の皆様方も含めて、とにかく学校現場と教育委員会が非常に近くなるような関係ですね。そのためには、指導主事など専門職員を増やさなきゃいけないことがあるわけです。その辺は市長さんにお願いして、人を増やしながら、常に学校と教育委員会が近い関係にある。早く問題を発見できる。そういう体制をまずはやるべきだろうと思っています。
 それから、中立性についても、私は、もう政治的な中立性を侵すような首長さんはほとんどいないと思っているんですけど、問題は、安定性であったり、継続性ですね。首長さんが代わったら、今までやっている方針が変わってくるとか、それでは一貫性がなくなっていくんだろうと思っていますので、そこら辺の方をきちっとチェックするにも、現行の制度の中で首長とよく連携をとりながら、一体となって進めていくやり方は幾らでもできると、私は考えています。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 時間になりましたので、質疑応答はこの辺で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 意見発表いただいた団体につきましては、本当にどうもありがとうございました。
 ここで、また、次の意見発表の団体との入替えがありますので、数分お待ちいただければと思います。

(団体入替え)

【小川分科会長】  それでは、ヒアリングを再開したいと思います。
 進め方は、今までどおりで、四つの団体から続けて意見を発表していただきます。その後に、まとめて意見発表の内容に対する質疑応答の時間を設けます。発表時間は、1団体当たり8分以内ということで、時間厳守をお願いいたします。残り1分で事務局の方からメモを入れさせていただきますので、また、時間が過ぎた時点で私の方から声を掛けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 では、早速ヒアリングに入っていきたいと思います。最初に、全国町村会の渡邊聖籠町長の方からお願いいたします。

【渡邊政務調査会行政委員】  全国町村会行政委員会委員を務めております新潟県聖籠町長の渡邊と申します。
 本日は、この教育制度分科会で取りまとめました審議経過報告について、私どもの意見を申し上げる機会を頂きまして、ありがとうございました。
 それでは、全国町村会として、あらかじめ提出してあります3項目について意見を申し述べます。
 初めに、新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性についてでありますが、首長の責任の下で行うことができるよう、教育長を首長の補助機関とし、教育委員会を首長の附属機関とすべきであると基本的に考えます。教育委員会制度改革を検討するに当たり、一番大切なのは、教育の政治的中立性の確保にあることは言うまでもありません。この点、現行制度は公選制による党派的対立を解消する視点で考えられたもので、これが堅持されるべきものであることは当然のことと考えます。新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性におけるA案、B案も、このことを前提として出されているものと私は思います。
  しかし、教育長を教育委員会の補助機関として、教育委員会を性格を改めた執行機関にするということは、極めて内容に乏しく不透明なところがあり、合理的な説得力に欠け、実際の運用面では現行制度と大きな変化はなく、改革への取組という点では、国民、住民の理解が得られにくいのではないかと考えます。
 その点A案は、教育長を首長の補助機関とし、教育委員会を首長の附属機関とするというもので、首長の権限が現行よりも強化される抜本的な改革案ではないかと考えます。また、現行制度においても、学校の統廃合、図書館、スポーツ施設などに関する決定は、教育委員会だけでは事実上対応できず、地域住民や議会、予算の対策は私ども首長の責任で行っております。さらに、重大な事故が起きたときに、社会的な責任や賠償責任を問われるのは、総合行政の責任者である公選の首長であります。任命、罷免をしたのに、あとは知らないということは地域住民も議会も納得いたしません。責任と権限は一致させるべきだと考えます。
 首長の権限を強化することは、政治的中立性に反するのではないかとの指摘があることは存じております。しかし、極端な例を念頭に議論するのはいかがなものでしょうか。現実問題として、首長の関与なくして教育行政は成り立っておりません。首長は住民の選挙によって選ばれています。かつて教育委員は公選制により選出されていましたが、昭和31年にそれが廃止された理由は、党派的対立そのものであります。首長の権限を強化することは、政治的中立性に反するのではないかとの指摘については、私は、首長の教育長に対する指示を現行制度の範囲内において限定的にすることでクリアできると思います。
 そもそも私ども首長は、選挙で学校教育や社会教育について公約することもありますが、その公約も、安全保障や自衛隊の海外派遣など、歴史認識、政治的な対立を生むような公約は皆無か、あるいは極めて少ないのが現状ではないかと考えます。また、文部科学省の学習指導要領は教育の細部まで定めており、首長が口を挟む余地が少ないという現実があります。
 次に、公教育における国の最終的な責任の果たし方について申し上げます。国の地方公共団体に対する是正の要求や指示の発動要件については、分権型社会構築の観点から、発動要件は追加せず、現行制度を堅持すべきであると考えます。本年3月から違法確認訴訟制度が執行し、国が是正の要求等をした場合に地方公共団体がこれに応じた措置を講じ、かつ国地方係争処理委員会等への審査の申出もしないとき等に違法確認訴訟を提起することができるようになっております。国はまず同制度を十分に活用すべきでないかと考えます。
 最後に、県費負担教職員の人事権・給与負担の在り方について申し述べます。このたびの教育委員会制度改革は、いじめ問題を契機として議論が加速してきましたが、その解決は、教育委員会の在り方の議論はもとより、学校現場における児童生徒に対する教職員の指導力の強化が必要と理解しています。優秀な教職員の確保が極めて重要な課題であります。
  御案内のとおり、県費負担教職員の人事権は、指定市を除き、基本的に都道府県にあります。小規模の市町村のみでは指導力向上などを目的とした人事交流ができないことから、人事権の付与は極めて不利、困難な状況下にあるので、基本的には私どもは賛成できない立場です。しかしながら、教諭の採用面や人事の停滞を招くこと等は予想されますが、教諭の質向上を図るための人事交流などは可能なように思われます。要は、人口規模等によって画一的に法定するのではなく、人事交流制度の活用や広域的な市町村による人事権の受皿整備などの前提要件を設定し、その要件を満たした市町村には付与を認めるなど、地域の事情に即した幅広く柔軟な対応や選択制なども検討すべきではないかと考えます。
  人事権、給与負担の市町村への移譲については、教職員採用に当たっての人材確保等において地域格差が生ずることが懸念されるため、慎重に検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 以上であります。ありがとうございました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、続けて、中核市市長会の仲川副会長、お願いいたします。

【仲川副会長】  私、中核市市長会の副会長を仰せつかっております、奈良市長の仲川げんでございます。今回は、地方教育行政の在り方につきまして、発言の機会を頂きましたことに、まずお礼申し上げます。
 中核市は、今年の4月に那覇市さんが加盟をされまして、現在42市ございまして、人口では1,700万人の人口を抱える、正に地域の拠点的な機能を持つ市でございます。保健、福祉、まちづくり、もちろん教育も含めまして、様々な分野で総合的、かつ自律的な運営を行っていると自負をしている団体でございます。今回の中教審分科会での発言の機会を頂くに際しまして、会員市にも意見照会をさせていただいたところでございますけれども、やはり教育問題についての考え方は、各自治体、若しくは各首長さんのそれぞれの思いや考え方の多様性というところもあり、統一した見解というところには至ってございません。しかし、頂いている意見、総論的なところで申し上げれば、現在の制度に改善の余地があるということ、若しくは、先ほども出ていましたように、この権限と責任のねじれということについて見直す必要性があるのではないか。具体的には、最終責任者である首長に権限を集約するということが市民にとってもふさわしいのではないかという意見が多かったと認識をいたしております。
 この制度の今の問題点ということに関しましては、平常時の教育行政を運営するにおいては、それほど実は現場では大きな混乱はないと、私は実感いたしております。これは本市におきましても、教育委員会とは非常に頻繁に日常的な意見交換を行っておりますし、もちろん教育委員の任命ということにつきましては、首長の考え方もしっかりと持ちながら行っておりますので、それほど大きな考え方のそごというのは生じていないのが現状でございます。ただ、やはり緊急時、若しくは教育委員会サイドとの意見の対立が生じた場合に、どうその衝突を乗り越えるのか、若しくはスピーディーに課題解決に取り組むのかということにおいては、現行制度に少し不安なところもあるというのが現状でございます。
 実事例で申し上げれば、私どもでも2010年に発達障害を持つ男児が担任の教員から暴行を受けたという保護者からの指摘に基づきまして、いろんな調査を行っておりました。これに対しまして、当時の教育委員会としては、適切な指導ではないけれども、体罰ではないという認識をいたしておりました。この問題につきまして、訴訟になり、いろいろとメディアでも取り上げられたことによりまして、この意見の対立ということの中で、子供にとっての最善の利益を考える中で、私は、市長という立場で教育委員会に対して、第三者委員会の設置を指示させていただきました。現実的には、首長の権限と教育委員会の権限のこの本来の姿から言えば、乗り込み過ぎたという指摘もあるのですけれども、しかし、一方で、最終責任者である首長がリーダーシップを発揮して、協議、再検討、再評価を行いましたことで、最終的には体罰があったと第三者委員会で認定をされております。約半年間で弁護士、医師、学識経験者など5名で、半年で14回の協議を行いましたけれども、いろんな角度で検証した結果、そういった結論に至ったという事例もございます。
 そういったことを考えますと、権限をしっかりと集約してガバナンスを働かすということは、非常に今、重要だと思っています。もちろん現場の学校の校長をはじめとしたこのガバナンスの問題とそれを更に指導監督する教育委員会、そして、それとまた首長部局という、それぞれのところに権限やガバナンスの不一致の部分があるというのは、今、否めないところだと認識をいたしております。
 それと、これは、今、教育委員会制度の問題ですけれども、私は、教育という言葉に含まれる範ちゅうというのが非常に幅広いものだという認識をいたしております。私自身もこの市長の仕事をする前に、キャリア教育であるとか、地域教育にいろいろ関わってきたという経緯もございまして、本来の一義的に教育委員会に所管とされている範ちゅうを超えて、例えばまちづくりであるとか、福祉であるとか、場合によっては都市計画であるとか、いろんな部分にこの教育の波及効果というところが含まれると思っています。そういった意味では、教育の分野だけを切り取って別枠でガバナンスの仕組みを作るということも非常に合理性に欠けるのではないかと思っています。教育を含めた総合的な観点で幅広い視点を持って、トータルのまちづくりに責任を持つという意味では、やはり首長がしっかりと責任を果たすべきだという認識をいたしております。
 ちょっと話が戻りますけれども、奈良市の実例ということで申し上げれば、いじめの問題のように意見が衝突するときも中にはありますけれども、日常的には非常にうまくいっている方だと思っています。ただ、制度の問題ということでいきますと、我々首長は議会同意を得る必要がある人事マターがございます。これは副市長であったり、教育委員会であったり、人権擁護委員であったり、いろんな分野がございますけれども、私は、選挙で選ばれた首長がしっかりと市民の賛意を得た政策を実現していく中において、よくある市長部局、いわゆる理事者側と議会のねじれ状況によって、市長の政策を遂行するために必要不可欠な重要なこの職を選任することができないという現状も、これは改善の必要性があるのではないかと思っています。例えば市長と教育委員会で意見が分かれたときに、どうしても相入れないと。じゃあ、任免権を使ってはどうかという話は当然出るんですけれども、議会がどういう状況かによって、その問題解決のスピードがそがれるということも、これは頭に入れておかなければならないと思っています。
 それと、もう1点は、地方教育行政の独立性や自立性、いわゆる地域特性をどのようにこれから高めていくのかということも大きな論点だと思っています。奈良市におきましては、今、国の掲げた、いわゆる学校支援地域本部事業をベースといたしまして、市単独で毎年約1億円の予算を用意いたしております。市内の全中学校区に地域教育協議会を設けまして、各地域が、いわゆるコンペ方式で行政に対して予算要求をしてきます。これは一つ条件がありまして、校長先生だけの発案では採用しない。地域と学校がしっかりと連携したものにおいて提案を認めるという制度を設けています。こういった制度をやることによって、当初は行政に対してとにかく予算をくれくれという話ばかりが進んでおりましたけれども、奈良市の全ての地域教育協議会が横並びになって、お互いが競争して、それぞれの内容をお互いが勉強することによって質が非常に高まっているということがあります。これは教育分野で今、スタートしておりますけれども、市が所有している権限や責任というものを地域の中に、いわゆる域内分権を進めていく。住民の自治につなげていくという意味でも大きな可能性があると思っています。そういった意味では、これからの分権社会の中で、まず中核市としては、教員の人事権がまだおりてきてないというかねての問題はありますけれども、その自治体の中においても、地域の中で更に住民の主体的なまちづくりを進めていくための教育ということにつきましては、更に取り組みをしていきたいと思っております。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、次に、指定都市教育委員・教育長協議会の岡本副会長、よろしくお願いいたします。

【岡本副会長】  指定都市教育委員・教育長協議会の副会長を務めております、相模原市教育委員会教育長の岡本でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 資料に沿って説明をさせていただきます。当協議会といたしましては、本日のヒアリングへ向けて、政令指定都市全20市の教育委員、教育長に審議経過報告にあります教育委員会制度の改革案についての御意見を聞いてまいりました。結果として、様々な意見がございましたので、協議会として意見を一つの方向にまとめてはおりませんが、本日は各市委員長、教育長の意見の概要について簡潔に述べさせていただきます。
 制度の変更の必要性についてでございます。表を御覧になっていただきたいと思います。まず、そもそも現行の制度を変更する必要があると考えるかどうかという質問を投げかけました。その結果、変更する必要があるとの回答が約2割でございました。その主な内容といたしましては、責任の所在を明確にする必要がある、教育行政の責任は教育長が担うべきだ、現行制度では意思決定に時間が掛かるなどが挙げられております。また、変更する必要はないが、各自治体において運用の改善に努める必要があるとの回答が約5割でございました。その主な理由といたしましては、政治的中立性、継続性、安定性の確保が教育行政の根幹である、現在示されている課題は運用の改善で対応できる、教育委員が使命感と責任感を持つことで、現行制度のままでも教育委員会が有効に機能するなどが挙げられております。
 教育委員会制度を語るときには、必ずこの政治的中立性、継続性・安定性という言葉が出てくるわけでございますが、教育行政において、本当にこれらを担保する必要があるのかが改めて問われていると感じております。まず、教育行政は人づくりに関わる行政分野であり、私は、子供の考え方や価値観に直接影響を及ぼす、大変特殊な分野であるという認識を持つことが重要であると思います。大人が一貫した考えを持って教育することで、初めて芯のある子供に育つものであると思います。
 市長が教育行政を担う案も出ているわけですが、これが実現しますと、市長の交代のたびに重点的な教育目標や方針などが大きく変わったり、特定の支援者を意識した教育施策が推進される可能性があるとも考えられます。例えばある市長が道徳の強化に重点に取り組んだけれども、市長が代わったことで理科や数学、科学教育の強化に変わるかもしれません。大人が教育に係る考え方を短い時間で大きく変えてしまうことは、子供たちを混乱させ、価値観や人格の形成に悪影響を与えるとともに、我々大人への信頼が失われることにもつながるものでございます。教育は百年の計であり、子供たちを急激な変化に巻き込むことがあってはならない。これが多くの委員長、教育長の意見だと思います。
 市長が教育行政の責任者になったとしても、市長が配慮すれば影響はないのではないか。そんな意見もあるかと思いますが、教育はこうあるべき、人間はこうあるべき、そういう自分の考え方を最優先する首長が現れた場合には、その急激な変化が子供たちに与える影響は計り知れないと考えます。また、現行制度でも、予算案や条例案などの重要事項の作成は市長の権限であり、政治的中立性等が保(たも)てているとは言いにくいのではないか、そんな意見があるかもしれません。しかし、市長にそのような権限があるからこそ、予算案などの作成の際には、市長が教育委員会の意見を聞くことが義務づけられているわけであります。ほとんどの市長が教育委員会の意見を尊重して、予算案や条例案を作成していると考えております。
 我々相模原市教育委員会は、人が財産(たから)という基本理念を掲げています。子供たちも保護者や教員を含めた大人たちも、一人一人がかけがえのない財産(たから)である、そういう理念でございます。市長が教育行政を担ったとして、それぞれの市長が住民一人一人を財産(たから)と考えていたとしても、交代のたびにその解釈や方法が変わってしまうことは、結果的に財産(たから)を壊してしまうことにつながるのではないか、そんな危惧も持っているところでございます。
 次に、制度の変更が必要と考える考えないにかかわらず、A案とB案のいずれかを選ぶとしたらどちらを選ぶかについても、質問をしてみました。結果としては、どちらかというとA案、又はA案との回答が約0.5割でございました。その主な理由といたしましては、市長が教育を所管することで、責任の所在が明確になる。教育委員会が附属機関となり、審議事項が限定されることで、審議する時間が確保できる。緊急事態は教育長が担うことが明確になり、機動的な対応ができるなどが挙げられております。また、どちらかというとB案、又はB案との回答が約8割でございました。その主な理由といたしましては、教育長を教育行政の責任者と位置付けることで、責任の所在が明確になる、執行機関として、より限られた事項を審議することで重要な事項に時間を掛けられる、緊急事態は教育長が担うと明確に位置付けられることで、より迅速・適切に対応できるなどが挙げられます。ただし、B案を選んだ回答者の中においても、現行制度との違いが不明確である、市長が教育長を直接選ぶことになり、政治的中立性、継続性・安定性の確保に不安があるなどの意見が多い状況であります。
 まとめといたしましては、ほとんどの回答者に共通するのは、制度改革を議論するのであれば、やはり現行制度の根幹である政治的中立性、安定性・継続性を確保することを大前提とすべきであるということです。現行制度のすぐれた点と現行制度が構築された趣旨を十分に考慮した議論をお願いしたいと思います。
 一方、私を含めた指定都市委員長、教育長の多くは、現行制度の中で常に運用の改善に努める責任があると感じております。また、教育委員会制度が一般に分かりにくい制度であることは事実であり、その意義について、市民に十分な説明とアピールをしてこなかったことは反省すべき点だと考えております。各市において教育委員の現場視察、市民との意見交換などにより、教育委員会会議の議論をより実情に即したものとする努力が行われています。この努力を継続し、信頼される教育委員会としていくことが我々に求められていることであると考えています。

【小川分科会長】  では、最後に、一般社団法人全国社会教育委員連合の大橋会長、お願いいたします。

【大橋会長】  一般社団法人全国社会教育委員連合の会長を仰せつかっております大橋でございます。座ったままで失礼いたします。
 資料11を活用して説明させていただきたいと思います。私ども全国社会教育委員連合の概要は、資料11の4ページのところに書いてございますので、後ほど御参照いただければと思います。そして、5ページのところ、資料3に、全国の社会教育委員の現在数が書いてございます。総計が1万9,842名ということでございます。今日は、この一般社団法人全国社会教育委員連合を代表して、今後の地方教育行政の在り方について意見を述べる機会を与えられましたことを心から感謝申し上げる次第でございます。
 去る10月の23日に三重県で総会を行いまして、そこで関係者の意見を聞いたことを踏まえて今日は説明をさせていただきたいと思っています。まず、私どもは、社会教育は学校教育の母胎であり、高齢社会の切り札になるんだと思っておりまして、今後の地方教育行政を振興するに当たって、社会教育行政を市町村がどう振興するかというのが大変大きな課題ではないかと考えているところでございます。従来、ややもすると、地方教育行政は学校教育行政に偏った部分がありましたけれども、これからの子育て、高齢化社会を考えると、社会教育行政の振興が重要ではないかということでございます。
 資料11の1ページの丸2でございますが、学校教育は、家庭や地域における日常生活の中で、知らず知らずのうちに体験したり、見聞きしたり、人と交流する中で無意識的に形成される営みが豊かにあって初めて意図的、組織的営みである学校教育が成り立ちます。学校教育を豊かなものにするためにも、地域での社会教育の振興が不可欠であります。また家庭教育に期待することは重要ですが、虐待やいじめ問題を見ても、家庭教育に過度の期待をすることは危険であり、地域において高齢者や若者や子供たちが交流する機会を増やすなどの地域施策を展開する中で、子供の教育、学校教育を支えていく必要があります。ある意味で、学校教育、あるいは社会教育法がいうところの規定ではなくて、大人への社会教育に偏っている今日の社会教育行政とは異なった第3の地域教育行政を確立することが今後の地方教育行政にとって非常に重要な意味があるのではないかということを1点目に述べさせていただきます。
 二つ目には、高齢化社会、今は人生90年時代になりましたけれども、その中で輝ける第3の人生をどう送っていただくかということが重要でございます。60歳定年後を第3の人生と一般的に言うわけですけれども、65歳の方々の平均余命を見ますと、男性は18.13歳、女性は23.19歳でございます。高齢化といいますと、要介護問題が論議されますけれども、74歳までは要介護の出現率は4.4%ですし、84歳まで見ましても22.7%でございます。そういうことを考えますと、84歳までの高齢者が第3の人生をどう過ごしていただくかということを、もっとてこ入れをしなくちゃいけないんじゃないかと思います。これは厚生労働省の責任ではなくて、まさに文部科学省も含めてやる必要があるのではないかということでございます。
 一方、国際成人力調査では、OECDの平均値に比べ、成人の読解力や数的思考力は高いというものの、ITを活用した問題解決能力は平均値より低い。また、別な調査結果によりますと、高齢者の学習活動体験率ではイギリスやスウェーデンに比べて低いということでございます。実際生活に即する文化的教養を高めるということが、社会教育法の第3条に規定されているわけでございますが、今後のことを考えますと、成年後見制度や介護保険制度の新しい考え方、知識の習得というのは、高齢化社会を乗り切る上では欠かせないわけですし、ITを使えなければ、これからの社会は乗り切れません。そういう意味では、新たな情報機器の活用にもっと力を入れていく社会教育行政の振興が不可欠ではないかということでございます。
 また、65歳以上の高齢者の体力テストは向上してきます。今後とも高齢者の体力向上、社会参加活動の促進が求められます。日本全体の人口が減り、とりわけ労働力人口の減少が叫ばれる中、元気な高齢者の能力を生かした新しいコミュニティビジネス、ソーシャルエンタープライズなどの社会的起業の振興も期待されるわけでございます。このような元気な高齢者の新たな可能性にチャレンジする機会を提供する社会教育行政の役割は大きいものがあります。そういう意味では、今後の地方教育行政が、もっと学校教育だけではなくて、社会教育行政を通した地域振興を考えないと、本当に日本はおかしくなってしまうのではないかというのが私どもの考えでございます。
 その次のページでございますが、市町村主権時代におけるネットワーク型社会システムと自立と連帯の地域コミュニティづくり、産業構造の変容に伴い、地域における人口構成は大きく変わってきています。限界集落も大変増えています。そういう中で、言わば全住民が参加した昭和の初年にあった全村学校とも言える取組が不可欠になっているわけです。地域型NPOを作って、自分たちの限界集落を守っているところはたくさん出てまいりました。一方、都市では、孤立、孤独の問題が出ています。そういう意味では、新たな地域での支え合いができる地域コミュニティづくりが全国的に求められているわけでして、それは自然発生的に作られるものではありません。社会教育主事やコミュニティ・ソーシャルワーカーと呼ばれる、そういう人が媒介者の役割をして、市長部局とも一緒になってネットワーク型社会教育行政を展開せざるを得ないのではないでしょうか。従来社会教育だけで教えようとしたのが問題なのであって、首長部局の実際生活に関わる政策課題とネットワークを組んで社会教育行政を展開するということが重要なことでございます。
 そう考えますと、提言2でございますが、社会教育委員会議の義務設置と社会教育主事の必置化というのが今こそ必要なのではないかということでございます。社会教育委員会議の設置は、規制緩和の流れの中で、他の審議会機能があれば、それに代替させることができ、必ずしも設置しないでよいようになりました。しかしながら、これは、社会教育委員会議の社会教育関係団体への補助金の審査に関わることに着目した論議であり、上述したような今日的に必要とされている市町村の振興、地域コミュニティづくりから見た社会教育行政の重要性に必ずしも着目していないと私どもは考えています。
 地方分権、住民と行政の協働、規制緩和という現在の流れから考えると、一見妥当のように見えますけれども、今日の危機的と言える少子高齢化社会の課題を解決するためには、もう少し国がリーダーシップをとって、市町村の社会教育行政の振興を図るべきであると考えます。その社会教育振興のシステムづくりを考えることが今回の地方教育行政の中で必要なのではないでしょうか。そういう意味で、社会教育委員会議の義務設置と活性化が不可欠ということでございます。
 その上で、その社会教育振興計画をきちんと作らせるということが大事なことではないかと思っています。それは勝手に社会教育委員会議が作るのではなくて、市町村の振興のために首長部局と連携してネットワーク型につくるということが大事なことと考えます。このためには、主体性のある住民を育てるということが大事で、そのためには、学習援助者、学習のファシリテイター、学習内容編成者としての社会教育主事の役割が大きいわけでありまして、大変今、減っていますけれども、このことを是非必置にして増やしていただき、そのための養成の在り方も含めて考え直していただきたい。同時に、公民館の指定管理制度の見直しもお願いしたいというのが、私ども一般社団法人全国社会教育委員連合の意見でございます。是非御審議を頂きたいと思います。ありがとうございました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、これから20分ほど、質疑応答に入らせていただきます。今の意見に対して質問があれば、御自由に御発言いただきたいと思います。また、質問に当たっては、どの団体に質問するか、明らかにしてお願いいたします。では、森委員、村上委員、貝ノ瀨委員、そして、辻委員という順でお願いいたします。最初に、森委員から。

【森委員】  御発言を伺っていて、非常に私、印象にありますのは、教育という言葉の定義が、指定都市教育委員・教育長協議会の岡本さんのおっしゃっている教育と仲川さん、渡邊さんのおっしゃっている教育がね、幅が違うような印象を持っています。で、私ね、米百俵の長岡なものですから、選挙で教育を語らないと選挙に落ちるんですよ。今、私がしているネクタイ、米百俵ネクタイという。私、このネクタイ毎日していますけどもね、米俵のマークなんです。余計なことを言いました。
 そういう立場からすれば、選挙公約にきちんとうたわなきゃいけません。市長は選挙公約でうたったことの、そういう指導も受けたくないとおっしゃるのかどうかね、岡本さんにまず伺いたい。
 それから、もう一つは、教育振興基本計画というのがございます。これは平成18年の教育基本法に位置付けられました。で、教育を振興する基本計画の策定者は実は教育委員会ではございません。地方公共団体ですから、市長の責任で決めます。教育を振興するという最も大切なその基本計画を市長が決めるにもかかわらず、つまり、公共団体が決めるにもかかわらず、そこで決まったことを首長が責任を持たないというのは非常に不合理だと私は思うんですが、その点について、おっしゃっているその教育の内容がね、先ほど事例が出ましたけれども、ちょっと幅が、私らが考えているよりもちょっと狭いんじゃないかという感じを受けるものですから、その辺ちょっと伺いたいわけです。つまり、教育長が責任を持ちたいのは一体何なのかということを是非ちょっとお話しいただきたい。
 それから、もう一つ、仲川さんね、仲川さんに、先ほど仙台市長が非常にいいことをおっしゃったんですね。それと、今の社会教育もそうなんですし、コミュニティーと一体になったことをやっていますね。仙台もやっているらしいんですよね。地域コミュニティーと学校とを結び付けて、地域住民がしっかりと関わってくるって、すごく大切なことだと思うし、そのことは、私、ひいてはね、首長の独走を防ぐ一番いい手段じゃないか。それから、もう一つは、教育振興基本計画をもっと強化して、今、努力義務ですから、これを教育の安定性に、一つの歯止めを掛ける有力な手段とするというのはどうかということを仲川さんにお願いしたい。

【小川分科会長】  では、最初、岡本副会長、そして、次に、仲川市長にお願いします。

【岡本副会長】  教育とは何か、教育とはどう考えるかという御質問だと思います。この問題を考えるときに、いつも教育とは百年の計で人を育てる、つまり、こうあるべき、こういう人間であるべきということではなくて、様々な価値がある中で、それをいろんな考え方があるんだなという、できるだけ将来自分たちの選択肢が自分たちで考えられる、そういう子供に育てていくのが今、我々が考えている教育である、そんなふうに思っております。ですから、短いスパンで来年結果を出す、来年こういう子供にする、そういう教育は、今、我々はこの論議の中では考えておりません。
 以上でございます。

【小川分科会長】  森委員の質問は、例えば首長さんが選挙公約で掲げた政策を実行することとか、教育振興基本計画を首長が策定すること自体、それ自体が政治的な中立性に反することなのかどうか、その辺のところをどう考えるのかという趣旨だったと思うんですが。

【岡本副会長】  失礼いたしました。
 我々も日頃、市長部局と教育委員会、意思疎通しながら、市の方針、あるいは市の動き、大きな市の流れ、それは十分に敏感に感じ取りながら、教育行政を行っているところでございます。決してそのことが教育の中立性に関わるということではございません。ただ、教員の人事、あるいは研修などについて、市長の方針が影響を与えそうな場合につきましては、教育委員会がしっかりとその中立性が侵されないようにし、子供たちの10年、20年後の責任を持ち、その責任でもってしっかりと研修、人事を執行していくべきであると思っております。

【小川分科会長】  よろしいですね。時間がありませんので。

【森委員】  まあ、いいです。

【小川分科会長】  仲川市長、お願いします。

【仲川副会長】  我々、やはり総合的な行政運営を首長部局で行っていますので、その中では、特に近年の少子高齢化の中でよく議論される、いわゆる地域コミュニティの崩壊という言葉が非常に大きなテーマとしてございます。そういう意味では、地域のコミュニティの再生ですとか、住民自治の促進ということに対して、教育的なアプローチというのが果たす役割が非常に大きいと思っています。そういうことを考えると、教育とはそもそも何か、誰が教育に責任を持つべきかということの議論を、今、かなりやり直さないといけない時期に来ているのかなと思います。
 既に、そういう意味では、教育委員会だけが別枠だという議論で支持が得られるかというと、私は非常に難しいのではないかと思っています。確かに中立性、公平性ということの重要性というのは一方で分かりますので、では、教育行政の一体どこの部分に中立性が必要なのかということを、やっぱり詳細な議論をしていくべきではないかと思っています。この教育振興基本計画についても、正にこれは一つの問題提起だと思います。教育委員会と首長部局の、いわゆる策定権限と実行者のこのねじれの部分という意味では、これはある意味、振興計画の策定が首長部局に権限が与えられているというのも、一つのねじれの一端だと思いますので、これも一つの契機として、このねじれをいかに整理していくのかというふうに我々は考えていくべきだと思っています。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 村上委員、どうぞ。

【村上委員】  簡単に1点だけ、中核市市長会の仲川奈良市長にお尋ねします。先ほど政令指定都市の市長会からは、何割ぐらいが変更が必要で、どのぐらいの政令指定都市のどのぐらいの市長さんがA案、B案みたいなお話があったんですが、中核市についても、統一見解には至らなかったということなので、大体どんな意見の分布とか、どういう意見が多かったというのを分かる範囲でお尋ねしたいのですが。

【小川分科会長】  よろしくお願いします。

【仲川副会長】  今回ちょっと日にちが短かったこともありまして、全ての市からは回答を頂くことはできませんでした。もう一つ、特徴的なのは、このアンケートに対して市長部局の答えている答え方と、教育委員会が答えている市とちょっと答えにコントラストがある。内容は御想像のとおりですけれども、そういう意味では、このアンケートの取扱い一つを見ても、ちょっと見解にねじれがあるなということで、意見がまとまっていないということにもなります。

【森委員】  ちょっとすみません。一言。

【小川分科会長】  今の回答に関係してでしょうか。はい。分かりました。

【森委員】  今のに関連して一言だけ申し上げると、先ほど出ていただいた大西市長さんと越市長さんは、両方とも中核市長会の会員でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。村上委員、よろしいですか。

【村上委員】  はい。

【小川分科会長】  貝ノ瀨委員、どうぞ。

【貝ノ瀨委員】  奈良市長さんにお尋ねしたいと思いますが、まずは、一つは、教育委員会に問題があって、そして、実際に子供の体罰問題で齟齬(そご)を来して、総合行政のお立場でいらっしゃる市長さんが乗り出して問題解決に至ったというふうな事例を出されてお話しなさいましたけども、そういう事例というのは結構頑張っていらっしゃる首長さん、多いんだろうと思いますけれども、そういうことで伺っていますと、それは今の制度の中で、つまり、首長さんの力量によってね、随分違うんじゃないかなという印象も受けるんですけどね。ですから、そういうふうになりますと、お聞きしようによっては、今のままでも運用で首長が頑張ればちゃんとできるんじゃないかと。だから、指揮監督権なんて大上段に構えなくてもね、いいんじゃないかというふうにも受け取れるんですけど、その点、どうかというのが1点目。
 それから、2点目が、地域コミュニティーを大事にしていらっしゃると、これは非常にすばらしいことだなと思ってお聞きしました。その地域コミュニティーの代表の方たちが、例えばですが、学校支援地域本部などで活躍している人たちが教育委員さんとか、そういう責任あるところに登用されていくというようなことは、私は望ましいなと思っていますけれども、その点についても市長さんはどんなふうにお考えになっているかということを、この2点お聞きしたいと思います。

【仲川副会長】  ありがとうございます。1点目のところは、これは正にその自治体の運営、経営ということに対して、どういうスタイルのガバナンスをしていくかということにもよると思っています。当然法令なり、いろんなもので縛りがありますので、どの自治体も日本全国金太郎あめ式で同じ統治機構、同じその方法を採らなければならないということが前提ではありますけれども、これは首長さんによって全ての分野、全部詳しい方というのはやはりなかなかないですし、そういう意味では、教育分野を、ある市では、教育分野については教育委員会に主体的に動いてほしいと、そこは任せるというタイプの首長も中にはいらっしゃると思いますし、逆に全てにおいて責任者なので、きちっとガバナンスを果たしたいとおっしゃるところもあると思います。これは両論あると思いますので、そういう意味では、自治体ごとにそのガバナンスの形というものを選択の幅があるというのも、一つの可能性ではないかと思っています。
 それと、もう1点の教育委員の選任ということですけども、法律が変わって、今、保護者代表というのが入っていますけれども、おっしゃるように、地域代表というのは特に定めがございませんが、奈良市でも、正に公募を行っておりまして、1人の枠に20名応募がありまして、今、最終選考しているところで、地域の教育にも経験があるという人もその中には応募いただいておりますから、これは今後、更に入れていかないと、学校教育の部分だけに特化をして、今までのように、校長先生のOBばっかりが教育委員をするという時代ではもはやないと思っておりますので、そこはできることから改善をしていくことだと思っております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。生重委員、どうぞ。

【生重委員】  大橋会長に御質問したいんですが、うれしかったのは、ここのヒアリングに皆様方が学校教育の観点からしか教育を語らない方ばっかりで、初めてがっちり社会教育で意見を言ってくださったのは、大橋会長が初めてだったのではないかなと思います。ありがとうございます。
 そこで、この教育制度の方が明確な結論が出ない限り、私の所属している社会教育側のワーキングとか、様々なものが宙ぶらりんになっていて、なかなか教育制度の方で社会教育が語られることがないんですね。今回お出しいただいた資料の中で、ネットワーク型行政、それも議論のうちに入っていたんですが、教育委員会に社会教育は所属を、教育委員会のうちにあるべきなのか、それとも、このところのはやりで社会教育で活発な人づくりをしているようなところは、全て首長部局に社会教育が移管されている傾向が強くあるんですが、会長の御意見はそのどちらに、ネットワークは私も大賛成なんですね。どちらに所属する方が良いと思っているのかというところをお聞かせいただけたらなと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、大橋会長、お願いします。

【大橋会長】  御質問ありがとうございました。私は、フランスの市民革命期に提起された社会づくりの主人公である成人の教育こそ公のお金でやるべきだということが重要だと思っています。つまり、先ほど述べましたように、住民がきちんと学習能力を高めて判断能力を高めるということが地域主権には欠かせないですし、民主的、文化的な国家を創る上では欠かせないと思っているわけです。それが今日の教育委員会制度になって、その理念がやや弱くなったのではないかと受け止めています。昭和24年の社会教育法が作られたときに既にそういう論議がありましたが、それ以前の公民館というのは地域振興の拠点であり、住民の学習等の参加というものをすごく大事にしたわけです。そういう意味では、今こそその原点に戻るべきではないかと考えるわけです。
 したがって、教育委員会制度というのは、学校教育も、社会教育も全て入れるのか、子供の問題に少し限定してやるのか、それも学校教育行政に限定してやるのか。つまり、私どもは、第三の地域教育行政と言いましたけど、学校支援地域本部だとか、コミュニティ・スクールだけでは対応はやっぱり難しいと思っているわけです。今日の子供の問題というのは、もっと地域で多様な体験活動ができる教育行政を、活動を振興しなくちゃいけないと考えています。それが教育委員会制度という名の下でできるかというのが一つの論点だろうと思っています。
 そういう意味では、教育委員会の中には、言わば学習指導要領に基づいたナショナルミニマムとしての学力を高めていく学校教育行政の部分と、それから、学校外教育と呼ばれる地域教育行政の部分と、それから、大人の部分の教育、学習の部分としての社会教育行政があるんじゃないんでしょうか。今、2番目、3番目が非常に重視されて、そこが盛んに問われているのに、論議はやや学校教育を軸にした教育制度に引き付けられ過ぎている感じがあります。その論点を整理していかないと、私ども、どういうふうに発言していいのか、大変難しいわけです。教育委員会制度の枠の中には一応学校外の地域教育行政も入っているし、社会教育も入っています。だけど、論議はほとんど学習指導要領等に基づいた教員の人事権だとかも含めた学校管理の問題の教育委員会論議では、実は私どもはちょっと納得できません。そういう意味では、教育委員会制度の論点のところで大きく分けていただいて、この部分は教育委員会に残す、ほかを外すとすれば、その場合の理由は何か、あるいは後の2番目3番目の問題も教育委員会制度に入れるとすれば、教育委員会制度はどういうふうに改善すべきなのかというふうに議論をしていただきたいと思います。
 そういう意味では、教育長さんも学校教育のエキスパートかもしれませんけれども、じゃあ、地域教育や社会教育のエキスパートであるだろうか。あるいは教育委員会の事務局を担っている方々がそういうふうな構成になっているだろうかなど、論議すべき課題というのは結構あるんです。だけど、やっぱりいろんな中身が、学校教育、学習指導要領等に基づいた学校教育課程の在り方と、そこにおける責任の問題、人事権の問題等にやや焦点化されすぎている。それはボリュームが大きいのでやむを得ないのですけれども、私どもとしては、もう少し幅広くその辺の論点を整理していただいて、その上で教育委員会が何を残すべきか、その教育委員会はA案なのか、B案なのか、じゃあ、2番目、3番目の問題はA案でやれるのか、B案でやれるのか、C案があるのかなんていうような論議はしていただいた方が、私どもとしては非常に意見が述べやすいのですが。もし機会あれば、そういう新たな機会にまたもう一度話をさせていただきたいと切に願っているところでございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、最後、辻委員。

【辻委員】  手短に御質問します。今日は全体で首長の最終責任を果たしていく体制をどう作るかという中で、教育の政治的中立性、安定性、継続性をどうやって確保するかというのが大きなテーマになったと思っています。
 そうした中で、幾つか、今日、改めて出されたのは、首長の指揮監督の及ばないところを作ったらどうかとか、教育委員会の言ったことに対してかなり重い尊重義務を課す領域を作ったらどうかというものでした。これら二つのアイデアと併せて、今、努力義務とされている教育振興計画、これを教育委員会が策定により重い役割を果たすようにする。そして、首長に尊重義務を課すと同時に、各地方公共団体に計画策定を義務づけるというのは、考え方としてあり得るのではないかと思います。この計画に基づいて、各首長が指揮監督を発動するという仕組みです。ただし、仮にこうすると、小規模市町村にとっても、まだ義務づけが一つ増えるということにもなります。果たして、こういう制度がのみ込めるものなのかどうなのかということにつきまして、全国町村会さん、それから、中核市市長会さん、指定都市教育長会さん、それぞれ御意見いただけたらと思います。

【小川分科会長】  では、今の質問に関して、一言ずつお願いいたします。

【渡邊政務調査会行政委員】  先ほどの意見でも申し上げましたけども、現行制度においても、教育委員会と私ども首長の役割分担といいますか、これは個別法によってきちんと分担されているんですね。そういう中で、いわゆる教育振興計画なるものも、そういう視点に立って首長が委員会を組織し、より多くの地域住民の皆さんの意見を聞きながら策定し、それを基に、教育委員会などの役割分担を持ちながら現行制度でやっているわけですね。ですから、私はA案ということで教育委員会を首長の附属機関と位置付け、教育長を首長の補助機関にすべきだと申し上げましたけど、そこはいかに今後、先生方の御議論の中で、今ほどの義務づけの問題は、その役割分担をどのように省令等で位置付けるかによって、特に我々小規模な町村サイドにおいては十分にその辺の対応は可能かというふうには理解しております。
 以上です。

【仲川副会長】  教育振興基本計画の件ですけど、現行その策定主体が首長になっている以上、いわゆる首長の暴走を防ぐための装置にはなり得ないと思っています。ただ、今後、いわゆる教育委員会、教育長については、首長が直接指揮監督権を発動できるような形で、首長に権限を集中していくという形ですけれども、一方で、今の委員会を、いわゆる審議会的な少し権限を持った審議会に位置付けて監視機能と勧告機能を持たせていくというふうなことは、今までも議論が出ておりますし、そういった形で力関係をうまく整理をしていくということは重要だと思っています。
 ただ、基本的に今の形でいきますと、この振興基本計画についても、首長が代わるたびに策定をし直すということに、余り縛り過ぎると、結果としてなってしまい、総合計画にしても今、同じ議論ですけれども、計画行政というものの重要性が今、少しプライオリティーが下がっているという状況がありますので、その中であえて振興計画というものを大上段に構えて計画行政で縛ろうという方法は、果たして総計の位置付けとのバランスということを考えても、どれだけ奏功するかというのは非常に議論の要るところだと認識しています。

【小川分科会長】  お願いします。

【岡本副会長】  相模原市の教育振興計画、この教育委員会で作成をしたわけでございます。その際に市長部局とも十分な協議を行っておりますが、執行機関の間でよく協議をすることを法律に書けば足り得るのではないか。現行制度の中でもこうした教育委員会制度の在り方、運用の改善で様々な取組は担保できる、それがまとめでございます。

【小川分科会長】  辻委員、よろしいですね。
 もう時間がオーバーしていますので、これで今日の審議は終わらせていただきます。
 次回の会議は、団体ヒアリングと11月6日まで実施された意見募集を踏まえまして、具体的な制度設計について、更に議論を深めていきたいと思います。
 次回の会議は、11月18日、10時から12時まで、場所は、三田共用会議室になっていますので、よろしくお願いします。
 今日、意見発表いただいた団体の皆さん、今日、本当にありがとうございました。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課

(初等中等教育局初等中等教育企画課)