教育制度分科会(第23回) 議事録

1.日時

平成25年5月20日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 分科会長の選任等
  2. 今後の地方教育行政の在り方について
  3. その他

4.議事録

【小川分科会長】  それでは、まず審議に先立ちまして、私から分科会長就任に当たって一言、簡単な挨拶をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、教育再生実行会議の第二次提言を受けまして、4月25日、下村文部科学大臣から中教審に対して今後の地方教育行政の在り方について諮問されました。今日から本教育制度分科会が中心となって、その諮問された課題について審議していくことになります。
 中心テーマの一つである教育委員会制度は、御承知のとおり、戦後の教育制度そして教育行政システムの根幹とも言えるもので、戦後64年余りにわたって今日まで続いてきているものです。その意味では、今回の中教審における制度見直しの審議は、教育や教育行政の関係者にとどまらず、広く国民が注視しているものと思われます。
 教育行政の制度改革が目指す目的というのは、一言で言えば、学校をはじめ教育の現場と現場の関係者が創意工夫し、チャレンジングに教育の課題に取り組んでいける環境づくりにあると考えています。
 そのために、本分科会におきましても、いわゆる素人教育委員会の問題や教育委員会と教育長、そして自治体、首長との関係の在り方にとどまらないで、学校をはじめ教育機関を実際に管理し、様々な支援、援助を行っている教育委員会事務局の体制や組織の在り方、そして教育委員会と学校などの教育機関との関係など、地方教育行政システムの全般的な点検を図りながら、実効性のある具体的な制度設計と施策の提言をまとめていければと考えております。
 ただ、本分科会審議の中間まとめを、この秋までに取りまとめてほしいという要請もありますので、今後の分科会運営は、恐らく月2回ペースの会議開催という非常にタイトなスケジュールになるのではないかと思います。委員の皆様は大変お忙しい方々ばかりですので、非常に心苦しい限りですけれども、どうか今後の分科会運営にご協力をよろしくお願い申し上げます。
 以上で、簡単ですけれども、分科会長就任に当たっての挨拶とさせていただきます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。今後の地方教育行政の在り方に関して地方教育行政の現状、教育再生実行会議の提言、そして今回の諮問に至る経緯やその趣旨について、資料に基づいて、まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

【藤原初等中等教育企画課長】  失礼いたします。資料の御説明をさせていただきたいと思います。資料は3、4、5、6と関係資料ございますが、そのうち資料4をお開きいただきたいと思います。「現行制度と教育再生実行会議第二次提言のポイント」とタイトルをしたものでございます。
 1ページをお開きいただきまして、教育委員会制度の在り方についてでございます。教育委員会制度は、御承知のとおり戦後発足した制度でございまして、首長から独立した行政委員会として、全ての都道府県及び市町村などに設置されているものでございます。
 その趣旨は丸2のところで書いてございますが、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映という内容をその趣旨としているところでございます。
 その具体的な仕組みといたしましては、一番下に図が示してございますけれども、首長が議会の同意を得て委員を任命をする。そして、委員の中から互選で委員長を選ぶという形になるわけでございます。そして、この委員長の下、合議体の教育委員会が教育長を委員の中から選びまして、この教育委員会が指揮監督を行うということになっています。そして、実際の事務は、この教育長が事務局を指揮監督して行うという仕組みでございます。
 2ページ目でございます。教育委員会と首長の職務分担ということでございます。
 教育委員会は、そこにございますように、学校教育に関すること、それからまた社会教育に関すること、文化財の保護に関すること、学校における体育に関すること、こういった内容は教育委員会が行わなければならないというふうになってございます。
 一方、知事や市町村長は、その二つ下の箱でございますけれども、大学に関すること、私立学校に関すること、教育財産の取得・処分、契約の締結、予算の執行と、こういった内容が、その職務分担でございます。
 また、真ん中に書いてございますけれども、原則教育委員会が管理・執行するが、条例を制定すれば首長に移管できる事務ということで、文化に関することとスポーツに関することということが規定をされているところでございます。
 また、2ページの下の丸2のところでございますけれども、合議制の教育委員会が自ら管理・執行する必要がある事務、すなわち教育長に委任できない事務ということが明記をされてございます。これは、平成19年の改正のときに教育委員会の活性化という観点から、こういった規定をあえて設けたわけでございますけれども、教育に関する事務の管理・執行の基本的方針に関すること、教育委員会規則・規程の制定や改廃に関すること、学校・教育機関の設置・廃止に関すること、それから学校等の職員の任免、その他人事に関することなどが規定をされているという、そういった現状にあるわけでございます。
 そして、教育委員会につきましては、これまでも様々な形で活性化ということが言われてきたわけでございますが、引き続きなお様々な課題があるという現状にあるわけでございます。
 とりわけ、次の3ページでございますが、教育委員会について指摘をされている幾つかのポイントがございます。
 一つ目といたしましては、権限と責任の所在が不明確であるということでございます。非常勤の教育委員会からなる合議体がトップであるということ、そして教育委員長というものが存在する一方で、教育長というものが実質的な事務をつかさどっているわけでございまして、この関係が分かりにくいことが一つ目ございます。
 また、次の丸でございますけれども、これは都道府県、市町村、自治体の中での問題でございますけれども、市町村立学校の管理権限は市町村教育委員会にあるけれども、教職員、いわゆる県費負担教職員の任命権は都道府県の教育委員会、予算の執行等の財政的権限は市町村長と、権限の責任の主体が分散しているといった御指摘でございます。
 また、3つ目の丸でございますけれども、国の責任の果たし方ということでございますが、地方において、特に法令違反や児童生徒の生命、身体、教育を受ける権利の侵害など重大な事態が発生した際の国の責任の果たし方が十分ではないのではないかといった御指摘などでございます。
 それから、括弧2といたしましては、地域住民の意向を十分に反映していないという御指摘がございます。直接選挙で選ばれる首長との意思疎通や連携に課題があるのではないか。あるいは教育委員の一部や事務局職員の多くが教育関係者やそのOBが占めており、閉鎖的かつ教育関係者の意向に沿った教育行政を行う傾向があるのではないかといったような御指摘もございます。
 また括弧3、括弧4は共通の課題でございますけれども、非常勤の教育委員が月一、二回程度集まるという実態からすれば、その審議が形骸化している、あるいは迅速性、機動性に欠けるのではないかといったような指摘などが行われてきたわけでございます。
 こうした様々な問題点といったことを念頭に置きまして、4ページでございますけれども、教育委員会制度等の在り方について、教育再生実行会議の第二次提言において提言がなされているところでございます。
 1といたしまして、地方教育行政の権限と責任を明確にし、全国どこでも責任ある体制を築くということでございます。
 その四角の中の最初の丸でございますけれども、地方公共団体における教育行政の責任体制を明確にするため、首長が任命を行う教育長が、地方公共団体の教育行政の責任者として教育事務を行うように制度を見直すべき。そして、首長による教育長の任命・罷免に際しては、議会の同意を得ることとし、議会が教育長の資質・能力をチェックをする。
 そして、二つ目の丸でございますけれども、こうした改革に伴い、教育委員会の性格を改めて、その機能は、地域の教育のあるべき姿や基本方針などについて闊達な審議を行い、教育長に対して大きな方向性を示すとともに、教育長による教育事務の執行状況に対するチェックを行うこととする。
 さらに、政治的中立性等を確保するため、特に、教育長が教育の基本方針や教育内容に関わる事項を決定する際には、教育委員会で審議することとするなどの制度上の措置を講ずるということ。
 そして、四つ目の丸でございますが、こうした方針の下、新たな地方教育行政体制において、教育委員会で審議すべき事項とその取扱い、教育委員の任命方法、教育長の罷免要件等の詳細な制度設計については、今後、中央教育審議会においてさらに専門的に審議されることを期待すると、こういった内容の提言でございます。
 そのイメージが、その下の図の中に示されているところでございます。これが第一点目のポイントでございます。
 続きまして5ページでございますが、二つ目の論点、教育行政における国・都道府県・市町村の役割分担と各々の関係の在り方についてということでございます。表の中にございますように、国、県、市、学校ということで、4層構造ということも言われるわけでございますけれども、それぞれ役割分担をしながら教育行政を行っているわけでございます。国は学校制度等に関する基本的な制度の枠組みの制定や全国的な基準の設定、指導・助言・援助といったことを主たる任務としているわけでございますけれども、一方、都道府県は広域的な処理を必要とする教育条件の実施、それから市町村における教育条件整備に対する財政的支援などを行う。そして、市町村は学校等を直接設置管理をする。そして、学校は教育を実施をすると、こういった役割分担でございます。
 その中で、6ページでございますけれども、県費負担教職員制度というものが、とりわけ公立の小中学校につきましては導入をされていることにより相互の関係が難しいという御指摘があるわけでございますけれども、その四角の中にございますように、市町村立学校につきましては、これは市町村が設置をするわけでございますけれども、広域人事や、あるいは給与負担の財政的負担の大きさといった観点から、都道府県が給与を負担するとともに任命権を持つという仕組みになっているわけでございます。そして、さらに給与費の3分の1は国が負担をして全国的な水準を維持、確保すると、こういった仕組みでございます。
 指定都市につきましては、任命権が指定都市に既に移されているわけでございますが、給与負担の方は引き続き都道府県という形になっている。こういった複雑な制度があるということが、もう一つ問題点として指摘をされているところでございます。
 次の7ページでございますけれども、文部科学大臣による地方公共団体の自治事務に対する関与についてということでございます。国、県、市、それぞれ役割分担をしながら行っているわけでございますが、教育に関する事務は自治事務に分類をされているわけでございまして、基本として地方が行う事務であるということでございます。
 そうした中で、文部科学大臣の関与というのは非権力的な内容が中心になっているわけでございます。それが最初の四角にございますように、指導・助言・援助といった形で関わりを持つということが原則になっているわけでございます。
 その一方で、様々ないじめ等の問題に対応するためということで、平成19年の改正において幾つかの措置が設けられてございます。是正の要求と書いてございますが、その二つ目の四角、地方教育行政法の第49条で、要件と書いてございますが、自治体における事務の処理が法令の規定に違反、又は事務の管理・執行を行っているときであって、教育を受ける権利を侵害されていることが明らかな場合、こういった要件に合致する場合には、違反の是正・改善のための具体的な内容を明示して必要な措置を講ずべきことを求めることができるといった規定が創設をされてございます。
 また併せて、指示ということで最後に書いてございますが、地教行法の第50条で、事務の処理が法令の規定に違反、又は管理・執行を怠っているときであって、生徒等の生命、身体の保護のため、緊急の必要がある場合であり、他の措置によっては是正を図ることが困難である場合、こういった要件を満たす場合には指示ができるという規定、これも平成19年に創設をされたということでございます。
 しかしながら、昨今の様々ないじめ等の事案に関して、こうしたものは発動されたケースはないという現状でございまして、こうしたところを見直しをしていく必要があるのではないかといった指摘があるわけでございます。
 8ページでは、参考でございますけれども、ほかの各省庁、自治事務があるわけでございますけれども、この自治事務に対して大臣が指示を行う例というものを参考で示しておるところでございます。
 そして9ページでございますけれども、こうした状況を踏まえまして、教育再生実行会議の第二次提言では次のような提言を行っているわけでございます。四角の中でございます。責任ある教育行政が確実に行われるよう、具体の教育行政については、原則として地方公共団体がみずから判断し、責任を負うべきとの前提に立った上で、地方公共団体の教育行政が法令の規定に違反したり、子供の生命・身体や教育を受ける権利が侵害されたりする場合には、最終的には、国が、是正・改善の指示等を行えるようにすることにより、その責任をしっかりと果たせるようにする。
 二つ目の丸でございます。国は県費負担教職員の人事権について、小規模市町村を含む一定規模の区域や都道府県において人事交流の調整を行うようにする仕組みを構築することを前提とした上で、小規模市町村等の理解を得て、市町村に委譲することを検討する。また、指定都市について、税財源措置の方策等に関して関係道府県・指定都市等の理解を得た上で、教職員の人事権者と費用負担者を一致させることを検討する。学校についても、教職員の人事についての校長の権限を強化するため、市町村の教育行政部局は、校長の意向の反映に努めることとするという内容でございます。
 続きまして、10ページでございます。三つ目の論点で、学校と教育行政、保護者・地域住民との関係の在り方についてでございます。これまでも様々な措置が講じられてきたわけでございますが、その一つがコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度でございます。これは平成16年の地教行法の改正で導入をされた制度でございますけれども、その二つ目で書いてございますように、校長の作成する学校運営の基本方針の承認や、教育委員会や校長に対して学校運営についての意見を述べることができる。また、教職員の任用に関して教育委員会に意見をすることができると、こういった権限を学校運営協議会に与えることができるといった仕組みでございます。
 現在のところ、1,183校という設置の状況でございますけれども、これにつきましては文部科学省といたしまして、今後5年間で全公立小中学校の1割、約3,000校に拡大していくという方針をもって進めているものでございます。
 11ページでございます。このほか、学校支援地域本部というものがございます。様々な地域の方々のご協力を得て学校の支援活動を行っていくようなものでございますけれども、24年度の実施箇所数では3,036本部ということでございまして、子供たちの学習支援、授業補助や部活動の支援、あるいは子供の安全確保など、様々な形で地域の方々のお力をかりながら学校運営を進めていくといった制度などが進められてきているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、12ページでございますが、実行会議の第二次提言では、3といたしまして、地方教育行政や学校運営に対し、地域住民の意向を適切に反映するということで、コミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の設置に努めることとする。そして、その際、こうした取組を検証しつつ、より実効性のあるものとなるように支援策を講じるといったようなことが提言をされたところでございます。
 こういったこれまでの経緯や二次提言を踏まえまして、諮問を中央教育審議会に4月25日に行ったところでございますけれども、その関係資料が資料3でございます。
 その1枚おめくりをいただきまして、3ページ目に具体的な審議事項が記載をしてございます。先ほどご説明した三つの論点に即した形で諮問が行われているわけでございますが、第1番目といたしまして、教育委員会制度の在り方についてということでございます。教育再生実行会議から示された地方教育行政の責任体制を明確にするため、首長が任免する教育長を地方公共団体の教育行政の責任者とするとの改革の方向性を踏まえ、教育長、教育委員会、首長の法的位置付けや権限、相互の関係など教育委員会制度の見直しの具体的在り方について、御検討をお願いします。
 その際、教育長の任期や罷免の要件など、首長と教育長の関係をどのように考えるか。教育委員会が果たすべき役割、教育委員の任命の方法をどのように考えるか。教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保するために、教育委員会がどのような権限を持ち、責任を負うべきかといった具体的な制度設計を中心に御検討をお願いしますということでございます。
 また2点目、教育行政における国、都道府県、市町村の役割分担等でございます。これにつきましては、そこの下に書いてございますように、教育再生実行会議から示された改革の方向性を踏まえ、これらの点について検討をお願いしますということで、一つ目の丸、地方教育行政の法令違反や子供の生命・身体、教育を受ける権利の侵害の場合の是正・改善の指示等、国がどのように責任を果たすべきか。また、県費負担教職員の人事権や給与負担について、都道府県及び市町村の役割をどう考えるか。
 次のページでございますけれども、小規模市町村における教育行政の広域化についてどう考えるかなどを中心に御検討をお願いします。
 三点目でございますけれども、学校と教育行政、保護者・地域住民との関係の在り方についてということで、こうした観点についても併せて検討をお願いしたいということで諮問をしたところでございます。
 こうした諮問を受けての、この教育制度分科会でございますので、こういった点を念頭に御審議をいただければと考えておるところでございます。
 あと、関連の資料といたしましては、資料5は教育再生実行会議の第二次提言の本体でございます。
 また、資料6では地方教育行政の現状等に関する資料ということで、先ほどご説明した内容と重複する部分も多いため、説明は割愛したいと思いますけれども、この資料の3ページなどでは、これまでの主な制度改正の推移などを書いてございますし、4ページでは、平成19年に行われた法改正の若干詳しい内容。それから、5ページ以下では教育委員会制度改革をめぐる様々な方々からのご意見、議論といったものを紹介したものを示しているところでございます。
 以上、簡単でございますが、説明は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
下村文部科学大臣と義家政務官が御着席されました。早速ですけれども、お二人から一言ずつ御挨拶をいただければと思います。
 では、まず下村文部科学大臣から御挨拶をよろしくお願いいたします。

【下村文部科学大臣】  皆様おはようございます。委員の皆様方におかれましては、御多用のところ本会議に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。文部科学大臣として一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
 教育委員会制度は、我が国の地方教育行政の中核的な機関として、教育の政治的中立性、安定性・継続性の確保等に重要な役割を果たしてきたところでございます。その一方で、これまでも権限と責任の所在が不明確等の様々な課題が指摘されており、近年ではこれらに加え、いじめ事案等への対応をめぐって社会的な関心も高まっております。教育再生を実行していくためには、地方教育行政について、その責任体制を確立し、現場の問題に迅速かつ的確に対応できるよう抜本的な改革が必要であると考えております。
 いろんな地方の教育委員会の関係者の方々にお聞きしますと、それぞれ機能されている教育委員会も確かにあるということも承知をしておりますが、一方で本質的に、やはり一定の教育委員会等が形骸化をしている、制度疲労をしているということも見られるところでございまして、このような観点から、教育再生実行会議におきまして教育委員会制度の抜本的改革等についての御議論をいただき、先日、地方教育行政の権限と責任を明確化し、全国どこでも責任ある体制を築くため、首長が任命を行う教育長を地方公共団体の教育行政の責任者とすることなどを柱とした改革の方向性について御提言をいただいたところでございます。
 この点を踏まえまして、私の方から中教審に今後の地方教育行政の在り方について諮問をしたところでございますが、本分科会の委員の皆様方におかれましては、この改革の方向性を踏まえた具体的な実施方法や法制化に関わる事項を中心に闊達な御議論をいただければありがたいと考えております。
 私としましては、今後、この教育委員会制度等の抜本的な見直しに向けた法律改正案を来年の通常国会に提出したいと考えておりまして、年内をめどに答申を頂ければ大変ありがたいと思っておりまして、どうぞ、そういう前提の中で御議論いただければ大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 続けて義家政務官からお話しをいただきます。

【義家政務官】  本日は教育制度分科会に御出席いただき、誠にありがとうございます。文部科学大臣政務官として、私からも一言御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、地方教育行政の在り方の審議に当たって、是非責任体制の確立ということを明確に提示していただきたいと心より願っております。近年のいじめ事件等でも明らかであるように、教育行政における責任とは一体どこにあるのかということの問題性、あるいは曖昧な状況、これは多くの世論も認識していることであります。私自身も高校の教師として、また教育委員としても教育行政、教育に携わってきた中で、責任は教育委員会の教育委員にあるのか、教育長にあるのか、あるいは現場の校長、あるいは教員にあるのか。あらゆる場所で、その押し付け合いが、世論的にも、現実的にも起こっていると感じています。
 我々は、この現状にしっかりと向き合った上で責任体制を確立していかなければなりません。俗人的な状況を一般論として論じるのではなくて、制度として、きちっとした責任体制を今こそつくっていくべきと考え、野党時代からずっと議論してきたところでございますが、委員の皆様方の見識、御意見を是非賜りながら教育の責任体制を確立してまいりたいと思います。
 さらに、公教育における国の責任の問題でございます。現在、八重山地域、尖閣を含む石垣、与那国、竹富の八重山地域ですが、実は教科書無償措置法に基づかない採択が行われた結果、竹富町では、およそ30人の生徒が教科書が無償に措置されていないという事態が起こっております。文部科学省としましても再三指導を行っているわけではありますが、現行の法律上、それがなかなか前に進んでいかない。その違法状態、2年目に突入しているという状況であります。
最終的な公教育の責任者である国が適切に対応できるよう、国民の思いをしっかりと吸い上げていただき、責任ある教育制度の実現に向けたかったつな議論を重ねてお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 大臣、政務官とも、しばらく皆さんの審議をお伺いしたいということで、よろしくお願いいたします。
 では、今日は第7期最初の教育制度分科会ですので、教育委員会制度に関するご意見など、最初に自由に皆さんからご意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。どなたからでも、ご自由にご発言いただければと思います。
 じゃあ、橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  大臣には、いろいろ御苦労さまでございます。この間も申し上げましたですけれども。
 まず今回の諮問について、教育再生実行会議ではかなり細かい提言をされております。それに対してどのぐらい違ったことまで盛り込んでもいいのかどうかということを一つお尋ねしたいと思います。
 それからもう一つは、教育委員長と教育長のいろいろな役割分担とかいうお話もございましたですけれども、例えば教育委員会というのがありますけれども、これは国には、こういった似たようなものはないですね。公安委員会は国家公安委員会がある、あるいは監査は会計検査院がある、あるいは人事は人事院がある、労働委員会は中央労働委員会がある。そういうものがある中で、教育委員会だけは同じような制度がございません。どこが、この中立性をチェックするのかということになりますと、地方の場合には二元代表制でありますから、議会がもちろんチェックします。国の方は議院内閣制でありますから、大体、与党と内閣が一体となっていますので、そのまま通ってしまいます。そういった関係で、どこが国の方ではチェックするのか。
 私も、この教育委員会制度と教育長の制度というのは大変問題があると思っております。ただ、本県では非常にうまくいっております。今、教育委員のOBさん方が教育委員会の応援団などもつくってくれて、教員の管理職の教育などにも取り組んでくれておるところでございまして、うまくいっているんですけれども、実際問題として、いろいろなところで不都合がある。それだったら、やっぱり直すのはやむを得ないだろうと。教育長に権限を持たせるというのは、私はこれは賛成です。ただし、教育長に責任を持たせる、教育行政の責任者にするということは、どういうことを意味しているのか。総合行政ということで、地方の場合にはいろいろな分野が、国の方も、もちろん内閣の下に文部科学省もあるわけですけれども、地方においても、知事の下に各部局がございます。その中で教育は、大体予算の25%ほどを占めておりまして、我々にとって極めて重要な分野であります。これについて、教育長が責任者となるということでどうなっていくのか。
 例えば教育行政といいますと、先ほど来いじめの話が問題になっておりますけれども、いじめ一つとってみても、例えば公安委員会と連絡をとらなくちゃいけない。あるいはまた児童相談所とも連絡をつかなくちゃいけない。我々は一生懸命、総合行政ということで連携を十分とりなさいよということを今、各部局長に言っております。
 そういう中で、教育委員会だけ別な形になっていくのかどうか。総合行政の中で、あくまで、例えば訴訟になれば全部首長が受けます。そういったものを考えた上で、総合行政の中でのこの教育長が責任者となるという仕組みなのかどうかというようなことについても、是非、十分検討していく必要があるんじゃないかと思います。
 また、いじめ問題、今の教育委員会制度、大津の例など、いろいろ課題があるようでございますけれども、しかし、一般的にいえば、それ以上に問題なのは、学校の先生方の事なかれ主義でございまして、これを抜本的に意識改革をやっていかなければ、私は難しいんじゃないかなと思っております。
 そういった点で、この教育委員会制度をいじるだけではなかなか難しいですし、責任を教育長に負わせるということだけで解決する問題ではないと思っておりますので、もう少し別な形、特に先ほどご説明いただいたんですけれども、文部科学省はもっといろいろ地方に対して発言ができるということもありました。しかし、それだけで片づく問題ではなくて、逆に今、地方行政の中で教育行政というのは、ある意味、中央省庁を極めて向いている分野の一つでありますので、これ以上また、この勧告とかいろいろなことになってきますと、先生方はもっと文部科学省に頼ってしまうかもしれない。
 今、地元でいろいろ周りから批判を受ければ、自分たちが自立し直していくかもしれない。ところが、こちらで言わない限りはいいんだなという話になってしまっても、これも困ってしまう。そういったことも含めて、いろいろ御議論していく必要があるのではないかと考えております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。文科大臣と政務官、お二人いらっしゃるので、直接ご質問されて、一問一答を期待される面もあるかと思いますけれども、分科会は、そういう場ではありませんので、委員同士での意見交換、審議を基本に進め、最後に大臣、政務官から御感想や御意見を賜れればと思っております。

【下村大臣】  今日は最後までいますので、後でまとめて。

【小川分科会長】  分かりました。大臣は、最後までいらっしゃるということですので、最後に大臣の方からまとめてお話をいただければなと思っています。
 では、引き続き皆さんから御意見を自由に。では、門川委員、よろしくお願いします。

【門川委員】  ありがとうございます。私、三十数年、京都市で教育行政に携わり、今、市長に就任して6年目であります。抜本的に教育行政の責任と権限を明確にしていこうということは大事なことでありますし、教育再生実行会議の答申について、全体としては評価しているものであります。同時に留意しなければならない点が幾つもありますので、この会議が非常に大きな役割を果たすのではないかと思っております。
 釈迦に説法で申し訳ないんですけれども、教育課題の中には、いじめなど緊急に対処し、直ちに結果を出さなければならないこともたくさんあります。一方で、結果がすぐに目に見える形で現れることばかりではなく、長期的な視野で見て、子供たちはしっかりと成長していく、そういった後伸びする力、こういうものを大事にしていかなきゃならない。これをどう両立させていくかということが大事であろうかと思います。したがって、選挙で選ばれた、民意を反映した首長、市長や知事が全て決めるんだということでは、教育施策の政治的中立性や安定性・継続性の確保という面で、なかなかだめだと思います。
 そういう意味で、私は、市長になってから教育長を2人、事実上、選びました。現在の制度も、首長が議会の同意を得て教育委員を選んで、教育委員会が教育長を選びますけれども、教育長にふさわしい人をあらかじめ議会の同意を得て市長が教育委員に任命するわけですから、市長が教育長を議会の同意を得て任命するという提言は、すっきりしていいと思います。
 同時に政治的中立性、あるいは安定性・継続性を担保するために、教育委員の権限をきちっと担保する制度設計が大事ではないかと思います。
 その時々の政治的な風潮に各自治体の方針が影響されるということでは、学校教育に対する親や地域の信頼が得られないため,そういったことに留意した制度設計をしっかりと議論したいと思っています。
 もう一点は、地方分権についてです。それぞれの地方が、もっと言いますと、それぞれの地域社会が最も大事な次世代を育てる子供の教育について当事者意識を持って、共に努力し、汗かき、結果を出していき、その子供を共に育てる喜びも共有できる、こんな地域社会が大事だと思います。こうしたことを可能にするためには、大胆な権限委譲、財源移譲を踏み込んでやっていく必要があり、人事権も当然含まれてきます。広域的な人事のメリットは担保したまま、そうした制度設計が可能だと思います。
 政令指定都市の教職員の給与の負担、これについても長年の課題ですけれども、大胆に政令指定都市に、財源も含めて移譲していただいた方がいいと思います。
 例えば、京都市の学校の先生が緊急事態で出張することがあった場合、出張旅費が十分に予算措置されない可能性がある。それはその旅費の負担者が京都府の教育委員会であるからです。こういう矛盾した制度というのは、なかなか成り立たないですね。こういった点を改革していけたらと思っています。
 それから同時に、政令指定都市やその他の都市において、市立高校を設置している場合がございます。この市立高校の学科を改編する場合、現行制度では都道府県教委の認可を受けなければならず、京都の場合ですと、1年半前に京都府に申請する必要がございます。そして、府立高校が同様の学科を設置されると先に新聞報道される。これが現実にあるんですね。こういうことはなくし、やはり各自治体に権限を最大限委譲していく、こういう制度設計をお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、家庭や地域、経済界が学校と一緒に子供を育てるために学校運営協議会を作る、あるいは学校支援の地域本部を作っていくというのは非常に大事であります。
 京都市には約200校の学校運営協議会、コミュニティ・スクールがございます。そして、コミュニティの代表と校長に最大限の人事権を持ってもらうよう改革を進めてきました。昨年、京都で開催された第60回日本PTA全国研究大会に来られた方にそのことを話しますと、外国の話のようだねということを言われましたけど、京都では実現することができました。
 例えば、ある小学校で、定年退職と異動で5人の先生が入れ替わる場合に、校長と地域のコミュニティが、迎え入れる教員を公募することができる。そして、地域のコミュニティの代表と校長が面接して、問題なければ、教育委員会が確認して発令する。そうすると、地域社会も親も、自分たちが迎えた教員であり、学校の先生も、迎えられた教師であるということで、本当に責任持って頑張るという意識が生まれます。そこまでの組織内分権をやっていく。こういうことによって、学校も良くなる、地域も、子供がしっかりと育つ地域社会を作っていく、こうして責任を共有していくことが大事だと思います。
 よく協議会で共通理解が大事だといいます。共通理解、大事です。同時に、それ以上に共通行動が大事です。地域と親と学校が行動まで共有できる、そんな体制を教育委員会が支援する。そんな制度設計とするために、より議論を深めたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他に、どうぞ。今田委員。

【今田委員】  横浜市の教育委員長、今田でございます。私も教育委員のお仕事を頂いて10年になって、その間、7年間、教育委員長という役目を頂いていますけれども、その間、ある意味で、この非常勤の教育委員長が責任者であるということは、正直なところ、何ともある種の、俗に言う違和感みたいなものがありまして、私の場合、長く行政の仕事をしておりましたから、あいつがいて、こんな情けないことと言われるのは多少悔しいという思いがあって、そういう意味でいけば、かなり気合いを入れたつもりですけれども、新任した当時は、やはり机も椅子もない。指定都市の会議で行きますと、多くの教育委員長さんから、かなり愚痴を、ぼやきを、皆さんおっしゃる。1年交代で、それで責任はある。しかし、それなりの情報がタイムリーに入ってくるのかということでは、どうなんだろう。そういう意味で、今回の提言の中で、責任者として常勤の教育長にというのは、やっぱり、それなりの理由があるのかなというふうに思います。
 あまり長くなってもいけませんので、私の方は、今の提言の中で、委員会制度の抜本的に効果を発揮するためには、この責任体制の明確化のほかに、学校現場の意識改革というもの、これが非常に大事。この中で、提言の中で、今日の中心的議題という中では御説明がなかったんですが、提言の中にある学校の先生の処遇の問題。真に頑張っている教師の士気を高めるためにふさわしい処遇の体現云々という記述がありますけれども、この辺のところは、やはり私はかなり重要な問題じゃないかなと。
 横浜の場合には規模が大きいこともあって、果たして責任者が委員長から教育長にかわって、学校現場がすんなり、きちっと対応していくのかなと。いやいや、もう学校現場は、小学校だけでも350あり中学が150あるという中でいくと、ある意味で独立した1つの世界を築いていますから、その人たちとの一体感、連帯感というものを保っていくためには、やはり、そこでの現状の厳しい状況の中に、ある種の対応をしっかりしたものが出ていかないと、なかなか、今回の第二次提言の効果を発揮するためには、ここを是非。
 今日の中心議題という中では説明はございませんでしたけれども、これは是非忘れてはならない課題なのかなと思います。一言申し上げます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にどうぞ。帯野委員、どうぞ。

【帯野委員】  私の方からは、教育委員会が果たす役割について一言意見を申し上げたいと思います。
 昨今マスコミ等で、教育委員は月に1回、2回委員会に出るだけで学校現場に足も運ばないという非難が聞こえてまいりますが、実際のところ、その活動内容がどうなのかということです。
 私は、大阪府にあります吹田市、人口36万人の大阪市の近郊都市でありますが、そこで報酬審の会長を務めて、この3月6日に行政委員会の行政委員報酬の日額化と、その答申を市長に出したところであります。その際に、教育委員会の活動内容を調べましたら、特例市におきまして平均、委員で年間45.2日、委員長で53.6日という、表に出ているだけでこの日数ですから、そこは多忙になっているということを感じました。ただし、定例会、委員会への出席におきましては、委員で15.8日ですから34%、委員長には16.1日でありますから29%。約3割、その他は、行事、研修、議会関連でありまして、教育現場にゆとりのあった頃ならとにかく、この多様化、困難化を占めている時代に、教育委員が、あるいは委員長が成人式、入学式、卒業式で来賓と招かれて挨拶をするということが求められているのか。そのような時間があれば、これは教育現場に足を運んでいただいて、もっと先生や学生、児童の声を聞いていただきたいところでありますし、特に地方議会においては、委員が非常勤であるということを理解して、答弁のあるときのみ呼び出せばよいので、単に議会に座らせておくというのは、今後やめるべきではないかというふうに考えます。
 教育委員の職務内容については、教育委員会の権限という法の定めはありますが、日常的な活動については特に定めはありません。しかしながら、いまだに、例えば教育委員会の市町村、都道府県の公募においては、議会そして行事への出席ということが職務内容に盛り込まれているという現状ですので、この際、この委員会で、教育委員会に何の責任を持たせるのかということをもう少し整理して、国として、明確にする必要があるのではないかと思います。
 そういうことによって、時間的な問題ではありますが、教育委員は非常勤だからできないのではなくて、これは非常勤でもやってもらわなければならないわけですから、非常勤でもできる環境を整えていくということが1つ大切なことではないかというふうに考えます。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。じゃあ、早川委員。

【早川委員】  ありがとうございます。岐阜市の教育長、早川でございます。
 首長と関係がうまくいっているところは教育委員会制度はうまく機能しているなと思いますが、首長とうまくいっていないと教育委員会制度はうまくいっていないから、だからこそ教育委員会制度は必要だという論議も片方にあるかと思いますが、しかし、世の中で全く信じられないような対応のまずさが問題となるような事件を見るにつけ、義家政務官がおっしゃったように、やっぱり俗人的な問題ではなくて組織論として、この問題を解決していくという必要性を私も感じております。
 そうした中にあって、私ども教育長は日頃、やっぱり法令上の位置付けはどうであれ、その責任者としての自覚を持って、いつでも責任をとる覚悟で多くの教育長はやっていると思います。
 一方、いじめの問題が起きたときに、教育委員さんからのお話が出たのは、企業の経営者が特におっしゃるんですけど、私は今まで監査役として、この教育委員会に参加していました。しかし今、世の中の論調は責任をとるというプレーヤーとしての在り様を求められていると。やっぱり、その辺の制度がはっきりしていないのではないかということを指摘されまして、私も、非常勤として責任をとるということは──教育委員会制度というのは、それはお忙しい方をメンバーに入れるということが非常に重要なことですから、そうした中で、その人に責任をとれよという話は、やっぱり、あり得ないことだと思っております。
 ですから、教育長が責任者として位置付けていただくのは大変やりがいのあることだし、いいことだと思います。
私どもは教育委員会を、学校で定例教育委員会をずっとやるようにしております。そこで保護者や子供たちと直接、教育委員さんに接していただきます。しかし一方で、ここに出ている、合議制の教育委員会が自ら管理して執行する必要がある、教育長に委任できない事務の内容に、全く形骸化しているものが多いのです。
 例えば人事のことをぱっと、こういうふうに人事やりますといっても、教育委員さんたち、その方ご存じないのに、そのことを判断するということは、本当は全く意味のない時間で、そういうことが結構たくさんあって。ですから、教育委員さんになられた方は、こんな形骸化ということをおっしゃるんだと思います。
 それは、もう教育長に一任していただきまして、むしろ、ほんとうに子供の問題とか、いじめの問題とか、迅速に対応できる問題が真に話し合えるような教育委員会制度の内容に、国には法的に整備していただく必要があると思います。
 そのときに是非、やはり教育内容、特に教科書採択については、独自の中立性を保つような各校の仕組みというのはきちんとつくっておいていただくというのは、どうしても必要なことだと思うんです。
 それから、二つ目の国と県と市町村と学校の教育委員会制度は、私ども中にいる者は複雑でよくできた仕組みだと思っているわけですが、権限や責任の所在がはっきりしないという問題があって、迅速かつ的確に対応できないということは、やっぱり、外から見ればあることだと思います。
 私ども岐阜市の規模からいえば、県はほとんど頼りにしておりませんので必要ないんですが、しかし市町村からは、これは、やっぱり県の頼りにするというのは非常に大きな問題だと思うんですけれど。やっぱり機会均等ということを考えると、人事権が委任されたとしても、交流人事というのはどうしても必要だと思うわけですが、その際に、任命権がかわることに伴う諸手続の煩雑さというのは大変煩雑なんですよね。会社がかわるようなものですから。その煩雑さをどうにか軽減するような仕組みをつくってもらえれば、人事交流というのはもっとスムーズにできて、それぞれの市町村の交流がうまくいくと思っております。
 それから、三点目のコミュニティ・スクールについては、もう義務教育は義務教育として立ち上がっていくためにはどうしても必要なことだと思っておりまして、私どもも、3年間で全ての小中学校をコミュニティ・スクールにするように校長先生にお願いいたしております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 もう順番じゃなくて、どんどんお願いできます。じゃあ、貝ノ瀨委員。

【貝ノ瀨委員】  ありがとうございます。私、教育再生実行会議の委員もしておりますので、その点も踏まえて発言させていただきたいと思います。やはり、この実行会議でのポイントは、責任の所在を明確にさせるということがポイントであって、国の権限を強めるとか何とかと、そういう話ではないということですね。
 既にご意見が出ていましたように、この教育委員会制度これ自体に、非常に形骸化するという要素が、もう初めから含んでいるということですね。つまり、既に御指摘がありましたように、非常勤であり、別な職業を持っていらっしゃって、そしてこの月一、二回の会合に出て、常勤のプロフェッショナルな教育長以下の事務局の様々な報告、提案などを、この月一、二回の中で、それも1回の時間で1時間半ぐらいです。その中で処理するということは、実際、現実に考えても無理な話なんですね。でも、それが六十何年続いてきたということは、結局、教育委員さんたちは職務上、事務局に対して指揮監督するという権限があるわけですが、この指揮監督するということ自体を、ある意味、皮肉な言い方をすれば、さほど実行しないで、事務局の提案を追認してきたということの中で平和共存してきたので比較的うまくいってたた。
 ですから、現状は、教育界の人間に、教育委員会の仕事と責任者も、そして実際に動かしているのは誰かと聞いてごらんなさい。教育長だって言いますよ、教育界の人は。これ、常識です。
 ですから、そこの実態を、そして、いわゆる、この制度上の建前とをしっかりと一致させないと、非常に市民が困るし、子供も困るわけで、そういう点を、ここが、きちっとしましょう。ですから、場合によって、これは現状を追認するような面もあるかもしれませんけれども、責任者をしっかりと教育長に一元化をして、名実ともに責任感を持ってやっていただく。
 しかし、そうはいっても、教育長は、ご承知のように、行政系の人がなるか、教員系の人がなるかでありますが、行政系の人は教育の現場に多少疎いところがある。それから教員系は行政の問題について疎いところがあるので、しっかりと学び続ける教育長が欲しいということになりますから、これは、やはり一定の研修なり資質向上が必要だろうということですね。これは自己研修もあるでしょうけれども、全国の教職大学院もあるでしょうし、また国が一定の関与をしてもいいだろうということで提案がなされています。
 また、この民意を反映するということについては、教育長の任免については、免も付いておりますけれども、これは議会の同意を得る。議会というのは民意を反映した機関です。首長さんもそうですけれども。そこで一定の審査を得る。それも、この間の日銀の総裁の審査のように、やはり議員さんとのやりとりの中で明確にちゃんと資質を確認した上で、教育長をしっかりと任命していくことも大事だということが書かれているわけであります。また民意を反映させるという意味では、今までは、どちらかというと教育委員さんは地域の名士の方、場合によっては、失礼ながら、首長の選挙の論功行賞でなるという方もいらっしゃったかもしれませんが、必ずしも、しっかりと民意を反映したというふうになっていない場合もあったということであります。これは、それぞれの学校に住民保護者の皆さんが学校運営に参画したり、様々関わって、主体性を持って、そして当事者意識を持って関わって育ってきている方たちの代表が教育委員への登用ということです。それが結局のところ、民意をしっかりと教育行政の方にも反映されていくということになりますので、学校の現場においても、コミュニティ・スクールのような、そういう民意を反映した仕組みをしっかりと定着させていくということの中で、その代表が教育委員さんとして選ばれていく方がよろしいのではないかというふうな提案になっているわけです。
 そういう意味では、今までよりも民意がしっかり反映されたものになる可能性が非常に強い仕組みだというふうに私は思っています。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ、二見委員。

【二見委員】  失礼いたします。私は広島県の安芸太田町、人口7,200人という、また立場としては、全国の町村の教育長会のメンバーということでここに来させていただいたと思っております。
 約930ぐらいの町と村がございますけれども、その中で2割近くが1万人未満という中で、私の町もそれに該当するわけですが、町村の教育長の大半は学校の経験者、あるいは県教委、あるいは市教委などの教育行政経験者が大半だと思います。私の県でも9名の町の教育長がいますけれども、8名が県教委の経験者、また校長経験者になっています。
 それはなぜかといいますと、直接の学校の教育指導に携わる指導主事が、統計上でいえば1万人以下の町や村では1.2名。私の町にも1名しかいない。そういたしますと、直接の学校現場の指導には教育長の教育経験が非常に重要になってくるというのがございます。
 そういう点で、都市部の教育委員会と随分環境が変わっている。そういう点での今回の教育委員会制度についても、やはり市町村の規模によっての違いというものも視野に入れていただきたいなというのが一点ございます。
 それから、前後いたしますが、首長が指名するといいますか、任免でございますが、現在についてはほぼ、先ほども論議がございましたが、実質的に首長が議会へ出すことによって世間も、既に今後、教育委員会議で選ばれる予定というふうに記事になるわけでございまして、委員会の前に出るわけでございます。
 一方で、町長選挙等、首長選挙もございますと、それぞれ教育長は、いわゆる新しい町長になった場合のことを考えるということになると、実質、次の町長、首長の意向によって、その教育長が、やっぱり影響を受けるというのは実質でございます。そういう点では、私は実態を認めた今回の提言だというふうには受けとめます。
 もう一つは、中立性の確保という視点からも、教育委員の選び方というのは今後考える必要があるのかなと。私の町の場合には、私を入れて5名ですけれども、3名がお寺の仕事をしておられる。しかも、そのうちの2名は学校の校長までしているという点では、非常に偏った。バランスがとれているのは、町における地域バランス。2名の方が保護者というふうになってございますけれども、これから町長が選ぶとして、中立性を確保するために、この教育委員の選び方というものが、教育長の仕事や教育委員会のチェック機能を果たしていく。そういう点では、これまた全て町長が選んでいくと、なかなか難しい部分があるかも分かりませんけど、そこらあたりを今後議論させていただきたいなと思っています。
 それから、町や村になりますと、毎日の教育活動は、まさに地域との交流といいますか、つながりによって教育が成り立っている。小さいところでは、運動会も、いろんなことも、町の人、村の人たちが一緒にやるという点では、そういう小規模の町村の取組というものは、これからの地域コミュニティ、あるいはそういう地域本部の活動に、私は参考になっていくのだと思いますけれども。そういう意味で、そういう規模のところの実践というものを少し振り返っていただければありがたいと思っています。
 そういう点で今後、私は市、それから町、村との格差の違いを含んだ、この制度についての改革をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、比留間委員、よろしくお願いします。

【比留間委員】  東京都の比留間でございます。教育行政の在り方は、非常に重要な問題ですから、都道府県の教育長協議会という組織でも既に議論に入っております。
 その中で、まだ意見交換の状況ですけれども、出てきている意見を一、二ご紹介をしたいと思います。まず一つは、都道府県の教育委員会の在り方と、それから東京の場合、区がありますので、市区町村の教育委員会の在り方を、少し分けて考える必要があるのではないかという意見です。
 もう少し申し上げますと、広域的自治体としての都道府県と、基礎的自治体として住民と極めて近いところにある市区町村の教育行政の在り方、それから教育委員会制度の在り方とは少し分けて、これは議論する必要があるのではないかというような点です。
 それから、是非これから検討するに当たっては、一つ、二つ、あるいは幾つかの顕在化した極端な例に流されることなく、実際に今の教育行政がどのようになされているのかという全国の実情を踏まえた上で議論してほしいという点が、協議会の議論の中で出ています。
 少し個人的な意見を言わせていただきますと、この制度が少し課題があるだろうというのは、同じように状況認識として持っておりますけれども、現行制度の持つメリットと、それから現行制度の持つデメリットとをよく踏まえて議論をしていく必要があるだろうと思っています。
 えてしてデメリットがクローズアップされてきますけれども、現行制度が持っている良さ、すなわち政治的中立性や継続性・安定性の確保とか、教育の行政を進めるに当たって多様な意見が、その施策の立案過程の中で反映をされてくるというのは、かなり重要なことだろうと考えております。
 そういう意味で、教育委員会の制度をどうするのか。これは教育長の権限の問題にも直接関わってくる問題でございますけれども、教育委員会の在り方というのを私自身、あまり軽くすることは好ましくないだろうと考えております。いろんな審議会、あるいは行政委員会、それから行政委員会までは至らないまでも議会の同意を得て設置する審議会なり、さらには検討会、様々な形がありますけれども、これは東京都の例ですけれども、自分たちが最終権限を持っている教育委員会だということで、ここまで仕事をしているんだという自負を持ってやっている教育委員さん方が数多くいらっしゃいます。これが、例えば審議会レベル、あるいは諮問機関レベルまで落ちたときに、そこまでの活動を責任を持ってやっていただけるかどうか。その点については、慎重に考えていく必要があるだろうと思っております。
 いずれにしろ、あまり時間はこの先ないということでございますけれども、是非、現行制度の在り方のメリット、デメリットを十分踏まえた上で、これからの姿形を構想していっていただきたいと、参加する立場として、そういう期待を持っているということを申し上げさせていただきます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。白石委員、どうぞ。

【白石委員】  ありがとうございます。愛媛県の松前町は人口3万1,000ぐらいの町でございますけど、おそらく古い方は、愛媛県というと、教育について何を思い付くかといったら、勤評闘争を思い出すのではないでしょうか。ちょうど勤評闘争のときに、実は私の親父は小学校の校長でして、毎晩のように先生が押しかけてきて、「校長、勤評なんていうのはとんでもないことだ」というような話を夜な夜なしているのを子供心に聞いたことがありますけれども、そういう愛媛県の松山市のすぐ隣にある町です。
 私が最初に町長になった頃は、確かに学校へ子供たちに話しに行こうにも、学校長がなかなか呼んでくれないんですね。学校へ町長が来ては困ると。何で町長が学校へ行って子供たちと話ができないのかなと随分私も悩んだんですけど、だんだん年が経つにつれ教育委員の委員も代わってきますし、今5人いる委員は、私が実質的に選びました。議会が同意するわけですけれども、教育長になる人間も私が実質的に選んでおり、小学校の校長OBと中学校の校長OB、それから県の行政の部長級の職員と、町の方から総務課長を経験した職員を1人。それから、あとの1人は40歳代の女性でして、実際に自分で会社を立ち上げて、IT企業の経営者をしている。この5人で今、構成しています。ここ4、5年、やっぱり随分変わってきました。
 確かに教育長の権限や教育委員長の権限、あるいは教育委員会の在り方については、ここにありますように非常に課題が多いわけですから、これは当然、現場の現状を是非分かっていただいた上で、やっぱり教育の中立性をしっかり守りながら議論していっていただきたいと思うんですね。
 ここ3、4年、町長と教育委員5人、それから小学校、中学校の校長を合わせて6人、このメンバーで年に4回、意見交換会をしています。議会が終わった後に、議会で教育問題というのは出てきますので、それを踏まえて意見交換をするようになりましたら、随分風通しがよくなりました。
 ただ、どうも現職の校長の物の言い方、発言内容が、なかなかしっくりしていないんですね。私が「公表するわけでもないので、とにかく好きなことを言ってほしい」と言っても、なかなか滑らかにならないんですね。いろいろ聞いてみますと、確かに教育行政は中立で、しかも町村は町村なりにやってはいるんですけれども、やはり縦割りの県教委の見る目、その後ろに文部科学省がいるかどうかは分かりませんけれども、そういったことを何か気にしている部分が非常に強いんですね。
しかし、そういう中でも、去年は少年立春式で、ある中学校の校長が、是非町長、子供たちに話をしてほしいと言ってきました。
  だから、やればできるんだろうけれども、なかなか踏ん切れない部分が、目に見えない力としてあるのかなという感じがいたします。
 そういう中で、町長が任命するというのは現実に今も同じなんですね。町長が選んだ教育委員候補者が議会の同意を受けてなるわけですから。それをすっきりするか、しないかは別として。
 ただ、もう少し地域の小中学校、あるいは教育委員が自由に子供たちの育成、指導に当たっていくという、それが一番、私は大事なことだろうと思います。これは決して縛れるものじゃないんです。できるだけ自由度を高めて、それぞれの学校、あるいは地域の教育委員が中心になって子供たちを育てていくことが一番、私は好ましいだろうというふうに思います。
 先ほど説明のあった二次提言のポイントの中で、3ページに教育行政について指摘されている課題で、例えば「地域住民の意向を十分に反映していない」というところがあります。「直接選挙で選ばれる首長との意思疎通、連携」というのは、これは今言ったとおりです。
 私の町の教育委員は、5人のうち2人は学校のOBですけれども、あと3人は違います。
 「事務局職員の多くは教育関係者やそのOBが占め」とありますが、私の町は全くおりません。全部、町の職員です。これは異動によって、町事務局から議会の事務局に行ったり、あるいは教育委員会事務局に行くわけですから、こういうようなことは、もちろん町村によってはあるかもしれませんけれども、全てがこうではありません。全く教育委員の事務職員は動かないんじゃありません。全部異動する中で、たまたま事務局に異動で行くということです。
 そういった意味でも、現状の教育委員会、あるいは教育委員について、是非認識をしていただいた上で議論を進めていただきたいというふうに思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 あと30分ちょっとしかないので、あと半分の委員の方に発言、是非していただきたいので、少し時間のことを意識しながらご発言頂ければと思います。竹原委員、よろしくお願いします。

【竹原委員】  竹原でございます。私、多分この中にいらっしゃる方と少し立場が違いまして、本当に市民として参加させていただいております。アメリカやフランスや日本で子供を3人育てまして、そのとき市民として教育委員会とどう関わったか、学校現場とどう関わったかということを生かしながら、今、平成17年度から、横浜にあります学校の中にあるコミュニティハウス、小さな公民館のようなところで館長をしながら、コミュニティ・スクールの推進と学校支援地域本部の事務局を担っております。
 そこで、この9年間、最初はこのコミュニティ・スクールとは何ぞやということで迷走した会議もありましたけれども、9年たって、市民の方、企業の方、それから教職員の方も、この新しいやり方、新しい学校づくりというものに、ようやく理解が進んできたかなというのが、この1、2年の実感です。特に昨年ぐらいから会議はうまくいきますし、先生方の気持ちも大分変わってきました。
 そこで異なった文化、今まで学校文化にはなかった文化に出会い、市民も学校というものを、違った文化だけれども受け入れながら一緒につくるということにできてきたと思っています。
 そして、そこで考えるのは、教育委員会事務局というのの役割なんですけれども、今まで私、4年間、教育委員会事務局に生涯学習支援の担当職員として座ったこともあるんですけれども、やはり日常業務や危機管理に追われてしまって、政策をつくるとか、方向性を示すとか、何か評価をして、さらに良いことを積み重ねるというところはほとんど見えなかったんですね。やはり、とても忙しい、巨大な都市だということもあります。
 その地域や学校の努力ではできないことを解決していくのが教育委員会であり、教育委員会事務局の実行部隊だと思いますが、そこがうまく機能するために、どういうふうに制度設計をするのかというのがこの議論ではないかと思って参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょう。明石委員、どうぞ。

【明石分科会長代理】  今回の第二次提言は、私、基本的には賛成です。ただし、比留間委員がおっしゃったように、これまでの委員会制度のいいところとまずいところというのを本気で点検していきたい。
 教育長の権限というのは、貝ノ瀨委員がおっしゃいましたように、本当にあるのですよ。校長、教員は教育長の方に顔を向けています。教育委員のことは、あまり知りませんよ。誰が教育委員なんて、ほとんど知りませんから。
 そうすると、教育長は権限があるし、実質あるから、法的に、条例的にはっきり明文化するというのは大事です。問題は、教育委員会の在り方の権限をどう明文化するかというのが今ないから非常に困っております。
 例えば千葉市でいいますと、この4月からは教育委員は、月給制でなくて日当制になりました。農業委員とかそういう方は月給制で、教育委員は暇だろうと。それで日当制なんですね。それが選挙管理委員と同じ扱いになるのです。選挙管理委員会は仕事詳しく知りませんけど、4年に1回選挙しかないのではないでしょうか。教育委員会はその人と同じ扱いということになります。それで良いのでしょうか、というのが私の意見です。比留間委員がおっしゃいましたけれども、審議委員で持っていくのか、それとも委員会的な色合いをもたらすのか。また、帯野委員がおっしゃいましたように、職務内容を明文化していくことが大切になります。アドホックな入学式、卒業式に出るとか、それ以外の日常的な業務内容を明文化して権限を付与するということをやっていかないと、ますます教育長自身が肥大化して、それで上手く機能していかない面もあります。そういうことを含めて、制度的に検討していきたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。辻委員、よろしくお願いします。

【辻委員】  私は専門が行政学ということで、行政制度、自治制度全体の中での教育がどうなのかというのを皆さんと一緒に審議していきたいと思っています。
 地方自治ということを考えますと、その原点、骨幹にあるのは、やはり義務教育制度。義務教育制度のために地方自治が出てきたというところも過言ではないと思っていますので、今回、この教育委員会制度をどう変えていくかということは、まさにこれからの地方自治をどうするのかとイコールだと思っていますので、しっかり、いい制度にしていきたいなと思っているのが一点です。
 それから、付随にして二点目としましては、最近いろいろ大きい制度改革物が出るんですが、議論は盛り上がるんですけど、なかなか実際の改革までいかないということもありますし、その一方で、議論しているときはあまり大きい改革じゃないなと思っても、実際改革してみると、その後の実効性が極めて高いという改革もありますので、今回の改革も、これは議論だけで終わることなく、本当に現場にも喜ばれる実効性の高い改革、どうやったらできるのかということを是非考えていきたいというふうに思っています。
 それから、これに付随して三点目。私、教育が専門というわけではないんですが、それこそ、まだ子供が小さくて、公立の小学校に2人いて、来年も1人、多分上がりますので、3人もいるので、私も、どちらかというと教育の受益者の観点を持っているんですが、今回、ふだん見ると、一保護者から見ますと、教育長と会うこともごくまれで、校長先生と会うこともまれで、やっぱり現場の担任の先生と接するのが一番多くなりますので、そういう観点からしますと、今回の教育委員会制度の改革というのも、やっぱり現場でいろいろ教育をやっている人の努力が報われるような制度、こういうようなものを骨格に作って、それが担保できるような教育委員会制度にしていくというのは、私は非常に重要だと思っています。
 先ほど愛媛県の過去の不幸な経緯を述べられましたが、地方公務員の中でも一般的に人事評価をタブー視する傾向があって、特に教育の世界の中では、最も神経を細やかに使わなきゃだめな領域ですが、私はこれだけ教育が難しい時代になってくると、能力と実績に応じて的確に人事評価をしていくという制度は、どうしても必要になってくるというふうに思いまして、この人事評価を的確に運用していくためには、給与負担者と人事権者を統一するということもありますし、助言の範囲内でいいんですけど、もう少し、助言を、文科省の方からもやっていくというようなことなんかも含めて、現行の制度の中でできる努力と、それから制度を変えていかなきゃならないところと、これを、しっかり踏まえて議論していくのが重要じゃないかなというふうに思いました。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょう。

【露木委員】  全国連合小学校長会の露木でございます。多くの教育委員会、また首長さんの委員の皆さん方が御意見いただいたところで、なかなか学校現場からの声が今のところ出ていないようですので、かなり具体的なところで感じていることをお話しさせていただきたいと思います。この教育委員会制度については、御提言されていることについては、基本的にはよろしいのかなと。
 具体的にどういう制度をつくっていくかという点で、例えば今、東京都では授業時間数を確保するという意味で、土曜日に教育課程に位置付けて授業を行っている学校が、小学校でいいますと4割近くございます。これは教育再生実行会議においても土曜日の活用ということは提言されているわけで、私なんかは別に反対しているわけでも何でもないんですけれども、例えば、ある自治体では当初、授業時数を確保するために、じゃあ、夏休みを1週間短くして授業時数を確保しようということで進めていたんだけれども、教育長が替わったところで、いや、夏休みはもとに戻すよ、そのかわり土曜日授業しようよというふうに、ころっと変わるわけですね。そうすると、学校現場としては、せっかく、じゃあ、夏休みを短くして、教育課程を組んで進めていこうということを何年かやったところで、急に教育長が替わられたら変わってしまった。となると、教育課程の組み方含めて、いろいろ、また改めてやらなければいけないということが出てきたりするわけです。
 そういう意味で、先ほどから中立性、安定性、継続性ということが言われているわけですけれども、そういう意味でのぶれない施策というんでしょうか。やっぱり学校教育の教育委員会というのは一番の推進役なわけですから、ぶれないような教育施策が続いていく、そういう制度を設計していただきたいなというのが一番大きな点でございます。
 それから、もう一点、人事行政についてでございますけれども、広域化を担保しつつ、市町村になるんでしょうか、人事権というものを移譲していく、渡していくということでございますけれども、なかなか実質的には広域化というのが進み行きにくいのではないかなと。やっぱり各区市町村にしてみると、こういう言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、いい先生は自分の地区に置いておきたいわけで、いい先生を外へ出したいかなんて誰も思わないわけですね。その中で広域化を進めるといっても、なかなかうまくいくんだろうか。
 そういう意味で、市町村に人事権を移譲することはいいわけですけれども、その広域化を担保しつつということで、その辺が、やはり制度的に設計する際に、そういうことも配慮されたような制度化をしていただけるとありがたいなというふうに感じているところでございます。
 以上です。

【小川分科会長】  今、小学校長会の露木様から御意見がありましたので、中学校、高校の校長会もいらっしゃいますので三町委員、そして及川委員という順でお願いします。

【三町委員】  直接行政の方に携わっていらっしゃる委員の方々のお話を聞きまして、改めて私、勉強させていただいたところでございます。全日本中学校長会という立場というか、校長として今回の二次提言をというときに見たときに、賛成、反対というよりは、ある意味で、現状でも実態として取り組まれている自治体もかなりあるなということ、それを感じたところでございます。
 特に提言の第一については現状を整備しようという方向だろうと思いますが、やはり気になっているところは、その中立性の問題です。教科書採択のお話ございましたけれども、ある首長さんになって、そのときの教育長との関係との中で、いわゆる教育の内容について我々校長、学校は基本的に学習指導要領に基づいて教育を行うわけですがそこに対する立場が違うようなことがあった場合ということは、やはり常に懸念をしているところでございますので、そういうところを議論していただく必要があるかなと思っています。
 それから、人事権に関わっても、先ほど東京都の例がありましたけど、東京都でも様々な形で、広域人事といいながら、逆に公募制もとり入れてあったりと、都内各自治体における公募制によって一定の人材を確保する、東京都のやり方など、そういう人事行政を行うといった具体的な形でかなり進められておりますので、こういうものとの整合性をどのようにとっていくのかの議論を期待したいと思っています。整理していくことで、学校にとって、特に校長にとって、自分の人事構想に基づいた学校経営を推進していく、そのための支援になっていただけるとありがたいかなというようなところがあります。
 最後に学校と保護者、地域との関係というところでコミュニティ・スクール等がありますけれども、やはり、こういう制度を進めていく方向性、これは大事なことだと思います。しかしこれも学校独自に、じゃあ、うちの学校で頑張ろうということではなかなか進まないものであり、これは地区の教育委員会が推進する方向性の中で、さらにそれを主導的に体制づくりも含めて具体的に進めていくことが大事なんだろうな。そういう意味でのことも含めて議論をしていただけたらありがたいかなと思っているところでございます。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 次に、及川委員、お願いします。

【及川委員】  ありがとうございます。私は東京都ですので、先ほど比留間教育長、比留間委員がおっしゃったことについて、学校から見た具体的な例をちょっとお話ししたいんですが、昨年、都立高校では、私の学校もそうですけれども、推薦入試というのを行っています。学力選抜の前に推薦入試を行っています。ところが、今行われている推薦入試の選抜方法で、ほんとうに各学校が採りたい、選抜したい中学生を選抜できているのか。形式に走っているのではないかという指摘が教育委員の方からありました。本当に各学校が、こういう中学生を採りたいんだということを明確に発信する。そういう選抜を行うべきであるということで、それは昨年だけではないんですけれども、教育委員が何年も前から、問題提起を行っておりました。
 それで、昨年、具体的に推薦入試の仕方が大きく変わりました。私自身、校長として、今まで推薦入試というのはルーティンでやっていた部分があるわけです。本当に本校が採りたい生徒を採る推薦入試をやっていたのかどうかということを昨年、教育委員の方から問題提起をされて、大変考える機会になりました。具体的に大きくやり方が変わって、実施する側としては大変な状況になったんですけれども、ただ、そういうことができたということは大変良かったなというふうに私は思っています。
 そういう教育委員が教育の在り方について、まさに発言をしてくださる。そういう仕組みが、現行の教育委員会制度でもできることだというふうに受けとめ、教育委員会制度を変えたときに、今申し上げたような、教育委員が教育の内容について、もっと見識を持ってリードしてくださる、そういうことがより可能になってくるのかという視点から考えさせていただきたいと思っています。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、高橋委員。そして、その次、武田委員ということでよろしいですか。

【高橋委員】  教育委員として制度をどう考えるかということで、教育長さんが責任をとる体制にしていくことは、いいことだと思います。その中で私は前回の総会でも申しましたが、教育委員は社外取締役のような役割だと考えます。今後教育委員の役割を決めていく時に、実はどのような情報を教育委員会事務局が出すのかということに大きな責任もあるというふうに思います。情報のないところでは判断ができません。どういう情報を出す必要があるかについて話し合って、そして何を判断するのかということを明確にこの制度の中で示すことができればと考えております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。武田委員、よろしくお願いします。

【武田委員】  ありがとうございます。ちょっと専門的な意見はなかなか言えない立場なんですけれども、これまで続いてきた制度を変えて、子供を預けている保護者の意識を吸い上げる制度に是非していただきたいというのが、まず一番の我々の思いでございます。事が起きたときとか、そういったときの対応において、その責任が明確であるというのは非常に我々も望むところだなというふうに考えております。
 反面、64年続いてきた制度ということもあって、この制度、ある程度、各地方行政の方は使いこなしているという面があると思うんですね。要するに、この形で良好に進んでいるという部分も確かにありますので、そこの検証はきちんとしていただいた上で制度改革していただきたいということ。
 また、やはり地域性というのは、これは教育を考えるとき考慮しなくてはならない部分だと思っています。要するに、人口が多いところ、少ないところ、ある中で等しく教育をしていただきたいという思いがありますので、例えば人事権のことなどにおいても、きちんと制度を変える部分と、ある程度幅を持たせて、選択するような幅があるような形でも、私はよろしいんじゃないかなという気持ちがいたします。
 また、住民の意向ですとか保護者の意識を吸い上げる一つの重要なルートということで、コミュニティ・スクールや学校支援の制度の推進ということをうたわれておりますけれども、これは私も非常に理想的な形だなと認識をしておりますし、是非そういう方向に進んでいただきたいんですけれども、ただ現実的には、やはり、この制度を導入している学校というのはまだまだ少ないわけでして、特にコミュニティ・スクールなどは1割を目指すというお話でしたけれども、残り9割の学校の現状をきちんと吸い上げる形でなくては、やはり制度的には問題があるんだろうと考えますので、その辺のところも是非取り込みながら進めていただければなということを考えております。
 以上です。

【小川分科会長】  あと吉田委員と村上委員にお願いできますか。

【吉田委員】  吉田でございます。私の場合、私立学校という立場ですので、全然見方が違うのではないかと思いますけれども、今までのお話を伺っていて、何しろ教育委員会という組織は、我々私立学校で例えると、理事会に当たる部分になると思います。
 そういう意味でいいますと、あまりにも下部組織というか、学校数が多過ぎる。そして、そういう中で今回、任意で選ばれた市長が教育長を選ばれるということですけれども、本当に教育長に全ての責任が上がってきて、それを本当に責任をとれるのであろうか。今現在も実際には、例えば現場の担任の先生、そして教頭先生、校長先生、それぞれ何か事件があったときに、本当に必死になって取り組んでいらっしゃると思うんです。しかしながら、だからといって校長先生が、我々と同じ立場で、何かあったときに担任の先生に、私が責任とるから、しっかりとやるべきことをやれと言い切れるかどうか。そういった責任の権限というものが、いくら校長といえども、やはり、ないのではないか。人事権というか、そのもとは、やはり教育長になります。
 ですから、せっかく一生懸命やっていても、やはり教育長やその他の場所において何らかの形で、それは意見を控えろ、公表を控えろうんぬんということだってあると思います。やはり、そういうそれぞれの立場ということを考えると、組織があまりにも大き過ぎるために、不透明になっている部分もあるのではないかと思います。
 そういう意味では、先ほど比留間教育長がおっしゃったメリット、デメリットをもう1回実証してほしい。私も、これには時間がかかるかもしれませんけれど、本当に全てが悪いのかどうか、それはしっかりやらなければ、せっかく一生懸命やっている先生たち、現場の人たちが全て潰されていく可能性があるのではないか心配です。
 地域ということもありますけれど、私は地域の方々というのは、公立学校というのは、税金で賄われている学校ですから、その学校を支えるために、コミュニティというのは協力する場所じゃないかと思います。それは干渉するところではないのではないか。
 私立学校は、逆にどうかといえば、保護者会とか、PTAとか、組織があるわけですけれども、そういう人たちの意見をくみ上げながら、それぞれの子供にとっていい教育をやっていこうという意味では、いい意味での干渉はあるかもしれません。ただ、それは受益者負担という部分もあるからかもしれません。
 そういう中で、やはり私は、せっかく首長がそこまでの責任をとれる教育長を選ばれるのだとしたら、教育現場がいかにやりやすいようにできるか。そして、教育の基本は、やはり国です。国がその基本を、この21世紀の社会資本とも言える子供たち、少子高齢化の子供たちに良い教育しようとする部分があるのだったら、その子供たちにとって良い教育を定め、それを下におろしてやっていこう。いかにお互いが協力していくのかであって、その協力を阻害する部分を何とかして排除することも、逆に教育委員会のお仕事になるのではないかなという気もいたします。
 そういう意味では、私は今の制度が悪い云々とかということよりも、制度を変えると言っても、そんなに急にできることじゃないと思うので、いかに効率よく子供中心に考えていけるかということを討議していくべきではないかなという気がしております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
最後になりますけど、村上委員、お願いします。

【村上委員】  東京大学の村上です。私、研究者でして、専門は教育行政なんですが、教育学と行政学、地方自治、両方の視点からを見るということを心がけております。
 その点から、ごく簡単に三点ほどなんですけれども、一点目は、責任の明確化というところは確かに現行制度では曖昧なところがありますし、いじめとか様々な問題の対応を見ていても、やはり、ある程度責任を明確にして、その対応を決めていくということは必要なことではあるとは思います。
 ただ、やはり、よく言われるのですが、教育というのは長期的に成果が出るというか、短期的にはなかなか見えないところがありまして、そうしたときに、責任者を決めておけば、もうその人が責任をとればいいというふうにはなかなかならない。つまり、20年後、30年後に、教育の何か施策の成果とか、あるいはそのデメリットが出てきたとしても、そのときに、じゃあ責任をとれるのかというと、そのときの責任者はなかなか、その何十年後かに責任をとるということは難しいのも事実なわけです。
 ですので、短期的な責任という意味では、もちろん責任者を決めておくことは有効なんですけれども、なかなかそれだけで全て解決するかというと、そんなことはなくて、やはり責任者を明確にすることプラス何か別の仕掛けというものを、制度的な仕掛けなりプラスアルファというものも必要なのではないかということで、短期的な責任だけではなくて、長期的に見たときの責任をどう考えるのかということも検討する必要があるのではないかというのが一点目です。
 二点目は、それに関わりまして、その責任の明確化ということになると、やはり独任制の方が確かにはっきりしていて、個人が責任を持つということではっきりできるとは思うんですけれども、一方で合議制の良さというものもある。これは先ほど来、今の制度のメリットというところでも出てきている話だとは思うんですけれども、責任を長期的には、なかなか独任制でもとることは難しいということも含めますと、やはり合議制の良さというもの。今、やっぱり昨今、合議制の教育委員会の在り方というのは批判の対象にはなりがちなんですが、そこには何かメリットもあるわけで。つまり、この審議会も合議制なわけでして、やはり合議制には合議制の良さというものがあるのではないかと。
 そこで、やはり諮問機関なのか、執行機関なのかということも含めて、どちらをとるかによっても合議体の良さというものは変わってくると思いますので、そうした合議制の、もちろんデメリットも含めてなんですけれども、その合議制のメリット、デメリット、それから執行機関と諮問機関と考えたときに、一体どういうふうなメリット、デメリットがあるのかということで、合議制の在り方をしっかり考えていく必要があるという、独任制だけが全てじゃないということが二点目です。
 三点目は、事務局の在り方で、事務局でやはり難しいのは、小さいところは教育の専門家とか教師の出身の方が少なくて、教育長さんぐらいしか教員出身者がいない。一方で、大きな自治体になると、今度は、やはり教育職の出身の方と行政職出身の方の意思疎通が、組織が大きくなる分、なかなか難しくなるということがありますので、特に教師出身の方と行政職員出身の方が事務局でどのように連携、協力していくのか。この辺は人口規模によっても違ってくると思うんですけれども、そうしたことを中心に事務局の在り方も出てきて、お話にも出てきておりますが、やはりこの会議の中で検討する必要があるのかなと思います。
 あと一点だけ付け加えさせていただくと、議会の関与の仕方、地方議会の関与の仕方とかチェックの在り方というのも、やはり見ていく必要があるのかなと思っていて、執行機関をチェックするのは議会の一つの役割だと思うんですけれども、首長部局は議会がチェックをするんですけれども、何か昨今の、最近の動向を見ていても、教育委員会に関して議会のチェック機能というのがなかなか働きづらいという現状があって、この辺は制度的にはこの会議で扱うのは難しいのかもしれませんが、何か一応考えておく必要があるのではないかということを思っております。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今日は短時間でしたけれども、出席の委員全員から一言ずつご意見を伺ってみました。これを踏まえながら、また次回以降、幾つかのテーマごとにヒアリングしながら、論点を少しずつ明確にして、個別の議論を深めていけるような形で今後進めていきたいと思っています。
 せっかくの機会ですので、大臣と政務官の方から一言ずつ、皆さんのご意見を伺った上でのご感想、ご意見をお話ししていただければと思います。
 それでは、大臣からよろしくお願いいたします。

【下村文部科学大臣】  委員の皆様方から積極な御提言、あるいは御議論の今後の方向性等、提示していただきまして、ありがとうございます。
 まず、お手元にあります教育再生実行会議の第二次提言でございますけれども、教育再生実行会議と、それから中教審は屋上屋を重ねる議論をするということではなく、それぞれの役割分担を明確にするということの中で、教育再生実行会議の方は、あくまでも方向性について問題提示をしているということでございます。
 それを受けて今後、中教審の中、さらに深掘りをした、あるいは柔軟な御議論をしていただきたいというふうに思いますが、同時に今、国会の方でも、今国会で、この教育委員会の抜本改革案、法律改正案が二つの野党から既に提出、あるいは提出予定でもある中、各党も、野党問わず、この教育委員会の在り方については現状良しと認識しているところは国会でほとんどあり得ないというふうに思います。60数年たった中、やはり形骸化している中で、どうこれを制度設計をしていくか。
 ただ、ここでの議論にもつながってくると思いますが、教育委員会の在り方を議論をするということは、同時に学校の教育についてもノータッチではあり得ないわけでありまして、校長の権限や、あるいはそもそもの学校における教員の在り方等も同時に影響してくるわけでございまして、そういう意味で、まずは教育長、あるいは教育委員会が権限と責任について、明確化の中でどういうふうに位置付けるかと。現行の教育委員会制度について、制度改革をするとして、どこまで議論しながら着手するかについては、これは是非、中教審の中で、さらに深掘りした中で御議論をしていただきたいというふうに思いますし、当然、いじめの問題も冒頭、橋本委員から御質問あるいは御意見がございましたが、教育委員会制度を改善する中で解決できることではなくて、教育全体の中で、どうトータル的に取り組むかということの中で定まってくるものであるというふうに思いますし、そういう中で、都道府県の教育委員会の在り方と、それから市町村の教育委員会の在り方も違ってくるというふうに思いますし、その場合も人事権の在り方、あるいは市町村における広域化の在り方についても是非御議論をしていただきたいというふうに思います。
 それから、現行の教育委員会におけるメリット、デメリットというお話も複数の委員の方々から御指摘をされましたが、我々も全否定をしている議論を国会なり、あるいは今まで教育再生実行会議の中で議論してきたわけでは、もちろんありません。ですから、それを、いい部分はどう生かしながら、しかし、より国民の期待に応えられるような制度設計はどうなのかということでの議論ということでございます。
 一つ、国会でもよく質問された中で、例えば教科書採択の在り方について、必ずしも民意と実際の教育委員会の採択が相当ギャップがあるのではないか。これは教育委員会の制度そのものが、例えばそういう一つ一つの教科書採択までチェックできるような体制になっていないのではないか。それから、併せて事務局の在り方についても問題があるのではないか。こういうようなことも相当国会の中で、質問の中の教育委員会に関係する部分で項目としてあったということについても指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、あくまでも、この教育委員会の抜本改革案は、中教審の議論、マターということでございますので、これから、それぞれの多岐にわたる分野でございますが、精力的に御議論いただきながら、しかし来年の通常国会では法律改正案を、これは政府として出したいと思っておりますので、是非それを前提として国民に理解をいただきながら、また、この教育委員会制度を議論することによって、併せて我が国の教育制度についても抜本改革案にもつながっていくような、そういう先導的な、この教育委員会制度の見直しについて是非御議論を引き続きしていただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 義家政務官、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 初回の会合、これで時間も来ましたので終了させていただきたいと思いますけれども、今後の進め方とすれば、今日多くの委員の方から出されたように、まず、制度設計をしていく前提として、現状をしっかり検証する作業の上に、見直しの制度設計の審議を進めてほしいという意見が非常に多かったと思いますので、次回以降、少し実情をしっかりみんなで共有し、実状がどうなっているのかという作業として、委員の中には都道府県、市町村の関係者の方、また学校の関係者の方、また行政や教育行政の専門家もいらっしゃいますので、それぞれの領域から何人かずつ御発表いただいて、それを踏まえて課題を整理して、それ以降、個別のテーマごとに議論を深掘りしていくという、そういう進め方にさせていただきたいと思います。
 では、事務局の方、その今後の進め方を含めて、次回以降の日程等についてご説明あれば、よろしくお願いいたします。

【西田企画官】  資料をご覧いただきますと、これまでもいろんなところでスケジュールの話、出ましたけれども、本日、分科会初回ということで、来月以降、月2回程度開催をして、御審議をいただければと。秋頃に中間まとめ。その中間まとめを受けて、関係団体等からの意見聴取も経つつ、年内に答申をいただき、来年の通常国会の法律改正案の提出につなげていくようなスケジュールをお願いできればということで、資料にまとめてさせていただいております。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございます。では、他にないですね。
 それでは、これで今日の会議を終わらせていただきます。ご苦労さまでした。また政務官、ありがとうございました。

 

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