教育制度分科会(第22回)・初等中等教育分科会(第52回)合同会議 議事要旨

※この議事概要は、事務局の責任においてとりまとめたものであり、今後変更の可能性があります。

1.日時

平成19年3月10日(土曜日) 13時30分~17時30分(うち休憩時間1時間)

2.場所

学士会館 2階 210号室

3.議題

  1. 「教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正について」(答申)(案)について
  2. その他

4.議事要旨

総論について

  • 高校の必履修科目の未履修の問題は、学校のみならず、大学入試の改善を含めた社会全体の在り方の問題として捉えるべき。
  • 社会総がかりで教育に取り組むという議論は深まっている。教育委員会、学校の在り方からさらに教育の本質、社会の在り方まで幅広く議論されたことを書いてほしい。

学校教育法の改正について

  • 特別支援学校については、昨年の法改正で目的が既に改められており、特別支援学校の目的についても明確にしてほしい。
  • 今後教育課程部会において、義務教育の目標の明確化を踏まえた小・中や中・高といった学校間の円滑な接続について、学習指導要領の在り方も含め検討を深めることが必要。
  • 改正教育基本法の教育の目的にある「平和的で民主的な国家及び社会の形成者」を育成するといったいわば国家観は重要。
  • 高校の立場から、今回義務教育の規定ができることにより小・中の連携が進み、中1プロブレムなどの課題が改善されることを期待。
  • 幼児期の教育全体の充実の観点から、幼稚園だけではなく、保育所や認定こども園についても教育内容や小学校との接続について考慮する必要。

教育職員免許法等の改正について

  • 不適格教員を一日も早く退出させることも重要。明確に書けないか。
  • 優れた教員を表彰することは重要。それが触れられていない。
  • 30時間の講習の中身が重要。座学だけではなく、企業研修やボランティアなどを取り入れられないか。
  • 「指導が不適切な教員の人事管理について、児童生徒への影響を第一に考え」としているが、幼稚園の教員は入らないのか。入るのであれば、幼児児童生徒とできないか。
  • 「不適格教員を一日も早く退出」という表記では、いかにも教員は不適格な人が多いという誤解を与える。好ましくないのではないか。
  • 複数の免許状を有している者の取扱いについて、しっかりと検討して欲しい。
  • 講習の内容が重要。現在、普通の学校においても特別支援学級を設けることができることを考えると、すべての教員に特別支援教育に関する内容を加えてはどうか。
  • 現在、教員の職場環境が厳しくなっている。できれば教員の増員を検討して欲しい。
  • 教員には、自分で自発的に研修計画を立てられるような能力が必要。画一的な講習でなく、地域の実情に応じた講習を設け、教員自らが積極的に参画していくという意識を持てるようなものにして欲しい。

地方教育行政法の改正について

  • 国が関与を創設することは、地方分権に逆行するものであり反対。また、専門家チームの報告を参考というのではなく、専門家からなる調査委員会の仕組みを設けることを前提に指示を出すとすべき。関係団体のヒアリングでは制度改正に賛否の意見が相半ばしており、パブリックコメントでは、多くの反対意見があったことを明記すべき。
     私学については、助言・援助であっても、私立と利益相反関係にある教育委員会が関与することは不適切である。
  • 分権が進めば進むほど責任も下りていくので、自治体ごとの自浄作用がもっと働くような制度を構築すべき。教育の立場から、リコール制度の見直しなど、地方自治全体について意見を中教審が言っていくべき。
  • 地方が当事者意識を持って創意を生かせることが大切。国の関与については、手続きの透明性を担保した上で認めることが適当である。極めて異常な事態が続き、是正勧告をする場合、文部科学大臣が首長や議会にその旨を説明伝達し、情報共有させることで、地方自治の機能の正常化が図られることが必要。私学について、利益相反関係だから教育委員会が関与するのはおかしいという理論は、認定こども園の例でわかるように、通用しない。
  • いじめ、未履修は、現行の地方自治法下で起きたのであり、何らかの国の関与が必要。
  • これ以上、都市と地方の格差が広がらないよう、やはり教育は国の責任で全国津々浦々までやることが原則。地方分権に反するかもしれないが、国の関与を強めるべきだ。
  • 答申は全体としてこれまでの議論がよく反映し、バランスのとれた記述となっている。専門家委員会の報告を前提にすべきとの意見があったが、これまでの議論でも前提とするというはっきりとした意見はない。
  • 建学の精神の存在、先駆的な取り組みの実施を理由に、教育委員会の関与を認めるべきでないとの意見があるが、未履修は受験教育への偏重から起こったもので別問題と考えられる。私学についても、履修に関する最低限のチェックは必要で 、公教育としての責務を果たすようにしなければならない。
  • 万が一のことが起こった時のために、国が関与すべきであり、それが教育に対する安心感につながる。
  • 国の責任の果たし方は、指示等に限らず、日々の指導・助言もある。その上で、国の関与を前提としつつ、地域が主体性・自主性を発揮することが重要。
  • 教育委員会の共同設置など広域で行政事務を行うことは、まさに地方公共団体が決めることであり、努力義務であってもなじまない。
  • 教育行政は結果に責任を取ることが大切であり、国と地方による責任の共有ということを明確にしてほしい。
  • 国の責任の果たし方についてはこの案に賛成。いじめ・未履修の問題が起こった時、その後の対応の仕方について、現場は国の方針が出るのを注視していた。
  • 国が指示を出す場合の発動要件については、法律を作る中での専門技術的なことなので、あらかじめ縛るような文言にせず、原案のとおりでよい。
  • 教育委員会の評価の結果を議会に報告する旨の記述があるが、自浄能力を高めることが必要であり、結果を議会で報告することは、既に議会のチェックを受けていることから不要。

‐休憩‐

修文答申案を受けた議論

  • 先ほど私が述べた修正意見の多くが反映されず遺憾。再考を求めたい。
  • 先ほどの意見がバランスよく反映されているので、この修正案でよい。
  • 自治体が自律的に問題解決することが重要で、中教審の今後の検討項目として、自治制度全体の点検を盛り込んでほしい。
  • 修正案を支持する。校長として子どもたちが安全に教育が受けることができることが望んでおり、国の関与に賛成。
  • 修正案に賛成。
  • 意見の「多数」や「強い」かは、分科会長のご判断にお任せしたい。
  • 皆さん、この修正案でよろしいか。

<会場より、異議なしの声>

  • ありがとうございました。
  • 私は了承しない。
  • 了承しないとの発言があったことは議事録に残す。1名の委員は「了承しない」との発言だったが、全体として了承ということでこれを結論とする。

(以上)

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