3.全国特殊学校長会

平成16年9月17日

中央教育審議会教育制度分科会
地方教育行政部会長
鳥居 泰彦 殿

全国特殊学校長会
岸本 啓吉

中央教育審議会教育制度分科会地方教育行政部会における審議についての意見

 貴部会における精力的な審議に敬意を表します。
 現在、これまでの特殊教育から特別支援教育へと大きく転換し、障害のある子どもたち一人一人のニーズに応じた教育を推進することと、地域において生涯にわたる支援体制を整備していくことが重要な課題となっております。全国特殊学校長会としましても、福祉・医療・労働等の関係機関と連携して「個別の教育支援計画」を作成し、平成17年度には全盲聾養護学校で、これを実施すべく鋭意努力しているところです。また盲・聾・養護学校は、小・中学校の特別支援教育を推進するセンター的役割を果たすべく、通常学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の支援を含め、多様な機能を高めております。
 教育改革を着実に進め、特色のある教育を主体的に実現していくために、教育委員会制度を地方分権時代にふさわしく市町村や学校の裁量と責任を拡大し、保護者や地域住民の教育への参画を進めていくことが重要なことは言うまでもありませんが、特別支援教育を推進するためには、義務教育と同様に、ナショナル・スタンダードを示して、全国的な特別支援教育の水準を確保することが必要です。そのためにも、各地方公共団体において直接教育改革に当たる教育委員会の役割を強化し、教育委員会の指導や支援を積極的に行うことが重要であると考えます。
 「教育委員会の在り方に関する論点の整理」(教育制度分科会)における項目に対応して、下記のように意見を申し述べます。

1 全国的な教育水準の確保について(1-(2))

 義務教育と同様に、特別支援教育についても、ナショナル・スタンダードを明示して、全国的な特別支援教育の水準を確保することが必要です。

2 教育長、教育委員会事務局の在り方について(2-1-(7))

 学校が障害のある子どもたちの実態に応じた専門的指導が行えるよう、特別支援教育専門の指導主事の配置等による学校支援体制の整備が必要です。また、特別支援教育センターの設置を促進する必要があります。さらに、各都道府県ごとに福祉・医療・労働等関係部局と連携した広域特別支援連絡協議会等を設置し、各市町村や「障害保健福祉圏域」等における支援体制を構築するために、教育委員会の体制を整える必要があります。

3 生涯学習、文化、スポーツ等における首長と教育委員会の役割について(2-2-(3))

 障害のある子どもたち一人一人の支援を生涯にわたり地域において実施するために、生涯学習、文化、スポーツ等において、首長と教育委員会が共に役割を果たすことが必要です。

4 都道府県教育委員会の在り方について(2-3-(3))

 都道府県教育委員会の役割として、障害のある子どもたちへの理解と支援に関する一定水準の規準を示したり、市町村の求めに応じて専門の職員を派遣したり、福祉・医療・労働等の関係機関との連携を推進したりするために、その機能を充実することが必要です。

5 学校に対する教育委員会の支援について(2-4-(3))

 学校に対する教育委員会の支援として、特に、小・中学校における障害のある子どもたちへの専門的な指導・支援や交流及び共同学習の促進を行う専門の職員の配置が必要です。

6 保護者、地域住民の学校運営への参画について(2-4-(4))

 保護者や地域住民の学校運営への参画に当たっては、障害のある子どもたちへの理解や交流及び共同学習の推進や支援が十分にできるよう、障害者が地域社会の構成員として尊重されるよう配慮を求める必要があります。又、障害のある子ども一人一人の支援者として保護者、地域関係者に積極的な参画を促す必要があります。

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