2.全国高等学校長協会

全高長 第49号
平成16年9月21日

中央教育審議会教育制度分科会地方教育行政部会
部会長 鳥居 泰彦 様

全国高等学校長協会
会長 小栗 洋

教育委員会の在り方に関する論点整理」への意見

 教育委員会の在り方」について、論点整理の順番に従い、高等学校の立場からの意見を2の各論についてのみ申し述べます。
 ただ論点整理全体を通読し、2-1-(7)教育委員会の権限強化志向とII-4-(1)学校の裁量拡大は、必ずしも両立しないのではないかとの疑問があります。

2‐1 教育委員会制度の意義と役割(在り方)

(3)教育行政の首長からの独立について

 「教育の中立性、継続性、安定性を維持するために、首長から独立した執行機関が教育行政を担当」する現行制度を支持します。知事が替わるたびに教育方針や条件整備が変更を迫られる事態は、長い目で見て好ましくありません。

(4)レイマン・コントロール

 教育委員会制度発足段階でのレイマン・コントロールや合議制は充分意味があったのかも知れません。
 しかしその後学校教育制度に数々の修正が持ち込まれ、近年「学校評議員」制度、「学校運営協議会」制度などが誕生しました。
 各学校経営に対する「学校評議員」等の意見と都道府県管轄下学校一般に対する教育委員会意見の食い違い発生の可能性があります。地域性や学校の特色化に基づいた「各学校評議員」等からの意見を、今後どう尊重し取り入れていくか、検討を進めて下さい。

(7)教育長・教育委員会事務局の在り方について

 「教育委員会が執行機関として実質的に方針を決定し、事務局はその方針に従って事務を行う」ためには、数人から成る教育委員会が、実態把握に基づいた企画立案機能を持つ必要があります。教育委員会の体制が十分整っていない地域もある現状では、現行システムの運用改善が先行すると考えます。
 運用改善の中で現行路線の見直しを進め、多様化が進展している高等学校現場の実情を踏まえた方向性と学校の活性化支援策を打ち出して下さい。

2‐4 学校と教育委員会との関係および学校の自主性・自立性の確立

(1)学校の裁量拡大について(学校への権限委譲)

 中央集権から地方分権への流れと同様、それぞれの学校現場の裁量の拡大が無ければ、保護者の価値観の多様化、高校生の多様な変容に応じた教育活動が構築できません。
 また、即断即決、即実行が要請される現代、直ちに計画に着手できる状況にある私立学校と、実施までに時間がかかる公立学校との取り組みの差が拡大する懸念があります。

  • 生徒の多様化対応のため特色化が進む高等学校では、特色化推進に役立つ人材への要望、特色化に応じた予算執行への要望が高いです。教職員の人事権についての校長の権限拡大、各学校への予算の総額裁量制導入を考慮して下さい。
  • 在校生の資質能力、意欲、興味関心を勘案した教育課程編成や教育活動の内容等についても、74単位以下で卒業認定等、大枠をはずさない限り、学校の裁量拡大を進めて下さい。必履修74単位の内容には、大きな学校差が存在します。
(2)学校評価については「学校設置基準」に基づき、「学校評議員」制度の活用を推進し、当分運用経過を見たいと思います。

 小・中・高等学校への第三者評価導入は対象校が多すぎて困難ではないでしょうか。

 ※ その他意見:教員の資質向上について
 指導力不足教員対策を含め、教員新規採用に際しては特段のご配慮をお願いすると同時に、現職教員の研修に関してもご高配をお願いします。

 学校教育の質的向上は、教員の資質向上にかかっています。しかし、個人のキャリアパス形成及び実現の際、私的努力には限界があります。
 <研修の場や機会の拡大><研修時間の確保><研修の質の向上><日々の実践に直結した内容の工夫>といった研修の条件整備」促進を、教育委員会に要請します。

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生涯学習政策局政策課