教育委員が実際に果たしている役割について聞いたところ、以下のような結果を得た。平均値は、「全くあてはまらない」を1点、「よくあてはまる」を5点とした平均である。
全くあてはまらない | あてはまらない | どちらともいえない | あてはまる | よくあてはまる | 市町村平均値 | 都道府県平均値 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
政策の提案をする | 2.4% | 14.1% | 28.7% | 46.9% | 7.7% | [5]3.34 | [3]3.45 |
政策アイデアを述べる | 1.4% | 7.0% | 21.5% | 61.3% | 8.7% | [2]3.69 | [1]4.15 |
住民の教育ニーズを伝える | 0.6% | 4.7% | 23.5% | 60.2% | 10.9% | [1]3.76 | [2]3.79 |
教育問題への住民の理解を助ける | 0.7% | 7.9% | 34.2% | 50.2% | 7.0% | [3]3.55 | [4]3.03 |
住民に委員会の政策を伝える | 2.3% | 13.9% | 38.6% | 40.4% | 4.8% | [7]3.31 | [5]2.97 |
首長との調整で役割を担う | 3.3% | 16.0% | 33.5% | 38.5% | 8.6% | [6]3.33 | [6]2.93 |
地域団体との調整で役割を担う | 2.2% | 14.7% | 34.4% | 40.6% | 8.1% | [4]3.38 | [7]2.56 |
全体的に見ると、「教育政策のアイデアを述べる」「地域住民の教育ニーズを伝える」の項目について「あてはまる」との回答が他の項目よりも多い結果となった。市町村教育長調査では、「住民の教育ニーズを伝える(平均値3.76)」が第一位となっており、「政策アイデアを述べる(平均値3.69)」「教育問題への住民の理解を助ける(平均値3.55)」「地域団体との調整で役割を担う(平均値3.38)」「政策の提案をする(平均値3.34)」「首長との調整で役割を担う(平均値3.33)」「住民に委員会の政策を伝える(平均値3.31)」の順となっている。
「会議の活発度」とクロスすると、全ての項目について統計的に有意な関係が見られる。つまり、「活発」のグループが「不活発」のグループよりも「あてはまる」「よくあてはまる」と回答する傾向が強く、「全くあてはまらない」「あてはまらない」への回答が少ない。
教育委員の提案やアイデアが、自治体の教育政策に反映されているかどうかを聞いたところ、「やや反映されている(53.7%)」と「十分に反映されている(15.1%)」を合わせて約3分の2が反映されていると捉えている。人口規模別では、20万人以上の人口を持つ自治体で「十分反映されている」と回答する委員長がやや多くなる傾向がある。 「ほとんど反映されていない」を1点、「十分に反映されている」を5点とした平均は3.69である。
「活発」のグループでは「十分反映されている」と回答した委員長が21.2%であるのに対して、「不活発」では5.8%に留まっており、統計的に有意な関係が見られる。
定例的な審議事項となっているものを除いて、委員会で教育長・事務局以外から議題が発案されることがあるかどうかを聞いたところ、「ほとんどない」との回答が4割(41.5%)であった。「比較的多い(21.5%)」「非常に多い(1.5%)」を合わせても2割をやや越える程度に留まっている。平均値は、2.72である。人口規模との関係は見られない。
「活発」のグループで「非常に多い」「比較的多い」を併せると約3割(29.4%)となるのに対して、「不活発」では1割強(13.1%)に留まっており、統計的に有意な関係が見られる。
委員会の審議で教育長や委員長が果たしている役割について聞いたところ、以下のような結果が得られた。平均値は、「全くあてはまらない」を1点、「よくあてはまる」を5点とした平均である。
全くあてはまらない | あてはまらない | どちらともいえない | あてはまる | よくあてはまる | 市町村平均値 | 都道府県平均値 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1.教育長は議論のイニシアティブを握っている | 8.1% | 26.6% | 35.3% | 25.7% | 4.4% | 2.92 | 2.45 |
2.教育長は意見の調整役に回っている | 4.8% | 24.0% | 36.0% | 31.7% | 3.8% | 3.06 | 2.87 |
3.教育長は情報の提供や専門的助言に徹している | 1.4% | 11.6% | 26.3% | 49.8% | 10.9% | 3.57 | 3.46 |
4.教育委員長は議長として議論のリード役を務めている | 0.4% | 2.8% | 13.1% | 59.5% | 24.2% | 4.04 | 4.31 |
5.教育委員長は議長として議論を活発にするのに腐心している | 3.4% | 13.6% | 29.8% | 41.0% | 12.2% | 3.45 | 3.38 |
6.教育委員長は議論を整理することに専心している | 2.0% | 14.7% | 33.9% | 41.3% | 8.1% | 3.39 | 3.08 |
市町村教育長の調査結果をみると、「4教育委員長は議長として議論のリード役を務めている(平均値4.04)」の項目の平均値が高く、一方、「1教育長は議論のイニシアティブを握っている(同2.92)」の平均値が低い。
本設問でも、全ての項目について「会議の活発度」と統計的に有意な関係が見られ、例えば、教育長について、「1教育長は議論のイニシアティブを握っている」について、「活発」のグループでは「全くあてはまらない(11.6%)」「あてはまらない(30.6%)」を合わせると42.2%となるのに対して、「不活発」では合わせた数値が23.6%に留まり、逆に「あてはまる」「よくあてはまる」は前者が24.5%であるのに対して、後者では37.3%が回答している。
会議の活発化のためには、教育長の果たす役割が大きく左右する可能性が示唆される。教育長が会議で強いイニシアティブを握ることは、必ずしも教育委員会会議としての活性化につながるとは言えないのではないか。
教育委員長については、4と6について「活発」のグループでは「不活発」よりも「あてはまる」「よくあてはまる」と回答する率が高いという傾向が見られる。議長としての役割を果たしているが、活発にするために苦労するほどではないという様子が窺われる。
市区町村教育長に対する調査データを用い、教育委員の果たしている役割について明らかにした。
全くあてはまらない | あてはまらない | どちらでもない | あてはまる | よくあてはまる | 市町村平均 | 都道府県平均 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
政策提案 | 1.6 | 14.8 | 40.8 | 39.3 | 3.5 | [3]3.28 | [3]3.68 |
政策アイデアの提供 | 1.6 | 13.2 | 40.6 | 41.0 | 3.6 | [2]3.32 | [2]3.79 |
首長との連絡調整 | 6.0 | 21.3 | 50.9 | 19.7 | 2.1 | [5]2.91 | [1]3.84 |
住民ニーズの提供 | 0.5 | 4.5 | 24.8 | 62.7 | 7.4 | [1]3.72 | [4]2.61 |
地域団体との調整 | 3.1 | 17.4 | 50.1 | 27.0 | 2.4 | [4]3.08 | [4]2.61 |
教育委員の果たしている役割としては、「全くあてはまらない」を1点、「よくあてはまる」を5点として得点化し、その平均点を用いると、「住民ニーズの提供」が最も高得点となった。「よくあてはまる」、「あてはまる」の合計が70%以上となっている。ついで、「政策アイデアの提供」、「政策提案」の項目で、「よくあてはまる」、「あてはまる」と答えた割合が高くなっている。反対に、「首長との連絡調整」は、「よくあてはまる」、「あてはまる」の合計は22%程度に留まり、本質問項目の中では最も低得点となった。
生涯学習政策局政策課