2‐3 バージニア州アーリントン学区教育委員会の概要

1 学区教育委員会

(1)教育委員

1.人数、選出方法等

  • 委員数・・・5名
  • 選出方法・・・公選制(改選議席は年1議席、4年に一度2議席改選)。
    立候補要件は、1年間以上バージニア州に居住し、かつ立候補の届け出(6月)までに、アーリントン郡の住民でいること。
  • 任期・・・4年間(再任制限なし)

2.委員長・副委員長

 委員長、副委員長は、新年度の最初の会議(7月)で互選によって決定。なお、会計年度は7月始まりの6月終わり。

  • 構成・・・委員長、副委員長各1名で任期は1年
  • 委員報酬・・・
     委員長 13,100ドル(1ドル=110円で約144万円)
     委員 12,000ドル(1ドル=110円で約132万円)

3.委員の属性

  • 性別年齢・・・男性2名、女性3名。平均年齢約56歳。平均在籍年数10年。
  • 職業・・・元公務員、弁護士、編集者、元教師等。各委員は、郡PTA協議会で会長等の要職を努め、郡教育委員会の各種アドバイザリー委員会委員を歴任するなど、郡教育行政に関して、多年の経験を有し、多大の貢献をしている。これらは必ずしも、立候補の法律上の要件ではないが、教育委員として重要なものと考えられている。

(2)教育委員会会議

1.主要議題

  • 予算案・・・法定承認事項。教育長及び事務局が素案を作成し、2月前半に提案。小委員会による審議(6~7回程度)を経て、4月上旬の教育委員会で承認。
  • 予算案以外・・・教育長の任命及び評価、教職員の任免、新たな学校の設置、教育委員会の重要な方針の策定・変更。

2.開催回数等

  • 定例会・・・毎月2回(第1第3木曜日午後7時30分から。年間通して固定。)
  • 臨時会等・・・臨時会や特定のテーマに関する小委員会が適宜開催。

3.会議の傍聴等

  • 原則公開。地元ケーブルテレビで生中継。再放送2回。ただし、人事案件等は秘密会。
  • 会議資料は事前にHP上に掲載。議事録も会議後1ヶ月以内に掲載。
  • 住民の意見陳述が可能。(1人3分以内。議題に関係しない事項についても陳述可。)

(3)その他

 各教育委員は、6~8校程度の担当学校の割り当てがあり、各種行事への参加や状況把握などが求められている。また、教育委員長は、住民の意見を聴くために、毎週月曜日午後5時から7時の間常駐している。

2 教育長

 現在の教育長は男性(60歳)で、1997年に就任し現在2期目。就任前は、メリーランド州の公立学校教師、テキサス州ヒューストンの学区で教育指導・カリキュラム担当セクションの長等を経験している。メリーランド大学でPhD取得しており、教育関係の著書多数。

(1)教育長の採用選考等

 郡教育委員会が採用選考を行う。教育長の任期は4年間で再任可能。資格について明文の規定はないが、1.教育指導、特別支援教育、教育評価の重要3分野のうちの少なくともひとつ以上に関する専門知識を有すること、2.予算管理、学校運営管理に関して優れた能力を有すること、3.教育に関する幅広い経験を有すること、といった観点から選考されている。

(2)群教育委員会と教育長の関係

 郡教育委員会が各種方針を作成し、教育長はその方針に則って学校を管理する。教育長は、教育委員会の個々の委員ではなく、郡教育委員会全体に対してのみ責任を負う。郡教育委員会は、教育長に対して指示を行うことができるとともに、年1回、教育長の評価を行う。教育長は、郡教育委員会が定めた目標の達成状況について説明する責任がある。

3 事務組織 - 教育委員会書記及び学区教育委員会事務局

(1)教育委員会書記

 教育委員会事務局とは独立した教育委員のスタッフ(常勤の書記(1名)と非常勤の副書記(2名))がいる。書記・副書記は、教育長の推薦に基づいて教育委員会が任命する。

(2)事務局組織の概要

1.事務局

 7部門に分かれている(1.教育指導、2.人事、3.施設、4.財務、5.児童生徒サービス、6.企画・管理、7.学校・地域社会連携)。1~5の部門長は副教育長、6~7の部門長は局長の肩書きを持ち、教育長を支える上級管理職として教育長を中心に一種の内閣を構成している。事務局スタッフはスクールバスの運転手、メンテナンス技師等を含んで、300名程度。

2.教育指導部門の概要

  • 教育指導部門の主な業務・・・1.カリキュラムの作成・改善、2.指導方法の調査研究、3.教員研修の企画・実施、4.児童・生徒の学習状況の評価方法に関する各学校への勧告
  • 各学校支援のための各種サービス・・・1.教科書採択に関する各種事務(出版社へのサンプル注文、職員と親による選定委員会の開催、教育委員会による採択勧告の準備、教科書配送に関するトラブル処理)、2.新たに出された副教材の調査・評価、3.授業視察と教員への助言、4.授業等に問題を抱える教員に対する原因究明と解決方法の助言、5.新しい教科書、カリキュラム、指導方法、評価方法などに関する教職員への研修、6.郡全体で行われる教育活動(音楽祭、サイエンスフェア等)の企画、支援、7.郡全体で行われる保護者に対する情報提供活動の企画、8.カリキュラム、指導方法に関する広報、9.連邦政府、州政府等からの調査、照会に対する回答

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