2‐1 メリーランド州教育委員会の概要

1 州教育委員会

(1)教育委員

1.委員数、選出方法等

  • 委員数・・・12名
  • 選出方法・・・知事による任命
  • 任期・・・4年間(再任1回のみ)

2.委員の属性

  • 職業・・・教育関係者、会社員、金融関係者、学生等

(2)教育委員会会議

1.開催回数等

  • 定例会・・・月1回(最終週の火曜日終日と水曜日半日)
  • 臨時会・・・必要に応じて開催

(3)その他

  1. 教育委員に対する研修
    新任委員に対して、1、2日間の簡単なオリエンテーションを行う。
  2. 教育委員会と知事の関係
    • 人事について、任命は知事によって行われるが、解雇理由は州法によって制限されており、道徳的に好ましくないことをした場合に限られている。
    • 予算については、教育省が予算案を作成し、知事が提出した予算案を州議会が議決する。知事、州議会は、予算案を削減することはできるが、新しく予算を追加することはできない。
  3. 司法的機能
    学校区教育委員会の決定に対して州教育委員会へ不服申立がなされた場合、州教育委員会が対応することとされている。学校区教育委員会が決定したことについては、全て州教育委員会に訴えることができる仕組みになっており、州教育委員会が最終決定を下すこととされている。ただし、民事訴訟により裁判所に訴えることは可能である。

2 教育長

 現在の教育長はメリーランド州初の女性教育長で、13年間の長期にわたり在任している。

(1)人数、選出方法等

  • 人数・・・1名
  • 選出方法・・・州教育委員会による任命

(2)教育委員会と教育長の関係

 教育委員会が各種の方針を決定し、教育長はその方針に従って行政を行うこととされており、両者の役割は明確に区分されている。また、州法により、特定分野については教育長が権限を有しており、教育委員会に相談なく自ら決定できる。(例:転校などに伴う学校閉鎖)
 教育長は事務局代表として教育委員会会議に出席する。

3 事務組織 - メリーランド州教育局

 州内には24学校区に分かれており、その全てが郡や市の境界線と一致している。各郡に教育委員会と教育長がおり、教員、行政職員の採用、解雇、給与支給を行っている。州教育省では、教員免許やその他専門職の認定等を扱っている。加えて、州政府の図書館運営を実施している。
 特に他州と異なる点として、職業訓練学校や厚生施設における職業訓練も所管しており、また、少年院や厚生施設入所者に対する教育についても教育省への権限移管(テイク・オーバー)が行われていることが挙げられる。

(1)事務局

 職員数は、およそ1,450人(州政府職員、1年任期の契約職員、学校区からの出向者)で、このうち学校教育(幼稚園~高校、特殊教育等)を担当しているのは350名程度である。言語、数学、理科の専門家が各1名いる。

(2)州教育省の権限の移り変わり

 20年ほど前は、地域に根ざした学校制度を整備することが重要との認識があり、主な職務は、連邦資金、州資金を地方の学校区への配分だけで、指導や命令を行うということはなかった。10年ほど前においても、学校制度についてはそれぞれの学校区が最も統治能力が高く、大きな権限を有していた。
 しかし、1990年以来、州教育省は、学校評価、カリキュラム改革などにより生徒の成績向上に努めており、また、情報公開と説明責任をベースに、学校の全面的な改革、再構築に指導的役割を果たしたことで、24学校区に対して真の権限を有するようになっている。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課