資料7 「地方分権時代における教育委員会の在り方について」(全国都市教育長協議会資料)

全国都市教育長協議会
会長(宮崎市教育長)内藤 泰夫

教育委員会制度の意義と役割

 アンケート結果1によると、「a.現行の制度でよい」が79パーセントと多数を占めており、教育委員会制度の趣旨である教育の中立性、継続性、安定性の確保のためには欠かせない制度であると考える。

  • 教育委員には民意を反映するため、専門性や地域性、性別、年齢等を考慮し幅広い登用を行う。
  • 名誉職化しないよう教育に情熱のある人を登用する。
  • 会議の形骸化を避け、迅速な意思決定を行うためには、毎月の定例会だけでなく、臨時会や研修会を積極的に行い、実質的な議論や意思決定ができるよう努める。

首長と教育委員会との関係

 アンケート結果3によると、概ね半数の52パーセントが「a.現行の制度でよい」と回答している。このことから、教育委員会が主体となってこれらの教育事務に取り組み、首長部局とは横断的に連携を図りながら事務を進めていくことが望ましいと考える。

  • 分野によっては首長部局に移管した方が市民サービスの向上につながるという意見も少なくない。
  • 「教育委員会は学校教育に専念すべきである」と考えるのは早計ではないか。
  • 社会教育、家庭教育の分野等は、学校教育と強い関連があり、事務を移行するのではなく強化していく分野であると考える。

 アンケート結果4によると、76パーセントが「a.連携は十分とれる」と回答している。このことから、現行制度においても、教育委員会が積極的に首長と連携を図れば、円滑に教育行政を推進することができると考える。

市町村と都道府県の関係及び市町村教育委員会の在り方

 アンケート結果5によると、47パーセントが「c.広域化の推進のための具体的方策を講じるべき」と回答している。地方分権を生かした特色ある教育を推進するためには、まずは広域化を図り事務局体制を整える必要があると考える。

  • 地域住民を熟知した教育委員会が、教育行政を推進することが一番であるとの意見もある。
  • 現在の激しい教育改革の流れの中で教育行政を推進していくには、指導主事等の教育行政の専門家を配し、適正な事務局体制を確保することが重要である。
  • 一部事務組合や共同設置などの現行制度について、手続きを可能な限り簡素化し、都道府県が積極的に制度の活用を促すことも必要ではないかと考える。

 アンケート結果6によると、63パーセントが「c.今後さらに市町村に権限や事務を移譲すべき」と回答しており、特に教職員の人事任命権の移譲を段階的に進めることが必要だと考える。

  • 一部の都市には、教職員の人事任命権について、人事の硬直化や教育の機会均等を考慮し、現行のように都道府県が行う方が望ましいという意見もある。
  • 現実的には、権限の移譲は、規模に応じて段階的に進めた方がよいだろう。まずは、研修権だけが移譲されている中核市への移譲を早めに行ったうえで、次の規模の市町村への検討に入ることが望ましい。

学校と教育委員会との関係及び学校の自主性・自立性の確立について

 アンケート結果7によると、66パーセントが「c.今後も学校の裁量を拡大していくべき」と回答している。学校は裁量を生かしてリーダーシップを発揮し、地域住民と十分な連携を図りながら、特色ある学校づくりに努めることが重要である。

  • 学校評議員制度が未設置の市町村もあるが、まずは本制度の積極的な活用を図り、学校運営の活性化を図っていく必要がある。
  • 学校の運営方針や目標を地域住民等から評価してもらい、その結果や改善策の開示など説明責任を果たすことが信頼される学校づくり、開かれた学校づくりにつながる。
  • 教育委員会は、学校の自主性を損なうことのないよう留意しながら的確な指導助言を行い、もし学校だけで責任が負えないような事態が生じた場合には、教育委員会が迅速かつ力強くバックアップしていくような体制を整えることが重要である。

都市教育長へのアンケート結果まとめ(62市区から回答)(平成16年7月21日実施)

  • 人口別に集計
  • 回答を得た市区数(62)
  • 全体の市区数(711)
合計
(62市)
A B C
30万人以上
(10市)
(68)
10万人以上
30万人未満
(15市)
(170)
10万人未満
(37市)
(473)

教育委員会制度の意義と役割

1.教育委員会が首長から独立した執行機関であることについて

  合計 A B C
a.現行の制度でよい 49
(79%)
6
(60%)
13
(87%)
30
(81%)
b.どちらともいえない 7
(11%)
3
(30%)
2
(13%)
2
(5%)
c.制度を見直すべき 6
(10%)
1
(10%)
0
(0%)
5
(14%)

2.非常勤の委員が合議制により教育行政の基本方針を決定することについて

  合計 A B C
a.現行の制度でよい 46
(74%)
6
(60%)
12
(80%)
28
(76%)
b.どちらともいえない 7
(11%)
2
(20%)
0
(0%)
5
(14%)
c.制度を見直すべき 9
(15%)
2
(20%)
3
(20%)
4
(11%)

首長と教育委員会との関係

3.生涯学習、文化、スポーツ、幼児教育等の教育事務の在り方について

  合計 A B C
a.現行の制度でよい 32
(52%)
5
(50%)
7
(47%)
20
(54%)
b.どちらともいえない 13
(21%)
1
(10%)
7
(47%)
5
(14%)
c.首長が主体的に行うべき 17
(27%)
4
(40%)
1
(6%)
12
(32%)

4.首長と教育委員会との連携について

  合計 A B C
a.連携は十分とれる 47
(76%)
8
(80%)
13
(87%)
26
(70%)
b.どちらともいえない 5
(8%)
1
(10%)
0
(0%)
4
(11%)
c.連携がとりにくい 10
(16%)
1
(10%)
2
(13%)
7
(19%)

市町村と都道府県の関係及び市町村教育委員会の在り方

5.広域化の推進のための方策について

  合計 A B C
a.現行の制度でよい 21
(34%)
4
(40%)
3
(20%)
14
(38%)
b.どちらともいえない 12
(19%)
1
(10%)
5
(33%)
6
(16%)
c.広域化の推進のための
具体的方策を講じるべき
29
(47%)
5
(50%)
7
(47%)
17
(46%)

6.教育行政における市町村と都道府県との関係について

  合計 A B C
a.現行の関係でよい 16
(26%)
1
(10%)
2
(13%)
13
(35%)
b.どちらともいえない 7
(11%)
0
(0%)
2
(13%)
5
(14%)
c.今後さらに市町村に権限
や事務を移譲すべき
39
(63%)
9
(90%)
11
(73%)
19
(51%)

学校と教育委員会との関係及び学校の自主性・自律性の確立

7.学校と教育委員会との関係について

  合計 A B C
a.現行の関係でよい 15
(24%)
2
(20%)
2
(13%)
11
(30%)
b.どちらともいえない 6
(10%)
1
(10%)
1
(7%)
4
(11%)
c.今後も学校の裁量を
拡大していくべき
41
(66%)
7
(70%)
12
(80%)
22
(59%)

お問合せ先

生涯学習政策局政策課