資料1 これまでに出された論点と主な意見(案)

平成16年7月12日
※印は委員以外の意見発表者の意見

1 教育行政の在り方

(1)中立性の確保について

主な意見

  • ア 政治的対立の厳しいところでは、教育委員会制度による政治的中立、レイマンコントロールが必要。

(2)継続性、安定性の確保について

主な意見

  • ア 首長の交替によって教育行政が変化すべきではない。
  • イ 選挙を通じた自治体全体の方針変更に応じ、教育行政も変化すべき。

(3)保護者、地域住民の教育行政への関わりについて

主な意見

  • ア 保護者は開かれた学校づくりに賛成だが、学校運営に参加していくことには躊躇する。教育委員会制度の難しさもここにある。参加意識を高めていくことが重要。
  • イ 教育行政に関する情報を積極的に提供し、住民の理解を深めるべき。

(4)全国的な教育水準の確保と地方分権の推進について

主な意見

  • ア 地方分権を可能な限り進め、自由競争の下で多様な教育が実施されるようにすべき。それが教育の質の向上につながる。
  • イ 義務教育については、全国的な教育水準の確保が重要であり、ナショナル・スタンダードを示して地域格差がないようにすべき。

(5)制度改革と運用改善の関係について

主な意見

  • ア 社会状況の変化に応じて制度を見直すべき。
  • イ 制度改革の前にまず可能な運用改善を行うべき。その上で制度改革を検討すべき。

2 教育委員会制度の在り方

(1)教育行政の首長からの独立について

主な意見

  • ア 教育の中立性、継続性、安定性を確保するため、首長から独立した執行機関が教育行政を担当すべき。
  • イ 首長は現在でも予算編成等を通じて教育行政に影響を及ぼしている。(行政の総合化の観点から)自治体の行政全体に責任を負う首長に、教育行政についての責任も負わせて良い。(こめ印)

(2)レイマンコントロールについて

主な意見

  • ア 専門家のみが教育行政を行うと偏りかねない。レイマンコントロールは今後も維持すべき。
  • イ 複雑化した現代の行政においては、レイマンコントロールが実際に機能するのは難しい。

(3)合議制について

主な意見

  • ア 様々な分野の代表者で構成されているほうが、住民の支持を得やすい。
  • イ 合議制は、決定が非効率となり、また責任も不明確となる。

(4)教育委員の人選について

主な意見

  • ア 教育委員の人材の充実・確保を図るべき。
  • イ 小さな町村では教育委員に人材を確保することは困難。

(5)教育長・教育委員会事務局の在り方について

主な意見

  • ア 教育委員会事務局が教育委員会を審議会的に扱っている状況を改めるべき。
  • イ 専門的指導ができるよう事務局の体制を整えるべき。

(6)制度改革について

1.自治体の状況に応じた多様な制度とすることについて

主な意見
  • ア 自治体の規模は様々であり、規模に応じて選択できるような制度とすべき。

2.教育委員会の設置を地方公共団体の判断に委ねることについて(任意設置)

主な意見
  • ア 地方が自己の組織について自由に決定できるようにすべきであり、教育委員会の設置も地方の任意とすべき。
  • イ 教育委員会を設置するか否かは教育行政の基本事項であり、地方の任意とすべきでない。

3.その他の制度改革

主な意見
  • ア 教育委員会に替えて教育審議会を置いてはどうか。
  • イ 教育委員を常勤職としてはどうか。
  • ウ 教育委員を公募や公選で選任してはどうか。
  • エ 教育委員の人数を弾力化してはどうか。
  • オ 教育長が教育委員長を兼任できるようにしてはどうか。
  • カ 教育長を資格が必要な職としてはどうか。

3 首長と教育委員会との関係

(1)首長と教育委員会との連携方法について

主な意見

  • ア 首長と教育委員との定期的な協議の場の設定、審議会の設置などにより、連携を図っていくべき。
  • イ 自治体の策定する基本構想を活用して、一般行政と教育行政の調和を図っていくべき。

(2)生涯学習、文化、スポーツ等における首長と教育委員会の役割分担について

主な意見

  • ア 生涯学習等について教育委員会が担当する場合、学校との連携や事業の継続性の面で利点がある一方、首長が担当する場合、新規事業の企画立案、予算確保の面で利点がある。
  • イ 生涯学習振興行政、文化行政、スポーツ行政は、学校教育行政とあわせ教育委員会が所管すべき。
  • ウ 生涯学習、文化、スポーツについては、まちづくりの観点から首長との関係が深い。(※)
  • エ 幼児教育は教育委員会が関与していくべき。

(3)教育行政への議会の関わりについて

主な意見

  • ア 議会が教育について真剣に考え、人的・財政的な投資をしていくべき。

4 都道府県と市町村との関係

(1)国、都道府県、市町村の関係について

主な意見

  • ア 国から学校までの長い縦系列の中で、国の意向が強く受け止められる状況を改めるべき。
  • イ 全国を通じて一定水準の教育を維持することは必要。それと同時に地域の特性を活かすことが必要。都道府県の指導性と市町村の自主性のバランスを図るべき。

(2)市町村教育委員会の在り方について

主な意見

  • ア 子どもや住民に最も身近な市町村教育委員会が責任を持って教育行政を担う仕組みが必要。
  • イ 小規模市町村では、共同処理方式など広域化を検討すべき。

(3)都道府県教育委員会の在り方について

主な意見

  • ア 義務教育の実施における都道府県教育委員会の役割は、評価や条件整備の機能に特化していくべき。
  • イ 国や都道府県は市町村に対し、求めに応じて職員を派遣するなど支援すべき。

(4)教職員人事権の市町村への移譲について

主な意見

  • ア 教員の地域に対する帰属意識を高めるためにも、市町村に人事権を持たせる方向で検討すべき。
  • イ 現在の市町村の事務体制では懲戒処分も含めた人事関係事務を処理することは難しい。
  • ウ 広域人事を行う必要があることから、今後も都道府県が人事権を行使すべき。
  • エ 中核市については研修の権限が移譲されており、人事権についても移譲すべき。

5 学校と教育委員会との関係

(1)学校の裁量拡大について(学校への権限委譲)

主な意見

  • ア 教職員の人事権は校長が持つべき。また、教育委員会は調整権を持つべき。
  • イ 現在でも講師など一部の職員の人事は学校の権限となっているが、その事務の処理が学校にとって負担となっている。
  • ウ 人事によって学校を良くしようとするのではなく、現在の職員の資質向上に努力すべき。
  • エ 教育委員会が予算の総枠を決め、その使途は校長に委ねるべき。

(2)学校評価について

主な意見

  • ア 学校評価は、保護者・地域・学校の三者が情報を共有し、学校運営に共同参画することを目的とすべき。学校の序列化につながってはいけない。
  • イ 利用者が学校を選択できる仕組みを作り、消費者主体のサービスを実現すべき。

(3)学校に対する教育委員会の支援について

主な意見

  • ア 指導主事の配置の拡大や学校訪問の機会の増加、指導主事以外の学校をサポートする職員の配置などが必要。
  • イ 教育委員会は、校長会や教頭会を通じて学校現場の意見を吸い上げ、施策に反映させるよう努力すべき。

(4)地域住民の学校運営への参画について

主な意見

  • ア 保護者は学校に不平を言うだけではなく、学校とよく話し合って同じ方向を向いて連携・協調すべき。

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