資料1 第6回地方教育行政部会 意見発表者説明資料(北城恪太郎委員)

北城 恪太郎委員 説明資料 平成16年7月1日

2004年7月1日

地域や現場の実情に応じた学校運営の実現による教育改革を

日本アイ・ビー・エム株式会社 会長
社団法人経済同友会 代表幹事
北城 恪太郎

 教育改革の成功のための最大のポイントは、1.学校長の裁量権限の拡大を図り、2.適切な評価システムを充実させ、3.透明性をもって説明責任を果たすこと、にあると考える。学校のガバナンスのあり方を見直すこれらのプロセスを通じて、実際に地域や現場の実情に応じた創意と工夫のある学校運営が機能するようになることによって、期待に応える教育が実現する。

1.学校長の裁量権限の拡大

1‐1.学校長が自ら学校運営を進めるため裁量権限の拡大が必要。

 学校運営の主体は現場にあるべきであり、学校長や教員が現場の実情にあわせた創意と工夫を凝らすことによって教育改革が進められることが望まれる。学校長の裁量権限を拡大し、学校長が自らのビジョンと考えで学校経営を行うことができるようにすることが必要である。「人・物・金」に対する権限と責任がなければ、真の経営者とはなり得ない。とりわけ教員の人事権を学校長に与えずして学校長による真の学校経営は成し得ない。

 ※ 学校長は、次のような学校運営に関する事項について裁量権限を持つべきと考える。
 1.教員の人事(任免権、勤務評定・給与査定・校内人事)、2.学校予算編成3.学級編成、4.カリキュラム策定、5.教科書選定 等
 また、一定期間(例えば5年程度)同じ学校で勤務した教員には、自らが希望する学校にへの異動を申請できるような権利を保証するためのフリー・エージェント(FA)制のような仕組みの導入が必要。

1‐2.学校長は、その役割・責任を全うできるだけの優れた管理・運営能力が求められる。

 「学校運営の最終的な責任者」としての学校長がその役割を全うするため、教員の延長としての能力・スキル技能だけではなく、学校運営のための専門的な管理・運営能力が優れていなければならない。この能力を高めるための研修等の機会を確保する必要がある一方、民間など外部も含めた幅広い対象の中から、優れた人材が登用されるべきである。

1‐3.制度にあわせ、学校長の意識改革が望まれる。

 教育改革を進める上で、学校長の意識改革は大変大きな課題。学校長の権限を拡大し、個性的な特徴ある学校を創造するためにも、制度改革にあわせ、学校長の意識改革が必要である。

2.適切な評価の実施と、説明責任/透明性の確保

2‐1.学校長による地域・保護者に対する経営方針の説明と約束がなされるような制度の確立が必要。

 学校長は、地域、保護者の要望や期待を受け、自校の経営方針、教育計画、指導の重点などを分かりやすく説明し、その実践を行い、その結果の評価を受け、改善に生かさなければならない。地域・保護者等、外部の評価を取り入れるためには、「学校評議員制度」(以下、学校運営評議会(仮))を設けて有効に活用することが考えられる。教育委員会は、各学校の学校運営評議会がどうなっているのか、適切に機能しているか、評価システムはどうなっているのか、整備されているか、十分な活用がなされているのか等を点検、確認し、それが不十分な場合には適切な指導を与える必要がある。

2‐2.学校長の管理能力や指導力等を評価するシステムも重要。

 学校長に大きな権限を与える場合、その学校長に対する管理能力や指導力等を評価する評価システムが確立されなければならない。地域・保護者・教育委員会・専門家等が厳しく適切に学校長を評価することにより、優秀な学校長を育て、地域や保護者の期待に応える学校を作ることができる。この観点からも、学校運営評議会が有効に活用されるべきである。具体的には、学校運営評議会が学校長を評価して教育委員会に意見を具申し、教育委員会はその意見を尊重して決定する学校長の評価・処遇・任免を決める仕組みが考えられる。

3.教育委員会のあり方

3‐1.教育委員会と教育長のあり方について

 現行、教育長は、教育委員の中から教育委員会が任命することとされているが、人選の対象は教育委員ではなく、外部人材であるべきである。非常勤である教育委員は全員が等しく立場を同じくすべきではないか。以外から行うべきである。教育長と教育委員を兼務すると、他の非常勤の委員との情報格差などが生じ問題が生じる、教育委員の意見が委員会運営に適切に反映されない可能性がある。また、任命した教育長が不適格と判断される場合は、教育委員会が交代させることができる権能も併せ持つことが必要である。

3‐2.都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会の役割について

 都道府県の教育委員会は、市町村の教育委員会を監視することのみに役割を特化する。権限委譲を受けた市町村の教育委員会は、学校運営評議会の意見に基づく学校長の評価・処遇・任免、教員免許状付与、教員研修、学校運営評議員の選定の仕組み作りと指導、などの権限を持つようになる。

以上

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生涯学習政策局政策課

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