資料2 教育委員会の機能強化に関する研究会について

1.研究会の概要

  • 教育委員会の機能強化の方策について、学識経験者、市町村長、市町村教育長等により研究を実施(座長:小川正人東京大学教授)。平成15年11月まで、教育委員会の現状に関する調査を実施するとともに、会議を3回開催し、教育委員会の在り方について議論。

2.研究会における主な指摘

教育委員の選任等

  • 教育委員の選任に当たり、地域割りや会派別に委員が選任される場合があり、それらが教育委員会批判につながっているのではないか。
  • 教育委員の任期は2年で良いのではないか。首長に再任されるか否かのプレッシャーと、委員が職務をまっとうしてきたかについてのチェックが強まることで、教育委員への良い人材の確保につながる。
  • 教育委員の公募等により、委員になる機会が市民に広がることも良いことである。
  • 教育委員に人材を得るよう、教育委員の要件緩和を検討すべきではないか。例えば、現職の校長が教育委員になっても良いのではないか。
  • 教育長の在任期間について、任期4年を待たずに退職するなど、安定性に欠ける運用がみられる。ある程度継続的に教育行政に当たる必要がある。
  • 校長経験者の教育長の場合、立場が学校寄りになりがちである。
  • 都道府県から教育長を派遣しているような場合には、都道府県との関係もあって、必ずしも首長の意に添わない人材が教育長になっていることもあるのではないか。

教育委員会の運営

  • 教育行政は、当面の緊急課題に対処するだけではなく、中長期的な展望に立った対応が必要であるが、外部からは対応が遅いように見えてしまうのではないか。
  • 教育委員会は、住民広聴会の開催や、所管施設の訪問、関係機関等との協議等、意見の聴取の機会を持つべきである。
  • 教育委員には多忙な者が多く、施設訪問をしている時間がない。訪問を促進するには、何らかの工夫が必要ではないか。
  • 教育委員会会議の開催回数が少ないのが、活性化の一番の足かせではないか。
  • 教育委員会会議は、事務局の説明を受けるだけで終わっている。本来の教育委員の仕事は、事務局の意見を聞きつつも、次年度の教育をどうするか、数ヶ月かけてじっくり方針を練り上げ、固めていくようなことではないのか。
  • 教育行政の目標設定や行政評価は、教育委員会と事務局との関係のカギである。目標設定や行政評価について、教育委員会会議で議論するなどの工夫が必要ではないか。

首長と教育委員会との関係

  • 首長の教育への関わり方について、首長は自治体全体の観点から施策を提案し、教育委員会は中立性・継続性の観点から、その可否を含めて検討を行う。このような役割分担や協力関係も可能ではないか。
  • 各部局長を集めた会議の中に教育委員会も参加して自治体全体の施策を検討するなど、双方の意思疎通の場を設ける工夫が必要である。
  • 住民はより良い教育を求めているのであり、首長は選挙のたびにそれをストレートに感じる立場にある。一方で、教育委員会は学校や教員の意見に引っ張られすぎているように見える。
  • 個別に話を聞くと、首長は、不適格教員への対応など、人事について不満を持っている。
  • 首長に対して、どうしても教育長は弱い立場になる。
  • 私立学校については、首長部局が担当し、担当課に教育の専門家がいない。首長と教育委員会と役割分担の考え方が、住民から見て分かりにくい。
  • 首長部局が生涯学習等を担当している場合もある。政治的な中立性を確保する必要のある事務とは何かを明らかにする必要がある。
  • 教育委員会は、どうしても学校教育が中心となりがちであり、もっと生涯学習やスポーツの面に取り組むべきではないか。

都道府県と市町村との関係・市町村教育委員会の在り方

  • 指導主事は、市町村が独自に財政負担しても配置すべきではないか。財政面での困難はあるが、各地域の教育行政のプロフェッショナルを育てていく視点が重要である。
  • 小規模市町村では、小規模であるがゆえに、むしろ所管の教育機関との関係でうまく機動力を発揮できる場合があり、そのメリットを最大化していく視点が重要である。
  • 都道府県教育委員会は、市町村教育委員会からの教職員の人事に関する内申をもっと重視すべきである。
  • 市町村立学校の教員については、一定期間で別の市町村に異動してしまうため、研修会等により、市町村の職員としての意識を高めるための工夫が必要がある。
  • 市や学校によっては、良い教員を抱え込むことがある。必ず市町村をまたいで異動するなど、広い視野を育てることが大切である。
  • 教員の異動希望は、財政事情の良い市への異動に偏りがちである。
  • 教育委員会が学校教育中心になりがちなのは、県の教育事務所の指導が強すぎるからではないか。都道府県から市町村への指導の在り方を見直すべきではないか。

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