資料1‐2 教育委員会制度の見直しについて(メモ)
2004年4月13日 八代尚宏
1.教育委員会制度の問題点
- 政治的中立性保持のためのチェック・アンド・バランス機構が、住民に選出された首長がその意を反映した教育改革を進める場合の障害。
- 県と市の教育委員会、首長、学校長との間で教育行政の責任の所在が不明確。
- 学校長の人事権・予算配分権が乏しいなかで、現場のニーズを踏まえた運営が困難。
2.制度改革の方向
1)教育行政に関する役割分担の明確化と現場主義の徹底化。
- 個々のニーズや地域の実情に応じた教育を展開するため、それらを最も把握している学校や市町村教育委員会に、現在都道府県教育委員会等が有する権限を大幅に委譲し、現場が知恵を絞り、創意工夫を凝らした教育を実現できるようにする。また、それを支えるシステムとして学校評価の充実を図る。
- 教職員の能力向上と良質な教育を実践するためのインセンティブの向上を促進。
- 公教育において、より利用者のニーズに応えるために、公教育の選択肢の多様化に重点。
2)首長の権限拡大
- 教職員数に関する標準法(公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律)を見直し、首長による弾力的な適用を可能とすること。
- 教職員給与に関わる人確法(学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法)は、教員採用試験倍率が極端に高い現在、必要性に乏しく廃止し、より弾力的な運用を可能とすること。
- 厳格に「政治的中立性」を前提としても、少なくとも教師の人事権以外のスポーツや文化振興等は首長部局に移行する可能性。
3)都道府県の教育委員会から市の教育委員会への権限委譲
- 都道府県の教育委員会は市町村や学校毎の情報開示促進や評価の機能に特化。また、指導力不足認定・分限免職に関する指針を策定し、透明かつ迅速に退出させることを可能とするシステムを担保するとともに、教職員免許更新制の導入などを実施することで、各教職員における指導力向上へのインセンティブを高めること。
- 市町村教育委員会へ、校長の任免、免許状付与・免職・給与配分・予算配分・教職員研修・教職員人事(校長の勤務評定に基づく)などの権限を委譲。
- 国と都道府県で半分づつ負担している義務教育国庫負担金の使途を市町村教育委員会の裁量で決定できるシステムに変更。
4)校長の権限拡大
- これまでにも校長の教育課程等等に関わる権限や校長裁量経費の拡大、及び教職員人事についての校長意見の具申(県教育委員会への市教育委員会の内申に添付)等の実施。
- 今後、さらに校長に教師の任免権を与え、教師の勤務評定・給与査定・校内人事、予算執行・学級編制・カリキュラム策定・教科書選定など、学校運営に係る部分の権限を委譲。
- 教師も、私立学校のように、自分の勤務したい学校に直接応募できる選択肢も。